古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ウラジミール・プーティン

 古村治彦です。

 

 2018年3月2日に副島隆彦先生の最新刊『米軍の北朝鮮爆撃は6月! 米、中が金正恩体制破壊を決行する日』(光文社)が発売になります。首都圏の大型書店では3月2日か3日には店頭に並ぶ予定です。それ以外の地域の大型書店では、配送のトラックとの兼ね合いもあり、5日に店頭に並ぶものと考えられます。

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米軍の北朝鮮爆撃は6月! 米、中が金正恩体制破壊を決行する日

 

 以下にまえがき、もくじ、あとがきを掲載します。参考にしていただき、手にとってご覧ください。よろしくお願い申し上げます。

 

(貼り付けはじめ)

 

まえがき   

 

アメリカは北朝鮮に対して、堪忍袋の緒が切れつつある。自分たちを核兵器で脅す国の存在を許さない。

 

私は、すでに去年(2017年)の4月に、「(日本人よ)心配するな! 安心せよ。北朝鮮の核ミサイルは日本に飛んでこない」という文を書いて公表した。その主な内容は、「北朝鮮の核ミサイル関連施設への米軍の爆撃は、来年の4月であろう」とするものだった。このことを私は自分の本の中に書いた。

 

だが、この米軍爆撃は、どうも2カ月先の6月に延びたようだ。その理由は、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、北朝鮮の独裁者金正恩(キム・ジョンウン)にベッタリとくっついて救援に向かって、「崇高な南北統一」、あるいは「民族統一」という世界中の人々が甘く考えることのできない、大きな球を、世界政治に投げ込んだからである。だからズルズルとこのあと、緊迫したまま数カ月が経ってゆく。アメリカと北朝鮮の睨み合いは最終局面に入ってゆく。

 

こうなると金正恩としては、ますます絶対に核ミサイルを手放さない。手放したら自分たちの体制が即座に破壊されると分かっている。だから、同じ民族(同族)である韓国と抱きしめ合うことで、アメリカおよび中国からの強い圧力に抵抗している。

 

だがそれでもトランプと習近平は、もう、今の危険きわまりない金正恩体制を許すことはない。超大国であるアメリカと中国は、金正恩と文在寅を自分たちと対等の話し相手(交渉相手)だとは認めていない。こんなチビコロ国家の指導者なんか、大国の力で叩きのめしてやると考えている。

 

私は去年4月の自説では、「アメリカは相手に先に手を出させる。北朝鮮から韓国に通常ミサイルを撃たせる。それを合図に米軍のバンカーバスター(地中貫通型大型爆弾)搭載の巡航ミサイルによる一斉の、北朝鮮の核関連施設へのピンポイント(精密)攻撃が行われる」と書いた。だがその後の状況をみていると、戦争勃発(攻撃開始)の合図は、世界中からの注視と監視のもとにあるから、簡単にはできない。開戦の大義名分をアメリカと中国はすぐには作れない。だから少なくとも国連(ユナイテッド・ネイションズ)の安全保障理事会(安保理。世界の軍事問題を取り扱う)の拡大会議で、秘密の緊急の決議をすることで、北朝鮮への爆撃を実施するしかない。秘密でやらないと北朝鮮(金正恩)に察知されたら、先にアメリカ本土に核ミサイルを発射されてしまう。そうなったらアメリカの負けだ。1950年6月の朝鮮戦争の勃発のときは、すぐに国連の総会(ジェネラル・アセンブリー)での決議で、国連軍が作られた。そして北朝鮮軍および中国軍と戦った。だが、あのとき正式の国連軍(The UN Force)であったか分からない。あのときの緊急の総会は、「平和のための結集」と呼ばれて、ソビエト・ロシアとその家来(衛星国)であった東ヨーロッパ諸国には知らせないで、抜き打ちで行った決議である。

 

だから、今回の北朝鮮への爆撃も、国連軍(国連憲章51条に基づく)と呼ばれるかどうか分からない。たぶん呼ばれないだろう。だが今回は、5大国のうちの2つであるロシアと中国も反対に回らない。北朝鮮は孤立無援になっている。だから、6月には我慢の限界で米軍が北朝鮮への爆撃(ボンバードメント)を敢行するだろう。

 

私は、青年時代から左翼あるいは、急進リベラル派である。だから平和主義者(パシフィスト)で戦争反対の考えで生きてきた。だが、年齢に応じて少しだけ保守化した。

 

ところが、なぜ、今回の北朝鮮に対する米と中の軍事行動(外科的手術)による強制処分に賛成するのか。「お前は反戦平和と言っているくせに、なぜ戦争に賛成するのか」と非難されるだろう。私は本書で徹底的に反論し説明する。私の目から見て、かえって不可解なのは、いつもはあれほどに強く北朝鮮の政治体制の独裁主義と共産主義の非人間性を憎み、嫌っている、人々がなぜ大声をあげて「北朝鮮の現体制をさっさと崩壊させるべきだ」と主張しないのか。それが私から見たら逆に不可解である。

 

なぜ石原慎太郎氏のような愛国保守の人たちが、今回、黙りこくっているのか。「核ミサイルを日本に落とすなど言語道断である。今こそ北朝鮮の共産主義体制を打倒する。そのために自分たちも米軍と一緒に漁船を仕立てて北朝鮮を攻めるぞ」と言わないのか不思議である。そのような勇ましい右翼の人士が、たったひとりも出て来ない。このことが私はかえって不思議でならない。

 

私の期待と予測では、米軍の爆撃と中国軍の侵攻から1カ月以内に、急いで金正恩体制を崩壊させ、金漢率(キム・ハンソル、後述する)と取り替えて新しい穏健な政治体制に作り替えることが良い。それが今も飢餓状態にある2000万人の北朝鮮国民を急いで救出することになる。

 

私の考えでは、北朝鮮はミャンマーのような穏やかな中進資本主義の国になって、外国資本(外資)をたくさん導入して、国内のあちこちの鉱物資源を掘ることから始めて、急いで国を建て直すのが一番いい。中国共産党でさえそのように考えている。今のままの過激な北朝鮮の、自分勝手で極端な共産主義を続けられるのは、世界にとって迷惑である。

 

