古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

タグ:イラン







野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 昨年末から今年初めにかけて、世界的には何だか元気のない状況になっています。2016年に景気上昇するという予測は立ちづらく、更にはテロの危険が世界各国に拡散しているとして、みんなで盛り上がろう、という感じはありませんでした。

 

 日本では昨年末に、日中戦争、太平洋戦争中の韓国人女性の従軍慰安婦問題について、日韓両国で最終的な解決となる合意がなされました。安倍晋三総理大臣は、従軍慰安婦に関して様々な疑義を呈する立場を取っていましたが、最終的には謝罪の声明を、岸田文雄外務大臣を通じて発表しました。日韓両国で外交関係上は「これ以上、この問題を蒸し返さない」ということになりました。今回の合意について、日本の安倍政権を支える右翼や一部保守派、韓国国内の様々な勢力から批判が出されました。今回の合意に関しては、第三国であるアメリカの意向が強く働いて、ある意味で急転直下の合意ということになりました。安倍晋三政権の「リアリスト(現実主義的)」外交の勝利ということを言う人たちもいましたが、第三国、しかも宗主国の意向を受けて慌てて合意するような外交、自主的に自分たちの抱える問題を解決できないような外交はリアリスト外交とは言いません。

 

 中東では、イスラミック・ステイト(IS)に対するロシアの攻撃があり、ISの勢力が減退しつつあるようです。結局、アメリカ(とサウジアラビア、イスラエル)が直接、間接に育てたISの始末をつけるのに、他人であるロシアの手を借りねばならなくなったという大変情けない状況になりました。いい面の皮となったのがシリアで、シリアのバシャール・アサド大統領の政府軍と反政府軍の内戦だったものが、いつの間にか、中東を巻き込む「代理戦争」となって、シリアは悲惨な状況になってしまいました。

 

 そうした中で起きたのが、サウジアラビア、バーレーンとイランの断交(外交関係の断絶)です。サウジアラビアがイスラム教シーア派の聖職者を処刑したことで、イラン国民の一部が激怒し、テヘランのサウジアラビア大使館を襲撃したことがきっかけで、サウジアラビアがイランの外交団の国外追放を決めました。サウジアラビアとしては全て予定の範囲内の、シナリオ通りの行動と言えるでしょう。

 

 イランはアメリカとの間で核開発を巡り、核兵器を開発しないことで合意に達していました。ここからイランとの間で国交正常化まで進む可能性もあります。そうなると、中東世界におけるサウジアラビアの影響力は低下します。更には、ISの脅威もサウジアラビアにとっては深刻です。ここで、不安定な中東世界にさらに不安定な要素を加えることで、低落傾向が続く原油価格は上昇しますし、アメリカも改めて、サウジアラビアに対するご機嫌取りに動くという計算もあるでしょう。 

 

 中東が不安定さを増す中で、アジアでも不安定さを増す事件が起きました。本日、北朝鮮が水爆実験を行ったと発表しました。これによって、北朝鮮を取り巻く日中韓は難しい状況に置かれてしまいます。アジア地域は経済発展が著しい訳ですが、安全保障環境が不安定になれば経済にも悪影響を及ぼすことになります。

 

 新年早々から、世界は不安定な状況に置かれてしまいました。しかし、こうした状況を利用しようとするのが、アメリカのネオコン(共和党)・人道主義的介入派(民主党)です。考えてみれば、こうした状況ではアメリカの軍事介入が望まれるようになるのですから、アメリカの優越と軍事介入を主張している両グループにとっては、渡りに船の状況です。

 

 サウジアラビアとイランが直接、事を構える(ミサイルを撃ちあう)、それにイスラエルが絡むということになれば、中東で新たな戦争が起きるということもあるでしょう。アジア地域では、北朝鮮の存在のために中国が苦境に立たされることもあるでしょう。

(23:05に加筆します。)

 

