古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

タグ:イスラエル

 古村治彦です。

 

 先日、国連安保理でイスラエルの、ヨルダン川西岸地区、ガザ地区、東エルサレム地区における入植地拡大に対する非難決議が採択されました。この種のイスラエル非難決議に対しては、アメリカが拒否権を発動して採択にまで至らないのが通常なのですが、今回は、アメリカは賛成、反対を表明しない棄権を選択し、賛成14、棄権1で採択されました。

 

 アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国は国連安全保障理事会(U.N. Security Council)の常任理事国(permanent members)で、決議案などを可決できないようにする拒否権(veto)を持っています。残り10カ国は非常任理事国(non-permanent members)で任期付の持ち回りで、私の記憶では、日本は最多の回数と年数理事を務めていると思います。

 

 今回、オバマ政権のサマンサ・パワー米国連大使(サマンサ-・パワーについては、拙著『アメリカ政治の秘密』をご参照ください)は拒否権を発動せず、ホワイトハウスもそれを支持したことで、オバマ政権になって初めて、イスラエル非難決議が採択されました。イスラエルはこれに対して非難を行っていますが、オバマ大統領とネタニヤフ首相との間が冷え切っているために、イスラエル側は、ドナルド・トランプ次期大統領の政権移行ティームに働きかけて、オバマ政権に拒否権発動をさせようとしたということです。

 

 トランプ自身もツイッターを使って、拒否権発動を求めましたが、オバマ政権はこれを拒絶することを意味する棄権を選択しました。トランプは自分が大統領になったら国連自体も変えてやるとツイートしています。

 

 トランプの女婿ジャレッド・クシュナーはユダヤ系アメリカ人で、クシュナーと結婚したトランプの娘イヴァンカはユダヤ教に改宗しています。トランプはイスラエル大使として、自身の弁護士も務めたデイヴィッド・フリードマンを指名し、現在、テルアヴィヴにある駐イスラエル米国大使館をエルサレムに移転させると述べています。

 

 イスラエルとすれば、任期が残り1カ月を切ったオバマ政権に最後に大きな置き土産を残された形になりますが、もうすでにトランプ大統領就任、始動に向けて、政権移行ティームに接触して、トランプを通じてアメリカ政治を動かそうとしています。『アトランティック』誌のある記事では、「2人の大統領がいる」と書いていました。

 

 トランプ政権は、対イスラエル政策ではオバマ政権とは全く別の方向性を取ることになりそうです。これが、中東和平を遠のかせ、イスラエルとパレスチナの二国共存という解決を遠のかせてしまうことになるでしょう。しかし、歴代の各政権が二国共存を進めることはできず、イスラエルとの関係が冷え切ったオバマ政権は全く動かすことすらできませんでした。そう考えると別のアプローチから何か新しいものが生まれることを期待するべきでしょう。

 

 

(貼り付けはじめ)

 

国連安保理でのイスラエル入植非難の決議採決でアメリカが棄権(U.S. Abstains From U.N. Vote Condemning Israeli Settlements

 

コラム・リンチ、ロビー・グラマー、エミリー・タムキン

2016年12月23日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2016/12/23/u-s-abstains-from-u-n-vote-condemning-israeli-settlements/

 

金曜日、国連安保理はヨルダン川西岸地区、ガザ地区、東エルサレム地区におけるイスラエルの入植活動を不法と宣言し、拡大を停止するように求める決議を採択したが、オバマ政権はそれに対して傍観(黙認)する姿勢を取った。これは、ドナルド・トランプ次期大統領が決議案に反対票を投じるようにと求めたツイッターを通じたアピールに対するオバマ政権からの手厳しい拒絶となった。

 

決議案の採決は賛成票が14票で、棄権したのはアメリカだけであった。この採決の前、アメリカの次期大統領が、現職の大統領を揺さぶって決定を変化させようと外交上の争いに直接関わろうとした。これはアメリカの外交にとって異例の日となった。トランプは採決の後に国連とオバマ政権を激しく非難した。トランプは金曜日に行われた採決の後、ツイッター上で、「2017年1月20日以降、全く別のことが起きるだろう。これは国連に対しても同様だ」と発言した。

 

今回の棄権は、オバマ政権が阻止に動かず、安保理がイスラエルを非難するに任せた初めてのケースとなった。採決の後にサマンサ・パワー米国連大使は、棄権の正当性を主張し、レーガン政権まで遡り歴代の共和党、民主党の政権の諸政策と今回の棄権を同一のラインにあると主張した。

 

パワーは採決の後、安保理の場で次のように発言した。「1967年にイスラエルが占領した領域におけるイスラエルの入植活動はイスラエルの安全保障を損なう行為であり、高尚による二国共存という解決の可能性を著しく低下させ、平和と安全の見込みを失わせるものだ」。

 

