古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

カテゴリ: 日米関係

 古村治彦です。

 

 『ニューヨーク・タイムズ』紙のウェッブサイト版の女性に関するページ「Women in the World(世界における女性たち)」に面白い記事が掲載されました。

 

 それは、「日本のファーストレイディーは、トランプとの会話を避けるために、英語がしゃべれないふりをしたのか?」というタイトルの記事です。記事の内容を以下にまとめてご紹介します。

 

(貼りつけはじめ)

 

Did Japan’s first lady pretend she doesn’t speak English to avoid talking to Trump?

 

2017/07/20

WITW Staff

http://nytlive.nytimes.com/womenintheworld/2017/07/20/did-japans-first-lady-pretend-she-doesnt-speak-english-to-avoid-talking-to-trump/

 

(貼りつけ終わり)

 

 ニューヨーク・タイムズ紙の政治記者マギー・ハーバーマンがドナルド・トランプ大統領にインタヴューを行い、その中で、先日のG20サミットの様子についてトランプが話をしました。G20サミットでは20各国の指導者たちと配偶者たちが集まり(40名)、その他にEUの最高幹部たちやIMFのラガルデ専務理事もいたので、50名ほどになった。世界各国からのメディアも来ていて、みんなでたくさんの写真を撮った。

 

 オペラを皆で見に行った、その後に夕食会となった。トランプ大統領の隣は、安倍昭恵夫人が座った。トランプ大統領は、「安倍首相も昭恵夫人も素晴らしい人たちだが、昭恵夫人は英語がしゃべれない」とインタヴューで述べています。ハーバーマン記者が「全く、ゼロ?」と驚くと、トランプ大統領は「ハローさえ言えないくらい」と答え、「その席にいるのは大変だったでしょう」とハーバーマン記者が質問し、「大変だった、だって、その席にどれくらい座っていたと思う?」とトランプ大統領は答え、「何時間もでしょう」とハーバーマン記者が言い、「1時間45分だった」とトランプ大統領が答えました。


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 このインタヴューが出た後、昭恵夫人に対して、奇妙な評価が出てきました。昭恵夫人は先日の安倍首相の訪米に同行し、メラニア夫人と日本庭園を訪れたり、フロリダ州のマーアラゴ・リゾートで夫妻同士で夕食を楽しんだりしました。この時の様子は写真や映像に残されています。この時の様子から、「昭恵夫人が英語ができないというのはおかしい、この時にはちゃんと英語でコミュニケーションを取っている」ということになりました。

 

 そこで、アメリカ国内のフェミニストたちは、「昭恵夫人はトランプ大統領と話をしたくないために、英語ができないふりをした」という解釈をし、彼女は素晴らしいということになりました。

 

 私も昭恵夫人が聖心学園で教育を受けたという経歴を持っている以上、同世代の人々よりも英語や外国人に接する機会が多かったと考えますので、昭恵夫人が、「ハローも言えないほど」に英語ができないということは考えにくいと思います。また、立教大学大学院でミャンマーの教育に関する研究で修士号を取得し、ミャンマーも訪問していることを考えると(ミャンマーはイギリスの植民地であったことを考えると)、英語が全くできないというのはないと思います。

 安倍昭恵夫人が英語でスピーチを行っている映像も見ましたが、英語が全くできない人だとはとても思えませんでした。発音などは安倍首相よりも上手でした。あれだけきれいな発音なら、難しい議論はできないにしても、あいさつや楽しい会話はできると思います。


 

 しかし、G20の夕食会で、隣り合ったトランプ大統領と全く会話をしなかった、英語が出来ないふりをしたというのはおかしいと思います。また、彼女の人懐こい性格から考えて、たとえ言葉ができなくても、何とかコミュニケーションを取ろう、その場にいる人たちを楽しませようとするだろうことは容易に推測できます。

 

 ですから、昭恵夫人がトランプ大統領を約2時間もほったらかすということは考えにくいのです。しかし、実際にトランプ大統領はそう感じた、そして、彼女は英語ができないのだと考えたということです。

 

 なぜ昭恵夫人がトランプ大統領と話さなかったのか、ということが疑問として残ります。英語ができないからということはおそらく理由ではありません。それでは、フェミニストが言うように、女性蔑視をするトランプ大統領が嫌で話さなかったということがあるでしょうか。彼女は自分に批判的、敵対的な人たちとも話をしてきました。ですから、トランプ大統領が嫌いだから話さないということはないように思われます。

 

 昭恵夫人は2月以降、森友学園問題や秘書の業務に関して、大きな批判を受けてきました。そのために昭恵夫人の行動にメディアの関心も集まるようになりました。結果として、彼女の「天然」な行動も報道されるようになりました。

 

 また、安倍首相の訪米では、安倍首相自身はお酒を飲まないが、昭恵夫人はお酒をたしなむので、トランプ大統領夫妻との夕食の席上、一人でワインを飲み過ぎて、周囲をあきれさせたということも報道されました。緊張状態で、自分が頑張らねばと思うと、アルコールが回ってしまって、いつもよりも酔ってしまうのが速くなるということもあったとは思いますが、外交上の礼を失する行動であったということも言われました。また、昭恵夫人は誰に対しても物怖じしませんから、トランプ大統領に何かとんでもないことを言う可能性を周囲は心配したでしょう。

