古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

カテゴリ: 世界経済

 古村治彦です。

 アメリカは高いインフレ率に見舞われ、その対処のために利上げを行っている。高校の現代社会、倫理政経の授業で行うような説明をすれば、利上げを行うことで、社会に出回っているお金が金融機関に預けられることになり、出回るお金が少なることで、物価が下がるということになる。しかし、物価が下がるというのは景気後退を伴う。アメリカは来年に景気後退ということになるかもしれない。アメリカで景気後退ということになれば、世界でも旺盛な需要のアメリカで需要が落ちるということになり、それが世界全体に影響を与えることになる。日本を含めてアメリカとの貿易関係が対外貿易に大きな割合を占めている国々にとってアメリカの景気減速はそのマイナスの影響を大きく受けるという懸念が出てくる。

 ジョー・バイデン政権の国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めるジェイク・サリヴァンは補佐官就任以前に複数の論稿で、「産業政策(industrial policy)」について書いている。産業政策とは国家が特定の産業を保護し育成するというものだ。産業政策と言えば、戦後日本がその成功例である。チャルマーズ・ジョンソン著『通産省と日本の奇跡: 産業政策の発展1925-1975』こそは産業政策をアメリカに知らせて、「日本の経済政策はこうなっているのか」ということをアメリカ政府に知らせた歴史的な書籍である。この本が出た時、通産省では「誰が日本にとって最も重要な秘密をアメリカに知らせるような行為に協力したのか」という犯人捜しのようなことが行われたという逸話が残っている。アメリカは自由市場、政府の介入を嫌うということを基本にしてきたが、それが変化しつつある。補助金などを通じて産業政策で中国と対抗すること、特に半導体分野での競争をもくろんでいる。政府補助金は自由貿易体制を侵害するものだという批判は当然出てくる。

 中国も生後日本の奇跡の経済成長を研究し、自国に政策に応用し、成功させている。中国は国内では自由市場体制を採用していないが、対外貿易では、自由貿易体制の恩恵を受けてきた。アメリカの内向きな政策、保護主義的な政策について「自由貿易体制を侵害する」として反対している。対外貿易の面で見れば、中国が自由貿易体制の擁護者という奇妙な状態になっている。そして、日本の産業政策から学んだであろう米中両国が産業政策を使って対決するという構図になっているのも何とも奇妙な形である。

(貼り付けはじめ)

バイデンの「アメリカ・ファースト」経済政策はヨーロッパとの間に溝を生む恐れがある(Biden’s ‘America First’ Economic Policy Threatens Rift With Europe

-ヨーロッパ諸国では、自動車、クリーンエネルギー、半導体に対するアメリカ政府による膨大な補助金供与が自国の経済にとって危険であると考えられている。

エドワード・アルデン筆

2022年12月5日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/12/05/biden-ira-chips-act-america-first-europe-eu-cars-ev-economic-policy/

ジョー・バイデン米国大統領の就任以降、2年近くの蜜月が続いたが、経済政策をめぐってワシントンとヨーロッパの同盟国の間に大きな亀裂が入りつつある。この対立をうまく処理しなければ、アメリカがヨーロッパやアジアの同盟諸国やパートナーと協力して中国やロシアの野心を抑えるというバイデン政権の新しい世界経済秩序の構想は競合する経済ブロックの世界へと堕落してしまうかもしれない。

数カ月の間、静かに続いていた対立は、先週ついに表に姿を現した。ヨーロッパ連合(EU)の域内市場委員であるティエリー・ブルトンは、今週メリーランド州で開かれる大西洋横断経済政策の重要な調整機関であるアメリカ・EU貿易技術評議会(U.S.-EU Trade and Technology Council)の会合から離脱することを発表した。「評議会の議題は、多くの欧州産業界の閣僚や企業が懸念している問題について十分な議論ができるものではなくなった」と述べ、電気自動車やクリーンエネルギーに対するアメリカの新たな補助金がヨーロッパの自動車メーカーやその他の企業に不利になっているというEUの苦情を指摘した。ブルトンは「欧州の産業基盤の競争力を維持することが急務であるという点に焦点を当てる」と述べた。

先週、新型コロナウイルス感染拡大後初めて開催されたホワイトハウスの公式晩餐会に出席するためワシントンを訪れたフランスのエマニュエル・マクロン大統領は、米国の補助金は「アメリカ経済にとって非常に良いものだが、ヨーロッパ経済と適切に調整されていなかった」と述べた。訪問に先立ち、フランスのブルーノ・ル・メール経済・財務相は、アメリカが中国式の産業政策を追求していると非難した。

今回問題となった補助金は、今年初めにアメリカ連邦議会で可決された2つの巨大法案、インフレイション削減法(Inflation Reduction ActIRA)とCHIPS・科学法だ。前者は、アメリカでクリーンエネルギーをより早く導入するために3700億ドルもの補助金を提供するものだ。その中には、米国で電気自動車を購入した場合の税額控除も含まれているが、これはその電気自動車が北米で組み立てられ、その部品がアメリカまたはその他の「自由貿易パートナー諸国(free-trade partners)」で製造された場合に限られる。このような表現をすると、フォルクスワーゲンやBMWといったヨーロッパの自動車会社が打撃を受けることになるだろう。後者は、半導体メーカーがアメリカに高性能製造工場を新設に対して520億ドル支援するものだ。ヨーロッパ各国の指導者たちは、どちらの法律もアメリカ企業に不当な補助金を与え、ヨーロッパ大陸の競争力問題を悪化させ、アメリカや中国と費用のかかる補助金競争へとヨーロッパを追い込む可能性があると考えられている。

オランダ政府は先週、チップ製造装置の主要メーカーであるASMLASMインターナショナルに対して、中国との関係を断つよう求めるアメリカの圧力に公然と反撃した。アメリカは、高性能の半導体とチップ製造装置の中国への販売を阻止するため、徹底的なキャンペーンを展開しているが、日本やオランダのような同盟諸国を説得するには至っていない。オランダの経済大臣ミッキー・アドリアンセンスは『フィナンシャル・タイムズ』紙に対し、オランダは中国との関係について「非常に前向き」であり、中国への輸出規制については欧州とオランダが「独自の戦略を持つべき」であると述べた。

