古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:アフガニスタン

 古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。アメリカの衰退が明らかになりつつある中で、世界の構造が大きく変化していることを分析しています。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 アメリカは第二次世界大戦後、世界覇権国となり、セ狩りを支配し、リードしてきた。冷戦期にはソヴィエト連邦というライヴァルがいたが、ソ連崩壊により、冷戦に勝利し、世界で唯一の超大国となった。ソ連崩壊の前後、アメリカには戦勝気分があった。2000年代以降は、中国の台頭があり、現在は冷戦期のソ連寄りも軍事的、経済的に強大となり、アメリカが中国に追い抜かれるのも時間の問題となっている。そして、世界は、「ザ・ウエスト(the West、西側諸国)対ザ・レスト(the Rest、西側以外の国々)」の二極構造に分裂しつつある。

 アメリカは世界の警察官としてふるまってきたが、直接武力を使ったのは、「自分が確実に勝てると考えた相手」に対してのみだった。その想定がそのままであれば、アメリカの思い通りになったのであるが、ヴェトナムやアフガニスタン、イラクではアメリカの想定通りにはいかず、苦戦し、最終的には撤退することになった。世界で唯一の超大国であるアメリカが、国力で言えば全く相手にならない、問題にならない国々に敗れさったというのは、確かに、周辺諸国からの支援ということもあるが、「決意(resolve)」の問題もあったと、下記論稿の著者スティーヴン・M・ウォルトは主張している。

 アメリカは自国の周辺に深刻な脅威は存在してこなかった。カナダもメキシコもアメリカ侵略を虎視眈々と狙うような国ではなかったし、これからもそうだと言える。東側と西側は大西洋と太平洋によって守られている。大陸間弾道弾(ICBM)の時代となったが、それでもアメリカの存在している、北アメリカ地域、そして、大きくは米州地域に脅威は存在しない。キューバ危機で、キューバにソ連のミサイルが設置される瀬戸際まで行った時が、アメリカにとっての最大の脅威であったと言えるだろう。

 アメリカが軍隊を送ったり、何かしらの問題解決のために介入したりする際には、自国から遠く離れた地域ということになる。世界の様々な問題は、アメリカにとっては遠い世界のことでしかない。敵対国にしても、アメリカ本土に直接進行してくる懸念はない。ミサイルは怖いが、「アメリカにミサイルを発射すれば、その国が終わりになる、なくなってしまうことくらいはよく何でも分かっているだろう」という前提で行動している。アメリカの決意は当事者の中では低くならざるを得ない。結果として、アメリカによる問題解決はうまくいかないということになり、「アメリカは駄目になっている」という印象だけが強まっていく。

 これは世界帝国、世界覇権国の隆盛と衰退のサイクルを考えると仕方のないことだ。ローマ帝国や秦帝国以来、衰退しなかった世界覇権国、世界帝国は存在しない。このことは、『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』の第5章で詳しく紹介した。国旅国の低下に合わせて、決意も低下し、問題解決もできずに力の減退だけが印象付けられる。大相撲、日本のスポーツ界で一時代を築いた、大横綱であった千代の富士が、当時伸び盛りだった、貴花田(後の横綱貴乃花)に敗れ、引退を決意した際の言葉「体力の限界、気力も失せて引退することになりました」はアメリカにも当てはまるようだ。

(貼り付けはじめ)

アメリカは決意の固さの格差に苦しんでいる最中だ(America Is Suffering From a Resolve Gap

-敵国群が自分たちの思い通りにしようとする決意を固めた時にワシントンがすべきこと。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2024年1月30日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/01/30/biden-america-foreign-policy-middle-east-jordan-china/

近年のアメリカの外交政策は、イラクとアフガニスタンでの戦争の失敗、中東での和平努力の失敗、対立している大国の一部の核能力増強、その他数多くの不祥事など、一連の不幸のように見えることがある。そして、親イラン民兵組織による無人機(ドローン)攻撃でヨルダンで3人のアメリカ兵が死亡した最近の逆境は、アメリカ軍がこれらの激動の地域で何をしているのか、そしてアメリカ軍をそこに駐留させておくのは理にかなっているのかという新たな疑問を引き起こしている。

こうした度重なる失敗を、民主、共和両党の無能なアメリカの指導力や、間違った大戦略(grand strategy)のせいにしたくなる誘惑に駆られるが、世界政治を形成しようとするアメリカの取り組みは、次のようなより深刻な構造的問題に直面している。私もその種の批判をたくさん書いてきた。私たちは時々見落としてしまっている。アメリカの取り組みが失敗することがあるのは、アメリカの戦略が必ずしも悪いからでも、政府職員たちの熟練度が思ったほど低いからでもなく、敵対者が結果に大きな利害関係を持ち、彼らの思い通りにするために我々よりも大きな犠牲を払うことをいとわないためである。このような状況では、アメリカの優れた力が敵の優れた決意によって打ち破られる可能性が存在する。

このような問題が生じるのは、アメリカが現代史においてはるかに安全な大国だからである。自国の領土の近くには強力なライヴァルがおらず、大規模で洗練された多様な経済を持ち、数千発の核兵器を保有し、非常に有利な地理的条件を享受している。現在の安全保障と繁栄が永遠に続くとは限らないが、今日、これほど恵まれた立場にある国は他にない(このような大国は他に存在しない)。

