古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:アメリカ大統領

 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙民主党予備選挙の有力候補者カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)が選挙戦からの撤退を発表した。支持率が低迷し、政治献金も集まらない中で、資金がなくなって選挙戦が続けられないと発表した。
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 支持率ではトップ3に入る時期もあったが、7月以降は支持率下落が止まらず、第4位の位置をインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジに完全に奪われてしまっていた。挽回は不可能と判断し、早めに撤退ということになった。これで民主党の金城湯池であるカリフォルニア州から民主党所属の大統領が生まれる機会は失われた。民主党はアメリカ東西両海岸地区を支持基盤としているが、ロッキー山脈から西の各州の出身者が大統領になったことはない。共和党で言えばリチャード・ニクソン、ロナルド・レーガンがいるのに、民主党ではいないのだ。
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 カマラ・ハリスは最初から有力候補として捉えられていたが、自分の立場を明確にできなかったことが選挙戦撤退にまでつながってしまった。検察官、カリフォルニア州司法長官、連邦上院議員としての経歴、非白人のマイノリティとして生まれたが刻苦勉励で這い上がってきた努力と根性、才能といった点が強みとなるはずであった。

 しかし、ハリスはリベラル左派なのか、穏健中道派なのかが最後まではっきりしなかった。手をこまねいているうちに、他の候補者たちが独自の立場を確立していったが、ハリスは最後までどっちつかずの印象を与えるだけだった。

 ハリスはしかしながら、副大統領候補の有力候補となる。特にジョー・バイデン前副大統領とは親しい関係にあり、バイデンが大統領選挙の民主党指名候補になれば、バイデンから指名を受ける可能性がある。バイデンとならば考えを合わせてコンビとしてやっていけるだろう。私は以前から、ハリスがバイデンに副大統領候補になるだろうと書いている。私は、リベラル左派のエリザベス・ウォーレンとバーニー・サンダースが組み、一方、バイデンとハリスが組むという形になると考える。ハリスはまた大票田のカリフォルニア州を地盤としているので、彼女の動向、具体的には誰を推薦支持するかで、予備選挙の動きは大きく決まるように思う。そういった点で、ハリスは良い時期に選挙戦から撤退したと思う。ただ次があるかというとそれはないのではあるが、傷が浅いうちに撤退できたと思う。

 ハリスは他の撤退した候補者たちとは違い、これからも動向が注視される人物だ。選挙戦撤退してからの方が注目が集まるという変なことが起きるだろう。

(貼り付けはじめ)

カマラ・ハリスが大統領選挙から撤退(Kamala Harris drops out of presidential race

リード・ウィルソン、ジョナサン・イーズリー筆

2019年12月3日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/472820-kamala-harris-drops-out-of-presidential-race-reports

カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は火曜日、民主党予備選挙の選挙運動を停止すると発表した。ハリスはひとたびライジングスターであったが、ここ数カ月は選挙戦の状況はどん底になっていた。彼女は政治的才能を維持可能な選挙運動に転換することができなかった。

ハリスが選挙戦に出馬した当初、有力候補と考えられていた。人々の関心を集める生い立ち、演説会など人々の前に姿を現す際の存在感、アメリカ国内最大でかつ最も豊かな州であるカリフォルニア州におけるしっかりした政治献金基盤といった点で有力候補だと考えられた。彼女は出身地のカリフォルニア州オークランドで出馬宣言を行うために集会を開いたがその時には数千人の人々が集まった。しかし、それから11か月後、ハリスは記者団に対して強力な選挙運動を続けるための財政力がなくなってしまったと語ることになった。

ハリスは声明の中で次のように書いている。「私は選挙運動について詳細に評価し、全ての角度から見るように努めた。そして、私の人生において最も厳しい決断を下すことにした。大統領選挙を続けるために必要な財政上の資源がなくなってしまった。私は大富豪ではない。私は自己資金で選挙運動を続けることはできない。選挙戦を続けていく中で、選挙資金集めがどんどん困難になっていった」。

ハリスは続けて「誠実であろうとするならば、私は自分ではできないと考えているのに、それを続けることができると私の支持者やヴォランティアの方々に言うことはできない」と書いている。

これまでの11カ月の選挙戦の中で、ハリスには、当時のバラク・オバマ連邦上院議員(イリノイ州選出、民主党)の辿ったコースである、州レヴェルの公職から連邦上院議員、そしてホワイトハウスへという道のりをたどるだろうと考えられる機会が何度かあった。彼女は若者とアフリカ系アメリカ人有権者が作ったオバマ連合(Obama’s coalition)を再び結集させたいと望んだ。ハリスは今回の予備選挙の候補者たちの中でも傑出した討論をリードする能力を持っていた。

ハリスは堅実な選挙運動を展開した。カリフォルニア州に住むヴェテランのストラティジストを集めたブレイントラスを作った。ストラティジストたちはハリスのこれまでのキャリアで助言を与えてきた人々だった。また、カマラ・ハリスの妹マヤもこのブレイントラストに参加した。彼女は民主党系の政策専門家として実績を積んできた人物だ。ハリスはアイオワ州の活動家の中でも重要な人物たちからの推薦支持を得たし、全米で最初に党員集会が実施される重要なアイオワ州に多くのオーガナイザーを投入した。

民主党系のストラティジストであるが今回の大統領選挙には関与していないダグ・ソーネルは「ハリスは本当に素晴らしい選対を組んでいた。彼女のティームには本当に優秀で、才能あふれる人たちが揃っていた。彼女は本当に素晴らしいスタートを切った。しかし、それが彼女の選挙運動に対して常に高い基準を設定することにもなってしまった」。

しかし、ハリスは初期の熱狂を安定した支持に転換させることに苦闘した。他の候補者たちはイデオロギーな立場を明確にさせ、民主党予備選挙に参加予定の有権者たちにとっての重要な諸問題に対処するための計画を発表することで有権者の支持を集めようとしてきた。その中でハリスは自身の立場をはっきりさせず、選挙戦でのテーマと戦略を色々とつまみ食いしているように思われた。

他の候補者たちはアメリカの医療システムをどのように劇的に改善するかについて自身の立場を選択した。バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)が連邦上院に「メディケア・フォ・オール」法案を提出した際、ハリスは共同提出者となったが、その後、共同提出を取り下げた。討論会の席上、ハリスは民主党内部の分裂線となっている医療システムについての自身の考えを明確にかつ簡潔に示すことができなかった。

ハリスは自分が持つ最善の2つの資産を利用する方法を見つけることができなかった。2つの資産とは、2020年の民主党全国大会に最大数の代議員を送り込む地盤としているカリフォルニア州と厳格な検察官だったという経歴だ。検察官としての経歴は討論会での激しいパフォーマンスと存在感に資するものだ。

討論会の席上、トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)はハリスのカリフォルニア州司法長官としての記録を激しく批判した。ギャバードはマイノリティと麻薬関連の微罪を犯した人々を過剰に収監したと批判した。ハリスはカリフォルニア州での世論調査で7月に1回だけトップに立った。

ハリスは自身の立場をどのように取るかについて議論を続けたが、他の候補者たちはハリスの周囲の堀を埋めていった。ハリスが取るべき立場を他の候補者たちが取るようになっていったのだ。ジョー・バイデン前副大統領は自分自身を、トランプ大統領を倒せる可能性が最も高い人物と位置付けた。エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は進歩主義派の代表として、諸政策を次々と発表している。インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジは選挙戦の初期の段階で人々の支持を集めることが出来た時期を利用して自分自身を中道派の候補と位置付けた。

ハリスはこうした位置づけを試み、失敗した。

ソーネルは次のように述べている。「ハリスは彼女の選挙運動において自分自身の明確な性格付けをすることができなかった。他の候補者たちは自分の立場や立候補の理由を次々と変えていった。選挙戦当初からハリスは検察官としての経歴をどのようにして自分の強みとして利用するかということが分かっていないようだった」。

ハリスは選挙運動において上昇局面をつかむことに苦戦した。ハリスの最大の上昇局面は1回目の民主党討論会にバイデンと対峙した時だった。その後、ハリスは短期間ではあったが政治献金額を伸ばし、世論調査での支持率を上昇させた。しかし、そうした勢いを安定した支持に転換することに失敗した。

ハリスの世論調査での支持率の数字は第1回目の討論会の後に最高を記録した。しかし、その後は継続的に下落していった。8月になって全国規模とアイオワ州での世論調査で支持率が10%を割り、それ以降は回復しなかった。

ハリス選対はボルティモアに本部を置いていたが、選対内部で緊張関係が高まっていった。カマラ・ハリスの妹であり民主党系の政策専門家であるマヤ・ハリスが選対責任者フアン・ロドリゲスとスタッフの人事、支出、政策決定に関して衝突した。有力な支持者たちはカマラ・ハリスに対してロドリゲスを解雇し、コンサルタント・ティームの力を取り上げるように公の場で進言した。

ここ数週間、政治献金の集まりがスローダウンしたことを受けて、ハリスはアイオワ州に持てる力を注ぐと発表し、その他の早期に予備選挙が実施される各州の選挙スタッフを解雇していた。

ハリスは12月の民主党候補者討論会の2週間前に選挙戦を止めたということになる。候補者討論会は2019年12月19日にロサンゼルスで実施予定だ。ハリスは既に参加条件をクリアしていたし、スーパーPACはアイオワ州の各テレビ局の放送時間の購入を始めたばかりだった。

