古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

タグ:イラン

 古村治彦です。

 

 アメリカのCIAが冷戦期、世界各国でスパイ活動をしていたことはよく知られています。小説や映画に題材として数多く取り上げられてきました。また、反米的(と目されるばあいも含めて)、もしくは共産主義的な国家指導者や国家体制を転覆させるために、その国の軍部やゲリラなどに資金や武器を渡して、暗殺やクーデターを起こさせていたということはよく知られていました。しかし、アメリカ政府は、公式には、そうした暗殺事件やクーデターへの関与を否定していました。

 

 1953年、イランでは民主的に選ばれたムハマンド・モサデグ首相に対するクーデターが発生しました。そして、親米的なシャーによる王政が1979年のイラン革命まで続きました。1979年、有名なホメイニ師が主導するイラン革命によって、イランの王政は倒され、イスラム共和国が誕生しました。イラン革命の際、テヘランのアメリカ大使館に大学生たちが乱入し、大使館員などを人質にして占拠する、イラン人質事件が起こりました。人質事件はカーター政権内部に解決方法を巡って亀裂を生み(ヴァンス国務長官とブレジンスキー大統領国家安全保障問題担当補佐官の対立とヴァンスの辞任)、大きなダメージを与え、カーターは次の大統領選挙でロナルド・レーガンに敗れました。イラン革命以降、アメリカとイランは国交を断絶し、アメリカはイランの隣国イラクの独裁者サダム・フセインをけしかけてイラン・イラク戦争を起こさせました。

 

 イランの歴史に置いて大きな出来事であるモサデク首相に対するクーデター事件ですが、CIAの関与はほぼ間違いないと言われながら、アメリカ政府は公式に否定してきました。しかし、バラク・オバマ大統領がCIAの関与を認め謝罪し、また、最近、機密解除文書の公開によって、残された電報などから、CIAが関与していたということが明らかになりました。

 

 CIA本部はクーデターの試みが失敗したこともあって、クーデターに参加するなとイラン支局に電報を送っていましたが、現地では命令を無視し、結局、クーデターが成功してしまいました。現地の命令無視・独断専行があったということで、このことまでは推定されていましたが、それを示す証拠が出てきたということが重要です。

 

 また、1950年代に聖職者であり、政治家でもあったカシャニ師がモサデク追い落としに関与し、また、アメリカからの資金援助を要請していたということが明らかにされました。カシャニは現在でもイラン国内で尊敬を集めている人物ですが、そのような人物がアメリカからの援助を求めていたということはイランにとっては隠しておきたい事実だろうと思います。

 

 このように何十年経っても公文書が残されていれば、いつかは事実は明らかにされます。最近の日本の政治状況を見ていると、公文書を残しておくということの重要性を軽視しているように思います。この点はアメリカを見習うべきであろうと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

64年経過して、CIAはついにイランでのクーデターに関する詳細を公開(64 Years Later, CIA Finally Releases Details of Iranian Coup

―新たに公開された文書によって、CIAが如何にして失敗に終わりかけていたクーデターへの参加を取り消そうとしていたか、そして、最後の最後である従順ではない一人のスパイによってクーデターが成功に導かれたが明らかにされた。

 

ベンサニー・アレン=エイブラヒミアン筆

2017年6月20日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2017/06/20/64-years-later-cia-finally-releases-details-of-iranian-coup-iran-tehran-oil/

 

機密解除された文書が先週公開された。これによって、1953年に発生したイラン首相ムハンマド・モサデクを追い落としたクーデターにおいて、中央情報局(CIA)が中心的な役割を果たしたことが明らかになった。このクーデターは、イランのナショナリズムの火に油を注ぎ、1979年のイラン革命を生み出し、21世紀になってもアメリカ・イラン関係を損ない続けている。

 

約1000ページの文書によって初めて、CIAが如何にして失敗に終わりそうであったクーデターへの参加を取り消そうとし、イラン国内にいる従順ではない一人のスパイによって最後の最後で成功に導かれたということが明らかにされた。

 

CIAの計画はエイジャックス作戦として知られている。CIAの計画は究極的に石油確保を目的とするものであった。西側の企業は長年にわたり、中東地域の石油生産と底からの富をコントロールしていた。サウジアラビアのアラビアン・アメリカン石油会社、イランのアングロ・イラニアン石油会社(イギリス)といった石油企業がコントロールしていた。1950年末、サウジアラビアのアラビアン・アメリカ石油会社は圧力に屈し、石油からの富をサウジアラビア政府と折半することになった。この時、イラン国内のイギリスの持つ石油利権もサウジアラビアでの先例にならうようにという厳しい圧力に晒されていた。しかし、イギリス政府は断固として拒否した。

 