その結果、矛盾が生じることになる。アメリカは武力攻撃から自国の国土を守ることを心配する必要がないため、世界各地に進出し、遠く離れた多くの問題に介入できる。しかし、これらの有利な状況は、これら遠く離れた地域で起こっていることがアメリカの生存にとって重大であることはほとんどなく、長期的な繁栄とは、ほぼ関係していない可能性があることも意味している。とりわけ、これは、アメリカが戦ったほぼ全ての主要な対外戦争が、ある程度、選択された戦争(a war of choice)であることを意味する。敵対的な侵略者や急速に悪化する治安状況に直面している国家には、独立を維持するために戦う以外に選択肢はないかもしれないが、アメリカは19世紀以来、こうした問題に直面していない。二度の世界大戦へのアメリカの参戦ですら、厳密に言えば、必要ではなかった可能性が高い。私は、二度の世界大戦に参戦したことは戦略的および道徳的見地から正しい決断だったと信じているが、アメリカの関与については当時激しく議論されており、それには当然の理由がある。

それ以来、アメリカは頻繁に、自国の海岸から遠く離れた敵と、敵の領土の近くまたは領土内で敵と戦うようになった。アメリカに比べてはるかに弱体だった中国が朝鮮戦争に介入したのは、アメリカ軍が中国国境に迫っていたためであり、毛沢東はアメリカとその同盟諸国が朝鮮半島全体を支配するのを阻止するために10万人以上の軍隊を犠牲にすることを厭わなかった。アメリカはヴェトナムに200万人以上の軍隊を派遣し、そのうち5万8000人以上を失うほどヴェトナムに深く介入した。しかし、北ヴェトナムは私たち以上に決意をもって戦い、より深刻な損失に耐え、最終的には勝利した。 2001年9月11日の同時多発攻撃の後、アメリカはアフガニスタンでアルカイダに対して積極的に攻撃な加え、タリバンが権力を取り戻すのを阻止するために何年も留まり続けることさえ厭わなかった。しかし最終的には、タリバンは私たちよりもアフガニスタンの運命を真剣に捉え、決意をもって戦った。同様の状況はウクライナでも明らかだ。アメリカと西側諸国はキエフを支援するために資金や武器を送るなど、費用のかかる手段をウクライナに提供する用意をしているが、ロシアの指導者たちは現地で戦って死ぬために兵士を派遣する強い決意を持っている。ウクライナを支援する諸外国はそうではない。それは、西側諸国の指導者たちが軽薄だからではなく、モスクワ(そしてウクライナ)にとって、それが世界の他の国々よりも大きな問題だからだ。台湾に関する議論にも同じ不快な問題が潜んでいる。アメリカ政府当局者や国防専門家たちが台湾の自治はアメリカにとって極めて重要な国益であるとどれほど強調しても、彼らがこの問題を中国政府よりも重視していると確信するのは難しい。

ここで注意して欲しい。敵国がより多くの利害関係を持ち、より大きな決意を持つという事実は、アメリカがグローバルな関与を引き受けるべきでない、あるいは遠くの紛争に介入すべきではないということを意味するものではない。例えば、相手が危険な行動を選択しないように抑止するためには、同等の決意は必要ないかもしれない。また、1991年のイラク、1999年のセルビア、そしてイラクのイスラム国との対立が示しているように、決意の固い敵が必ずしも勝つということでもない。しかし、アメリカは通常、自国から遠く離れた場所で活動しており、それゆえ敵対する相手が、アメリカより強い決意を持つ傾向があるという事実は、より広範な戦略環境の繰り返し見られる特徴である。

実際、アメリカはこの問題に対して、2つの方法で対処してきた。第一の方法は、アメリカの決意と信頼性に対する評判を、特定の紛争の結果に結びつけることだ。たとえ利害関係がそれほど大きくなくても、アメリカ政府高官たちは、将来どこかで起こる挑戦を抑止するためには、自分たちは勝たなければならないのだと主張する。この戦略は事実上、ある問題に対するアメリカの関心は、当初考えられたものよりも大きく、それはアメリカが過去に行ったかもしれない他のあらゆる公約や関心と結びついていると主張して、アメリカの政策に反対する国々や敵対勢力を納得させようとするものだ。

ヴェトナム、イラク、アフガニスタンで私たちが見てきたように、このやり方は、うまくいっていない戦争や、利益がコストを上回ると思われる戦争に対する国民の支持を維持するのに役立つ。しかし、アメリカに敵対する、もしくは不満を持っている国々を納得させることはできないかもしれない。特に、敵たちの決意が固まる、もしくは他の同盟諸国から、「自国を守るために使えるはずの資源を浪費している」と不満が出たりすればなおさらだ。更に言えば、1つの国家がより多くの関与を引き受ければ引き受けるほど、それら全てを一度に守ることは難しくなり、それぞれの関与の信頼性も低下する。挑戦者たちはいずれこのことを理解し、優位に立つ機会を待つことになる。ドミノ理論(domino theory)の応用形態を持ち出しても、それだけでは効果的な戦略にはならない。

2つ目の解決策は、アメリカが自国にほとんど、またはまったく犠牲を与えずに敵国を倒すことができるように、十分な軍事的および経済的優位性を維持することだ。敵対勢力は、深刻になっている問題により懸念を持つので、彼らが目的を達成するために高い代償を払わなければならないかどうかは、彼らにとって問題にはならないかもしれない。しかし、私たちはそうではない。サダム・フセインが1990年にアメリカに反抗したのは、アメリカ社会が1回の戦争で1万人の兵力を失うことを受け入れないだろうと考えたからだ。ところが、アメリカ政府の指導者たちは、アメリカがそのような多大な犠牲を払って戦いに舞えるということはないということを確信しており、「砂漠の嵐」作戦は、アメリカ政府の指導者たちが正しかったことを証明した。実際、この原則がアメリカの国防と外交政策全体のアプローチを支えていると主張する人もいるだろう。比較的低コストで敵を倒すことができる能力を獲得するために多額の資金を費やしている。アメリカは、多種多様な武力による保護手段に多くの資源を投入し、世界金融システムの主要な結節点に対する支配を利用して他国に一方的な制裁を課している。そして可能な限り、問題が起きている国の地上軍(例えば、イラク特殊部隊対イスラム国、今日のウクライナ軍対ロシア軍といった形)に依存している。

