古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:アメリカ

 古村治彦です。 

 アメリカ大統領選挙民主党予備選挙の情勢はジョー・バイデン前副大統領がリードという展開は変わらない。2位にエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、3位にバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、民主党)という展開だ。トップ3とそれがいの候補者の間には大きな隔たりが出来た。民主党指名はこの3人に絞られ、その中でもバイデンが最有力だ。

 下の記事にあるように、世論調査によってはウォーレンがバイデンを抜いて首位に立つというものが出ている。先週発表されたキュニピアック大学の世論調査では、9月に続いてウォーレンがバイデンを抑えている。しかし、故の世論調査は調査対象者の数が少なく、誤差が大きい。ウォーレンとバイデンとの差は誤差の範囲内だ。私はこの世論調査の結果は重視しない。

quinnipiacuniversitypoll20191008001

 モーニング・コンサルト社の世論調査は約16000名を対象とし、誤差は1%なので、私はこちらを重視している。こちらの結果では、バイデンが12ポイントの差をつけてウォーレンをリードしている。実態はこちらにより近いと思う。

morningconsultpoll20191008001

 ただ、キュニピアック大学の世論調査の結果はより詳しいカテゴリー別の結果も表示している。これは役に立つ。バイデンはアフリカ系アメリカ人有権者、大学を卒業していない有権者、65歳以上の有権者のカテゴリーで支持率トップに立っている。ウォーレンは白人有権者と大学学位保有者のカテゴリーでトップ、バイデンは18歳から34歳までの若い有権者のカテゴリーで他の候補者を圧倒してトップになっている。
morningconsultpoll20191008002 

 この結果から見えてくるのは、民主党の支持基盤である左派は分裂しているということだ。左派を基盤にしている2人の候補者、ウォーレンは白人の高学歴リベラル、サンダースは社会主義に傾倒する若者たちがそれぞれ支持している。ウォーレンの方が中道に近い左派、サンダースは極端な左派ということになる。ウォーレンが中道にも支持基盤を伸ばしていくと、バイデンにとっては手ごわい相手ということになる。

 アイオワ州、ニューハンプシャー州、サウスカロライナ州、ネヴァダ州では早い段階で民主党の予備選挙(予備選挙か党員集会)が実施される。早期に予備選挙が実施される各州の結果でも選挙戦の展開は変わってくる。これらの各州で支持を伸ばしているのが、トム・ステイヤーだ。ステイヤーはより参加条件が厳しくなった11月の討論会に関しても、既に条件をクリアしている。これから注目すべき候補者ということになる。

morningconsultpoll20191008003

 民主党予備選挙はトップ3に絞られてきた。これからその他の候補者の動きも気になる。具体的にはカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)がバイデンの副大統領候補者になるか(これは来年3月くらいのことではあるが)、トップ10圏内外の候補者たちはいつ選挙戦から撤退するか、連邦上院議員選挙や州知事選挙に転進するかというところが焦点になる。

(貼り付けはじめ)

ウォーレンとバイデンが民主党予備選挙で激しい一騎討ち:世論調査(Warren, Biden running neck and neck in Democratic primary: poll

タル・アクセルロッド筆

2019年10月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/464886-warren-biden-running-neck-and-neck-in-democratic-primary-poll

キュニピアック大学の最新の世論調査の結果が火曜日に発表された。エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)とジョー・バイデン前副大統領は2020年米大統領選挙民主党予備選挙でマッチレースを展開している。

民主党支持、無党派で民主党寄りの有権者の中で29%がウォーレンを支持すると答え、バイデンを支持すると答えたのは26%だった。両者の支持率の差は世論調査の誤差の範囲内にとどまっている。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は16%の支持率を獲得し、3位に入った。他に二桁の支持率を獲得した候補者はいなかった。

9月のキュニピアック大学による世論調査でもトップ3の候補者たちは同様の結果を示した。この時の結果はウォーレン、バイデン、サンダースの順番で、支持率はそれぞれ27%、25%、16%だった。

キュニピアック大学の世論調査アナリストであるティム・マロイーは次のように述べている。「ウォーレンは民主党予備選挙で強さを保っている。選挙開始以来、一貫して支持率を伸ばしている。今回の世論調査によって、ウォーレンはバイデンの並走者であることが確認された」。

ウォーレンは男性有権者、女性有権者、白人有権者、大学学位保有者のカテゴリーで他の候補者をリードしている。バイデンは黒人有権者、大学を卒業していない有権者、65歳以上の有権者のカテゴリーでリードしている。

サンダースは若い有権者のカテゴリーで強さを見せ続けている。18歳から34歳までの有権者の間で2位に22ポイント差をつけている。サンダースの支持率は堅調であり、これは、彼が心臓発作で倒れたというニュースがあってもそれが支持に影響していないことを示している。

火曜日の世論調査の結果は、これまで各種世論調査が示してきた、民主党予備選挙における候補者の位置づけと隔たりが同様のものとなった。ウォーレン、バイデン、サンダースがトップ集団を形成し、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)とインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジのような有力候補者たちは第二集団に落ちている。

バイデンは、ウォーレンとサンダースに対して、ほとんどの全国レヴェルと各州レヴェルの画世論調査でリードを保っているが、差は縮まりつつある。リードの基になっているのは、アフリカ系アメリカ人での間での支持の強さだ。

ウォーレンはここ数週間の各種世論調査の多くでバイデンを追い越している。特にアフリカ系アメリカ人有権者たちの間での支持を伸ばし、数字を上げている。

キュニピアック大学の世論調査は2019年10月4日から7日にかけて、民主党支持と無党派の有権者646名を対象に実施された。誤差は4.7ポイントだ。

=====

世論調査によると、バイデンはウォーレンに12ポイント差をつけている(Poll shows Biden with 12-point national lead over Warren

レベッカ・クレアー筆

2019年10月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/464813-poll-shows-biden-with-12-point-national-lead-on-warren

2020年米大統領選挙民主党予備選挙に関する最新の世論調査の結果が発表された。ジョー・バイデン前副大統領は2位のエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)に12ポイントの差をつけてリードを保っている。

モーニング・コンサルト社の世論調査の結果は毎週発表される。今週も月曜日に発表され、バイデンは先週に比べて1ポイントの支持率増加を記録し、33%を獲得した。

ウォーレンは支持率21%を維持した。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は先週と変わらずに19%の支持率を獲得した。

カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)とインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジ(民主党)はそれぞれ支持率6%と5%を獲得し、デッドヒートを展開している。

ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)とIT実業家アンドリュー・ヤンはそれぞれ支持率3%を維持している。コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)の支持率は、1ポイント下落の2%だ。

早期に予備選挙が実施される各州での世論調査の結果では、バイデンはウォーレンとサンダースを15ポイント引き離している。

早期に予備選挙が実施される各州での世論調査の結果では、バイデンは支持率33%を獲得している。一方、ウォーレンとサンダースはそれぞれ18%だった。

大富豪の社会事業家トム・ステイヤーは全国規模での世論調査では支持率が1%だが、早期に予備選挙が実施される各州での世論では支持率8%を獲得し、全体で4位につけている。

今回のモーニング・コンサルト社の世論調査は2019年9月30日から10月6日にかけて、16529名を対象に実施された。誤差は1ポイントである。アイオワ州、ニューハンプシャー州、ネヴァダ州、サウスカロライナ州の早期に予備選挙が実施される各州での世論調査は同時期に713名に対して実施された。誤差は4ポイントだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

アメリカ政治の秘密日本人が知らない世界支配の構造【電子書籍】[ 古村治彦 ]

価格:1,400円
(2018/3/9 10:43時点)
感想(0件)

ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側[本/雑誌] (単行本・ムック) / 古村治彦/著

価格:1,836円
(2018/4/13 10:12時点)
感想(0件)


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

 古村治彦です。 

 ドナルド・トランプ大統領にウクライナ疑惑が持ち上がっている。トランプ大統領が今年7月25日にウクライナ大統領と電話会談を行い、その中で、ジョー・バイデン前副大統領と次男ハンター・バイデンについて捜査を行うように求めた。更には、これに合わせてウクライナ向けの援助を一時停止した。これは大統領選挙当選のため、つまり私的な利益のために権力を濫用したということになる。この疑惑は内部告発者からの告発で明らかになり、連邦下院で過半数を握る民主党は弾劾訴追のための調査を始めた。

 これまでこのブログでもご紹介してきたが、弾劾が成立する可能性は低い。弾劾を訴追するのは連邦下院であるが、弾劾が成立するかどうかの裁判を行うのは連邦上院で、しかも3分の2以上の賛成が必要だ。よほどの決定的な証拠が出なければ、弾劾は成立しない。