1951年初め、人々の熱狂的な支持の中、モサデクはイランの石油産業を国有化した。激怒したイギリス政府は、モサデクの排除とシャーによる王政の復活のために、アメリカの情報機関と共謀し、計画を練り始めた。しかし、新たに公開された電報が示すところでは、アメリカ国務省の一部には、対立に対するイギリスの非妥協的な態度を非難し、モサデクとの協力を模索する人々がいた。

 

クーデターの試みは4月15日に開始されたが、迅速に鎮圧された。モサデクは関係者を逮捕した。共謀の首謀者であるファズラウ・ザヒィーディー将軍は身を隠し、シャーは国外に逃亡した。

 

CIAはクーデターの試みは失敗すると確信しており、クーデターへの参加を取り消すことに決定した。

 

新たに公開された文書によると、1953年8月18日にCIA本部はイラン支局長に次のような内容の電報を送った。「作戦は試され、そして失敗した。私たちはモサデクに敵対するいかなる作戦にも参加すべきではない。モサデクに敵対する作戦は継続されるべきではない」。

 

ジョージ・ワシントン大学のアメリカ安全保障アーカイヴでアメリカ・イラン関係プロジェクトの責任者を務めるマルコム・バーンは、「CIAのイラン支局長カーミット・ルーズヴェルトは、この電報を無視した」と述べている。

 

バーンは本誌に次のように語った。「カーミット・ルーズヴェルトが電報を受け取った時、部屋にはもう一人の人物がいた。この時、ルーズヴェルトは、“ダメだ、俺たちはここで何もやっていない”と述べた」。ルーズヴェルトはCIA本部からのクーデターの試みを中止するようにという命令を実行しなかったことは既に知られていた。しかし、電報自体とその内容については知られていなかった。

 

ルーズヴェルトの決断の結果は重大であった。電報を受け取った翌日の1953年8月19日、クーデターは成功した。CIAの援助によって準備されたと考えられてきた、「金を支払われていた」群衆の助けがあった。イランの民族主義の英雄モサデクは投獄され、西側に友好的なシャーの下での王政が復活した。アングロ・イラニアン石油(後にブリティッシュ・ペトロレアムに改名)は油田を回復しようと努めた。しかし、この努力は実を結ばなかった。クーデターは成功したが、外国の石油のコントロールの回復に対するナショナリストからの反撃は過激となった。ブリティッシュ・ペトロレアムやその他の石油メジャーはイラン政府と石油からの利益を分け合うことになった。

 

エイジャックス作戦はイランの保守派にとっては亡霊であった。しかし、これはリベラル派にとっても同様であった。クーデターは反西洋感情の炎に風を送った。ナショナリズムの最高潮が1979年に発生したアメリカ大使館人質事件、シャーの廃位、「大悪魔」に対するイスラム共和国の創設となった。

 

クーデターによってイラン国内のリベラル派も排除された。モサデクはイラン史上、民主的な指導者というものに最も近付いた人物であった。モサデクは民主的な諸価値を明確に称揚し、イラン国内に民主政治体制を確立したいという希望を持っていた。選挙を経て構成された議会がモサデクを首相に選出した。首相という職を利用して、モサデクはシャーの力を削いだ。その結果、この時期のイランは、ヨーロッパで発展した政治的伝統に最も近付いた。しかし、更なる民主的な発展は8月19日に窮地に陥った。

 

アメリカ政府は長年にわたり、クーデターへの関与を否定してきた。国務省は1989年にクーデターに関連した文書を初めて公開した。しかし、CIAの関与を示す部分は編集していた。人々の怒りを受けて、政府はより完全な文書を公開することを約束した。そして、2013年に文書が公開された。2年後、機密解除された文書の最終的な公開の予定が発表された。バーンズは、「しかし、イランとの核開発を巡る交渉のために準備が中断され、公開予定は遅れることになった」と述べている。文書は先週、最終的に公開された。CIAの電報の原本は紛失、もしくは廃棄されたものと考えられていた。

 

バーンは、公開が大幅に遅れたのはいくつかの要素のためだと述べた。バーンは、 情報機関は常に「材料と方法」を防御することに懸念を持つものだ、と語る。「材料と方法」とは、最前線で作戦実行を可能にする秘密のスパイ技術を意味する。CIAはイギリスの情報機関との関係を守る必要にも迫られていた。イギリスの情報機関は諜報に必要な人材などを守りたいと考えていたはずだ。

 

 

スタンフォード大学のイラン学教授アッバス・ミラニは、新たに公開された文書によって、CIAの関与以上に興味深い事実が明らかにされた、と述べている。聖職者のアボル=ガセム・カシャニ師の政治における指導的役割の詳細が明らかにされた。カシャニは1950年代に聖職者であり、指導的な政治家として活動した。

 

イスラム共和国では、聖職者は常に善玉である。カシャニはこの時期におけるナショナリズムの英雄であった。今年1月、イランの最高指導者は石油の国有化におけるカシャニの役割を賞賛した。

