古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:アヴリル・ヘインズ

 古村治彦です。

 ウクライナ戦争の先行きはどうなるか、ということに多くの人々が関心を持っていると思う。私もそうだ。私は戦争の早い段階(戦争勃発から1週間後)で、即刻停戦を行うべき、ウクライナが有利に事態を進めているうちに停戦し和平を結ぶべきと訴えた。しかし、そうした声は「正義派(ウクライナはロシアを叩きだすまで戦え、俺は何もしないけど)」の声にかき消された。そして寒い時期から春の陽気を超え、夏の猛暑の時期になってもまだ戦争は続いている。膠着状態になっている。ロシア軍は首都キエフ奪取に失敗したが、ウクライナ東部で有利に状況を展開している。ウクライナ軍の苦戦も報じられるようになった。
avrilhaines519
アヴリル・ヘインズ

そうした中で、アメリカのアヴリル・ヘインズ国家情報長官がウクライナ戦争の「3つのシナリオ」を提示した。その内容な誰でも考えつきそうなものだが、アメリカの情報・諜報機関のトップの発言は千金の重みがある。アメリカ政府の公式の発表と同程度だと考えてもよい。アメリカ政府は「膠着状態で消耗戦が続く」というシナリオが最も可能性が高いと見ている。

 アヴリル・ヘインズ国家情報長官は、CIAFBIなど40近くのアメリカの情報・諜報機関を束ねるトップである。ヘインズが述べた3つのシナリオは、アメリカの情報・諜報機関がシミュレーションを行って得た結果ということになるだろう。これはつまり、「ロシアが戦争初期の目論見通りにキエフを抑えて、ウクライナ政府を転覆させることはできない。だからと言って、ウクライナがロシアを完全に追い出すこともできない」とアメリカ政府が考えているということだ。そして、アメリカ政府は「きちんとした出口(戦争終結)」について、その形を今のところ考えていないか(考えられないか)、正式に発表することを控えているか、ということになる。

 私はアメリカ政府が当初想定したシナリオが狂ってしまっているのだろうと考えている。アメリカは当初、欧米諸国がウクライナに武器を供与し、ロシアに対して制裁を加えればロシアは早々に撤退することになると踏んでいたと思う。しかし、実態はそうではなかった。ロシア経済制裁は中途半端になってしまい、それどころかエネルギー価格や食料価格の高騰を引き起こして、欧米諸国に直撃している。ロシアからのエネルギーに依存してきたヨーロッパ諸国はこれから厳しい状況になるだろう。更にロシア軍が態勢を立て直してウクライナ東部に注力するという決断を下したことで戦争が長期化することになった。西側諸国によるウクライナへの支援は現在も継続中だが、これもいつまで続くか分からない。これは、アメリカの外交的失敗ということになる。アフガニスタンからの撤退に続く、ジョー・バイデン政権の外交面での大失策ということになる。ホワイトハウスのジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官の更迭論もそのうち出てくるだろう。
jakesullivan519
ジェイク・サリヴァン

 現状における最高のシナリオは早期停戦と和平である。しかし、戦争を停めるのは難しい。それは、太平洋戦争末期の日本でもそうだったが、「それでは命を失った英霊は無駄死だったのか」という論が出て「今一度大攻勢をかけて勝利を得て有利な条件で停戦に」という主張が出てくるからだ。しかし、冷静になって、より冷酷になってみれば、これ以上の被害を出さないことが重要だということになる。しかし、冷静になることが、状況の渦の中にいると、難しいということになる。

(貼り付けはじめ)

戦争に関する3つのシナリオ(Three War Scenarios

-そしてウクライナにおける戦争の結果に影響を与えるだろうもの

デイヴィッド・レオンハート筆

2022年7月6日

『ニューヨーク・タイムズ』紙

https://www.nytimes.com/2022/07/06/briefing/ukraine-war-three-scenarios.html

アメリカ国家情報長官アヴリル・ヘインズは最近、ウクライナにおける起きる可能性のある3つのシナリオについて概略を述べた。

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1つ目のシナリオは、ロシアがウクライナ東部において前進を維持することで、ウクライナ国民の戦う意思を挫き、ロシア軍がウクライナの更なる領域を奪取することが可能となるというものだ。この結果は、ウクライナ政府を瓦解させようという最初の試みに失敗したプーティンにとって新たな目標ということになる。

2つ目のシナリオが最も実現可能性が高い。ヘインズは先週ワシントンで行われた公開の会議の席上、ロシアはウクライナ東部を支配するだろうが、それより先には進むことは不可能だろうと述べた。ウクライナ、ロシア両国は膠着状態に陥る。これをヘインズは「消耗戦による苦闘(a grinding struggle)」と呼んだ。

3つ目のシナリオは、ウクライナは東部でロシア軍の前進を阻み、そして反撃を開始することに成功するというものだ。ウクライナは既にいくつかの領域を再奪取している。特にウクライナ南部で領域を再奪取している。そして、軍事専門家の中には、より広範囲における攻勢が間もなく行われるだろうと予想している人たちもいる。

今日のニューズレターでは、この3つのシナリオのうち、どのシナリオが最も可能性が高いかを判断するためのいくつかの疑問を取り上げ、戦争の最新情報を提供する。

●一時的もしくは永続的(Temporary or permanent

流れは決定的に変わっているのか、それともウクライナ軍が更なる成功を収めようとしているのか?

ウクライナ戦争の最新局面について言えば、ロシアはうまくいっている。ドンバス地方と呼ばれるウクライナ東部には、ルハンスクとドネツクの2つの州がある。情報問題を専門とするジェインズ社のアナリストであるトーマス・ブロックによると、ロシアは現在、ルハンスクのほぼ全域とドネツクの約60%を支配しているという。

昨日、ロシア軍はドネツクの都市でウクライナの重要な供給拠点であるバフムト付近で砲撃を強めた。ロシアはルハンスクでも同様の戦術を用い、都市を占領する前にウクライナ軍と市民を排除した。

ニューヨーク・タイムズ紙モスクワ支局長アントン・トロイアノフスキは、「クレムリンは、彼らの全体的な計画は変わっておらず、全てが計画通りに進んでいるというメッセージを送っている」と語っている。アントンは更に、クレムリンの自信の表れとして、ロシアのメディアは最近、占領した領土で住民投票を実施し、正式に併合する計画を報じていると指摘した。

しかし、ウクライナは西側諸国から高性能の兵器が提供されている恩恵を受けている。そして、ウクライナ軍がそれらの兵器をこれまでよりもうまく活用できるようになる日が近いのではないかと考える理由もある。

戦争の初期段階において、アメリカ、EU、その他のウクライナの同盟国は、ジャベリンとして知られる肩撃ちのミサイルシステムのような比較的単純な兵器を送っていた。これらの兵器は、ロシア軍の小集団からウクライナの領土を守るのに役立った。最近では、西側諸国がより強力な大砲、例えばトラックベースのロケットシステム「ハイマース(HIMARS)」を送り、ウクライナが東部で大規模に増強されたロシア軍に耐えられるようにすることを意図している。

私の同僚であるジュリアン・バーンズが指摘するように、ジャベリンの使い方を訓練するのは数時間しかかからない。ハイマース(HIMARS)の訓練には、戦場への輸送と同様、数日から数週間かかる。今後数週間のうちに、ウクライナは増え続けるハイマース(HIMARS)を使ってロシア軍に更なる損害を与えることができるのか、ジュリアンは注視していると述べた。

●ロシア国内での徴兵は無い(No Russian draft

ロシア軍は兵員を消耗しているのだろうか?

