古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

カテゴリ: 日本政治

 古村治彦です。

 菅義偉総理大臣が誕生した。安倍政権からの継続を旗印に、自民党役員や主要閣僚に大きな変更はない。大臣の横滑りや再登板も多く、目下の急務である新型コロナウイルス感染拡大と経済対策の両輪を回す政策を実行していくことになるだろう。新内閣の目玉は行政改革で、河野太郎前防衛大臣が行政改革担当大臣に横滑りとなった。河野大臣は若手の時は「ごまめの歯ぎしり」などと言っていたが、今やすっかりポスト菅、光景総理総裁の有力候補である。祖父河野一郎、父河野洋平が果たせなかった総理総裁(父洋平は自民党総裁までは達成した)に手が届く位置まで来た。

 下に掲載する記事は、アメリカが新型コロナウイルス感染拡大に対応するために、大規模な財政出動を行い、財政赤字を更に積み上げる、そうなると、ドルの価値が下落する、そして、相対的に円の価値が上がる(円高になる)、その結果として日本の輸出に影響が出る、という内容だ。アベノミクスで円安基調になって輸出が堅調であったものがそうではなくなると、菅新総理大臣は厳しい状況に直面することになる、ということだ。

 子の論稿から考えると、安倍晋三前首相は経済の難しいかじ取りをする前に政権を投げ出したのではないか。菅氏は行政改革やデジタル化という2000年からの20年でいまだに達成されない、お題目を唱えているだけだ。菅内閣の特徴は停滞と惰性となるだろう。安倍首相が再登板する際には、経済と外交が目玉だった。安倍内閣の功罪について分析も反省もないまま、とりあえず「継承」という言葉で糊塗しているが、実際は惰性と停滞だ。菅氏は警鐘を唱えている以上、アベノミクス、安倍政権下の財政政策と金融政策は堅持されることになる。麻生太郎副総理兼財務大臣(デフレ脱却担当とはお笑い草だ)が留任ということで、菅氏は麻生氏に経済のことは任せることになる。そうなれば今のまま何も変わらない。

 安倍晋三前首相は良い時に辞めたということになる。これから経済の悪化がどんどん明らかにされていくが、それに対応するのは菅新政権だ。安倍晋三氏は大きな傷を負わずに、政権から退くことができて政治的な力を温存し、細田氏から派閥の領袖の地位を引き継いで、これから自民党内政治に大きな影響力を持っていく。キングメイカーとしてはもちろんだが、自分が再びキングとして登場するということも視野に入れているだろう。

 アメリカでもそうだが、日本でも新型コロナウイルス感染拡大対策と景気対策は車の両輪で、どちらもバランスよく行うべきだということになる。アメリカでじゃぶじゃぶとマネーが供給され続けるようになれば、ドル安ということになり、日本は円高となる。輸出業にとっては新型コロナウイルス感染拡大によって世界各国で内需が冷え込んでいるということも相まって厳しい状況となる。円高になれば輸入品の値段は下がる。それによって内需が拡大すればよいが、物価は上がりづらい。そうなれば政府と日銀のインフレ2%目標の達成は難しくなる。今年いっぱいは厳しい状況は続くし、来年はさすがに今年のようなことはないだろうが、回復は難しいだろう。

(貼り付けはじめ)

菅氏は継続性を約しているが、それを実現することはかなり難しい(Suga Promises Continuity. But on Economics, He Can’t Possibly Deliver.

-円の価値が上がると、日本の新首相は輸出を守るために何か新しいことをしなければならなくなるだろう

クリス・ミラー

2020年9月15日

『フォリーン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2020/09/15/suga-abenomics-yen-weak-exports-strong-quantitative-easing/

日本憲政史上最長の在任期間となった安倍晋三首相が辞任を発表した時、それは一つの時代の終わりのようであった。安倍首相は日本政治をほぼ10年近く支配した。与党自民党内の様々な派閥を巧妙に動かし、野党からのプレッシャーをかわした。様々な汚職事件と影響力を行使したスキャンダルをほぼ無傷で乗り切った。最も印象的だったことは、アメリカのドナルド・トランプ大統領との関係をうまく維持した。トランプ大統領は大統領就任後しばらくの間アメリカ側が主導権を握るために日本を攻撃してばかりだったことを考えると、安倍首相の仕事は簡単なものではなかった。

安倍首相の後継首相である菅義偉は言ってみれば、大きな靴に自分の足を合わせねばならないことになった。安倍首相と同じく、菅氏も自身のキャリアのほぼ全てを政治の世界で過ごしてきた。これまでの8年間は安倍内閣の官房長官を務めた。しかし、安倍首相とは違い、菅氏は政治界一族の出身ではない(安倍首相の父は外務大臣を務めた)。菅氏は地味な農家の出身である。

安倍首相と菅氏が長年にわたり一緒に仕事をして来たという事実から考えると、これが2人の指導者の間で政策が継続されるという予測が立つ理由となる。菅氏は安倍政権の政策を立案するにあたり一定の役割を果たしたのだ。日本のメディアは、財務大臣と外務大臣を含む主要閣僚の多くは、菅氏が首相になっても留任すると報じている。

菅氏に対する最大の疑問は日本経済についてである。それは、新型コロナウイルス感染拡大によって深刻な景気後退に直面するであろう世界各国と同じである。日本は高い幹線レヴェルからは脱しているが、経済は深刻な打撃を受けている。菅氏にできることは何か?

安倍首相は「アベノミクス」と名付けた経済プログラムで人気を確立した。アベノミクスには3本の矢があった。それらは、金融緩和、財政出動の拡大、市場開放のための構造改革であった。実際には、安倍首相は彼自身が約束したほどには財政出動を行わず、その代わりに均衡予算を追求した。財政赤字は減少し(今年になるまで)、税金は上がった。しかし、もし他の人々が首相であったら、税金をもっと早く上げていただろう。構造改革に関して言えば、安倍首相は貿易のために更に日本を開くためにいくつかの方策を行った。しかし、安倍首相は勇ましい言辞ほどには革命的ではなかった。安倍首相は日本の中央銀行である日本銀行に圧力をかけて、新たな更なる金融緩和政策を実験的に実施させた。しかし、ここ数年、更なる急進的な方法は実行されていない。

菅氏は自身も立案に関与したアベノミクスの遺産に対しての意義を唱える様子は見せていない。しかし、アベノミクスは正反対の政策が同居する矛盾したセットになっている。菅氏が継続性を公約しても、アベノミクスは政策の方向性を示すものではない。コロナウイルス感染拡大に関連する景気後退に苦しむ企業や個人を支援するために日本政府がこれからも資金を投入するということについてはほぼ疑いようがない。菅氏は構造改革についても発言している。しかし、政治家にとって改革を約束することはたやすいが、それを実現することは困難である。

菅氏は金融政策において厳しい選択に迫られることになるだろう。日本は超金融緩和政策の多くを始めたが、これらは今や世界規模で実施されるようになっている。例えば、中央銀行による金融財産の大規模購入である量的緩和は2001年に日銀が始めた。アメリカ政府が2007年から2008年にかけての金融危機に対応するために子の量的緩和を試したのはそれから約10年後のことだった。日本銀行はマイナス金利、政府の借り入れコストのコントロールという実験を続けた。これらは長期的な超低金利を保証するものである。

