古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:アントニー・ブリンケン

 古村治彦です。

 ジョー・バイデン政権になってから、アメリカ外交はうまくいっていない。アフガニスタンからの撤退がうまくいかず、大きな混乱を引き起こした。その後は、ウクライナ戦争が起きたが、ウクライナ戦争ではロシアに対する経済制裁を主導して、早期にロシアを経済的に屈服させて、あわよくばロシアの現体制を崩壊させようという「捕らぬ狸の皮算用」が見事に失敗した。ウクライナ戦争が長期化する中で、アメリカはウクライナの勝利の可能性はないと分析しているが、戦争を止めることができないでいる。至極当たり前のことだが、ロシアはアメリカの言うことを聞かない。ウクライナとロシアの間を仲介できるのは、中国だけだ。

 更に言えば、中東地域に関しては、中国が得点を挙げた。中国の仲介で、長年の敵同士であったサウジアラビアとイランが国交正常化を行うと発表した。これで中東地域で核兵器を持つ3カ国である、イラン、イスラエル、サウジアラビアのバランスが崩れた。サウジアラビアとイスラエルはアメリカの同盟国としての関係を持っていた。イスラエルとサウジアラビアは共にイランを敵としていた。その関係のバランスが崩れた。イスラエルは孤立することになる。サウジアラビアが西側陣営から離れつつあるというのは、アメリカにとっての大きな痛手となる。産油量を増やして石油価格を下げて欲しいというアメリカの懇願をサウジアラビアは無視した。

 バイデン政権は「デモクラシー」「人権」といった価値観を押し出した外交を展開している。そして、対中強硬姿勢を取っている。これでは転換期の国際政治を渡っていくことはできない。民主政体フェスなるイヴェントにお金を出して、アントニー・ブリンケン米国務長官が出席しているようでは、現実的な外交はできない。「清濁併せ吞む」ということができなければ、新興の「西洋以外の国々(the Rest)」とやり合うことはできない。

 考えてみれば、現在のアメリカ外交を牛耳っているのが、共和党系のネオコン派と民主党系の人道的介入主義派である以上、どうしようもない。リアリストたちが入らねば現状は変わりようがない。国務省の上級幹部たちが入れ替わるためには、バイデンが選挙で落ちて、大統領でなくなるか、バイデンが考えを変えて、自発的に1期目と2期目で人員を入れ替えるかしかない。バイデンとバイデン政権の最高幹部たちはどんな手段を使ってでも今度の大統領選挙に勝利するだろう。なぜならば、そうしないと自分たちの犯罪が明らかにされて逮捕されてしまうからだ。彼らは一蓮托生の犯罪でつながった人々だ。バイデン政権が2期目の4年間も続くということになれば、世界の不幸もまだまだ続くということだ。その間に、ネオコン派や人道的介入主義派が暴発して、最後のひと勝負、大博打をかけるかもしれない。それが核兵器を使用する戦争であったり、米中露での戦争になったりする可能性もある。現状だって既に第3次世界大戦に入っていると言っても過言ではない。悲観的な妄想で済めばそれはそれで良いことだが、それくらいに悲観的になっておく必要がある。

(貼り付けはじめ)

バイデンの国務省にはリセットが必要だ(Biden’s State Department Needs a Reset

-政権の外交は、時間を無駄にする民主政治体制についての議論を除けば、うまくいっていない。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2023年4月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/04/01/biden-blinken-state-department-democracy-summit/

アメリカの外交機関、特に国務省(Department of State)がリソース不足に陥っていることは、広く認められている真実だ。この真実は、国務省または米国国際開発庁(United States Agency for International DevelopmentUSAID)の予算を、国防総省または各種情報諜報機関に割り当てられた予算と比較すると特に明らかになる。アメリカの壮大な世界的野望を考慮に入れると、それは更に明白になる。大統領の時間、そしてアントニー・ブリンケン国務長官などの閣僚の時間は、全ての中で最も希少なリソースであることも自明のことだ。

これが事実なら、なぜジョー・バイデン政権は第2回民主政体サミット(Summit for Democracy)に時間を割いたのだろうか? バイデン大統領やブリンケン国務長官ら最高幹部たちが、このトークフェスに費やした時間だけではない。このようなイヴェントを開催することで、他の問題に対処するために使えたかもしれない何百時間ものスタッフの時間が浪費されてしまったのだ。

私がこの問題を提起したのは、外交をアメリカ外交政策の中心に据えると宣言して発足したバイデン政権であるが、その最初の2年余りを振り返ると、外交的成果がほとんどないからだ。プラス面で言えば、アメリカの同盟諸国は、ドナルド・トランプ前大統領やマイク・ポンペオ前国務長官よりもバイデンやブリンケンに親しみを感じており、政権の初期の失態(2021年のAUKUS潜水艦取引でフランスを不必要に無視したことなど)を快く許してくれていることが挙げられる。しかし、そうした外交関係者からの印象が改善されたことを除けば、バイデン政権の外交記録は印象に残るほどの成果を挙げていない。

問題の一部は、バイデンとバイデン政権が受け入れている「民主政治体制対独裁政治体制(democracy vs. autocracy)」という枠組みにある。私は誰よりも民主政治体制が好きだし、一部の人よりもずっと好きだ。しかし、この二項対立(dichotomy)は、アメリカの外交に解決よりも多くの問題を引き起こす。アメリカは、世界の民主政体国家よりも数が多く、大国間の対立が激化すればするほどその価値が高まる独裁的な政府と、より効果的に協力することができないのである。「アメリカは偽善者だ」という非難に晒され、ワシントンの民主的な同盟諸国もあまりやる気を起こさないように見える。その一例を示す。ヨーロッパの指導者たちは、独裁的な中国との経済的利益を守るために北京に足を運び続けているが、これは民主政治体制対独裁政治体制という図式とは大きく矛盾する行動である。同様に、ほぼ民主的なインドのナレンドラ・モディ首相は、ロシアのウラジミール・プーティン大統領の国家安全保障補佐官の1人と会談したばかりだ。

一方、バイデン政権の他の課題は未解決のままだ。バイデンは、前任者が愚かにも放置したイランとの核取引に再び参加すると言って就任した。しかし、バイデンは逡巡し、延期した。結果として、イランの立場は強まり、新たな核取引の実現は不可能であることが明らかになった。その結果はどうか? イランはこれまで以上に核兵器開発能力の獲得に近づいている。そして、バイデン政権も世界も必要としない中東における戦争発生のリスクを高めている。

更に悪いことに、バイデンとブリンケンは、中東の複数の同盟諸国から繰り返し屈辱を味わっている。エジプト政府は、アメリカが提起している人権問題を日常的に無視する一方で、アメリカの経済援助を懐に入れ続けている。バイデンは、反体制派ジャーナリストのジャマル・カショギを殺害したサウジのムハンマド・ビン・サルマン王太子を失脚させるという選挙公約を覆した。「世界中が目撃した」サウジアラビアとの手打ちをもってしても、サウジにエネルギー価格の緩和に協力させることも、ウクライナ侵攻後のモスクワに圧力をかけるよう説得することもできなかった。さらに不吉なことに、サウジアラビアは中国の習近平国家主席に近づき続けている。今週、サウジアラムコは中国と2つの新しい石油関連投資案(製油所建設を含む)を発表したし、最近のサウジアラビアとイランの緊張緩和(デタント)を仲介したのはアメリカではなく中国だった。中国やサウジアラビアが自国の利益のために行動することを責めるつもりはないが、これらのことをアメリカ外交の勝利と見なすことは難しい。

バイデンとブリンケンには、現在のアメリカとイスラエルとの関係の危機に直接の責任はない。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の「司法改革」案がその最大の原因だが、イスラエルに対する彼らの軟弱な態度が、ネタニヤフ首相に「このままでいい」と思わせた可能性がある。バイデンとブリンケンは、最初からイスラエルに愛想を尽かしていた。アメリカ大使館をエルサレムに移転するというトランプ大統領の決定を覆さず、パレスチナ人のための領事館を再開するという再三の約束も果たさず、ヨルダン川西岸を植民地化しようとするイスラエルの継続的な取り組みに「懸念」を表明するいつもの軽い表現しかしなかった。バイデンとブリンケンは、イスラエルがますます懸念を高める行動からアメリカを遠ざけようとしている。そして、その代わりにアメリカのイスラエルに対する「鉄壁の(ironclad)」関与(コミットメント)に関するいつもの決まり文句を繰り返し、二国共存解決という神話上の生き物(mythical creature)を信じ続けていることを表明し続けた。ネタニヤフ首相が、アメリカからの支持を危うくすることなく、イスラエルの民主政治体制に対する論争的な攻撃を進めることができると考えたとしても不思議ではない。今週初め、バイデンがようやく穏やかな批判を口にしたとき、ネタニヤフ首相はすぐに、イスラエルは自分自身で決断を下すと答えた。これこそ、無条件の支持で得られる外交的影響力ということだ。

一方、アメリカは世界の平和の担い手(global peacemaker)としての役割を放棄しつつあるようだ。かつて軍備管理(arms control)を最優先し、エジプト・イスラエル和平条約、ベルファスト協定(Good Friday Agreement)、バルカン戦争の終結を仲介したアメリカは、現在のところ、紛争を終わらせることに関心がなく、たとえ最終的に死や破壊が増え、エスカレートするリスクが続くとしても、自分たちに有利な側を勝たせることに関心がある。クインシー・インスティテュートのトリタ・パルシが先週指摘したように、「アメリカは誠実な平和主義の美徳を諦めてしまったようだ。今日、我が国の指導者たちは、永続的な平和を確立するためというよりも、紛争において『わが方』の立場を有利にするために調停を行っている」と述べている。

アメリカ外交は、中国への対応にも失敗している。2021年にブリンケンが表明した政権の対中政策は、アメリカが「競争的であるべき時は競争的に、協力的であるべき時は協力的に、敵対的でなければならない時は敵対的になる(will be competitive when it should be, collaborative when it can be, and adversarial when it must be)」というものだ。しかし、1番目と3番目の項目が中心となって、共通点を見つけ、ますます激しくなる安全保障上のライヴァル関係を管理する努力は、ほとんど行われていないのが現状だ。もちろん、その責任の一端は北京にあるのだが、この重要な米中二国間関係をどのように管理し、改善していくかについて、創造的な考えを示す兆候はほとんど見られない。

しかし、悪いニュースばかりではない。日本やオーストラリアなど、既存のアジアのパートナーとの関係強化に向けたアメリカの努力は、中国の思慮の浅い主張にも助けられ、うまくいっている。しかし、先端チップの輸出規制やアメリカのデジタル産業への助成を通じて中国を弱体化させようとするバイデン政権の幅広い取り組みは、これらの同じパートナーに大きなコストを課すとともに、近隣での将来の衝突に対するアジアの懸念を高めている。また、バイデン・ティームは、インド太平洋地域で経済的影響力を強める中国への効果的な対抗策を打ち出すことができなかった。トランプ大統領が2017年にTPP(環太平洋経済連携協定)を破棄するという思慮の浅い決断を下したのはバイデンの責任ではないが、その代わりに昨年ようやく打ち出した「インド太平洋経済枠組み(Indo-Pacific Economic Framework)」は、アジアの大部分から小粒だと広く正しく思われている。

バイデン政権の初期の外交的成功の1つは、ジャネット・イエレン財務長官が、多国籍企業に対するグローバルな最低税額を設定するための多国間協定を交渉したことだった。これにより、多国籍企業が低税率のオフショア・ロケーションで利益を申告して税金を回避するのを防いだ。イエレン長官の功績は称賛に値するが、この法案は現在のところ、米連邦議会で瀕死の状態にあり、施行されない可能性がある。そして、バイデン政権のより成功した国内のイニシアティヴ、特にインフレ削減法は、これらの措置がアメリカの国内産業を、自国ではなく同盟諸国の費用で促進していると見なす、アメリカの同盟諸国との間で深刻な摩擦を引き起こした。

「ちょっと待て」という読者の皆さんからの声が聞こえてきそうだ。モスクワの行動を非難する偏った国連総会での投票は言うに及ばず、ロシアの違法なウクライナ侵攻に対する欧米諸国の対応をまとめる上で、アメリカ外交が果たした重要な役割はどうだろうか? それは、アメリカが復活し、外交官たちが完璧に仕事をこなしていることの証明ではないのか?

