古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

カテゴリ: 国際関係論

 古村治彦です。

 

 先週木曜日に、アメリカは、シリアの空軍基地へミサイル攻撃を行いました。シリア国内で化学兵器を使った攻撃が行われ、子供を含む多数の民間人に死傷者が出たことに対しての報復攻撃と、これ以上の化学兵器使用と拡散を防ぐための予防的攻撃ということでした。世界のほとんどの国々の政府は今回の攻撃を承認しています。

 

 私は今回のシリア国内における化学兵器を使った攻撃から疑問を持っています。化学兵器が使用されて、子供たちを含む民間人が多数死傷したことは間違いありません。問題は誰が化学兵器を使用したのかということです。全体として、「バシャール・アサド大統領が命じてシリア軍が使用したのだ」ということになって、それでシリア軍の空軍基地にミサイル攻撃がなされました。私は、化学兵器使用の責任が誰にあるのかはっきりしていないではないかと思っています。

 

 米軍の攻撃についてですが、トマホークという有名なミサイルをシリア軍の空軍基地1か所に59発撃ちこんだということですが、その割に被害者がほとんどいない、報道されないというのは不思議です。空軍基地は広大な規模でしょうが、米軍が誇るトマホークが59発も撃ち込まれたら、一面火の海でしょうし、周囲にも甚大な被害が及ぼされるはずです。ただ鉄の塊を撃ち込んだだけなら、警告以上の意味を持たないものに高価なミサイルを59発も撃ち込んだことになります。アメリカが本気でアサド政権を倒そうとしていないことは明らかです。

 

 空軍基地には司令部、パイロット、整備部門で多くのシリア軍の将兵が勤務していたでしょうし、現在はロシア軍の支援を受けていますから、ロシア軍の将兵もいたでしょう。アメリカはロシア軍の将兵に被害が出ないように事前通告をしたということですが、それなら、現場でロシア軍将兵が退避するという動きが起きる訳で、ロシアが仮にシリア側に通報していなくても事態は察知できるでしょうし、ロシアはシリア側に通報していたでしょう。ですから、今回の攻撃はあらかじめ仕組んであった、ロシア、シリア、中国にあらかじめ話を通してあったものではないかと思います。

 

 米中首脳会談のタイミングでもあり、いろいろとシナリオが考えられています。対北朝鮮の危機を煽る報道も目立ってきています。アメリカのトランプ政権内の路線対立によって、政策がぶれる、もしくは行き当りばったりになるということも予想されています。

 

 アメリカと中国とロシアが関係を悪化させず、表向きは悪化させても裏できちんとつながって、話を通しておけば、深刻な事態になることは避けられるでしょう。今回のケースは米中露が「危機を演出」しているのではないか、と思います。戦争を本気でやりたい、やらせたいと考えている勢力に、「本当にやるのか、大変なことになるんだぞ、戦争とはそんなに甘いものじゃないんだぞ、甘く考えるな」という警告を与える効果があったと思います(日本政府には当然のことながら、アメリカから事前通告はありませんでした)。この効果が一番に効いたのは日本の安倍晋三政権ではないかと私は考えています。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプの対シリア政策における主要なプレイヤーたち(Key players in Trump's Syria policy

 

エレン・ミッチェル筆

2017年4月8日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/defense/327926-key-players-in-trumps-syria-policy

 

トランプ大統領は木曜日、シリアの空軍基地へのミサイル攻撃を命じた。これは、バシャール・アサド政権に対するアメリカ初の攻撃であった。

 

今回のミサイル攻撃は、子供を含む民間人数十人が殺害された化学兵器を使った攻撃に対する対応であった。トランプ政権は、アサド政権が将来化学兵器を使用することを止めることを意図として今回ミサイル攻撃を行った。

 

発足して間もないトランプ政権において、今回のミサイル攻撃は最大の軍事的な決定となった。

 

ここにトランプの決断を導いた人々とトランプの対シリア政策に置いて重要な役割をこれから果たすであろう人々を紹介する。

 

●国防長官レックス・ティラーソン(Secretary of State Rex Tillerson

 

ティラーソンは国務長官就任以降、スポットライトを避けてきた。木曜日のミサイル攻撃は、アメリカの外交官トップとして初めての重要な瞬間であった。

 

攻撃前の最後の会議で、ティラーソンはトランプと一緒に机を囲んでいた。ガスを使った攻撃が国際的なニュースとなって以降、ティラーソンのシリアに対する発言内容は大きく変わっている。

 

つい先日、ティラーソンはトルコを訪問した。この訪問中、ティラーソンは「アサド大統領の任期が長くなるかどうかはシリア国民によって決定されるだろう」と述べた。

 

しかし、シリア空爆実施直前の午後、ティラーソンは次のように語った。「将来のアサドの役割は不明確だ。明確なことは、彼がこれまで取ってきた行動から考えると、彼がシリア国民を統治するという役割を与えられることはないだろうと思われる」。

 

トランプがシャイラット空軍基地に59発のトマホークミサイルを発射する命令を下した直後、ティラーソンは、「今回の行動は、必要とあれば、大統領は決定的な行動を取ることを躊躇しないということを明確に示した」と語った。