スーパーPACは火曜日、放送時間の購入と保持のキャンセルを開始した。

ライヴァルや支持者たちはハリスが選挙戦からの撤退を発表した後で、彼女に賛辞を贈った。

アイオワ州メイソンシティでの選挙集会に参加直後、バイデンは「彼女は一流の知識人であり、一流の候補者であり、本物の闘士だった。私は彼女の選挙戦撤退について複雑な感情になっている。そのような感情になっているのは彼女が首尾一貫した人物であり、才能に溢れた人物だからだ」と語った。

ハリスは選挙戦から撤退したが、国政レヴェルでの存在感がなくなるということではない。彼女は副大統領候補の有力候補と見られている。スーパーチューズデーの時にカリフォルニア州で予備選挙が実施されるが、それまでにハリスの支持を得たいとどの候補者も望むことだろう。

民主党全国委員会の委員でカリフォルニア州出身のボブ・マルホランドは次のように述べた。「カリフォルニア州民はハリス上院議員を誇りに思うだろう。他の候補者たちにとってカリフォルニア州で支持を伸ばすことは難しい。ハリス議員にとって全国規模で支持を伸ばすことは難しかったが彼女はよく戦った。今回はうまくいかなかったということだ」。マルホランドはハリスの党指名獲得への支持を表明していた。

ハリスはトップ集団の候補者としては初めての脱落者となった。また今週になって3人目の脱落者ともなった。今週はモンタナ州知事スティーヴ・ブロック(民主党)とジョー・セスタク元連邦下院議員(ペンシルヴァニア州選出、民主党)が選挙戦からの撤退を表明している。ハリスの連邦上院議員の任期は2022年までとなっている。

火曜日、ハリスが選挙戦撤退を発表した直後、カリフォルニア大学バークリー校政治研究所が『ロサンゼルス・タイムズ』紙に発表した世論調査の結果では、カリフォルニア州在住の民主党支持の有権者の61%がハリスは選挙運動を止めるべきだと答えた。

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ハリスの選挙戦からの撤退を受けてのギャバードの発言:「私は彼女のアメリカ国民に奉仕したいという真摯な思いを尊敬します」(Gabbard on Harris leaving race: 'I respect her sincere desire to serve the American people'

レイチェル・フラジン筆

2019年12月3日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/472847-tulsi-gabbard-responds-to-kamala-harris-leaving-race-i-respect-her-sincere

大統領選挙民主党予備選挙候補者トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)が、カマラ・ハリス連邦上院議員が火曜日に大統領選挙からの撤退を発表したことを受け、「ハリスのアメリカ国民に奉仕したいという真摯な思い」を尊敬すると述べた。

ギャバードとハリスは選挙戦でやり合っていた。ギャバードはツイッター上で「選挙戦を懸命に戦ったカマラ・ハリス、彼女のご家族、支持者に心からの敬意を表します」と書いた。

ギャバードは続けて「私たちはいくつかの問題で同意できなかったのですが、私を含む多くの人々は彼女のアメリカ国民に奉仕したいという真摯な思いを尊敬することでは一致しています。私は、アメリカが直面する諸問題について対処するために共に働くことを希望しています」と書いた。

ハリスは火曜日、多くの人物が立候補している大統領選挙民主党予備選挙からの撤退を発表した。ここ最近、ハリスは世論調査の支持率の数字と政治献金額の減少に直面していた。

ハリスは声明の中で「選挙運動を続けるために飛鳥な財政的資源がなくなってしまった」と書いている。

ハリスとギャバードはお互いを批判し合っていた。ギャバードは今年初め、「ハリスにはアメリカ軍の最高司令官の資格はない。彼女には外交政策分野での経験がなく、激しい気性で大統領に向かない」と述べた。

ギャバードはハリスのカリフォルニア州司法長官としての記録を批判した。

一方、ハリスはギャバードがフォックスニュースに出演したことを攻撃し、トランプの元首席戦略官のステイ―ヴ・バノンと仲が良いことを非難した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。
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 民主党予備選挙は、左派のエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が目立っている。一方、トップを走っているジョー・バイデン前副大統領は中道穏健派であり、アイオワ州でトップに立っているインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジもまた中道穏健派に分類されている。

 今回の大統領選挙民主党予備選挙で左派と中道穏健派の争点となっているのは、メディケア・フォ・オールだ。簡単に言うと、国民皆保険制度のために政府がすべてを取り仕切るようにすべきだという左派と、それはあまりにもアメリカの現実から外れているという中道派の争いだ。また、中道派は大学の学費無償化についても懐疑的だ。ブティジエッジは、大学に行かない人も多くいるのに無償化するのは不公平だと述べている。

 「民主党が全体的に左に寄り過ぎだ」「社会主義的すぎる」という批判は根強い。左派・進歩主義派のウォーレンとサンダースの支持率を合わせると35%から40%となる。左派や進歩主義派が過半数を占めている訳ではないが、かなりの支持を集めている。

 「しかしこれでは共和党支持者は仕方がないにしても、支持政党を持たない有権者にとってアピールしない、あまりにも急進的だ。そうなれば現職のトランプ大統領には勝てない」と批判が出ることになる。

トランプ大統領が共和党にしては過激なそして急進的な主張で接戦ながら当選したという事実(保護貿易や国債を発行してでもインフラ整備をやるというのは伝統的な主流派共和党勢力とは相いれない)は忘れられている。トランプ大統領は国内政策の面で左に寄せた。それで民主党を支持していた白人労働者たちの支持を得て当選できた。それならば民主党が大統領選挙で勝利するためには、その人たちからの支持を取り返さなければならない。

そこで民主党中道派であり主流派を代表するバイデンが出たところで勝てるのだろうか、ということになる。民主党内の声ではバイデンは当選可能性(electability)が高いということになる。しかし、彼が人口グループで言えば白人労働者、地域で言えば中西部の各州を取り返すだけのアピール力とパワーがあるのかというと、年齢や失言のことを考えると期待できないということなる。

そこで37歳のピート・ブティジェッジだということになる。ブティジエッジは性的少数者ということもありリベラルな装いができるが、本質は中道穏健派だ。オバマ前大統領も期待の若手ということで支持率を伸ばしつつある。しかし、国政レヴェルでの経験もなく、これからいろいろと批判に晒されていくことになる。そうしたことを乗り越えて、これから民主党の有力政治家となっていくだろうが、今回の大統領選挙には間に合わない。

民主党がホワイトハウスを奪還するのはしばらく先ということになるだろう。

(貼り付けはじめ)

メモ:中道穏健派が民主党予備選挙のトーンを変化させる(The Memo: Centrists change tone of Democratic race

ニオール・スタンジ筆

2019年11月18日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/471010-the-memo-centrists-change-tone-of-democratic-race

中道左派がアメリカ大統領選挙民主党予備選挙で反撃しつつあるのだろうか?

インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジはアイオワ州で支持率を伸ばしている。元マサチューセッツ州知事ディヴァル・パトリックが選挙戦に出馬し、大富豪で元ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグが出馬を検討中だ。バラク・オバマ前大統領も民主党に対してアメリカの有権者が全面的な変化を求めているという過大な判断をしないようにと警告を発している。

こうした動きは連続して起きており、予備選挙の雰囲気を変えつつある。予備選挙はこれまで進歩主義派のエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)の台頭が大きな話題となっており、またジョー・バイデン前副大統領が主張する中道派の諸政策は民主党の支持基盤の考えから外れているのではないかという疑問を多くの人々が持っていた。

金曜日、ワシントンを訪問したオバマ前大統領は次のように語った。「アメリカはこれまでと同様、革命などよりも改善により関心を抱く国だ。平均的なアメリカ国民は、私たちは現在のシステムを完全に破壊し、作り直す必要があるなどとは考えない」。

オバマ前大統領の介入は直接的なものではなかった。オバマは彼の行った改革が十分ではなく、もっとやれたのではないかと主張する人々には反対しなかったが、ウォーレンやバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、民主党)のような進歩主義派が主張する急進主義よりも漸進主義を支持する発言を行った。

予備選挙の情勢が流動的で、中道派が盛り返しているということを示しているのは、ウォーレンがメディケア・フォ・オール政策の実現を大統領就任後すぐに実行しないということを明確にしたことだ。ウォーレンは大統領に選ばれたら、メディケア・フォ・オールを就任3年目の終わりまでに成立させるつもりだと金曜日に発言した。

専門家たちの多くは、ウォーレンの動きは、「ウォーレンは一般選挙の有権者にとっては急進すぎる立場に立っている」と主張する人々に対する妥協だと思われている。急進的な立場に立っていることは大きな弱点となり、民主党員や支持者は予備選挙で有力なウォーレンがこれでは来年11月にトランプを倒せないと絶望的になっていると考える人たちも多い。

民主党系ストラティジストのジュリー・ロジンスキーは次のように語っている。「国民皆保険よりも自分の現在の医療保険を維持したいという人々が一定数いるということから、ウォーレンの国民皆保険制度の主張で有権者の支持を失うのではないかという懸念を持っている人々を宥めるための一つの方策としてすぐには導入しないと明言したのだと思う」。