その答えは「イエスであり、ノーだ」となる。一方では、バイデンと彼のティームは、侵略に対する欧米諸国の協調的な対応を主導してきた。これは必ずしも容易なことではない。しかし、戦争が終わるまではこうした努力を終えることはできないし、この努力の最終結果は不確実だ。ロシアがドンバスの一部または全部を支配し、ウクライナの人口が減少し、大きな被害を受けたまま戦争が長引いたとしても、外交政策上の大きな成果には見えないというのが残酷な現実である。そうならないことを願うのは当然だが、その可能性を否定することはできない。

悲しいことに、バイデン政権は、少なくとも部分的には自作自演(own making)の問題に見事に対処している。ウクライナ戦争の根源はバイデンの大統領就任より前にあったのだが、バイデンもブリンケンも戦争がすぐに起こるとは考えなかった。彼らは、ロシアがウクライナの動向を現実的な脅威と見なしていることを認識せず、戦争を回避するためにできる限りのことをした訳でもない。アメリカ政府関係者(過去と現在の両方)は、アメリカや欧米諸国の政策がこの悲劇を引き起こした、またそのための役割も果たしたということを徹底的に否定してきた。しかし、イギリスの歴史家ジェフリー・ロバーツが『ジャーナル・オブ・ミリタリー・アンド・ストラティジック・スタディーズ』誌で最近述べたように、証拠を冷静に見てみると、そうではないことが分かる。以前にも述べたに、「プーティンは戦争に直接の責任があるが、西側諸国は非難されるべきでないということもない」のだ。

アメリカとヨーロッパの同盟諸国が、ロシアの安全保障上の懸念にもっと真剣に、創造的に対処しようとし、「ウクライナはいつかNATOに加盟する」という頑なな主張を止めていれば、戦争を回避できたかどうか、確実にそうだったとは言えない。私は、ロシアが予防戦争(preemptive war)を始めたこと(国際法上違法な行為)やそのやり方について、非難を免れると主張するつもりはない。しかし、この戦争が世界に及ぼす影響、とりわけウクライナに及ぼす影響を考えると、アメリカがこの戦争を阻止するためにあらゆる手段を講じなかったことは、これまで以上に批判されてしかるべきだろう。

しかし、アメリカの外交官たちの不甲斐なさは、彼らの責任ばかりではないだろう。アメリカの世界的な野望は非常に大きいため、多くの問題は十分な注意を払うことができず、ましてやトップに立つ人々の時間、エネルギー、関与を引き出すことはできないだろう。そして、ワシントンの目標が大きく広がれば広がるほど、それらの間のトレードオフを調整し、明確で一貫した優先順位を維持することは難しくなる。これは、私たちが外交政策の抑制を主張し続ける理由の一つである。アメリカの外交政策は、重要なことをより少なく、よりよく行うことで、より成功するのである。

それでは民主政治体制サミットの話に戻ろう。たとえ出席基準に一貫性がなく、問題のある民主政体諸国(フランス、イスラエル、ブラジル、インド、アメリカなど)が民主政治体制の美徳を讃えるために集まるという特異な構図を見逃したとしても、この努力から何が得られるかは明らかではない。第1回目のサミットでは、20年近く続いている民主政体の下降傾向を覆すことはできなかった。それでは、第2回目のサミットで何を達成できるのだろうか? 1944年のブレトンウッズ会議、1991年のマドリッド会議、2015年のパリ気候会議がそうであったように、有力者が一堂に会することは、何か即効性があり、具体的に実行できることがあれば意味がある。同様に、バラク・オバマ政権が開催した4回の核サミットでは、政権が当初掲げた目標の全てに到達したわけではないにせよ、世界中の核物質の管理を改善し、既存の核物質の備蓄を削減するための様々な合意など、具体的な成果が得られたと言える。

私の知る限り、民主政体サミットはそのようなささやかな成果にすら遠く及ばないだろう。民主政治体制の未来は、話し合いの場を増やすことで救われるものではない。世界の民主政体諸国が、国内外の市民のためにより良い結果を出せるかどうかにかかっている。成功には多くの努力が必要であり、最も裕福な民主政体国家であっても、時間や資源が無限にあるわけではないのだ。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。ツイッターアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 このブログでもご紹介したが、ピューリッツア賞受賞のヴェテランのジャーナリストであるシーモア・ハーシュが自身のウェブサイトに論稿を発表した。その内容は、昨年9月に爆発事故を起こして稼働できなくなった、ロシアとドイツを結ぶノルドストリーム・パイプラインについて、爆破はアメリカ軍が、ジョー・バイデン政権の最高幹部たち(アントニー・ブリンケン国務長官、ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官、ヴィクトリア・ヌーランド国務次官など)の共同謀議による作戦立案とバイデン大統領の命令を受けての攻撃だったというものだ。

 今回は、ハーシュがドイツのジャーナリストであるファビアン・シードラーのインタヴューに答える形で記事が出た。ドイツは自分たちがノルドストリーム爆破の直接の被害者であるから関心が高いはずだ。しかし、いまのどいつのショルツ政権ではアメリカに対して、ほんのちょっとでも抗議をすることなどできもしないだろう。日本はその点で同じだ。

 ショルツ政権の副首相・経済・気候保護大臣であるロベルト・ハーベック、外務大臣であるアンナレーナ・ベアボックは共に緑の党から出ているが、彼らは対中、対ロシアに対して強硬である。原発が稼働停止するドイツでロシアからの天然ガスはエネルギーにおける命綱であるはずだが、彼らは喜んで命綱を切断し、国民に塗炭の苦しみを味合わせる。「それがSDGsよ」「なんてエコな暮らし」と言いながら、耐乏生活、窮乏生活をさせるのだ。これは私の推測だが、彼らはアメリカによるノルドストリーム爆破に了承を与えていたのではないかとすら思えてしまう。

 バイデン政権は犯罪政権である。しかし、ノルドストリーム爆破をバイデン政権が実行したことは報道されないし、明らかにされないだろう。バイデンの寿命はそこまで長くないだろうが、爆破に関わったブリンケン、サリヴァン、ヌーランドはこれからある程度の期間は生きるだろうし、アメリカ政治の枢要に参画するだろうから、彼らを犯罪者にはできないということに短期的にはなるだろう。しかし、流れが逆転するということもある。アメリカの覇権が崩れ始めて、これまでのアメリカの犯罪が暴かれる際には彼らは当事者として逮捕されるだろう。そうしたことが起きないために(少なくとも短期的には)、彼らは何が何でもバイデンの大統領選挙再建に突き進む。

 それでも、バイデンの再選に暗雲が立ち込めている。それはアメリカ経済の失速から崩壊の可能性が高まっていることだ。アメリカで「経済のことならトランプだ」という機運が高まれば、バイデンの再選も難しい。バイデンが選挙に落ちるようなことがあれば、アメリカ政治、アメリカ政界は大混乱に陥る可能性がある。

(貼り付けはじめ)

シーモア・ハーシュ:アメリカがノルドストリーム・パイプラインを破壊した(Seymour Hersh: The US Destroyed the Nord Stream Pipeline

シーモア・ハーシュとのインタヴュー

インタヴュアー:ファビアン・シードラー

2023年2月15日
『ジャコバン』誌

https://jacobin.com/2023/02/seymour-hersh-interview-nord-stream-pipeline

先週、高名な調査報道ジャーナリストであるシーモア・ハーシュは、ロシアからドイツへ天然ガスを輸送するために利用されてきたノルドストリーム・パイプラインの破壊はアメリカの責任だと主張する内容の論稿を発表した。

2022年9月26日、ロシアからドイツに到るノルドストリーム天然ガスパイプラインが、バルト海において複数回の爆発によって広範囲に破壊された。先週、賞を受賞した経験を持つ調査報道ジャーナリストであるシーモア・ハーシュが、1名の匿名の情報源からの情報を基にした論稿を発表した。その内容は、バイデン政権とCIAに爆発の責任があるというものだ。

ハーシュは1970年にピューリッツア賞を受賞した。授賞理由は、アメリカ兵が非武装の市民を300から500人殺害したミライ虐殺事件の報道で果たした役割であった。ハーシュは『ジャコバン』誌のために、ファビアン・シードラーに最新の記事で取り上げた疑惑とCIAと国家安全保障部門がアメリカの外交政策に及ぼす影響について話した。

ファビアン・シードラー:

最初にあなたの発見について詳細にご説明いただきたい。あなたの情報源からの情報から、正確に何が起きたか、誰が関与したのか、この行為の裏にある誘因は何か?

