古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:アレクサンドリア・オカシオ=コルテス

 古村治彦です。

 8月17日から20日にかけてヴァーチャルで民主党全国大会が実施された。党の綱領が決定し、ジョー・バイデン前副大統領を大統領選挙本選挙候補者に、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)うぃ副大統領候補者にそれぞれ指名した。共和党全国大会も実施され、ドナルド・トランプ大統領、マイク・ペンス副大統領がそれぞれ党の候補者に指名され、選挙戦が最終盤を迎える。

 民主党全国大会では、様々な人物が演説を行った。バラク・オバマ前大統領、ミシェル・オバマ夫人(前ファーストレディ)、ビル・クリントン元大統領などが演説を行った。そうした中で、民主党進歩主義者を代表するバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州、無所属)も演説を行った。その中で、サンダースはバイデン支持を明確に表明し、自分の支持者たちにバイデンを支持するように訴えた。

 全国大会の慣例として、予備選挙で一定数の代議員を獲得した候補者に対しては推薦の言葉を支持する人物が述べることができ、サンダースはその対象者となり、サンダースを推薦する言葉はアレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)が90秒間述べることを許された。

 今回の全国大会については、ラティーノ系(ヒスパニック系)の起用が少なかったという批判が出ていることは既に紹介したが、進歩主義派に対しても冷遇であったと私は感じた。AOCは民主党所属の政治家の中でも特に人気と知名度が高く、行動力もある。全国大会を多くの人々に見てもらいたいと思うならば、AOCにもっと長く自由な発言の機会を与える、そのことを広報する(何時ごろ出ますよと知らせる)、と私は考える。しかし、そんなことはなかった。

 ある意味では今回の全国大会はしゃんしゃん大会ということになる。しかし、進歩主義派はそれに満足している訳ではない。党の綱領について、「国民皆保険の道筋が不明確」としてAOCの同僚である進歩主義派の連邦下院議員たちが反対票を投じると述べていたように、不満は残っている。

 民主党内部の亀裂の修復への道のりは長くそして険しい。

(貼り付けはじめ)

サンダースが支持者にバイデン支持を促す:「失敗の代償は想像を絶するものとなる」(Sanders urges supporters to back Biden: 'Price of failure is just too great to imagine"

ジョーデイン・カーニー筆

2020年8月17日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/senate/512451-sanders-urges-supporters-to-back-biden-price-of-failure-is-just-too-great-to

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は月曜日夜、予備選挙で自身を支持した支持者たちに対して、ジョー・バイデン前副大統領を支持するように促した。そして、そうしなければ進歩主義的な価値観が11月には危機に瀕することになると警告を発した。

サンダースはヴァーチャルな民主党全国大会に参加し、演説を行った。その中で、トランプ大統領は「私たちを権威主義(authoritarianism)の奈落に続く道の上に導いている」とし、民主党が11月の選挙で敗れれば、「その失敗の代償は想像を絶するものとなる」と述べた。

ヴァーモント州選出の連邦上院議員であるサンダースは、「次の大統領として、私たちはジョー・バイデンを必要としている。ドナルド・トランプが再選されれば、私たちが成し遂げてきた前進の全ては危機に瀕することになるだろう」と述べた。

サンダースは次のように語りかけた。「私の友人の皆さん、私は皆さんに申し上げます。そして、今回の予備選挙でバイデン前副大統領以外の候補者たちを支持した皆さんにも申し上げます。そして、前回の選挙でドナルド・トランプに投票した皆さんにも申し上げます。我が国の民主政治体制の将来がかかっているのです。我が国の経済がどうなるか危機に瀕しているのです。私たちの住む惑星の将来がどうなるか、この選挙にかかっているのです。私たちは一つになり、ドナルド・トランプを倒し、ジョー・バイデンとカマラ・ハリスを私たちの次の大統領と副大統領に選ばねばなりません」。

月曜日夜のサンダースの演説は、今年4月に民主党予備選挙から撤退してすぐにバイデン支持を表明して以降、人々に最も見られる機会になった。

演説中、サンダースは、2016年と2020年の大統領選挙予備選挙で支持者たちがもたらしてくれた数々の勝利について特に言及し、支持者たちは「アメリカを大胆な新しい方向に進めるために団結」し、「その動きは今も継続し、毎日強さを増している」と述べた。

サンダースは特にバイデンが最低時給を15ドルにまで引き上げること、労働組合への支持、気候変動と戦いことを表明したことを強調した。これはここ数年民主党内の進歩主義派が主張してきたことの勝利を示していると述べた。

健康保険に関して合意書に署名ができなかったことについて、サンダースは、彼とバイデンは「国民皆保険実現のための最高の道筋」について合意はできなかったが、バイデンは、「健康保険の範囲を大きく拡大するための計画を用意している」と述べた。

サンダースは次のように述べた。「私たちはより平等な国家を建設しなければなりません。より思いやりにあふれ、より人々を見捨てない、そんな国です。ジョー・バイデンは大統領就任初日からそのための戦いを始めると確信しています」。

しかし、サンダースは約8分間の演説を行った。全国大会の中では最長の演説の部類に入る。サンダースは11月の選挙とトランプとバイデンとの間の選択を、アメリカの将来のための戦いと形容した。

サンダースは次のように述べた。「今回の選挙は我が国の近代史において最重要なこととなるでしょう。私たちはこれまでにないほどの一連の危機に直面していますが、私たちはこれまでにない対応をする必要があります。これまでにない人々の動きは民主政治体制と慎み深さを守るための準備を既にしています。この戦いは、強欲、オリガ―キー(少数独裁政治)、権威主義体制に対する戦いなのです」。

サンダースは更に、「このトランプ政権の下で、権威主義が私たちの国に根を下ろしつつあります」と述べ、バイデンは、「白人優越主義者たちを甘やかすこと、人種差別的な言葉遣い、宗教的な頑迷、女性に対する醜悪な攻撃」を終わらせると主張した。

