古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社

 古村治彦です。

 私が著書『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』(2021年)で取り上げ、最近になって、ヴェテランのジャーナリスト歳川隆雄氏が記事で取り上げた、ワシントンに本拠を置くコンサルティング会社ウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社についての記事をご紹介する。ジョー・バイデン政権には、ウエストエグゼク社出身者が数多く入っており、代表格としては、アントニー・ブリンケン国務長官、アヴリル・ヘインズ国家情報長官、イーライ・ラトナー国防次官補などがいる。共和党のドナルド・トランプ政権時代には、こうした人々は、ウエストエグゼク社で働き、クライアント企業の問題解決のために活動していた。ウエストエグゼク社のクライアントは公表されていないが、創設者のミシェル・フロノイ元米国防次官(バラク・オバマ政権)と国防産業との関係が密接で深いために、国防産業の各企業がクライアントになっていると考えるのが自然だ。
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ミシェル・フロノイ

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林芳正外相(当時)との夕食会にて(一番奥・2022年)
 ウエストエグゼク社とバイデン政権の関係については、今年に入って、ウエストエグゼク社の現役の幹部社員が米国防総省戦略資本局のコンサルタントとして、兼職して働くことになり、「この兼職は大丈夫か、倫理上の問題はないのか」「利益相反問題は大丈夫か」という声が上がった。ウエストエグゼク社のクライアントが米国防総省から仕事を受けるというようなことが起きる場合、兼職のコンサルタントがその地位を利用して、有利な契約を結ぶというようなことが起きるのではないかという懸念がある。

 ここでポイントは米国防総省に新たに新設された戦略資本局という部局の存在である。この戦略資本局創設の目的は、「動きの鈍い連邦官僚機構(federal bureaucracy)と、ベンチャーキャピタルの支援を受けた最先端の仕事(cutting-edge work)をする民間企業とを結びつけること」「国家安全保障にとって極めて重要なテクノロジーに対する民間投資を拡大させる」となっている。国防に関わる重要な武器はハイテク化が進んでいる。武器開発、武器の基礎となる技術開発は政府だけで担えるものではない。民間部門も参加しなければならない。官民連携、官民協調を調整し、促進するのが戦略資本局ということになる。そこに、ウエストエグゼク社のコンサルタントが、ウエストエグゼク社に在籍のままで特別政府職員として入ったということはそうした関係構築、調整のためということになる。
 軍産複合体(military-industry complex)という有名な言葉(ドワイト・アイゼンハワー大統領が退任演説で使った)がある。アメリカ軍と民間国防企業が結びつき、肥大化し、税金を食い物にするということは第二次世界大戦後の冷戦期からずっと続いている。現在は、中国を標的として、アメリカ軍と民間国防産業は無図美月を深めている。また、官民協調は、中国の特徴でもあり、それを模倣しようとしている。バイデン政権は、日本研究の泰斗故チャルマーズ・ジョンソンが通産省研究を行って発見した、「産業政策」を採用している。アメリカの国防分野における「産業政策」の推進役がウエストエグゼク社ということになるだろう。

(貼り付けはじめ)

回転ドアを通じて実現するかもしれない「偉大な三人組」(A Revolving-Door Trifecta

-本日の重要ポイント:国務省で同じことが繰り返されるかもしれない。

ロバート・カットナー筆

2023年8月25日

『ジ・アメリカン・プロスペクト』誌

https://prospect.org/blogs-and-newsletters/tap/2023-08-25-revolving-door-trifecta/

現在、ホワイトハウスで国家安全保障会議インド太平洋担当調整官(White House coordinator for Indo-Pacific Affairs at the National Security Council)を務めるカート・キャンベルが、国務副長官(deputy secretary of state)に就任する可能性があると報じられている。これは、グローバルな貿易政策が国内の産業や労働の目標に役立つことを望む人々にとっては、あまり良いニューズではない。

キャンベルはヴェテランである。彼は2013年までオバマ政権下で東アジア・太平洋担当国務次官補(assistant secretary of state for East Asian and Pacific Affairs)を務めたが、その後政府を離れ、様々な企業をクライアントに持つコンサルティング・ロビイング会社「ジ・アジア・グループ(The Asia Group)」を設立した。キャンベルは政府とのコネクションやアクセスを利用して、クライアントたちの利益に貢献した。キャンベルは、現在のアメリカでは廃案となっているTPP(環太平洋戦略的経済連携協定、Trans-Pacific Partnership)の強力な推進者であった。このTPPは表向きには貿易取引の促進の仮面をかぶった、企業の希望リストに過ぎないものだった。
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カート・キャンベル

もしキャンベルが国務副長官に指名され、承認されれば、革命的な経歴を持つ他の2人の外交政策高官に加わることになる。本誌が既に報じているように、ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官は、キャンベルと同じく、民主党がホワイトハウスから離れている間、企業コンサルタントとして有利なキャリアを積んでいた。主な顧客はウーバーだった。
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ジェイク・サリヴァン

外交政策に関する回転ドア三人組の最後を飾るのは、トニー・ブリンケン国務長官だ。ブリンケンは、ジョー・バイデン政権に、イーライ・ラトナー国防次官補(インド太平洋担当)を含む12人以上の高官を送り込んだコンサルティング会社「ウエストエグゼク(WestExec)」社の共同設立者兼マネージング・パートナーだった。本誌のジョナサン・ガイヤー編集長(当時)がウエストエグゼク社に関するこの見事な調査記事で書いているように、この会社のクライアントは「技術や防衛において物議を醸すような利害関係を持っており、その元コンサルタントが現在設定し実行する立場にある政策と交錯している」。
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アントニー・ブリンケン

このような回転ドアのパターンは、明示的・黙示的な利益相反(conflicts of interest)という点で十分に悪質である。もっと陰湿なのは、国家の安全保障について、経済的な概念よりも軍事的な概念に重きを置くメンタリティを強化することだ。米国企業や投資銀行家の利害が絡む経済的な深い問題を追及するよりも、狭義の軍事・技術問題に目を向けたタカ派的な対中外交政策を構築する方が簡単なのだ。

キャンベルは当初、中国をグローバル貿易システムに参加させることが、より民主的で市場志向の国家(more democratic and market-oriented nation)への移行(transition)を促進するという見解を共有していた。現在は、狭義の国家安全保障に関しては、対中国タカ派(China Hawk)となっている。

しかし、キャンベルの貿易に関する見解や、労働者中心の経済を構築するというバイデノミクス(Bidenomics)の国内的な願望との関連性には、並行した進化は見られない。これは、提案されているインド太平洋経済枠組(IPEFIndo-Pacific Economic Framework)のようなイニシアティヴの詳細が、輸出規制に関するバイデンの大統領令の詳細と同様に、まだ非常に未確定であるためだ。

キャンベルにはもう一つ、ホワイトハウスとの深いつながりがある。彼はバイデン政権の国家経済会議議長であるラエル・ブレイナードと結婚しており、ブレイナードもまた、貿易に関する見解は新潮流というよりはむしろ旧態依然としたリベラル派である。つまり、この政権の中心は、通商政策を国内経済政策と緊密に結びつけることから離れている。

必要なのはもっと異論を唱えることであり、自分の意見を強めるための、エコーチェンバーを増やすことではない。悲しいことだが、異端児(outliers)はトランプ政権時代に企業コンサルタントとして働いていなかった人々だ。例えば、キャサリン・タイ米通商代表(U.S. Trade Rep)は、古い企業版自由貿易を取り壊す必要性に厳しい。しかし、タイはクラブのメンバーではない。

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ペンタゴン(米国防総省)が民間部門と提携することに関する倫理上の厄介な諸問題(The thorny ethical issues of the Pentagon partnering with the private sector

―企業コンサルタントと米国防総省顧問を同時に務めることは法律上問題ではないのか。

ジョナサン・ガイヤー筆

2023年4月28日

『ヴォックス』誌

https://www.vox.com/politics/2023/4/28/23698006/pentagon-investing-capital-ethical-gray-areas-consulting

※ジョナサン・ガイヤーは『ヴォックス』誌で外交政策、国家安全保障、世界情勢の記事執筆を行っている。2019年から2021年まで『ジ・アメリカン・プロスペクト』誌に勤務し、編集長としてジョー・バイデン、ドナルド・トランプ両政権の外交政策ティームを取材した。

ここ数年、連邦政府内で、情報機関や軍事機関が次々と新設されているが、その最大の目的は、動きの鈍い連邦官僚機構(federal bureaucracy)と、ベンチャーキャピタルの支援を受けた最先端の仕事(cutting-edge work)をする民間企業とを結びつけることである。

いくつかの軍事機関や情報機関がベンチャー・キャピタル・オフィスを立ち上げ、ジョー・バイデン大統領のティームが実行しているCHIPS法(半導体関連法)は、アメリカのハイテク製造部門を発展させるための官民パートナーシップを前提としている。

公益と企業利益の境界線が曖昧であることを考えると、こうした努力は倫理的な問題を引き起こす可能性がある。そして、最近のキャリア上の動きが、そのような問題を物語っている。

今週、弁護士のリンダ・ロウリーは、米国防総省に新設された戦略資本局(Office of Strategic CapitalOSC)に非常勤のコンサルタントとして勤務することを発表した。彼女はリンクトイン(LinkedIn)に、「国家安全保障を支援するために、新興の最先端技術(emerging and frontier technologies)に民間資本を誘致し、その規模を拡大する」ことに貢献できることに、いかに興奮しているかを投稿した。