最近起こった2つの出来事から不思議に思うことがある。まず、私の同僚であるトーマス・ギボンズネフが最近の戦争分析で説明したように、ロシアは部隊を補充するために、民間企業であるワーグナー・グループのような外部部隊に頼らざるを得なくなったのである。第二に、プーティンはドンバス地方での最近の勝利に関与した部隊のいくつかに休養を命じたが、これはそれらの部隊が疲弊していたことを示唆している。

ジュリアンは次のように語った。「ロシアがドンバスを越えて前進したいのであれば、これまでやりたがらなかった大量動員を行う必要があるというのがアメリカ政府関係者と外部アナリストの共通認識だ。ロシアは徴兵制を実施し、過去に兵役に就いた兵士を呼び戻し、軍隊を再建するために政治的に痛みを伴う措置を取る必要がある。今のところ、プーティンはそうする気がない」。

ロシアは、兵士や武器など、ウクライナよりも多くの資源を持っている。しかし、ロシアの資源には限界がある。特に、プーティンが大量動員のために政治資金を使うことを望まないのであればなおさらである。

この限界は、ウクライナがロシアの東方での獲得物を保持し、反撃と内部の抵抗、更には欧米諸国の経済制裁によって、ロシア軍を徐々に疲弊させるという見通しを生じさせる。その結果、プーティンはウクライナの大部分を残したまま最終的に停戦を受け入れる可能性がある。

ジュリアンは「それは完全な勝利にはならないだろう。それが現実的かもしれない」と述べた。

●戦争神経症(シェル・ショック、Shell shock

しかし、ウクライナの兵力不足は更に加速しているのだろうか?

ウクライナ・ロシア両陣営とも、1日に数百人という高い割合の死傷者を出しているようだ。その結果、ウクライナはほとんど訓練を受けていない部隊にますます頼らざるを得なくなっている。

また、生き残った部隊は精神的なダメージを受ける危険性もある。東部での戦闘方法は、絶え間ない砲撃の応酬で、「シェル・ショック」という言葉を生んだ第一次世界大戦の塹壕戦(trench warfare)に似ていると同僚のトーマスは指摘する。

匿名のウクライナ軍使命感はニューヨーク・タイムズ紙の取材に対して次のように語っている。「砲撃の最中は、壕の中で砲撃が終わるのを待つしかない。このような砲撃のために精神的にダメージを受ける人もいる。彼らは、何に遭遇しても、心理的に準備ができていないことが判明している」。

ウクライナの未来が不確かであるのと同様に、先週ヘインズが述べた3つのシナリオの概要を説明したときに認めたように、現在の状況は明らかに悲惨である。ヘインズは「要するに、絵はかなり厳しいままだ」と言った。

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アメリカのスパイ部門トップがウクライナ国内におけるロシア軍に待ち受けているのは「消耗戦による苦闘」と予測(Top US Spy Sees ‘Grinding Struggle’ Ahead for Russia in Ukraine

・アヴリル・ヘインズは戦闘の長期化が最も起こりうるシナリオと指摘

・「自主的な制裁」のためのアメリカ企業による行動が大きな影響を与えると発言。

エリック・マーティン、ピーター・マーティン筆

2022年6月30日

『ブルームバーグ』誌

https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-06-29/top-us-spy-sees-grinding-struggle-ahead-for-russia-in-ukraine

アメリカのスパイ部門トップが、ウクライナ国内のロシア軍には「消耗戦による苦闘」が待っており、ウラジミール・プーティン大統領の軍隊は少しずつ利益を上げることが出来るが、大きな突破口を見つけることが出来てないと考えていると述べた。

アヴリル・ヘインズ国家情報長官はワシントンで開催された商務省産業安全保障局の年次会議に出席し、アメリカの情報機関が予測する3つのシナリオのうち最も可能性が高いものとして、このシナリオを提示した。

より可能性が低い他のシナリオは、ロシアが突破口を開くか、ウクライナが前線を安定させ、南部で小さな利益を上げるかというものだ。

アメリカの情報機関は、ウクライナ軍を崩壊させながらドンバス東部で利益を上げるというプーティンの短期的目標と、ロシア軍が実際に達成できることの間にギャップがあると考えているとヘインズは指摘する。

ヘインズは軍事的な挫折に直面しても、プーティンの長期的な目的は首尾一貫していると指摘した。ロシアの指導者プーティンは依然としてウクライナの大部分を手に入れ、NATO同盟への加盟を阻止することで同国の「中立化(neutralization)」を達成しようとしているとヘインズは付け加えた。

またヘインズは、ロシアの侵攻に対して、アメリカ企業がどれほどの「自主的な制裁(self-sanction)」をするのか情報機関は予想していなかったとも述べた。

「アメリカ企業による自主的な制裁はロシア経済にかなりの大きな影響を与えた。民間企業が厳しく状況に対処して投資しないことに決定した。これは、今、私たちがより高く評価しようとしている点だ」とヘインズは述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)※6月28日には、副島先生のウクライナ戦争に関する最新分析『プーチンを罠に嵌め、策略に陥れた英米ディープ・ステイトはウクライナ戦争を第3次世界大戦にする』が発売になります。


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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 アメリカ政府はロシアによるウクライナ侵攻の可能性を掴んでいた。これまでアメリカが絡む大きな事件の場合、アメリカの情報・諜報機関は「事前にそうした大事件(テロ事件や戦争など)が起きるであろうことを事前に把握していたが、止められなかった」ということを繰り返している。2001年の同時多発テロ事件がまさにそうだった。今回の記事は、「アメリカの情報・諜報機関がロシアのウクライナ侵攻の意思を過小評価する一方で、軍事能力を過大に評価していた。一方で、ウクライナの抗戦意思については過小評価していた」という内容になっている。

 考えてみると、軍事能力についての評価は難しい。多くの場合、将兵の数、軍事予算、保有武器の種類と能力といった数字が軍事能力の判断基準となっている。そして、それは多くの場合、軍事能力を判断するのに妥当な基準である。しかし、やはり実践になってみないと分からないところがある。今回、ロシア軍がウクライナに侵攻し、キエフ近くまで侵攻しながら撤退を余儀なくされたが、それは欧米諸国からのウクライナに対する武器や物資の供与があったこともあるが、ウクライナ軍と国民の抗戦の凄まじさということもある。意思の部分については数字で判断することはできない。

