古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:アンドリュー・クオモ

 古村治彦です。

 アメリカ民主党にはケネディ家という超名門の家系がある。格差縮小や福祉を訴える民主党内に「王朝」のような、「貴族」のような存在があるのは甚だおかしいことだが、日本でも世襲で100年にわたってずっと代議士を出しているような家もある。政治が一種「家業」「稼業」となることはある。

 ニューヨーク民主党の名門と言えばクオモ家だ。そのクオモ家にスキャンダルの連鎖が襲い、その権威が失墜してしまった。今年8月、第56代ニューヨーク州知事を務めていたアンドリュー・クオモ(Andrew Cuomo、1957年-、64歳)が、性的スキャンダルで辞任した。そして、12月上旬、弟で、CNNのニューズ番組のアンカー(ニューズキャスター)を務めていたクリス・クオモ(Chris Cuomo、1970年-、51歳で死)がCNNから解雇された。こちらは兄の性的スキャンダルに関して、兄を守ろうとして、メディア各社に探りの電話をしたり、兄の補佐官に連絡を取り、「手助けをさせて欲しい」と申し出たりしていたことが明らかになったための解雇だ。また、弟クリス自身にも性的スキャンダルが浮上している。

chriscuomoandrewcuomo501 

クリス・クオモ(左)とアンドリュー・クオモ

アンドリュー・クオモは、ニューヨーク州知事として、新型コロナウイルス感染拡大で名前を上げた。ドナルド・トランプ大統領との舌戦も記憶に新しいところだ。クリス・クオモはハンサムなニューズキャスターとして脚光を浴び、2013年からはCNNで自分の名前を冠した報道番組を持ち、その番組の視聴率が高いことで、更に注目を浴び、人気が上がっていた。兄アンドリューに11名の女性に対する性的スキャンダルが浮上し、アドリューは8月に知事を辞任した。このスキャンダルをめぐり、クリスは兄を助けようとして、介入をしたために、こちらもCNNから解雇となった。

アンドリュー・クオモとクリス・クオモの父は、第52代ニューヨーク州知事を務めたマリオ・クオモ(Mario Cuomo、1932-2015年、82歳で死)だ。父マリオ、息子アンドリューと父子でニューヨーク州知事を務めた。父マリオ・クオモと言えば、1984年の民主党全国大会で行った演説が名演説として、今でも語り草になっている。このブログでも以下のように紹介している。演説の映像とその訳文を掲載している。興味がある方は是非お読みいただきたい。

mariocuomoandrewcuomo501

マリオ・クオモ(左)とアンドリュー・クオモ

※2015年1月3日付記事「元ニューヨーク州知事マリオ・クオモが亡くなりました。彼の1984年の演説は今の日本の状況を話しているかのようです」↓

http://suinikki.blog.jp/archives/19838549.html

 ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモの新型コロナ感染拡大対策は評価が高く、リベラルな人々からの支持も高かった。日本でも、日本政府の無能ブリとの対象で良く取り上げていた人々がいた。しかし、そうした人々の期待を裏切り、そうした人々を沈黙させることになってしまった。弟クリスも兄を守ろうと不適切な行動をし、自身にも性的スキャンダルが浮上するということになった。ニューヨークの名門クオモ家の権威は失墜した。この裏には、民主党内の激しい権力争いがあるだろうと推測されるが、全貌が明らかになるかは分からない。

(貼り付けはじめ)

●「CNNスター司会者に無期限の停職 兄のクオモ前知事をセクハラ問題で支援」

2021121

BBC

https://www.bbc.com/japanese/59486985

CNNのスター司会者クリス・クオモ氏が、性的虐待を告発された兄で前ニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモ氏を支援したとして、無期限の停職処分を受けた。CNN30日、発表した。

クリス氏による兄に対する支援をめぐっては、ニューヨーク州のレティシア・ジェイムズ司法長官が29日に新たな文書を公表していた。

CNNはその文書によって、「彼が兄の対応において、私たちが知っていたよりも多大な関与をしていた」ことが判明したと説明した。

アンドリュー氏は、部下に性的嫌がらせをしたと検察当局に指摘され、8月に州知事を辞任した。

クリス氏が政治家の兄を陰で支援していたことは、ジャーナリストの倫理に反する行為だと、メディア界で広く考えられている。

■より大きな役割求める

州司法長官が公表した数千ページに及ぶ文書によると、クリス氏はアンドリュー氏の弁護で自分がより大きな役割を果たすのを認めるよう、アンドリュー氏のスタッフに繰り返し求めた。

クリス氏は3月、アンドリュー氏の秘書官だったメリッサ・デローザ氏に、「私のことを信頼してほしい」、「私たちは取り返しのつかない間違いを犯している」などとメッセージを送ったという。

CNNはもともと、クリス氏がアンドリュー氏について報じることを禁止していた。しかし昨年、ニューヨーク州で新型コロナウイルスが大流行したのを受け、一時的にその禁止を解いた。

クリス氏は自らの番組でアンドリュー氏にインタビューし、知事のリーダーシップをたたえるようになった。

■「深刻な疑問生じた」

CNNは当初、こうしたやりとりを擁護していた。しかし30日になり、「(司法長官が公表した)文書については知らなかったが、その内容から深刻な疑問が生じた」とする声明を出した。

「クリスは兄のスタッフに助言をしたと認めた。彼はCNNのルールを破ったし、私たちはそのことを公表した」

「しかし、私たちは彼の独特の立場と、仕事より家族を優先することに理解を示した」

「だが、今回の文書は、彼が兄の対応において、私たちが知っていたよりも多大な関与をしていたと指摘している」

■兄側とのやりとり

クリス氏がアンドリュー氏のスタッフと関わりを持っていたことは、多数のメールやメッセージから明らかになっている。

クリス氏はアンドリュー氏の上級補佐官に、「私に準備の手助けをさせてください」とメッセージを送っていた。また、今後どのような疑惑が出てくるのか、他の米メディアに連絡を取って探ると約束していた。

アンドリュー氏の秘書官だったデローザ氏がクリス氏に対し、同氏の「情報源」を使って調べるよう依頼していたこともあった。

これに対しクリス氏は、「了解」と返事をしていた。

■セクハラ疑惑

州司法当局は3月、アンドリュー氏が部下の女性11人に対してセクハラをしたり体をまさぐったりしていたと、捜査で結論づけた。

アンドリュー氏は昨年、州知事として新型ウイルス関連の記者会見を連日開き、米メディアで称賛された。しかしセクハラ疑惑が浮上すると、ジョー・バイデン大統領を含め、所属する民主党の関係者たちから辞任を求める声が高まった。

