古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

カテゴリ: スポーツ

 古村治彦です。

 

 先日、全国高等学校野球選手権大会が閉幕しました。決勝では大阪桐蔭高校野球部が13対2で秋田県立金足農業高校野球部を下し、同校2度目の春夏連覇を達成しました。同一校が春夏連覇を達成したのは初めてのことです。

 

 金足農業は県立高校で全国から優秀な選手を集める制度もなく、選手たちは地元の中学校を卒業し、高校で初めて硬式ボールを使ってプレーする人が多く、また、3年生だけで決勝まで勝ち上がってきたティームでした。一方の大阪桐蔭は全国から腕に覚えのある優秀な選手たちが多数集まり、スターティングラインナップ9名がそのまま高校日本代表になってもおかしくないし、ベンチ入りした選手であれば、少なくとも東京六大学野球リーグ、東都大学野球リーグ1部でもそのまま通用するでしょう。

 

 金足農業が劇的な勝利を重ね、全国的に有名な、これまでに全国制覇を達成した経験を持つ横浜高校や日大三高を破ったことで、人気に火が付きました。吉田投手のハンサムさもそれに拍車をかけたことは間違いありません。

 

 私は小さい頃から運動は苦手でしたが、スポーツを見るのは好きという人間で、高校野球も人並み以上に見てきたつもりです。地元鹿児島のティームを応援してしまうのはまさに習い性となるというところでしょうか。鹿児島では昔から鹿児島市内の三校、鹿児島商業、鹿児島実業、樟南(鹿児島商工)が甲子園に行くもの、たまに、鹿児島市立鹿児島玉龍か、くらいでした。鹿児島市以外の学校では、出水商業、れいめい(川内実業)が出たことがあるくらいでした。

 

 それが北薩の串木野にある神村学園が強化され(もともと看護系で有名な女子高でしたからびっくりしました)、大隅半島からも甲子園出場、更に21世紀枠でしたが、奄美大島の大島高校(奄美群島、離島における中心的進学校)も出場を果たしました。

 

 今年の選手権(夏の甲子園大会)は100回目の大会でした。夏の甲子園は日本の夏の一大イヴェントとなっています。2週間にわたりNHKのテレビとラジオ、民放が完全に中継します。高い視聴率を誇るイヴェントです。甲子園は春の選抜大会、プロ野球阪神タイガースの試合、夏の選手権大会、冬の甲子園ボウル(アメリカンフットボールの大学日本一を決める東西代表による試合)と一年中忙しい球場です。それでも「甲子園」と言えば、高校野球の代名詞となっています。

 

 今回、私は高校野球の様々な問題点を指摘する著作『甲子園という病』を皆様にご紹介します。著者の氏原氏は長年にわたり高校野球を取材してきた経験を基にして、現在の高校野球の問題と改善の糸口を提案しています。

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甲子園という病 (新潮新書)

 

 今回の選手権でもそうでしたが、まず投手の登板過多による怪我、その怪我が深刻なために野球生命を潰してしまうという問題が提起されています。これまでにも高校での登板過多のために野球生命を終わらせてしまった名投手は数多くいました。高野連や現場では複数投手育成を頑張っていますが、部員が少ないティームなどでは同じレヴェルの投手を育成するだけでも大変ですし、ついつい絶対的なエースに頼ってしまうということが起きてしまいます。

 

 アメリカなどで日本の高校野球が報じられる場合には、投手の投球数がクローズアップされ、虐待だ、クレイジーだ、という論調になります。甲子園に出てくる投手の場合、その多くが子供の頃から優秀な投手として、小学校や中学校、リトルリーグ、シニアリーグで多くの試合を投げて来ています。ですから高校の短期間での投げ過ぎという問題に加えて、それまでの積み重ねられてきた投げ過ぎによる疲労や弊害ということもかんがえていかなければなりません。

 

 複数投手制度はどうしても必要です。そのために、野手をやっている選手で投手もできる選手がいないかどうかということを指導者はチェックしてみるというのは面白いことになるかもしれません。短いイニングならストレードで抑えられる、変わった変化球で一回りは抑えられるということであれば、継投で試合を作ることが出来るでしょう。