 

 

 

 

 

問題は、特に一極時代(unipolar moment)が終わり、諸大国のライヴァルたちが再び台頭しつつある現在、アメリカがこの規模での優位性を維持するのが難しいことだ。更に言えば、反乱やその他の形態の局地的な抵抗に直面すると、アメリカの軍事的優位性は低下する。テクノロジーの発展(具体例:無人機、監視強化、ミサイル能力の普及など)は、イエメンのフーシ派などの比較的軍事力の弱い主体にも、全体的な能力がはるかに強い敵にコストを課す能力を与えている。ヨルダンで無人機攻撃を行った民兵組織など、弱いながらも意欲的な現地主体は、アメリカに自分たちの望むことを強制することはできないかもしれないが、アメリカが思い通りに行動することが困難にすることはできる。アメリカはこれまで数十年にわたり思い通りに行動することができた。

もし世界が防衛力優位の時代に突入し、ほとんどの国家の決意が身近な地域を対象にすることで最大になるのであれば、どの国にとっても、広大で揺るぎない世界的影響力を行使する能力は低下するだろう。5つ以上の大国が、自国が存在する地域である程度の影響力を行使するが、自国の領土から離れれば離れるほど、その影響力は急速に低下するという多極的な秩序(multipolar order)が出現することも想像できる。影響力が低下するのは、パワーを投射する能力(the ability to project power)が距離とともに低下するためでもあるが、遠くへ行けば行くほど、決意のバランスが他国へシフトするためでもある。

このような世界では、アメリカはこれまでよりも慎重に戦いを選択する必要があるだろう。なぜなら、どこにでも行き、あらゆることを行うコストは上昇し、遠く離れた敵国は、自分たちが存在する地域内で、それらのコストをより喜んで支払うようになる。私たちよりも彼らがコストを負担する決意を持っている。良いニュースとしては、アメリカの現在の同盟諸国の一部が、自分たちの利益になるということで、自分たちと自分たちの周囲を守るためにもっと行動し始める世界になるかもしれないということだ。私たちが過去75年暮らしてきた世界とは異なる世界になるだろうが、アメリカ人はそれを過度に心配する必要はない。以前にも主張したように、それはアメリカ人にとって有利な世界になる可能性さえある。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。ツイッターアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2022年3月1日にジョー・バイデン大統領が一般教書演説を行った。1年間の成果を誇る演説であったが、全体的に総花的で空元気の演説だった。議場にいる連邦議員たち、特に民主党所属の議員たちは何でもかんでも立ち上がって、やけのやんぱちで拍手をするものだから、バイデンとの呼吸が合わずに、バイデンはとてもやりにくそうだった。それで同じ行を二度読んだり、「ウクライナ人」と言うべきところを「イラン人」と言い間違ったりしたのだろう。

 今回は、バイデンの一般教書演説で語られなかった5つの重要な事柄について書かれている記事をご紹介する。それら5つの事柄は「(1)学生ローン債務問題、(2)アフガニスタンからの撤退(3)ドナルド・トランプ前大統領、(4)2021年1月6日の連邦議事堂襲撃事件、(5)中間選挙」であった。学生ローン債務問題は若者たちからの投票を得るための切り札のように思われるが、民主党内部でもいわゆる「借金の棒引き(徳政令)」には反対の声が大きい。若者全員が大学に行く訳ではなく、一部の若者のために多額の予算を使って借金を棒引きにするのは不公平だという声だ。従って、目玉政策とすることはできない。また、トランプ前大統領について語ることはどうしても批判ばかりとなってしまい、トランプ支持の有権者たちからの更なる反発を招くことは必至なので、それではアメリカ国内の分断を癒すというバイデン政権のメインテーマに反することになる。そして、中間選挙については今のところ厳しい情勢が続いており、語るべき言葉もないということだろう。

 国内の不満から人々の目を逸らすために、外国の問題に目を向けさせるというのはどんな時代のどんな政権にとっても常套手段だ。今回のロシアのウクライナ侵攻はバイデン政権にとっては外に目を向けさせる機会となるが、欧米諸国によるロシア制裁によって、アメリカ国民の生活に大きな影響が出るというジレンマを抱えている。先日もご紹介したが、アメリカ国民の多くは対ロシア制裁を支持しているが、「自分たちの生活に影響が出る」搭乗券が付くとその数字が下がってしまう。バイデン政権にとっては難しいかじ取りが続く。

(貼り付けはじめ)

バイデンが一般教書演説の中で話さなかった5つの事柄(Five things Biden didn't talk about in State of the Union

アレックス・ガンギターノ筆

2022年3月2日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/596461-five-things-biden-didnt-talk-about-in-state-of-the-union

ジョー・バイデン大統領は、火曜日に行われた自身初の一般教書演説で、いくつかの主要なトピックに言及せず、5つの重要な問題に言及しなかった。

学生ローンの負債、アフガニスタンからのアメリカ軍撤退、トランプ前大統領、2021年1月6日の暴動、そして来る中間選挙の5つが、1時間余りの演説の中で省かれた。

バイデンが演説に含まなかった5つの問題について見ていく。

(1)学生ローン(Student loans

バイデン大統領は学生ローン債務の免除について全く言及しなかった。学生ローン債務問題については、民主党の連邦議員たちがこれまでバイデン大統領に対して大統領在任中に取り組むように求めている。

連邦上院多数党(民主党)院内総務のチャールズ・シューマー(民主党)のような民主党指導者の間で広範な学生ローン免除が支持を得ているため、議員らは大統領にこの問題について透明性も提供するよう求めている。