 情報・諜報機関の情報収集・分析・判断は政策決定の大前提となる。今、アメリカの情報・諜報機関の最高責任者はアヴリル・ヘインズである。アメリカに複数ある情報機関や諜報機関を取りまとめる国家情報長官を務めている。ジョー・バイデン政権の政策の大前提となる分析と判断の最高責任者だ。バイデン政権はアフガニスタンからの撤退と今回のウクライナ戦争という2つの大きな外交政策において失敗している。アフガニスタンに大きな混乱を引き起こすということを過小評価していたし、今回のウクライナ戦争も早く片が付くとこちらも過小評価していた。それほどに政策策定と遂行は難しい。

 こうした失敗を基にして、組織や機構、教育などを見直し改善するということを、各国政府は繰り返している。「失敗から学ぶ」ということができるかどうか、これである。日本はどうであろうか。ノモンハン事件や日中戦争の泥沼化から何も学ぶことなく、失敗を隠蔽し、最高責任者を処分せず(中級クラスに苛烈な制裁を科す)、なあなあで済ます。これは日本の組織における宿痾ということになる。

 日本の組織における宿痾としては、情報・諜報を軽視するというものがある。これについては、この分野の名著である堀栄三著『情報なき国家の悲劇 大本営参謀の情報戦記』を是非読んでもらいたい。堀元少佐は太平洋戦争中、大本営参謀部の情報将校として、アメリカ軍の情報収集と分析を行い、アメリカ軍の侵攻経路を割り出し、それがあまりにも的中するので「マッカーサー参謀」と呼ばれた人物である。彼の情報収集・分析の手法は興味深く、多くの方に参考になると思う。

 話はそれたが、情報・諜報の収集、分析、判断というのは非常に難しい作業であり、その多くは間違う。それについて改善の努力を不断に行っていくことが重要ということになる。

(貼り付けはじめ)

アメリカの複数のスパイ機関がウクライナとロシアについて何を間違ったについて見直し(U.S. spy agencies review what they got wrong on Ukraine and Russia

-アヴリル・ヘインズ国家情報長官が公聴会で証言

ノマーン・マーチャント、マシュー・リー筆

『ロサンゼルス・タイムズ』紙(AP通信)

2022年6月4日

https://www.latimes.com/world-nation/story/2022-06-04/american-spy-agencies-review-their-misses-on-ukraine-russia

ワシントン発。ロシアが2月末にウクライナ侵攻を開始する数週間前、アメリカの情報・諜報機関関係者に向けて行われた非公開のブリーフィングで、この質問が投げかけられた。「ウクライナの指導者ヴォロディミール・ゼレンスキーは、イギリスのウィンストン・チャーチルやアフガニスタンのアシュラフ・ガーニのような人物だろうか?」

言い換えるならば、「ゼレンスキーは歴史的なレジスタンスを率いるのか、それとも政権が崩壊して逃げるのか?」ということだ

究極的に言えば、アメリカの情報・諜報機関は、ウラジミール・プーティン大統領の侵攻を正確に予測しながらも、ゼレンスキーとウクライナを過小評価し、ロシアとプーティン大統領を過大評価したのである。

しかし、ウクライナの首都キエフは、アメリカが予想したように数日では陥落しなかった。そして、アメリカのスパイ機関はウクライナのレジスタンスを支援したと評価されているが、現在彼らは、特に昨年のアフガニスタンでの判断ミスの後、事前に何が間違っていたかを見直すよう党派を超えた圧力に晒されている。

情報当局関係者たちは、外国政府の戦意と能力をどのように判断しているかについての見直しを始めた。この見直しは、アメリカの情報・諜報機関がウクライナで重要な役割を果たし続け、ホワイトハウスがウクライナへの武器供給と支援を強化し、プーティンがエスカレートしていると見なし、ロシアとの直接戦争を回避しようとする中で行われている。

バイデン大統領が率いる政権は、ウクライナが長年望んでいた兵器であるハイテク中距離ロケットシステムを少量供与すると発表した。2月24日の開戦以来、ホワイトハウスはドローン、対戦車・対空システム、数百万発の弾薬の輸送を承認してきた。アメリカは情報共有に関する初期の制限を解除し、ウクライナがロシア海軍の旗艦を含む重要な標的を攻撃するために使用する情報を提供している。

民主、共和両党の連邦議員たちは、プーティンが侵攻する前にアメリカがもっと手を打てたのではないか、ホワイトハウスはウクライナの抵抗力を悲観的に評価し、支援を控えたのではないか、と疑問を呈している。メイン州選出無所属連邦上院議員アンガス・キングは、先月の連邦上院軍事委員会の公聴会で、「予測についてもっとよく把握し対応していれば、もっと早くウクライナ人を支援することができたはずだ」と発言している。

連邦下院情報委員会の共和党側トップであるオハイオ州選出のマイク・ターナー連邦下院議員は、ホワイトハウスと政権幹部たちが「不作為を助長するような形で、状況に独自の偏見を投じた」と考えているとあるインタヴューに答えた。

連邦上院情報委員会は先月、国家情報長官室に非公開書簡を送り、情報・諜報機関がウクライナとアフガニスタンの両方をどのように評価したかについて質問している。CNNがこの書簡について最初に報じた。

アヴリル・ヘインズ国家情報長官は5月、連邦議員らに対し、国家情報会議が情報機関の「戦う意志」と「戦う能力」の両方をどう評価するかを見直すと述べた。この2つの問題は「効果的な分析を行うにはかなり困難であり、そのための様々な方法論を検討している」とヘインズは述べた。

委員会の書簡より前に始まったこの見直しのスケジュール表については発表されていないが、関係者たちは既にいくつかの誤りを確認している。戦前の評価に詳しい複数の関係者が、機密情報を話すために匿名を条件にAP通信の取材に応じた。

ロシアはその大きな優位性にもかかわらず、ウクライナに対する制空権を確立できず、戦場での通信手段の確保といった基本的な任務でも失敗した。アメリカの推計によると、ロシアは数千人の兵士と少なくとも8から10名の将官を失ったということだ。ロシア軍とウクライナ軍は現在、ウクライナ東部で激戦(fighting in fierce)を展開しており、アメリカや西側諸国が予想したロシアの迅速な勝利とは程遠い状況である。

ロシアは最近、いくつもの代理戦争に参加することはあったが、1980年代以降、大規模な陸上戦争を直接戦ったことはなかった。そのため、ロシアについて見積もられたそして、一般に発表された能力の多くが試されておらず、大規模な侵攻でロシア軍がどのように機能するかを評価するのは難しいと一部の関係者は述べている。ロシアの武器輸出産業は活発であるため、モスクワはもっと多くのミサイルシステムや飛行機を配備する準備ができているだろうと考える人もいた。

アメリカは公に警告したが、ロシアは今のところ化学兵器や生物兵器を使用していない。ある政府高官は、アメリカは化学兵器による攻撃について「非常に強い懸念」を持っているが、ロシアはそのような攻撃をすれば世界的な反発が大きくなりすぎると判断したのだろうと指摘した。ロシアがウクライナやアメリカの同盟諸国に対してサイバー攻撃の波紋を広げるのではないかという懸念は、今のところ現実にはなっていない。