進歩主義派を代表し激しい言葉遣いで知られるサンダースは、同僚である民主党の政治家たちを攻撃してきた。しかし、その舌鋒をトランプ大統領の数カ月にわたる新型コロナウイルス感染拡大対策に向けた。トランプ大統領は民主、共和両党の人々から新型コロナウイルス対応の遅さを批判されている。これまでに17万人以上のアメリカ国民が死亡し、500万以上の陽性が確認されている。

サンダースは、「ローマが炎に包まれている間、皇帝ネロは遊び惚けいていた。トランプはゴルフをしている」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 民主党全国大会が新型コロナウイルス感染拡大を考慮してオンラインで開催され、党の綱領が採択されるとともに、11月の大統領選挙の候補者としてジョー・バイデン前副大統領、副大統領候補にカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)が指名された。

 民主党の課題は党内融和である。具体的には、民主党主流派・エスタブリッシュメントと、進歩主義派との間の対立を緩和することである。しかし、ここにきて、「ラティーノ系(ヒスパニック系)がないがしろにされている」という不満が出ている。ヒスパニック系とは、スペイン語を話す人々を指すが、中南米からの移民ではポルトガル語やフランス語を話す人たちもおり、そうした人々を含める言葉がラティーノ(女性系はラティーナ)となる。
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フリアン・カストロ
 オバマ政権で、30代の若さで住宅・都市開発長官を務めたフリアン・カストロ(元テキサス州サンアントニオ市長でもある)が民主党内に多様性が反映されていないという批判を行った。カストロは2016年の大統領選挙では、民主党の大統領候補となったヒラリー・クリントンが副大統領候補に指名することを考慮した人物であり、また、今回の大統領選挙の民主党予備選挙にも出馬していた。民主党にとっては期待の、40代の若手のホープである。
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全国大会でのアレクサンドリア・オカシオ=コルテス

 しかし、カストロは今回の民主党全国大会で演説の機会を与えられなかった。また、ラティーノ系は3名しか演説の機会を与えられなかった。進歩主義派で、若者に絶大な人気を誇るアレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は、儀礼的なサンダース推薦の演説を僅か90秒間やらされただけだった。AOCが5分でも話すということであれば、視聴者数は増えただろうが、よほど民主党主流派から嫌われているようだ。

 バイデンは民主党予備選挙で序盤低調であったが、2月末のサウスカロライナ州で息を吹き返した。これはアフリカ系アメリカ人有権者の圧倒的な支持があったためであるが、そのために、アフリカ系アメリカ人に偏重するのではないかと声が、他の非白人マイノリティグループが出ていた。ヒスパニック系からは「副大統領候補はヒスパニック系から出して欲しい」という声も出ていたが、インド系とジャマイカ系の移民の子女であるハリスに決まった。ヒスパニック系はマイノリティでは最大の人口を誇るが、このような動きに対して疎外感を感じている可能性もある。そして、そこから不満が出るということになる。

 今回の選挙のことだけでなく、長期的に民主党がどう動いていくのかということは注目される。

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フリアン・カストロが「バイデンが勝利してもラティーノ系からの支持は減る」と警告(Julian Castro warns Democrats they could lose Latino support even if Biden wins

レベッカ・クレア―筆

2020年8月18日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/512466-julian-castro-warns-democrats-they-could-lose-latino-support-even-if-biden

前住宅・都市開発長官フリアン・カストロは最新のインタヴューの中で、民主党は、党の大統領選挙候補に内定しているジョー・バイデンが11月の選挙で勝利を収めたとしても、ラティーノ系有権者の間での支持を失うだろうと警告を発した。

カストロは今年1月に民主党予備選挙から撤退した。カスロトは火曜日に発表された「アクシオス・オン・HBO」のインタヴューの中で次のように述べた。「私たちは戦闘には勝てるが、戦争には負けるだろうと考えています。11月、私たちは勝利を収めることができるでしょうが、民主党に対するラティーノ系の支持は減ってしまう可能性が高いのです」。

ラティーノ系は、今年の選挙における、非白人系で最大の有権者グループとなる。しかし、カスロトは、ラティーノ系共同体は頻繁に「無視され」、「後回しにされて」いると述べた。

カストロは続けて次のように述べた。「これは民主党だけのことではないのです。あら油面でそうなのです。アメリカ社会、メディア、ハリウッド、多くの職業でそうなのです。ラティーノ共同体に対する古ぼけたイメージが残っているのです。悪印象をつけられているのです。特にドナルド・トランプ時代はそうなのです。疎外されているのです」。

カストロの発言は、民主党全国大会開催中に公にされた。2020年大統領選挙において、カストロは唯一のラティーノ系の候補者だった。それにもかかわらず、一人で登壇して演説を行うように依頼されなかった。

ラティーナ(ラティーノの女性形)の連邦議員として有名なアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は、火曜日夜に民主党全国大会で演説を行う予定だが、割り当てられている時間は1分間しかない。225名の代議員から請願が出されている。この請願では、「オカシオ=コルテス議員と彼女が代表している有権者への尊敬を示すために、彼女に十分な時間を与える」ように求めている。西岸には「オカシオ=コルテス議員は全国大会で登壇が予定されている、わずか3名のラティーノ系の演説者の1人だ」とも書かれている。

火曜日朝の時点で、請願には6673名の署名がなされている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙に向けて、民主党側では、ジョー・バイデン前副大統領陣営とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)陣営との間で、政策のすり合わせを行うために、タスクフォースが結成された。これは民主党内にある穏健派と進歩主義派の団結を図ることが目的だ。

