古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:アイダホ州

 古村治彦です。

 2020年3月10日にアメリカ大統領選挙民主党予備選挙で6つの州で予備選挙が実施された。全ての州の最終結果はまだ確定していないが、最重要衆と位置付けられたミシガン州ではバイデンが勝利を収めた。その他にもミズーリ州、ミシシッピ州、アイダホ州でバイデンが勝利を収めた。ノースダコタ州ではサンダースが勝利した。ワシントン州では接戦が続いている。サンダースはミシガン州とワシントン州で勝利を収め、獲得代議員数の差を詰めたいところであったが、その目論見は外れた。3月10日の選挙結果で、サンダースの勝利の芽は摘まれたということになる。
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 太平洋戦争の史実にたとえるならば、サンダースは日本軍ということになる。バイデンはアメリカ軍だ。日本軍は序盤こそ勢いが良かったが、ミッドウェイ海戦で敗北、その後はアメリカ軍の物量と作戦の前に翻弄され、惨敗に至る。サンダースの序盤3州での勝利は日本軍の快進撃と言ったところか。それに続くサウスカロライナ州予備選挙でのバイデンの大勝はさしずめミッドウェイ海戦といったところだろう。

 今回3月10日の予備選挙はグアムの陥落といったところだろうか。日本はグアムが陥落したことでアメリカ軍の爆撃機の射程内に入った。ここで敗戦が決定づけられたと言えるだろう。3月17日の予備選挙はフィリピンや沖縄の戦いというところで、日本軍であるサンダースは退勢を挽回できずに敗れ去るということになる。

 「とても、とても重要なミシガン州でサプライズが起きる」というのはサンダース支持者たちにとってのよりどころだった。2016年の時には事前の世論調査でヒラリー・クリントンに大差をつけられていたが、蓋を開けてみればサンダースが勝利となった。しかし、今回の選挙ではサンダースに「神風」は吹かなかった。

 それにしても前回2016年の選挙では嫌われ者ばかりが選挙で活躍したのだなということが感想として残る。サンダースは若者たちの人気は高かったが中年以上や南部の白人たちには嫌われていた。ヒラリー・クリントンは全体的に嫌われていた。「彼女が大統領になったら世界大戦になる」という言葉が信憑性をもって語られていた。ドナルド・トランプは、「あいつはどうせ泡まつ候補だ」というところから始まり、支持率1%から大統領となったが、共和党の穏健派グループやロックフェラー・リパブリカンからは激しく嫌われていた。今回の民主党予備選挙では、結局のところ、「一番嫌われていない」バイデンが選ばれることになりそうだ。嫌われ者トランプとどうでもいい人バイデンの戦いということになる。

 新型コロナウイルス感染拡大はアメリカ国内にも大きな影響を与えている。また、株式市場も乱高下が続く。トランプ大統領はこの舵取りを間違うと11月の選挙で敗北ということになる。トランプ台と量が再選されるにしても、バイデンが当選するにしても2020年の後始末ということに忙殺されるだろう。バイデンに投票した人々が彼のリーダーシップに期待している、副大統領の経験が危機的状況において信頼できると答えている。現職有利の大統領選挙であるが、これから状況は刻々と変化していくため、先行きは不透明だ。民主党予備選挙は実質的に終焉し、「バイデン対トランプ」ということがアメリカ政治の中心話題となっていく。
 それでも、まだサンダースに望みはある。それはメディケア・フォ・オールを愚直に訴え続けることだ。新型コロナウイルス感染拡大が深刻化していくアメリカで、「金持ちも貧乏人も差別なしに感染し、ワクチンがないウイルスから社会を防衛するためには、国民皆保険で医療サーヴィスを受けられるようにすべきだ、そうしなければ保険がないために医療が受けられずに亡くなる人が多く出るし、医療を受けられない人が多くいるためにウイルス感染拡大を抑制することが難しい。これは社会の安全保障の問題だ」と訴えるならば、大きな説得力を持つ。そうすれば予備選挙後半には代議員が多く配分されているニューヨーク州やペンシルヴァニア州で勝利を収め、接戦に持ち込むことも可能だ。かなり希望的観測であるが、サンダースに残されている道はこれだけだと私は断言する。

(貼り付けはじめ)