しかし、際立っていたのは、ロウリーがウエストエグゼク・アドヴァイザース社(WestExec Advisors)という、ハイテク企業や防衛関連企業を扱うワシントンの巨大なコネクション・コンサルタント会社での民間部門の仕事を辞めないということだ。戦略資本局の仕事は、ウエストエグゼク社が提供するサーヴィスと酷似している。現在、彼女は民間部門と公的部門で同時に働いていることになる。

ロウリーの兼職は厄介事に見えるが違法ではない。バラク・オバマ政権の倫理担当トップを務めたウォルター・シャウブは私の取材に対して、「企業の顧問に国防に関する仕事をさせることは、国民の利益を最優先するための理想的な方法とは思えない」と答えた。
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リンダ・ロウリー

「私は異なる組織で同時に働くことになるが、それぞれの組織は異なる問題を取り扱っており、利益相反(conflicts of interest)が起きるとは想定していない。しかし、利益相反が起こらないように細心の注意を払う」と、LinkedInで、シャウブの発言に対して、このように投稿した。(私はロウリーとウエストエグゼク社に対してコメントを求めたが、回答は記事執筆時点で得られていない)。

時代遅れの安全保障法が、何百人もの命を奪ったのかもしれない。

米国防総省はその原則を繰り返し、ロウリーが具体的な投資決定に携わることはないと述べた。

米国防総省の広報担当者は声明の中で、「こうした職員たちは、我が国の重要技術への民間部門の投資に関して情報を拡散し、奨励するという米国防総省の役割に関連する、広範な政策議論に貢献するために雇用されている。米国防総省の倫理担当官は、特別政府職員(special government employees)に対し、倫理規則に関する明確なガイドラインを提供し、特に利益相反を回避する方法を教えている」と述べた。

しかし、政府倫理の専門家によれば、こうした政策協議の中で利害の対立が生じなかったことを確認するのは難しいということだ。ロウリーのように「特別政府職員(special government employees)」として雇用する場合、国民への情報開示は少なくて済む。より広く言えば、ロウリーが活動しているグレーゾーンは、民間企業と政府を結びつけることが何を意味するのか、利益を得るのはアメリカ国民なのか企業なのかという、より大きな問題につながっている。

核心的な問題は、ロウリーの兼任が特別なことなのか、それとも今日の政府のあり方を代表するものなのかということだ。戦略資本局によれば、特別政府職員として採用された職員は、ロウリー以外には1人しかいないと発表している。しかし、政府全体で実質的な役割を担うこうした任命者が増えていることは、同様の問題を引き起こす可能性がある。

民間企業とのつながりに油を差すような(grease connections)役所が増え、政策立案者だった人間たちが政府を離れると回転ドアを利用して企業コンサルティングに参加し続けるので、この問題は今後も起こり続けるだろう。

●政府が民間部門の助けを求める時(When the government seeks the private sector’s help

2022年12月、米国防総省は戦略資本局を創設した。この部局の目的は、国家安全保障にとって極めて重要なテクノロジーに対する民間投資を拡大させるというものだ。

多くの新しい軍事技術の最大の消費者となるのは、もちろん政府であることが多い。しかし、米国防総省との契約には何年もかかることがあるため、新興企業が連邦政府の官僚機構に入り込むのに苦労することも多い。それは「死の谷(valley of death)」と呼ばれ、過去20年間、新興企業が米国防総省に入る際に直面するハードルを克服するために、様々な新しい部門が設計されてきた。これはまた、2017年にアントニー・ブリンケンと共同でウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社を設立したオバマ政権下の米国防総省の高官を務めた、ミシェル・フロノイが幅広く研究してきた重要な政策分野でもある。

2019年、フロノイは、アメリカが技術的優位性(tech superiority)を維持する方法についての記事を共同で発表した。この記事の中で一つの提案を行っている。それは、「政府は、重要な技術や資源の供給者を民間資本につなげる手助けをすることもできる」というものだ。これは、戦略資本局の目的と同じだ。

2024年度米国防総省予算で、バイデン政権は戦略資本局への資金提供として1億1500万ドルを求めており、最終的には融資や融資保証などの金融ツールを利用して関心のある新興企業を後押しすることになる。初年度は主に研究で構成される。リンクトインによると、現在オフィスの一員としてリストアップされているスタッフはほんの一握りだという。投資ツールを展開する新たな当局を模索する中で、同局は中小企業庁の投資プログラムと提携した。

戦略事務局の背後にあるアイデアは新しいものではない。陸軍と空軍における投資の取り組みと、2015年に発足したインキュベーターである国防技術革新ユニット(Defense Innovation UnitDIU)を基盤としている。国防技術革新ユニットが支援して数十億ドルの成功を収めた新興企業の中には、軍事技術企業の「アンドゥリル」社がある。

3月末にシリコンヴァレー銀行が破綻した際、多くの軍事技術系新興企業が経済的ストレスに晒された。プレスリリースによると、戦略資本局は「米国防総省や他の政府の同僚と積極的に協力し、国家安全保障コミュニティを擁護」し、「危機に対する国家安全保障関連の影響を常に監視」していた、ということだ。

●政府と民間企業で同時に働くことの何が問題か(What’s off about working for government and the private sector at once

官民パートナーシップは成功を収めているが、倫理的な問題を引き起こす可能性がある。

利益相反が主要の懸念事項である。そのため政府職員は勤務先、投資先、顧客、資産を申告で開示し、倫理担当官や上司と連携してえこひいき(favoritism)を避け、自身の経済的利益に影響を及ぼす可能性のあるプロジェクトに携わらないようにする。

民間部門と密接な関係を持ち、政府の請負業者を雇用する職務は特に問題を引き起こす。国防技術革新ユニットのCFOによると、2018年から2022年までに国防技術革新ユニットのディレクターを務めていたマイケル・ブラウンは、非倫理的な雇用や契約に関与していたとされている。これらの苦情は米国防総省監察官によって立証されず、昨年ブラウンは潔白を証明された。しかし、この出来事により、ブラウンはバイデン政権下での米国防総省の幹部への指名を受けられなかった。

リンダ・ロウリーのような非常勤職員は「地雷(landmines)」となる可能性がある。

ロウリーは、ジョー・バイデン大統領のホワイトハウスの科学技術政策事務局(Office of Science and Technology Policy)に勤務していた。彼女が退職し、2022年にウエストエグゼク社に入社した際、ウエストエグゼク社は、「リンダの豊富な知識ベースを活用し、クライアントが戦略的機会を活用できるよう支援する」と述べた。ウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社は、大手ハイテク企業、大手銀行、主要な軍事請負業者(military contractors)、新しい防衛技術の新興企業などをクライアントに持つ。ウエストエグゼク社は、「プライヴェート・エクイティや多国籍企業と新興テクノロジー」を結びつけることを専門としてきた。

ロウリーが特別政府職員(special government employeeSGE)に指定されたことで、彼女はクライアントを公にすることなく、政府とウエストエグゼク社で同時に働くことができるようになった。

特別政府職員とは、365日のうち130日以内しか働かないという人を指す。パンデミック(世界的大流行)の規制の中で官僚機構がゆっくりと動いていた新型コロナウイルスの初期には、特別政府職員の活用は合法的だったのかもしれない。そして、特定の問題に対して技術的な知識が必要とされる場合には、役に立つ分類でもある。2011年から2013年まで政府倫理局の局長代理を務めたドン・フォックスは、「特別政府職員オプションの大きなメリットの一つは、他の方法では得られないような人材を、限られた期間だけ集めることができる」と言う。

しかし、この特殊な特別政府職員の役割は、政府請負業者として働く、連邦政府の諮問委員会の委員を務めるなど、民間部門のアドヴァイザーが通常果たす可能性のある他の役割よりも透明性が低い。セントルイスにあるワシントン大学のキャスリーン・クラーク教授(法学)は、「後者はより倫理的な保護措置があり、公開会議の要件など、より透明性が高い。この種の特別政府職員には当てはまらない」と述べている。

米国防総省広報官は、「特別政府職員に指定された職員は、広範な政策協議に職務を限定され、特定の投資に関する協議には参加しない」と述べた。

しかし、監視団体「リヴォルヴィング・ドア・プロジェクト」のジェフ・ハウザーは、この特別政府職員の役割は政府の権限を搾取的に利用することになるのではないかという懸念を持っている。ハウザーは私の取材に対して、「あなたが政府で取り組んでいる決定について、特定の結果に継続的な関心を持つ団体に雇用され続けているという事実を無視するには、人間の頭脳の中に防火壁を作ることが必要であり、そんなことは不可能だ」と答えた。

直近のデータが利用な暦年である2021年には、約1600名の特別政府職員たちが国防長官事務局で働いていた。

複数の専門家によれば、注目されるような採用のために特別政府職員を使いすぎることは、政府の倫理執行に対する信頼を損なう可能性がある。この呼称を使用した最も著名な人物は、バイデン政権におけるアニタ・ダンだ。アニタ・ダンは大統領上級顧問としてホワイトハウスを出入りし、短い任期の間、クライアントや金銭的利害関係の公表を避けていた。次期国務省報道官のマット・ミラーは、ロシアのウクライナ侵攻が始まった当初、ホワイトハウスの通信担当官として働いていた特別政府職員だったと見られる。