シーモア・ハーシュ:

私は行っていることは明らかなことを単純に説明しているに過ぎない。それは単に語られるべき物語に過ぎない。2022年9月下旬、8個の爆弾が爆発するはずだった。6個はバルト海のボーンホルム島付近の水面下、やや浅いところで爆発した。その爆発でノルドストリーム12の4本の主要パイプラインのうち3本を破壊した。

ノルドストリーム1は、長年、非常に安い価格でドイツにガス燃料を供給してきた。そして、両方のパイプラインが爆破され、なぜ、誰がやったのかが問題になった。2022年2月7日、ウクライナ戦争を前に、アメリカのジョー・バイデン大統領は、ドイツのオラフ・ショルツ首相とホワイトハウスで記者会見し、「ノルドストリームを止めることができる」と発言した。

シードラー:

ジョー・バイデンの正確な文言は、「もしロシアが侵攻してきたら、ノルドストリーム2はなくなる。私たちはパイプラインに終止符を打つ」というものだ。そして、このプロジェクトがドイツの管理下にあることを踏まえ、具体的にどのようにそれを行うつもりかという記者団からの質問に対して、バイデンは、「私たちはそれを行えることだと約束できる」とだけ答えた。

ハーシュ:

バイデン政権の国務次官であるヴィクトリア・ヌーランドは、2014年に彼らがマイダン革命と呼ぶものに深く関与しており、その2週間前に同様の言葉を使用した。

シードラー:

パイプラインの撤去は、バイデン大統領によってもっと前に決定されていたということになる。あなたの記事によると、国家安全保障問題担当大統領補佐官ジェイク・サリヴァンが、統合参謀本部、CIA、国務省、財務省から新たに結成されたタスクフォースの会議を招集した2021年12月から時系列で、最初から話を整理している。サリバンは、ノルドストリーム・パイプラインを破壊するための計画を立案する意図を持っていたのだ。

ハーシュ:

このタスクフォースは当初、この問題を研究するために12月に召集された。彼らはCIAなどに呼び寄せられ、極秘のオフィスで会議を持った。ホワイトハウスのすぐ隣に、行政府庁舎と呼ばれるオフィスビルがある。そこは地下トンネルでつながっている。その最上階に、大統領情報諮問委員会と呼ばれる外部顧問の秘密グループの会議場がある。私はホワイトハウスの人々に、私が何かを知っていることを知らせるために、このことを報告したに過ぎない。

会議は、ロシアが戦争を仕掛けてきたらどうするのかという問題を検討するために招集された。ウクライナ戦争の3カ月前、2022年のクリスマス前のことだ。ハイレヴェルなグループだった。おそらく違う名前だったと考えられるが、私はただ「省庁間グループ」と呼んでいる。正式な名前があったのかどうかは分からない。CIAと通信を監視・傍受する国家安全保障局、資金を供給する国務省と財務省、そしておそらく他にもいくつかのグループが関与していた。その他に、統合参謀本部も参加していた。

制裁や経済的圧力の強化といった可逆的なものから、爆発物など不可逆的なものまで、ロシアを止めるために何をすべきかを提言するのが彼らの大きな仕事だった。情報源を守らなければならないので、特定の会議について具体的に話したくない。何人が会議に参加していたのか分からない。私の言っていることが理解できるだろうか?

シードラー:

論稿の中で、2022年初頭、 CIAの作業部会がサリヴァンンの省庁間グループに報告し "パイプラインを爆破する方法がある" と提言したと書いているが?

ハーシュ:

彼らは方法を知っていた。アメリカでは「機雷戦」と呼ばれているものを理解している人たちがいた。アメリカ海軍には、潜水艦に入るグループと、原子力工学に関する司令部があり、機雷戦司令部も存在する。機雷こそは非常に重要であり、熟練した鉱夫がいるのです。機雷戦従事者の訓練で最も重要なのは、フロリダの田舎にあるパナマシティという小さなリゾート地である。

そこで非常に優秀な人材を育成し、活用している。機雷戦従事者はとても重要な存在だ。港への入港を妨害したり、邪魔なものを吹き飛ばしたりすることが可能なのである。ある国の海底石油パイプラインが気に入らなければ、それも爆破することができるという訳だ。いいことばかりではないが、彼らはとても秘密主義である。ホワイトハウスにいたグループにとって、パイプラインを爆破できることは明らかだった。C-4と呼ばれる爆発物がある。これは非常に強力で、特に使用量が多いと壊滅的だ。水中ソナー装置を使って遠隔操作することができる。水中ソナーは非常に低い周波数の信号を送る。

2022年1月初旬には、ホワイトハウスにそのことが伝えられた。2週間か3週間後に、ヴィクトリア・ヌーランド国務次官が「できる」と言ったのだ。これは1月20日のことだったと考えられる。そして、大統領もオラフ・ショルツ独首相と一緒にいる場所で、2月7日に「できる」と言った。ショルツは具体的なことは何も言わず、曖昧な態度に終始した。しかし、もし私がドイツ議会で公聴会を開催できるとしたら、ショルツにこう質問するだろう。「バイデン大統領からパイプライン爆破について聞いたか? その時、なぜ彼が爆破できると確信したのか話をしたか?」

まだ計画は具体的には存在しなかったが、爆破能力があることは分かっていた。

シードラー:

作戦においてノルウェーはどのような役割を果たしたのか?

ハーシュ:

まず、ノルウェーは海洋大国であり、地下エネルギーも保有している。また、西ヨーロッパ諸国やドイツに販売できる天然ガスの量を増やすことを強く望んでいる。そしてそれを実現し、輸出量を増やしている。従って、経済的な理由から、アメリカと一緒にこうどうするということになったのではないか? また、ロシアに対する嫌悪感も根強く残っている。

シードラー:

論稿の中で、あなたはシークレットサーヴィスとノルウェー海軍が作戦に参加し、スウェーデンとデンマークは説明こそ受けたが全ては教えられなかったと書いている。

ハーシュ:

私に言わせれば、「伝えなかったのは、伝える必要はなかったから」ということだ。つまり、自分がやっていることを相手も知っていて、何が起こっているのかも理解しているのに、誰もイエスと言わないということだ。私はこの問題に関して情報源と一緒に真剣に取り組んだ。要するに、この任務を遂行するために、ノルウェーは適切な場所を探さなければならなかった。パナマシティで訓練を受けていた潜水士達は、重い潜水タンクを使わずに、酸素と窒素とヘリウムの混合物だけで水深300フィート(約90メートル)まで到達できる。

ノルウェーは、バルト海のボーンホルム島沖に水深260フィート(約78メートル)の場所を見つけ、そこで活動できるようにした。そこまで到達したらゆっくり戻ってこなければならない。減圧室があるノルウェーの潜水艦「ハンター」を使用した。4本のパイプライン爆破に送られた潜水士はわずか2名だった。

バルト海を監視している人たちにどう対処するかという問題もあった。バルト海の監視は非常に徹底しており、公開されている情報も多いので、そのための担当者を34人用意した。そして、私たちが行ったことは実にシンプルなことだ。地中海とバルト海を管轄するアメリカ海軍第6艦隊は、21年前から毎年夏にバルト海でNATO加盟諸国の海軍のための演習(バルト海作戦)を行っている。そして、海軍の空母や大型艦船を動員する。非常にオープンなものだ。ロシアは確かにそのことを知っていた。私たちは公の場で爆破作戦を実行した。そして、このバルト海でのNATOによる作戦では、歴史上初めて新しいプログラムが実施されました。10から12日間の期間をかけて、地雷を落として発見する演習を行う予定を組んでいた。

いくつかの国が機雷作戦ティームを派遣し、あるグループが機雷を落とすと、自国の別の機雷作戦グループがそれを捕捉して爆破する。だから、爆破するまでにはある時間があったのだが、その間にノルウェー軍は深海潜水士を回収することができた。2本のパイプラインは1マイルほど離れて走っており、少し土の下にあるが、到達するのは難しくないし、彼らは作戦を実行した。爆弾の設置には数時間しかかからなかった。

シードラー:

それは2022年6月のことか?

ハーシュ:

そうだ。6月に入って10日過ぎた頃、演習の最後に爆破を実行する予定だったのだが、最後の最後でホワイトハウスがナーヴァスになった。バイデン大統領は、実行することが怖いと語ったのだ。そして、いつでも爆弾を落とせるように、いつでも遠隔操作で爆弾を落とせるようにと命令した。レイセオン製の通常のソナーを使って作戦実行。上空を飛行し、シリンダーを落とす。低周波の信号を送る。フルートのような音で、様々な周波数を発することができる。しかし、心配だったのは、水中に長く放置しておいて爆弾が作動しないことだった。そのため、グループ内では適切な手段を見つけようとパニックになり、実際には他の情報機関にも問い合わせる必要があった。論稿ではそのことは書かなかった。

私は、ブリンケンやその他の政権幹部たちが思慮深い人間ではないと考えている。

シードラー:

そして、その時に何が起きたのか? 彼らが爆弾を設置し、遠隔地からコントロールする方法を見つけた・・・。

ハーシュ:

ジョー・バイデンはパイプラインを爆破しないと決定した。それは6月上旬のことだった。当時はウクライナ戦争が始まって約5カ月だった。しかし、9月になって、バイデンは爆破を決断した。

あることをあなたに教えよう。作戦にかかわった人々、つまりアメリカのために能動的な活動を行う人たちは、大統領の命令通りにする。彼らは当初、これは交渉に使える便利な武器だと考えていた。

しかし、ある時点で、ロシアが侵攻した後で、パイプライン爆破作戦が完了すると、爆破作戦を実行した人々にとって、これはますます嫌なものになった。彼らはよく訓練された人々で、最高レヴェルの秘密情報機関に所属している。彼らはこのプロジェクトに背を向けた。彼らは、これは非常識なことだと考えた。そして、原爆投下の1週間後、あるいは3、4日後、彼らが命令されたことを実行した後、多くの怒りと敵意が生まれた。これは私が取材してあきらかになったことだ。

そして、もう1つ言っておきたいことがある。アメリカやヨーロッパでパイプラインを建設している人たちは、何が起こったかを知っている。私は今重要なことを話している。パイプラインを建設する会社を経営している人たちは、この話を知っている。私は彼らから話を聞いた訳ではないが、彼らが爆破事件について知っていることはすぐに分かった。

シードラー:

それでは昨年6月の状況に戻ろう。ジョー・バイデン大統領は爆破作戦を直接行わず、延期するように決定を下した。それなのに、どうして9月になって作戦を実行したのか?

ハーシュ:

アンソニー・ブリンケン米国務長官は、パイプラインが爆破されて数日後の記者会見の席上で、プーティンから経済的にも、そして軍事的にも大きな力が奪われてしまったと述べた。ブリンケンは、「ロシアがパイプラインを武器化することができなくなったことでもあり、これは大きな機会となった、それは、ロシアがつまり、今回の戦争において、西ヨーロッパ諸国がアメリカを支援しないように強制することができなくなったのだから」と述べた。西ヨーロッパがこれ以上戦争に付き合わないようになることを恐れたのです。その時にやろうと思ったのは、西側諸国にとって戦争がうまくいっていないこと、そして冬が来ることを恐れていたのだと思う。ノルドストリーム2はドイツから制裁を受けているが、アメリカは厳しい冬になってドイツが制裁を解除することを恐れていた。

シードラー:

あなたのお考えでは、その裏側にはどのような動機があったと言えるだろうか? アメリカ政府がパイプラインに反対した理由は様々だ。ロシアと西ヨーロッパ、特にドイツとの結びつきを弱めたいから反対した、という人もいる。しかし、アメリカ経済と競合するドイツ経済を弱体化させるためでもあったとも考えられる。ガス価格の高騰で、企業はアメリカに移転し始めている。アメリカ政府がパイプラインを爆破した場合、その動機についてあなたはどのように考えるか?

