古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:アメリカ外交

ダニエル・シュルマン
講談社
2015-11-25



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 現在のアメリカの外交について、「弱腰」「妥協的(宥和的)」という評価があります。日本でも「早くオバマが辞めて次の大統領に、できたら共和党の候補者になって欲しい」という意見があります。

 

 私は拙著『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所、2012年)でも書きましたが、オバマ政権の外交政策(ヒラリー・クリントン前国務長官は除いて)こそは現実主義(Realism)外交だと考えます。この現実主義外交は、アメリカの国力と世界の状況を注視して、出来ることをやって「完璧さを求めるのではなく、少しでもより良い状況を作る」ということです。

 

 外交におけるリアリズムについて、私はウェブサイト「副島隆彦の学問道場」()の「郷のぼやき・会員ページ」で「「1528」 アメリカのネオコン・人道主義的介入派とは全く別の流れであるリアリストの現在の動きについてご紹介します 古村治彦 2015年5月9日」と題して書きました。お読みになりたい方は、是非、学問道場の会員になっていただければと思います。

 

外交における現実主義の真骨頂は、「not let the perfect be the enemy of the good」です。直訳すれば、「完璧さを良い目的の敵にしてはいけない」となります。これは「完璧さを求める余りにかえって良い目的の達成を阻害してはいけない(本末転倒してはいけない、角を矯めて牛を殺すようなことをしてはいけない)」という意味になります。英語では、「The best is the enemy of the good(最高を目指すことが良い目的の敵となる)」という言葉もあります。これはフランスの啓蒙思想家であるヴォルテールの言葉です。

 

 オバマ外交の「つまらなさ」こそがリアリズム外交の真骨頂なのです。

 

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オバマの外交政策は一言の引用でまとめられる(Obama’s Foreign Policy Summed Up in One Quote

 

エリアス・グロール筆

2015年2月9日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2015/02/09/obamas-foreign-policy-summed-up-in-one-quote/

 

 大統領に就任して6年、バラク・オバマの外交政策は多くの名前が付けられてきた。彼は「(野球で言う)単打と二塁打ばかり」と言われたり、側近の一人は「大統領は“後ろから率いる”という考えを信じている」と述べたり、「結局のところ、臭い物にはふたをするということしかしていない」と批判されたりしている。

 

 オバマに対する批判者たちは、オバマは無定見であり、人々を納得させられず、世界に対処するための戦略を持っていないと批判する。インターネットのニュースサイト「ヴォックス」とのインタビュー記事が月曜日に発表された。彼はインタビューの中で、これまでで最も簡潔に外交政策について語っている。

 

 オバマはヴォックスの編集責任者マット・イグレシアスを相手に次のように語った。「勝てるとなったらきちんと勝つ。それで物事はほんの少し良い方向に向かう。ほんの少し悪くなるよりはずっと良いでしょう。アメリカが衰退しているという考えに対して妥協している訳でもないし、私たちにできることは少ないと考える訳でもないんですよ。私がやっているのは、世界がどのように動いているかについての現実的な判定をするということなんです」。

 

 こうしたオバマの外交政策に関する考えに対しては、右派と左派からそれぞれ厳しく批判されている。ネオコン派右翼は、オバマ大統領はこうした考えを持っているから、国際的な舞台で「指導力」に欠けているし、オバマ大統領がどのように指導力を発揮すべきかということを議論することすらできない、と主張する。人権活動家たち左派は、オバマが勝利を確実なものにしようとして行動することで、エジプトやミャンマーの政府と人権状況に関して妥協してしまっていると批判する。

 

 オバマがいみじくも喝破しているように、この議論は、アメリカがどの程度世界の出来事に対して影響を与える能力を実際に有しているのかということに行きつく。アメリカの力は無制限ではないと認めることはアメリカ政治では受け入れがたい主張である。オバマを批判する人々は、世界のあちこちで火の手が上がっているのに、オバマ大統領は慎重すぎるので、絶好の機会を失ってしまっていると主張している。そして、オバマ大統領は「アメリカは偉大である」という考えを放棄していると批判している。中東にアメリカの意向に沿う民主政体を導入しようとして失敗したイラク戦争を経験して、オバマ大統領は、革命ではなく穏健な改良を目指す哲学を追い求めているのだ。

 

 オバマは次のように語った。「素晴らしい外交政策の目標は、ヴィジョンと大きな希望、そして理想を持つことだと思います。しかし、同時に世界をあるがままに認識し、その状況を確認し、どうすれば以前よりも少しでも改善できるか、そのポイントを理解することもまた重要だと思います。完璧を求めるのではなく、より良い状況を求めるということになると思います」。

 

