古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

カテゴリ: 日本経済

 古村治彦です。

 このブログで、世界規模で新型コロナウイルス感染の収束傾向が進み、それによって経済活動が活発化していく結果としてインフレーション率が高まっていることを昨年からずっと紹介してきた。アメリカでの物価高騰の記事を何度もご紹介してきた。

 日本に暮らす私たちも物価高騰の影響を感じている。清貧の価格は変わらない久手も内容が減っているということはよく見かけるようになった。飲料で言えば、昔は1リットル、500ミリリットルで売られていたものが同じ値段で900ミリリットル、450ミリリットルになって売られているということもある。英語ではこれを「シュリンクフレーション(shrinkflation)」と言うのだそうだ。「shrink」という単語は「縮む、小さくなる、少なくなる」を意味する。インフレーション(inflation)やデフレーション(deflation)のような、よく使われる言葉ではないが、日本の現状を良く表現している。シュリンクフレーションが進んでいる日本で値上げが続いている。これは一般国民の生活を直撃し、経済状態を悪化させるものだ。

 物価の上昇率よりも賃金の上昇率の方が高ければ、生活は苦しいということはない。しかし、賃金がほとんど上がらない中で物価だけ上がり続ければ、生活はどんどん苦しくなる。スタグフレーションという状態になるのが怖いが日本は既にスタグフレーションなのではないか。物価上昇の原因は世界的な実物資産の価格高騰、具体的には石油価格の高騰や食料価格の高騰がある。これに加えて円安が進行していることも挙げられる。2022年4月28日には1ドル、130円を突破したが以下に掲載したグラフのようにこの円安は非常に急激に起きたものだ。

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ドル円チャート(2021年4月から2022年4月)

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 ドル円チャート(2000年から2022年)

 日本銀行の黒田東彦総裁は就任以来、日本政府の意向もあり、「年率インフレ率2%達成」をお題目のように唱えてきた。しかし、その実現には至っていない。日本の憲政史上最長となった安倍晋三政権下では「アベノミクス」で経済成長を目論んで、異次元の財政支出を行ったがうまくいかなった。「経済成長の結果としてインフレーション」ということを逆転させて「インフレーションを起こせば結果として経済成長(リフレ、インタゲ論)」という大きな間違いを犯した結果と言える。

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日本のインフレ率(2000年から2020年) 

 現在、輸入物資の価格高騰(新型コロナウイルス感染拡大からの回復とウクライナ戦争が重なった)と急激な円安で日本国内のインフレ率は2%を軽く達成しそうな勢いである。しかし、これは日本政府や日銀が意図した「インフレ」ではない。インフレーションには需要が高まることで起きる「デマンドプッシュ型」とコストが上昇することで起きる「コストプッシュ型」があり、現状は「コストプッシュ型」だ。経済が好調なので人々の需要が高まってのものではない。

「円安は日本にとって素晴らしい」ということを私も小学生の時に刷り込まれた。先生が黒板に日本で作った自動車が100万円として、それをアメリカで売る場合のドル換算した価格の図を描いて、「円安になればドルでの価格表示が安くなるので売れやすくなって利益が大きい」「海外から資源や材料を買ってきて日本で製品にして売る、これを加工貿易と言う」ということを説明してもらったと思う。しかし、私が小学生だった1980年代から日本経済は大きく変容し、外需頼みの国から内需頼みの国になった。GDPに占める輸出の割合は2018年の段階で18%だった。先進諸国の中でこの割合は低い方だ。

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輸出がGDPに占める割合(2018年)
 日本経済の現状は非常に厳しい。急激な円安の進行を止めることだ。そもそも貨幣価値の乱高下は好ましくない。また輸入物資の価格の引き下げは日本一国でできることではない。新型コロナウイルス感染拡大からの回復途上での経済回復のための物価高は仕方がないが、ウクライナ戦争による物価高に関しては一日も早い停戦によって改善が見込まれると思う。しかし、現状はとても厳しいと言わざるを得ない。

(貼り付けはじめ)

日本はようやくインフレーションを達成する-しかしそれは間違った種類のものだ(Japan Finally Gets Inflation—but the Wrong Kind
-数十年にわたりデフレーションとの戦いの後、世界規模の物価上昇は政治的な懸念の原因となっている

ウィリアム・スポサト筆
2022年4月25日
『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/04/25/inflation-japan-deflation-economy/

現在の日本の中央銀行のトップは非常に忍耐強い人物である。黒田東彦は9年前に日本銀行総裁に就任した際、世界第3位の経済大国である日本から、1990年以来ずっと成長を鈍化させてきたデフレーション圧力を取り除くと公約した。日銀の目標は、賃金と消費意欲を高める2%のインフレ率を作り出すために十分な資金を投入することであった。

商品価格のインフレーションが世界的に警鐘を鳴らしている中、ついに目標達成の見通しが立ったようだ。最新のデータは非常に不安定ではあるが、エコノミストたちは、日本が今後数ヶ月のうちにようやく2%のインフレーション率、場合によってはそれ以上のインフレーション率を達成し始めると予測している。