オバマ大統領のホワイトハウスは、入植によって二国共存という解決の可能性が低下する危険があると強調した。戦略的コミュニケーション担当国家安全保障担当大統領副補佐官ベン・ローズは、記者たちとの電話による質疑応答の中で、「イスラエルによる入植活動が促進されることで、二国共存という解決の可能性は危険に晒される。良心に基づいた判断に従い、決議案に拒否権を発動できなかった」と発言した。

 

決議案はパレスチナ国家が起草し、エジプトによって「提案」され、共同提案者としてマレーシア、ニュージーランド、セネガル、ヴェネズエラが名前を連ねた。決議案では、イスラエルに対して、「パレスチナの土地における全ての入植を即座にかつ完全に停止する」ことを求めていた。そして、「入植行為は二国共存による和平の可能性を著しく損なう」とも述べている。決議は更に「東エルサレムを含むイスラエル入植地の建設は、法的な正当性を持たず、国際法に対する紛れもない違反である」とも述べている。

 

決議はイスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相に対する厳しい一撃となった。ネタニヤフは安保理内の唯一のアラブ世界からのメンバーであるエジプトに大きな圧力をかけて決議案採決の日程を木曜日にまで遅らせようとした。そして、ネタニヤフの側近がトランプの政権移行ティームに接触し、オバマ政権に拒否権発動をさせるように求めた。

 

イスラエルの国連大使ダニー・ダノンは「今日は安保理にとって暗黒の日となった。採決が行われた決議は偽善の最たるものだ」と発言した。ダノンは更に、決議案に賛成することは、安保理が進歩と故障に反対票を投じすることだとも主張した。また、今回の決議は、「国連の反イスラエル決議の長くそして恥ずべきリストに新たな1つが加えられたことになる」とも主張した。

 

ダノンは次のように発言した。「あなた方はユダヤ人がイスラエルの土地に、そして私たちの歴史的な首都エルサレムに故郷を建設することを非難する投票を行った。エルサレムは、ユダヤ人の心であり、魂なのだ。あなた方はパリにおいてフランス人が建設を行うことを禁止するのか?モスクワでロシア人が建設することを禁止するのか?ワシントンでアメリカ人が建設することも?」ダノンは安保理においてイスラエルはこれからも民主国家であり、ユダヤ人国家であり続けると断言した。

 

パレスチナ国家派遣国連常任オヴザーバーであるリヤド・マンスールは、今回のことが、パレスチナ・イスラエル、アラブ・イスラエルの和平に向けたプロセスのスタートとなることを希望すると述べた。マンスールは安保理に出席し、「法律と歴史の正しい側面によって、事態が進行することを望む」と述べた。

 

トランプはアメリカ政府に対して決議案に拒否権を発動するように求めた。これは、彼が来年1月に大統領に就任してから対イスラエル政策を劇的に変化させるという公約の一環である。トランプはアメリカ大使館をテルアヴィヴからエルサレムに移転すると述べ、イスラエル大使に、批判の多い強硬派デイヴィッド・フリードマンを指名した。

 

トランプは木曜日、「アメリカがこれまで長年にわたり主張してきたとおり、イスラエルとパレスチナとの間の和平は両者の直接交渉によってのみもたらされることになるだろう。国連による条件の強制では決して達成されない」と発言した。

 

2011年2月、オバマ政権は国連安保理で、イスラエルの入植政策が中東地域の和平努力を不法に阻害するものであるいう非難決議の採択を防ぐために初めて拒否権を発動した。当時の米国連大使スーザン・ライスは、アメリカの拒否権発動は、「正当な行為」ではないと考えられているイスラエルの入植を擁護するものと認識されるべきではないと発言した。 しかし同時に、ライスは、安保理理事国15のうち14が支持した決議案について、「両者の立場を硬化」させ、パレスチナ国家建国の可能性を損なう危険を伴うとも発言した。

 

それから5年が経過して、任期を終えようとしているオバマ政権は計算を明確に変えている。もしくは、イスラエルとの冷え切った関係のためにこれまでの態度を変えることになったとも言えるかもしれない。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)





アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22



 

 民間市場からスパイウェアを購入した政府はパナマ政府だけではない。イギリスを拠点とする監視団体プライヴァシー・インターナショナルが発表した2015年の報告書によると、アメリカが所有するイスラエル企業ヴェリント(Verint)は、コロンビアの治安当局に先進的な調査システムを供給した、ということだ。報告書には、「2005年以降、ヴェリントは、コロンビアの大量盗聴能力の発展において中心的な役割を果たした」と書かれている。2015年2月、コロンビアの元治安責任者は、2002年から2010年にかけてのアルヴァロ・ウリベ大統領の在任時に違法な盗聴に関わったとして訴追された。

 