 

 従って、今回は昭恵夫人には特に厳しく、いつものように振る舞うのではなく、おとなしく、目立たないようにするよう、という注意がなされていたのでしょう。そして、その注意を忠実に守ろうとして、トランプ大統領をほおっておくということになったのだと思います。こう考えると、昭恵夫人は非常に不器用なように感じられます。

 

 しかし、もしこれが計算でなされたのだとすると大変な策士であると言わねばなりません。注意をした人々に対してやり返してやろう、鼻を明かしてやろうということで、わざとトランプ大統領を無視するような行動を取ったということになれば、大変な計算です。「私を押さえつけようとするなら、それに従いますよ」ということで、徹底的におとなしく、やり過ぎなほどにおとなしくして、かえって問題になるということになれば、今度は、おとなしくするように注意した人たちに「どうしてそういうことを言ったのだ」という批判が向かいます。

 

 「おとなしくしてほしい」という注意を逆手にとっての報復、ということになると、これはこれで大変なことです。

 

 真相が何かは分かりません。


 しかし、トランプ攻撃のために何でも使われるものだなぁと感心させられます。

 

(終わり)




アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12





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 古村治彦です。

 

 今回は日本の戦後史についての本をいくつかご紹介します。日本の戦後がいかに形成されたのか、そのために歴史を知ることは現在を理解することに役に立ちます。日本の戦後史を扱った書籍は数多く出版されています。研究者でもない限り、それらを読破することは不可能です。読み終わるだけで人生が終わってしまいます。そうは行っても読まなくは始まりませんから、是非興味をひかれる本から読み始めていただければと思います。

 


 
 まずは『「日米関係」とは何だったのか―占領期から冷戦終結後まで』(マイケル・シャラー著、市川洋一訳、草思社、2004年)をご紹介します。本書は太平洋戦争後の日米関係についての歴史を網羅した本です。英語の原題は
Altered States: The United States and Japan Since the Occupation(変えられた国々:占領以降のアメリカと日本)です。日米両国は、戦争当事国、戦勝国・敗戦国、同盟国と関係が変わってきました。また、アメリカは、「反共の防波堤」として、またアジア地域での同盟国筆頭として日本の国力を増大させようとし、その結果、日本が国力をつけすぎて、経済的な競争相手となり、一時期は「経済戦争で日本がアメリカに復讐を果たした」といわれるほどになりました。本書は、日本の「失われた20年」の前までの日米関係史を望来していますので、現在の日本衰退論、アメリカ衰退論、中国の勃興といったことは書かれていません。

 

 本書を読んで感じたこと、それは、日本は中国の「使い方」次第で、アメリカに対して大きな交渉力を持つということです。それは、アメリカと中国に挟まれた地理的環境をうまく利用するということになります。「日米中三角形」ということは、日本の政治家でも話をする人はいますが、戦後、日本はアメリカと対峙するために、中国の存在を利用してきたということが本書には随所に描かれています。アメリカとの交渉の際に、「中国カード」が有効であった様子が伺えます。

 

 戦前の日本にとって中国は重要な貿易相手国でした。日本製品の大きな市場でした。しかし、戦後、日本がアメリカに占領されている間に、国共内戦が始まり、中国共産党による中華人民共和国建国となり、その後、朝鮮戦争も勃発し、日本は大陸と引き離されることになりました。しかし、日本国内には、経済再建のために、国交と貿易関係の回復を望む声がありました。東南アジア諸国は戦禍と植民地支配から脱したばかりで日本の輸出先市場としては期待が持てない状況でした。そこで、戦前から関係が深かった中国、厖大な人口と土地を持つ中国本土と経済関係を復活させたいという声が財界から上がっていました。

 

 これに対して、アメリカはかなり「気を遣って」いました。日本が共産圏に近づかないように、経済援助を与え、最終的には独立させます。また、アメリカ市場を開放し、日本をアジアにおける「反共の防波堤」として成長させ、ソ連と中国に対峙させようとしました。朝鮮戦争はその意味で、日本の経済成長のスタートのきっかけとなりました。

 

 1960年の日米安保条約改定の前後、日本ではアメリカに対する反感が高まりました。これを抑えるために、ジョン・F・ケネディ大統領は、駐日大使に母港ハーヴァード大学教授のエドウィン・O・ライシャワーを起用しました(ケネディ・ライシャワー路線と呼ばれます)。日本生まれで日本語が堪能、妻も日本人(元老松方正義の孫)であったライシャワーは恐らく、史上最も人気のあった駐日大使です。ライシャワーは日本の保守陣営だけではなく、左翼、労働組合、知識人とも対話を行うことで、親米葉を増やしていく戦略を採りました。私は拙著『アメリカ政治の秘密』で、このライシャワーこそがジャパン・ハンドラーズの元祖であり、ケネディから日本管理路線が始まったと書きました。

