古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ウラジミール・プーティン

 古村治彦です。

 2022年の世界規模の大きな課題は、中国と台湾とアメリカの関係とウクライナとロシアの関係であった。これらについては2021年の段階で既に火種がまかれていた。アメリカでジョー・バイデン政権が発足し、アメリカは対ロシア、対中国で強硬姿勢を鮮明にした。サイバー上でロシアと中国がアメリカに攻撃を加えているので、サイバー安全保障を早急に整えねばならないということをバイデン政権は述べていた。私はバイデン政権の動きから、中露両国とアメリカの間でサイバー上において激しい戦いがあると考え、拙著『』(秀和システム)を書いた。

 しかし、実際には人々の死と大規模な破壊を伴う戦争が起きた。ウクライナは欧米諸国(NATO)の対ロシア最前線であった。欧米諸国はウクライナに中途半端に強力な軍事支援を行ってロシアを挑発した。ロシアという国は敵対する勢力と直接国境を接することを極度に怖がるという習性をもっている。これは歴史的に見ても明らかだ。だから、ロシア本国の周りに緩衝国(buffer state)をつくってきた。

冷戦の終結で、ロシアは身ぐるみをはがされて裸にされた形になり、「冷戦に勝った、勝った」と浮かれた欧米諸国はロシアを馬鹿にするだけ馬鹿にして悦に入っていた。それでも旧ソ連時代からのロシア軍の実力を恐れ、何とか封じ込めようとしてきた。東欧まではロシアもまだ我慢した。しかそ、ウクライナと春と話は別だ。ウクライナが中立でなければロシアの南部国境は危うくなる、黒海周辺でのバランスが大きく変わるということになった。

 ジョー・バイデンがバラク・オバマ政権時代に副大統領としてウクライナを私物化し、軍事支援などを積極的に行ってきたことも今から考えれば、ロシアにしてみれば「バイデンが大統領になったらどういうことになるか分からない」という懸念を強めることになっただろう。国務省次官にヴィクトリア・ヌーランドを起用したこともその懸念に拍車をかけたことだろう。結果として、ロシアは誘い込まれるようにして、ウクライナに侵攻した。欧米諸国がロシアの懸念を理解し、ウクライナの中立化(欧米並みの機能する民主政治体制[ネオナチが排除され、汚職や腐敗が撲滅されたもの]ではあるが軍事力は限定的)を進めていれば世界は不幸にならなかった(軍事産業は不幸だっただろうが)。

 中国と台湾の関係はそのまま中国とアメリカの関係ということになる。「ウクライナの次は台湾だ。中国が台湾を攻める」というスローガンが2022年前半にはやかましかった。しかし、その後は静かになった。そもそもアメリカは中国と本気で事を構えることはしたくない。

ウクライナ戦争でアメリカ軍将兵の生命を損耗することなく、武器だけはじゃんじゃん送ってウクライナ人が命を落としながら、武器を大量消費して軍事産業がウハウハという状態になっているが、アメリカ軍自体の武器貯蔵が減ってきて、生産が追い付かないで困っているという状態である。ウクライナ戦争が終わって、武器の貯蔵が回復するまでは、まず中国軍と戦うことはできない。「アメリカ軍が本気で台湾のために戦ってくれない」ということを台湾の人々は良く認識するようになっているので、「アメリカから煽って火をつけないで欲しい」と窘められる始末だ。

2021年の段階で米中関係、中台関係は戦争まで行かないという予想が大半でそれは当たった。ウクライナ戦争については戦争が起きるだろうか、その目的と地域は限定的で、ロシア系住民の保護のためにウクライナ東部に集中するという予測がなされていたが、それははずれる格好になった。

今年に入ってもウクライナ戦争は継続されてもうすぐ1年ということになる。焦点は停戦合意に向けた話し合いになると私は考える。バイデン大統領が仲介をする形になるだろうが、ウクライナが素直に言うことを聞くだろうかという不安がある。バイデンは再選を控えている。

そうした中で、バイデンのバカ息子であるハンターのウクライナとの関係で、ウクライナ側が何か新事実を出すとか、ハンターと汚職企業の関係を調査するとかと言うことになると再選に響く。そうしたことを行わないことを条件にして支援を続けるように、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領が交渉する(脅す)ことくらいはやりかねない。困ったバイデンの選択はゼレンスキーの排除ということになる。飛行機事故でもヘリコプター事故でも交通事故でも反感を持つに至った側近による暗殺でも、アメリカのCIAがこれまでやってきたオプションから選ぶだけで良い。

属国の指導者の運命とははかないものである。それを私たちは昨年まざまざと見せつけられた。そして、国際政治は非情なものである。

(貼り付けはじめ)

過去を見返すことで2023年に向けて未来を見通す(Looking Ahead to 2023 by Looking Back

-昨年の外交政策の中で今年の外交政策について教えてくれることが可能なものとは。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2023年1月4日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/01/04/looking-ahead-to-2023-by-looking-back/

2023年に入る前に、2022年が私の予想通りであったかどうか、振り返ってみることにした。2021年の最後のコラムで、私は「バイデンの2022年外交政策やること(To-Do)リスト」を紹介した。何が正しくて、何が間違っていたのか、そしてバイデン政権はどの程度の成果を上げたのか?

(1)中国と台湾。私の最初の予想は、「2022年に台湾をめぐる深刻な危機や軍事的対立は起きないだろう」であったが、これは正しかった。2022年8月にナンシー・ペロシ前連邦下院議長が無思慮に台湾を訪問したため、若干緊張が高まったが、冷静さ(cooler heads)が勝り、その後、北京とワシントンの双方が当面の温度を下げることを決定した。北京もワシントンも忙しいのだから、この判断は驚くには当たらない。少なくとも今のところ、ジョー・バイデン政権は中国に対する宣戦布告をせずに済んでいるように見えるが、この作戦が成功するかどうかはまだ分からない。アジア(およびヨーロッパ)の同盟諸国は、先端チップ技術の輸出規制や政権の広範な経済計画の保護主義的要素に不満を持っており、これは中国にとって好機となる可能性がある。私は、2023年に東アジアが平和になることを確信している。

(2)ウクライナ。この件に関しては、一部ではあるが、私は間違っていた。2021年12月下旬の記事で、私は、ロシアは侵攻しないと予想した。しかし、100%の確信があったのではなく、もしモスクワが侵攻してきたとしても、ドンバス地方を中心とした「限定的な目標(limited aims)」の侵攻であり、グルジアと同じような「凍結された紛争(frozen conflict)」になる可能性が高いと予想すると私は述べている。私はなぜそう考えたか? 限定的な作戦であれば、「西側からの強力で統一的な反応を引き起こす可能性が低い」からである。限定的な侵略は、ジョー・バイデン大統領とNATOを「勝ち目のない」状況(“no-win” situation)に追い込むことにもなる。「アメリカから遠く離れ、ロシアのすぐ隣にある地域で銃撃戦を行う意図をアメリカは持たないからだ。ロシアのウラジミール・プーティン大統領は、大規模な侵攻はウクライナの激しい抵抗を引き起こし、「モスクワには到底払えないような費用のかかる痛み」を生じさせることを理解していると私は考えた。

プーティンはロシアの軍事力を過大評価し、ウクライナの軍事力を過小評価し、侵攻に踏み切ったことは私たちが全員知っていることだ。また、ロシアの当初の目的はドンバス地方に限られたものではなかった。しかし、私はロシアの行動がウクライナの激しい抵抗を招き、欧米諸国が「強力で統一された(strong and unified)」反応を示すと考えたがこれは正しいかった。しかし私は見誤った。それ以来、バイデン政権は、ロシアの自信過剰、度重なるロシアの失態、活発で創造的かつ英雄的なウクライナの抵抗に少なからず助けられながら、かなりの戦術的技術で西側諸国の対応を主導してきた。このバイデンの任務は、私の予想とは異なる結果となったが、戦闘が始まってからの彼と彼のティームの総合的なパフォーマンスは高く評価できる。

しかし、前途に見えているのは厳しい状況である。戦争はまだ終わっておらず、バイデン政権、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領が率いる政府、そして他のNATO諸国にとって、2023年は昨年以上に困難な年になると私は危惧している。ロシアによるウクライナのインフラへの攻撃は甚大な被害をもたらしてはいるが、その規模と人口からして、キエフが外部から支援を受けられる限り、消耗戦(war of attrition)が続くが、戦争状態は継続する可能性がある。私が「可能性がある」と言うのは、双方の実損害、予備戦力、将来にわたる戦力維持能力について、公表されている情報だけで信頼できる情報を分析することは困難だからである。ロシアもウクライナも妥協(compromise)しようとする様子がなく、双方が本気で望んでいたとしても、実行可能な取引(workable deal)を考案するのは難しいだろう。ウクライナの戦場での成功は今年も難しいだろう。膠着状態(stalemate)が長引くと、「欧米諸国の支援を強化し、ウクライナがロシアに直接戦いを挑むことを求める」という意見もあれば、「停戦を促すべきだ」とする意見も出てくるはずだ。どちらが勝つかは分からないが、来年もバイデンの話題はウクライナに集中することは間違いない。そして、戦争が長引けば長引くほど、傍観者であり続けた国々(中国、インドなど)が大きな受益者となるであろう。

(3)イスラエルとイラン。2021年、私はバイデンがイランに対する軍事行動への新たな圧力に直面する可能性があると警告した。2022年には、この問題は全く沸騰することはなかった。しかし、ベンジャミン・ネタニヤフがイスラエル首相に返り咲き、イスラエル史上最も右派的な政権を率いている。イランの核開発を制限する新たな合意に達する可能性は、今や夢物語のように思われる。ドナルド・トランプ前大統領は、当初の協定から離脱するという愚かな決断を下したため、テヘランは包括的共同行動計画が有効であったときよりもはるかに爆弾に近づいている。イランの現在の指導部は、新しい制限の交渉よりも、さらに高濃縮ウランの備蓄と核インフラの強化に関心があるようである。イランはウクライナに対抗するためにロシアに無人機(ドローン)を提供することを望んでいるため、この方面での外交的進展はさらに望めなくなった。ネタニヤフ首相はすでに、イランの核開発を阻止することが外交政策の最重要目標の1つであると語っており、それはバイデン政権がより積極的な行動を支持するよう後押しすることを意味する。中東での戦争は、おそらくバイデン大統領とアントニー・ブリンケン米国務長官が今一番望んでいないことだろうが、だからといってネタニヤフ首相とアメリカ国内の彼の同盟者たちが自分たちの主張を押し通すのを止めることはないだろう。何度も何度も繰り返し主張し続けるだろう。

一方、イスラエルの新内閣が占領地におけるイスラエルの不当な制度を深化させることを明確に約束したことは、既に進歩的な人々の間に警鐘を鳴らし、アメリカ国内のイスラエルの支持者の一部からは手厳しい声が上がっている。アメリカは、イスラエルの政策に「懸念(concern)」を表明し、「二国間解決(two-state solution)」という死語のようなお決まりの呪文を唱える以上のことを期待しない方がいい。ネタニヤフ新政権が何を決定しようとも、パレスチナ人の権利を擁護するとか、アメリカがイスラエル支援を縮小するとかと考える人間はネタニヤフ政権にはいない。このような状況は、バイデン政権の民主政治体制と人権に対する美辞麗句と実際の行動との間のギャップを更に露呈することになる。しかし、中東を相手にする場合、このような偽善は目新しいものではない。