最新の民主党予備選挙の5つの特徴(Five takeaways from the latest Democratic primaries

ジョナサン・イーズリー筆

2020年3月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/486956-5-takeaways-from-tuesdays-primaries

ジョー・バイデン前副大統領は再び火曜日で力強い結果を得た。ミシガン州、ミズーリ州、ミシシッピ州、アイダホ州でバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)に対して大差で勝利を収めた。

火曜日の選挙での5つの特徴をこれから書いていく。

(1)バイデンは民主党の候補者指名獲得に更に近づく(Biden moves closer to the nomination

選挙での投票が全て集計された後、バイデンはサンダースに対して獲得代議員数で大きなリードをつけることになるだろう。

民主党は代議員を投票率に比例する形で配分するので、いかなる候補にとっても大きく引き離された段階で追いつき追いつくことは極めて難しい。これからの予備選挙が実施される各州を見れば、これからますますバイデンに有利になっていく。各種世論調査によれば、サンダースはフロリダ州、アリゾナ州、ジョージア州で大きく引き離されている。

民主党所属の連邦議員や政治家、幹部の多くは、予備選挙は終わり、バイデンは勝利したと考えるようになっている。ケーブルニュースに出てくる専門家と分析家たちは、バイデン対サンダースについて話すことから本選挙のバイデン対トランプ大統領の一騎打ちの行方について話すように移っている。

バイデンは党の指名候補獲得に必要な代議員数である1991名の半分にも満たない数しか獲得していない。

しかし、これまでのわずか10日間で党の指導者たちが急速にバイデン支持を表明するようになっており、有権者もその動きに倣っている。予備選挙におけるこれほどの急速でかつ大規模な変化は専門家たちも見たことがないほどのものだ。

バイデンの勝利の規模を見て見ると、一定の地域での完勝と彼に投票する幅広い有権者の間での支持拡大という特徴がみられる。そして、バイデンの党指名獲得は動かないものと考えられ始めている。

(2)サンダースが予備選挙で勢いを取り戻すのが厳しい状況になっている(Sanders faces steep uphill climb to get back into the race

サンダースは選挙戦から押し出されてしまっている訳ではないが、厳しい状況にある。

サンダースは火曜日夜に地元ヴァーモント州に飛行機で帰ったが、人々の前での演説は行わなかった。予備選挙の投開票日に演説を行わなかったのは極めて珍しいことだ。

ミシガン州とミズーリ州のような州では、サンダースは2016年の時と比べて得票率が低くなった。バイデンがサンダースの支持基盤である地方在住な人々と労働者階級の白人たちの一部を奪い取った。

ワシントン州とノースダコタ州での最終結果はまだ出ていない。サンダースは2016年に両州で大勝利を収めた。しかし、火曜日夜を前にしての各種世論調査では僅差の大接戦となっていた。両州でサンダースは勝利を収めることができても、大勝利を収めることは難しいようである。

バイデンとサンダースは来週火曜日のアリゾナ州、フロリダ州、イリノイ州、オハイオ州での予備選挙を前にした日曜日に初めて一対一の討論会を行うことになっている。

進歩主義派の人々はサンダースがバイデン以外にはいない討論会の壇上でバイデンに致命的な攻撃をやって欲しいと願っている。

しかし、サンダースに対しては、民主党支持の有権者の大多数が最も党の指名候補にふさわしいと考えている候補者を傷つけることをしないようにという大きな圧力も存在する。

ジェイムズ・クライバーン連邦下院議員(サウスカロライナ州選出、民主党)はサウスカロライナ州での予備選挙直前にバイデン支持を表明してバイデンの状況を一変させた。クライバーンは日曜日夜の最後の討論会を中止にすることを民主党は考慮すべきだと述べた。

(3)アフリカ系アメリカ人有権者がバイデンに勝利をもたらす(Black voters deliver for Biden

2月末のサウスカロライナ州での予備選挙は2020年の予備選挙全体にとっての決定的な瞬間であったこと、その存在感がどんどん大きくなっている。

バイデンはサウスカロライナ州での予備選挙で大勝利を収めた。民主党支持の有権者の過半数をアフリカ系アメリカ人有権者で占める同州でサンダースに対して24ポイントの差をつけて勝利した。