 現在、アメリカは分裂状況であるが、

気候変動に関しては、バイデン陣営からはジョン・ケリー元国務長官、サンダース陣営からはアレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)が出ている。これは人々の関心を惹きつけるという目的があり、また、穏健派と進歩主義派の団結ということを象徴するということでもある。

 下に掲載した記事にかかれているように、バイデンは、いかにもヴェテラン政治家、という老練さを持っている。誰とも喧嘩をしない。交渉をし、合意を取り付け、妥協をし、相手を潰すのではなく、味方に引き入れるという技術を持っている。しかし、故の特徴は同時に、自分に確固たる信念や考えがない、弱弱しい政治家と見られてしまうという弱点になる。ドナルド・トランプ大統領のアクの強さやはっきりとした物言いに比べれば、どうしても弱弱しいということになる。これは共和党主流派の政治家たちにも言えることだ。反主流派や政治の外側からやってきた人々の方がはっきりした物言いで力強い。バーニー・サンダース、AOC、トランプ大統領の共通点はそこである。また、日本でも話題になっている、現代貨幣理論(Modern Monetary TheoryMMT)のステファニー・ケルトン教授も入っている。

 今回のタスクフォースの問題点は外交が入っていないことだ。どうして外交が入っていないのか。バイデン側が外交を専管するからか、すり合わせが不可能なほどにバイデン対サンダース、中道穏健派対進歩主義派の違いが大き過ぎるのか、ということが考えられる。バイデンの専管事項ということになれば、ヒラリー派の蠢動があることは覚悟しなければならない。ヒラリー派の人脈が外交分野で復活ということになれば、対中国、対ロシア、対中東で何をしでかすか分からない。最終的には体制転換や戦争を目指すという目的は変わらないが、それまでのプロセスで手荒なことを行うだろう。

 イラク戦争の失敗で威信を失ったジョージ・W・ブッシュ(息子)政権に代わったバラク・オバマ政権は抑制的な現実主義外交に戻ることを目指した。オバマが外交面で手本にしようとしたのは、ジョージ・HW・ブッシュ(父)政権だった。しかし、ヒラリー・クリントンを国務長官に選んでしまったことで、1期目はさんざんだった。

 バイデンもオバマと同様に、確固とした信念のない妥協型ということは懸念材料だ。ヒラリー派に政権を乗っ取られた場合には、民主党内部は修復不可能なほどに分裂する可能性がある。

(貼り付けはじめ)

バイデンとサンダースの側近たちが政策のすり合わせのために「団結のためのタスクフォース」を作る(Biden and Sanders allies create 'unity task forces' to explore policy initiatives

ジャスティン・コールマン筆

2020年5月13日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/497490-biden-and-sanders-allies-create-unity-task-forces-to-explore-policy

民主党の大統領選挙候補を確定させているジョー・バイデンと予備選挙でライヴァルだったバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)、両者の側近たちは民主党の香料のための政策のすり合わせを行うために「団結のためのタスクフォース(unity task force)」を作ることになった。バイデン選対が水曜日に発表した。

バイデンとサンダースのそれぞれの陣営は6つの政策課題をすり合わせ、民主党全国大会のために推奨される公約を作るためにタスクフォースを作るために協力している。タスクフォースには両陣営から8名ずつが出ることになっており、気候変動、刑事司法制度改革、経済、教育、健康保険、移民制度についてすり合わせることになる。

バイデン陣営は発表した声明の中で、タスクフォースの目的は「2020年の選挙で民主党を成功に導く政策」を作るために協力をすることだと述べている。

バイデンは、アメリカがただ単に「ドナルド・トランプ登場以前に時計の針を戻す」だけではないようにしたいと述べた。

バイデン前副大統領は次のように述べた。「団結した党は、今年11月にドナルド・トランプ大統領を倒し、前例のない危機を通じて私たちの国を前進させるために重要で必要不可欠な存在となる。私たちが共通の目的を達成する際に、アメリカ国民が直面している難題から目をそらさないことが決定的に重要だ」。

一方、サンダースは「前例のない経済上、ウイルス感染拡大の危機の直面する中で、民主党は大きく考え、大胆に行動し、この国の進むべき方向を変えるために戦わねばならない。」

気候変動部門の共同委員長にはアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)が予定されている。オカシオ=コルテス議員はサンダースの熱心な支持者であり、進歩主義運動の指導者でもある。オカシオ=コルテス議員はジョン・ケリー元国務長官と一緒に委員長を務めることになる。

サンダース陣営のアナリリア・メヒアとバイデン陣営のカーメル・マーティンがタスクフォース計画を主導することになっている。

バイデンは進歩主義派の主張を取り入れて進歩主義運動の支持者たちからの支持を得ようと動いている。バイデンはメディケア制度において医療保険の範囲を拡大すること、多くの学生の債務の棒引き、破産システムの改革を公約に入れるようになっている。

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ジョー・バイデンとバーニー・サンダースは、新しい、政策を中心としたタスクフォースを構築しようとしている(Joe Biden and Bernie Sanders are building new, policy-focused task forces

―団結のためのタスクフォースは2020年の民主党の政策を作るのに重要な役割を果たすだろう。誰がタスクフォースに参加するかを紹介する。

エラ・ニールセン筆

2020年5月13日

『ヴォックス』誌

https://www.vox.com/2020/5/13/21257078/joe-biden-bernie-sanders-joint-unity-task-forces-democratic-policy

ジョー・バイデン前副大統領と進歩主義派のバーニー・サンダース連邦上院議員は、合同の「連合」タスクフォースを結成しようとしている。このタスクフォースは民主党の政策を直接作成し、2020年とそれ以降の党の綱領を打ち出すことになる。

48名の連邦議員たち、労働運動の指導者たち、経済学者たち、学術関係者たち、活動家たちは、民主党の政策綱領がどのようになるかを示している。バイデン陣営とサンダース陣営は6つの政策委員会に入る代表者たちを選んだ。この6つの政策分野は気候変動、刑事司法改革、教育、経済、医療、移民である。

