古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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カテゴリ: 本の紹介


 古村治彦です。

 今日は、藤森かよこ著『
 いい子ぶりっ子の超偽善社会に備える』(秀和システム)をご紹介します。

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ニーチェのふんどし いい子ぶりっ子の超偽善社会に備える

 藤森氏は『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください』『馬鹿ブス貧乏な私たちを待つ ろくでもない近未来を迎え撃つために書いたので読んでください。』と言ったベストセラーを出しています。今回の本はニーチェの考えを下敷きにしながら、これから訪れる無菌志向の超偽善社会に備えていくという内容になっています。

 以下にまえがきの一部、目次、あとがきを貼り付けます。是非手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

0・1 私がニーチェの褌(ふんどし)を借りて書くことにした理由

ニーチェといっても、原作が松まつこま駒で、作画がハシモトによる漫画『ニーチェ先生』に登場するコンビニで深夜バイトをする大学生仁井智慧(にいともはる)のことではない。「お客様は神様だろ!」と理不尽なクレームをつける客を、「神は死んだ」と言って撃退したので、あだ名が「ニーチェ先生」になった仁井君のことではない。

「神は死んだ」というのは、ニーチェがいくつかの著書で何回も書いた文章だ。そのために、ニーチェは蛇蝎視(だかつし)されてきた。いるかいないかわからない神という存在について「死んだ」と書いたのだから、ニーチェほど神のことを考えていた人間はいないという逆説をわからない頭の悪い人々によって。かわいそうなニーチェ。

本書の目的は、現代と、来きたるべきろくでもないけど面白くないわけでもない超偽善社会を生き抜いて行くために知っておくべきだと私が思うことを、ニーチェの褌(ふんどし)を借りて書いたものだ。ここで「喰い込むばかり」と下品なツッコミを入れないように。「高く登ろうとするなら、自分の足を用いよ。引き上げてもらおうとするな。他人の背や頭に乗ってはならない」(『ツァラトゥストラかく語りき』佐々木中(ささきあたる)訳、河出文庫、2015、495頁)と言ったニーチェは、「他人の褌で相撲(すもう)を取るな」と、言うかもしれないが。

ところで、ニーチェなんて、そんな難しい本なんて読んでもわかりません!と思っているあなた! 読まずに、そういうこと言ってませんか!? ニーチェは難しくない。長いだけです。読めば、わかります。面白いです。

そもそも、今の日本で読書(漫画を含めて)習慣がある人は、人口の1割ほどだ(と思う)。1200万人ぐらいだ。この数字に「エビデンス」はない。私がそう思うだけだ。その中でも、書籍はもっぱら公立図書館で借りて読むだけではなく、またはアマゾンのKindle Unlimited に登録して無料の電子ブックで読むだけではなく、自腹で書籍なり電子ブックを購入して読む人は500万人もいない(と思う)。

これでは、日本の出版社の経営が難しいはずだ。書店もどんどん閉店するはずだ。現在の日本の出版社は、「人口1200万人で、500万人の消費者しかいない国」の中で競争しているのだから。

 今は、そこそこの偏差値の大学の学生でさえ、「こんな難しい本は読めません」とゼミの担当教授に向かって堂々と言う。いまどきの大学教員なら、いまどきの普通の日本の若者の読解(どっかい)力と、彼らや彼女たちが育った(1990年代以降の日本の経済状況下の)家庭の文化資本の蓄積の乏しさは良く知っている。橘玲(たちばなあきら)のベストセラー『バカと無知 人間、この不都合な生きもの』(新潮新書、2022)に書いてある「日本人のおよそ3分の1は「日本語」が読めない」(81頁)という調査結果に驚くこともない。

だから、無駄に難解な書籍など教科書として選ばない。それでも、大学生なら、これぐらいの程度のものは読んで欲しいと思うテキストをゼミで輪読(りんどく)する。なのに、数行も読まないうちに「こんな難しい本は読めません」である。じゃあ音読(おんどく)から始めるかと思って音読させたら、漢字が読めない。もう出版社の方々、書籍の漢字には全部ルビを振(ふ)ってください。

でも、あなたは違う。貴重な「日本の読書人1200万人」のひとりだ。「日本の読書人1200万人」のひとりに入るくらいに、あなたは運が強い。親ガチャに外はずれた人間こそ読書の習慣がないと無知不用心のままに生きるはめになり不幸不運必至なのに、そういう人間に限って読書の習慣がない。だから、遭遇(そうぐう)してもしかたがない類(たぐい)の人間に関わるはめになるし、重要な情報も入手できず、先人の知恵に触れることもなく、自己省察(せいさつ)もできず、さらに運が悪くなる。

しかし、こうして本書を開いているあなたは運がいい。だから、ニーチェも読めます。

=====

『ニーチェのふんどし いい子ぶりっ子の超偽善社会に備える』◆ 目次

第0章、あるいは「まえがき」 7

0・1 私がニーチェの褌ふんどしを借りて書くことにした理由 8

0・2 本書はごく少数者向き 11

0・3 仏教徒もイスラム教徒もみんなキリスト教徒 14

0・4 今や共通善は「弱者救済」だけ 19

0・5 大義を疑うためにニーチェを 24

0・6 本書の構成 28

第1章 ニーチェの思想をあなたが必要になる契機は「ホワイト革命」 35

1・1 岡田斗司夫の「ホワイト革命」論の衝撃 36

1・2「ホワイト革命」は、とりあえずは高度情報化社会の産物 40

1・3 道徳的であるという評価が個人だけではなく国や企業にも求められる 44

1・4 21世紀の「優しい良い子たち」は進化した人類か? 54

1・5 ホワイト革命の先駆としてのポリコレとキャンセルカルチャー 63

1・6 道徳化された社会形成のための段階としてのポリコレ・ヒステリー 69

1・7 岡田が予測するホワイト革命は起きると私が思う理由(その1) 72

1・8 岡田が予測するホワイト革命は起きると私が思う理由(その2)

 ―― SDGsだのESGだのニュー資本主義だの 83

第2章 ホワイト革命がもたらす7つの様相 107

2・1 歴史始まって以来の人間革命? 108

2・2 魔女狩り社会になる? 111

2・3 現実逃避社会になる? 114

2・4 バックラッシュ? 117

2・5 人間はより画一的になりルッキズムに至りアバターに身を隠す? 121

2・6 優しく良い人たちの人畜牧場完成? 129

2・7 現実逃避も魔女狩りもバックラッシュも身体性からの逃避もあるし権力者共同謀議もあるが、人間革命は起きない 131

第3章 ニーチェかく語りき 135

3・1「人とは恐ろしいモノだ」と覚悟しておく 136

3・2 ディオニュソスなくしてアポロは立ち上がらず、アポロなくしてディオニュソスは目覚めない 147

3・3 悲劇上等! 160

3・4 歴史は強くて利己的な野蛮人が作る 171

3・5 天国や彼岸の設定は生の否定であり敵視 177

3・6 善悪も道徳も正義も変わるもの 185

3・7 ルサンチマンから生まれる道徳もある 191

3・8 キリスト教は世界史初の奴隷道徳 196

3・9 末人(まつじん)なんて退屈だから超人をめざせ 200

3・10 ニーチェの独ひとり言 209

結語 ―― 来るべき超偽善社会の欺瞞と抑圧に汚染されないために 218

あとがき 225

紹介文献、引用文献リスト(本文で言及順) 229

私が読んだ範囲で面白いと思ったニーチェ入門書リスト(出版年順) 234

=====

あとがき

ニーチェに関することは書いてみたいと身の程知らずにも思いつつ、哲学科を出たわ

けでもない私がニーチェに関する書籍を出すことは無理だなあと思っていました。一時

期はアメリカ文学の研究者でしたので、アメリカの作家に関連した論文でニーチェに言

及したことはあったのですが。

ところが、2021年3月に秀和システムの編集者の小笠原豊樹さんから一冊書いて

みないかという嬉しいお申し出をいただきました。2022年に再度お話をいただきま

した。それならばと、そのお申し出に厚かましく乗っからせていただくことにしました。

この機会を逃すと、私のような人間がニーチェについて書いて本を出版するなどということは不可能だと思いました。また、今この時に書かないで、いつ書くのかとも思いました。ちょうど、その頃は、本書に書いた岡田斗司夫さんがオンラインセミナーで発表なさった「ホワイト革命」論について、「これはニーチェ的には嫌な展開になるかもしれないなあ」と思っていた時でしたから。

小笠原さんには、ニーチェについて書く機会を提供していただき感謝いたします。今どきの、この書籍の売れない時代に、ニーチェについて書かせてくださるなんて、この方は相当に「一本の綱」の上を歩いておられる方だと思いました。