サウスカロライナ州での勝利は先週のスーパーチューズデーでの予備選挙の結果を示す兆候となった。バイデンは易々と南部諸州で勝利を収めた。アフリカ系アメリカ人有権者からの得票によってアラバマ州、ノースカロライナ州、ヴァージニア州で大勝利を得た。

火曜日夜、バイデンはミシシッピ州で圧勝した。出口調査の結果によれば、バイデンはアフリカ系アメリカ人有権者の約75%の支持を集めた。民主党支持の有権者の3分の2がアフリカ系アメリカ人有権者で占められている同州でこれは大きなことである。

ある出口調査の結果によれば、60歳以上のアフリカ系アメリカ人有権者に限れば、バイデンは96%の支持を集めた。

バイデンはアイオワ州とニューハンプシャー州での不調に苦しんだ後に、一連の勝利を掴んでいる。両州は偶然ではあるが白人が人口の大部分を占めている。

「アフリカ系アメリカ人有権者からの支持がなければ民主党の候補者指名を勝ち取ることはできない」ということをはっきりと思い出させてくれることとなった。

アフリカ系アメリカ人有権者からの支持が少ないことは2016年の予備選挙でヒラリー・クリントンと戦う際にもサンダースを苦しめたが、2020年でも再び彼を苦しめている。

(4)サンダースは支持基盤の拡大ができていない(Sanders has not been able to grow his base of support

2020年の予備選挙ではサンダースにとって買輝ける瞬間がいくつかあった。ラティーノ系の有権者たちへの浸透は2月のネヴァダ州での党員集会での大勝利という結果をもたらした。

しかし、サンダースはアフリカ系アメリカ人と郊外に住む女性といった人々に関しては、バイデンに対抗することができていない。サンダースの選挙集会に参加している何禅何万もの若い有権者たちがそのまま投票所に向かっていないということもある。

バイデンは更に地方在住の人々と白人で大学教育を受けていない人々の間でもサンダースへの支持の一部を奪い取っている。

ミシガン州での出口調査の結果、バイデンは大学の学位を持たない白人層の支持でサンダースを6ポイント上回った。2016年の時にはサンダースがこの層の支持でクリントンを14ポイント上回った。

こうした地方在住の有権者と労働者階級の有権者は2016年のサンダースの選挙戦に勢いをもたらしたが、しかし、2020年に関してはバイデンという新しい家を見つけたということになる。

以前にサンダースを支持した人々がバイデン支持になったことで、火曜日の夜、サンダースはミシガン州とミズーリ州で敗れた。先週のスーパーチューズデーでのミネソタ州での敗戦と同じ形となった。

(5)コロナウイルスの恐怖が選挙戦を揺るがす(Coronavirus fears rock the race

バイデンとサンダースは共に火曜日に予定されていたクリーヴランドでの選挙集会を中止した。これは多くの人々を1か所に集めることでコロナウイルスを広げたり、観戦してしまったりすることを懸念しての決定だった。

民主党全国委員会は同様の懸念から、日曜日の討論会には聴衆を迎え入れないことになるだろうと発表した。

選挙運動は、人々が家にこもり、お互いに接触を避けるという状況の中で、空っぽの中で始まることになるだろう。

こうした動きはサンダースの選挙運動に打撃を与える。サンダースの選挙集会には何千もの人々が集まり、大変活発なものとなるが、それが開催できないことになった。

コロナウイルスに対する恐怖は火曜日夜にバイデンを支持する動きを加速させた可能性がある。出口調査に対して有権者の大多数が前副大統領であるバイデンを危機の状態で信頼していると答えた。

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バイデンが民主党予備選挙で首位の地位を固める(Biden takes command of Democratic race

マックス・グリーンウッド筆

2020年3月10日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/486947-biden-takes-command-of-democratic-race

ジョー・バイデン前副大統領は火曜日に民主党予備選挙での先頭走者の地位を固めた。バイデンはバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)に対してミシガン州で大勝した。

バイデンのミシガン州での勝利は、同日のミシシッピ州とミズーリ州での勝利に続いて判明した。バイデンはアイダホ州でも勝利を収めた。同州では2016年にサンダースがヒラリー・クリントンに対して勝利を収めた。一方、ノースダコタ州とワシントン州では結果が判明していない。