(4)信頼性に関する懸念は続く。予想コラムで、私はバイデンには信頼性の問題があると述べた。それは、アフガニスタンからの撤退という彼の正しい決断をしたからではなく、アメリカが世界的な公約を全て果たすことは不可能であり、諸外国はトランプ流のアイソレイショニズム(isolationism)がいずれ再び勢いを増して戻ってくるかもしれないと懸念しているからである。良い点としては、ウクライナ問題への強力かつ効果的な対応と、バイデンがヨーロッパやアジアの伝統的な同盟諸国に働きかけを続けていることが、こうした懸念を一時的に和らげている。しかし、悪いことに、複数のより根本的な構造的問題が残っている。アジアのパートナーたちは、ウクライナが中国への対抗措置の妨げになることを懸念し、ヨーロッパは共和党内にトランプ主義がまだ残っていることを心配し、アメリカ国内のタカ派は、年間1兆ドルに迫る国防予算では米国の遠く離れたグローバルな公約を全て達成するためにはまだ十分でないと言い続けている。

皮肉なことに、アメリカの保護に対する信頼が多少低下しても、他国が自国を守るためにもっと努力するようになり、地域の安定にもっと関与するようになれば、それは有益なことであろう。したがって、バイデンの課題は、今後1年間、アメリカの同盟諸国に対し、もっと頑張るという公約を履行し、今日の決意を明日の能力に変えるよう説得することである。しかし、この目標は、世界的な不況下では、厳しいものとなる可能性がある。

(5)人道的危機(humanitarian crisis)が起きるか? 2021年、私は、人道的危機がどこで、どのような形で発生するかは分からないが、多く発生する可能性が高いと警告した。悲しいことに、これは事実であることが判明した。世界経済フォーラムの報告によると、現在、世界にはウクライナだけで790万人の難民(refugees)が発生し、国内の590万人が国内避難民となっている。ほぼ全ての大陸で悲劇が起こり、大規模な移民の流れ(アメリカ南部国境での危機継続も含む)を助長し続けている。バイデン政権はこれに対する具体的な答えを持っていない。救援物資(relief aid)を送ることしかない。他の誰も答えを持っていない。この問題が来年大幅に減少すると期待するのは、間抜けな楽観主義者だけだろう。この冬、ウクライナの電力網が完全に破壊されれば、本当に恐ろしい結果になる可能性がある。

(6)優先順位を決めそれを守る。2021年、私はバイデンの最後の課題は「最新の危機に巻き込まれないようにすること」だと提案した。その点では、既に手一杯だったという理由だけで、政権はまずまずの成果を上げたといえる。アメリカは今、同時に2つの大国に決定的な敗北をもたらそうとしていることを忘れてはならない。ウクライナがロシアに軍事的敗北を与えるのを助け、中国には先端技術の輸出規制、アメリカ半導体産業への補助金、台湾への軍事支援の強化、そしてアメリカの同盟諸国のほとんどをこれらの取り組みの背後に配置するキャンペーンを通じて、経済的に大きな敗北を与えようと試みている。これらはかなり野心的な目標であり、追加的な聖戦の余地はほとんどない。バイデンはまた、ロシアのウクライナ侵攻の後に、同様の重大な問題が発生しなかったという点で、幸運でもあった。野球選手の故レフティ・ゴメスの「善良であるよりも幸運である方がいい」という言葉には含蓄がある。バイデンの幸運が続くことを望むのみだ。

(7)国内での戦争。国内の機能不全(domestic dysfunction )について私が最も恐れていたことは現実化しなかった。2021年後半、インフレは上昇し、トランプは再出馬の準備を始め、ほぼ全員が中間選挙での「赤い波(red wave)」を予想し、連邦最高裁は、ほとんどのアメリカ人の意見と大きく対立する保守派に取り込まれ、中間選挙が選挙違反や選挙後の悪ふざけで汚されるのではないかという懸念が広がっていた。このような懸念は、私1人だけのものではなかった。私は、この腐敗を解決するには、大幅な憲法改正しかないとまで言い切った。

ここで、私の考えが間違っていることが証明されたことを喜んでいる。中間選挙は深刻な問題なく終了した。トランプの新しい選挙運動はまだ燃えておらず、法的問題は山積みで、彼が支援した候補者の多くは大敗した。共和党は連邦下院で過半数を僅差で獲得したが、連邦上院では過半数を獲得できず、連邦下院での民主党との僅差の議席差と党内の分裂により、大きな害を与える(あるいは大きな利益をもたらす)には限界があるかもしれない。インフレは徐々に抑制され、アメリカ経済は他の先進資本主義諸国を凌駕している。ジョージ・サントスやその他誰であろうとも、選挙やその他の政治的なふざけ合いが思い出させるように、アメリカはまだ危機を脱したとは言えない。しかし、焦土と化した(scorched-earth)政治を終わらせ、建設的で現実に基づいた党派間競争に戻ることを切望する人々は、昨年起こったことに勇気付けられるはずである。それでも心強くはあるが、満足はしていない。

そして、いつもになく明るい雰囲気の中で、私は皆さんにとって幸せな年となることを願っている。理想を言えば、より平和で豊かな年でありたいものだ。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト、ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。ツイッターアカウント:@stephenwalt

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バイデン:アメリカはサイバー安全保障を改善するために「緊急的な」ステップを進んでいる(Biden: US taking ‘urgent’ steps to improve cybersecurity

マギー・ミラー筆

2021年2月4日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/cybersecurity/537436-biden-says-administration-launching-urgent-initiative-to-improve-nations/

ジョー・バイデン大統領は木曜日、ロシアと中国による悪意のある取り組みへの懸念を指摘し、政権が国家のサイバー安全保障(cybersecurity)を向上させるための「緊急イニシアチヴ(urgent initiative)」を開始すると述べた。

バイデン大統領は、国務省で行われた国家安全保障に関する演説の中で、「私たちは政府内でサイバー問題の地位を高めてきた。私たちは、サイバースペースにおける私たちの能力(capability)、即応性(readiness)、回復力(resilience)を向上させるための緊急イニシアチヴを立ち上げている」と述べた。

バイデン大統領は、サイバーと新興テクノロジー担当の国家安全保障問題担当大統領次席補佐官の新しいポジションの創設を含む、政権による進歩を指摘した。先月、国家安全保障局のサイバー安全保障局長を務めていたアン・ノイバーガーが同職に任命された。

バイデン大統領は、自身の政権が具体的に講じる他の措置について詳しく説明せず、ホワイトハウスは本誌が更なる詳細についてコメントを求めたが答えなかった。

バイデン大統領はこれまでにも、特に最近発覚したロシアによる IT グループ「ソーラーウィンズ(SolarWinds)」社への侵入事件に関するコメントを通じて、サイバー攻撃から国を守ることへの関与を強調しており、連邦政府の大部分に1年以上にわたって危険が及んでいたことを明らかにした。

バイデンは12月の講演で、このハッキングが「国家安全保障に対する重大な脅威(grave threat to national security)」であると述べ、更に同月下旬には、新たなリスクに対処するために国の防衛力を近代化(modernization of the nation’s defenses)することを要求した。

バイデン大統領はまた、1兆9000億ドルの新型コロナウイルス復興提案の一部として、100億ドル以上のサイバー安全保障と情報テクノロジーの資金を盛り込み、提案では国家のサイバー安全保障を「危機(crisis)」と形容している。

バイデン大統領は木曜日午後の演説で、ロシアと中国からの挑戦など、国際的なサイバー安全保障の懸念についても言及した。

バイデン大統領は特にロシアを取り上げ、就任後の最初の電話会談で、ロシアのウラジミール・プーティン大統領に対し、様々な干渉行為に対してバイデン政権が反撃することを強調した。

バイデンは、「私はプーティン大統領に、前任者とは全く異なる方法で、アメリカが攻撃的な行動、選挙への干渉、サイバー攻撃、市民の毒殺に直面する時代は終わったと明言した。私たちは、ロシアに対するコストを引き上げ、私たちの重要な利益と国民を守ることに躊躇しない」と述べた。

バイデン大統領はまた、自身の政権がロシアと中国の両政府と協力できることを望む一方で、彼が「我が国にとっての最も深刻な競争相手(our most serious competitor)」と形容した中国の責任も追及すると指摘した。

バイデンは「私たちは中国の経済的濫用に立ち向かい、人権、知的財産(intellectual property)、グローバルガバナンスに対する中国の攻撃を押し返すために、その攻撃的で強制的な行動に対抗するが、アメリカの利益になるときは北京と協力する用意がある」と述べた。

バイデン大統領のロシアに関する発言は、その日のうちに国家安全保障問題担当大統領補佐官ジェイク・サリヴァンがホワイトハウスで記者団に語った、選挙妨害やソーラーウィンズ事件のような大規模なハッキングなど、「行われた様々な悪質行為についてロシアの責任を問うための措置をとる」という発言に呼応したものだ。

サリヴァンは「そして、そのようなコストと結果を課すことが、今後のロシアの行動に影響を及ぼすと信じている。もちろん、そうではない。もちろんそうではない。しかし、ロシアの侵略や悪行に対して、より強固で効果的な一線を画すことができるようになると私たちは信じているのか? そのように信じている」と述べた。

ロシアはアメリカの各情報機関からも厳しく監視されており、バイデンは先月、選挙干渉やソーラーウィンズ社へのハッキングの影響などの問題について、ロシアの悪意ある取り組みを分析するよう命じた。

国土安全保障省(DHS)の元長官のグループは木曜日、バイデン大統領に対し、ロシアに対して強い姿勢を取るよう求め、ロシアがサイバースペースにおいて脅威を与え続けていることを強調した。

ジョージ・W・ブッシュ大統領に仕えたマイケル・チェルトフ前国土安全保障長官は、カリフォルニア大学バークレー校が主催したインターネット上のイヴェントで、ロシアに言及し、「次期バイデン政権の大きな問題の1つは、私たちは暴力に苦しむことなく、私たちの統一やシステムを破壊する努力に力強く対応するという非常に明確なメッセージを送ることであろう」と述べた。

バラク・オバマ政権時代の国土安全保障長官ジェイ・ジョンソンは、アメリカが過去1年間選挙の保護に固執していた一方で、ロシアのハッカーたちは、ソーラーウィンズ社へのハッキングを通じて別の方法で連邦政府を攻撃したと指摘し、外国の敵が干渉しうる様々な方法に焦点を当てる必要があることを強調した。

ジョンソンは「私が就任時に国土安全保障省の職員に伝えた考えは、前回の攻撃を想定するのではなく、次の攻撃を想定し、敵の次の動きを予測することだった」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 「ウクライナ戦争はアメリカ(とNATO加盟の西側諸国)の火遊びが引き起こした」「NATOの東側への拡大とウクライナの実質的なメンバー入りと軍備増強がロシアを刺激して戦争にまで発展した」というこれらの主張が説得力を持つようになっている。

 西側諸国がウクライナをおもちゃにして、対ロシア強硬姿勢の最前線としたことで、ウクライナの運命は決した。ウクライナは早晩ロシアと戦わされる運命になっていた。そのために傀儡として、ヴォロディミール・ゼレンスキーが大統領になり、アメリカや西側諸国から中途半端ではあるが、大規模な軍事支援が行われていた。「ロシアがどこで怒り出すか、一つ試してみようじゃないか」という西側諸国の指導者たちの火遊びの結果が、ウクライナ戦争という大火事である。

 アメリカは大火事になっても、自分で何とかしようとはしない。「ありゃ困ったな」という感じである。アメリカ軍を派遣してロシア軍をウクライナから追い出すことはしないし、重要な、ロシア軍を圧倒できるような武器を渡すこともしない。戦闘機を渡さないというのは、ウクライナ軍が制空権を取ることができないということになって、結果として有利に戦いを進めることができないということになる。

 アメリカはロシアが核兵器を使ってウクライナ国内を攻撃してくることを恐れている。第三次世界大戦が起きてしまうことを恐れている。そして、アメリカを「戦争当事国」に認定して核ミサイルでアメリカ本土を攻撃してくることを何よりも恐れている。「アメリカ国民の生命と財産を守る方がウクライナ防衛よりも大事だ」ということになる。

 ウクライナの運命は日本の運命である。「ウクライナの次は台湾だ」というスローガンは間違っている。「ウクライナの次は日本だ」ということの方がより正確だと私は考える。「ウクライナがロシアにぶつけられるように仕向けられた結果としてのウクライナ戦争」を敷衍するならば「日本が中国に仕向けられた結果としての日中戦争」ということになる。日本はウクライナのようになってはいけない。最近の自民党公明党連立政権(+与党補完勢力の日本維新の会)は、先制攻撃の容認と軍事予算の倍増を進めている。これは日中戦争の下準備ということになる。日本国民は騙されることなく、戦争に徹頭徹尾反対しなければならない。
 下記論稿に出てくるジョー・バイデン政権の外交政策分野のキーパーソンたちについては拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』を読んでいただくと理解が深まると思う。是非手に取って読んで欲しい。

(貼り付けはじめ)

バイデンのウクライナに関するソフトな泣き所(Biden’s Soft Underbelly on Ukraine

-バイデン政権は、プーティンを刺激して第三次世界大戦の危険を冒すことを恐れて、ウクライナに対してあまり手を貸さない口実になっている。

The Biden administration’s fear of provoking Putin and risking World War III has become an excuse to do less for Ukraine.