北朝鮮の核兵器問題で一番怒っているのは、中国である。中国の習近平である。北朝鮮から北京まで800キロしかない。日本まではだいたい1100キロだ。中国が一番怒っている。だから私の去年4月の予言でも、「米軍による核施設爆撃があった、その直後に中国軍が北の国境線と西側の海岸線から侵攻(進撃)するだろう。中国兵が5万人ぐらい死ぬだろう。国境の地雷原を突破しなければいけないからだ」「1979年の中国・ベトナム戦争(中越戦争)の再来である」と書いた。今も私のこの予言(近未来予測)に変わりはない。中国の習近平はそこまでやると覚悟している。本書でいろいろと説明する。

 

だから米軍の爆撃は、今年の6月であろう。アメリカ国民にとって大切な独立記念日である7月4日(ジュライ・フォース)よりは前にトランプ大統領は爆撃命令を出す、と私は判断した。

 

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目次

まえがき

 

第一章      北朝鮮爆撃はなぜ6月なのか? 副島隆彦の予言は当たるか

南北融和ムードが戦争モードにガラリと変わる  18

心配するな、慌てるな。日本に核ミサイルは飛んでこない  25

アメリカは攻撃の前に北朝鮮に先に撃たせる  26

中国が金正恩体制を崩壊させる  29

米軍のシリア攻撃は北朝鮮への警告だった  38

日本は「局外中立」を宣言すべきだ  43

「管理された小さな戦争」しか起こらない  46

習近平が金正恩を許さない  50

われ、北朝鮮潜入を企てる  54

 

第二章   高永喆(元韓国国防省分析官)と緊急対談   米軍の通信傍受体制から、北朝鮮の新体制まで白熱討論

南北急接近でも米軍は6月空爆を実行する  62

「本番」をにらんで米空母が6隻態勢で集結  73

アメリカは北朝鮮に先に攻撃させる  78

キッシンジャーがコントロールする米・中・露の「第二次ヤルタ体制」  83

「スモール・ウォー」(小さな戦争)で終わる  88

日本や韓国に被害は出ない  91

北朝鮮と友好関係にある瀋陽軍区の兵士が進撃する  95

中国軍は38度線を越えない  103

 

第三章   2018年6月、北朝鮮体制崩壊へのシナリオ

ワシントンDCに届く核ミサイルは完成間近  110

戦争が始まる前には一切報道しないことになっている  115

トランプが「私の将軍たち」と信頼する3人の元軍人  120

韓国が演習に参加しなければ米軍が単独でやる  123

朝鮮戦争の頃から変わっていない南北境界線  125

1カ月以内で片づける  128

核兵器保有の主権を持つ北朝鮮を止められるのは国連だけ  131

爆撃後、米軍はすぐに朝鮮半島から手を引く  135

平昌五輪後に米韓軍事演習は実施される  138

キッシンジャーがお膳立てした「北朝鮮処理」  141

核兵器開発管理の枠組みが決まったのは2015年1月  146

キッシンジャーの人生最後の大仕事  149

ヒラリーなら世界が火の海になっていた  153

世界の3巨頭による「第二次ヤルタ会談」が開かれる  154

習近平は「死ぬのを恐れるな」と演説した  157

金正恩体制変更までのシナリオ  159

マティスが「戦争計画」を明言  162

 

第四章   トランプの本音は北朝鮮問題を1カ月でさっさと片づけたい

「アメリカ・ファースト!」の本当の意味  167

第二次大戦の時からあったアメリカの「国内問題第一主義」  172

ロックフェラー・グローバリズムと闘ったリンドバーグの思想  175
なぜトランプは「イスラエルの首都はエルサレム」と言ったのか  177
ヒラリーたちの「グローバリズム」とは「地球支配主義」である  179
アメリカは「世界の警察官」から降りる  182

 

第五章   習近平「北朝鮮処理のあと、西太平洋を中国に渡せ」

 江沢民や胡錦濤よりも格上となった習近平  189

「中国夢」を掲げて次の世界覇権国を目指す  194

対抗する「共青団」勢力を骨抜きに  196

習近平派がまとめて台頭  197

習近平独裁を支える政治警察長官  199

「一帯一路」構想とAIIBが突進する  200

「中国崩壊論」が崩壊した  205

政界より先に嵐が吹き荒れた中国軍の人事  207

日本は「アジア人どうし戦わず」を貫け  220

 

あとがき

 

=====

 

あとがき 

 

「まえがき」で書いたことの続きである。不思議なことに、「なに。北朝鮮の核ミサイルが日本に飛んでくるだと。断じて許せん。北朝鮮を征伐に行く」という日本人がひとりも出て来ない。何故なのだ。私はこんなことを考えながらブツブツとこの本を書いていた。日本人は本当にフヌケになってしまった。全てのことが他人事なのである。  

 

日本人の韓国、北朝鮮に対する考えは複雑である。まったく同じような顔と体つきをした人間どうしなのだから、もっと仲良くすればいいのに。と言っても、そんなに簡単なことではない。反共右翼や保守的な考え方の人たちは、「北朝鮮の裏にいるのは中国だ」「中国が必ず北朝鮮を助けるはずだ」「だからアメリカは中国とぶつかる」と考えている。私のこの本は、このような人たち相手にも書かれている。リベラル派が多い知識層の日本人は、すでに5年ぐらい前から「どうも朝鮮人韓国人は、中国のことが嫌いなようだ」と分かってきた。私のような世界政治の研究をずっとやってきた人間は、中国と朝鮮の長い争いや戦いの歴史を知っている。15世紀に世宗大王(朝鮮王国の名君)がハングルという新しい文字を作って、国語にしたのには深い理由がある。それは、何があっても朝鮮民族は中国・漢民族に吸収合併されない、という強い民族防衛の思想があるからだ。この考えは今も変わらない。朝鮮・韓国人は、人口が3分の1に減るまで戦っても絶対に中国には屈服しない、という固い意志を持っている。韓国人の知人にちょっと聞いたくらいでは口にしないが、本心である。今の韓国の若者たちは、北朝鮮問題に対して、全く無関心を装っている。「自分たちが生活していくだけでも大変なのに。とても北朝鮮の人たちまでは助けられない」と思っている。だから北朝鮮問題に対しては、何もしゃべらないで口を閉ざしている。

 

だがよく考えてみればこの態度は、日本国民もほとんど同じである。日本人は、北朝鮮問題に対して黙っている。今もそうだ。「独裁体制の気持ちの悪い国だね」と、ささやき合ってきた。ところが去年から北朝鮮の核ミサイルが自分たちにも飛んでくる可能性が高まってきた。そうなると他人事では済まなくなってきた。だが、それでも今の日本にはどうすることもできない。黙ってじっと事態の推移を見守るしかない。国際社会(=世界)が、何とかしてくれるだろうと待っているしかない。何とかしてくれる、とは問題を処理する? 片付ける? 危険を取り除く? ということか。