いろいろいろいろお世話をおかけいたしました。ありがとうございました。

本書の表紙デザインについて、アイン・ランドの小説やエッセイ集の拙訳や、私が編著者を務めた文学関係の論文集や、単著4冊の装幀で、2004年以来お世話になっている大谷昌稔(おおたにまさとし)さんに、またお願いいたしました。ありがとうございました。

表紙のイラストは、私の「馬鹿ブス貧乏本」シリーズの表紙イラストを担当してくださった伊藤ハムスターさんにお願いいたしました。またもチャーミングなイラストをありがとうございました。

 同時に、今まで出版された拙著に関して率直なご感想を下さった読者の方々にお礼を申し上げます。その方々は、「フジモリさんがご自分のブログに書くよう書いてください。いっぱいの文献を紹介してくださるのは勉強になりますが、私が読みたいのはフジモリ

さんの言葉ですから」と、それぞれにおっしゃるのです。

中には、「本を読むことしかしていない人間の書いたもので、読むところがない」と匿名でSNSに書いていた読者もいました。この読者は拙著3冊を図書館で借りて読んだそうで、「読むところないなら3冊も読むな、批判するなら自腹で購入するぐらいはしろよ」と私は思いました。しかし、ニーチェもツァラトゥストラに「わたしは読んでばかりいる怠惰な者を憎む」(佐々木訳、64頁)と語らせています。だから少しは私も反省しました。

 というわけで、本書では、なるたけ自由に書いてみました。私は、長年、職業柄、自

分以外は誰も読まない類の大学の紀要(きよう)(大学に所属している教員の論文集)に載せる論文を書いてきました。論文というのは先行研究をちゃんと読んでいるかを示すことが要請されるので、ついつい資料を漁る癖が抜けず、かつその文献に言及するのが習慣となっていました。ですから、商業出版物に要求される読みやすさについて工夫(くふう)が足りなかったようです。そのことを読者の方々に指摘されて、あらためて気がつきました。

ここでその読者の方々のお名前を挙げることはいたしませんが、みなさん、貴重なご意見をありがとうございました。

ああ、それにしても本当は、本書のタイトルは「ニーチェの褌」にしたかったです。褌だと、漢字だと、しっかり締められている感じがしますが、ひらがなだと、ゆるい感じです。すぐに、ほどけそうです。

2023年2月

藤森かよこ

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年1月28日に副島隆彦・孫崎享著『世界が破壊される前に日本に何ができるか』(徳間書店)が発売になります。

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世界が破壊される前に日本に何ができるか

 対談者の孫崎享氏は、ウズベキスタン駐箚特命全権大使、外務省国際情報局局長、イラン駐箚特命全権大使など要職を歴任したエリート外交官です。著書『戦後史の正体』『アメリカに潰された政治家たち』がよく知られています。

 以下に、はじめに、目次、おわりを貼り付けます。是非手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

はじめに

孫崎享氏は偉い人なのだ

 この本は、外務省の高官(国際情報局長)であった孫崎享(まごさきうける)氏と私の初めての対談本である。内容の中心は、最新のウクライナ戦争の分析と、日本外交の真実を孫崎大使に語っていただいたことである。

 大使(アンバサダー)という言葉は、元々ヨーロッパで、国王(王様)のお友達という意味だ。大使が手袋を脱()いでテーブルに叩(たた)きつけたら、戦争の合図となる。日本でも、大使は天皇の勅任官(ちょくにんかん)であって、ひとりひとりが外国に対して日本を代表する。一度でも大使になった人は一生、大使(アンバサダー)を公称できる。

 しかし日本にはこの習慣はないので、私は孫崎氏()と呼ぶ。それでも本書の中で、私は時々、孫崎大使と呼んでいる。孫崎氏は私より10歳上である。

 孫崎氏は本当は偉い人なのだ。その偉さを日本人は誰も理解しない。何が偉いのかと言うと、私は氏のご自宅で対談していて、驚いた事実がある。

 孫崎氏が外務省に入って(1966年、23歳)、すぐにイギリス陸軍の言語(げんご)学校(アーミー・スクール・オブ・エデュケイション)に派遣された。この学校は、どう考えてもイギリスの高級な国家情報部員(国家スパイ)の養成学校である。私はここはイギリス陸軍大学の一部だと思う。

 孫崎氏は、この言語学校(敵国の言語であるロシア語を教える)で13人の同期生と学んだ。その中に、ケント公 Duke(デューク) of(オブ) Kent(ケント)(プリンス・マイケル・オブ・ケント)がいたという。その他、風変わりなイギリス貴族たちが、孫崎氏のご学友である。その中のひとりの変人は、孫崎氏の御自宅に泊まったそうだ(P220)。この人物は英国家情報部M(エム)(アイ)(シックス)の副長官になった。

 もうひとりの変人は、2003年からのイラク戦争(War in Iraq)でWMD(ダヴリューエムディー)(大量破壊兵器。核と生物兵器)がイラクで見つからなかったことで、アメリカ政府(子ブッシュ政権)が追い詰められた時の主導者である。これ程(ほど)の人物でなければ、アメリカ政府を揺さぶることはできない。

 イギリス貴族かつ高官の中の、正義の変人たちは、これぐらいの奇妙な人々である。アメリカが大嫌いなのだ。それでもイギリス支配階級の中で堂々と生きている。孫崎氏が、日本国内で変人外交官扱いされるのは、これ程の高貴な精神をイギリスで叩き込まれ、涵養(かんよう)して来たからである。孫崎氏の反米精神の神髄はここで育(はぐく)まれた。

 孫崎氏は、日本の言論界で、今では陰謀論者(コンスピラシー・セオリスト)扱いされていると、私は聞いている。私が「孫崎先生は、外務省で対米自立派(アメリカの言いなりにならない人たち)、即(すなわ)ち、冷()や飯(めし)()いですよね」と言ったら、孫崎氏は否定もせず、同意する様子だった。こんな失礼なことを、これまで面と向かって言われたことがないのだ。

 本当は、自分たち対米自立派(アジア重視派)が、ずっと外務省の主流であって、アメリカにヘコヘコする対米追随(ついずい)派よりも、ずっと誉(ほまれ)高いのだ、という強い信念をお持ちである。

 孫崎大使が所属しているアメリカ何するものぞ、の対米自主派の重厚な伝統は、本書第4章P182以下で出てくる坂本重太郎(さかもとじゅうたろう)や谷野作太郎(たにのさくたろう)の連綿(れんめん)と続く、日本外務省の内部の激しい争いの苦闘である。孫崎氏はこの考えを深く受け継いでいる。

 本書の第4章で、戦後の日本外務省の大きな骨格を初めて外側に明らかにした。大変重要である。

 前述したケント公爵と付き合いができる日本人は希有(けう)の存在である。ヨーク公アンドリュー王子(故エリザベス2世の次男。少女売春で悪評判)や、エセックス公ヘンリー王子(アメリカ黒人のメーガン・マークルと結婚して王室から追放)と、グロスター公くらいしか英公爵(デューク)はいないのだ、ということを日本人は知識層でも知らない。

 ケント公爵というのは、日本で言えば、今も続く徳川公爵家(尾張名古屋で徳川氏の宗家(そうけ))のような人なのだ。または近衛家(このえけ)を筆頭とする藤原摂関(せっかん)家、あるいは、水戸光圀(みとみつくに)(黄門(こうもん)さま。三代将軍家光(いえみつ)の従兄弟(いとこ))のような立場の高貴な人なのだ。だから「下()ろうども下がりおろう」というような人だ。今でも英連邦(コモンウェルス。カナダ、オーストラリア、インドを含む)では、英国王の叔父と知られ畏(おそ)れられる。

 今の日本は、天皇家(皇室)以外はアメリカによって消滅させられたので、私たちは貴族を実感で分からなくなった。

 なぜ、孫崎氏が風変わりな外交官で変人扱いされているのに、本人が全く気にしない理由を私は、ハッと分かった。日本外務省の権威なんか、はるかに超えている人なのだ。

 孫崎氏は、日本外務省がイギリスに送り込んで、最高級の国家スパイとして育てられた特別な人材なのだ。たかがアメリカの子分になり、アメリカの手先をやっている日本人学者や、ジャーナリストであるお前たちなんかとは、格(クラス)がちがうのだ。

 イギリス貴族は、長い歴史からアメリカを見下(みくだ)す。この精神が孫崎氏に深く、びっしりと転移している。孫崎氏の言論は、外務省を離れて解き放された。そして、ただひらすら日本国民に帰依(きえ)すると決めた。