クリス氏は5月、アンドリュー氏側と話し合いをしていたことについて謝罪。性的虐待の被害者を全面的に擁護する立場だと強調した。

クリス氏はCNN2013年に入社した。同氏とアンドリュー氏の父親もかつて、ニューヨーク州知事(民主党)を務めた。

====

報告:CNNによるクオモの解雇は性的ハラスメント告発の中で実施された(Cuomo's firing from CNN came amid allegation of sexual misconduct: report

ドミニク・マストランゲロ筆

2021年12月5日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/media/584401-cuomos-firing-from-cnn-came-amid-allegations-of-sexual-misconduct-report?rl=1

CNNがクリス・クオモを解雇した。今回の解雇は、クリス・クオモに関連する性的スキャンダルについて申し立てをCNNが認識してわずか数日後のことだった。

クオモは土曜日午後にケーブルニューズ・ネットワークであるCNNから解雇された。火曜日から出演見合わせとなっていた。その前日の月曜日に、クリス・クオモの兄である前ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモの性的スキャンダルに関する州当局の捜査の一環として文書が発表された。その文書によって、クリス・クオモが兄である知事の側近たちと協力して性的スキャンダルの疑惑から守ろうとしたことが明らかになった。そのために火曜日に出演見合わせ処分を受けた。

『ニューヨーク・タイムズ』紙は水曜日、弁護士のデブラ・S・カッツは、前ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモを違法行為で訴えた女性の代理人を務めているが、カッツがクリス・クオモに対する性的な違法行為について訴える準備をしている別の依頼人がいることをCNNに告知した、と報じた。

カッツはニューヨーク・タイムズの取材に対して、CNNではないあるニューズネットワークの下級スタッフによって訴えが準備されており、「この件はアンドリュー・クオモ前知事の件とは無関係だ」と述べた。

日曜日、CNNの広報担当者は、本誌に出した声明の中で次のように述べている。「クリス・クオモが兄を守るために行った行動に関して私たちが受け取った報告書に基づいて、私たちは契約を廃棄するための理由を得た。今週、クリスに関する新たな疑惑が寄せられ、私たちはそれを真摯に受け止め、直ちに行動を起こすことを遅らせる理由はないと考えた」。

カッツは日曜日に発表した声明の中で次のように述べている。「金曜日までに、私はCNNと私の依頼人の準備中の訴訟についての文書による証拠を与えることに関して、そして、依頼人をCNNの社外弁護士とのインタヴューに応じられるようにすることについて議論を行った」。

カッツは次のように述べている。「私の依頼人が今回訴訟準備を行いそれを公表したのは、彼女が自分の経験と関連書類を共有することで、他の女性を守ることができると考えたからだ。彼女は今後もCNNの調査に協力する。事件の性質上、彼女は匿名を希望している。この決定を尊重していただきたい」。

CNNは、土曜日午後にクリス・クオモを解雇した時、同社はクリス・クオモの行動に関して「尊敬を集めるある法律事務所が検証を行って」、その報告書を受け取っていた、と述べた。

「検証の過程で、新たな情報も明らかになった。今回の解雇で終わりにせず、私たちは適切な調査をこれからも行っていく」とCNNは述べた。

クリス・クオモの広報担当者は、ニューヨーク・タイムズに宛てた声明の中で、性的な違法行為について否定した。

クリス・クオモの広報担当スティーヴン・ゴールドバーグは、「これら匿名の告発の内容は真実ではない」と述べた。

土曜日に解雇処分となった後、クリス・クオモは「これは私が望むCNNでの時間の終わり方ではない」と述べた。

彼は声明の中で次のように述べている。「しかし、私がなぜ、どのようにして兄を助けたのかは、すでにお話した通りだ。このようなことになって残念であるが、クオモ・プライムタイムのティームと、最も競争の激しい時間帯にCNNのナンバーワン番組として行った仕事を、これ以上ないほど誇りに思っている。私はティームの皆さんとおかげだったと深く感謝している。そして、本当に重要な仕事をしてくれた特別な人々のティームから離れることを寂しく思う」。

クリス・クオモが解雇されたのは、ゴールデンタイムのケーブルニューズ司会者として、8月に州知事を辞任した兄の疑惑について、当初はメディア各社に「電話をかけたことなどない」と視聴者に語っていたクオモに対して、それが嘘だと分かり、社内外からの圧力が高まったことが原因となった。

(貼り付け終わり)

(終わり)
bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 アメリカで新型コロナウイルス感染拡大の最前線で指揮を執っているのは各州の知事だ。ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモ(民主党)やミシガン州知事グレッチェン・ウィットマー(民主党)は厳しい制限や在宅命令を出したが、支持率は上がっている。ドナルド・トランプ大統領も毎日記者会見を行い、感染拡大への対処をアピールしている。

 そうした中で、トランプ大統領の心配事は「経済活動の再開」だ。今年のイースター(2020年4月12日)までに経済活動を再開させることを目指していた。そのために連邦政府はガイドラインを出し、アメリカ国民に対して、ソーシャル・ディスタンシングや大人数での集会の禁止を推奨した。しかし、残念ながら、現在のところ経済活動の再開は実施されていない。

 各州の知事たちによる在宅命令やビジネスの閉鎖などの厳しい措置に対して、反発する声も出ている。実際に、「厳しすぎる」「自分たちの生活のことは自分たちで決める」「私の体は私のものだ」という主張を掲げて、抗議のデモ活動が各州で行われている。アメリカでも失業などによって経済不安が増大している。これに対しては各州の知事は憂慮を表明したが、トランプ大統領は「各州を“開放する(LIBERATE)”」ことへの支持をツイッター上で表明した。このトランプ大統領の支持表明に対して、各州の知事たちは、「自分たちで出したガイドラインに反することを人々が行うことを促しており、意味不明な行動だ、違法な行動だ」と反発している。トランプ大統領は特にミシガン州での抗議活動を支持しているが、これはウイットマー知事がトランプ大統領に対して批判的であることに対する攻撃であり、かつ今年の大統領選挙でミシガン州が重要な位置を占めていることを示している。トランプ大統領は何とかミシガン州で勝利を収めたいが、現在のところはウイットマー知事の人気もあり、厳しい状況であり、それを何とか挽回したいと考えている。そのために、自分が出したガイドラインに反する抗議活動であっても支持を表明するという矛盾した行動を取っている。トランプ大統領は矛盾の塊のような人物である。

