古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:インフレーション

 古村治彦です。

 ロシアによるウクライナ侵攻によって世界は戦時管理体制に入っていく。戦時管理体制とは物資の配給も含めた統制経済ということだ。これは先進諸国では起きないだろうが、アフリカ諸国や中東諸国では食料を国民に行きわたらせるために、配給ということにもなりかねない。戦時中の日本やイギリスなどと同じような状況になっていく。戦争当事国であるロシアやウクライナでもそのようになっていくだろう。このような状況では食料を含む実物資産を生産している国々が相対的に強くなるが、そうした国々の多くは対ロシア制裁に慎重であり、この点で非常に懸命な動きをしていると考える。先進諸国は対ロシア制裁を主導しているが、そのためにそれぞれの国内に住む人々に物価高らスタグフレーションへというリスクを負わせることになっている。

これまでこのブログでもご紹介したように、ロシアはカナダと並んで安価な肥料の輸出大国であり、ロシアに対する制裁は世界規模での農業生産にも影響を与える。そもそも食料不足が予想されるからと言って、食料生産を急に倍増させるということはできない。耕作地には限界があるし、肥料が足りないとなれば収穫予想はそこまで増えない。そうなれば食料不足は世界規模で申告は問題になる。日本では食料品の価格が上昇していくことは確実で、これに石油の価格上昇も加われば、その上昇幅はより大きくなる。生活に困窮する人の割合が更に大きくなっていくだろう。

対ロシア制裁に慎重な国々が多く存在するのは当然のことだ。今はウクライナ国民支援で寄付金や義捐金が日本国内でもどんどん集まっているが、日本国民でそのような義捐金を上げたくても上げられないそんな人の数がこれからどんどん増えていく。そして自分たちが寄付金や義捐金を貰わねばならないという人たちも多くなっていく。更に言えば、石油価格の高騰によって全ての財の価格が上がっていく。全ての財には物流コストが含まれる。それを抑えようとすれば結局人件費を抑制するしかなくなる。そうなれば物価は上がっていくが賃金は上昇しないというスタグフレーションということになる。これまでは、賃金は上がらないが物価も上がらないというデフレーションの状況が平成時代から30年近く続いた。しかし、これからはコストプッシュ型インフレーションによるスタグフレーションの懸念が高まる。

 私たちはウクライナ戦争から遠く数千キロ離れた日本に暮らしている。しかし、既に戦争に巻き込まれている。戦時体制に組み込まれている。寄付や義捐金を直接払わなくても戦争によるコストを負担している状況だ。私たちはいつまでこの状況に耐えられるかだが、スタグフレーションに陥ってしまえば耐乏生活も長くは続けられない。

(貼り付けはじめ)

●「最大1300万人栄養失調の恐れ 小麦などの価格高騰、供給不足で」

3/25() 15:53配信 共同通信

https://news.yahoo.co.jp/articles/dff9e81fb5643869147b9c01bd0fb5e865ba970b

 ロシアのウクライナ侵攻による混乱で小麦などが供給不足に陥り、202226年に世界で最大1300万人が栄養失調になる恐れがあることが国連食糧農業機関(FAO)の試算で25日までに明らかになった。小麦価格は2割超上昇する可能性があり、FAOは「一刻も早く農民が平和に働けるように助けてほしい」と戦闘の終結を訴えている。

 先進7カ国(G7)は24日、ベルギーで開いた首脳会合で、世界的な食料危機の予防・対応のために行動することを盛り込んだ声明を採択。FAOに対し、臨時理事会の開催を要請することを決めた。

 ロシアとウクライナ両国は、農業大国として知られる。

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ロシアによるウクライナ侵攻に伴う食糧不足の「真の」リスクをバイデンが警告(Biden warns of 'real' food shortage risk over Russia's invasion into Ukraine

アレックス・ガンギターノ筆

2022年3月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/599678-biden-warns-of-food-shortage-from-russias-invasion-into-ukraine

ジョー・バイデン大統領は木曜日、ロシアによるウクライナ侵攻を理由とする世界規模での食糧不足に警告を発し、潜在的な危機を防ぐための措置を発表した。

バイデン大統領は現在NATO諸国の指導者たちと会談を続けているブリュッセルにおいて記者会見を開き、「私たちは食料不足について話をした。そしてそれは現実に起こるだろう。ロシアに対する制裁の代償は、ロシアだけでなく、ヨーロッパ諸国や我が国を含む非常に多くの国々にも科せられている」と述べた。

例えば、ロシアとウクライナは共に小麦の供給国であるが、バイデン大統領は、アメリカとカナダも主要な小麦生産国であることを指摘した。

バイデン大統領は3月24日、ヨーロッパ連合(EU)のウルスラ・フォン・デア・ライエン大統領との共同声明で、食料危機を防ぐため、世界の食料安全保障を高め、必要な場合には直接食料援助を行うために、ヨーロッパ連合と協力し、努力を強化する意向を表明した。

バイデン大統領は、NATOの指導者たちが、ヨーロッパ諸国をはじめとする全ての人々に、「食料を海外に送る際の制限に関する貿易制限を終わらせるよう」促すことについて話し合ったと述べた。

バイデン大統領は、「アメリカと同盟諸国は、インフレーションの上昇と長引くサプライチェインの問題の中で、食糧不足の懸念を軽減する方法を模索している最中だ」と述べた。

バイデン政権高官たちは、ロシアの侵攻が特に中東とアフリカの食料安全保障を危うくする恐れがあると警告した。

政権高官たちは木曜日朝、「ロシアによる侵略戦争は、黒海地域からの重要な農産物の供給を中断させる恐れがあり、世界の食料安全保障、特に中東とアフリカの脆弱な人々のための食糧安全保障を危うくする」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)


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20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 ジョー・バイデン大統領による一般教書演説が行われた。ロシアのウクライナ侵攻を受け、内容の修正が直前になって行われたということだ。新型コロナウイルス対策とインフレーション対策という国内政策が演説の主眼になると見られてきたが、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、外交政策が重要なポイントということになった。

 実際の演説は1時間ほどで最初はやはりロシアによるウクライナ侵攻が取り上げられた。プーティンを非難し、制裁には世界各国が参加しているとして、それらの国名をずらずらと列挙した。「自分たちの側が正しい」という正当性を示すために国名を列挙したと言える。その後は新型コロナウイルス対策と経済対策に話が移った。全体としては総花的で、可もなく不可もなく、ただ民主党系の議員たちを中心に無理やりにでも盛り上がっているように見せようとする意図が透けて見えて興ざめした。そのため、演説中にバイデンの話と拍手の呼吸が合わずに、バイデンの調子が上がらないようになってしまっているように感じた。

 バイデンは年齢もあるので仕方がないが、言い間違いがあり、プロンプターを読むのにいくつかの言葉や業を繰り返すところがあり、言葉に詰まるところがありであまりうまい演説という訳ではなかった。途中で早口になったところもあり、ささやくような声で話すところと大声を張り上げるところがあったが、これは私としては生理的に受け付けられず、気持ち悪く感じた。演説のうまさで言えば、バラク・オバマ元大統領はうまかったと思う。

 サキ報道官が演説の直前に「楽観主義について語る」と述べていたが、結局のところ、「このような厳しい時代ではあるが、私はこれまでの人生において最もアメリカに対して楽観的(optimistic)である」とバイデンが述べたところがそれに当たるのだろう。

 バイデンの演説を聞いて元気が出たかと言われたら、答えは「ノー」だ。内外共に厳しい状況の中で、名演説を行えば、バイデンの評価も変わったことだろうが、結局のところ、非常に「凡庸な」大統領による「凡庸な」一般教書演説となった。

(貼り付けはじめ)

バイデンは一般教書演説でプーティンを非難し、団結を呼びかけ(Biden condemns Putin, projects unity in State of Union address

モーガン・チャルファント、ブレット・サミュエルズ筆

2022年3月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/596453-biden-condemns-putin-projects-unity-in-state-of-union-address

ジョー・バイデン大統領は火曜日、ロシアのウクライナ侵攻という見通し不透明の状況の中で初の一般教書演説を行い、アメリカの議員たちや海外の同盟諸国の結束(unity)を示し、ロシアのウラジミール・プーティン大統領を非難した。

バイデンは「6日前、ロシアのウラジミール・プーティンは、自由世界の思想の根幹(foundations of the free world thinking)を揺るがそうとした。しかし彼は大きな誤算を犯した」と述べた。

バイデンは続けて「プーティンのウクライナに対する最新の攻撃は、計画的であり、全くいわれのないものだった。彼は何度も何度も外交努力を拒絶した。彼は西側とNATOが反応しないと思っていた。彼はアメリカ国民を自宅で、この議場で、この国で分裂させることができると考えた。彼はヨーロッパでも私たちを分裂させることができると考えた。プーティンは間違った。私たちは準備ができている。私たちは団結している」と述べた。

バイデン大統領は、62分間の連邦議場での一般教書演説のうち、最初の10分間をヨーロッパで進行中の危機について述べた後、インフレーションや新型コロナウイルス感染拡大への対応といった国内の優先事項に目を向けた。

バイデン大統領は演説の中で、EUやカナダに続いて、ロシアの航空機をアメリカの領空から追放する計画を発表し、アメリカと30か国が紛争によるエネルギー価格の高騰に対処するため、戦略備蓄(strategic reserves)から6千万バレルの石油の放出を強調した。

バイデン大統領は、「私たちは同盟諸国と団結し、必要に応じて更に多くのことを行う用意がある。皆さん、知っておいて欲しい。私たちは大丈夫だ」と述べた

「将来この時代の歴史が書かれる時に、プーティンのウクライナ戦争はロシアを弱くし、世界の他の国々を強くするだろう、と書かれるはずだ」とバイデンは語った。

バイデン大統領のウクライナに関する言葉遣い、特にファーストレディ(大統領夫人)の隣に座る駐米ウクライナ大使を称賛する発言は、プーティンに対して厳しい姿勢を貫くことを誓い、超党派の喝采を浴びた。民主、共和両党の連邦議員たちは、ウクライナの国旗の色にちなんで、青と黄色の服を着ていた。