バイデンは2020年の大統領選挙で、1人当たり少なくとも1万ドルの連邦学生ローンを免除することを選挙公約に掲げ、進歩主義派は借り手1人当たり5万ドルに引き上げるよう求めている。

2021年4月、バイデン大統領は学生ローン負債を帳消しにする権限を判断するため、教育省にメモを要求した。それ以来、政権はメモが完成しているかどうかを公には発表していない。

ホワイトハウスは最近この話題について尋ねられ、バイデンが2022年1月に5月初めまで延長した連邦学生ローンの支払い凍結を強調している。この凍結は、2020年3月に当時のトランプ大統領の下で制定されたモラトリアムによって始まり、これまで何度か延長されてきた。

(2)アフガニスタン(Afghanistan

バイデン大統領は一般教書演説の中で、政権1年目の2021年8月に行った、混乱したアフガニスタンからの撤退に言及しなかったことで、すぐに反発を受けた。

グリーンベレー出身者として初めて連邦下院議員に当選し、アフガニスタンに何度も遠征したマイク・ウォルツ下院議員(フロリダ州選出、共和党)は、撤退に言及しなかったことを恥ずべきことと指摘した。

ボバート議員は「何という不名誉な体裁をつくろう姿だろう。アメリカ国内にいる13人の戦死者(ゴールドスター勲章受章者)の母親たちと何千人ものアフガニスタンの協力者たちに答えるべきだ」と述べ、2021年8月にカブール空港で起きた自爆テロで13人のアメリカ軍兵士が犠牲になったことに言及した。

一般教書演説中、ローレン・ボバート連邦下院議員(コロラド州選出、共和党)はバイデン大統領に対して叫び声をあげ、アメリカ軍を棺桶に入れたようなものだと非難した。この異常で衝撃的な礼儀作法に対する違反は、バイデン大統領が、イラクとアフガニスタンに駐留する多くの米軍が大規模な燃焼炉からの化学物質を含む有毒な煙にさらされて癌を発症したこと、そして有毒な燃焼炉の影響を受けたかもしれない彼の亡き息子について話していたときに起こった。

バイデンは「国旗で覆われた棺桶に被害者たちを入れてしまうような癌だ。私はこのことについて痛いほどよく知っている」と語った。

バイデン大統領は、アフガニスタンからの撤退の方法について共和党と民主党から批判を受けながらも、その決断について自己弁護してきた。先月、バイデンは、軍当局者が撤退についてバイデン政権関係者を批判したとされる陸軍の調査報告書の記述と調査結果を否定したと述べた。

(3)トランプ(Trump

バイデンは前任者であるトランプ前大統領の名前を演説の中で言及しなかった。

バイデン大統領はこれまでの複数の演説でトランプの名前に言及することは非常に稀で、前任者の名前を示唆する傾向があった。火曜日の一般教書演説では、数カ所でトランプを連想させる発言をした。

バイデンは「アメリカ人の上位1パーセントに恩恵を与えた前政権で成立した2兆ドルの減税とは異なり、アメリカン・レスキュー・プランは働く人々を助け、誰も置き去りにしない」と述べ、2017年に成立したトランプ前大統領による減税案を批判した。

その後、2021年11月に可決成立した超党派によるインフラ整備法について強調する際、「インフラ週間の話はもうたくさんだ(“we’re done talking about infrastructure weeks)」と述べた。「インフラ週間」とは、トランプが1兆ドル規模のインフラ案のイベントを1週間かけて開催したが全く盛り上がらなかったことを受けて、ワシントンでジョークとして

バイデン大統領の一般教書演説の主眼は団結であり、麻薬の蔓延への対処、子どもの精神衛生医療への資源提供、退役軍人の支援、癌の撲滅など、「団結の課題(unity agenda)」すなわち超党派での議会通過を促す4項目を提案した。

(4)2021年1月6日の連邦議事堂進入事件(Jan. 6

バイデン大統領の一般教書演説は、約1年前、2020年の大統領選挙の結果認定に抗議してトランプ支持の群衆が押し寄せた議場で行われた。しかし、バイデンは演説の中で2021年1月6日の出来事には触れなかった。

事件発生1年の節目に、バイデン大統領は連邦議事堂内のスタチュアリー・ホール(国民彫像ホール)で演説を行い、「嘘の網(web of lies)」を広げたトランプ前大統領を手厳しく非難した。彼はまた、演説の中で、トランプに言及することをしないことで、トランプを際立たせるという手法を取った。

暴動の後、数カ月間設置されていた連邦議事堂の周囲のフェンスは、火曜日の演説に先立って元のレヴェルに戻された。また、最大700名の州兵が、問題が発生した場合に地元警察を支援するために待機していた。

フェンスは、最近カナダで見られたようなトラック運転手に対する新型コロナウイルスワクチン義務化に対する抗議に備えたものでもあった。しかし、連邦議会での一般教書演説の前後にトラック運転手たちが大挙して車列を連ねてワシントンDCにやって来るという計画は頓挫したようだ。

(5)中間選挙(Midterms

2022年の中間選挙まで残り数カ月に迫る中、バイデン大統領は演説の中で、来るべき選挙について語らなかった。

民主党は今年秋の中間選挙で連邦議会での過半数を維持することに対して、大きな壁に直面しており、各種世論調査の結果では、バイデンの支持率はほとんどが40%台前半という非常に厳しい状況にある。また、バイデン大統領の所属する民主党は中間選挙で敗北する可能性が高まっている。

バイデン大統領は火曜日、インフレーション対策とアメリカ人のために物価を下げるための政権の努力について語った。インフレーション率の上昇は、バイデンの支持率に打撃を与え、今年の連邦上下両院の過半数を維持したい民主党にとって難題となっている。