その他にも、部隊将兵の士気の低さ、薬物やアルコールの乱用、部隊を監督し司令官からの指示を伝える下士官の不足など、ロシアの問題はよく知られていた。

国防総省に属するアメリカ国防情報局長官を務めたロバート・アシュレイ元陸軍中将は、「これらのことは全て分かっていた。しかし、最も単純な作戦を実行しようとした時、その全てが圧倒されるということが、連鎖的に起こってしまった」。

国家情報主席副長官を務めたスー・ゴードンは、アメリカのアナリストたちはロシアの軍事・サイバーに関する武器やツールの在庫を数えることに依存しすぎていた可能性があると指摘した。

ゴードンは、情報関係の出版社サイファー・ブリーフ社が主催した最近のイヴェントで、「結果を評価する際に、能力とその使用は同じではない、という考え方について少し学ぶことになるだろう」と述べた。

ゼレンスキーは、ロシアが彼を逮捕または殺害しようとするティームを送り込んできても逃げなかったことで、世界中から称賛を浴びている。しかし、戦争が始まる前、ワシントンとキエフの間には、侵略の可能性やウクライナの準備が整っているかどうかについて緊張関係があった。この論争に詳しい人物によれば、アメリカはウクライナがキエフ周辺の防衛を強化するために西側から軍を移動させることを望んでいたことが論争の火種となっていたということだ。

戦争勃発直前まで、ゼレンスキーとウクライナ政府高官たちは、パニックを鎮め、経済を守るためもあって、侵略の警告を公然と否定していた。あるアメリカ政府高官は、経験の浅いゼレンスキーが自国の直面しているレヴェルの危機に対処できるかどうか疑問だったと述べた。

アメリカ国防情報局長官のスコット・ベリエ陸軍中将は3月、「私の考えでは様々な要因から、ウクライナ人は私が考えるほど準備ができていなかった。だから、彼らの戦う意志を疑っていた。彼らは勇敢に、立派に戦い、正しいことを行っているのだから、私の評価は間違っていたということになる」と述べた。

ベリエは5月、自身の見解と情報・諜報機関全体の見解とに距離を置き、「ウクライナ人に戦意がないとする評価はなかった」と述べた。

ウクライナ戦争の前にウクライナの決意を示す十分な証拠があった。ロシアによる2014年のクリミア併合と、東部ドンバス地方での8年にわたる紛争は、モスクワに対するウクライナ国民の意識を硬化させた。ウクライナ軍は、アメリカから何年にもわたって訓練と武器の輸送を受けており、サイバー防衛の強化も支援されていた。

アメリカの情報・諜報機関は、ウクライナのレジスタンスに対する強い支持を示唆する民間の世論調査を見直した。国境近くのロシア語圏の都市ハリコフでは、市民が銃の撃ち方を学び、ゲリラ戦の訓練をしていた。

連邦下院情報委員会のメンバーであるブラッド・ウェンストラップ下院議員(オハイオ州選出、共和党)は、2021年12月のウクライナ訪問中にウクライナ人の決意を目の当たりにした。ドンバスの前線では、モスクワに支援された分離主義勢力が2014年からウクライナ政府軍と戦っており、参加者は前日に死亡したウクライナ人兵士の名前を読み上げた。

ウェンストラップは「それは、彼らが戦う意志を持っていることを私に示した。これは長い間、醸成されてきたものだ」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)※6月28日には、副島先生のウクライナ戦争に関する最新分析『プーチンを罠に嵌め、策略に陥れた英米ディープ・ステイトはウクライナ戦争を第3次世界大戦にする』が発売になります。


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 古村治彦です。

 拙著『』で取り上げたウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社だが、ジョー・バイデン政権高官にはその出身者が15名を占めている。今回はその顔ぶれを詳しく紹介している記事を紹介する。国務長官のアントニー・ブリンケンとアメリカ情報・諜報機関のトップである国家情報長官のアヴリル・ヘインズだけにとどまらず、数多くの人物がバイデン政権の中枢を支えている。一企業の出身者たちがこれほど政権に参加することは前代未聞のことで、「倫理規定違反ではないか」という声も上がっている。

 ウエストエグゼク。アドヴァイザーズ社が巨大企業500社を顧客にしているのは、バイデン政権との強力な人脈関係を持っているからだというのは明白なことだ。このブログでも紹介したが、ウクライナ戦争が始まってからは、ウエストエグゼク社の経営パートナー(共同創設者)であるミッシェル・フロノイ(オバマ大統領時代に国防次官、クリントン大統領時代に国防次官補)には各巨大企業のCEOたちからひっきりなしに連絡が来て、助言を仰いでいるということだ。バイデン政権の意向を一番掴みやすいい民間の存在がウエストエグゼク社ということになる。

 拙著と合わせて以下の記事をよく読んで欲しい。私が何か荒唐無稽なことを言っていたのではないということが分かるはずだ。

(貼り付けはじめ)

ジョー・バイデン政権に人材を派遣しているコンサルティング会社に目を向ける(MEET THE CONSULTING FIRM THAT’S STAFFING THE BIDEN ADMINISTRATION

-ウエストエグゼク社(WestExec)は、トランプ時代を通じて大企業の代理人を務めていた。そうした人々が今、ホワイトハウスにいる。

ジョナサン・ガイヤー、ライアン・グリム筆

2021年7月6日

『ジ・インターセプト』誌

https://theintercept.com/2021/07/06/westexec-biden-administration/

ホワイトハウスからわずか数ブロックしか離れていない本社で、元大使たち、弁護士たち、バラク・オバマ大統領時代に政権高官に任命された人々からなる小規模で強力なチームが、過去数年間、世界の各大企業のために問題解決に取り組んできた。

バイデン政権発足から半年足らずで、ウエストエグゼク。アドヴァイザーズ社(WestExec Advisors)という会社の15人以上のコンサルタントが、ホワイトハウスやその外交政策機構、法執行機関などに散らばっている。そのうち5人はすでに政権内で仕事を行っており、高官ポストへの指名を受けており、他の4人はバイデン-ハリス政権移行チームに所属していた。ワシントンの基準からしても、特に2017年に立ち上げたばかりの会社としては、政権と民間の間を行き来する回転ドアを通過する驚くべき前進となっている。このパイプラインは、バイデン政権内部にウエストエグゼク社の出身者たちを圧倒的な数配置し、国家情報長官や国務長官といった影響力のある最高幹部クラスに人材を据えている。一方、ウエストエグゼク社の顧客たちは、ハイテクや防衛の分野で、かつてのコンサルタントたちが現在設定・実行する立場にある政策と交錯し、論議を呼んでいる。

ウエストエグゼク社の出身たちが新しく政権に就くと、国務長官の場合は見出しで、サイバーセキュリティの責任者の場合は業界誌でと、さまざまな報道がなされた。一介のコンサルティング会社が外交政策立案を独占していることはほとんど気づかれなかった。このような政策立案者たちのネットワークは孤立しており、集団思考(groupthink)や利益相反(conflicts of interest)、また、矛盾しているかもしれないが、合法化された汚職(legalized corruption)と呼ばれるようなことが起こる可能性が懸念される。