 

カシャニが最終的にモサデクと分裂したことは広く知られている。イラン国内の宗教指導者たちは共産主義のドゥデー党の台頭に恐怖感を持っていた。そして、モサデクは社会主義勢力の脅威から国を守るには弱すぎると確信していた。

 

新たに公開された文書によると、カシャニはモサデクに反対していただけではなく、クーデターまでの時期、アメリカ側と緊密に連絡を取り合っていたことが明らかになった。カシャニはアメリカからの財政的な援助を求めていた。しかし、彼が実際に資金を得ていたことを示す記録は残っていない。カシャニの要求はこれまで知られてこなかった。

 

ミラニは次のように語っている。「クーデターの成功を左右する日となった8月19日、カシャニの存在は重要であった。カシャニの武装勢力は完全武装してモサデク打倒のために出動した」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 古村治彦です。

 

 イランの大統領選挙は、強硬派が候補者を一本化したことでどうなるかと思っていましたが、ロウハニ大統領が再選されました。イランの大統領は二期までなので、ロウハニ氏はこれから4年間が最後の任期となります。

 

 ロウハニ大統領は、アメリカとの核開発をめぐる合意を前提にしての経済成長、そのための経済改革を主張しています。イランでは、諜報機関が経済部門にまで浸透しており、下に掲載した毎日新聞の記事では、「モンスター」とまで呼ばれているそうです。ロウハニは、そうした部分を改革していこうとしています。革命防衛隊、諜報機関はそれを防ぐために、最高指導者を引き込んで、ロウハニ氏を追い落とす、もしくは得票数を削ろうとしました。しかし、イランの人々はロウハニ大統領の路線を支持しました。

 

 アメリカでは、トランプ大統領がイランとの核開発合意に反対しているという報道がなされていますが、トランプ政権は核開発をめぐる合意を維持するということを既に表明しています。イランとの核開発をめぐる合意にアメリカ国内で反対しているのは、共和党ではネオコン、民主党では表立ってはいませんが(自党のバラク・オバマ前大統領が結んだ合意ですから)、人道的介入主義派です。

 

 トランプ大統領が初めての外遊で中東のサウジアラビアとイスラエルを訪問しますが、両国は宗教は違いますが、アメリカの同盟国という点では一緒です。サウジアラビアはアラブの盟主ですが、現状中東の和平と問題解決に何もしていません。オバマ政権時代は、イスラエルとアメリカの関係は悪化しました。トランプ政権ではトランプの義理の息子ジャレッド・クシュナーが上級顧問として力を持っていますから、イスラエルとの関係は改善すると思われますが、機密情報の取り扱いをめぐり、イスラエル側が激怒しているという報道もなされていますので、イスラエル側に、ネオコンや人道的介入主義派と気脈を通じている人々がいると思われます。

 

 トランプ政権とすれば、傲慢になりがちな中東の同盟諸国に活を入れるために、イランを利用するでしょう。イランを利用して中東の問題を解決しようとするでしょう。国益のためならば、敵と呼んだ相手とでも手を組むのがリアリズムですから、トランプは表だってイランを賞賛はしないでしょうが、一方的に敵視することはないでしょう。

 

 ロウハニ大統領が再選されたことで、アメリカとイランの関係が大きく変化することはないということになり、これは慶賀すべきことです。

 

(貼りつけはじめ)

 

<イラン>残る制裁、正念場 ロウハニ師再選、経済回復急務

 

毎日新聞 5/21() 8:15配信

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170521-00000007-mai-m_est

 

 【テヘラン篠田航一】イラン大統領選で対外融和の継続を掲げる保守穏健派のロウハニ大統領(68)が20日、再選を決めた。だがイランを敵視してきた米国はトランプ政権になり、より強硬な姿勢を示している。イランは経済回復を軌道に乗せて内政を安定させるためにも、米国などが今も科す制裁の軽減に向けた外交努力を続けると見られるが、事態の打開は容易ではない。

 

 「今後4年で全ての制裁解除に全力を挙げ、イランの威厳を取り戻す」。ロウハニ師が掲げた公約だ。イランは2015年に米欧などと核合意に達し、主要な経済制裁は解除された。だが、ミサイル開発や「テロ支援」を巡る制裁は残っている。

 

 トランプ米大統領は、イスラム教シーア派国家イランの覇権拡大を警戒するスンニ派の大国サウジアラビアを初の外遊先に選び、イラン大統領選の結果が固まった20日に現地に降り立った。湾岸のアラブ諸国と連携した包囲網の強化を目指している。米国とイランは、シリアやイエメンの内戦でも対立する勢力をそれぞれ支援しており、早期に歩み寄る可能性は低い。

 