ハーシュ:

彼らはよく考えていないと思う。奇妙に聞こえるかもしれないが、私は ブリンケンをはじめとする政権の一部の人たちが深い考えを持った人たちだとはとても思えない。アメリカ経済には、私たちがより競争力を持つという考えを好む人たちが確かにいる。私たちはLNG、液化ガスを極めて大きな利益で売っている。これはアメリカ経済にとって長期の景気浮揚策になる、と考えた人たちもいたことだろう。

しかし、あのホワイトハウスでは、常に再選に執着し、戦争に勝ちたい、勝利を得たい、ウクライナに何とか魔法のように勝ってほしいと思っていたのだろうと私は考える。

ドイツ経済が弱くなれば、私たちの経済にとって良いことかもしれないと考える人もいるかもしれないが、それはおかしな考えだ。私は、基本的に、私たちはうまくいかないものに深く食い込んでしまったと考える。戦争はこの政府にとって良い結果をもたらすことはないだろう。

シードラー:

この戦争はどのように終結すると考えるか?

ハーシュ:

私が何をどう考えるかは重要ではない。私に分かっているのは、この戦争が思い通りにならないこと、そして、この先どうなっていくのか分からないということだ。大統領がこのようなことを望んでいたのなら、私はそのことに恐怖を感じている。

そして、この作戦を行った人々は、バイデン大統領がドイツの人々に何をしているのか、うまくいっていない戦争に対して罰を与えていることに気づいていると信じていた。そして長い目で見れば、これは大統領としての評判だけでなく、政治的にも非常に不利になることだろう。アメリカにとって汚点となることだろう。

CIAは王冠のために働くのであって、憲法のために働くのではないと理解されている。

つまり、ホワイトハウスは状況が自分たちにとって悪くなると考えていた。ドイツや西ヨーロッパ諸国が武器を提供しなくなり、ドイツの首相がパイプライン稼働を再開かもしれない。ホワイトハウスは常にこうした事態を恐れていた。私にはドイツのオラフ・ショルツ首相に質問したい事項がたくさんある。例えば、2月に大統領と一緒にいたときに何を知ったのか、ということなどだ。この作戦は大きな秘密で、大統領はこの作戦遂行能力について誰にも話してはいけないことになっていた。でも、彼は喋ってしまうのだ。話したくないことも話してしまう人だ。

シードラー:

あなたの話は、欧米諸国のメディアでは、ある程度の抑制と批判をもって報道された。あなたの評判を貶めるために攻撃したり、匿名の情報源は1つだけであり、それでは信頼に足る話ではないと主張したりする人々がいる。

ハーシュ:

私が情報源について語ることなどあるだろうか? 私はこれまで匿名の情報源を元に多くの記事を書いてきた。もし誰かの名前を明らかにしたら、彼らは解雇されるか、最悪、投獄されるだろう。厳しい法律がある 私は誰についても暴露したことなどない。もちろん、この記事のように、情報源はあくまで情報源であると書いている。そして長年にわたって、私が書いた記事はいつも受け入れられてきた。この記事には、『ニューヨーカー』誌で一緒に働いていた時と同じレヴェルの熟練したファクトチェッカーを起用した。当然の話として、私に伝えられた不明瞭な情報を検証する方法はたくさんある。

それに、私に対する個人攻撃は本質を突いていない。バイデンはこの冬、ドイツに厳しい冬を過ごさせることを選んだ。アメリカ大統領は、ドイツがウクライナ戦争に協力的でない可能性よりも、エネルギー不足のために、ドイツの人々が厳しい寒さの中で生活するのを見たいのだろう。私にとっても、作戦に参加した人たちにとっても、これは酷いことだ。

シードラー:

ロシアだけでなく、西側の同盟諸国、特にドイツに対する戦争行為と受け止められる可能性があることもポイントだ。

ハーシュ:

単純に考えてみよう。この作戦に関わった人々は大統領が短期的な政治的目標のためにドイツを冷遇することを選んだと見ており、それが彼らを恐怖に陥れたと言えるだろう。これは、アメリカに強烈な忠誠心を持つアメリカ人についての話だ。CIAでは、私が論稿で述べたように、彼らは王冠のために働き、憲法のために働かないということが理解される。

CIAの長所は、米連邦議会で自分の主張を通せず、誰も耳を貸さない大統領が、ホワイトハウスのローズガーデンの裏庭をCIA長官と散歩して、8000マイル(約1万2800キロ)離れたところで誰かを傷つけることができる、ということだ。CIAのセールスポイントについては、小唄内容であるため、私は問題視している。しかし、そのCIAでさえ、勝ち目のない戦争を支援するためにヨーロッパを冷遇することを選んだことに愕然としている。パイプライン爆破は極悪非道な行為だと私は考える。

シードラー:

論稿の中であなたは攻撃の計画は米連邦議会に報告されなかったと述べている。秘密作戦の場合でも連邦議会に報告しなければならないそうだが。

ハーシュ:

米軍の多くの部署に対しても報告はなされなかった。他の政府機関の幹部たちも知っておかねばならないことであったが、情報提供はなされなかった。作戦はどこまでも秘密で実行された。

シードラー:

バルト海沿岸の船舶や航空機に関するオープンソースインテリジェンス(OSINT 訳者註:公表されているデータを収集し、分析する諜報活動)の評価に携わっている人々から、「9月26日やその前の日に爆発地点で直接検知されたノルウェー機はない」という批判もあった。

ハーシュ:

本格的な秘密作戦はOSINTを考慮し、それに対処するために実行される。私が言ったように、この問題に対処する人が任務に就いていた。

シードラー:

あなたの職業において勇気はどのような役割を果たすのか?

ハーシュ:

真実を伝えることに何か勇気が必要であろうか? 私たちの仕事は恐れることではない。そして時には醜くなることもある。私の人生にもそのようなときがありました。理解してもらえると思うが、私はそのことについて話さない。脅迫されるのは、私のような人間ではなく、私のような人間の子どもだ。酷い目にあったこともある。しかし、気にしないことだ。ただ、自分のやるべきことをやるだけだ。

※シーモア・ハーシュ:ピューリッツア賞受賞のアメリカの調査報道ジャーナリスト。

※ファビアン・シードラー:ベルリンを拠点とするジャーナリスト。著書に『巨大マシーンの終焉:衰退しつつある文明の概略史(The End of the Megamachine: A Brief History of a Failing Civilization.)』がある。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 ウクライナ戦争開戦後、世界のエネルギー価格は高騰し、その影響は現在も続いている。日本の消費者物価指数は4.2ポイント上昇ということを盛んに報道されているが、特に電気代やガス代、ガソリン代や灯油代の高騰に驚き、不平不満を持っている人たちも多い。物価高、インフレ、生活コストの上昇ということで言えば、世界は第三次次世界大戦下にあると言える。

 ウクライナ戦争開戦後、欧米諸国はロシアへの制裁の一環として、天然資源の輸入を取り止めると発表した。しかし、実際にはロシアからの天然資源、特に天然ガスの輸出は続いていた。これまでロシアとドイツを結ぶノルドストリーム・パイプラインによって、安価な天然ガスが供給され、それがヨーロッパ諸国の生活を支えていた。それが急に途絶することはヨーロッパ諸国の人々の生活が成り立たないことを意味する。そのため、ロシアに制裁を科しながらも、「少しずつ輸入を減らしていきますからね」ということで、輸入が続いていた。

 しかし、昨年にノルドストリーム・パイプラインが物理的に破壊されたことで、ロシアからの天然ガス供給は望めなくなった。そのために北海油田を持っているイギリスやノルウェーの石油、アメリカからの液化天然ガス輸入に頼らざるを得なくなった。もちろん、これまでのロシアからの天然ガスよりも高価な買い物である。それでも背に腹は代えられないということで、ドイツをはじめとするヨーロッパ諸国は天然資源の供給源の変更を余儀なくされた。

 「高く買ってくれる人に売る」は人間の自然な性向である。エネルギー価格が高騰する中でもヨーロッパ諸国はまだ買えるから良い。貧しい国々は買いたくてもお金がない。そうなれば、買う量を減らして、耐乏生活に突入するしかない。新興国ならまだ良いが、貧困国では停電の頻発、停電時間の長期化が続いている。これらの国々に対して、先進諸国に援助できるほどの余裕はない。自分のところだって高い価格のエネルギーを買っていて他を助ける余裕はない。

 それではこうした国々に対して、エネルギー産出国、具体的にはロシアやサウジアラビアが値引きした値段でエネルギーを供給したらどうなるだろうか。これまでこのブログで散々書いてきているが、世界は「西洋(the West)」対「それ以外(the Rest)」で分裂している。中露が率いる「それ以外」が発展途上国、貧困国を助ければ、そちらの味方になるのは自明の理だ。実際にロシアはインドや中国に割引で天然資源を販売している。

 ウクライナ戦争が終結しなければ、こうした状況はこれまでも続いていくだろう。ウクライナ戦争が始まって1年、今こそ停戦に進むべきである。更に言えば、ノルドストリーム・パイプライン破壊を命じたジョー・バイデン大統領の「大統領の犯罪行為」と、手下たち(アントニー・ブリンケン米国務長官、ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官、ヴィクトリア・ヌーランド国務次官)による「権力者共同謀議」による「戦争行為」は世界人類に対する罪である。

(貼り付けはじめ)

貧しい国々に負担を強いるヨーロッパのガスの深刻な不足(Europe’s Hunger for Gas Leaves Poor Countries High and Dry

-豊かな国々は、世界の他の国々の犠牲の上に、エネルギーの安全保障を追求している。

ヴィジャヤ・ラマチャンドロン筆

2023年2月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/02/01/europe-energy-natural-gas-lng-russia-africa-global-south-climate/

ロシア軍のウクライナ侵攻から約1年、モスクワのヨーロッパ向け天然ガス輸出は、パイプライン「ノルドストリーム」の妨害行為、ヨーロッパの購入量減少、欧米諸国のウクライナ支援に対する報復としてのモスクワの供給調整などにより、半分以下にまで減少している。天然ガスは、家庭や産業界の暖房用エネルギーとして、また化学製品の原料として重要な役割を果たしている。天然ガスは、家庭や産業の暖房に欠かせないエネルギー源であり、化学製品の原料として、肥料、セメント、鉄鋼、ガラスなど、多種多様な製品の製造に欠かせない要素となっている。また、発電にも広く利用されており、2021年のヨーロッパの発電量のうち、ガス火力発電所は34%を占めている(アメリカは38%)。

ロシアからの供給が失われたことへの反応として、ヨーロッパ各国はあらゆる天然ガス供給源に依存し、大量の備蓄を抱えることになった。ロシアからのパイプラインによる供給が激減したため、ヨーロッパは需要の多くを世界各国から船で輸送される(液化天然ガス(LNG)にシフトさせた。その結果、2022年半ばのガス備蓄のピーク時には、液化天然ガス(LNG)の世界価格は2年前の新型コロナウイルス感染拡大時の安値から1900%上昇した。