バイデン大統領とヨーロッパの指導者たちは、大西洋を横断する根本的な亀裂を許すわけにはいかないことを十分承知している。

分裂が拡大しているのは、ロシアのウクライナ戦争が一因である。アメリカとヨーロッパは対ロシア制裁とウクライナへの軍事支援で一致団結しているが、ヨーロッパはこの紛争ではるかに高い経済的代償を払っている。ヨーロッパ各国の天然ガス価格は米国の10倍程度に高騰し、ヨーロッパの産業界は大きな不利益を被っている。アメリカは、ヨーロッパがロシアのガスの損失を液化天然ガス(liquefied natural gasLNG)の輸出で埋めるのを助けているが、それは現在高騰している市場価格で販売されている。在ワシントン・フランス大使のフィリップ・エチエンヌは、『フォーリン・ポリシー』誌の取材に対して、「アメリカがヨーロッパに液化天然ガスを提供してくれるのはありがたいが、価格については問題がある」と述べた。

より長期的に見れば、バイデン政権の産業政策(industrial policies)の相反する目標が争点の中心になる。一方では、アメリカは、将来の産業にとって重要な技術や投入物を供給する中国の役割を減らし、強固なサプライチェインを構築することを望んでいる。そのためには、無駄な重複を防ぎ、供給の弾力性を高めるために、同盟諸国との密接な協力、つまり、政権が「友人たちとの共有(フレンドシャアリング、friendshoring)」と呼んでいるものが必要である。一方、中国との競争もあって製造業が失われたことは、アメリカの安全保障を弱め、経済に悪影響を与えたと考え、アメリカの製造業の復活を切望している。また、ミシガン州、ペンシルヴァニア州、ウィスコンシン州などの各州では、製造業の雇用喪失が民主党への支持を低下させた。アメリカの新たな措置はいずれも、企業がヨーロッパや他の緊密なパートナー諸国ではなく、アメリカに投資することを有利にするものだ。

バイデン政権の商務長官であるジーナ・ライモンドは、自分の父親はロードアイランド州にあるブローヴァの時計工場で28年間勤めていたが、同社が生産を中国に移したことで失業したと先週マサチューセッツ工科大学で行ったスピーチで述べた。ライモンドは「これからは、未来の技術をアメリカで発明するだけでなく、その製造もアメリカで行うようにすべきだ」と述べた。このような考え方は、アメリカの同盟諸国やパートナー国にとって都合の悪いものだ。それは、アメリカがこれらの国々に対して新たな規制を受け入れるよう主張し、多国籍企業が安価なエネルギーと寛大な補助金を利用するためにアメリカに移転したり生産を拡大したりすることで、中国市場を失うという可能性に直面することになるからだ。

このような懸念を抱いているのはヨーロッパだけではない。世界貿易機関(World Trade OrganizationWTO)のンゴジ・オコンジョ・イウェアラ事務局長は、無差別規範(貿易相手国が平等に扱われるという条件)を保護しようとしている。イウェアラは、バイデン政権が提示する二者択一を受け入れる国はほとんどないと主張する。「多くの国は2つのブロックのどちらかを選ぶことを望んでいない」と彼女はオーストラリアのロウリー研究所でのスピーチで述べた。このような選択を強いることは、アメリカ、中国、その他の国々が協力せざるを得ない問題での進展を損なう恐れがある。彼女は、「弾力性と安全保障の構築を目的とした政策による分断(デカップリング)は、結局は自己目的化してしまい、気候変動、新型コロナウイルス感染拡大、政府債務危機などの集団的課題に対する協力に悪影響を及ぼす可能性がある」と警告した。

バイデンは、マクロンとの公式晩餐会に先立って、ヨーロッパ各国の懸念を認識し、それを改善しようとする意思を示す言葉を発している。バイデンは、米仏両首脳が「私たちのアプローチを調整し、連携させるための実際的な手段を議論することに合意した。大西洋の両側で製造と革新が強化されるようにした」と述べた。マクロンは、「両首脳は、私たちのアプローチを再び同調して進めることに合意した」と繰り返した。バイデンは「私たちは、存在するいくつかの違いを解決することができる。私はそれを確信している」と述べた。

しかし、その詳細は簡単に解決できるものではないだろう。バイデンは、上記の法律には修正すべき「不具合」があることを率直に認めた。しかし、例えば、自由貿易パートナーが生産する商品への補助金の拡大に関するインフレイション削減法の文言を拡張して、EUを含めることができるかどうかは不明だ。また、議会や政権、鉄鋼や太陽光発電などの業界には、アメリカは製造業の復活が遅れていると考え、この法案の「アメリカ第一」原理にこだわる人々が多い。彼らは、この法律の過度に寛大な解釈に反発するだろう。

バイデン大統領とヨーロッパ各国の指導者たちは、大西洋を横断する根本的な亀裂を許す訳にはいかないことを十分承知している。冷戦の最盛期以降で、ロシアと中国の二重の脅威が、アメリカとヨーロッパに、エアバス社とボーイング社への補助金をめぐる長い論争のように、ストレスの少ない時代には何年もくすぶっていたかもしれない経済問題を協力し解決することを迫っているのである。

この大きな賭けは、両者が解決策を見出すことを示唆している。マクロン大統領は「この状況下では、私たちは協力する以外に選択肢はないのだ」と述べた。

※エドワード・アルデン:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト、ウエスタン・ワシントン大学非常勤教授。外交評議会上級研究員。著書に『調整の失敗:アメリカは如何にして世界経済を置き去りにするのか(Failure to Adjust: How Americans Got Left Behind in the Global Economy)』がある。ツイッターアカウント:@edwardalden

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世界各国がインフレイションを下げようと躍起になっている中で世界規模での景気後退に起きると国連が警告(UN warns of a global recession as countries race to lower inflation

トバイアス・バーンズ筆

2022年10月4日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/3673894-un-warns-of-a-global-recession-as-countries-race-to-lower-inflation/

国連は、アメリカやヨーロッパなどの先進諸国の規制当局が高騰するインフレイションを抑えようとする中、月曜日に世界的な景気後退の発生を警告した。

国連は、アメリカ連邦準備制度(U.S. Federal Reserve)をはじめとする中央銀行に対し、「軌道修正し、これまで以上に高い金利に頼ることで物価を下げようとする誘惑を避けるように」と呼びかけた。

アメリカ連邦準備制度は、新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な経済活動停止を受けて、景気が減速し、40年ぶりの高水準にあるインフレイション率を下げようと、金利を引き上げている。3月以降、金利は0%前後から3から3.25%へと上昇している。

しかし、国連の主要な経済関連団体をはじめに、世界各国の金融当局の姿勢を見直すことを求める声が高まっている。彼らは、インフレイション目標を下げることは、継続的な金利引き上げの痛みに見合わないと主張している。アメリカ連邦準備制度の中央値予想によれば、来年の金利は4.6%に達すると見られている。