この疑惑が大統領選挙に与える影響はトランプ大統領側には限定的であり、民主党側に与える影響は大きいと考えられる。トランプ大統領の支持者はこれくらいのことで支持を止めるようなことはない。各種世論調査では共和党支持者で連邦下院による弾劾調査を支持しているのは多くても2割台にとどまる。民主党支持者の場合は9割に迫る勢いだ。

 下の記事にあるように、トランプ大統領弾劾の話ばかりになると、民主党予備選挙の話題は少なくなる。マスコミでも報じられなくなる。上位3名の候補者たちについてはまだ報じられるだろうが、詳細に報道する時間はない。他の候補者となると、報道されることがなくなる。そうなると、支持率や政治資金の面でますます苦しくなる。11月の討論会の参加基準が引き上げられたので、選挙戦から撤退する候補者も複数出てくるだろう。

 民主党側は、ロシア疑惑よりも「筋が良い話」として、ウクライナ疑惑に関して弾劾に乗り出した。しかし、ここに落とし穴がある。それは、このウクライナ疑惑にはジョー・バイデン前副大統領と次男ハンター・バイデンが出てくることだ。

 2014年にマイダン革命と呼ばれる政変によって、親露派のヴィクトール・ヤヌコヴィチ政権が打倒された。しかし、その後のペトロ・ポロシェンコ政権はどっちつかずの政権だった。当時のバラク・オバマ政権はウクライナ国内の汚職体質の改善を求めていた。これはロシアとの関係を切ろうとするものであったと考えられる。しかし、ポロシェンコ政権下でも汚職の一掃は進まなかった。そこで業を煮やしたオバマ政権は、ジョー・バイデン副大統領をウクライナに派遣し、汚職捜査の指揮を執る検事総長の更迭を求めた。これがなされない限りウクライナへの支援パッケージは実行しないとまで発言した。

 2014年の政変で失脚したヤヌコヴィッチ政権の高官だった人物にマイコラ・ズロチェフスキーがいた。ズロチェフスキーはウクライナの天然ガス会社ブリスマ社のオーナーであり、エネルギー関係の大臣を務めていた際に、子会社へ許認可を出していた。また、イギリス当局からは資金洗浄の疑いをかけられていた。

 ズロチェフスキーはロシアに逃亡したヤヌコヴィッチとは行動を共にしなかった。そして、ブリスマ社と自分を守るために、「ブリスマ社は西洋型の立派な会社です」という「飾り付け」を行うことにした。そのために利用されたのがハンター・バイデンだった。バイデンは、アメリカで投資会社を経営していたのだが、共同経営者がブリスマ社の取締役に就任し、その直後にハンターにも取締役就任の話が来た。周囲は、ウクライナは政情不安定であるし、止めておいたらと忠告したが、ハンターは周囲の忠告を無視して取締役に就任した。

 ハンターは年2回の取締役会出席だけで、月5万ドルの報酬を受け取ることになった。年間60万ドルとなる。日本円では6500万円だ。ブリスマ社とオーナーのズロチェフスキーは、ハンター・バイデンを取り込むことで、「ブリスマ社は西洋型の立派な会社です」というアピールに成功した。また、ウクライナ国内向けには、「ウクライナに圧力をかけているジョー・バイデン副大統領の息子が取締役だぞ、自分はアメリカ側と太いパイプがあるのだ」という無言の圧力、アピールをすることができ、結果として、汚職事件などの捜査を免れた。

 トランプ大統領の弾劾調査のためにウクライナ疑惑を調べるとなると、どうしてもバイデン家とウクライナとのかかわりを調べることになる。そうなれば、オバマ政権のウクライナへの内政干渉やハンターがほぼ勤務実態がないのに年60万ドルを受け取っていたということが民主党側によって明らかにされる。これは現在、大統領選挙民主党予備選挙で支持率トップを走っているバイデンにとっては痛手となる。

 バイデンの支持率が落ちて、2位のエリザベス・ウォーレン、3位のバーニー・サンダースが相対的に上昇ということになれば、民主党内部は混乱する。各候補の批判合戦はエスカレートする。そうなると、民主党内部の団結はほころびが出る、2016年の大統領選挙でも、ヒラリー・クリントンを応援する民主党主流派と、バーニー・サンダースを応援する反主流派の亀裂は修復できず、結局、トランプを勝利させることになった。

 もっと大きく見れば、今回の件はホワイトハウス側からの仕掛けではないかとすら思えてくる。トランプ大統領側にも不利益が出てくるが、それ以上に民主党側にとっては痛手となる。「肉を切らせて骨を断つ」ということになる。ジョー・バイデンが身内に甘いという批判に晒されれば、支持率が下がる可能性もある。民主党支持者は大統領選挙に勝つよりも弾劾成立の方を望んでいるという世論調査の結果が出ているが、これは、現在の状況では民主党の候補者ではトランプ大統領を倒すことはできないと民主党支持者でさえも考えているということを示している。

 ウクライナ疑惑は民主党側にとって藪蛇ということになりそうだ。

(貼り付けはじめ)

弾劾は大統領選挙民主党予備選挙の状況を変化させる(Impeachment shakes up Democratic White House race

エイミー・パーンズ筆

2019年9月29日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/463447-impeachment-shakes-up-democratic-white-house-raceドナルド・トランプ大統領への弾劾調査は大統領選挙民主党予備選挙の状況を変化させている。

民主党系のコンサルタントと戦略家たちは、弾劾に関する調査がエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)をはじめ候補者たちを助けることになる。複数の候補者たちはウクライナ疑惑が出てからすぐに弾劾を求め、そうした人たちは世論調査の支持率を伸ばしている。 

弾劾手続きはジョー・バイデン前副大統領を勢いづかせる可能性が高い。バイデンはウクライナ疑惑の重要な登場人物となっている。ウクライナ疑惑から弾劾調査はスタートする。バイデンは、大統領選挙の本選挙においてトランプ候補が最も恐れる候補者は自分バイデンなので、トランプは自分をスキャンダルに巻き込んだのだと強調している。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は火曜日のアイオワ州での記者会見で「政治的に見て複雑な問題だ」と述べた。サンダースはバイデンとウォーレンと民主党指名を争っている。

弾劾は、大統領選挙民主党予備選挙に影響を与えることになった。選挙戦が報道の中心的テーマから突然外れてしまうことになった。

疑惑と弾劾をめぐるニュースが駆け巡る中で、候補者たちは選挙運動に注意を払ってもらおうとして記者会見を開こうとする。このような状況は支持率中位の候補者たちにとっては絶好の機会であり同時に困難な状況となる。

選挙戦に残るか撤退するかの瀬戸際にいる候補者たちにとっては、弾劾調査開始のニュースは自分たちにとって都合の悪いものとなり、人々の注意関心を惹くことはほぼ不可能な事態になってしまう可能性が高い。

「2020年大統領選挙の候補者たちにとっての政治的な大地震について話そう」と言った。

子のストラティジストは次のように語った。「今週、弾劾をめぐる激論がメディアの酸素をほとんど消費してしまい、民主党予備選挙の候補者の中で報道されたのはほんの2、3名だった。ウクライナ疑惑をめぐりバイデンについても賛否両論があった。それはウクライナ疑惑の中心に彼がいるからだ。だから彼についての報道があった。しかし、ウォーレン、バーニー・サンダース、カマラ・ハリスについてはほとんど報道がなかった。これが全てだ」。

民主党系ストラティジストのダグ・ソーネルは弾劾手続きは報道を独占してしまっており、「民主党予備選挙をしばらくの間停滞させることになる」と語った。

ソーネルは「これはバイデンと恐らくウォーレンにとって良いことだ」と述べた。この2人は各種世論調査で支持率トップ2を占めている。

バイデンは今年の春に選挙戦に出馬して以降、支持率トップをひた走ってきた。しかし、今月アイオワ州とニューハンプシャー州で実施された世論調査でウォーレンがバイデンを初めて抜き去った。

しかし、報道の内容は完全に変わった。

ソーネルは次のように語っている。「マサチューセッツ州選出の連邦上院議員ウォーレンは支持率を上げている。しかし、ウクライナ疑惑と弾劾調査の開始によってウォーレンに関する報道はなくなる。メディアの関心を集めることが重要だということを考えると、これでウォーレンの勢いは減退するのではないかという疑問が出てくる」。

他のストラティジストたちは、ウォーレンはこの局面を自分に有利に利用できる、それは民主党が過半数を占める連邦下院が動き出す数か月前からウォーレンは弾劾を強く主張していたことを有権者に思い出させることが出来るからだ、と述べている。