 私はオバマ政権最後の1年となった2016年、アメリカと北朝鮮との間で、イランやキューバの場合と同じく、ホワイトハウス主導で緊張緩和があるのではないかと考えていました。しかし、今回、北朝鮮が水爆実験を行いました。北朝鮮内部に、アメリカとの緊張緩和を妨害したい勢力がいるのだろうと推測されます。彼らは北朝鮮の今の体制を維持したいのだろうと思います。そして、こうした勢力はアメリカ国内のネオコン・人道主義的介入派とつながっているのだろうと思います。彼らの使嗾もあって、何カ月も前から水爆実験の準備が進められ、今回行われたのではないかと私は考えます。

 
 年末年始にかけて起きたことを一つの線で見てみて、「誰が一番得をするのか」ということを考えると、ネオコン・人道主義的介入派ということになります。アメリカは今年、大統領選挙の年で、来年には新しい大統領が誕生します。昨年の段階で、既にヒラリーの勝利がほぼ確定的と言えるでしょう。彼女の介入主義にとって、世界が不安定であることは、「得」なことなのです。一連の事件の裏には、アメリカの両グループとそれらに結び付いた現地勢力がいることは間違いないと言ってよいでしょう。
 

 アメリカのネオコン・人道主義的介入派が喜ぶような状況になれば、安保法制を成立させている日本に寄せられる期待(命令)は大きなものとなります。2016年、そして新年早々来年のことを言うと鬼が笑うかもしれませんが、2017年は世界にとって何か大きなことが起きて、多くの人々が苦難に苦しむようなことになるのではないか、と私は危惧しています。

 

(終わり)








 
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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-10-28



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 今回はオバマ政権の現実主義とイランとの核開発合意に関する記事をご紹介します。私は常々、外交においては現実主義と理想主義(左派と右派)が存在すると書いてきました。そして、オバマ大統領は現実主義的な外交政策を行っていると拙著『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所、2012年)でも明らかにしました。このことを裏付ける記事になっています。

 

 この記事の内容で言えば、今の安倍晋三政権と自民党は外交においては、非現実的な理想主義者ということになります。それも戦争をしたがって仕方がない、アメリカで言えばネオコンと同じ存在です。日本国民の多くが2000年代のアメリカ国民と同じくその危険性に気付き出していると私は感じています。

 

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イランは現実主義の良い具体例である(Iran and the case for realism

 

EJ・ディオンヌ筆

2015年8月30日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/opinions/iran-and-the-case-for-realism/2015/08/30/ba028102-4dc2-11e5-84df-923b3ef1a64b_story.html

 

外交政策を巡る議論はほとんどの場合、国内政治の争いを反映したものとなる。しかし、同時に語られない前提と認識されない諸理論に基づいてもいるものだ。

 

 これはイランとの核開発を巡る合意に関する論争にも当てはまる。もちろん生の現実政治は大変に大きな役割を果たしてはいる。共和党所属の連邦上院議員ジェフ・フレイク(アリゾナ州選出)とスーザン・コリンズ(メイン州選出)は条件さえ整えば、合意に賛成することにやぶさかではないようだ。しかし、党に対する忠誠心をテストすることになるこの問題で、同僚たちとは違う行動を取ることについて高い代償を支払うことになることもまた計算しなくてはならない。

 

 イスラエル首相ベンジャミン・ネタニヤフはアメリカ連邦議会で親イスラエルと反イスラエルの争いを激化させようとしたが、これは不幸なことだ。イスラエルの強力な支持者たちの多くは、イランの核開発を査察する制度について特に批判することになるだろう。しかし、彼らはイランの核開発プログラムに対する制限は現実的だとも信じている。連邦上院議員ベン・カーディン(メリーランド州選出、民主党所属)は、アメリカの交渉担当者たちは、「核開発の最前線に立っていた」と語った。これは「核開発の最前線は主要な点である」ということなのである。

 