ウォーレンとサンダースが、アイオワ州でのブティジェッジの台頭に懸念を持っていることは間違いない。アイオワ州ではリベラル派の活動家たちが党員集会をリードする州である。最近の2回の党員集会は共に激戦となり、2016年の時には最終的に党の指名候補となったヒラリー・クリントンに対してサンダースは肉薄し、2008年の時には当時連邦上院議員だったオバマがヒラリーを倒した。ヒラリーは3位に沈んだ。

『デモイン・レジスター』紙とCNNの共同世論調査の結果が土曜日に発表された。アイオワ州の党員集会参加予定者の25%がブティジェッジを大統領の代位市選択肢として挙げた。ブティジェッジから少し差があって第2位にウォーレンが入り16%、サンダースとバイデンは15%だった。

更に言うと、世論調査の結果からは、党員集会参加予定者たちはウォーレンやサンダースよりもブティジェッジとバイデンをより支持していることが分かる。

有権者の63%がブティジェッジの政治観は「大体正しい」と答え、バイデンに関しては55%がそのように答えた。ウォーレンとサンダースの数字はより低い。それぞれ48%と37%だった。

党員集会参加者の過半数にあたる53%がサンダースの政治観は「リベラルすぎる」と考え、ウォーレンについては38%がそのように考えている。

ブティジェッジはリアルクリアポリティックスが出しているアイオワ州での世論調査の平均でリードしている。

本紙の取材に応じた複数の民主党系ストラティジストは最新の世論調査の結果にとらわれ過ぎてはいけないと懸念を表明している。彼らは予備選挙の情勢が流動的だとしている。また、ブティジェッジはアイオワ州で重点的にテレビCMを放映していると指摘する人たちもいる。

ブティジェッジの台頭に疑念を持つ人々はまた、ブティジェッジはニューハンプシャー州の世論調査で支持率を上昇させているが、それでもトップ3の候補者たちから遠く置いて行かれている状態だと述べている。こうしたことは、民主党内において全国規模で親中道派の流れが起きているという考えに反していることを示している。

匿名のある民主党系ストラティジストは露骨に「アイオワ州でブティジェッジが大量リードしていると言うけど、彼の支持率はたったの25%だ!それで大量リードだなんだというのはジョークでしかないということになる」と述べた。

このストラティジストはまた次のように述べた。「民主党は進歩主義的な政党のままだと私は思う。また党は左側に動いている。しかし、左派に与しないというのならば、自分の主張を擁護できるようにならねばならない」。

進歩主義派の有権者は、メディアがブティジェッジに関心を持つこと、ブルームバーグとパトリックに出馬に関して報道をすることは、やり過ぎだと感じているようだ。

サンダースを支持している民主党系ストラティジストであるジョナサン・タシニは、白人が大多数を占めるアイオワ州での各種世論調査の結果は全国規模の民主党の流れを示しているという考えには「全く動揺しない」と述べている。

そして、タシニは続けて次のように述べた。「アイオワ州におけるこれまでの大統領選挙を振り返ってみれば、エネルギーを投入して世論調査の数字を上げる人々が出てくるのが通例だ。しかし、党員集会の人までにその勢いを維持できるかは分からない」。

また、タシニは左派の候補者たちに対する怒りの力を過小評価しないことが重要だとも述べている。

タシニは「政治献金者、専従党員、議員たちが属している中道穏健派のエスタブリッシュメントは進歩主義派の人々が民主党を指導して欲しくないと思っていることは間違いない。それは、進歩主義派がリードするようになると、エスタブリッシュメントの地位と立場、権力が脅かされると考えているからだ」と述べた。

他のストラティジストと同じくロジンスキーは、結論を出すには早すぎると述べている。

ロジンスキーは、民主党支持の有権者たちがたった一つの最重要の基準に合う候補者を探している、その基準とはトランプを倒せる能力だ、と述べている。

ロジンスキーは中道派の候補者たちを支持するのにイデオロギー上の理由は存在しないと述べた。

彼女は「中道派の支持にはイデオロギーではなく、当選可能性が基礎となっている」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 遅くなったが、2019年10月15日に開催された第4回アメリカ大統領民主党予備選挙候補者討論会の様子をまとめた記事をご紹介する。
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 全体としてはジョー・バイデン前副大統領とカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)の仲良しコンビにとってはマイナス、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)のリベラル左派・進歩主義派コンビ、そして中道派(新自由主義的傾向もある)インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジにとってはプラス、ということになった。発言時間もこの上位5名がやはり多かった。

 バイデンはこれまでの討論会では見せ場がなく、「眠たげなジョー(Sleepy Joe)」という印象を強めただけであったが、今回もそれが続くことになった。それでもジョー・バイデンは支持率トップを続けているが、これは「オバマ政権時代は良かったな」という民主党支持の有権者たちの郷愁と投票率が高い高齢の有権者たちの支持によるものだ。また、アメリカ初のアフリカ系アメリカ人大統領となったバラク・オバマをよく支えた人ということで、アフリカ系アメリカ人有権者からの支持も高い。

 ウォーレン、サンダース、ブティジェッジはアフリカ系アメリカ人有権者からの支持獲得で伸び悩んでいる。ウォーレンやブティジェッジは白人である上にアメリカの名門大学の集まりであるアイヴィー・リーグの先生だったり出身だったりで、アフリカ系アメリカ人たちからすると「自分たちとは関係のない人たち」ということになってしまう。ウォーレン、サンダース、ブティジェッジは白人のリベラル、大学の学位を持つ人々の支持は高いので、そこからどれだけ支持の幅を広げられるかということになる。

 討論会での丁々発止、激しい批判に当意即妙の反論、切り返し、時に見せるユーモアを見れば、「ああやっぱり日本は遅れているなぁ」と思わされてしまう。カニやメロンを贈られて喜んでいる有権者のレヴェルにあった政治と言えばそれまでだが、これでは戦前から何も進歩も進化もしていないということになる。悲しいことだ。

(貼り付けはじめ)

オハイオ州での討論会での5つのハイライト(Five takeaways from the Democratic debate in Ohio

ナイオール・スタンジ筆

2019年10月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/the-memo/466013-five-takeaways-from-the-democratic-debate-in-ohio

火曜日に第4回アメリカ大統領選挙民主党予備選挙候補者投函買いが開始された。オハイオ州ウエストヴィルで12名の候補者たちが争った。

火曜日の討論会の5つのハイライトは何だろうか?

●ウォーレンは批判の矢面に立つ(Warren in the firing line

エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は最近の各種世論調査でトップに躍り出ている。ライヴァルたちが彼女をターゲットにして攻撃したことで、ウォーレンは新たな先頭走者になったのだということが強調される結果となった。

他の候補者たちは彼女の勢いを弱めなければと躍起になった。

インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジ(民主党)とエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)は候補者たちの中で、最もウォーレンを攻撃した候補者ということになる。ブティジェッジとクロウブッシャーは討論会の冒頭からウォーレンを攻撃し、それからカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)とビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)が攻撃に加わった。

ウォーレンは攻撃によって崩れることはなかった。しかし、彼女はこれまで経験したことないほどに防御に回った。

彼女の「メディケア・フォ・オール」計画について、ブティジェッジはこの計画では選択を制限するものだと主張した。一方、クロウブッシャーは計画の財源には税金の引き上げも含まれるとウォーレンが認めることを拒絶しことを攻撃した。

税制についてウォーレンは、「有権者はコスト全体について懸念を持っている、税金が上がってもそれは相殺される、何故なら民間保険の保険料を支払う必要がなくなるからだ」と主張している。この主張は論理的には正当化できる。ライヴァルたちは、ウォーレンの税金についての曖昧に見えるところを利用して攻撃するようになる。

マサチューセッツ州選出連邦上院議員であるウォーレンは、討論会が進むにつれて、より過ごしやすそうにしているように見えた。「民主党には“アメリカが抱える深刻な諸問題をおざなりにする“のではなくより野心的な政策が必要なのだ」というウォーレンの基本的な立場は進歩主義的な考えを持つ有権者を惹きつけている。

ウォーレンは最初に批判の集中砲火を浴びたがうまく生き延びた。しかし、選挙に関心を持つ人々は、火曜日の夜の討論会での集中砲火によって彼女の前進が遅くなっているのかどうか、これから出てくる世論調査の数字を注目している。

●バイデンにとっては再び悪夢の夜となった(A bad night for Biden — again

これまでの3回のジョー・バイデン前副大統領の討論会でのパフォーマンスは良くないものだった。これが問題であった。そして、火曜日の夜でもこのような流れを覆すことができなかった。

76歳のバイデンはウエストヴィルにたくさんある小麦の収穫後の刈り後に溶け込んでいった。バイデンにスポットライトが当たりながらも、彼の答えはまたもことごとく平凡で鋭さやパンチ力に欠けるものとなった。

バイデンはバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)よりも2歳若いが、バイデンの答えはことごとくより時代遅れの言葉が使われ続けた。火曜日、バイデンは「株式市場で多くの債権をクリップしている(clipping coupons in the stock market)」人々について語ったが、この表現は数十年前に使われていたが、今は使われていないものだ。