 

この本の中に書いたが、1月4日に、習近平は、中国軍の幹部たちを集めて「死ぬことを恐れるな」と演説している。同じ日の1月4日に、トランプ大統領は「南北対話が行われている間は、アメリカはいかなる軍事行動も取らない」と明言した。文在寅韓国大統領との電話会談である。ということは、南北対話が終わったら軍事行動を取る、という意味である。国連での手続きもちゃんとそれまでに取る、という意味だ。マティス国防長官は同じ1月4日に、「平昌オリンピックの後には必ず米韓合同軍事演習を行う。それまで延期する」と言った。ロシアのプーチン大統領は、1月11日に「金正恩はゲームに勝っている。この若者は、なかなかの政治家である」と持ち上げた。ロシアは巧妙に自分の取り分を確実に確保しようとしている。北朝鮮の体制変更後のこの地域(リージョン)での自国の経済的利益を得るだろう。広大なシベリアの大開発というロシアにとって大きな国家戦略の一環である。  プーチンは、アメリカが言う「朝鮮半島の非核化」即ち、北朝鮮から核兵器を取り上げて、現体制の作り変え(レジーム・チェンジ)に反対しない。北朝鮮を穏やかな中進国に作り変えるというトランプと習近平の計画に反対しない。

 

なぜならば、トランプと習近平とプーチンの、世界の三大国の3巨頭は、すべてヘンリー・キッシンジャー博士(94歳)の教え子のようなものであり、今の世界はキッシンジャー戦略で動いているからである。この本でずっと説明してきた。キッシンジャーが1954年(31歳)のときに書いた「限定的核戦争論」という論文のとおりのことが今起きており、それに対応する形で刻々と世界は動いている。キッシンジャーは、すでに64年前に「5大国以外の国々がやがて核兵器を持つようになる。それでもできる限りそれらを奪い取らなくてはならない。それが世界が安定して維持されるために必要な世界戦略である」と書いた。現実の世界は、この非情な論理で動いている。私たちは甘い考えを持つべきではない。   トランプと習近平とプーチンによる3巨頭の「第二次ヤルタ会談体制」は、私の自説である。私のこの理論以外にどんな世界体制論が現在あるだろう。私の主張は日本の言論界でほとんど無視されているように見える。しかし本当は私が最先端を行っており、国内言論を先導(かつ煽動、笑)しているのである。このことを知っている人はたくさんいる。だが、皆、黙っている。

 

私にとってはすでに北朝鮮の核問題は終わっている。その次に、アメリカ(トランプ)と中国(習近平)との、激しい闘いが待っている。それは台湾と南シナ海のスプラトリー・アイランズ(南沙諸島)の問題である。この一部に東シナ海の尖閣諸島が入る。去年11月9日の北京での米中会談で、トランプが、「中国は少しは世界に遠慮して、南沙諸島の軍事人工島を撤去しなさい」と言った。そうしたら習近平が、「アメリカの方こそ遠慮しなさい。いつまでも世界の海を支配しなくてもいい。米海軍はグアムまで引っ込みなさい」と言ったようだ。世界のトップの政治家どおしの言い争いというのは、本当はこのように分かり易いものなのである。

 

中国は、今のままの巨大な経済力の成長をどうせ続ける。だからそれに見合った軍事力の増大で、アメリカを圧して「西太平洋(ウエスト・パック。ハワイより西)は中国に任せなさい」と言っている。この問題が北朝鮮の次の問題としてすでにせりあがってきている。私の大きな結論では、トランプ大統領は、アメリカ国内の立て直しの方が重要であるから、アジア諸国から軍事力を徐々に撤退しようと考えている。「もうこれ以上余計な軍事出費をアメリカはかけられない」と分かっている。だから中国の要求に少しずつ応じて行かざるを得ない。これは〝アメリカの衰退〟を表している。

 

この事態に日本の保守派や反共右翼たちはいきり立っている。「アメリカは、なぜ中国とロシアの伸長に対して本気で対決しようとしないのだ」と強く不満に思っている。だがこれらの旧式の古い考えの人々は、やがて現実対応力を失って衰退していく。私たちは、北朝鮮後のことを急いで考えなければいけない。

 

この本は緊急出版に近い本である。台本作成から3週間という突貫工事に俊敏に対応してくれた担当編集者の光文社出版企画編集部の田尾登志治副編集長に格段のご支援をいただいた。ライターの市川昭彦氏が、幸運にも韓国軍の国防省で長年、戦争兆候の調査分野におられた高永喆氏との対談を実現してくださった。米澤仁次局長にはこの本が時宜にかなって迅速に出版されることで万全のご配慮をいただいた。記して感謝します。

 

2018年2月10

副島隆彦

 

(貼り付け終わり)

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 古村治彦です。

 

 今年に入ってから、北朝鮮のミサイル発射が大きな問題になっています。最近では、大陸間弾道弾(ICBM)の開発に成功したのではないか、これでアメリカ本土も攻撃圏内に入ったのではないかと言われています。

 

 北朝鮮に関しては、直接的な利害を持つ国として、韓国、中国、ロシア、日本、アメリカが挙げられます。これらに加えて北朝鮮も参加しての6カ国協議も行われたことがありましたが、現在はその機能を停止しています。北朝鮮は中露には多少の遠慮がありつつ(それもこの頃ではだいぶ薄れているようです)、「アメリカとだけ交渉する」という態度を取っています。日韓に関してはアメリカに追従するしかないと見ているようで、それはまさにその通りです。

 

 アメリカは中国に対して、「北朝鮮を何とかしてくれ」と再三にわたって要請していますが、中国としては、北朝鮮に潰れてもらっては困りますし(朝鮮半島が韓国だけになってしまうと、北朝鮮地域に米軍基地が置かれてしまう心配がある)、急に貿易を止めてしまって北朝鮮を自暴自棄にしてしまうと迷惑を蒙るのは自分たちだと分かっていますから、あまり積極的(アメリカ側の視点からの積極的)には動こうとしません。

 

 ロシアも北朝鮮と国境を接し、旧ソヴィエト連邦時代からの関係もあります。ロシアは北朝鮮に対しては、アメリカとは異なったアプローチを考えているようです。「北朝鮮がハリネズミのようにミサイルと核開発を行っているのは、アメリカによる軍事的脅威がなくなっていないからだ、それなら、体制転換や軍事介入などの荒療治はしないとアメリカが保証すれば北朝鮮はミサイルや核兵器の開発を止めるだろう」というのがロシアの考え方です。