 日本でも安倍晋三首相による緊急事態宣言が日本の全県に出されて以降、デパートやコーヒーショップチェインの休業が行われ、人々の生活は厳しいものとなっている。また、経済活動の停滞によって、景気後退の不安が大きくなっている。人々の接触を「8割減らす」というとてつもない(ほぼ実現不可能な)目標を掲げて、あと2週間を過ごさねばならない。その間に経済状況がどれほど厳しいものとなるか見当もつかない。現状は、新型コロナウイルス感染拡大防止と経済活動・社会活動との間のバランスが崩れている、と私は思う。手洗いやうがいの励行、マスクの着用、ソーシャル・ディスタンシングは実行しながら、何とか現在の経済活動・社会活動の範囲を少しでも広げられないかどうかを検討すべきではないかと思う。

 リスクの高い高齢者や基礎疾患のある人たち(恥ずかしながら私もその中の一人だ)の感染防止と重篤化防止が第一である。それでも経済活動ができなければ更に多くの人々が路頭に迷うということにもなる。ここは専門家の知見を利用しながら、何とか少しでも経済活動ができるようにしなければならない。新型コロナウイルスは既に日本国内に入ってしまって、根絶をさせることは不可能だ。これから特効薬やワクチンができるまで現在のような状況を続けることは難しい。それならば個人でできることをやりながら、何かしらの「ウイルスとの共存の」ための方策を考えるしかないと私は思う。

 アメリカ国内でトランプ支持派が経済活動を再開させろと主張している。そのためには連邦政府のガイドラインでは、感染者数が2週間減少を続けなければならないとされている。そして、この数をきちんと把握するためには十分な検査がされねばならないとされている。そのための資源が足りないと各州の知事たちは、連邦政府とトランプ大統領を批判し、支援を求めている。

確かにこのような重大な決定を下すためには正確なデータがあることが大前提だ。日本でも感染者数の減少が見られるようになれば、現在の流れも変わっていくだろうが、そのためには正確なデータがなければ正しい判断はできない。そのためにはある程度のサンプルを抽出し、検査をして統計学的に確からしさの高い結果を得る必要がある。

 慎重に行動することは良いことだが、過度な悲観も過度に楽観することは何事においても禁物だ。また、政府による更に厳しい手段を国民が求めるということも考え物だ。そのためには淡々と自分ができるだけのことをやるという単純なことしかない。ナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』や「惨事便乗型資本主義」については本ブログでも既に紹介した。今回のコロナ禍についても、既に政府による監視や制限の強化が私たちの恐怖心を利用して導入されようとしている。ここで私たちが、「その方が楽で良い、そもそも何も悪いことをしていないのだから」と簡単に監視や制限を受け入れてしまえば、これはどんどんエスカレートする。
 また、現在は政府や地方自治体による「自粛要請」であり、本来であれば「自分で決める」べきもので、営業を行う店があっても良い。しかし既に警察や官吏ではなく、一般国民が「民間警察」「自警団」になって、貼り紙をしたり電話をしたりして、営業している店に対する妨害行為を行っている。これは過度な反応である。安倍首相や専門家会議がこのようなことが起きないように慎重な表現を選ばなければならないのに、あたかもそれを推奨するかのように、あまりにも危険を煽っていると私は思う。
 専門家会議は、一般の人々が「自分は新型コロナウイルスに感染したのではないか」と不安に思った場合には、まず「体温が37.5度以上が4日間続いたら医療機関に連絡せよ」という「お達し」を出した。これは医療機関に人々が殺到しないための措置であったはずだ。しかし、この「様子見」期間で症状が悪化して亡くなる人のケースが出ると、「そのような意図で述べたのではない」とし、「積極的に受診してください」という意味だった、と「受け取る方の受け取り方が悪い」「誤解だった」ということを言い出す。訳の分からない横文字を使い、このようなどうとでも意味が取れる表現を使うようでは、専門家たちの信頼性は薄らいでいく。「8割減」も本当か、できると思っているのか、ということになる。

 私が驚いたのは、知り合いの医者に「免疫力を挙げることだよ、そのためには食物繊維を取って腸内環境をよくすることだ」と言われたことだ。あんなに難しい勉強をしても、医学博士でございと威張ってみても、今回の騒ぎで私にできる助言がその程度でしかない。薬やワクチンがなければ医者でもこれくらいしか言うことがないのだ。それならば自分ができることをやりながら、淡々と日常を過ごしていくしかない。

(貼り付けはじめ)

トランプ大統領:コロナウイルスに関する制限において州知事の中には行き過ぎの者がいる(Trump: Some governors have gone too far on coronavirus restrictions

ブレット・サミュエルズ筆

2020年4月19日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/493601-trump-some-governors-have-gone-too-far-on-coronavirus-restrictions

日曜日、トランプ大統領は、全米各州でコロナウイルスの感染拡大の速度を弱めるための制限を設けているが、「やり過ぎている」州知事たちも中に入ると述べた。

ホワイトハウスでの記者会見の中で、トランプ大統領は、抗議活動を行っている人々に対して反対する考えを持っていないと述べた。抗議活動を行っている人々は、ソーシャル・ディスタンシングに関するガイドラインに反対し、各種の制限に対する肥満を表明している。各種の制限によって事業は閉鎖され、失業数が急増している。

トランプ大統領は次のように発言した。「中には行き過ぎている者たちがいる。州知事の中には行き過ぎている者たちがいる。これまでに起きていることの中には適切ではないことが含まれている。最終的には問題にはならないだろうと思う。何故なら私たちは各州の経済活動や日常活動を再開させつつあり、各州でそれらはうまくいくだろうからだ」。

トランプ大統領は続けて次のように述べた。「講義をする人々に関して言えば、私はあらゆる種類の事柄について講義する人々を見てきている。私は全ての人々と共にいる。私は全ての人々と共にいる」。

トランプ大統領は最初のうちは行き過ぎていると考えている知事の名前を挙げることを拒絶していたが、その後、ミシガン州知事グレッチェン・ウィットマー(民主党)とヴァージニア州知事ラルフ・ノーザン(民主党)の名前を挙げた。特にノーザンについては新しい銃規制に関する州法に署名したことについては抗議されるに値すると示唆した。

トランプ大統領は次のように述べた。「ミシガン州を例にとると、ミシガン州では必要とではない、もしくは適切ではないと私が考える物事が実行されている。これは全ての人々が分かっているはずだ。ミシガン州知事とはとてもうまくやっているし、そのことは知事も恐らく分かっていると思う」。

ウイットマーについては、今年の大統領選挙で民主党の副大統領候補として取りざたされるようになっているが、それによってトランプ大統領にとっては大きな攻撃目標となりつつあるようだ。