しかし、演説の他の部分は、もっと党派分断的な反応があった。

バイデン大統領がトランプ政権時代に成立したアメリカの富裕層向け減税を非難すると、民主党は嘲笑の声を上げた。バイデンが来年の国内政策の計画を打ち出すと共和党の拍手はまばらで、バイデンが移民について話すと「その壁を作れ」と唱えた共和党所属の議員もいた。

バイデン大統領は、演説の前の数日間、バイデンが経済を後退させたという共和党側からの批判に反論しようと、特に消費者と中流家庭を苦しめている記録的な高いインフレーション率について発言していた。

バイデン大統領は、昨年650万人分の雇用が増加したことを売り込み、昨年(2021年)秋の超党派によるインフラ法の成立を強調し、同法の施行に伴い、今年中に6万5000マイルの高速道路と1500の橋の補修を開始する計画を発表した。

また、ジル・バイデン大統領夫人のゲストとして出席したインテル社のパット・ゲルシンガーCEOについて言及し、アメリカの製造業への投資が拡大していることを強調した。

また、バイデン大統領は、議会で停滞している政策を活性化させるため、「ビルド・バック・ベター」法案を「ビルド・ア・ベター・アメリカ」法案として名前を付け替えることを発表した。バイデン大統領は、経済計画をインフレーション対策として捉え直し、処方箋薬のコスト削減、気候にやさしい技術への投資によるエネルギーコストの削減、育児費用の削減などの行動を議会に呼びかけた。

バイデンは、「これをやり遂げよう。私たちは皆、変化を起こさなければならないことを知っている」と述べた。

バイデンはまた、共和党の反対で保留になっている連邦準備制度理事会の候補者を承認するよう連邦上院に呼びかけ、インフレーションに対処する力の多くは連邦準備制度にあることを指摘した。

バイデンは、民主党と共和党が互いを「敵」としてではなく、「同じアメリカ人」として見るよう呼びかけ、新鮮だが親しみのある団結を訴えた。彼は、麻薬の蔓延との戦いや、ソーシャルメディアにおける子供のプライバシー保護の実施など、両党の議員が共に取り組むことのできる議題をいくつか提示した。

一般教書演説の多くの時間で、バイデン大統領は企業が公正な税負担をするよう求め、中間層(middle class)を強化し、ペンシルヴァニア州スクラントン出身であることを言及し、協力すれば国は強くなると訴えるなど、選挙期間中に支持者に向けて行った演説のテーマと同じものだった。

バイデンは「このような厳しい時代ではあるが、私はこれまでの人生において最もアメリカに対して楽観的(optimistic)である」と述べた。

民主党の中には、歴史的な傾向、インフレーション、新型コロナウイルスのしつこい流行などを理由に、2022年11月のチャンスについて悲観的な(pessimistic)見方をする人たちもいる。しかし、火曜日、ウイルスに対する政府の取り組みに、ある種の転機が訪れた。

議場ではマスクの着用が義務付けられておらず、ほとんどの議員がマスクをせず、感染拡大の新たな局面を迎える時であることを示唆した。

「昨年は新型コロナウイルスによって、私たちはバラバラになってしまった。昨年は新型コロナウイルスが私たちをバラバラにしてしまったが、今年、私たちはついに再び一緒になった」と、バイデンはマスクで顔を覆わずに議場に入った後、このように発言した。

一般教書演説の中で、バイデン大統領は、国が安全に正常な状態に戻ることができると楽観視する理由として、ワクチン接種の普及、ブースター接種や治療法の利用可能性、より広く利用可能な検査を挙げた。

バイデンは「私たちは、他の病気と同じように、ウイルスとの闘いを続けていくつもりだ。そして、このウイルスは変異して広がっていくので、私たちは警戒を怠らないようにしなければならない」と述べた。

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バイデンの一般教書演説における5つの注目を集めた瞬間(Five viral moments from Biden's State of the Union

サラクシ・ライ筆

2022年3月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/596450-five-viral-moments-from-bidens-state-of-the-union

ジョー・バイデン大統領は、ロシアのウクライナ侵攻、インフレーションの亢進、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、火曜日、彼自身初の一般教書演説を行った。

しかし、この演説は、大統領を罵倒する聴衆から、引退する最高裁判事へのスタンディングオベーションまで、数多くの人々の注目を集めた場面があった。

これから、バイデン大統領の一般教書演説で最も話題になった瞬間をいくつか紹介する。

(1)バイデンの大失言(Biden's big gaffe

バイデンは一般教書演説の中で、ウクライナ人のことを「イラン人」と言ってしまい、明らかな失態を犯してしまった。

この失言は、演説の冒頭で、ウクライナへの侵攻を開始したロシアのウラジミール・プーティン大統領を非難する際に起きた。ウクライナ人への賛辞は超党派の拍手を集めたが、彼の失言をソーシャルメディア上にいる人々は見逃さなかった。

一般教書演説の公式原稿によると、バイデンは「プーティンは戦車でキエフを取り囲むかもしれないが、ウクライナ人の心や魂を得ることはできない」と言いたかったようだ。その代わりに、バイデンは「プーティンは戦車でキエフを取り囲むかもしれないが、イランの人々の心と魂を得ることは決してできない」と言ってしまった。

この発言はツイッター上で広く共有され、連邦下院司法委員会共和党委員会のアカウントも「イラン人?」とツイッター上に投稿した。

(2)バイデン大統領の演説に意気込みを見せたシューマー(Schumer shows his enthusiasm for Biden's speech

バイデン大統領に対して少しばかり早めにスタンディングオベーションを始めたことで、チャールズ・シューマー連邦上院院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)の熱心過ぎる反応がツイッターを騒がせた。

バイデンは演説の中で、「アメリカ人の上位1パーセントに恩恵を与えた前政権で成立した2兆円の減税とは違うのだ」とトランプ前大統領のことを言い始めた。

バイデンが発言している間に、一人だけで立ち上がったシューマーが拍手しているところにカメラが切り替わった。シューマーはニヤニヤしながら通路の向こう側を見て、そして座り直した。

バイデンは続けて「"アメリカ・レスキュー・プランは人々を助けることの手助けとなり、誰も置き去りにしなかった」と述べた。

シューマーは再び椅子から勢いよく立ち上がり、今度は多くの民主党の同僚議員たちも加わって、バイデンに満腔の拍手を送り始めた。

バイデン大統領の演説が続く中、カメラに映ったシューマーのおかしな姿はSNS上で広く共有され、その気まずい瞬間をすぐに「gif」化するよう求める声が多く聞かれた。

共和党所属のマット・ゲーツ連邦下院議員(フロリダ州選出)は、この人々の関心を集めた瞬間について、「ジョー・バイデンのタイミングの悪さとつぶやきを理解しようとする全ての人たちへ」とツイートした。

(3)ボバートがバイデンの演説を罵倒する(Boebert heckles Biden's speech

ローレン・ボバート連邦下院議員(コロラド州選出、共和党)は一般教書演説でバイデン大統領に何度も罵声を浴びせ、ある時はバイデンがアメリカ軍を棺桶に入れたと叫び、「13人も」と叫んだ。

バイデンはボバートの叫び声を無視し、代わりにアメリカの退役軍人が危険な焼却炉(burn pits)に晒されていることについて話し続けた。バイデンは、イラクで燃焼炉の近くで兵役についた後、癌で死亡した息子のボウ・バイデンについて言及した。

ボバートの発言は、民主党議員たちからブーイングを浴びせられた。彼女の仲間の共和党員の多くは、このやりとりを無視しているように見えた。

しかし、ボバートが演説中に口を挟んだのはこれだけではない。

バイデンが最高裁判事指名の話から移民制度改革の話に切り替えたとき、ボバートはマージョリー・テイラー・グリーン下院議員(ジョージア州選出、共和党)と共に「壁を作れ(build the wall)」と叫び始めたが、バイデンは演説を続けた。

彼女は後に「後ろにいる人たちのためにもっと大きな声で言う。壁を作れ!!!」とツイートした。

バイデンの演説中に電話をしているところを目撃されたボバートは、アメリカ人にワクチン接種を受けさせるというバイデン大統領の発言についても非難した。

「なぜジョーは国旗の代わりにファイザーのピンを背広の襟につけないのか? ジョーが誰のために働いているのか、私たちは知るべきだ」とボバートはツイートした。

(4)ブレイヤーに対する最後の歓呼の声(Breyer's last hurrah

 連邦最高裁判所判事スティーヴン・ブレイヤーが連邦議員たちからスタンディング・オヴェイションを受けた際の反応を見て、多くの人々がコメントや投稿を行った。

ブレイヤーは27年にわたり連邦最高裁判事を務め、今年の夏で引退することが決まっているブレイヤーは、議場内での反応と激しい拍手に圧倒されたようだった。両手で顔を覆う仕草も見せた。また、胸に手を当てて立ち上がった。

「今夜、この国のために人生を捧げた人を称えたいと思う。陸軍退役軍人、憲法学者、合衆国最高裁判事を引退したブレイヤー判事に敬意を表したい。ブレイヤー判事、あなたの功績に感謝の意を表する」とバイデンは述べた。

この瞬間に多くの人々がコメントをSNS上に投稿した。民主党系のストラティジストでバーニー・サンダースの補佐官を務めたチャック・ロシャは、「ブレイヤー判事の反応はなんとかわいらしく素晴らしいものだろう」とツイートした。

(5)バイデンはツイッター上で「警察への予算提供」トレンドを作り出した(Biden makes 'fund the police' trend on Twitter