 シリア内線では20万人の死者が出ている。ウクライナ東部ではロシアが支援している反体制運動に巻き込まれている。イスラム国はシリアとイラクの大きな部分を支配している。こうした状況で、世界の「より良い部分」に目を向けることは難しい。オバマは、「この惑星の進む方向は、暴力の削減、寛容の増大、争いと貧困の減少である」と発言している。それぞれの危機について、人々はオバマが何もしないことで状況が悪化していると批判している。しかし、彼らはアメリカがこれらの危機がコントロール不能に陥る前に良い方向に導くだけの力を持っているはずだと単純に確信しているのだ。

 

 オバマが毎日直面し対処していることについて、何かを言うことは本当に難しい事なのだ。彼は次のように語った。「私の許には人々の死亡、破壊、紛争、無秩序に関する分厚い報告書が届けられます。私は毎朝、この報告書を読みながら朝のお茶を飲んでいるのです」。

 

(終わり)







野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 アメリカ外交こぼれ話を皆様にご紹介します。USAIDについては、拙著『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所、2012年)、2つ目の記事に出てくるヴィクトリア・ヌーランドについては副島先生の『日本に恐ろしい大きな戦争が迫り来る』(講談社、2015年)をお読みください。

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オバマは側近ゲイル・スミスを
USAIDの運営のために送る(Obama Taps Insider Gayle Smith to Lead USAID

 

デイヴィッド・フランシス筆

2015年4月30日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2015/04/30/obama-taps-insider-gayle-smith-to-lead-usaid/?utm_content=buffer5a164&utm_medium=social&utm_source=facebook.com&utm_campaign=buffer

 

 バラク・オバマ大統領はヴェテランのアフリカ専門家で、側近でもある人物に米国国際開発庁(USAID)の運営を任せると発表した。この動きは、スキャンダルにまみれた支援専門の政府機関をホワイトハウスに近づけようとするものだ。

 

 ゲイル・スミスは現在、国家安全保障会議(NSC)開発問題担当上級部長であり、長年にわたり大統領国家安全保障問題担当補佐官スーザン・ライスと一緒に仕事をしてきた。元ジャーナリストのスミスはビル・クリントン元大統領とも深い関係があり、クリントン政権では国家安全保障会議のアフリカ担当上級部長とUSAID顧問を務めた。

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ゲイル・スミス

 

 連邦上院の承認を受けた後、スミスは、ここ数年スキャンダルが頻発している、予算総額220億ドルの巨大政府機関を運営することになる。また、USAIDは世界規模の災害に対してうまく対応できなくなっている。

 

 昨年、USAIDは、ソーシャル・メディアのアカウントを使ってキューバの若者たちに向かってカストロ政権を転覆するように訴えたと批判されている。同時期、オバマ政権はキューバとの外交関係を再構築しようとしていた。その数カ月後、USAIDのラジヴ・シャー長官はアメリカとキューバとの間の歴史的な展開が発表される数時間前に辞任した。この際、辞任理由は発表されなかった。シャーは5年にわたりUSAID長官を務めた。

 

 2013年、複数の捜査の結果、2006年から2012年までの間にUSAIDによってアフリカに送られたマラリア薬の20%(6000万ドル分)が裏市場に流れたことが明らかになった。

 

 しかし、医者でもあるシャーは実績も残した。彼は昨年アフリカで猛威を振るったエボラ出血熱に対する対応に成功した。その際にいくつかの医療上の新展開も起きた。その中には医療従事者向けの新たな防御スーツも含まれている。現在、USAIDは世界中に展開しており、チベットの大地震からシリアの難民問題など様々な危機に対処している。

 

 木曜日に発表された声明の中で、オバマ大統領は、スミスの「エネルギーと情熱はアメリカの国際開発政策を主導する力となってきた」と述べた。ジョン・ケリー国務長官はスミスの「責任感は変革の時期に必要なものであり、変革を起こすために必要なものだ」と述べた。

 

 各支援団体はスミスのUSAID長官の指名を歓迎している。スミスは連邦上院の承認を受けられると確実視されている。USグローバル・リーダーシップ・コアリションのリズ・シュレイヤー会長は、「共同体、アメリカ政府、世界各国と彼女は良好な関係を持ち、尊敬を集めている。それによって、USAID指導部はスムーズに交替し、うまく運営していくことが出来るだろう」と述べた。オックスファム・アメリカ政策とキャンペーン担当副会長ポール・オブライエンもスミスの指名を賞賛した。

 

 スミスはアフリカの専門家であり、彼女の専門性はUSAIDの新たな展開にとって必要なものだ。オバマ政権は二期目のスタート当初、予算70億ドルを割いてパワー・アフリカ・イニシアティヴを始めると発表した。パワー・アフリカ・イニシアティヴはアフリカ大陸全体で電気使用を拡大させようとする計画であるが、完全な成功を収めてはいない。

 

(終わり)

 