バイデン大統領はまた、ロシアのウクライナへの侵攻と、アメリカと同盟諸国がモスクワを非難し、制裁措置を講じるために一致して制裁措置を取っていることについても詳しく語った。アメリカの有権者たちは、ロシアの侵攻に対抗するバイデンの努力を精査する可能性が高いため、ロシアによるウクライナ侵攻は中間選挙の結果に影響を与える可能性がある。

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一般教書演説でバイデンは4部構成で団結について提案(Biden proposes four-part unity agenda during State of the Union

ブレット・サミュエルズ筆

2022年3月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/596451-biden-proposes-four-part-unity-agenda-during-state-of-the-union

ジョー・バイデン大統領は火曜日、連邦議会に超党派で成立を促す4項目の「団結アジェンダ(課題)」について提案した。その4つの項目は、麻薬の蔓延への対処、子どもの精神衛生医療への資源提供、退役軍人への支援、がんの撲滅だ。

「国家のための団結アジェンダ、これらを私たちは達成できるのだ」 とバイデンは語った。

バイデンが主張した課題一つ一つは、議場で大きな拍手を浴びた。これらの提案は、ワシントンの分裂を緩和するという公約を掲げて選挙戦を戦ったものの、共和党の激しい抵抗に遭い、時には個人攻撃を受けてきたバイデンにとって、重要な意味を持つものとなった。

バイデン大統領は連邦議会に対し、麻薬中毒に苦しむ人々の予防と治療のための予算を増やすように要求した。

また、バイデン大統領は、子どもの精神衛生を改善する取り組みの一環として、プライヴァシー保護を強化し、子どもへのターゲット広告を違法化するよう議員たちに促した。

個人的なアピールの中で、バイデン大統領は連邦議会に対して、イラクとアフガニスタンに従軍中に有毒な化学物質に曝された退役軍人たちに対する医療を確実に提供するための法律の可決を求めた。バイデン大統領は息子ボウの死因となった脳腫瘍の原因として焼却炉からの化学物質があったのだろうと考えていると発言した。

バイデンはまた、癌、アルツハイマー病、糖尿病などの治療法を模索する機関である医療高等研究計画局に資金を提供し、「私たちが知っている癌を終わらせる」ことを支援するよう求めた。

バイデンの「団結アジェンダ」は、超党派性が定期的にしか発揮されない夜の間に行われた。バイデンがウクライナの駐米大使を称賛した際、議員たちは一斉に立ち上がって拍手を送り、バイデンが警察への予算提供を支持すると述べたときには、両党の議員が喝采を送った。

しかし、一般教書演説が実施された夜は緊張感にも満ちていた。週末に開催された白人至上ナショナリズムの集会で演説したことで話題になっている保守派の熱血漢マージョリー・テイラー・グリーン連邦下院議員(ジョージア州選出、共和党)は、バイデンが移民について話した際に「壁を作れ」と叫んだ。

ローレン・ボバート連邦下院議員(コロラド州選出、共和党)は、バイデン大統領が自身の息子の逝去について述べた際に、アフガニスタンにおけるアメリカ軍の将兵の死亡について叫び声を上げた。

複数の共和党所属の連邦議員たちは、議場への入室に際して新型コロナウイルスの検査が義務付けられたことを理由にして演説への出席自体を拒絶した。

(貼り付け終わり)

(終わり)


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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。
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 2021年9月に入り、ジョー・バイデン大統領の支持率が低下している。各種世論調査で支持率が5割を切り、第一期目の大統領としては低いレヴェルに入った。以下のグラフの通りだ。

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 バイデン政権は新型コロナウイルス感染拡大対策を最優先テーマと掲げている。3月の段階では対策への支持も高かったが、バイデンが事業所などでのワクチン義務化を発表すると、支持は下がった。また、「アメリカを団結させる」というバイデンの公約についても、実現していないと考えている有権者が多いことも分かった。
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 ピュー・リサーチセンターの詳細な調査結果で興味深かったのは、バイデンに「精神的な元気(mentally sharp)」な様子がないと考えている人が6割近くいるということだ。バイデンは史上最高齢でアメリカ大統領に初当選した人物であり、日本で言えば後期高齢者である。自民党所属の麻生太郎副総理兼財務相、二階俊博幹事長と同じ世代であるが、背負っている責任や仕事はけた外れに多い。アメリカ大統領は激務であり、就任して1年もしない段階で既にへばっているということになるだろう。

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 そこで考えられるのは、バイデンが大統領職を一期だけで退くということだ。人気はまだ3年以上も残っているので、途中でギヴアップ(病気などで)ということも考えられる。来年の中間選挙の結果いかんではバイデンの二期目という話はなくなってしまうだろう。普通であれば、副大統領が後継として出てくることが考えられるが、カマラ・ハリスの人気も低い。元々支持率が5割を切っていて、現状はそのままなので、バイデンの支持率急落が目立つが、元々人気がないというところがカマラ・ハリスの根本的な問題だ。

 新型コロナウイルス感染対策とアフガニスタンからの撤退によって、バイデンの支持率は大幅に下がっている。共和党支持者からの支持はほとんどない状況であり、拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』で指摘したように、「アメリカ国内の分断」は深刻化する一方だ。

(貼り付けはじめ)

ピュー・リサーチセンターの最新の世論調査の結果では、バイデンの支持率は44%に下落(Biden approval sinks to 44 percent in new Pew poll

モーガン・チャルファント筆

2021年9月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/573668-biden-approval-sinks-to-44-percent-in-new-pew-poll