火曜日夜、フィラデルフィアの選対本部において、バイデンは自分自身を民主党の大統領選挙候補者も同然だと宣言した。バイデンは、サンダースとサンダースの支持者たちに対して、「彼らの疲れを知らないエネルギーと熱意」に謝意を示し、そして、自分たちはトランプを倒すという「共通の目的を持っている」と述べた。

バイデンは次のように述べた。「今回の選挙戦は順調に進んでおり、本日以降も順調に進めることができると確信しています。これを当たり前のことだと思うことなく、私は全ての州で一票一票を皆さんから投じていただけるように努力したいと思います」。

サンダースは火曜日夜に予備選挙の結果について何か発言をする予定にはない。

代議員が多く配分され、本選挙でも激戦州となるミシガン州でバイデンは勝利した。これはサンダースには大打撃である。2016年の時には各種世論調査でヒラリー・クリントンが大差をつけてリードしていたが予備選挙でサンダースが予想外の勝利を収めた。

サンダースと側近たちはミシガン州の労働者階級の有権者たちには自分たちのポピュリスト的なメッセージは響くであろうということを長い間主張してきた。そして、そうしたメッセージは、2016年にトランプに奪われたミシガン州を11月の本選挙で奪還することに貢献できるとしてきた。

ここ数日、サンダースはミシガン州での予備選挙を必勝の選挙と呼ぶことはなくなったが、それでも「とても、とても重要」だと繰り返し訴えてきた。

火曜日の予備選挙でのバイデンの勝利は、バイデンの大復活という流れの最新の減少ということになる。10日ほど前の段階ではバイデンの選挙運動は崩壊の危機に瀕していた。

先月末のサウスカロライナ州での予備選挙での大勝利とスーパーチューズデーでの10州の勝利によって、バイデンは昨年を通じて保っていた先頭走者の位置を再び取り戻した。

バイデンの中道派のライヴァルたち、インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジ、エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)とニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグは選挙戦からの撤退を発表した後にバイデン支持を表明した。これによってバイデンは穏健派の支持を固めることに成功した。穏健派の有権者たちは民主社会主義者を自認するサンダースのような人物を党の指名候補にすることに懸念を持っている。

バイデンはミシガン州での勝利によって、自分が11月にトランプを倒すために最良の候補者であるという主張に更に説得力を持たせることになる。ミシガン州は、ペンシルヴァニア州とウィスコンシン州と加えて、2016年にトランプが本選挙で勝利を収めたラストベルトの3州の1つであり、今年ホワイトハウスを奪還するために重要だと民主党が考えている州だ。

火曜日の勝利でバイデンはミシガン州での有権者たちから信任を得たと主張することができる。そして、来週予備選挙が実施されるオハイオ州を含む中西部各州を通じての選挙運動を活発化させることになるだろう。

火曜日のバイデンの勝利によって、サンダースの予備選挙の行方について疑問が沸き起こっている。バイデンは火曜日に獲得代議員数でサンダースに更なる差をつけた。そしてこれからの数週間でも勝利を続けると見られている。

来週火曜日に予備選挙が実施されるフロリダ州では、最新の各種世論調査ではバイデンがサンダースに2桁の差をつけてリードしている。フェニックスに本拠を置くOH・プレディクティヴ・インサイツが月曜日に発表した、こちらも来週火曜日に予備選挙が実施されるアリゾナ州での世論調査の結果を見ると、バイデンが28ポイントの差をつけてリードしている。

これまで10日間はサンダースにとって状況が激しく変化した期間となった。サンダースは予備選挙が最初に実施された3つの州アイオワ州、ニューハンプシャー州、ネヴァダ州で勝利をして先頭走者となった。

しかし、サウスカロライナ州の予備選挙はサンダースにとって乗り越えられないほどの厳しい挑戦となった。同州ではアフリカ系アメリカ人と穏健派の有権者が予備選でバイデンに投票するために投票所に向かった。