この傾向はおそらくドナルド・トランプ政権ではより顕著で、国務省のウクライナ特使カート・フォルカーのような著名な人物が任命された。ホワイトハウスのエメット・フラッド弁護士は特別政府職員としてスタートし、後にフルタイムに変更された。アイルランド特使を務めていたミック・マルバニーは、この指定を受けて働いていた。しかし、トランプ政権の大胆かつ前例のない倫理的不正行為によって、バイデン政権における厄介な力学を曖昧になるということがあってはならない。

2013年から2017年まで、オバマ政権下で政府倫理局を率いていたシャウブは、ロウリーは潜在的な対立を緩和するために積極的な透明性対策を取ることができると指摘する。大きな懸念は、既にバイデン政権と数多くのつながりを持つウエストエグゼク社が、同社に関連する仕事を政府機関で行っている人物タイルことで、極めて有利な立場に立つのではないかということだ。

現在は政府監視プロジェクトにいるシャウブは私の取材に対して、「ロウリーは、ウエストエグゼク社の仕事におけるクライアントを公表し、また政府での仕事について情報公表することもできる。もちろん、それは自発的な情報開示になるだろう。世論は厳しく当たることになるだろう。政府は国民に、この人事によって利益相反は起きないという、具体的な保証をする義務がある」と語った。

官民で同時に兼職をしているのはロウリーだけではない。ニュー・ビスタ・キャピタルの航空宇宙・防衛部門の投資家を務めているカーステン・バートク・トゥー(Kirsten Bartok Touw)も、戦略資本局のアドヴァイザーを務めている。
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カーステン・バートク・トゥー

米国防総省の戦略資本局は新設の部局のため、その仕事の責任が明確ではない可能性がある。米空軍事績法務顧問を務めた経験を持つドン・フォックスは私の取材に対して、「役割については定期的に最新情報を知りたいと思う。全く新しい職務やオフィスでは、これが反復的なものになる可能性がある」と語った。新しい部局の業務範囲は変化する可能性がある。

現在の倫理法や主要な改革の多くは、ウォーターゲート事件後に生まれ、トランプ政権はその限界と執行を試した。フォックスが言うように、「一般の人々の認識は、ある意味、全てだ」ということである。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』で取り上げたウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社だが、ジョー・バイデン政権高官にはその出身者が15名を占めている。今回はその顔ぶれを詳しく紹介している記事を紹介する。国務長官のアントニー・ブリンケンとアメリカ情報・諜報機関のトップである国家情報長官のアヴリル・ヘインズだけにとどまらず、数多くの人物がバイデン政権の中枢を支えている。一企業の出身者たちがこれほど政権に参加することは前代未聞のことで、「倫理規定違反ではないか」という声も上がっている。

 ウエストエグゼク。アドヴァイザーズ社が巨大企業500社を顧客にしているのは、バイデン政権との強力な人脈関係を持っているからだというのは明白なことだ。このブログでも紹介したが、ウクライナ戦争が始まってからは、ウエストエグゼク社の経営パートナー(共同創設者)であるミッシェル・フロノイ(オバマ大統領時代に国防次官、クリントン大統領時代に国防次官補)には各巨大企業のCEOたちからひっきりなしに連絡が来て、助言を仰いでいるということだ。バイデン政権の意向を一番掴みやすいい民間の存在がウエストエグゼク社ということになる。

 拙著と合わせて以下の記事をよく読んで欲しい。私が何か荒唐無稽なことを言っていたのではないということが分かるはずだ。

(貼り付けはじめ)

ジョー・バイデン政権に人材を派遣しているコンサルティング会社に目を向ける(MEET THE CONSULTING FIRM THAT’S STAFFING THE BIDEN ADMINISTRATION

-ウエストエグゼク社(WestExec)は、トランプ時代を通じて大企業の代理人を務めていた。そうした人々が今、ホワイトハウスにいる。

ジョナサン・ガイヤー、ライアン・グリム筆

2021年7月6日

『ジ・インターセプト』誌

https://theintercept.com/2021/07/06/westexec-biden-administration/

ホワイトハウスからわずか数ブロックしか離れていない本社で、元大使たち、弁護士たち、バラク・オバマ大統領時代に政権高官に任命された人々からなる小規模で強力なチームが、過去数年間、世界の各大企業のために問題解決に取り組んできた。

バイデン政権発足から半年足らずで、ウエストエグゼク。アドヴァイザーズ社(WestExec Advisors)という会社の15人以上のコンサルタントが、ホワイトハウスやその外交政策機構、法執行機関などに散らばっている。そのうち5人はすでに政権内で仕事を行っており、高官ポストへの指名を受けており、他の4人はバイデン-ハリス政権移行チームに所属していた。ワシントンの基準からしても、特に2017年に立ち上げたばかりの会社としては、政権と民間の間を行き来する回転ドアを通過する驚くべき前進となっている。このパイプラインは、バイデン政権内部にウエストエグゼク社の出身者たちを圧倒的な数配置し、国家情報長官や国務長官といった影響力のある最高幹部クラスに人材を据えている。一方、ウエストエグゼク社の顧客たちは、ハイテクや防衛の分野で、かつてのコンサルタントたちが現在設定・実行する立場にある政策と交錯し、論議を呼んでいる。

ウエストエグゼク社の出身たちが新しく政権に就くと、国務長官の場合は見出しで、サイバーセキュリティの責任者の場合は業界誌でと、さまざまな報道がなされた。一介のコンサルティング会社が外交政策立案を独占していることはほとんど気づかれなかった。このような政策立案者たちのネットワークは孤立しており、集団思考(groupthink)や利益相反(conflicts of interest)、また、矛盾しているかもしれないが、合法化された汚職(legalized corruption)と呼ばれるようなことが起こる可能性が懸念される。

ウエストエグゼク社は顧客情報を正式には公開しておらず、公開されている財務報告書も大まかな内容しか提供していない。ワシントン大学(セントルイス)法科大学院のキャサリン・クラーク教授は、数十年前に作られた政府の倫理法は、一企業から15人もの政府高官が出るような状況に対応できるものではないと言う。クラーク教授は続けて「彼らは政府に雇われているのは確かだ。それは認める。しかし、彼らは実際にアメリカ国民のために働いているのか、いないのか? 彼らの忠誠心はどこにあるのだろうか? 民間部門は本質的に公共部門を利用することができる」と述べている。

ホワイトハウスの報道官は声明の中で「これらのホワイトハウス高官たちは経験豊富な政府のリーダーたちであり、以前の民間部門での経験は、彼らが政府の仕事にもたらす幅広く多様なスキルの一部である」と述べている。ウエストエグゼク社は今回期の記事のための詳細な質問リストに回答することはなかった。

ウエストエグゼク社は、「他を圧倒する地政学的リスク分析」を売りの一つとしているが、現在、ウエストエグゼク社出身者たちが権力者の周辺において飽和状態にあることからも、それが確認できる。ウエストエグゼク社は、ハイテク新興企業を防衛契約に参加させることに成功し、防衛企業のハイテクによる近代化を支援し、多国籍企業の中国進出を支援することにも取り組んでいる。ウエストエグゼク社の協力者の一人が、防衛を中心とした投資グループ「パイン・アイランド・キャピタル・パートナーズ社(Pine Island Capital Partners)」で、昨年、SPAC(白紙委任会社)を立ち上げた。トニー・ブリンケンはパイン・アイランド社の顧問を務め、株式の一部を保有する共同オーナーでもある。ウエストエグゼク社のもう一人の共同設立者であるミシェル・フロノイは、国防長官への指名が見送られた。ジョー・バイデン大統領は、代わりにロイド・オースティンを指名した。オースティンはパイン・アイランドの元パートナーだが、ウエストエグゼク社のコンサルタントではなかった。

ウエストエグゼク社が「ブティック」となっているのは、幹部たちがベテランの政策立案者と顔を合わせる時間を確保できると約束したことだ。2020年、ウエストエグゼク社の共同創設者の一人は、「他の会社は、大物のために人を集めるが、大物に会うことはできないと感じていた。トニーはクライアントたちからの電話に出る」と述べている。

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ブリンケンは現在、国務長官を務めている。ブリンケンは、通信大手のAT&T、防衛大手のボーイング、物流大手のフェデックス、メディア企業のディスカバリーといった有名企業の顧問を務め、ウエストエグゼク社の創業パートナーでもあった。また、フェイスブック、リンクドイン、マイクロソフト、ウーバーといった大手IT企業にも助言を行った。スピーカービューローのGLG、美術品販売のサザビーズ、バイオ医薬品のギリアド・サイエンシズなどニッチな企業もサポートした。また、ブラックストーン、ラザード、ロイヤル・バンク・オブ・カナダ、サウジアラビアと大規模な取引を行う多国籍コングロマリット「ソフトバンク社」など、グローバルな投資会社や資産運用会社もクライアントに名を連ねていた。また、コンサルティング企業マッキンゼー・アンド・カンパニーの顧問も務めた。ブリンケンは2020年7月、『ジ・アメリカン・プロスペクト』誌がウエストエグゼク社との関係について問い合わせた後に、同社を去った。しかし、これらの事業は、バイデン政権内で外交政策を実行する際に彼の計算に影響を与える可能性があるとして国際的に注目されている。