サンダースの側近たちはタスクフォースのメンバーの名前を見て元気づけられるだろう。アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出)とプラミラ・ジャヤパル連邦下院議員など、メディケア・フォ・オールやグリーン・ニューディールといった進歩主義的な諸政策を声高に主張している人々が入っている。サンダース選対の前責任者ファイズ・シャキールはバイデン選対との交渉を主導している。シャキールは本誌の取材に対して、メンバーの選択過程を通じて、バイデン陣営は進歩主義派と協力するのに「柔軟でかつオープン」であると述べた。

シャキールは次のように述べた。「[バイデンには]選挙戦のために、より具体的な公約を作り上げるための余地が残っている。それは、彼が予備選挙を通じて、他の候補者のようにより深く具体化された公約を発表してこなかったからだ。だから、より具体的な公約を発表出来ることは大きなチャンスということにもなる」。

シャキールは、これからの数カ月でバイデンの政策公約に進歩主義派が影響を与えるだけでなく、バイデン陣営と継続的な関係を築くことができる機会となり、その結果、11月にバイデンが勝利を収めた場合にバイデン政権に誰が入るかについて情報を与えることになると考えている。

シャキールは「私たちが分かっている成功の秘訣は、ある政策を主張している人物に、実際に政策を実行させることです」と述べている。

大胆な政策を実行させることができるかどうかは、その多くが2020年の選挙後の連邦議会の議員の構成によって変わる。しかし、今回のタスクフォース結成は大きな第一歩ということになり、民主党内の進歩主義派と穏健派が協力する意思を持っていることを示す兆候ということになる。

声明の中で、民主党の大統領選挙候補者に内定しているバイデンは次のように述べている。「医療制度から司法制度改革、より多くの人々が参加できる公正な経済の再建まで、タスクフォースの仕事は私たちの国を前進させるための方法を明らかにするために必要不可欠なものとなる。これはドナルド・トランプ登場以前に時計の針を戻すだけということにはならない。私たちの国を変身させるものだ」。

タスクフォースは、今年8月の民主党全国大会の前に会合が開かれる予定だ。そして、バイデン陣営と民主党全国委員会投稿両委員会の両方に政策提言を行う。

現在、アメリカはコロナウイルス感染拡大の対応に苦闘している。仕事面や医療制度でも長年格差が続いている。そうした中で意味のある変化を起こさねばならない。サンダースは、民主党は労働者階級の人々のことを頭に入れて政策公約を作る必要があると述べた。

サンダースは声明の中で次のように述べている。「私はジョー・バイデンが私の選対と一緒に仕事をすると決めたことを評価する。私たちは、指導的な立場の思想家や活動家たちを集めた。こうした人々は、私たちの党を変革と進歩杉的な方向に向けるために一つにまとめ上げることができるし、実際に実現するだろう」。

バイデンとサンダースは連合体を構築しつつある。

このタスクフォース結成は、2020年の民主党予備選挙からサンダースが撤退してすぐにバイデン支持を表明した大きな理由であった。サンダースは、バイデン政権において、自分の進歩主義的な考えが政策に具体的な影響を与えることが補償されることを望んだ。

サンダースがタスクフォースのために選んだ人々は政策面でインプットができるだけではなく、バイデンが大統領に選ばれた場合にはホワイトハウスに入ってバイデンに仕える権利を持つ可能性が高い。

サンダース側の人々は他の面でも影響力を行使することができる。サンダースは現在でも予備選挙で多くの州で立候補を取り下げていない。そのため、民主党全国大会の場で決定される党の綱領の修正について、民主党全国大会に出席する代議員を獲得でき、それをバイデンとの交渉材料に使うことができる。これは2016年の時もバイデンが実行したやり方だ。しかし、民主党全国大会の開催前にタスクフォースに参加できることは進歩主義派にとっては大きな勝利ということになる。

このタスクフォースはバイデンの政治家としてのスタイルを表しているものだ。本誌のエズラ・クラインが指摘しているように、バイデンは合意を取り付けること、そして連合体を形成することの技術の高さで知られている。この技術は今回の予備選挙の期間中にバイデン自身を助けた。彼は、ピート・ブティジェッジやエイミー・クロウブシャー連邦上院議員といった中道派の競争相手と連合体を形成した。現在、この技術は、11月にトランプを倒すために、自身の側に必要な進歩主義陣営を招き入れることに役立っている。

4月、クラインはバイデンについて次のように書いた。

彼は支持を得るために、合意を取り付け、連合体を作り、妥協をすることに躊躇しない。予備選挙期間中、こうした動きは常にバイデンに不利に働いた。彼の落ち着いた姿勢や考えは彼の弱さを示すものと考えられた。バイデンの政治家としての長い経歴と懐柔的な気質は、相手側に対して攻撃材料を多数提供した。

バイデンが民主党の大統領選挙候補者に内定したのは素晴らしい演説があったからでも、剃刀のように切れる討論のパフォーマンスがあったからでもないと誰もが言うだろう。予備選挙における重要な局面で、バイデンは取引や連合体形成を通じて競争相手に対して策略で勝利を収めた。バイデンは競争相手をやっつけるのではなく、説得して味方に引き入れた。

サンダースはバイデンとインターネット上での議論の中で次のように語った。「私は君が人々を受け入れて結集させようとする人物だと分かっています。たとえ君とは意見が合わない人でも参加させようとする人だとね。そうした人々が言わねばならないことに耳を傾けたいと考える人だ。私たちは言うべきことを言い合えることができる。それが民主政治体制と呼ばれるものです。君は民主政治体制の重要性とその存続を確信している。私もそうです。こうしたことから、ジョー、私は君と一緒に働くことを楽しみにしているんですよ」。