この天然ガスの価格高騰は、ヨーロッパの産業界にもダメージを与えたが、貧しい国々に住む何億人もの人々にとっては、まさに壊滅的な打撃となった。インドとブラジルは、自国の経済を十分に支えるだけの天然ガスを確保できず、輸入を控えるようになった。バングラデシュとパキスタンは、合わせて5億人近い人口を抱えているが、産業消費と発電のニーズを満たすことができず、停電に見舞われた。液化天然ガス供給者は、より高い価格を支払う富裕層向けの貿易にシフトすることを希望している。数ヶ月あるいは数年前に締結された契約にもかかわらず、貧困国向けの貨物がヨーロッパに迂回されたり、単に全く配達されなかったりしている状態だ。

停電は単なる不便な出来事と言うだけではない。パキスタンのように、毎年45度を超える熱波が襲い、国土の3分の1を水没させた洪水からの復興に苦闘している国では、電力は生死に関わる問題である。この数カ月間、連日連夜、企業、家庭、学校、病院が数時間電気がない状態に陥っている。それは、政府が、発電所の4分の1を占めるガス火力に十分な天然ガスを輸入できないからだ。パキスタン政府によると、主要な液化天然ガス供給会社は契約を履行せず、未納の違約金を払い、より高い利益を得るために富裕国へ供給を送ることを好んでいるとのことだ。

2022年7月、パキスタン政府が行った液化天然ガス72隻分(10億ドル相当)の入札には、供給会社からの入札が全くなかった。国際通貨基金(IMF)のプログラムからの現金支給が遅れたため、パキスタンはスポット市場でガスを購入するのに苦労し、工場やレストラン、その他の事業で働く人々は労働時間の短縮と低賃金を余儀なくされている。政府機関は電力消費量を30%削減するよう命じられ、国内の街灯の半分が消灯している。

貧しい国々にとって状況が好転する兆しはない。北半球の多くの地域で暖冬が続き、ガス価格が下がっているとはいえ、既に来年にも天然ガスが不足することが懸念されている。破壊工作が行われたノルドストリーム・パイプラインは2023年も使用できない可能性が高く、ヨーロッパ諸国はこの夏、重要な貯蔵施設に補充する液化天然ガスへの依存度を更に高めることになる。さらに、EU加盟諸国は既に、今後数年間に供給が開始される可能性のある新たなガス供給を賄うための長期契約締結に強い関心を示している。ドイツやその他のヨーロッパ諸国は、今後数年間に浮体式貯蔵・再ガス化設備に追加投資し、更に多くの液化天然ガス(LNG)を吸収できるようにしようとしている。一方、世界有数の液化天然ガス輸出国であるオーストラリアは、ガス不足の可能性を懸念し、自国でのガス供給量を増やすための対策をとっている。

貧しい国々が貧困から脱却し、干ばつや洪水、暴風雨、熱波に対して強靭になるためには、豊かな国々が享受しているのと同じように、信頼性が高く、豊富なエネルギー資源を必要としている。こうした国の多くは自然エネルギーに投資しており、さらに多くの投資を計画している。しかし、中期的なエネルギー安全保障の観点からは、富裕な国々と同様にガスが必要であることに変わりはない。発電だけでなく、農作物の収穫量を上げるための肥料や、耐震性の高い建物やあらゆるインフラのためのコンクリートや鉄などの工業生産にガスは欠かせない。また、暖房や調理にもガスは必要で、日照や天候に左右される風力や太陽光発電のバックアップ電源にもなっている。

自国のエネルギー安全保障の確保を急ぐヨーロッパは、アフリカや南アジアなどの指導者たちが気づかないうちに、偽善をむき出しにしている。ヨーロッパのいくつかの国は、国際的な化石燃料プロジェクトに対する公的支援を全て打ち切ると公約している。これらのヨーロッパ諸国は、信頼できる電力と経済成長をもたらす可能性のある下流のガスインフラを建設するための資金を、貧しい国々に提供してはならないと主張している。その一方で、アメリカやEUを拠点とする多国籍企業は、東アジアやヨーロッパの富裕な国々に輸出するために、自らの資本で貧しい国々のガス埋蔵量を開発することを止めない。

この偽善の基盤は明らかだろう。EU諸国は、自国のエネルギー安全保障のために化石燃料を最大限柔軟に使用できるようにする一方で、貧しい国々が貧困と悲惨から抜け出すために不可欠なエネルギー供給を増やすための資金援助には厳しい制限を課すという、陰湿なグリーン・コロニアリズム(green colonialism、グリーン植民地主義)を推進し続けている。その一方で、自国のエネルギー安全保障のために化石燃料を使用する自由度は最大限に高めている。石炭使用量の急増による排出量の増加については、ドイツに質問してみるとよいだろう。つまり、豊かな国々がガスの備蓄や世界中の生産者との複数年の購入契約を自画自賛している間に、貧しい国々は家庭や学校、病院、工場に十分な燃料がない状態に置かれなければならない。ガスプロジェクトへの融資を阻止するヨーロッパの政策は、貧困を緩和するものでも、気候変動に対処するものでもない。

これは、欧州の政府がエネルギー転換の橋渡し燃料として天然ガスを利用することを非難するものではない。特に、石炭を代替する場合や再生可能エネルギーをバックアップする場合には、天然ガスを利用することは非常に理にかなっているのだ。しかし、アフリカやアジアの貧しい国々にとっても、自国と同様にエネルギーの安全保障と信頼性が最も重要であることを、自国の国民に配慮しているのと同様に認識すべきだ。富裕な国々は、天然ガスが豊富に埋蔵されているアフリカにおける基本的なインフラ投資のわずかな排出量にこだわるよりも、貧しい国々が経済成長できるような戦略を採用すべきだ。

パキスタンやバングラデシュのような国々は市場から値崩れし、ヨーロッパが来年も暖冬であることを祈るしかない。自国の消費者を高価なガスやガソリンから守ることには何のためらいもないのに、貧しい国々の高価なガス代を援助することは、化石燃料の補助金とみなされるため、ヨーロッパ政府はおそらく拒否するだろう。しかし、ヨーロッパ諸国は、燃料節約型の再生可能エネルギーの導入や暖房の電化にもっと力を入れることができるだろう。また、世界的なエネルギー危機の最中に原子力発電所を停止させるのではなく、既存の原子力発電所を稼働させるための緊急延長をもっと検討すべきだ。例えば、ベルギーは原子力発電所を停止しているため、より多くの天然ガスを使用する方向にあり、その代償を払うのは貧しい国々である。

最も重要なことは、ヨーロッパ諸国は、エネルギー安全保障、経済成長、貧困緩和、健康な生活に不可欠な、貧しい国々の下流ガスプロジェクトに反対することを止めることだ。

※ヴィジャヤ・ラムチャンドロン:「ブレイクスルー・インスティテュート」エネルギー・発展担当部長。ツイッターアカウント:@vijramachandran

※ジェイコブ・キンサー:「エナジー・フォ・グロウス・ハブ」上級政策アナリスト兼プログラム調整担当。ツイッターアカウント:@jakekincer

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 拙著『』で取り上げたウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社だが、ジョー・バイデン政権高官にはその出身者が15名を占めている。今回はその顔ぶれを詳しく紹介している記事を紹介する。国務長官のアントニー・ブリンケンとアメリカ情報・諜報機関のトップである国家情報長官のアヴリル・ヘインズだけにとどまらず、数多くの人物がバイデン政権の中枢を支えている。一企業の出身者たちがこれほど政権に参加することは前代未聞のことで、「倫理規定違反ではないか」という声も上がっている。

 ウエストエグゼク。アドヴァイザーズ社が巨大企業500社を顧客にしているのは、バイデン政権との強力な人脈関係を持っているからだというのは明白なことだ。このブログでも紹介したが、ウクライナ戦争が始まってからは、ウエストエグゼク社の経営パートナー(共同創設者)であるミッシェル・フロノイ(オバマ大統領時代に国防次官、クリントン大統領時代に国防次官補)には各巨大企業のCEOたちからひっきりなしに連絡が来て、助言を仰いでいるということだ。バイデン政権の意向を一番掴みやすいい民間の存在がウエストエグゼク社ということになる。

 拙著と合わせて以下の記事をよく読んで欲しい。私が何か荒唐無稽なことを言っていたのではないということが分かるはずだ。

(貼り付けはじめ)

ジョー・バイデン政権に人材を派遣しているコンサルティング会社に目を向ける(MEET THE CONSULTING FIRM THAT’S STAFFING THE BIDEN ADMINISTRATION

-ウエストエグゼク社(WestExec)は、トランプ時代を通じて大企業の代理人を務めていた。そうした人々が今、ホワイトハウスにいる。

ジョナサン・ガイヤー、ライアン・グリム筆

2021年7月6日

『ジ・インターセプト』誌

https://theintercept.com/2021/07/06/westexec-biden-administration/

ホワイトハウスからわずか数ブロックしか離れていない本社で、元大使たち、弁護士たち、バラク・オバマ大統領時代に政権高官に任命された人々からなる小規模で強力なチームが、過去数年間、世界の各大企業のために問題解決に取り組んできた。

バイデン政権発足から半年足らずで、ウエストエグゼク。アドヴァイザーズ社(WestExec Advisors)という会社の15人以上のコンサルタントが、ホワイトハウスやその外交政策機構、法執行機関などに散らばっている。そのうち5人はすでに政権内で仕事を行っており、高官ポストへの指名を受けており、他の4人はバイデン-ハリス政権移行チームに所属していた。ワシントンの基準からしても、特に2017年に立ち上げたばかりの会社としては、政権と民間の間を行き来する回転ドアを通過する驚くべき前進となっている。このパイプラインは、バイデン政権内部にウエストエグゼク社の出身者たちを圧倒的な数配置し、国家情報長官や国務長官といった影響力のある最高幹部クラスに人材を据えている。一方、ウエストエグゼク社の顧客たちは、ハイテクや防衛の分野で、かつてのコンサルタントたちが現在設定・実行する立場にある政策と交錯し、論議を呼んでいる。

ウエストエグゼク社の出身たちが新しく政権に就くと、国務長官の場合は見出しで、サイバーセキュリティの責任者の場合は業界誌でと、さまざまな報道がなされた。一介のコンサルティング会社が外交政策立案を独占していることはほとんど気づかれなかった。このような政策立案者たちのネットワークは孤立しており、集団思考(groupthink)や利益相反(conflicts of interest)、また、矛盾しているかもしれないが、合法化された汚職(legalized corruption)と呼ばれるようなことが起こる可能性が懸念される。

ウエストエグゼク社は顧客情報を正式には公開しておらず、公開されている財務報告書も大まかな内容しか提供していない。ワシントン大学(セントルイス)法科大学院のキャサリン・クラーク教授は、数十年前に作られた政府の倫理法は、一企業から15人もの政府高官が出るような状況に対応できるものではないと言う。クラーク教授は続けて「彼らは政府に雇われているのは確かだ。それは認める。しかし、彼らは実際にアメリカ国民のために働いているのか、いないのか? 彼らの忠誠心はどこにあるのだろうか? 民間部門は本質的に公共部門を利用することができる」と述べている。