 

 このような考えに対して、ロシアは無責任だ、という批判もできるでしょう。しかし、北朝鮮と国境を接しているロシアは、北朝鮮で動乱が起きた場合には無傷では済まない可能性がある国です。実際に、日本海側にミサイルが発射されると、日本では日本に向けて発射されたかのように報道されますが、実際にはロシアの領土や領海により近い場所に落ちている場合もあります。ウラジオストックというロシアにとって重要な港湾都市の近くに落ちたこともあります。北朝鮮のミサイルがロシアに向けて発射される可能性もゼロではありません。

 

 しかし、ロシアの対応は非常に冷静です。それは北朝鮮建国以来、北朝鮮をずっと観察してきた情報と知識の蓄積があるからだと思います。そして、金正恩と北朝鮮は合理的な選択ができると考えています。ですから、ミサイルを発射させないうちに取引ができると冷静に見切っているようです。

 

 こうしたロシアの態度と考えを見ていると、アメリカ側がやや慌てて対応しているように見えてしまいます。そして、アメリカの内部に北朝鮮に対して軍事的に介入して押しつぶしてしまいたい、そのためには大変なことが起きても構わないと考えている人々がいるのだろうということが推察されます。ですから、決して、アメリカの攻撃的な言辞だけが北朝鮮に対応する際に正しいものだと考えずに、冷静になってみることも重要であると考えます。

 

(貼り付けはじめ)

 

なぜロシアは金正恩の核兵器について懸念を持っていないのか?(Why Isn’t Russia Worried About Kim Jong Un’s Nukes?

―トランプ政権が北朝鮮との対決の方向へと進む中、ウラジミール・プーティンは戦略的な優位を獲得しようと考えている

 

クリス・ミラー筆

2017年7月17日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2017/07/17/why-isnt-russia-worried-about-kim-jong-uns-nukes/?utm_content=buffer09f90&utm_medium=social&utm_source=facebook.com&utm_campaign=buffer

 

7月4日はアメリカの北朝鮮政策にとって良くない日となった。それは、北朝鮮が大陸間弾道弾の発射を成功させたからではなかった。この日、ロシア大統領ウラジミール・プーティンと中国国家主席習近平がモスクワで首脳会談を行ったのだ。2人は共同で朝鮮半島の緊張を激化させないように支援するという声明を発表した。声明によって、北朝鮮の核兵器とミサイル開発の凍結と米韓両軍による大規模な軍事演習の中止が結び付けられることになった。

 

アメリカ政府は中露両国とは異なるアプローチを主張し続けている。アメリカ政府はこれまでの数カ月、北朝鮮の核開発プログラムとミサイル開発プログラムを停止させるように中国に対して、プレッシャーをかけるような声明を次々と発表してきている。先週、ドナルド・トランプ政権が、中国の行動が北朝鮮の核問題を解決できないようであれば、アメリカ政府は北朝鮮とビジネス関係を持っているという疑いのある中国の個人や企業に対して経済制裁を科すと主張し始めた。

 

しかしながら、トランプ政権は問題解決のためロシアも参加させようと努力している。今年5月、北朝鮮がロシアの太平洋岸の港湾都市ウラジオストック方面にミサイルを発射した後、トランプ政権は声明を発表し、その中で次のように述べた。「ロシアの領土の間近にミサイルが発射された。実際のところ、日本よりもロシアの領土に近いところにミサイルは落ちた。米国大統領はロシア政府がこのことを喜んで受け入れることを創造することができない」。

 

実際のところ、ロシア政府は北朝鮮のミサイルについてそこまで懸念を持っていない。もちろん、ロシアは朝鮮半島の非核化を望むであろう。ロシアは、朝鮮半島の緊張状態を解決する唯一の手段は北朝鮮と交渉し、金正恩体制に対して安全保障上の保証を与えることだと確信を持っている。ロシア政府は北朝鮮の核開発プログラムに制限を設けることを支持している。しかし、経済制裁については懸念を持ち、体制転換については明確に反対している。このロシアの態度はアメリカの考えとは一致していない。そして、国際的な努力に対する大きな障害となっている。

 

ロシアが北朝鮮に対してより懐柔的な政策を望む理由としてはまず自己利益が挙げられる。今年5月、北朝鮮がウラジオストック方面にミサイルを発射したのと同じ週、北朝鮮はウラジオストック向けの新しいフェリーを就航させた。

 

北朝鮮はイデオロギー的に自立圏を必要としているが、北朝鮮とロシアとの間の経済関係は驚くべき程に深い。両国は石炭や石油といった産品を交易しており、これはエネルギー不足に悩む北朝鮮にとって価値のある貿易となっている。統計上の数字は明らかになっていないが、ロシアには北朝鮮からの留学生が数多く学んでいるし、ロシア極東地方では北朝鮮出身の非熟練労働者たちが働いている。 ロシアと北朝鮮の経済関係の規模は限定的なものとなっているが、アメリカの制裁が解除され、北朝鮮政府が経済の開放を決定すれば、貿易額は増加すると考える専門家たちもいる。

 

ロシアが北朝鮮に対してより懐柔的な姿勢を取っている主要な理由は、ロシア政府の最高幹部たちが、北朝鮮の行動について、アメリカやアメリカの同盟諸国とは大きく異なる解釈をしているからである。ロシアはアメリカに比べて、より長い期間にわたり、北朝鮮を支配する金王朝について楽観的な見方を保持してきた。ロシアもまた短い距離ではあるが、北朝鮮と国境を接している。冷戦初期、北朝鮮とロシアは共産主義という信念を共有していた。しかし、イデオロギー上の連帯は遠い昔に既に消え去ってしまっている。

 

ロシア政府首脳たちは、金王朝は奇妙ではあるが、合理的でもあるということを確信している。しかし、ロシアの北朝鮮専門家たちは、「金正恩はミサイルや核兵器を攻撃的に使えば、アメリカによって核兵器による反撃を受け、自分は殺され、北朝鮮は亡ぼされることを知っている」と考えている。ロシアから見れば、 相互確証破壊の論理は冷戦期において核兵器の使用を思いとどまらせたが、これは現在でも北朝鮮からの攻撃を防ぐためには有効である、ということになる。従って、ロシアの専門家の多くが、北朝鮮の核開発プログラムは、北朝鮮が安全保障化に関してより自信を持たせ、アメリカが北朝鮮に対して軍事攻撃を行うことを差し控えさせるので、状況を安定させることに貢献すると主張している。