バイデン大統領は、警察に対する発言で、共和党所属の議員も含む議員の大多数から大きな喝采を浴びた。

「私たちは全員、同意するはずだ。答えは、警察への予算を打ち切ること(defund the police)ではない。その答えは、警察に予算を「提供すること」(FUND the police)だ。警察に予算を提供することだ。警察に予算を提供することだ」と述べると、議場内は大きな歓声に包まれ、連邦議員たちは珍しく超党派(bipartisan)で支持を表明した。

バイデンは火曜日の演説で、「銃による暴力を減らすための効果が実証された対策を法案として提出し可決すること」「攻撃銃と大容量弾倉(assault weapons and high-capacity magazines)を禁止し、代わりに、銃製造業者をアメリカ国内で唯一訴えられない業界にし

しかし、バイデン大統領が連邦議会で喝采を浴びる一方、ツイッター上では「警察への予算打ち切り」と「警察への予算提供」をめぐって多くの人々が激しい論争を繰り広げた。

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バイデン大統領の一般教書演説で見るべき5つのポイント(Five things to watch in Biden's State of the Union address

モーガン・チャルファント、ブレット・サミュエルズ筆

2022年3月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/596312-five-things-to-watch-as-biden-delivers-state-of-the-union-amid-war-in

火曜日に行われるジョー・バイデン大統領による初めての一般教書演説は、ウクライナでの戦争のさなかに行われる。

大統領は、アフリカ系アメリカ人女性初の連邦最高裁判所判事候補を指名したばかりだ。しかし、バイデン大統領は、2年間続く新型コロナウイルスの感染拡大とインフレーションの亢進に取り組む、苛立ちを隠せないアメリカ国民に直面している。

バイデンは低調を極める支持率に直面しており、2022年の中間選挙を前にして、それを覆すことができるかどうか疑問視されている。

バイデンにとっての初めての一般教書演説を見るにあたっての5つのポイントを挙げていく。

(1)ウクライナについてどれほど言及するか?(How much of the address is about Ukraine?

数週間前までは国内問題に焦点を当てた演説であろうと考えられていたが、この1週間でバイデンの関心はヨーロッパで進行中の外交危機に移り、演説の中でこれを正面から取り上げるだろうと予想されている。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は月曜日に記者団に対し、「この演説がほんの数ヶ月前に考えられていたものとは少し違う内容となることは間違いない」と語った。

バイデンは、懲罰的な経済制裁でプーティンに対抗するため、同盟諸国を団結させて、一致したアプローチを取ることについて話すと予想される。

クリス・クーンズ連邦上院議員(デラウェア州選出、民主党)は先週、記者団に対し、バイデンが「アメリカが持つ最重要の同盟としての NATO への神聖な関与と、ウクライナ難民やウクライナの抵抗運動(レジスタンス)、そして自由で民主的な西側の未来のための支援を提供する決意とを強化する力強いメッセージを発信するよう」に期待すると述べた。

バイデン大統領は、現在の危機を、大統領にとっての中心テーマとなっている、民主政治体制国家が独裁国家(autocracies)に勝利するための闘いであると位置づけるだろう。また、それがアメリカ人にとってどのような意味を持つのかについても語ることになりそうだ。

バラク・オバマ前大統領の下で国家安全保障会議のヨーロッパ問題担当上級部長を務めたチャールズ・カプチャンは、「この戦争はゲームチェンジャーとなる」と語った。「私たちは、第二次世界大戦後のヨーロッパにおいて、最も重要な戦争を今目撃している。この戦争は世界を変えようとしている。ヨーロッパの再軍備強化(remilitarization)と再分割(redivision)につながるだろう。それは拡大する可能性がある」と述べた。

(2)バイデンは団結を促進できるか?(Can he foster unity?

バイデンは、ワシントンDCにプロフェッショナリズムと超党派性を回復することを誓って就任したが、これまでのところ、彼の優先政策に反対し、彼の大統領としての適性(fitness)を疑問視する共和党から激しい抵抗に遭っている。

バイデン大統領は超党派の支援を集める動きを諦めておらず、超党派のインフラ法案で協力した事例を強調し、最高裁判事候補のケタンジ・ブラウン・ジャクソンへの幅広い支持を求めると考えられる。

ロシアのウクライナ侵攻により、バイデン氏と彼のティームはここ数日、演説の練り直しを余儀なくされているが、この危機は、バイデン政権がロシアへの制裁を強化する中で、バイデンにとって人々を結集させるポイントとなり得るものである。

民主党中道派系シンクタンクであるサード・ウェイの政策担当副所長ジム・ケスラーは、「バイデンという人物の特徴も理由として挙げられるが、国家安全保障の緊張が国を一つにする機会でもあるので、過去の大統領に比べるとより党派的ではない一般教書演説になると思う」と述べた。

それでも、ABCニューズと『ワシントン・ポスト』紙が日曜日に発表した世論調査の結果によると、バイデン大統領の支持率はわずか37%にとどまっている。中間選挙での連邦議会上下両院での過半数奪回に焦点を当てるため、演説に先立ってバイデンが自分たちを説得する機会はほとんどないだろうと共和党側は示唆している。

共和党全国委員会のロナ・マクダニエル委員長は、演説に先立つ記者団との電話会見で、バイデン大統領がインフレーション、犯罪、移民、新型コロナウイルス感染拡大や外交政策に関する一貫性のないメッセージ(inconsistent messaging)に対処するかどうかに注目することになるだろうだろうと述べた。

マクダニエルは「残念ながら、我々は明日の夜、アメリカの人々が気にしていることについて聞くことはできないだろう。彼はただのショーを行うだけのことだ。彼は、アメリカ国民に信じてもらいたいことを言うだろう。しかし、私たちは自分の目でそれを見ている。私たちは薄くなってしまった財布を持ちながらバイデンの演説の中身のなさを感じるだろう」と述べた。

(3)バイデンは今こそ新型コロナウイルスと共に生きる時だと宣言するか?(Does Biden declare it’s time to live with COVID-19?

アメリカ疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and PreventionCDC)は金曜日、全米の多くの地域でマスク着用に関する推奨事項を緩和する最新のガイダンスを発表した。

このマスク着用に関する緩やかな姿勢への転換は、バイデン政権が数週間にわたり、患者がオミクロン変異株の感染拡大の波のピークから大幅に減少したことから、感染拡大の状態に関するトーンの転換を示唆した後に出されたものである。

民主党所属の知事の中には、マスクの必要条件を解除し始めている人たちが出ている。共和党所属の知事たちの解除はもっと早かった。ホワイトハウスも火曜日から完全にワクチンを接種した従業員のマスクの必要条件を緩める予定だ。

バイデンは、火曜日の演説でほぼ間違いなく、ワクチン接種の成功と治療法の開発を強調し、アメリカ政府が新型コロナウイルスに対するアプローチする方法を変える時が来たと示唆する可能性がある。新型コロナウイルスの感染数の変化に伴い、議場では出席者にマスク着用は要求されない。

バイデンは「新型コロナウイルスによって亡くなる人が毎日出ている。新型コロナウイルスで毎日亡くなっている人たちがいますし、免疫不全の人たちもいる。しかし、私たちが目指しているのは、新型コロナウイルスが私たちの日常生活に支障をきたさないようにさせる期間だ」と発言している。

バイデンは、アメリカが夏の数カ月に移行するにつれて感染者が横ばいになり、特に経済が成長し、インフレーションが落ち着けば、国民からの支持を受けることができると見ているだろう。

バイデン政権への移行(transition)期間中にバイデンの政権移行ティームに助言した感染症専門学者のマイケル・オスターホルムは、オミクロン変異株のような亜種が将来出現する可能性はまだあると指摘している。彼は、バイデンは国民に対して、症例が減少していくことを確信できると伝える一方で、次に何が起こるかは分からないので、変化に備える必要性を強調すべきであると述べた。

オスターホルムは「今は誰もが不確実性を望んでいない。そのため、これはまさに大変な時期ということになる」と述べた。

(4)ビルド・バック・ベター法案についてのバイデンのメッセージはどのようなものになるか?(What is his message on Build Back Better?

一般教書演説は、昨年末に頓挫したバイデンが重要政策と位置付けている法案について、議会との協議を復活させようとする機会となる。

バイデンは、医療衛生、幼児保育、エネルギー条項など ビルド・バック・ベター法案の要素について行動するよう議会に呼びかけると予想される。バイデンが実際に法案の名前を口にするかは不明である。ホワイトハウスの高官や関係者たちは、ここ数週間、この法案の名称を変更する可能性を示唆している。

ある政権高官は月曜日、記者団に対して、「法案の名前についてではない。一般教書演説で触れられるのはアイデアについてだ。家族のためのコストを下げることであり、大統領がそのようなアイデアについて話すのを期待できると思う」と述べた。

この政府高官は、バイデンが政府債務を減らす必要性についても話すと述べた。これは、2022年12月に連邦下院が可決した法案を、インフレーションへの懸念から支持できないとしたジョー・マンチン上院議員(ウエストヴァージニア州選出、民主党)を取り込むためのものだと思われる。

ケスラーは、気候変動とクリーンエネルギーの条項がビルド・バック・ベター法案の中心であるため、ウクライナ危機がバイデン大統領にとっての国内優先政策である気候変動とクリーンエネルギーの重要性を主張するきっかけになると指摘した。

ケスラーは「石油から電気そして原子力への移行は、長期的にはロシアの経済を破綻させることになる。それは3週間前にはなかった国家安全保障の意味合いを持つものだ」と述べた。

(5)経済に関する様々な懸念に彼はどのように発言するか?(How does he address economic concerns?