ダニエル・プレトカ筆

2022年10月12日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/10/12/biden-ukraine-support-putin-armageddon/

2022年の夏の終わり、ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官は、ジョー・バイデン政権が対ロシアでウクライナ支援を熱心に進めることを改めて宣言した。しかし、「大統領が提供する用意がないと言っている能力もある」とも断言した。その1つが射程300キロの長距離ミサイルだ。「アメリカの重要な目標はウクライナを支援し防衛することだが、もう1つの重要な目標は、第三次世界大戦への道を歩むような状況に陥らないようにすることだ」とサリヴァンは述べた。

数週間後、バイデン政権の「複数の高官」は、ロシアのウラジミール・プーティン大統領の盟友アレクサンドル・ドゥーギンの娘の殺人事件の調査結果を漏洩することに成功した。ダリア・ドゥギナは自動車爆弾で死亡した。ウクライナ政府関係者の一部は、この攻撃はキエフの「ナチス」に対する敵意をかき立てるためのクレムリン側の偽旗作戦(false flag operation)の可能性を示唆した。しかし、「複数のアメリカ政府高官」は、「攻撃はウクライナ人によるものだ」と主張し、「アメリカはこの攻撃に関与していない」と言い添えた。

この2つの出来事は、バイデン政権における厄介な底流(undercurrent)を裏付けている。ウクライナを完全に支援することへの躊躇(hesitation)、重要な兵器の遅配、そしてアメリカ大統領とそのスタッフが繰り返し第三次世界大戦の脅威と表現してきたものに対するほとんど病的な恐怖心などである。このような躊躇は、ウクライナにとってより多くの死者と勝利への道のりの遅れを意味すると米連邦議会の国家安全保障担当者は私に語っている。更に悪いことには、紛争が長引き、コストが上昇し続けた場合、ホワイトハウスはウクライナにモスクワとの交渉による和平を求め、例えば、キエフがクリミアを奪還する前に、あるいはもっと早く戦争を終わらせるように圧力をかけ始めるという深刻なリスクがあることを示唆している。

今年(2022年)の初めの頃はもっと希望に満ちていた。2月のロシア侵攻の数週間前、バイデン政権は、戦争を引き起こしたとしてウクライナを非難するロシアの計画、動き、陰謀に関する情報を狡猾に機密扱いで解除した。この心理作戦(psychological operations)は、冷戦時代の勢いを彷彿とさせる見事な振り付けで、バイデン政権の国家安全保障ティームは、これから起こるであろう事態に備え、本番に臨んでいることを約束するものであった。しかし、奇妙なことに、実際のところ、そうではなかった。

問題は侵攻発生前から明らかだった。2021年のウクライナとの国境でのロシアの軍備増強(最終的に2022年の侵攻に使われる装備の準備)する一方で、バイデン政権は6000万ドルのアメリカ軍の軍備縮小(ミリタリー・ドローダウンズ、military drawdowns)を取り止めた。ドローダウンズはアメリカ政府が既存の軍備貯蔵から軍備品を輸出することを認めるものだ。サリヴァンは、取り止めを否定した後、「ロシアがウクライナに更に侵攻する場合」には、ドローダウンズを許可すると認めた。そして、2021年8月にようやく承認された。2021年9月のウクライナ大統領ヴォロディミール・ゼレンスキーのワシントン訪問のための決定であったと考えられる。

秋までに、バイデン政権は以前のように、ロシアを刺激するとして、スティンガー・ミサイルの納入を阻止した。2021年12月には、2億ドルの供与が阻止された。12月末には、バルト諸国がウクライナにジャベリンとスティンガーを提供する承認を留保した。

2022年1月までに、バイデン政権は、政権内部のある方面(国防総省と聞いた)から出た「ロシアを怒らせるな(don’t anger Russia)」というシナリオを完全に信じ込み、東ヨーロッパでの戦力削減を考えていた。翌2月には戦争が始まり、ウクライナへの情報共有や軍事支援は、ホワイトハウスの弁護士たちが、アメリカを戦争の当事者(party to the war)にしかねないと主張し、議論されることになった。

2022年3月、バイデンはポーランドからウクライナへのMiG-29戦闘機の移送を阻止した(ウクライナには現在でも十分な航空戦力がない)。2022年6月、数ヶ月の遅れの後、バイデン政権は画期的な高機動砲ロケットシステム(ハイマース、HIMARS)を納入したが、米国防総省がアメリカの備蓄をさらに枯渇させることに難色を示したため、わずか16台しか納入しなかった。先週、米国防総省は2年以内にさらに18基のハイマースを納入すると発表した。

ホワイトハウスがロシアとの心理戦(mind games)で見せた戦略的技術(strategic skills)とはほど遠く、ウクライナの軍事防衛の驚くべきサクセスストーリーの各章は、もめごとに満ちている。ホワイトハウスはなぜか先のことを考えず、アメリカの在庫や予算が要求するよりもゆっくりと軍備を縮小し(連邦上下両院の軍事委員会の民主・共和両党の怒りを買った)、20億ドル以上の縮小権限を失効するまで放置している。

実際のところ、ウクライナ軍が米国防総省の期待(決して高くない)を超えるような行動を取る場合、ホワイトハウスは次の段階に進むために説得(persuasion)と口うるさい対応を要求してきた。一歩前進する度に、今度はやりすぎだと手をこまねいているうちに、慎重さ(prudence)が麻痺してしまったのだ。

バイデン政権の擁護者たちは、NATO諸国の中でウクライナに支援を約束しているのはアメリカだけであり、ドイツのオラフ・ショルツ首相の不安定な関与と比較するとバイデン政権は積極的な軍事主義者(positively militant)に見えると主張している。しかし、常に臆病なヨーロッパ諸国とアメリカを並べることは問題ではない。むしろ、ウクライナのためにアメリカができることと、バイデン政権が実際に行っていることを比較する時にこそ、疑問が生じるのである。

バイデン政権の国家安全保障ティームによる答えは、第三次世界大戦(World War III)の見通し、あるいはバイデン大統領が最近民主党の資金調達パーティーで「ハルマゲドン(armageddon)」と表現したものである。ホワイトハウスと国防総省の高官たちは、核兵器のシナリオが「あり得る(probable)」とは考えていないことを強調している。それでも、マスコミはサリヴァンやコリン・カール米国防次官など政府高官たちの言葉を引用して、エスカレーションを懸念する声で一杯だ。しかし、なぜなのか? 世界大戦は本当に起こるのだろうか? プーティンの核の脅威(nuclear threats)は現実的なものか? それとも、「ハルマゲドン」や「第三次世界大戦」は、ホワイトハウスがウクライナの全面的な防衛を避けるために抱えている詭弁を弄する論客たち(straw men)なのだろうか?

アメリカ大統領の最重要の仕事は、アメリカ国民の安全と安心(safety and security)を守ることである。バイデンは、最悪のシナリオを考え、それが実現してしまうことを避けることが正しい。プーティンの脅しに耳を傾け、それを真剣に扱うのは正しい。しかし、ロシア軍がフルダ・ギャップ(Fulda Gap、訳者註:ヘッセンとフランクフルトの間にある地域)から押し寄せるどころか、実質的にロシア軍よりも小規模なウクライナ軍を打ち負かすことができないのはもはや明白になっている。

プーティンは、潜水艦に搭載したミサイルを使ってウクライナに戦術核攻撃を行う可能性があるだろうか? その可能性はあるだろう。しかし、アメリカや他のNATOの同盟諸国に対してはどうだろうか? なぜその可能性はないと言えるだろうか? それは非合理的なだけでなく、非常識な破壊行為であるからだ。最も平和主義的な指導者でさえもロシアに対応して攻撃せざるを得ないことになるだろう。

しかしながら、このような最悪の事態を想定した夢物語(worst-case fever dreams)は、終末(apocalypse)を明確に予見しているというよりも、バイデン政権がクレムリンを「刺激(provoking)」することを恐れ、ウクライナに対してあまり手を出さない理由の1つになっているように思われることが多くなってきた。そして、この仮定(supposition)の真実性を疑うに足る十分な歴史がある。

バイデンの現在の国家安全保障ティームのメンバーの多くは、バラク・オバマ政権でその地位を確立した。サリヴァンは当時のバイデン副大統領の国家安全保障問題担当副大統領補佐官を務めた。アヴリル・ヘインズ国家情報長官は、オバマ大統領の下で国家安全保障問題担当大統領次席補佐官とCIA副長官を務めた。現国務長官のアントニー・ブリンケンは国務副長官を務めた。バイデン副大統領(当時)の補佐官を務めたサリヴァンの後を継いだのは、現在の国防次官(政策担当)であり、現在ではウクライナに関する重要な意思決定者であるコリン・カールである。ウクライナとロシアに関してオバマの安全保障ティームを支配していたのと同じ考え方が、現在バイデン政権を支配しているのは何ら不思議ではない。

クリミア半島のロシア併合をもたらし、2022年の戦争を予感させることになった、2014年のロシアのウクライナ侵攻の後、オバマ政権は、キエフと米連邦議会の両方からの嘆願をはねつけ、ウクライナに意味のある効果を持つ軍事支援をすることを拒否し続けるだけのことだった。2014年3月、アメリカ軍援助の最初の支援物資は、30万食の調理済み食品だった。ホワイトハウスは、「ウクライナ軍の力がロシア軍と同等まで引き上げられるシナリオはないだろう」として、ウクライナにとって「武力行使は望ましい選択肢ではない(use of force is not a preferred option)」と断言した。その後、2014年9月に暗視スコープと毛布が支援物資として提供された。

トランプ政権は、オバマ大統領のウクライナ向け重要装備の禁止を撤回したが、210基のジャベリンミサイルと37基のランチャーは、モスクワに対する「戦略的抑止力(strategic deterrent)」としてのみ使用し、箱に入れておくことが要求された。ドナルド・トランプ大統領も、バイデン一家に関する情報をゼレンスキーから提供されることを期待しながら、2ヶ月近く援助を遅らせた。

トランプ政権の逆転劇の余波を受けた後でさえも、発足したばかりのバイデン政権はウクライナへの子押下的な軍事援助を強化することに慎重であった。2022年2月の『ジ・アトランティック(The Atlantic)』への寄稿で、アレクサンダー・ヴィンドマン退役米陸軍中佐(悪名高いゼレンスキー・コールの件でトランプ時代のホワイトハウスを劇的に辞めた)は、バイデンを「プーティンにフリーハンドを与えた」と非難し、「パトリオット対空ミサイルやハープーン対艦ミサイルといった高度な兵器システムのウクライナへの提供を拒否したが、それはウクライナ軍がそれらを扱うほど高度ではないと判断したためだ」と述べている。そして、それは戦争が始まる前のことである。

共和党が連邦下院(そしておそらく連邦上院も)で過半数を獲得する可能性があるため、更に複雑な事態が予想される。共和党の幹部の多くがホワイトハウスにウクライナへの武器供与のスピードと質を上げるよう求めている一方で、中間選挙後に更に増えるであろう少数派が、ウクライナのために使われる銃弾や予算に反対する声を上げることになるであろう。その少数派の中に、更に自制を主張する政権側のカウンターパートがいるのだろうか?