 

ロシア政府は北朝鮮問題についてアメリカ政府とは異なる立場をとるいくつかの理由が存在する。中国と同様、ロシアも北朝鮮政府がアメリカと同盟関係にある統一された朝鮮(韓国)に取って代わられることが利益とはならない。ロシア政府は中国政府と一緒になって、アメリカによる韓国国内のミサイル防衛システム配備を批判している。アメリカが東アジアに集中する限り、アメリカは旧ソヴィエト連邦地域の争いに注意を向けなくなる。旧ソヴィエト連邦地域は現在でもロシア政府にとって最重要地域である。こうした点から、北朝鮮に対して、ロシアはアメリカとは全く異なる立場をとることが容易いのである。なぜなら、金王朝の非妥協的な態度に対するアメリカ側の不満の多くは、中国に向けられるからだ。

 

ロシアからすれば、アメリカは朝鮮半島の緊張状態に関して、少なくとも北朝鮮と同程度の責任があるということになる。この考えからすると、金王朝の兵器開発プログラムは自己防衛が主たる理由ということになる。 ロシアの外交政策の著名な専門家であるフョードル・ルキアノフは「北朝鮮はたいていの場合、率先した行動よりも対応的な行動を行う。サダム・フセインとムアンマール・カダフィに何が起きたか、そして、脅しは決して賢いやり方ではないということを彼らの運命が示していることを北朝鮮は理解している。そこで彼らは核開発プログラムとミサイル開発プログラムを進めている。核とミサイルの存在によって、北朝鮮に対する外国からの介入は受け入れがたいほどに高い代償を支払うことになる」。ロシアの専門家たちの多くは、アメリカが体制転換という脅威を与えなければ、北朝鮮は何をおいても核兵器の開発をしなくてはならないと考えなかっただろうと主張している。

 

北朝鮮の核開発プログラムが存在する以上、トランプが発した北朝鮮に対する米軍の軍事攻撃という脅しは、北朝鮮からの脅威と同じほどに危険なものだとロシアは考えている。あまり言及されていないが、北朝鮮の持つ通常兵器の多くは韓国の首都ソウルを射程内に入れている。ロシアからすれば、軍事行動ではない経済制裁でも、北朝鮮が核兵器取得を目指す論理を変えることはないということになる。ただ、経済制裁によって実験や更なる開発は凍結できるかもしれないとは見ている。北朝鮮は既に、大規模飢饉と経済破綻があっても生き残ることができることを示した。ロシアの専門家たちは次のように問いかける。「アメリカは、より厳しい経済制裁を科すことで北朝鮮が核開発プログラムを放棄すると説得できると考えている。核兵器は北朝鮮がアメリカからの攻撃に対して唯一対抗できる防御策であるのに。アメリカはどうしてこんな考えをするのだろうか?」。

 

核開発プログラムをまず放棄させるという考えはアメリカの行動における重荷となってしまっている。ロシアの専門家たちは、アメリカが朝鮮戦争を最終的に終結させる平和条約に署名しておらず、現在も北朝鮮に軍事的脅威を与えている、と指摘している。今週、北朝鮮がミサイル実験を行った後、プーティンは北朝鮮を非難することを差し控え、中国が北朝鮮とアメリカ双方にこれまでの流れを変えるように訴えたことを支持した。

 

アメリカ政府は、中国が北朝鮮に対して圧力をかけてこれまでの流れを変えようとしないことやその能力に欠けていることに対して、不満を募らせている。そして、その他の選択肢に方向転換しつつある。北朝鮮にアメリカを攻撃できる可能性を持つミサイルの開発とテスト継続させることは訴える力を持たない選択肢である。特に、トランプ大統領が、北朝鮮の核兵器がアメリカに到達することは「起こらない!」と述べた後では、そうだ。北朝鮮の核兵器を除去するために軍事面から圧力をかけることは、韓国や日本を巻き込むより広範囲な戦争を引き起こすリスクを持っている。

 

アメリカ政府が朝鮮半島における目的を軟化させ、北朝鮮の核開発プログラムを受け入れ、北朝鮮に対して安全保障上の保証を与えるならば、ロシア政府は北朝鮮が武器の実験とミサイル開発を止めるように圧力をかけることに参加するかもしれない。しかし、アメリカ政府が軍事力による解決や体制転換を選択肢として残す限り、ロシア政府は批判の矛先を金正恩ではなく、ドナルド・トランプに向けるだろう。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)






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 古村治彦です。

 

 今回は1956年の日ソ共同宣言調印までの動きをまとめた本『日ソ国交回復秘録 北方領土交渉の真実』(松本俊一著、佐藤優解説、朝日選書、2012年)を読んで学んだことや感じたこと、更に昨日から考えたことを書きたいと思います

 

 本書は、1966年に朝日新聞社から出版された『モスクワにかける虹 日ソ国交回復秘録』を新たなタイトルにし、更に元外交官の佐藤優(さとうまさる、1960年~)氏の解説を付けて出版されたものです。

 


 本書の主題は、日ソ国交回復に向けた交渉と1956年の日ソ共同宣言調印までの動きです。1955年1月に動き出した日ソ国交回復の動きは、ロンドンとモスクワでの交渉を経て、1956年10月の日ソ共同宣言の調印で終わります。この2年間の動きを、当事者である松本俊一が克明に描き出しています。

 

 私が今回この本を読もうと思った理由は、今年の12月15日に安倍晋三首相がロシアのウラジミール・プーティン大統領を地元の山口県に招待し、下関にある有名な料亭旅館である春帆楼(しゅんぱんろう、日清戦争後に、日本側代表・伊藤博文、清国側代表・李鴻章が下関条約について話し合った場所)で、日露間にとって、なかなか取れない棘のようになっている領土問題を解決する意向であるということを受けて、60年前にはどのような交渉が行われたのかを知りたいと思ったことです。

 

 今回の日ロ交渉では、安倍首相の参謀役となっている鈴木宗男元議員は、歯舞、色丹の返還と+アルファで日ロ平和条約締結まで行きたいと考えているようです。この鈴木氏の懐刀となっているのが今回ご紹介する本の解説をしている佐藤優氏です。

 

(貼り付けはじめ)

 

2島+アルファ」で解決を=北方領土交渉で鈴木宗男氏

 

時事通信 10/29() 14:57配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161029-00000051-jij-pol

 