 ただ、トランプ政権はシリアでは過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦を優先している。イラン国連代表部で勤務経験を持つ元外交官の政治評論家ヘルミダス・ババンド氏は「シリア内戦が沈静化すれば、イランと米国の関係は改善に向かう」と分析。ロウハニ大統領が、米国と近いアラブの主要国エジプトへの働きかけを強めると見ている。

 

 内政では経済回復を進める上で、膨大な権益を持つ革命防衛隊との関係が焦点の一つになりそうだ。ロウハニ大統領は選挙戦で「経済発展を望むなら、(革命防衛隊などの)治安・政治組織を経済に関与させるべきではない」といら立ちを隠さなかった。

 

 約12万人の兵員を擁する革命防衛隊は、1979年のイスラム革命の理念防衛のため創設されたが、多くの系列企業を抱えて経済分野にも進出し、肥大ぶりは「モンスター」と称される。ロウハニ政権が今後、外資導入や経済開放を進めようとした場合、防衛隊関連企業の抵抗が予想される。

 

 内政の安定には、若年層の雇用創出も急務だ。失業率は若年層で3割近いと言われる。経済的不満から保守強硬派への傾倒を強めることを抑止するためにも経済成長の加速は不可欠だ。

 

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イランの大統領選挙で何が重要なのか?(What’s at Stake in Iran’s Elections?

 

エミリー・タムキン筆

2017年5月19日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2017/05/19/whats-at-stake-in-irans-elections-rouhani-raisi/

 

イラン国民は金曜日、次期大統領を誰にするかを決める投票を行う。大統領選挙には複数の候補者が立候補しているが、主要な選択肢としては、中道改革派で2期目を目指す現職大統領ハサン・ロウハニと、保守派強硬路線のイブラヒム・ライシの2人に絞られている。最も人気があったモハンマド・バーゲル・ガリバフが選挙戦から撤退し、ライシ支持を表明したためにこのような状況になった。

 

誰が大統領になるだろうか?そして、選挙結果がイランの国際関係においてどのような意味を持つであろうか?

 

コロンビア大学教授リチャード・ネヒューは本誌の取材に対して、「ロウハニが当選すると考えます」と述べた。

 

読者の皆さんがご存知のように、最高指導者と諜報機関がライシを大統領にしたいと後押しをしているという疑いがあるし、人々の間には、国際関係を改善して好景気をもたらすというロウハニの公約が果たされていないという不満が高まっている。しかし、ネヒューは、投票率が期待通りに髙ければ、ロウハニが2期目に向けた当選に困難に直面することはないだろうと述べた。

 

ロウハニが勝てば、人々の信任を示す票差での勝利であれば、イランの対西側各国への政策は大きくはそのままであろう。イランはアメリカとの間で、イラン核開発合意として知られる包括的共同行動計画を堅持するだろう。ドナルド・トランプは自身の大統領選挙期間中、合意の破棄を主張したが、現在のところトランプは合意の維持を表明している。

 

ロウハニは、更なる経済改革を進めるだろう。ロウハニは、アメリカとの合意から経済的利益を得ることができるとロウハニは主張しているが、そのためには経済改革が必要となる。そして、ロウハニは経済分野における諜報機関の存在を排除しようとするだろう。ロウハニが地滑り的勝利をした場合に不都合なことがあるのだろうか?ロウハニが圧倒的な勝利を収めた場合、最高指導者とその周辺は、ロウハニの羽を縛ろうとするだろう。

 

それではライシが勝利した場合はどうなるだろうか?ライシは他の候補者と同様に、包括的共同行動計画の維持を主張しているが、この合意からイランが利益を得るために必要な経済改革を進めることはないだろう。そうなると、イラン国民は、経済が良くならないのに、合意を維持する必要はあるのかと考えるようになるだろう。

 

しかし、ライシの勝利は状況を悪化させるだろう。特にアメリカとの関係に悪影響を与える。ネヒューは、トランプ政権がライシ勝利をイラン国内における強硬派の台頭の徴候と捉え、イラン政府との協力は望めないと捉えるならば、「強硬派同士である、トランプとライシ同士の競争が起き、良くない状態になる」と述べている。

 

投票日の金曜日、トランプは大統領としての初めての外遊をサウジアラビアから始める。大統領選挙の結果によっては、中東の情勢は更に爆発しやすくなるだろう。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)





アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22

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野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 昨年末から今年初めにかけて、世界的には何だか元気のない状況になっています。2016年に景気上昇するという予測は立ちづらく、更にはテロの危険が世界各国に拡散しているとして、みんなで盛り上がろう、という感じはありませんでした。

 