 

ティラーソンはロシアに対する厳しい姿勢を取っている。ロシア政府がアサド政権の存続を支援し、シリアに対する軍事攻撃を避けるために、ロシアとオバマ政権との間で結んだ2013年の合意内容をアサドが破らせたと批判している。ロシアはアサドが貯蔵している化学兵器を全て廃棄させることを確約していた。

 

ティラーソンは次のように語った。「ロシアは2013年の約束を実行する責任を果たせなかったことは明らかだ。ロシアがシリアと共謀しているか、ロシアは合意内容の目的を達成する能力を持っていないかのどちらかだ」。

 

ティラーソンはエクソンモービル社でのキャリアを通じてウラジミール・プーティンとの関係を築いた。ティラーソンは来週、モスクワを訪問する予定だ。アメリカによるシリア攻撃によってティラーソンのモスクワ訪問の緊張は高まることだろう。

 

しかし、ティラーソンは、トランプが、アサドを権力の座から引きずりおろそうという目的で攻撃をエスカレートさせる可能性を否定した。木曜日、シリアにおけるアメリカの軍事行動についてのアメリカの政策全体には変化しないと述べた。

 

●大統領国家安全保障問題担当補佐官H・R・マクマスター陸軍中将(National Security Adviser Lt. Gen. H.R. McMaster

 

マクマスターは学者政治家として知られる。彼は過去と現在に関する世界各地での紛争に対する知識が豊富である。マクマスターは、シリアとロシアがどう反応するか、アメリカが物事を進めるために何をすべきかについて、彼独自の視点を提供できる。

 

マクマスターは更迭されたマイケル・フリンの後任となった。マクマスターの補佐官就任は防衛分野における人々の多くに安心感を持った。そして、政権内部で急速に影響力を確立している。

 

マーアラゴでのシリアへのミサイル攻撃直前の最終会議には、トランプ大統領、ジム・マティス国防長官、ティラーソン国務長官、マクマスター補佐官が出席した。マクマスター補佐官は、「会議ではトランプと側近たちにシリアへの対応に関する3つのオプションについて議論した」と語った。

 

マクマスターは、ミサイル攻撃を行っても、アサド政権から化学兵器を使った攻撃を実行する能力を除去することはないだろうと語った。

 

マクマスターは、「アサド政権は化学兵器を使った大量殺人を行う能力をこれからも維持するだろうことは明らかだ。空軍基地を1カ所攻撃しても能力を削ぐことはないと考えている」と述べた。

 

マクマスターはしかしながら、アメリカによる空爆は「アサドの計算に大きな変化」をもたらすだろうとも述べた。

 

今回の攻撃の目的は、メッセージを送ることだったのか、それともアサド政権の軍事能力にダメージを与えることだったのかと問われ、マクマスターは次のように答えた。「今回の攻撃は、現アサド政権、そして彼の父親の政権時代を含めて、アメリカによる初めての直接的な軍事行動であった。今回の大規模な殺人に対応するという大統領の決断が行われたことは重要であるし、2013年に国連決議が発行して以降、起きた50以上の化学兵器を使った攻撃に対処することになるという点で重要である」。

 

マクマスターは続けて次のように語った。「従って、質問に対する答えは、その両方ということになる。攻撃目標は化学兵器を使った大量殺人を行える能力であった。しかし、そのような攻撃能力に関連する施設全体を攻撃する規模と広がりを持つものではなかった」。

 

●国防長官ジェイムズ・マティス(Defense Secretary James Mattis

 

マティスもまた、トランプの意思決定プロセスにおいて、重要な、しかし静かな役割を果たした。

 

アメリカ中央軍の元司令官として、マティスは中東地域に関しては豊かな知識と深い洞察を持っている。そして、攻撃が引き起こす結果についても十分な考察と予測を立てている。マティスは空軍基地に対する「集中攻撃(saturation strike)」のためのアメリカ中央軍の計画をトランプに説明した。

 

マティスはまた注意深くロシアに対応する方法を知っている。また、オバマ政権時代に中央軍司令官として経験したリスクの現実化ということも理解している。ロシア人に死傷者が出る危険性にマティスはこだわったと報じられている。また、中東地域にいるアメリカ軍や外交関係者が報復攻撃の標的になることを懸念していた。

 

木曜日の夜に国防総省は攻撃の詳細を発表した。ロシアとシリアの軍関係者と民間人へのリスクを最小限にするための用心深い計画が立てられていたことを国防総省は強調した。

 

マティスは、攻撃後の記者会見で、マクマスターとティラーソンと一緒に姿を現すことはなかった。また、攻撃以降、一切発言していない。

 

●米国連大使ニッキー・ヘイリー(U.S. Ambassador to the United Nations Nikki Haley

 

シリアでの化学兵器を使った攻撃に対するアメリカのミサイル攻撃に関して、ヘイリーは国連の場で徹底的に正当性を主張している。そして金曜日、アメリカはシリアに対して更なる軍事行動を取る準備をしているという警告を発した。

 