 ヴェリントとイスラエルの技術企業ナイス・システムズは、カザフスタンとウズベキスタンに対してスパイ手段のハードウェアとソフトウェアを売却した、とプライヴァシー・インターナショナルと報告している。これによって両国の抑圧的な政府は、電話線、携帯電話、インターネットに対してスパイ活動が行えるようになり、政治的反対者たちに対しての弾圧が行えるようになった。報告書の共同執筆者エディン・オマノヴィッチは、2014年に『ヴァイス』誌のインタビューで次のように語った。「権威主義的諸国の野蛮で冷酷な秘密警察は、全ての国民の私生活を対象とでいる監視能力を手に入れることで、力を増している。スパイ手段産業が規制のないままに無責任な活動を続けているために、これは避けようのない悪夢のシナリオなのだ」。

 

 プライヴァシー・インターナショナルは、ヴェリントがカリフォルニアを拠点とする企業ネトロノーム(Netronome)に接触した、と指摘した。ヴェリントはネトロノームが持っている、フェイスブック、Gmail、その他のウェブサイトの暗号化を無効化できる技術をウズベキスタン政府に提供しようとした。この試みが成功したかどうかははっきりしない。この報告書が出された後、ネトロノームは声明を発表した。その中で、「我が社は人権や個人のプライヴァシーに対するいかなる侵害行為にも加担していない」と述べ、事業を展開している各国の法律を遵守していると発表した。

 

* * *

 

しかし、ここに問題がある。監視手段の大衆化と私有化は、脆弱な輸出管理と侵入的なスパイ手段に関しての自発的な国際合意の結果である。スパイシステムを規制する唯一のメカニズムは、ヴァッセナール合意である。この合意によって参加国は、通常兵器と軍民共用の道具と技術の移動に関しての情報を定期的に交換できるようになった。しかし、アメリカを含む締約国41か国を法的に拘束するものではないし、イスラエルはこの合意に参加していない。

 

 ワシントンでは、クリス・スミス連邦下院議員(ニュージャージ州選出、共和党選出)は、2013年に「アメリカ企業が、人々を弾圧する外国政府がインターネットを検閲と監視の道具に変えてしまうようなことに協力することを防ぐ」ことを意図した法案を提出した。この法案は小委員会で否決されてしまった。スパイ手段の規制に関して共和党全体の関心は低いままであるがこれは驚くに値しない。

 

 昔は、技術は市民の側に立っていた。アナログコミュニケーションが主流だった時代、大量監視は労働力投入を必要とするものだった。多くの人々と多くの電話線が対象となって捌ききれなかった。盗聴や監視をするための人員はあまりにも少なかった。しかしながら今日、進んだデジタル技術は抑圧者の側に立っている。 時計の針を基に戻すことはできない。しかし、スパイ手段に関しての厳格な規制を実施するのに遅すぎることはない。実際に実施している例が2つある。2012年、アメリカとEUは、シリアとイランに対してのスパイ手段の売却、供給、輸送、輸出を禁止した。

 

 より多くの国々が大量監視手段システムを大量破壊兵器の一つだということに合意しない限り、ジョージ・オーウェルの『1984年』の内容が現実のものとなるだろう。「あなた方は、あなた方が起こす全ての音が聞かれ、暗闇を除き、全ての動きを精査される習慣がやがて本能とまで昇華する中で生きてきた」。

 

(終わり)



野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 古村治彦です。

 

 今回はスパイ手段装置を取り扱う企業についての記事をご紹介します。

 

 記事の著者バムフォードは、人権や自由を標榜するアメリカの企業がスパイ手段を抑圧的な各国政府に売りつけている矛盾を指摘しています。この矛盾は、アメリカ全体が抱えている矛盾そのものです。

 

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スパイ産業経済(The Espionage Economy

―アメリカの企業は独裁者たちにスパイウェアを売りつけて巨額の利益を上げている。

 

ジェイムズ・バムフォード筆

2016年1月22日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2016/01/22/the-espionage-economy/

 

 リカルド・マルティネリはフロリダのビスケイ湾にある最高級高層マンションであるジ・アトランティスのコンドミニアムに住んでいる。ビスケイ湾はテレビドラマの『マイアミ・ヴァイス』で有名になった。がっちりとした体躯で白髪の富豪マルティネリは63歳で、数年前には南米で最も人気のある指導者であった。2009年から2014年にかけて、マルティネリはパナマの大統領であった。しかし、彼は現在贅沢な生活をしているが、司直の手から逃れて逃亡者なのである。

 

 パナマの最高裁判所がマルティネリ政権に対して汚職に関する捜査を行うと発表する数時間前にマルティネリは2015年1月28日にパナマから逃亡した。マルティネリに対する様々な容疑の中に、政治的なスパイ活動というものがあった。これで有罪になると21年の懲役が宣告される可能性があった。マルティネリは違法に150名以上の人々の電話を盗聴し、Eメールを盗み読みしたという容疑が掛けられた。彼が対象にしたのは、パナマの野党の指導者、ジャーナリスト、裁判官、ビジネス上のライヴァル、閣僚、アメリカ大使館の職員、ローマ教会の大司教、マルティネルの愛人と言われた女性であった。