バイデンの支持者たちは、「バイデンへの支持はより年齢の高い、より中道派の民主党員からのもので、トランプを倒すための最強の候補者だ」と主張するだろう。

火曜日夜の討論会でのバイデンのパフォーマンスは場を支配するとは程遠いものだった。

●バーニーの復活、AOCの助けを借りて(Bernie bounces back — with AOC’s help

今回の討論会でサンダースには彼の健康について真剣な疑問が寄せられた。78歳になるサンダースにとって心臓発作で倒れてから初めての大きな舞台への登場が討論会だった。

サンダースはこのような懸念を、いつも通りの激しいパフォーマンスをすること払しょくした。熱意やスタミナが欠けている兆候は微塵もなかった。

長年民主社会主義者であることを貫いてきたサンダースの勢いをつける最大の要素が討論会の会場の外からもたらされた。

ウエストヴィルでの討論会が終わりに近づく中、『ワシントン・ポスト』紙が速報として、サンダースに対して、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)が土曜日にニューヨーク市のクイーンズ地区での集会で推薦することを発表するだろうと報じた。それからすぐに、イルハン・オマル連邦下院議員(ミネソタ州選出、民主党)とラシード・タリブ連邦下院議員(ミシガン州選出、民主党)も彼を支持することになるだろうというニュースが流れた。

オカシオ=コルテス議員からの推薦というニュースは火曜日の討論会の壇上で起きたいかなることもよりも大きなニュースとなった。左派のアイコンで若手のオカシオ=コルテス議員からの推薦それ自体は何も驚くべきことではない。2016年の大統領選挙で、オカシオ=コルテス議員はサンダース陣営のヴォランティアのオーガナイザーをしていた。オカシオ=コルテス議員の推薦がこれ以上にないタイミングで報じられたことで、サンダース選対は熱狂に包まれた。これはウォーレンにとっては失望となるだろう。それはオカシオ=コルテス議員は以前ウォーレンを称賛したこともあったからだ。

●ブティジエッジは上昇局面を掴んだ(Buttigieg seizes his moment

ブティジェッジは火曜日の討論会で唯一素晴らしい出来だった候補者だ。 彼はウォーレンを攻撃した。討論会において重要な序盤で素晴らしいパフォーマンスであった。彼はリベラル派以外の有権者ともつながることが出来る候補者として、彼の主張を幅広く主張できた。

ブティジェッジはこれまでテレビで有効なパフォーマンスをしてきた。そして政治献金集めで強さを見せている。

しかし、ブティジェッジはこれらの強みを世論調査の支持率の数字の上昇につなげることに苦労してきた。

37歳の市長であるブティジェッジの前には、ウォーレンとサンダースが代表している民主党内の進歩主義派に対抗する中道派の現実主義者としてバイデンを追い越すという大きな壁が立ちふさがっている。

ブティジェッジは火曜日には出にアピールすることが出来た。そして、バイデンが弱さを見せていることを利用し、それに突けこむことが出来た。

●ハリスのウォーレンに対する攻撃は不発だった(Harris misfires with Warren attack

ハリスは6月末にマイアミで開催された初めての候補者討論会で輝いた。しかし、それ以降、支持率は下がっていった。

ハリスは火曜日の討論会の序盤で目立っていた。一般的な医療問題から女性の出産する権利に話題が転換するときに彼女は議論をリードした。これはホール内の観衆を感動させ、おそらく民主党支持の有権者たちの多くも感動させるものだった。

ハリスにとって悪い意味で目立ってしまったのは、それからあとのトランプ大統領のツイッターアカウントを話題にしてのウォーレンとのやり取りだった。

ハリスは、ウォーレンに対して、「私がトランプ大統領にSNSの使用を禁止させようとしていることにあなたが支持を表明していないのはどうしてですか」と攻撃をかけた。しかし、ウォーレンはハリスからの攻撃に対して、「私はトランプをホワイトハウスから追い出すことに集中しています。ツイッターからだけのことではないのです」と述べてハリスの攻撃を軽く退けた。

ハリスはあくまでウォーレンと対峙することにこだわったが、その結果はウォーレンよりもハリス自身にマイナスとなった。カリフォルニア州選出連邦上院議員ハリスは狭量でけち臭く見えた。

ウォーレンとのやり取りは、余裕がないように見えたハリスにとって良くない瞬間だった。

=====

ウォーレンは討論会において発言時間でリードした(Warren leads in speaking time during debate

ジャスティン・コールマン筆

2019年10月15日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/466009-warren-leads-in-speaking-time-during-debate

エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は、火曜日の第4回のアメリカ大統領選挙民主党予備選挙候補者討論会において発言時間で候補者たちをリードした。

CNNの発言時間測定者によると、ウォーレンはトップ集団に入っている候補者であるが、ライヴァルたちから頻繁に攻撃され、それに対する反論する時間が与えられたので3時間の討論会において約23分の発言時間が与えられた。ジョー・バイデン前副大統領はウォーレンよりも6分半短い、16分半の発言時間が与えられた。今回の討論会はCNNと『ニューヨーク・タイムズ』紙が共同で主催した。

キュニピアック大学の世論調査の最新結果では、ウォーレンはバイデンに対して3ポイントの差をつけている。デラウェア州選出の連邦上院議員だったバイデンをウォーレンがリードするという結果が出る世論調査がいくつかあり、今回の世論調査はその1つだ。

ウォーレンはマサチューセッツ州選出の連邦上院議員であり進歩主義派だ。最近の各種世論調査で支持率を上げている。ウォーレンの「メディケア・フォ・オール」計画と富裕層への増税に対して批判が集中した。ウォーレンは名指しで批判されたので、司会者たちは彼女に反論の機会を与えたので、彼女の発言時間は増える結果となった。

エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)、ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジは約13分間の発言時間が与えられた。

カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は12分半の発言時間が与えられ、コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州、民主党)には12分弱の発言時間が与えられた。

IT実業家アンドリュー・ヤン、前住宅・都市開発長官フリアン・カスロト、トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)、大富豪のトム・ステイヤーの発言時間は10分以下だった。社会事業家でもあるステイヤーは選挙戦出馬が遅くなり、今回が初めての討論会参加となった。ステイヤーが候補者の中で発言時間が最も短く、7分強だった。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 アメリカ大統領選挙民主党予備選挙は、ジョー・バイデン前副大統領、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)の3人に絞られつつある。各種世論調査の結果を見ても、この上位3人以外の候補者の支持率の数字は1桁ばかりで、資金力や組織力、知名度を考えるとこの3名に絞られる。
2019presidentailelectiondemocraticcandidatespoll20190918001

 4位につけるカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は支持率を落としている。上位3名はバイデンが中道右派、サンダースが左派、ウォーレンが中道左派(左派がより強い)という立場を明確にしている。ハリスは左派のようなことを言ってみたり、中道派のようなことを言ってみたりで立場が明確ではない。せっかく1回目の討論会でバイデンを厳しく攻撃して支持率を上げ、政治資金集めもうまくいったのに、その流れを保つことが出来なかった。
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 他の候補者たちも支持率を上げられない中で、実業家トム・ステイヤーは出馬宣言こそ遅かったが、現在、早期に予備選挙が実施される各州で選挙運動を集中して行い、支持率を挙げている。ステイヤーは9月の討論会の参加資格「支持率2%以上を4回以上記録」で3回は記録したが、1回足りずに討論会に参加できなかった。しかし、10月に関しては9月と参加条件が同じで残り1回を満たしたので参加できる。しかし、ステイヤーの全国規模での数字は上がっていない。私が注目しているトゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は9月の討論会参加資格で、支持率2%以上が後2回足りなかったために討論会に参加できなかった。10月の討論会に関しては、あと1回というところまで来ているが、こちらもなかなか支持を伸ばすのに苦労している。
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2019presidentialdemocraticcandidatessupportrates20190916001 

アンドリュー・ヤンは、「18歳以上の全国民に毎月1000ドルを支給する」というベイシック・インカム政策を出馬宣言から一貫して主張して、このところ支持率を挙げている。このブログでも既にお知らせしているように、民主党全国委員会は9月、10月の大統領選挙民主党予備選挙候補者討論会の参加基準を大幅に引き上げた。そのために20名ほどいる候補者のうち、9月の討論会に参加できたのは10名だった。その10名の中にアンドリュー・ヤンは入った。現役の連邦議員でも基準をクリアできず、参加できなかったり、予備選挙からの撤退を発表したりする中で、政治経験のないヤンが10名の中に入ったというのは快挙だ。討論会に続けて参加できない候補者は「非有力」「負け犬」候補というイメージを持たれてしまうので、出続けることが重要だ。 

 民主党予備選挙では、民主党支持の有権者たちは「現職のトランプ大統領に勝てるのか」という「当選可能性(electability)」があるのかどうかを注目している。その点で、アメリカ国民の多くが過激だと考えるサンダースは支持を集めることは難しい。「今回の選挙は勝てなくてもいいや」と有権者が考えれば、過激でもはっきりとした政治的主張を持っている候補者が党の指名候補になるが、今回はそうではない。トランプ大統領は不人気だから、次は落選させられると民主党支持の有権者は考えている。

 しかし、残念ながらバイデンを含めて、民主党の候補者は弱い。バイデンは高齢ということもあり言い間違いなどが多く、また、他の候補者たちから狙い撃ちをされてしまう。バイデンの最大の売りが「オバマ大統領の時の副大統領」ということで、「昔は良かったね」という有権者の郷愁が支持の原動力だ。だから、何かを大きく変えるというようなことは言わない。バイデンは連邦上院議員を長く勤めていたので、そもそも何かを大きく変えることはできないし、現実的ではないと考えている。