複数の政権関係者によれば、バイデンは演説でインフレーションを正面から取り上げ、コスト上昇に更に対処しなければならないことを強調するということだ。

バイデンは、サプライチェインの強化や公正な競争の促進など、政権が現在注力しているコスト上昇への対応策を説明し、バイデンの国内経済政策を通過させるよう連邦議会に働きかけるだろうと見られている。

インフレーション率は昨年、40年ぶりの高水準に達し、世論調査では、景気回復のペースが速いにもかかわらず、アメリカ人の大多数が経済に不満を持っていることが明らかになっている。バイデンの世論調査の数字は、国民が新型コロナウイルス感染拡大とインフレーションの両方に疲弊し続ける中で、急落し続けている。

しかし、バイデンは、インフレーションによる痛みを認めつつ、昨年の驚異的な雇用の伸びを指摘しながら、前途を楽観的に見るということで、バランスを取ることになりそうだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)


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 古村治彦です。

 ロシアのウクライナ侵攻に対して、欧米を含む西側諸国は経済制裁を発動している。世界金融からの締め出しということになるが、これは制裁を科す西側諸国の国民生活にも大きな影響を与える。簡単に予想がつくのは、エネルギー価格の高騰だ。西ヨーロッパ諸国は、ロシアからの石油や天然ガスに依存してきた。従って、今回の制裁でもエネルギー分野に関しては例外措置とされている。ロシアからのエネルギー供給が減少すれば、困るのはヨーロッパ諸国だ。ロシアからのエネルギー供給が減ることになれば、西ヨーロッパ諸国は代替の輸入先を探すことになる。そうなればどうしても他の国々との競争になり、価格は上昇するだろう。日本もこのエネルギー獲得競争に巻き込まれる。日本国内のガソリン価格や電気料金の値上げは避けられない状況だ。

 エネルギー価格の上昇は他の製品や商品の価格高騰にもつながる。以下の論稿にもあるように、意外なところでは、アメリカはロシアから安価な肥料を輸入しており、それが途絶すると、農業生産にもかかわってくる。アメリカ国内の農業従事者たちは既に減産を視野に入れて計画を立てているということだ。そうなれば世界規模で食料不足ということになる。

 日本でも物価高が進行している中で、更に追い打ちをかけるような事態になるだろう。ロシアに対しての経済制裁はロシア経済にダメージを与えることになる。しかし、よく見ると、エネルギー部門が例外措置にしてあるなど、西側諸国、特にヨーロッパ諸国への影響が少しでも小さくなるように設計されている。フランスの経済担当大臣が「経済戦争でロシア経済を破壊する(フランスの経済規模なんて小さい癖に)」と言いながら、フランスのエネルギー巨大企業と樽はロシアからの撤退を行わない方針だ。良い意味でも悪い意味でも、フランスは狡猾で二枚腰だ。こういう点は見習うべきだ。しかし、彼らの口先だけの威勢のよさと実際の行動の差には唖然としてしまう。こういうことをやって恬として恥じるということがないというのも、戦争に明け暮れ、植民地獲得競争に奔走した野蛮極まりないヨーロッパという土地がなせる業なのか。

 これから私たちはインフレーションの進行に備え生活を防衛していかねばならない。インフレーションが進行すれば生活は苦しくなるし、政府は利上げと増税で私たちの生活を更に苦しめるだろう。大企業群はロシアのウクライナ侵攻を奇貨として、製品やサーヴィスの値上げを躊躇なく進めるだろう。この点に関しては、各企業がどれほどの利益を上げるかを注意深く監視して、不当な利益を上げるようならば、それもまた、対ロシアと同じく厳しく糾弾しなければならない。何とも嫌な春になりそうだ。

(貼り付けはじめ)

ロシアのウクライナ侵攻がアメリカ経済に与える影響に関する5つのポイント(Five ways the Russian invasion of Ukraine could impact the US economy

サラクシ・ライ、シルヴァン・レイン筆

2022年2月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/596203-five-ways-the-russian-invasion-of-ukraine-could-impact-americans

ロシアのウクライナ侵攻と、それに対する米国と西側同盟諸国による前例のない制裁措置は、世界経済と金融市場を動揺させている。

また、世界的にインフレーションが進行する中で、重要な食料、エネルギー、工業製品のサプライチェインが混乱し、海外旅行ができなくなり、株式市場が乱高下している。

ロシアのウクライナがアメリカ国民に与える影響の5つについてこれから見ていく。

(1)エネルギー価格と石油価格の上昇(Energy and oil prices rise

ロシアのウクライナ侵攻は5日目を迎え、アメリカとヨーロッパ連合は制裁を強化し続けている中、月曜日の原油価格は急騰し、ブレント原油は1バレル100ドルを突破した。

米国エネルギー情報局によると、2020年の単年度だけでも、ロシアはアメリカにとって3番目に大きな外国産石油の供給国であり、輸入石油の7%を占めていた。また、ロシアは2019年に130億ドルの鉱物性燃料をアメリカに輸出しており、アメリカに送られるロシアからの輸出の半分以上を占めていた。

注目すべきは、ロシアに科された制裁措置が今のところエネルギー部門を除外しているにもかかわらず価格が上昇していることだ。バイデン大統領は、この措置について「アメリカ国民がガソリン売り場で感じている痛みを抑えるため」の決定であると述べている。

しかし、フランスのパリ政治学院(Sciences Po Paris)教授でガソリン分野のアナリストであるティエリー・ブロスは、『ウォールストリート・ジャーナル』紙に、石油価格は「極めて不安定」な状態が続くだろうと語った。ブロスは「ウラジミール・プーティンはいつでも供給削減を決定できるのだ」と述べた。

今週月曜日、全米のガソリン価格は平均で1ガロン(約3.78リットル)3.62ドルとなった。アメリカ自動車協会によると、ガソリン価格は「原油価格が上昇を続けているため、今後も上昇し続けるだろう」と述べている。アメリカの平均ガソリン価格は、1年前には約2,71ドルだったが、この上昇はロシアがウクライナとの国境に軍隊を集結させる前から始まっていた。

アメリカ自動車協会の広報担当のアンドリュー・グロスは声明の中で「ロシアの侵攻とそれに伴うアメリカと同盟諸国による一連の金融制裁のエスカレートは、世界の石油市場に動揺を与えている」と述べている。

グロスは更に「アメリカの株式市場と同様に、石油市場も乱高下(volatility)に対応しにくい。爆発的な状況であり、地球の裏側での出来事がアメリカの消費者に波及することがあるのだということを痛感させられている」と述べた。

ウォールストリート・ジャーナルは、アメリカをはじめとする主要な石油消費国が、原油価格の上昇を受けて、7000万バレルの緊急備蓄(emergency stockpiles)を放出することを検討していると報じた。

(2)農業従事者のためのサプライチェインにかかわる諸問題で食料品価格は上昇する(Supply chain issues for farmers could drive higher food prices

アメリカ国内の農業従事者たちは、紛争前に過去最高値を記録していた肥料価格の高騰に備えているところだった。

『ブルームバーグ』誌によると、低コストで大量の肥料を生産するロシアは、カナダに次いで世界第2位のカリの生産国である。カリは主要な商品作物や農産物に使われる重要な栄養分である。

ロシアとウクライナの危機が最高潮に達する前から、『アイオワ・キャピタル・ディスパッチ』紙は、アメリカの農業従事者たちは来年の栽培シーズンに向けて、高騰する肥料価格と供給不足のため、トウモロコシの作付けと畑での窒素肥料(nitrogen fertilizer)の使用を控える可能性が高いと報じていた。

トム・ヴィルサック農務長官は木曜日、ロシアのウクライナ侵攻が米国農業に及ぼす直接的な影響について、最大の懸念は肥料会社による価格つり上げであり、「我々はそれを注視していく意向であると明確にしておく」と述べた。

サードブリッジ社のシニアアナリスト、パトリック・ドネリーは、「我が社の専門家たちによると、カリや肥料の生産業者は必要に応じて生産を増やす能力を持っているということだ。問題は、サプライチェインを通じて小売店や農家に供給される量がどの程度増加させることができるかだ」と語った。

ドネリーは更に「最も直接的な影響は、農産物価格の更なるインフレーション、ひいては食品価格の上昇となることだ。アメリカ国民はこの先、食料品代がもっと高くなると予想される」と付け加えた。

(3)旅行の制限と工区運賃の上昇(Travel restrictions and rising airfare costs

ウクライナは領空を閉鎖し、ロシア発着のフライトをキャンセルする航空会社が増えている。EUだけでなく、多くの国々がロシアの航空会社に対して領空を閉鎖している。

スコッツ・チープ・フライツのウィリス・オーランドは本誌の取材に対して次のように述べている。「領空閉鎖という点で、イギリスとロシアの間で報復合戦の状態になっており、FAAはウクライナ、ベラルーシ、ロシア西部の一部で民間航空機の飛行を制限している。こうした規制が継続または拡大した場合、中東、アフリカ、アジアへの航空運賃が高くなる可能性がある」と述べた。

紛争地域から遠く離れた場所での旅行も影響を受ける可能性がある。

オーランドは「この危機は、既に高騰している原油価格の上昇に拍車をかけるに違いない。ジェット燃料は航空会社にとって最大の経費の一つであり、燃料費の高止まりは運賃の上昇に反映される可能性がある」と述べた。

しかし、運賃に反映される燃料費高騰の影響は、「現在のような非常に競争の激しい運賃環境では緩和されるはずだ」とオーランド氏は付け加えた。

However, the effect of higher fuel costs on which fares are available is bound to be “tempered by the extremely competitive fare environment we're currently in,” Orlando added.

「航空会社は、ここ数週間、平均運賃が上昇しているにもかかわらず、新たな航空需要を取り込もうと絶えず努力しており、その結果、運賃のセールが頻繁に行われている」と述べた。

Airlines are grappling constantly to capture renewed demand for flights, which is resulting in frequent fare sales, even as average fares have crept higher in recent weeks,” he said.