金融緩和政策を採用し続けて20年が過ぎた。日本銀行は更なる資金投入は不可能だと確信している。しかし、アメリカ連邦準備制度は金融緩和を始めたばかりで、コロナウイルス感染拡大による景気後退を戦うための金融における道具立てを劇的に拡大するものである。アメリカの赤字は戦争をしていない時代としては前代未聞のレヴェルにまで達しつつある。この結果としてドルの価値が下がることが予想される。そして相対的に円の価値が上がる。通貨価値が上がることは日本にとっては良いことのように思われるが、菅氏に対しては大きな挑戦となる。通貨政策は日本においてこれまで議論が沸騰する問題であり続けた。日本では輸出大企業をはじめとする輸出業者が政治的な影響力を及ぼしてきた。アベノミクスの財政政策と金融政策は円の価値を下げた。それによって日本の輸出業者は利益を得た。ドルの価値が下がり続け、円の価値が上がり続け、日本の輸出業者の競争力が落ちる場合、菅氏は難しい選択を迫られることになるだろう。菅氏は安倍首相の政策の継続を約することはできる。しかし、菅氏がそのような約束をしたからといって、安倍首相と同じ結果をもたらすことができるという保証はない。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 2020年8月28日、安倍晋三内閣総理大臣が辞任の意思を表明した。午後2時過ぎにマスコミ各社がほぼ一斉に「安倍首相辞任へ」「体調の悪化のために国政に迷惑をかけられない」という速報を出した。昨日は元々午後5時に安倍首相による久しぶりの記者会見が予定されていた。この記者会見をめぐっては、体調悪化のことを説明しつつ、新型コロナウイルス感染拡大と経済対策について発言がある、という憶測や、いや首相辞任の発表だという憶測が飛び交っていた。結局、昨日の記者会見は新型コロナウイルス感染拡大対策のパッケージの概要の説明が冒頭にあり、その後、首相辞任の意思表明が行われた。

 安倍首相は17歳の頃に、潰瘍性大腸炎を発症したということだ。現在65歳であるので、約50年間にわたり、この病気と向き合い、対処してきたということになる。その間にはアメリカ留学、神戸製鋼への就職、父安倍晋太郎議員の秘書への転進、父の地盤を受け継いでの国会議員、小泉純一郎内閣での官房長官、首相を二度務めるという経歴だ。この50年の間には大腸の全摘出も検討されたこともあったそうだが、薬剤の劇的な進歩もあり、コントロールをしながら、仕事や社会生活を営むことができたようだ。この点は、レガシーとして日本社会に定着して欲しい。持病がある人でも、通院しながら、仕事や社会生活を積極的に行える社会になって欲しい。これは甘すぎる考えかもしれないが、病気の治療や検査のために、時に休みを取る、もしくは通院のために1週間のうちに半日でも休みが取れる、それが当然のようになって欲しい。

 安倍首相、安倍政権に関して、私は全く支持してこなかった。選挙のたびに安倍首相が退陣するような結果になることを期待したが、結局国政選挙は6連勝という形で終わった。安倍首相を選挙の結果によって退陣に追い込めなかったのは、安倍首相を支持しない人々や野党にとっては敗北である。今回の辞任表明を私は素直に喜ぶことができない。

 安倍首相は昨日の会見で「政治は結果だ」と述べた。その結果であるが、惨憺たるものだ。一言で言えば、アメリカによる属国化がますます深まり、東アジアの平穏を乱す要因が日本ということになり、北方領土が返還される見込みはほぼなくなり、経済を見ると、実質賃金は上がらず、GDPは拡大せず、中国にはますます置いていかれ、ドイツには迫られる、格差は拡大し、少子高齢化に歯止めがかけられなかったということになる。安倍首相は在任中に雇用を生み出したとは述べたが、デフレ脱却には至らなかったと反省の弁を述べた。8年間でできることは限られていると言えばそれまでだが、好転する兆しすら見えなかった。安倍首相は自著のタイトルにした「うつくしい国」を実現したとは思えない。

 安倍首相の長期政権についてはこれから様々な分析がなされるはずだ。功罪様々なことが言われるだろう。私が思う安倍長期政権のレガシーは「忖度」と「私物化」であり、安倍政権が長期にわたって続いたのは、「惰性」であったと思う。「忖度」と「私物化」はセットである。森友学園問題(安倍晋三記念小学校開学問題)、加計学園岡山理科大学獣医学部開設に絡む問題、公文書保存に関する問題、など、権力の私物化とその後始末のために官僚たちに無駄に労力と気遣いを使わせた形になった。なぜそこまでして安倍政権を守らねばならなかったのか、守られることになったのか、政治史を少しでもかじった人なら不思議であっただろう。全く有能ではなく、成果も挙げていない、そんな人物が何度もスキャンダルや危機をうやむやな形ではあったがやり過ごしてきた。自民党内から反対の動きも出ることなく、国民も無関心という状況が続いたこれまでの8年間だった。

 それはやはり、「現状のままで良いや」「安倍首相以外には考えられない」という「惰性」が続いた結果である。そのために、安倍首相も辞め時を逸したという感さえある。安倍政権下では、成果よりも「道半ば」「うまくいっているがまだ全体に行きわたっていない」という言葉が強調され続けた。「やっていてある程度の成果は出ているが、目指している結果には達していない」ということを言い続けた。それならば、安倍政権が続いていくしかない。しかし、安倍政権が続いても、それらの結果を得ることは不可能である。そのために「道半ば」「いまだ遠し」ということになって、だらだらと政権が続いていくことになった。何かしらの成果が出れば、その時点で辞めるというのは日本のこれまでの首相の身の引き方の一つのモデルである。「一内閣で一つの課題」解決ということだ。しかし、安倍首相は、何事もなさなかったが故に、身を引く機会もなかったということになる。

 また、安倍首相を支える人々はそれぞれ65歳の安倍首相よりも年上、70代後半の麻生太郎財務大臣兼副首相であり、二階俊博自民党幹事長、70代前半の菅義偉官房長官である。以前であれば、それぞれの派閥内部で内部闘争が起き、跡目相続や現在の領袖の追い落としがあった。しかし、長期政権を支える、惰性を言い換えた「安定」のために、これらの人々は世代交代の恐れを抱くことなく、権力をふるうことができた。そして、自分たちの派閥を大きくすることに成功した。しかし、結果として、自民党内部にはニューリーダーは育たず、世代交代もうまくいっていない。また、急激に議員数が増えたために、いわゆる入閣適齢期と言われる議員たちが60名もいる状態で、沈滞ムードである。自民党も日本も惰性の中で、ある種の安眠を貪り続け、活気と成長力を失った。

 安倍首相は総理の座からは退くが、国会議員は続けるという意向を示した。キングメイカーとして影響力を残すということが一般的に考えられるが、まだ65歳ということを考えると、再登板ということも視野に入れているのではないかと思う。今回は「政権投げ出し」という批判が起きないように、きちんと病気について説明した。病気が絡むと批判がしにくくなることも狙ってのことだろう。心身ともにボロボロになってどうしようもなくなっての退陣という感じは昨日の会見からは受け取れなかった。余力を持って辞めることで、キングメイカー、上皇として院政を敷く、また、再登板も狙うということもある。自民党内部の世代交代が成功しておらず、人材も育っていない現状もある。

 次期自民党総裁、首相選びについては、党員票の比率が高い総裁選挙方式なのか、議員票の比率が高い両院議員総会方式なのか、で割れている。下の記事にあるように、二階幹事長は両院議員総会方式を考慮している

(貼り付けはじめ)

●「自民、後継首相を15日にも選出へ 両院議員総会の方向 石破氏は31日に出馬表明へ」

8/28() 19:58配信 産経新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/8c178f5e2968c38ad65ecba56e4ffc9e201f5367