ピュー・リサーチセンターが発表した最新の世論調査の結果によると、アメリカの成人の44%がバイデン大統領の大統領としての仕事ぶりを評価している一方で、53%は評価していないということが分かった。7月から支持率は急落している。

2カ月前のピュー・リサーチセンターの世論調査の結果は、バイデンの仕事ぶりを55%が評価し、43%が評価しないというものだった。バイデンの民主党員や民主党支持者の間での支持率は、7月の88%から75%となり、13ポイントも下落した。共和党員や共和党支持者の間での支持率は17%から9%に下落した。

まとめると、民主、共和両党の選挙で選ばれた政治家たちの支持率は下落している。今回のピュー・リサーチセンターの世論調査は9月13日から19日にかけて実施され、調査対象者は1万371名のアメリカの成人であった。

ピュー・リサーチセンターの調査では、今年4月以降、連邦議会共和党への支持率は5ポイント低下したが、連邦議会民主党への支持率は11ポイントも下落した。

バイデンは、新型コロナウイルスワクチン接種を受けていない何百万人ものアメリカ人の間でコロナウイルスが再流行していることや、アフガニスタンからのアフリカ軍撤退から混乱が起きていることから、大統領としての難しい局面を迎えています。

ホワイトハウスはまた、バイデン大統領の経済政策を議会で可決させるために、連邦議会民主党をまとめようとしているが、政策パッケージの内容や規模、時期をめぐって穏健派と進歩派が対立しているため、困難さが増しているのが現状だ。

今回の世論調査の結果には、バイデンにとって良いニュースもいくつか含まれている。彼の経済提案については多くの人々に支持されており、それは過去の世論調査の結果と変わらない。ピュー・リサーチセンターの今回の世論調査によると、連邦上院が可決した1兆2000億ドル(約132億円)規模の超党派のインフラ整備法案を51%が支持している。反対は20%だ。残りの29%は「分からない、知らない」と答えた。

一方、3兆5000億円(約385億円)規模の経済対策案には49%が賛成し、反対派25%、「分からない、知らない」と答えたのは25%だった。

共和党側はバイデンの税制提案について批判しているが、今回の世論調査では、66%が大企業への増税に賛成し、所得が40万ドル(約4400万円)以上の世帯への増税に61%が賛成している。

個別の問題では、バイデンの新型コロナウイルス対応への支持が3月の65%から最新の四調査では51%に下落している。それでもまだ過半数の支持を得てはいる。経済政策については48%が「ある程度」もしくは「強力に」支持していると答えている。51%が「全く」「それほど」支持していないと答えた。

外交政策については、45%が「ある程度」もしくは「強力に」支持すると答え、54%が支持しないと答えた。そして、バイデンがアメリカをより団結させるかという質問には、34%だけが「ある程度」もしくは「強力に」そう考えると答え、66%が躁は考えてないという結果となった。アメリカをより団結させるというのはバイデンの主要な選挙公約の一つだった。

ピュー・リサーチセンターの世論調査は、今週初めのギャロップ社の世論調査に続いて結果発表となった。ギャロップ社の調査でバイデンの支持率は43%となり、これは大統領一期目の支持率としては、同社の歴史で最も低い数字となった。

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ギャロップ社の世論調査で、バイデンの支持率が43%となり、記録的な低さとなった(Biden approval rating drops to record low 43 percent in Gallup polling

セリーヌ・キャストロヌオヴォ筆

2021年9月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/573367-biden-approval-rating-drops-to-record-low-43-percent-in-gallup

水曜日に発表されたギャロップ社の世論調査の結果によると、大統領就任から8カ月経過してのバイデン大統領の支持率は43%に下落した。この数字はギャロップ社が調査を開始して以降、第一期目の大統領の数字としては最低レヴェルとなった。

ギャロップ社の調査は2021年9月1日から17日にかけて実施され、バイデンの大統領としての仕事ぶりに対して、初めて過半数が不支持という結果になった。アメリカの成人の53%が彼の大統領としての仕事ぶりにマイナスの評価をすると答えた。

バイデンの支持率は民主党支持者の間では、今月は90%とこれまで最低の数字となったが、それでも高いレヴェルを維持した。共和党支持者の間での支持率は、今月は6%にとどまった。それでもこれまで最も高い数字となった。

無党派の有権者の間では、バイデン政権発足以来最低の数字となる37%の支持率を記録した。就任して1カ月の数字である61%から大幅の下落を記録した。

最新のギャロップ社の世論調査は、アフガニスタンからのアメリカ軍の撤退の後に実施された。バイデンはアフガニスタンからのアメリカ軍の完全撤退を行おうとした。アフガニスタンはタリバンの急速な権力掌握の中にある。20年前、アメリカ軍はこの軍事力を持ったグループを追い落としたが、彼らは再び権力を掌握した。

バイデンは、アメリカ人とアフガニスタン国内で危険に晒される可能性の高いアフガニスタン人の退避で混乱を起こしたとして、民主、共和両党から批判を受けた。特に、イスラム国のアフガニスタン国内のグループがカブール空港で爆弾による自爆テロを実行し、13名のアメリカ軍将兵と少なくとも169名のアフガニスタンの一般市民が殺害された事件の発生後に批判の声が高まった。

バイデン大統領は8月31日までにアメリカ軍の完全撤退を完了するとした自身の決断は正しかったと擁護し続けている。アフガニスタン国内に残っているアメリカ人とアフガニスタン人の協力者たちの退避の努力は続けられており、外交的手段によってそれらの対比はより安全に実施されるだろうとバイデンは主張している。

ギャロップ社による調査が実施されている期間中、バイデンは複数のワクチンの義務化計画について発表し、いくつかの州の共和党所属の指導者たちによって批判された。100名以上が雇用されている事業所は労働者全員に新型コロナウイルスワクチン接種か毎週の検査を義務付けると発表したが、それに対して批判が起きた。