 まだ態度を決めていないカーディンと他の民主党所属の連邦議員たちに対する、合意に対して反対票を投じるように求める圧力は大きなものとなっている。連邦上院外交委員会の幹部であるカーディンが賛成票を投じると、これは真に勇気のある行動ということになるだろう。そして、態度を決めかねている同僚たちにとって大きな影響を与えることになるだろう。

 

 オバマ大統領と関係諸国は、連邦議会によって合意が否決されてしまうことで生まれる危険性について語っている。これは正しい。この危険は、合意を有効なものとすることよりもリスクが高いものとなる。アメリカは合意を破棄して、より厳しい合意条件を実現するために再交渉すべきという考えも存在するがこれは全く非現実的なお笑い草でしかない。それはこの合意は単なるアメリカとイラン、2か国間のだけの合意ではないからだ。この合意には合意内容を強力に支持する関係諸国も含まれているのだ。これまで続けてきたイランに対する経済制裁を再び行うことを提案することもまた同じ理由で馬鹿げている。アメリカに協力した国々は、アメリカが一度結んだ合意を破棄しても、合意を破棄することはないであろう。

 

オバマ政権は反対している人々に対してこの質問を中心にして挑戦している。それは「それでは他の選択肢は何になりますか?」というものだ。これはただの言葉遊びの質問ではない。

 

 現在の連邦議会の情勢分析では、オバマ大統領は合意を有効とするための議員の賛成票を最低限確保できるだろうと言われている。オバマ大統領は合意を無効化するための試みを阻止するための41名の上院議員の支持を得るための秘密兵器を持っている。カーディンの投票はカギを握ることになるだろう。

 

 しかし、ひとたびこの話が落ち着いたら、オバマ大統領、議会における反対派、大統領選挙立候補者たちは世界におけるアメリカの役割についてどのように見るかについて大きな議論をすることになる。オバマ大統領は分かりにくい「オバマ・ドクトリン」について説明し、共和党の有力な大統領候補者であるスコット・ウォーカーとマルコ・ルビオが金曜日に行った批判に少なくとも間接的に反論することで利益を得ることが来出るだろう。

 

オバマ大統領が主として外交政策において現実主義者であると多くの人々がいる(私もその中の一人である)。特にアメリカがイラクで冒険主義的な愚かな行為を行った後、現実主義はこれまでよりもより良いものだと考えられるようになっている。私は、現実主義者は、「アメリカは民主的な価値観と人権のために戦わねばならないが、軍事面における過度の拡大は、アメリカの国益と長期的な強さにとって致命的な危険である」と考える人たちだと考える。オバマ大統領の外交を擁護する際によく使われる論法は、「確かにいくつかのミスを犯したが、軍事力で出来ることとできないことに関する彼の現実主義は、アメリカの外交アプローチを再定義し、アメリカを正しい方向に戻すことに成功した」というものだ。

 

 この議論を始めるのにより材料となるのが、『ナショナル・インタレスト』誌の創刊30周年記念号に掲載されたリチャード・K・ベッツの「現実主義による説得」という論文だ。ベッツは現実主義の立場に立つ高名な知識人だ。ベッツはコロンビア大学に属する学者でもある。ベッツは「現実主義者は動機よりも結果をより重視する。現実主義者は良い動機が如何にして悲惨な結果を生むのかという点に注目する」と主張している。理想主義的なリベラル派と保守派は共に「正しい考えを支持し、悪と戦う」と強硬に主張するが、現実主義者は、「私たちが直面している選択肢は“より大きな悪とより小さな悪の間に存在する”」と主張する、とベッツは述べている。

 

 ベッツは「敢えて過度な一般化の危険を冒すが、理想主義者は勇気について心配し、現実主義者は制約について心配をする。理想主義者は武力によって悪に対峙することの利益を重視するが、現実主義者はコストを重視する。全体として、現実主義者は思い上がりではなく、抑制を求める」と書いている。

 