 

 マルティネリが関与したとされる違法な活動は、軍隊が使うレヴェルのスパイウェアを民間企業が取り扱うことになって可能になった。2011年、『ウォールストリート・ジャーナル』紙は監視手段の小売市場はここ10年で全く存在しない状態から年間50億ドルの規模で拡大し続けていると報じた。監視手段取引市場の動きは全く規制されてこなかった。そして、2013年にアメリカ国家安全保障局の盗聴スキャンダルが発覚した。それでもアメリカの連邦議員や政策立案者は外国政府に対して監視手段を売りつけるアメリカ企業の動きに対して注意を払っていない。

 

 パナマのスキャンダルは、スパイ手段の輸出ビジネスがどれだけ危険な存在になっているかを示す具体例となっている。規制をかけなければ、スパイ手段産業がもたらす危険性は高まるばかりである。より多くの国々が汚職を続け、人権を侵害するための道具を手に入れることになる。

 

* * *

 

 パナマの検察当局はマルティネリに対しての訴追を準備しているが、マルティネリの弁護士ロゲリオ・クルズはこの訴追を「カフカの文学作品の内容のようだ」と語った。クルーズは、彼の顧客マルティネリはアメリカに亡命することを求めているが、彼に掛けられている容疑に関して全て無罪だと主張している。しかしながら、ウィキリークスが暴露した2009年の外交公電によると、マルティネリは大統領に就任直後、アメリカ政府に対してアメリカ麻薬取締局が使っている盗聴設備を送ってくれるように依頼した。彼は盗聴設備を国家安全保障に対する脅威に使う意図があると伝えた。当時の駐パナマ米国大使バーバラ・スティーヴンソンが出した公電には、「マルティネリは盗聴をやりたいと躍起になっている」と書かれている。スティーヴンソンは、マルティネリの依頼を拒絶したと書いている。その理由として、スティーヴンソンは「マルティネリは正当な安全保障上の対象と政治的な敵対者との区別がついていない」ということを挙げている。外交公電は、「マルティネリは、他の政府や民間部門に対して盗聴能力を手に入れることで敵を服従させたいと考えているようだ」と結論付けている。

 

 この情報は正しいようだ。パナマの地元紙は、マルティネリが電話を盗聴し、Eメールを盗み読みするための手段に少なくとも1340万ドルを支払ったと報じた。『パンナム・ポスト』紙は、貧困者向けの食糧プログラム予算の一部を流用してスパイ手段購入に当てたと報道している。マルティネリが使った会社の一つがNSOグループテクノロジーズ(NSO Group Technologies)だ。NSOグループテクノロジーズは、アメリカ企業フランシスコ・パートナーズ(Francisco Patners)が所有するイスラエルの情報企業である。NSOのプロモーション資料によると、システムは「ペガサスと名付けられており、強力で個性的な監視手段を提供する。これによって、遠隔操作と捕捉不能の監視が可能であり、遠隔操作と追跡不可能な手段によって対象の装置からデータを全て抽出できる」ということである。イタリアの有害ソフト販売業者ハッキング・ティームの内部メモがウィキリークスによって昨年の夏に暴露された。このメモによると、このシステムを使えば、対象の電話に対して、「ショートメッセージを送り、それを使って電話を捜査することができる」ということであった。この機能が使用可能となるには、電話の所有者がショートメッセージを読まなければならない。

 

(続く)



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 2015年3月17日にイスラエルで総選挙が行われ、劣勢が伝えられていたベンヤミン・ネタニヤフ首相率いるリクードが第一党となりました。これでネタニヤフ首相は続投となります。

 

 2014年12月の日本の総選挙でも、自民党が300議席に迫る勢いで勝利を収めましたが、この時の衝撃と似ています。

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選挙前のクネセトの議席数 


knesset2016electionresults002

選挙後のクネセトの議席数
 

 日本では北朝鮮、イスラエルではイラン(もしくはイスラム国)が「攻めてくる」という恐怖感を煽って、好戦的な政党と政治家が選挙で勝利を収めています。「人々が右傾化している」というよりも、人々が脅されていると言えるのでしょう。

 

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金輪際ネタニヤフを信頼するな(Never Trust Netanyahu

―イスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフの最近の政治的な行動が示しているのは、彼が最悪の種類の機会主義者であるということだ。アメリカは彼がこれ以上最悪の行動を取ることを許してはならない。

 

リサ・ゴールドマン筆

2015年3月19日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2015/03/19/never-trust-netanyahu-israel-election-obama/

 