ミサイルによる空軍基地攻撃後、ヘイリーは国連安全保障理事会の席上、「アメリカは昨晩、入念に準備された行動を取った。私たちは更なる行動を取る準備をしている。しかし、そのような行動が必要とならないことを願っている」と述べた。

 

シリアにおける化学兵器を使った攻撃が起きた後、ヘイリーはホワイトハウスを代表して、もっとも多く発言してきた。ヘイリーは空軍基地攻撃についてトランプ政権の立場を主張し、攻撃は「完全に正当化できる」と述べた。

 

ヘイリーはティラーソンと同様に、アサドに対する姿勢を急速に変化させてきた。先週、ヘイリーは、アメリカの優先順位について、「ただ座っているということは終わり、アサドを追い落とすために注力することになる」と木曜日の記者団の取材に答えたとAFPが報じている。

 

ヘイリーは、化学兵器使用の停止は、アメリカにとっての「安全保障上の重要な国益」であると主張している。

 

ヘイリーは国連安保理理事会で苦しんでいる子供たちの写真を掲げた。ヘイリーは金曜日、ロシアがアサド政権を支援してきたと非難した。

 

ヘイリーは次のように語った。「アサドが化学兵器を使った攻撃を行ったのは、それによって報復攻撃を避けることができると考えたからであろう。彼が報復攻撃を避けることができると考えたのは、ロシアが後ろにいると考えたからであろう。彼の計算は昨晩で変化しただろう」。

 

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トランプが連邦議会にシリア攻撃を説明する書簡を送付(Trump sends Congress letter explaining Syria strike

 

マックス・グリーンウッド筆

2017年4月8日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/327962-trump-sends-congress-letter-explaining-syria-strike

 

トランプ大統領は土曜日、今週行ったシリアへのミサイル攻撃を命じたことについて議会に説明と弁明のための書簡を送付した。書簡の中で、連邦議会の指導者たちに対して、アメリカ政府には必要であれば、更なる軍事行動を取る用意があると述べた。

 

トランプは書簡の中で、「安全保障と外交政策の分野におけるアメリカの重大な国益に基づいて私は行動した。合衆国憲法で大統領に認められた、外交を行う権威、アメリカ軍最高司令官、アメリカ連邦政府の最高責任者の職責に従った」と書いている。

 

彼は続けて、「アメリカ合衆国は、必要がありそれが適切であれば、重要な国益を更に追及するために、追加的な行動を行うだろう」と書いている。

 

トランプ大統領からの書簡は、アメリカ連邦下院議長ポール・ライアン(ウィスコンシン州選出、共和党)とアメリカ連邦上院仮議長(the Senate president pro tempore)オリン・ハッチ(ユタ州選出、共和党)連邦上院議員宛てに送付された。

 

戦争権限法では、大統領は軍事行動から48時間以内に武力使用に関する説明をしなければならないという規定がある。トランプ大統領の今回の行動に関しては、提出期限は土曜日夜までとなっていた。

 

トランプの書簡の内容は、木曜日の夜にミサイル攻撃から1時間後に行ったトランプの声明発表を繰り返したものだ。声明の中でトランプは、ミサイル攻撃をアメリカの「重大な安全保障上の国益」だと述べた。

 

トランプはフロリダ州マーアラゴにあるリゾートで中国の習近平国家主席を迎えていたが、トランプはミサイル発射後の声明発表で、「強力な化学兵器の拡散と使用を阻止することは、アメリカの安全保障にとって、致命的に重要な国益である」と発言した。

 

世界各国の指導者たちは金曜日になって、アメリカの攻撃を支持した。シリアのイドリ県で化学兵器が使用されたがその責任はシリアのバシャール・アサド大統領にあるという非難があり、化学兵器使用は、必要なそして適切な対応であったと各国の指導者たちは賞賛した。

 

シリア政府と、アサド政権を長年にわたり支持し軍事援助を与えてきたロシアは、ミサイル攻撃を非難した。ロシアのウラジミール・プーティン大統領の報道官は金曜日、ミサイル攻撃を「主権国家に対する侵略的攻撃」の行動と呼び、アメリカが国際法に違反したと非難した。

 

アメリカ連邦議会の議員たちは攻撃に対しておおむね支持を表明した。しかし、多くの議員はシリアに対する更なる軍事作戦を行う前には議会の承認を得るように求めている。

 

連邦上院共和党院内総務ミッチ・マコンネル上院議員(ケンタッキー州選出、共和党)は、トランプ大統領は軍事行動に関して更なる承認を求める必要はないと主張した。

 

マコンネルは、2001年9月11日の同時多発テロ発生後に連邦議会で通過し、2002年にも認められ、イラク戦争が容認された基盤となった武力行使容認決議によって、トランプ大統領の今回の行動は正当化されると主張した。

 

マコンネルは金曜日、保守派のラジオ番組に出演し、司会者であるヒュー・ヒューイットに対して次のように語った。「私たちは2001年と2002年に決議を通した。オバマ前大統領は中東で私たちがやってきたことを自分もできるのだということを認識していたと思う。私はトランプ大統領も同じように考えるように期待している」。

 

トランプは、もし必要であれば、シリアに対して更なる攻撃を実行する用意があると主張した。金曜日、アメリカ国連大使のニッキー・ヘイリーも同様の主張を行った。ヘイリーは、ロシアからの非難に反論し、トランプ大統領の行動を正当化した。