今のところ、この数値は世界的に見ても控えめなものとなっている。アメリカの2022年3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で8.5%上昇し、1981年以来最も高い上昇率となったが、日本の指数はわずか1。2%上昇にとどまった。しかし、これには携帯電話業界を事実上支配している3社のカルテルに対する政府の取り締まり後、携帯電話料金が52.7%下落したことが含まれている。

その他の数字も、日本の基準からすると目を見張らせるものだった。エネルギーコストは20.8%上昇し、1981年以来最も急な上昇となり、食用油は34.7%上昇した。卸売物価の指標である企業物価指数は、ウクライナの悲惨な状況もあって、2022年3月には前年同月比で9.5%上昇した。

全体として、エコノミストたちは、様々な一時的要因を平準化した後の基礎的なインフレーション率は、現在、日銀が設定した目標の2%程度であると見積もっている。しかし、誰も喜んではいないように見える。2022年6月の選挙を控え、政府は最も影響を受ける人々への補助金制度を実施するために奔走しており、日本円は急激に下落している。しかし、黒田総裁は、コスト増は短期的な問題であり、総裁が設定した目標を妨げるものではない、と平然としているように見える。

日本にとって、20年以上にわたるデフレーションのもたらしてきたコストは明らかである。しかし、多くの日本人が気づいていないのは、世界の国々は絶対額で豊かになっているのに、日本だけはほとんど変わらないということだ。OECDのデータによると、過去30年間の年間平均賃金の上昇率はわずか3%であるのに対し、米国では47%も上昇している。物価も同じような軌跡をたどっている。東京は長年、世界で最も物価の高い都市とされてきたが、コスト削減、関税の緩やかな引き下げ、輸入代替品の増加などにより、現在ではほとんどの世界ランキングでトップ10にも入っていない。

この状況を打開するために、中央銀行である日本銀行は過去9年間、市場に現金を流し込んできた。この前代未聞のプログラムにより、中央銀行は事実上全ての新規国債を購入することになった。そして、政府の税収は平均して歳出の60%しか賄っていないが、このことは購入すべき債務が大量に存在することを意味する。

このことは、2つの大きな問題を引き起こしている。日本政府は世界で最も負債を抱えている国であり、負債総額は年間経済生産高の約190%に相当する。このような政府の大盤振る舞いの裏舞台での資金調達によって、日銀のバランスシートは4倍になり、世界銀行のデータによれば、2020年には日銀自身の保有額は年間GDPの92%にまで上昇する。

このように、今の日本は間違ったインフレーションになっているようである。黒田総裁の目標設定の基礎にある考えは、いわゆる需要主導型の好循環を生み出すことであった。これは高い給料の労働者たちが外に出てより多く消費し、需要を押し上げ、それが新たな投資を招来し、それがより高い賃金につながるというものだ。

しかし、海外からのコストアップは物価を押し上げ、消費者たちの購買意欲を低下させ、商品の購入を控えさせることになる。この問題は、資源に乏しい日本では特に深刻で、事実上全ての原材料と商品を輸入している。食料の60%以上とエネルギーの95%(主に石油)を輸入している。過去10年間、世界の商品市場は概ね平穏だったため、これまでは大きな問題にはならなかったが、ロシアのウクライナ侵攻で小麦も天然ガスも十字架の下に置かれ、問題の深刻化が予想される。

このことは、2022年6月の参議院選挙でより強力な支持を得ようとする政府にとって、決して無視できることではない。与党の自民党が政権を失うリスクはないが、参議院選挙の投票結果はしばしば、事態の進展に関する有権者たちの感情を測る指標と見なされる。物価上昇の打撃を和らげるため、政府は消費者と中小企業を支援する480億ドル規模の幅広い補助金パッケージをまとめつつあると報じられている。日本経済新聞によると、この支援はガソリンの追加補助から低金利ローンや現金支援まで多岐にわたるという。

同時に、日本の岸田文雄首相は物価高騰を利用して、彼が提唱している「新しい形の資本主義」を推進しようとしている。これは安倍晋三前首相の下で実施された、過去10年間のアベノミクスで利益あげた大企業や裕福な退職者たちから富を国民全体に広げることを目的としている。

岸田首相は2022年3月の国会で、「物価上昇に対処するため、企業がコストを転嫁できるようにし、労働者の賃金を上げる環境を整えることによって、国民の生活を守るためにあらゆる政策方策を実施する」と述べた。

クレディ・スイスのエコノミストで元日銀の白川弘道のように、他のコストが上昇しているにもかかわらず、企業に賃上げを求めるのはかなり無理があると懐疑的な見方をする人々もいる。日本の消費者たちは伝統的に物価が上がると買い控えをする。そのため、小売業者は過去に値上げをするのをためらい、より少ない量でより高い単価を隠す「シュリンクフレーション(shrinkflation)」という概念を生み出した。

日本円が突然急落し、輸入品が更に高くなることも見通しを悪くしている。円は1ドル130円に迫り、年初から10%も下落している。これは、岸田首相が狭めようとしている経済格差を更に拡大させることになる。海外に大きな権益を持つ大企業は、自国にお金を戻すことで急激に高い利益を得るだろう。一方、平均的な労働者たちはレジでより多くの支払いを強いられることになる。