 孫崎氏のこの複雑な経緯(けいい)と心理は、特異なイギリス仕込(じこ)みの国家スパイ教育を受けたことからにじみ出ていると私は分かった。孫崎氏の言論を軽くみて、ケナしている程度の者たちなど、氏は高見(たかみ)から嗤(わら)い蹴散(けち)らしてしまう。

 本書中の孫崎氏の発言は、全く表面的な過激さはない。読者は飽()きてしまうだろう。だが、氏の発するコトバには、日本を背負って外交の現場で、その国家機密の中を、長年泳いで来た人間としての重みがある。

 本書P149で、中国を代表する学者の発言が出てくる。ここに出演する各団の代表は、おそらく、孫崎氏と同じような各国の、上に突き抜けた変人学者たちであろう。このレベルになると、それこそ何を言ってもいい。自国政府の見解や態度と異なっても構わない程の論客たちであるようだ。

 その日本代表が、まさしく孫崎氏なのである。だから孫崎氏が、世界政治言論の中に選ばれている独特の地位を、私たちは知るべきなのである。

 中国を代表する学者が言った。「日本は(中国とアメリカの)どっちに付くんだ」という激しい直截(ちょくせつ)の問い詰めをした。国内の言論人である私たちは、こんな厳しい質問を突きつけられたら、まともに答えることはできない。ヘラヘラと言(げん)を左右にするしかない。

 中国は、アメリカと決定的に対決すると決めたようなのである。アメリカとの戦争までも準備している。そのために習近平の独裁に近い体制づくりをした。中国共産党第20回大会(20大(だい))の翌日、2022年10月23日に決まった7人の新指導部「チャイナ・セブン」の強い決断である。まず金融と経済(貿易)面で、アメリカからどれだけ痛めつけられても中国は、もう後(うし)ろに退()かない。

 私たち日本人は、まだ甘い考えをしている。私は孫崎氏のさりげない言葉から、世界の最先端の大きな動きを悟った。

 孫崎氏が、ここで日本を代表する外交官の言論人として世界と立ち向かっている。このことを私たちは知るべきだ。世界水準にある人物たちは、それぞれの国がもつ限界を上(うわ)()なれることで、初めて最高水準の人間たちの交(まじわ)りとなる。この水準に到達した有資格者はなかなかいない。

 たかが、アメリカの手先、子分をやっている分際(ぶんざい)で、孫崎氏を見下せると思うな。

 外務省には大使をやった高官たちが山ほどいるだろうが、みんな御身(おんみ)大事で大勢に抗(あらが)うことをせず、停年後の自分の生活の利()(とく)をかき集めることに窮々(きゅうきゅう)とする。

 本書の一番重要な問題である、プーチンは果たして核兵器を本当に使うか、の問題に関して、私は孫崎氏に率直にぶつけた。

「孫崎先生。私は、もうあまりに西側(欧米勢力)が、ヒドい謀略(ブチャの虐殺の捏造(ねつぞう)とか)をロシアに仕掛けるので、怒(いか)りました。もういい。プーチン、核兵器を以下の4つに射ってくれ、と書きました。人類の諸悪(しょあく)の根源であるローマ・カトリック教会の総本山のヴァチカンに1発。イギリス国教会(アングリカン・チャーチ)の総本山のウェストミンスター大聖堂(カテドラル)(その裏側が英議会)。オランダのハーグにある国際司法・刑事両裁判所に1発(ここは戦術核でいい)。そして4つめが、ニューヨークだ。この4発をプーチン射ってくれ、とまで言ってるのです」と、私は言った。

 私はここで無視されるか、あきれられ、あまりの非常識を非難されると思った。

 ところが。孫崎氏は何と、「それでいいんですよ。副島さんがプーチンに命令して、核を射てと言ったのですから。それでいいんですよ」と言ってくれた。どうも、それはお前の意見で、主張だから勝手に自由に言っていいという意味らしい。

 私は、この孫崎氏の全てを突き抜けた、高いレベルの議論の仕方が、世界最高水準の知識人たちの間には有るのだとハタと気づいた。これぐらいのことを言えないようでは、知識人としては、世界で通用しない。

 私が孫崎享氏を、日本最高の国際人材(世界で通用する)だ、と厳格に判定した理由は、以上のとおりである。

 あとは皆さん、本書を読んでください。

2023年1月

副島隆彦 

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『世界が破壊される前に日本に何ができるか』 もくじ

はじめに──孫崎享氏は偉い人なのだ  副島隆彦 1

第1章 「安倍処分」の真相

安倍晋三を殺したのはアメリカだ

山上は安倍殺しの単独犯ではない …… 20

殺害をめぐる不可解な謎 …… 24

安倍暗殺はアメリカの怒りが原因だった …… 29

竹島をめぐる韓国からの工作資金 …… 33

アメリカ政治を汚した統一教会 …… 35

キッシンジャーたちが「安倍処分」を決めた …… 40

大転換する世界の行方

台湾海峡に出ている日本の巡視船の危うさ …… 46

ゼレンスキーと安倍晋三はどちらもネオナチ …… 49

AOCとアメリカ左翼勢力の限界 …… 54

国家分裂するアメリカとウクライナ …… 58

アメリカの戦費の半分は日本が拠出した …… 64

アメリカ支配から脱すると世界は安定する …… 68

自家撞着に陥るEUの危機 …… 72

日本は島国に立てこもって生き延びればいい …… 75

第2章 ウクライナ戦争の真実

なぜプーチンは嵌められたのか

「ブチャの虐殺」は捏造だった …… 82

NATOの東方拡大がすべての原因 …… 85

ひっくり返された従来の対ロシア戦略 …… 88

プーチンは米英の周到な罠に落ちた …… 90

仕掛けたのはヌーランド国務次官とネオコン …… 95

国際社会の変化とロシア軍の勝利 …… 99

プーチンは国際秩序に挑戦した …… 104

核戦争まで発展するのか …… 107

ネオナチとウクライナ戦争の特殊事情

ウクライナは特殊な国 …… 109

ナチズムはいかに生まれたのか …… 112

アメリカ・NATOの狙いは長期・泥沼化 …… 116

プーチンが抑えている核戦争の危機 …… 120

「プーチンよ、核を撃て」 …… 123

第3章 崩れた世界のパワーバランス

アメリカ一極支配の終焉

天然資源のロシアか、ドル体制のアメリカか …… 130

世界の歴史を変えたG20の衝撃 …… 134

崩れていくアメリカの一極支配 …… 138

アメリカがすべて正しいのか …… 142

国際秩序と世界政治の真相 …… 146

世界経済をリードする中国と新興大国

日中露のオンライン会談で分かったこと …… 149

購買力平価ベースで中国は世界一 …… 152

ドル覇権の終わりと世界の二分裂 …… 154

第4章 日米外交の正体

外務省と対米追随の戦後史

かつての外務省はアメリカ一辺倒ではなかった …… 158

独自外交だった奇跡の短期間 …… 160

外務省の組織と日米関係 …… 162

ニクソンショックとパナマ侵攻が与えた打撃 …… 166

軍事同盟になった日米関係 …… 169

半導体交渉と自動車交渉の攻防 …… 172

アメリカが仕掛けたノーパンしゃぶしゃぶ事件…… 174

最後の抵抗「樋口レポート」 …… 178

外務省の対米追随派と自主派の対立

尊敬すべき外務省の自主派官僚 …… 182

エズラ・ヴオーゲルの裏の顔 …… 185

谷内正太郎とジャパン・ハンドラーズたち …… 187

歴代の外務次官を評価する …… 191

第5章 スパイと日本外交のリアルな話

ロシアとスパイの過酷な世界

スパイの書いた本は国際情勢の把握に役に立つ …… 202

命を簡単に捨てるロシア人の不思議 …… 206

二重スパイにするのがスパイの仕事 …… 209

大使を狙うハニートラップの罠 …… 211

怪しいニューヨークのジェトロ事務所長 …… 213

日本外交のリアルと大使のお仕事

イギリス軍ロシア語学校の華麗な同級生たち …… 217

日本人は過去の日本を背負っている …… 220

世界水準の情報と侵攻事件 …… 222

日本外交の現実 …… 227

戦わない屈辱は一時期で終わる …… 230

ウズベキスタンの日本人墓地 …… 232

大使の仕事とは何なのか …… 234

重要なのはインテグリティと判断力 …… 237

第6章 戦争しない国日本の戦略

日本が戦争しないために出来ること

戦争しないことを最優先にする …… 240

日本は世界の嵐から身を守れ …… 244

中国の台湾侵攻と日本の有事 …… 246

アメリカ一辺倒から脱すること …… 250

世界で大きな地殻変動が起きている …… 254

社会のため、国のために立ち上がる …… 258

すべての紛争は外交で解決できる …… 261

おわりに── 孫崎享 265

歴代外務次官年表 …… 196

=====

おわりに

「武力行使反対」を唱えるだけでなく、和平の道を提示せよ

 私は今、日本は極めて危険な所に来ていると思う。もはや、「正当な民主主義国家」に位置しないのでないかとすら思う。

「正当な民主主義国家」であるためには、言論の自由が不可欠である。しかし、日本は言論の自由のある国ではなくなった。

「国境なき記者団」が毎年、世界の報道の自由度のランキングを発表している。2022年、日本は71位である。G7の国では、ドイツ(16位)、カナダ(19位)、イギリス(24位)、フランス(26位)、アメリカ(42位)、イタリア(58位)で、日本はG7の最劣等である。