こうした苦闘は先週再び起こった。スーパーチューズデーで予備選挙が実施されたノースカロライナ州、ヴァージニア州、アラバマ州とその他7つの州でバイデンが勝利した。

民主党の背骨とも目されるアフリカ系アメリカ人有権者もまた火曜日のミシシッピ州でのバイデンの大勝に貢献した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。
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 3月10日の予備選挙が始まった。ミシガン州、ワシントン州、ミズーリ州、ミシシッピ州、アイダホ州、ノースダコタ州で予備選挙の投開票が実施される。現在のところ、ジョー・バイデンが優位なようだ。しかし、前回はミシガン州で事前の世論調査ではヒラリー・クリトンがバーニー・サンダースに大差をつけていたのに、実際には大接戦で、僅差でサンダースが勝利を収めた。また、本選挙ではトランプが勝利を収めたということで、「サプライズ」があるかどうか注目だ。

 バイデンは南部諸州ミズーリ州とミシシッピ州を固めている。サンダースとしては代議員数が多いミシガン州やワシントン州で勝利したいところだが、厳しい情勢だ。3月10日でサンダースがある程度の結果を残せなければこれで終戦ということになる。サンダースはミシガン州で負けても選挙戦から撤退しないと述べているが、実質的には選挙は終戦ということになる。

サウスカロライナ州でバイデン勝利をもたらし、勢いを取り戻すことに貢献した連邦下院多数党(民主党)院内幹事ジェイムズ・クライバーン連邦下院議員は民主党全国委員会に民主党予備選挙の終了を提案している。

 サンダースにサプライズがあるかどうかだが、望み薄だ。

(貼り付けはじめ)

火曜日の予備選挙で見るべき5つのこと(5 things to watch in Tuesday's primaries

マックス・グリーンウッド筆

2020年3月10日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/486716-5-things-to-watch-in-tuesdays-primaries

火曜日に民主党予備選挙が6つの州で実施される。予備選挙で有力候補者2名となり初めての予備選挙となる。

ジョー・バイデン前副大統領はスーパーチューズデーで勝利を重ね、予備選挙における先頭走者としての位置を固めている。一方、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は先週の失望感に包まれた結果を受けて、勢いを取り戻そうとしている。

火曜日に予備選挙が実施されるのはミシガン州、ミシシッピ州、ミズーリ州、ノースダコタ州、アイダホ州、ワシントン州だ。

火曜日の予備選挙で見るべき5つのことを見ていく。

(1)バイデンが大きなリードをすると見られる(Biden looks to take command

予備選挙で複数の勝利を挙げ、選挙戦で戦ったライヴァルたちからの支持表明を受け、バイデンは勢いに乗っている。2016年にサンダースが勝利を挙げた複数の州でバイデンは勝利を挙げると見られている。

ミシガン州での最近の各種世論調査では、バイデンが進歩主義派のサンダースに2桁の差をつけてリードしている。デトロイト・フリー・プレス紙が月曜日に発表した世論調査の結果によると、バイデンは24ポイントの差をつけている。今週末に発表されたシンクタンクのデータ・フォ・プログレスの世論調査の結果によると、ワシントン州ではバイデンが3ポイントの差をつけてリードしている。2016年、サンダースは同州で勝利した。

バイデンはミシシッピ州で勝利する可能性が極めて高い。彼は南部諸州で勝利を重ねており、穏健派とアフリカ系アメリカ人有権者の支持を受け勝利している。ミシシッピ州ではバイデン勝利の可能性が高い。2016年の民主党予備選挙の参加者の70%以上をアフリカ系アメリカ人有権者で占めていた。データ・フォ・プログレスの最新の世論調査によると、バイデンは55ポイント差をつけてサンダースをリードしている。

火曜日におけるバイデン勝利の可能性が高まっているのは、ニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグがスーパーチューズデーでの惨敗を受けて選挙戦を停止し、バイデン支持を表明したことで、予備選挙でバイデンが唯一の中道左派の候補者となったことが理由だ。

これらすべてから考えると、バイデンは火曜日の予備選挙で勝利を重ね、獲得代議員数での差を広げ、これによってサンダース派逆転が難しくなるだろう。

(2)サンダースはいくらでも勢いを取り戻せるか?(Can Sanders find some momentum?