 日本では昨年末に、日中戦争、太平洋戦争中の韓国人女性の従軍慰安婦問題について、日韓両国で最終的な解決となる合意がなされました。安倍晋三総理大臣は、従軍慰安婦に関して様々な疑義を呈する立場を取っていましたが、最終的には謝罪の声明を、岸田文雄外務大臣を通じて発表しました。日韓両国で外交関係上は「これ以上、この問題を蒸し返さない」ということになりました。今回の合意について、日本の安倍政権を支える右翼や一部保守派、韓国国内の様々な勢力から批判が出されました。今回の合意に関しては、第三国であるアメリカの意向が強く働いて、ある意味で急転直下の合意ということになりました。安倍晋三政権の「リアリスト(現実主義的)」外交の勝利ということを言う人たちもいましたが、第三国、しかも宗主国の意向を受けて慌てて合意するような外交、自主的に自分たちの抱える問題を解決できないような外交はリアリスト外交とは言いません。

 

 中東では、イスラミック・ステイト(IS)に対するロシアの攻撃があり、ISの勢力が減退しつつあるようです。結局、アメリカ(とサウジアラビア、イスラエル)が直接、間接に育てたISの始末をつけるのに、他人であるロシアの手を借りねばならなくなったという大変情けない状況になりました。いい面の皮となったのがシリアで、シリアのバシャール・アサド大統領の政府軍と反政府軍の内戦だったものが、いつの間にか、中東を巻き込む「代理戦争」となって、シリアは悲惨な状況になってしまいました。

 

 そうした中で起きたのが、サウジアラビア、バーレーンとイランの断交(外交関係の断絶)です。サウジアラビアがイスラム教シーア派の聖職者を処刑したことで、イラン国民の一部が激怒し、テヘランのサウジアラビア大使館を襲撃したことがきっかけで、サウジアラビアがイランの外交団の国外追放を決めました。サウジアラビアとしては全て予定の範囲内の、シナリオ通りの行動と言えるでしょう。

 

 イランはアメリカとの間で核開発を巡り、核兵器を開発しないことで合意に達していました。ここからイランとの間で国交正常化まで進む可能性もあります。そうなると、中東世界におけるサウジアラビアの影響力は低下します。更には、ISの脅威もサウジアラビアにとっては深刻です。ここで、不安定な中東世界にさらに不安定な要素を加えることで、低落傾向が続く原油価格は上昇しますし、アメリカも改めて、サウジアラビアに対するご機嫌取りに動くという計算もあるでしょう。 

 

 中東が不安定さを増す中で、アジアでも不安定さを増す事件が起きました。本日、北朝鮮が水爆実験を行ったと発表しました。これによって、北朝鮮を取り巻く日中韓は難しい状況に置かれてしまいます。アジア地域は経済発展が著しい訳ですが、安全保障環境が不安定になれば経済にも悪影響を及ぼすことになります。

 

 新年早々から、世界は不安定な状況に置かれてしまいました。しかし、こうした状況を利用しようとするのが、アメリカのネオコン(共和党)・人道主義的介入派(民主党)です。考えてみれば、こうした状況ではアメリカの軍事介入が望まれるようになるのですから、アメリカの優越と軍事介入を主張している両グループにとっては、渡りに船の状況です。

 

 サウジアラビアとイランが直接、事を構える(ミサイルを撃ちあう)、それにイスラエルが絡むということになれば、中東で新たな戦争が起きるということもあるでしょう。アジア地域では、北朝鮮の存在のために中国が苦境に立たされることもあるでしょう。

(23:05に加筆します。)

 

 私はオバマ政権最後の1年となった2016年、アメリカと北朝鮮との間で、イランやキューバの場合と同じく、ホワイトハウス主導で緊張緩和があるのではないかと考えていました。しかし、今回、北朝鮮が水爆実験を行いました。北朝鮮内部に、アメリカとの緊張緩和を妨害したい勢力がいるのだろうと推測されます。彼らは北朝鮮の今の体制を維持したいのだろうと思います。そして、こうした勢力はアメリカ国内のネオコン・人道主義的介入派とつながっているのだろうと思います。彼らの使嗾もあって、何カ月も前から水爆実験の準備が進められ、今回行われたのではないかと私は考えます。

 
 年末年始にかけて起きたことを一つの線で見てみて、「誰が一番得をするのか」ということを考えると、ネオコン・人道主義的介入派ということになります。アメリカは今年、大統領選挙の年で、来年には新しい大統領が誕生します。昨年の段階で、既にヒラリーの勝利がほぼ確定的と言えるでしょう。彼女の介入主義にとって、世界が不安定であることは、「得」なことなのです。一連の事件の裏には、アメリカの両グループとそれらに結び付いた現地勢力がいることは間違いないと言ってよいでしょう。
 

 アメリカのネオコン・人道主義的介入派が喜ぶような状況になれば、安保法制を成立させている日本に寄せられる期待(命令)は大きなものとなります。2016年、そして新年早々来年のことを言うと鬼が笑うかもしれませんが、2017年は世界にとって何か大きなことが起きて、多くの人々が苦難に苦しむようなことになるのではないか、と私は危惧しています。