国連貿易開発会議U.N. Conference on Trade and DevelopmentUNCTAD)は月曜日に発表した報告書の中で、中央銀行に対し、今後の景気後退は「政策によるもの(policy-induced)」であり「政治的意思(political will)」の問題であるとし、軌道修正するよう促した。

国連貿易開発会議のグローバライゼイション部門の部長であるリチャード・コズル・ライトは声明の中で、「政策立案者たちが直面している本当の問題は、あまりにも多くのお金があまりにも少ない商品を追いかけることによるインフレイション危機ではない。あまりにも多くの企業が高すぎる株式配当を支払い、あまりにも多くの人々が給料日から給料日までの間の生活に苦労し、あまりにも多くの政府が債券支払いから債券支払いまで何とか生き残っているという、分配に関する危機的状況である」と述べている。

月曜日の国連貿易開発会議報告書は、世界経済における最後の高インフレイション期との比較を軽んじ、今日の経済状況は1970年代とは本質的に異なり、両者の間に類似点を見出すことは「過ぎ去った時代の経済の内臓を調べ上げること」に等しいと述べている。

具体的には、賃金上昇が物価上昇をもたらし、その逆もまた同じだ(物価上昇が賃金上昇をもたらす)という賃金価格スパイラルは、今日の世界の価格ダイナミクスにとって重要な力ではないとしている。

UNCTADの報告書は、「1970年代を特徴付けた賃金価格スパイラルが存在しないにもかかわらず、政策立案者たちは、ポール・ヴォルカーが率いていたアメリカ連邦準備制度が追求したのと同じ規模ではないにしても、短期間の鋭い金融ショックが、不況を引き起こすことなくインフレ期待を固定するのに十分であると期待しているようだ」と述べている。

同時に報告書は次のように書いている。「しかし、多くの国で起きている深い構造的・行動的変化、特に金融化、市場集中、労働者の交渉力に関する変化を考えると、過ぎ去った時代の経済的内臓をふるいにかけても、ソフトランディングに必要なフォワードガイダンス(forward guidance 訳者註:中央銀行が将来の金融政策の方針を前もって表明すること)は得られそうにない」。

アメリカ国内のコメンテーターたちの中にも、40年前にインフレイションを引き起こした賃金と物価のスパイラルを軽視し、今日の経済のグローバライゼイションを強調し、同様の見解を示す人たちがいる。

ウエストウッドキャピタルの経営パートナーであるダン・アルパートはインタヴューで次のように語った。「インフレが賃金価格スパイラルを引き起こすと考えるギリシャの大合唱がある。しかし、それは供給サイドを無視しており、賃金価格スパイラルが発生した1970年代と今日の供給状況の大きな違いを無視している。今日、私たちは膨大な量の外生的な供給と商品、つまり世界中から商品がやってくるのだ」。

米連邦準備制度は7月の会合議事録で、「賃金価格スパイラルの欠如」と指摘し、国内経済では賃金上昇と物価上昇の相互強化が作用していないことを認めている。

しかし、ジェローム・パウエルFRB議長は、講演や公的な発言でこの2つの概念をしばしば結びつけている。9月の記者会見では、FRBの金利設定委員会の委員たちが「労働市場の需要と供給が時間の経過とともに均衡し、賃金と物価に対する上昇圧力が緩和されることを期待する」と述べた。

パウエル議長は、「アメリカ人は利上げによる経済的痛みを感じるための準備をいつまで続けるべきか?」と質問され、「いつまでか? それは、賃金に影響を与え、それ以上に物価に影響を与えるまでだ。インフレが下がるのにどれだけ時間がかかるかによる」と答えた。

より大きく言えば、パウエル議長は、景気後退や経済減速の痛みは2つの悪のうち小さい方で、大きい悪は米国の消費者にとって常に物価が上昇することだと主張している。

パウエルは8月に「金利の上昇、経済成長の鈍化、労働市場の軟化はインフレ率を低下させるが、家計や企業には痛みをもたらす。これらはインフレを抑えるための不幸なコストだ。しかし、物価の安定を回復できなければ、はるかに大きな痛みを意味する」と述べている。

共和党はインフレに対してタカ派的なスタンスをとっており、賃金価格スパイラルは景気後退に直面しているアメリカ経済にとって依然としてリスクであると主張している。

連邦下院歳入委員会の共和党側幹部委員ケヴィン・ブレイディ連邦議員(テキサス州選出、共和党)は月曜日にCNBCのテレビ番組に出演し、「確かに、賃金スパイラルはかなり危険だ。どの国もそうでありたいとは思わないが、私たちは深くその中にいる。私たちは伝統的な定義のスタグフレイションの状態にある」と語った。

ブレイディ議員は「私が懸念しているのは、FRBがインフレを減速させるために必要な失業率を知っているかどうかということだ。つまり、インフレ減速を達成するために経済成長をどの程度減速させるべきか、彼らが知っていると私には思えない。私は、彼らがここで手探り状態になっていることを心配している」と述べた。

インフレがもたらすリスクについては違いがあるものの、共和党所属の政治家たちや国連のエコノミストの中には、過去10年間の超緩和的な金融政策は行き過ぎだったという意見を一致して述べる人たちがいる。

パット・トゥーミー連邦上院議員(ペンシルヴァニア州選出、共和党)はインタヴューの中で、「私たちはあまりにも長い間非常に金融緩和政策を採用していたので、資産価格は高騰し、少しやり過ぎということになった。そして今、金利を正常化しているので、風をいくらか弱める傾向にある」と述べた。

国連のエコノミストたちも、月曜日の報告書とともに発表された声明の中で、ほぼ同じことを述べている。

UNCTADは「超低金利の10年間で、中央銀行は一貫してインフレ目標を下回り、より健全な経済成長を生み出すことができなかった」と書いている。

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(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 新型コロナウイルス感染拡大によって世界各国、特に発展途上国で厳しい状況になっているようだ。以下に紹介する記事は世界銀行が発表した報告書を基にしているが、それによると、世界規模で、経済格差が広がっているということだ。それまでいくつかの点で改善が見られていたのに、それが逆行しているということだ。

 経済格差が拡大し、生活が苦しい、もしくは生活ができないという人の割合が高まっていけば、社会は不安定になる。社会の規範、ルールや法律を守ろうという意識がなくなっていく。それは社会学的に言えば、「急性アノミー(acute anomie)」となる。そうした社会になるコストを考えれば、政府による再分配や支援によって社会の安定を維持するコストの方が安くつくと思われる。