サンダースは、予備選挙初期に、ニューハンプシャー州とネヴァダ州で勝利を収め、アイオワ州で同率首位になったが、スーパーチューズデーで期待通りの勝利を収められなかった。サンダースは勢いを取り戻そうとしている。火曜日の予備選挙についてサンダースが勢いを取り戻せるかどうかは大きな疑問だ。

サンダースはここ数日、バイデンに対する攻撃の度合いを強めている。バイデンの過去のソーシャル・セキュリティの予算凍結を求めた発言や北米自由貿易協定のような貿易合意への支持を取り上げて攻撃した。そして、サンダースはスケジュールを変更し、ミシガン州で過ごす時間を増やしている。先週、サンダースはミシガン州を「とても、とても重要」だと述べた。

同時に、2016年にサンダースが勝利を収めたミシガン州以外の3つの州でも予備選挙が実施される。それはアイダホ州、ノースダコタ州、ワシントン州だ。これらの州でサンダースが2回目の勝利を収める希望がある。

しかし、サンダースは今回厳しい政治的動向に直面している。バイデンはスーパーチューズデーで勝利を収めたことで新たな勢いを得た。そして、2016年にサンダースが勝利を収めた各州でバイデンが勝利を収めることができると考えられている。

更に言えば、サンダースはアフリカ系アメリカ人有権者の間での支持でバイデンに遠く置いていかれている。ミシガン州の民主党予備選挙の有権者の約5分の1はアフリカ系アメリカ人有権者が占めている。

サンダースは火曜日の予備選挙でいくつかの州で素晴らしい結果を残す必要がある。そのようにして予備選挙で戦える有力な候補者であることを示さねばならない。

(3)ミシガン州の結果は本選挙について何を教えてくれるか?(What will Michigan tell us about the general election?

2016年の民主党予備選挙ではサンダース、共和党予備選挙ではトランプが勝利を収め、これが4年前に本選挙でトランプがミシガン州で勝利することの兆候である。ミシガン州が火曜日にサプライズを起こすかどうかを見るのは価値がある。

ミシガン州だけが今週民主党予備選挙が実施される州と言う訳ではないが、最も重要な州である。

火曜日に予備選挙が実施される6州の中で最も多い代議員125名が配分されているだけではなく、2016年にトランプがダッシュしたラストベルトの3つの州のうちで最初に予備選挙が実施されることも重要だ(ペンシルヴァニア州とウィスコンシン州が残りの2つだ)。

サンダースとバイデンは共にミシガン州で活発に選挙運動を展開している。サンダースは、有名な進歩主義派の連邦議員であるアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)を同行して選挙運動を行った。日曜日、ジェシー・ジャクソン師がグランド・ラピッズでの集会に参加した。

ミシガン州での予備選挙に向けて、バイデンは強力な支持を複数集めている。エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)がバイデン支持を表明した。この3人は予備選挙でバイデンと戦った人々でここ数日の間にバイデン支持を表明した。

ミシガン州は予想を覆してきた歴史を持っている。

2016年の予備選挙の数週間前の各種世論調査の結果では、ヒラリー・クリントンがサンダースに大差をつけていた。サンダースは予備選でクリントンを2ポイント以内の僅差で破った。

(4)投票参加者数はどうだろうか?(What’s the turnout?

先週のスーパーチューズデーでは投票数が増加した。しかし、増加したのはバイデンを支持するアフリカ系アメリカ人と穏健派の有権者たちが投票所に向かったことが大きい。一方、サンダースが長年主張してきた若い有権者たちの参加数は大きくなかった。

これらの動向が火曜日も続くのかどうかを見ることは価値がある。一例としては、有権者の熱意がどれくらいか、11月の本選挙を前にしてミシガン州のような重要州で民主党支持者をどれくらい動員しているかについて、今回の結果はある程度の知見を私たちに与えてくれるだろう。

しかし、火曜日の予備選挙にどれくらいの数の有権者が参加するということと同様に、どのような有権者が投票所に向かうかも重要だ。サンダースが若い有権者たちを動かすことができ、投票所に行ってもらうことができれば、サンダースにとっては追い風となる。しかし、現在の動向が続き、穏健派の有権者たちが投票所に向かえば、バイデンにとっては最大の追い風となる。

予備選挙の投票数における共和党支持の有権者たちの影響についてはずっと続く疑問が存在する。たとえば、ミシガン州の場合、各党の予備選挙に参加する場合に、特定の政党に所属している必要はない。今回、共和党は予備選挙が接戦にはなっていないので、そちらの代わりに民主党の予備選挙に参加することを選ぶ可能性がある。

(5)次に何が起きるか?(What happens next?