 

 氏原氏は著書の中で、投手に対して、指導者が「どうだ、痛いか」と「どうだ、いけるか」と質問する場合が多いと指摘しています。私は、これは日本的な責任回避の方法だ、高校野球の現場でもあるのかと改めて驚きました。「いけるか」と質問されて、未成年の生徒たちは未熟な自己判断で「いけます」と答えるしかありません。それで怪我をしても、指導者は「彼が自分で大丈夫と判断したから」と逃げることが出来ます。これは、旧日本軍にあった、上官が曖昧な命令を出し、その後、「自分はそんなことを言っていない」と否定するという構図と一緒です。

 

 また、著書の中では、一年生でマスコミの脚光を浴びてしまったが故に、その後の高校野球人生を狂わせてしまった選手のことが取り上げられています。たかが部活動、それなのに野球部に集まる注目は大変なものです。私の行っていた高校も野球部があり、旧制中学時代に鹿児島から初めて選抜大会に出場したことがありました。その後は甲子園には縁がありませんでしたが、県予選でベスト8、ベスト4にたびたび進出することがありました。NHKのローカルニュースで、注目の学校などと言われて取材され、放映されていました。私の所属したボート部も明治以来の伝統を誇りましたが、マスコミに取材されたことなどありませんでした。地元紙のスポーツ欄に試合結果が掲載される、それだけでしたが、これが当たり前です。

 

 春の選抜は毎日新聞と毎日放送、夏の選手権は朝日新聞と朝日放送、そしてNHKの大きな利権となっています。また、高校野球だけにお金が集まり、高等学校野球連盟、いわゆる高野連だけが肥え太るという状況が起きるのは好ましいことではありません。また、私立高校が受験生獲得、宣伝のために野球部に有力選手を集めて、勉強そっちのけで昼から深夜まで練習をさせて、甲子園に行くことで宣伝活動にするということも好ましいことではありません。しかし、マスコミからの注目度が高い以上はそのような宣伝活動を行う学校も出てくるでしょう。高校野球を大人たちが食い物にして、高校生たちの汗と努力をお金に換える、それを高校生たちに還元しないということでは、これは本当の虐待ということになります。

 

 春と夏の甲子園に対して、私は批判的ですが、それでもやっぱり試合を見てしまいますし、良い選手やプレーを見るのを楽しみにしてしまいます。私は「甲子園という病」に部外者、観客という一番無責任な立場で罹患してしまっているのかもしれません。まず、甲子園という病、洗脳されていることを自覚する、そこから始めねばならないでしょう。脱魔術化、と言った方が良いかもしれません。

 

 高校野球が少年野球からつながり、大学野球、社会人野球、そしてプロ野球ともつながっており、既存の大きなシステムとなっている現状を変革することは難しいでしょう。ですから、批判的な目を持って、おかしいところ、早急に何とかしなければならない点を指摘しつつ、高校野球を応援するということになるのだろうと思います。

 

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 アメリカの野球殿堂はニューヨーク州のクーパーズタウンにあります。日本の野球殿堂は東京ドームの中にありますが、野球の歴史の厚みと歴史を大切にするという点では、残念ながら日本はアメリカの足元にも及びません。私も死ぬまでに一度で良いから、クーパーズタウンの野球殿堂を訪問してみたいと思っています。

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アメリカ野球殿堂 

 

 この野球殿堂入りするためには、アメリカで野球の報道に関わる記者協会に所属する記者たちの投票で75%以上の票を獲得することが条件となります。殿堂入りするにはメジャーリーグで10年以上プレーすることが条件され、選考委員会が候補者を選定します。1回の投票で得票率5%を切るとその人物は候補者リストから外されます。名選手、有名選手でも落選することがあります。日本人では、1994年にロサンゼルス・ドジャースでデビューし、13勝を挙げ、新人王になり、2度のノーヒットノーランを達成した野茂英雄(日米通算201勝)や毎年200本安打を続け、メジャーリーグのシーズン最多安打記録を持つイチローが殿堂入りするのではないかと言われています。