ウエストエグゼク社は顧客情報を正式には公開しておらず、公開されている財務報告書も大まかな内容しか提供していない。ワシントン大学(セントルイス)法科大学院のキャサリン・クラーク教授は、数十年前に作られた政府の倫理法は、一企業から15人もの政府高官が出るような状況に対応できるものではないと言う。クラーク教授は続けて「彼らは政府に雇われているのは確かだ。それは認める。しかし、彼らは実際にアメリカ国民のために働いているのか、いないのか? 彼らの忠誠心はどこにあるのだろうか? 民間部門は本質的に公共部門を利用することができる」と述べている。

ホワイトハウスの報道官は声明の中で「これらのホワイトハウス高官たちは経験豊富な政府のリーダーたちであり、以前の民間部門での経験は、彼らが政府の仕事にもたらす幅広く多様なスキルの一部である」と述べている。ウエストエグゼク社は今回期の記事のための詳細な質問リストに回答することはなかった。

ウエストエグゼク社は、「他を圧倒する地政学的リスク分析」を売りの一つとしているが、現在、ウエストエグゼク社出身者たちが権力者の周辺において飽和状態にあることからも、それが確認できる。ウエストエグゼク社は、ハイテク新興企業を防衛契約に参加させることに成功し、防衛企業のハイテクによる近代化を支援し、多国籍企業の中国進出を支援することにも取り組んでいる。ウエストエグゼク社の協力者の一人が、防衛を中心とした投資グループ「パイン・アイランド・キャピタル・パートナーズ社(Pine Island Capital Partners)」で、昨年、SPAC(白紙委任会社)を立ち上げた。トニー・ブリンケンはパイン・アイランド社の顧問を務め、株式の一部を保有する共同オーナーでもある。ウエストエグゼク社のもう一人の共同設立者であるミシェル・フロノイは、国防長官への指名が見送られた。ジョー・バイデン大統領は、代わりにロイド・オースティンを指名した。オースティンはパイン・アイランドの元パートナーだが、ウエストエグゼク社のコンサルタントではなかった。

ウエストエグゼク社が「ブティック」となっているのは、幹部たちがベテランの政策立案者と顔を合わせる時間を確保できると約束したことだ。2020年、ウエストエグゼク社の共同創設者の一人は、「他の会社は、大物のために人を集めるが、大物に会うことはできないと感じていた。トニーはクライアントたちからの電話に出る」と述べている。

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ブリンケンは現在、国務長官を務めている。ブリンケンは、通信大手のAT&T、防衛大手のボーイング、物流大手のフェデックス、メディア企業のディスカバリーといった有名企業の顧問を務め、ウエストエグゼク社の創業パートナーでもあった。また、フェイスブック、リンクドイン、マイクロソフト、ウーバーといった大手IT企業にも助言を行った。スピーカービューローのGLG、美術品販売のサザビーズ、バイオ医薬品のギリアド・サイエンシズなどニッチな企業もサポートした。また、ブラックストーン、ラザード、ロイヤル・バンク・オブ・カナダ、サウジアラビアと大規模な取引を行う多国籍コングロマリット「ソフトバンク社」など、グローバルな投資会社や資産運用会社もクライアントに名を連ねていた。また、コンサルティング企業マッキンゼー・アンド・カンパニーの顧問も務めた。ブリンケンは2020年7月、『ジ・アメリカン・プロスペクト』誌がウエストエグゼク社との関係について問い合わせた後に、同社を去った。しかし、これらの事業は、バイデン政権内で外交政策を実行する際に彼の計算に影響を与える可能性があるとして国際的に注目されている。

ブリンケンは、国務省の主要スタッフの何人かをウエストエグゼク社から連れてきている。ブリンケンの上級補佐官であるジュリアン・スミスは、ボーイングとソフトバンクを顧客としていた。スミスはシンクタンクのジャーマン・マーシャル・ファンドで常勤の仕事を持ちながら、ウエストエグゼク社のコンサルタントとして3万4000ドルの収入を得ていた。スミスは、NATOの米国常任代表に指名されている。ブリンケンはまた、ウエストエグゼク社のエグゼクティブ・アシスタントを務めたサラ・マクールをスケジュール管理担当として国務省に呼び寄せた。元駐アラブ首長国連邦米国大使のバーバラ・リーフは、ウエストエグゼク社に勤務し、全米バスケットボール協会(NBA)に助言を行った。彼女はその後、国家安全保障会議で中東担当上級部長を務めた。リーフは、国務省近東担当次官補になるための連邦議会承認を待っている。一方、オバマの駐イスラエル大使で、同僚によれば「非常に忙しい」初期メンバーのコンサルタント、ダニエル・B・シャピロの名前が中東特使として浮上している。ジ・アメリカン・プロスペクトは昨年夏、ウエストエグゼク社の顧客のひとつが、船舶追跡を専門とするイスラエルの人工知能企業ウィンドワード社であることを明らかにした。

ウエストエグゼク社はまた、バイデンの最も強力な情報・諜報機関のトップがトランプ政権時代をやり過ごすための快適な場所を提供した。アヴリル・ヘインズ国家情報長官は、早い時期にウエストエグゼク社のウェブサイトから名前を消されてしまったが、2017年10月から2020年7月まで同社で働き、外交政策担当としてバイデンの政権移行チームに参加した。彼女の承認公聴会の前に記入された報告書によると、彼女はフェイスブック、JPモルガン・チェイス、マイクロソフト、オープン・フィロソフィーなどクライアントに対して、「サイバー規範、国家安全保障上の脅威、国防省による機械学習システムのテスト、評価、検証、検証」についての「戦略的アドバイス」を提供したということだ。CIAのデイヴィッド・S・コーエン副長官は、ヘインズやブリンケンとともにウエストエグゼク社の「コアチーム」の初期メンバーであった。しかし、彼のクライアントが誰であったかを知ることは不可能だ。スパイ機関の関係者に対する免責事項により、彼の情報公開は公にされていない。

ワシントン大学(セントルイス)の倫理専門家であるクラーク教授は、「スパイ機関の官舎に対する免責事項は彼らが公的な説明責任から免除されることだ。そしてそれは、私たちが必ずしも内部統制と外部の公的な開示に頼ることができないので問題となるのだ」と述べた。CIAの広報担当者は、コーエンがウエストエグゼク社で助言を行っていた顧客企業について述べることを拒否した。

そして、最近連邦上院が国家サイバー局長として承認したクリス・イングリスがいる。彼はウエストエグゼク社から1万5000ドルを得て、インターネット・セキュリティ企業のクラウドストライク社と電子メール暗号化企業のヴァ―チュー社に助言を行っていた。