 アメリカでは高インフレーションが続き、生活に困窮する世帯も多く出ている。多くの場合、そうした世帯は貧困層に含まれており、低賃金の仕事に甘んじなければならない。また、雇用形態も不安定だ。そうした中で、インフレーション率を超えるほどの賃上げもないとなると、生活は苦しくなる。家賃やガソリン価格の高騰というのは生活に直接かつ深刻な悪影響を与える。民主党のバイデン政権にとっては、自分たちの支持基盤であるこうした人々の生活を何とかしなければ今年の中間選挙では敗北を喫するということになる。

 そのために、大型支出法案を連邦下院(民主党が僅差ではあるが過半数)で可決させたが、連邦上院(民主共和で50対50、ハリス副大統領の投票でかろうじて民主党が過半数)では、ジョー・マンチンの反対表明によって前途が厳しくなっている。民主党内の進歩主義派と中道派の争いも激しい。この法案が可決成立しなければ大型支出ができないということになる。そうなれば中間選挙で敗北は必至となり、連邦上下両院で共和党が過半数を握るということになる。そうなれば、政権運営は厳しさを増す。そうなれば、2024年の大統領選挙で、バイデンの再選は難しくなり(元々年齢もあって難しいところもある)、それどころか民主党が敗北して、ホワイトハウスを共和党に渡すということになる。

 2022年前半は世界全体で正念場ということになりそうだ。

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報告:新型コロナウイルス感染拡大が世界規模の貧富の差の改善が逆行(Pandemic reversing gains in wealth gap globally: report

レクシ・ロナス筆

2022年1月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/589334-pandemic-reversing-gains-in-wealth-gap-globally-report

世界銀行が火曜日に発表した報告書によると、コロナウイルスの感染拡大により、世界規模の貧富の差についての改善が逆行しているということだ。

世界銀行は世界規模での収入格差は新型コロナウイルス感染拡大期間中に増大し、過去20年間で達成したいくつかの進歩を逆行させていることを発見した。

報告書によると、極度の貧困率(extreme poverty rates)が上昇し、低所得者層に偏って、重大な影響を及ぼしているということだ。

この貧富の差の拡大は、新型コロナウイルス感染拡大によって低技能労働者や低所得者の雇用と収入が失われたことに起因している。多くの雇用は、政府が義務付けた操業停止により、中小企業が休業や営業時間の短縮を余儀なくされたために失われた。

世界銀行は、過去数十年間に見られた他の感染症に比べれば、各国内の格差の拡大は小さいと述べている。この格差の影響は、より長期に及ぶ可能性がある。

新型コロナウイルスは、特に低所得世帯において、子どもたちが遠隔学習に適応しなければならないため、教育に混乱をもたらし、所得と教育の関連性から、何世代にもわたって後退する可能性があると報告されている。

世界的に見て、先進諸国の方が発展途上諸国より早く回復することになるだろうと報告書は述べている。

世界銀行グループ会長デイヴィッド・マルパスは次のように述べている。「"世界経済は新型コロナウイルス感染拡大、インフレーション、政策の不確実性に同時に直面しており、政府支出や金融政策は未知の領域に入っている。格差の拡大や安全保障上の課題は、特に発展途上国にとって有害だ。より多くの国々を好ましい成長軌道に乗せるためには、協調的な国際行動と各国の包括的な政策対応が必要である」。

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インフレーションが1982年以降で最高水準に(Inflation rises to highest level since 1982

アリス・フォーリー筆

2022年1月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/589333-inflation-rises-to-highest-level-since-1982

1年の終わりとなる12月に消費者物価は7%も上昇した。水曜日にアメリカ労働省は子の上昇は1982年以来最高水準を記録したと発表した。

アメリカ労働省が発表する消費者物価指数(consumer price indexCPI)は消費財とサーヴィスのインフレーション率を測定するものであるが、12月の1カ月間だけで0.5%の上昇となった。

複数の政府高官は、家賃、中古車、トラックの価格上昇を 「季節調整済み全品目上昇の最大の要因 」と位置づけた。食品価格の上昇もまた、インフレーションの重要な原因として今回の最新報告書に記されたが、先月の0.5%の上昇率はここ数ヶ月に比べれば小さいものとなった。

家具・業務用品、アパレル、新車、医療の価格も12月に上昇したが、自動車保険と娯楽に関する価格は前月と同様に低下した。

エネルギー価格は、上昇が続いた後、12月に0.4%下落した。ガソリンと天然ガスの価格も低下した。

しかし、食料とエネルギーを除いた全品目の物価は先月0.6%上昇した。11月は0.5%上昇していた。労働省によると、12月はでこれらの物価が0.5%上昇したが、この9カ月間で少なくとも0.5%上昇したのは6回目であった。

バイデン政権は、物価上昇に直面する中、新型コロナウイルス感染拡大からの回復が進む中で、経済の力強い前進を誇示しようとしてきたが、今回のインフレレポートは、バイデン大統領が直面する課題のリストに問題が追加されることになった。

水曜日に発表した報告書は、年間インフレーション率が30年ぶりの高水準に達したことを示した11月の報告以来のものである。

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バイデンが、政権は物価上昇率の上昇を緩やかにするために「いくつか進歩を達成」していると発言(Biden says administration 'making progress' slowing rate of price increases

モーガン・チャルファント筆

2022年1月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/589385-biden-says-administration-making-progress-slowing-rate-of-price-increases?utm_source=thehill&utm_medium=widgets&utm_campaign=es_recommended_content

ジョー・バイデン大統領は水曜日、インフレーションに関する最新のデータから、バイデン政権が「物価上昇率の鈍化において前進している」と発言したが、アメリカの各世帯のコストを下げるために更なる取り組みが必要であることを認めた。

バイデンは水曜日に発表した声明の中で次のように述べている。「「本日の報告書は、ガソリン価格と食品価格の下落により、主要なインフレーション率が先月より大幅に低下したことを示しており、物価上昇率の鈍化に向けた前進を実証している。同時に、この報告書は、物価上昇率が依然として高く、家計を圧迫していることから、我々がまだやるべきことがあることを強調している」。

労働省が発表した新しいデータによると、2021年12月の消費者物価は前年同月比で7%上昇し、1982年以来最も急速な上昇率を記録したとのことだ。最も物価が上昇したのは、家賃、中古車、トラックのカテゴリーであることが報告されている。

しかし、今回の報告書によると、12月のインフレーション率は11月より0.5%上昇し、前2カ月より低い数値となった。ホワイトハウスはこの統計を、物価上昇率が緩和され始めている兆候と強調している。