 現実的という言葉も重要で、サンダースやウォーレンの公約に対して、「現実的ではない」「実現不可能だ」という批判がある。連邦上院は共和党が過半数を占めている現状では、増税を伴う政策の実現は不可能だ。連邦上院は州の面積や人口に関係なく、各州2人ずつが選出され、任期は6年、2年おきの選挙で約3分の1ずつが選挙される。連邦下院議員は2年の任期で2年おきの選挙で全員が選挙される。選挙区は人口の大きさで区分され、人口が多い州ほど選出される議員数は多い。 

農業州や田舎の州が共和党の支持基盤であり、連邦下院議員の選出数は少ないが、連邦上院議員数は人口が多い州とも同じなので、共和党に有利な制度になっており、共和党が連邦上院で過半数を握りやすくなっている。連邦議会は捻じれが起きやすくなる。

 バイデンは長年のワシントン生活で共和党ともパイプを持っており、オバマ政権時代も、連邦議会で法案の通過が膠着状態に陥った際に、民主、共和両党の議員たちと話し合いを行い、根回しを行っていた。こうした根回しは副大統領の仕事だが、バイデンはこの根回しが上手だった。オバマ政権には、大統領であるオバマをはじめ、連邦上院議員経験者が多かった。

サンダースやウォーレンも連邦上院議員だが、サンダースは民主党会派には属しているが民主党所属ではない。ウォーレンは、「ケネディ王国」マサチューセッツ州選出であり、ケネディ家の支援も期待できる、民主党の王道の存在だ。ウォーレンが支持を伸ばしているのは、こうした背景もある。 

 民主党予備選挙は上位3名に絞られつつある。2位サンダース、3位ウォーレンが連携するかどうかで、状況は変わっていく。

(貼り付けはじめ)

バイデンは最新世論調査で支持率トップ、ウォーレンは僅差で2位につける(Biden leads in new national poll, Warren close behind in second place

ジョナサン・イーズリー筆

2019年9月17日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/461827-biden-leads-in-new-national-poll-warren-close-behind-in-second-place

NBCニュースと『ウォールストリート・ジャーナル』紙の最新の共同世論調査の結果では、ジョー・バイデン前副大統領は大統領選挙民主党予備選挙の候補者の中でトップにつけている。しかし、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)が僅差で2位につけている。

世論調査の結果は、バイデンの支持率が31%、ウォーレンの支持率は25%となっている。バイデンとウォーレンは支持率の数字を最も大きく上げた2人だ。バイデンは7月の調査から数字を5ポイント上げ、ウォーレンは6ポイント上げた。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)は支持率14%で3位につけているが、7月に比べて支持率の数字を1ポイント下げた。 

世論調査では、民主党支持の有権者たちはウォーレンの選挙運動を高く評価しているという結果が出た。35%の有権者が指名候補となったら彼女に進んで投票すると答えた。それに続くのがサンダースで25%、バイデンが23%となった。

ウォーレンは、ウォーレン以外の候補者を支持する有権者の第2選択肢の候補者となっており、21%がウォーレンを第2選択肢として名前を挙げた。ウォーレンに続くのがサンダースで16%、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジが12%、バイデンが11%という結果だった。

第1位の選択肢と第2位の選択肢のパーセンテージを合計すると、ウォーレンは45%でトップ、バイデンが41%で2位、サンダースが29%で3位となる。

上位3名以外に支持率10%を超える候補者はいない。

ブティジェッジは支持率7%で4位、続くカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)が5%IT関係の実業家アンドリュー・ヤンは4%だった。

ハリスの支持率は7月以来大きく下落している。8ポイントの下落は候補者の中で最大の下落幅である。

エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)とコーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)はそれぞれ支持率2%を記録した。それ以外の候補者は1%を超える支持率を獲得できなかった。

NBCとウォールストリート・ジャーナル紙の共同世論調査は、民主党の候補者討論会の参加資格対象の世論調査である。

トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)はあと1度、大正となる世論調査で2%以上の支持率を記録すると討論会への参加資格を得られるのだが、今回の世論調査では2%以上の支持率を獲得できなかった。

NBCとウォールストリート・ジャーナル紙の共同世論調査は民主党予備選挙に参加予定の有権者506名を対象に2019年9月13日から16日にかけて実施された。誤差は4.4ポイントだ。

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 世論調査:バイデンはサンダースに12ポイントを付ける、ウォーレンは3位につける(Poll: Biden holds 12-point lead over Sanders, Warren third

 レベッカ・クラー筆

2019年9月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/461615-poll-biden-holds-12-point-lead-over-sanders

月曜日に発表された最新の世論調査の結果、ジョー・バイデン前副大統領は2位のバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)に12ポイントの差をつけてトップに立っていることが分かった。

モーニング・コンサルト社が実施した世論調査の結果によると、バイデンは、候補者が絞られつつある民主党予備選挙において、予備選挙に参加予定の有権者の32%の支持を受けている。

サンダースは支持率20%で2位につけた。

ウォーレンは支持率18%で、サンダースに対して僅差の3位につけた。今回の世論調査の結果は、ここまでの数週間に発表された世論調査の結果とほぼ同様のもので、バイデン、サンダース、ウォーレンが明確に上位候補者として絞られ、トランプ大統領と戦う民主党指名候補に近い存在となっている。
上位3名だけが支持率2桁を記録している。
また、今回の世論調査の結果では、上位3名だけが早期に予備選挙が実施される各州での支持率が2桁を記録している。

アイオワ州、ニューハンプシャー州、サウスカロライナ州、ネヴァダ州といった早期に予備選挙が実施される各州での支持率を見ると、バイデンのサンダースに対するリードは13ポイントに広がっている。

モーニング・コンサルト社の今回の世論調査の結果では、サンダースのウォーレンに対するリードは8ポイントだ。ウォーレンの支持率は13%となっている。

モーニング・コンサルト社の世論調査は、自分の住む民主党予備選挙もしくは党員集会に参加予定の登録済有権者7487名を対象に2019年9月13日から15日かけて実施された。誤差は1ポイントだ。

早期に予備選挙が実施される各州での世論調査は341名の有権者に対して実施された。誤差は5ポイントだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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決定版 属国 日本論

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 古村治彦です。

 

 アメリカの中間選挙がいよいよ近づいてきました。今回は、今度の中間選挙のことも入りつつ、アメリカ政治全体について書かれた少し古い記事をご紹介します。

 

 アメリカ政治の特徴は、三権分立(Separation of government branches)であり、司法、行政。立法の各機関がそれぞれを抑制する、チェック・アンド・バランス(check and balance)の機能を持っているということです。これはアメリカの建国の父たち(Founding Fathers)が、独裁者や独裁的な党派がアメリカ政治を支配しないようにするということで設計したものです。

 

 アメリカの場合、面白いのは、選挙制度もいろいろとあるということ、そして、各州が国政選挙においてその選挙方法を決めることが出来るということです。アメリカ連邦下院議員選挙は2年ごとに全議席(435議席)が対象となります。人口に応じて選挙区が区割りされています。ですから、連邦下院議員が多く出る州と少ない州があります。

 

 連邦上院議員(100議席)の場合は、任期は6年、選挙はだいたい3分の1ずつ2年ごとにあります。これは選挙期間でも連邦議員が残るように設計されているもので、日本の参議院と似ています。連邦上院議員は各州2名ずつ、どんなに大きな州でも2名、どんなに人口が少ない州でも2名となっています。

 

 アメリカ大統領は4年ごとの選挙です。特徴としては、各州で割り当てられている選挙人(electors)を取り合うというものです。ある州で選挙人が10名と設定されている場合、A候補が得票率50.1%、B候補が49.9%だった場合、A候補が10名を全て取る、勝利者総取り(winner takes all)方式です。ここ最近起きたことは、全米の総得票数で負けた候補が選挙人数で勝利をするということです。2000年のジョージ・W・ブッシュ、2016年のドナルド・トランプがそれぞれ勝利した大統領選挙でこの現象が起きました。

 

 アメリカ政治の特徴としては、二大政党制(two-party system)もあります。民主、共和両党以外にも、小さな政党や地域政党もありますが、州レヴェル、国レヴェルで大きな勢力になるに至っていません。これは各選挙で選ばれるのが1名の小選挙区(single-member districts)ということも理由として挙げられます。モーリス・デュヴェルジェという政治学者は、選挙区における選ばれる議員数と政党の数には法則性があり、それを「n+1」だと主張しました。これをデュヴェルジェの法則と言います。アメリカは単純な小選挙区制ですから、n=1となり、政党数は2となります。大選挙区制や比例代表制であると、多党制になるということになります。

 

 以下の記事では、まず、現在の選挙制度は、都市部を基盤とする民主党よりも、地方を基盤とする共和党の方に有利になるようになっていると主張しています。確かに現在、民主党が強い地域はアメリカ東海岸と西海岸の大都市がある地域で、農業などが盛んな州は共和党が強いという図式になっています。また、地方レヴェルでは共和党が政治を牛耳っていることが多く、選挙区の区割りで共和党が有利になるように設定しているとしています。


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レッドステイト(共和党優勢)とブルーステイト(民主党優勢)

 五大湖周辺の工業地帯(ラストベルト)と呼ばれる地域は、これまで労働組合が強く、民主党が強いとされてきましたが、2016年の大統領選挙で、トランプ大統領が軒並み勝利を収めたこと、白人労働者たちがトランプを支持したことは日本でも数多く報道されました。

 