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米国務省幹部外交官はトルコの政府官僚たちとの間で「アホなブロンド」事件を起こした(Senior U.S. Diplomat Raises ‘Dumb Blonde’ Incident with Turkish Officials

 

ジョン・ハドソン

2015年5月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2015/05/01/victoria-nuland-raises-dumb-blonde-incident-with-turkish-officials/?utm_content=buffer11424&utm_medium=social&utm_source=facebook.com&utm_campaign=buffer

 

トルコの首都アンマンの市長は、警察の暴力について選択的に批判を行った米国務省報道官マリー・ハーフを「馬鹿なブロンド」と呼んだ。これに対して米国務省は非難とユーモアの混ざった対応を行った。

 

 悪役を買って出たのはヨーロッパ・ユーラシア問題担当国務次官補ヴィクトリア・ヌーランドだった。金曜日、ワシントンDCフォギー・ボトムにある米国務省の報道官はヌーランドが「トルコの政府高官たちについて不適切なコメントをした」と述べた。

 

 好漢、より正確には道化役を演じたのが駐トルコ米大使ジョン・バスだ。バスはSNSのインスタグラムに加工した写真を掲載した。その写真はバスが金髪になった写真でその下に「アメリカの外交官:私たちは全員金髪です」とキャプションが付けられていた。

 

 バスの連帯を示すための滑稽な行動に対して、アンカラ市長メリウ・ゴチェックは今週初めにソーシャル・メディアを使って、米国務省に対してボルティモアでの警察の暴力に関する偽善を批判した。

 

ハーフと米国務省の幹部たちは2013年にイスタンブールで起きた抗議活動に対するトルコ政府の厳しい弾圧を批判した。フレディ・グレイの死に対して抗議活動が今週ボルティモアで発生した。これを受けてトルコの与党である「正義と発展」党の幹部であるゴチェックはツィッターで、トルコの政府系新聞が掲載したハーフの写真と記事のタイトルを掲載した。そのタイトルは「トルコの警察が過大な暴力を行使していると述べたアホなブロンド女はどこにいる?」というものであった。

 

ゴチェックは英語で次のようなコメントを付けた。「ブロンド女よ、今すぐ答えろ」。

 

 今回の事件について木曜日に定例記者会見で質問された時に、ハーフは、「私は何か反応を示すことで、彼らの行為を際立たせるようなことはしたくないのです」と述べた。

 

(終わり)









 





アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23



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オバマの書かれない歴史(
Obama’s Unwritten History

 

ジェフリー・フランク(Jeffrey Frank)筆

2014年7月15日

ニューヨーカー(New Yorker)誌

http://www.newyorker.com/news/daily-comment/obamas-unwritten-history?utm_source=tny&utm_campaign=generalsocial&utm_medium=facebook&mbid=social_facebook

 

 アメリカの有権者たちは怒りを持っている。しかし、キュニピアック大学による最新の世論調査の結果は驚きをもって迎えられた。バラク・オバマ大統領は戦後の歴代大統領12名の中で最低の支持率を記録した。12人中12番目であった。オバマ大統領の支持率は40%の辺りを上下しており、これが救いになるかもしれないが、オバマ大統領の支持率は急激に低下している。現在はテキサスで絵画にいそしんでいるジョージ・W・ブッシュ大統領(35%)よりはましだし、ウォーターゲイと事件の時のリチャード・ニクソン大統領(27%)よりはかなりましだ。更には、大統領の任期末期のハリー・トルーマン大統領(23%で最低記録)の2倍はある。それでも、ブッシュ、ニクソン、トルーマンはそれぞれ最新の調査で11番目、10番目、1番目を記録している。世論調査員たちの質問が回答を導き出すとすると、オバマ大統領についての数字は、人々がオバマ大統領は自分の仕事をきちんと果たしていないと考えていることを反映しているようだ。

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 国家の団結が必要とされる時期、特に戦争や悲劇的な出来事の発生時を除き、大統領の支持率が高いのは珍しいのである。平時の政権の場合、国民の心理や社会空間を占める問題の数は多すぎるのだ。大統領だった人物がその地位を去って長い時間が経過してはじめて私たちはその人のことを好きになるというのが普通だ。トルーマンの場合がそうだ。また、任期途中で殺害されてもそうだ。ジョン・F・ケネディ大統領がそうだ。誰が大統領になっても、大統領職の興奮は収まっていくものだし、ある程度、大統領の周辺がそのようにする場合もある。現在のバラク・オバマ大統領が置かれている状況がまさにそれだ。力が使い尽くされていながら、同時に人々を苛立たせている。; 国内外の彼に対する敵対者たちの注意はオバマ大統領から離れていくものだ。そして、任期の残り30カ月は、トルーマンが「野心と名声の白色の巨大な墳墓」と呼んだ状態になる。

 