 日本の周辺を見てみよう。エクアドル(68位)、ケニア(69位)、ハイチ(70位)、キルギスタン(72位)、セネガル(73位)、パナマ(74位)である。

 報道の自由度で同じような国で7カ国連合を作るのなら、日本はG7ではなくて、エクアドル、ケニア、ハイチ、キルギスタン、セネガル、パナマと作るのが妥当だ。

 なぜこんなことになっているのか。権力の圧力を、日本では、「忖度(そんたく)」という格好いい言葉で表現されているが、権力に対抗する発言を主要報道機関ができなくなっているという状況による。

 確かに日本では、言論人が殺されるという事態は少ない。しかし、彼らの発言が一般の人に届かぬように、次々と手段を打ってくる。

 いつから言論人の排斥が起こったのか。それは小泉政権(2001年4月26日―2006年9月)であろうが、2003年、安倍晋三氏が自民党幹事長になってからではないか。

 典型的な例は、マッド・アマノ氏が自民党のポスター「この国を想い、この国を創る」をパロディにして、「あの米国を想い、この属国を創る」とした時のこと。これに対して、安倍幹事長が「上記ホームページ上の本件改変図画を削除されるよう併せて厳重通告いたします」と言ったのが、外部に出た最初の事件ではなかったか。

 そうして、政府批判をする識者は次々と言論界から消えていった。

 2022年、11月29日、次のニュースが流れた。

「宮台真司(みやだいしんじ)さんは東京都立大学・人文社会学部教授で、現代社会や戦後思想など幅広い分野を論評する論客。警視庁によりますと、きょう午後4時半前、東京・八王子市の東京都立大の南大沢キャンパスで、都立大の中で男性が顔を切られた、と目撃者の男性から110番通報がありました」

 たぶん、この宮台氏襲撃事件の真相は明らかにならないだろう。だが、このような進展は当然予想された。

 政府・自民党は、反対の見解を持つ者を自らが排斥しただけではなく、世論工作でこうした人々への憎悪を掻()き立てる支援をした。その氷山の一角が次の報道に表れている。

「一般市民を装って野党やメディアを誹謗(ひぼう)中傷するツイッターの匿名アカウント〝Dappi(だっぴ)〟発信元企業が、自民党東京都支部連合会(自民党都連)から昨年も業務を受けていたことが、17日、東京都選挙管理委員会が公表した2022年分の政治資金収支報告書でわかりました」

〝Dappi〟のようなサイトで憎悪を掻()き立てられた者が、最後には殺人まで犯すのは十分予測されたことである。

 こうして言論人が次々姿を消す中、政府を厳しく非難する副島隆彦氏が生き残っているのは凄(すご)いことだ。それは確固とした副島ファンを確立したことにある。その力量には、自らの力不足を痛感するにつれ敬服するばかりである。

 そうした中、せっかくの場所の提供をいただいたので、私が今、発言したいことを次に記す。

 日本は今、国会では9条を主体に、憲法改正に賛成する勢力が3分の2を占めている。防衛費の増大を当然のことのように議論している。

 他方において、公的年金の実質的目減りを当然のようにしている。安保三文書、「国家安全保障戦略(NSS)」「防衛計画の大綱(大綱、「国家防衛戦略」と名称変更)」「中期防衛力整備計画(中期防、「防衛力整備計画」と名称変更)」が成立しようとしている。明らかに戦争をする国に向かって動いている。

 なぜこうなったのか。

 申し訳ないが、私はリベラル勢力、護憲グループの怠慢によると思う。

 平和的姿勢を貫くには、① 武力行使に反対と、対立があれば「平和的」手段を貫くという政策の両輪が必要である。平和的な帰結が行われるためには、常に当事者双方の妥協が必要である。

 妥協が成立するためには、過去の経緯、双方の主張、妥協点の模()(さく)をなさねばならない。前者だけで後者がないとすると、どうなるか。

 ウクライナ問題を見てみよう。

 2022年2月28日、英国ガーディアン紙は「多くがNATO拡大は戦争になると警告した。それが無視された」という標題で、「ロシアのウクライナ攻撃は侵略行為であり、最近の展開でプーチンは主たる責任を負う。だがNATOのロシアに対する傲慢(ごうまん)で聞く耳持たぬとの対ロシア政策は同等の責任を負う」と述べた。

 この間、日本では溢(あふ)れるばかりのウクライナに関する報道があったが、こういう報道を知っていますか。

 日本等はロシアに対する経済制裁を主張した。しかし、これは有効に働かない(西側はロシア原油の購入を止める動きをしたが、中国、インドが輸入し、他方原油価格の高騰でロシアの石油収入は逆に増大した)。「糾弾」と「制裁」の主張は、結果として武力行使、武装の強化にいく。

 日本が平和国家なら、当然、和平をまず考えるべきである。日本のどの政党が、どの政治家が和平案を提示したか。

 世界を見れば、トルコ、イスラエル、インド、インドネシア、中国は和平を、ロシア、ウクライナの両国に呼び掛けた。米国統合参謀本部議長ですら、「和平で解決する時になっている」と主張している。なぜ日本は、それができないのか。

 かつて夏目漱石は日露戦争について、短編『趣味の遺伝』(1906年)の中で、「陽気のせいで神も気違(きちがい)になる。『人を屠(ほふ)りて餓えたる犬を救え』と雲の裡(うち)より叫ぶ声が、逆(さか)しまに日本海を撼(うご)かして満洲の果まで響き渡った時、日人と露人ははっと応(こた)えて百里に余る一大屠場(とじょう)を朔北(さくほく)の野()に開いた」と書いた。「神も気違(きちがい)になる」と表現した。

 同じくトルストイは「知識人が先頭に立って人々を誘導している。知識人は戦争の危険を冒(おか)さずに他人を煽動(せんどう)することのみに努めている」と書いた。

 繰り返すが、今日の政治混乱の一端は、日本のリベラル勢力、護憲勢力の怠慢による。

「武力行使反対」を唱えるだけでなく、和平の道を提示しなければならないのだ。

2023年1月

孫崎 享 

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 2023年1月27日に副島隆彦・ベンジャミン・フルフォード著『世界人類を支配する悪魔の正体』(秀和システム)が発売です。副島先生とフルフォード氏の2冊目の対談です。

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世界人類を支配する悪魔の正体

 以下に、はじめに、目次、あとがきを貼り付けます。是非手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

『世界人類を支配する悪魔の正体』

はじめに 副島隆彦

 この本は、私とベンジャミン・フルフォード氏の2冊目の対談本である。

 前の本は、今から丸2年前の2020年11月の米大統領選挙で、ドナルド・トランプが現職のまま巨大な不正(ふせい)選挙( fraudulent election フローデュレント・エレクション)が行われて、無理やり引きずり降ろされた。〝悪魔の所業(しょぎょう)〟としか言いようがなかった。

 その緊迫の中、まるで手に汗を握る実況中継のように、刻々と変化するトランプ動乱のア

メリカの政治劇(ポリティカル・ドラマ)を、フルフォード氏と私で、文字どおり、ハラハラドキドキの波乱の状況展開を日本国民に活写して伝えた。書名は『今、アメリカで起きている本当のこと』(秀和システム、2021年1月刊)である。好評を得て増刷して今も売れ続けている。未読の人は、この本を読んだあと手をつけてください

 トランプ動乱は今も続いている。アメリカ合衆国で民衆(ピーポウ)の大(だい)正義と人類の存亡を賭(か)けた戦いは続いている。

私もフルフォード氏も日本という持ち場(根拠地[こんきょち]、出撃拠点)から世界に向けて、共に真実言論派( truth activist トルース・アクティヴィスト)及び、権力者共同謀議[けんりょくしゃくきょうどうぼうぎ](は有る)論者[ろんじゃ] conspiracy theorist[コンスピラシー・セオリスト] 。これを × 陰謀論者と言うな)の立場から、文字どおり命懸けの情報発信を続ける。この世に実在する悪魔たちに負けてたまるか、である。