 

(終わり)








 
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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-10-28



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 今回はオバマ政権の現実主義とイランとの核開発合意に関する記事をご紹介します。私は常々、外交においては現実主義と理想主義(左派と右派)が存在すると書いてきました。そして、オバマ大統領は現実主義的な外交政策を行っていると拙著『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所、2012年)でも明らかにしました。このことを裏付ける記事になっています。

 

 この記事の内容で言えば、今の安倍晋三政権と自民党は外交においては、非現実的な理想主義者ということになります。それも戦争をしたがって仕方がない、アメリカで言えばネオコンと同じ存在です。日本国民の多くが2000年代のアメリカ国民と同じくその危険性に気付き出していると私は感じています。

 

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イランは現実主義の良い具体例である(Iran and the case for realism

 

EJ・ディオンヌ筆

2015年8月30日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/opinions/iran-and-the-case-for-realism/2015/08/30/ba028102-4dc2-11e5-84df-923b3ef1a64b_story.html

 

外交政策を巡る議論はほとんどの場合、国内政治の争いを反映したものとなる。しかし、同時に語られない前提と認識されない諸理論に基づいてもいるものだ。

 

 これはイランとの核開発を巡る合意に関する論争にも当てはまる。もちろん生の現実政治は大変に大きな役割を果たしてはいる。共和党所属の連邦上院議員ジェフ・フレイク(アリゾナ州選出)とスーザン・コリンズ(メイン州選出)は条件さえ整えば、合意に賛成することにやぶさかではないようだ。しかし、党に対する忠誠心をテストすることになるこの問題で、同僚たちとは違う行動を取ることについて高い代償を支払うことになることもまた計算しなくてはならない。

 

 イスラエル首相ベンジャミン・ネタニヤフはアメリカ連邦議会で親イスラエルと反イスラエルの争いを激化させようとしたが、これは不幸なことだ。イスラエルの強力な支持者たちの多くは、イランの核開発を査察する制度について特に批判することになるだろう。しかし、彼らはイランの核開発プログラムに対する制限は現実的だとも信じている。連邦上院議員ベン・カーディン(メリーランド州選出、民主党所属)は、アメリカの交渉担当者たちは、「核開発の最前線に立っていた」と語った。これは「核開発の最前線は主要な点である」ということなのである。

 

 まだ態度を決めていないカーディンと他の民主党所属の連邦議員たちに対する、合意に対して反対票を投じるように求める圧力は大きなものとなっている。連邦上院外交委員会の幹部であるカーディンが賛成票を投じると、これは真に勇気のある行動ということになるだろう。そして、態度を決めかねている同僚たちにとって大きな影響を与えることになるだろう。

 

 オバマ大統領と関係諸国は、連邦議会によって合意が否決されてしまうことで生まれる危険性について語っている。これは正しい。この危険は、合意を有効なものとすることよりもリスクが高いものとなる。アメリカは合意を破棄して、より厳しい合意条件を実現するために再交渉すべきという考えも存在するがこれは全く非現実的なお笑い草でしかない。それはこの合意は単なるアメリカとイラン、2か国間のだけの合意ではないからだ。この合意には合意内容を強力に支持する関係諸国も含まれているのだ。これまで続けてきたイランに対する経済制裁を再び行うことを提案することもまた同じ理由で馬鹿げている。アメリカに協力した国々は、アメリカが一度結んだ合意を破棄しても、合意を破棄することはないであろう。

 

オバマ政権は反対している人々に対してこの質問を中心にして挑戦している。それは「それでは他の選択肢は何になりますか?」というものだ。これはただの言葉遊びの質問ではない。

 

 現在の連邦議会の情勢分析では、オバマ大統領は合意を有効とするための議員の賛成票を最低限確保できるだろうと言われている。オバマ大統領は合意を無効化するための試みを阻止するための41名の上院議員の支持を得るための秘密兵器を持っている。カーディンの投票はカギを握ることになるだろう。

 

 しかし、ひとたびこの話が落ち着いたら、オバマ大統領、議会における反対派、大統領選挙立候補者たちは世界におけるアメリカの役割についてどのように見るかについて大きな議論をすることになる。オバマ大統領は分かりにくい「オバマ・ドクトリン」について説明し、共和党の有力な大統領候補者であるスコット・ウォーカーとマルコ・ルビオが金曜日に行った批判に少なくとも間接的に反論することで利益を得ることが来出るだろう。

 