シャキールは本誌に対して、2つの陣営がタスクフォースを構築するとなっても魂は継続すること述べた。

シャキールは次のように語っている。「メンバーたちに関してはとても満足でき、受け入れられるものです。イデオロギー上の理由で批判されるべき人は誰も入っていません。私はタスクフォースがうまく機能をし、人々が友情と信頼を築くことができると熱意と希望を持っています」。

これからタスクフォースの参加者について挙げていく。

(1)気候変動(Climate Change

■バイデン陣営から起用

・ジョン・ケリー元国務長官、タスクフォースの共同委員長

・キャシー・キャスター連邦下院議員(フロリダ州選出、民主党):気候危機に関する連邦下院委員会委員長

・ケリー・ダッガン:バイデン副大統領(当時)政策副部長

・元環境保護庁長官ジーナ・マッカーシー

・ドナルド・イエチェン(ヴァージニア州選出、民主党):連邦下院エネルギー・商業委員会メンバー、気候と環境に関する正義連邦議会合同タスクフォース共同創設者

■サンダース陣営から起用

・アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)タスクフォースの共同委員長

・ヴァーシニ・プラカシュ:若者による活動グループ「サンライズ・ムーヴメント」共同創設者

・キャサリン・フラワーズ:地方事業・環境正義センター設立者

(2)刑事司法制度改革(Criminal Justice Reform

■サンダース陣営からの起用

・チラーグ・べインズ:タスクフォース共同委員長、進歩主義派のシンクタンク「デモす」の法律戦略部長

・ステイシー・ウォーカー:アイオワ州リン郡監督官、サンダース選対アイオワ支部共同委員長

・サウスカロライナ州下院議員ジャスティン・バンバーグ:公民権専門弁護士

■バイデン陣営からの起用

・ボビー・スコット連邦下院議員(ヴァージニア州選出、民主党):タスクフォース共同委員長、連邦下院教育・労働委員会委員長

・テネシー州上院議員ラウメッシュ・アクバリ:テネシー州上院民主党議員連盟委員長

・ヴァニタ・グプタ:元司法次官補代理

・エリック・ホルダー元司法長官

・シモーン・サンダース:バイデン選対アドヴァイザー

(3)経済(Economy

■サンダース陣営からの起用

・サラ・ネルソン:タスクフォース共同委員長、フライト・アテンダント・CWA組合委員長

・ステファニー・ケルトン:ニューヨーク州立大学スト―ニー・ブルック校経済学・公共政策教授で現代貨幣理論(modern monetary theory、MMT)の専門家

・オハイオ州立大学教授ダリック・ハミルトン:収入格差と社会経済階層について研究

■バイデン陣営からの起用

・カレン・バス(カリフォルニア州選出、民主党):タスクフォース共同委員長、連邦議会アフリカ系アメリカ人議員連盟委員長

・ジャレッド・バーンスタイン:バイデン副大統領(当時)のチーフ・エコノミスト、経済アドヴァイザー

・ベン・ハリス:バイデン副大統領(当時)のチーフ・エコノミスト、経済アドヴァイザー

・リー・サウンダース:全米州・郡・市職員組合委員長

・ソナル・シャー:ピート・ブティジェッジ2020年大統領選挙陣営の政策部長

(4)教育(Education

■サンダース陣営からの起用

・ヘザー・ガウトニー:タスクフォース共同委員長、サンダース選対政策アドヴァイザー

・アレハンドロ・アドラー:コロンビア大学持続戒能開発センター

・ニューヨーク大学教授ヒロカズ・ヨシカワ

■バイデン陣営からの起用

・マルシア・ファッジ(オハイオ州選出、民主党):タスクフォース共同委員長、連邦議会アフリカ系アメリカ人議員連盟元委員長

・リリー・エスケルソン・ガルシア:全米教育協議会会長

・ランディ・ウエインガーテン:全米教職員組合委員長

・マギー・トンプソン:「ジェネレイション・プログレス」上級部長

・クリスティー・ヴィルサック:識字率向上運動家

(5)医療(Health Care

■サンダース陣営からの起用

・プラミラ・ジャヤパル(ワシントン州選出、民主党):タスクフォース共同委員長、連邦議会進歩主義議員連盟共同委員長、連邦下院に提出した「メディケア・フォ・オール」の提出者

・ドナルド・バーウィック医学博士:メディケア・アンド・メディケイドサーヴィス・センター元部長

・アブドゥル・エル・サイード医学博士:2018年のミシガン州知事選挙立候補者、単一支払者制度の主導者

■バイデン陣営からの起用

・元軍医総監ヴィヴェック・マーシー医学博士:タスクフォース共同委員長

・メアリー・ケイ・ヘンリー:国際サーヴィス従業員組合委員長

・ニューヨーク大学教授シェリー・グリード:オバマ政権で合衆国保健福祉省に勤務

・クリス・ジェニングス:オバマ政権で医療政策アドヴァイザー

・ロビン・ケリー連邦下院議員(イリノイ州選出、民主党):連邦下院エネルギー・商業委員会メンバー

(6)移民(Immigration

■サンダース陣営からの起用

・マリエレーナ・ヒンキャビー:タスクフォース共同委員長、ナショナル・イミグレーション・ラー・センター上級部長

・マリッサ・フランコ:進歩主義的ラテンアメリカ系グループ「ミヘンテ」部長

・ジャヴィエ・ヴァルデス:進歩主義的移民グループ「メイク・ザ・ロード」の上級部長

■バイデン陣営から起用

・ルシール・ロイバル=アラード連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党):タスクフォース共同委員長、ドリーム法案の共同提出者

・クリストバル・アレックス:バイデン陣営アドヴァイザー

・ヴェロニカ・エスコバー(テキサス州選出、民主党)