共和党の政治家たちや経済団体からは義務化は、政府による行き過ぎ(government overreach)だと非難した。また、先週、共和党に属する24州の州司法長官が、被雇用者に対するワクチン義務化を行うならば、バイデンに対して訴訟を提起すると反撃した。

ギャロップ社の世論調査の結果でバイデンへの支持率が低いことが分かったが、先週発表されたキュニピアック大学の世論調査の結果では支持率は42%だった。そして、50%が不支持だった。

加えて、月曜日に発表されたハーヴァード大学CAPS・ハリス社共同世論調査の結果では、アメリカの有権者の間でのバイデンとトランプ副大統領の好感度は同率となった。

水曜日に発表されたギャロップ社の調査は、無作為に抽出された1000名以上のアメリカの成人を対象に実施された。誤差は4ポイントだ。

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最新の世論調査の結果で、バイデンの支持率は42%に下落(Biden approval rating slips to 42 percent in new poll

モニーク・ビールス筆

2021年9月14日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/572235-biden-approval-rating-slips-to-42-percent-in-new-poll

最新の世論調査の結果、アメリカの成人の半数がバイデンに対して不支持を表明している。バイデンが大統領に就任して以来、初めて、「マイナス領域」に入った。

本日、アメリカの成人を対象に実施した、キュニピアック大学の世論調査の結果が発表された。調査に参加した人の42%がバイデンの大統領としての仕事ぶりを評価し、50%が評価しなかった。

新型コロナウイルス対策については複雑な結果となった。バイデンは幅広いワクチン義務化を課そうとしている中で、対策への支持が48%、不支持が49%となった。

アフガニスタンからのアメリカ軍撤退を受けて、バイデンの外交政策についての支持率は大幅に下がった。

バイデンの外交政策への支持率は34%にとどまり、59%が不支持と答えた。8月の時点では、支持率と不支持率はそれぞれ44%だった。

今回の世論調査の結果によると、6割以上人たちが、アメリカ軍はアフガニスタンに戻らねばならないと答えた。しかし、7割の人たちがアフガニスタンからのアメリカ軍撤退は正しい決定だと考えている。

気候変動対応についてはバイデンの支持・不支持はだいたい半分となっている(支持率は42%、不支持率は44%)となっている。一方で、経済対応についてはマイナスの評価(支持率は42%、不支持率は52%)となっている。

キュニピアック大学は2021年9月10日から13日にかけてアメリカの成人1210名を対象に世論調査を実施した。誤差は2.8ポイントだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12


野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23



 古村治彦です。

 今回は、オバマ政権の外交政策の新方針が発表されたことについての論稿をご紹介いたします。この新方針についてより考えていきたいと思います。現実主義的な外交政策を強めようとするオバマ政権と介入主義的な外交政策を主張する議会のタカ派との戦いがあるようです。

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ホワイトハウスが新しい外交政策攻勢を発表するためにウエストポイントでの演説を利用(
White House To Use West Point Speech To Launch New Foreign Policy Offensive

 

ジョン・ハドソン(John Hudson)筆

2014年5月27日

フォーリン・ポリシー(Foreign Policy)誌

http://thecable.foreignpolicy.com/posts/2014/05/27/white_house_to_use_west_point_speech_to_launch_new_foreign_policy_offensive

 

 バラク・オバマ大統領は外交政策に関して左派と右派両方から攻撃を受けている。この攻撃に対して、オバマ政権は、ウェストポイント(米陸軍士官学校)での大統領の演説を使って反撃をしようとしている。この演説の中で、アフガニスタン、シリア、アフリカでのイスラム教民兵への対処について語る予定である。

 

 水曜日に行われるウエストポイントの卒業式でのオバマ大統領の演説の内容は、議会の強硬派を満足させるものではないだろう。強硬派はホワイトハウスに対して、シリアの反政府勢力により多くの武器を送り、ロシアと対峙しているウクライナに軍事支援を行うように圧力をかけている。また、アルカイーダの復活を予防するためにアフガニスタンに米軍を駐留させるように圧力をかけている。しかし、オバマ政権が発表する新しい外交政策方針は、主にパートナーとなる国々の軍隊を訓練することに重点が置かれている。この新方針は、世界各地で煙が上がっている状況下で、ホワイトハウスは何もやっていないという批判に対する反論となるだろう。オバマ大統領は嫣然の中で、政権の外交政策の中心となる考えを明らかにするだろう。この考えは、「コストがかかり、流血が伴う制限のない戦闘に関わる危険性を最小化することが可能となる代理勢力を使用する、そして中程度の目的を設定する」というものだ。オバマ政権は、ジョージ・W・ブッシュ大統領時代の野心的な目的(最終的な達成されなかった)とは異なる目的を設定している。

                                                                                                                

水曜日の演説の中で話される内容の中で最も重要な発表の一つは、シリア国内の反政府勢力の穏健派に訓練と装備の供与を行うという新しい軍事プログラムになるだろう。これまでの報道によると、ウエストポイントでの演説の中で、オバマ大統領は、シリアの反政府勢力への支援を拡大し、同時にシリアの近隣諸国に対する支援も拡大するという方針を発表するようである。このような新方針は、米上院議員のボブ・コーカー(テネシー州選出共和党所属)やジョン・マケイン(アリゾナ州選出共和党所属)のような、オバマ政権に対して強硬な批判を続ける人々を黙らせることはないだろう。しかし、シリアの反政府勢力からは珍しく賞賛を受けている。

 