BNPパリバのチーフエコノミストで、日銀ウォッチャーとして知られる河野龍太郎は、「人々の関心が輸入インフレーション率の上昇と円安に向いている。こうした中で、短期的な景気刺激策だけでなく、超金融緩和を固定することによる長期的な悪影響についても、メリットとデメリットを再確認して検討する必要がある」と指摘している。

長期的には、日銀の最大の脅威はインフレーションサイクルが制御不能になることである。ドイツ銀行東京支店チーフエコノミストである小山健太郎は最近のレポートで、「日銀の政策スタンスが円安を悪化させ、物価を上昇させていると国民が確信すれば、日銀は家計の負担増を促す悪役になる可能性が高くなる」と指摘した。しかし、物価上昇に対抗する伝統的な方法である金利の引き上げは、ただでさえ弱い経済にブレーキをかけるだけでなく、日銀が保有する国債に多額の損失を与えることになる。

しかし、黒田総裁は躊躇していない。債務残高と円安への懸念がありながらも、日本銀行はここ数週間、国債買い入れプログラムを継続している。黒田総裁は、自分自身の目標は、日本を「デフレーション・マインド」から脱却させることだと常々主張している。今回の物価上昇で、彼は成功への道を歩み始めているのかもしれない。

問題は、こうした新たな懸念が、日本の高齢化社会、労働力の減少、低成長と一緒になって、長期的かつ不可逆的な景気後退をもたらすかどうかである。見通しには問題があるが、日本は過去に何度も懐疑的な見方を覆してきた。シティグループの当時のチーフエコノミスト、ウィレム・ブイターは、2010年のイヴェントで、「日本は世界で最も理解しにくい経済だ。これが物理学なら、日本において重力は働かないことになるだろう」と述べた。

※ウィリアム・スポサト:東京を拠点とするジャーナリストで2015年から『フォーリン・ポリシー』誌に寄稿している。彼は20年以上にわたり日本の政治と経済をフォローしており、ロイター通信と『ウォールストリート・ジャーナル』紙で働いている。彼は2021年に刊行されたカルロス・ゴーン事件と事件が与えた日本に与えた影響についての著作の共著者である。

(貼り付け終わり)

(終わり)


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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 アメリカ国民の半数が国内経済の先行きを不安視しているという世論調査の結果が出た。『ウォールストリート・ジャーナル』紙の世論調査の結果では、約半数が来年の国内経済はより悪くなるだろうと答えたということだ。その最大の原因は、インフレの亢進、つまり物価が急激に上がっていることである。以下にアメリカのインフレ率のグラフを2つ掲載する。2016年12月から現在までの5年間のグラフと2020年12月から現在までの1年間のグラフだ。

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アメリカのインフレ率5年間のグラフ

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アメリカのインフレ率1年間のグラフ

 2016年から新型コロナウイルス感染拡大が始まる2020年初めまでは、インフレ率は2%を少し超える程度だった。その後、インフレ率は下降したが、2021年3月頃から急激に上昇している。新型コロナウイルス感染拡大対策としてのワクチン接種や経済活動の再開によって、アメリカ経済が活発に動き出した。しかし、急激なインフレ率の上昇に賃金上昇は追いついていない。そのために、人々は経済の先行きに不安を持っている。

 アメリカ人にとって特に重要なのはガソリン価格だ。アメリカは車社会であり、ガソリン価格の変動には特にナーバスになる。ガソリン価格が上昇するということは、飛行機など他の移動手段の価格の上昇や、暖房用の灯油などの価格の上昇も反映しているので、この点でもガソリン価格の上昇は生活を圧迫する要因が増えるということで、非常に嫌う。

特に、11月末の感謝祭から12月末のクリスマスまでは、「ホリデーシーズン」と呼ばれる。この期間は移動やプレゼント交換、豪華な食事などで支出が増えるので、この時期にガソリン価格が上がることをアメリカ国民は嫌う。そして、その怨嗟の声は政権に向かう。バイデン政権の支持率が低いことは既にお知らせしているが、これが大きな原因である。以下にアメリカのガソリン価格の変動のグラフを掲載する。

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アメリカのガソリン価格5年間のグラフ

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アメリカのガソリン価格1年間のグラフ

ここ5年では3ドルを上回ることはなかった。新型コロナウイルス感染拡大で経済活動が停滞したために、ガソリン価格は一気に下落したが、今年の3月頃から上昇を続け、新型コロナウイルス感染拡大以前よりも高くなっている。経済活動が再開してまだ間もなく、賃金上昇が追いつかない中で、この負担増は庶民を直撃する。

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円ドル5年間のグラフ

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円ドル1年間のグラフ

 一方、日本について簡単に見ていきたい。現在、日本は円安傾向に入り、輸入品の価格が上昇することによる、製品の値上げのニュースが続いている。

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日本のインフレ率5年間のグラフ

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日本のインフレ率1年間のグラフ

日本のインフレ率はもともと低い水準で推移していたものが、新型コロナウイルス感染拡大でマイナスにまで落ち込んだ。現在でも1%台にも届かない水準であるが、円安による「コストプッシュ」型のインフレで物価上昇ということはあるだろうが、それでも日銀が定めた2%には遠く及ばないものとなるだろう。