・フアン・ゴンザレス:バイデン副大統領(当時)補佐官

・ケイト・マーシャル:ネヴァダ州副知事

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 古村治彦です。

 アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(Alexandria Ocasio-CortexAOC、1989年―、30歳)連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)はアメリカ政界の新星だ。2018年のニューヨーク州第14選挙区(クイーンズ地区とブロンクス地区)の民主党予備選挙で、10期連続当選をしていた、当時の現職のジョセフ・クローリーを破ったのがAOCだった。クローリーはこの時の選挙に当選していれば、連邦下院議長になれるという話もあったが、その夢は無残に消え去ってしまった。
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 AOCはその後、新人議員として話題を集めたが、民主党主流派に対して批判的ということもあり、批判者も多くいる。連邦下院議員は2年おきに選挙があるが、2018年の当選直後から、AOCには次の選挙で対抗馬が出るという話が出ていた。ジョセフ・クローリーの従妹で市会議員をしていたエリザベス・クローリーが敵討ちで出馬するのではないかという話もあったが、今年に入ってその話は否定された。

 現在、全米で連邦下院議員選挙の民主、共和両党の予備選挙の選挙運動が行われている。人々が集まる訳にはいかないので、討論会もインターネット上で実施されている。ニューヨーク州第14選挙区の民主党予備選挙には現職のAOCを含む4名が立候補している。その中に、ミッシェル・カルーゾ=カブレラ(Michelle Caruso-Cabrera、1967年―、53歳)がいる。
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 カルーゾ=カブレラはCNBCという経済専門のチャンネルのキャスターやコメンテイターを長く務めた有名人だ。「自分はイタリア系移民とキューバ系移民の娘であり、孫娘だ」ということを売りにして、今年の2月に立候補を表明した。AOCの対抗馬である。

 カルーゾ=カブレラはAOCを激しく批判しているが、突っ込みどころ満載である。カルーゾ=カブレラは、「新型コロナウイルス感染拡大に対処するために自分は食料を配るなど行動したが、AOCは1階に高級自然食スーパーであるホール・フーズが入っているワシントンDCのアパートにこもりきりだった」と批判した。このカルーゾ=カブレラという人物は選挙に出るちょっと前まで、ニューヨークにあるトランプタワーに住んでいたような人で、有名人、セレブリティの優雅な生活を楽しんでいた人である。

 また、公共事業についても積極的に公約をしているようだが、元々は新自由主義、財政保守主義を標榜して出てきた人物であり、貧乏な移民の多いニューヨーク州第14選挙区で選挙に通ることは不可能な人物である。選挙出馬はカルーゾ=カブレラの売名行為ということになるだろう。アメリカ政治のちょっと息抜きの話題ということでご容赦願いたい。

(貼り付けはじめ)

オカシオ=コルテスの予備選挙の対抗馬カルーゾ=カブレラはインターネット上の討論会で激しく攻撃:「AOCはいつも大事なところで行方不明」(Ocasio-Cortez primary opponent Caruso-Cabrera goes on fierce attack in online debate: 'AOC is always MIA'

ケイリーン・ディース筆

2020年5月19日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/498600-ocasio-cortez-primary-opponent-caruso-cabrera-goes-on-fierce-attack-in-online

CNBCのアンカーを務めたミシェル・カルーゾ=カブレラはアレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)連邦下院議員に対抗して予備選挙に立候補している。カルーゾ=カブレラは月曜日、AOCのコロナウイルスへの対応を攻撃し、「AOCはいつも大事なところで行方不明」と述べた。

カルーゾ=カブレラは今年2月に予備選挙に立候補して以降、オカシオ=コルテスを攻撃対象にして激しく攻撃してきた。先月、カルーゾ=カブレラはAOCが4840億ドル規模のコロナウイルス対策刺激策法案に反対投票をしたことについて「現実離れ」をしていると指摘した。

カルーゾ=カブレラは「ブロンクスネット」が主催したインターネット上の討論会で「私の対立候補AOCは彼女自身の優先順位を明らかにしました。私に分からないのは、AOCがいつも大事なところで行方不明になる(MIA)理由です」と述べた。

カルーゾ=カブレラは、危機が最高潮に達した時期、連邦下院の審議が行われていない時期に、AOCはワシントンDCにあるアパートに留まっていたと述べた。このアパートの建物のロビーには高級自然食スーパー「ホール・フーズ」が入っている。

カルーゾ=カブレラは「私は最初の日に食糧を配りました。マスクも配りました。私は選挙で選ばれて公職に就いていないのですが」と述べた。

オカシオ=コルテスはカルーゾ=カブレラの発言に対して、自分がアパートの部屋に留まった理由は、「体調が優れずに、気分が悪かった」からだと述べた。また、選挙区内のコミュニティの食糧庫のために約50万ドルを集める仕事を手伝った、また住民たちに食事を配る仕事も手伝ったとも発言した。

カルーゾ=カブレラは「あなたはいつも有名人(セレブ)の地位を利用して仕事をしていますね。そしていつも民主党に盾突いていますね」と述べた。

オカシオ=コルテスは問題のコロナウイルス対策刺激策法案に反対票を投じたのは、この法案では、移民たちと移民と結婚しているアメリカ市民が排除されているからだと述べた。「移民が住民の50%を占める選挙区」ではそんな法案を支持できないとも指摘した。

オカシオ=コルテスは、同僚の連邦議員たちと「多くの機会で」協力して仕事をしているとも主張した。AOCは民主党、共和党それぞれに所属している連邦議員たちと「一緒になって多くの法案を提出」してきたと述べた。

カルーゾ=カブレラはまた、オカシオ=コルテスが連邦議会に提出しているグリーン・ニューディールも攻撃対象とした。カルーゾ=カブレラは、グリーン・ニューディールは「現実的には何事も達成できない」計画と切って捨てた。一方、自分は選挙区の人々を助けるために「特定の仕事」を実行すると述べた。その具体例として、津波対策のために堤防の建設を進めるとした。