トランプ大統領はここ数日の間、全米各州において数百人単位で集まっている抗議行動を行っている人々に対して同情的である。抗議活動している人々はホワイトハウスがウイルス感染拡大に対処するために発表したソーシャル・ディスタンシングに関するガイドラインを無視している。このガイドラインは、アメリカ国民に対して10名以上の集まりを行わないように促している。

金曜日、トランプ大統領はミネソタ州、ミシガン州、ヴァージニア州で抗議活動を行っている人々への支持を表明した。抗議活動を行っている人々は、ウイルスの拡大を弱めるための在宅命令とその他の制限に反対するデモを行った。こうした人々はこれらの各州を「開放する」と主張している。これら3つの州は民主党所属の知事たちが運営している。

ここ数日の間で小規模の抗議活動がミシガン州、オハイオ州、ヴァージニア州、ミネソタ州、テキサス州、そしてフロリダ州で行われた。その他にもこれからの数週間で抗議活動が全米各地で計画されている。抗議活動参加者の中には、トランプ大統領の名前が入った旗を振り、名前の入ったTシャツを着ている人たちがいた。

トランプ大統領はマスコミの報道で抗議活動を見たと認め、抗議活動に参加している人たちは「私たちの国への愛」を示しているのだと述べた。

各州の知事たちは、トランプ大統領による解放を求める動きに対して懸念を表明している。知事たちはトランプ大統領の言動によって人々の間で不満を高め、デモ活動を激化させることになるだろうと心配している。公衆衛生の専門家たちは多くの人々が集まることによってウイルスの感染がさらに進むことになると警告を発し、ソーシャル・ディスタンシングの必要性をさらに強調した。

ジョンズ・ホプキンズ大学のデータによると、日曜日の夜までに全米で75万5000名以上がウイルスに感染し、4万名以上が亡くなった、ということだ。

ホワイトハウスはアメリカ経済を段階的に再開する方針で、各州の知事たちにソーシャル・ディスタンシングに関するガイドラインをいつの時点で撤回できるかについて最終的な目標時期を設定するように求めている。しかし、トランプ大統領が抗議活動を受け入れていることで、州知事たちに対する敵意を煽動する危険性が高い。

ペンス副大統領は日曜日の記者会見で、「アメリカ国民は自分の住む州政府と地方自治体に注意を向けねばなりません」と述べた。

トランプ大統領は経済を再開する必要性について断固とした態度を示している。経済の再開は彼の再選を目指す選挙戦にとって中心的な柱となっている。しかし、トランプ大統領は日曜日、制限の撤回は安全を第一に考えねばならないと述べた。

トランプ大統領は次のように述べた。「多くの素晴らしいそして偉大な出来事が起きています。そして、私たちは私たちの国を開き始めようとしています。これは美しいパズルのようです」。

=====

抗議活動と検査に対する主張について知事たちがホワイトハウスに反撃(Governors push back against White House on protests, testing claims

ザック・バドリック筆

2020年4月19日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/sunday-talk-shows/493557-governors-push-back-against-white-house-on-protests-testing-claims

民主、共和両党に所属する知事たちは日曜日、トランプ大統領の在宅命令に対する抗議活動への明確な支持と全米でのコロナウイルスの検査は十分に行っているという主張に対して反撃した。

ワシントン州知事ジェイ・インスリー(民主党)は、ABCの「ディス・ウィーク」に出演し次のように述べた。「トランプ大統領はツイッターを通じて多くの州を“解放”するように抗議活動を行っている人々に訴えたが、これは“違法行為”を促進するものです。アメリカ大統領が人々に対して法律を破るように促しているのです。私はこの国で生まれ育ちましたが、このようなことが起きたことなど全く記憶にありません」。

インスリーは「これは本当に危険なことです。なぜなら人々の生命を救うことができる行為について人々に無視させることにつながるからです」と述べた。

ワシントン州はアメリカ国内において早い段階でウイルス感染拡大の中心地となった。ここ数週間、インスリーはカリフォルニア州知事ゲヴィン・ニューサム(民主党)とオレゴン州知事ケイト・ブラウン知事(民主党)といった西海岸の各州知事と協定を結び、地域の経済活動再開に向けての計画を作成しているところだった。州都オリンピアにあるワシントン州議会の建物の前での州知事の厳しい方策に対する抗議デモは日曜日に開催予定となっている。

メリーランド州知事ラリー・ホーガン(共和党)はより弱いトーンではあるが一連のツイートを批判した。CNNの番組「ステイト・オブ・ザ・ユニオン」に出演し、「デモを推奨することは有益なことだとは思いません。また、大統領自身の政策に反対するためにデモをすることを人々に推奨することも良いことではありません」と述べた。

ホーガンは経済活動の即座の再開を求めることは、トランプ大統領自身が発表した連邦政府のガイドラインに反することになると指摘した。ガイドラインによれば、経済活動再開のプロセスは、その地域でウイルス感染拡大が14日間にわたって減少するまでは開始されるべきではないとされている。

ホーガンは続けて次のように述べている。「従って、木曜日に、自分が作った推奨ガイドラインに即した計画に対して人々に抗議活動に参加するように促すことは、全く訳が分からないということになります。州知事と人々に対しては完全に矛盾しているメッセージを発しているのです。連邦政府の政策と推奨を無視するように求めているのです」。

オハイオ州知事マイク・デワイン(共和党)は、デモ参加者たちは抗議する権利を持っていると述べ、自分としては、参加者たちに対してソーシャル・ディスタンシングについてのガイドラインを尊重するように求めるだけだと述べた。

デワインはNBCの「ミート・ザ・プレス」に出演し、次のように述べた。「私たちは自分が正しいと考えることを行うだけのことです。それは、経済を再開しようとすることです。しかし、そのためには多くの人々を死に追いやることがないようにとてもとても注意深く実行する必要があります。しかし、私たちは経済や日常生活を再開させねばなりません。そして、私はその目標を5月1日に置いているのです」。

ミシガン州知事グレッチェン・ウィットマー(民主党)もまた、彼女が出した在宅命令の正当性を擁護した。この命令はアメリカ国内でも厳しい命令の一つとなっている。ウイットマーはその成果は既に上がりつつあると述べた。

ウイットマーはCNNの「ステイト・オブ・ザ・ユニオン」に出演し、次のように述べた。「ミシガン州は現在死亡者数の点において全米で第3位となっています。私たちの州の人口は全米で10番目です。こうした事実からミシガン州では独自の厳しい問題が起きているということが導き出されるのです。州の規模に比べて死者数が多いという問題が起きており、そのために私たちは人々を守るために独自のより積極的な行動を取る必要があるのです」。