 

ヘイリーは「アメリカは昨晩、周到に準備された行動を取った。私たちには更なる行動を取る用意があるが、そうした行動が必要ではなくなることを願っている」と語った。

 

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アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22

 古村治彦です。

 

 いよいよ米中首脳会談が始まります。北朝鮮のミサイル発射もあり、米中間でどのような話になるのか注目されます。トランプ政権内部には対中強硬派と対中交渉優先派があり、その内部対立が激しくなっているという報道もあります。そして、その流れで、トランプ大統領の側近スティーヴ・バノンが国家安全保障会議から外されるということがニュースとなりました。バノンは前からトランプの義理の息子ジャレッド・クシュナーと関係が悪いと言われていて、今回のことではクシュナーが勝利したという報じられ方もしています。

 

 前回のブログ記事でもご紹介しましたが、クシュナーがトランプ政権内の対中交渉優先派で、ヘンリー・キッシンジャーの斡旋を受けて中国側と交渉をしています。バノンは対中強硬派ということで、今回の件は中国に対して、対中融和路線に進むということを示したということができます。

 

 しかし、同時に大統領首席ストラティジストであるバノンが国家安全保障会議に出席していたことは異例中の異例で、これはマイケル・フリン前大統領国家安全保障問題担当補佐官(2月に辞任)のアレンジであったのですが、後任のマクマスター補佐官が通常に戻したということになります。ちなみに大統領国家安全保障問題担当補佐官が国家安全保障会議を主催します。バノンはフリンを監視監督するために会議に出席していたので、その必要がなくなったという主張もあるようです。

 

 スティーヴ・バノンの影響力はこれくらいのことでは低下しない、彼はトランプ大統領と一対一で議論できる立場に変わりはないという意見もあります。

 

 こうして考えると、バノンが国家安全保障会議から排除されたことは大きな事件ではなく、中国に対してのアピールなのではないかと考えることができます。

 

(貼り付けはじめ)

 

大逆転で、トランプはバノンを国家安全保障会議から追放(In Reversal, Trump Banishes Bannon from National Security Council

 

ダン・デルース筆

2017年4月5日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2017/04/05/in-reversal-trump-banishes-bannon-from-national-security-council/

 

ドナルド・トランプ米大統領は水曜日、首席ストラティジストであるスティーヴン・バノンを国家安全保障会議(NSC)に出席させないことに決定した。これは、政策形成機関である国家安全保障会議の再構成の一環であり、情報・諜報と軍事面の指導者たちの伝統的な役割を復活させることになった。

 

今回の動きは、トランプ大統領の国家安全保障問題担当補佐官H・R・マクマスター中将が、NSCのこれまでとは異なる形態を終わらせることで自身の権威を増大させようとしたということを示している。トランプ政権におけるNSCの構成に対して、民主、共和両党の連邦議員たちや外交政策専門家たちは懸念を表明してきた。

 

トランプに批判的な人々は、政権発足からすぐにバノンがNSCの常任出席者に引き上げられたことを、ホワイトハウスが、軍事行動と外交政策に関する重要な考慮に関して党派政治とイデオロギーを持ち込もうとしている徴候だと考えた。元政府高官たちは、バノンが出席するというNSCの構造は、大統領のために国家安全保障に関する決断を形成する責任が誰にあるのかを巡って、内部抗争と混乱をもたらすだろうと警告を発していた。

 

NSCの再編成は火曜日に出されたメモランダムでまとめられ、水曜日に発表された。ホワイトハウスは今回の命令についてコメントを拒否した。

 

マクマスターの前任者である退役陸軍中将マイク・フリンは、中米ロシア大使との会話についてマイク・ペンス副大統領に誤った情報を伝えたことを受けて、2月に辞任した。フリンが今回のNSCの通常とは異なる構成を始めたのだ。つまり、白人優越主義的で国家主義的なブライトバート社の元会長をNSCに引き入れたのはフリンだ。NSC最高会議は通常は閣僚レヴェルで構成される。トランプ政権下でのNSCでは、情報諜報と軍事部門のトップが外されていた。彼らは最高会議の議題が彼らに関わる時のみ出席することになっていた。

 

メモランダムでは、新しい構成では、ダン・コーツ国家情報長官と統合参謀本部議長ジョセフ・ダンフォード大将はNSC最高会議の定例出席者となると書かれていた。新たな大統領令で、NSC最高会議にはCIA長官、エネルギー長官、米国連大使も出席者に加えられることになった。

 

2月に補佐官に就任したマクマスターは、前任者のフリンと違い、トランプの選挙対策本部とは何の関係も持っていなかった。マクマスターは今回のNSCの再編でもう一つの官僚機構における勝利を収めた。国土安全保障会議は、これまでの別組織として独立してきた形から、マクマスターの権威の下に置かれることになった。

 

ホワイトハウスのある高官はマスコミの取材に対して、バノンがNSCに出席するようになったのは、フリンを監督し、NSCを合理化し、より効率的に運営されるようにすることが目的であったと述べた。この高官は、この目的は達成されたので、バノンはNSCに居続ける必要はなくなったのだと語った。