(4)株式市場の乱高下(Stock market volatility

ロシアがウクライナとの国境に軍隊を集結させ、市場が大規模な紛争に備える中、株価は1年を通して着実に下落し続けた。戦争の到来とロシアに科せられた前例のない制裁措置により、金融セクターは未知の領域に向かい、今後も乱高下が続く可能性がある。

2022年に入ってから、ダウ平均は7%以上、S&P500指数は9%以上、ナスダック総合株価指数は約13%下落しており、投資の専門家たちは数年にわたる猛烈な上昇の後、さらなる減速に警戒感を強めている。

アリー社のチーフ・マーケット・アンド・マネー・ストラテジストであるリンゼイ・ベルは「リスク管理は優れた投資計画の鍵だが、地政学的リスクは計画的に備えることが難しい」と、アリーのチーフ・マーケット・アンド・マネー・ストラテジスト、リンゼイ・ベル氏は書いている。

「ロシアとウクライナの地政学的危機が続いていることが、今の株価を圧迫しているかもしれないが、歴史的に見れば、こうしたディップは長期投資家にとって良い買い場となり得る。この状況で考慮すべきは地政学的リスクだけではないが、いつの間にかFRBが心配の壁のトップに戻っていることは十分にあり得ることだ。"

The ongoing Russia-Ukraine geopolitical crisis may be pressuring stocks right now, but history suggests these dips could be good buying opportunities for long-term investors. While there is more than just geopolitical risk to consider in this situation, it’s quite possible that before you know it, the Fed will be back at the top of our wall of worry.”

(5)連邦準備制度によるより迅速な利上げ(Faster Fed rate hikes

エネルギー価格と食料品価格の更なる高騰とサプライチェインのボトルネックはインフレーション圧力を生み出し、連邦準備制度に対して、今停止している一連の利上げを促すことになるだろう。

インフレーション率が連邦準備制度の予想を大きく上回る水準まで上昇したため、FRBは既に来月から年内で数回の利上げを実施する姿勢を示している。FRBがインフレーションの指標として推奨している個人消費支出(personal consumption expendituresPCE)価格指数によると、今年1月までの12カ月間で物価は6.1%上昇した。

経済活動の低下によってインフレーションが緩和される可能性はある。一方で、専門家たちは、好調なアメリカ経済と深刻な供給の混乱の可能性が組み合わさることで、FRBがより早く利上げに踏み切る可能性があると見ている。

ゴールドマン・サックスのエコノミストであるデービッド・メリクルは金曜日に発表したリサーチ・ノートの中で、「2022年に非常に高いインフレーション経路をたどると、残り7回のFRB会合全てにおいて着実に利上げを行うことが容易になるはずだ」と述べている。

メリクルは、食品とエネルギー価格を除いた年間インフレ率は2022年末に3.7%と、前回予想の3.1%から上昇すると予想している。FRBは平均して年間2%のインフレを目指している。

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前例のない西側諸国の制裁はロシア経済の首を絞める(Unprecedented Western sanctions strangling Russian economy

シルヴァン・レイン、アレックス・ガンギターノ筆

2022年2月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/596144-unprecedented-western-sanctions-strangling-russian-economy

アメリカと西側の同盟諸国による金融制裁がロシア経済の首を絞めている。

ロシア大統領ウラジミール・プーティンがウクライナに対する戦争を仕掛けている最中、バイデン政権、イギリス、ヨーロッパ連合、その他の主要な経済プレーヤーたちからの前例のない罰則の重みで、彼の国ロシアの経済は崩壊し始めている。

ノートルダム大学キョウ国際問題大学院の経済制裁の専門家ジョージ・ロペスは、「経済界、銀行界の誰もが、私たちが新しい領域にいることを知っている。それは、銀行部門の中心を最も強力な矢として、一国の経済を組織的に停止させることだ」と述べている。

アメリカと同盟諸国が、ロシア中央銀行が保有する約6000億ドルの準備金からロシア政府を切り離し、ロシアの国際金融システムとの関係を更に断つ措置を取ったことで、月曜日のルーブルの価値は急落した。

西側諸国は、ロシア中央銀行、ロシア財務省、ロシアの外国投資ファンドとのほとんどの取引を禁止し、プーティンが制裁の衝撃を緩和するために何年も蓄えてきた資金を封じ込めた。この制裁は、世界的な混乱の中でドルの価値が上昇する中、世界金融システムの主要基軸通貨であるドルへのロシアのアクセスを遮断するものでもある。

アメリカとEUはまた、ロシアの特定の銀行に対し、銀行が取引を行う際に使用するメッセージング・システムである国際銀行間金融通信協会(Society for Worldwide Interbank Financial TelecommunicationSWIFT)へのアクセスも禁止した。

ロシアの準備金のうち約3000億ドルは、現在、アメリカ、ヨーロッパ、その他の同盟諸国にあり、現在はプーティンから切り離されている。ロシアはまだ数十億ドル相当の金を国内に保有しているが、複数の専門家によれば、モスクワは自国の銀行が厳しい制裁を受けているため、ロシアの銀行と進んで取引する人はほとんどいないだろうと述べている。

調査会社マネタリー・ポリシー・アナリティクス社の共同設立者でエコノミストのデレク・タンは、「問題は、他の人々が喜んで取引しない場合、彼らはそれを有用なものに変換することができないということだ」と述べている。

タンは「ロシアの銀行は資産を保有しているが、使うことができない」と発言した。

外貨準備を利用できないロシア政府は、経済と金融セクターを浮揚させるために必死の手段に打って出た。ロシア中央銀行は基準金利を20%に引き上げ、ルーブルが更に暴落するのを防ぐために外国人が保有する有価証券の売却を禁止した。

ロシアは海外の金融機関にSWIFTの代替手段に参加するよう促したが、欧米の路線に従わない国には制裁が待っているため、賛同者はほとんどいないようだ。

ロシアは最終的に、銀行の経営破綻、インフレーションの進行、長期にわたる深刻な経済的ダメージを防ぐことはできないかもしれない。アメリカとEUはロシアへのダメージを限定的にするためにいくつかの例外を設けたが、専門家たちは、欧米による経済制裁の影響は世界市場に波及する可能性があると分析している。

アメリカはこれまでにも、ヴェネズエラ、北朝鮮、イランの各中央銀行を制裁の対象としてきた。しかし、ロシアのような経済規模を持つ国に対して、これほど多くの国の支持を受けて、これほど厳しい制裁を科したことはない。スイスがロシアに制裁を加えることは、モスクワにとっても大きな痛手であり、金融市場で大きな存在感を示す歴史的に独自の多胎場を保ってきた国ロシアにとって大きな転機となると見られる。

クロウェル・アンド・モーリング社の国際貿易プラクティスグループで、アメリカの経済制裁分析を専門とする役員デイヴィッド・ウルフは次のように述べた。「今回の欧米諸国の対ロア経済制裁は前例のないことだ。これほど早く、これほどのレヴェルで各国が協調して行動したことを私はこれまで見たことがなかった」。

2020年のロシアの国内総生産(gross domestic product)は約1兆5000億ドルで、ニューヨーク州よりもわずかであるが小規模の経済だ。しかし、ロシアは石油、天然ガス、小麦、特定の金属の世界供給のかなりの割合を産出しており、敵対する西側諸国に対して重要な影響力を保持している。

前出のタンは「アメリカにとってそれほど関係はないのだが、ヨーロッパにとっては極めて深刻な事態になると思う」と発言した。ロシアとの経済関係が深い東欧・中欧諸国にとって、今回の制裁は「極めて破壊的(extremely disruptive)」なものになる可能性があるとタンは述べた。

ヨーロッパはロシアの石油や天然ガスの輸出に特に大きく依存しており、そのためヨーロッパの指導者たちはロシアに対する厳しい経済制裁について警戒している。もしプーティンがロシアからのエネルギーや食糧のヨーロッパへの輸出制限を決めれば、物価上昇を更に強めながら、需要は急増するという、プーティンにとっては有利な状況になる。

アメリカはエネルギーの純輸出国であるが、アメリカの石油と天然ガスに対する需要が急増すれば、過去12カ月で40%上昇したアメリカ国内のガソリン価格も上昇する可能性がある。ガソリン価格の高騰は、インフレーションの進行で急落したバイデン大統領の支持率を更に低下させる可能性がある。

アメリカと同盟諸国は、これまでに発表された対ロシア経済制裁のうち、エネルギー関連の支払いについては例外とするということで、経済制裁による反動・吹き戻し(blowback)を抑えようとしている。このような例外措置は、西側諸国をエネルギー価格の上昇から守るだけでなく、西側による制裁(かなり厳しい罰則を設けている)の経済的な影響力をある程度維持することになる。

トランプ前大統領の下で文民安全保障・民主政治体制・人権担当国務次官を務めたエリック・ユーランドは「ロシアの経済規模は私たちよりはるかに小さいが、ロシアは欧米諸国の製品やサーヴィスを輸入禁止にするなど、確報復する可能性を持っている。つまり、西側諸国や西側企業からのロシアへの製品輸出禁止に直面する可能性が突如としてできたということになる」と、述べた。

ユーランドは、西側諸国の制裁がすぐに影響を与える分野がある一方で、完全な影響を与えるのに数カ月かかる分野もあると述べた。

ユーランドは更に「これらの影響のいくつかは、より中規模である。そのため、私たちはエネルギー生産とその事業に関するロシアの取引能力を中断するようにしなければならない。短期的な価格の影響に関しては、この制裁の効果が明らかになる3から6ヶ月の期間で見るようにすべきで、即座に顕著な変化はないと思われる」と発言した。

しかし、ロシアには、制裁による経済的な締め付けを緩和するための選択肢や協力者がほとんど存在しない。中国とロシアは経済的に密接な関係を築いているが、中国の銀行の中にはロシアの石油会社向けの取引処理に難色を示すところも既に出ているとタンは指摘している。

タンは「中国の銀行は伝統的に、アメリカの制裁に抵触することを非常に警戒する」と述べた。

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多くの多国籍企業がモスクワを罰するためにロシアから撤退(Multinationals flee Russia, punishing Moscow

カール・エヴァース=ヒルストロム筆

2022年2月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/business-a-lobbying/business-a-lobbying/596200-multinational-us-companies-flee-russia-amid-invasion

ロシアによるウクライナへの残虐な侵攻を受け、国際社会の多くのアクターたちがロシアを孤立させようとしている。多くの巨大多国籍企業もその動きに同調し、ロシアからの撤退を進めている。