ウイットマーは続けて次のように述べた。「現在、感染者数は徐々に兵站になってきつつあります。これが意味するところは、私たちは人々の生命を救っているということです」。ミシガン州の州都ランシングの州議会の建物の前での抗議活動に対して、トランプ大統領は特に支持を表明している。

ペンス副大統領は、フォックス・ニュースのキャスターであるクリス・ウォレスに質問された際に、トランプ大統領のツイートに直接言及はしなかったが、抗議活動について次のように述べた。「数百万のアメリカ国民はソーシャル・ディスタンシングに関するガイドラインを守ってくれていると思いますよ。人々が犠牲を甘受しているのは、各州の知事たちに経済の再開を、責任をもって安全に行える方法を見つけて欲しいと願っているからです」。

ペンス副大統領は「フォックス・ニュース・サンディ」に出演し、「アメリカ国民は全て、このアメリカ国内においてドナルド・トランプ大統領以上に経済活動や日常活動を再開させたいと望んでいる人間などいないことをよく分かっています」と述べた。

ホワイトハウスは各州には必要な検査を実施する能力がありと主張しているが、各州の知事たちはこの主張に反論している。ヴァージニア州知事ラルフ・ノーザムはこのような主張は「激しい思い込み」に過ぎないと指摘している。

ノーザムはCNNの「ステイト・オブ・ザ・ユニオン」で次のように述べた。「検査だけのことではないんです。信じていただけるか分かりませんが、私たちには十分な綿棒さえないのです」。

ノーザムはトランプ大統領の一連のツイートに触れ、次のように述べた。「私たちの大統領は検査能力を向上させることができていません。そして、今は抗議活動に注目することを選んでいます。しかし、今は抗議活動をする時ではありません」。

ノーザムは続けて次のように述べた。「現在は分裂し、いがみ合う時ではありません。立ち上がり、人々に共感をもたらす指導力を発揮する時です。今回の感染拡大で私たちの国でいったい何が起きているのかを理解できる指導者が必要な時です。そして、今は真実を述べるべき時で、人々をまとめる時なのです」。

専門家たちはアメリカの経済活動を再開するためには十分な検査能力が必要だと述べている。そして、検査ができなければ感染者数が実際に減少しているのかどうかを正確に判断することは不可能だと繰り返し強調している。

メリーランド州知事ホーガンは州の検査能力についての決めつけは「完全な誤り」だと述べた。

ホーガンは日曜日に「ステイト・オブ・ザ・ユニオン」に出演し次のように述べた。「検査能力についてとりわけ強調し、各州には十分な検査能力があり、それを使うべきだとし、それなのに州知事たちは自分たちの仕事をしていないと主張することは、全くの誤りと言うしかありません」。ホーガンは、メリーランド州では先月だけで検査能力を5000%増させたが、各種事業を再開させることができるレヴェルにまではまだ到達していないとも述べた。

オハイオ州知事デワインは食品・医薬品局(FDA)が更なる行動を実行することが必要だと発言した。デワインは更なる支援があれば、「オハイオ州では一晩のうちに検査能力を倍増することは高い確率で可能であり、三倍増にすることも可能かもしれません」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 新型コロナウイルス感染拡大が続くアメリカで支持を集めているのは最前線での司令官である各州知事や市長たちだ。特に感染拡大の規模が大きいニューヨーク州では、アンドリュー・クオモ知事の支持率が高くなっている。民主党にとっては4年後の大統領選挙の重要な候補者となるだろう。

アンドリュー・クオモ(Andrew Cuomo、1957年-、62歳)は2011年からニューヨーク州知事を務めている。1997年からは二期目のビル・クリントン政権で住宅・都市開発長官を務めた。父であるマリオ・クオモ(Mario Cuomo、1932-2015年、82歳で死去)1983年から1994年までニューヨーク州知事を務めた。

アンドリューは、ジョン・F・ケネディ元大統領の姪で、JFKの弟ロバート・ケネディ元司法長官の娘であるケリーと結婚していたが後に離婚している。クオモ家はニューヨーク民主党の名門ということになる。マリオ・クオモはレーガン大統領が席巻した1980年代のアメリカ政治において民主党の大物として存在感を示した。2015年1月1日に亡くなったが、その時のことを本ブログでも紹介している。

※「元ニューヨーク州知事マリオ・クオモが亡くなりました。彼の1984年の演説は今の日本の状況を話しているかのようです」(2015年1月3日)↓
http://suinikki.blog.jp/archives/19838549.html

連邦政府やトランプ大統領の対応を手厳しく批判し、ホワイトハウスやトランプ大統領から罵られているグレッチェン・ウィットマー(Gretchen Whitmer、1971年―、48歳)は2019年からミシガン州知事を務めている。それまではミシガン州で検察官を務め、後にミシガン州下院議員、ミシガン州上院議員を務めた。カリフォルニア州のゲヴィン・ニューサム知事を筆頭に民主党系の州知事たちは早めの対応を行った。しかし、以下の記事にあるように、アメリカ南部に多い共和党系の知事たちは、トランプ大統領と同様に対応が後手に回った。

 民主党系の知事たちが行っているのは実態把握と思い切った施策、補償だ。日本でもそれを目指して実施しようとしているが、州知事たちほど徹底しているとは言えない。日本でも成功していると評価されているのは検査を徹底して実態把握を行った和歌山県のケースだ。

 リーダーの資質はなかなか分からないものだ。立派な経歴や平時での立派な業績は緊急時には役に立たないことが多い。しかし、緊急事態に強いというアピールはするが、解決策を自ら考えられず、無茶な目標設定をして、自分の責任を下に押し付けて、無理難題を押し付けるだけで成功とする日本的リーダー像ということもここでもう終わりにしなければならない。今回の出来事で私たちはリーダーとはどうあるべきか、ということを考える機会を得たということになる。

 日本には「責任を取ればいいというものではない」と放言する指導者がいる。自分の失敗を下にかぶせて自分はのほほんとしている、信頼を損なうことをしておいて店として恥じない指導者がいる。そうした中でクオモ知事は「責めるなら自分を責めて欲しい、私が責任者だ」と述べた。これだけの指導者を日本人はついに得ることはできなかった。それは私たちが常に指導者や責任について考えこず、旧態依然としたパワーハラスメント型の指導者像しか持ち得てこなかったからだ。その不幸は、上は国政、下は日常の仕事や生活の面にまで貫かれている。日本は不幸な国である。

(貼り付けはじめ)

各州の知事たちがコロナウイルス感染拡大への対応で評価を高め、トランプ大統領をしのいでいる(Governors win high marks for coronavirus response, outpacing Trump