 

ヤフー・ニュースはこの政府高官の次のような発言を引用した。「スティーヴはマクマスターを補佐官に就任させることを主導した。マクマスターは基本的にスティーヴの考えを共有しているので、スティーヴがNSCに留まる理由は存在しない」。

 

バノンは外交政策や統治に関する経験を持っていない。更には移民反対の唱道者であり、ヨーロッパ各国の極右政党と関係を持っている。NSCにおけるバノンの存在は、元政府高官に警戒心を持たせ、連邦議会民主党から激しい批判を巻き起こした。

 

NSCの再編が行われた。しかし、バノンはホワイトハウスでの有力な立場を維持している。彼はトランプの選挙運動の最後の数カ月を取り仕切り、勝利をもたらした。そのために、大統領執務室に何の許可も要らずに入ることができる。NSC内の席の入れ替えをしてもバノンの影響力はほぼ変わらない可能性が高い。

 

オバマ政権下で駐ロシア米大使とホワイトハウス顧問を務めた経験を持つマイケル・マクフォールは、次のようにツイートした。バノンはNSC内部の高官たちの意見に従う必要はない。彼は大統領執務室で「トランプと差向い」で様々な問題を討論することができる。

 

政治顧問がNSCで公的な役割を果たすことは珍しい。レーガン政権で大統領顧問を務めたエドウィン・メッセがNSCに出席した例はある。

 

民主党所属の連邦議員は今回のトランプの決定を受けて安心感を表明したが、「バノンはホワイトハウスにいるべき人物ではない」とも述べた。

 

バーバラ・リー連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は次のように語った。「スティーヴ・バノンの病んだイデオロギーがこれ以上、国家安全保障会議に悪い影響を与えることはないということで安心しました。しかし、バノンが引き続き政権内に留まることはアメリカ国民にとって脅威となります。私はトランプ大統領に対して、スティーヴ・バノンにドアを指さして、危険な過激主義者たちで構成されている政権から出ていくように指示することを求めます」。

 

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アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22

 古村治彦です。

 

 2017年4月6日に米中首脳会談が行われます。その下準備を行ったのが、トランプの娘イヴァンカの配偶者(義理の息子)であるジャレッド・クシュナーだということです。以下の『ワシントン・ポスト』紙の記事は大変重要です。


 

 クシュナーはトランプの側近で、2016年5月に、トランプがヘンリー・キッシンジャー元米国務長官と会談を持つ際にアレンジをした人物です。当選後、ヘンリー・キッシンジャーはトランプに頼まれて訪中し、トランプと習近平それぞれのメッセージを伝えるという役割を果たしました。そして、キッシンジャーは、トランプ政権内の対中国チャンネルとしてクシュナーが機能するようにお膳立てをしました。

 

 トランプ政権内には対中宥和派(ただ親中国なのではなく交渉でうまくやっていこう)と対中強硬派がおり、それぞれが役割分担をしてうまくやっている印象です。強いことを言いながらも、ちゃんと交渉が出来るようにもしておくという外交の基本中の基本ができています。

 

 クシュナーはキッシンジャーの助けを借りて、国務委員・楊潔チと駐米中国大使である崔天凱との関係を築き、米中関係の問題解決のためのチャンネルになるということで、これからますます重要性を増していくことになりそうです。義理の息子がホイホイとしゃしゃり出ているということではなく、「キッシンジャーのお墨付き」を得て活動しているというところに価値があります。

 政治の世界では裏でつながるということがとても泰司なのだということを改めて認識しました。

 

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クシュナーの中国へのチャンネルの内側(Inside the Kushner channel to China

 

ジョシュ・ロギン筆

2017年4月2日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/opinions/global-opinions/inside-the-kushner-channel-to-china/2017/04/02/d1a960c6-164f-11e7-833c-503e1f6394c9_story.html?utm_term=.63f01b9116b5

 

4月6日(木)の中国国家主席習近平との首脳会談を前に、トランプ政権は、省庁間の垣根を超えたティームを作り、中国側のメッセージ、政策、米中関係における優先順位について議論を行っている。これは比較的常識的なプロセスである。しかし、この作業を詳しく見ると、ホワイトハウスと中国の最高指導部との間の高いレヴェルでのやり取りのためのカギとなるチャンネルが存在することが分かる。このチャンネルは、トランプの義理の息子ジャレッド・クシュナーによって形成されている。

 

クシュナーの対中国チャンネルは、大統領選挙でトランプの勝利後すぐに、ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官の助けを借りて形成された。中国の最高指導部の幹部たちと次々と会談を持つ中で、クシュナーをはじめとするトランプの側近たちは、現在の政策プロセスが始まる前に、来たるべき首脳会談における方向付けと幅広い議題を決定した。トランプと習近平がマーアラゴで首脳会談を持つ際に、2人は準備期間の一連の会談で、アメリカ、中国、アジア太平洋地域に関する、クシュなーたちが議論したテーマを話すことになるだろう。

 