ブリンケンは、国務省の主要スタッフの何人かをウエストエグゼク社から連れてきている。ブリンケンの上級補佐官であるジュリアン・スミスは、ボーイングとソフトバンクを顧客としていた。スミスはシンクタンクのジャーマン・マーシャル・ファンドで常勤の仕事を持ちながら、ウエストエグゼク社のコンサルタントとして3万4000ドルの収入を得ていた。スミスは、NATOの米国常任代表に指名されている。ブリンケンはまた、ウエストエグゼク社のエグゼクティブ・アシスタントを務めたサラ・マクールをスケジュール管理担当として国務省に呼び寄せた。元駐アラブ首長国連邦米国大使のバーバラ・リーフは、ウエストエグゼク社に勤務し、全米バスケットボール協会(NBA)に助言を行った。彼女はその後、国家安全保障会議で中東担当上級部長を務めた。リーフは、国務省近東担当次官補になるための連邦議会承認を待っている。一方、オバマの駐イスラエル大使で、同僚によれば「非常に忙しい」初期メンバーのコンサルタント、ダニエル・B・シャピロの名前が中東特使として浮上している。ジ・アメリカン・プロスペクトは昨年夏、ウエストエグゼク社の顧客のひとつが、船舶追跡を専門とするイスラエルの人工知能企業ウィンドワード社であることを明らかにした。

ウエストエグゼク社はまた、バイデンの最も強力な情報・諜報機関のトップがトランプ政権時代をやり過ごすための快適な場所を提供した。アヴリル・ヘインズ国家情報長官は、早い時期にウエストエグゼク社のウェブサイトから名前を消されてしまったが、2017年10月から2020年7月まで同社で働き、外交政策担当としてバイデンの政権移行チームに参加した。彼女の承認公聴会の前に記入された報告書によると、彼女はフェイスブック、JPモルガン・チェイス、マイクロソフト、オープン・フィロソフィーなどクライアントに対して、「サイバー規範、国家安全保障上の脅威、国防省による機械学習システムのテスト、評価、検証、検証」についての「戦略的アドバイス」を提供したということだ。CIAのデイヴィッド・S・コーエン副長官は、ヘインズやブリンケンとともにウエストエグゼク社の「コアチーム」の初期メンバーであった。しかし、彼のクライアントが誰であったかを知ることは不可能だ。スパイ機関の関係者に対する免責事項により、彼の情報公開は公にされていない。

ワシントン大学(セントルイス)の倫理専門家であるクラーク教授は、「スパイ機関の官舎に対する免責事項は彼らが公的な説明責任から免除されることだ。そしてそれは、私たちが必ずしも内部統制と外部の公的な開示に頼ることができないので問題となるのだ」と述べた。CIAの広報担当者は、コーエンがウエストエグゼク社で助言を行っていた顧客企業について述べることを拒否した。

そして、最近連邦上院が国家サイバー局長として承認したクリス・イングリスがいる。彼はウエストエグゼク社から1万5000ドルを得て、インターネット・セキュリティ企業のクラウドストライク社と電子メール暗号化企業のヴァ―チュー社に助言を行っていた。

2017年の創業以来、ウエストエグゼク社は防衛、情報、法執行機関の能力を強化することに注力してきた。シリコンヴァレーのベンチャー企業であるリッジライン社(Ridgeline)と提携し、自らを「ミッション・ドリブン」であると述べている。つまり、軍との連携を避ける一部のハイテク企業と異なり、リッジライン社は軍事関連製品製造を求めていると説明している。コーエンもイングリスもリッジライン社のウェブサイトに登場し、そのパートナーシップを通じて、ブリンケンはこのヴェンチャーグループの多くの投資先企業に投資している。無名の新興企業は、奇抜な名前(アゴロ、ドゥードル、ウォーラローなど)だが、ドローン、人工知能、ロボットなどの先端技術を開発している。ウエストエグゼク社の出身者たちは、新興技術に深く関わっているため、政府が承認する契約に影響を与える政策立案の役割を担うことになり、利益相反が生じる可能性がある。

政権で最も注目される人物の一人もウエストエグゼク社で働いていた。現在ホワイトハウス報道官を務めるジェン・サキは、ウエストエグゼク社の上級アドヴァイザーとして、イスラエルの顔認識ソフトウェア会社エニーヴィジョンの危機管理コミュニケーションや、非営利団体スピリット・オブ・アメリカのアドヴァイザーを務めた経験がある。

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(写真に取り上げなかった人々)国内政策問題担当大統領補佐官の補佐官エリン・ペルトン、国務長官予定管理担当部長サラ・マク―ル、国防次官補(承認待機中)セレステ・ワーランダー、バイデン=ハリス政権移行チーム顧問アンドレア・ケンドール=テイラー、クリスティーナ・キリングスワース、ジェイ・シャンボー、プニート・タルワー、米国サイバースペース・ソラリウム委員会副部長ジョン・コステロ、人工知能に関する国家安全保障委員会副委員長ロバート・O・ワーク。

各企業が新型コロナウイルス感染拡大の大規模な課題に直面する中、リサ・モナコはブリンケンによる顧客への助言に参加した。モナコはウエストエグゼク社のアドヴァイザーとして、ボーイング社やソフトバンク社に助言を行った。現在、モナコは米国司法副長官を務めている。マット・オルセンは、ウーバーのUberの幹部として数百万ドルを稼ぐ前、早くからウエストエグゼク社の部長を務めていた。バイデン大統領はオルセンを司法次官補(国家安全保障部門担当)に指名した。

イーライ・ラトナーは国防次官補(インド太平洋安全保障問題担当)として中国政策を策定している。政府倫理局の報告書によると、ウエストエグゼク社で、ラトナーは「支払請求可能な時間は、顧客を特定しない背景白書のための仕事をしており、ほとんどの収入はウエストエグゼク社からの支払いだった」ということだ。ラトナーは、ウエストエグゼク社では1万1450ドルの収入しかなかったが、シンクタンクであるセンター・フォ・ア・ニュー・アメリカン・セキュリティ(Center for a New American SecurityCNAS)で40万ドル以上を稼いでいた。

ウエストエグゼク社のシニアアソシエイトであったガブリエル・チェフィッツは国防総省の政策担当次官特別補佐官として入省した。バイデンは2020年6月、ウエストエグゼク社の上級アドヴァイザーだったセレステ・ワーランダーを国防次官補(国際安全保障問題担当)に指名した。

ウエストエグゼク社のコンサルタントは、人脈も血筋も豊富なので、複数の仕事、役職、肩書きを兼任していることが多い。そのため、ウエストエグゼク社の元上級アドヴァイザーであるエリザベス・ローゼンバーグのような人物が事前の紹介なしに財務省の高官に就任できるのだ。2020年5月末、バイデンはローゼンバーグを財務次官補(テロ組織資金捜査担当)に指名した。リンクドインのプロフィールによると、ローゼンバーグは「金融の透明性を促進する」ための連邦政府のイニシアチヴを管理してきたという。ホワイトハウスが指名を公表した経歴書には、ウエストエグゼク社での役割は抜け落ちていた。

米国国際開発庁(U.S. Agency for International DevelopmentUSAID)の高官たちのオフィスもまたウエストエグゼク社でコンサルタントを務めいた人物たちであふれている。コリン・トーマス・ジェンセンは「サハラ以南のアフリカにおけるデューデリジェンス(due diligence、訳者註:企業売種の前の調査活動)と政治リスクの回避についてウエストエグゼク社と同社の顧客たちに助言」し、その顧客にはボーイング、ソフトバンク、そして訴訟への融資を専門とするベンチャーキャピタル会社デルタ・キャピタル・マネジメントが含まれていた。2022年4月、トーマス・ジェンセンは国家安全保障問題担当補佐官としてUSAIDに参加した。同じ月、ウエストエグゼク社のラテンアメリカ担当だったマイケル・カミレリは、サマンサ・パワーUSAID長官の上級顧問と、USAIDの中米北部三角地帯タスクフォース(訳者註:エルサルヴァドル、グアテマラ、ホンジュラス)担当の上級部長を務めることとなった。ウエストエグゼク社のコンサルタントとして、カミレリはブラックストーン、ソフトバンク、インテル創業者が創設した数十億ドル規模の非営利団体ゴードン&ベティ・ムーア財団、鉱物採掘企業のリオティントなどに助言していた。

この会社が作り出すのは対外政策だけではない。ホワイトハウスで国内政策の上級補佐官を務めるエリン・ペルトンは、ウエストエグゼク社に助言サーヴィスを提供した。また、商務省産業・分析担当次官補に指名されたグラント・ハリスは、ウエストエグゼク社とつながりがある。彼の個人的なコンサルティング会社であるコネクト・フロンティアは、発展途上諸国の市場で活動する企業や団体に助言を与えていた。そして、ハリス自身がウエストエグゼク社に採用されたのである。

バイデン政権内部の中堅クラスの人材もまたウエストエグゼク社に絡んでいる。バイデン=ハリスの政権移行チームは、ウエストエグゼク社のコンサルタント、アンドレア・ケンドール=テイラー、プニート・タルワー、ジェイ・シャンボー、クリスティーナ・キリングスワースの助言を受けた。さらに、ウエストエグゼク社のメンバーは影響力のある超党派の連邦委員会を監督している。ロバート・O・ワーク(人工知能国家安全保障委員会)、ジョン・コステロ(サイバースペース・ソラリウム委員会)などが超党派の連邦委員会を監督している。

ブリンケンは開業当初のパンフレットの中で次のように述べている。「ウエストエグゼク社のアドヴァイザーたちは、政府の最高レベルにおいて、国際的な危機が意思決定に及ぼす影響を予測し、ナビゲートしてきた。私たちは、世界中のビジネスリーダーに同党の洞察力と戦略を提供することが可能だ」。