 頭の中は現実主義になりつつありながら、精神は今でも理想主義である私たちのような人間にとっては、現実主義は冷たくて、道徳的に不十分だと思ってしまう。しかし、現実主義の道徳は、人々の生命、財産、実行不可能な試みのための力の浪費することが道徳に適っているかどうかということになる。現実主義を批判する人々はイランとの合意に反対している人々が受けているのと同じ質問に直面する。それは「それでは他の選択肢は何になりますか?」というものだ。

 

(終わり)







野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

ダニエル・シュルマン
講談社
2015-10-28



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 今回はアメリカとイランとの間の核開発を巡る合意について当事者のアーネスト・モニス米エネルギー庁長官の書いた記事を皆様にご紹介します。この枠組みは北朝鮮にも応用できるのではないかと思います。

 

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交渉担当者がイランとの核開発に関する合意の科学を詳しく解説(Negotiator Breaks Down Science of Iran Nuclear Deal

 

アーネスト・モニス(Earnest Moniz、米エネルギー省長官)筆

2015年7月30日

『フォーワード』誌

Ernest MonizJuly 30, 2015Image: Getty Images

http://forward.com/opinion/318187/negotiator-breaks-down-cheat-proof-iran-nuclear-deal/

 

 本誌は7月15日付の論説で読者の皆さんに対して、ジュネーブで交渉が行われ最終的に合意に達した、イランの核開発をめぐる合意について賛成するか、反対するかを決定すする際に、また今回の合意がイスラエルにとっての脅威を増大させるかどうかについて考える際に、「生産的で、理性的、思慮深く、適度に懐疑的に、そして関与」するように訴えた。

 

 まず基本的なことを言えば、現状維持は受け入れられないことは多くの人々が認めるところだ。そうなると、今回に合意について読者の皆さんは是々非々で内容を検討すべきであろう。そこで、今回はこの場を借りて、私は今回の合意が如何にしてアメリカ、イスラエル、そして世界の安全保障を強化することになるかについて説明したい。

 

 今回の合意はJCPOA(包括的共同行動計画)と呼ばれる。今回の合意によって、イランが核兵器を製造するための武器に適した原材料を十分に製造することを効果的に防ぐことが出来る。これはイランが核兵器に必要なウランの濃縮に必要な期間が現在は2、3カ月であるのを少なくとも1年に延ばすことになる。これだけの時間があれば、アメリカと同盟諸国は強力な対処を行うことが出来る。また、合意によって協定違反を発見するためのこれまでにない確認のための道具も使えるようになる。しかも、私たちの側の持つ幾つもの選択肢を一つも放棄したものではない。

 

 今回の合意は、諸大国とイランとの間で成立したもので、イランは核兵器を開発も所有もしない代わりに、この対応に見合った見返りを与えるというものだ。合意に署名した中国、ロシア、フランス、ドイツ、イギリス、ヨーロッパ連合、アメリカの共有した目的はこれまでにないものであった。

 

 重要なことは、科学が正解を導き出したことだ。私はマサチューセッツ工科大学で40年にわたり原子物理学の教員をしていた。そして、この1年の大部分はイラン側の原子力専門家たちとの交渉に費やした。そして、私はエネルギー省管轄下の国立研究所と核関連施設のトップクラスの専門家たちによる地道な分析に頼ることが出来た。

 

●武器製造への道筋を塞ぐ

 

 JCPOAはイランが核兵器を製造するために必要な物資の製造への道筋を一つ一つ塞ぐものとなっている。

 

JCPOAによってウランの貯蔵量は劇的に削減される。イランは低濃度濃縮ウランの貯蔵量を98%削減することになる。また、高濃度濃縮ウランの場合は20%が削減される。これによって、イランは1年間の濃縮期間で高濃度のウラニウムを製造し、10発以上の核兵器を製造する状態から1発も製造できないようになる。

 

②遠心分離器 イランは現在保有している遠心分離器の3分の2以上を廃棄しなければならない。現在1万9000を保有しているがそれを5000にまでする。そして、これから10年でイランでは古くなって能力も減退した原子分離器が稼働することになるだろう。

 