ホワイトハウスの報道官は声明の中で「これらのホワイトハウス高官たちは経験豊富な政府のリーダーたちであり、以前の民間部門での経験は、彼らが政府の仕事にもたらす幅広く多様なスキルの一部である」と述べている。ウエストエグゼク社は今回期の記事のための詳細な質問リストに回答することはなかった。

ウエストエグゼク社は、「他を圧倒する地政学的リスク分析」を売りの一つとしているが、現在、ウエストエグゼク社出身者たちが権力者の周辺において飽和状態にあることからも、それが確認できる。ウエストエグゼク社は、ハイテク新興企業を防衛契約に参加させることに成功し、防衛企業のハイテクによる近代化を支援し、多国籍企業の中国進出を支援することにも取り組んでいる。ウエストエグゼク社の協力者の一人が、防衛を中心とした投資グループ「パイン・アイランド・キャピタル・パートナーズ社(Pine Island Capital Partners)」で、昨年、SPAC(白紙委任会社)を立ち上げた。トニー・ブリンケンはパイン・アイランド社の顧問を務め、株式の一部を保有する共同オーナーでもある。ウエストエグゼク社のもう一人の共同設立者であるミシェル・フロノイは、国防長官への指名が見送られた。ジョー・バイデン大統領は、代わりにロイド・オースティンを指名した。オースティンはパイン・アイランドの元パートナーだが、ウエストエグゼク社のコンサルタントではなかった。

ウエストエグゼク社が「ブティック」となっているのは、幹部たちがベテランの政策立案者と顔を合わせる時間を確保できると約束したことだ。2020年、ウエストエグゼク社の共同創設者の一人は、「他の会社は、大物のために人を集めるが、大物に会うことはできないと感じていた。トニーはクライアントたちからの電話に出る」と述べている。

westexecadvisorsbidenadministration511

ブリンケンは現在、国務長官を務めている。ブリンケンは、通信大手のAT&T、防衛大手のボーイング、物流大手のフェデックス、メディア企業のディスカバリーといった有名企業の顧問を務め、ウエストエグゼク社の創業パートナーでもあった。また、フェイスブック、リンクドイン、マイクロソフト、ウーバーといった大手IT企業にも助言を行った。スピーカービューローのGLG、美術品販売のサザビーズ、バイオ医薬品のギリアド・サイエンシズなどニッチな企業もサポートした。また、ブラックストーン、ラザード、ロイヤル・バンク・オブ・カナダ、サウジアラビアと大規模な取引を行う多国籍コングロマリット「ソフトバンク社」など、グローバルな投資会社や資産運用会社もクライアントに名を連ねていた。また、コンサルティング企業マッキンゼー・アンド・カンパニーの顧問も務めた。ブリンケンは2020年7月、『ジ・アメリカン・プロスペクト』誌がウエストエグゼク社との関係について問い合わせた後に、同社を去った。しかし、これらの事業は、バイデン政権内で外交政策を実行する際に彼の計算に影響を与える可能性があるとして国際的に注目されている。

ブリンケンは、国務省の主要スタッフの何人かをウエストエグゼク社から連れてきている。ブリンケンの上級補佐官であるジュリアン・スミスは、ボーイングとソフトバンクを顧客としていた。スミスはシンクタンクのジャーマン・マーシャル・ファンドで常勤の仕事を持ちながら、ウエストエグゼク社のコンサルタントとして3万4000ドルの収入を得ていた。スミスは、NATOの米国常任代表に指名されている。ブリンケンはまた、ウエストエグゼク社のエグゼクティブ・アシスタントを務めたサラ・マクールをスケジュール管理担当として国務省に呼び寄せた。元駐アラブ首長国連邦米国大使のバーバラ・リーフは、ウエストエグゼク社に勤務し、全米バスケットボール協会(NBA)に助言を行った。彼女はその後、国家安全保障会議で中東担当上級部長を務めた。リーフは、国務省近東担当次官補になるための連邦議会承認を待っている。一方、オバマの駐イスラエル大使で、同僚によれば「非常に忙しい」初期メンバーのコンサルタント、ダニエル・B・シャピロの名前が中東特使として浮上している。ジ・アメリカン・プロスペクトは昨年夏、ウエストエグゼク社の顧客のひとつが、船舶追跡を専門とするイスラエルの人工知能企業ウィンドワード社であることを明らかにした。

ウエストエグゼク社はまた、バイデンの最も強力な情報・諜報機関のトップがトランプ政権時代をやり過ごすための快適な場所を提供した。アヴリル・ヘインズ国家情報長官は、早い時期にウエストエグゼク社のウェブサイトから名前を消されてしまったが、2017年10月から2020年7月まで同社で働き、外交政策担当としてバイデンの政権移行チームに参加した。彼女の承認公聴会の前に記入された報告書によると、彼女はフェイスブック、JPモルガン・チェイス、マイクロソフト、オープン・フィロソフィーなどクライアントに対して、「サイバー規範、国家安全保障上の脅威、国防省による機械学習システムのテスト、評価、検証、検証」についての「戦略的アドバイス」を提供したということだ。CIAのデイヴィッド・S・コーエン副長官は、ヘインズやブリンケンとともにウエストエグゼク社の「コアチーム」の初期メンバーであった。しかし、彼のクライアントが誰であったかを知ることは不可能だ。スパイ機関の関係者に対する免責事項により、彼の情報公開は公にされていない。

ワシントン大学(セントルイス)の倫理専門家であるクラーク教授は、「スパイ機関の官舎に対する免責事項は彼らが公的な説明責任から免除されることだ。そしてそれは、私たちが必ずしも内部統制と外部の公的な開示に頼ることができないので問題となるのだ」と述べた。CIAの広報担当者は、コーエンがウエストエグゼク社で助言を行っていた顧客企業について述べることを拒否した。

そして、最近連邦上院が国家サイバー局長として承認したクリス・イングリスがいる。彼はウエストエグゼク社から1万5000ドルを得て、インターネット・セキュリティ企業のクラウドストライク社と電子メール暗号化企業のヴァ―チュー社に助言を行っていた。

2017年の創業以来、ウエストエグゼク社は防衛、情報、法執行機関の能力を強化することに注力してきた。シリコンヴァレーのベンチャー企業であるリッジライン社(Ridgeline)と提携し、自らを「ミッション・ドリブン」であると述べている。つまり、軍との連携を避ける一部のハイテク企業と異なり、リッジライン社は軍事関連製品製造を求めていると説明している。コーエンもイングリスもリッジライン社のウェブサイトに登場し、そのパートナーシップを通じて、ブリンケンはこのヴェンチャーグループの多くの投資先企業に投資している。無名の新興企業は、奇抜な名前(アゴロ、ドゥードル、ウォーラローなど)だが、ドローン、人工知能、ロボットなどの先端技術を開発している。ウエストエグゼク社の出身者たちは、新興技術に深く関わっているため、政府が承認する契約に影響を与える政策立案の役割を担うことになり、利益相反が生じる可能性がある。

政権で最も注目される人物の一人もウエストエグゼク社で働いていた。現在ホワイトハウス報道官を務めるジェン・サキは、ウエストエグゼク社の上級アドヴァイザーとして、イスラエルの顔認識ソフトウェア会社エニーヴィジョンの危機管理コミュニケーションや、非営利団体スピリット・オブ・アメリカのアドヴァイザーを務めた経験がある。

westexecadvisorsbidenadministration512

(写真に取り上げなかった人々)国内政策問題担当大統領補佐官の補佐官エリン・ペルトン、国務長官予定管理担当部長サラ・マク―ル、国防次官補(承認待機中)セレステ・ワーランダー、バイデン=ハリス政権移行チーム顧問アンドレア・ケンドール=テイラー、クリスティーナ・キリングスワース、ジェイ・シャンボー、プニート・タルワー、米国サイバースペース・ソラリウム委員会副部長ジョン・コステロ、人工知能に関する国家安全保障委員会副委員長ロバート・O・ワーク。

各企業が新型コロナウイルス感染拡大の大規模な課題に直面する中、リサ・モナコはブリンケンによる顧客への助言に参加した。モナコはウエストエグゼク社のアドヴァイザーとして、ボーイング社やソフトバンク社に助言を行った。現在、モナコは米国司法副長官を務めている。マット・オルセンは、ウーバーのUberの幹部として数百万ドルを稼ぐ前、早くからウエストエグゼク社の部長を務めていた。バイデン大統領はオルセンを司法次官補(国家安全保障部門担当)に指名した。

イーライ・ラトナーは国防次官補(インド太平洋安全保障問題担当)として中国政策を策定している。政府倫理局の報告書によると、ウエストエグゼク社で、ラトナーは「支払請求可能な時間は、顧客を特定しない背景白書のための仕事をしており、ほとんどの収入はウエストエグゼク社からの支払いだった」ということだ。ラトナーは、ウエストエグゼク社では1万1450ドルの収入しかなかったが、シンクタンクであるセンター・フォ・ア・ニュー・アメリカン・セキュリティ(Center for a New American SecurityCNAS)で40万ドル以上を稼いでいた。

ウエストエグゼク社のシニアアソシエイトであったガブリエル・チェフィッツは国防総省の政策担当次官特別補佐官として入省した。バイデンは2020年6月、ウエストエグゼク社の上級アドヴァイザーだったセレステ・ワーランダーを国防次官補(国際安全保障問題担当)に指名した。

ウエストエグゼク社のコンサルタントは、人脈も血筋も豊富なので、複数の仕事、役職、肩書きを兼任していることが多い。そのため、ウエストエグゼク社の元上級アドヴァイザーであるエリザベス・ローゼンバーグのような人物が事前の紹介なしに財務省の高官に就任できるのだ。2020年5月末、バイデンはローゼンバーグを財務次官補(テロ組織資金捜査担当)に指名した。リンクドインのプロフィールによると、ローゼンバーグは「金融の透明性を促進する」ための連邦政府のイニシアチヴを管理してきたという。ホワイトハウスが指名を公表した経歴書には、ウエストエグゼク社での役割は抜け落ちていた。

米国国際開発庁(U.S. Agency for International DevelopmentUSAID)の高官たちのオフィスもまたウエストエグゼク社でコンサルタントを務めいた人物たちであふれている。コリン・トーマス・ジェンセンは「サハラ以南のアフリカにおけるデューデリジェンス(due diligence、訳者註:企業売種の前の調査活動)と政治リスクの回避についてウエストエグゼク社と同社の顧客たちに助言」し、その顧客にはボーイング、ソフトバンク、そして訴訟への融資を専門とするベンチャーキャピタル会社デルタ・キャピタル・マネジメントが含まれていた。2022年4月、トーマス・ジェンセンは国家安全保障問題担当補佐官としてUSAIDに参加した。同じ月、ウエストエグゼク社のラテンアメリカ担当だったマイケル・カミレリは、サマンサ・パワーUSAID長官の上級顧問と、USAIDの中米北部三角地帯タスクフォース(訳者註:エルサルヴァドル、グアテマラ、ホンジュラス)担当の上級部長を務めることとなった。ウエストエグゼク社のコンサルタントとして、カミレリはブラックストーン、ソフトバンク、インテル創業者が創設した数十億ドル規模の非営利団体ゴードン&ベティ・ムーア財団、鉱物採掘企業のリオティントなどに助言していた。