 

 しかし、ニクソン大統領が登場する頃になると、アメリカは疲弊してきました。この時代にも「アメリカの衰退」が囁かれていました。ヴェトナム戦争と経済力の低下によって国力が落ちたアメリカは、日本に気を遣ってくれなくなります。対日貿易赤字は赤字が膨らんでいくのに、日本はその削減をしようとしない、軍事的な支援もしてくれない、という不満を募らせました。日米繊維交渉では、日本に輸出の自主規制を求めます。また、沖縄返還でも米軍基地はそのままということになりました。更には「ニクソン・ショック(米中国交回復とドルの兌換停止)」は長期政権を誇り、中華人民共和国との関係樹立に消極的であった佐藤栄作政権に大きな打撃を与えました。

 

 本書を通じて、私は理解したことは、戦後日本の政治指導者たち(自民党)は、国外ではソ連や中国、国内では社会党や労働組合をうまく「だし」に使って、アメリカから何とか自分たちに有利になる条件を引き出してきたということです。再軍備の要求では「それでは社会党や共産党を勢いづかせて、私たちが政権を失ってしまいます、そうなると共産圏に近づきます」と言って、社会党側にも「少し騒いでくださいね」と頼むことで、かわしました。また、アメリカからの経済援助や市場開放を引き出す時には、「中国本土との関係を改善しないと経済力の回復と成長はできません」と言うことで、条件をうまく引き出すことが出来ました。

 

 こうした交渉はずるいと思われるかもしれませんが、国益と言う点では大変素晴らしいものであったと言えます。しかし、現在はこういう交渉ができる政治家はいません。アメリカにべったり、アメリカの言うことさえ聞いていれば、御身大切というひとたちばかりです。この点で、日本の外交は退化しているということが言えるでしょう。

 

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戦後の日米関係の研究書として『戦後アメリカの対日労働政策と地域共闘組織の対抗』(森健一著、熊本出版文化会館、2013年)をご紹介します。著者の森氏は、熊本大学卒業後、東京都立大学大学院修了、現在は鹿児島県内の私立高校で教鞭を執っておられます。私はひょんなことから紹介され、『戦後アメリカの対日労働政策と地域共闘組織の対抗』をご恵贈いただきました。森氏は夏休みにアメリカの国立公文書館に行き、資料を収集し、本書を上梓されました。そのご苦労に敬意を表します。

 

 第3章「1956年の『マグルーダー』計画と日米生産性委員会―東京・大田区の機械工業にみる保守基盤の形成」が注目です。ここで出てくるマグルーダーという名前は、日本の戦後史にとって重要な人物の名前です。カーター・B・マグルーダー(Carter B. Magruder、1900―1988年)は、アメリカ陸軍大将でした。このマグルーダーが日米安全保障条約の原案を作ったことは、『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』(矢部宏治著、集英社インターナショナル、2016年)で指摘されています。『戦後アメリカの対日労働政策と地域共闘組織の対抗』で、森氏は、日本の戦後復興にマグルーダーが果たした役割を書いています。これを「マグルーダー計画」と言います。

 

マグルーダーは、ヴァージニア大学中退後、陸軍に入隊し少尉任官後に、陸軍士官学校に進みました。1932年にはパデュー大学で機械工学の修士号を取得していますから、軍官僚として優秀な人物であったと思われます。1941年に陸軍省参謀部補給担当参謀次長、1944年に在欧米軍補給担当参謀次長となりました。米軍内の兵站担当の専門家となりました。また、1950年代:国防総省のスタッフの中心となって「日米安保条約・国防総省案」を作成しました。これを「マグルーダー原案」と言います。1959年には大将昇進し、在韓国連軍司令官兼第八軍司令官に就任しました。

 

 マグルーダーは兵站の専門家として、1956年に日本を「米軍の兵站工場」にする計画を立てました。そして、極東米軍の兵站のために、日本の大企業(トヨタ自動車や三菱重工業)に大量発注を行い、また、これらの企業の経営指南と生産性向上のためにアメリカから専門家を招へいしました。こうした生産性向上の動きが「日本生産性本部」の誕生につながりました。そして、日本の労働組合の穏健化も進めました。

 

 このマグルーダーという人物は日本の戦後政治史において重要な人物です。是非、『戦後アメリカの対日労働政策と地域共闘組織の対抗』をお読みください。

 

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日本の戦後、特に連合国(ほぼアメリカ一国)による占領時代について知りたい方は、『日本占領史
1945-1952 東京・ワシントン・沖縄』(福永文夫著、中公新書、2014年)をお読みください。この本には占領下の日本の歴史が網羅されています。副題が「東京・ワシントン・沖縄」とありますが、戦後史であまり語られてこなかった1945年から1952年までの沖縄の歴史が書かれていますが、これは大変価値があることだと思います。また、ワシントン(国務省と国防総省、ホワイトハウスの対立)と東京(日本占領当局であるSCAP[GHQ]の対立)の対立ということも描かれています。

 