ブリンケンが政権に復帰して半年が経った今でも、ウエストエグゼク社の共同創設者で経営パートナーのナイティン・チャッダの「リンクドイン」のプロフィールには、このパンフレットが掲載されている。これは、潜在的な顧客たちに対して、この会社ウエストエグゼク社が権力に永続的に接近していることを印象付けるものだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

※6月28日には、副島先生のウクライナ戦争に関する最新分析『プーチンを罠に嵌め、策略に陥れた英米ディープ・ステイトはウクライナ戦争を第3次世界大戦にする』が発売になります。


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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』で私がアメリカのジョー・バイデン政権の閣外のキーパーソンとして挙げたミッシェル・フロノイ(オバマ政権時代には国防次官、クリントン政権時代には国防次官補)は、現在コンサルティング会社ウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社の経営パートナー(共同創設者でもある)を務めている。ウエストエグゼク社は地政学面、安全保障面で各大企業に助言を行っている。CEOたちがフロノイに直接コンタクトを取り、これからどうなるか、自分のところの企業はどのように行動すべきかを質問している。
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ミッシェル・フロノイ

 3月と4月にフロノイのインタヴューを基にした記事がアメリカで発表されており、その内容を知ることは私たちにとって有益である。それは、ウエストエグゼク社出身者たちが10数名バイデン政権入りを果たし、高官として中枢で働いているからだ。フロノイの考えを知れば、それはバイデン政権の考えを知る手掛かりとなり、更に言えば、アメリカ政府は「このように動かしたい」と考えていることが分かるからだ。

 ウクライナ戦争はウラジミール・プーティン大統領のロシア軍の能力への過信と、ウクライナ軍と国民の抵抗力、西側諸国の反応に対する過小評価が引き起こしたとフロノイは指摘している。それはウクライナ戦争経過2カ月頃まで、ロシア軍の苦戦とキエフを奪取できなかったことで明らかだ。しかし、それ以降はロシア軍が東部に戦力を集中し、確実に支配地域を拡大している。欧米諸国の対露制裁と対ウクライナ支援の効果は限定的と言わざるを得ない。その結果として、戦争は膠着状態に入りつつある。

 ウクライナ戦争によって、これまでの西側諸国とロシアとの関係は大きく変化し、ロシアに対しては、たとえ戦争が終結しても、プーティンが権力の座にある限り、制裁は続くということになるとフロノイは指摘している。しかし、制裁の効果は限定的となるだろう。それは、西側以外のそれ以外の国々がロシアとの取引を続けるからだ。それらの国々全てに対して西側が制裁を科すということは不可能だ。

 フロノイは今年3月にバイデン大統領が派遣した台湾訪問団に加わっている。中国と台湾に関する問題では、中国がすぐに台湾に侵攻することはないと見ている。これはその通りだと思う。中国はウクライナがロシア黒海艦隊の旗艦モスクワをハープーンミサイルで撃沈させたことを重視している。中国にしてみれば台湾の防衛力は侮れない。また、現状を大きく変更し、リスクを冒して台湾に侵攻する理由は存在しない。ちょっと考えればこんなことはすぐ分かるはずだが、一部のお調子者と好戦主義者たちが「台湾は次のウクライナだ」と盛んに宣伝していたが今はその声も聞こえなくなっている。

 フロノイが台湾訪問団に参加したことで、私はバイデン政権入りがあるのではないかと見ているが、それがなくても、彼女がキーパーソンであることは間違いないし、ウエストエグゼク社が重要な存在であることは間違いないところだ。

(貼り付けはじめ)

CEOたちはウクライナについて沈黙を守るべきではないし、それ以外の様々な国際的な諸問題についても沈黙を守ることは不可能だ。トップのアドヴァイザーはこのように述べている(CEOs couldn't afford to stay quiet on Ukraine, and they won't be able to stay quiet on other global issues either, top advisor says

マーガレット・ウォード筆

2022年4月4日

『ビジネス・インサイダー』誌

https://www.businessinsider.com/ukraine-russia-michele-flournoy-ceo-leadership-2022-3

・ウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社の共同設立者であるミッシェル・フロノイは、地政学的な事象について各大企業のCEOたちに助言している。

・ミッシェル・フロノイは、本誌『ビジネス・インサイダー』とのインタヴューで、ロシアの侵攻についてCEOたちが抱いている疑問について語った。

・フロノイはまた、CEOたちが世界の緊急課題に対してもはや沈黙を守ることができない理由についても語っている。

ミッシェル・フロノイは、20年以上にわたり、世界のトップリーダーたちに、地政学的な出来事をどのように乗り越えていけばよいかを助言してきた。ビル・クリントン大統領時代とバラク・オバマ大統領時代には国防総省高官を務めた経験を持つ。そして今、フロノイはCEOたちが変化する世界を進んでいるのを助けている。

2021年12月、フロノイの携帯電話には、メールやテキスト、電話などを通じてひっきりなしに連絡が来るようになった。連絡をしてくるのは世界トップクラスのビジネスリーダーたちだ。ジョー・バイデン大統領が、当時疑われていたロシアのウクライナ侵攻計画について、公の場で発言したところだった。CEOたちは「これをどう受け止めればいいのか?」 とフロノイに異口同音に質問している。

それ以降、フロノイは他の「CEOの助言者たち」と共に、ロシアのウクライナ侵攻に対応するビジネスリーダーを支援するために、裏舞台で活動を続けている。地政学的コンサルティング会社ウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社の共同設立者兼経営パートナーであるフロノイは、「侵略は、CEOの役割について、単に利益を上げるだけのリーダーではなく、世界を舞台にしたリーダーとして振る舞うようにするよう、変えようとしている」と述べた。

実際、2020年以降、CEOたちは人種差別、警察による暴力、投票権などの問題について発言するよう、より大きな圧力に晒されている。そして、この2カ月間で、エクソンモービル、マクドナルド、ディズニーなど500社近くが、ロシアからの事業撤退、事務所や店舗の閉鎖、ロシアとの全面的な関係断絶を行った。

ウエストエグゼク社の顧客リストは非公開となっている。フロノイは、契約上のプライバシーに関する規定があるため、現在または過去の顧客名を明かすことを拒否し、公開される報告書には顧客名は記載されない。

フロノイは「CEOたちは、自分が歴史のどちらの側にいるかという選択をすることになる。"彼らはそうした選択を好まないかもしれないが、それが今の世界の事実だ」と述べている。

本誌はフロノイに、ロシアのウクライナ戦争についてCEOたちが彼女に質問する一番の疑問、高い利害関係、そしてこの瞬間が将来のビジネスリーダーにとって何を意味するのかについて話を聞いた。

このインタヴューは編集され簡潔にまとめられている。

●ロシアのウクライナ侵攻に対して拡大企業のCEOたちが強く反応した。それは何故か?

■ビジネス界からの反応は驚くほど強く、多くの人々が予想していたよりも強かった。私たちが話を聞いたCEOたちの中で、ウラジミール・プーティンのシナリオを信じた人はいなかったと思う。彼らは、プーティンがウクライナに軍事介入する正当な理由があるとは思っていない。二つ目に、より大きな問題は、ロシアが直接的かつ執拗に民間人を標的にする戦術を採用していることだ。これはとても恐ろしいことだ。これは違法なだけでなく、非道徳的であり、見るに耐えない。CEOたちの側にも直感的な反応があり、彼らは「こんなことに加担する訳にはいかない。このようなことに無関心でいることはできないし、ロシアと関係を持っているように見られることも許されないのだ」と考えている。

●ウクライナについてCEOたちからどのような質問をされるのか?

■多種多様な質問が出されている。具体的には、「紛争はいつまで続くのか? 制裁はいつまで続くのか? サプライチェーンやロシアの石油・ガスに依存しているヨーロッパへの長期的な経済的影響はどうなるのか? この後、ヨーロッパはどうなるのか? どのように終わるのだろうか? 従業員のケアはどうすればいいのか?」という質問が出されている。

●この2年間、世界はジョージ・フロイドの殺人事件、新型コロナウイルス感染拡大、環境・社会・ガバナンスの目標に対する投資家の要求の高まりを目の当たりにしてきた。これらの出来事は、各大企業のCEOたちの対ロシア行動にどのような影響を与えたのか?

■ここ数年、CEOたちは、政策を避けようとしても、政策は必ず後についてやってくるという事実に敏感になっているように考える。ワシントンを避けようとしても、ワシントンはあなたを見つけに来るのだ。地政学を避けようとしても、地政学は必ずやってくるのだ。

CEOたちは、このような非常に重要な道徳的問題や政策的問題について、自分たちの見解を持たなければならない。なぜなら、CEOたちの見解について、株主は気にし、市場は気にし、顧客はしばしば気にするからだ。

また、CEOたちは、社員たちのケアについても積極的に考えている。CEOたちは、次に起きる地政学的な紛争について考えている。例えば、「中国と台湾の対立が起きたら?」ということだ。CEOたちは今、万が一に備えた計画を立てているところだ。

CEOたちは今日、明らかに地政学的な出来事に対処しなければならない。これは新しい現象なのか? それとも、昔からそうだったのか?