 B・フルフォード氏が日本にいてくれるお陰(かげ)で、私たち日本の真実言論派(トルース・アクティヴィスト)がどれだけ助かっていることか。

 日本国内で今も勢力を維持している自民党内の反共右翼(はんきょううよく)=統一教会[とういつきょうかい](これの英語Moonies[ムーニーズ]は、教

[きょうそ]文鮮明[ムーン・サンミョン]の頭文字のMoon[ムーン]から作られた言葉。欧米白人諸国にも居て世界中で通用する)の残党(リメインズ)の勢力からの、隠微(いんび)な攻撃が私たちに加えられる。同時に、日本の体制派メディア(テレビ、新聞、出版社、雑誌)の中に潜り込んで(インフィルトレイト)いる別動隊によって、私たちの言論は抑(おさ)えつけられ脅迫を受ける。圧力に挫(くじ)けて己(おの)れの言論を曲(ま)げたり、沈黙する者たちは多い。

 フルフォード氏が日本にいてくれるからこそ、私たちはこの戦いの前衛(ヴァンガード)にして驍将(ぎょうしょう)を見失うことなく、後続(こうぞく)する。兵児垂(へこた)れることなく、その後ろから、負けてたまるかの突撃を掛(か)けることができる。有難いことです。

ベンジャミン・フルフォード氏は、1961年、カナダのオタワ生まれだ。私より8歳下

である。お父様は、カナダ外務省でアルゼンチン大使などを務めた顕職(けんしょく)の人で、カナダの名門の出である。本書でも言及しているが、カナダの歴代首相の中で一番有名な、20年以上首相を務めたマッケンジー・キング(1874-1950、自由党)がお父様の名付け親(ゴッドファーザー)である。マッケンジー・キング首相は、ロックフェラー財閥の横暴に抵抗してカナダ圏の利益を守った愛国者として知られる。

  フルフォード氏が、真実言論派の道に踏み込んだのは、案外、新しくて、この本でも自身が語っているとおり、2001年「9・11」(セッテンバー・イレヴン)の米同時多発テロ事件(すべて権力者側の捏造であった)の後(あと)であるから21年しか経(た)っていない(氏が40歳のとき)。

 それまでは、氏は、『フォーブス』Forbes 誌日本支局長という要職にあって、体制派の権力側メディアに属していた。だから世界中の一流ジャーナリストたちを知っていて、交信している。その高待遇と心地よい特権(電話一本で、日本の政治家、高位官僚、芸能人、大企業経営者に会える)を享受していた。それらを投げ捨てて、真実言論派の落魄[らくはく](落ちぶれ)の群れに身を投じたのは、大きな真実(トルース)を人々に伝える以外の処(ところ)にジャーナリストの存在意義は無い、という深い決意である。これまでの氏の著作を読んで来た人なら、CIAその他から度々(たびたび)殺される危険を搔(か)い潜(くぐ)りながら生き延びて来た氏の活動を存じていよう。

 本書の中で氏が、次のように語っている。

副島 日本人は(英米に、世界から隔離[かくり]洗脳されてきたので)土人(どじん)でバカで、世界基準から見たら知識がない。だけれども、勘(かん)だけは鋭いんですよ。どういうわけか知らないけど。

BF わかりますよ。

副島 勘が鋭くて。この人たちをじっと見ていると、何ですかね、どこか異様に洗練(リファインド)されたヘンな民族なんです。

BF いやわかりますよ、それは。だから、私の今のメインの仕事は、日本人が長年欧

米を外から研究して見えたその見方を、逆に欧米に紹介することによって、欧米人の間

に革命を起こそうとしているんですよ。えっそうなの、そうだったのか、というショッ

クを実際に欧米人に与えているのです。

副島 そうか。そうだったのですか。ようやく分かりました。フルフォードさんの国際

ジャーナリストとしての意欲と決意が。逆に日本から世界に影響を与えようとしている

のですね。日本から世界に向けての知識、情報発信というのは、本当に資源豊か(リソ

ースフル)なんですね。

 そこに私もお手伝いしたいですよ。私は英語で書けないから。フルフォードさんに書

いてもらいたい。副島という男が日本にいて、こういうことを言っていると。

 私は「日本はすごい」主義者じゃない。その反対です。それでもやっぱり日本のすご

さというのは有る。例えば、…… (本書202-203ページ)

このようにして、私とフルフォード氏は、堅く団結している。真実の言論を行うことによって、それを公然と人々に伝えることによって、敵どもから殺されることも厭(いと)わない。一切怯(ひる)むことがない。また、この年齢に達したので、敵どもの策略に嵌(は)められたり、罠(わな)に落ちることもない。この私たち2人が元気に書き続ける限り、日本は大丈夫だ。日本から世界に向けて真実を発信し続けて、今のこの世界を頂点から支配しているディープステイト=カバール( the Deep State , Cabal )と戦い続ける。

 フルフォードさんは独自に探究して悪魔たちの正体を、Cabal(カバール)→ Chabal (チャバール)→ Khazar(ハザール)Mafia(マフィア)→ Chabad(チャバド)と表現している。これを、いよいよ撃滅(げきめつ)する世界民衆の大きな戦いに貢献するために、大きな情報・知識の燃料投下(インテル・ドロップ)を行う。

 今やその醜(みにく)い正体を顕(あら)わにして、のた打ち回っているこの世の悪魔(Diabolo[ディアボロー], Satan[サタン] )たちとの戦いに、皆さんもまず正しい知識、情報、思想理解を得ることから初めて、戦列に加わってください。

 最後に、この先鋭(せんえい)な本を、裏方(うらかた)の寡黙(かもく)に徹して、商業出版物として世に出すことのできる有能な、秀和システム編集部の小笠原豊樹氏に2人を代表して感謝します。

2022年12月22日

副島隆彦 

=====

はじめに 副島隆彦 1

第1章 この世界を支配している悪魔の正体 13

両極端に分断される世界 14

明らかに西側(G7)が追い詰められている 22

ウクライナ戦争のそもそもの発端 32

ウクライナの地にあった「ハザール王国」 35

ヒクソスを起源とする帝王学 47

アジア人でも白人でもない人たちが住むところ 50

世界をさらに上から支配する者は存在するのか 63

安倍晋三はなぜ撃たれたか 75

プーチンが悪魔教の人たちと戦っているのは間違いない 85

イギリス王室は悪いのか、悪くないのか 95

キッシンジャーは「世界皇帝代理」なのか 103

エリザベス2世の死 115

第2章 崩壊する旧支配体制の裏に絡むカルト宗教と秘密結社 119

キッシンジャーの来日 120

アメリカ中間選挙 128

コロナワクチン被害者が起こした裁判がいよいよ始まった 132

カルト宗教は容易に利用される 138

岸田政権は統一教会と縁切りできるか 145

フリーメイソンとイルミナティ 148

第2次南北戦争が間もなく始まる 165

ウクライナ系カナダ人とロシア系カナダ人 170

第3章 日本発の情報が世界を動かす 179

現人神を作ったイギリス王室 180

日本は王様のいる国(君主政)だと日本国民が知らない 186

日本人は勘だけは鋭い、洗練された民族 198

戦後日本の自由な言語空間が欧米に逆に影響を与えた 211

欧米エリートの洗脳機関としての学生クラブ 216

モレク神を崇拝する人たち 226

アメリカ帝国は実質的にすでに破綻している 235

第4章 スピリチュアリズムと封印された科学技術 251

ローマ帝国以前から、西欧の支配の歴史は複雑系 252

フェニキア人とは誰か 260

霊魂は存在するか 268

スピリチュアリズムと封印された科学技術 276

第20回中国共産党大会 286

「価値戦争」は第3次世界大戦に行き着くしかないのか 295

ドイツ、フランスもまもなく大きく変わる 300

おわりに ベンジャミン・フルフォード 309

=====

おわりに ベンジャミン・フルフォード

 2022年を振り返ってみると、世界の旧支配体制=G7側が、何事においても孤立し、世界各地で大敗北を喫(きっ)した1年であった。

 このことは日本国内のテレビ報道に接しているだけでは実感できないだろうが、明らかに今、世界では、西側欧米に対する強烈な反発が爆発して、革命寸前の状況だと言っていい。

 今回、2年振りで、副島隆彦氏と再び対談をさせていただいて、このような現在の世界情勢について、私は世界からの見方を、副島氏は日本からの見方をぶつけ合うことになるのかと最初予想していたが、実際には、私たち2人の世界情勢を見る目に大きな隔(へだ)たりはなかったと思う。