 

 今回は、野球殿堂の投票を巡っての記事をご紹介したいと思います。ボストン・レッドソックス(松坂大輔と岡島秀樹とはチームメイト)やアリゾナ・ダイヤモンドバックスで活躍し、ワールドシリーズ制覇を成し遂げた、カート・シリング(通算216勝、最多勝2回)という名投手がいます。シリングも殿堂入りの有力候補なのですが、なかなか票が伸びず、今年も殿堂入りに落選してしまいました。


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カート・シリング

 落選について、シリングは自分が共和党員であるからだということを話しています。政治と野球はあまり関係がないようですが、微妙なところで影響を与え合っているようです。そういうところも含めて野球の魅力と言うことができると思います。

 

==========

 

カート・シリングが共和党員であることが理由で殿堂入りを逃したと語る(Curt Schilling says being a Republican cost him Hall of Fame votes

 

シンディ・ボーレン筆

ワシントン・ポスト紙

2015年1月8日

http://www.washingtonpost.com/blogs/early-lead/wp/2015/01/07/curt-schilling-says-being-a-republican-cost-him-hall-of-fame-votes/?tid=sm_fb

 

今週の火曜日に今年の野球殿堂入りの投票結果が発表された。カート・シリングは殿堂入りに選ばれなかった。ボストン・レッドソックスで活躍した偉大な元投手は、自分が殿堂入りに必要な票数を獲得できなかった理由の一つに彼の政治姿勢があると確信している。

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2015年に殿堂入りした選手たち(左から:ペドロ・マルチネス;ランディ・ジョンソン;ジョン・スモルツ;クレイグ・ビジオ)

 

シリングとボストン・レッドソックスでチームメイトだったペドロ・マルチネスは今回殿堂入りした。その他にランディー・ジョンソン、ジョン・スモルツ、クレイグ・ビジオが殿堂入りを果たした。シリングとスモルツの生涯成績は同じような数字であったが、シリングは240票も足りずに落選した。


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2007年のレッドソックス優勝時にホワイトハウスを訪問したカート・シリング(ブッシュ大統領の後ろ)

シリングは、水曜日にスポーツ番組「デニス・アンド・キャラハン・ショー」に出演し、スモルツについて次のように語った。「私は、(グレッグ・」マダックスと(トム・)グラヴィンのお蔭で票を集めたと思うね。彼らはアトランタ・ブレーブス時代に14シーズンも連続で地区優勝をしたんだ。スモルツはスイス軍のナイフのような鋭いピッチングをしたし、その結果として多くの賞賛を得た。私は彼が殿堂入りにふさわしいと思っているんだ。それから、私が思うに、彼が殿堂入りできた大きな理由に彼が民主党員だということがあると思うよ。殿堂入りを選ぶ投票をする人々の中には共和党員が大嫌いな人たちがいるということを私は理解しているよ」

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1990年代のアトランタ・ブレーブスのローテーション (左からグレッグ・マダックス;トム・グラヴィン;ジョン・スモルツ→全員が殿堂入り)

 
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ブッシュ大統領を応援するシリング
 

シリングはジョージ・W・ブッシュ前大統領の熱心な支持者であった。そして、彼のこうした政治姿勢のために伝統入りのための投票で100票は損をしていると確信している。野球殿堂に入るためには、アメリカ野球記者協会所属の記者たちの75%の投票が必要だ。今回の投票でシリングは39.2%の投票を得た。昨年よりも10%も投票を増やした。

 

シリングは次のよう言語っている。「人間が何かをする際に、必ずバイアスと先入観が絡んでくる。9%の記者がペドロに投票しなかった。投票の課程にいくつか問題があるし、こんなことが起きるなんて、投票に参加している人たちに何か問題があると思うんだ。だからと言ってそのせいで私が殿堂に入れてもらえないとは思ってはいないよ。ただ、記者たちの中には、私の過去の言動のせいで、絶対に私に投票してくれない人たちがいることは分かっている。それはそれで仕方がないことさ」