ウクライナ政策の方向性は、週ごと、月ごとの漸進主義(incrementalism)を除けば不明確である。しかし、バイデンのパターンは明確で、ウクライナへの武器供与のペースと質を上げ下げし、プーティンを怒らせる可能性のあるものを調整し、更に再調整している。そして、ウクライナでの戦術核攻撃に対するバイデンの恐怖(現実か政治ドラマの内容かは別として)が彼の想像力をさらに支配するにつれて、彼は虎を突っつくことについてより一層心配するようになる。

どの時点で、大統領の懸念は、ヘンリー・キッシンジャーのハイパーリアリズムな助言に従って、紛争を凍結し、交渉のテーブルにつくようキエフへの圧力を強めるように指示するだろうか? それは分からない。バイデンはどの時点で、ウクライナに対する戦後復興支援(既に数千億ドルと見積もられている)の見通しを活用し、完全勝利の前に戦争を終わらせるようウクライナに強制するようになるのだろうか? もしかしたら、バイデン大統領はそうしないかもしれない。

しかし、バイデンの国家安全保障ティームの歴史、資金援助と武器売却の証拠、そしてバイデン大統領自身のこれまで以上に困惑したレトリックは、オバマ時代のウクライナ政策の亡霊がますます大きくなり、ウクライナの自由勢力への支援がこれまで以上に制約されることを示唆している。

※ダニエル・プレトカ:アメリカンエンタープライズ研究所名誉上級研究員、ポドキャスト番組「一体全体何が起き居ているのか?(What the Hell is Going On?)」共同司会者。ツイッターアカウント:@dpletka

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(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 「アメリカは中国とロシアの間を引き離すように中国に働きかけるべきだ」という声が上がっている。現在、ウクライナ戦争を戦っているロシアに対して、中国は表立って支援を行ってはいない。しかし、中露両国間には正式な条約を結んでの同盟関係、相互防衛関係は存在しないが、中露間の関係は緊密になっている。中国の一帯一路計画や上海協力機構(SCO)にロシアは参加し、ユーラシア同盟としての関係を築いている。ロシアはヨーロッパ志向(思考)を捨て、ユーラシア国家として生きていくという道を選択した。

中国はウクライナとの関係も良好であり、中国初の空母「遼寧」は、ウクライナの空母「ワリヤーグ」(1988年竣工)を購入し、改造したものだ。正確に言えば、ソ連時代に建造した空母であるが、造船所がウクライナにあり、ソ連崩壊の混乱とウクライナの独立があり、造船所がウクライナに国有化されるなどしたため、ロシアとウクライナの間での交渉の結果として海外に売却するということになっていた。ウクライナは所有権を持っていただけのことで、建造したのは旧ソ連ということになる。

 中国とロシアの間は離れがたく見えるが、それでも相違点は存在する。中国は現在の国際秩序の中で、自由貿易体制の利点を利用して高度経済成長を達成している。国際秩序の急速な変更は望んでいない。短期的、中期的には現状維持を望んでいる。ロシアは冷戦時代にアメリカと世界を二分して渡り合った。その前にはロシア帝国としてヨーロッパで覇を競った。ソ連崩壊でロシアはプライドを傷つけられた。ロシア国民はプーティン大統領が国民生活を改善し、ロシア帝国を復活させてくれるということで支持している。ロシアは現状に対する挑戦国となっている。ここが中露両国間の相違点だ。

 アメリカは中国を潜在的な脅威として捉えていて、強硬な対中姿勢を取っている。そうなれば、中国としてはアメリカとバランスを取る必要が出てくるので、ロシアの接近を受け入れるということになる。

ドナルド・トランプ大統領時代に「ヤルタ2.0」という風刺写真が出たことがある。1945年のソ連のヤルタでの米ソ英3カ国の首脳会談(フランクリン・D・ルーズヴェルト米大統領、ヨシフ・スターリンソ連共産党書記長、ウィンストン・チャーチル英首相)で戦後世界の管理体制が決められた。

このことを受けて、ドナルド・トランプ米大統領、習近平中国国家主席、ウラジミール・プーティン露大統領の米中露三帝が世界を管理するという意図が風刺写真に込められている。米中露がうまく折り合いをつけてやっていれば、世界は平和だという意図もその写真には込められている。現在は、冷戦初期のような段階になっている。アメリカが中露に対して強硬な姿勢を取り、それぞれとの戦争の可能性も出てきて、世界は第三次世界大戦に近づいている。
donaldtrumpvladimirputinxijinpingyalta2511

 中国がソ連と中国を離間させて、世界政治を動かしたのはリチャード・ニクソン大統領、ヘンリー・キッシンジャーの国務長官時代のことだ。この時代のことを懐かしみ、「アメリカは中国とロシアの間を引き離すべきだ」という主張が出ている。

 しかし、1970年代と現在では状況が大きく異なっている。アメリカの国力が衰退し、中国とソ連は国力を増大させている。中露は共にアメリカの衰退を待って、国際秩序の変更を行う(その規模やスピードには両国間で相違はあるが)、より露骨に言えば、西洋近代500年の支配を終わらせるという決意をしている。そして、それを西洋以外の新興の国々(the Rest)が支持している。中露は「ザ・レスト」の旗頭になっている。ここでアメリカに近づくことはもうできない。

 ジョー・バイデン政権ではなく、ドナルド・トランプ政権が続いていたら現在の状況はどうなっていただろうかということを考えることがある。そんなことを考えても仕方がない、詮無き事ではあるが、現在のような世界的に厳しい状況になっていなかったのではないかと考えてしまう。2024年にジョー・バイデンが米大統領に再選されることが世界に幸せをもたらすのかということも考えてしまうと、先行きはなかなか暗いと言うしかなくなる。

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ワシントンは中国をロシアに対立させる機会を失いつつある(Washington Is Missing a Chance to Turn China Against Russia

-稀な状況で危機が重なったことで北京が軌道修正する可能性が出てきている。

ロバート・A・マニング、ユン・サン筆

2023年1月19日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/01/19/us-china-russia-ukraine-allies-war/?tpcc=recirc_latest062921

直感に反するかもしれないが、ロシアのウクライナ戦争、経済の低迷、反ゼロ新型コロナウイルスの反動、中国の習近平国家主席が一連の政策を撤回したこと、これらの出来事が中国に与える政治・経済的コストによって、ウクライナに関する米中協力のスペースを開く可能性がある。また、ウクライナ戦争が台湾への世界的な支持を集めていることも、北京にとって重荷になる可能性がある。

ウクライナ戦争が始まって以来、中国はロシアを言葉の上では支援し、NATOの行動を非難してきたが、モスクワを実質的に支援することを約束することは避けてきた。中露同盟は、西側諸国でよく見られるように、修正主義的な2つの独裁国家の間の単純なイデオロギー的共感ではない。むしろ、現実的でやや取引的な関係であり、アメリカは少なくとも特定の問題に関して、両者を引き離す機会を逸している可能性がある。

第一に、昨年9月に旧ソ連のカザフスタンを訪問した際、習近平は「断固として(resolutely)」カザフスタンの主権を支持すると約束し、モスクワをけん制(a snub to)した。そして、同じ9月の上海協力機構(Shanghai Cooperation OrganizationSCO)の会議で、ロシアのウラジミール・プーティン大統領は、ウクライナ戦争をめぐる中国の「疑問と懸念(questions and concerns)」を前代未聞の形で公に認めた。2022年10月初旬、中国は国連安保理と総会の両方で、ロシアのドンバス併合を非難する投票に反対票を投じず、棄権(abstain)した。北京はまた、インドとともにウクライナ戦争の終結を訴えた。

これは、傷ついた西側諸国との傷ついた外交関係を修復しようとする試みと並行して行われた。ヨーロッパ連合(EU)当局者によれば、北京はNATOを非難する発言を止め、中国政府当局者たちが、中国はロシアの核使用を容認できないと考えていると語ったという。

中国は、「ウクライナの領土はどの範囲になるか」についてのロシアの解釈を支持する余地を十分に残しつつも、一貫してウクライナの「主権と領土保全(sovereignty and territorial integrity)」への支持を繰り返してきた。このような矛盾した、やりにくい努力を続けている。中国は侵略を正当化しているロシアを含む「当事者全て(all parties)」に自制(restraint)を呼びかけ、ウクライナの現在の状況に失望を表明してきた。それでも、 2022年2月 24日以前からウクライナとの強固な経済的および軍事的関係にもかかわらず、中国のメディアは親ロシアおよび反 NATO の偽情報を絶え間なく流しつつ、中国はウクライナに対してはわずか300万ドル程度の人道援助(humanitarian aid)しか提供していない。

ロシアと中国は、国際秩序が自由主義的民主政治体制家によって不当に支配されているという見解とアメリカの優位性(primacy of the United States)を共有することで結びついた。中露両国は自由主義的な国際秩序に対する地政学的な脅威(geopolitical threats)として認識されており、それは当然、欧米諸国、特にアメリカに対する中露両国が持つ脅威認識と同様だ。こうした地政学的な懸念の共有は、2014年、クリミア危機でロシアが孤立し、バラク・オバマ政権のアジアへの軸足転換(pivot to Asia)で、中国の周辺地域の安全保障環境に対する不安が強まりそして加速した。加えて、習近平の冷戦時代からのロシアへの親近感、絶対的政治指導者(strongman)としてのプーティンへの憧れが、中露の緊密な連携に対するトップリーダーのお墨付きをもう1つ与えることになった。

しかし、中国も他の国と同様、自国の利益を最優先しており、その利益はウクライナをめぐるモスクワの利益とますます乖離している。中国は、農業貿易、軍事技術協力、「一帯一路(Belt and Road)」社会資本(インフラ)整備プロジェクトなどで強固な関係を築いてきたロシアがウクライナに侵攻したことで、かなり困惑している。

プーティンがウクライナに侵攻した際、ウクライナには6000人以上の中国人が滞在していた。北京にはほとんど何の事前通報もなかったために、中国人の避難作戦を開始するために中国政府は東奔西走奔走させられることになった。中国政府は非公式に、避難民の一部が殺害されたことを認めている。このことは、プーティンが習近平に対して、戦争について知らされていなかったという中国当局者の主張を裏打ちしており、何が起こるかについてロシアは中国に対して正直ではなかったことを示唆している。プーティンは中国を、ロシアとの「無制限の(no-limits)」協力と、主権と領土保全に関する基本的な外交政策原則を選択的に、自分に都合が良い形で適用するプーティンとの間で、無駄な努力をする立場に追い込んだ。

プーティンのウクライナ戦争は、中国経済が困難な時期に、中国の経済的利益を直撃することになった。ウクライナ戦争による世界経済の混乱は、中国にとって最大の海外市場のいくつかに打撃を与えている。中国は問題を抱えた発展途上諸国への最大の資金の貸し出し者であるため、ウクライナ戦争と欧米諸国の制裁の影響でエネルギー、食糧、肥料の価格が上昇し、中国の融資返済の努力を複雑にしており、中国の巨額の債務問題を悪化させている。