 GHQでは、民政局(GS)のホイットニー・ケーディスと参謀第2部(G2)のウィロビーの争いがありました。GSは革新的、急進的な改革を志向し、G2はそれに対して批判的でした。ワシントンでは、国務省と国防総省で対立がありました。国務省は日本の占領を想起で終了したいと考えていましたが、国防総省は、日本の占領の継続、日本国内の米軍基地の継続使用を強硬に主張していました。こうしたことは他の本でも書かれています。この本は沖縄の1945年から1952年までの歴史に多くのページが割かれており、ここに価値があると考えます。

 

 沖縄では悲惨な地上戦が展開され、多くの人々が犠牲となりました。沖縄の民間人は収容所に入れられ、その後、解放されましたが、自分の土地に戻ってみると、そこは米軍基地にされていたという人々が多くいました。この米軍基地として接収された土地ですが、日本が独立を回復する1953年までは戦争状態の継続を理由に使用料を払われていなかったということを知り、アメリカでも官僚主義とは酷いものだし、勝者は理不尽なものだと改めて強く怒りを覚えました。

 

 沖縄は日本とアメリカの狭間で忘れられた存在となっていた時期もあり、米軍が直接軍政を敷く状態が続きました。そうした中で、沖縄の人々の自治も米軍が認める範囲でだけ認められ、また、琉球政府も創設されましたが、あくまで、米軍の意向を実施するだけの機関でした。そして、日本は1953年に独立を果たしましたが、沖縄は米軍の軍政下に置かれたままとなりました。

 

 私は歴史的な経緯も考え、沖縄独立という選択肢があってもよかったと思っています。現実としては、日本の一部であることが沖縄にとっても経済的に良いということもあるかもしれませんが、その地理的環境から、独立してもやっていけるのではないかとも考えています。私の場合はその調査研究をしたことがないので空想の夢物語の範囲でしかないのですが。

 

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 日本占領史の裏面史としては、『占領史追跡』(青木冨貴子著、新潮文庫、2013年)をご紹介します。この本は、戦後日本で活躍したコンプトン・パケナム(
Compton Pakenham、1893―1957年)という人物の評伝となっています。パケナムはアメリカの雑誌『ニューズウィーク』誌の創刊に参加した人物で、日本生まれで日本語が堪能であったことから戦後『ニューズウィーク』誌の日本支局長を務めました。

 

 パケナムは日本の神戸生まれで、イギリスの名家パケナム家の支流にあたる人物です。中国のチーフ-・スクールで教育を受け、イギリスに帰国し、第一次世界大戦に参戦します。奇跡的に生き残り、その後、アメリカにわたり大学で教鞭を執ります。しかし、彼は経歴を詐称していました。「有名なパブリックスクール[上級階級の子弟向けの寄宿進学準備校]のハーロースクールから、王立陸軍士官学校で学びオックスフォード大学で博士号を取得したという触れ込みで全米各地の大学で教鞭を執っていました。昔は学位の確認などいい加減だったのだろうと思われます。

 

 著者の青木氏は、パケナムの上司であったニューズウィーク誌の外信部長ハリー・カーン(ロッキード事件でも名前が出ました)について調べている過程で、カーンの遺族から、パケナムの日記を渡され、これが『占領史追跡』につながりました。

 

 パケナムは自分が育った日本が大きく変貌していること、彼がもともと知っていた野村吉三郎海軍大将(太平洋戦争開戦時の駐米日本大使)が困窮している姿を目撃し、占領軍の行っている日本改革に批判的となり、マッカーサー批判記事を展開し、日本への入国禁止措置を取られるほどになりました。

 

 パケナムはアメリカにいるハリー・カーンと連絡を密にとりながら、ジャーナリストとしての仕事と諜報の間を行き来しながら仕事をしていました。

 

パケナムは、昭和天皇の意向をアメリカにつなぐチャンネルの結節点となっていました。このチャンネルは、昭和天皇―松平康昌(宮内府式部官長、越前松平家、貴族院議員、昭和天皇の側近)―パケナム―ハリー・カーン―ジョン・フォスター・ダレス(ディーン・アチソン国務長官顧問、国務長官)とつながっていました。松平はしばしばパケナムの自宅を訪ね、皇太子(今上天皇)の留学先問題や東京裁判における天皇訴追の問題などを相談するという形で、昭和天皇の意向をパケナムに伝え、彼を通じてアメリカに伝えていました。

 

昭和天皇はマッカーサーともつながりながら、冷戦開始とともに変化しつつあった国際環境に日本を適用させようとして動いています。

 

 パケナムは吉田茂の再軍備反対路線に反対し、吉田はサンフランシスコ講和条約、日米安全保障条約の締結後には引退し、その後は鳩山一郎が首相になると考え、鳩山にも接触していました。また、鳩山の後には岸信介が首相になると予想していました。こうした点で、政治的な嗅覚が鋭い人物であったことが分かります。

 

 パケナムはニューディーラーが主導した戦後日本の改革に反対する潮流に属し、戦前の日本から存続したエスタブリッシュメントと繋がりながら、日本の改革の急進性を中和させた人物、逆コースの実現に貢献した人物であると言えます。