③プルトニウム製造の道筋を絶つ。イランはアラク原子炉を1年に1発から2発の核兵器を作れるだけのプルトニウムを作れる施設からそれ以下の低濃度のウラニウムを製造でき雨量に転換する。これによってごまかしは容易に止めることが出来るようになる。高濃度ウラン製造を更に防止するために、イランはプルトニウムを抽出できる使用済み核燃料を全て国外に運び出すことになる。

 

●これまでにないレヴェルの確認とアクセス

 

 これまでにないレヴェルの確認作業を行うことで合意内容の遵守を担保できる。信頼は問題ではない。国際原子力エネルギー機関(IAEA)はイランに核関連施設に対する十分なアクセスと調査のための道具を持つことになる。

 

 イラン側が届け出た施設に対して、調査官たちは最短2時間前の通告で定期的に調査のために立ち入ることが出来る。届け出ていない施設に関しては、24時間以内の立ち入りが認められる。イランが施設への立ち入りについて異議を申し立てる場合、24日以内に紛争を解決し、立ち入りを行うための重要なそして新しい道具が提供されることになる。

 

●ごまかしを探し出す

 

 IAEAはごまかしと合意内容遵守違反を見つけることが出来る。核物質をトイレに流してしまったり、隠してしまったりは不可能なのだ。放射能はその存在の痕跡を残すものであり、私たちはその痕跡を見つける方法を知っている。

 

 1980年から、アメリカはロスアラモス国立研究所でIAEAの全調査官を訓練してきた。私たちは10以上のコースを開講し、調査官たちが最新式の調査機械と電子封印用の機械を使いこなせるようにして来た。これらの道具の多くはアメリカが開発したものだ。

 

 更には、将来イランが合意内容遵守を拒否する事態になったら、私たちにはそれに対処するためのいくつもの選択肢が存在する。その中には、核開発を行ったある国に科される中で最も厳しい金融・経済制裁を再び科すことも含まれている。

 

●永続的な、透明性の確保された合意

 

 今回ジュネーブで承認された計画は最終的なものではない。これから10年、もしくは15年、20年、25年の間に出いくつかの手直しがなされるだろう。しかし、透明性とイランの根本的な義務である核兵器開発プログラムの廃棄は恒久的なものだ。

 

 今回の合意に関して、いかなる「付帯事項」も「秘密協定」も存在しない。JCPOAは、イランが最終的にIAEAと協力させることになる。イランはIAEAを満足させるために核兵器開発に必要な行動を全て取り止めることになる。イランはIAEAに対して非公開の文書を提出する義務を負うことにもなる。

 

 もちろん、アメリカと友好・同盟諸国の情報収集能力によっていかなる秘密の行動も止めることが出来る。アメリカの国家情報局長官は「合意がなくても100%の革新を得ることはできるが、合意によってイランのプログラムの可視性を手に入れることが出来る」と発言した。イランがいかなるごまかしをやろうとしてもそれにはリスクが伴い、その結果、国際社会の厳しい反応が返ってくるようになる。その結果、秘密の活動を防止することが出来る。

 

●私たちの基本線

 

 オバマ大統領と私は、イランが核兵器開発に成功し、実際に核兵器を所有することは、イスラエルと中東地域にあるアメリカの友好国や同盟国の存在を脅かす脅威になると確信している。間違って欲しくないのだが、交渉を始める前、イランは核兵器を開発寸前の状態にあった。今回の合意は、そうしたぎりぎりの状態から引き戻し、私たちの持つ調査能力を引き上げるものとなった。

 

 今回の歴史的な合意は、イランの核開発の脅威を消し去る最善の機会となった。アメリカと国際社会は、イランが中東地域で行っている行動が引き起こしているいくつかの問題について、強力で協調的な手段を通じて対処することが出来る羽陽になったのだ。

 

 アメリカは世界の経済、軍事、外交の指導者である。私たちはイスラエルとイスラエル国民の安全に対して責任を負っている。イランが核兵器を所有することはこれからも許されないだろう。今回の合意はこの決意を新たにし、責任をますます重いものにする。