 自民党は安倍晋三首相(党総裁)の後継を選ぶ総裁選について、手間のかかる党員・党友らの直接投票は行わず、国会議員らの投票で決める両院議員総会で選ぶ方向だ。党幹部は、15日の投開票を軸に調整していることを明らかにした。党内では、首相を一貫して支えてきた菅義偉官房長官の登用を求める声があるほか、知名度の高い石破茂元幹事長は31日に出馬表明する方向だ。首相が本命視してきた岸田文雄政調会長も出馬準備を進めている。

 総裁選の方法は、9月1日の総務会で正式決定する見通しだ。二階俊博幹事長は、今月28日のTBSの番組収録で、「そのときの状況によって緊急の手段を講じていく」と述べ、両院議員総会での選出もあり得るとの見方を示した。

 党則では、総裁が任期中に辞任した場合は、両院議員総会での選出が認められ、選挙人は国会議員と都道府県連の代表3人とされている。任期は前任の期間を引き継ぐ。今回のケースは来年9月までとなる。

 党員投票まで含めた総裁選は、候補者による大規模な全国遊説を行うことが通例で、準備にも一定の時間を要する。逆に、両院議員総会で選ぶ場合は簡素化が可能で、平成20年の総裁選では、福田康夫首相(当時)の辞任表明から麻生太郎新総裁(同)の選出までを約3週間で済ませた。

 ある党幹部は新型コロナウイルス対策も念頭に「党員投票まで含めた総裁選をする余裕はない」と語る。

 後任は、新型コロナ対策に継続性を持たせるため「菅氏をワンポイントリリーフとして登板させればいい」(閣僚経験者)との声がある。岸田氏も、前回の30年総裁選で出馬を見送っただけに、今回は不退転の決意で手を挙げる考えだ。

 ただ、石破派(水月会)幹部は、石破氏が世論調査で高い支持を得ていることから「党員投票も含めた総裁選を行い、堂々と勝った人が首相をやるしかない」と両院議員総会での選出に異論を唱えた。

(貼り付け終わり)

 現在のところ、次期総理総裁の候補者としては、岸田文雄自民党政調会長、石破茂元自民党幹事長、河野太郎防衛大臣の名前が挙がっている。二階氏が主導して両院議員総会方式でということになれば、派閥の意向が大きく影響することになる。現在、自民党の最大派閥は、細田派(実質安倍派)、麻生派、竹下派、二階派、岸田派、石破派、石原派という順番になっている。細田派、麻生派、二階派で岸田氏を擁立して両院議員総会で決めるということが考えられる。石破氏は国民的人気の高さから党員票の割合が高い総裁選挙方式を主張している。麻生氏と二階氏が話しをつけて、両院議員総会で岸田氏選出という形が今のところ考えられる。岸田氏は人と喧嘩をするタイプではなく、派閥の岸田派、宏池会も伝統的に「お公家様集団」と呼ばれるように武闘派は少ない。そうなれば、麻生氏と二階氏の院政ということになる。そうなれば国民的な支持を得られないということになる。そのような古臭い決め方では国民が納得しないだろう。

 安倍首相は記者会見の中で、次の方が決まるまではしっかりとやれるということを述べていた。臨時代行(麻生副総理)を置くことなく、最後までやると明言した(この点から私は安倍首相が余力を持って辞めるという印象を受けた)。また、次期総裁選びについても、時間をかけて制作孫朗をしても大丈夫、その間は私がきちんとやれるという発言もあった。私はこの発言から、安倍首相は麻生氏と二階氏をけん制していると感じた。ポスト安倍の動きにおいて、安倍首相自身が影響力を保持しようとしているとも感じた。

 長期政権となった安倍政権と安倍首相を総括すると、惰性という言葉しかない。その間に日本が酷い状況になったが、「安定」という惰性の裏返しの言葉のために、安倍首相は存在し続けた。全くもって無意味な8年間であった。

(終わり)

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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 新型コロナウイルス感染拡大で私たちの生活は変わった。手洗いうがいの励行をはじめとして、マスクの着用、人々が集まることの回避、不急不要の外出の回避と言ったことが起きている。それによって社会活動、経済活動は大きく制限を受け、大ダメージを受けている。新型コロナウイルスによって私たちの生活は「変えられ」ている。自主的にではなく、ウイルスの恐怖のために「変えさせられて」いる。

 アメリカでも生活の多くの面で変化が起きているという記事を以下にご紹介する。消費の低下、オンラインでの買い物の増加、不動産業の先行き不透明、テレビやラジオの視聴数の増加と広告収入の低下などが起きているということだ。これまで当り前となっていた生活のやり方や習慣が変化しつつあるということだ。新型コロナウイルス感染拡大が収まっても握手を拒否する人も多いようだ。

 アメリカでもコロナウイルスの恐怖によって生活が「変えさせられて」いる。確かにその性質や症状が全部解明されていないウイルスだから恐怖心を持つのは当然だが、それによって無理や無茶な行動をする必要があるとは私は考えない。手洗いうがいやマスク着用を励行しながら、社会活動や経済活動を行うべきだと思う。「自粛」をしていないお店に対して嫌がらせをしたり、警察が特殊警棒を持って繁華街を見回り人々に帰宅を促したり、といった「自警団」「ナチスの突撃隊」のような行動は社会を分断する行為だ。

 恐怖心によって考えることを放棄し、「上から」の命令に対して過剰に反応して、「それこそ正義だ」とばかりに、過剰な行動を取ることは結局最後には自分たちが支配者たちによって縛られ動けなくさせられてしまうことにつながる。自分たちでできることを励行しながら、権力の動きには抗する、こういう厳しい状況の時こそ冷静に行動し、生活すべきだ。そのためには現在のような異常な自粛ムード、「空気」を転換する必要がある。

 緊急事態宣言の「出口」、すなわち「どのような状況になったら解除するのか」「感染者数や死亡者数でどのくらいになったら何を解除するといった、いくつかのフェーズがあるだろうにそれが分からない」ということは恐怖心を増加させ、疲労を募らせるものだ。

 学校の勉強や仕事でもそうだが、最終目標の前に小さな目標をいくつか設定してそれをクリアしていく、達成感を感じて次に進む原動力を生む、ということやる。現在の政府は、人々の恐怖心を利用して、統制を強めているだけのことで、出口戦略一つ示すことができていない。恐怖心を利用して人々が自発的に政府の統制に服従する、という現状を利用しているだけのことだ。日本の現状は大変残念だ。

(貼り付けはじめ)

コロナウイルス危機が終了した後のアメリカ人の生活の様相(What American life will look like after the coronavirus crisis ends

クリスティン・テイト筆

2020年5月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/civil-rights/495624-what-american-life-will-look-like-after-the-coronavirus-crisis-ends

私たちの国に新しい時代がやってきつつある。歴史上の重要な出来事全てと同様、我が国の経済の原動力と我が国の政府の機能は、見えない敵によってひっくり返されている。今回のコロナウイルスによる死亡者数は我が国が長年にわたり関与したヴェトナムで亡くなった米国人の数を超えた。各種の市場は2008年に比べてより恐怖心をもって反応している。今回の新型の疾病は、中東での戦争、911事件、不動産価格の急落といった過去20年間の様々な重大な出来事に比べて、より大きな影響を平均的なアメリカ人に与えている。

倫理、収入、地理といった面で見てみると、今回のコロナウイルスは、州政府や連邦政府による政府布告よりも、アメリカ人の生活を破壊している。過去2か月で起きている私たちの社会の変化の多くはマイナスの影響を持っている。ウイルスの感染拡大によって起きている大規模な変化はより大きな基調を示すものとなっている。