リード・ウィルソン筆

2020年4月2日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/state-watch/490825-governors-win-high-marks-for-coronavirus-response-outpacing-trump

アメリカ国民は、全米で21万6000人以上の感染者が出ているコロナウイルス感染拡大への対応で州の対応をリードする州知事たちに高い評価を与えている。

同時に、各種世論調査によると、トランプ大統領に対する考えを変えるアメリカ国民の数はより少ないということも分かってきた。大統領は連邦政府のコロナウイルス感染拡大への対応について毎日新しい情報を発信するために提示に記者会見を行っている。いくつかの調査の結果によると、各州の知事たちが物資の供給と支援の不足について警告を発するようになり、連邦政府の対応に対して不満を抱くアメリカ国民の数は増えている。

AP通信に依頼されてナショナル・オピニオン・リサーチ・センターが実施した世論調査の結果では、アメリカ国民の57%が自分たちの住む州の州政府によるウイルス感染拡大への対応について評価しているということが分かった。一方、連邦政府の対応について評価したのは38%にとどまった。

それぞれの州で知事たちの多くは毎日メディアと住民向けに記者会見を行っているが、そのために評価が高まっている。

マーケット大学法科大学院が先週実施した世論調査によると、ウィスコンシン州に住む有権者の65%がトニー・エヴァース知事(民主党)の仕事ぶりを評価しており、1カ月でその数字が14ポイントも増加した。エヴァースのパンデミックへの対応を76%の有権者が評価しているという結果が出た。同時に、トランプ大統領の支持率は48%で1カ月前に比べて変化はなかった。そして、大統領のウイルス感染拡大への対応を評価したのは51%にとどまった。

マーケティング・リソース・グループが実施した世論調査の結果では、ミシガン州知事グレッチェン・ウィットマー(民主党)の仕事ぶりへの評価は60%にまで高まった。評価しないと答えたのは22%にとどまった。ミシガン州は大統領選挙の激戦州であるが、ここでウィットマーの支持率はトランプ大統領の支持率の数字に比べて15ポイントも高いという結果が出た。ウィットマー知事が連邦政府からの支援の欠如について不満を述べた際、トランプ大統領はウィットマーについて「ミシガン州のあの女」と否定的に述べた。

ニューヨーク州では、州在住の有権者3分の2がアンドリュー・クオモ知事(民主党)は素晴らしい仕事をしていると評価している。シエナ・カレッジの実施した世論調査で、クオモ自身にとってこれまでで最高の数字を記録した。87%の有権者がウイルスをコントロール下に置くためにクオモ知事が行っている仕事を評価すると答えた。一方、トランプ大統領の仕事を評価すると答えたのは41%にとどまった。

ボールドウィン・ウォレス大学、オークランド大学、オハイオ・ノーザン大学が実施したヨロ調査の結果によると、オハイオ州に住む有権者の80%が、マイク。デワイン知事(共和党)のウイルス感染拡大を止めるための行動を評価しているが、トランプ大統領の仕事を評価していると答えたのは58%にとどまった。

ニューハンプシャー州の有権者の約75%、民主党支持の有権者の61%も含まれているが、クリス・スヌヌ知事(共和党)の対応を評価していると答えた。しかし、トランプ大統領の仕事を評価すると答えたのは41%にとどまった。ニューハンプシャー大学の世論調査の結果で明らかとなった。

カリフォルニア大学サンディエゴ校政治学部長のサッド・コウシアーは次のように述べている。「深刻な自然災害の後に私たちが良く目にしている状況と同じで、各州の知事たちは広範な支持を集めています。それはCOVID-19への政府の対応において知事たちが顔となっているからです」。

それぞれの州で実施した世論調査の結果では、ワシントン州知事ジェイ・インスリー(民主党)、ペンシルヴァニア州知事トム・ウルフ(民主党)、ノースカロライナ州知事ロイ・クーパー(民主党)の行った対応を60%以上の州の有権者は支持している。ワシントン州とペンシルヴァニア州では、トランプ大統領の支持率は40%台で、ノースカロライナ州では53%が大統領の感染拡大への対応を評価すると答えた。

専門家たちは、素早くかつ決然と行動した知事たちは有権者に対して、この状況で有権者を最優先にしているという印象を与えているが、連邦政府はそうではない、と指摘している。

マーケット大学の世論調査担当者チャールズ・フランクリンは次のように述べている。「感染拡大についての懸念と不安が拡大している時期、明確な行動は強力な肯定的な反応を生み出します。ホワイトハウスはその行動とメッセージの点で、より明確さを失っていました」。フランクリンはエヴァース知事の支持率の急上昇を発見した。

知事たちは、連邦政府レヴェルの政治家や役人に比べてより党派性が薄いと見られるという点でも優位性を持っている。有権者はアメリカの首都倭信徒でのトランプ政権と民主党が過半数を握っている連邦下院との間の争いに比べて、州都での党派争いについてはあまり認識をしていない。

各州政府は連邦政府に比べて、有権者からの信頼を得ている。特に極度に党派分裂が激しくなっている時代である現在、州政府の方が信頼されている。トランプ大統領は記者会見をして高い視聴率を稼ぎだしているが、ファクトチェックが必要な不正確な情報が記者会見で出てくることで、信頼を損なうことになっている。

グリンネル・カレッジの世論調査はアイオワ州を拠点とする世論調査専門家アン・セルザーが実施した。この世論調査の結果では、72%が自分たちの住む州の知事たちは情報の信頼できる発信元であると答えている。トランプ大統領を信頼できる情報の発信元だと答えたのは46%にとどまった。

トランプ大統領の支持率は通常であれば40%台中盤であったが、ここ数週間で50%に近い水準にまで上がっている。アメリカ人は危機の時期には大統領を中心にしてまとまる。しかし、トランプ大統領は過去の大統領に比べて党派分裂の激しい、党派性の強い大統領である。911事件の後、民主党支持者たちがジョージ・W・ブッシュ大統領を中心にしてまとまったようには、トランプ大統領の場合にはいっていない。

前述のコウシアーは次のように語っている。「州知事たちは党派で見られることが少ないのです。今回の危機が起きる前でも、知事たちは反対党を支持する有権者たちから支持を受ける傾向がありました。特に現在の大統領になってからはそうです。有権者たちは元々州知事たちへの信頼を持っていたのです」。

このポイントは、知事の中には選挙に何とか当選した人たちでも現在高い人気を誇っている人たちがいる、自身の所属政党を支持していない有権者からも人気を得ている、ということで明らかになっている。ウィスコンシン州のエヴァース知事、ニューハンプシャー州のスヌヌ知事、ノースカロライナ州のクーパー知事といった人たちは、選挙は接戦で、何とか勝利した。それが今や高い人気を誇っている。