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23





 



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 今回は、アメリカ連邦上院議員トム・コットンとイラン外相ジャヴァド・ザリフとの間で交わされた激しい言葉の応酬をご紹介します。トム・コットンの器の小ささにアメリカでも失望が広がっているようです。これで共和党の輝ける星というのは何とも情けない話です。

 

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イラン外相がアメリカの連邦上院議員の「個人的な中傷」を払いのけた(Iranian foreign minister dismisses US senator’s ‘personal smear’

 

デイヴィッド・マカビー筆

2015年4月30日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/news/240614-iranian-foreign-minister-dismisses-us-senators-personal-smear

 

 イラン外相は木曜日、連邦上院議員トム・コットン(アーカンソー州選出、共和党)の「イランの暴政、背信行為、テロの記録について議論」しようという挑発を払いのけた。

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ザリフ外相

 

 ムハマド・ジャヴァド・ザリフ外相は、トム・コットン上院議員の初めての子供の誕生を祝う投稿の前に、ツイッターに「マッチョな個人の中傷ではなく、真剣な外交こそを私たちが必要としているものだ」と投稿した。


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コットン議員

 その前日の水曜日、コットンはザリフを挑発し、「イラン・イラク戦争で農民と子供たちが死に向かって行進している間、アメリカで隠れている」決心をザリフがしたと嘲った。

 

 ザリフは、イラクの核開発プログラムについて合意に達したら、コットンが「気に入ろうがいるまいが」、イランに対する経済制裁が緩和されるだろうとコメントしたが、それに対して、コットンが反応したのだ。

 

 コットンはアメリカとイランとの間の合意に対して徹底的に反対している。コットンに対しては今年初めに批判が集まった。この時、彼はイランの指導者たちに対する「公開書簡」を主導し、アメリカの憲法システムについて説明しようとした。

 

(終わり)

 

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イランのジャヴァド・ザリフ外相が連邦上院議員トム・コットンに対してコットン議員の第一子の誕生の機会を捉えて挑発した(Iranian FM Javad Zarif Trolls Sen. Tom Cotton On the Occasion of His Child’s Birth

 

エリアス・グロール筆

2015年4月30日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2015/04/30/iranian-fm-javad-zarif-trolls-sen-tom-cotton-on-the-occasion-of-his-childs-birth/?utm_content=bufferb7539&utm_medium=social&utm_source=facebook.com&utm_campaign=buffer

 

 イラン外相ジャヴァド・ザリフは連邦上院議員トム・コットンに初めての子供が誕生する機会を捉えて挑発を行った。今月初め、各国の交渉担当者たちが枠組み合意に達したと発表して以来、連邦上院の超タカ派議員トム・コットン(アーカンソー州選出)は合意を台無しにしようとキャンペーンを公然と展開している。しかしトム・コットンにとってマイナスなことも起きている。今週、イランのジャヴァド・ザリフ外相との間で激しい言葉の応酬があった。ザリフはかなり丁寧に、激しい言葉を投げかけた。

 

 47名の連邦上院議員たちが署名したイランの指導者たち宛ての公開書簡(いかなる経済制裁の緩和も連邦議会の承認が必要だとする内容)を主導した後、コットンはイランとの核開発を巡る合意に対して反対する強硬派として知られるようになった。しかし、木曜日、ザリフはニューヨークにおいて、コットンを脇にどかそうとして、「コットン上院議員が気に入ろうが気に入るまいが」、国連は経済制裁緩和に向けて中心的な役割を果たすだろうと述べた。

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 このコメントはコットンの神経をいたく刺激した。そして、コットンはザリフに対してワシントンにまで来てアメリカ合衆国憲法について議論しろと要求した。