 2人とも、欧米旧支配体制の崩壊が近いこと、とくにアメリカのバイデン政権は不正選挙とインチキCG映像でかろうじて体裁(ていさい)を保っているが、実質はすでに終わっていること、日本は、そんなアメリカからできるだけ早く「独立」すべきであることなど、共有している基本的な考え方は同じであったと思う。

 それは、副島氏の考えが〝世界基準〟であるからこそ起こり得た一致であり、その上で、今回もこのような質の高い討論ができたことを、私はとても嬉しく思っている。

 とくに、私たち人類を、この5000年に渡って支配してきた悪魔崇拝のカルトの伝統が、一体どのような起源を持ち、いつ、どこで変遷し、最終的に今のような形で君臨するようになっていったのか、古代エジプト王国の時代から、ローマ帝国、中世のハザール王国、そして、近代に入ってからの動きに至るまで歴史的経緯を明らかにすることができたことは、今回の討論の大きな成果であったと思う。日本語で言う「博覧強記(はくらんきょうき)」という言葉がぴったりの副島氏との討論でなければ、なし得なかった成果であった。

 副島氏の〝真実言論〟は、間違いなく日本国内で、もはや誰も無視することができない大きな影響力を日本国民に与えている。そして、それは今後、日本国内だけではなく、世界にも影響を与えていくものであると、私は思っている。

 副島氏から、今回の対談の最中に情報提供された、安倍晋三殺しの首謀者についての情報を、私が私の5000万人の読者がいる英語メルマガに書いたところ、リチャード・ハースCFR会長が直後に辞任したことは、第2章に書いたとおりである

私は、常々、日本人のソフトパワーは世界を変えられると思っている。私が真実の世界情勢について、この日本という拠点から世界に向けて、自由に発信することができるのは、日本の言語空間が与えてくれる多大な恩恵である。のみならず、私自身が、欧米世界の真実に目を開かれるきっかけをもらったのが、外(ほか)ならぬ日本発のコンスピラシー・セオリスト(封印された真実を発信する人)たちの書籍であった。

いま、私の英文メルマガを読んでいる世界中の5000万人の読者たちに、日本発の情報がとてつもない影響を与えている。これをもってしても、日本が持つソフトパワーの力がいかに途方もないか、想像できると思う。

そして、日本の対外純資産は400兆円を超える。日本は31年連続で世界最大の債権国である。その力もうまく使えば、これだけのソフトパワーを持った日本が、悪魔崇拝のカルト勢力に牛耳(ぎゅうじ)られてきたこれまでの世界を大きく変え、新たなアジア的価値観に基づく世界秩序の確立に多大な貢献ができることは間違いない。私も、そのために最大限の努力を今後も惜しまないつもりである。

ペンは剣よりも強し―  

 私はいつもそう信じている。 

2022年12月28日

ベンジャミン・フルフォード

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2022年12月28日に副島隆彦先生の最新刊『習近平独裁は欧米白人(カバール)を本気で打ち倒す』(ビジネス社)が発売になる。年末年始の関係で、全国の書店に並ぶのは来年2023年1月上旬になるが、アマゾンでは日時通りの発売になるとのことだ。

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習近平独裁は欧米白人(カバール)を本気で打ち倒す

 以下にまえがき、目次、あとがきを貼り付ける。

 是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

(貼り付けはじめ)

まえがき

どうやら中国は、本気で欧米白人の支配者たち(カバール)と戦うと決意したようだ。戦いになれば、自分も大きな打撃を受ける。それでも戦う、と。

この中国人の大きな決意を、私たち日本人はまだ甘く考えている。「いや、そんなこと(戦争)にはならない」と。さて、それで、これからの世界が無事で済むか、だ。私たちは、甘い考えを捨てるべきなのである。

中国は、習近平の独裁体制を確立した。

2022年10月23日、第20回中国共産党大会の翌日に、新しい指導部7人、即(すなわ)ち「チャイナナセブン」が決まったときだ。何とすべて全員、習近平の子分であった。習近平は「いつでも戦争ができる体制」を構築した。それは、P5の迷彩服(軍服)姿の習近平とその記事によって明らかである。

習近平が、今すぐアメリカと核戦争を含めた第3次世界大戦を始めることはしない。だが、中国はアメリカを含む西欧との厳しい戦いを覚悟している。中国はウクライナ戦争の始まり(2月24日)から、ロシアのプーチン政権が欧米支配層(ディープステートとカバール)によって、大きく罠(わな)に嵌(は)められ苦戦している事実(すぐに1年になる)を厳しく凝視(ぎょうし)してきた。だから中国は甘い考えを捨てている。

 中国は、もう決断したのである。欧米諸国(カバール)との戦争も辞さず、と。その前に、世界金融や貿易などの経済取引の分野でも規制がかかって混乱が起きて、自国に大きな打撃が行くことも中国はすでに覚悟した。
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 さあ、日本はどういう態度をとるのか。

中国は、私たち日本に対して「日本はどっちの側につくのか。はっきりさせろ」という決断を迫っているのである。ところが日本人は、「そんなことは知りませーん」という態度でヘラヘラと逃げ回っている。まるで「我関せず」、傍観者の構えである。これは決定的にまずい。私はこの本で、厳しい問い詰めを日本人に対して行う。

死んだ(殺された)安倍晋三が盛んに言っていた「台湾有事(ゆうじ)は日本の有事」という考えのままで日本がいて、中国の強さを舐(な)めきって台湾にまで日本軍(自衛隊)を出す、というような甘えた態度をいつまでもとっていると、ヒドいことになるぞ、と中国は警告してきている。

「アメリカ様(さま)の言うとおりにしていれば日本は大丈夫」などと、いつまで言っていられるか、だ。後(うし)ろのP115の記事に載せるとおり、中国は「日本は台湾問題に干渉するな」という激しい警告を発している。

日本政府(岸田政権)が安倍晋三の亡霊に引きずられていると、おそらく日本は今後激しく追い詰められる。

 あと1つ、私ははっきり未来予測をする。習近平の独裁体制が確立したので、これからの習近平3期目の5年間のあいだに、うまくゆけば欧米白人カバール勢力との一触即発の戦争危機を乗り越える目算である。そして、中国が優勢となって世界覇権(ワールド・ヘジェモニー)を握る段階に入るだろう。

そのとき、李克強(りこっきょう)たち〝冷や飯食い〟の共青団(きょうせいだん)の勢力は、中国共産党から集団で脱退して、中国民主党を作る。そして、共産党と政権獲(と)りを競い合う。この時、中国に、① 複数政党制(マルチ・パーティー・システム)ができる。そして普通選挙(ユニヴァーサル・サフレッジ)を行う。この2つでデモクラシー(民主政体[せいたい])である。私は、これまでにもこのように書いてきた。

 だから、今度の党大会の政変ドラマでも、李克強たち共青団(きょうせいだん)は何ら動揺することなく平然とひな壇に座っていた。習近平独裁体制からほぼ排除されて、370人の中央委員およびその候補に、胡春華(こしゅんか)がようやく1人入っているだけに追い詰められた。だが共青団系は、何ら恥じることなく淡々としている。しばらくは冷や飯食いが続くだろうが、それでも構わない。

 ここで大事なのは、欧米白人支配層(カバール)との激しい血みどろの戦争を習近平にやらせる、だ。そこで、500万人、1000万人が死んでも構わない。そのあと、共青団の民主党が政権を獲る時代が来るだろう。

私、副島隆彦はそこまで考えて、先へ先へと近未来の予言をしてきた。だから、習近平の今度の体制は明らかに独裁であるが、これからの5年間の2027年までの予定である。このことがはっきりした。

後ろに載せるP 62の日経新聞の中沢克二記者の、「党の長老たち老人パワーが、習近平への個人崇拝と習近平思想を否定した」が重要である。個人崇拝を英語で、character cult「キャラクター・カルト」と言う。