ウクライナは北京が嫌うアメリカとの同盟関係を強化している。そして、次は自分たちだと恐れる旧ソ連諸国とロシアの関係を弱め、これらの国々がワシントンとの対話に関心を高めるように仕向けている。ウクライナ戦争の影響は、中国の大国としての外交政策の信頼性に疑問を投げかけている。プーティンがアメリカ主導の秩序を害する混乱を自らの利益と見なす破壊者(disrupter)であるのに対し、北京は中国の利益に有利なように世界の制度を再編成することに関心を持っている。この点は、米国の政策に織り込まれるべき、両国の間の重要な違いである。

特に、台湾問題に影響を与えている。岸田首相が「東アジアは明日のウクライナになるかもしれない(East Asia could be the Ukraine of tomorrow)」と言ったように、プーティンの戦争に対する西側諸国の反応と台湾へのアナロジー(類推)は、北京が今後の台北に対する行動を考える上で新たな要素を加えたことはほぼ間違いない。

ロシア経済への制裁が強まる中、中国が半導体などの重要なテクノロジーを提供するかどうかが1つの指標になるだろう。問題を抱えるジュニアパートナーとの協力関係を制限しているのは、中国がロシアと距離を置いていることを示すというよりも、巻き込まれての副次的な制裁を恐れてのことなのかもしれない。いずれにせよ、アメリカは、ウクライナに関する米中協力を可能にするのに十分な新しい機会が開かれるかもしれないという命題を検証することで失うものはほとんどない。

もしアメリカが、ウクライナに関するロシアと中国の見解の間の政治的空間が、米中間の慎重な協力のための新たな機会を開くほど広がっている可能性を見分けるのが遅くなっているが、それは初めてのこととは言えない。冷戦時代の反共産主義の影響力は、中ソが国境で短時間ながら激しい対立を繰り広げた時でさえ、アメリカが中ソの緊張を利用するのを複雑化し遅らせた。中ソの緊張は1950年代半ばにはアメリカの情報アナリストにとっては明白であったが、当時のリチャード・ニクソン米大統領とヘンリー・キッシンジャー国家安全保障問題大統領補佐官が中国との国交回復を利用し、この時代最大の戦略転換の1つを生み出したのは1971年になってからのことであった。

米国の近視眼(myopia)と確証バイアス(confirmation bias)は、中露両国を互いに接近させ、中国の対ウクライナ政策を過度に単純化することになる。中露同盟の宣言を額面通りに受け取ることで、アメリカは中露両国のそれぞれの国益とアプローチにおける重要な相違点を捉え損ねている。そこをうまく捉えればアメリカ外交のためのスペースを開く可能性が出てくる。

ウクライナ戦争初頭から、ワシントンは中国をロシアの共犯者として糾弾する「私は糾弾する(J'accuse[訳者註:フランスの作家エミール・ゾラがドレフェス事件で出した著作の書名]」を延々と繰り返してきた。プーティンの侵攻計画を中国が事前に知っていたというリークが何度も報道機関に流れたのは、やってもいない犯罪の責任を中国に負わせることが目的だった。プーティンが白紙委任(blank check)したロシアとの「無制限(no-limits)」の協力を進めた習近平は、確かに軽率であり賢明ではなかったと考えられる。しかし、北京の不可能に近いバランス行動、一種の親ロシア的な中立努力は、戦争への積極的参加とは決定的に異なる。

中国がロシアと経済的な関わりを継続していることは問題だが、インドやトルコ、そして南半球の多くの国々も同様である。北京はロシアへの石油・ガスプロジェクトやアジアインフラ投資銀行への融資を中止している。2022年7月までに、複数のアメリカ政府高官は、中国は、ロシアから制裁を科すという脅しを受けながらも、ロシアが制裁を逃れるのを助けず、モスクワの戦争行為に軍事支援をしなかったことを公然と認めている。

北京がロシアを非難したり、制裁を科したりすることを拒否していることは、もちろん道徳的に問題であり、政治的に役に立たないし、一貫して親ロシア的な国内メッセージも同様である。しかし、これは道徳的な問題であると同時に、実際的な問題でもある。

ワシントンは、中露同盟が確立され、揺るぎないものであるという前提で動いているが、現実には、より限定的な戦略的パートナーシップである。両国間には相互防衛に関する第5条のような協定は存在しない。

アメリカが公然と非難を繰り返したところで何の解決にもならない。アメリカとの戦略的競争が中国の対外関係における最も重要なテーマであり続ける限り、特に台湾をめぐる緊張が高まる中で、北京はアメリカに対抗するために必要なパートナーとしてモスクワを見るだろう。しかし、戦争が長引くにつれ、中国の風評被害と経済的コストは増大し、衰退しつつある戦略的資産との悪い取引と見なされつつあることから、いくつかの問題で北京を遠ざけることができるかもしれない。

アメリカは、中露両国の違いを緩和し、橋渡しするのではなく、中露両国間の断層(Sino-Russian fault lines)を探ろうとするはずである。2022年7月にアントニー・ブリンケン米国務長官が中国側に行ったような道徳的な嘆願は、変化をもたらすというよりも、中国のナショナリズムを煽る傾向がある。戦略的競争という文脈の中で、中国との協力や非干渉という戦術的転換(pivot)は、利害が重なったときに移行し、利害に利益をもたらし、おそらくわずかな信頼を再構築することができる。北京の計算を形成するために、ワシントンは単に懲罰的な行動だけでなく、相互の脆弱性(vulnerability)と懸念の分野を指摘する必要がある。

中国が制裁体制外でロシアに経済貢献することを抑止するためのアメリカの警告は聞き入れられそうにない。中国最高指導部序列第3位である栗戦書は、2022年9月にロシアを訪問した際、貿易、インフラ、エネルギーなどに関して、ロシアとの経済協力の強化を約束した。これは昨年(2022年)12月の習近平・プーティン間のズーム会談で更に確認された。北京の見解では、アメリカは中国とロシアとの経済関係、特にエネルギー関連技術やその他の天然資源の領域での協力を永久に阻止することはできない。

ロシアの意思決定に決定的な影響力を持つ数少ない国の1つとして、中国がウクライナ危機の調停(to mediate)を早くから申し出ていることを検証しておく必要がある。中国は紛争の当事者ではないと主張するかもしれないが、紛争を助長してきたのは事実である。大国として、戦争を早期に終結させる責任から逃れることはできないことを明確にする必要がある。

ウクライナに関する米中対話の入口として考えられるのは、プーティンの核兵器使用の公然たる脅威と、77年間の歴史を持つ核に関するタブーを破ることの結果に対する相互懸念である。ジョー・バイデン米大統領は「ハルマゲドン(Armageddon)」の脅威を口にした。中国は「先制不使用(no first use)」を明言しており、ロシアの核兵器使用は北京を自衛不可能な状態に追い込むことになる。また、ウクライナでの核兵器使用が北朝鮮に対する制限を低くし、北東アジアでの核拡散に拍車をかけるという懸念が共有されているので、予防手段(preemptive measures)の議論が急がれているのであろう。

また、戦争終結の方法と手段、更にはウクライナの経済再建の将来についても、戦争の進む方向を見据えて考えなければならない。アメリカ、ヨーロッパ連合(EU)、日本、世界銀行、国際通貨基金、ヨーロッパ復興開発銀行が協調して経済資源を動員することは、政治的困難と資源の枯渇を考えると非常に困難であろう。世界有数の貸し手である中国に、その議論に加わる機会や努力の調整の機会が与えられなければ、中国独自の復興努力が欧米諸国の努力を複雑にしたり妨害したりすることになりかねない。協調的でグローバルなキャンペーンにおいて、中国が公正な役割を果たすための対話が模索されるべきだろう。

問題は、ウクライナに関して利害が一致する可能性のある分野を探るのに十分な政治的空間を開くために、いかにして米中間の相互不満(mutual grievances)を中断するか、あるいは少なくとも区分けする(compartmentalize)かである。アメリカは道徳的なレトリックを抑えて、まずは北京との静かなバックチャンネル・アプローチで関心を探るのが賢明であろう。また、ブリンケンが近く訪中する際には、問題の範囲が限定的かつ現実的であることを強調し、ウクライナのアジェンダを形成するよう努めるべきであろう。

北京がよりソフトなアプローチを示唆しているにもかかわらず、その困難に幻想を抱いてはならない。しかし、ウクライナ情勢がいかに悲惨なものになっているかを考えると、必要は発明の母(necessity may well be the mother of invention)ということになるかもしれない。

そのためには創造的な外交が必要だが、中露間の対立、北京の広範な利益、戦争を終結させ紛争後のウクライナを再建するために北京が果たせる積極的な役割など、冷静な判断も必要となるだろう。このような利害に基づく取引的なアプローチは、自己実現的な予言である北京・モスクワ同盟の強化を回避するのに有効であろう。

※ロバート・A・マニング:スティムソンセンター、同センター・リイマジニング大戦略プログラム名誉上級研究員。ツイッターアカウント:@Rmanning4

※ユン・サン:スティムソンセンター中国プログラム部長。

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 前回の大統領選挙中に、ジョー・バイデン民主党大統領選挙候補(当時)がアメリカの有名な外交専門誌である『フォーリン・アフェアーズ』誌(外交評議会発行)に掲載した記事について見ていく。

 私は最近のアメリカの政権における外交政策について、バラク・オバマ政権は基本的にリアリズム(ヒラリーが国務長官時代は人道的介入主義)、ドナルド・トランプ政権はアイソレイショニズムであったと考えている。オバマ政権は他国に関して干渉を控え、シリア問題でアメリカが泥沼に陥ることを回避した。トランプ政権については「アメリカ・ファースト」、つまり「アメリカ国内問題の解決を第一に、最優先に考えよう。海外のことは海外に任せればよい」ということで、こちらも海外に関与することには消極的であった。しかし、政権内部には対中強硬派もおり、対中関係は悪化していった。

 ジョー・バイデン政権はオバマ政権時代の人物たちが多く再登場している。私は拙著『』でバイデン政権は「4年越しで成立したヒラリー・クリントン政権であり、第三次バラク・オバマ政権だ」と書いたが、正確には「オバマ政権(ヒラリーが国務長官を務めた前半)」と書くべきだった。

 バイデン政権はトランプ政権の外交政策から転換し、再び外国の諸問題に対して積極的に関与する姿勢を強めてきた。オバマ政権にしても、トランプ政権にしてもアメリカが世界唯一の超大国として世界の中心で警察官として機能するということは放棄していた。しかし、バイデンはアメリカを再びその役割に戻そうとしている。そして、世界第2位の中国に対して警戒感を強め、強硬姿勢を取るようになっている。

 バイデンは副大統領時代にウクライナに軍事支援を含めて深く関与していた。息子(次男でバカ息子)のハンター・バイデンはウクライナの政商に取り込まれ、天ネスガス会社ブリスマ・ホールディングスの取締役を務め、何も仕事をしていないのに毎月5万ドルの「お手当」が渡されていた。バイデンのウクライナ関与に関して、ドナルド・トランプ大統領はヴォロディミール・ゼレンスキー大統領に調査を行うように求めたが(軍事支援の一時停止にも言及)、ゼレンスキーは拒否した。トランプがウクライナに対する軍事支援を停止しようとしたのは今から思えば、ロシアの危機感を正確に理解していたということが言えるのではないか。バイデンが推進したウクライナへの軍事支援がロシアの危機感を強め、最終的にウクライナ戦争にまで進んでしまったという見方もできる。