地域のビジネスの活動停止について見てみよう。長年にわたり、政治の世界ではウォール街よりも地方の生活を支持する言説が支持を得てきた。しかし、ソーシャル・ディスタンシングとインターネットのために、小規模ビジネスは損害を受けている。全米自営業者連盟は、今年3月に楽観指数は、指数の調査が開始されて以降、最も厳しい程度の急落を記録した。消費指数もまた2020年第一四半期では約18%も下落した。閉鎖制限が実施されたのは今年の3月後半から始まったにもかかわらずこのような数字となった。店舗販売を行う会社だけが倒産のリスクを抱えている自営業ということではない。全米には1100のショッピングモールがあるがその中の多くが倒産のリスクを抱えている。

伝統的な買い物についてみると、オンラインでの売買が現在の話題となっている。アマゾン社は今回の危機のお蔭でこれまでにないほどの売り上げを記録している。オンライン上の日常品の売買はほぼ2倍になっており、テレビゲームへの消費額は50%増となっている。オンライン上の売買の総額は感染が始まってから49%増となっている。食品以外の売買の中でアルコールの売買が最も取引量を増加させており、75%増となっている。

住宅売買もまた劇的な変化を示している。賃借人の3分の1は先月の賃料を支払うことができなかった。また、住宅を買おうとしている人たちにとって物事は良い状況になっていない。住宅ローンの貸し手たちは、1500万人の持ち家のオーナーはローンを支払えないことになると予測している。住宅ローンの金利は低い状況であるが、若い人々は、雇用状況が不安定になっている中で、30年間もローンを抱えたくないと考えるようになっている。不動産業も同様の状況になっている。それは消費者の消費が減少することで、不動産を借りて商売をしている店などが賃料を支払えない状況になってしまうからだ。

社会的な交流の規範は変化しつつある。それはただスーパーマーケットに入店する際にマスクと手袋をするといったことだけに留まらない。当たり前のように自然に握手をするということも過去の習慣となる可能性がある。最近のある調査によると、新型コロナウイルス感染拡大が収まっても他の人と握手をしないようにしようと考えていると答えたのは全体の31%に上った。肘をくっつけ合うという挨拶の仕方がこれから残る可能性がある。

アメリカ人がコロナウイルスのニュースに釘付けになっている中、ラジオとテレビにおけるこれまでのやり方が大きく変化している。また、出版や新聞も同様に前提が大きく変わりつつある。全米規模のケーブルテレビは加入者が増加し、プライムタイムの視聴者数が増加している。同様のことは地方局でも起きているが、但し書きがつく。今回の危機が始まってから地方局の視聴者数は50%増加したが、広告収入は減少している。

出版社の多くは数百名単位で記者を解雇し、出版も止まっている状況である。また新聞もテレビのようにはなっていない。出版ジャーナリズムは「絶滅の危機」に瀕しているという判断も出ている。通勤などでの自動車利用が減少しているが、そのためにラジオ局の収入や聴取者数が減少している。大規模メディアに対して人々の嫌悪感が増している中で、地方の新聞とラジオは信頼できるメディアとなっている。しかし、これら2つのメディアは消滅する可能性を持っている。

コロナウイルスにより直接的に関係があることは、アメリカ国民は現在、自分たちの健康をより真剣に考えるようになっているということだ。処方箋薬の需要の増加と中国からの医療資源輸入の不足のためにアメリカ国民は打撃を受けている。複数の製薬会社が治療法とワクチン開発に数億ドルを投資しているために、人々が必要とする薬剤にかかるコストは上昇している。その結果はまだ明確になっていないが、現状によって薬剤の研究と開発に対する民間と公的な投資の恒常的な増加へと根源的な変化が起きる可能性が高い。

アメリカ人にとっては受け入れやすい状況は存在しない。その代り、私たちが直面しなければならない新しい現実の要素が存在する。

アメリカ国民は最近の世代は、以前の世代に比べて戦争による影響を受けていない。多くの人々にとって、今回の危機は厳しい目覚めの一発となった。政府の統制による耐乏生活の時代、株価や石油価格などの乱高下、将来にわたり、医療資源が統制され、配給となる可能性が存在する。効果的な治療法の確立と経済活動の再開の両立によって、世界規模の大恐慌を避けることができるように願っている。第一次世界大戦後に生まれた世代の多くは争いとスペイン風邪によって影響を受けた。この世代のアメリカ人は大恐慌と第二次世界大戦によって鍛え上げられることになった。この世代と同様、今の若者たちは自身が持つ強さを試されるか、破壊されるかという状況に直面している。

離職した数百万のアメリカ人、小規模ビジネスを閉じてしまったオーナーたちにとって、感染拡大が続く日々とは終わりのない悪夢の日々ということになる。しかし、現在の苦闘は、私たち全員にとって辛抱をするための機会となる。私たちの行動はこの時期における私たちの生き方を決めるものとなる。私たちはコロナウイルスに私たちの生き方を決めさせてはならないのだ。

※クリスティン・テイトはリバータリアニズムを信奉する作家であり、「ヤング・アメリカンズ・フォ・リバティー」のアナリストを務めている。彼女は「ファンド・フォ・アメリカン・スタディーズ」のロバート・ノヴァック記念ジャーナリズム専門研究員を務めている。彼女の最新刊は『ザ・リベラル・インヴェイジョン・オブ・レッド・ステイト・アメリカ』である。

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コロナウイルス危機について今日知るべき10のこと(Ten things to know today about the coronavirus crisis

ピーター・サリヴァン筆

2020年5月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/healthcare/495747-ten-things-to-know-today-about-the-coronavirus-crisis

今日は5月の初日だ。4月はコロナウイルスのためにアメリカにとって酷い月となった。しかし、感染者数のカーブはそのままであり、5月もまた厳しい月になるであろう。

治療法について1つの進歩が起きている。アメリカ食品医薬品局(FDA)は金曜日、レムデシヴィル(remdesivir)という薬剤に緊急的に認可を与えた。この薬剤は新型コロナウイルスに対する特効薬ではないが、ある程度の効果が認められている。

2つの世論調査の結果によると、多くの州が経済活動を再開させ始めている中で、アメリカ国民は通常の生活に戻ることに懸念を持っているということだ。

これから今日知るべき10のことを挙げていく。

4月が終わり、5万3000名以上のアメリカ人がコロナウイルスのために命を落とした。5月になって状況が好転するとは考えられない。

アメリカ食品医薬品局はレムデシヴィルという薬剤に対して緊急的に認可を与えると発表した。今週初めにレムデシヴィルは、コロナウイルス治療においてある程度の効果が期待できるという有望な研究結果が発表された。

テキサス州では経済活動の再開をスタートさせようとしている中で、同州では1日の死者数としては最大の50名を記録した。

米教育省はテキサス大学と中国のある研究機関の実験室との関係を調査し始めた。この中国の研究機関の実験室はコロナウイルス感染拡大に関して詳細に調査を行っている。

多くの州で経済活動が再開され始めているが、最新の世論調査によると、66%のアメリカ国民は職場に復帰することを嫌がっている。

70以上の公衆衛生、商業、学術の研究機関がコロナウイルスの遺伝子を研究するために協力体制を構築している。

いくつかの州政府と地方自治体政府の中には、他州や他の地方自治体に居住しているアメリカ人に対して旅行移動の制限と強制的な隔離を命じている。この動きは、憲法上と政治的な論争を引き起こしている。

ミネソタ大学の最新の報告では、コロナウイルス感染拡大は最長で2年間続く可能性がある、また、ウイルスの拡大を効果的にコントロールするためには世界総人口の最大3分の2が免疫を獲得する必要があると警告を発した。