ホワイトハウスと政権移行ティームの幹部たちは、「クシュナーの目的は、様々な厄介な諸問題は存在するが、米中関係を拡大し、改善することだ」と語っている。クシュナーの目的は、トランプが選挙期間中に公約に掲げた、様々な問題に関して中国政府と対峙したいと望む他の政権幹部たちの考えと対立する。

 

選挙後の2016年11月中旬、キッシンジャーは、米大統領国家安全保障問題担当補佐官就任予定だったマイケル・フリン(後に辞任)、トランプとトランプタワーで会談を持った。この席でトランプは、キッシンジャーに対して、北京を訪問して習近平に対して、「二国間の協力関係について全ての選択肢がテーブルの上にある」ということを直接伝えてほしいと頼んだ。12月2日、キッシンジャーは北京を訪問し、習近平と会談を持った。習近平は、米中間の首脳会談をできるだけ早く実現したいという私的なメッセージをキッシンジャーに託した。

 

同じ12月2日、トランプは、台湾総統蔡英文から統制祝いの電話を受けた。これに対して中国外務省は反発した。しかし、公になった緊張関係の裏で、米中両国間でお互いに関係改善を求める姿勢は継続した。キッシンジャーは、12月6日、クシュナーをはじめとするトランプの側近たちと会談し、中国の国務委員である楊潔チと会談を持つように促した。その後、楊潔チと駐米中国大使である崔天凱は、2016年12月9日、10日にトランプタワーを訪問して、クシュナーのオフィスが主導して2度の会談を持った。

 

会談の中で、楊潔チは中国側の要求リストを提示した。中国側は、トランプ政権に対して「大国関係の新しいモデル」という考えを採用するに求めた。この考えは習近平が提案したもので、衝突を回避し、協力関係を深化させるためのものだ。中国側はまた、習近平の唱える「一帯一路」イニシアティヴをトランプが支持することを希望した。「一帯一路」イニシアティヴは中国の大規模なインフラと開発プロジェクトの総称である。中国側は更に、中国が革新的な国益だと考える台湾、ティベット、国内問題にアメリカが干渉しないように求めた。

 

見返りとして、中国は、雇用創出のためのトランプの国内優先政策の推進を助けるために金額などを決めていないが投資を行う準備があると伝えた。クシュナーと崔大使は、12月の会談以降も緊密に連絡を取り合い、中国の最高指導部もクシュナーのチャンネルに依存する形になっている。クシュナー・チャンネルは、来たるべき首脳会談のアレンジに使用された。

 

11月中旬、クシュナーは、中国の保険会社である安邦保険集団の幹部たちと会談を持った、クシュナーの不動産会社が安邦保険集団からの不動産投資の交渉を行った。しかし、こうした交渉は、利益相反の可能性があるという批判を受けて、先週まで中止されていた。

 

政権内部には、クシュナーが中国の関係を改善しようと躍起になり過ぎているという懸念の声がある。クシュナーと考えを同じくしている政権幹部として、大統領経済顧問ゲイリー・コーンと財務長官スティーヴン・ムニューシンが挙げられる。中国に対してより厳しい、より攻撃的なアプローチを主張する政権幹部には、大統領首席ストラティジストであるスティーヴ・K・バノン、国家通商会議議長ピーター・ナヴァロ、商務長官ウィルバー・ロスがいる。

 

あるホワイトハウス高官は、クシュナーは無条件に親中国ではないし、トランプは選挙期間中に、安全保障と貿易に対して中国と対決するという主張を公約の柱としていたことを認識している。

 

この高官は次のように語った。「ジャレッドの中国に対する見方は、全てが交渉可能だというものだ。ジャレッドは不動産業者であり、全ての物事でウィン・ウィンを実現できる解決策があると考える。彼はまた政治的な知識も豊富だ。こうしたことが義父であるトランプ大統領の政治姿勢に大いに影響を与えている」。

 

米中関係のある程度の改善は明確になっている。クシュナーは他の側近たちと一緒になって、トランプが2月に習近平と電話会談を行った際に、「1つの中国」政策を堅持することを再確認するように説得した。レックス・ティラーソン国務長官は今年3月に中国の王毅外相と会談した後に、中国側の主張をバカにしたような態度を取った。

 

米中首脳会談を観察している専門家たちは、トランプ大統領からはいくつかの個別の問題で厳しい言葉が出るであろうと考えている。北朝鮮と南シナ海に関して、トランプ政権は、伝統的な共和党のタカ派的安全保障政策を主張している。貿易に関して、トランプは、国家主義的なアメリカ・ファーストの経済政策に固執している。

 

しかし、トランプが中国の提案している大国間関係モデルと中国のアジア地域での拡大を支持し、国内の弾圧について発言をしないということになると、これは米中関係の新しい時代を迎える予兆となるだけではなく、米中関係においてクシュナーが最重要人物であることを示すことになる。

 

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アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22


 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ政権が国家予算を発表し、国務省とUSAIDの予算を大幅に削減し(30%の削減)、国防費を540億ドル増加させました。これについては、批判の声が多く挙がっています。しかし、私はこれを当然のことで、大変喜ばしいことだと考えています。

 