民主党系ストラティジストであるエディー・ヴェイルは次のように語っている。「ウォーレンは弾劾を進めることに貢献したことをアピールできる。しかし、当時のエルヴィスのように、ウォーレンは弾劾について人々の関心を喚起させ続ける必要がある。

バイデンに関しては、今回のウクライナ疑惑と弾劾はトランプ大統領と対決する機会となる。トランプ大統領との対決という構図はバイデン選対の幹部たちが最初から描いているシナリオだ。

ニューヨーク州民主党の幹事長を務めた経験を持つバジル・スミクルは次のように述べている。「今回の事態がどれほどバイデンにとって有利に働くかはバイデン次第だ。バイデンは選挙を始めた時からトランプ大統領と一対一の戦いをしたいと望んでいて、それが実現している」。

スミクルは続けて次のように述べている。「バイデンは、民主党の候補者たちとやり合う際にこの一対一で戦ってやるという強さを見せつける必要がある。そのために候補者たちから投げかけられる批判の矢をかわし、時には自分から積極的に批判の矢を飛ばすべきだ」。

バイデン支持の有権者の間では、トランプ大統領と共和党が、前回の選挙でヒラリー・クリントンのEメール問題でやったように、物語を自分たちに都合よく作り上げて、それがバイデンの痛手になるのではないか、という懸念もある。

トランプ陣営は金曜日、バイデンを攻撃する新しいテレビコマーシャルの放映を始めた。

バイデンの側近の一人は次のように述べている。「これは考え過ぎの心配ではない。トランプ政権が成立して以来、いやそれ以前の選挙運動の時から、共和党はこの種の歪曲や捏造をうまく使ってきた。そのために私たちは現在のような状況に陥っているのであり、私たちはこのような状況が2020年以降も繰り返されないにしなければならない」。

ヴェイルは、「バイデン選対はトランプ大統領に仕掛けて、バイデンに対する攻撃に対する反撃を行っている。選対は素晴らしい仕事をしている。バイデン自身がより熱心さを出してくると、選対にとっては追い風となるだろう」と述べている。

サンダースはここ最近トランプ大統領に対する攻撃的言辞のレヴェルを上げている。サンダースは民主党予備選挙の上位候補者たちの中で「もっとも厳しい立場」に立つことになる、それは、サンダース選対は支持率下落を止めようとし、早期に予備選挙が実施される各州での支持拡大に努めているが、マスコミは現在、サンダースの動きを報道する時間がない、とヴェイルは発言している。

そして、他の候補者たちも同様の困難を抱えているが、サンダースはより「強くなっている」とヴェイルは結論付けている。

スティーヴ・イスラエル元連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は以前民主党連邦議会選挙委員会委員長を務めていた。イスラエルは弾劾調査からどの候補者が利益を得るかを予測することは難しいと述べている。

イスラエルは次のように述べている。「正確なことを言うには時期が早過ぎる。はっきりと言えることは、弾劾調査によって民主党支持の有権者たちはトランプ大統領を倒せるという意欲を高めるということだ。各種世論調査が示しているところでは、民主党支持の有権者たちは、自分たちのイデオロギーを共有していなくても、大統領を倒せる候補者を現実的に好むことを示している」。

アイオワ州での党員集会(訳者註:予備選挙の一種)開催まで100日以上残っている現段階で、弾劾調査が始まることは、ハリスのような候補者たちにとってのチャンスにもなり得る。ハリスは民主党支持の有権者たちにアピールするために自分の強さと厳しさを示すことが出来る。

ソーネルは次のように述べている。「ハリスは弾劾について司法に携わっていた背景を前面に押し出すことが出来る。トランプが大統領でいる限り、2020年の大統領選挙でトランプを追及するには最高の候補者と言える」。

しかし、バイデンの側近の一人は、弾劾調査がこれから大統領選挙本選挙までの14カ月で何が起こるかを示す前兆になっていると述べた。この人物は、「何が起きてもおかしくない」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)
ketteibanzokkokunihonron001
決定版 属国 日本論

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

 古村治彦です。

  大統領選挙民主党予備選挙の候補者であるトゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は現在候補者の中で下位グループに入っている。9月に開催された3回目の討論会には参加条件をクリアできずに登壇できなかった。9月の討論会から参加条件が厳しくなったことはこのブログでも既に紹介した。9月の討論会の参加できたのは10名だった。この10名は5名ずつで上位・中位グループに分類できる。それ以外の9名(10名以上いたが複数選挙戦から撤退した)は下位グループということになる。
tulsigabbard110

 ギャバードは政治献金者数の条件はクリアしていたが、世論調査の支持率の数字の条件をクリアできなかった。民主党全国委員会が承認した世論調査で4回2%以上を記録することという条件(8月28日までにという期限付き)で、2回まではクリアしたが残り2回がクリアできなかった。

 民主党全国委員会のこの条件設定にギャバードは噛みついた。民主党全国委員会が承認していない世論調査で支持率2%を獲得しているものが複数あり、これを入れないのは不公平だと主張した。トゥルシー・ギャバードは2016年の米大統領選挙民主党予備選挙で、当時民主党全国委員会副委員長を務めていたが、ヒラリー派がヒラリーに有利になるように予備選挙を操作しようとしていることに抗議し、自分はバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、民主党)を応援するとして、記者会見を開いてさっさと辞任した気骨ある人物だ。彼女の発言はメディアにも取り上げられることが多く、民主党全国委員会にとっては、煙たい人物となる。

 10月15日開催の4回目の討論会参加に向けて、トゥルシー・ギャバードはアクセルを踏み込み、メディアやSNSで激しい発言を行って注目を集めた。先日のサウジアラビアの石油生産施設に対するドローン攻撃を受けて、ドナルド・トランプはイランを非難し、米軍の臨戦態勢を示唆する発言を行ったが、これを批判し、激しい言葉遣いで「米軍はあなたが自由に働かせることが出来る売春婦ではない」と述べた。 

 ギャバードはイラクへの2度の従軍経験があり、そこから、「アメリカは海外のもめ事や争いに介入すべきではない」という信念を得て、それを基にして介入主義的な外交政策を批判する立場を取り、支持や共感を得ている。トランプ大統領もアイソレーショニズムを主張して当選しているのだから、アメリカ国民の多くが介入主義には反対、懐疑的なのだ。

 4回目の討論会の参加条件クリアの期限は10月1日だが、その前にギャバードは民主党全国委員会が承認するニューハンプシャー州の世論調査で支持率2%を獲得し、参加条件をクリアし、10月15日の討論会に登壇できることになった。彼女が12人目の条件をクリアした候補者となった。これで15日の討論会も参加者を2つのグループに分けて2晩討論会が行われる可能性も出てきた。

 5回目の討論会の参加条件は既に発表されており、これまでよりもさらに厳しい条件となっている。上位5名は楽にクリアできるだろうが、中位5名の中からクリアが出来ない候補者が出てくる可能性もある。下位グループにとっては絶望的な条件で、撤退者が出てくる。4回目の討論会で人々に印象を残せば逆転ということもあるが、これまでの討論会でもそうだったが、司会者は有力候補により多くの時間を割いて話させようとする。

 このようにしてサヴァイヴァルレースとなって、生きるか死ぬかという過程での戦いが続いていく。

(貼り付けはじめ)

ギャバードは4回目の大統領選挙候補者討論会の参加条件をクリアした(Gabbard qualifies for fourth presidential debate

マックス・グリーンウッド筆

2019年9月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/462789-gabbard-qualifies-for-fourth-presidential-debate

トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は火曜日、ニューハンプシャー州での世論調査の結果で支持率2%を獲得し、10月の民主党予備選挙候補者討論会に登壇できることになった。彼女は12番目の登壇条件クリアとなった。

10月の討論会の参加条件は、13万人以上の政治献金者を集めること、そして民主党全国委員会が承認した世論調査で4回以上支持率2%以上を記録することだ。ギャバードは早々に政治献金者の条件はクリアしていたが、支持率に関する条件を満たすにはあと1つ足りなかった。

この状況が変化したのは火曜日だった。マンモス大学の発表した最新の世論調査でギャバードはニューハンプシャー州の民主党に登録している有権者と無党派の有権者の間で2%の支持を獲得した。ニューハンプシャー州は2019年2月11日に予備選挙が行われ、全国規模で重要な意味を持つ。

本誌はギャバードの報道担当に支持率に関する条件クリアについてコメントを求めたが回答はなかった。

ギャバードは10月開催の4回目の討論会への参加条件をクリアした12人目の候補者となった。討論会は10月15日にオハイオ州ウェスタ―ヴィルで開催される予定だ。参加条件の締め切り期限は10月1日だ。