 日本のデフレ傾向からの脱却は来年も厳しいだろう。問題は、給料が上がらない中で、デフレならばまだ何とかなるが(それも大きな問題だが)、給料が上がらない中で、物価だけは上がっていく、スタグフレーションになることだ。先進諸国はどこもこの点を懸念していると思う。政府がいくらお金を流しても、それが人々に行き渡らねばそのような状態になる。従って、今は配分と再配分を重視する政策を行う必要がある。特に日本では、新型コロナウイルス感染拡大を抑え込みつつあるので、経済回復、特にデフレ脱却をこの機会を捉えて行う(「禍を転じて福と為す」)ということを行うべきだ。

(貼り付けはじめ)

国民のほぼ半分がよく年アメリカ経済がより悪くなるだろうと考えている(Almost half in new poll expect economy to get worse in next year

レクシ・ロナス筆

2021年12月7日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/584781-almost-half-in-new-poll-expect-economy-to-get-worse-in-next-year

『ウォールストリート・ジャーナル』紙の最新世論調査の結果によると、有権者の46%が来年のアメリカ経済はより悪くなるだろうと答えた。より良くなると答えたのは30%にとどまった。

世論調査に答えた有権者たちが最大の経済問題だと考えているのはインフレーションだ。29ポイントの差をつけてインフレが悪化するという答えの方が多かった、61%が経済は悪い方向に向かって進んでいると考えていると答えた。

民主党は、新型コロナウイルス感染拡大から経済の回復を売り込もうとしている中、インフレーションにまず対処することに苦闘している。

クリス・ブストス連邦下院議員(イリノイ州選出)は本誌の取材に対して、「多くの経済指標を見れば、良い状態になっていることを示しています」と述べた。

彼女は続けて次のように述べた。「しかし、実際の生活レヴェルのお金問題について話しますとね、違ってきます。車のガソリンを満タンにする時、ガソリン価格が上がっていて、支払いが大きくなっています。食料品店に行ってベーコンを1パウンド買う時、値段が上がっています。人々はこのような価格上昇の現状に気付いています」。

バイデン大統領は、インフレーションや世界規模の供給チェインの問題に悩まされている。結果として、世論調査における支持率の数字を下げている。

今回の世論調査では、57%がバイデンの大統領としての仕事ぶりを評価しないと答え、41%が評価すると答えた。

経済に関する不安感が高まる中、2022年の中間選挙で民主党よりも共和党を支持すると答えた有権者の数の方が多かった。

世論調査に答えた有権者のうち、今日選挙が実施されると仮定しての質問に対して、44%が共和党に投票すると答え、一方、民主党に投票すると答えたのは41%だった。

今回の世論調査は2021年11月16日から22日にかけて、1500名の成人を対象に実施された。誤差は2.5ポイントだ。

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インフレーションが進む中でも10月の収入と消費者支出が上昇(Incomes, consumer spending rose in October even as inflation spiked

シルヴァン・レイン筆

2021年11月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/583021-incomes-consumer-spending-rose-in-october-even-as-inflation-spiked

アメリカ合衆国商務省が水曜日に発表したデータによると、インフレの急進があったにもかかわらず、個人所得の増加が物価上昇を抑制することができたために、2021年10月の消費者支出は増加した。

個人消費支出は先月1.3%増加した。財に対する支出の1%増、サーヴィスに対する支出の0.7%増が寄与した。サプライチェインの混乱、新型コロナウイルス感染拡大に関連する規制、新型コロナウイルス感染拡大による消費習慣の変化などにより、消費者の財に対する支出がサーヴィスに対する支出を大きく上回った。

米連邦準備制度(Federal Reserve)が推奨するインフレ率の指標である個人消費支出(personal consumption expendituresPCE)価格指数(price index)は2021年10月に著しく上昇した。それにもかかわらず、全米での買い物ブームは継続した。

水曜日に発表された分析の中で、オックスフォード大学のグレゴリー・ダコは次のように書いている。「2021年10月の消費者支出は、ウイルス懸念の軽減や温暖化、自動車のサプライチェインの制約緩和、ホリデーシーズンの早期開始などの要因により、増加した」。

ダコは続けて次のように書いている。「しかし、米国の家計にとっては、インフレ率の上昇、製品の入手可能性の現象、財政支援の減少など、全てがバラ色という訳ではない」。

個人消費支出(PCE)は、消費者物価が3ヶ月連続で0.4%上昇した後、10月に0.6%上昇した。また、10月までの1年間で5%上昇しました。年間のインフレ率は9月から0.6ポイント上昇している。

賃金の上昇と雇用の増加が個人消費を押し上げ、先月の個人所得は0.5%増加した。しかし、インフレ調整後の可処分所得は0.3%減少しました。

会計事務所RSMのアメリカ人エコノミストのトゥアン・グエンは次のように書いている。「強力な支出は今年の最後の2カ月でも価格に対して圧力をかけ続けることになるだろう。しかし、最近のデータでは、そのような圧力を和らげる役割を果たすサプライチェインのねじれが改善されてきている」。