 ここ数週間、イスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフは権力の座に留まるためなら何でもやる人間であることを示し続けてきた。彼が権力に固執することで、イスラエルの最大の同盟国であるアメリカとの関係を弱めることになっても、彼は構わずに権力を握り続けることに拘る。人種差別的な、昔アメリカに存在したジム・クロウ法のような差別的な選挙法を推し進めることになっても、彼は何も気にせずにそれを推し進めるだろう。彼は判断力があって知識もある人々に向かって嘘をつき続けることになっても、嘘をつき続けることだろう。ネタニヤフの人格を理解する上で重要なことは、彼が自己を満足させるために2つのことを気にかけていることを理解することだ。1つは権力の座に留まることであり、もう1つはゴラン高原とパレスチナ占領地域に対するイスラエルの支配を継続することだ。

 

 2015年3月17日、ネタニヤフは総選挙で勝利した。イスラエル国内のリベラル派と外国の専門家たちは選挙結果に衝撃を受けた。選挙戦を通じて、彼らは一般有権者が安全保障問題やネタニヤフが3月3日に行ったアメリカ議会演説よりも、経済問題により大きな関心を持っていると考えていた。更には、ネタニヤフの3月3日のアメリカ連邦議会での演説は賛否両論を巻き起こしたが、これによってネタニヤフは支持率を引き上げることに失敗し、アメリカとの関係を傷つけたことで、反対票が投じられることになると考えていた。ネタニヤフが「人目を引くような行動」をいくらやっても挽回は無理だろうと私の同僚の一人は語っていた。選挙日直前の最終の世論調査では、ネタニヤフ率いるリクードは20議席を獲得し、主なライヴァルであるザイオニスト・ユニオンは24議席を獲得すると見られていた。ネタニヤフは権力の座に長くい過ぎたために、有権者を理解できなくなっているのではないかと思われていた。

 

 実際には、ネタニヤフは誰よりも有権者を理解していたということになった。選挙直前、ネタニヤフは低俗な、人種差別的な大衆煽動ばかりを行ったのだ。彼は有権者の持つ恐怖感と部族(「リクード族」)への所属感を刺激した。彼らは、イギリス人が贔屓のサッカーチームに対するのと同じように、リクードに対して忠実である。

 

 イスラエルのインターネットのニュースサイトであるNRG(アメリカの大富豪シェルドン・アデルソンが所有している)とのインタビューで、ネタニヤフは、「自分の目の黒い内はパレスチナ国家の成立を許さない」と明確に述べた。フェイスブック、ツイッター、SMS,自動ヴォイスメールを通じて、有権者たちに次のように訴えた。「私は皆さんと左翼が率いる政府の間に立っています。左翼政府はエルサレムを分割し、1967年の段階の国境にまで撤退しようとするでしょう。テルアヴィヴとベン・グリオン空港を見下ろすヨルダン川西岸地区を開放することでそこにイスラム国が入り込んでくるでしょう」

 

 選挙日当日、ネタニヤフはフェイスブックに30秒間の酷い内容の動画を掲載した。その中で、彼は中東の地図を背にして立ち、予備役将兵に対して国家安全保障の緊急事態が起きているかのように訴えた。枯れは次のように述べた。「右派の政府は危機に瀕しています。アラブ人たちが町中の投票所に押し寄せています。左派のNGOがバスを使って彼らを投票所に運んでいるのです」。ネタニヤフは、軍隊の緊急時を示す用語である「ツアヴ8」という言葉を使いさえしたのだ。

 

 イスラエルの有名なジャーナリストであるハノク・ダウムがフェイスブックに挙げた文章を多くの人々がシェアした。そこには、超正統派とパレスチナ人の有権者の票を除くと、3人に1人がリクードに投票したことになると書かれていた。そして、クネセトの過半数の議席は、右派とナショナリズム勢力が占めているとも書かれていた。

 

 イスラエル以外の国々で衝撃が走った。しかし、実際にはイスラエルはもはや右派的な社会となり、人種差別的な言辞が普通に使われるようになっている。例えば、「アラブ風」という言葉は、低俗でけばけばしい意味で使われている。イスラエル国会クネセトの右派的な議員たちはここ数年、アラブ系の議員たちに対して、彼らが演説をしている際に、暴力をふるうようになっている。西洋諸国のリベラル派にとっては衝撃的な事例が数多く起きている。しかし、イスラエル国内では無視されている。クネセトの議員たちは、スーダンからの移民たちを「私たちの体に巣食う癌細胞」などと演説の中で言ってしまう始末だ。

 

 同様に、世界中のマスコミは、ネタニヤフのパレスチナ国家の樹立を拒絶発言に関して、ほとんど取り上げてこなかった。昨年7月、イスラエル国防軍が駐留しない限り、パレスチナ国家の樹立を容認しないとネタニヤフは演説の中で述べた。「イスラエル国防軍の駐留」は別の形での軍事占領である。彼の演説は世界中のマスコミが取り上げず、イスラエル国内のマスコミもほとんど報道しなかった。NRGとのインタビューでネタニヤフは、かなり率直な言葉遣いであった。ここがある種の転換点であった。3月3日のアメリカ連邦議会演説でネタニヤフはバラク・オバマ米大統領を大いに侮辱した。このインタビューはそれに続くものであった。