オバマ大統領が主として外交政策において現実主義者であると多くの人々がいる(私もその中の一人である)。特にアメリカがイラクで冒険主義的な愚かな行為を行った後、現実主義はこれまでよりもより良いものだと考えられるようになっている。私は、現実主義者は、「アメリカは民主的な価値観と人権のために戦わねばならないが、軍事面における過度の拡大は、アメリカの国益と長期的な強さにとって致命的な危険である」と考える人たちだと考える。オバマ大統領の外交を擁護する際によく使われる論法は、「確かにいくつかのミスを犯したが、軍事力で出来ることとできないことに関する彼の現実主義は、アメリカの外交アプローチを再定義し、アメリカを正しい方向に戻すことに成功した」というものだ。

 

 この議論を始めるのにより材料となるのが、『ナショナル・インタレスト』誌の創刊30周年記念号に掲載されたリチャード・K・ベッツの「現実主義による説得」という論文だ。ベッツは現実主義の立場に立つ高名な知識人だ。ベッツはコロンビア大学に属する学者でもある。ベッツは「現実主義者は動機よりも結果をより重視する。現実主義者は良い動機が如何にして悲惨な結果を生むのかという点に注目する」と主張している。理想主義的なリベラル派と保守派は共に「正しい考えを支持し、悪と戦う」と強硬に主張するが、現実主義者は、「私たちが直面している選択肢は“より大きな悪とより小さな悪の間に存在する”」と主張する、とベッツは述べている。

 

 ベッツは「敢えて過度な一般化の危険を冒すが、理想主義者は勇気について心配し、現実主義者は制約について心配をする。理想主義者は武力によって悪に対峙することの利益を重視するが、現実主義者はコストを重視する。全体として、現実主義者は思い上がりではなく、抑制を求める」と書いている。

 

 頭の中は現実主義になりつつありながら、精神は今でも理想主義である私たちのような人間にとっては、現実主義は冷たくて、道徳的に不十分だと思ってしまう。しかし、現実主義の道徳は、人々の生命、財産、実行不可能な試みのための力の浪費することが道徳に適っているかどうかということになる。現実主義を批判する人々はイランとの合意に反対している人々が受けているのと同じ質問に直面する。それは「それでは他の選択肢は何になりますか?」というものだ。

 

(終わり)







野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

ダニエル・シュルマン
講談社
2015-10-28



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 今回はアメリカとイランとの間の核開発を巡る合意について当事者のアーネスト・モニス米エネルギー庁長官の書いた記事を皆様にご紹介します。この枠組みは北朝鮮にも応用できるのではないかと思います。

 

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交渉担当者がイランとの核開発に関する合意の科学を詳しく解説(Negotiator Breaks Down Science of Iran Nuclear Deal

 

アーネスト・モニス(Earnest Moniz、米エネルギー省長官)筆

2015年7月30日

『フォーワード』誌

Ernest MonizJuly 30, 2015Image: Getty Images

http://forward.com/opinion/318187/negotiator-breaks-down-cheat-proof-iran-nuclear-deal/

 

 本誌は7月15日付の論説で読者の皆さんに対して、ジュネーブで交渉が行われ最終的に合意に達した、イランの核開発をめぐる合意について賛成するか、反対するかを決定すする際に、また今回の合意がイスラエルにとっての脅威を増大させるかどうかについて考える際に、「生産的で、理性的、思慮深く、適度に懐疑的に、そして関与」するように訴えた。

 

 まず基本的なことを言えば、現状維持は受け入れられないことは多くの人々が認めるところだ。そうなると、今回に合意について読者の皆さんは是々非々で内容を検討すべきであろう。そこで、今回はこの場を借りて、私は今回の合意が如何にしてアメリカ、イスラエル、そして世界の安全保障を強化することになるかについて説明したい。

 

 今回の合意はJCPOA(包括的共同行動計画)と呼ばれる。今回の合意によって、イランが核兵器を製造するための武器に適した原材料を十分に製造することを効果的に防ぐことが出来る。これはイランが核兵器に必要なウランの濃縮に必要な期間が現在は2、3カ月であるのを少なくとも1年に延ばすことになる。これだけの時間があれば、アメリカと同盟諸国は強力な対処を行うことが出来る。また、合意によって協定違反を発見するためのこれまでにない確認のための道具も使えるようになる。しかも、私たちの側の持つ幾つもの選択肢を一つも放棄したものではない。

 

 今回の合意は、諸大国とイランとの間で成立したもので、イランは核兵器を開発も所有もしない代わりに、この対応に見合った見返りを与えるというものだ。合意に署名した中国、ロシア、フランス、ドイツ、イギリス、ヨーロッパ連合、アメリカの共有した目的はこれまでにないものであった。

 

 重要なことは、科学が正解を導き出したことだ。私はマサチューセッツ工科大学で40年にわたり原子物理学の教員をしていた。そして、この1年の大部分はイラン側の原子力専門家たちとの交渉に費やした。そして、私はエネルギー省管轄下の国立研究所と核関連施設のトップクラスの専門家たちによる地道な分析に頼ることが出来た。

 

●武器製造への道筋を塞ぐ

 