 

 戦後日本では、このように表と裏の顔を使い分ける胡散臭い人物たちが活躍した時代もありました。『東京アンダーワールド』(ロバート・ホワイティング著、松井やより訳、角川文庫、2002年)というニコラ・ザペッティという人物を主人公にした本も合わせてお読みいただければと思います。

 

東京アンダーワールド (角川文庫)
ロバート ホワイティング
角川書店
2002-04


(終わり)
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 古村治彦です。

 

 昨年12月から今年1月にかけて、新しい米国駐日大使として、ウィリアム・F・ハガティ(William F. Hagerty)の名前が出ていました。いよいよハガティがアメリカ連邦上院の承認を受けて正式に就任し、日本にやってきます。

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ウィリアム・ハガティ

 

 ハガティは1960年生まれで、地元テネシー州のヴァンダービルト大学を卒業しています。そして、同大学のロースクール(法科大学院)を修了しています。アメリカの鉄道王ヴァンダービルト家の寄付で創設された名門大学です。卒業後に有名なコンサルティング会社であるボストン・コンサルティングに入社し、日本に3年間駐在したことで、日本と縁が出来ました。

 

 1988年からのジョージ・H・W・ブッシュ政権ではホワイトハウスのスタッフとなり、経済と貿易政策を担当しました。その後、地元に戻り、投資会社ハガティ・ピーターソン社を設立しました。また、テネシー州経済開発局長となり、外国企業の誘致も行いました。以下の記事によると、日産とブリジストンが誘致によってテネシー州に進出したそうです。

 

(貼りつけはじめ)

 

Tokyo approves of Trump-picked Hagerty as next U.S. ambassador

 

Kyodo

 

The Japan Times

Mar 14, 2017

http://www.japantimes.co.jp/news/2017/03/14/national/politics-diplomacy/tokyo-approves-trump-picked-hagerty-next-u-s-ambassador/#.WMd_SWdBpaT

 

WASHINGTON – The United States has gained approval by Japan of President Donald Trump’s pick of William Hagerty as the next ambassador to Tokyo, sources familiar with bilateral relations said Monday.

 

Tokyo’s consent will pave the way for Trump to announce his nomination of Hagerty, 57, in the near future. Hagerty is expected to assume the post following Senate approval, succeeding Caroline Kennedy.

 

Hagerty is expected to handle a host of bilateral issues, ranging from the Trump administration’s calls for the further opening of Japan’s automobile and agriculture markets to the stalled relocation of a U.S. military base’s operations within Okinawa.

 

He has built ties with Japan through a three-year posting to Tokyo while working for the Boston Consulting Group, as well as his work as commissioner of economic development for Tennessee, assisting operations in his home state by Japanese companies, including Nissan Motor Co. and Bridgestone Corp.

 

Hagerty is said to have close ties with the Republican establishment, partly because he worked for the 2012 presidential campaign of Republican nominee Mitt Romney.

 

(貼りつけ終わり)

 

 ハガティは、2016年の米大統領選挙ではジェブ・ブッシュを支持していましたが、共和党全国大会以降はトランプを支持しました。そして、ドナルド・トランプが大統領選挙に当選後、政権移行ティームの人事担当となり、閣僚やスタッフの候補者たちを数百人面接したということです。


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安倍晋三首相とジェイムズ・アワー

 

 ハガティで注目すべきはヴァンダービルト大学を巡る人脈です。ヴァンダービルト大学には、ジャパン・ハンドラーズの1人でありジェイムズ・アワー教授がいます。ジェイムズ・アワーは1963年にマーケット大学(ウィスコンシン州)を卒業後、米海軍に入隊し、佐世保に赴任します。その後、1968年にボストンにあるタフツ大学フレッチャー記念法律外交大学院(フレッチャースクール)の博士課程に入学します。ボストンにあるハーヴァード大学、マサチューセッツ工科大学、タフツ大学は名門校同士で、教授や学生たちの交流が盛んなことで知られています。

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 ヴァンダービルト大学
 

 アワーはハーヴァード大学教授だったエドウィン・O・ライシャワーの勧めもあって、日本の海上自衛隊の研究で博士号を取得します。博士論文(「日本海上兵力の戦後の再軍備194571年」)は、『よみがえる日本海軍』(妹尾 作太男訳、時事通信社)として日本でも出版されました。その後、在日米海軍司令官付政治顧問、横須賀基地所属ミサイル・フリゲート艦長などを歴任し、1983年に海軍を退役し、国防総省勤務となりました。国防総省では、日本部長や国防次官特別補佐官を歴任し、1988年に国防総省を退官し、ヴァンダービルト大学教授となりました。ヴァンダービルト大学でアワーの薫陶を受けた人物には、長島昭久衆議院議員(民進党)がいます。長島代議士は防衛政策に造詣が深いことで知られています。

 