この会社が作り出すのは対外政策だけではない。ホワイトハウスで国内政策の上級補佐官を務めるエリン・ペルトンは、ウエストエグゼク社に助言サーヴィスを提供した。また、商務省産業・分析担当次官補に指名されたグラント・ハリスは、ウエストエグゼク社とつながりがある。彼の個人的なコンサルティング会社であるコネクト・フロンティアは、発展途上諸国の市場で活動する企業や団体に助言を与えていた。そして、ハリス自身がウエストエグゼク社に採用されたのである。

バイデン政権内部の中堅クラスの人材もまたウエストエグゼク社に絡んでいる。バイデン=ハリスの政権移行チームは、ウエストエグゼク社のコンサルタント、アンドレア・ケンドール=テイラー、プニート・タルワー、ジェイ・シャンボー、クリスティーナ・キリングスワースの助言を受けた。さらに、ウエストエグゼク社のメンバーは影響力のある超党派の連邦委員会を監督している。ロバート・O・ワーク(人工知能国家安全保障委員会)、ジョン・コステロ(サイバースペース・ソラリウム委員会)などが超党派の連邦委員会を監督している。

ブリンケンは開業当初のパンフレットの中で次のように述べている。「ウエストエグゼク社のアドヴァイザーたちは、政府の最高レベルにおいて、国際的な危機が意思決定に及ぼす影響を予測し、ナビゲートしてきた。私たちは、世界中のビジネスリーダーに同党の洞察力と戦略を提供することが可能だ」。

ブリンケンが政権に復帰して半年が経った今でも、ウエストエグゼク社の共同創設者で経営パートナーのナイティン・チャッダの「リンクドイン」のプロフィールには、このパンフレットが掲載されている。これは、潜在的な顧客たちに対して、この会社ウエストエグゼク社が権力に永続的に接近していることを印象付けるものだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

※6月28日には、副島先生のウクライナ戦争に関する最新分析『プーチンを罠に嵌め、策略に陥れた英米ディープ・ステイトはウクライナ戦争を第3次世界大戦にする』が発売になります。


bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。
 このブログではどの記事が多く読まれているかを私がチェックできる機能がある。先月から今月にかけて、以前書いたヴィクトリア・ヌーランドに関する記事が閲覧者数で上位に来ている。このブログを読みに来ている皆さんは、アメリカ側の対ロシア政策、対ウクライナ政策についても興味を持っているということが分かる。
victorianulandinukraine001
 手前味噌で恐縮だが、私は昨年(2021年5月)に『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
』を発刊した。その中で、ヴィクトリア・ヌーランドについて取り上げている。本の原稿を書いていたのは2021年1月末から3月末までだったが(その後は校正作業などがあった)、その時期はアメリカでジョー・バイデン政権が発足する時期で、私の本『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
』は、ジョー・バイデン政権の外交政策の顔ぶれ分析となった。私はヴィクトリア・ヌーランドが米国務省序列第3位の政治問題担当国務次官に抜擢されたことに驚いた。中国関係は恐らくある程度穏健な方向になるだろうと考えていたところに、ジェイク・サリヴァンが国家安全保障問題担当大統領補佐官に就任したので、その方向は大きくは逸脱しないだろうとある程度の安心感はあった(クアッド路線のカート・キャンベルが国家安全保障会議アジア・太平洋調整官になったので、強硬路線と穏健路線を使い分けるのだろうと考えるようになった)。
akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