 2011年のアラブの春から始まった中東の不安定な状況は、ムアンマール・カダフィ大佐の殺害、ベンガジ事件へと発展し、シリア内戦、シリアとイラク国内でのISの勃興というところまで悪化しています。また、ウクライナを巡る西欧とロシアの対立ですが、これはウクライナ国内の歴史的に複雑な問題とも相まって、こじれてしまいました。アメリカはロシアを非難し、制裁を課していますが、トランプ大統領は選挙戦期間中から、ロシアのウラジミール・プーティン大統領を賞賛し、ロシアとの関係改善を主張しています。また、中国に対しては厳しい言葉遣いをしていますが、貿易戦争をやる気はなく、また、北朝鮮は中国の問題だとしています。

 

現在の世界の不安定要因が発生した原因は、端的に言って、アメリカの対外政策の失敗が理由です。特に、共和党のネオコン、民主党の人道的介入派がアメリカ外交を牛耳ってきた結果、現在の状況にまでなってしまいました。こうしたことは拙著『アメリカ政治の秘密』で明らかにしましたので、是非お読みください。
 

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 古村治彦です。

 

 アメリカのトランプ政権の対北朝鮮に対する対応から、アメリカ外交の二元性、ホワイトハウスと国務省が綱引きをしているのだということを書いてみたいと思います。

 

 安倍首相のアメリカ訪問中、北朝鮮はミサイルを発射しました。これに対して、トランプ大統領と安倍首相は緊急で記者会見を行い、北朝鮮のミサイル発射を非難しました(安倍首相が世界の政治の中で重要な役割を果たしているような姿に見えるように北朝鮮が演出をしてくれたように見えます)。その後、北朝鮮の故金正日氏の長男・金正男氏がマレーシアのクアラルンプール空港で毒殺されるという事件も起きました。

 

 そうした中で、トランプ大統領の北朝鮮に対する態度を示す以下のような記事が出ました。

 

(貼りつけはじめ)

 

●「トランプ氏、対北朝鮮「中国は影響力を」 核増強も表明」

 

ワシントン=峯村健司

20172240908

朝日新聞

http://www.asahi.com/articles/ASK2S254GK2SUHBI00P.html

 

トランプ米大統領は23日、ロイター通信のインタビューに応じ、北朝鮮の新型弾道ミサイル発射について「強い憤りを感じる」と非難し、日本と韓国へのミサイル防衛システムの配備を急ぐ考えを示した。また、米国は核戦力を増強していくことも表明した。

 

    特集:ドナルド・トランプ

 

 トランプ氏は、北朝鮮による核やミサイルを使った挑発行為をやめさせるには、北朝鮮と関係が深い中国の役割が重要であると指摘。「中国は北朝鮮の脅威を簡単に解決できる」と述べ、中国に影響力を行使するよう圧力をかけていく方針を明らかにした。

 

 さらに、米国の核兵器能力について「他国に劣ることはない」と強調。オバマ前政権が2010年にロシアと結んだ戦略核弾頭を1550発以下に減らす新戦略兵器削減条約(新START)について、「米国が結んだまずい協定の一つ」と批判した。

 

 トランプ氏はまた、ロシアによる地上発射型の巡航ミサイル配備について、中距離核戦力全廃条約に違反すると非難。ロシアのプーチン大統領と会談の予定はまだないとしながらも、「もし会談すればこの問題を提起する」と述べた。(ワシントン=峯村健司)

 

(貼りつけ終わり)

 

 これだけ見ると、トランプ大統領は北朝鮮に対して(と言うよりも中国に対して)、かなり強硬な姿勢を見せているということができます。しかし、一方で、北朝鮮に対しても決して門戸を閉ざしているのではないことを示す以下の記事が出来ました。

 

(貼り付けはじめ)

 

North Korean officials are preparing to come to U.S. for talks with former officials

 

By Anna Fifield February 19

Washington Post

https://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/north-korean-officials-are-preparing-to-come-to-us-for-talks-with-former-officials/2017/02/19/3f853c04-f6a8-11e6-9b3e-ed886f4f4825_story.html?utm_term=.a5b0e6e82dd9

 

KUALA LUMPUR, Malaysia — Preparations are underway to bring senior North Korean representatives to the United States for talks with former American officials, the first such meeting in more than five years and a sign that Pyongyang sees a potential opening with the Trump administration.

 

Arranging the talks has become a lot more complicated over the past eight days, with North Korea testing a ballistic missile and the assassination of Kim Jong Un’s half brother in Malaysia, an act that many suspect was ordered by the leader of North Korea. Malaysian police on Sunday named as suspects four North Koreans who left the country on the day of the attack. 

 

Analysts also say they highly doubt that Pyongyang, which has insisted on being recognized as a nuclear state, would be willing to moderate its position on its weapons program. 

 

If the talks do take place, they could offer a glimmer of hope for an already-hostile relationship that has only deteriorated as the Kim government works aggressively to develop a nuclear-tipped missile capable of reaching the continental United States.

 

The planning for the “Track 1.5” talks — with the U.S. side made up of the former officials who usually take part in Track 2 talks, but the North Korean side composed of government officials — is still in a preparatory stage, according to people with knowledge of the arrangements.