 1990年代からテネシーを拠点としていたハガティとアワーは日本とのつながりも深いということで、よく知っている仲であると言えましょう。ハガティは日本政界での人脈はそこまで広くないでしょうから、その点でアワーの人脈や影響力を頼りにするのだろうと思います。この点で、ジャパン・ハンドラーズの中で、ジェイムズ・アワーの存在感は大きくなるのだろうと考えます。

 

(終わり)













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 古村治彦です。

 

 ロイター通信のスクープで、日本のヘリコプター用航空母艦「いずも」が5月から南シナ海に派遣され、各地に寄港し、インド洋での米海軍とインド海軍の共同演習「マラバール」に参加する計画が立てられていることが明らかになりました。

 

 これは、アメリカの対中姿勢が強硬姿勢になりつつあることを受けての措置だということです。また、中国との関係を深めようとしているフィリピンのデュテルテ大統領を「いずも」に招待することで、アメリカにつなぎとめようという動きの一環でもあるようです。

 

 この「いずも」ですが、実質的には航空母艦なのですが、攻撃的な武器を保持することはできないという憲法上の制限のために、駆逐艦ということになっているそうです。この実質航空母艦が約75年ぶりに日本海軍の力を見せつける目的で南シナ海からインド洋を巡回することになりました。

 

 アメリカのお先棒担ぎでもありますし、アメリカの命令でこのような計画になったものと思われます。アメリカは日本の頭ごなしに中国と「仲良く喧嘩する」ということにしながら、日本を中国にけしかける犬のように扱っています。今回の計画はいみじくもそのことを明らかにしました。

 

 現在の状況を見ると、日本は韓国ほどにデモクラシーが成熟してもおらず、フィリピンほどに独立国の気概を持ってもいないという大変哀れな姿であることが明らかになっています。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「スクープ:複数の取材源によると、日本は南シナ海に最大の戦艦を送る計画を立てている」

 

ティム・ケリー、ノブヒロ・クボ筆

2017年3月13日

ロイター通信

http://www.reuters.com/article/us-japan-navy-southchinasea-exclusive-idUSKBN16K0UP

 

日本政府は今年5月、最大の戦艦を、南シナ海を巡る3カ月の公開に派遣する計画を持っている。これは3名の取材源からの話で明らかになった。これは第二次世界大戦以降、南シナ海地域で日本の海軍力を見せつける最大の機会となる。

 

中国は、領有権争いをしている地域のほぼ全ての領有権を主張し、軍事プレゼンスを増大させている。これが日本と西洋諸国の懸念を増大させている。アメリカは高校の自由を確保するために飛行機と艦船による定期的なパトロールを行っている。

 

ヘリコプター専用母艦「いずも」は2年前に就役したばかりだが、今回の航海で「いずも」は、シンガポール、インドネシア、フィリピン、インドネシア(2回目)、スリランカに寄稿し、7月にはインド洋でのインド海軍、米海軍の艦船とのマラバール共同軍事演習に参加する。

 

取材に答えた複数の人々は、「いずも」は8月に日本に帰還すると述べた。

 

今回の計画に詳しいある人物は次のように語った。この人物はマスコミに対応する権限がないので匿名にしてくれるように依頼した。「今回の計画の目的は、拡大された使命にいずもを送り出すことで、いずもの能力をテストすることだ。いずもは南シナ海で米海軍と一緒に訓練をすることになるだろう」。

 

日本の海上自衛隊の広報担当はコメントを拒否した。

 

台湾、マレーシア、ヴェトナム、フィリピン、ブルネイは、南シナ海の領有を主張している。東シナ海は、豊富な海産物資源、埋蔵された石油と天然ガスがあり、毎年約5兆ドルの国際貿易の重要な通行路となっている。

 

日本が南シナ海で領有権を主張している地域は存在しない。しかし、日本は東シナ海で中国と領有権争いをしている。

 

別の人物は次のように語った。日本政府は、「いずも」がマニラから約100キロ(約62マイル)西にあるスービック湾に寄港した際に、フィリピン大統領のロドリゴ・デュテルテを「いずも」に招待したいと考えている。デュテルテはここ数カ月、中国との関係強化を進め、同時にアメリカとの古い同盟を批判している。

 

今回の日本の旗を敢然と掲げた作戦は、アメリカのドナルド・トランプ大統領が中国に対して強硬姿勢を取りつつあることを受けて行われる。アメリカ政府は、中国の人工島建設と軍事施設の建設を非難している。軍事施設に関しては、アメリカの行動の自由が制限されるものだと懸念を持っている。

 

今年1月、中国政府は、ホワイトハウスが「国際領域」を守ると主張したことを受けて、領有権争いをしている島々には、「反論を許さない」主権を持っていると主張した。

 

全長249メートル(約816.93フィート)は、第二次世界大戦期の日本の航空母艦とほぼ同じ大きさで、最大9機のヘリコプターを搭載できる。「いずも」は米海兵隊が保有する水陸両用の攻撃母艦によく似ている。しかし、「いずも」は上陸用舟艇やその他の艦船を収容することはできない。

 