 21世紀に入ってのアメリカ政治の特徴は、民主、共和両党のつばぜり合いが激しくなり、お互いがお互いの主張を完全に拒絶するという、党派争いの色彩が濃くなっているということです。そうした中、人々は、よりどちらかの政党を支持する方向に進むか、どちらも支持しないかということになっています。現在では、「自分はどちらの政党も支持していない(independent)」という有権者が多くなっています。

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2014年の時点でどちらでもないが43% 

 トランプ大統領になって、この傾向はより強くなっているようですが、トランプ大統領の政策は党派争い自体をあざ笑うかのようなものとなっています。トランプ大統領は共和党所属の大統領ですが、彼の行っている政策、特に経済ナショナリズムに基づいた関税政策といわゆる貿易戦争は、民主党の主張そのものです。「普通の」共和党所属の大統領であれば、行わない政策です。奇妙なねじれ減少をトランプ大統領が生み出しています。

 

 もっと言うと、アメリカ国内では、二大政党制についての懐疑論が出ているようです。二大政党制のために、党派争いが強くなって、建国の父たちが目指した、大きな力を持つ存在が出ないように抑制しながら、合意に基づいて政治を行う、ということが出来ていないという考えです。そのために、大選挙区制(multi-member districts)と選好選挙(ranked-choice voting)を導入しようという主張も出ています。実現性は低いですが、これが実現すると、多党制が出現することになるでしょう。

 

 簡単に言ってしまえば、合意よりも党派争いに終始する、民主、共和の現在の二大政党に対する不満が出ているということだと思います。イギリスでもそうですが、二大政党制の本家、家元のような国々で二大政党制に対する懐疑論が出ていることは私たち、日本人もよく考えねばならないことだと思います。

 

 1990年代からの政治改革においては、二大政党制の実現が目指されました。しかし、二大政党制が本当に良い制度なのかどうか、についてよくよく考えてみる必要があります。

  日本では二大政党制は、「決められる」政治を実現するものとしてもてはやされました。しかし、二大政党制は党派性による分裂を激化させ、多数を獲得した政党の横暴を許してしまうというようなことが起きてしまいます。少数意見への侮蔑、無視を引き起こし、結果として政治を分極化し、社会までも分極化してしまう、社会の分極化が更に政治の分極化を誘発するという悪循環になってしまうこともあります。

 

 そもそも二大政党制下のアメリカでは、日本でイメージするような「決められる政治」は行われていません。連邦議会で可決され、大統領が署名することで成立する法律も、法案は、連邦上院、連邦下院のそれぞれの小委員会から始まって様々な過程を経ることで修正が加えられていきます。また、法案は途中で廃案になるものが多く、法律になるものは10%程度に過ぎないとも言われています。

 

 日本で言われているような即断即決、粗雑な多数決主義がデモクラシーではないということを私は認識しておくべきでしょう。

 

以下に、記事の内容を箇条書きしたものをご紹介します。

 

=====

 

・今年11月の中間選挙の連邦下院議員選挙(全議席改選)に関する世論調査では平均して、民主党が共和党を約7%リードしている。

 

・しかし、民主党が確実に過半数を制するということではない。民主党が総得票数で過半数を得て議会でも過半数を占める確率は70%、民主党が総得票数で過半数を得ても共和党が議会で過半数を占める確率は30%という結果が出ている。


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・この理由は、民主党はより少ない選挙区において大差で勝利し、共和党はより多い選挙区でより少ない票差で勝利するということが挙げられる(平均すると民主党は67%、共和党は63%の得票率で勝利する)。

 

・選挙区がこのような結果になるように設定されている、民主党支持者は都市部に密集して住んでいるということがこのような結果になる理由である。

 

・民主党が共和党と五分の議席を獲得するためには53.5%の得票を必要とするシステムになっている。

 

・過去3回の選挙では、共和党は民主党よりも獲得票数は少なかったが、54%の議席を獲得した。2014年の選挙では、共和党は51%の得票数で55%の議席数を得た。

 

・連邦上院の場合は100議席のうち、3分の1ずつを2年ごとに選挙している。連邦上院でも共和党が少ない得票数でそれに見合わない数の議席を得ている。これまでの6年間で見てみると、民主党が総得票数で共和党を6%上回ったが、両院において議席数では過半数を得ることが出来なかった。

 

・アメリカ憲法の起草者たちは、連邦上院に関して人口ではなく場所を代表するように制度設計した。

 

・アメリカ大統領選挙は「選挙人(electoral college)」制度となっている。これで、全体の得票数で上回った候補者を、小さい州を僅差で勝利した候補者が破るということが可能となる。

 

・人々が集まって住んでいる場所は民主党、離れて住んでいる場所は共和党が強い。このような傾向は問題だ。それは、アメリカ憲法が反政党的な憲法だからだ。


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象は共和党
 

・アメリカの建国の父たちは権力が集中しないように、牽制されるようにしたいと考えた。党派が格レヴェルの行政機関において党派で一致した行動がとれないように牽制したと考えた。

 

・初代大統領ジョージ・ワシントン、第二代大統領ジョン・アダムスは、二大政党制が彼らの建設しようとした政府を破壊するかもしれないと考えた。

 

・連邦上院を例にとると、全ての州が平等に代表を送ることが出来るようになっており、巨大な州が他の州を支配することはできない。しかし、これによって、少ない人口の小さい州が過大な代表を送っているということにもなる。

 

・このようなねじれた状況はあまり大きなインパクトを与えてこなかった。二大政党は都市部と地方で激しく争ってきた。

 

・人口密度と政治志向はより強い関係性を持つようになっている。人口の多い上位13州の連邦下院議員数は民主党121に対して、共和党73である。残りの州では共和党163に対して民主党72である。

 

・人口が少ない州に対して、人口が多い州は隷属しているということになる。これに対して、連邦下院議員では人口において議席数が各州に割り当てられているし、大統領選挙では影響力を持っているという反論もある。

 

・南北戦争後、人口と連邦上下両院の投票制度と投票数は大きく変化した。しかし、選挙人制度は維持された。人口の少ない州の選挙に与える影響力は維持されている。

 

・アメリカ合衆国憲法では選挙区の設定は各州の行うべきものとされている。そのためにゲリマンダーということが古くからおこなわれている。

 

・現在の民主党は都市部を基盤としているが、人口を基にした勝利者総取りの選挙システムは自分たちに不利だと分かっている。選挙区の区割りも自分たちに不利だと分かっている。州レヴェルでは共和党の方が優勢なためにこのようになっている。数が少ない都市部での選挙区で民主党は大差で勝利するが、共和党はそれ以外の選挙区で勝利して多数を占める。2012年の選挙の際の区割りの見直しにおいて、48%の選挙区は共和党によって設定し直され、民主党が行ったのはわずかに10%だった。

 

・民主党は以前のように都市部以外の地方にもアピールをすべきだ、そうすれば憲法が定める人口が少ない州への過大な代表数ということも問題にならないという反論がある。

 

・アメリカの人口分布と構成は大きく変化している。アメリカ人はこれまでの歴史の中で最も多い割合で都市部に住んでいる。都市部を基盤にし、都市部の人々の希望を叶えることが長期で有効な戦略である。もちろん健全な民主政治体制にとって良いことではないかもしれない。

 

・有権者の得票数によって大統領を選ぶこと、連邦上院のシステムを変えることには憲法の変更が必要となる。連邦上下両院で3分の2の賛成が必要なので現実的ではない。

・全州の3分の2の発議で憲法会議(constitutional convention)を開くことで憲法の変更が行える。

 

・選挙人制度の廃止については裁判所を通じてのやり方がある。勝利者総取りで選挙人が全て商社に取られるのは憲法違反だという訴訟が起こされている。

 

・2007年にメリーランド州において、「メリーランド州の選挙人は大統領選挙において全米の総得票数で多かった候補者に投票する」という州法(NPVIC)が可決成立した。それ以降11の州で同様の州法が成立した。現在、172名の選挙人がこの州法の制限下にある。選挙人数の過半数270の過半数を大きく超える数字だ。

 

・このような州法が成立したのは民主党が州の立法を握っている州だ。共和党の中にはこれは共和党にとってもメリットがあると考える人たちがいる。2004年から2012年にかけての大統領選挙では、北部と沿岸の州には「青い壁」があり、民主党に有利だと言われていた、2016年の大統領選挙で、トランプは北部州において総得票数では負けながら、選挙人を獲得できた。トランプが北部州に穴をあけたということになる。

 

・連邦下院の選挙区割りにおいてゲリマンダーが出来ないようにしている州が増えている。

 

・連邦下院議員ドン・ベイヤーは、連邦下院議員選挙に大選挙区と選好投票(複数の候補者に支持する順番に1、2、3・・・とつけていく)制度の導入を訴えている。これで有権者の意向がより反映されると主張している。

 

・ベイヤーは現在の議会でこの法案を通すことは不可能としている。しかし、全米各州や各都市で選好投票が導入されている。

 

・アメリカ政治における党派の衝突を選好投票は緩和すると考えられている。アメリカの建国の父たちは二大政党制を警戒していたが、憲法などで定められたルールによって二大政党制が確立された。

 