石油・ガス分野の巨大多国籍企業のBPとシェルは、ロシアで数十億ドル相当の投資を何十年も行ってきたが、ロシアから撤退すると発表した。複数のアメリカの多国籍企業はロシアへの出荷を完全に停止している。

ロシアのウラジミール・プーティン大統領と取引することによる評判の悪化や財務上のリスクを考慮する企業が増えるにつれ、ロシアからの脱出(exodus)は続くと予想される。複数の専門家は、エネルギー企業が巨額の損失を甘受してロシアから撤退する決定を下すことで、失うものが少ない産業分野の企業も即座にエネルギー企業に同調するだろうと分析している。

戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International StudiesCSIS)の国際ビジネス担当部長ビル・ラインシュ「各企業の最高幹部クラスが、政治的なリスクを考慮するだけでなく、ロシアの行動に対して純粋に怒りを感じているのだと私は考えている」と発言した。更には「企業がこれほど早くロシアからの撤退を決断したことに驚いている」とも述べた。

こうした決断の背景には、ロシア政府との関係を断つよう求める世論の大きな圧力がある。また、アメリカとその同盟諸国が発動した大規模な制裁により、各企業がロシア企業とビジネスを行うことが著しく困難になっていることも理由として挙げられる。

シェルは月曜日、約30億ドル相当のロシア国有のエネルギー・プロジェクトへの出資を断念すると発表した。シェルは更に、この措置が資産価値を低下させ、「減損処理(impairments)につながる」と強調した。

シェルの最高経営責任者(CEO)であるベン・ヴァン・バーデンは、「私たちは、ヨーロッパの安全保障を脅かす無意味な軍事侵略行為によって、ウクライナで人命が失われたことに衝撃を受けており、これを遺憾に思う」と声明の中で述べた。

ヴァン・バーデンの声明発表は、長年プーティン大統領を擁護してきたBPが、ロシア国営エネルギー企業ロスネフチの株式20%を売却すると発表した後に行われた。厳しい制裁下で売却は困難であるため、BPがこの投資を償却することになれば、250億ドルもの損失が発生する可能性がある。

BPのヘルゲ・ランド社長は声明の中で、「ロシアのウクライナへの攻撃は、地域全体に悲劇的な結果をもたらしている侵略行為である」と述べた。「BPは30年以上にわたってロシアで事業を行い、優秀なロシア人の同僚たちと協力してきた。しかし、今回の軍事行動は根本的な変化を意味する」と述べた。"

ロシアがウクライナへの攻撃を激化させる中、世界からの孤立も同時に進んでいる。アメリカの運送会社フェデックスとUPSは、ロシアとウクライナ両国への全ての出荷を一時的に停止すると発表した。ドイツのDHLは、安全上の懸念を理由にロシアとウクライナへのサーヴィスを一部停止すると発表した。

海上輸送企業マースクは月曜日、ロシアとの間の輸送を停止する可能性があると発表した。この動きは、ロシアを国際貿易から更に切り離すことになる。デンマークの巨大海運会社マースクは、ウクライナの治安状況を注視し、「ロシアに対して科された、常に変化する制裁と制限に従う準備をしている」と述べた。

ロシアから撤退していない企業は、複雑な制裁をどのように乗り切るかを分析し、ロシアとのビジネスを継続することが制裁による規制上の課題に適合するかどうかを探っていると思われる。

クレムリンのウクライナ侵攻に対応して、アメリカと同盟諸国は、海外に保有するロシア中央銀行の資産約6300億ドルを凍結し、ロシア国有企業の資金調達を阻止し、ロシアの銀行の一部を国際決済システム「SWIFT」から切り離した。アメリカはロシアの国有銀行が米ドルにアクセスできないようにし、ロシアがコンピューターチップやその他の技術を入手できないようにする輸出規制を課した。

わずか数日の間に、この制裁によってロシア経済は崩壊寸前にまで追い込まれた。月曜日の午後、ロシア・ルーブルの価値は1セント以下となり、企業がこの国から撤退する理由がまた一つ増えた。

ヨーロッパ域内の各企業、特に銀行やエネルギー企業は、2014年にクリミア半島を併合したことでアメリカがロシアに制裁を発動した後、一般的にロシアへの投資を制限しようとしたアメリカ企業よりもはるかにロシアへの関与の度合いが高くなっている。

アメリカ通商代表部によると、ロシアはアメリカに輸入される石油の約7%を占めているが、全製品の輸入国としては全体で20位、アメリカ製品の輸出市場としては40位に過ぎない。

ロシアから切り離される場合、アメリカ企業で困難に直面することになるのは少数だ。ボーイングは航空機の製造にロシア製のチタンを長年使用してきたが、他の国から材料を調達できると主張している。ペプシコとマクドナルドはともに、売上の4%前後をロシアとウクライナから得ている。

しかし、他の企業は既に行動を起こしている。デル・テクノロジーズはロシアへのコンピューター販売を凍結すると発表し、デルタ航空はロシアの航空会社アエロフロートとのチケット購入の提携を停止した。アエロフロートはヨーロッパのほぼ全域で飛行を禁止されている。

前出のラインシュは「エネルギー分野を除けば、ロシアは経済の舞台で大きな役割を担っていない。ロシアとの貿易を停止するのは、消費者としても政治的にも賢い行動であり、企業のコストもそれほどかからないだろう」と述べた。

ロシアの攻撃から逃れるウクライナ国民に対して、他のアメリカ企業も積極的に支援している。エアー・B・アンド・Bは10万人のウクライナ人難民に無料で短期間の住居を提供すると発表し、グーグル、メタ、ツイッターは複数のロシア国営企業がウクライナでコンテンツを宣伝することを禁止している。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 アメリカ国内のインフレーションは深刻で、年率7.5%の上昇を記録した。1982年以来の急速なインフレーションとなっている。物価上昇は国民生活全体に影響を与えるが、低所得者層にとっては死活問題になる。食料、エネルギー、住宅(家賃)の価格高騰がインフレーションの原因となっている。これらは人々の生活にダイレクトに関わっている。家がなくなればホームレスになるしかないし、電気料金やガソリン価格が上がれば、生活の質は低下するし、寒冷地であれば生死にかかわる。食料品に関しては入手できなければ命を保つことができない。

 アメリカ国内のインフレーション退治、物価の安定はアメリカの中央銀行である連邦準備制度の使命である。連邦準備制度理事会(FRB)が設定している物価上昇率は2%であるが、現在はそれを大きく上回っている。これを何とかしなければならない。政権が民主党だろうが、共和党であろうがそんなことは関係ない。連邦準備制度の設置法の目的にそう書いてあるのだ。そのために、連邦準備制度は2022年3月に利上げを行うことをほぼ正式に決定した。ゼロ金利から脱却して、市場に出回っているお金を回収するということになる。

 しかし、基準金利が上がるということは、これからお金を借りる人には負担増ということになるし、現在変動金利で住宅ローンを借りている人たちにとってもまた負担増ということになる。この負担増にどれだけの人たちが耐えられるか、雇用をどれだけ増やして、人々を職場に復帰させ、住宅ローンを払えるようにするか、ということがジョー・バイデン政権にとっての課題ということになる。単純に言えば、給料の伸びが物価の上昇よりも大きければ、人々の生活は楽になる。この単純なことを実行することはとても難しい。

 現在のインフレーションの原因はコストプッシュということになる。輸入品の価格が高騰していることと、一度錆びついたサプライチェインや物流の再開のためのコストがのしかかっているということになる。輸入品の価格を下げるためには、ドル高傾向にしなければならない。そうなると日本にとっては「強いドル、弱い円」、円安傾向となる。そうなると、日本にとっての輸入品価格が上昇することになる。現在の日本は輸入大国であり、実際に様々なものの価格が上昇している。これは多くの人々が実感していることだ。「アメリカがくしゃみをすると、日本が風邪をひく」という言葉があったが、今の状況はこの言葉のようになっている。

 アメリカの利上げでインフレーションがどれだけ収束するか、これから注目される。その効果が薄いとなれば、増税ということも考えられるが、選挙前に増税を打ち出すということは、バイデン政権、民主党にとって厳しいだろう。バイデン政権、民主党にとっては今年前半が正念場となる。

(貼り付けはじめ)

FRB幹部たちは1月の会合でより急速な利上げを検討した(Fed officials floated faster rate hikes in January meeting

シルヴァン・レイン筆

2022年2月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/594576-fed-officials-floated-faster-rate-hikes-in-january-meeting

今週水曜日に発表された議事録によると、米連邦準備制度理事会(FRB)の理事たちは先月、インフレーション率が設定した目標を超えて上昇し続ける場合、現在の予想よりも早く利上げと保有債券の削減が必要になるだろうと述べた、ということだ。

2022年1月25日から26日に開催されたFOMCの議事録によると、FRBの金融政策を決定する連邦公開市場委員会(Federal Open Market Committee FOMC)の委員たちは、アメリカ経済の強さが量的緩和縮小のプロセスを加速させる可能性があるかどうかについて議論した。

米連邦準部制度理事会関係者たちは、オミクロン変種によるア感染拡大が収まり、サプライチェインへの圧力が緩和され、新型コロナウイルス感染拡大中に実施された財政刺激策が経済的に行き渡った後、年内(2022年)にインフレーションが緩和すると概ね予想していた。

それでも、FOMCメンバーの中には、企業が供給不足と労働力不足に苦しみ続けているため、インフレーション率が予想を上回って上昇し続ける可能性を示唆した。

議事録には、「ほとんどの参加者は、インフレーションが予想通り下がらなければ、委員会(FOMC)が現在予想しているよりも速いペースで政策緩和を解除することが適切であると指摘した」と書かれている。