 

 ホワイトハウスは、2国共存を否認することでイスラエルは外交分野において厳しい状況に追い込まれると示唆した。数カ月前、ハアレツは漏えいしたとされるEUの公式文書をすっぱ抜いた。そこには、イスラエルがヨルダン川西岸地区から撤退すること、パレスチナ国家の樹立の交渉を公式に拒絶した場合には、イスラエルに特別な経済制裁を科すと書いてあった。ネタニヤフはやり過ぎだと世界が見ていることを示していた。

 

しかし、ネタニヤフは態度を豹変させた。総選挙の2日後の2015年3月19日(木)、ネタニヤフはMSNBCの記者に対して穏やかな態度で、2国共存の解決法を否認はしなかった。ネタニヤフは「現実が変化したのだ」と述べた。更には、パレスチナのマウムード・アッバス議長は、イスラエルをユダヤ国家として承認することを拒否し、彼はハマスとの間にイスラエルを破壊するための協定を結んだ、とも述べた。

 

 2つの発言は共に実質的には嘘である。2009年にアッバス議長に対してイスラエルをユダヤ国家として承認するという条件を押し付けて状況を変えたのはネタニヤフ自身である。それまでのパレスチナ側との交渉でこうした条件は持ち出されたことはなく、全く新しい条件であった。ハマスとPLOの間に存在すると言われている協定からすれば、この条件は受け入れがたいものであった。ネタニヤフはただ単に嘘をついたのだ。しかし、彼の発言はもっともらしいものである。ネタニヤフはアメリカのマスコミに対応し、簡単な質問に答える時にその準備をしっかりやっている。ネタニヤフが何年もイスラエルのマスコミからの取材を受けつけずに、アメリカのテレビや新聞の取材には積極的に応じてきたのは何の不思議もない。

 

問題は、アメリカがこれからもネタニヤフの行動を許容し続けるかどうかである。ネタニヤフは、ヘブライ語で「自分の目の黒い内はパレスチナ国家の樹立を許容することはない」と明確に言い切った。それから2日後、彼は穏やかな態度でアメリカ人のジャーナリストたちに対して、英語で、そのようなことは言っていないと述べた。彼は流ちょうな英語を話し、英語を母国語としない人にありがちなアクセントもない。

 

 イスラエルはほぼ50年間にわたってヨルダン川西岸地区を占領してきた。ほぼ10年にわたり軍隊を使って、ガザ地区を封鎖してきた。イスラエルはそうした政策を変更する意図を全く見せていない。これは継続可能な状況ではない。イスラエルが支配する地域には約1300万人が暮らしているが、800万人しか投票権を持っていない。「アメリカとイスラエルは価値観を共有している」と主張するアメリカ人はイスラエルに対して、ジム・クロウ法も共有する価値観なのかどうかを尋ねる必要がある。セルマ自由行進50周年の記念式典で、エドマンド・ペタス橋の上で行ったオバマ大統領が行った演説の感動から考えて、ジム・クロウ法はアメリカの価値観でもなんでもない。オバマ政権はもうネタニヤフが自分たちに嘘をついているなどとは考えてないなどと振る舞うことは止めるべきだし、ネタニヤフが信頼できない人物であるかどうかは分からないなどと言う姿勢を取ることも止めるべきだ。オバマ政権がやるべきことはただ一つ、「イスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフは歓迎されざる人物(persona non grata)だ」と宣言することだ。

 

(終わり)








 
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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 3月上旬のイスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフのアメリカ連邦議会での演説とイスラエルの総選挙の結果はアメリカ政治に大きな分裂の原因となりました。今回はそれについての記事を皆様にご紹介します。

 

 アメリカ政治における大きな分裂については、副島隆彦先生の最新刊『日本に恐ろしい大きな戦争が迫り来る』(講談社、2015年)でも詳しく分析されていますし、拙著『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所、2012年)ではその枠組をいち早く提示したという自負もあります。また、本ブログでは重要な情報をご紹介しております。
 

 

 これからもよろしくお願い申し上げます。

 

==========

 

ベンヤミンは勝ったが、AIPACは負けた(When Bibi Won, AIPAC Lost

―イスラエルはアメリカ政治においてより分裂を招く問題になってしまった

 

ピーター・ベイナート筆

2015年3月19日

『ジ・アトランティック』誌

http://www.theatlantic.com/international/archive/2015/03/when-bibi-won-aipac-lost/388203/

 