 
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 『フォーリン・ポリシー』誌で私たちがこれまで書いてきたように、コットンのイランとの合意に対する反対運動にはいくつかの問題が存在する。彼はイランに指導者たちに向けた経済制裁緩和に関する書簡を発表した後、コットンは、アメリカ外交政策を実行するにあたりバラク・オバマ大統領の権威を傷つけたと激しい批判を浴びた。踏んだり蹴ったりだったのは、コットンが主導した公開書簡のペルシア語翻訳版は中学生が書いたような内容であったことだ。

 

 それだけでもコットンに同情を寄せるのには十分だ。しかし、アーカンソー州選出の上院議員には素晴らしいお子さんが誕生したのだ。それはとても素晴らしいことだ。

 

(終わり)











 



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 今回は、先日ネオコンの危険な議員トム・コットンが主導した公開書簡に対する批判に関する記事を皆様にご初会します。

 

 公開書簡に関しては、どうもトム・コットンの売名行為だったように思われます。

 

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共和党のテヘラン宛ての公開書簡が批判に晒されている(GOP letter to Tehran backfires

 

ジョーデイン・カーニー、クリスティーナ・ウォン筆

2015年3月10日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/defense/235301-gop-letter-to-tehran-backfires

 

共和党所属の連邦上院議員たちからイランの指導者たちへ宛てた公開書簡は、共和党を分裂させ、共和党を守勢に立たせ、オバマ大統領とテヘランとの間の核開発をめぐる交渉を無効にすることになる新たな経済制裁の連邦上院での可決のチャンスを潰えさせる危険を孕んでいる。


 オバマ大統領によるイランとの対話は民主党を長年にわたり分裂させてきたが、先月、共和党が連邦上院で、新たな経済制裁に対するオバマ大統領の拒否権を覆すのに十分な議席を得ることで、再び姿を現した。

 

 しかし、状況は一変し、47名の共和党所属の議員たちが署名したテヘラン宛ての公開書簡に対して怒りが向けられている。連邦上院多数党院内総務(Senate Majority Leader)のミッチ・マコネル連邦上院議員(ケンタッキー州選出、共和党)は、オバマ大統領とイランとの交渉を台無しにすることになるであろう2つの法案の上院の可決の可能性が減少してしまったことに慌てている。

 

 火曜日、ホワイトハウスは公開書簡が発表された2日目に声明を発表し、共和党所属の議員たちが出した公開書簡を批判し、これを「無謀」で「間違った方向に導く」人気取りの行動と呼んだ。

 

『ニューヨーク・デイリー・ニュース』紙は、紙上にマコネル、2016年の大統領選挙の有力候補者であるテッド・クルーズ(テキサス州選出)とランド・ポール(ケンタッキー州選出)両上院議員と、一期目の連邦上院議員であるトム・コットン(アーカンソー州)の写真を掲載し、見出しには「売国奴(Traitors)」という単語を使った。トム・コットンは今回の書簡の主導者である。

 

 保守的な論調で知られる『ウォールストリート・ジャーナル』紙の編集局は公開書簡を批判し、オバマ大統領が逆襲に使うための「材料」にされると述べた。

 

 共和党内部でも公開書簡をめぐり争いが起きている。7名の共和党所属の上院議員が書簡に署名しなかった。彼らは同僚たちを公に批判している。

 

火曜日、スーザン・コリンズ連邦上院議員(メイン州選出、共和党)は記者団に対して次のように語った。「私たちにとって交渉が重要な局面に差しかかっているこの時にアヤトラに書簡を送るなど不適切だと考える。そして、より率直に言えば、私たちの憲法システムを説明したことでアヤトラが心を動かすことがあるとは思えないし、その点に疑念を持っている」。

 

 ジェフ・フレイク連邦上院議員は公開書簡について「有効」でもないし、「生産的」でもないと述べた。

 

 「現状においても交渉は厳しい状況にある。この種の書簡を送ることが有効ではないと私は考える」

 

 連邦上院外交委員会委員長のボブ・コーカー(テネシー州選出、共和党)は、公開書簡が「私たちが手に入れたいと望む通りの結果をもたらすのに有効ではない」と考えていると述べた。コーカーはまた、書簡に署名することは建設的ではないと考えたし、多くの共和党所属の議員たちが署名したことに驚いたと述べた。