習近平を毛沢東の再来としなかった。それが中国共産党の規約(パーティー・レギュレイション。中国では憲法よりも重要)となったのである。

これらのことを、この本ではっきりさせる。

なぜ欧米白人を頂点から支配する者たちを、カバールと称するかは、この本のあとのほうで説明する。

副島隆彦

=====

◎習近平独裁は欧米白人(カバール)を本気で打ち倒す◎ もくじ

まえがき ……

第1章 中国衰退論と日本核武装論から見る世界政治の現実

〝知の巨人〟エマニュエル・トッドの「中国崩壊論」の大きな過ち ……16

日本が核を持てばアメリカが喜ぶ、という大きな勘違い ……19

戦争の責任をアメリカとイギリスに求めるトッドの意見は正しい ……24

アメリカに食い荒らされていくヨーロッパ ……27

世界の火薬庫はヨーロッパとアジアしかない ……30

小国がいくら団結しても勝てないという世界政治の大原則 ……33

「日本核武装論」と「中国衰退論」をめぐる争い ……38

そもそもエマニュエル・トッドとは何者なのか? ……47

中国はたとえ核戦争になっても欧米白人と闘い抜く ……52

第2章 習近平は本気で欧米白人支配を打ち破る

党大会で何が本当に起きたのか ……60

習近平は戦争がいつでもできる体制を整えた ……72

すでに5年前に予言していた習近平体制3期目の本質 ……78

鄧小平の思想をいちばん引き継いでいるのが習近平 ……82

衰えゆく善人集団の共青団 ……86

新しい指導者はどういう人物が選ばれたのか ……93

田舎で泥だらけの苦労をした習近平 ……98

習近平はまだまだ虎もハエも叩くことをやめない ……105

第3章 台湾で戦争を起こしたいのはネオコン、ディープステ―ト、そしてカバールだ

習近平の横綱相撲で終わった米中首脳会談 ……110

台湾は平和的に中国の1つの省となる ……114

台湾は国家ではない ……126

台湾は自ら中国へと歩み寄っていく ……129

中国を食い物にしたのはそもそもイギリスである ……134

今の台湾は、アメリカの中国権益の成れの果て ……136

台湾人の多数派も台湾が独立国でありたいとは思っていない ……140

世界中で戦争の臭いを嗅ぎつけ火をつけて回る狂ったネオコンとムーニー ……145

第4章 中国が盟主となる新しい世界の枠組み

戦争を止めに来たキッシンジャー、火をつけに来たヒラリー ……152

世界金融システムに先制攻撃を加える中国 ……159

中間選挙で露わになったアメリカのさらなる没落 ……165

トランプは見抜いていたペロシの正体 ……172

「カバール」という恐ろしい欧米白人の最上流人種たち ……174

上海協力機構が次の世界をまとめるプラットフォーム ……178

トルコが加盟してがらりと変わった地政学的な意義 ……184

第5章 着々と野望を実現する中国の強靭な経済

最悪の状態を脱した不動産業界 ……192

半導体を止められても6G(シックス・ジー)がある ……196

SKハイニックスの裏は中国資本である ……204

追い詰められたヨーロッパは、中国以外に頼る国がない ……212

宇宙強国の橋頭保となる新しい宇宙ステーション「天宮」 ……215

ゼロコロナ抗議の「白紙運動」は、反政府活動家あぶり出しの一環 ……222

汚れきった江沢民の死と上海閥の終焉 ……228

あとがき ……232

=====

あとがき

私のこの、今年の中国研究本を書き終わって思うこと。

それは、本書の中でも書いたが、私は「習近平と父習仲勲(しゅうちょうくん)の親子2代の苦難の人生の物語」を書き残したことだ。

それを、遠藤誉(ほまれ)女史の近著で、大著の『習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』(ビジネス社刊、2021年3月刊)の、詳細で正確な記述を使いながら、私はこの「親子2代」を描こうと思った。ところが、これを本書に積み込むと、この本が積載過重[せきさいかいじゅう]overload [オウヴァーロウド])になってしまうことが分かった。

私は「父習仲勲と息子習近平の親子2代の物語」を書いて、どうしても日本人に、中国共産党の創立以来の100年(1921年から)の真実の大きな全体像を分からせたい。この仕事は、来年の私の中国本でやります。乞うご期待。

この本を完成させるために、ビジネス社編集部の大森勇輝氏の多大のエネルギーの投入があった。記して感謝します。

私たちは、普通の著者たちのような、読者に甘えきった、上から目線の本づくりはしない。お前たちが書く本はくだらない、つまらない。

私は、この世の本当の真実を、読者(読み手)の脳(頭)に、弾丸をビシッと撃ち込む決意で作っている。

2022年12月

副島隆彦

(貼り付け終わり)
(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 今回は、『日本は世界最低の英語教育の国だ。英文法の謎を解くが甦る(上・下)』(徳間書店)をご紹介します。発売日は2022年11月2日です。

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日本は世界最低の英語教育の国だ。英文法の謎を解くが甦る(上)

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日本は世界最低の英語教育の国だ。英文法の謎を解くが甦る(下)

 本書は副島隆彦先生の英語分野の代表作である『英文法の謎を解く』(1995年)、『続・英文法の謎を解く』(1997年)、『完結・英文法の謎を解く』(1998年)のちくま新書の3部作を、2冊にまとめて再刊です。

 以下に、はじめ、目次、あとがき(『完結・英文法の謎を解く』から)を貼り付けます。是非手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

はじめに

 本書は、ちくま新書から刊行した『英文法の謎を解く』(1995年)、『続・英文法の謎を解く』(1997年)、そして『完結・英文法の謎を解く』(1998年)の3冊を上下2巻の新装版にしたものである。

 この3部作は、幸い読者から好評を得てベストセラーとなり、シリーズトータルで40万部を超え、大きな反響を呼んだ。

「日本人が英語ができないのは、明治から続く日本の英語公(こう)教育に欠陥があるからだ」と、私は主張した。英語教育に関わる人々からの強烈な反発もあった。しかし、あれから 25 年が経過したが、事態はまったく変わっていない。日本人は英語が相変わらずへたである。25 年前に私が書いたことが、驚くべきことに、全く古くなっていない。この間、日本の大学の文学部の英文科卒共同体はいったい何をしていたのか。その責任が今も問われる。

 しかし、さらに真実は、今やどこの大学にも「英文科」はない。滅んでしまった。

 33年前(1989年)に起きた、ある事件(英和辞書のつくり方の欠陥問題を巡って争われた)の所為(せい)もある。

 日本の大学知識人たちは、国内だけで威張っている。世界標準(world values, ワールド・ヴァリューズと言う)から見ると日本には本物の知識人(インテレクチュアルズ intellectuals)はほとんどいない。海外で活躍するビジネスマンや理科系のエンジニアのなかに世界で通用する人々がいる。この真実を正直に認めあう真剣さと正直さが、現実を打開してゆく唯一の方策である。これだけが、日本人の英語学習を根底から変革する。この現実のひどさをみんなで正直に認めて公然と議論しさえすれば、日本人の英語学習問題は、急激に改善する。本書が復刊されたことで、この議論の起爆剤になることを、私はひたすら祈る。

副島隆彦

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日本は世界最低の英語教育の国だ。英文法の謎を解くが甦る──上巻目次