ベンヤミン・ネタニヤフの勝利の裏には破れ去った犠牲者がいる。イサク・ヘルツォグはネタニヤフを首相の座から追いとしたいと考えていた。バラク・オバマは共和党と一緒になって自分を攻撃しない、そしてイスラエルとパレスチナ二国共存によるパレスチナ問題解決を支持する人物がイスラエルの首相になって欲しいと望んでいた。彼らが犠牲者であることは明らかだ。

 

 分かりづらい犠牲者たちも存在する。ここ数カ月の間にネタニヤフ首相が米国イスラエル広報委員会(American Israel Public Affairs CommitteeAIPAC)に対して行ったことを考えてみよう。AIPACはワシントンにおいて、アメリカ・イスラエル同盟のために活動するロビー団体である。AIPACは右派の組織だと批判する人々もいる。しかし、組織内部は全くそのようなことはない。AIPACのスタッフたちは戦闘的であるが、超党派である。つまり、彼らは誰がワシントンで権力を握ってもそれに関係なく影響力を維持できるようにしている。それでも歴史的に見て、AIPACの会員たちは多くが民主党員や民主党支持者である。 ユダヤ系アメリカ人の多くが民主党員や民主党支持者である。従って、巨大な、そしてユダヤ系アメリカ人世界の主流派を形成するAIPACの会員の多くもまた民主党支持となるのも当然のことだ。

 

 AIPACはイスラエルとパレスチナの共存によるパレスチナ問題の解決(two-state solution)を支持している。それは、「イスラエルは民主政治体制であるのだから、アメリカはイスラエルを支持すべきだ」という主張がAIPACの基本にあるからだ。クリスチャン・ユナイテッド・フォ・イスラエルのような宗教右派グループは、イスラエルとアメリカは宗教上の強いつながりがあるからアメリカはイスラエルを支持すべきなのだと主張する。しかし、そのような宗教を絡めた主張を行うことで、AIPAC内部の民主党支持の会員を含む、多くの民主党員をかえってイスラエル支持から離れさせてしまうことになるとAIPACは認識しているのだ。AIPACは、「民主政治体制への関与、法の支配、信教と言論の自由、人権こそは、アメリカとイスラエルが共有している、両国の核となる価値観である」と強調する。イスラエルがヨルダン川西岸地区の数百万のパレスチナ人たちに市民権、投票権、移動の自由を認めずに、戒厳令下で軍事的な支配を続けることをAIPACは望まないし、支持しないのである。従って、AIPACはイスラエルによるヨルダン川西岸地区の支配は一時的なものであり、パレスチナによる反乱に対して民主的な志向を持つイスラエル政府が心ならずも非民主的な対応をせざるを得なかった、悲しい現実なのだと主張しているのだ。

 

 こうした点から、ネタニヤフの最近の行動は、AIPACにとっては迷惑なものなのである。2009年にパレスチナ国家について不承不承支持することに同意したはずなのに、今回の総選挙の選挙運動の最終盤になってネタニヤフはその支持を撤回する発言を行った。AIPACは自分たちのウェブサイト上で「ユダヤ人国家イスラエルと非武装のパレスチナ国家の2つの国家の共存が交渉を通じて合意された」ことを支持すると発表していたが、ネタニヤフの行動によって困った立場に置かれることになった。AIPACがネタニヤフを支持して、2国家共存への支持を放棄すると、AIPACは世俗的な会員、民主党支持の会員、アメリカとイスラエルが共有している民主政治体制を理由にして支持してくれている会員たちが離れてしまう危険性があり、そうした人々がハト派の親イスラエル団体であるJストリートに向かうと考えられる。しかし、AIPACが自分たちとネタニヤフとの間に距離があるということを公に認めてしまうと、よりタカ派的な会員たちが離れてしまう危険がある。彼らはイスラエル首相が誰であれその人物に対するアメリカ政府の批判をいっさい認めない。彼らはネタニヤフを賞賛しているので特に彼に対する批判を容認しない。

 

 更に言うと、ここ数カ月のネタニヤフはアメリカ国内で全く別の分裂した評価を受ける人物となった。共和党は彼を愛している。それは彼がタカ派であるだけでなく、オバマ大統領の敵であるからだ。民主党員の多くは同じ理由から彼を嫌っている。党派性の強いユダヤ人団体にとってそれは都合の良いことであった。民主党に近いJストリートは、会員たちにネタニヤフからの攻撃に対してオバマを擁護するように呼びかけている。ザイオニスト・ユニオン・オブ・アメリカと、右翼の大富豪であるシェルドン・アデルソンからの資金援助を受けているラビのシュマリー・ボテック率いるディス・ワールド:ザ・ヴァリュー・ネットワークのような団体は、オバマからの攻撃からネタニヤフを擁護するように呼びかけている。AIPACはこの2つの間に挟まれ、何も発言できず、取るに足らない存在のようになっている。