FOMCは1月の会合後、基準金利の幅を0~0.25%に据え置いたが、大きな経済ショックがない限り3月の会合で利上げを行うと明言した。FRBはまた、新型コロナウイルス感染拡大に見舞われた経済を支援するために始まった、毎月の国債と住宅ローンの購入プログラムを2年後の来月(2022年3月)に終了する予定であり、これらの債券の一部がすぐに借り換えされることなく満期になる可能性がある。

FRBは通常0.25ポイント刻みで利上げを行うが、労働省が消費者物価を前月比0.6%上昇したと発表したことを受けて、投資家の多くは3月に0.5ポイントの利上げを実施すると予想している。

消費者物価指数で測定した1月の年間インフレ率は7.5%に達し1982年2月以来の高い上昇率となった。FRBの望ましいインフレ指標である個人消費支出(personal consumption expenditures PCE)価格指数は2021年に5.8%上昇し、FRBの平均年間目標である2%の2倍以上となった。

FRB幹部たちは、インフレーション率が2021年中に上昇し続ける中、利上げと債券購入の終了を見送り、景気回復への支援を後退させるには時期尚早であると主張した。失業率は現在4%、賃金は急上昇し、雇用主は数百万の求人を埋めるのに苦労しており、ほとんどのFOMCメンバーは、経済は最大限の新型コロナウイルス感染拡大後のポテンシャルに近いと見ている。

「参加者は、労働市場が新型コロナウイルス感染拡大に伴う景気後退から回復する上で著しい進歩を遂げ、ほとんどの指標において、現在非常に堅調であることに留意した」と議事録に記されている。

議事録には、「労働市場が全般的に好調で改善していることを背景に、多くの参加者はオミクロン変種の影響は労働市場の上昇率を一時的に抑制するだけだろうとの見方を示した」と書かれている。

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年間インフレーション率が7.5%に達し、1982年2月以来の高水準に達する(Annual inflation reaches 7.5 percent, highest rate since February 1982

シルヴァン・レイン筆

2022年2月10日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/593652-annual-inflation-reaches-75-percent-highest-rate-since-february-1982

米国労働省が木曜日に発表した最新データによると、2022年1月末までにアメリカ国内の消費者物価は年間7.5%上昇し、1982年2月以来最も速い上昇率となった。

インフレーション率を示す労働省が発表する消費者物価指数(consumer price indexCPI)は6ヵ月連続で上昇し、経済学者やエコノミストたちのコンセンサスが予測した7.2%の上昇を上回った。

消費者物価も3ヵ月連続の下落から、1月は2021年1月と同じ0.6%の上昇となった。

食品とエネルギー価格を除いた場合、消費者物価指数は年間6%上昇し、1982年8月以来最も速いペースで上昇した。

アメリカは2021年半ばから高いインフレーション率に直面し、新型コロナウイルス感染拡大不況からの強力な経済回復も物価上昇を生み出した。アメリカ経済は昨年600万人以上の雇用を増やし、5.7%の成長を遂げ、個人消費は新型コロナウイルス感染拡大前の水準に戻ったが、駆け込み需要は深刻な供給不足と人手不足、輸送のボトルネック、その他の新型コロナウイルス感染拡大関連の制約とぶつかることになった。

労働統計局は木曜日、2022年1月のインフレーション率上昇をもたらしたのは、食料、電気、住居の値上げが理由だと発表した。食品価格は0.9%上昇し、12月の0.5%上昇のほぼ2倍になった。エネルギー価格も、電気料金の上昇がガソリンと天然ガス価格の下落を相殺し、0.9%の上昇となった。

ホワイトハウスや連邦準備制度理事会の幹部たちを含む多くの経済学者たちは、新型コロナウイルス感染拡大が収束し、多くのアメリカ人が仕事に復帰するにつれて、インフレーションは今年夏には低下するだろうと予想していた。しかし、高いインフレーションの持続は、バイデン政権と中央銀行の双方に大きな政治的・政策的課題を突きつけている。

最近の各種世論調査の結果は示しているのは、バイデン大統領と民主党所属の連邦議員たちが、経済への対応に不満を募らせている有権者たちに景気回復の力強さを売り込むのに苦労しているということだ。食料品、燃料、その他の消費財の価格上昇は、多くの労働者の急速な賃金上昇を、政治的利益とともに帳消しにしている。

労働省によると、2021年1月と比較して、食料価格は7%、ガソリン価格は40%、エネルギー価格全般は27%上昇している。

2021年のインフレーションは主に商品、特にサプライチェインの問題に悩まされた商品に限られていたが、2022年1月の報告書では、サーヴィス価格も上昇し続けており、多くの経済学者たちにとって憂慮すべき兆候となっている。

2022年1月の非エネルギー関連サーヴィスの価格は年率4.1%上昇し、住居の家賃は4.4%、医療価格は2.7%、輸送サーヴィスは5.6%、娯楽サーヴィスは5%上昇した。

会計事務所グラントソントンのチーフエコノミストであるダイアン・スウォンクは、インフレーション率の急上昇は「広範囲に及び、サーヴィス部門に定着する兆しを見せている」と述べた。彼女は、FRBは 「かなり遅れていて、今、沸騰した鍋に氷を入れるニーズに対応できていない」と警告を発した。

FRBは2022年1月に、インフレーション率が年平均目標である2%を大幅に上回る中、今年中に数回の利上げを行うための土台ができているとしている。2020年に世界経済を襲った新型コロナウイルス感染拡大の影響でゼロに近い水準に設定されていた金利を2022年3月に引き上げることをほぼ正式に決定した。

FRBは通常、一度に0.25%ポイント刻みの利上げ・利下げを行うが、一部のエコノミストは、来月はより急な0.5%ポイントの利上げを検討するだろうと予想している。

FRBはインフレーションを抑制することを最優先課題としている。経済分析のオックスフォード・エコノミクス社のアメリカ金融担当チーフエコノミストであるキャシー・ボスティャンシックは木曜日に発表した分析において、「こうした上昇し続ける物価データは、3月の政策会議で50ベーシスポイントの利上げを行い、引き締めサイクルを開始し、その後の会議で連続して利上げを行う可能性を高める」と書いている。

1ベーシスポイントは1%ポイントの100分の1ポイントである。

キャシー・ボスティャンシックは続けて、「FRBが引き締めサイクルのキックオフに50ベーシスポイントは強すぎると判断した場合、次の会合で50が視野に入る可能性がある」と述べた。

共和党所属の連邦議員とエコノミストの多くは昨年(2021年)、FRBに利上げを開始するよう求めていたが、FRBの幹部たちは労働力の復帰を制限するとの懸念から抵抗していた。しかしFRBは、インフレーションが引き続き急騰し、将来の雇用増を脅かす可能性があるとして、2021年12月に方針を急転回させた。

2022年1月のインフレーション率によってFRBの利上げ路線は堅持されることになるだろう。借入コストの上昇は、輸送のボトルネック、他国での新型コロナウイルス封じ込め策、労働力不足による物価上昇にはほとんど影響を与えないかもしれない。

バイデン大統領もインフレーション抑制のプレッシャーに直面することは間違いないが、バイデンは、根強い新型コロナウイルス感染拡大と不均等な景気回復が物価上昇を助長させていることをコントロールすることにも限界がある。

バラク・オバマ前大統領の下でホワイトハウス経済諮問委員会委員長(the chairman of the White House Council of Economic Advisers)を務めたジェイソン・ファーマンは次のようにツィートした。「バイデン大統領はインフレーションを下げるためにほとんど何もできないのが実情だ。大統領は供給に関してできることは何でもできるし、そうすべきだ(そして既にそのほとんどを行っている)が、大したことはできないだろう」。

ファーマンは続けて、「アメリカ連邦議会は収縮財政政策でインフレーションを下げることは可能だが、私はFRBに任せる」と述べた。バイデンが提案した1兆9000億ドルの社会福祉・気候法案、通称「ビルドバックベター法」は物価上昇を冷ますのに役立つと付け加えた。

バイデン大統領、民主党所属の連邦議員、左派の経済学者たちは、ビルドバックベター法は長期的に医療、処方薬、育児の価格を下げると主張している。法案の支持者たちは、その費用をまかなうための増税のおかげで、更なるインフレーションを引き起こすことなく、この法案を実現できると述べている。

しかし、この主張はジョー・マンチン連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出、民主党)には通じず、マンチン議員は2021年12月にビルドバックベター計画への反対を表明し、木曜日に追加支出に対して警告を発した。

マンチンは木曜日に発表した声明の中で、「連邦準備制度がこの問題に正面から取り組むべき時を超えている。連邦議会とバイデン政権は、既に火だるまになっている経済に更に燃料を投入する前に、慎重に行動しなければならない」と述べた。
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イギリスのインフレーション率がほぼ30年ぶりの高水準に急上昇(Inflation in UK surges to fastest rate in almost 30 years

マイケル・シュネル筆

2022年2月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/594556-inflation-in-uk-surges-to-fastest-rate-in-nearly-30-years

イギリスのインフレーション率は先月(2022年1月)までの1年間で5.5%上昇し、過去約30年間で最も速い上昇率を記録した。

イギリス国家統計局が水曜日に最新のデータによると、インフレーション率を示す消費者物価指数(consumer price indexCPI)の上昇は、1992年3月以来最速の記録であったということだ。イギリスのインフレーション率は2022年1月に年率7.1%上昇した。

年間消費者物価指数は2021年12月から今年(2022年)1月にかけて0.1%上昇し、5.4%から5.5%になった。

イギリスの電気製造料金は先月までの1年間で28.3%上昇した。各社の電気料金は19.2%上昇した。国家統計局は、この値上げについて、「北アイルランドのエネルギー価格が変化したため」と発表している。

更に言えば、先月までの1年間で、持ち家の住宅コストは2.4%増加し、賃貸料は2.3%上昇した。

アメリカでは現在、更に高いレヴェルでのインフレーションが進行しており、2022年11月の中間選挙を控えた民主党は継続的な危機的状況に直面している。先月(2022年1月)までの1年間で、米国の消費者物価は年率7.5%上昇し、1982年以来最も速いペースで上昇している。食品、電気、住居(家賃)の価格上昇がインフレーションの最大の原動力となった。