2017年の創業以来、ウエストエグゼク社は防衛、情報、法執行機関の能力を強化することに注力してきた。シリコンヴァレーのベンチャー企業であるリッジライン社(Ridgeline)と提携し、自らを「ミッション・ドリブン」であると述べている。つまり、軍との連携を避ける一部のハイテク企業と異なり、リッジライン社は軍事関連製品製造を求めていると説明している。コーエンもイングリスもリッジライン社のウェブサイトに登場し、そのパートナーシップを通じて、ブリンケンはこのヴェンチャーグループの多くの投資先企業に投資している。無名の新興企業は、奇抜な名前(アゴロ、ドゥードル、ウォーラローなど)だが、ドローン、人工知能、ロボットなどの先端技術を開発している。ウエストエグゼク社の出身者たちは、新興技術に深く関わっているため、政府が承認する契約に影響を与える政策立案の役割を担うことになり、利益相反が生じる可能性がある。

政権で最も注目される人物の一人もウエストエグゼク社で働いていた。現在ホワイトハウス報道官を務めるジェン・サキは、ウエストエグゼク社の上級アドヴァイザーとして、イスラエルの顔認識ソフトウェア会社エニーヴィジョンの危機管理コミュニケーションや、非営利団体スピリット・オブ・アメリカのアドヴァイザーを務めた経験がある。

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(写真に取り上げなかった人々)国内政策問題担当大統領補佐官の補佐官エリン・ペルトン、国務長官予定管理担当部長サラ・マク―ル、国防次官補(承認待機中)セレステ・ワーランダー、バイデン=ハリス政権移行チーム顧問アンドレア・ケンドール=テイラー、クリスティーナ・キリングスワース、ジェイ・シャンボー、プニート・タルワー、米国サイバースペース・ソラリウム委員会副部長ジョン・コステロ、人工知能に関する国家安全保障委員会副委員長ロバート・O・ワーク。

各企業が新型コロナウイルス感染拡大の大規模な課題に直面する中、リサ・モナコはブリンケンによる顧客への助言に参加した。モナコはウエストエグゼク社のアドヴァイザーとして、ボーイング社やソフトバンク社に助言を行った。現在、モナコは米国司法副長官を務めている。マット・オルセンは、ウーバーのUberの幹部として数百万ドルを稼ぐ前、早くからウエストエグゼク社の部長を務めていた。バイデン大統領はオルセンを司法次官補(国家安全保障部門担当)に指名した。

イーライ・ラトナーは国防次官補(インド太平洋安全保障問題担当)として中国政策を策定している。政府倫理局の報告書によると、ウエストエグゼク社で、ラトナーは「支払請求可能な時間は、顧客を特定しない背景白書のための仕事をしており、ほとんどの収入はウエストエグゼク社からの支払いだった」ということだ。ラトナーは、ウエストエグゼク社では1万1450ドルの収入しかなかったが、シンクタンクであるセンター・フォ・ア・ニュー・アメリカン・セキュリティ(Center for a New American SecurityCNAS)で40万ドル以上を稼いでいた。

ウエストエグゼク社のシニアアソシエイトであったガブリエル・チェフィッツは国防総省の政策担当次官特別補佐官として入省した。バイデンは2020年6月、ウエストエグゼク社の上級アドヴァイザーだったセレステ・ワーランダーを国防次官補(国際安全保障問題担当)に指名した。

ウエストエグゼク社のコンサルタントは、人脈も血筋も豊富なので、複数の仕事、役職、肩書きを兼任していることが多い。そのため、ウエストエグゼク社の元上級アドヴァイザーであるエリザベス・ローゼンバーグのような人物が事前の紹介なしに財務省の高官に就任できるのだ。2020年5月末、バイデンはローゼンバーグを財務次官補(テロ組織資金捜査担当)に指名した。リンクドインのプロフィールによると、ローゼンバーグは「金融の透明性を促進する」ための連邦政府のイニシアチヴを管理してきたという。ホワイトハウスが指名を公表した経歴書には、ウエストエグゼク社での役割は抜け落ちていた。

米国国際開発庁(U.S. Agency for International DevelopmentUSAID)の高官たちのオフィスもまたウエストエグゼク社でコンサルタントを務めいた人物たちであふれている。コリン・トーマス・ジェンセンは「サハラ以南のアフリカにおけるデューデリジェンス(due diligence、訳者註:企業売種の前の調査活動)と政治リスクの回避についてウエストエグゼク社と同社の顧客たちに助言」し、その顧客にはボーイング、ソフトバンク、そして訴訟への融資を専門とするベンチャーキャピタル会社デルタ・キャピタル・マネジメントが含まれていた。2022年4月、トーマス・ジェンセンは国家安全保障問題担当補佐官としてUSAIDに参加した。同じ月、ウエストエグゼク社のラテンアメリカ担当だったマイケル・カミレリは、サマンサ・パワーUSAID長官の上級顧問と、USAIDの中米北部三角地帯タスクフォース(訳者註:エルサルヴァドル、グアテマラ、ホンジュラス)担当の上級部長を務めることとなった。ウエストエグゼク社のコンサルタントとして、カミレリはブラックストーン、ソフトバンク、インテル創業者が創設した数十億ドル規模の非営利団体ゴードン&ベティ・ムーア財団、鉱物採掘企業のリオティントなどに助言していた。

この会社が作り出すのは対外政策だけではない。ホワイトハウスで国内政策の上級補佐官を務めるエリン・ペルトンは、ウエストエグゼク社に助言サーヴィスを提供した。また、商務省産業・分析担当次官補に指名されたグラント・ハリスは、ウエストエグゼク社とつながりがある。彼の個人的なコンサルティング会社であるコネクト・フロンティアは、発展途上諸国の市場で活動する企業や団体に助言を与えていた。そして、ハリス自身がウエストエグゼク社に採用されたのである。

バイデン政権内部の中堅クラスの人材もまたウエストエグゼク社に絡んでいる。バイデン=ハリスの政権移行チームは、ウエストエグゼク社のコンサルタント、アンドレア・ケンドール=テイラー、プニート・タルワー、ジェイ・シャンボー、クリスティーナ・キリングスワースの助言を受けた。さらに、ウエストエグゼク社のメンバーは影響力のある超党派の連邦委員会を監督している。ロバート・O・ワーク(人工知能国家安全保障委員会)、ジョン・コステロ(サイバースペース・ソラリウム委員会)などが超党派の連邦委員会を監督している。

ブリンケンは開業当初のパンフレットの中で次のように述べている。「ウエストエグゼク社のアドヴァイザーたちは、政府の最高レベルにおいて、国際的な危機が意思決定に及ぼす影響を予測し、ナビゲートしてきた。私たちは、世界中のビジネスリーダーに同党の洞察力と戦略を提供することが可能だ」。

ブリンケンが政権に復帰して半年が経った今でも、ウエストエグゼク社の共同創設者で経営パートナーのナイティン・チャッダの「リンクドイン」のプロフィールには、このパンフレットが掲載されている。これは、潜在的な顧客たちに対して、この会社ウエストエグゼク社が権力に永続的に接近していることを印象付けるものだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