 しかし、ヌーランドの国務次官就任は驚いた。第2位の国務副長官のウェンディ・シャーマンはマデリーン・オルブライト元国務長官系の人材でアジア畑が長い人であったことを考えると、人道的介入主義派のアントニー・ブリンケン米国務長官(ヨーロッパの方が得意、フランス語が話せる)の下でネオコンのヌーランドが一緒に行動することになったら危険だと考えた。ヌーランドが対ロシア政策の最前線に出ることは、バイデン政権の対ロシア路線が強硬なものとなるということを私は書いている。是非お読みいただきたい。
 ヌーランドはウクライナで親露派が政権を取った2014年にそれを追い落とす工作を行ったことがバレている。駐ウクライナ大使との電話での会話が暴露されて、「Fuck the EU」という言葉が広く喧伝された。彼女は親露派を倒すために、ウクライナの極右勢力(反ロシア・反ユダヤのネオナチ)を利用してきた。ヌーランドについては以下にもいくつか記事をご紹介しているので是非お読みいただきたい。
 今回のロシアによるウクライナ侵攻は現象だけ見て感情的に対応するとなれば、「ウクライナ頑張れ、ロシアくたばれ」になる。しかし、その深層については冷静になってよくよく見ていかねばならない。アメリカが世界中で行ってきた介入によってどれだけの人々が不幸になったかということを今一度立ち止まってよく考えてみるタイミングでもある。
(貼り付けはじめ)
●「米ロ外相、今週にも協議か ウクライナ情勢めぐり」
時事通信 2022年01月31日08時38分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022013100187&g=int
 【ワシントン時事】ヌーランド米国務次官は30日、米CBSテレビの番組に出演し、緊迫するウクライナ情勢をめぐり、ブリンケン米国務長官とロシアのラブロフ外相が週内にも協議する可能性があると語った。ロシア軍の国境付近への集結でウクライナ侵攻への懸念が強まる中、緊張緩和を模索するとみられる。
 ヌーランド氏は、米国が北大西洋条約機構(NATO)不拡大を拒否し、軍事演習やミサイル配備の制限を提案した書面回答について、「ロシア側が対話に関心を示している兆しがあると聞いている」と指摘。「ブリンケン長官とラブロフ外相が週内に話す見通しであるという事実も、その一つだ」と語った。
=====
●「米 ロシアがウクライナ侵攻すれば「厳しい制裁課す」改めて警告」
2022年1月28日 テレ朝ニュース
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000243063.html
アメリカ国務省は、ウクライナ情勢の緊張緩和に向けてロシアに対話の継続を求める一方で、侵攻した場合は厳しい制裁を課すと改めて警告しました。
ヌーランド国務次官:「我々は、(ロシアに)外交を求める意見で一致しているが、仮にロシアが対話を拒否すれば、彼らに対し直ちに厳しい代償を払わせるという決意で一致している」
ヌーランド国務次官は27日、こう述べたうえで必要になった時に備え、あらゆるレベルで何十時間も協議し、ロシアにとって大きな痛みを伴う金融・経済制裁の準備を進めていると改めて警告しました。
ロシアが求めるNATO(北大西洋条約機構)の拡大停止を受け入れないとしたアメリカの回答については、「現在、プーチン大統領が回答内容を精査中だと聞いている」と述べました。
そのうえで、「プーチン氏がこれを戦争の遺産ではなく、安全保障や軍備管理の遺産を残すための機会だと捉えることを願っている」と対話を継続するよう呼び掛けました。
=====
ロシア政府、アメリカが対ロシア制裁を解除したので、ヌーランドのモスクワ訪問は可能となる(Russia, US lift targeted sanctions so Nuland can visit Moscow)
マイケル・シュニール筆
2021年10月10日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/policy/international/russia/576149-russia-us-lift-targeted-sanctions-so-nuland-can-visit-moscow
ロシアとアメリカは、ヴィクトリア・ヌーランド政治問題担当国務次官が今週モスクワを訪問し、複数のロシア政府関係者と会談できるように、対ロシア制裁を解除した。
ロイター通信が日曜日に報じたところによると、ロシア外務省の報道官マリア・ザハロワは、ヌーランドは入国を禁止する制裁リストに載っていたが、アメリカがロシア国民の入国を禁止していた同様の制限を解除したため、その後削除されたと述べた。
ロイター通信はRIA通信の報道を引用し、「ヌーランドは実際に、国境を越えることができないという意味での制裁リストに載っていた」とザハロワは述べた。
ザハロワ報道官は更に「彼ら(米国)は複数のロシアの政治家や外交専門家を制裁リストに含めている。つまり、この場合、問題は同等に解決された。そう、彼女はロシアに滞在する」と述べた。
ロイター通信によると、ザハロワはその後、ゴボリット・モスクワ・ラジオ局に対し、あるロシア市民がアメリカの制裁リストから外れたと語ったが、その人物が誰であるかは明らかにしなかったという。
国務省内の序列第3位の高官であるヌーランドは、10月11日にモスクワに移動し複数のロシア高官や関係者と会談し、「二国間、地域、世界の多種多様な問題について話し合う」予定であると米国務省は発表している。
ヌーランド次官のモスクワ訪問は、米露関係が緊張状態にある中で実施される。
バイデンは大統領に就任して以降、ロシアの野党指導者アレクセイ・ナヴァルニーの毒殺事件、ソーラー・ウィンズ社のハッキング事件、2020年大統領選への影響工作などに関連して、ロシアに対して多くの制裁を科してきた。
しかしながら、バイデン大統領は2021年6月の首脳会談でロシアのウラジミール・プーティン大統領と一対一で会談し、外交政策の勝利について枠を設定した。
ロシアでの滞在を終えたヌーランドは、2021年10月14日にベイルートを訪れ、レバノンの市民社会グループの各代表や政府の指導者たちと会談し、経済改革や来年の選挙について話し合う予定だ。
2021年10月15日にはロンドンに向かい、「多種多様な世界規模の諸問題」について複数のイギリス政府高官と会談する予定だ。
=====
ヴィクトリア・ヌーランドとは何者か?バイデンの外交政策ティームに重要なプレイヤーとして参加することは本当に悪い考えだ(Who is Victoria Nuland? A really bad idea as a key player in Biden's foreign policy team)
―オバマ政権下の外交政策を妨害した冷戦の真の信奉者、ヌーランドは国務省にとって巨大なリスクとなってしまう。
By MEDEA BENJAMIN - NICOLAS J.S. DAVIES - MARCY WINOGRAD
2021年1月19日
『サロン』誌
https://www.salon.com/2021/01/19/who-is-victoria-nuland-a-really-bad-idea-as-a-key-player-in-bidens-foreign-policy-team/
ヴィクトリア・ヌーランドとは何者か? アメリカ人の大多数は彼女のことを聞いたことがない。なぜなら、アメリカの大企業メディアの外交政策報道は不毛の地となっているからだ。
ほとんどのアメリカ人は、バイデン次期大統領が政治問題担当の国務次官に選んだ人物が、1950年代の米露冷戦政治の流砂(quicksand)から抜け出せず、NATOの拡大(NATO expansion)、極端な軍拡競争(arms race on steroids)、ロシアに対する更なる包囲網(further encirclement of Russia)の継続を夢見ていることを知らない。 
また、ヌーランドが2003年から2005年まで、つまり敵対的なアメリカ軍によるイラク占領の期間中、ジョージ・W・ブッシュ(子)政権の「ダース・ヴェイダー」であったディック・チェイニー副大統領の外交政策担当補佐官だったことも、アメリカ国民は知らない。
しかし、ウクライナ国民がネオコンに属するヌーランドの名前を聞いたことがあるのは間違いないところだ。2014年2月、駐ウクライナ米国大使ジェフリー・パイアットとの電話会談でヌーランドが「EUなんてクソ食らえ(Fuck the EU)」と言った4分間の音声が流出したのを聞いたことがある人も多い。
悪名高い電話での会話録音の中で、ヌーランドとパイアットは、選挙で選ばれたウクライナ大統領ヴィクトール・ヤヌコヴィッチを追い落として代わりの人物を大統領に据える、あるいはヤヌコヴィッチを弱体化させることを企んでいるようであった。アメリカにとって望ましい第一候補アルセニー・ヤツェニュクではなく、元ヘビー級ボクサーで緊縮財政の主唱者だったヴィタリ・クリチコを首相に推すEUに対して、ヌーランドは外交上の儀礼を欠いた表現で嫌悪感を示した。アルセニー・ヤツェニュクは約3週間後に実際にヤヌコヴィッチ追放後に首相の座についた。
「EUなんてクソ食らえ(Fuck the EU)」という言葉は大流行した。恥をかかされた米国務省は、電話の信憑性を否定することなく、ロシアが電話を盗聴していると非難した。アメリカ国家安全保障局(NSA)がヨーロッパの同盟諸国の電話を盗聴していることを棚に上げてそのような非難を行った。
ドイツのアンゲラ・メルケル首相は怒り狂ったが、結局誰もヌーランド氏を解雇しなかった。しかし彼女の録音内での発言は、より深刻な話であるウクライナで選挙によって選ばれた政権を転覆させるアメリカの陰謀、そしてウクライナ内戦に対するアメリカの責任を明確に示すものとなった。ウクライナ内戦によって少なくとも1万3000人が死亡し、ウクライナはヨーロッパで最も貧しい国に転落してしまった。
その過程で、ヌーランドと彼女の夫で新世紀アメリカン・プロジェクトの共同創設者であるロバート・ケーガン、そしてネオコンの取り巻き連中は、米露関係を危険な下降スパイラルに陥れ、現在でもそこからまだ回復していない。
ヌーランドは、ヨーロッパ・ユーラシア問題担当国務次官補という比較的軽い地位でこれを成し遂げた。バイデン政権下の国務省の序列第3位の高官として、どれだけの問題を引き起こすことができるだろうか。連邦上院がヌーランドの指名を承認すれば、すぐに明らかになるだろう。
ジョー・バイデンは、バラク・オバマの失敗から、人事が極めて重要であることを学んだはずだ。一期目でで、オバマはタカ派のヒラリー・クリントン国務長官、共和党出身のロバート・ゲイツ国防長官、ジョージ・W・ブッシュ政権から引き継いだアメリカ軍やCIAの指導者たちに、希望と変革というメッセージよりも終わりのない戦争を優先させるように任せてしまった。
ノーベル平和賞受賞者であるオバマは、グアンタナモ湾での告訴も裁判もない無期限拘留、無実の市民を殺害するドローン攻撃の拡大、アメリカのアフガニスタン占領の深化、テロとテロ対策の自己強化サイクル、リビアとシリアでの悲惨な新戦争を指揮することになった。
オバマ政権二期目では、クリントンが退任し、新しい人材がトップに立った。オバマは、自ら外交政策を担当するようになった。ロシアのウラジミール・プーティン大統領と直接会談し、シリアなどの危機を解決するように努めた。プーティンは2013年9月にシリアの化学兵器の撤去と破壊を交渉し、シリア戦争の激化を回避し、JCPOA核合意につながるイランとの中間合意の交渉に協力した。
しかし、ネオコンは、大規模な空爆作戦を命じ、シリアでの秘密裏の代理戦争をエスカレートさせるようオバマを説得できなかったことや、イランとの戦争の見通しが後退したことに、逆上していた。ネオコンは、アメリカの外交政策における自分たちの支配力が低下するのを恐れ、オバマに外交政策における「弱者(weak)」の烙印を押し、自分たちの力を思い知らせようとキャンペーンを始めた。
ヌーランドからの協力を得て、ケーガンは2014年に『ニュー・リパブリック』誌上に、「超大国は引退できない」と題する記事を書き、「この民主的超大国が挫折したからと言って、世界を救うために待機している別の超大国は存在しないのだ」と主張した。ケーガンは、もはや支配できなくなってしまっている多極化した世界に対するアメリカの恐怖を払拭するために、更なる積極的な外交政策を採用することを求めた。
オバマはケーガンをホワイトハウスでの私的なランチに招待した。ネオコンの筋金入りの圧力を受け、オバマは、イラン問題に関しては水面下で進めることができたが、対露外交の規模は縮小せざるを得なかった。
オバマ政権内のよりましな人物たちに対するネオコンの一撃は、ロシアとの国境にあるNATO加盟の戦略的候補であり、負債を抱えるウクライナでヌーランドが2014年に起こしたクーデターであった。
ウクライナのヤヌコヴィッチ大統領が、ロシアから150億ドルの救済を受けるため、アメリカが支援するヨーロッパ連合との貿易協定を拒否したとき、米国務省は怒りを募らせた。
侮蔑された大国の怒りは地獄の怒りのようなものだ。
EU貿易協定は、ウクライナの経済をヨーロッパの輸入品に開放するものだったが、EU市場のウクライナへの相互開放がなければ、ヤヌコヴィッチは受け入れることができない、不利な協定であった。この協定はクーデター後の政府によって承認され、ウクライナの経済的苦境に拍車をかけただけだった。
ヌーランドの50億ドルが投じられたウクライナ国内でのクーデターのための尖兵は、オレーフ・チャフニボーク率いるネオナチ「全ウクライナ連合「自由」(Svoboda)」と表舞台には出てこない、民兵組織「右翼セクター(Right Sector)」所属の民兵たちだった。リークされた電話の中で、ヌーランドはチャフニボークを、アメリカが支援するヤツェニュク首相を内部で助けることができる外部の野党指導者「ビッグ3」の一人と述べた。ヌーランドが称賛したチャフニボークは、かつて第二次世界大戦中にユダヤ人や「その他のカス」(Jews and "other scum")と戦ったウクライナ人を賞賛する演説を行ったチャフニボークともちろん同一人物である。
2014年2月にキエフのマイダン広場での抗議活動が警察との戦闘に発展した後、ヤヌコヴィ
ッチと西側が支援する野党は、フランス、ドイツ、ポーランドが仲介して、国民統一政府を作り、年内に新しい選挙を実施するという協定に署名した。
しかし、アメリカが解き放ったネオナチや極右勢力にとって、それは十分なものではなかった。民兵組織「右翼セクター」が率いる暴力的な暴徒が国会議事堂に進撃し、侵入した。議事堂襲撃に関してアメリカ人は想像できないということはなくなっている。ヤヌコヴィッチと国会議員たちは命からがら逃げ出した。
ロシアは、クリミアのセヴァストポリにある最重要な海軍基地を失うことになり、クリミアがウクライナから離れ、1783年から1954年まで属していたロシアに再び加わることを決めた住民投票の圧倒的な結果(83%の投票率で97%が賛成)を受け入れないといけない。
ウクライナ東部のドネツクとルハンスクというロシア語圏の多数派が一方的にウクライナからの独立を宣言し、アメリカが支援する勢力とロシアが支援する勢力の間で血生臭い内戦が起こり、2021年現在も続いている。
両国の核兵器が依然として私たち自身の存在に対する単一で最大の脅威となっているにもかかわらず、米露関係は一向に回復していない。ウクライナ内戦や2016年の米大統領選挙におけるロシアの選挙干渉疑惑についてアメリカ人が何を信じようと、ネオコンと彼らが仕える軍産複合体(military-industrial complex)が、バイデンがロシアとの重要な外交を行うのを阻止して、私たちを核戦争という自殺行為の道から導くことを許してはならない。
しかし、ヌーランドとネオコンは、好戦的な外交政策と記録的な額の国防総省予算を正当化するために、ロシアや中国とのますます衰弱し危険な冷戦に関与し続けるのだ。2020年7月の『フォーリン・アフェアーズ』誌に掲載された「プーティンを押さえつける(Pinning Down Putin)」という論文で、ヌーランドは、ロシアが「自由主義世界」に対して、かつての冷戦時代にソ連がもたらした以上の脅威を与えているという不条理な主張をしている。
ヌーランドは、ロシアの侵略(Russian aggression)とアメリカの善意(U.S. good intentions)という、全く神話的で非歴史的な物語の上に立っている。彼女は、アメリカの10分の1に過ぎないロシアの軍事予算が「ロシアの対決と軍事化(Russian confrontation and militarization)」の証拠であるかのように装い、アメリカとその同盟諸国に対して、「強固な防衛予算を維持し、アメリカと同盟諸国の核兵器システムの近代化を継続し、ロシアの新兵器システムから守るために新しい通常ミサイルとミサイル防衛を配備する」ことによってロシアに対抗するよう求めている。
ヌーランドはまた、攻撃的なNATOとロシアを対峙させたいと考えている。ブッシュ大統領二期目でのNATO大使時代から、彼女はロシアとの国境までNATOが拡大することを支持してきた。彼女は「NATOの東側国境に沿った恒久的な基地(permanent bases along NATO's eastern border)」の設置を要求してきた。ヨーロッパの地図を見ても、NATOと呼ばれる国には国境が全くない。ヌーランドは20世紀の西側諸国の侵略から自国を守ろうとするロシアの姿勢を、NATOの拡張主義的野心にとって耐え難い障害とみなしている。
ヌーランドの好戦的な世界観は、まさに1990年代以降、ネオコンと「リベラルな介入主義者たち(liberal interventionists)」の影響下で、アメリカが行ってきた愚行(folly)を象徴している。その結果、ロシア、中国、イランなどとの間で緊張を激化させる一方で、アメリカ国民に対する組織的な過小投資を招いたのである。
オバマ大統領は学ぶには遅すぎたのだ。その教訓とは、悪い時に悪い場所にいる間違った人物が、間違った方向に突き進むと、何年にもわたる難解な暴力、混乱、国際的な不和を引き起こしてしまうのだ。ヴィクトリア・ヌーランドは、バイデン政権下の国務省において時限爆弾(time-bomb)となり、オバマ政権二期目の外交を弱体化させたように、バイデンの優れた才能を妨害するために待ち構えているのだろう。
(貼り付け終わり)
(終わり)


bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