 ロシア外交に詳しい鈴木宗男元北海道・沖縄開発庁長官は時事通信のインタビューに応じ、北方領土交渉について、歯舞群島と色丹島の返還に加え、国後島の共同統治などで合意する「2島プラスアルファ」の解決策が現実的だとの考えを明らかにした。

 

 

 鈴木氏はプーチン政権要人らとパイプがあり、安倍晋三首相と北方領土問題をめぐり意見交換を重ねている。

 

 平和条約締結後の歯舞、色丹2島の引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言について、鈴木氏は「プーチン大統領も認めている。ここがスタートラインだ」と指摘。その上で「何がプラスアルファで出てくるかで判断すべきだ」と述べ、国後島の共同統治のほか、同島への経済特区導入や元島民の自由往来、周辺海域の漁業権獲得などをロシア側が受け入れれば、平和条約締結に踏み切るべきだと主張した。

 

 鈴木氏は、国後、択捉両島について「その2島を返せ、と声高に唱えることは現実的ではない」との認識を表明。「ロシアの世論調査で8割が(北方領土を)返す必要がないと言っている。全部返すなら、プーチン氏は大変なリスクを負う」と語った。 

 

(貼り付け終わり)

 

 2つ目は、2016年11月20日に私が所属する「副島隆彦を囲む会」が主催いたしました第36回定例会で、鳩山由紀夫元首相をお迎えしての講演会を開催したことです。鳩山元首相の祖父にあたる鳩山一郎元首相が熱意を持って進めた日ソ交渉について知りたい、そして、鳩山由紀夫元首相は、普天間基地の移設問題で最終的に辞任に追い込まれましたが、「祖父・鳩山一郎元首相の日ソ国交回復の時にはどんな好条件と悪条件があったのか、そして、普天間基地移設問題で孫の鳩山由紀夫元首相が退陣することになったのが、それはどんな条件が足りなかったせいなのか」について考えたいと思ったことです。

 

 本書の著者、松本俊一(まつもとしゅんいち、1897~1987年)は、生粋の外交官です。1921年に東京帝国大学法学部卒業後に外務省に入省しました(24歳)。本書の解説をしている佐藤優氏によると、松本俊一は、当時の主流派である「ABC外交官(アメリカ[America]、イギリス[Britain]、中国[China]を主な勤務地とする外交官)」ではなく、フランス語圏を勤務地とする外交官でした。在ベルギー外交官補、アントワープ領次官補、在フランス大使館などフランス語圏を勤務地としています。現在の言い方で言うと、フレンチ・スクールに属していたということになります。

 

戦時下の1942年には、東條英機内閣で外務大臣となった重光葵の下で、外務次官を務めます(45歳)。また、終戦を決めた鈴木貫太郎内閣では外相の東郷茂徳の下で再び外務次官となります(48歳)。

 

 その後、公職追放となりますが、1952年に解除となり、外務省顧問に就任し、続いて、戦後初の駐英国日本大使に就任します。1955年の総選挙では、鳩山一郎(1883~1959年)率いる日本民主党から立候補して当選、代議士となります(58歳)。代議士になった直後、鳩山首相(鳩山内閣は1954年12月10日に成立)から、日ソ国交回復交渉の全権に起用されました。その後、1956年の日ソ共同宣言まで、日ソ交渉に関わり続けました。

 

 松本俊一は、1958年に岸信介内閣で内閣官房副長官に就任しますが、1963年の総選挙で落選してしまいます(66歳、3期連続当選でストップ)。その後、再び、外務省顧問となり、1965年にはヴェトナム戦争の調査団として、ヴェトナムを訪問し、報告書を提出、その中に、「アメリカの敗北は避けられない」と書き、物議をかもしました。また、この年から1969年まで日本アラブ協会会長も務めました。対米従属を第一とする戦後の主流外交官とは一線を画す存在であったと言えます。それは、彼が今でいうところのフレンチ・スクールに属していたからであろうと思います。ヴェトナム戦争の調査団に抜擢され、アメリカの敗北を予想できたのも、フランス語が堪能であったので、アメリカ側からの情報だけではなく、地元ヴェトナム人の声を理解できたからだと思います。

 

 日ソ共同宣言調印に至る過程にはいくつかの段階があります。

 

1.はじまり(ソ連側からの接触と日本側の交渉開始決定):1954年12月―1955年5月

2.ロンドン交渉(松本俊一全権とヤコフ・マリク全権との間の交渉):1955年6月―1956年3月

3.漁業交渉(河野一郎全権[農水相]とニコライ・ブルガーニン首相との間の話し合い):1956年3月―1956年5月

4.モスクワ交渉(重光葵全権とドミトリー・シェピーロフ全権との間の交渉):1956年7月―9月

5.モスクワ交渉(鳩山一郎首相とブルガーニン首相、ニキータ・フルシチョフソ連共産党第一書記との間の交渉):1956年9月―10月

 

 日ソ国交回復は1954年12月に鳩山一郎内閣が発足してから動き出すことになります。日ソ国交回復はソ連側からの打診で始まりますが、日本側としても、シベリアに抑留されている日本人の帰還を実現させるためにソ連への接触が必要でした。しかし、鳩山政権成立まで、日ソがコンタクトを取るという雰囲気にはありませんでした。太平洋戦争の最終盤にソ連がまだ効力を持っていた日ソ不可侵条約を無視して満州と樺太、千島列島に侵攻し、日本人を多数連行してシベリアに抑留して強制労働させていたことに反感がありましたし(これについては今でも日本側には残っていると言えます)、冷戦が始まり、アメリカ率いる西側自由主義陣営に属することになった日本が軽々にソ連と交渉することは難しいという事情がありました。また、上記のような理由から、吉田茂や重光葵といった外務省出身の政治指導者たちにはソ連に対しての不信感もありました。

 

 鳩山一郎は日ソの国交回復(日ソ平和条約[戦争状態を止める条約]締結)と抑留された日本人の帰還、国連加盟を主張していました。ソ連側は鳩山政権成立が日ソ交渉を始めるタイミングだということで、鳩山一郎に話を持ちかけました。そして、鳩山一郎は代議士に当選したばかりの、外交官出身(米英系ではないフレンチスクール)の松本俊一を交渉全権に抜擢しました。

 

 1955年から松本俊一全権とヤコブ・マリク全権による交渉がロンドンで開始されました。焦点は日本人抑留者の早期帰還、国連加盟と北方領土問題でした。抑留者の期間に関しては、双方ともに異論はなかったわけですが、北方領土(国後島、択捉島、歯舞群島、色丹島)の返還問題では日ソ双方の意見は平行線をたどりました。歴史的経緯から見れば、これらの島々は日本に帰属すべきものですが、実質的にはソ連が占領している状態です。