グエンは続けて次のように書いている。「概して言うと、水曜日に発表されたデータは、今年の第四四半期の成長につながる、予想を上回るホリデーシーズンの見通しを再確認するものだ」。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 日本政府は「観光立国」を目指している。2020年夏には東京(と札幌やそのほかの地域)でオリンピック・パラリンピックが開催されることもあり、訪日客4000万人を目指している。世界GDPの40%近くを占め、世界経済の成長エンジンとなっているアジア諸国は人々の生活水準も上がり、海外旅行にも行ける人の数が増えており、海外旅行先として日本が選ばれることも多い。日本全国の観光地で様々な言語が飛び交うようになっている。

 私が生まれ育った鹿児島市にもいくつか観光地があり、その最大のものはやはり桜島であり、建造物で言えば、薩摩藩の藩主であり英明で知られた島津斉彬を祀った照国神社や、藩主の別邸を中心とした磯庭園だ。少し足を延ばせば有名な温泉地である指宿もある。こうした場所で、中国、台湾、韓国からの団体旅行客が多く見られるようになった。

 しかし、今回の新型コロナウイルスの感染拡大が起きた。中国で人々が長期休暇となる春節の時期に起きてしまった。この時期は中国から日本に多くの観光客が訪れる。しかし、急遽キャンセルになった。下の記事が示すように影響は大きく深刻だ。

(貼り付けはじめ)

●「新型肺炎、奈良観光に大打撃 人出は「10分の1に」」

2/2() 10:29 配信朝日新聞デジタル

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200202-00000013-asahi-soci

 新型コロナウイルスは奈良の観光にも影響を及ぼしている。奈良県内に住むバス運転手の男性(60代)への感染が判明してから初めての週末を迎えた1日、奈良公園(奈良市)周辺の人出は少なかった。観光バスの出入りは減り、ホテルや旅館ではキャンセルが相次いでいる。

 この日の午前11時過ぎから午後3時半まで奈良公園周辺を歩くと、散策する人の姿はまばら。大勢の外国人観光客がシカにせんべいをやる光景もほとんど見られなかった。例年なら中国の春節にあたり、中国人観光客でにぎわう時期だ。

 鹿せんべいを売る行商組合の男性(58)は「春節なのに、すごく少ない。去年の10分の1くらい。中国人だけでなく全体的に減った感じ。しょうがないですが」と話した。

 中国は感染拡大を防ぐため、1月27日から国外旅行を含む団体ツアーを禁止にしている。翌28日、バス運転手の男性の感染が明らかになった。荒井正吾知事は、男性の運転するバスが奈良公園に1時間ほど立ち寄ったことを明かしたうえで、「県内での感染は想像しにくい」と強調した。

 だが観光客の不安は残る。東大寺や興福寺ではマスク姿の参拝者が目立った。東大寺の近くを家族4人で歩いていた三重県伊勢市の乾智典さん(41)は「子どもがシカを見たいというので連れてきました。ぎりぎりまで迷ったけど、屋外やし大丈夫かなと」

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●「新型コロナウイルスで中国人観光客「40万人減」の可能性」

白井 咲貴日経ビジネス記者 2020130

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00105/013000003/

 新型コロナウイルスの経済面への影響が心配される中、観光業に新たな懸念が出てきた。40万人近い中国人が日本への旅行を取りやめる可能性だ。

 中国人が観光ビザを取得する場合、日本の旅行会社が身元保証人となった「身元保証書」の発行を受ける必要がある。日本旅行業協会(JATA)によると、「127日から3月までに来日する観光客の身元保証書を約40万件発行していた」という。だが、新型コロナウイルスの感染拡大で中国政府が127日以降の海外への団体旅行を禁止した影響もあり、「100%とは言わないが、ほとんどの人が日本への旅行を取りやめることになるだろう」(JATA)。今後、訪日客が激減する可能性がある。

 日本政府観光局(JNTO)によると、20192月の訪日中国人は約72万人、3月は約69万人だった。23月で仮に40万人近くが旅行を取りやめれば、大きな影響が出るのは間違いない。特に今年は「1月中旬までの身元保証書の発行数は前年を大きく上回って推移していた」(JATA)ため、機会損失は大きい。

 すでに影響も出始めている。大手旅行会社の国内旅行責任者は「取引のある旅館でキャンセルが相次いでいる。中国人客のキャンセルの穴を埋めるため、日本人へ積極的にプロモーションしていく」と話す。

 重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した03年時点で44万人だった訪日中国人は、ビザの緩和やLCC(格安航空会社)の増加などで19年には959万人と20倍以上になった。日韓関係の悪化で韓国人観光客が激減する中、中国人観光客は観光業にとって頼みの綱だった。だが、新型コロナウイルスの感染拡大により「40万人減」という大きな打撃を受ける可能性が出てきた。観光関連産業の先行きに不透明感が漂っている。

(貼り付け終わり)

 中国政府は中国国民の海外旅行禁止措置を取っており、現在旅行で滞在している人たちもいずれ帰国することになる。今回の新型コロナウイルスの感染拡大がどれほどの影響を持つものなのかは終息してみて、統計上の数字を見て見なければ最終的なことは分からないが、素人が推計をして見てもかなり深刻であることが分かる。日本政府観光局が出している統計データは大変詳細なものであり、参考になる。