 

(終わり)








 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 昨年は初のリーグ優勝、そして日本一となった東北楽天ゴールデンイーグルスですが、今シーズンは9月18日現在で58勝71敗の勝率4割五分で、リーグ4位と低迷しています。やはり鬼神の働きを見せた田中将大投手がメジャーリーグのニューヨーク・ヤンキースに移籍したことが大きかったようです。2年目の則本昂大投手がシーズン7完封と気を吐きましたが、やはり戦力ダウンは埋めようがないほどに大きかったようです。

 

 昨年の日本一監督、星野仙一氏も今年は病気で戦列を離れ(その間は二軍監督の大久保博元氏が指揮を執りました)、その後復帰しましたが、チームの状況は好転せず、今シーズン限りでの退任を発表しました。

 

 

 そこで、注目されるのは後任監督です。今のところ、大久保博元氏の名前が有力候補として挙がっていますが、その対抗馬として浮上してきているのが、元東京ヤクルトスワローズの選手と兼任監督を務めた、古田敦也氏の名前です。古田氏と言えば、楽天でも監督を務めた野村克也氏の薫陶を受け、理論派として知られ、選手としてはキャッチャーという守備面での負担が大きいポジションながら、首位打者を獲得し、2000本安打を達成しています。

 

 

 下の新聞記事では、古田氏が楽天の次期監督の有力候補である理由を書いてありますが、これは私が本年1月に上梓した、『ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側』(PHP研究所)の第一章「ハーヴァード大学出身者の日本における人脈・最新版―「クリムゾン・クラブ(Crimson Club)」が動かす現在の日本」の内容に沿ったものです。

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 この章で私は、三木谷浩史楽天会長兼社長、平田竹男早稲田大学大学院教授、鈴木寛前参議院議員・元文部科学副大臣の関係とスポーツ界、特に桑田真澄元読売巨人軍投手と古田敦也氏との関係を克明に描き出しました。

 


 竹中平蔵、新浪剛史、三木谷浩史といったハーヴァード退学に在籍した経験を持つ人々が日本を動かしており、その人脈を「クリムゾン・クラブ」と名付けました。クリムゾンというのは色の名前で、その色は三木谷氏が所有している、楽天、東北楽天ゴールデンイーグルス、サッカー
Jリーグのヴィッセル神戸の色、あのワインレッドのような色なのですが、ハーヴァード大学のスクールカラーなのです。

 古田敦也氏も桑田真澄氏もこの人脈に連なる人々であり、新しい楽天イーグルスの首脳陣に名前を連ねる可能性は大いにあります。 

 

 詳しくは是非本を読んでいただきたいのですが、皆さまの知的好奇心と知識欲を満足させるお得な一冊です。ぜひよろしくお願い申し上げます。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

楽天後任監督候補に古田敦也氏 三木谷オーナーと太いパイプ

 

日刊ゲンダイ 919()1351分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140919-00000018-nkgendai-base

 

 すでにデーブこと大久保博元二軍監督(47)が有力といわれている、楽天・星野監督の後任候補。

 

 デーブが経営する野球塾に三木谷浩史オーナー(49)の長男が通っていたことで、2人には強いつながりができたのは有名な話。星野監督が休養した際、デーブが「監督代行の代行」になったのも、三木谷オーナー主導の人事といわれた。毀誉褒貶相半ばするイメージの強いデーブだが、球界ではその野球理論と指導手腕を高く評価する声が多く、代行の代行としても8勝9敗と5割近い成績を残した。

 

 ところが、「そうスンナリは決まらないと思う」と、チーム関係者がこう続ける。

 