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CNBCのアンカーカルーゾ=カブレラが予備選挙でオカシオ=コルテスに挑戦(CNBC anchor Caruso-Cabrera to challenge Ocasio-Cortez in primary

ジョー・コンチャ筆

2020年2月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/media/482499-cnbc-anchor-caruso-cabrera-to-challenge-ocasio-cortez-in-primary

CNBCでアンカーを務めたミシェル・カルーゾ=カブレラは火曜日、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)の議席を争うために民主党の予備選挙に立候補すると発表した。

カルーゾ=カブレラは声明の中で次のように述べている。「私は、イタリア系移民とキューバ系移民の労働者の娘であり、孫娘です。私はこれまでの素晴らしいキャリアを積むことができてとてもラッキーです。私は全ての皆さんに私がそうであったように、それぞれの人生を成功に導く機会(opportunity)を持ってもらいたいと思います。私が選挙に立候補する理由はこれです」

カルーゾ=カブレラは20年以上にわたりCNBCで仕事をしてきた。CNBCは火曜日、これ以降彼女がコメンテイターとして番組に出演することはないと発表した。

30歳のオカシオ=コルテスは2018年にアメリカ政界を驚かせた。10期連続当選の現職ジョセフ・クローリーをニューヨーク州第14選挙区の民主党予備選挙で破るという大番狂わせを演じた。この選挙区はブロンクスとクイーンズを含んでいる。

AOCは連邦議員の中で最も多いツイッターのフォロワー数を誇っている。その数は630万以上である。連邦議会に33年いる現在の連邦下院議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は、ツイッターのフォロワー数は約390万である。

カルーゾ=カブレラは2010年に『私が正しい(右だって)と分かるよね:更なる繁栄、より小さい政府』を発刊した。この著作の中で、カルーゾ=カブレラは「財政保守主義(fiscal conservatism)、制限された政府、個人の責任」を主張している。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 

 私が以前ご紹介しましたように、民主党内部は今、分裂状態にあります。内部闘争と言ってよいでしょう。それが激化しています。その理由は来年の選挙です。来年はアメリカ大統領選挙が実施され、そちらに注目が集まっていますが、同時に連邦上院議員の一部、州知事の一部、そして連邦下院議員全員の選挙が実施されます。

 

 連邦上院議員は6年に1度、州知事は4年に1度、選挙が実施されます。連邦下院議員は2年に1度選挙が実施されます。現在連邦下院議員を務めている人々は2018年11月3日の選挙(中間選挙)で当選し、2019年1月から任期が始まった人々です。新人で当選した人々は連邦下院議員になって7カ月ほど経過しただけのことですが、もう次の選挙について心配をしなくてはならない、ということになります。これはヴェテランでもそうですが、連邦下院議員は選挙がすぐにやってくるので、資金的、精神的、肉体的にかなりの消耗を強いられます。まず自分の所属する党の予備選挙で勝ち、本選挙で勝たねばなりません。

 

 また2年に1度選挙があるということで、挑戦者がどんどん出てくるということになります。現職が共和党議員だった場合、共和党内から予備選挙で挑戦する人が出てきますし、本選挙では民主党の候補者と戦うことになります。長期間に連続で当選しているような人には挑戦者は出にくいですが、それでも、多選批判が選挙区内であるような場合には、盤石だと思われていた人もあっさり予備選挙で負けたり、本選挙で負けてしまったりということが起きます。

 

 連邦下院の議長(Speaker)や多数党(Majority)、少数党(Minority)の院内総務(Leader)や幹事(Whip)になる、連邦下院の党指導部を形成するような議員は長年当選を重ねて、選挙に強い議員たちということになります。そこまでいかない連邦下院議員は4期か5期(8年から10年)務めたら引退して別の仕事(議会関係のロビイストなど)に就く場合があります。また、連邦上院議員や州知事を目指すこともあります。


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 このブログでもご紹介しているアレクサンドリア・オカシオ=コルテス(Alexandria Ocasio=CortezAOC、1989年―、在任:2019年―)は、2016年のアメリカ大統領選挙で、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の選挙運動に参加し、それが機縁となって、2018年の中間選挙で、連邦下院議員ニューヨーク第14選挙区で選挙に挑戦することになりました。そして、2018年6月の民主党の予備選挙で、10期連続当選、次はいよいよ連邦下院議長だと言われていたジョセフ・クローリーを大差で破り、民主党の候補者となり、11月の本選挙でも大差をつけて当選、という大番狂わせを演じました。選挙資金は数百万円、クローリーはウォール街の金融機関などからの献金数億円でしたが、かえってこのことが選挙区の有権者の怒りを買ってしまったという結果になりました。

 

 AOCの選挙戦を支えたのは、ジャスティス・デモクラッツ(Justice Democrats)という組織です。この組織は2016年の米大統領選挙に出馬したサンダースの考えを拡大しようという目的で同年に設立された組織で、自分たちの考えに賛成している人々を選挙に立候補させて当選を目指すという活動を行っています。


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2018年の中間選挙では、AOCの他、アリゾナ州第3選挙区のラウル・グリジャルヴァ(Raúl Grijalva、1948年―、在任:2013年―)、カリフォルニア州第17選挙区のロウ・カンナ(Ro Khanna、1976年―、在任:2019年)、マサチューセッツ州第7選挙区のアイアナ・プレスリー(Ayanna Pressley、1974年―、在任:2019年―)、ミシガン州第13選挙区のラシーダ・トレイブ(Rashida Tlaib、1976年―、在任:2019年―)、ミネソタ州第5選挙区のイルハン・オマル(Ilhan Omar、1982年―、在任:2019年―)、ワシントン州第7選挙区のプラミラ・ジャヤパル(Pramila Jayapal、1965年―、在任:2017年―)といった人々がジャスティス・デモクラッツの支援を受けて連邦下院議員に当選しました。