※日本政府観光局のウェブサイト上にある統計データ↓

https://statistics.jnto.go.jp/graph/#category--10

2019年の訪日外国人旅行者の合計は3188万2100名だった。2018年は3119万1856名で、約70万名の増加となった。日本の「観光立国」戦略は推進され、成果を上げている。訪日外国人旅行者の平均滞在日数は約5日間、一人当たりの平均旅行支出額(宿泊・飲食・娯楽など)は約15万3000円(2018年)です。2019年も一人当たりの支出に大きな変化がないものとすると、約3200万人の人が平均15万円のお金を使うということになるから、単純に計算すると、合計で約4兆8000億円のお金を日本で使っているということになる。

foreignvisitorsaverageexpendituregrap20112018001

中国からの旅行者は2019年では959万4300名で、全体の約30%を占めている。中国からの旅行者が国・地域別では第1位です。第2位は韓国からの旅行者で、558万4600名で約17.5%、3位は台湾からの旅行者で、489万600名で約15.4%となっている。

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 訪日観光客の80%は東アジア地域、東南アジア地域プラスインドからとなっている。やはり欧米諸国やアフリカ、南米地域からは「日本は遠い」ということになるのだろう。また、アフリカや南米地域には発展途上国も多く、海外旅行を楽しむ余裕がある人も少ないのだろう。

 訪日観光客数上位3名の国々の平均的な訪問客にはそれぞれ特徴がある。例えば、韓国からの訪問客の滞在日数は平均で2.8日、台湾で3.7日となっている。考えてみれば、私たち日本人も韓国や台湾はお手軽な海外旅行先ということもあり、週末の金曜日の夜から日曜日までという旅程を組む場合が多い。逆から考えれば、韓国や台湾からでも日本は週末に訪れることができるお手軽な国ということになるのだろう。

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中国人訪日観光客は平均滞在日数が5.2日で、平均で22万円のお金を使う。その内訳を見ると、買い物に11万円を使うとなっている。私たちが報道などで見る「中国人の爆買い」は統計上の数字でも分かり興味深い。約900万人が22万円のお金を使うというのは、総計すると1兆9800億円を使うということになる。訪日外国人観光客全体で4兆8000億円なので、40%以上を中国人訪日観光客(訪問者数で言えば30%)が占めることになる。中国からのお客さんは「お金を落としてくれる上得意」ということになる。

chinesevisitorsaverageexpenditure2018001

今回の事態で中国からの訪日観光客がどれだけ減るのか分からない。事態がピークを越えた、終息に向かっているとなっても、中国政府やWHO(世界保健機関)が終息宣言を出さなければ、中国の人々が海外旅行に出かけるということにはならないだろう。また、他国からの旅行者も減少するだろう。事態の推移を見なければ分からないが、2021年からは回復傾向になっていくであろうが、今年は厳しいと思っていた方が良いだろう。

今年は東京でオリンピック・パラリンピックが開催される。中国もまたメダル大国であり、中国からたくさんの人々が中国選手の応援に来ることが予想される。そうなると厄介なのが訪日中国人に対するヴィザ発給だ。終息宣言があって、また通常通りということになるだろうか。SARSの事例から、新型コロナウイルスがピークを過ぎるのは今年の5月から6月と予測する医学者もいる。オリンピック・パラリンピックの直前だ。

封じ込めは中国国内から人々が出ないということで行われている。終息宣言が出ても、それではすぐにまたいつも通りとなるかどうか、日中両国政府にとって頭が痛い問題だ。日本政府としては日本国内の世論もあり、医師の健康診断を受け、新型コロナウイルスに感染していないことを示す証明書を中国からの訪問客が提出することを義務付けるだろう。これは訪問予定者にとって手間となり、それなら訪日は諦めようということになれば中国からの訪日客は減少する。

また、オリンピックを機会にして中国以外の国々からの訪日も増えることが予想された。しかし、今回のウイルスの封じ込めがいつまでかかるかに依るが、見込まれていた訪日客は減ることが容易に予想される。アジアを一緒くたにして見る傾向が強い欧米諸国では、人々の間で日本は中国の隣で危険だという心情が残る可能性がある。そうなれば海外向けに発売していたチケットがどうなるか分からない。キャンセルされて、それが再発売されるとなれば、日本国内で売れる。しかし、海外との間でのキャンセルと払い戻し手続きを行い、国内で再販売手続きを行うのは大変な手間となる。
 オリンピックの場合、特定の種目で世界の超一流のプロスポーツ選手が出場する。例えば、バスケットボールではアメリカ代表はNBAのスタープレイヤーたちで構成される「ドリームティーム」となる。サッカーも年齢制限があるものの、こちらも各国を代表する若手のスタープレイヤーが多く出場する。新型コロナウイルスが収束して間もない段階で、東京で開催されるオリンピックに、これらのプレイヤーが出場することをサラリーを払っている所属ティームやリーグが快く送り出すかとなると不透明だ。彼らの身体と技能を高額のお金を出して買っているのはこうしたティームだ。どのように判断するか、そして、プレイヤー自身がどのように判断するか不透明だ。もし、世界のスタープレイヤーたちの出場辞退となれば、せっかくの人気の花形種目の観客席がガラガラということにもなりかねない。