 しかし、物事を正さないということと物事を間違った方向に進めるということは全く違ったものである。これは、戦後4代目の大統領であったリンドン・ジョンソンが語っていた言葉だ。リンドン・ジョンソンは最新の世論調査で歴代4番目にランクされている。しかし、彼がヴェトナムでやったことは、ヴェトナムにおける米軍将兵の数を50万以上に増やした。それから10年前にはフランス軍がヴェトミンと植民地戦争を戦い、植民地戦争に勝利できないということを明らかにした後の愚行であった。ジョージ・W・ブッシュ大統領は、アメリカを気軽に2つの戦争に引きずり込んだ。アフガニスタンでの戦争は計画が杜撰だったために、オサマ・ビン・ラディンと彼の部下たちを取り逃がした。イラクでの戦争は泥沼化した。ブッシュにしても、ディック・チェイニー副大統領にしても、そして政権内の誰も中東地域を全く理解しないままに戦争に突き進んだ。ここのような状況は再び繰り返されるのだろうか?

 

 オバマ大統領を批判する人々は、「オバマ大統領のせいでアメリカの威光、影響力、尊敬、国力が減退している」と批判している。この前提を正しいとすると、彼らが主張する解決策はどれも同じだ。地球上の真の超大国(この考えが示しているのは、アメリカの力が衰えていないということだ)は、状況が悪くなりつつある地域にアメリカが関与すべきだということだ。それは、「穏健派」や「反体制派」に武器を供与したり、空爆を行ったり、「民主化」勢力を支援したりということを意味する。

 

 現代の歴史は理解されていない。国際貿易センタービルとペンタゴンに対する攻撃とその余波が、アメリカが戦った2つの悲惨な戦争に向かうターニング・ポイントになったと人々が考えるのだろうかまだ分からない。そして、「世界規模でのテロリズムとの戦い」は、2001年9月11日に起きた出来事と私たちの対応が生み出した人々やグループとの間の衝突(現実のもしくは非現実の)を意味するのかということもまだ分かっていない。それでも、タリバンやヴェトナムのゲリラと同様、彼らは戦い、逃げ、姿を消し、アメリカの衰退というイメージを際限なく強化し続けることだろう。

 

 65年以上前の冷戦初期、ウォルター・リップマンは世界規模での「封じ込め」政策に狙いを定めた一連のコラムを執筆した。封じ込め政策は、ジョージ・ケナンが生み出したもので、歴史家のジョン・ルイス・ギャディスは「戦後のソ連の行動を説明する上で最も影響力を持った理論」と呼んだ。リップマンは、「ソ連はアメリカの力に対峙するところまで力を膨張させるだろう」と考えた。そして、現実主義的な彼は、「アメリカの軍事力は、ソ連の封じ込めという政策を実行するほどの力ではない。封じ込めは、休みなく長期間にわたって行われなければならないが、それに見合うだけの力はない」と主張した。ヴェトナム戦争やアフガニスタンにおけるムジャヒディンへの武器供与によって数十億ドルが支出される数十年前、リップマンは、世界規模で行われた封じ込め政策を「戦略的な怪物」と呼んだ。現在、テロリズムの脅威に対して疑問を持つ人はほとんどいないだろう。しかし、「テロリズムに対する世界規模での戦争」には内戦や冷酷な政権に対する対応も含まれている。人々の苦しみが見ていられないほどの場所にまで介入するにしても、それの目的と結果は不確かなものだ。

 

 オバマ政権は言葉遣いが一定しなかったために、敵対者と支持者たちが誤解する危険性を排除することができなかった。例えば、2011年8月、オバマ政権は「シリアの人々のために、アサド大統領は退陣すべき時が来た」と発表したり、2014年3月、ロシアはクリミア半島を併合したことの「代償を支払うことになる」と述べたりした。しかし、このような間違いを犯しながらも、オバマ政権は、現実的に軍事力を用いる前に正しく自問自答することができた。彼らは次のような疑問について考え続けた。「私たちが実際に軍事力を用いるとして、いったいどういう結果になるだろうか?現在の悪い状況をさらに悪化させることにならないか?軍事力を用いるとして、それをどのように停止するか?リップマンの言葉遣いにならうなら、私たちの実力と権威を浪費することになるのではないか?」ジョージ・W・ブッシュ政権の人々は短期間でアメリカの国力と名声を浪費してしまった。

 

 回避された戦争や発射されなかった巡航ミサイルについては多くのことは書かれない。しかし、書かれない歴史こそがオバマ大統領の達成した偉大な業績なのである。最新の世論調査での低評価も、時間と共に変化して、順番も上がっていくことだろう。

 

※ジェフリー・フランク:ニューヨーカー誌の上級編集者。著書に『アイクとディック:奇妙な政治的結婚の肖像(ke and Dick: Portrait of a Strange Political Marriage)』がある

 

(終わり)









 

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