・アメリカの建国の父たちは法律が幅広い合意によってつくられることを望んでいた。強力な二院を持つ連邦議会と大統領が法律に合意する、連邦最高裁判所がそれらの法律の合憲性を担保するというものだ。二大政党制では合意に必ずしも高い価値は置かれない。政府が2つの政党によって分裂させられていると、建国の父たちが権力の抑制のために与えていた力をお互いの提案を拒絶するために使う。もし一つの党が統一的なコントロールの力を手に入れたら、権力の抑制を無視し、無力な野党に自分たちの意思を強制できる。

 

・19世紀、民主党とウィッグ党はそれぞれ奴隷制度廃止に賛成と反対の派閥に分かれた。これによって超党派の連合がより形成しやすくなった。

・南北戦争後、南部諸州の白人たちはエイブラハム・リンカーン率いる共和党を、南部を破壊したとして非難した。それから共和党への投票を拒絶して1世紀経った。これによって、民主党の連邦議員には人種分離主義者と保守的な南部出身者が入り、民主党と共和党はイデオロギー的に重なる部分があった。

 

・1960年代、民主党は人種的平等を主張するようになった。これによって共和党は南部諸州に浸透していった。2010年代までに南部諸州で白人が多い選挙区は一様に共和党が勝つようになった。

 

・支持基盤が再構成された民主、共和両党はイデオロギー上でますます離れるようになった。


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棒と棒の間が広がっている
 

・可決する法律の数が、1975年から1994年までの時期と1994年以降の時期で比べると40%も下がっている。

 

・改革は難しい状況にある。民主、共和両党は強力であり続けようとし、党派性の強い政治を維持しようとする。

 

・アメリカ社会はこれまでになく分裂している。党派争いの激しい政治はアメリカ社会の分裂の原因でもあり、結果でもある。

 

(貼り付けはじめ)

 

The minority majority

America’s electoral system gives the Republicans advantages over Democrats

The constitution was not designed for the two-party politics it unwittingly encouraged

 

Print edition | Briefing

Jul 12th 2018 | WASHINGTON, DC

https://www.economist.com/briefing/2018/07/12/americas-electoral-system-gives-the-republicans-advantages-over-democrats?fsrc=scn/tw/te/bl/ed/americaselectoralsystemgivestherepublicansadvantagesoverdemocratstheminoritymajority

 

 

WHEN pollsters ask Americans which party they plan to vote for in the elections for the House of Representatives this November, those preferring the Democrats lead those preferring the Republicans by around seven percentage points. But this does not mean the Democrats are a shoo-in to win the House. The Economist’s statistical model of the race for control of the House of Representatives—which uses this sort of “generic ballot” polling, along with other data—currently says that, although the likelihood of a Democratic majority in the popular vote is a remarkable 69.9%, the Republicans still have a 30% chance of holding on to the House (see chart 1).

 

The source of this discrepancy is that Democrats will win their seats with big majorities in fewer districts, whereas Republicans will prevail by narrower margins in a larger number of districts. In 2016 Democrats who beat Republican opponents won an average of 67.4% of the two-party vote in their districts, whereas Republicans who defeated Democrats received an average of 63.8%. This imbalance is partly due to deliberate attempts to create districts that provide such results, and partly just down to the fact that Democrats tend to live more tightly bunched together in cities. Together, these two factors put up quite an obstacle. According to our model, the Democrats need to win 53.5% of all votes cast for the two major parties just to have a 50/50 chance of winning a majority in the House.

 

If this imbalance were limited to a single chamber of the legislature, or a single election cycle, the Democrats’ frequent carping about a stacked electoral deck might sound like sour grapes. All electoral systems have their oddities. But changes in where Americans live and contradictions in their constitution—a document designed to work with many weak factions that has instead encouraged and entrenched an increasingly polarised two-party system—have opened gaps between what the voters choose and the representation they get in every arm of the federal government. In recent decades these disparities have consistently favoured the Republicans, and there is no reason to think that trend is going to change on its own.

 

In the past three House elections, Republicans’ share of House seats has been 4-5 percentage points greater than their share of the two-party vote. In 2012 they won a comfortable 54% of the chamber despite receiving fewer votes than their Democratic opponents; in 2014 they converted a 51% two-party-vote share into 55% of the seats.

 

Such comparisons are harder for the Senate, where only a third of the 100 seats are contested in any election. But adding together all the votes from the most recent election of each senator, Republicans got only 46% of them, and they hold 51 of the seats. According to research by David Wasserman of the Cook Political Report, an electoral-analysis site, even if Democrats won the national vote by six percentage points over a six-year cycle, they would probably still be a minority in both houses.

 

That the Senate should be disproportionate would not have disappointed the men who wrote America’s constitution. They wanted it to represent places, not people, and there is a case for that; other constitutions, such as Germany’s, look to ensure regional representation in their upper house. But when it comes to its presidency, America stands alone.

 

In all the world’s other 58 fully presidential democracies—those in which the president is both head of state and head of government—the winning candidate gets the most votes in the final, or only, round of voting. But due to the “electoral college” system that America’s founders jury-rigged in part to square the needs of democracy with the demography of slavery, this does not hold true for America. States vote in the college in proportion to their combined representation in both houses of Congress. This set-up means that a candidate who wins narrowly in many small and smallish states can beat one who gets more votes overall, but racks most of them up in big majorities in a few big states.

 

During almost all of the 20th century this did not matter much; the candidate who got the most votes won every election from 1896 to 1996. But both of the past two Republicans to win the presidency have received fewer votes when first elected than their Democratic opponents did. In the contest between Al Gore and George W. Bush in 2000, this margin was a modest 0.5 percentage points. In 2016, however, it was substantial: Hillary Clinton’s lead of 2.1 percentage points was larger than those enjoyed by the victorious John F. Kennedy in 1960, Richard Nixon in 1968 and Jimmy Carter in 1976.

 

Is a dream a lie if it don’t come true?

 

America’s various disproportional representations are the result of winner-takes-all voting and a two-party system where party allegiance and geography have become surprisingly highly correlated. Places where people live close together vote Democratic, places where they live farther apart vote Republican (see chart 2). Under some electoral systems this would not matter very much. Under America’s it has come to matter a lot, in part because of an anti-party constitution.

 

America’s founders wanted power to be hard to concentrate, and for people who held some powers to be structurally at odds with those who held others. To this end they created a system in which distinct branches and levels of government provided checks and balances on each other. They hoped these arrangements would be sufficient to hobble any factions which sought to co-ordinate their actions across various levels and branches of government. The first two presidents, George Washington and John Adams, both warned that a two-party system, in particular, would be anathema to the model of government they were trying to build.

 

Aware that they could not solve the problem of parties altogether, the founders thought the constitution would at least ensure that they were reasonably numerous and ineffectual. But some of the features they built into it inadvertently encouraged politicians to concentrate themselves into just two blocs. And some of the mechanisms they put in place to guard against other concentrations of power went on to exacerbate the problems that such a two-party system can cause.

 

Take the Senate. To make sure the largest states do not dominate the rest, the constitution provides equal representation for all the states, large and small alike. This builds in an over-representation for people in small or sparsely populated places.

 

For most of the country’s history, that bias had only a modest impact. The parties the founders feared competed strongly with each other in both urban and rural areas. Recently, however, population density has become a strong proxy for political preferences. Today the 13 most densely populated states have 121 Democratic House members and 73 Republican ones; the remainder have 163 Republicans and 72 Democrats. According to data compiled by Jonathan Rodden of Stanford, nearly half the variance in the county-level vote shares in the presidential election of 2016 could be explained solely by their number of voters per square kilometre. Now that the rural has a party, a constitution that favours the rural favours that party.

 

The constitution’s tipping of the scales towards small states was not limited to those with small populations in absolute terms. It also applied to those with a small number of voters compared with the size of their population: that is, states in which much of the population was enslaved. These states argued that their slave populations should count towards their allocation of seats in the House and the weight given to their preferences when choosing a president; the other states resisted. A compromise was struck whereby, when it came to the assignment of political power, a slave counted for three-fifths of a free man or woman.

 

This odious arithmetic required the creation of an electoral college for the presidency, since it divorced the power of a state’s votes from the number of people actually casting them. And the founders required an absolute majority in the college to elect a president—if no candidate received over 50% of electoral votes, the choice fell to the House. This created an incentive for the formation of nationwide parties whose candidates could win the necessary majority, thus encouraging the development of a two-party system.

 

The constitution does not specify how states must allocate their electors—conceivably, states could have split their votes according to the proportion of the vote cast in that state for each candidate. But in order to maximise their influence over the final result, all but two of the states wound up casting their electoral votes on a winner-takes-all basis. As a result smaller parties could not amass any electoral votes at all, which locked in the two-party model.

 

The hard edge that you’re settling for

 

After the civil war, population and voting were, in principle if not in Jim Crow practice, aligned. But the electoral college persisted, and with it a second formal bias towards low-population states, though not as marked as the one in the Senate. As of the census of 2010, the five most rural states wielded about 50% more electoral votes, and three times as many senators, per resident as the five most urban ones did.

 

True to the ideal that power should be dispersed, the constitution makes the drawing of districts for House elections a matter for the states. But once there were national parties that competed for state office, too, governors and state legislatures lost little time in drawing up districts specifically designed to improve their party’s chances on the national stage. This gerrymandering is not a new phenomenon; it got its name in 1812.

 

In the run-up to an election held in 1841, the Democrats running Alabama chose to use a voting system in which all five representatives would be elected statewide, ensuring an all-Democrat delegation. Fearful of similar setbacks elsewhere, the Whig majorities in both houses of Congress passed a law requiring all states to use winner-takes-all, single-member districts. In 1932 a Supreme Court ruling enabled states to reinstate statewide elections for House members, and many did. But in order to prevent southern states from denying representation to black voters Congress restored the single-member-district requirement in 1967.