訪日観光客が10%減少した場合、単純計算で約5000億円のお金が日本国内に落ちないということになる。上得意の中国からの訪問客数が仮に半分となれば、1兆円近いお金が落ちないということになる。ここで完璧なシミュレーションなどできないので、何とも言えないが、かなり大きなマイナスの影響が出るということは覚悟しておかねばならない。日本のGDPは約550兆円だ。1兆円程度のお金は大したことではないということも言えるが、観光業にとっては大打撃となる。日本政府は既に観光業に対して影響を緩和する政策を実施すると発表している。私は昨年行った消費増税をいったん中止するというくらいのことを実施すべきだと考える。

 また、中国経済全体の減速は避けられない状況であり、そうなれば世界経済全体も沈滞することになる。日本もその影響をまともに受けることになるだろう。そのことを考え、大規模な対策を打ち出さねば、オリンピック・パラリンピックのお祭り気分もなく、沈滞した1年となってしまう。

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-07-29



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 以前、このブログの記事(2015年3月28日付「さらっと恐ろしいことを伝えているNHKニュースの「預金封鎖」」→http://suinikki.blog.jp/archives/23897219.html)でもお伝えした、「預金封鎖(restricted accounts)」のことを、日刊ゲンダイが伝えています。日刊ゲンダイはタブロイド紙で、「余り真面目に読むものではない、娯楽として読むべきだ」という意見もありますが、硬派な記事を掲載しており、真面目に読む価値がある記事があることは事実です。

 

 

 さて、今回の日刊ゲンダイの記事では「預金封鎖」を取り上げています。1946年に日本政府によって、預金の引き出し制限が行われたことを指して預金封鎖と言います。インフレの進行と合わせて、国民の持っていた預金の価値は全くなくなりました。日刊ゲンダイの記事によると、価値は15分の1になったということですから、生活の困窮は相当のものであったと思います。副島隆彦先生は、2003年に『預金封鎖―「統制経済」へ向かう日本』(祥伝社)を書かれています。先生の一連の著作を読んで、資産防衛のために様々な対策を行ってきた方のお話はよく耳にします。


 
NHKの「預金封鎖」に関する報道については、ブログの記事で書きましたので、ここでは繰り返しませんが、私は一種の「革命」で、旧来の(戦前からの)金持ち層で無能な人々を一掃し、一気に平等化を進める、しかし、ずる賢く立ち回れる人間たちはその存在を許すということを官僚たちが断行したのだともいます。

 

 今回の日刊ゲンダイの記事では、NHKの報道を通じて、安倍政権が「いくら預金していても預金封鎖に遭えば大変ですよ、土地と株式は大丈夫ですからそちらに投資しなさい」「公的債務の比率がギリシア以上に大変なことになっているので、国民も福祉だなんだと贅沢を言って今の借金を作ったのだからその責任をかぶって預金を差し出しなさい」「消費税の税率を上げて借金を返さなくちゃならないんです」と訴えていると書いています。

 

 安倍政権はお金の行先を「誘導」しようとしています。現代日本に生きる人の多くは、「将来が不安だから」「先立つものはカネ」と考えて、当然日ごろから節約してでも預貯金を増やそうとするでしょう。突然の病気や人生の大転換において取り敢えずお金があれば安心、と考えるのは自然です。しかし、預金封鎖となれば、その安心のためのお金を、自分が自分や家族のためにためたお金を自由に使えなくなります。だからと言って、多額のお金を家などにおいておくのは不安です。そうなればお金の行先は「今株が上がっていると言うし、この先も価値が落ちないような優良株に投資するか」「マンションが上がっているみたいだから思い切って買ってみるか」となるでしょう。もちろん、これはお金がある人の話ですが。

 


 こうして株高、不動産高が演出され、「アベノミクスはうまくいっている」ということになります。安倍首相は国民の年金のお金まで
GPIFで株式市場に突っ込むことが出来る訳ですから、我が世の春を謳歌していることになります。そして、「今はまだ景気回復の効果を実感できていない皆さん、そのうちに必ず効果が出て、皆さんに実感していただけます」と言い続けることになります。

 


 私は「うまい話など世の中には存在しない」そして、「政府と権力の座にある政治家たちは自分たちに都合の良いウソをつく」と考えています。そして、今回の政府のお金の「誘導」に乗って株や不動産を買った人たちの多くは最終的には損をさせられるのだろうと思います。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「ギリシャは対岸の火事じゃない 市場が囁く日本の“預金封鎖”」

 

日刊ゲンダイ 2015624

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161063/1

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161063/2

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161063/3

 

 デフォルト危機にあるギリシャで、高級自動車がバカ売れしている。

 

「預金封鎖に備えて富裕層がこぞって購入しているといいます。万が一、現金を引き出せなくなり、預金が凍結されても、自動車なら売却し現金化することも可能です。資産防衛のため高級車を買っているのでしょう」(市場関係者)

 

 ギリシャのチプラス首相は、新たな財政改革案をEU側に提示し、瀬戸際の交渉を行っているが、金融市場はデフォルトの可能性を捨てていない。デフォルトが現実となれば、ギリシャ金融市場は大混乱し、預金封鎖もチラつく。13年に金融危機が表面化したキプロスでは、実際に預金引き出しが制限され、国民はパニックに陥った。