■私自身は、優秀なCEOは常にこの部分を理解していると確信している。しかし、今起きていることは、経済統合が進み、主に効率化のために構築されたサプライチェーンによって、私たちを切り離すことが非常に難しくなっていることだと考える。これは、経済統合やグローバライゼーションの本質であり、過去30年以上の傾向だ。この30数年のトレンドにより、世界のつながりはより強固なものとなっている。

地政学的な諸問題は、今やCEOの課題として取り上げざるを得ないのだ。そして、このような状況下で企業がどのように行動するかについて、一般の人々の認識や懸念、判断が高まり、地政学的諸問題はCEOや取締役会の議題としてより高いレベルの優先度を持つようになった。

CEOたちが地政学的な諸問題に関与する傾向が強まっていることに対し反発の声もある。ゴールドマン・サックスのCEOデイヴィッド・ソロモンは、ロシアを排除するのはビジネスリーダーの仕事ではないと述べた。

■そうではあるが、ゴールドマン・サックスはロシアから撤退した最初の金融機関となった。

政策を決めるのはCEOたちの仕事ではない。しかし、彼らはその金融的な規模と経済的な重さゆえに、このシステムの一員となっている。

●ロシアでの紛争はビジネス史において転換点なのだろうか?

■ヨーロッパの秩序を決定するだけでなく、プーティンにとって有益なものになるかどうかで、他の権威主義的指導者の行動にも影響を与える大きな出来事だと私は考える。他の権威主義的指導者たちは、この瞬間を見て、目的を達成するために力を行使しようと考えている。

また、エネルギー分野のビジネスリーダーにとっても重要な瞬間となると思う。この危機によって、ヨーロッパ諸国は今後10年間、ロシアの石油やガスから離脱するための投資を余儀なくされると思う。また、サプライチェーンがロシア産の希少な鉱物に依存している分野もあると考える。そのようなビジネスの多くは、他の供給源を探すために奔走することになるだろう。また、特定の国への小麦や穀物の輸出にも影響が出るだろう。

●これからの5年間であなたのCEOたちと関わる役割はどのように進展していくと考えるか?

■私たちは現在国際的により大規模な競争の時代に生きていると私は考えている。アメリカが経済的、技術的な優位性を維持しながら、自分たちの価値観に忠実であろうとするためには、ここが本当の意味での勝負どころである。つまり、企業のトップたちはアメリカの優位性と価値観の維持にとってのキープレーヤーであり、彼らが競争力を維持できるようにすることが非常に重要なのだ。特に、悲しいことに国際秩序を変えようとする権威主義的な国家が再び台頭している今、これは非常に重要なことだ。

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元国防次官はウクライナ戦争の混乱の中どのように進むかに関して、各大企業にどのように助言しているのか(How A Former Under Secretary Of Defense Is Advising Companies To Navigate Ukraine War Disruptions

スティーヴン・エウリッチ筆

2022年3月8日

『フォーブス』誌

https://www.forbes.com/sites/stevenehrlich/2022/03/08/how-a-former-under-secretary-of-defense-is-advising-companies-to-navigate-ukraine-war-disruptions/?sh=7da5ea09b54d

「物事は良くなる前に悪くなるものだ」。これは、バラク・オバマ大統領時代に国防次官を、クリントン大統領時代に国防次官補を務めた、ミシェル・フロノイが、ロシアとウクライナの戦争についてクライアントたちから尋ねられたときに最初に伝えるアドヴァイスだ。

ウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社の共同創設者であり、現在経営パートナーを務めるフロノイは、1945年以来ヨーロッパで最大の陸上での戦争を引き起こした状況や、今後数ヶ月、数年先まで必要となる難しい選択について企業が理解できるよう日夜手助けを行っている。ウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社は現在、ボストンコンサルティンググループと提携し、各企業の経営陣や民間企業に助言を行っている。

本誌『フォーブス』とのインタヴューの中で、フロノイは、弾丸や迫撃砲が止まれば、いつであろうとすぐに物事が正常に戻るという、よくある誤解を否定している。実際、戦闘が終わった後も、課題はずっと続くとフロノイは述べている。フロノイは「紛争自体の解決には相当な時間がかかるだろうし、その後もプーティンのせいで多くの制限や制裁の一部が残るだろう」と語った。

フロノイは、この紛争がこれほどまでに難航するのは、プーティン側の一連の不手際と間違った思い込みが、彼を泥沼に陥れたからだと指摘している。中でも、米国とヨーロッパの同盟諸国がロシアの金融部門と中央銀行に対して前例のない制裁措置を取ったが、このような厳しい統一的な対応をとることを予測できなかったことが大きい。フロノイは「NATOが示した団結の度合いにプーティンは強いショックを受けたに違いない」と述べた。

彼女はまた、プーティンがロシア軍の能力が「近代的」だという誤った信頼を寄せていたと指摘している。プーティンは、おそらく「イエスマン」に囲まれているために、彼は2014年のウクライナ南東部のクリミア半島の併合と同様の迅速な勝利を期待するようになったとフロノイは主張している。

最後の、そしておそらく最重要なことは、ウクライナの人々の意思を否定したことである。フロノイは次のように語った。「プーティンはロシア軍の能力を過大評価し、またウクライナ軍の能力とウクライナ国民が冷戦終結後に経験した民主政治体制と自由のために戦おうとする度合いを過小評価したのだ」。

ウクライナ軍の能力とウクライナ国民の決意のために、ロシア、特にプーティンは、不利な結果や膠着状態を目にする可能性がある。実際、従来の常識では、ロシアの軍事力の大きさが最終的にウクライナを降伏させるに違いないと考えられてきたが、フロノイは必ずしもそうではない可能性を示唆している。「アメリカのロシア軍分析者たちの間では、彼ら(ロシア兵)がキエフを包囲することはできないのではないか、という憶測が流れている。たとえ主要都市が陥落しても、ロシア軍に対抗するための十分な資金と洗練された抵抗軍が存在する」と彼女は予想を立てている。

今日の紛争と歴史上の出来事との間の類似点を探す時、アナリストの多くは1938年のドイツのスデーテンラント侵攻を、宥和政策(appeasement)の危険性を示す教訓としてみている。しかし、フロノイは、第二次世界大戦中のロシアのウクライナ侵攻を、1942年のアドルフ・ヒトラーのロシア侵攻になぞらえて、別の見方をする。フロノイは、ロシアのウクライナ侵攻を1942年のヒトラーのロシア侵攻になぞらえて、「あれは行き過ぎた行為でその結果として戦争に負けたが、ヒトラーはそのことを理解できなかった」と述べた。

フロノイは、プーティンもまた同様の傲慢さに屈したのだと述べている。彼女は次のように語った。「ウクライナ東部や、ロシアの勢力圏を再構築するために使ってきたグレーゾーン戦術を超えることができる、それが可能だという過信があった。今、通常の軍事力を使って、他の国を侵略しようとしている。これは、戦略的誤算(strategic miscalculation)または行き過ぎた行為(overreach)の典型的なケースとして歴史に残ることになると私は考える」。

しかし、ウクライナの支援者たちはロシアの苦戦を心強く思うかもしれないが、投資家や経営者、その他の利害関係者がロシアの苦戦に懸念を持つ理由もまた存在する。紛争が解決しないまま長引けば長引くほど、対ロシア制裁はより厳しくなり、ウクライナの統治は、その形がどのようになるにしても、より困難になっていくだろう。

そうなると問題は、プーティンがどう対応するかである。また、この誤算がプーティン個人に大きな影響を与える可能性もないとは言えない。「確率の低い出来事について考えられる。事態が進行するにつれ、ロシア国内の抗議運動が活発化し、オリガルヒの間で不満が増大すれば、彼(プーティン)は仕事を失い、場合によっては生命を失うかもしれない」。

フロノイは、西半球にとどまらず、このロシアの冒険主義が世界最大のホットスポットの一つである台湾に与える影響についても、クライアントたちに助言している。中国がロシアの真似をして、1949年の共産主義革命以来の北京の大きな目標である台湾を武力で制圧しようとするのではないかと多くのアナリストが考えている。

しかし、フロノイは、ロシアの挑戦と風評被害のために、中国の台湾侵攻がすぐに起こる可能性を低くしていると考えている。フロノイは、台湾を訪問し蔡英文総統と会談を持った。その際に蔡総統はフロノイに対して、台湾の人々はウクライナの人々の意志の強さに心を打たれたと語った。

更に言えば、中国からの観点から、フロノイは習近平国家主席が国際的に除け者になってしまうようなことになりたくないと考えていると指摘している。フロノイは更に、中国がロシアと緊密な関係を築いているように見えたり、両国の経済的な結びつきが強まっていたりすることに惑わされないことが重要であると指摘する。実際、ウクライナ戦争は中露間の関係を冷え込ませる可能性があるとフロノイは語っている。彼女は次のように述べている。「今、彼ら(中露)は制裁の効果を薄めようと懸命の努力を重ねている。しかし、こうした努力が最終的にプーティンにとってうまくいかなければ、習近平は、距離を置く方法を見つけると思う」。

台湾はアメリカにとってウクライナよりもはるかに大きな貿易相手国であり、今日の経済に欠かせない半導体(semiconductors)などのハイテク製造に携わっているため、これは投資家にとって多少の安心材料となるかもしれない。