他の候補者たちの中で、4回目の討論会参加条件クリアに最も近いのはベストセラー作家マリアンヌ・ウィリアムソンだ。彼女は13万人という政治献金者の数の条件は既にクリアしているが、2%の支持率を後3回記録しなければならない。

10月の討論会を1晩で行うか、6月と7月の1回目と2回目の討論会のように2晩に分けて行うか、はっきりしていない。

民主党全国委員会は10月1日の期限の後に決定を行うと発表している。

10月の討論会の後、それ以降の討論会参加条件はより厳しくなる。

民主党全国委員会は月曜日、11月の討論会の参加条件は、16万5000人以上の政治献金者と委員会が承認した全国規模の予備選挙で4回3%以上の支持率、もしくは早期に予備選挙が実施される各州での世論調査で2回5%以上の支持率を獲得すること、と発表した。

ここまで、少なくとも11名の候補者が上記の政治献金者に関する条件をクリアしている。しかし、予備選挙での支持率に関する条件はより厳しいものとなっている。現在のところ、支持率に関する条件をクリアしているのは5名の候補者に過ぎない。

=====

10月の討論会の参加条件をクリアするためにギャバードはメディアの注目を集めようとしている(Gabbard drives coverage in push to qualify for October debate

レベッカ・クレア筆

2019年9月17日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/461802-gabbard-drives-coverage-to-get-into-october-debate

 米大統領選挙民主党予備選挙候補者トゥルシー・ギャバード連邦上院議員(ハワイ州選出、民主党)はケーブルテレビの番組出演での発言とSNSでの辛らつな書き込みで勢いをつけ、多くの候補者がひしめき合っている予備選挙で存在感を出し、10月の討論会の壇上に立とうとしている。

ギャバード選対は10月の討論会参加条件クリアまであと1つ世論調査支持率2%を超えるだけになったと発表した。10月の討論会には11名が条件をクリアし参加できるようになっている。ジョー・バイデン前副大統領、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)といった人々が早く参加を決め、最近になって富豪のトム・ステイヤーが条件をクリアした。

ギャバードは先週開催された世論調査のステージに立つことはできなかった。

4期目の連邦下院議員で、ハワイ州軍の一員でイラクでの従軍経験のあるギャバードは今週メディアの注目を浴びた。トランプ大統領はサウジアラビアがイランに対して軍事行動を起こすかどうかを決める前に連絡が来ることを待っていると発言した。ギャバードはツイッター上でこの発言を批判し、アメリカ軍を「売春婦にする」ような行為だと述べた。

火曜日にギャバードはツイッター上でシェアしたヴィデオの中で「私の同僚である軍人たちと私、私たちはあなたの売春婦(prostitutes)ではないし、あなたはポン引き(pimp)ではない」と言い放った。

月曜日、ギャバードは別のツイートで、2016年の大統領選挙でトランプが使ったスローガンを使って、「私たちの国をサウジアラビアの尻軽女(bitch)のように行動させることは、“アメリカ・ファースト”とは言えない」と書いた。

これら2つのツイートは週末にサウジアラビアの石油生産施設に対するドローン攻撃が行われた後に投稿されたものだ。この攻撃についてトランプ政権はイランを非難している。

ギャバ―ドが投稿したヴィデオには火曜日の午後だけで2万8000の「ライク(like)」がついた。月曜日の投稿には5万8000以上の「ライク」がついた。

ギャバードはケーブルテレビやその他のメディアに登場した。「ヒルTV」とのインタヴューとの中で、彼女はトランプ大統領とサウジアラビアに対する攻撃を激化させた。

予備選挙の候補者たちは10月の討論会の参加条件締め切りが10月1日に迫っている。その中でギャバードはメディアでの出現を増やしている。10月の討論会は10月15日にCNNと『ニューヨーク・タイムズ』紙が主催する。もし更に候補者が参加条件をクリアするようならば、討論会が2晩になる可能性がある。

ギャバードは既に条件の1つはクリアしている。彼女は13万人以上の政治献金者を集めている。

ギャバード選対は、3回の支持率2%以上を記録しているが、2つ目の条件をクリアするにはあと1回にまで迫っていると発表した。しかしながら、民主党全国委員会がどの世論調査が条件を満たしているかどうかの最終決定を行う。

民主党系ストラティジストであるブラッド・バノンは、ギャバードはメディアなどで印象を残そうとしているのは、来月の討論会のステージに座席を確保するためだと述べている。

バノンは「ギャバードはメディアに出て強い印象を残しており、これは成果を上げる可能性が高い」と述べた。

バノンは民主党予備選挙の状況は流動的であり、世論調査で支持率2%を獲得するのは、主に知名度による、と語っている。

バノンは「世論調査の数字を見れば、民主党予備選挙に参加予定の有権者たちはトゥルシー・ギャバードの人となりを知らないということが分かる。トゥルシーをテレビやSNSで見る機会が4回、いや3回あればそれで十分なのだが」と語っている。

討論会参加のために努力している他の候補者たちと同様、ギャバードもまたインターネット上での広告に資金を投入している。

フェイスブックの広告記録によると、これまでの7日間で、ギャバードはフェイスブックでの政治広告に2万5845ドルを支出した。この金額は他の候補者たちに比べれば少ないが、ギャバードが2018年5月以降にフェイスブックスの広告に支出した総額の20%を占めている。

ギャバードの広告のほとんどは彼女の軍務歴に言及している。少なくとも1つは911テロ攻撃後にイラクで軍務に就いたことを中心にしている。

彼女の軍歴は他の候補者たちから彼女を際立たせるものだ、とバノンは述べている。

バノンは「私の考えではギャバードは世論調査で支持率2%を獲得すると思う。彼女はそれに向けて努力している」と述べた。

バノンは続けて「討論会参加に向けて彼女はギリギリのところを進んでいる。もし討論会に参加できなければ、彼女は選挙運動を続けられないだろう」とも語った。

ギャバード選対の報道担当は本誌からのコメント要請に応じなかった。

9月の討論会に参加できなかったことでギャバードは民主党全国委員会の条件設定を批判した。その後、10月の討論会に参加できるようにするために努力を続けた。

先月に行われた保守系のフォックスニュースのキャスターであるタッカー・カールソンとのインタヴューの中で、ギャバードは民主党全国委員会について非公平なプロセスを採用していると非難した。彼女は民主党全国委員会が承認していない複数の世論調査で支持率2%以上を記録していると訴えた。

民主党全国委員会は参加条件について擁護している。

先週、ギャバードは、『ワシントン・ポスト』紙とABCの共同世論調査の最新結果で、支持率2%を記録したので、10月の討論会の参加条件である支持率2%を4回記録するに関し、3つ目の支持率2%となったと発表した。

民主党全国委員会の報道担当はワシントン・ポスト紙とABCの共同世論調査が参加条件を満たすための対象となっているのかという問い合わせに対応できなかった。民主党全国委員会は「ファイヴサーティーエイト」の取材に対して、民主党全国委員会は別の複数の世論調査を注視しており、今回の世論調査は対象外になるだろうと答えた。 

討論会に参加できるかどうかはギャバードの選挙運動にとって重大な要素だ。モンタナ州知事スティーヴ・ブロック、マイケル・ベネット連邦上院議員(コロラド州選出、民主党)、ニューヨーク市長ビル・デブラシオは10月の討論会参加の可能性はかなり低くなっている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

ketteibanzokkokunihonron001
決定版 属国 日本論
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

 古村治彦です。

 今回はウクライナ疑惑について、より短い記事をご紹介する。前回は長い記事を何本もご紹介したので読みにくいものとなってしまった。

  今回アメリカで大きな議論となっているウクライナ疑惑について、簡単に言うと、「今年の7月25日にトランプ大統領がウクライナ大統領に電話をして、自分の大統領選挙での再選にとって強敵となるジョー・バイデンと息子についての振りとなる情報を見つけるために捜査をして欲しいと述べた。そして、捜査をさせるための圧力として、アメリカがウクライナに与える国家安全保障援助を停止してみせた。これには大統領周辺の人物も絡んでおり、個人弁護士のルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長もウクライナに働きかけを行った。7月25日の通話記録は国家機密など含まれていなかったが、外に漏れることがないように、より厳しい管理をするようにホワイトハウス高官たちが働きかけた」というものだ。簡単に書いてもこのように長くなってしまう。

  ジョー・バイデンは副大統領としてウクライナに関わり、バイデンの次男ハンター・バイデンはウクライナの天然ガス会社ブリズマの取締役となった(2014―2018年)。これら「バイデン家」とウクライナとのかかわりの中で、ジョー・バイデンの選挙戦にとってマイナスの情報がないかをトランプ大統領がウクライナ政府に探させようとした、ということになる。これが事実ならば権力濫用であり、内政干渉であり、極めて重大な問題だ。