※6月28日には、副島先生のウクライナ戦争に関する最新分析『プーチンを罠に嵌め、策略に陥れた英米ディープ・ステイトはウクライナ戦争を第3次世界大戦にする』が発売になります。


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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 アメリカの対外情報・諜報を担っているアヴリル・ヘインズ国家情報長官(Director of National Intelligence)とウィリアムズ・バーンズCIA長官(Director of  Central Intelligence Agency)がアメリカ連邦議会で証言を行った。彼らは、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、状況分析について語った。プーティンは、ウクライナ国内の予想外の抵抗と西側諸国による経済制裁のレヴェルについて誤算してしまう、怒り狂っていると分析している。そして、事態をエスカレートさせる可能性が高いとも述べている。
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バーンズCIA長官(左)とヘインズ国家情報長官
 アメリカの情報・諜報部門の最高責任者を務めているアヴリル・ヘインズ、海外情報・超部門を担うCIA(中央情報局)の責任者を務めるウィリアムズ・バーンズについては、拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』で取り上げている。ヘインズはアメリカの「スパイマスター(スパイの親玉)」と呼ばれている。バーンズは外交官として国務省勤務が長い人物だ。バーンズは駐露米国大使を務め、ロシア語が堪能だ。バーンズは対ロシア諜報・情報の最高責任者ということになる。

 アメリカの情報・諜報機関の総力を注いでも、プーティンの頭の中を知ることは至難の業のようだ。プーティンは単純な損得勘定で動く人物ではない。そのために、西洋的な価値観から見れば、非合理な行動を取っているということになる。だから、最終的には、「プーティンは錯乱している、狂っている」と結論づける。ここで重要なことは、合理的な分析だけではなく、文化や歴史、地理的な状況も含めた複合的な分析が必要となる。

(貼り付けはじめ)

怒りが募ったプーティンがウクライナで「倍返し」すると情報長官が議員に警告(Angry Putin set to 'double down' in Ukraine, intel chiefs warn lawmakers

レベッカ・ベイッチ、イネス・カグバレ筆

2022年3月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/597406-angry-putin-set-to-double-down-in-ukraine-intel-chiefs-tell-lawmakers

情報諜報部門の専門家たちは、ロシア経済への影響や長期的な成功の見込みがないにもかかわらず、ウクライナへの侵攻を「倍返し(double down)」しようとするウラジミール・プーティン大統領の決意がますます堅固になっているとの見方を示した。

ウィリアム・バーンズCIA長官は連邦下院情報諜報委員会で毎年実施される世界規模の脅威に関するコウ長官に出席し、「プーティンは今、怒りと不満(angry and frustrated)に満ちていると思う。プーティンは、民間人の犠牲を顧みず、ウクライナ軍を粉砕しようとする可能性が高い」と語った。

バーンズは次のように述べた。「しかし、プーティンが直面している課題、そしてこれは、彼の計画に関して、私たちが何カ月も分析にかかっている最大の疑問が存在する。プーティンは、ウクライナ人の激しい抵抗が続く中で、持続可能な政治的最終目標(sustainable political end game)を保持ししていない」。

この公聴会はアメリカが直面する膨大な数の脅威を検証するために毎年開催されている。今回の公聴会では、ロシアのウクライナへの介入が起きたことで、情報諜報機関に批判的な委員が多い委員会が一致して、出席した政府高官5名を賞賛する場となった。

エリック・スウォルウェル議員(カリフォルニア州選出、共和党)は、「あなた方は国際社会において、NATOだけでなく他の重要な国々をまとめる接着剤となった」と述べ、ロシアを罰するために国々は結集することができたと述べた。

情報諜報当局は、ロシアがウクライナへの破壊的な攻撃を続ける中で、プーティンが犯した数々の誤算について証言した。

バーンズ長官は「プーティンは長年、不満と野心が混合してそれが煮詰まり爆発しやすくなっている。プーティンの側近たちが彼の判断に疑問や異議を唱えること(question or challenge his judgement)が出世につながらない(not proven career enhancing)システムを作り上げたために委縮している」と述べた。

バーンズは「つまり彼は、ロシアがこの冬にウクライナに対して武力を行使するのに有利な状況に直面していると信じるに足る、いくつかの仮定に基づいて、戦争に突入したのだと考えている」と語った。

バーンズ長官は「彼は全ての側面で間違っていることが証明されている」と述べた。

アヴリル・ヘインズ国家情報長官(Director of National Intelligence)は、プーティンは制裁(sanctions)を予期していたが、アメリカや他の国、民間企業が「西側の行動を緩和するプーティンの能力を損なう」レヴェルについては予期していなかったと述べた。

ヘインズ長官は次のように述べた。「プーティンは欧米が自分に適切な敬意を払わないことに憤りを感じ、これを負けるわけにはいかない戦争と認識している。しかし、プーティンが負担している大きなコストを考えると、勝利として受け入れる可能性のあるものは時間の経過とともに変化するかもしれない、と評価している」。

ヘインズ長官は「とはいえ、プーィンはこのような挫折があっても止まることはなく、むしろエスカレートし、実質的に倍加する可能性があると私たちは分析している」と述べた。

アメリカ政府高官たちは、ロシアは戦争が始まって約2週間で、既に2000人から4000人の死傷者を出していると語った。

モスクワはまた、何十もの学校や病院を爆撃しており、ある当局者は戦争犯罪の基準に合致する可能性があると述べた。

スコット・ベリエ国防情報局長官は「ソーシャル・メディアで見たこと以外に、直接的な証拠があるかは分からない。確かに、ウクライナ軍とは関係のない学校や施設を空爆していること可能性もあるし、もしまだ攻撃していないのであれば、その線まで踏み込んでくるだろう」と述べた。

バーンズ長官は、ロシアに対するウクライナ全体の抵抗の強さの一因は、プーティン自身のウクライナにおける過去の攻撃的な行動にあると指摘した。

バーンズ長官は「多くの点で、2014年にまで遡るクリミアに対するプーティンの侵略によって、現在彼が直面しているウクライナの民族性と主権の強い感覚を作り出した」と述べた。

バーンズ長官は続けて「しかし、ロシア国営メディアによる報道と独立系情報源の検閲が進んでいることから、ロシア国民は侵略で生じた困難と甚大な損失について知らないままであろう」と述べた。

バーンズ長官は、ウクライナが化学兵器を使用したというロシアの虚偽の主張を挙げ、「彼らは情報操作を行い(spin)、誤った物語を作り出そうとし続けるだろう」と指摘した。

バーンズ長官は更に「特に、彼らがより必死になればなるほど、将来的に容易に捏造や虚構を作り出そうとする可能性があることを物語っている」と付け加えた。

バーンズ長官はまた、ロシアが国内で1万3000から1万4000名の反戦デモ参加者を逮捕したことにも触れ、「プーティンが個人的に行った選択の結果を人々が受け入れるには、時間がかかると思う」と述べた。