米退役軍人省はコロナウイルスによる死亡者のために約30万ドル分の死体袋を注文した。

最新の世論調査によると、58%のアメリカ人がこれからしばらくは映画に行かない、もしくはいかないだろうと答え、57%がプロスポーツの試合の観戦に行かない、もしくはいかないだろうと答えた。

(貼り付け終わり)

(終わり)


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 『ショック・ドクトリン』の著者であるナオミ・クラインの現在の新型コロナウイルス感染拡大に関するインタヴュー記事を掲載する。まず、『ショック・ドクトリン』について以下の貼り付け部分を見て欲しい。

(翻訳貼り付けはじめ)

shockdoctrine007

ショック・ドクトリン〈上〉――惨事便乗型資本主義の正体を暴く

The Shock Doctrine の本のウェブサイト

http://www.naomiklein.org/shock-doctrine

●要約(Summary)のページ

http://www.naomiklein.org/shock-doctrine/the-book

『ショック・ドクトリン:危機・惨事利用型資本主義の出現と勃興』

著書『ショック・ドクトリン』の中で、ナオミ・クラインは、「世界を席巻する自由市場は民主的な大勝利を収めた」という神話に対して厳しい批判を加えている。クラインは、過去40年間に起こった世界を根底から変えてしまう危機や戦争の裏には、お金が動き、操り人形を操る人々が存在するという考えを出発点にしている。

そして、『ショック・ドクトリン』の中で、クラインは、アメリカが、様々な自然災害、危機や惨事を利用して世界中の人々や世界各国にショックを与えることで、「自由市場」志向政策をどのように世界に拡大させて、支配的な政策にしていったかを赤裸々に書いている。

イラクの内戦において最も混沌とし先行き不透明な時期に、イラク国内で一つの新しい法律が通った。その法律は、石油会社のシェルとBPに、イラクの豊富な石油資源にアクセスすることを認めるという内容だった。

911同時多発テロ事件の発生直後、ブッシュ政権は「テロとの戦い」の遂行をハリバートン社とブラックウォーター社に丸投げした。

2004年に東南アジアを大津波が襲った。津波が全てを流してしまった後、何もなくなったビーチは観光リゾート用に切り売りされオークションにかけられた。ニューオーリンズ市民はハリケーン・カトリーナに襲われ、散り散りになった。彼らはニューオーリンズに戻りつつあるが、ニューオーリンズでは市営住宅、公立病院、公立学校がいまだに再開されていないし、再開される見込みもなくなりつつある。

こうした事例は「ショック・ドクトリン」の具体例である。「ショック・ドクトリン」とは次のようなものだ。

多くの人々は戦争、テロリストによる攻撃、自然災害といった集団で受ける大きなショックの後に、物理的にも精神的にも方向性を失う。その状態を利用して、経済的なショック療法を用いて、人々をコントロールするというものだ。

1回や2回のショックでは完全なコントロールが達成できずに抵抗されることもある。その場合は3回目のショックを与える。刑務所で看守が持っている電気ショック棒や多くの人々が携帯しているスタンガンを想像してみたら分かりやすいだろう。

ナオミ・クラインはこれまで行われてこなかった切り口での歴史研究と災害や危機に見舞われた地域での4年間のジャーナリスト活動の成果を基にして、『ショック・ドクトリン』を書きあげた。

『ショック・ドクトリン』で明らかにしているように、危機・惨事利用型資本主義は2001年9月11日に始まったものではない。ちなみに危機・惨事利用型資本主義では、目端の利く企業は社会を自分たちに有利になるように再設計がショックな出来事を利用する。

この本では、危機・惨事利用型資本主義の起源を50年前に求めている。その時代、シカゴ大学ではミルトン・フリードマンが大きな力をふるっていた。フリードマンの影響下のシカゴ大学からは数多くのネオコン、ネオリベラルの思想家たちが巣立っていった。

彼らは現在でもアメリカ政治に大きな影響力を持っている。経済政策、「衝撃と恐怖」をもたらす戦争、1950年代にCIAが資金提供をした、電気ショックと感覚遮断に関する実験の間には、驚くべきつながりがあることがこの本で明らかになった。

ちなみにこうした実験で得られた結果を利用して拷問のマニュアルが作成された。このマニュアルは今日でもキューバのグアンタナモ基地で収容されているテロリスト容疑者たちの拷問に利用されている。

『ショック・ドクトリン』で展開されている主張は現代史を見ればその正しさは明らかだ。現代史において私たちが良く知っている事件や出来事を詳細に見ていくと、そこにはショック・ドクトリンが使われていることが明らかである。

そうした出来事や事件としては、1973年のチリで発生したピノチェト将軍によるクーデター、1982年のフォークランド紛争、1989年の天安門事件、1991年のソビエト連邦の崩壊、1997年のアジア通貨危機、1998年に発生し、ホンジュラスに大きな被害をもたらしたハリケーン・ミッチが挙げられる。

(翻訳貼り付け終わり)

 ショック・ドクトリンとは、「多くの人々は戦争、テロリストによる攻撃、自然災害といった集団で受ける大きなショックの後に、物理的にも精神的にも方向性を失う。その状態を利用して、経済的なショック療法を用いて、人々をコントロールするというものだ」というものだ。

 今回の新型コロナウイルス感染拡大に関して言えば、自民党内からは憲法変更の実験台だという声が当初出ていた。

(貼り付けはじめ)

●「新型肺炎「緊急事態の一つ、改憲の実験台に」 伊吹元衆院議長」

2020131 朝刊 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/202001/CK2020013102000138.html

 自民党の伊吹文明元衆院議長は三十日の二階派会合で、新型コロナウイルスの感染拡大について「緊急事態の一つの例。憲法改正の大きな実験台と考えた方がいいかもしれない」と話した。自民党がまとめた改憲四項目の一つである緊急事態条項の導入を念頭に置いた発言。同条項は、大規模災害時に内閣に権限を集中させ、国民の権利の制限を認める内容。

 政府は二十八日に新型肺炎を感染症法上の「指定感染症」とする政令を閣議決定したが、施行日の二月七日までは感染者の強制入院などの措置は行えない。

 伊吹氏はすぐ強制措置が取れることが望ましいとし「周知期間を置かなくてもいいことにするためには、憲法を変えてもらわないとできない」と語った。

 これに対し、共産党の小池晃書記局長は、政令施行後は一定の行動制限ができることを踏まえ「憲法を変えないと対策ができないというのは筋違いの暴論だ」と批判した。 

(井上峻輔)

(貼り付け終わり)

 この何か災害や戦争などにかこつけて、便乗して、エリートたちが自分たちの実現したいことを進める、人々は災害や戦争などのためにショック状態に置かれてしまって反対ができない、ということがショック・ドクトリンだ。

 『ショック・ドクトリン』の著者であるナオミ・クラインは、新自由主義的、自由市場信奉型の経済学者たちが新自由主義的政策を提言し、政治家たちがそれを実行することで、社会の格差が拡大し、固定化することを懸念している。今回の新型コロナウイルス感染拡大においても国民皆保険ということは取り上げられず、大企業の救済ということに力点が置かれていることに警鐘を鳴らしている。それでもアメリカは全国民に現金給付を行うことを決めた。

 日本では麻生副総理が「銀行口座にお金が眠っている」と述べたように、「国民が預貯金をしてお金が動かないのだからこれを機会に預貯金を使ってお金を動かせ」という考えである。人々は将来の不安のために(2000万円の預貯金がなければ老後を暮らせない)、必死で預貯金をしてきた。日本政府はそれでは経済が動かないとそれを使わせようとしてきたがうまくいかなかった。しかし、財務省からしてみれば現在の状況はそれを吐き出させる「機会」である。このように考えるのがショック・ドクトリンである。