 

 ソ連側としては、歯舞群島と色丹島の返還(国後島、択捉島はソ連に)で手を打って、それで日ソ平和友好条約を締結するつもりでした。松本全権も、「この条件での交渉妥結、平和条約締結が妥当」という判断を下しました。しかし、国内の反鳩山である吉田茂をはじめとする人々はこのような条件には絶対反対でした。

 

 その後、1956年7月に重光葵外相(松本俊一の外務省・代議士を通じての先輩)が全権としてモスクワに乗り込んでのドミトリー・シェピーロフ(外相)全権との交渉が開始されました。重光葵は四島返還を強硬に主張し、松本と対立していました。しかし、モスクワ交渉を通じて態度を豹変させ、「二島返還を可とする」という内容の電報を日本に送ることになります。この時、重光は首相の座を狙っており、日ソ交渉妥結、日ソ平和条約締結を自分の手柄にしようとし、強い態度で交渉に臨み、しかし、最後まで頑張ったが最後は妥協せざるを得なかったが成果は得たという演出をしようとしたのではないか、と松本は推測しています。しかし、日本に残っていた鳩山首相や側近の河野一郎農相は、重光の態度豹変を受け入れられない(二島返還に反対ではないが)、もっと頑張るようにと返事を送りました。

 

 このモスクワ交渉が行われている1956年8月19日、重光外相はロンドンの米国大使館を訪問し、ジョン・フォスター・ダレス国務長官と会談しました。この時、ダレス長官は、「日本が国後島と択捉島を放棄するのなら、サンフランシスコ講和条約第26条に基づいて、沖縄をアメリカに併合する」と述べました。これは「ダレスの恫喝」と呼ばれるものです。サンフランシスコ講和条約第26条では、日本がある外国と戦後処理で講和条約締結内容以上の利益を与える場合には、講和条約締結国にもそれと同程度の利益を与えられねばならない、というもので、貿易協定における最恵国待遇と同じような内容であると言えます。

 

 沖縄をアメリカに併合されてはたまりません。また、これはアメリカが二島返還で妥協しての日ソ平和条約締結を望んでいないことのシグナルであるということになり、日ソ平和条約締結を諦め、共同宣言方式で、領土問題は残っていることを確認しながら、国交回復ということになりました。

 

 日本の日ソ平和条約締結を阻止する形になった、ジョン・フォスター・ダレスは、日弁安保体制の「設計者」とも言える人物です。ダレスは、日米安保体制の根幹を「アメリカが、日本国内の好きな場所に、必要な規模で、いつでも、そして必要な期間に基地を置くことが出来る」ことに設定しました。そして、この状況は残念ながら全く変わっていません。この戦後の日本の「対米従属」「植民地化」の枠組みを決めたダレスが、日本の独自外交である日ソ交渉を阻害したのは、「日ソ間で大きな懸案を残すことで、日本がアメリカから離れないようにする」という目的もあったと思われます。

 

 昨日、沖縄に配備されていたオスプレイが墜落大破するという事件が起きました。翌日から安倍晋三首相とウラジミール・プーティン大統領との間で北方領土問題に関して「新しいアプローチ」づくりによる問題解決を目指す交渉が行われるというタイミングで事件は起きてしまいました。

 

また、日露首脳会談の前に、既に北方領土返還はほぼ不可能であるという内容の報道もなされています。それは、ロシア側が北方領土を返還した場合に、そこに米軍基地を置くのかという問いをし、それに対して、日本側は「その可能性を排除できない」と答えたことで、ロシア側が態度を硬化させたというものであり、「ロシア側は日本が独自に決定できない」ことに懸念を持っているというものでした。

 

 ロシアにしてみれば、自分が持っている限りは絶対に米軍基地など作らせない需要な地域を日本に引き渡して、そこに米軍基地が作られてしまえば、歴史に残るほどの大失態になります。ですから、返還をする場合には慎重の上にも慎重を期して、米軍基地を作らせないという確約が欲しいですし、それがないなら、わざわざ返還する必要はないということになります。現実的には米軍基地が作られる可能性はかなり低い、ほぼないと言っても、そこをうやむやにしたままにはできません。

 

 日本側にしてみれば、北方領土返還と日露平和友好条約締結は、戦後処理の大きなパートということになります。しかし、「米軍基地を作らせない」ということを日本が独自に決めることはできません。それは、日米安保体制の根幹は、その設計者であり、日ソ交渉の妥協を阻害したダレスが設定したように、「日本国内の好きな場所に米軍基地を作ることが出来る」ということだからです。北方領土をその例外にしてしまうと、つまり、日本国内に米軍基地を作ることが出来ない場所が出現すると、その「例外」が「前例」となってしまい、日米安保体制の根幹を崩すアリの一穴になってしまう可能性が出てきます。

 

 日米両国内の日米安保体制維持によって利益を得ている人々、既得権を持っている人々にしてみれば、これは大変危険なことです。

 

 このように考えていくと、二島返還+アルファか、四島返還かということ以前に、「日本の領土となることは、米軍基地建設がされる場所になること」ということになり、これは、領土交渉や国境画定交渉において大きな障害となります。

 

 近代国家を構成する三要素は、国民、国土、国境であり、その中で主権が存在します。主権とは、国家を構成する枠組みや形を決める権利ですが、日本にはそれを独自に決められないということであり、この点では残念ながら、近代国家の要件を実質的に一部書いている半主権国家と言うことができ、これは属国、従属国と言い換えることができると思います。

 

 日本は、経済規模は世界有数の大きさであるが、半主権国家である、という前提から物事を見ていくということの重要性を改めて認識しています。

 

(終わり)














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 古村治彦です。

 

 トランプとプーティンが電話会談をし、その中で、米ロ関係の改善に協力していくことで合意したということが報じられました。トランプは、選挙期間中に北朝鮮の金正恩委員長とも話し合っても良いと発言していましたから、民主国家ではないという理由で、一概に悪いくにだと決めつける(それなのに、アメリカに役立つ非民主国家である中東の産油国や中央アジアの独裁国家を悪とは決めつけない)人道的介入主義派やネオコンとは全く異なる外交姿勢を取ることになるでしょう。

 