 

 AIPACが取るに足らない存在などではない。ワシントンで最も有力なユダヤ系アメリカ人団体である。しかし、AIPACは党派対立やイデオロギー対立の激しくなっているこの時代にそぐわないのである。一般有権者からすると、共和党と民主党ではイスラエルに対する姿勢が異なっており、その相違が大きくなっているように見える。共和党はイスラエルを、アメリカに憎悪を抱いているイスラム教徒たちに包囲されたユダヤ・キリスト教の最前線基地だと考えている。民主党は、イスラエルを母国アメリカでは人気のない「ネオコンサヴァティヴ」派の人々によって率いられている国だと考えている。AIPACはこの分裂がワシントンを二分させないようにする必要がある。AIPACからすると、民主党所属の連邦議員たちには有権者たちの本能に抵抗して欲しいということになる。共和党に対しては、党派的な利益のためにイスラエルを利用して、有権者たちに取り入るのをやめて欲しいと思っている。そして、民主党支持者たちがAIPACからこれ以上離れないようにして欲しいと願っている。

 

 イサク・ヘルツォグはこのような試みにとっては良いパートナーになったことだろう。彼はオバマ大統領を尊敬しており、そのことで民主党側は安心感を得られたことであろう。しかし、彼がイスラエル国民による選挙の結果としてイスラエル首相になることで、共和党側からはその立場に対する尊重を得ることが出来たことであろう。ヘルツォグが選挙に勝利していれば、自然な形で2国共存の解決を支持したことであろう。そうすればAIPACはこれまでの主張を繰りかえることが出来ただろう。それは、「パレスチナ国家が成立しないのはパレスチナ人側の失敗である」というものだ。これから数年間、ネタニヤフが首相の座に留まることになる。それによってイスラエルはアメリカ国内でより分裂を招く問題となることだろう。AIPACにとってみれば、選挙の投開票があった火曜日は最悪の日ということになる。

 

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ベイナーがイランとの交渉最終日にイスラエルを訪問(Boehner to visit Israel on Iran deadline

 

ベン・カミサール筆

2015年3月20日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/236400-boehner-to-lead-trip-to-israel-meet-with-netanyahu

 

 連邦下院議長ジョン・ベイナー(オハイオ州選出、共和党)は共和党所属の連邦議員のグループを引き連れて、3月31日からイスラエルを訪問し、イスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフと会談を行う予定であることが明らかになった。3月31日はアメリカとイランとの核開発を巡る交渉の最終日になっている。

 

 イスラエル政府のある高官はCNNに対してベイナーのイスラエル訪問の予定がある子を認め、イスラエルの新聞『ハアレツ』紙は、連邦議員たちは3月31日にイスラエルに到着することになると報じている。この訪問は総選挙前から計画されていたということだ。

 

 共和党の連邦議員たちはオバマ大統領が進めているイランとの交渉に対して批判的であり、交渉によって、イスラエルの破壊を求めているイランに対して行動の自由を認めてしまうことになると主張している。ベイナーは3月上旬に、オバマ政権に相談することなくネタニヤフを議会での演説のために招聘したことでホワイトハウスと民主党の怒りを買った。ホワイトハウスの高官たちはこの行動を外交儀礼に反するものと厳しく批判し、多くの民主党所属の連邦議員たちはネタニヤフの議会演説を欠席した。この演説には政治的な意図が隠されており、数週間後にはイスラエル国会の総選挙が控えていた。

 

しかし、ベイナーと他の共和党所属の連邦議員たちは、ネタニヤフの演説を擁護し、彼が反対しているイランとの核開発を巡る交渉について意見を聞くのは重要だと述べた。

 

 こうした争いはネタニヤフとオバマ大統領の間の冷め切った関係を示すもので、2人は長年にわたり衝突してきた。2012年の米大統領選挙で、ネタニヤフは共和党の候補者ミット・ロムニーを支持したことで批判された。ネタニヤフとロムニーはボストン・コンサルティング・グループで一緒に働いた経験がある。

 

 ネタニヤフは総選挙の前に2国共存への支持を撤回するかのような発言を行ったが、これはここ数十年間のアメリカの外交政策と大きく矛盾するものなのである。ホワイトハウスによると、今週木曜日、オバマ大統領はネタニヤフ首相へ選挙に勝利したことを祝すために電話をかけ、その時に、「アメリカは長年にわたり2国共存による解決のために努力してきたことを再確認」したということである。

 

 ネタニヤフ首相は、NBCのニュース番組「ナリトリー・ニュース」でインタビューを受け、その際に選挙前の発言からトーンを落とした発言を行い、イスラエルとアメリカとの間には強固な関係が存在することを再確認した。

 

 イスラエル国会クネセトの総選挙でリクードが多数を制したことから、ネタニヤフは首相の座に留まると予想されている。

 

(終わり)











 

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