 バイデンの中露に対する強硬姿勢はあまりにも馬鹿げている。敵視している2つの国に厳しく当たることで、中露両国が緊密に協力し合う状況を作り出してしまっている。本来であれば、両国を離間させ、各個撃破を図るべきである。しかし、中露が緊密に協力することで、「反アメリカ」「反西洋」の中核を作り出してしまい、「西側以外の国々(the Rest)」のまとまりを作り出してしまっている。バイデン政権が続くことは、アメリカ国民と世界の人々にとって不幸なことである。

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アメリカが再び世界を主導しなければならない理由(Why America Must Lead Again

―トランプ後のアメリカの外交政策を救出する

ジョセフ・R・バイデン・ジュニア筆

2020年3・4月

『フォーリン・アフェアーズ』誌

https://www.foreignaffairs.com/articles/united-states/2020-01-23/why-america-must-lead-again

2017年1月20日にバラク・オバマ大統領と私がホワイトハウスを離れて以来、あらゆる手段が用いられて、世界におけるアメリカの信頼性と影響力は縮小させられてきた。ドナルド・トランプ大統領はアメリカの同盟諸国とパートナーたちを馬鹿にし、過小評価し、時には捨て去るということを行ってきた。トランプは自国アメリカの情報専門家、外交官、軍隊を敵に回した。北朝鮮からイラン、シリア、アフガニスタン、ヴェネズエラまで、国家安全保障上の課題に対処するために、敵対者を増長させ、我々の力を無駄にし、実質的に何の成果も上げていない。彼は、アメリカの友人や敵に対して、無分別な貿易戦争を開始し、アメリカの中産階級を苦しめている。彼は、新しい脅威、特に今世紀に特有の脅威に対応するための集団行動を動員する米国のリーダーシップを放棄した。最も深刻なのは、わが国に力を与え、国民としてわれわれを団結させる民主的価値観から背を向けたことだ。

一方、気候変動や移民の大量流入、技術的混乱や感染症など、アメリカが直面する世界規模の課題はより複雑で緊急性を増している。権威主義(authoritarianism)、ナショナリズム、非自由主義の急速な進展は、これらの課題に集団で対処する我々の能力を損なっている。民主政治体制国家は、過剰な党派主義によって麻痺し、腐敗に足をとられ、極端な不平等によって重荷を負い、国民に貢献することが難しくなってきている。民主的な諸制度に対する信頼が低下している。他者への恐怖が高まっている。そして、アメリカが慎重に構築した国際システムは、綻びを見せ始めている。トランプと世界中の扇動政治家たちは、自分たちの個人的・政治的利益のために、これらの力に傾倒している。

次期アメリカ大統領は、2021年1月の世界情勢に対応しなければならず、その収拾は大変な作業となる。彼もしくは彼女はそのために、アメリカの評判を回復し、指導力に対する信頼を取り戻さなければならない。そして、新たな課題に迅速に対応するために、我が国と同盟国の力を動員しなければならない。そのために無駄にできる時間はない。

私は大統領として、アメリカの民主政治体制と同盟関係を刷新し、アメリカ経済の未来を守り、アメリカが世界を再び主導するための措置を即座に講じる意図を持っている。これを恐れている時ではない。今こそ、2つの世界大戦を勝利に導き、鉄のカーテンを崩壊させた強さと大胆さを発揮する時だ。

ファシズムと独裁政治に対する民主主義と自由主義の勝利が自由な世界を創出した。しかし、この戦いは、単に私たちの過去を定義するものではない。それは、私たちの未来をも定義するものだ。

●アメリカ国内の民主政治体制を刷新する(RENEWING DEMOCRACY AT HOME

第一に、そして最重要なことは、私たちは自国アメリカの民主政治体制を修復し、再活性化しなければならない。同時に、私たちの側に立つ、世界各地に広がっている民主国家の連合を強化しなければならない。アメリカが世界を進歩させる力となり、集団行動を動員する能力はアメリカの自国の国内から始まる。だからこそ私は、子どもの人生の機会が郵便番号(住んでいる場所)や人種によって決定されないよう、教育システムを作り直し、不公平な格差をなくし、大量投獄の蔓延を終わらせるために刑事司法制度を改革し、誰もが意見を聞くことができるよう投票権法を回復し、政府の透明性と説明責任を回復させたいと考えている。

しかし、民主政治体制はアメリカ社会の基盤であるばかりでなく、私たちの力の源泉(wellspring)でもある。それはまた、私たちの力の源泉でもある。民主政治体制は、私たちのリーダーシップを強化し、増幅して、世界の安全を守っている。また、経済的繁栄の原動力となる創意工夫のエンジンでもある。それは、私たちが誰であるか、そして私たちが世界をどう見ているか、世界が私たちをどう見ているかの核心となる。そのおかげで、私たちは自己修正し、時間をかけて理想に到達するために努力し続けることができる。

国家として、私たちはアメリカが再び世界をリードする用意があることを世界に証明しなければならない。私たちの力を示す具体例(example of our power)だけでなく、私たちが行ってきた具体例が持つ力(power of our example)によって世界をリードしていく。そのために、大統領として、私は私たちの核心的価値(core value)を刷新するための決定的なステップを踏んでいく。私は、国境で親子を引き離すトランプ政権の残酷で無意味な政策を直ちに撤回し、トランプの有害な亡命政策を終わらせ、渡航禁止を解除し、脆弱な人々のための一時保護資格の見直しを命じ、年間の難民受け入れを12万5000人とし、私たちの責任と価値に見合った時間をかけて引き上げるよう努力するつもりだ。私は、拷問の禁止を再確認し、民間人の犠牲を減らすためにオバマ・バイデン政権時代に制定された政策を含め、アメリカ軍の活動の透明性をより高めることを回復する。私は、世界中の女性と少女の地位向上に向けた政府全体の取り組みを回復させる。そして、報道の自由の尊重から、神聖な投票権の保護と確保、司法の独立の支持に至るまで、民主的価値の中核となる柱や制度について、ホワイトハウスが再び、第一の攻撃者ではなく、偉大な擁護者となることを保証する。これらの変更は手始めに過ぎず、自国の民主的価値観に従うという、私たちの関与における初めの一歩に過ぎない。

私は、トランプ大統領のように特定のコミュニティを標的にしたり、適正手続きに違反したり、家族を引き裂いたりすることなく、アメリカの法律を執行する。私は、移民の尊厳を確保し、亡命を求める法的権利を堅持しながら、国境を確保する。私は、これらの政策の詳細を説明する計画を発表し、アメリカが移民を南西部の国境に追いやる根本的な原因にどのように焦点を当てるかについて説明した。私は副大統領として、エルサルヴァドル、グアテマラ、ホンジュラスの指導者たちが、腐敗、暴力、貧困が原因で故郷を追われた人々に立ち向かうことを約束するために、7億5000万ドルの支援プログラムを超党派で確保した。エルサルヴァドルなどでは治安が改善され、移民の流入が減少し始めた。私は大統領として、4年間で40億ドルの包括的な地域戦略を策定し、このイニシアティヴを基に、各国に自国の資源を使用し、検証可能な具体的かつ重要な改革を行うことを求める。

私はまた、自己売買、利益相反、闇の資金、そして、狭い私的な、あるいは外国の意図に奉仕し、民主政治体制を損ねるような腐敗に取り組むための措置を講じるつもりだ。そのために、連邦選挙から私的資金を完全に排除するための憲法修正を目指すことから始める。更に、私は、外国人や外国政府がアメリカの連邦・州・地方の各レヴェルの選挙に影響を与えようとすることを禁止する法律を提案し、この法律やその他の腐敗防止法を強力かつ統一的に執行するための新しい独立機関、連邦倫理委員会を指示する。選挙資金制度の透明性の欠如は、外国の広範なマネーロンダリングと相まって、重大な脆弱性を作り出している。私たちは、民主政治体制を腐敗させる抜け穴を塞ぐ必要がある。

私はアメリカの民主政治体制の基盤を強化し、他国の行動を鼓舞するために、このような不可欠な措置を講じる。そして、世界中の民主政体国家の指導者たちに、民主政体の強化を世界的な議題に戻すよう呼びかけたい。今日、民主政治体制は、1930年代以降のどの時期よりも大きな圧力にさらされている。フリーダムハウスは、1985年から2005年まで一貫して「自由」であった41カ国のうち、22カ国が過去5年間で自由度の減少を記録したと報告している。

香港からスーダン、チリからレバノンまで、市民はもう一度、誠実な統治への共通の憧れと汚職への普遍的な嫌悪を私たちに思い起こさせている。腐敗は陰湿な流行病(insidious pandemic)であり、抑圧に拍車をかけ、人間の尊厳を蝕み、権威主義的な指導者たちに世界中の民主政治体制を分裂させ弱める強力な道具を与えている。しかし、世界の民主諸国が、アメリカが国を統合する価値のために立ち上がり、真に自由な世界をリードすることを期待している時、トランプは、独裁者たちの言うことを聞き、民主政体擁護者たちを軽蔑しており、私たちとは別のティームにいるようだ。アメリカ現代史の中で最も腐敗した政権を率いることで、トランプは世界中の独裁者たちにライセンスを与えている。

私の就任1年目に、アメリカは、自由世界の国々の精神と共通の目的を新たにするため、世界規模の民主政体サミット(Summit for Democracy)を組織し開催する予定だ。このサミットは、世界の民主諸国を集め、民主政治制度を強化し、後退している国々に誠実に向き合い、共通の課題を形成するものだ。オバマ・バイデン政権時代に核安全保障サミットで確立された成功モデルに基づき、アメリカは、汚職との戦い、権威主義からの防衛、自国および海外における人権の推進という3つの分野で、新たに重要な諸国の関与を結集し、成果を優先させるだろう。アメリカのサミットに対する関与として、私は、腐敗との戦いを国家安全保障の中核的利益および民主政治体制の責任として確立する大統領政策指令を出す。また、私は、世界の金融システムに透明性をもたらし、不正なタックスヘイヴンを追及し、盗まれた資産を押収し、国民から盗む指導者が匿名のフロント企業の背後に身を隠すことをより困難にする国際的努力を主導していきたいと考えている。

民主政体サミットには、民主主義を守るために最前線に立っている世界中の市民社会組織も含まれるだろう。そして、サミットのメンバーたちは、テクノロジー企業やソーシャルメディア大手を含む民間企業に対し、民主社会の維持と言論の自由の保護に対する責任と圧倒的な利益を認識するよう行動を呼びかける予定だ。同時に、言論の自由は、テクノロジー企業やソーシャルメディア企業が悪意ある嘘の拡散を促進するためのライセンスとして機能することは不可能だ。これらの企業は、自社のツールやプラットフォームが、監視国家に力を与えたり、プライヴァシーを侵害したり、中国やその他の地域での弾圧を助長したり、憎悪や誤った情報を広めたり、人々を暴力に駆り立てたり、その他の悪用に晒されたりしないよう、行動しなければならない。

●中産階級ための外交政策(A FOREIGN POLICY FOR THE MIDDLE CLASS

第二に、私の政権は、中産階級のための外交政策により、アメリカ人が世界経済で成功するための装備を整える。中国や他の国々との未来に向けた競争に勝つためには、アメリカは革新的な強みを向上させ、世界中の民主政治体制国家の経済力を結集して、暴力的な経済慣行に対抗し、不平等を縮小させねばならない。

経済安全保障は国家安全保障である。そして、人種、性別、郵便番号(住んでいる場所)、宗教、性的指向、障害の有無にかかわらず、誰もがこの国の成功を分かち合えるようにすることだ。そのためには、ブロードバンド、高速道路、鉄道、エネルギー網、スマートシティなどのインフラストラクチャ(社会資本)と教育への莫大な投資が必要だ。また、最低賃金を時給15ドルに引き上げ、クリーン・エコノミー革命を主導し、組合員たちの仕事を含め、アメリカ国内で1千万件の良質な新規雇用を創出しなければならない。