データによると、食料品の価格上昇率は前月より小さく、ガソリンと天然ガスのコストは低下しました。

この新しいデータは、予想されたことではあるが、バイデンにとっては難題ということになる。バイデン大統領は、コロナウイルスの感染拡大が続く中でも、雇用の増加は力強い経済回復の証拠であると賞賛しているが、物価の高騰に対するアメリカ人の懸念を和らげるのには苦労している。一方、共和党は、インフレーションを次の中間選挙の主要な争点にしようとしている。

バイデンは水曜日に発表した声明の中で次のように述べている。「インフレーションは、世界規模の景気低迷から脱却した先進国のほぼ全てで発生している問題である。アメリカは幸運にも、アメリカン・レスキュー・プランのおかげで、最も急速に経済が成長している国の一つであり、このことが物価上昇に対処し、強力で持続可能な経済成長を維持することを可能にしている。これが私の目標であり、日々その達成に向けて努力している」。

バイデン政権は、コストを抑えるために、港湾やトラックにおけるサプライチェインのボトルネックを緩和する措置をとっている。

水曜日の朝、CNNに出演したホワイトハウス経済諮問委員会のメンバー、ジャレッド・バーンスタイン氏は、政権の取り組みが成果を上げている証拠として、港で待機中のコンテナの減少と輸送コストの減少を挙げた。

2021年11月、バイデンはエネルギー関連コストの高水準と戦うために、5000万バレルの石油をアメリカ戦略的石油備蓄(Strategic Petroleum Reserve)から放出するという方策も実施した。

複数のホワイトハウス高官たちは、バイデンが主導している気候・社会政策法案、ビルド・バック・ベター法案の可決によって、アメリカの各世帯の医療費、育児費、その他のコストを下げることに貢献するとして、法案可決を促している。

しかし、ビルド・バック・ベター法案は現在連邦上院でとどまっている状態であり、立法化にむけての前途は明確になっていない。

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 アメリカでは現在、インフレーション率の上昇が問題になっている。インフレーションとは簡単に言うと、物価が上昇することだ。物価が上昇するということは、需要が供給を上回っている状態のことだ。好景気となればインフレが進む。経済が激しく動くことで起きる摩擦熱のようなものだ。流通する貨幣量が増えるからインフレになる。

 ジョー・バイデン政権が進めようとしている社会支出法案が可決成立すると、巨大な政府支出によって貨幣量が増大して、インフレになるのではないかと考えてしまう。しかし、以下の記事にあるが、民主党系の経済学者たち、代表としてノーベル賞を受賞したポール・クルーグマンはそんなことはないと述べている。同じ民主党系の経済学者として知られる、こちらもノーベル賞受賞者のラリー・サマーズはインフレーションが信仰する懸念を表明している。

 同じ現象を見てもこのように、ノーベル賞を受賞したような世界的な経済学者たちが意見を異にしているというところに、社会科学の難しさ、社会科学の複雑さがあると思う。社会は非常に複雑であり、それを単純化して、一本貫く法則を見つけようとする営為が社会科学であるが、それはほぼ絶望的に困難、不可能であると思われる。

 インフレーションについて言えば、「政府が大規模支出をすればインフレーションが信仰するのか、しないのか」は極めて重要な問いだが、これに対する答えは確たるものはない。そして、これまでに起きたこととの類似点を探すことになる。以下の記事にあるように、戦後アメリカでインフレーション率が5%を超えた時期は6回ある。クルーグマンは終戦直後のインフレと今回のインフレはよく似ているとしている。これは供給側に問題があり、人々の需要を満たすだけの製品などを供給できないことで起きるインフレだということになる。従って、生産力、供給が調整できればインフレは収まるということになる。クルーグマンはこのように考えているようだ。

 インフレについては「コストプッシュ型」と「デマンド(需要)プル型」がある。コストプッシュ型とは、自然的な要因などで製品の価格が高騰することで起きるインフレであり、デマンドプル型とは、需要が高まることで供給が追い付かずに起きるインフレだ。クルーグマンは現在の状況をデマンドプル型と考えているようだ。しかし、供給サイドが限界に達している場合、それ以上は供給ができないということになる。そうなれば、需要が下がらない限り、物価上昇、インフレは収まらない。海外要因で言えば、中国の存在ということがある。中国の需要は凄まじい。新型コロナウイルス感染拡大を抑え込んだこともある。経済回復をいち早く進めようとしている。

 日本の場合は円安傾向もあり、海外からの食料品や石油、天然ガスの価格が上昇している。それがいろいろな製品の値上げにも結び付いてしまっている。賃金の上昇も見込めない中での物価上昇は最悪のシナリオである。スタグフレーションと言ってもよい。

 アメリカは来年中間選挙を控えている。インフレ退治はバイデン政権の最大の課題となるが、常識的に考えて、大型支出を行うことでインフレが進行するということになる。「現在は調整局面だ」ということで押し通すことになるだろうが、インフレが続けば、民主党にとって2022年の中間選挙は厳しい結果が待っていることになる。

(貼り付けはじめ)

リベラル派の経済学者たちがメモを発表:「ビルド・バック・ベター」法案はインフレーションを悪化させる可能性は小さい(Liberal economists got the memo: Build Back Better couldn't possibly worsen inflation

メリル・マシューズ筆

2021年11月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/finance/582805-liberal-economists-got-the-memo-build-back-better-couldnt-possibly-worsen

民主党は、「ビルド・バック・ベター(Build Back BetterBBB)法案」に盛り込まれた巨額の新たな政府支出が、数十年来の猛烈なインフレを起こさせるのではないかという考えを払拭しようとしている。『ニューヨークタイムズ』紙の寄稿者であるリベラル派の経済学者ポール・クルーグマンが、「歴史が述べているのは、“インフレーションについてパニックになるな”ということだ(History Says Don't Panic About Inflation)」の中で、それを裏付ける意見を述べている。

クルーグマンがつけたタイトルにはそうあるが、実際に歴史はそのようには言っていない。

しかし、これは押し売りだ。クルーグマンは、ホワイトハウス経済諮問委員会(White House Council of Economic Advisors)が2021年7月6日に発表した「今日のインフレに関する物語の歴史的比較(Historical Parallels to Today's Inflationary Episode)」という記事に基づいて主張している。

バイデン政権のホワイトハウスがこの記事を発表したのは4ヶ月以上前であり、当時はまだインフレが現実のものとはなっていなかったが、可能性はあるが統制されているように見えた。しかし、現在インフレ率は着実に上昇し、今後もさらに上昇していくだろう。