 内部告発者からの告発の書簡の公開をトランプ政権が拒否したことで、連邦下院民主党は弾劾に向けた調査を正式に開始すると発表した。その後、告発書と通話記録の要約が公開された。既に書いたように、弾劾が成立する可能性は今のところ低い。それでも民主党としては今回の話が筋の良いものであると考えているようだ。また、大統領選挙民主党予備選挙でトップを走っているバイデンを狙ったものということで、受けて立つということにもなったのだろう。

  トランプ大統領陣営がバイデンを大統領選挙で脅威に感じているということはあるだろうが、スキャンダル探しを外国政府に圧力をかけてまでやらせようとするだろうかということは前回も書いたが今でも疑問に思っている。

 バイデンの名前が出たことはバイデンにとっては痛手となる。日本のことわざで言えば「火のない所に煙は立たぬ」なのか「痛くもない腹を探られる」ということなのかは分からない。しかし、バイデンを支持しない人々(共和党支持者と民主党支持者で他の候補者を支持している人たち)には何かしらのイメージを与えることになる。

 バイデンのマイナスは民主党の他の候補者、特に三強を形成しているエリザベス・ウォーレンとバーニー・サンダースにとってはプラスとなる。トランプ大統領にとって誰が与(くみ)しやすしとなるかと言えば、ウォーレンかサンダースとなる。全く根拠のない想像での話でしかないが、トランプ自身がこのスキャンダルを仕掛けたのではないかとさえ思えてしまう。

 そして、私は、バイデン家とウクライナの関係の具体的内容について関心を持っている。このことについては近いうちに調べたことをご紹介できればと思う。

(貼り付けはじめ)

バイデンの2020年大統領選挙に対する家族の問題(Biden's 2020 family problem

マイク・アレン、マーガレット・タレヴ、アレクセイ・マクカマンドアップ筆

2019年9月27日

『アクシオス』誌

https://www.axios.com/joe-biden-family-hunter-ukraine-donald-trump-2020-93dec9f4-cd1b-4235-b538-7d902a81ba89.html

ジョー・バイデンの出馬を押しとどめていたのはジョー・バイデンの家族だった。現在、バイデンの家族がバイデンの足を引っ張る可能性が出ている。

何が問題か:エリザベス・ウォーレンが各種世論調査の支持率で追いつている中で、ジョー・バイデン前副大統領は家族に関する疑惑と論争について答えている。

父ジョー・バイデンが副大統領を務めていた時期、次男ハンター・バイデンはウクライナのガス会社の有給の取締役を務めた(現在は退任)。

民主党最高幹部たちはウクライナをめぐるスキャンダルがバイデンにとっての大きな妨げになることを懸念している。なぜならばバイデンが人々の間で不人気な問題とプロセスに関係することになり、ハンター・バイデンに関する質問も避けることはできないからだ。

事実確認記事や「確かな話」を掲載する記事が出ても、巻き添えで負ってしまう損害(collateral damage)を避けることはできないだろう。

今回大統領選挙には関係していないある民主党系ストラティジストは、ハンター・バイデンをめぐる問題は、ウクライナでの彼のビジネス活動に限定されているだけではなく、彼の全ての個人的、ビジネス上の問題に及んでいる、としている。

ハンター・バイデンに関しては全て7月に発行された『ニューヨーカー』誌に掲載されたアダム・エントスの記事で詳述されている。エントスはハンター・バイデンとバイデン選対から多大な協力を得ていた。エントスは記事の中で次のように書いている。「ハンター・バイデンは父の選挙運動を危機に晒すことになるのか?ジョー・バイデンの息子ハンターのビジネス上の取引と騒がしい個人生活について様々な調査がなされている」。

民主党系のストラティジストたちは口を揃えて、「トランプは冷酷に、ハンターに関するスキャンダルを歪めながら利用するだろう」と指摘している。

トランプの計算は心理学上の効果を狙ってのものだ。トランプ大統領はバイデンが彼の息子に関して懸念していることを分かっている。

バイデンにとってプラス面となるのは、トランプ大統領がこのように挑発的な言動をしているのは、トランプ大統領にとってバイデンが最も強大な脅威となっていることを裏付けているというものだ。

ヒラリー側からの視点:ヒラリー・クリントンの長年の側近フィリップ・レインズは本誌に対して、この光景は以前にも見たことがあると述べた。

レインズは次のように述べた。「これは経験、人生、過去の現実とは何も関係していない。人々は自分たちが望む形でイメージを作るものだ。これは誇張などを超えたものだ」。

バイデン選対の思惑:バイデンは何も悪いことをしていない。

バイデンの顧問の一人は私に対して、ウクライナスキャンダルからの巻き添えによる損害は小さいものとなるだろうと述べた。この人物はその理由として、バイデンは副大統領だったので、何も悪いことをしていなくてもこのようなスキャンダルに巻き込まれやすいものだ、と人々は考えるからだとしている。

バイデン選対は資金集めに関して、選挙運動開始2週間目以来最高の資金を今週集めたと発表した。

バイデンはこれからも医療制度、気候変動、銃規制について主張し続ける予定だが、トランプ大統領について無視することはない。

結論:弾劾に関する調査から最大の政治的利益を得るのはエリザベス・ウォーレンということになる。

=====

内部告発者は、トランプ大統領が権力を濫用して、外国への介入を強要したと告発した(Whistleblower alleges Trump abused power to solicit foreign interference

ザカリー・バス筆

2019年9月26日

『アクシオス』誌

https://www.axios.com/trump-ukraine-whistleblower-complaint-released-e2524316-fb2f-

418e-ae57-51892e709a4c.html

トランプ大統領とウクライナに関する論争の中心には内部告発者からの告発がある。内部告発者はトランプ大統領が「2020年の大統領選挙について外国からの介入を誘うために大統領としての権力を利用」したとし、ルディ・ジュリアーニとビル・バー司法長官もこの行為に関与しているようだと指摘している。

何故問題なのか:トランプ政権は最初告発書を後悔することを拒否した。その結果、ナンシー・ペロシ連邦下院議長は火曜日に正式に弾劾に向けての調査を開始するという決定を行うことになった。ペロシ議長の決定の発表からの圧力を受けて、トランプ政権は告発書とその前にトランプ大統領とウクライナ大統領のウォロディミル・ゼレンスキーとの間の7月の通話記録の要約を公開した。

要点:内部告発者は告発した行動を分類している。この行動について、政府高官たちは、「アメリカの国家安全保障に関しリスクを高め、アメリカの国政選挙に対する外国からの介入を防ぐためのアメリカ政府の努力を台無しにする」ものだと考えていると内部告発者に述べた。内部告発者は行動を4つに分類している。

1. 7月25日の大統領による電話:複数のホワイトハウス高官が内部告発者に語ったところによると、彼らはウクライナ大統領ウォロディミル・ゼレンスキーとトランプ大統領との間の電話の内容を知り、「大いにショックを受けた」ということだ。通話の中で、トランプは「ウクライナ大統領が2020年の大統領選挙で再選を助けるような行動をとるように圧力をかけようと」した。

2.この通話の記録へのアクセスを制限する行動:内部告発者は次のように述べている。7月25日の電話の後、ホワイトハウス高官たちは「この通話に関する全記録、特に逐語的に文字起こしされたデータを“厳重に保管”するように介入した」。ホワイトハウスの弁護士たちは、ホワイトハウスのスタッフに対して電子データにした通話記録を、機密情報を含むデータを保管するために使われる別のシステムに移すように指示した。通話記録には国家安全保障に関連する内容は含まれていなかった。

告発書の脚注で言及されているところでは、「トランプ政権が“国家安全保障上微妙な情報を守るからではなく、政治的に微妙な情報を守ることを目的として”、別のシステムを利用しており、今回が初めてのことではない」ということであった。

3.継続される懸念:この通話がなされた後、駐ウクライナ米公使カート・ヴォルカーとEU駐在米大使ゴードン・ソンドランドはウクライナ政府高官たちと会談し、彼らに対してトランプ大統領からの要求にいかにして「対処」すべきかに関し助言を与えた。トランプ大統領の個人弁護士ルディ・ジュリアーニはマドリッドに飛びゼレンスキー大統領の補佐官と面会し、その他のウクライナ政府高官たちと接触し、7月25日の通話に関する「直接的な補足」を行った。