安倍晋三首相率いる日本はここ数年、戦後の平和憲法の制限を広げ続けている。日本は、「いずも」を駆逐艦に分類している。これは、憲法では攻撃的な武器の保持を禁じているからだ。しかし、「いずも」によって、日本は領海を越えて軍事力を派遣することができるようになった。

 

「いずも」の主目的は対潜水艦戦である。東京近郊の横須賀を母港としている。横須賀はアメリカの第7艦隊の航空母艦の「ロナルド・レーガン」の母港でもある。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)








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 古村治彦です。

 

 今月末に橋下徹氏がアメリカの首都ワシントンDCを訪問する予定だということが明らかになりました。トランプ政権の首席ストラティジストであるスティーヴ・バノンやその他の政権幹部との会談ができるように調整中であるということです。また、ワシントンにあるシンクタンク、CSIS(戦略国際問題研究所)とヘリテージ財団で講演を行う予定になっています。トランプ政権幹部との面会は調整中でしょうが、CSISとヘリテージ財団での公演は既に決まっているでしょう。これに関連した記事をいかに貼り付けます。

 

(貼り付けはじめ)

 

橋下前大阪市長、今月26日訪米 トランプ政権と会談模索

 

東京新聞 201734 0200

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017030301002199.html

 

 日本維新の会の法律政策顧問を務める橋下徹前大阪市長は3月26日から29日の日程で米首都ワシントンを訪問する方針を固めた。日米関係などをテーマにシンクタンクで講演するほか、トランプ政権幹部との会談も模索している。維新関係者が3日明らかにした。維新メンバーとして外交の表舞台に立つことで政界復帰論が膨らむ可能性もある。

 

 馬場伸幸幹事長と、下地幹郎国会議員団政調会長も同行する。橋下氏はトランプ大統領について、自身のツイッターで「真の政治家」「目的達成のためには犠牲も批判も恐れない」と評価している。

 

(共同)

 

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Ex-Osaka Mayor Hashimoto aims to meet Trump aides — including Bannon — during U.S. visit

 

KYODO

The Japan Times  MAR 4, 2017

http://www.japantimes.co.jp/news/2017/03/04/national/politics-diplomacy/ex-osaka-mayor-hashimoto-aims-meet-trump-aides-u-s-visit/#.WLo3f2-LTIU

 

OSAKA – Former Osaka Mayor Toru Hashimoto will visit Washington this month and is trying to set up a meeting with senior aides to President Donald Trump, sources close to him said Friday.

 

Hashimoto, a high-profile politician whose candid remarks have often stirred criticism at home and abroad, is seeking to arrange a meeting with White House chief strategist Steve Bannon and other senior staffers through the Foreign Ministry, the sources said.

 

He also plans to deliver speeches at think tanks, the Center for Strategic and International Studies and the conservative Heritage Foundation during his March 26-29 visit, which is apparently aimed at boosting his flagging profile.

 

After ending a four-year stint as mayor in 2015, Hashimoto took up a position as an advisor to the opposition party Nippon Ishin no Kai. Before becoming mayor he spent almost four years as Osaka governor.

 

He will be accompanied by senior party lawmakers on the U.S. trip, which could be seen as a forerunner to his return to the political arena.

 

Hashimoto is known for praising Trump, tweeting that he is a “true politician” and “does not fear sacrifice or being criticized to achieve his goals.”

 

Hashimoto had planned a visit to the United States in 2013 but had to cancel amid a backlash after saying it had been necessary for the Japanese military to use so-called comfort women — Koreans and other women forced into wartime brothels — “to maintain discipline” in the military.

 

He had also said that U.S. forces in Okinawa should use the adult entertainment industry to prevent sex offenses by servicemen.

 

(貼り付け終わり)

 

 この時期の橋下氏の訪米には、CSISの副所長にまで出世したマイケル・グリーンがかかわっているでしょう。以下の記事にあるように、マイケル・グリーンは橋下氏を非常に買っていました。しかし、2013年に橋下氏が戦時中の従軍慰安婦問題に絡んで、規律を保つためには必要だった、在日米軍の兵士たちの性犯罪を防ぐために風俗産業を利用すべきだと言った発言が反発を受けて、訪米が取り止めになったこともありました。しかし、今回、CSISとヘリテージ財団での公演がほぼ決まったということで、マイケル・グリーンは、橋下氏を評価しているということが分かります。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「「橋下氏、キングメーカーになる」マイケル・グリーン氏-産経新聞 -米国家安保会議 元アジア上級部長」

 

産経新聞 2012年3月22日

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120322-00000524-san-pol

 

 【ワシントン=古森義久】いま日本の政治を揺さぶる大阪市長の橋下徹氏と同氏が率いる「大阪維新の会」について、米国政府の元国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長、マイケル・グリーン氏が20日、「橋下氏は異色のリーダーシップ技量を備え、国政舞台では首相の任命を左右するキングメーカーとなりうる」などと論評した。

 

 現在は戦略国際問題研究所(CSIS)日本部長やジョージタウン大学教授を務めるグリーン氏は、アジアの新リーダーについてのセミナーで、「橋下氏への人気は日本の政治での異色の重要現象で、同氏はポピュリスト(大衆に訴える政治家)として明確な技量を備えている」と述べた。