州知事の中には、ウイルスの感染拡大を阻止するために医療衛生関係の役人たちが実施を求めた劇的な方法を採用することを控えた知事たちもいる。フロリダ州、ジョージア州、ミシシッピ州の知事たちは全員共和党に所属しているのであるが、水曜日になってようやく州民たちに対して在宅することを命じた。その数週間前にはカリフォルニア州のゲヴィン・ニューサム知事(民主党)は全米で最初にこのような徹底した方策を実施した知事となった。

しかし、各種世論調査によると、このような思い聞いた方策は多くの人々の考えから外れたものではないということが分かった。NORCAP通信の共同世論調査の結果では、アメリカ国民の4分の3以上が人々に在宅することを求め、バーやレストランの閉店を支持している。80%以上のアメリカ国民が海外からアメリカに入国した人々の強制的な隔離、人々の集まりの制限、学校の休校措置を支持している。

フランクリンは、悲劇的なパンデミックから経済の落ち込みが起きるということが明らかになれば、状況は変化するだろうと指摘している。有権者たちは決定的な行動を取っている知事たちを支持している。

フランクリンは次のように述べている。「死者数が増加し、同時に経済に対する警鐘が鳴り響く中で、人々の意見がどのように変化するかを予測することは困難です。しかし、現在のところ、知事たちは正しいことをしていると見られています」。

=====

バイデンはウィットマーを副大統領候補として考えていることを認める(Biden confirms he's considering Whitmer for VP

タル・アクセルロッド筆

2020年4月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/490570-biden-confirms-hes-considering-whitmer-for-vp

ジョー・バイデン前副大統領は今週、ミシガン州知事グレッチェン・ウィットマー(民主党)について、自身が大統領選挙の民主党候補者となる場合に副大統領候補に指名する可能性を持つ女性の一人であり、その可能性について考慮していることを認めた。

バイデンは既に女性を副大統領候補にすると明言し確約している。木曜日の夜、ウィットマーについてここ数か月、副大統領候補に指名する可能性について考慮していると発言した。しかし、同時にバイデンは10名ほどの女性たちについて可能性について考慮しているとも述べた。

バイデンはMSNBCの番組に出演し、司会者のブライアン・ウィリアムズに対して次のように語った。「ウィットマー知事を候補者リストに加えたのは2か月前のことです。彼女はそのままリストに残り続けています。いいですか、ブライアン、私は今、副大統領候補になりうる人物のバックグラウンドチェックを行う組織を構成する準備をしています。この組織は4月中旬までに作ります。4月の第2週か3週までにはできます」。

バイデンは続けて次のように述べた。「私は大統領になる準備ができていると考えている女性たちについて考えてきました。そして、私はこうした人たちと協力して仕事を進めることができるし、こうした人々も喜んで協力してくれると思います。こうした女性は6人から10人いますよ」。

ウィットマーは民主党の政治家として人気を急上昇させているスターだ。2018年にミシガン州知事に就任した。これまでバイデンの副大統領候補として考えられていた。ウィットマーは11月にトランプ大統領を倒すために民主党がどうしても奪還しなければならないミシガン州を運営している。そして先月ミシガン州で予備選挙が実施される前にバイデン支持を表明した。バイデンはミシガン州でサンダースに2桁の差をつけて圧勝した。

ウィットマーは全米のマスコミから関心を集め、民主党や民主党支持の有権者からの拍手喝采を受けたのは、ウィットマーがトランプ大統領のコロナウイルスの全国的感染拡大に対して批判を行い、彼女の発言に対してホワイトハウスが叱責を行ったからだ。

バイデンはウィットマーを擁護する内容の声明を発表した。その中で次のように述べた。「今回のパンデミックで、ドナルド・トランプはリーダーシップを放棄することで国家を危機に直面させているが、グレッチェン・ウィットマー知事はミシガン州の各家庭のために勇敢に戦い続けている。ドナルド・トランプはウィットマー知事からいくつかのことを学ぶことができる。スピードが大事、細部が大事、そして、人々が大事、ということだ」。この声明が出たことで、ウィットマーが民主党の副大統領候補になるのではないかという憶測が更に出るようになっている。

ウィットマー以外にも、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)、ヴァル・デミングス連邦下院議員(フロリダ州選出、民主党)とジョージア州下院少数党(民主党)院内総務を務めたステイシー・エイブラムスなどがバイデンの副大統領候補として名前が挙がっている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック




アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 元ニューヨーク州知事で、米民主党リベラル派(Liberal Lionと呼ばれました)の大物マリオ・クオモ(Mario Cuomo、1932~2015年)が亡くなりました。クオモは1983年から1994年までニューヨーク州知事を務めました。長男のアンドリュー・クオモ(Andrew Mark Cuomo、1957年~)は2011年からニューヨーク州知事を務め、現在2期目です。その前は、クリントン政権下の1997ねから2001年まで、住宅都市開発庁長官を務めました。

mariocuomo001
マリオ・クオモ
 
andrewcuomo001
アンドリュー・クオモ 

 

 マリオ・クオモの追悼記事で必ず言及されているのが、1984年の米民主党の全国大会での基調演説です。この「二つの都市の物語(A Tale of Two Cities)」(チャールズ・ディケンズの小説『二都物語』から来ている)と呼ばれる演説は名演説として、アメリカ政治史に燦然と輝いています。

 

 私はこの名演説を聞きながら、1980年代のアメリカは現在の日本の状況とよく似ていると感じました。考えてみれば、この時期にアメリカに留学していた竹中平蔵氏が今の日本のグランドデザインを描いていることを考えれば当然のことかもしれません。


takenakaheizo001
竹中平蔵

 この時期の米民主党は、共和党のロナルド・レーガン(Ronald Reagan、1911~2004年)大統領の圧倒的な人気の前に、劣勢、苦戦を強いられていました。この時期を支えたのがマリオ・クオモでした。この部分も今の日本とよく似ています。私は、今年1月18日に開催される日本の民主党の代表選で、このマリオ・クオモの名演説に匹敵する演説が出て欲しい、そして、自民党との対抗軸を鮮やかにして欲しいと考えています。


1984uspresidentialelectionresult001

1984年米大統領選挙の結果(共和党:レーガン<赤>;民主党:ウォルター・モンデール<青>)

ronaldreagan001
ロナルド・レーガン
 

 下に演説の一部とその拙訳を掲載しました。ご覧いただければ幸いです。

 