4.7月25日の大統領の通話に至るまでの状況:内部告発所の中で内部告発者が最も多く言及しているのは、ウクライナの検事総長ユーリー・ルツェンコ(2019年8月29日に退任)が2019年3月にジョー・バイデンを含むアメリカ政府高官たちに対する汚職事件の捜査をどのように遂行していたかの詳細だった。この告発が出た後に、ジュリアーニがルツェンコに2度面談し、2020年の大統領選挙でのトランプの再選に関連して捜査を求めるために5月にはウクライナを訪問する計画を立てていた、というニュースが出た。

複数のアメリカ政府高官たちは内部告発者に対して、ジュリアーニの国家安全保障政策決定プロセスを迂回していることに対して「深く憂慮」していると語ったと述べている。

複数のアメリカ政府高官たちはまた内部告発者に対して次のように語ったと述べている。「ウクライナ政府の高官たちは、トランプ大統領とゼレンスキー大統領との間で電話か会談が行われるかどうかは、ルツェンコとジュリアーニによって話し合われた諸問題について“協力”姿勢を見せるかどうかにかかっているということを信じるようになっていった」。

7月中旬、内部告発者はトランプ大統領が行政管理予算局に対してウクライナ向けの国家安全保障援助を全て一時停止するように命令した。行政管理予算局の高官たちはその命令の根拠については分かっていなかった。

明記すべきこと:内部告発者は今回の告発内容について自分で直接目撃していない。しかし、内部告発者に語った政府高官たちの言葉は正確だ、「それは、ほぼ全てのケースで、複数の高官たちが個別で話す内容はそれぞれ一貫していた」からだとも述べている。

情報機関の監察官マイケル・アトキンソンもまた内部告発の内容は信頼性があると述べている。

内部告発から新しい詳細が出ることでこの話は更新されている。

(貼り付け終わり)

(終わり)
ketteibanzokkokunihonron001
決定版 属国 日本論

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ大統領にウクライナ疑惑が持ち上がった。アメリカ政府のある情報機関の内部告発者(whistle blower)が国家情報長官代行や連邦上下両院の情報・諜報委員会委員長に宛てた書簡の中で、トランプ大統領のウクライナ疑惑を告発した。この書簡の内容が機密指定解除され、公表された。その内容に批判が集まり、大統領擁護の主張もあり、議論が白熱している。民主党側はロシア疑惑では弾劾に対して腰が重かったが、今回、弾劾に向けて調査を始めるということになった。
donaldtrumpukranianscandal001
毎日新聞の記事から

 内部告発者の告発内容をまとめると、2019年7月25日にドナルド・トランプ大統領はウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と電話会談を行った。その中で、トランプ大統領は、ウクライナの石油関連企業の役員だった、ジョー・バイデン前副大統領の次男ハンター、更にはバイデン自身のウクライナとのかかわりを捜査してもらいたい、と発言したということだ。
 ゼレンスキー大統領が「協力する(play ball)」するかどうかでアメリカからの国家安全保障に対する援助4億ドルを停止するかどうか決めるという交換条件を持ちしたとも告発されている。これは不当な圧力をかけたということになる。内政干渉(intervention)ということにもなる。実際に議会で承認されたウクライナ向け援助の実行がトランプ政権によって遅延させられたことは事実で、トランプ大統領はこのことについて、他のウクライナの同盟諸国に援助を真剣に考慮、実行させようと望んでのことだったと釈明している。

  バイデンは現在、大統領選挙民主党予備選挙でトップを走っており、2020年大統領選挙本選挙でのトランプ大統領にとっての強力な競争相手となる可能性が高い。そのために、「大統領が大統領執務室で公務を行う中で、自分の私利私欲のために立場を利用した」という批判が出ている。

 アメリカ大統領が大統領執務室(オーヴァルオフィス)で使った電話の通話記録はその内容が一言一句記録される。それは文字情報となるが、現在はデータ化され、コンピューターシステムに保管される。国家機密が含まれる場合にはより安全度が高い別のシステムに保管される。7月25日のゼレンスキー大統領との会話には国家機密は含まれていなかったが、機密が含まれる通話記録と同じ扱いとなった。この通常とは異なる取り扱いを行ったのはトランプ大統領の周辺のホワイトハウス高官たちで、その理由として、「国家安全保障上の懸念ではなく、この通話記録が漏れると政治的に大きな打撃となるから」というものであった。また、その他の通話記録も同様の取り扱いをしているとも言われている。

 大統領の個人的な弁護士をしているルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長が国務省抜きでウクライナとのやり取りを行っていたことも告発された。国務省を迂回して、ウクライナ政府高官とやり取りをし、大統領のメッセージを届けたという疑惑だ。ジュリアーニは圧力があったことを認めている。

 ロシア疑惑と同様、今回の疑惑も大きな柱は「アメリカ大統領選挙と外国のかかわり」ということになる。ロシア疑惑の際には、トランプ候補(当時)の陣営がロシア政府に対して、ヒラリー・クリントンにとって不利な情報の提供を求めたという疑惑であったが、これは嫌疑不十分となっている。今回の場合はウクライナ政府にバイデン家の情報の提供を求めたという形になっている。 

 私が疑問なのは、トランプ側がバイデンにとっての不利な情報が欲しいというのは理解できるが、トランプ大統領自らが記録に残る大統領執務室からの電話を使ってこのようなことを頼むだろうかということだ。こういう汚れ仕事は側近のうちのそれにふさわしい人物にやらせるはずだ。ばれてしまっては意味がない訳で、今回ばれてしまったのでは失敗ということになる。 

 大統領が大統領選挙について側近たちと話をして、バイデンが脅威だと感じたら、それ相応の対策をするようにと言えば、それで事足りるはずだ。トランプ大統領は何でも自分でやらねば気が済まないからだ、軽率な人物だからだという評価もある。しかし、そもそも今回の疑惑は、匿名の内部告発者による情報提供から端を発している。その信頼性について100%と言うことはできない。「トランプ大統領ならやりそうなことだ」ということだけでは弾劾(辞めさせること)まではいかない。

 大統領弾劾の手続きは連邦下院で審理して弾劾相当ということになれば過半数の賛成で訴追することになる。訴追先は連邦上院だ。連邦上院が弾劾裁判所となって審理される。ここで3分の2以上の賛成があれば弾劾が成立する。現状では民主党が連邦下院の過半数を握っており、訴追は可能だ。連邦上院は共和党が過半数を握っている。また、3分の2の賛成という条件も高いハードルになっている。音声録音が出るとか内部告発者が名乗り出て宣誓証言をする(証言だけでは難しいが)などのことがあれば弾劾まで進む可能性はあるが、今のところは厳しい。

 連邦議会民主党執行部としてはロシア疑惑よりは筋が良い話ということで弾劾に乗ったのかもしれないが、先行きは楽観視できない。 

(貼り付けはじめ)

 

●「米民主、もろ刃の弾劾攻勢 ウクライナ疑惑で」

トランプ政権 北米

2019/9/25 18:29

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50186700V20C19A9EA2000/

【ニューヨーク=永沢毅】トランプ米大統領がウクライナに野党・民主党のバイデン前副大統領に関する調査を要求したとされる疑惑は、トランプ氏と民主の全面対決に発展した。民主執行部はこれまでの慎重姿勢を転換し、トランプ氏の弾劾に向けてカジを切った。対立の先鋭化は、2020年大統領選で最有力候補の一人であるバイデン氏に跳ね返るリスクもはらむ。

「大統領職の宣誓や国家安全保障、選挙の清廉さへの裏切りだ」。民主のペロシ下院議長は24日の声明でトランプ氏の行動をこう断じた。

16年の大統領選でトランプ氏がロシアと共謀した疑惑では、民主は弾劾を見送った。国家の分断を懸念して慎重な姿勢を維持してきた民主だが、今回大きく転換した。「現職の大統領」の不正疑惑を追及しなければ、国民の不信の目が自らに向かうとの判断があったからとみられる。

民主が問題視しているのは主に2点ある。1点目はトランプ氏が725日のゼレンスキー・ウクライナ大統領との電話協議で、同国への軍事支援を実施する条件として、バイデン氏の息子が役員をしていたウクライナのガス企業に関する調査をするよう繰り返し圧力をかけた疑惑だ。

米憲法は大統領が「反逆罪、収賄罪またはその他の重犯罪や軽罪」を犯せば弾劾訴追されると定める。トランプ氏が再選をめざす20年大統領選でバイデン氏は最も警戒する相手だ。同氏を追い落とすため外交を政治利用したと議会が認定すれば、弾劾の要件にあてはまる可能性がある。米連邦法は選挙活動に「価値あるもの」を外国人に求めることを禁じており、民主はこうした法令に違反する疑いがあるとみる。