しかしながら、アジアで事業を展開する投資家や企業は、ウクライナで起きていることと無縁でいられると考えるべきではない。フロノイは最後に、ロシアの制裁対象機関に協力する中国の銀行や企業に影響を与える可能性のある二次的制裁に注意するよう顧客たちに助言している。これらの企業は、関連する制裁違反の罪を犯し、自分たちもアメリカから処罰を受けることになりかねない。アメリカの経済戦争に決して好意的でない中国は、おそらく報復措置を取るだろう。

フロノイは「私たちは、クライアントの多くのために、中国でのビジネスに関するリスク管理とリスク軽減の戦略を練っている」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

※6月28日には、副島先生のウクライナ戦争に関する最新分析『プーチンを罠に嵌め、策略に陥れた英米ディープ・ステイトはウクライナ戦争を第3次世界大戦にする』が発売になります。


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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 私が著書『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』を出してから1年が経過した。この本の1章で私は、バイデン政権の外交・安全保障関係の高官たちの分析を行った。特に重要な人物だと考えたのは、コンサルタント会社「ウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社」の創設者であるミッシェル・フロノイ元国防次官だ。ウエストエグゼク社には、現在のジョー・バイデン政権の高官たちが多数在籍していた。アントニー・ブリンケン国務長官は共同創設者である。その他には、ロバート・O・ワーク国防副長官、アヴリル・ヘインズ国家情報長官、ホワイトハウス報道官ジェン・サキ、イーライ・ライトナー国防長官特別補佐官が在籍していた。
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 このウエストエグゼク社を広報会社テネオ社が買収するという話が出ており、合意間近だということだ。テネオ社は創業者が不祥事で辞任して先行き不透明と言いながら、利益は出ており、事業拡大のための買収ということだそうだ。ウエストエグゼク社に在籍していた人物たちがバイデン政権の高官になっているということも買収にとっては大きなポイントになっているということも考えられる。

 今年の3月にジョー・バイデン大統領が台湾に送った代表団の中に、ミッシェル・フロノイが入っていた。下の記事にある写真では右から2番目に写っている。フロノイの隣、右端に写っているのは、ジョージタウン大学教授マイケル・グリーンである。

 この2つの話から、ミッシェル・フロノイがバイデン政権においても重要な役割を果たしていること、更に言えば中間選挙後のバイデン政権1期目後半にはフロノイが政権入りするのではないか、具体的には国防次官もしくは国家安全保障会議に重要メンバーとして入るのではないかと考えている。

 フロノイと共にグリーンが台湾への代表団に入っていたのは気になるところだ。ホワイトハウスの国家安全保障会議でアジア担当上級部長を務めた経歴からの代表団入りだと考えられる。ウクライナ戦争勃発後に、グリーンは「台湾はウクライナだ」という主張を展開していた。フロノイとグリーンが台湾を訪問したということは、台湾への武器売り込みや対中強硬姿勢の確認ということもあったと考えられる。こうした人物たちの暗躍によって、アジア地域における安全環境が乱されるのはどの国にとっても利益とはならない。

 しかしながら、現状のアメリカではアジア地域で戦争が起きてもきちんとした対応はできない。2つの戦争を支えるだけの力はない。そう考えると、本気でぶつかるということではなく、武器を売り込んでアメリカの軍需産業の利益を少しでも上げようということになるのだろう。

 中間選挙後にバイデン政権がどのような動きをするかということを注視する必要がある。

(貼り付けはじめ)

アドヴァイザリー企業テネオ社がウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社買収間近となっている(Advisory Firm Teneo Near Deal to Buy WestExec Advisors

-合意によってテネオ社は地政学的、政策的コンサルタント業務へ専門分野を拡大することになるだろう。

カラ・ロンバルド筆

2022年6月7日

『ウォールストリート・ジャーナル』紙

https://www.wsj.com/articles/advisory-firm-teneo-near-deal-to-buy-westexec-advisors-11654644028

テネオ・ホールディングス・LLCTeneo Holdings LLC)は地政学および政策分野でのコンサルティングの焦点を拡大するアドヴァイザー企業の買収合意間近となっている。有名な広報企業テネオ社がこうした分野に拡大することになる。

テネオ社は、ワシントンD.C.に本社を置くウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社(WestExec Advisors)の株式の過半数を購入する契約を、早ければ水曜日に締結する可能性がある。この問題に詳しい関係者はこのように述べている。

およそ1年前、テネオ社の創業者であるデクラン・ケリーが、チャリティーイヴェントでの泥酔による不品行が報じられ、最終的に辞任したことで、テネオ社の将来は不安定な状態に陥っていた。

テネオ社は2021年に5億ドル近い売上を計上し、今年も約10%の成長を見込んでいると同社の関係者たちは述べている。従業員数は約600人増の約1500人で、増加分の約半分はイギリス・デロイト社リストラクチャリング事業を買収したことによるものだ。

ウエストエグゼク社はオバマ政権高官だったミッシェル・フロノイ(Michèle Flournoy)、セルジオ・アグリア(Sergio Aguirre)、ナイティン・チャッダ(Nitin Chadda)によって創設された。ウエストエグゼク社には約40名のスタッフがおり、貿易などの政策や地政学的な諸問題について、顧客の企業が理解し、ビジネス上の意思決定に役立てることを専門としている。特に、安全保障・防衛産業を専門としている。

テネオ社は2021年にウエストエグゼク社に対してマイノリティ投資(過半数の株式を所有しない投資)を行った。ウエストエグゼク社の社名は「ウエスト・エグゼクティヴ・アヴェニュー」から来ている。同社のウェブサイトによると、この通りは、ホワイトハウスの大統領執務室(ウエストウィング)に向かうための一般には閉鎖されている通りである。

テネオ社とウエストエグゼク社のような企業は、アメリカや世界の各企業に対して、舞台裏で影響力を発揮し、取締役会や経営幹部に対して事業戦略やコミュニケーションに関する指導を行っている。中国との緊張の高まりやロシアによるウクライナ戦争など、世界規模で予測すべき、そして対応すべき不安定な政治情勢が絶えない状況下で、こうした企業のサーヴィスに対する需要は高まっている。

広報会社サード・ヴァービネン社は最近、ライヴァルのフィンスブリー・グローヴァー・はーリング社と合併し、FGSグローバル社という大企業になった。

テネオ社は2011年にケリーがクリントン大統領時代のホワイトハウスに勤務したダグ・バンド、元コンサルティング会社のポール・ケアリー(現在は最高経営責任者)と共同で設立し、PR業界に参入した。テネオは、ゼネラル・エレクトリック社やコカ・コーラ社などの顧客企業に助言を行い、リスク・アドバイザリーからエグゼクティヴ・サーチに至るまで、あらゆる分野に焦点を当てた様々な部門を持つまでに成長した。

テネオ社の急成長は、同社にとって長年の「顔」であり続け、最大の利益を生み出す存在であったケリーが、2021年5月に慈善団体「グローバル・シティズン」が主催した有名人が参加したイヴェントで不適切な行動をとり、辞職したことによって脅かされることになった。ケリーは持ち株を売却してテネオ社とは無関係になり、その後、アメリカン・フットボールのスター選手トム・ブレイディをパートナーに迎えた新会社「コンセロ・LLC社」を創設した。

プライヴェート・イクィティ企業であるCVCキャピタル・パートナーズ社は2019年からテネオ社の最大株主となっている。

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●「バイデン米大統領が派遣する代表団、台湾に到着」

発信日: 2022/03/02

『タイワン・トルディ』紙

https://jp.taiwantoday.tw/news.php?unit=148,149,150,151,152&post=215628

アメリカのバイデン大統領の指示を受けた代表団が1日、専用機で台湾に到着した。マイケル・マレン元統合参謀本部議長(右から3人目)が率いる代表団で、メンバーはほかに、ミシェル・フロノイ元国防次官(右から2人目)、メーガン・オサリバン元大統領副補佐官(中央)、国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長を務めたマイケル・グリーン氏(右)とエバン・メデイロス氏(左から4人目)。空港では外交部の呉釗燮部長(右から4人目)が一行を出迎えた。(外交部)

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アメリカのバイデン大統領が派遣する代表団が1日、専用機で台湾に到着した。マイケル・マレン元統合参謀本部議長が率いる代表団で、メンバーはほかに、ミシェル・フロノイ元国防次官、メーガン・オサリバン元大統領副補佐官(国家安全保障担当)、それに国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長を務めたマイケル・グリーン氏とエバン・メデイロス氏。

外交部の呉釗燮部長(=外相)は1日午後、中華民国政府を代表し、松山空港(台湾北部・台北市)で一行を出迎えた。訪問団一行は2日まで台湾に滞在し、蔡英文総統、頼清徳副総統、行政院の蘇貞昌院長(=首相)、国防部の邱国正部長(=国防相)などと会見する。また、外交部の呉釗燮部長が昼に、蔡英文総統が夜に設宴して一行をもてなす。双方は、台米関係に係る重要な議題について意見を交換するとしている。

マレン氏は2007年から2011年にかけて米統合参謀本部議長を務めるなど、豊富な軍事経験を持つ。フロノイ氏は2014年と2015年の2回にわたり、新アメリカ安全保障センター(CNAS)の「NextGenプログラム(Next Generation National Security Leaders Program)」の訪問団を率いて台湾を訪れたことがある。オサリバン氏は現在、ハーバード大学で教鞭をとっているが、2004年から2007年まで、ブッシュ政権の国家安全保障会議(NSC)でイラク及びアフガン問題を担当した。グリーン氏とメデイロス氏はそれぞれ、ブッシュ政権とオバマ政権下で、国家安全保障会議(NSC)上級アジア部長を務め、台湾問題を担当した。いずれも何度か台湾を訪問したことがある。バイデン政権が台湾に派遣したこの訪問団は、民主党及び共和党に属する政府元高官から構成されており、米国が与野党を問わず台湾問題に関して高いコンセンサスを持っていることと、台湾への揺るぎない支持を見て取ることができる。

