古村治彦です。

 今回は、2016年11月1日発売の副島隆彦先生の最新刊『』を皆様にご紹介いたします。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

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ユーロ恐慌 欧州壊滅と日本

(貼りつけはじめ)

まえがき

 日銀の黒(くろ)田(だ)東(はる)彦(ひこ)総裁は、「まだまだやるぞ、マイナス金利」である。

 しゃかりきになっている。金利を今よりもさらに下げて、日本を氷づけにする気だ。「景気回復(デフレ脱却)」という言葉は、安(あ)倍(べ)晋(しん)三(ぞう)首相から消えた。日本は金融緩(かん)和(わ)路線(ジャブジャブ・マネー路線)を今も突き進んでいる。

日本は、「10年もの国債の利回りを、0(ゼロ)%に釘(クギ)打ちして、それより短期の金利を深(ふか)掘(ぼ)り( steepening(ステイープニング) )して、さらにマイナス金利を〝深化〟させる」のだそうだ。9月21日に発表した。その代わりに「20年もの、30年ものの長期金利は右肩上がりに〝跳ね上が〟ってもいい」らしい。右ページの図表のとおりである。

「10年もの国債の利回りを0%で釘打ちすること」が、何がそんなにすばらしいことなのか、私には分からない。日銀黒田総裁たちは自画自賛して、これを「イールドカーブ・コントロール」政策と呼んで小躍りしている。「量(りよう)(ジャブジャブ)中心から、金利を中心の金融政策(マネタリー・ポリシー)に移す」と、何か大変すばらしいことを考えついたように触れ回っている。

 短期金利(政策金利)だけでなく、長期金利までも自分たち為(い)政(せい)者(しや)は管理できる、自分たちで動かせるのだ、と宣言したに等しい。これは統制(とうせい)経済(けいざい)(コントロールド・エコノミー)の手法である。

 この冬に、ヨーロッパ金融崩れが起きそうだ。「ユーロ恐慌」である。ドイツ銀行が危ない。破綻したら負債総額は2・2兆ユーロ(約260兆円)だそうである。ヨーロッパが団結して何とかするであろう。が、この打撃は世界中に広がる。

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目次

 まえがき

1章  ユーロ恐慌が私たちを襲う0
●〝ドイツ銀行ショック〟は、なぜ起きたのか
● ブレグジット(イギリスのEU離脱)の余波――日米の株価も下落した
● アメリカがドイツ銀行に科した制裁金1・4兆円
●黒田日銀総裁は任期満了(2018年)まで〝三次元緩和〟を続ける
● マイナス金利という焦(しよう)土(ど)作戦
● そして日銀は「金利操作」にまで手を出した
● 市場が縮小する

2章 「氷づけ経済」が続く世界
● イエレンFRBは、利上げ「する、する」詐欺だ
● ハト派なのか、タカ派なのか
● 世界経済は氷づけされたまま
● 永久国債=ヘリマネとは何か
● 中国が世界経済を牽引(けんいん)する時代

3章 追いつめられた銀行
● なぜ三菱UFJは「特権」を投げ捨てたのか
● 銀行に預金するだけで「手数料」を取られる日
● 日経平均を〝上げ底〟している者の正体
● 日本の銀行は国有化されてゆく
● 先進国の金利は低下する――歴史の法則
● 欧州銀行の「ストレステスト」で判明したこと
● イタリアの銀行は40兆円の不良債権を抱えている
● 破産国家・ギリシャは、それでもEUを離れない
● 愚かな通貨戦争

特別レポート
現役ファンド・マネージャーの最先端情報
「欧州壊滅」と日本経済の寿命
■ ドイツの金融は強くない
■ ECBに積み上がる債務
■ 欧州から日本へ「資本逃避」が始まった
■ ニューヨークに集められたデリバティブ取引
■ 市場(マーケツト)が警告する、7年後の国債暴落
■ 日本経済の寿命は、あと7年
■ 狙われた企業預金

4章 個人資産を守り抜くために
● ブレグジットの落とし穴
● イギリスの高級不動産を中国人が買っている
金の価格(値段)について
● 金の値段を決めるのは、これからは中国とイギリスだ
● ゴールドの覇権をめぐる争奪戦
● 卸価格で1グラム=4200円割れの今が金(きん)の底値だ!
● 売るときには、消費税分が戻ってくる
● 個人資産を〝逃がす〟ことはできるか
● 人民元は、こう動く

5章 「実物経済(タンジブル・エコノミー)」の地政学
● トルコのクーデターは「資源戦争」が要因だった
● 世界の動きを見るための大事な視点とは
● サハリンから日本へパイプラインで天然ガスを運ぶ計画

6章 帝国の衰亡と
   マイナス金利時代の終わり
● アイショレイショニズム=国内問題優先主義
● サウジアラビアが「米国債売却」を言い始めた
● アメリカは「世界の警察」を返上した
● トランプの経済政策とは
● 〝金融バクチ禁止法〟の復活
● ロックフェラー家の「資産圧縮」が日本にも影響を
● なぜ私、副島隆彦は「ヒラリー有罪」を書いたのか
●「ベンガジ事件」と「ヒラリー・メール」の真実
● IS(イスラム国)の創設者と、共同創設者。その名は――
● 塗りつぶされた尋問調書

あとがき

巻末付録
日本株の超プロが推奨する秘密銘柄10
ここは「コバンザメ株」を買いなさい!

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あとがき

 マイナス金利が、もっと進むようだ。このことを「金利の深掘り(ステイープニング)」と言うらしい。そうなると、いったい何が起きるか。

私たちの銀行預金に利息(インタレスト)どころか、手数料(コミツシヨン)がかかるようになるだろう。銀行がお金を預かってあげているとして、口座手管理手数料( handling(ハンドリング) charge(チヤージ) )を取ります、となる。ますます不景気でイヤな時代になる。

銀行のATM(現金自動預け・払い機)で、一回に下(お)ろせるお金が10万円から5万円と、政府が(ヽヽヽ)決めるかもしれない。何ということをする気か。銀行ATMでの支払い(送金)の手数料も上がってゆく。ところがその一方で、大手コンビニで、昼間に下ろしたり公共料金の振り込みをすると、タダである。

いったい、何が起きつつあるのか。銀行よりもコンビニのほうが、銀行らしく(ヽヽヽヽヽ)なりつつある。「電子マネー(キャッシュレス)の時代だ」などと、短慮(たんりよ)(軽薄(けいはく)、浅(あさ)知(ぢ)恵(え)という意味)で喜んでいる人々がいる。銀行なんかいらない。コンビニ・カードとビットコインと Fintech(フインテツク) があればいい。本当に便利でいい世の中だ。と、あなたは本気で思うか?

私たちの身の周りで、何か得(え)体(たい)のしれない恐ろしいことが起きつつある。「いや、待てよ」と、立ち止まって、金融(お金の動きと流れ)のことを真剣に考えてみよう。そのために私はこの本を書いた。「まだまだやるぞ、マイナス金利」という実に奇怪な時代を私たちは生きている。

 いつものとおり、〝熊さん、八っつあん〟で、祥伝社書籍出版部の岡部康彦部長と二人三脚でこの本を作った。記して感謝します。

2016年11月
副島隆彦

(貼りつけ終わり)

(終わり)