私は、研究開発への投資を自分の大統領の仕事の要とし、アメリカが技術革新の先頭に立つようにする。クリーン・エネルギー、量子コンピュータ、人工知能、5G、高速鉄道、がん撲滅レースなどで、中国や他国に後れを取ってはならない。私たちには、世界で最も優れた研究大学が存在する。法の支配の強い伝統がある。そして最も重要なことは、我が国を決して失望させることのない、並外れた労働者と革新者が存在することだ。

中産階級のための外交政策は、国際経済のルールがアメリカに対して不正に操作されないようにすることにもつながる。私は公正な貿易を信じる。世界人口の95%以上が国境を越えて生活しており、私たちはそうした市場に参入したいと考えている。アメリカで最高のものを作り、世界で最高のものを売ることができるようにしなければならない。そのためには、アメリカ人を不利にする貿易障壁(trade barriers)を撤廃し、保護主義(protectionism)に傾く危険な世界情勢に抵抗する必要がある。100年前の第一次世界大戦後、このようなことが起こり、世界恐慌を悪化させ、第二次世界大戦につながったのである。

間違ったことは、砂の中に頭を突っ込んで、もう貿易取引はしない、と言うことである。各国はアメリカがあろうがなかろうが、貿易を行うだろう。問題は、誰が貿易を管理するルールを書くかである。労働者、環境、透明性、中流階級の賃金を守るようにするのは誰なのか? 中国ではなく、アメリカがその努力を主導すべきである。

大統領として、私はアメリカ人に投資し、世界経済で成功するための装備を整えるまでは、いかなる新しい貿易協定も結ばないつもりだ。また、労働と環境のリーダーが有意義な形でテーブルにつくことなく、またパートナーに締結した協定を守らせるための強力な執行規定を盛り込むことなく、新たな協定を交渉することはないだろう。

中国はアメリカにとって特別な挑戦(問題)だ。私は中国の指導者たちと何時間も過ごし、私たちが何に直面しているのかを理解した。中国は、世界規模に触手を伸ばし、独自の政治モデルを推進し、未来のテクノロジーに投資することで、長期的なゲームを展開している。一方、トランプ大統領は、有害かつ無謀な関税を課すために、カナダからヨーロッパ連合(EU)に至るまで、アメリカの最も近い同盟諸国からの輸入品を国家安全保障上の脅威に指定した。トランプは同盟諸国の経済力を遮断することで、真の経済的脅威に対抗するアメリカの能力を麻痺させたのだ。

アメリカは中国に厳しく対応する必要がある。中国がその気になれば、アメリカとアメリカ企業の技術や知的財産を奪い続けるだろう。また、補助金を使って国有企業を不当に優位に立たせ、未来の技術と産業を支配する足がかりを構築し続けるだろう。

この課題に対する最も効果的な方法は、気候変動、核不拡散、国際保健医療安全保障など私たちの利益が一致する問題で北京と協力しながらも、中国の乱暴な行動や人権侵害に立ち向かうためにアメリカの同盟諸国やパートナーと一致団結することである。アメリカは単独で世界のGDPの約4分の1を占めている。アメリカは単独で世界のGDPの約4分の1を占めているが、他の民主主義諸国と力を合わせれば、その力は2倍以上になる。中国は世界経済の半分以上の力を無視することはできない。このことは、環境から労働、貿易、技術、透明性に至るまで、民主的な利益と価値観を反映し続けるためのルールを形成する上で、私たちに大きな影響力を与えている。

●テーブルの先頭に戻る(BACK AT THE HEAD OF THE TABLE

バイデン政権の外交政策諸課題は、アメリカを再びテーブルの先頭に立たせ、同盟諸国やパートナーと協力して、世界の脅威に対して集団的行動を動員する立場に置くことだ。世界は自ら組織化することはない。アメリカは70年間、民主党と共和党の大統領の下で、ルールを作り、合意を形成し、国家間の関係を導き、集団的安全保障と繁栄(collective security and prosperity)を促進する制度を活性化する上で主導的な役割を果たしてきたが、トランプ大統領はその役割を放棄してしまった。もし、トランプ大統領がその責任を放棄し続ければ、次の2つのうちの1つが起こるだろう。他の誰かがアメリカの代わりを務めるが、アメリカの利益と価値を向上させる方法ではない、または誰もそうせず、混乱が起こるだろう。いずれにせよ、それはアメリカにとって良いことではない。

アメリカのリーダーシップは絶対的なものではなく、これまでにも失策や失敗を繰り返してきた。あまりにも頻繁に、私たちは私たちの強みをフルに活用する代わりに、軍の力だけに頼ってきた。トランプの悲惨な外交政策の記録は、バランスの悪い支離滅裂なアプローチの危険性、そして、外交の役割を軽視し、否定するアプローチの危険性を常に私たちに思い起こさせる。

私は、必要な場合には武力を行使することも含め、アメリカ国民を守ることを決してためらわない。アメリカ大統領が果たすべき役割全ての中で、最高司令官(commander in chief)の役割ほど重大なものはない。アメリカは世界で最も強力な軍隊を持っている。大統領として、私はその状態を確実に維持し、前世紀ではなく今世紀の挑戦に備えるために軍隊に必要な投資を行う。しかし、武力行使は最後の手段(last resort)であるべきで、最初の手段ではない。武力行使は、アメリカの死活的利益を守るためにのみ、その目的が明確で達成可能であり、アメリカ国民の十分な情報提供を受けた上での同意がある場合にのみ行われるべきだ。

アメリカに膨大な血と財を費やした永遠の戦争(forever wars)を終わらせるのは過去のことである。私が長年主張してきたように、アフガニスタンと中東の戦争から大部分の軍隊を帰還させ、アルカイダと「イスラム国」(ISIS)の打倒という使命を狭く定義するべきだ。また、サウジアラビア主導のイエメン戦争への支援も打ち切るべきである。しかし、勝ち目のない紛争に固執することは、私たちの注意を必要とする他の問題を主導する能力を奪い、アメリカの他の力の手段を再構築することを妨げることになる。

私たちは、強さと賢さを同時に手に入れることができる。何万人ものアメリカ軍兵士が大規模かつ無制限に展開されること(そしてそれは終わらせねばならない)と、数百人の特殊部隊兵士と情報資産を用いて共通の敵に対抗する現地のパートナーを支援することの間には、大きな違いがある。こうした小規模な任務は、軍事的、経済的、政治的に持続可能であり、国益を増進させる。

しかし、外交はアメリカの力の最初の道具であるべきだ。私は、気候変動に関するパリ協定を発効させるための世界的な取り組みを推進し、西アフリカでのエボラ出血熱の流行を食い止めるための国際的な対応を主導し、イランの核武装を阻止するための画期的な多国間合意を確保するなど、オバマ・バイデン政権時代にアメリカの外交が成し遂げたことを誇りにしている。外交とは、単に握手や写真撮影を繰り返すことではない。外交とは、握手や写真撮影だけでなく、人間関係を築き、共通の関心事を見つけ、複数の対立点(points of conflict)を克服することだ。そのためには、規律、一貫した政策決定プロセス、そして経験と権限を持った専門家のティームが必要だ。大統領として、私は外交をアメリカの外交政策の主要な手段として高めていく。私は、トランプ政権が空洞化させた外交団に再投資し、アメリカの外交を真のプロフェッショナルの手に取り戻すつもりだ。

外交には信頼性も必要だが、トランプ大統領はそれを打ち砕いてしまった。外交政策において、特に危機(crisis)の際には、国家の言葉は最も貴重な資産である。条約から次々と手を引き、政策を次々と反故にし、アメリカの責任から逃げ、大小の事柄について嘘をつくことで、トランプは世界におけるアメリカの言葉を破綻させた。

トランプ大統領はまた、アメリカが最も必要とする民主的な同盟諸国からアメリカを遠ざけた。トランプはNATO同盟に打撃を与え、アメリカが運営する保護団体のように扱った。だからこそ私は、オバマ・バイデン政権がNATO加盟諸国の防衛費増額を確保するために交渉した公約を誇りに思っている(トランプ大統領は現在、この公約を高く評価している)。しかし、同盟はドルやセントを超越している。アメリカの関与は神聖なものであり、取引上のものではないのだ。NATOはアメリカの国家安全保障の中核であり、自由民主政治の理想の防波堤(bulwark)である。価値観の同盟であるので、強制や現金によって築かれるパートナーシップよりもはるかに耐久性があり、信頼性が高く、強力である。

大統領として、私は歴史的なパートナーシップを回復するだけでなく、今日私たちが直面する世界のためにそれらを再構築する努力を主導するつもりである。クレムリンは、現代史において最も効果的な政治的・軍事的同盟である強力なNATOを恐れている。ロシアの侵略に対抗するためには、同盟の軍事力を維持する一方で、武器にまで昇華した腐敗、偽情報、サイバー上の詐欺などの非伝統的な脅威に対抗する能力を拡大する必要がある。私たちは、ロシアが国際規範を侵害したことに対して真のコストを課し、プーティン大統領の独裁的権威主義体制(kleptocratic authoritarian system)に対して何度も勇敢に立ち上がってきたロシアの市民社会と協力する必要がある。

アメリカと価値観や目標を共有する他の国々と協力することは、アメリカを弱体化するものだ。アメリカをより安全でより成功した国にすることになるのだ。私たちは自らの力を増幅し、世界中に存在感を示し、意欲的なパートナーと世界的な責任を分かち合いながら、その影響力を拡大することができる。私たちは、オーストラリア、日本、韓国との条約同盟に再投資し、インドからインドネシアまでのパートナーシップを深めることによって、北米やヨーロッパ以外の民主的な友人との共同能力を強化し、アメリカの将来を決定する地域で共通の価値を推進する必要がある。私たちは、イスラエルの安全保障に対する鉄壁の関与を維持する必要がある。また、中南米やアフリカの友好国をより広範な民主政治国家のネットワークに統合し、これらの地域で協力する機会をつかむために、より努力する必要がある。

世界の信頼を回復するためには、アメリカが何を意味し、何を言っているのかを証明する必要がある。このことは、気候変動(climate change)、核戦争の新たな脅威(renewed threat of nuclear war)、破壊的技術(disruptive technology)と言った、私たちの時代を特徴付ける課題に関して言えば、特に重要である。

アメリカは世界を主導して、私たちが直面している存亡の危機である気候変動に立ち向かわなければならない。もし、私たちがこの問題に取り組まなければ、他のことは何も意味をなさなくなるだろう。私は、アメリカが2050年までに排出量ゼロのクリーン・エネルギー経済を実現できるよう、国内で大規模かつ緊急の投資を行うつもりだ。同様に重要なことは、アメリカは世界の排出量の15%しか生み出していないため、私はアメリカの経済的、道徳的権威を活用し、世界に断固とした行動を促すことだ。私はバイデン政権の初日にパリ協定に再び参加し、その後、世界の主要な炭素排出諸国の首脳会議を開催し、各国が野心を高め、進歩をより加速させるよう呼びかけるつもりだ。私たちは、世界の海運と航空における排出量を削減する強制力のある約束を取り付ける。また、私たちが約束を果たす際に、他の国々が経済的にアメリカを過小評価することができないようにするための強力な措置を追求する。これには、世界最大の二酸化炭素排出国である中国に対し、石炭輸出への助成や、「一帯一路」構想(Belt and Road Initiative)を通じて何十億ドルもの化石燃料を使用するエネルギープロジェクトに融資し、汚染を他国にアウトソーシングすることをやめるよう主張することも含まれる。