火曜日の予備選挙は予備選挙全体を通じてサンダースが勢いを取り戻す最後の機会となる可能性がある。2016年にはサンダースはミシガン州、ノースダコタ州、アイダホ州、ワシントン州で勝利し、ミズーリ州では僅差で敗れた。

今週火曜日が終わると、サンダースにとっては勝利が困難な複数の州での予備選挙となる。

3月17日に予備選挙が実施されるフロリダ州では、セント・ピート・ポールズの最新の世論調査の結果で、バイデンがサンダースに49ポイント差をつけている。フロリダ州には219名の代議員が配分されており、予備選挙全体で最も多い配分数の州の1つだ。バイデンはフロリダ州で大勝し、多くの代議員を獲得することになるだろう。

同様に、フェニックスに拠点を置くOHプレディクティヴインサイツ社が月曜日に発表した世論調査の結果では、アリゾナ州ではバイデンが28ポイントの差をつけてサンダースをリードしている。アリゾナ州でも3月17日に予備選挙が実施される。

3月24日のジョージア州での予備選挙もサンダースにとっては厳しい戦いになることが予想されている。バイデンは他の南部諸州で強さを見せており、アフリカ系アメリカ人有権者の間でも幅広い支持を受けている。2016年の予備選挙ではジョージア州の民主党予備選挙に参加した有権者の過半数をアフリカ系アメリカ人有権者が占めていた。

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火曜日に6つの州での予備選挙で何が予想されるか(What to expect from the 6 states voting on Tuesday

ジュリア・マンチェスター筆

2020年3月10日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/486722-what-to-expect-from-the-6-states-voting-on-tuesday

ジョー・バイデン前副大統領とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)はスーパーチューズデーの後に行われる6つの州一騎打ちを行う。

ミシガン州、アイダホ州、ミシシッピ州、ミズーリ州、ノースダコタ州、ワシントン州は火曜日にそれぞれ予備選挙を実施する。合計で352名の代議員が配分されている。

これから火曜日の各州で何が予想されるかをそれぞれに見ていく。

(1)ミシガン州

ミシガン州は火曜日の予備選挙が実施される中で最大の代議員配分数となっている。125名が配分されている。

サンダースは2016年の時にはヒラリー・クリントンに対して予想外の勝利を収めた。しかし、ミシガン州の各種世論調査の結果、サンダースはバイデンを追いかける展開となっている。

月曜日に発表されたマンモス大学の世論調査では、バイデンがサンダースに15ポイントの差をつけてリードしているという結果が出た。一方、同日のリアルクリアポリティックスの平均値ではバイデンがサンダースにつけた差は22.6ポイントだった。

民主党全国訓練委員会の創設者であり責任者を務めるケリー・ディートリッヒは次のように述べている。民主党全国訓練委員会は選挙に立候補を考えている党員を訓練する機関である。「現在、この時間、この瞬間、ジョー・バイデンは前に進む勢いを得ているように見えます。バーニーは生き残るか、進むかの瞬間を迎えています。バーニーは火曜日の夜に勝利し、獲得代議員数の差を縮めねばなりません。そうすれば前進するための勝利の道が見えてきます」。

しかし、各種世論調査の結果はこれまで間違ってきた。2016年の予備選挙では同州での世論調査ではサンダースはクリントンに2桁の差をつけられてリードされていた。しかし、結果はサンダースが2ポイント以下の僅差で勝利を収めた。

サンダースは「フォックス・ニュース・サンディ」に出演し、ミシガン州について次のように述べた。「私たちが感じている勢いは素晴らしいものですよ。火曜日にはうまくやってバイデンを倒します。いいですか、前回、皆さんが分かっているように、投開票の前日の調査では20ポイントの差をつけられていたのに、大逆転だったのですからね」。

(2)ミズーリ州

ミズーリ州は、民主党の予備選挙でどのような投票行動がとられるかを見せるという点でミシガン州と似ているが、代議員の配分は68名だけだ。サンダースは2016年に同州でクリントンに敗れたが、票差は約1500票だった。