 

「日本も戦後間もない1946年に預金封鎖があった。時代が違うとはいえ、日本の現状を考えると絶対にないとは言い切れません。国の借金はGDP比で200%を超え、先進国で最悪です。ギリシャの預金封鎖懸念は決して対岸の火事ではないのです」(株式評論家の倉多慎之助氏)

 

 実はここ数カ月、マーケットで日本の預金封鎖に関する噂が飛び交っている。

 

「2月16日にNHKのニュース番組で預金封鎖が特集されました。69年前のこの日に、預金封鎖が決まったという内容でしたが、なぜ69年前という中途半端なタイミングで放映したのか。突飛な印象が強いだけに、市場は真の狙いを勘繰っています」(金融関係者)

 

 戦後の預金封鎖は約2年に及んだ。この間のインフレは凄まじく、預金(現金)の価値は15分の1以下に目減りしている。

 

 一方、株式や土地は“差し押さえ”の対象外だったため、資産価値は物価上昇とともに上がっていった。

 

「アベノミクスが提唱する『貯蓄から投資へ』を加速させる目的があったのではないか。預金ではなく、株を買ったほうが賢明と促したのかもしれません」(証券アナリスト)

 

もうひとつ、有力な説がある。

 

「NHKの籾井会長は安倍首相の“お友達”です。官邸の意向をくんだ放送だったとすれば、17年4月の消費税10%への引き上げが絡んでいる。日本の財政はギリシャと同じく破綻する危険性がある。これを回避するには増税しかない。消費税10%を実現できないと、預金封鎖もホントにあり得るという安倍政権の恫喝です」(市場関係者)

 

 ギリシャの窮状を利用した悪質なプロパガンダだとしたら、国民をナメている。

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23




 
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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12


野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23



 

 古村治彦です。

 

 今回は、フィナンシャル・タイムズ紙に掲載された日本経済についての短い記事をご紹介したいと思います。

 

 日本経済はアベノミクスのお蔭で回復しつつあるというニュースが流れることもありますが、年金の減額は避けられない、消費税の影響は大きかったという報道もなされています。「日本経済はどうなっているのか」ということを考える際に材料が多くて、実はよく分からないというのが実情であると思います。

 

 こういう時、外側からの目から見たらどう映っているのかということを知るのも良いことだと思います。ご紹介するFT紙の記事では、日本の状況は決して楽観できるものではないということになっています。これをどう受け止めるかはそれぞれの判断と思いますが、自分の姿は鏡に映してみて初めて見えるものですから、こういう鏡を持つことは重要だと思います。

 
abeshinzo001
この人も自分の姿が見えていない一人
 

 それではお読みください。

 

==========

 

日本の「酷い経済指標」は本当に・・・酷いものだ(Japan’s ‘misery index’ looks...well, miserable

 

ベン・マクランナン(Ben McLannahan)筆

2014年6月3日

フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)紙

http://www.ft.com/intl/cms/s/0/aa783cea-eafe-11e3-9c8b-00144feabdc0.html?siteedition=intl#axzz33fAO2a5G

 

一日に800ドル稼きたい?日本にある建設現場に行ってみよう。

 

 昨年、東京は2020年のオリンピックの開催地に選ばれた。その結果、刺激を受ける必要などないある産業分野が刺激を受け活況を呈している。1年半前に安倍晋三が首相に就任して以来、公共事業へ投入される予算が増加したことで、鉄骨製造分野での求人数が特に増加している。厚生労働省の発表によると、この分野では求人7に対して応募が1となっている。

 

 しかし、アベノミクスが約束している利益は経済全体に行きわたっていない。火曜日に発表されたデータによると、労働者に支払われる基本賃金は2014年4月まで23カ月連続で下落している。一昨年からずっと下落傾向が続いている。安倍晋三首相が今年の1月に語った「賃金の面でのサプライズ」とは全く異なる姿を私たちに見せたことになる。この時、安倍首相は雇用側と労働組合との間での賃上げの合意によってデフレーションは一気に解決できると述べた。しかし、実際にはそのようなことは起きていない。

 

 基本賃金はこれからの数カ月で上昇するであろう。それは春闘で賃上げが合意され、実際の給料に反映されることになるからだ。残業代とボーナスを含む給与額も上昇することだろう。日本経済新聞の調べによると、製造業ではこれまでの20年間で最も良い業績見込みであるので、夏のボーナスは平均で6パーセント増加すると見られている。

 

 しかし、JPモルガンが発表しているように、収入の増加率はインフレ率よりも低い。インフレ率の上昇は先月に行われた消費税率の上昇に伴うものである。純粋な「悲惨な経済指標(misery index、インフレーション率と失業率を併せたもの)」から判断すると、日本は1981年6月以降、最も悲惨な状況にある。

 

2014年6月3日(火)、日本銀行副総裁の岩田規久男は、「我が国の“穏やかな経済回復”には、生産、収入、そして消費の“好循環”が付き物となっている」と述べた。しかし、建設現場から一歩出てしまうと、政策立案者が述べていることと人々の多くが感じていることとの間にはまだギャップが存在している。

 

(終わり)







 

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