核不拡散(nonproliferation)と核安全保障(nuclear security)に関して、アメリカは、自らが交渉した取引を放棄している間は、信頼できる声となることはできない。イランから北朝鮮、ロシアからサウジアラビアまで、トランプは核拡散(nuclear proliferation)、新たな核軍拡競争(new nuclear arms race)、更には核兵器の使用の可能性を高めている。私は大統領として、新しい時代の軍備管理(arms control)への関与を新たにする。以前にオバマ・バイデン政権が交渉した歴史的なイランとの核開発に関する合意は、イランの核兵器保有を阻止するものだった。しかし、トランプ大統領は軽率にもこの協定を破棄し、イランが核開発を再開して挑発的(provocative)になり、地域で再び悲惨な戦争が起こる危険性を高めている。中東全域で不安定化させる行動をとり、国内ではデモ隊を残酷に取り締まり、アメリカ人を不当に拘束しているイラン政権に幻想を抱いている訳ではない。しかし、イランが私たちの国益にもたらす脅威に対抗するには、賢いやり方と自滅的なやり方があり、トランプは後者を選んだ。イランのゴドス軍(コッズ部隊)の司令官であったガーセム・ソレイマーニーが最近殺害されたことは、危険な行為者を取り除いたが、同時にこの地域における暴力の連鎖がますます激化するとの見通しを生じさせ、核合意のための交渉の中で定められた核制限を投げ出すようテヘランを促した。テヘランは核協定の厳格な遵守に戻らなければならない。そうすれば、私は協定に再び参加し、外交への新たな関与を用いて同盟諸国と協力し、協定の強化と延長を図るとともに、イランの他の不安定化する活動をより効果的に押しとどめるだろう。

北朝鮮に関しては、私は交渉担当者の権限を強化し、北朝鮮の非核化という共通の目標を達成するために、同盟諸国や中国を含む他の国々と持続的かつ協調的なキャンペーンを開始する。私はまた、米露間の戦略的安定の礎である新START条約の延長を追求し、それを新たな軍備管理の取り決めの土台としたい。そして、核兵器の役割を減らすという取り組みに対する我々の関与を示すために、他のステップも踏むつもりだ。2017年に述べたように、私はアメリカの核兵器の唯一の目的は、核攻撃を抑止し、必要であれば報復することであるべきだと考えている。私は大統領として、アメリカ軍やアメリカの同盟諸国と協議しながら、その信念を実践するために努力する。

Gや人工知能などの未来技術については、アメリカ以外の国々が国家資源を投入してその開発を支配し、利用方法を決定している。アメリカは、これらの技術が、国内外の自由と機会を抑制するためではなく、民主政治体制と繁栄のより大きな共有のために使われることを保証するために、もっと努力する必要がある。

例えば、バイデン政権は、米国の民主的同盟国と協力し、地方や低所得者層など、いかなる共同体も取り残さない、安全な民間主導の5Gネットワークを開発することになるだろう。新しいテクノロジーが我々の経済と社会を再構築する時、我々はこれらの進歩の原動力が、これまでの歴史の技術的転換点で行ってきたように、法と倫理に縛られることを保証し、デジタル時代の規則が中国とロシアによって書かれるような底辺への競争を避けなければならない。アメリカは今こそ、民主政治体制社会が繁栄し、繁栄が広く共有されることを可能にする技術の未来を切り開くために、主導権を握るべき時なのだ。

これらは野心的な目標であり、アメリカが民主国家群を主導することなしには達成できないものだ。私たちは、内外の敵に直面している。敵は、私たちの社会の亀裂を利用し、民主政治体制を弱体化させ、同盟関係を崩壊させ、「力が正義である(might determines right)」が基本となる国際システムの復活を望んでいる。この脅威に対する答えは、より開放的になることであり、その逆になってはいけない。より多くの友好関係、より多くの協力、より多くの同盟、より多くの民主政治体制こそが必要なのだ。

●主導するための準備(PREPARED TO LEAD

プーティンは、リベラルな考え方は「時代遅れだ」と、自分自身に、そして自分が騙せる他の誰にでも言いたいのだ。しかし、彼がそうするのは、リベラルな考え方が持つ力を恐れているからだ。自由という伝播性を持つ概念が、人から人へ、国境を越えて、言語や文化を超えて自由に伝わり、一般市民のコミュニティを活動家や組織者、変革の担い手へと高めていく様子は、地球上のどの軍隊をもってしてもかなわないだろう。

私たちは、もう一度その力を発揮し、自由世界の国々を結集して、今日の世界が直面する課題に立ち向かわなければならない。その先頭に立つのは米国である。他のどの国もそのような能力を持っていない。アメリカが持つ思想を基にして成り立っている国家は他にない。私たちは自由と民主主義を擁護し、信頼を取り戻し、絶え間ない楽観と決意を持って私たちの未来に目を向けなければならない。

※ジョセフ・R・バイデン・ジュニア:2009年から2017年までアメリカ合衆国副大統領を務めた。アメリカ大統領選挙民主党候補。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 2022年2月24日に勃発したウクライナ戦争は年を越した。戦争期間は300日を超え、もうすぐ開戦して1年ということになる。2023年もウクライナ戦争の暗い影が私たちの上にかかってくる。食料や資源価格の高騰を私たちは身をもって感じている。年末年始に買い物をした時に改めて価格の高騰や消費税の重税感を持った人たちも多いと思う。

 昨年12月、ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官がウクライナ戦争停戦の提案を行った。提案は、ウクライナはNATOと正式な関係を結び(正式な加盟とは書いていない)、ロシアはウクライナ戦争後に占領した地域から撤退し、戦争前にロシアが掌握している地域での住民投票を行うという内容だ。

 キッシンジャーの提案は、戦争前に戻るということだ。ウクライナがNATOと正式な関係を結ぶという彼の発言内容は気になるところだが、正式加盟ということではないだろう。ウクライナがNATOとの関係を深め、アメリカが軍事支援を行い、ウクライナが増強されていく過程で、ロシアは恐怖感を募らせ、最終的にウクライナ戦争となった。ウクライナの国防をNATOとロシアが交渉してその内容を決めれば、ロシアがウクライナを攻撃することはなく、NATOもウクライナを支援することが可能となる。そういう意味での正式な関係であろう。その内容はロシアも承認できるものであるべきだ。

 ウクライナ政府は、1991年時点でのウクライナ国土を全て奪還することを目指し、このような提案は拒絶している。ウクライナは今回の戦争を通じて、ウクライナ東部とクリミア半島を奪還しようとしている。戦争でなければアメリカをはじめとする西側諸国が支援することはない。支援がなければウクライナは戦争をすることはできない。ウクライナ戦争がなければ、ウクライナは現状を容認するしかない状況だった。しかし、ウクライナ戦争が起きたことで、西側からお手盛りで支援が行われる。それを利用して、東部とクリミア半島をめぐる問題を解決しようとしている。

 しかし、西側諸国には「戦争による疲労」が蓄積している。西側諸国は打ち出の小槌を持っている訳ではない。ウクライナに対する支援は西側諸国の一般国民の血税が原資だ。一般国民は生活が苦しい中で、「いつまで続くのか」という不満を募らせている。

 ウクライナ戦争に関しては、アメリカ政府の中でも停戦を行うべきという声もある。ウクライナ軍がウクライナ戦争後にロシアに占領された地域の奪還までは支援するだろうが、それ以上となると西側諸国は支援を躊躇するだろう。それでもなお、ヴォロディミール・ゼレンスキー大統領率いるウクライナ政府が戦争を継続し、あくまで全領土の奪還を目指すならば、アメリカはゼレンスキーを処分することだろう。安倍晋三元首相がそうであったように。

(貼り付けはじめ)

ロシア・ウクライナ戦争を終わらせる交渉のためのロードマップをキッシンジャーが提案(Kissinger proposes roadmap for talks to end Russia-Ukraine war

コリン・メイン筆

2022年12月18日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/3780225-kissinger-proposes-roadmap-for-talks-to-end-russia-ukraine-war/

ヘンリー・キッシンジャーは、ウクライナにおけるロシアの戦争を終わらせるための和平交渉を推し進め、停戦のための枠組みを提供する記事を、土曜日に発表した。

キッシンジャー元米国務長官は『ザ・スペクテイター』誌に寄稿した、ウクライナがNATOと正式な関係を結び、ロシアが侵攻して以来獲得した領土から撤退し、ウクライナ戦争の前にロシアが占領した領土の運命を国民投票で決める可能性があることを示唆した。

キッシンジャーは次のように書いている。「私は、ウクライナにおけるロシアの侵略を阻止するための連合諸国の軍事的な努力に、繰り返し支持を表明してきた。しかし、既に達成された戦略的変化を基礎にして、交渉による平和の実現に向けた新しい構造に統合する時期が近づいている」。

キッシンジャーは5月に、「戦争前の状況(the status quo ante)」に戻るための「境界線(dividing line)」にロシアとウクライナの両者が合意すべきであると述べ、基本的にウクライナに平和と引き換えにクリミア半島やドネツク州の一部を含む領土を割譲するよう求めている。

週末の記事で、99歳の外交官であるキッシンジャーは、これらの領土の支配は停戦合意の後に決定されると述べている。

キッシンジャーは次のように書いている。「戦前のウクライナとロシアの境界線が戦闘や交渉によって達成できない場合、自己決定(self-determination)の原則に頼ることが検討されるだろう。国際的な監督下にある自己決定に関する住民投票(referendums)を、何世紀にもわたって何度も変更されてきた領土に適用することができるだろう」。

そして、キッシンジャーは、ウクライナはウクライナ戦争の期間中、「中央ヨーロッパの主要国(major state in Central Europe)」として「ヨーロッパで最大かつ最も効果的な陸軍(one of the largest and most effective land armies in Europe)」の地位を確立し、西側の安全保障同盟に加盟する道を開いたと主張している。

キッシンジャーは「和平プロセスは、ウクライナを、たとえ表明されたものであっても、NATOと結びつけるべきである。中立(neutrality)という選択肢は、特にフィンランドとスウェーデンがNATOに加盟した後ではもはや意味をなさない」と書いている。

ウクライナのNATO加盟の可能性は、ロシアのウラジミール・プーティン大統領によるウクライナへの侵攻の原動力と見なされていた。

ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は、今年初めにスイスのダヴォスで開かれた世界経済フォーラムでのキッシンジャーの提案を厳しく批判し取り上げなかった。また、ゼレンスキーの大統領官邸は今週、より詳細な提案を受け入れないと示唆した。

ゼレンスキー大統領の補佐官を務めるミハイロ・ポドリャクはテレグラム錠に次のように投稿した。「単純な解決策を支持する人は皆、次の明白なことを思い出すべきだ。悪魔との合意、つまりウクライナの領土を犠牲にした悪い平和は、プーティンの勝利であり、世界中の独裁者の成功のレシピとなる」

ウクライナ政府は、ロシアへの譲歩を含む和平案を拒否しており、いかなる領土も譲らず、モスクワの軍隊が国内から完全に撤退するまで戦うと主張している。

ウクライナのある外交官は、10月に億万長者のイーロン・マスクが、ロシアとの戦争を終わらせるために、ウクライナの領土を譲り、争いのある地域で新しい選挙を行うことを提案した後、「ふざけるな(f— off)」とマスクに向かって直接吐き捨てたと伝えられている。

米統合参謀本部議長マーク・ミリー陸軍大将は11月、ロシアがケルソンから撤退し、冬の間は「交渉の好機(a window of opportunity for negotiation)」になるかもしれないと示唆し、ウクライナ当局を激怒させた。

ミリー議長はその後、自身の発言の真意を明らかにしようとして、アメリカは「ウクライナを自由にするために必要な限り支援を続ける。いつ交渉するかはウクライナ次第だ」と発言した。

しかしながら、アメリカは、ウクライナを支援する世界各国での戦争による疲労(war fatigue)に対応するため、ゼレンスキー大統領にロシアとの交渉に前向きであることを示すよう促したと複数のメディアが報じている。
(貼り付け終わり)
(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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