ミズーリ州とミシガン州を比べて、ディートリッヒは「どちらもよく似ていますね。サンダースがミシガン州でうまくやれるとは思えないんですが、ミシガン州でもですが」と述べた。

バイデンは同州でリードしている。エマーソン大学が最近発表した世論調査の結果、バイデンの支持率は48%、サンダースの支持率は44%だった。この世論調査はエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)の選挙戦撤退の前に実施された。

リアルクリアポリティックスの世論調査の平均によると、ミズーリ州ではバイデンが18.6ポイントの差をつけている。

アフリカ系アメリカ人有権者は、過去の予備選挙でもそうであったように、ミズーリ州での予備選挙で重要な役割を果たすだろう。2016年のミズーリ州予備選挙でCNNが行った出口調査の結果によると、クリントンがアフリカ系アメリカ人有権者の67%から得票し、サンダースは白人有権者の54%から得票した。

バイデンはサウスカロライナ州とスーパーチューズデーでの各州でアフリカ系アメリカ人有権者の圧倒的多数から得票した。

(3)ワシントン州

ワシントン州での予備選挙は火曜日夜の各地での戦いの中で最も接戦となるだろう。各世論調査を見ると、バイデンとサンダースは僅差で激しく争っている。

ワシントン州には89名の代議員が配分されているが、これは火曜日夜においては、ミシガン州に次いで多い数である。

リアルクリアポリティックスが出している各種世論調査の結果の平均では、バイデンが2ポイント差でリードしている状況だ。

2016年のワシントン州の党員集会ではリベラル派の多い州である同州でサンダースが勝利した。党員集会は進歩主義派のサンダースにとって好ましいものである。それは、党員集会形式では組織力と情熱のある支持者たちの強みを発揮できるからだ。

しかしながら、ワシントン州は今年、予備選挙形式に変更した。そのためにより接戦となっている。

(4)ミシシッピ州

ミシガン州はバイデンにとって勝利の可能性が極めて高い州である。バイデンは南部で勝利を重ねており、特にアフリカ系アメリカ人有権者からの支持を集めている。

今週初めに実施されたデータ・フォ・プログレスの世論調査の結果では、バイデンが55ポイントの差をつけてリードとなっている。

バイデンはミシシッピ州政界の重要人物であるバーニー・トンプソン連邦下院議員(民主党)から支持を取り付けた。日曜日、バイデンはトンプソン議員とニュー・ホープ・バプティスト教会の礼拝に出席した。このミシシッピ州ジャクソンにある教会は信者の大多数がアフリカ系アメリカ人だ。

トンプソンは礼拝中に次のように述べた。「私たちは選び出されること、あら捜しをされることの意味を知っている。私たちはジョーを知っている。私は彼にもう一つの名前を与えたいと思う。それは“カムバック・キッド”だ」。トンプソンは先週のスーパーチューズデーでの勝利を受けバイデンをこのように呼んだ。

バイデンはアフリカ系アメリカ人組織NAACP議長デトリック・ジョンソンとも深い関係にある。

ミシシッピ州には36名の代議員が配分されている。

(5)ノースダコタ州

2016年、サンダース派ノースダコタ州で約40ポイントの差をつけて勝利した。同州はサンダースにとって勝利の可能性が高い州である。

ノースダコタ州は党員集会形式から予備選挙形式に近いものに変更した。また、郵便による投票も受け付けており、地方に住む人々にとってはより投票がしやすくなっている。

新しい規則によって投票者数は増える可能性が高く、バイデンにとって追い風となる。

しかし、ノースダコタ州に配分されている代議員数は14名に過ぎない。これは火曜日に予備選挙が実施される各州の中で最小だ。

(6)アイダホ州

アイダホ州は火曜日夜に予備選挙が実施される中で、党員集会形式から予備選挙形式に変更した3つの州の1つだ。今年は予備選挙形式で行われ、これはバイデンにとって好ましい動きだ。

2016年の予備選挙ではサンダースがヒラリー・クリントンに55ポイント差以上をつけて勝利した。今年の予備選挙では最新の世論調査が実施されていないために結果は予想できない。

アイダホ州に配分されている代議員は20名だ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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