「菊池雄星に対する暴力行為騒動で西武を解任されたデーブを拾ったのが星野監督。デーブは感謝してもし切れない恩を感じています。星野監督を『オヤジ』と呼んでいる気持ちに偽りはなく、事実上の解任という側面のある今回の退団騒動で、その後釜に座れば、大恩ある星野監督を追い落としたというイメージがつきまとう。デーブはそれをよしとしないでしょう。最終的には三木谷オーナーの鶴の一声で決まるとはいっても、球団内には“デーブ監督絶対阻止”という一派もいます。特にデーブと某フロント幹部との犬猿の仲は有名ですからね」

 

■古田氏のブレーンには元楽天執行役員が

 

 そこで浮上するのが、古田敦也元ヤクルト監督(49)である。古田氏と三木谷オーナーの関係は、実はデーブ以上に強固。04年の楽天の球界参入はそもそも、当時の古田選手会長が決行したストライキが道を開いたもので、それ以前から面識のあった2人はこれを境に一気に結びつきを強めた。

 

「ヤクルト時代からの古田のブレーンに、元民主党の鈴木寛前参議院議員がいます。三木谷オーナーはこの鈴木前議員の最大の支援者で、『すずきかんを応援する会発起人代表』を務め、古田もそのメンバーに名を連ねています。楽天と古田氏の関係でいえば、球界参入時に三木谷オーナーの右腕として球団立ち上げグループをまとめた元楽天執行役員も古田氏のブレーンのひとり。2人はトライアスロン仲間でもある。今年7月、04年のストライキから丸10年の節目を迎えたということで、当時の関係者が『同窓会』と称して都内で開いた集まりには鈴木前議員、古田氏、その執行役員も出席していました」(球界事情通)

 

 この日、楽天の立花球団社長は星野監督の後任について、「白紙としか言えない。勝たせることができる人が一番。しっかり議論していきたい」と話したが、ポスト星野は三木谷オーナーの腹ひとつである。

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)









 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12


野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23




 古村治彦です。

 

 FRBのイエレン議長が、大リーグ、ニューヨーク・ヤンキースの本拠地ヤンキースタジアムで開催されたニューヨーク大学の卒業式で祝辞を述べた際に、ベーブ・ルースに言及したことについてなかなかしゃれた記事がウォールストリート・ジャーナル紙に掲載されていたのでご紹介します。野球好きには楽しい記事です。
 

 

==========

 

ベーブから連邦準備制度理事会議長への書簡(A Letter to the Fed Chief From the Babe

 

ジャネット・イエレンがベーブ・ルースの打席での成功について語ったことについて、伝説のヤンキーが返事を出した

 

http://online.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303749904579576343585522458?mg=reno64-wsj&mod=e2tw

 

2014年5月21日

ウォールストリート・ジャーナル紙

 

 

親愛なるジャネット・イエレン

 

 水曜日の朝にヤンキースタジアムで開催されたニューヨーク大学の卒業式で述べた祝辞の中で私に言及してくださったそうで、どうもありがとう。率直に言って、私は貴方の祝辞の半分も聞いていなかった。卒業式が始まった時、私はモニュメント・パークにいてうつらうつらしていた。半裸の女の子たちに囲まれながら素っ裸で意識が朦朧とした中で、オールドクロウのビンを抱えていた。そうしている時に、貴方が私の名前を出したのを聞いたのだ。

 

 貴方は卒業生たちに向かって、「ヤンキースタジアムは私たちに別のことを教えてくれます。それは常に成功ばかりではないということです。ベーブ・ルース、ルー・ゲーリック、ジョー・ディマジオといった大選手たちでも打席に立った時、ほとんどの場合、失敗しているのですから」

 

 私は他の選手たちのことは知らないし、1920年代、30年代、40年代のことは曖昧な記憶しかないが、貴方には次のように申し上げたい。貴方は数字を扱う仕事をしているようだが、私の数字については何も知らないことが分かった。

 

 1920年から1926年にかけて、私の出塁率(on-base percentage)は5割であった。つまり、私の最盛期(投手を止めてイニングの合間にホットドッグを食べるようになる前)、私は打席に立って半分は成功したということになる。私の通算の出塁率は、4割7分4厘であった。「ルースはほとんどの場合失敗した」と言われるのは不快である。