しかし、ビルド・バック・ベター法案は上院に送られ、修正されるか、あるいは否決されることになる。クルーグマンを含む大金持ちたちは、猛烈なインフレーションを当然懸念する層の人々、つまり上院議員と一般国民に対して、「獣はすぐに檻に戻される」と説得しようとしている。

しかし、クルーグマンとホワイトハウスが見逃している重要なポイントが少なくとも一つ存在する。

ホワイトハウス経済諮問委員会の報告書によると、第二次世界大戦以降、「消費者物価指数(CPIConsumer Price Index)で測定して、物価上昇率が5%以上を記録した時期が6つ存在している」。ホワイトハウス経済諮問委員会とクルーグマンは、現在のインフレーションと最もよく似ているのは終戦直後の1946年から1948年までのものだと主張している。

その理由は簡単だ。戦時中は配給制(rationing)と価格統制(price controls)で消費が抑制されたため、終戦時に潜在需要(pent-up demand)が高くなった。これは、新型コロナウイルス感染拡大から抜け出しつつある現在、潜在需要が高くなっていることとよく似ている。

しかし、戦後、製造業者たちが戦時中に必要な製品から消費者向けの製品に移行していく途中であったために供給が制限された。これは、現在のサプライチェインの問題が供給を制限しているのと似ている。

クルーグマンは私たちに次のように教えている。「しかし、インフレーションは長くは続かなかった。インフレーションは1948年に最高潮を迎えたが、1949年までにデフレーションに転換した。物価は下落し始めた。インフレーション率の急激な上昇に対して政治家たちが行った最大の過ちはその一過性の性質を評価分析しなかったことだ」。

クルーグマンの助言は以下の通りだ。「現在目撃している物価の急上昇については心配するな」。現在の物価の急上昇は、新型コロナウイルス感染拡大から抜け出しつつある現状の複雑な組み合わせの結果なのであって、バイデン大統領による浪費の結果ではないというものだ。現在のインフレーション問題は1948年の場合がそうだったように、早期に解決されるだろう。

民主党系の著名な経済学者の中にインフレーションについて懸念を表明している人たちがいることに注意する必要がある。ラリー・サマーズ元財務長官は今年2月から、つまりバイデンの1兆9000億ドルのアメリカ救済計画が可決される前から、ホワイトハウスがインフレーション圧力を無視しているとして警告を発してきた。

オバマ政権のエコノミストだったジェイソン・ファーマンは、AP通信とのインタヴューで、より率直な意見を述べた。「彼らは火に灯油を注いだのだ!」

しかし、最近になって、両者とも、ビルド・バック・ベター法案の全支出は今日のインフレーション圧力にほとんど、あるいはまったく影響を与えないと主張している。

クルーグマンの言う当時と現在の比較の違いの一つは、「富の効果(wealth effect)」である。これは、自宅や株価などの資産が上昇すると、人々は経済的な安心感を得て、より多くの支出をしようとするというものだ。

株式市場の下落は逆効果になることもある。ダウ平均株価は1946年4月にピークを迎え、急速に下降を始めた。1948年11月の不況の始まりまでに、ダウ平均株価はその価値の3分の1を失ってしまった。

ダウ平均株価の継続的な下落が、より多くの商品の需要を押し下げ、インフレーションの圧力を弱めたかもしれない。

今日は、その正反対のことが起こっている。株価指数は最高値を更新している。そして、国民の多くが市場に投資している。さらに、個人の貯蓄率はパンデミック中に過去最高を記録した。富の効果は、少なくとも今のところまだ影響を及ぼしており、人々は物価が上がっても、より多くの商品を購入するよう促すことになっているだろう。

バイデン大統領の進めるビルド・バック・ベター法案は巨大なそしてコストのかかる政治的、経済的ギャンブルである。バイデンによる大きな支出はインフレーションの唯一の原因ではないが、ファーマンが言っているように、「火に灯油を注いだ(poured kerosene on the fire)」のである。現在、バイデンはその支出をさらに増やしたいと考えている。

このままインフレーションが続けば、来年の選挙で民主党はさらに厳しい状況に追い込まれるかもしれない。政治家のキャリアにとって、猛烈なインフレーションよりも危険なのは、怒れる有権者たちだからだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 

 今回は2018年の世界経済GDPについての記事をご紹介する。世界各国のGDPを大きさに比例させて、見やすくしたヴィジュアルがあり、「この国はこれくらいなのか」と興味を持ってみることが出来る。

 ここで使われているのは、購買力平価GDPと一般的なGDPだ。 

購買力平価(Purchasing Power Parity)は、為替レートは自国通貨と外国通貨の購買力の比率によって決定されるという理論だ。有名なのは、ビックマック指数だ。これは世界各国に展開しているハンバーガーのマクドナルドで売っているビックマックの値段がいくらになっているのかを基準にして計算している。購買力平価GDPは各国の物価を計算に入れた為替レートの対ドルで計算をしたものだ。

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 購買力平価のレートと市場でのレートで米ドルと人民元を見てみると、人民元は実際以上に安く誘導されているということになる。購買力平価GDPで計算すると、2014年以降は、中国がアメリカを抜いて世界最大の経済大国ということになる。しかし、実際のレートで計算すると、アメリカが最大の経済大国であることは変わらない。

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 中国も経済成長をし、物価が上がり、人々の生活水準も上がっていくとなると、通貨の力も強くなるし、そうなればいつまでも安い方向を維持することは難しい。日本がそうであったように、通貨の価値は上がっていく。対ドルで元高になっていく。
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 中国の経済成長率が鈍化していると言っても6%以上を維持している。経済規模を考えると、アメリカは4%以上の経済成長をしなければ、中国に差を縮められる。アメリカの最近の経済成長率は2%台なので、中国が差を縮めている。

 日本を見てみれば一般的なGDPでは3位(5.79%)で4兆9700億ドル(約537兆円)、購買力平価GDPでは4位(4.02%)で5兆4800億ドル(約592兆円)である。購買力平価GDPの方が高いということは、円が安く誘導されているということを示している。日本は世界第2位の経済大国(1968年に当時の西ドイツを抜いて2位に)で、アメリカを凌駕すると言われていたバブル時代はもう30年も前の話で、それから衰退が続いている。

 世界経済の全体像をつかむということで今回ご紹介する記事は役立つものになっている。

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購買力を考慮しながら世界経済を可視化する(Visualizing The World Economy When Purchasing Power is Taken into Account