もう1つは、問題の表面化につながった内部告発の中身を政権側が議会に報告するのを阻んだ点だ。電話協議の内容を問題視した米情報当局者は、8月中旬に監察官に内部告発したとされる。

 米連邦法では監察官が告発を「緊急の懸念」などと判断した場合、7日以内に議会に報告する義務があるとされる。しかし、国家情報長官代行は内部告発の報告を拒否し、ペロシ氏は「報告阻止は法令違反だ」と非難した。

強硬策を繰り出した民主に対し、トランプ氏は徹底抗戦の構えをみせる。「大統領への嫌がらせだ!」。24日にはツイッターでこう訴えた。

25日にはゼレンスキー氏との電話協議の内容を公表する方針だ。複数の米メディアによると、ホワイトハウスは内部告発の議会報告も認める方向で調整しているという。いずれも潔白を証明する狙いがあるとみられる。

民主にとって悩ましいのは、今回の疑惑にバイデン氏が関わっている点だ。バイデン氏はオバマ前政権の副大統領だった2016年にウクライナの検事総長の解任を要求したことがある。バイデン氏は解任に応じなければウクライナへの10億ドルの債務保証を保留すると圧力をかけたとされる。

検事総長はバイデン氏の息子ハンター氏が役員を務めていたガス企業の捜査を統括する立場にあった。ハンター氏はこの企業から月5万ドル(約550万円)の報酬を受け取っていたという。民主がウクライナ疑惑への追及を強めれば、バイデン氏にも矛先が向かうのは避けられない。

「問題があるのはバイデンとその息子だ」。トランプ氏はかねてウクライナ問題の調査を訴えていた。20年大統領選の民主候補の指名争いで首位のバイデン氏が失速すれば、2位のウォーレン、3位のサンダース両上院議員には追い風になる。

弾劾には世論の支持や共和の協力が欠かせない。だが共和はトランプ氏擁護の意見が多く、現時点で世論の支持も見通せない。疑惑捜査の進展しだいでは政局優先との批判を浴びる恐れもある。

 ======

 

●「ホワイトハウスはトランプ氏の通話内容を隠そうとした=内部告発者」
BBC

2019年9月27日

https://www.bbc.com/japanese/49848138

ドナルド・トランプ大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の電話会談について、ホワイトハウスの法務顧問たちは、内容に国家機密を含まないにもかかわらず、国家機密専用のデータベースに保存するという異例の対応をとっていた――。大統領の通話内容について情報当局者が書いた書簡には、こうした内容が含まれていたことが明らかになった。米連邦議会が26日、情報当局者が国家情報長官代行や上下両院の情報委員長に送った手紙を公表した。

トランプ氏が今年7月の電話会談でウクライナの大統領に話した内容について、情報機関の内部告発者が監察総監や国家情報長官代行などにあてた手紙には、トランプ氏が「大統領権限を利用し、2020年米大統領選で外国の介入を得ようとしている」ことを、複数の政府担当者が懸念していると書かれている。その上でこの内部告発者は、大統領の行動が「深刻もしくは甚だしい問題」で、「法律に抵触もしくは違反した」と指摘している。

機密扱いを解除して議会が公表したこの書簡によると、ホワイトハウスの法務顧問たちは、通話内容に国家機密が含まれていなかったにもかかわらず、特にデリケートな国家機密を保管するためにある通常とは異なる電子データベースに、この電話の通話記録を保存するよう、ホワイトハウス職員に指示した。また、こういう対応は過去にも何度か行われていたという。

さらに手紙を書いた情報当局者によると、トランプ氏がウクライナのゼレンスキー大統領と直接あるいは電話で会談するかどうかは、ウクライナ側に自分たちの要求に「協力するつもりがある」か、ウクライナ大統領が「どう行動するか」次第だと、複数の米政府関係者が認識していた。また、725日にウクライナの大統領と電話会談する以前に、ウクライナへの軍事援助を停止するよう、大統領が自ら行政管理予算局に指示したという。

26日には民主党が多数を占める下院の情報委員会で公聴会が開かれ、ジョーセフ・マグワイヤ国家情報長官代行が宣誓証言。その中で長官代行は、内部告発者は「誠実に行動」し、「正しいことをした」と述べた。今回のウクライナ疑惑が浮上して以来、トランプ氏をはじめホワイトハウスは、内部告発者は党利党略のために動く民主党支持者だと反論していた。

この電話会談を理由に、トランプ氏に対する正式な弾劾調査の開始を発表した民主党幹部のナンシー・ペロシ議長は、トランプ氏が2020年大統領選で戦うことになる可能性のある民主党のジョー・バイデン前副大統領の評判を汚そうとして外国の手助けを求め、その交渉材料として軍事援助を利用したと非難している。

トランプ氏は、確かにゼレンスキー大統領と電話で話す数日前に、4億ドル分の軍事援助を自ら停止したと認めたものの、バイデン親子への捜査をウクライナに働きかけるための圧力ではなかったと説明している。

内部告発者の手紙公表と下院情報委公聴会の後、ホワイトハウスで記者団を前にしたトランプ氏は、弾劾手続きは「またしてもでたらめな魔女狩り」で、「許されてはならない」と反発した。

「民主党がこの国にしていることはみっともない話で、許されてはならない(中略)裁判所で法的手段を使うなどして、阻止する方法があるべきだ」とトランプ氏は述べた。

トランプ氏が国連総会のため訪れているニューヨークのアメリカ代表部で25日に、内部告発者に情報提供した者は「ほとんどスパイに等しい」と職員に話す録音音声が、浮上している。

トランプ氏は「この国では以前は、みんな頭がよかったころには、どうしたか知ってるだろう? そうだろう? スパイとか国家反逆罪とか、昔は今とは違う対応をしたものだ」と述べている。この発言は、米政府が過去にスパイに対して死刑を適用したことへの言及とみられている。

内部告発者は手紙で何と

情報当局者は725日の電話会談について、複数の政府関係者から聞いた話として、逐語の通話記録をはじめとする内容の記録を一切外部に漏らさないよう、ホワイトハウス幹部が対応したと書いている。

「このことから、ホワイトハウス関係者は電話の内容がいかに深刻なものか理解していたと、私は強く感じた」と、告発した情報当局者は書いた。

ホワイトハウスの法律顧問たちは通話の記録を、「秘密作戦など暗号で保護されるレベルの重要機密を保管するためにある、他のネットワークにつながっていないコンピューター」に保存するという異例の措置を、職員に指示したという。

告発者によると、トランプ政権では国家安全保障に関わる機密ではない内容でも、政治的にデリケートな内容の記録を、こうして機密用のデータベースに保存することが、以前から行われていたという。

告発者は手紙の冒頭で、自分は一連の出来事を「直接目撃したわけではない」と明記しつつ、複数の政府職員が話す内容は「ほとんど常に一致していた」ため、自分が聞いた話は信頼できると判断したと書いている。

議会公聴会では何が

下院情報委員会のアダム・シフ委員長(民主党)は、この日の公聴会冒頭で、トランプ大統領がウクライナの大統領相手に「まさに組織犯罪に典型的な、ゆすりをかけた」と非難した。

これに対してトランプ氏を支持する共和党のデヴィン・ヌネス筆頭委員はこれに反発し、「大統領に対してまたしも情報戦争を仕掛けけて、またしても主要メディアの協力を獲得するに至った見事な才能について、民主党におめでとうと言いたい」と皮肉った。

公聴会に出席したマグワイヤ国家情報長官代行に対してシフ委員長は、内部告発者の手紙を公表する前になぜホワイトハウスの助言を求めたのか問いただした。

これに対してマグワイヤ氏は、告発内容に大統領特権で保護されるべき内容はあるか確認したかったのだと説明。さらに、「本件に関する何もかも、まったく前例がないことだと思う」と述べた。

バイデン氏については

告発者の手紙によると、就任間もないゼレンスキー大統領との電話でトランプ氏は、2016年にウクライナのヴィクトル・ショーキン検事総長が解任された件について話し合った。

トランプ氏は、バイデン前副大統領の息子でウクライナのガス会社ブリスマの取締役だった息子のハンター・バイデン氏について触れ、副大統領だったバイデン氏がショーキン氏の解任をウクライナに働きかけることで、ハンター氏の訴追を回避したのではないかと述べた。

トランプ氏はさらにゼレンスキー大統領に、ウィリアム・バー米司法長官や自分個人の顧問弁護士、ルディ・ジュリアーニ氏と連携しながら、この件を調べるよう働きかけた。

ウクライナのショーキン前検事総長は、ブリスマの所有者ミコラ・ズロチェフスキー氏による不正取引や資金洗浄の疑いを捜査していた。

バイデン氏は副大統領として、複数の欧州首脳と共に、ショーキン検事総長は汚職摘発に及び腰だと批判し、解任を求めていた。ショーキン氏の後任はその後、10カ月にわたりブリスマ社を調べたが、捜査はそこで終わった。