 日本も平成の30年間で新自由主義的施策が次々と実行されてきた。そのために、今回の事態を受け、医療崩壊の危険性が叫ばれている。比較対象にされやすいドイツではそのような声は起きていない。韓国では医療崩壊が起きているなどと喧伝されたが、今や韓国はどのような対策を行っているのかということを世界が観察している状況だ。日本政府はこうした状況でも新自由主義的な「自助努力」を政策の柱に据えているようだ。それでも大企業には日本政策投資銀行を通じて4000億円規模の融資をすぐに実行するようだ。私たちは冷静に自分たちでできることを繰り返しながら、日本政府や経団連などの意向を注意深く監視し、その裏の意図を読み取って批判すべき時に批判しておかねば、今回の危機的状況が終わった後に待っているのはより厳しい現実ということになる。

(貼り付けはじめ)

コロナウイルスは「惨事便乗型資本主義」にとって完璧な災害である(Coronavirus Is the Perfect Disaster for ‘Disaster Capitalism’

―ナオミ・クラインは各国政府と世界エリートたちがパンデミックをいかにして利用するかを説明する

マリー・ソリス筆

2020年3月13日

『ヴァイス』誌

https://www.vice.com/en_ca/article/5dmqyk/naomi-klein-interview-on-coronavirus-and-disaster-capitalism-shock-doctrine

コロナウイルスは正式に世界的なパンデミック(大流行)と正式になった。SARSの時に比べて10倍の人々がこれまでに感染している。全米の学校、大学、美術館、劇場は併催されている。そして、もうすぐ各都市全体も閉鎖される可能性が高い。専門家たちは、COVID-19として知られるウイルスに感染したと疑われる人々の中には、通常の生活を行ってしまうと警告を出している。それは、民営化された医療システムのためにそうした人々は有給を得ることができないからだ。

私たちのほとんどは何をすべきか、誰の話を聞くべきかをよく分かっていない。ドナルド・トランプ大統領は疾病コントロール・防止センター(CDC)からの勧告とは矛盾する内容の発言を行っている。そして、これらの複雑なメッセージは感染力の強いウイルスからの害を和らげるための猶予時間を少なくしている。

世界各国政府と世界のエリートたちが政治的な目標を達成するためには完璧な状態というものが存在する。もし私たちが迷っていなければ強く反対するようなものでも、迷っている状態の時は反対しない。これから起きるであろう出来事は、コロナウイルスによって出現している危機的状況特有のものではない。これは、政治家たちと各国政府がこれまで数十年間従ってきた、「ショック・ドクトリン(shock doctrine)」として知られている青写真そのものである。このショック・ドクトリンという言葉は、活動家で作家であるナオミ・クラインが2007年に出した同名の著書からきている。

歴史は「ショック」の編年史である。戦争、自然災害、経済危機のショックが起き、それが終わるということの繰り返しだ。ショックが終わった後に起きるのが「惨事便乗型資本主義(disaster capitalism)」だ。既存の不平等と格差を利用し、拡大するための、計算された、危機に対する自由市場的「解決策」のことである。

クラインは、今回のコロナウイルス感染拡大の状況において、私たちは既に国レヴェルで惨事便乗型資本主義の出現を目にしていると述べている。コロナウイルスへの対応の中で、トランプ大統領は7000億ドルの経済刺激策を提案した。これは給与税の減税(これによって社会保障システムを破壊するものだ)を含み、パンデミックの結果としてビジネスの機会を失った産業部門を支援するというものだ。

クラインはこれについて次のように語っている。「エリートたちは人々を助ける政策を実行していません。なぜならばそれがパンデミックの間の苦しみを和らげる最も効果的な方法であるからです。エリートたちはこうした考えを温め続け、現在がそれを実行する機会だと考えているのです」。

本誌は、コロナウイルスの「ショック」がいかにして10年以上前の著作『ショック・ドクトリン』の中で描いた出来事の連鎖を引き起こすのかについてクラインにインタヴューを行った。

今回のインタヴューは長さと明確性のために適切に編集されている。

質問:基本から話を始めましょう。惨事便乗型資本主義(disaster capitalism)とは何でしょうか?「ショック・ドクトリン(shock doctrine)」との関係はどのようなものでしょうか?

クライン:私が惨事便乗型資本主義を定義する方法は本当に簡単なものです。次の通りです。惨事便乗型資本主義は、民間の産業が大規模危機から直接的に利益を得る、というものです。大惨事からの不当利得行為(profiteering)と戦争からの不当利得行為といったものはなにも新しい概念ではありません。しかし、911事件後のブッシュ政権の下で、こうしたことは深まっていきました。ブッシュ政権が終わりのない安全保障上の危機を宣言した際、戦争を民営化し、外注化しました。結果として、国内には民営化された安全保障国家が出現し、イラクとアフガニスタンに対する(民営化された)侵攻と占領が実施されたのです。

「ショック・ドクトリン」は大規模危機を利用して格差を拡大させる、エリートをより富裕にさせる、人々を低賃金で働かせるといったことをシステム的に行う政策を推進するという政治的戦略のことです。危機の時期において、人々はその危機がどんなものであれ、生き残るために日々の緊急事態を乗り越えることに集中してしまいます。そして、権力を持つ人々により信頼を寄せる傾向があります。危機の時期、私たちはボールから少しの間、目を離してしまうのです。

質問:そのような政治的戦略はどうして生まれるのでしょうか?アメリカ政治において、歴史的にその動きをどのように追いかけるのでしょうか?

クライン:ショック・ドクトリン戦略はフランクリン・D・ルーズヴェルト大統領政権下のニューディール政策に対する反応に端を発します。(経済学者の)ミルトン・フリードマンは、ニューディール政策の下でアメリカは全てが間違ったという確信を持っていました。世界大恐慌とダストボウル(1931年から1939年にかけ、アメリカ中西部の大平原地帯で、断続的に発生した砂嵐)に対応して、より積極的な政府がアメリカに出現しました。この政府は自分たちの使命を、政府による雇用を創出し、直接救済を行うことで当時の経済危機を直接的に解決することに設定しました。

あなたが極端なまでに自由市場を信奉する経済学者ならば、市場が失敗した時には、市場は進歩主義的な変化を必要とすることを本当は理解しているのです。大企業にとって都合の良い規制緩和政策よりもより進歩主義的政策が必要となるのです。従って、ショック・ドクトリンは、進歩主義的な諸政策が出現しないようにするため作り出されたものなのです。政治エリートと経済エリートは、危機の状況とは不人気な政策のリストを実行するための機会であるということを理解しています。これらの不人気な諸政策はアメリカと世界における富の偏在を更に進めます。

質問:現在、複数の危機が同時に発生しています。パンデミック、パンデミックに対処するインフラストラクチャーの欠如、株式市場の下落です。あなたが『ショック・ドクトリン』で書いた概略にこれらがどのように当てはまりますか?