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この連邦下院議員たちは「進歩派(Progressives)」と呼ばれていますが、日本風に言えば「バーニー・サンダース派」ということになります。この議員たちはジャスティス・デモクラッツの考え、もっと言えばバーニー・サンダースの考えである国民皆保険「メディケア・フォ・オール(Medicare for All)」や最低時給15ドル、学費ローンの帳消し、公立大学の無償化、グリーン・ニューディールの実現のために活動を行っています。

 

 このジャスティス・デモクラッツ、進歩主義派の議員たちと争っているのが民主党内部の主流派です。そして、現職の連邦下院議員たちです。この文章の前の方でも書きましたが、連邦下院議員は選挙ばかりで議席を守ることは大変なことです。お金集めも大変、いつも挑戦者の影におびえ、有権者の風向き一つで今までの努力が水の泡ということになります。それに対して、ジャスティス・デモクラッツは各選挙区で自分たちの考えに賛成する人たちを民主党の予備選挙に立候補させてきます。現職議員たちは、いつ自分が無名の新人AOCに敗れたジョセフ・クローリーみたいになるか、次の連邦下院議長と呼ばれるところまで10期連続当選という実績を積み重ねたクローリーがあっさり負けてしまった様子を見ていますから、ジャスティス・デモクラッツと進歩主義派に警戒感を持っています。

 

 現職議員たちは、民主党連邦議会活動・選挙運動委員会(Democratic Congressional Campaign CommitteeDCCC)という組織を結成しています。この組織は現職の議員たちの再選を進めるための組織で、ジャスティス・デモクラッツと争いになるのは当然のことです。

 

 こうした動きに対して、今年5月、バラク・オバマ前大統領がヨーロッパで行った講演会で、「銃殺隊(firing squads)を動き回らせるな」という言葉を使って、進歩主義派とジャスティス・デモクラッツをけん制しました。民主党の現職議員の落選運動のようなことをするなと批判しました。オバマ大統領は今でも民主党内で隠然たる力を持っており、今回の大統領選挙ではジョー・バイデン前副大統領を支援するものと見られています(まだ正式に発表していません)。これに対して、AOCをはじめとする進歩主義派とジャスティス・デモクラッツはバイデン攻撃、その裏にあるオバマ攻撃を激化させています。「オバマ時代が良かったなんて幻想だ」という論法で攻撃を仕掛けています。


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 進歩主義派は連邦下院民主党執行部とも対立しています。国境の不法移民問題について、民主党が過半数を握る連邦下院は収容所の不法移民の子供たちの処遇を改善するための予算案を可決しましたが、共和党が過半数を握る連邦上ンではこの予算案が否決されました。上下両院は妥協し、国境警備に関する予算を増額することで合意しましたが、子供たちの処遇には予算は使われないということになりました。

 

この妥協に、AOC、アイアナ・プレスリー、ラシーダ・トレイブ、イルハン・オマルの新人女性議員たちが反対を表明しました。この4名は「分隊(Squads)」と呼ばれています。この4名が連邦下院のナンシー・ペロシ議長と対立しています。ペロシや民主党多数派からすると、進歩主義派の政策は過激すぎて実行不可能、もし実行すると行き詰って有権者の支持を失い、選挙に負けてしまうということになります。


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 この状況の中、トランプ大統領が4名の議員を名指しはしていないものの、「自分たちの出身国の政府は危機的状況にあるのだから、それらの国々に帰れ」という趣旨のツイートを投稿しました。AOCは母親がプエルトリコからの移民、トレイブはパレスティナ系、プレスリーはアフリカ系ですが、全員アメリカで生まれています。ということは、生まれながらにアメリカ市民ということになります。オマルはソマリア難民としてアメリカに入国し、後にアメリカ市民となっています。

 

 この「それぞれの国に帰れ」という言葉は極めて短絡的で、思考停止を伴う言葉です。それをアメリカ大統領が簡単に使う時代になったのか、という嘆息が出てしまいますが、これによって、民主党は一致団結して、トランプ大統領に対峙するということになりそうです。共和党の一部からも批判の声が出ていますが、はっきりと「人種差別的だ」という声もありますが、「そんなことを言うべきではなかった」というはっきりしない批判の声が多いです。

 

 共和党は自由貿易を標榜している政党ですが、トランプ大統領は関税の引き上げや相手国に管理貿易を求めるなど、自由貿易に反する政策を実施しています。加えて、共和党の金城湯池となっている地方の農業州は、米中貿易戦争の結果、中国への農産物輸出が減少していることに不満を持っています。トランプ大統領の米中貿易戦争に声援を送っていたのが民主党の連邦議員たちということを考えると、ここに大きな捻じれが起きているということになります。しかし、共和党側にはトランプ大統領を大っぴらに批判できないという忸怩たる思いがあります。

 

 ここにポピュリズム(一般有権者がワシントンの政治に怒りを表明して自分たちの代表を送り込む)を入れて考えると、民主共和両党で、ポピュリズムによる大きな捻じれが起きていると言うことが出来ます。人々の怒りがそれぞれ民主共和両党に及び、どちらの主流派にも相容れない過激な考えが党内で大きな勢力となりつつあるということになります。このポピュリズムに対する警戒感はアメリカでも日本でも根強く、特に反体制を気取ったエリートたちに多く見られる特徴があるように思います。

 

 トランプ大統領の4名の議員たちに対する言葉は、ポピュリズムに内包される差別主義、排外主義を示す言葉ですが、それをかけられたのがやはりポピュリズムを体現する議員たちであるということが興味深い点です。私から見れば、どちらも同根ということになります。

 

(終わり)

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