第1部 英文法の謎を解く

はじめに 1

第1章 have について考える

have について考える 11

基本動詞 have について考える 11

固有名詞の前の a the について 11

病気の have を覚えよう 13

have be と同祖である 14

超動詞 get の登場 17

イギリス英語とアメリカ英語の違い 19

I donʼt know . をきちんと言おう 20

have を身近にしよう 22

evening は何時? 24

時制について 25

第2章 I am happy.  は、×「私は幸せです」ではない

fine happy の違い 29

超基本語 well, good, nice の使い方 31

You are wrong . の正しい意味 33

Watch your step ! ──足元を見つめよう 35

I hear you. を訳してみよう 38

I am juice. は、日本語英語の極北である 40

please の2通りの使い方 43

第3章 基本的な動詞の使い方を知ろう

say, talk, speak, tell, call について 47

say の使い方 49

tell の使い方 50

call について考える 51

現代英文の基本形 52

前置詞 of の意味 54

あまり便利ではない英和辞書 56

基礎工事のダメな日本人英語 58

第4章 文型理論と品詞分類法はちがう

現在完了形とは何か 59

現在完了形の構文分析 61

be have は別格である 62

叙述用法の be 64

be の使い方の4つの基本種類 65

「構文」とは何か 66

Itʼs a Sony. について 67

文型分類理論の完成 70

現在進行形を考える 72

動名詞か、現在分詞か 74

不定詞とは一体何のことか 77

第5章 It people について考える

Itʼs good. について 85

「天気・天候の it 」について 86

「時間の it 」について 88

it this that も同じである 88

Itʼs me. ’ について 89

「日本人はよく働く」という文を英作文してみよう 90

種類全体を表す the 91

種類全体を表す a 93

数えられる名詞と数えられない名詞 94

猫は昼間はよく寝ています 95

people というコトバもむずかしい 97

統辞論と意味論の両面から考えよう 98

英語の試験のチェックポイント 99

第6章 日本人だけしか使わないヘンな英語

What is the matter with you? はヘンな英語だ 101

Itʼs kind of you to ...... について 103

× hearing test (ヒアリング・テスト)について 105

× speak ill of (スピーク・イル・オヴ)について 106

× had better (ハッド・ベター)について 107

a walking dictionary (ア・ウォーキング・ディクショ

ナリー)について 109

Mother (マザー)について 110

senior to ......,  junior to ......(シニア・トゥー、ジ

ュニア・トゥー)について 110

I go out. I start home. (アイ・ゴー・アウト、アイ・

スタート・ホーム)について 111

第7章 仮定法は、なぜむずかしいか

「ただの条件の文」は仮定法ではない 115

日本人になかなか理解できない理由 116

仮定法・過去の文 177

仮定法・過去完了の文 119

仮定法・過去の文の方がコワイ 120

仮定法とは、最高度に洗練された表現法だ 123

直説法・現在の文 124

「仮定法・現在」「仮定法・未来」の文 126

すっきり分かる「仮定法・過去完了」 129

仮定法 と 条件法 はちがう 133

クレオパトラの鼻──仮定法・過去完了の文 135

今は使われない仮定法・現在の文 136

願望表現の仮定法 139

第8章 英語文法理論の体系英語の山と「節」について

英文法体系の立体図式 145

輸入英文法の混乱 147

英文の立体化モデル 148

英語勉強のスキーの山 152

文と節はどうちがうのか 154

関係代名詞とは何か 155

副詞節 の代表選手は when 161

8種類の 副詞節 162

接続詞の使い方を徹底的に習熟しよう 164

第9章 文型理論と「第5文型の文」

例文を文型理論で考える 167

第5文型の代表文例 170

さまざまな第5文型の文 172

深刻な問題 177

第10章 比較の表現

比較表現 の 連続的展開 183

大学入学試験に出題された問題 194

第2部 続・英文法の謎を解く

はじめに 199

読者からの手紙 199

本書がめざすテーマ 203

第11章 存在の be について考える

It is 3 hours. で考える 205

It wonʼt be long before. について 207

Iʼm late. で到着の be を考える 211

さらに「存在の be」を考える 219

第12章 英文法とドイツ文法の関係について考える

私が書いた一文について 223

第13章 日本人だけしか使わないヘンな英語

テレビ・コマーシャルの英語 233

ニガイ午後の紅茶 238

異文化コミュニケーションの失敗談 246

英語教育の中のヘンな英語 249

日常生活の中のヘンな英語 251

第14章 seem look はきわめて重要な動詞である

seem look の重要性 259

「見ている」のは誰か 260

叙述用法の型の文 262

第2文型か第3文型か 262

その他の代表的な不完全自動詞 268

It seems that...... の重要性について 273

現代アメリカ人は seem を嫌う 275

第15章 good bad 倫理判断と価値判断のちがい

「彼はいい人だね」の「いい」とは何か 279

倫理判断と価値判断の表 282

正義(ジャスティス)について 289

be good at~ について 291

value について 294

第16章 the way how の関係そして what that

the way の使い方 299

関係代名詞・関係副詞の最高級問題 302

助動詞扱いの be to について 308

A is B. の文と「助動詞の is to」の文の区別をつけよう 310

that what の関係について 313

複合関係代名詞 の whatever の早分かり 315

some any every のちがい 316

「~の間」を表わす前置詞 318

日付の書き方 323

あとがき 329

付録① 第5文型の文の表 331

付録② 英文法用語たったこれだけの表(まとめ) 332

付録③ 140 個の基本動詞について 336

付録④ get の七変化論 339

*  *  *

日本は世界最低の英語教育の国だ。英文法の謎を解くが甦る──下巻目次

第2部 続・英文法の謎を解く(承前)

上巻に続いて はじめに 1

第17章 なぜ、日本人は英語がへたなのか 

東アジアの英語文化圏 11

言語的に孤立した国「日本」 13

ピジンとクレオール 15

日本人の英語は、ピジン・イングリッシュ 17

第18章 基本動詞の使い方について考える 

自動詞と他動詞の区別はできない 21

I think that......「~と私は思う」の使い方 25

再び、I go to school. の基本文について 29

第19章 ラテン語文法の「格」と英文法の「文型」の統一に向かって 

ラテン語文法の「格」と英文法の「文型」 37

英文法の「語」とラテン・ドイツ文法の「格」の関係の表 39

20 章 英語の音声について(発音論) 45

英文を音声として読むことは簡単なことではない 45

「アは6つある!」 「二重母音は4つある!」 と覚える 49

日本人の英語発音の致命的欠陥 52

英和辞書の発声表記 56

音声記号を自力で書いてみる 61

子音の清音と濁音 64

日本語のサ行摩擦音について 66

日本語の「フ」と「ヴ」について 67

ダーク・エルの問題 69

「エ」と「イ」の音の区別 72

第3部 完結・英文法の謎を解く

はじめに 75

第21章 「人、人間」を表す one a person 

a person one の法則を知ること 79

people はただの「人々」でいいのか? 81

a person one の複数形が people である! 84

You の使い方も重要 85

We には総称的用法はない 87

Man a man men は全然違う 88

human beings には学術用語的な硬さがある 91

Itʼsto の構文から You を考える 92

a person の代名詞は何? 96

it one はどう違うか 101

第22章 冠詞 a the と複数形の -s の問題はやっぱり奥が深い 

I like a cat. の誤文を訂正する 105

a the の問題はやっかいだ 110

第23章 基本語の All → Many → Some → No

システムとして理解する数量表現の基本 119

重要なのは基本語の理解である 119

All → No の体系表 122

大学受験でよく出題される英作文問題 133

代名詞の one, other, some の使い方 138

第24章 I am a Japanese.

「私は日本人です」は間違い英文らしい 145

I am a Japanese. は誤りか 145

for a long time「長い間」について 149

代表的な不可算名詞と people 163

第25章 「煙草をすってもいいですか」 

相手に許可をもとめる助動詞 may can 169

would の怖さが分かれば一人前 171

学校英語の教え方が問題である 177

第26章 「これを英語でなんと言うの」

Whatʼs the English for this ? 181

外国語の勉強の基本 181

「これを英語でなんと言うの」の英文を考える 184

「語る」と「話す」の違い 188

What 型と How 型の疑問文 190

Whatʼs the English for this ? 193

第27章 第五文型論 再説 

複雑なしくみをもつ第五文型の文 195

動詞 help の使い方 197

「ポン・ポン・ポン・そしてポン」のリズムで理解する 202

大学入試に出題されつづけた悪問 220

第28章 人間の感情・判断を表す動詞 

人間の感情・判断を表す動詞たちの代表選手 227

Iʼm shocked. -ed がむずかしい 235

 

第29章 mind ×心ではない。思考、知能である 

「気にする、いやがる」の mind 243

Yes, I mind. は「私はイヤです」だ 251

Yes No は常にはっきりさせる 254

mind ×「心」ではない 258

mind は思考力である 261

思考に関する数々の抽象語 262

諸辞書の mind の定義 266

日本のマインド・サイエンティストたちの恥さらし 268

mind は頭の中の思考力のことである 280

あとがき 285

付録① 表英文法用語たったこれだけの表 287

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あとがき

 この本で、私の『英文法の謎を解く』は、一応、3巻完結となる。多くの読者に恵まれたので著者としては満足しなければならない。寄せられた読者からの手紙や反響を総合して判断すると、『正』編・『続』編の読者の中心部分は、中学・高校の英語教師と、それから学習塾や予備校で英語を教えている教師(大学生を含む)たちであることが分かった。つまり現場の第一線の教師たちが、私の本から真剣に学んでいることが分かった。

 この現場のまじめな教師たちにお願いする。私が独力で築きあげた理論を自分勝手に変造したり、小手先の教室技術として活用するのではなくて、もっと大きく「自分こそは、奇型化しつくした日本英語教育の現場にあって、その責任を負っている者のひとりだ」という自覚と反省を持ってほしい。

 私自身を含めて、このままでは、いかんのです。絶対にいかん。日本人英語教師30万人自身が言語障壁(a language barrier, ランゲッジ・バリアー)の分厚い層として、日本を外側世界から遮断する壁になっている。この現状を何とかせねばならない。

 まだまだ書きたいことはたくさんある(おそらくあと10冊分ぐらい)のだが、目下、私は、アメリカ政治思想研究と国家戦略研究のほうが忙しい。今は、日本人(日本国民)をここまで世界から孤立させてしまった諸原因を探索し、その元凶を発見することに熱中している。

 その仕事が一段落したら、再び、この日本英語教育批判のフィールドに戻って来ます。ここは私の独壇場でありホーム・グラウンドだ。だから誰にも気兼ねする気がない。もし身のほども知らずに、踏み荒らしてくる者があれば鎧袖一触(がいしゅういっしょく)、殲滅(せんめつ)するだけである。

1998年 7月

副島隆彦

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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