 

 コーカーは「今週末まで私はこのように勢いがつくとは思わなかった」と述べた。

 

 ダン・コーツ連邦上院議員(インディアナ州選出)、ラマー・アレキサンダー連邦上院議員(テネシー州選出)、リサ・マコースキー連邦上院議員(アラスカ州選出)、サド・コクラン連邦上院議員(ミシシッピー州選出)の4名もまた公開書簡に署名しなかった。

 

コーツとマコースキーは2016年に再選を控えている。

 

 オバマ政権は今月末までの合意成立を目指している。これによってイランに対する経済制裁は解除されるが、その代わりにイランが核兵器を所有する能力の開発を阻止するという譲歩を得ることになる。

 

 アメリカはイランが活発な立ち入り調査を受け入れ、ウランの濃縮能力を制限するという約束を取り付けようとしている。現状で言えば、合意が達成されない場合、イランが核兵器を開発するのに十分な核燃料を手に入れるのに1年間ほどかかると言われている。

 

 オバマ大統領の対イラン外交についての懐疑は民主、共和党両党に存在している。そして、多くの民主党所属の連邦議員たちは先週行われたイスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフの議会演説に欠席した。ネタニヤフ首相は演説の中で、オバマ大統領は、イスラエルの安全を維持することが出来る良い内容の合意をイランとの間で結ぶことなど不可能だと主張した。

 

 ネタニヤフ首相の議会演説は論争を巻き起こした。これによって共和党側はいくらか勢いを得たように見えたが、連邦上院の民主党は、マコネル院内総務が今週中に行おうとしていたコーカー議員とロバート・メネンデス連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)が提出していた法案の採決に対して、早速難色を示した。この法案はイランとの合意を承認する前に、提案された合意内容を連邦議会で見直すというものだ。

 

コーカー=メネンデス法案自体は、マーク・カーク連邦上院議員(イリノイ州選出、共和党)とメネンデス議員が提出した法案の内容よりもソフトだと考えられている。その内容は、合意に達しない場合、もしくはイランが合意内容を破った場合に経済制裁を再開し、新たに科すというものである。経済制裁法案は、大統領が拒否権を行使してもそれを覆すだけの賛成票が得られるものと見られていた。

 

 しかし、現状では60票の賛成票を得られるかどうかはっきりしない。

 

 民主党側は議場でコットンが主導した公開書簡を非難した。書簡の内容は、2017年にオバマ大統領がホワイトハウスを去った後に、イランとの合意を反故にすると示唆している。

 

 バイデン副大統領は、連邦上院議員時代には外交委員会の委員長を務めていた。彼は公開書簡について、「これはオバマ大統領が他国と交渉する能力を著しく傷つける恐れがある」と発言した。

 

 バイデン副大統領は月曜日夜に発表した声明の中で次のように述べている。「議員たちによる公開書簡は、アメリカ憲法についての講義の体裁をとってはいるが、2世紀にわたるアメリカ合衆国の歴史を無視し、未来の合衆国大統領のアメリカを代表しての他国との交渉を行う能力を著しく損なうものとなっている。民主党だろうが共和党だろうが、大統領が外国との交渉をしにくくする内容なのである」。

 

 ヒラリー・クリントン前国務長官も自身の私的なEメール使用に関する記者会見の席上で共和党を厳しく批判した。彼女は書簡について、「アメリカの指導者たちが積み上げてきた最良の伝統から著しく逸脱するものだ」と述べた。

 

 コーツは声明の中で、共和党が政策をめぐる戦いで勝利を得るために党派による争いを止める必要があると指摘している。

 

コーツは声明の中で、「私たちは戦術の面で合意に達していなくても、オバマ大統領があらかじめ明言している拒否権の発動(veto)を覆すためには超党派の支援が必要であることを認識している」と述べている。

 

(終わり)










 

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