 

As a party of the cities, today’s Democrats would find themselves at a disadvantage in any geographically based winner-takes-all electoral system in which receiving 99% of the vote is no better than getting 51%. But gerrymandering adds to the disadvantage. Republicans run more state governments than Democrats do, in part because in state legislatures, too, the Democrats concentrated in cities tend to win bigger majorities in fewer districts. That gives the Republicans more opportunities to game the system: in the 2012 redistricting cycle, the boundaries of 48% of House districts were drawn entirely by Republican officials, compared with just 10% by Democratic ones.

 

One response to all this is to say that the problem is the Democrats’ to solve. They used to appeal outside the cities, towns and denser suburbs; if they were to do so again the constitutional bias towards less populated places would no longer trouble them. But although this may seem like sound politics, it is more to wish away, or paper over, the problem than to solve it. The distribution and make-up of America’s population really has changed. More people live in cities than have ever done so before, and they want, and believe in, different things from those who don’t. Adapting policies to appeal to an ever-shrinking share of the population—just 19% of Americans lived in rural areas in 2016, down from 25% in 1990 and 36% in 1950—against the wishes of the party’s urban base cannot be a stable long-term strategy. Nor is it a recipe for a healthy democracy.

 

An alternative would be to try to make the system equitable given today’s aligned ideological and geographical polarisation. This is not easy. Creating a directly elected presidency or restructuring representation in the Senate would require changing the constitution, and just now the idea of an amendment aimed at either of these goals receiving assent from two-thirds of both houses of Congress is implausible. That said, there is another mechanism for tabling an amendment: a constitutional convention called by two-thirds of the states. This route has never been used, but activists for a balanced-budget amendment have signed up 28 of the 34 states they need for such a convention. If it were ever to be held, other amendments might possibly be tabled there, too, including perhaps some that reform the voting system.

 

Absent that wild card, though, most efforts at reform are aimed below the constitutional threshold. On the electoral college, activists think they have found paths to abolition that not only fit within the constitution’s constraints, but do not even require action by Congress.

 

One of these runs through the courts. A campaign led by Lawrence Lessig, a law professor at Harvard, and David Boies, an eminent trial lawyer, has filed suits in four states arguing that the winner-takes-all allocation of their electoral-college votes is unconstitutional. If all a state’s electoral-college votes go to a candidate supported by just 51% of that state’s voters, they argue, the other 49% have in effect been disenfranchised. How this argument fares has yet to be seen. But to achieve its goals it would need to be upheld by the Supreme Court. Invalidating the voting procedure used for most of American history by the vast majority of states would be a big step for the court—especially given its current conservative make-up.

 

A path that may prove easier makes use of state legislation. In 2007 Maryland passed the National Popular Vote Interstate Compact (NPVIC), a law that obliges the state’s presidential electors to vote for the winner of the nationwide popular vote rather than the victor in their state—so long as states representing an overall majority of the electoral college have approved an identical bill. Eleven states have since followed Maryland’s lead. The NPVIC now has 172 electoral votes committed, over halfway to the magic number of 270—a majority in the college.

 

Just cut it loose

 

So far, the compact has become law only in states with Democratic legislatures. But some Republicans see its merit, too. In the presidential elections of 2004, 2008 and 2012, the disposition of states in play meant that the Democratic candidate would have won the electoral college had the national popular vote been tied, and a “blue wall” of northern and coastal states was said to give Democratic candidates an inbuilt advantage. The holes Donald Trump kicked in the rusty northern bit of that wall, and his coupling of an electoral-college win with a popular-vote defeat, has understandably dampened Republican enthusiasm. But John Koza, the leader of the NPVIC effort, says that as of last year 153 of the 156 Republican state legislators who sponsored NPVIC bills in 2016 are still on board. Last year Saul Anuzis and Michael Steele, the former chairmen of the Michigan and national Republican parties, wrote that the NPVIC was “an idea whose time has come”.

 

The House, too, could be reformed without any constitutional amendment. Again, the legal route looks hard. The Supreme Court sent challenges to various forms of gerrymandering back down to the lower courts in its recent term, rather than issuing a firm ruling. Brett Kavanaugh, Mr Trump’s recently announced nominee to the court, would probably, if confirmed, be less likely to restrict the practice than the departing Anthony Kennedy was.

 

But this has been a banner year for anti-gerrymandering ballot initiatives which bypass governors and legislatures and their party allegiances. In May, Ohio voters approved a measure making it harder for the state legislature to draw up partisan districts. In November voters in Colorado, Michigan, Missouri and Utah will be able to vote for reforms that either make redrawing districts a bipartisan business or outsource it to non-partisan commissions.

 

A more ambitious initiative, if one that is less likely to see short-term success, has been introduced in the House. Don Beyer, a Democratic congressman, has sponsored a bill mandating the nationwide adoption of multi-member districts and ranked-choice voting (RCV), a system used in Australia, Ireland and Sri Lanka. Under Mr Beyer’s proposal, voters would not choose a single candidate, but rank the candidates standing by order of preference until reaching someone whom they did not want to support under any circumstances. When the ballots were counted, the contender with the fewest first-choice votes would be eliminated, and his or her support reallocated to those voters’ second choices. This would then be repeated until the field was reduced to the required size—between three and five representatives, depending on the seat. The system is broadly, though not entirely, proportional. It also tends to ensure that candidates acceptable to a broad swathe of voters are rewarded for that breadth.

 

Mr Beyer says he knows his bill will not pass in today’s Congress. But in June Maine became the first state to use RCV for primaries for Congress and the governor’s race. Various cities—including, recently, San Francisco—have started to use it. In Utah, one of the most Republican states in the country, the lower chamber has passed a bill mandating RCV in elections, though it failed to get out of committee in the state senate. It is hardly a groundswell of support—but it is more than there was.

 

And unlike other proposals for making voting more representational, RCV might go some way to dampening down the dynamics that have made American politics so partisan. The way in which the voting system fails in a country where party and geography align is, after all, just one part of a bigger problem: a constitution that was set up to work with something other than the two-national-party system that the founders wanted to avoid but which, due in part to the voting rules they imposed, captured their country.

 

The founders wanted to ensure that laws would command broad consensual approval: two powerful houses of Congress and the president had to agree on them, the Supreme Court had to underwrite their constitutionality. In a two-party system consensus is not highly valued, and ways of thwarting it are easily found. If government is divided between the two parties, they can use the checks and balances the founders provided to veto each other’s proposals, preventing policies from being enacted even if they might, on their merits, draw consensual support. If one party secures unified control, it can ignore the checks and balances and impose its will on the temporarily powerless opposition, consensus be damned.

 

When parties are broad churches, and when there are causes that, for at least some of their members, matter more than party unity, these problems are minimised. And that is how it was for much of American history. In the early 19th century both Democrats and Whigs were divided into pro- and anti-abolition factions, which made bipartisan alliance easier. After the civil war white Southerners blamed Abraham Lincoln’s Republicans for laying waste to their homeland, refusing to vote for them over the subsequent century. That filled the Democratic Congressional delegation with segregationist and conservative Southerners, producing two parties with considerable ideological overlap. According to Sarah Binder of George Washington University, in the mid-20th century the voting records of over 30% of federal legislators were closer to the overall centre than they were to the midpoints of those representatives’ political parties.

 

But in the 1960s the Democratic Party embraced racial equality. Over the generation which followed, the Republicans were able to take the South from it. By 2010 congressional delegations from white districts in the South were uniformly Republican. The realigned parties became much more ideologically distinct (see chart 3). The voting record of the most liberal Republican is now far to the right of that of the most conservative Democrat. Ms Binder’s numbers show that the “moderates” in Congress can now be counted on one hand.

 

The result has been a great deal of gridlock—aided, in the Senate, by filibusters that used to be rare and are now the norm. Congress has approved around 40% fewer laws per session since 1994 than it did from 1975-94. The baleful equilibrium is punctuated, when control of the various branches aligns, by spurts of partisan lawmaking. At present, the main check on the Republican use of that dominance is their internal division. Since 2010, majority-party leaders have generally refused to bring legislation to the floor that does not command a majority of their own party. As William Connelly of Washington & Lee University writes, “intra-party factionalism curbs the excesses of inter-party factionalism”—but it exacts a cost in stasis.

 

Poking that dog with a stick

 

This is not a situation open to easy reform; nor would all want to reform it. Parties try to become strong, and remain strong, for perfectly understandable political reasons. Strong parties can be a boon, though the balance of benefit to risk is better in a system designed with them in mind. And American society is divided in ways it was not before; its partisan politics are in part a cause of that—but in part, too, a consequence of it.

 

An electoral system that has its thumb on the scales, though, is harder to defend. And measures to redress that electoral bias through greater proportionality in the voting system might also help with the broader issues of political division. Systems with elements of proportional representation, such as that sought by reformers of the electoral college or House districts, not only provide bulwarks against charges of illegitimacy. They also have a tendency towards consensus of the sort the founders wanted. There is a reason why, when choosing their own constitutions, no other country has for long survived with a replica of the American model—and why when guiding the design of constitutions for others, as they did in post-war Germany and Japan, Americans have always suggested solutions quite unlike the one under which they live.

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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