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 もちろん、私は貴方が混乱したということも分かる。私は現役時代、出塁率を重視しなかった。大リーグが出塁率を公式にデータとして導入したのは1984年のことだった。私が幽霊になって36年後のことだった。私は現役時代に2062個の四球を選んだが、四球を選んだことで私が楽しかったのは、走らなくてよかったことだけだ。

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 しかし、貴方は連邦準備制度理事会議長である。二日酔いに苦しんでいる幽霊ではない。次の機会に私の名前を喩えに使う時には、正しく使っていただきたい。「ベーブ・ルースは半分よりほんの少し多く失敗した」と。

 

敬具

 

ベーブ・ルースの幽霊

 

ブライアン・コスタ(Brian Costa)筆

 

(終わり)




 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12


野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 

 古村治彦です。

 

 
 今回は、プロ野球を取り上げたいと思います。

 

 安倍政権が進める「アベノミクス」の成長戦略作りの中で、プロ野球も俎上にあがり、16球団に拡大するという話が出てきました。私は16球団に増加させることには懐疑的な立場です。それは、これから人口が低下していく日本で、しかも自治体が消滅していくという予想までなされている中で、球団を増加させ、地方に置くということが可能なのかどうか疑問に思っています。

 

 自民党の部会でこの構想について話したスポーツライターの二宮清純氏は、Jリーグ百年構想の立ち上げにも関わったと自負し、この構想についてかなりの自信を持っているようですが、その見通しに根拠があるのかどうかどうもよく分かりません。安倍政権の幇間、太鼓持ちにならなければよいと思いますが・・・。

 二宮氏はプロ球団を沖縄に置き、「日米の懸け橋に」などと述べています。何故沖縄に米軍がいるのかについての考慮が全くない浅薄な、安倍氏に対してお追従を述べているようにしか感じません。 

 

 私はサッカーについては詳しくないので何とも言えないのですが、Jリーグは盛んになっているし、全国各地でサッカーチームがJリーグ入りを目指して頑張っている(私の故郷である鹿児島も頑張っています)のは知っているのですが、Jリーグは「成功」しているのかどうか、百年構想というのはどういうもので、どうなっているのか分からないので、詳しい方にぜひ教えていただきたいと思っています。

 

 今回のことも含めて、プロ野球の球団運営などについては以前から関心がありましたが、改めて調べて、考えてみました。

 

 プロ野球球団の財政については、「色々と大変なんだろう」という認識しか持ち合わせていませんでした。1988年に南海と阪急がそれぞれダイエーとオリエントリース(現・オリックス)に球団を譲渡した時、私は中学生でしたが、南海はともかく阪急はチームとしては強いのに、どうして譲渡されるのかと思いました。「強くてもお客さんが入らないと儲からないからダメなんだ」と大人に教えてもらって、阪神ファンであった私は「じゃあ、阪神は弱くてもお客さんがたくさん入っているから譲渡にならないんだな」と思ったことを思い出します。

 

その後、2004年に大阪近鉄がオリックスと合併し、同時に楽天が専大を本拠地とする東北楽天ゴールデンイーグルス(新規球団)を創設しました。2005年にはダイエーがホークスをソフトバンクに譲渡しました。セリーグでは2002年にマルハがTBSに球団を売却し、2011年にはTBSがDeNAに売却しました。

 

近鉄、マルハ、TBSといった会社は一般的な知名度が高く、多くの方々が大企業であると認識していると思います。そんな大企業でもプロ野球球団を持つことは大変なのだ、そして日本の不況は深刻なのだということが改めて浮き彫りになりました。

 

また、プロとは違いますが、学卒者の受け皿になっていた社会人野球のチームの数も最盛期に比べて3分の1ほどにまで減少していると言われています。社会人野球こそは日本を代表する大企業がこぞってチームを持ち、一時期はプロ野球よりも待遇が良かったし、その後の身分や収入の安定を考えてプロ拒否の名選手たちも結構いました。しかし、長引く不況もあり、野球選手を取り巻く環境は厳しさを増しています。