2019年9月12日

https://howmuch.net/articles/the-world-economy-ppp-2018

異なる国々の経済を比べる際に、最も一般的な方法は「購買力平価(purchasing power parity)」を使うことだ。購買力平価(PPP)は世界各国の経済を「財のバスケット」内部の様々な価格を平準化することで比較することだ。言い換えるならば、購買力平価は、国家間の生産を比較する際に、生活水準の違い(1カートンのミルクの値段の違いなど)を考慮に入れるということだ。これを一歩進め、購買力平価GDPで世界各国のGDPを可視化する。このチャートでは、国際的なドルを使用する。これはアメリカ国内のドルの購買力と同じ購買力を持っている。

・購買力平価GDPの測定は、各国の経済を比較するために、市場の為替レートではなく、世界中の生活費のコストを考慮に入れている。

・2018年の世界の購買力平価GDPは136兆4800億ドルだ。

・アジア諸国は購買力平価GDPで世界の40%以上を占めている。

・米中両国は購買力平価GDPで世界の3分の1を占めている。

・今回の可視化に使われている情報は世界銀行からのものだ。最新の数値は2018年のものだ。各国のサイズは購買力平価GDPの大きさに比例している。各国は属する大陸で色分けされている。そして、世界の生産に対してとの地域がどれくらい寄与しているかがわかる。

●購買力平価GDPから見る世界トップ10

1. 中国:25兆3600億ドル(約2739兆円)[18.58%]

2. アメリカ:20兆4900億ドル(約2213兆円)[15.02%]

3.インド:10兆5000億ドル(約1134兆円)[7.69%]

4.日本:5兆4800億ドル(約592兆円)[4.02%]

5.ドイツ:4兆5100億ドル(約488兆円)[3.30%]

6.ロシア連邦:3兆9900億ドル(約431兆円)[2.92%]

7.インドネシア:約3兆4900億ドル(約377兆円)[2.56%]

8.ブラジル:約3兆3700億ドル(約364兆円)[2.47%]

9.イギリス:約3兆700億ドル(約332兆円)[2.25%]

10.フランス:約3兆700億ドル(約332兆円)[2.25%]

先月、私たちは現在のアメリカ・ドル表示の各国のGDPをイラストと示す可視化したものを発表した。このGDPは生活にかかるコストを入れていない。また、それぞれの国家の生産高を比較するために市場における為替レート使用している。世界の名目GDP(右側)と購買力平価GDP(左側)のいくつかの違いに気づくだろう。明らかなことは、アメリカは世界の名目GDPで最大のシェアを占めているが、中国は購買力平価GDPで最大のシェアを占めている。

世界銀行のデータは、アメリカの購買力平価GDPは、大恐慌時代以来毎年成長していることを示している。しかし、ここ10年間の拡大の後、アメリカの経済成長は鈍化している。しかし、雇用の成長によって経済の安定は保たれ、GDPは拡大し続けると見る専門家たちもいる。

同様に、中国の景気後退は国際的な関心を集めている。特に輸出量の減少に人々の目が向いている。中国の中央銀行は貸出を促進し、生産を増加させるために預金準備率を低下させることで対応を行っている。世界規模の景気後退を示す兆候はより多くなっている。日本とインドのような国々の経済指標は私たちに印象を残すことに失敗している。世界経済は成長を続けているが、様々な指標の動向は変化の兆しを示している。

世界経済のGDPと購買力平価GDPの違いについて読者の皆さんは驚いただろうか?コメント欄で教えて欲しい。

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世界の86兆ドル経済を一つのチャートで可視化する(The World’s $86 Trillion Economy Visualized in One Chart

2019年8月15日

https://howmuch.net/articles/the-world-economy-2018

世界のGDPは堅調に成長し、2018年には6.9%の成長率を記録した。全体で2017年の80兆2000億ドルから85兆8000億ドルに増加した。この成長の半分は世界最大の経済大国2か国から来ている。アメリカは20兆5000億ドル(2017年に比べて5.4%増)、中国は13兆6000億ドル(10%増)となった。しかし、世界規模での景気後退の恐怖は高まっている。世界第1位と第2の経済大国同士が経済における緊張関係を深刻化させていることがその原因となっている。

・アメリカは今でも世界最大の経済大国であり、世界のGDPの23.9%を占めている。

・中国は世界第2位の経済大国であるが、最近の四半期においては約30年間で最も遅い経済成長ペースを記録した。

・最新の世論調査で、経済学者の半分が来年までにアメリカ経済は後退すると予測している。

・アメリカと中国との間の貿易摩擦は解決しておらず、投資家たちは世界経済の成長について悲観的になっている。

・私たちのデータは世界銀行の2018年版世界GDP数値から取っている。それぞれの国はGDPの大きさで示されている。それぞれの国は地域別にまとめられ、色分けされている。2017年からどのように変化死体を見る場合には、HowMuch’s 2017 analysis of world GDP.をチェックして欲しい。

GDPから見る世界のトップ10

1. アメリカ:20兆4900億ドル(約2200兆円)[23.89%]

2. 中国:13兆6100億ドル(約1470兆円)[15.86%]

3.日本:4兆9700億ドル(約537兆円)[5.79%]

4.ドイツ:4兆ドル(約432兆円)[4.66%]

5.イギリス:2兆8300億ドル(約306兆円)[3.29%]

6.フランス:2兆7800億ドル(約300兆円)[3.24%]

7.インド:2兆7300億ドル(約295兆円)[3.18%]

8.イタリア:2兆700億ドル(約224兆円)[2.42%]

9.ブラジル:1兆8700億ドル(約202兆円)[2.18%]

10.カナダ:1兆7100億ドル(約185兆円)[1.99%]

アメリカと中国両国で世界GDPの約40%を占めている。それぞれ20兆5000億ドルと13兆6000億ドルを記録し、世界経済の23.9%と15.9%をそれぞれ占めている。両国の経済力と深刻化する緊張のために、私たちのアナリストたちは両国に注意を払っている。

全米ビジネス経済学会は280名のビジネス経済学者を対象に調査を実施した。調査対象者の半数は来年末までにアメリカ経済は後退すると予測していると答えた。ゴールドマンサックスとJPモルガンに所属しているアナリストたちは2019年第二四半期の経済成長は2%以下に減速すると見ている。景気後退が予測される理由は何だろうか?経済学者たちは景気減速が予想される多くの要素を指摘している。現在のアメリカ経済において労働市場は堅調であったが、後退の兆候が見え始めている。連邦準備制度理事化による予想される金利引き上げも景気後退の兆候となっている。アメリカにおける経済格差の拡大もまた後退を示す要素となっている。1989年から2018年にかけてアメリカ国民の下半分は9000億ドルを失った。これは経済全体に大きな影響を与えている。