 この数カ月、反政府勢力の指導者たちはより強力な武器を供与するように要求している。戦闘機を撃墜できる肩掛けのミサイル発射装置の供与とアサド政権側の優位な火力から反政府勢力を防衛し、シリア国内の急進的な反政府勢力と戦うための訓練を行うように要求している。国防総省とCIAの高官たちは対照的に、アメリカが供与した武器がイスラム急進派の手に落ちて、西洋諸国に対して使われることを心配している。CIAは、指紋のスキャンとGPSを使うことでこの問題に対処しようとしている。

 

 オバマ政権がシリアの反政府勢力にどの程度の支援を与えるのか明らかになっていないが、最近オバマ政権の関係者たちと会談したシリアの反政府勢力のメンバーたちは、新しいプログラムを賞賛した。反政府勢力であるシリア連合のスポークスマンのオウバイ・シャーバンダーは、『フォーリン・ポリシー』誌の取材に対して、「新しいプログラムの導入は潜在的に大きなチャンスとなる」と答えた。シャーバンダーは続けて「訓練プログラムの拡大は反政府勢力がアメリカ側に要求していたものの一つである。私たちはこの点を楽観している」。アメリカ議会はこの点では楽観的な姿勢を取っていない。連邦下院議員クリス・スミス(ニュージャージー州選出共和党所属)は下院外交委員会のヴェテランメンバーである。スミスは、シリアの反政府勢力に最終的な支援が与えられるまで安心はしていないと語っている。彼は、あるインタビューで次のように述べている。「欺瞞の後に現実はやってこない。シリアで殺戮が始まったばかりの段階で私たちは何もしなかった。その結果、私たちは殺戮が行われているのを、指をくわえて見続けるしかできなくなった」

 

 しかし、演説に先立ってマスコミにリークされた政権の外交政策における新方針はこれだけではない。北部および西部アフリカのリビア、ニジェール、モーリタニア、そしてマリに特殊部隊の兵員を送り、対テロエリート部隊の訓練を行うということもオバマ政権は決定している。これによって、イスラム急進テログループであるボコ・ハラムのようなテログループが活動している国々の軍隊が対テロ部隊を創設し、テロの脅威と対峙できるという希望が生まれている。ボコ・ハラムは最近約300名のナイジェリアの少女たちを誘拐したことで人々に知られるようになった。『ニューヨーク・タイムズ』紙は、米陸軍のグリーンベレーとデルタフォースの要員がアフリカ諸国の軍隊を訓練するために派遣され、国防総省の機密費から資金が送られると報道している。オバマ大統領の目標は、コストのかかる地上戦にアメリカ軍を直接投入することを避け、同盟諸国の軍隊を訓練して、各国の対テロ能力を向上させるというものなのである。

 

 大統領の演説の前に出されたもう一つの大きな発表は、アメリカ軍のアフガニスタンからの撤退である。オバマ大統領は火曜日、アメリカ軍のアフガニスタンでの任務は2014年いっぱいで終了すると発表した。同時に、オバマ大統領は、アメリカ軍の兵員9800名を2014年以降もアフガニスタンに駐留させ続けることも明らかにした。この目的は、アフガニスタン軍の訓練とアルカイーダに対する対テロ作戦の支援である。ホワイトハスのローズガーデンでオバマ大統領は演説を行った。その中で次のように語っている。「私たちは始めた仕事を仕舞おうとしているのだ」

 

 オバマ大統領はここでも直接戦闘を行うのではなく、同盟諸国の軍隊を訓練することを選んでいる。しかし、オバマ大統領の決定は、議会におけるタカ派、ハト派両方を満足させるものではない。

 

カリフォルニア州選出の米連邦下院議員で進歩的な人物であるバーバラ・リーは次のように語っている。「戦争が始まって13年経った。この期間で分かったことは、アフガニスタンでは軍事力を使っても問題は何も解決できないということであった。もっと早く決定すべきであったが、アフガニスタンにいる米軍は全て撤退させる時期だ。アフガニスタンにこれからも米軍を駐留させ、予算を使うのなら、少なくとも議会で議論をし、採決すべきだ」

 

 クローカーのような共和党内の保守派の多くはオバマ大統領が2014年以降も一定の兵員をアフガニスタンに残すと決定したことを歓迎した。しかし、共和党の一部からは、オバマ大統領がアフタニスタンからの米軍の撤退の日にちを明確にしたことに対して批判が出ている。

 

 米下院議員で米下院軍事委員会の委員長ハワード・“バック”・マキノン(カリフォルニア州選出共和党所属)は声明の中で次のように述べている。「アフガニスタンでの任務に恣意的に期限をつけるというのは戦略的な感覚に欠けた行為であると言わざるを得ない。アフガニスタンの人々がテロの脅威に対処できるようになってからアメリカは撤退すればよいのであって、政治的な事情で期限を決めて、我が国の安全保障をないがしろにして、それで支持率を挙げようとするのはおかしい」

 

 民主党内のタカ派は右派からの批判を非難した。米下院外交委員会の幹部委員であるエリオット・エンゲル(ニューヨーク州選出民主党所属)は次のように語っている。「率直に言って、共和党はオバマ大統領が何をやっても批判しかしない。オバマ大統領が米軍をすべて撤退させても、批判するだろう。その期日を決めても、批判するだろう。米軍の駐留を続け、その後に撤退期日を決めても、優柔不断だとして批判するだろう」

 

 アメリカ議会はオバマ大統領の抑制的な外交政策姿勢に対してかなり批判的であるが、最近の世論調査が示しているように、アメリカ国民の多くは介入主義的なアプローチに

反対している。2014年4月末、ウォールストリート・ジャーナル紙とNBCの共同世論調査によると、ほぼ半数の人々が「アメリカが世界においてあまり活動的である必要はない」と答えている。より積極的な関与に賛成したのは5分の1にも満たない数であった。

 

(終わり)







 

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