 

 それでは、現在プロ野球球団を保有している会社にはメリットがないかというとそういうことでもないようです。全くメリットがなければ球団を持つことは馬鹿らしいことですから。会社名を世間に知らせる、マスコミでスポーツニュースの際に会社名を連呼してもらえる、といったメリットがあることは誰でも想像ができます。また、メリットの一つとして、「税制優遇」があるという指摘を以下のブログでされています。そのブログは、『ブログ「税理士もりりのひとりごと」』(http://moriri12345.blog13.fc2.com/blog-entry-668.html)と言います。そして、このブログの2010年10月28日付記事「プロ野球親会社には信じられない税務上の特例が!」に、プロ野球親会社の税制優遇について書かれています。

 

 このブログの記事によると、「『職業野球団に対して支出した広告宣伝費等の取り扱いについて』と題された昭和29年8月10日付 直法1-147という個別通達」というものがあるそうです。その内容は、「1.親会社が球団に対して支出した金銭のうち広告宣伝費と認められるものは損金算入を認める。2.球団の欠損金を補填するために親会社が支出した金銭は広告宣伝費とする。3.親会社が球団に貸付金と処理をしていても2.に該当するものは損金算入できる。(4.は省略)」というものだそうです。

 

 この通達について、ブログ「税理士もりりのひとりごと」の著者は次のように書いています。以下に引用します

 

(引用はじめ)

 

「一般の親子会社間であれば、子会社がよほど危機的な状況に陥らない限り通常は寄附金扱いになるはずです。寄附金になれば損金にほとんど算入されませんよね。

 

 今回の横浜にしたって毎年20億円くらいの損失が生じているそうです。それを埋めるためにTBSは資金を補填し、それを税務上は広告宣伝費として処理できるわけですね。寄附金にしちゃえばほとんど損金算入できないわけですから、この個別通達の存在と税負担軽減効果は絶大ですよ。

 

 なんで別会社として存在しているプロ野球球団会社に対して損失補填をした場合だけが広告宣伝費なのでしょうか?そもそも広告宣伝費、というか球団にかかった経費を全部損金にしたいのであれば球団を親会社に吸収合併させればよいだけの話ではないでしょうか?別会社であるなら他社が渋々従っているように、税法に則って寄附金でいいんじゃないでしょうか?」

 

(引用終わり)

 

 プロ野球球団を持っている会社には税制の優遇措置があるということは事実としてあるようです。今の状況で16球団に増加ということになると、この税制優遇は継続ということになると思います。新球団設立にはコストがかかりますし、市民球団的なものを理想として掲げても実際には企業が親会社となって設立ということになるでしょうから、この優遇策は仕方がないと思いますが、国民が増税を耐えているのなら、こうした優遇税制はおかしいのではないかという話にもなります。

 

 もし、プロ野球球団が16に増加するということになると、どのような企業が親会社となるでしょうか。誰でも知っている大企業が親会社になるでしょうか。それは考えづらいです。なぜなら、そのような大企業は多額の損失を補てんして自分たちの存在をアピールしなくても既に誰でも知っている会社になっているからです。

 

 ということになると、TBSが横浜ベイスターズを譲渡する時に名前が挙がった、住生活グループ(リクシル)のような合併で名前が変わった大企業や、DeNAのような、一般に名前を浸透させたい新興企業ということになります。2004年の球界再編の時も、楽天とライブドアが名乗りを挙げました。楽天が新球団を創設したのですが、その後、楽天の知名度は大きく上がりました。

 

 私は、安倍晋三首相が肝いりでやっている産業競争力会議のメンバーや彼らに近い企業人たちが持っている企業が親会社となるのだろうと思います。彼らからすれば、企業の知名度を上げて、優遇税制の恩恵を受けることができる球団経営にメリットを感じることができると思います。

 