クライン:本当のショックはウイルスそのものです。そして、ウイルスへの対応は混乱を最大化し、保護を最小化する形で対応が行われています。私が述べていることは陰謀論(権力者共同謀議論)でも何でもないと思います。アメリカ政府とトランプ大統領が完全に危機への対応を誤ったのです。 トランプ大統領はウイルス感染拡大を公衆衛生上の危機として扱わず、認識上の危機、そして自身の再選にとって問題となる可能性があるものとしてしか扱わなかったのです。

それは最悪のケースのシナリオです。特にアメリカは国家が提供する医療プログラムを持たず、労働者への保護もないということが一緒になって底知れぬほど悪い状態にあるのです。この様々な要素が一緒になって最大限のショックがもたらされるのです。私たちが直面している気候変動の危機のような極度の危機的状況の中心要素である諸産業に支援金を出すために、ショックは利用されるのです。航空産業、石油産業、クルーズ船産業は全て支援を求めています。

質問:このようなことを私たちは以前もどのようにして目撃したのでしょうか?

クライン:著書『ショック・ドクトリン』の中で、私は、ハリケーン・カトリーナの直撃後に起きたことについて述べました。ワシントンにあるヘリテージ財団のような各シンクタンクは会議を開き、ハリケーン・カトリーナに対する「親自由市場」的な解決策の希望リストを作成しました。同様の会議がこれから開かれるであろうことは確かです。実際、ハリケーン・カトリーナの会議の議長を務めたのはマイク・ペンスなんですよ。2008年、銀行に対する支援策が実施される際には、各国政府は銀行に金額が書き込まれていない小切手を渡しました。そして、そこには数兆ドルという金額が書き込まれました。しかし、その真のコストは経済的緊縮(社会サーヴィスの削減)という形で現れました。従って、惨事便乗は現在目の前に起きていることだけではないのです。支払期限が来た時に私たちが支払うお金もまたそうなのです。

質問:私たちが既にコロナウイルスへの対応で目撃している惨事便乗型資本主義の害悪の影響を和らげるために人々にできることはありますか?ハリケーン・カトリーナや前回の世界的景気後退の時期に比べて私たちはより良い状態にあるのか、それとも悪い状態にあるのかどちらでしょうか?

クライン:私たちが危機に直面して試されている時、私たちは後退し、分裂します。もしくは成長し、私たちに可能ではないと考えていた強さと熱意を発見することもあります。今回の出来事はそうした試練の1つです。私たちが発展することを選ぶであろうと私は希望を持っています。その理由は、今回の場合は2008年の場合と異なり、危機に対して全く異なる反応を提案している政治的な別の選択肢が実際に存在しているからです。この選択肢は私たちの弱さの根本原因から生まれたもので、より広範な政治的運動がこの新しい選択を支援しているのです。

これはグリーン・ニューディールがやろうとしていることなのです。それは、 今回のようなことに備えるということです。 私たちは勇気を失うことはできません。私たちはこれまでよりもより激しく、国民皆保険、幼児教育 病気の時の有給休暇獲得のために戦わねばなりません。これらは密接につながっています。

質問:もし各国政府と世界エリートたちが自分たちの利益のためにこの危機を利用しようとするならば、人々はお互いに気遣い助けるために何ができるでしょうか?

 クライン:「私は私自身だけをケアします、私は最高の保険に入っています。あなたは入っていないのなら、それはあなた自身の失敗ですね」。これが勝者総取り経済が私たちの頭脳に吹き込むメッセージです。今回のような危機の時期にはっきりするのは、私たちお互いがバラバラであるということです。現在の野蛮な経済システムが私たちに信じさせている以上に、現実では私たちはよりつながっているということが認識されます。

もしアメリカに素晴らしい医療保険制度があれば安心感を得ることができるのです。しかし、私たちの食糧を生産する、食糧を運ぶ、パッケージする仕事に従事している人々が医療保険を持っておらず、ウイルスのテストを受けられない、もしくは有給休暇を得られないために家にいられないということになれば、私たちは安全だとはとても言えませんね。私たちがお互いをケアしなければ、私たちは誰もケアをされないということになるのです。私たちは網にからめとられているような状況にいるのです。

社会をまとめる様々なことなる方法は私たち自身の様々な部分に火をつけます。もしあなたが知っているシステムが人々をケアせず、公平な方法で資源を分配しないということならば、あなたの中にある買い占めをしたいという欲求に火がつけられます。ですから、これには注意しなければなりません。そして、買い占めを行うことや自分と家族をいかにケアするかを考える代わりに、いかにして隣人たちと共有するか、社会で最も弱い人々をいかにして守るかを考えるべきです。

(貼り付け終わり)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です

 インターネット上でも話題になっているが、昨年アメリカ政府が「中国で新型インフルエンザウイルス感染拡大が発生し、アメリカではシカゴで初めて感染が確認されて以降、パンデミックに発展する」という想定で、シミュレーション、演習が行われた。その結果は、国家レヴェルで対応がなければ1億1000万人が感染し、770万人が入院、58万6000人が死亡する、というものだった。

 トランプ大統領が「全米で10万から20万の人が死亡する」と発表したが、これは国家レヴェルでの対応を行った上での予測であって、何も対応をしなければ220万人が死亡するという数字を挙げていた。昨年のアメリカ政府が行ったシミュレーションでも何も対応をしなければ58万という数字が出ており、10万から20万という数字は大雑把ではあるが、信憑性の高い数字ということになる。

参考までに書くと、シカゴ市は人口が217万人、イリノイ州は1283万人だ。2020年4月1日時点でのシカゴ市での感染者数は3123人、死亡者数は40人、イリノイ州での感染者数は6980人、死亡者数は141人となっている。全米では感染者数は18万6101人、死亡者数は3603人となっている。シカゴ市やイリノイ州で特に感染者や死者数が多いということはない。

 シミュレーションと言えば、戦争や軍隊に絡むものである。日本海軍で伝統として行われてきた「兵棋演習(へいぎえんしゅう)」もシミュレーションである。アメリカに駐在武官として赴任した秋山真之が日本海軍にもたらしたもので、英語ではWar Time Simulationという。図上演習ともいう。ある回線を想定し、あらゆる条件を決めて、戦闘を行ってみる。日本海軍の場合は、太平洋戦争では物量的にも不利ということもあり、条件に手心を加えたり、改ざんを加えたりして、無理やり勝利すると医師也を作っていた。シミュレーションは客観的に行わなければ、実態にそぐわないただの作り話になってしまう。

 アメリカ政府は昨年、パンデミックが起きた際のシミュレーションを行った。これは現在の大勢のどこに欠陥や不足があって、どのような結果になるか、最悪の結果を回避するためにはどのような準備が必要かということを客観的に明らかにするためのものだ。

 今回の新型コロナウイルス感染拡大はシミュレーションで見つかった穴を塞ぐ前に発生してしまったようだ。アメリカ政府も日本政府と同様に対応が後手に回ってしまったようであるが、得意の物量作戦で何とか挽回しようとしている。トランプ大統領は今年の大統領選挙で再選を目指しているが、対応を間違えば落選の憂き目にあうことになる。今のところ、大統領の支持率は落ちてはいない。しかし、支持率が上がっている訳でもない。

 シミュレーションは日本でも自然災害に関しては行われていることはマスメディアでもよく取り上げられている。恐らく大規模疾病に関してもシミュレーションは行われていただろうし、日本政府はそこで何が足りないか、どこに穴があるかを把握していたはずだ。もし、そのようなことがなされていないとするならば、国家経営上の危機だ。是非、日本政府もシミュレーションを実施して、危機的状況に対する備えに役立てるべきだ。

(貼り付けはじめ)

Surviving The Trump Eraサム・ポトリッキオ

新型コロナを予言?米政府「的中シナリオ」が占う大統領選

20200324日(火)1600

https://www.newsweekjapan.jp/sam/2020/03/post-45_1.php

https://www.newsweekjapan.jp/sam/2020/03/post-45_2.php

<リークされた米保健当局の想定演習が現実に。混乱するアメリカ社会で国民が求めるリーダーは誰か>

米政府は201918月に、ある演習を実施した。「クリムゾン・コンテイジョン」というコードネームで呼ばれたこの演習は、中国で発生した新型呼吸器系ウイルスが航空機の乗客によって世界中に瞬時に拡散されるという、恐ろしいシナリオだった。