アメリカ政府の情報諜報当局者たちはまた、ロシアのサイバー攻撃の可能性に備えるアメリカの準備態勢についての質問にも直面した。

マークウェイン・マリン議員(オクラホマ州選出、共和党)は、クリストファー・レイFBI長官に、ロシアのサイバー攻撃への対策として、アメリカは「リスク回避(risk averse)」なのか「積極的(proactive)」なのかと質問した。

レイ長官は、FBIは両方のアプローチを取っていると答えたが、マリン議員はすぐに遮り、両方は無理だと述べた。

マリン議員は「リスク回避と積極性を同時に実現することは不可能だ。それは、リスク回避をすると、エスカレートするのを恐れて何もできなくなるからだ」と述べた。

マリン議員は次のように述べた。「脅威はすでに私たちに迫っているのだから、私たちは非常に積極的に、“いいか、我々にはツールがある、もし私たちを追ってきたら殴り返すぞ”というアプローチに変えるべきだろう。私たちはその領域にいるのではないか?」。

レイ長官は「FBIがサイバーなど様々な手段で敵対者を追い詰める努力をしてきた」と述べた。

連邦議員たちは、アメリカ国内に巨額の資産を持つロシアの富裕層をアメリカが追いかけることに焦りを感じているようだ。

ショーン・マロニー連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は「ヨットは押収するのか? それはいいことだと思う。彼らの手から奪うものが他にも出てくるだろうか?」と質問した。

レイ長官は「合法的に押収できるものなら、何でもやるつもりだ」と答えた。

公聴会に合わせて発表された世界的な脅威に関する報告書では、気候変動、移民、世界的なテロなど、アメリカが直面する幅広い脅威に触れている。

また、中国、イラン、北朝鮮など、アメリカにとって脅威となる他の国々についてもより深く掘り下げている。

多くの人々がロシアのサイバー攻撃の可能性を懸念しているが、報告書は、石油・ガス産業などアメリカの重要なインフラを破壊する可能性のあるものも含め、中国が「米国政府および民間部門のネットワークに対して最も幅広く、最も活発で、持続的なサイバースパイ活動の脅威を与えている」と警告している。

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アメリカ政府情報諜報担当高官たち:ロシアは挫折しても攻撃をエスカレートさせる可能性が高い(Russia likely to escalate attacks despite setbacks: US intelligence officials

レベッカ・ベイッチ筆

2022年3月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/597314-russia-likely-to-escalate-attacks-despite-setbacks-us-intelligence

アメリカの情報諜報部門専門家たちは火曜日、ロシアはウクライナでの軍事行動をエスカレートさせる可能性が高いが、プーティン大統領が隣国ウクライナに対する長期的な影響力を維持できる可能性は依然として低いと語った。

アヴリル・ヘインズ国家情報長官、世界の数多くの危機に関して毎年実施されている公聴会に出席し連邦下院議員たちに対して次のように述べた。「プーティンは、西側諸国が自分に適切な敬意を払わないことに憤りを感じ、今回の戦争を負ける訳にはいかない戦争だと受け止めている。しかし、彼が負担している大きなコストを考えると、勝利として受け入れることができるかもしれない内容は変化する可能性もある」。

今回の公聴会では、ロシア政府からの偽情報(disinformation)に対抗する方法として、プーティンのウクライナに対する考えについて集めた情報をオープンに共有するというアメリカ政府の慣行が継続された。

ヘインズ長官は次のように述べた。「プーティンはおそらく、侵攻のコストを考慮しながら、現在の制裁措置の多くを予期していたと思われるが、アメリカとその同盟諸国やパートナー諸国が、欧米の行動を緩和するために彼の能力を損なうような措置を取る程度も予想していなかったと判断している」。ヘインズ長官は更に、「アメリカとヨーロッパの民間部門からの強い反応も含めて、プーティンは、アメリカと同盟諸国やパートナー諸国がここまでの

ヘインズ長官は「それでも、私たちのアナリストたちは、プーティンがそのような挫折によって抑止される可能性は低く、代わりにエスカレートし、ウクライナに対する攻撃を倍増する可能性があると評価している」と述べた。

アメリカ政府関係者によると、ロシアは侵攻から2週間が経過した時点で、既に2000人から4000人の死傷者を出していると推定している。

ビル・バーンズCIA長官は公聴会で「プーティンは何年もの間、私的にも公的にもウクライナを本当の国だとは思っていないとコメントしている。それは大間違いだ。本物の国は反撃するものであり、この12日間、ウクライナ人は極めて英雄的に行動した」と語った。

バーンズ長官は続けて「プーティンは今、怒りと苛立ちを感じているだろう。彼は、民間人の犠牲を顧みず、ウクライナ軍を粉砕しようとする可能性がある」と語った。

バーンズ長官は「しかし、プーティンが直面している課題、これは彼の計画に関して私たちが数カ月も時間をかけている分析における最大の疑問だ。プーティンは、ウクライナ人の激しい抵抗が続く中で、持続可能な政治的最終目標を持っていないのだ」と発言した。

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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古村治彦です。

昨日付の産経新聞に興味深い記事が掲載されていたのでご紹介する。最後の段は意味が分かりづらいが、内容は「(中露が)大規模なサイバー攻撃を仕掛けてくれば戦争になるだろうとバイデンが発言した」というものだ。拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』(秀和システム)の内容に沿った動きだ。

バイデンが国家情報長官室(ODNI)において職員たち向けに演説したという点も重要だ。国家情報長官(Director of National Intelligence)はスパイマスター、スパイの元締めであり、CIAもその指揮を受けねばならない。現在の長官はアヴリル・ヘインズである。アヴリル・ヘインズについては本ブログ、また拙著で詳しく紹介しているので是非読んでいただきたい。
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悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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バイデン氏、次の戦争「サイバー攻撃が引き金に」

7/28() 14:33配信

産経新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/a71a565e0c5298c4c9afe37babac0f456a27dbc9

【ワシントン=黒瀬悦成】バイデン米大統領は27日、米情報機関を統括する国家情報長官室(ODNI)で職員向けに演説し、「大国間による撃ち合いの戦争が起きるとすれば、(米国への)大規模サイバー攻撃によって引き起こされる可能性がある」と述べ、ロシアと中国によるサイバー攻撃の脅威への警戒を呼びかけた。

バイデン氏は、甚大な結果を呼ぶサイバー攻撃が実施される恐れは「飛躍的に高まっている」と指摘。また、ODNIが27日、バイデン氏向けに作成した機密文書「大統領日報」(PDB)で、ロシアが来年の米中間選挙に向けて早くも偽情報工作を展開していると指摘していたことを明かし、「米国の主権の明白な侵害だ」と強調した。

バイデン氏はさらに、中露などによる偽情報工作は、人々が決断を下す際に必要となる正確な情報へのアクセスをますます困難にしており、「対抗していく必要がある」と訴えた。

バイデン氏は6月にジュネーブでロシアのプーチン大統領と会談した際、ロシア政府を後ろ盾に活動するハッカー集団による攻撃を認めないとする米国内の重要インフラのリストを示し、自国内で暗躍するハッカー集団の締め付けに向けた対応を求めた。

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