 私が今年(2014年)1月に出しました、『ハーヴァード大学の秘密』(PHP研究所)では、三木谷浩史・楽天会長兼社長を巡る人脈(「クリムゾン・クラブ」と私は名づけました)についての分析を行いました。その中で、スポーツを巡る人脈分析を行いました。そうした人脈がプロ野球界の更なる再編にも関わってくると思います。三木谷浩史楽天会長兼社長、平田竹男早稲田大学教授、元プロ野球のスター選手であった桑田真澄(元読売ジャイアンツ、大リーグ・ピッツバーク・パイレーツ投手)や古田敦也(元東京ヤクルトスワローズ捕手、兼任監督、名球会会員)の人脈はこれから重要になっていくでしょう。

 

 私は、現在の12球団を維持できるのかどうか不安に思っています。人口減少に加えて、プロ野球(主には読売ジャイアンツ)の人気低下という問題もあります。16球団になれば野球ファンとしては嬉しいことですが、選手の質の低下やプレーの質の低下という心配もあります。また、各地方にプロ野球を支えるだけの経済力があるのかどうかという懸念もあります。現在のプロ野球球団の分布を見てみると、東京には読売ジャイアンツと東京ヤクルトスワローズ、埼玉には埼玉西武ライオンズ、千葉には千葉ロッテマリーンズ、神奈川には横浜DeNAベイスターズと関東地方に偏っているように思われます。この偏りの解消、移転を行うということも選択肢とあるのではないかと思います。

 

 アベノミクスの成長戦略にプロ野球を組み込むという今回の話はどうも、嫌な感じがして仕方がありません。プロ野球を政治に巻き込んでほしくないなぁというのがファンとして私が持つ思いです。

 

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「アベノミクスにプロ野球16球団構想」

 

日刊スポーツ電子版 2014年5月22日

http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp3-20140522-1304845.html

 

 アベノミクスの成長戦略に、プロ野球16球団構想も加わりそうだ。政府が6月中にまとめる成長戦略に、プロ野球の球団数を現在の12から16に増やすことが盛り込まれる見込みとなった。自民党の日本経済再生本部(高市早苗本部長)がまとめた成長戦略の第2次提言案で、新たに4球団を増やすことを検討していることが21日までに分かった。近く、政府に提言が伝達される。

 

 提言案では本拠地候補として、北信越、静岡、四国、沖縄を挙げている。消費税増税で落ち込むとみられる景気の回復策としても期待されている。

 

 同本部では4月18日、スポーツジャーナリストの二宮清純氏を講師に招き、球団数の拡大による経済効果について学んだ。二宮氏は北信越、静岡、四国、南九州に球団を設ける構想を披露。「沖縄で日米の心のキャッチボールを」と沖縄も候補に挙げていた。セ・パ両リーグを各8球団とし、東西に地区を分け、計4グループの1位がプレーオフで日本一を争うという私案を説明した。

 

 同本部がこの地域活性化対策などを提言にまとめ、6月中に発表される成長戦略に反映させる。球団増の実現を日本野球機構などに働きかけるため、有志の国会議員による議員連盟の立ち上げも検討するという。

 

 ▼プロ野球改編の動き 現行の2リーグ12球団になったのは1958年(昭33)。その後73年と2004年にリーグ改編騒動が起こった。73年は人気低迷のパ・リーグで、日拓がロッテに合併を打診、南海と近鉄(いずれも当時)との合併も取り沙汰され、1リーグ10球団への動きがあった。結局、日拓が日本ハムに身売りして騒動が収束した。04年には、事業拡大に失敗した近鉄がオリックスとの合併を発表。再び1リーグ制の動きも出たが、選手会がストを決行するなど反発。新球団として楽天の参入が決まり、12球団に戻った。

 

 ◆日本経済再生本部 安倍晋三氏が2012年9月に自民党総裁に選ばれた後、同10月に自民党内に設置。同12月の首相就任後は、内閣にも同本部を設置した。自民党の同本部では、内閣の同本部で検討すべき論点を取り上げ、安倍内閣の経済再生策を補強する。

 

 [2014522917分 紙面から]

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)







 

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