===========


 
1984年民主党全国大会におけるマリオ・クオモニューヨーク州知事の基調演説(抜粋)

 

10日前、レーガン大統領は、この国には状況が良くなっている人々もいるが、今でも不幸せで、自分自身について、家族について、そして、自分たちの将来について不安を持っている人たちも多くいると認めました。大統領は、彼らの持つ不安が理解できないと述べました。彼はこう言いました。「どうしてそんな風に思うんだろう?この国は丘の上で輝きを放つ都市(a shining city on a hill)だというのに」。大統領の発言は正しいのです。多くの点で、私たちアメリカは、丘の上で輝きを放つ都市なのですから。

 

しかし、ここに厳しい現実が存在します。それは、全ての人々がこの輝ける都市の輝きと栄光を共有していないという事実です。大統領がホワイトハウスの玄関や彼の持つ農場のヴェランダから見れば、都市は輝いて見えるかもしれません。そこの住む全ての人々が幸せに暮らしているように見えるかもしれません。しかし、そこにはもう一つの都市があるのです。輝きを放つ都市にはもう一つの部分があるのです。そこでは人々は住宅ローンを支払うことができず、それどころか若い人々の殆どは住宅を持つことができません。学生たちは教育を受けられず、中間階級の親たちが子供たちに臨んだ夢は煙のように消え去っています。

 

輝ける都市のもう一つの部分では、アメリカの歴史上、これまでにないほど人々は貧しくなっています。多くの家族が問題を抱え、より多くの人々が助けを必要としながら、それを見つけられないでいます。状況はもっと悪くなっています。家の地下室で寒さに震えている恒例の人たちがいます。道路の上や排水溝の中で眠るしかない人々がいます。そこには輝きなんてありません。ゲットーでは多くの若者が仕事にあぶれ、教育もない中で、毎日、麻薬密売人に自分たちの命を差し出しています。レーガン大統領、そこにあるのは絶望(despair)です。貴方が仰った輝ける都市で、貴方が会わなかった人々の顔、そして訪問しなかった場所にあるのは絶望です。

 

大統領、この国は、「丘の上にある輝きを放つ都市」の国ではなく、「二つの都市の物語」の国なのです。貴方はこのことを知らねばなりません。

 

大統領、貴方はこれまでもいくつかの場所に行かれたことでしょう。貴方が訪問されたアパラチア地方では今でも掘立小屋で暮らしている人々がいます。貴方はラカワナにも行かれましたね。そこには製鉄所で働いていたが解雇された多くの人々がいます。彼らは、どうして我が国が外国の鉄鋼に対して補助金を出すのか疑問に思っています。大統領、恐らく貴方はシカゴにあるシェルターに立ち寄って、ホームレスの人々と話をしたかもしれませんね。貴方は必要な助けを受けることを拒絶された女性に、子供たちにきちんとご飯を食べさせるように言ったでしょうね。しかし、彼女が援助を受けられなかったのは、貴方が富裕層に対する減税をし、使いもしないミサイルを増やすために社会保障関連予算を削ったからなのです。

 

恐らくですが、大統領、私はそうあって欲しくないと思っています。紳士淑女の皆さん、真実は私たちが懸念するものに近いようなのです。レーガン大統領は就任早々、私たちに対して、自分は社会ダーウィニズム、適者生存、「政府は万能ではない」という考えを信奉していると述べました。そして、強い人々に対して手厚い保護をして、彼らの経済的野心と慈善によって他の人々にも恩恵が届くようにするという政策を行っているのです。富める人々はますます豊かに、彼らのテーブルからこぼれ落ちる欠片だけで、中間階級や懸命に働いて中階級になろうとする人々には十分だと彼らは言っているのです。

 

フーヴァー大統領時代、共和党はこの政策を「トリクルダウン」と呼びました。そして、現在彼らはこれを「サプライサイド(供給重視)」と呼んでいます。しかし、あの時と現在とで共通しているのは、彼が唱える輝きを放つ都市に住めるほどに幸運な人はほとんどいないということです。この都市から排除された人々、鍵をかけられて入れないようにされた人々ができることは、この都市のけばけばしい高層ビルから離れるということだけです。

 

これはもう時代遅れの物語です。私たちの歴史と同じくらいに古いものです。民主党と共和党との間の違いは常に勇気と自信によって測られてきました。共和党は、貨車に老人、若者の一部、弱者の一部を乗せないようにし、置き去りにしないと何も達成できないと確信しています。「強者だけがこの土地を受け継ぐことができる」と彼らは私たちに言います。

 

私たち民主党はいささか別のものを信じています。私たち民主党は家族全員が相互に関わることで何かを実現できると信じています。フランクリン・ルーズヴェルトは、立ち上がれずにいたアメリカを立ち上がらせるために、車いすから立ち上がりました。教育、住宅、平和といった新しいフロンティアに貨車をどんどん送り込みました。この貨車にはアメリカという家族全員が乗っていました。その成果はアメリカという家族全体に届いていきました。この貨車には全員が乗ってきました。黒人、ヒスパニック、全ての人種、そしてアメリカ先住民の人々も含まれていました。彼らは家族のために懸命に働き、アメリカという偉大な国の分け前を少しずつですが分け合うことができました。

 

私たち民主党員は団結しなければなりません。私たち民主党員はアメリカを団結させるために団結せねばなりません。それは、共和党がこの国に団結をもたらすことができないからです。彼らの政策は、幸運に恵まれた人々と置いてけぼりにされた人々という2つのグループに国を分断しています。共和党はこの分断をして勝利だと呼びます。彼らはこの国を二つに切り分けようとしているのです。一時的に良い状態になる人々と、悪くなる人々に分けて、そしてこの分断を回復と呼ぼうとしているのです。

 

私たちは、アメリカという一つの家族にならねばならないと確信しています。私たちはお互いにつながっているのだということを認識しなければなりません。デュラスに住む退職した先生が抱える問題は私たちの問題なのです。バッファローに住む子供たちの将来は、私たちの将来なのです。正統な形で生きていこうとしているボストンに住む障害を抱えた人の苦闘は私たちの苦闘なのです。リトルロックにいる女性の飢餓は私たちの飢餓なのです。私たちが何かを与えねばならないのにそれができていないのは、私たちの失敗なのです。

 

私は皆さんにお願いしたいことがあります。それは、紳士淑女、兄弟たちそして姉妹たち、この偉大な国に対する愛、アメリカという家族に対する愛、そして神の愛によって、素晴らしい将来をどのように作り上げるかをこの国に思い出させてほしいのです。

 

どうもありがとうございました。皆さんに神のご加護がありますように。

 

(終わり)








 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