しかし、世界中の報道機関が報じている要素は関税が与える衝撃と中国とアメリカとの間での貿易戦争勃発の可能性である。米中両国の経済は既に影響を受けている。数字がそれを示している。中国の2019年第二四半期のGDP成長率は6.2%に鈍化した。この数字は1992年以降最も小さい成長率となった。今年7月の中国の工業生産高の成長率は、昨年に比べて4.8%に鈍化した。この数字は2002年2月以降で最も弱いペースとなった。アメリカと中国が貿易面での相違をすぐに乗り越えることが出来るか確かではない。そして、市場は長期の難局を示しているように見える。このように先行き非案の兆候はあるが、経済学者の中には景気後退が不可避だと確言できないとしている人々がいる。こういった人々は、オーストラリアとイギリスのような国々の経済は何十年単位で安定的に成長していると述べている。

各国や各地域のGDPについて読者の皆さんを驚かせたのはどんなことだろうか?アメリカもしくは中国は景気後退に向かって進んでいると考えるだろうか?景気後退は世界経済全体にどのような影響を与えるだろうか?コメント欄で考えを教えて欲しい。

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 古村治彦です。

 

 アメリカでは共和党提出の税制改革法案が可決し、トランプ大統領が署名して法律となります。企業に対する大幅減税となり、トランプ大統領の、減税によって国内投資や雇用を増やして経済を成長させる、という公約実現へ一歩進んだ形になります。国債発行高は増えてしまうということもありますが、経済が伸びれば税収も上がるのでそれで賄えるということになります。そこまでうまくいくかは分かりませんが。

 

 共和党の税制改革が実現したことで、2018年の中間選挙はどうなるのかということも注目されますが、現在のところ、共和党の指示は伸びておらず、もし近々で中間選挙があれば、民主党が勝利するであろうという予測が出ています。北朝鮮情勢の推移、具体的には、米軍の攻撃があるかどうかで中間選挙の予測は変わってきますので、目が離せないところです。

 

 アメリカの税制改革の影響を受けそうだと判断した中国政府は、外国企業に対する優遇税制を発表したそうです。中国国内であげた収益に税金をかけない、その代わり、その収益は中国国内に投資せよ、というものです。これは中国への海外投資が減り、アメリカへの投資が増えることを見越しての対抗措置ということになります。外国企業の収益に税金をかけることで逃げられてしまうよりも、その収益を全部中国に置いていけ、という見方によってはより厳しいやり方ということも言えます。

 

 多国籍企業が稼ぎ出すお金を税金でとるか、投資を誘引してとるか、ということになりますが、どちらがより互恵的なのかということになると、投資を誘引させる方がより賢いということになるでしょう。投資によって生み出された雇用と消費によって税収は増えるのですから。しかし、このような思い切った方策は中国以外では難しいでしょう。アメリカはトランプ大統領の政策への期待から株高が続き、これを目当ての資金も還流しているでしょうから、中国政府の誘引もどれほどの効果があるか、ということになります。

 

 こうして見ると、経済面では今年もまた中国が伸び、アメリカがイラつきながら株高で対抗という感じになるでしょうか。日本もマイナス金利とGPIFの株式投資で、なんだか奇妙な経済成長をしているのに、皆が心に中で「2020年まで、オリンピックまで」と心の中で唱えながら、その時に貧乏くじを引きたくないと考えて、景気が実感できないというなんだか変なパラレルワールドで生活するという感じになるでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

共和党の税制改革法案の可決の後に中国が外国企業にたいする優遇税制を発表(China to offer tax breaks to foreign companies after GOP tax bill

 

ジャクリーン・トムセン筆

2017年12月29日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/international/china/366752-china-to-offer-tax-breaks-to-foreign-companies-after-gop-tax-bill

 

中国は外国企業に対して優遇税制措置を行うと発表した。これは、共和党の税制改革計画によってアメリカ国内により投資をし、ビジネスを展開する誘因が出てくる中で、外国企業日して中国にとどまるように求めるものである。

 

『ニューヨーク・タイムズ』紙は、中国政府は一時的に外国企業が中国で出した収益に対する税金を支払わないことを許可するだろうと報じた。

 

中国財務省は木曜日に発表した声明の中で、優遇税制によって、「外国からの投資の増加を促進し、外国からの投資の質を上げ、海外の投資家たちからの中国への投資をこれからも拡大を奨励する」ことになるだろうと述べた。

 

しかし、外国企業は最先端技術や鉱山といった中国政府が投資を促している分野に収益を投資しなければならない。優遇税制は2017年1月1日に訴求して適用される。

 

今回の中国政府の発表は、トランプ大統領が共和党提出の税制改革計画に署名をして法律化するとなって数日後に行われた。共和党の計画では、製造業者をアメリカに惹きつけるための法人税のより低い税率も含まれている。

 

今回の発表はまた、中国の高い税率とビジネスに対する制限に関して外国企業が懸念を持っている中で行われた。欧米の各企業は複雑な法律と中国の消費者へのアクセスが制限されている中では、中国国内でビジネスを行うことは難しいと主張している、とニューヨーク・タイムズ紙は報じている。

 

トランプ大統領は、中国について、貿易の面でアメリカはより競争力を持つ必要がある国だと強調している。

 

トランプは11月の訪中において、中国の貿易慣習の使用について次のように述べた。「私は中国を非難しているのではない。だいたい、自国民のために他国を利用する国を責めることを誰ができようか。私は中国を大いに称賛する」。

 

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●「ゴールドマン利益5600億円減…米税制改正で」

 

読売新聞 20171230 2214

http://sp.yomiuri.co.jp/economy/20171230-OYT1T50071.html

 

 【ニューヨーク=有光裕】米金融大手ゴールドマン・サックスは29日、米国の税制改正法の成立で、2017年10~12月期の利益が約50億ドル(約5600億円)減少する見通しとなったと発表した。

 

 米国外で保有している利益を米国に還流する際にかかる税金が、約3分の2を占めるという。米国のトランプ政権は、自国内での設備投資や研究開発などを拡大し、経済成長につなげるため、海外に滞留する米企業の利益を国内に還流させる際の税率を引き下げた。

 

 市場では、ゴールドマンが還流させた資金を自社株買いや株主配当の増加にあてるとの見方が出ている。

 

 残りの約3分の1については、連邦法人税率の引き下げで繰り延べ税金資産を取り崩すことなどを理由に挙げた。従来の想定よりも将来払う税金が減ることから、損失として計上する。

 

(貼り付け終わり)

 

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