「アメリカではシカゴで最初に感染者が確認され、その47日後にWHO(世界保健機関)がパンデミック(世界的大流行)を宣言した。だが、対応は遅過ぎた。米国内の感染者は11100万人に上ると予測され、770万人が入院し、586000人が死亡するとみられた」

米保健福祉省は、今月リークされたその演習の報告書で、治療法がないウイルスと生死を懸けて闘うには、連邦政府は資金も準備も調整も「不十分」であることが分かったとしていた。演習は学校の休校をめぐって連邦政府と地方の足並みがそろわず、ウイルスとの闘いに必要な医療設備も十分に用意できないことを露呈した。

このシナリオが今、ほぼ現実のものになっている。アメリカの街は不気味なほど静かで、学校は休校になり、バーやレストランは営業を停止した。国民は有能な政府がいかに重要であるかを痛感している。

トランプ米大統領は、多くの前任者にない「チャンス」を手にしていた。パンデミックに真正面から立ち向かえば、大きく株を上げられたはずだ。ところが彼は危機の深刻さを見くびり、国を苦境に追い込んだ。

アメリカと韓国は、いずれも国内初の新型コロナウイルス感染者を120日頃に確認した。韓国では既に感染拡大のピークが過ぎたが、アメリカは危機への備えを始めたばかり。韓国に先見の明があったというより、アメリカに能力が欠けている。

危機は人の本質をあぶり出す。いまアメリカが目の当たりにしているのは、大統領の器の小ささだ。36日に米疾病対策センター(CDC)を訪れたトランプは、選挙運動用のキャップをかぶっていた。ウイルスの犠牲者が多いワシントン州の知事を「ヘビ野郎」と呼び、ウイルス検査について「必要な人は誰でも受けられる」と嘘を言った。第2次大戦以降で最大の危機より、自分の再選を気にしていた。

1カ月ほど前のトランプは、楽に再選を果たせそうだった。民主党の対抗馬はリベラル過ぎるという懸念が党内にもあるバーニー・サンダースになりそうだったし、株式市場は好調で、失業率は50年ぶりの低水準だった。

今は違う。米経済は大不況の崖っぷちにあり、トランプの大統領就任以降3年分の株価の上昇分は吹き飛んだ。過去10年、米経済はほぼ継続して拡大してきた。だが08年前後の大不況以降で初めての重大な危機を迎えた今、もう国民は面白くて新奇な指導者を求めてはいない。テレビでドタバタ劇を見たがる時代は終わり、関心は有能な指導者が今より希望を持てる未来に人々を導けるかどうかに移った。

大統領選は、候補者が時代の求める人物かどうかを測る場だ。その意味で今の危機的な状況は、民主党の大統領候補指名争いでトップを走るジョー・バイデン前副大統領にほぼ完璧な条件をもたらしている。

バイデンは50年にわたって公職を務め、息子を病で失った悲しい経験から他人に共感する能力も高い。オバマ前政権で副大統領を務めたことから学んだ安定感もある。バイデンは忘れっぽく失言も多い。だが態度を決めかねている有権者のほぼ全員が同意できるのは、彼が自分より他人の事情を考えられるということ。すなわち、トランプとは真逆の人間だということだ。

そしてアメリカ人は大統領選で、現職とは真逆の候補者を選ぶ傾向にある。時代はバイデンに味方している。

<本誌2020331日号掲載>

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1

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「“クリムゾン・コンテイジョン・2019”シミュレーションはアメリカ国内でのパンデミックの」 ‘Crimson Contagion 2019’ Simulation Warned of Pandemic Implications in US

―2019年のパンデミックに関する演習は州政府と連邦政府の役人たちに対して懸念のある分野を指摘した

キャロル・マリン、ドン・モーズリー筆

2020年3月24日

NBCシカゴ』

https://www.nbcchicago.com/news/local/crimson-contagion-2019-simulation-warned-of-pandemic-implications-in-us/2243832/

2019年8月、シカゴにおいて、連邦政府の諸機関が集まり、アメリカがいかにしてある疾病の爆発的感染拡大(パンデミック、pandemic)に対処するかについて把握するための演習(シミュレーション)を実施した。この疾病は世界的な観戦爆発を起こしながら、治療法がまだ見つかっていないという設定で演習は実施された。この演習によってパンデミックに対するアメリカの全国規模での欠点や欠如している点が数多く見つかった。その中には医療物資が十分に準備されていないということも含まれていた。

この演習は「真紅の伝染病感染2019年版機能実験(Crimson Contagion 2019 Functional Exercise、クリムゾン・コンテイジョン・2019・ファンクショナル・エクササイズ」」と呼ばれ、結果が一般に公開されているものではない。『ニューヨーク・タイムズ』紙がこの演習についていち早く報じた。

この演習はインフルエンザについてのもので、コロナウイルスについてのものではなかった。しかし、中国で始まり、シカゴに上陸するという架空の感染流行を想定すると、いくつも問題を抱える分野が見つかったと関係文書では指摘されている。

2019年8月13日、イリノイ州とアリゾナ州やコネチカット州といった11の州、連邦政府、州政府、地方政府の役人たちが集まり、4日間の演習を実施した。

シナリオは以下の通りだ。

新型インフルエンザの大規模感染が中国で始まり、急速に感染拡大が起き、アメリカではシカゴで最初に検出され、人と人との接触によってパンデミックにまで拡大するという想定がなされた。

演習では現在のワクチンの貯蔵量ではウイルスを封じ込めることはできないとされた。

この国家規模の演習には次の機関が参加した。

・19の連邦政府の諸機関(19 federal agencies

・12の州(12 states

・74の地方の医療衛生部局(74 local health departments

・87の病院(87 hospitals

報道によると、ホワイトハウスの国家安全保障会議の幹部たちは演習中に簡潔な報告を受け取っていた、ということだ。

主張な発見は以下の通りだ。

インフルエンザのパンデミックに対して連邦政府は十分な予算を持っていない。

国防生産法をどのように適用するかについての混乱がある。

現在の医療資材供給チェインと生産能力は需要を満たすことはできないだろう。

世界規模の製造業の能力では、アメリカ国内の個人の防御装置や付随の装置の需要を満たすことはできないだろう。

アリソン・アーワディは演習に参加し、演習の結果を受けてシカゴ市の対応能力を引き上げてきた。アーワディ博士はシカゴ市が取った行動と同じ行動を連邦政府の諸機関が取るかどうかについてはコメントしなかった。

シカゴ市長ローリ・ライトフットは記者たちとの電話を通じた会見で雄弁に語った。

市長は「私にとって明白なことは、連邦政府は私たちを助けてはくれないということです。あの人たちは、最後の最後でさっそうと現れる騎兵隊(cavalry)ではないのですよ」と述べた。

シカゴ市公衆衛生局、緊急事態対応・コミュニケーション室、イリノイ州健康衛生部、緊急事態対応庁も演習に参加した。

ニューヨーク・タイムズ紙の報道とアーワディ博士は連邦政府の諸機関が協力し、対応戦略を構築していることを称賛しているが、パンデミックを想定した演習では、恐ろしい結果を予想している。国家レヴェルでの協力した対応がなければ、アメリカ国内で1億1000万人の感染、770万人の入院治療、58万6000人の死亡が出るという予想である。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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