 JCPOAはイランが核兵器を製造するために必要な物資の製造への道筋を一つ一つ塞ぐものとなっている。

 

JCPOAによってウランの貯蔵量は劇的に削減される。イランは低濃度濃縮ウランの貯蔵量を98%削減することになる。また、高濃度濃縮ウランの場合は20%が削減される。これによって、イランは1年間の濃縮期間で高濃度のウラニウムを製造し、10発以上の核兵器を製造する状態から1発も製造できないようになる。

 

②遠心分離器 イランは現在保有している遠心分離器の3分の2以上を廃棄しなければならない。現在1万9000を保有しているがそれを5000にまでする。そして、これから10年でイランでは古くなって能力も減退した原子分離器が稼働することになるだろう。

 

③プルトニウム製造の道筋を絶つ。イランはアラク原子炉を1年に1発から2発の核兵器を作れるだけのプルトニウムを作れる施設からそれ以下の低濃度のウラニウムを製造でき雨量に転換する。これによってごまかしは容易に止めることが出来るようになる。高濃度ウラン製造を更に防止するために、イランはプルトニウムを抽出できる使用済み核燃料を全て国外に運び出すことになる。

 

●これまでにないレヴェルの確認とアクセス

 

 これまでにないレヴェルの確認作業を行うことで合意内容の遵守を担保できる。信頼は問題ではない。国際原子力エネルギー機関(IAEA)はイランに核関連施設に対する十分なアクセスと調査のための道具を持つことになる。

 

 イラン側が届け出た施設に対して、調査官たちは最短2時間前の通告で定期的に調査のために立ち入ることが出来る。届け出ていない施設に関しては、24時間以内の立ち入りが認められる。イランが施設への立ち入りについて異議を申し立てる場合、24日以内に紛争を解決し、立ち入りを行うための重要なそして新しい道具が提供されることになる。

 

●ごまかしを探し出す

 

 IAEAはごまかしと合意内容遵守違反を見つけることが出来る。核物質をトイレに流してしまったり、隠してしまったりは不可能なのだ。放射能はその存在の痕跡を残すものであり、私たちはその痕跡を見つける方法を知っている。

 

 1980年から、アメリカはロスアラモス国立研究所でIAEAの全調査官を訓練してきた。私たちは10以上のコースを開講し、調査官たちが最新式の調査機械と電子封印用の機械を使いこなせるようにして来た。これらの道具の多くはアメリカが開発したものだ。

 

 更には、将来イランが合意内容遵守を拒否する事態になったら、私たちにはそれに対処するためのいくつもの選択肢が存在する。その中には、核開発を行ったある国に科される中で最も厳しい金融・経済制裁を再び科すことも含まれている。

 

●永続的な、透明性の確保された合意

 

 今回ジュネーブで承認された計画は最終的なものではない。これから10年、もしくは15年、20年、25年の間に出いくつかの手直しがなされるだろう。しかし、透明性とイランの根本的な義務である核兵器開発プログラムの廃棄は恒久的なものだ。

 

 今回の合意に関して、いかなる「付帯事項」も「秘密協定」も存在しない。JCPOAは、イランが最終的にIAEAと協力させることになる。イランはIAEAを満足させるために核兵器開発に必要な行動を全て取り止めることになる。イランはIAEAに対して非公開の文書を提出する義務を負うことにもなる。

 

 もちろん、アメリカと友好・同盟諸国の情報収集能力によっていかなる秘密の行動も止めることが出来る。アメリカの国家情報局長官は「合意がなくても100%の革新を得ることはできるが、合意によってイランのプログラムの可視性を手に入れることが出来る」と発言した。イランがいかなるごまかしをやろうとしてもそれにはリスクが伴い、その結果、国際社会の厳しい反応が返ってくるようになる。その結果、秘密の活動を防止することが出来る。

 

●私たちの基本線

 

 オバマ大統領と私は、イランが核兵器開発に成功し、実際に核兵器を所有することは、イスラエルと中東地域にあるアメリカの友好国や同盟国の存在を脅かす脅威になると確信している。間違って欲しくないのだが、交渉を始める前、イランは核兵器を開発寸前の状態にあった。今回の合意は、そうしたぎりぎりの状態から引き戻し、私たちの持つ調査能力を引き上げるものとなった。

 

 今回の歴史的な合意は、イランの核開発の脅威を消し去る最善の機会となった。アメリカと国際社会は、イランが中東地域で行っている行動が引き起こしているいくつかの問題について、強力で協調的な手段を通じて対処することが出来る羽陽になったのだ。

 

 アメリカは世界の経済、軍事、外交の指導者である。私たちはイスラエルとイスラエル国民の安全に対して責任を負っている。イランが核兵器を所有することはこれからも許されないだろう。今回の合意はこの決意を新たにし、責任をますます重いものにする。

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23





 

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