 

 グリーン氏は、日本では県や市などの地方自治体の長やそのグループが国政にすぐに進出することは構造的に容易ではないと指摘する一方、橋下氏がこの枠を破って国政の場で活躍する可能性もあるとの見解を示した。その場合、「首相あるいは首相の任命を左右できるキングメーカーになることも考えられる。小泉純一郎元首相のような国民の信託を得るリーダーになるかもしれない」という。

 

 日米関係への影響についてはグリーン氏は「橋下氏がたとえ首相になっても日米同盟支持、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)支持の立場を考えると、米国との安保関係も経済関係も円滑にいくだろう」と語った。ただし、橋下氏の反原発の姿勢には「日本の経済を考えれば、夢想しているに等しい」と批判した。

 

(貼り付け終わり)

 
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ヘリテージ財団は、トランプ政権になって重要度を増していますので、簡単に説明します。ヘリテージ財団は、1973年に創設され、1980年代初頭、レーガン政権初期の政策大綱づくりに参加し、1994年に共和党のニュート・ギングリッジ連邦下院議員が発表した「アメリカとの契約」の原案づくりにも携わりました。ヘリテージ財団の大きな主張は、小さな政府、自由市場、規制撤廃、不法移民対策強化、国防強化、対中強硬姿勢です。今回、トランプ政権が軍事費の増額を決めていましたが、これは、昨年のヘリテージ財団の「2012年のレヴェルまで軍事費を戻すべきだ」という主張が受け入れられたためです。

 

ヘリテージ財団には、保守的な大富豪、韓国や台湾が資金を提供しています。トランプのスポンサーで、スティーヴ・バノンを選対に送り込み、またホワイトハウスに送り込むことに成功したレベカ・マーサーのマーサー家や、教育長官となったベッツイ・デヴォスのデヴォス家が創業したアムウェイが大スポンサーです。これらの人々は共和党主流派とは距離を取っています。これらの人々を半周流派のネットワークに取り込んだのが、私が翻訳しました『アメリカの真の支配者 コーク一族』の主人公コーク兄弟です。

 

台湾からの資金が流れていますので、反中国的な提言を行いますし、日本関係でも反中的な主張をする人々との関係が深いようです。2016年8月には「トランプ政権」に参加したい人材募集ページをウェブサイト内に開設しました。このことから、トランプ政権に近いシンクタンクであることが分かります。

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2012年4月、当時の石原慎太郎が訪米し、「尖閣諸島は都が買い取る」という爆弾発表を行ったのがヘリテージ財団です。また、下の写真にもあるように、櫻井よし子も数回、このシンクタンクを訪問し、日本・韓国担当の研究員ブルース・クリングナーと話をしているようです。


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ブルース・クリングナーは、2012年11月に論文を発表しているが、この内容が現在の安倍内閣の施策とほぼ一致している、ということから、ジャパン・ハンドラーの新顔として注目されています。今回の橋下氏訪米でも何らかの役割を果たしたことでしょう。ヘリテージ財団はトランプ政権の「与党」的なシンクタンクですので、人脈を通じて働きかけをすることは可能です。

 

 CSISとヘリテージ財団と日本の接点が、「ジョージタウン大学日米リーダーシッププログラム(Georgetown University Leadership Program、GULP)」です。これは、日本の新聞記者や地方議員をジョージタウン大学に1週間ほど招いて、授業を受けたり、討論をしたり、著名人を招いての優勝会を開いたりするものです。講師にはマイケル・グリーンがいます。また、CSIS(元々ジョージタウン大学内で設立されたので関係は深い)とヘリテージ財団訪問も日程に組み込まれています。このプログラムのスポンサーがアムウェイで、アムウェイの本社があるミシガン州グランドラピッズ市を訪問し、滞在します。

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※アドレスはこちら↓

http://www.amway.co.jp/about-amway/citizenship/achievement?lng=ja

http://www.gulpjapan.com/

 

 話が大分それましたが、橋下氏の今回の訪米には、馬場伸幸幹事長と下地幹郎国会議員団政調会長が同行します。橋下氏は現在政治家ではなく、日本維新の会の法律政策顧問です。従って、このように党の重職、国会議員が一緒についていくのはこの訪米が大変重要なものであることを示しています。

 

 私が大好きな野球に例えるなら、2試合目に登板してきた安倍投手は順調に危なげない投球を続けてきましたが、女房役であるキャッチャーのパスボールや味方のエラーでランナーを塁に出してしまい、苦しい投球になりつつあります。肩で息をし始めた感じなので、監督と投手コーチが投手交代の時期を考えて始めています。ブルペン(投球練習場)には何人か投手が座っていて、「橋下、肩を作っておいて」ということで、投球練習を始めた、ということではないかと思います。橋下氏は国会議員ではありませんから、すぐに総理大臣になることはできませんが、上の記事でマイケル・グリーンが述べているように、近いうちにまずは「キングメーカー」としての役割を果たすことになるかもしれません。

 

(終わり)

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