アメリカでは、新型コロナウイルス感染拡大からの回復を図る過程で、昨年(2021年)半ばからインフレーション率が上昇し続けている。しかし、高いレヴェルの需要と低い供給力、労働力不足、輸送のボトルネックなどの新型コロナウイルス感染拡大関連の問題がぶつかり、全米レヴェルで値上げが行われた。

近い将来におけるイギリスにとっての環境はより悪くなるだろう。AP通信によると、イギリスのエネルギー規制当局が、2022年4月にガスと電気の料金が54%上昇すると発表したので、1500万世帯に影響が及ぶとみられる。AP通信によると、この値上げは、所得税が1.5%増加する予定の同じ月(2022年4月)に実施される。
(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 新型コロナウイルス感染拡大によって世界各国、特に発展途上国で厳しい状況になっているようだ。以下に紹介する記事は世界銀行が発表した報告書を基にしているが、それによると、世界規模で、経済格差が広がっているということだ。それまでいくつかの点で改善が見られていたのに、それが逆行しているということだ。

 経済格差が拡大し、生活が苦しい、もしくは生活ができないという人の割合が高まっていけば、社会は不安定になる。社会の規範、ルールや法律を守ろうという意識がなくなっていく。それは社会学的に言えば、「急性アノミー(acute anomie)」となる。そうした社会になるコストを考えれば、政府による再分配や支援によって社会の安定を維持するコストの方が安くつくと思われる。

 アメリカでは高インフレーションが続き、生活に困窮する世帯も多く出ている。多くの場合、そうした世帯は貧困層に含まれており、低賃金の仕事に甘んじなければならない。また、雇用形態も不安定だ。そうした中で、インフレーション率を超えるほどの賃上げもないとなると、生活は苦しくなる。家賃やガソリン価格の高騰というのは生活に直接かつ深刻な悪影響を与える。民主党のバイデン政権にとっては、自分たちの支持基盤であるこうした人々の生活を何とかしなければ今年の中間選挙では敗北を喫するということになる。

 そのために、大型支出法案を連邦下院(民主党が僅差ではあるが過半数)で可決させたが、連邦上院(民主共和で50対50、ハリス副大統領の投票でかろうじて民主党が過半数)では、ジョー・マンチンの反対表明によって前途が厳しくなっている。民主党内の進歩主義派と中道派の争いも激しい。この法案が可決成立しなければ大型支出ができないということになる。そうなれば中間選挙で敗北は必至となり、連邦上下両院で共和党が過半数を握るということになる。そうなれば、政権運営は厳しさを増す。そうなれば、2024年の大統領選挙で、バイデンの再選は難しくなり(元々年齢もあって難しいところもある)、それどころか民主党が敗北して、ホワイトハウスを共和党に渡すということになる。

 2022年前半は世界全体で正念場ということになりそうだ。

(貼り付けはじめ)

報告:新型コロナウイルス感染拡大が世界規模の貧富の差の改善が逆行(Pandemic reversing gains in wealth gap globally: report

レクシ・ロナス筆

2022年1月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/589334-pandemic-reversing-gains-in-wealth-gap-globally-report

世界銀行が火曜日に発表した報告書によると、コロナウイルスの感染拡大により、世界規模の貧富の差についての改善が逆行しているということだ。

世界銀行は世界規模での収入格差は新型コロナウイルス感染拡大期間中に増大し、過去20年間で達成したいくつかの進歩を逆行させていることを発見した。

報告書によると、極度の貧困率(extreme poverty rates)が上昇し、低所得者層に偏って、重大な影響を及ぼしているということだ。

この貧富の差の拡大は、新型コロナウイルス感染拡大によって低技能労働者や低所得者の雇用と収入が失われたことに起因している。多くの雇用は、政府が義務付けた操業停止により、中小企業が休業や営業時間の短縮を余儀なくされたために失われた。

世界銀行は、過去数十年間に見られた他の感染症に比べれば、各国内の格差の拡大は小さいと述べている。この格差の影響は、より長期に及ぶ可能性がある。

新型コロナウイルスは、特に低所得世帯において、子どもたちが遠隔学習に適応しなければならないため、教育に混乱をもたらし、所得と教育の関連性から、何世代にもわたって後退する可能性があると報告されている。

世界的に見て、先進諸国の方が発展途上諸国より早く回復することになるだろうと報告書は述べている。

世界銀行グループ会長デイヴィッド・マルパスは次のように述べている。「"世界経済は新型コロナウイルス感染拡大、インフレーション、政策の不確実性に同時に直面しており、政府支出や金融政策は未知の領域に入っている。格差の拡大や安全保障上の課題は、特に発展途上国にとって有害だ。より多くの国々を好ましい成長軌道に乗せるためには、協調的な国際行動と各国の包括的な政策対応が必要である」。

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インフレーションが1982年以降で最高水準に(Inflation rises to highest level since 1982

アリス・フォーリー筆

2022年1月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/589333-inflation-rises-to-highest-level-since-1982

1年の終わりとなる12月に消費者物価は7%も上昇した。水曜日にアメリカ労働省は子の上昇は1982年以来最高水準を記録したと発表した。

アメリカ労働省が発表する消費者物価指数(consumer price indexCPI)は消費財とサーヴィスのインフレーション率を測定するものであるが、12月の1カ月間だけで0.5%の上昇となった。

複数の政府高官は、家賃、中古車、トラックの価格上昇を 「季節調整済み全品目上昇の最大の要因 」と位置づけた。食品価格の上昇もまた、インフレーションの重要な原因として今回の最新報告書に記されたが、先月の0.5%の上昇率はここ数ヶ月に比べれば小さいものとなった。

家具・業務用品、アパレル、新車、医療の価格も12月に上昇したが、自動車保険と娯楽に関する価格は前月と同様に低下した。

エネルギー価格は、上昇が続いた後、12月に0.4%下落した。ガソリンと天然ガスの価格も低下した。

しかし、食料とエネルギーを除いた全品目の物価は先月0.6%上昇した。11月は0.5%上昇していた。労働省によると、12月はでこれらの物価が0.5%上昇したが、この9カ月間で少なくとも0.5%上昇したのは6回目であった。

バイデン政権は、物価上昇に直面する中、新型コロナウイルス感染拡大からの回復が進む中で、経済の力強い前進を誇示しようとしてきたが、今回のインフレレポートは、バイデン大統領が直面する課題のリストに問題が追加されることになった。

水曜日に発表した報告書は、年間インフレーション率が30年ぶりの高水準に達したことを示した11月の報告以来のものである。

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バイデンが、政権は物価上昇率の上昇を緩やかにするために「いくつか進歩を達成」していると発言(Biden says administration 'making progress' slowing rate of price increases

モーガン・チャルファント筆

2022年1月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/589385-biden-says-administration-making-progress-slowing-rate-of-price-increases?utm_source=thehill&utm_medium=widgets&utm_campaign=es_recommended_content

ジョー・バイデン大統領は水曜日、インフレーションに関する最新のデータから、バイデン政権が「物価上昇率の鈍化において前進している」と発言したが、アメリカの各世帯のコストを下げるために更なる取り組みが必要であることを認めた。

バイデンは水曜日に発表した声明の中で次のように述べている。「「本日の報告書は、ガソリン価格と食品価格の下落により、主要なインフレーション率が先月より大幅に低下したことを示しており、物価上昇率の鈍化に向けた前進を実証している。同時に、この報告書は、物価上昇率が依然として高く、家計を圧迫していることから、我々がまだやるべきことがあることを強調している」。

労働省が発表した新しいデータによると、2021年12月の消費者物価は前年同月比で7%上昇し、1982年以来最も急速な上昇率を記録したとのことだ。最も物価が上昇したのは、家賃、中古車、トラックのカテゴリーであることが報告されている。

しかし、今回の報告書によると、12月のインフレーション率は11月より0.5%上昇し、前2カ月より低い数値となった。ホワイトハウスはこの統計を、物価上昇率が緩和され始めている兆候と強調している。

データによると、食料品の価格上昇率は前月より小さく、ガソリンと天然ガスのコストは低下しました。

この新しいデータは、予想されたことではあるが、バイデンにとっては難題ということになる。バイデン大統領は、コロナウイルスの感染拡大が続く中でも、雇用の増加は力強い経済回復の証拠であると賞賛しているが、物価の高騰に対するアメリカ人の懸念を和らげるのには苦労している。一方、共和党は、インフレーションを次の中間選挙の主要な争点にしようとしている。

バイデンは水曜日に発表した声明の中で次のように述べている。「インフレーションは、世界規模の景気低迷から脱却した先進国のほぼ全てで発生している問題である。アメリカは幸運にも、アメリカン・レスキュー・プランのおかげで、最も急速に経済が成長している国の一つであり、このことが物価上昇に対処し、強力で持続可能な経済成長を維持することを可能にしている。これが私の目標であり、日々その達成に向けて努力している」。

バイデン政権は、コストを抑えるために、港湾やトラックにおけるサプライチェインのボトルネックを緩和する措置をとっている。

水曜日の朝、CNNに出演したホワイトハウス経済諮問委員会のメンバー、ジャレッド・バーンスタイン氏は、政権の取り組みが成果を上げている証拠として、港で待機中のコンテナの減少と輸送コストの減少を挙げた。

2021年11月、バイデンはエネルギー関連コストの高水準と戦うために、5000万バレルの石油をアメリカ戦略的石油備蓄(Strategic Petroleum Reserve)から放出するという方策も実施した。

複数のホワイトハウス高官たちは、バイデンが主導している気候・社会政策法案、ビルド・バック・ベター法案の可決によって、アメリカの各世帯の医療費、育児費、その他のコストを下げることに貢献するとして、法案可決を促している。

しかし、ビルド・バック・ベター法案は現在連邦上院でとどまっている状態であり、立法化にむけての前途は明確になっていない。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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