 

What we know about the alleged assassination of Kim Jong Nam  Play Video2:09

The older half-brother of North Korean dictator Kim Jong Un was killed in Malaysia in an apparent poisoning attack carried out by two female agents. (The Washington Post)

The State Department has not approved the North Koreans’ visas for the talks, which would take place in New York within the next few weeks.

 

The North Koreans have expressed an interest in engagement, but nothing’s been approved yet,” said one person familiar with the preparations, speaking on the condition of anonymity because they were not authorized to discuss them.

 

Others who have been in touch with North Koreans describe an intense interest in what President Trump might do.

 

If this happens, it would be an interesting signal to the new administration,” one person said of the discussions.

 

The talks would be the clearest indication yet that Kim wants to talk with the Trump administration. “If this happens, I would take it as a very positive sign from both sides,” said another person with knowledge of the arrangements.

 

In recent years, there have been sporadic Track 1.5 talks that have taken place in Kuala Lumpur, Geneva, Berlin and Ulaanbaatar, Mongolia. But these talks have not taken place in the United States since July 2011, before Kim succeeded his father in North Korea.

 

The planned talks are being organized by Donald S. Zagoria of the National Committee on American Foreign Policy, who served as a consultant on Asia during the Carter administration and has organized previous rounds of such talks. Zagoria declined to comment on the preparations.

 

The talks would be run independently of the State Department, where officials have privately questioned the utility of such discussions. But if the administration issued the visas, it would be an implicit seal of approval. And if the discussions go well, they could pave the way for official talks.

 

Choe Son Hui, the director of the U.S. affairs department in North Korea’s Foreign Ministry, is likely to lead the delegation from Pyongyang. She is well known to American officials, having participated in official meetings including the six-party talks on denuclearization, as well as in other Track 1.5 talks.

 

Choe has a direct line to Kim, according to Thae Yong Ho, the North Korean deputy ambassador to London who defected to South Korea last year.

 

Since Trump was elected, there has been a notable change in North Korea’s usually bombastic rhetoric.

 

Pyongyang had been sharply critical of the Obama administration, saying its policy of “strategic patience” — waiting for North Korea to change its nuclear calculations — was “an aggressive and heinous ‘strategic suffocation’ policy” against North Korea.

 

But in its announcement of its missile launch Feb. 12, the North’s state media did not include its usual bluster about needing a deterrent against the United States and its “hostile policies.”

 

In his own statement after the launch, Trump notably did not condemn Pyongyang. The new president has, in fact, said very little about how he plans to deal with North Korea. “North Korea — we’ll take care of it folks, we’re going to take care of it all,” he said at his news conference last week, without elaborating.

 

His administration is conducting a review of North Korea policy. This provides space to broaden the options for dealing with Pyongyang and an opportunity to influence the new president, analysts say. 

 

While some expect him to take a hard-line approach, encouraged by hawkish advisers, others say that Trump, who prides himself on making deals, could be open to dialogue with the North Korean regime.

 

U.S. policy is hanging in the balance,” said Adam Cathcart, an expert on North Korea at the University of Leeds in Britain. 

 

I think the North Koreans ought to be pretty happy, because the Americans have laid off criticizing them too much and have, in fact, been making things quite easy for them,” Cathcart said. “But at some point, they are going to have to decide whether to pick up the cudgel.”

 

For those favoring an even tougher approach to North Korea, recent events have provided plenty of ammunition.

 

On Feb. 12, North Korea tested a ballistic missile for the first time since Trump was elected. The missile appeared to show significant technological advances, with upgraded power and range, and could mark another step in the push toward the capacity to hit Alaska or Washington state.

 

(貼り付け終わり)

 

 この記事は少し古いのですが、2017年2月19日付の『ワシントン・ポスト』紙に掲載されました。北朝鮮外務省のアメリカ担当部長が代表団を連れて、アメリカ訪問を行う準備をしている、というものです。アメリカ側で応対するのは、シンクタンクの幹部で、ジミー・カーター政権で、ホワイトハウスに属する国家安全保障会議、そして国務省で東アジア担当コンサルタントを務めたドナルド・S・ザゴリア(Donald S. Zagoria、88歳)です。ザゴリアは、コロンビア大学で博士号を取得した東アジア専門家で、北朝鮮問題に詳しい人物のようです。

 

 ザゴリアは現在、アメリカ外交政策全国委員会(National Committee on American Foreign Policy、NCAFP)というシンクタンクの上級副会長を務めています。NCAFPの創設者は国際関係論という学問分野でリアリズム(Realism)の泰斗と呼ばれたハンス・J・モーゲンソー(Hans Joachim Morgenthau、1904―1980年)です。ハンス・モーゲンソーの大著『国際政治(Politics Among Nations)』は、国際関係論における古典となり、授業では必ず読みます(日本ではどうかわかりません)。モーゲンソーはイデオロギーを排し、国際関係論を「学問(Science、合理的推論を使いながら、因果関係に基づく法則を発見する行為)」にまで昇華させようと奮闘した学者です。「力(Power)」と「国益(National Interest)」という概念を用いて分析を行う手法を採り、「勢力均衡(Balance of Power)」を主張した人物です。


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