ハンター・バイデン氏のブリスマ役員としての任期は、今年4月に満了している。

バイデン氏側に不正行為があったという証拠は明らかになっていない。

米司法省は25日、トランプ氏はバー司法長官に対して、ウクライナ政府にバイデン親子を捜査させるという内容を話していないし、バー長官はウクライナ政府と接触していないとコメントした。

=====

内部告発者の告発における5つの重大な嫌疑(The five most serious charges in the whistleblower's complaint

ナイオール・ストレンジ筆

2019年9月26日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/463236-the-five-most-serious-charges-in-the-whistleblowers-complaint

トランプ大統領のトラブルは木曜日朝により深刻なそしてより暗いものとなった。それは内部告発者の告発が明らかになったからだ。

トランプ大統領はウクライナとウクライナ大統領ウォロディミル・ゼレンスキーとの間のやり取りについて弾劾を受ける脅威に直面している。連邦下院議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)はこれまで弾劾に消極的だったが姿勢を変えて、弾劾の先頭に立った。

トランプ大統領と彼の味方たちはこの嫌疑に対して反論をしている。トランプ大統領はこの問題全部が「でっち上げ(hoax)」であり、私は誤った行為を全くしていないと主張している。
ホワイトハウスのステファニー・グリシャム報道官は木曜日朝に発表した声明の中で、「出来事に関して間接的に又聞きの説明を集めたもので、報道の断片を切り貼りしたものに過ぎず、何も不適切なものを提示しているものではない」と述べた。

しかし、こうした声明が次々に出されても、現在までのところ、嵐は収まっていない。

これから重大な嫌疑についてまとめる。

●ホワイトハウスはトランプ大統領の電話の詳細を隠そうとした(The White House sought to hide details of Trump’s phone call

今回の論争の中心的なエピソードはトランプ大統領の7月25日のゼレンスキーとの電話で、その中で、トランプ大統領はゼレンスキー大統領に対して、実証されていない嫌疑でジョー・バイデン前副大統領とバイデンの次男ハンターについて捜査するように圧力をかけたということだ。

内部告発者の告発の中で暴露された重大な内容は、ホワイトハウスがこの電話の逐語記録を隠そうとしたというものだ。

ホワイトハウスの高官たちによって隠蔽がなされたのは、この電話の内容を知っている人々は「トランプ大統領が個人の利益のために自身の大統領執務室を濫用したことを目撃してしまった」という思いからだと内部告発者は述べている。

内部告発者は続けて「ホワイトハウスの高官たちは「ウクライナ大統領との電話記録の全ての記録を封鎖する」ために介入してきたと述べた。

この介入は コンピューターシステムから「電子データになっている逐語の通話記録」を削除するという形を取ったと内部告発者は述べている。電子データになった通話記録は通常はコンピューターシステムに保管される。しかし、ゼレンスキー大統領との通話記録は機密の内容は入っていないのに通常のシステムとは切り離された、より安全性が確保された、そしてアクセスが制限された別のシステムに移動された。

嫌疑の中心が何かは明らかだ。それは「ホワイトハウスが隠蔽に関与した」ということだ。

ニクソン元大統領が体験したように、このような告発は他の重大な攻撃と同じく政治的に危険をはらむものとなる。

●トランプの協力者たちはウクライナに「協力させる」ために影響力を行使した(Trump allies used leverage to get Ukraine to ‘play ball’

トランプの擁護者たちは、ゼレンスキー大統領に対して交換条件は提示されていないと主張している。

内部告発者はそれとは逆のことを述べている。もっとも、協力させるための交換条件を提案したのはトランプ大統領自身ではなく、大統領の周辺人物たちだとも示唆している。

内部告発者は、「複数のアメリカ政府高官たち」は内部告発者に対して、トランプ大統領とゼレンスキー大統領との電話や会談が行われるのは、「ゼレンスキー大統領が進んで“協力(play ball)”する姿勢を見せるかどうか」にかかっていると発言した、と述べている。

内部告発者は「協力する(play ball)」という言葉を2度使っている。2度目の「協力する」のところでは、次のようなことが述べられている。今年5月のゼレンスキー大統領の就任式にペンス副大統領が出席予定でウクライナを訪問することになっていたが、トランプ大統領がペンスに行かないように「指示」した後にキャンセルとなった。名代としてリック・ペリーエネルギー省長官が出席した。

内部告発者は、名前を明らかにしていないが複数のアメリカ政府高官たちが、ウクライナ政府高官たちに対して、トランプ大統領はゼレンスキー大統領が「大統領の権限を使ってどのような行動を取るかを選択する」ことを見せるまで、ゼレンスキー大統領に会いたいとは望まないということを「明確に」示した、と述べている。

内部告発者は、自分が「協力する」ということについてのより広範な疑問とこの行動が関連しているかは分からないとしている。しかし、「協力」と「交換条件」に付いての疑問は、トランプ大統領、そしてペンス副大統領にとって取り扱いにくい疑問である。

●ホワイトハウスはそれ以外の複数の電話の詳細を隠していた(The White House has hidden the details of other phone calls

内部告発者はトランプ大統領の他の通話記録は安全なシステムに入れられていると述べている。これは正当な国家安全保障の懸念からではなく、政治的な理由からである。

内部告発者は、ホワイトハウスの高官たちはトランプ大統領の通話記録がこの「符号レヴェル」システムに入れられたのは「初めてのことではない」と述べたと発言している。そして、こうしたことが行われたのは、「国家安全保障上神経質にならざるを得ない情報だからという理由ではなく、政治的に神経質とならざるを得ない情報だから」だとアメリカ政府高官たちが認めたと内部告発者と述べている。

こうしたことの詳細は不明確だ。しかし、民主党にしてみれば大統領弾劾の調査を継続するための更なる材料となる。

●政府高官たちはジュリアーニの様々な行動に対して「深い懸念」を持っていた(Officials were ‘deeply concerned’ by Giuliani’s activities

トランプ大統領の個人弁護士であるルディ・ジュリアーニは、ウクライナに対してバイデン家について捜査をするように圧力をかけていることを認めた。

ここ数日、ジュリアーニは彼の役割に関する論争が激化する中で、数多くのメディアに出演しインタヴューを受けている。そこで激しく議論されているのは、ジュリアーニの行動が国務省の幹部たちの承認、もしくは少なくとも同意を得ていたのかどうかということだ。

内部告発者の告発内容はトランプ政権内部の分裂について更なる懸念を募らせるものである。内部告発者は「ジュリアーニ氏が国家安全保障決定政策プロセスを避けて、ウクライナ政府高官と関わろうとし、ウクライナ政府とトランプ大統領との間でメッセージをやり取りができるようにした。これを見て複数のアメリカ政府高官は大きな懸念を持った」と告発している。

ジュリアーニは木曜日CNNに出演し、内部告発の「クソみたいな内容について何も知らない」と述べた。

●ウクライナ政府高官たちはアメリカらの援助が停止される危険に晒されるだろうと分かっていた(Ukrainian officials knew U.S. aid could be in jeopardy

アメリカ連邦議会が提供を可決したウクライナ向けの援助4億ドルがトランプ政権によって援助提供が遅延させられていたことについてはその事実性について誰も反対していない。

疑問として残るのは、この遅延がトランプ大統領のウクライナによるバイデン家についての詳細な捜査を行って欲しいという希望と明確な形でつながっていのかどうかということだ。

内部告発者はこの疑問についてはっきりとは答えていない。

しかし、メディアの報道が出る前に、内部告発者はトランプ大統領がある時点でアメリカのウクライナに対する「国家安全保障援助」を一時停止するように命じたと認めた。

内部告発者は7月23日と7月26日という2つの日付を挙げた。この2日にアメリカ行政管理予算局の高官たちが「ウクライナ向けの援助の一時停止という命令はトランプ大統領から直接出されたものだと明確に述べたが、この命令の根拠について分かっていなかった」と述べた。

内部告発者は8月上旬に「アメリカ政府高官たち」が内部告発者に対して、ウクライナ政府高官はアメリカからの援助が停止される危機に瀕していることを認識していると述べたと語ったが、ウクライナに対する圧力の度合いという観点からこの告発内容は重要だ。

トランプ大統領は、援助供与を遅らせたのは、ウクライナの他の同盟諸国にも援助をさせたいと望んでいたからだと述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

ketteibanzokkokunihonron001
決定版 属国 日本論
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

このページのトップヘ