バイデン政権が代表団を台湾に派遣するのは、昨年4月のクリス・ドッド元上院議員以来、2回目のこと。外交部は1日に発表したニュースリリースで、「ウクライナ情勢が緊迫する中、バイデン政権が再び重量級の代表団を台湾に派遣したことは、米国の台湾に対する一貫した支持と重視と、米国の台湾に対する約束が『盤石(rock-solid)』であることを改めて示すものだ。マレン氏の訪台を通して、米国政府と緊密な協力を維持する方法を模索し、台米の緊密なパートナーシップを一層強化したい」と述べている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

※6月28日には、副島先生のウクライナ戦争に関する最新分析『プーチンを罠に嵌め、策略に陥れた英米ディープ・ステイトはウクライナ戦争を第3次世界大戦にする』が発売になります。


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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 今回は、2021年5月29日発売の新著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』で詳しく取り上げた最重要人物ミッシェル・フロノイが2017年に発表した論稿をご紹介する。記事の最後にあるフロノイの紹介文に出てくる2つの言葉「国防次官」と「ウエストエグゼク社」がキーワードである。詳しくは是非新著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』を読んでもらいたい。
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ミッシェル・フロノイ

 フロノイは2017年に、現在国務長官を務めるアントニー・ブリンケンと一緒にウエストエグゼク社を創設した。ウエスト社はコンサルタント会社であるが、何をやっているのかよく分からない。しかし、下に掲載した論稿を読めば、フロノイとウエスト社が何をやろうとし、何をやってきたかはよく分かる。

 フロノイはロシアからのサイバー攻撃からアメリカの民主政治体制(デモクラシー)を守るために、官民を挙げてサイバー環境の安全を高め、対応能力を向上させるべきだと述べている。「国家安全保障のためのテクノロジー(Tech for Security)」という考えをこの時点で提唱している。この点が極めて重要で、バイデン政権の動向を理解するために必要な考えだ。是非新著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』を読んでいただきたい。

ロシアが2018年の選挙に介入する前にアメリカには戦略が必要だ(America needs a strategy before Russia meddles in 2018 elections

ミッシェル・フロノイ

2017年10月31日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/national-security/358010-america-needs-a-strategy-before-russia-meddles-in-2018-elections

連邦議会は、フェイスブック社、グーグル社、そしてツイッター社から経営陣を召喚し、2016年の大統領選挙でのロシアの介入について証言を求めた。連邦上院、下院の両情報・諜報委員会では、ロシア政府がいかにしてSNSの使用者たちのアカウントをハッキングして間違った情報を与えたか、いかにしてアメリカ政治に影響を与えようとしたかについて、厳しい質問がなされた。こうした状況下、私たちは一つの重要なポイントを心に留めておく必要がある。それは、これが単に、フェイスブック社、グーグル社、ツイッター社の個別の問題ではないということだ。それは、国家安全保障上の問題であり、トランプ政権はそのことを認識していないので、アメリカとしての効果的な対応をできていない。

昨年(2016年)、ロシアは、古くからあるKGBの作戦書通りに、アメリカ大統領選挙の結果を与え、アメリカの民主政治体制を棄損するために攻撃を加えた。過去に複数のヨーロッパの国々でも同様の攻撃があったが、アメリカに対するサイバー攻撃によるハッキング、フェイクニュースの拡散、偽情報の拡散、候補者の陣営の情報獲得などの複合的な攻撃は前代未聞の規模となった。

アメリカの選挙に対するロシアの介入についての捜査は継続中であるが、アメリカの諜報部門は、アメリカの有権者たちの疑念と不満を持たせることで民主政治体制への信頼を低下させる、ウラジーミル・プーチンが与しやすいと考える候補者を支援する、最終的にはロシアが国際社会で再び大国の地位を取り戻すといったことがロシア政府の目的であることを明らかにしている。

ロシアの介入は前回の選挙で終わったと考えたい人たちもいるだろうが、ロシアがアメリカに対して情報戦争を仕掛け続けているのはあらゆる証拠が示している。2018年の中間選挙と2020年の大統領選挙について考えてみよう。アメリカの対応がないとなれば、ロシアは思い通りにサイバー攻撃を実施できる。候補者たちのEメールを暴露し、様々なSNSを利用してフェイクニュースと広告を拡散し、投票システムに介入し、選挙の結果の正統性に疑念を持たせることができると様々な可能性を考慮できるではないか?

アメリカにとって緊急で必要なのは、2018年もしくは2020年の選挙でロシアの介入を防ぐための明確な戦略と行動計画だ。そのためには、連邦、州、地方の各レヴェルの政府とテクノロジー企業とメディアの協力が必要で、子の協力には2つの重要な目的がある。一つは、ロシアが仕掛けてくる情報戦争からアメリカを守り、反撃するための能力を向上させることだ。二つ目は、プーチンに将来の介入を思いとどまらせるために、ロシア側へコストを負わせるための戦略を構築することだ。

しかし、トランプ大統領は、アメリカの民主政治体制に対する将来の攻撃を無力化する、もしくは防衛するための能力を向上させるためのアメリカを挙げた努力を行う先頭に立つのではなく、ロシアによる介入を示す諸事実を否定し、それらに反論することに終始している。アメリカの民主政体を守るそのスタートとして、アメリカ政府は選挙に関連するシステムとプロセス全てのサイバー上の安全を強化しなければならない。情報産業の手助けを受けながら、各候補者、選対、そして政党は、 ハッキングされにくいようにしなければならない。そのためには、複数段階での認証を行うなどのサイバー衛生(インターネットの接続環境を良好に保つこと)の改善、複数のアカウントにはそれぞれに別のパスワードを設定すること、Eメールに書く内容に気を付けること、より安全で暗号化されるものがあるならばそちらを使い安全ではない技術を使わないことが重要である。

加えて、州政府と地方政府は選挙の投票インフラの重要な弱点を調べ出し、対応するべきだ。この弱点をロシアは2016年に突いてきたのだ。私たちがまずやらねばならないことは、紙による検証が可能な投票機械を使用することである。ロシアからの攻撃に対する第二線は、選挙結果の監査能力の強化、選挙結果への信頼を向上させるために統計的により厳格な方法を採用することである。米国土安全保障省は安全に関するより厳しい基準の設定を主導しなければならない。連邦議会はこれからの3年間で各州がこの基準を達成することを支援するために予算をつけねばならない。

ロシアの偽情報と「フェイクニュース」に対抗することは、最も困難な作業となるであろう。アメリカにおける根本的な価値観である言論の自由、強力で独立的なメディア、自由で開かれたインターネットという条件下で、ロシアに対抗することは難しい。「フェイクニュース」の影響を減少させるには公共部門と民間部門との間のより緊密な協力が必要となるだろう。フェイスブック社、グーグル社、その他のテクノロジー企業は、自分たちが提供しているプラットフォームの誤った使用に対して適切に対処しなければならない。その具体的な内容は、ターゲットとされている使用者たちへの通知、選挙に出ている候補者たち、選対、政党と協力してインターネット上のネットワークとSNSの安全性を向上すること、フェイクのアカウントを特定し削除する能力の向上、人間が生み出した内容とボットが生み出した内容との区別をつける能力の向上、疑わしい内容の特定と優先性の下降、有料広告の透明性の強化が含まれている。これらの試みは評価され、確立されるべきだ。

私たちは、プーチンがサイバー攻撃と諜報活動をするかどうかを決定する際に慎重に行動するよう、ロシア政府に負担をかけるようにする必要がある。アメリカ政府は、ロシアが我が国の選挙システム、ニューズメディア、SNSを目標にした攻撃を行えないようにすべきだ。私たちは明確な戦略を確立し、深刻なサイバー攻撃への本格的な対応策を複数実行する必要がある。対応策には連邦議会とヨーロッパ連合と協力して対ロシア経済制裁を実行することも含まれる。経済政策を科すことで、大西洋を挟む両岸(アメリカとヨーロッパ)の将来の選挙にロシアが介入すれば相応の代償を支払わせることができる。

まとめると、ロシアは、SNSを民主政治体制への攻撃のための戦場としている。そうではあるが、SNS自体が問題なのではない。実際、フェイスブック社、グーグル社、そしてツイッター社は、ロシアからの攻撃に対する解決法を確立するための重要なパートナーだ。プーチンは、アメリカ経済で最も革新的な部門であるIT部門には規制が必要だという考えに舌を出して喜んでいることだろう。連邦議会はIT部門に規制を加えたいという誘惑に抗する必要がある。緊急的に必要なことは更なる規制ではない。アメリカ全体での対応策の策定である。テクノロジー部門における革新的な問題解決策の構築によって将来のロシアの攻撃を無力化することである。我が国の民主政治体制と国家安全保障はIT技術に依存しているのだ。

ミシェル・フロノイは2009年から2012年まで政策担当国防次官を務めた。彼女はウエストエグゼク社の共同創設者だ。ウエストエグゼク社(WestExec)はフェイスブックス社を含む多種多様な企業のコンサルタント業務を行っている。

(貼り付け終わり)
akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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