 しかし、問題は国務長官の人選であり、その下の副長官、国務次官、国務次官補くらいまでの人選です。国務長官には、ルディ・ジュリアーニの名前が出ていますが、ジョージ・W・ブッシュ政権のネオコンのジョン・ボルトン、ヘンリー・ポールソン財務長官、日本人にもなじみ深いリチャード・アーミテージ国務副長官の名前が出ています。

 

 トランプの現実主義的な外交姿勢を政策と実行するためには、ネオコンという訳にはいきません。そもそもネオコンの人々は、トランプに反対していました。ネオコンの代表的な論客ロバート・ケーガンはヒラリーのために資金集めパーティーまで計画していたほどです。

 

 トランプが結局、ワシントンのエスタブリッシュメントに絡め取られてしまうかどうか、注目です。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプはプーティンと話をし、「永続的な」関係構築を楽しみにしていると述べる(Trump talks to Putin, looks forward to 'enduring' relationship

 

クリスティーナ・ウォン筆

2016年11月14日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/business-a-lobbying/305929-putin-tells-trump-he-wants-dialogue-based-on-non-interference

 

ドナルド・トランプ次期大統領は月曜日、ウラジミール・プーティンからの大統領選挙勝利に対する祝福を受け入れ、ロシア大統領に対して、「私はロシアとロシア国民との間で強力なそして永続的な関係を築くことを楽しみにしている」と述べた。

 

トランプの政権移行ティームは声明を発表し、トランプとプーティンは「アメリカとロシアが直面している脅威と挑戦、戦略的な経済諸問題、過去200年以上の米ロ関係の歴史」について議論したと述べた。

 

クレムリンは声明の中で、指導者2人が「現在の米ロ関係の冷え切った状態を評価することに同意し、関係正常化に向けた協力関係に向けた話し合いを行った。話し合いは諸問題について建設的な協力を行う方向性を持って行われた」。

 

クレムリンは声明の中で、「両指導者は、米ロ間の貿易と経済協力の発展を通じて両国間の堅固な基礎を構築する重要性を強調した」と述べた。

 

トランプは選挙期間中、プーティンを強力な指導者として賞讃してきたことはよく知られている。それに対して、共和党と民主党から批判が出ていた。トランプはテロリストとの他戦いでロシアとの協力が必要だと述べ、NATOとの再交渉ついてのトランプのコメントはロシア政府から評価された。

 

アメリカとロシアとの関係はここ10年間、冷え切っている。オバマ政権は、2014年にロシアがウクライナ領であったクリミア半島を併合したことを厳しく非難した。

 

トランプの政権移行ティームの論調は全体として協力的なトーンであった。一方、オバマ大統領とプーティン大統領との会談の論調は、全体として米ロ間の同意できない点を強調するものであった。

 

クレムリンは声明の中で、プーティンとトランプはこれからも電話を通じて対話を続け、会談実現に向けて協力していくと述べた。声明は、両指導者がテロリズムと過激主義との戦いのために協力して対処していくことに必要性とシリアにおける危機を終結させることについて議論したと述べた。

 

クレムリンは声明の中で更に、「プーティン大統領は、トランプ次期大統領との電話の中で、平等、相互尊重、内政不干渉といった諸原則に基づいて、新政権と対話を築きたいと語った」とも述べた。

 

プーティンは更に、「実践的な、相互利益をもたらす協力(両国の利益に適う)、世界の安定性と安全」への復帰することも止めた。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)









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 古村治彦です。

 

 私は本ブログの20160726日の記事「波乱の民主党全国大会開会:ヒラリーはどこまでも「Eメール」(とロシア)に祟られる」の中で、次のように書きました。

 

(貼り付けはじめ)

 

民主党とヒラリーは防戦として、「差別主義者で生まれながらの金持ちであるトランプをあなたは支持するのですか」「女性を侮辱し続けてきたトランプを選ぶのか、女性でも大統領になれることを証明することに参加するのか、どちらですか」といった主張を行うでしょう。また、「人権抑圧国で、周辺国への侵略を行っているロシアに対してトランプは友好的だ。ヒラリーは厳しい態度で臨むと言っているので、このような謀略を仕掛けられたのだ。あなたは外国による選挙への介入を許しますか」という訴えも行うでしょう。

 

(貼り付け終わり)

 

 私は、ヒラリーがこのような訴えをする時は、①トランプを最終的に突き離せると判断した時か(これはあまり必要がない選択肢です)、②自分がトランプに追い詰められている時か(トランプと自分を突け狙うジュリアン・アサンジも含まれます)、のいずれかだと考えていました。現在は、Eメール問題に、国務省とクリントン財団の不適切な関係、更には健康問題まで出て、ヒラリーは追い詰められています。ですから、私が考えた②のケースが出てきているということになります。

 

 ヒラリーが余りマスコミとの会見を行わず、民主党の連邦議員選挙候補者たちのための資金集め活動をしている間に、ヒラリーの支持率が急落しています。そこで、今回、ヒラリーは、「今回のアメリカ大統領選挙に外国が、しかもロシアが介入している」という主張を20分以上にわたって記者たちに語ったということです。

 

 問題は、ヒラリーが「ロシアが大統領選に関与していることを示す「信頼できる報告」があるとして懸念を表明した」というところです。ここに出てくる「信頼できる報告」があるということをヒラリーがマスコミの前で明言したということは、その報告なるものがどんなものであり、実際にアメリカ国民や世界の人々が読めるようにしなければなりません。つまり、この報告なるものが存在することを証明する証拠をヒラリーが出す義務を負ったということになります。そして、そもそもどうしてヒラリーがこの報告なるものの存在を知ったのか、もし読んでいるとすると、どうして読むことが出来たのかを説明しなくてはなりません。

 

 もし、この報告なるものを実際に表に出すか、少なくとも存在する証拠を出せなければ、ヒラリーは、デマを流して世論を誘導しようとしたということになります。もし報告そのものがなくて、ただのハッタリだとすると、彼女は最低のカードを切って、自滅することになります。もし存在すると、その内容の程度にもよりますが、トランプに対しては一定のマイナス効果となるでしょう。

 

 FBIは、先週、トランプ、ヒラリー両陣営の一般スタッフ向けに、外国のスパイ対策のためのブリーフィングを別々に行ったということです。発表の内容から見て、「怪しい人物が近づいて来たら上司に報告する」「うまい儲け話には乗らない」といった当たり前の内容の講習会のようなものだっただろうと私は判断します。

 

 FBIとしては、民主党側からの「外国のスパイが絡んでいるに違いない、なんとかせよ」というあまり真実味のない話を受けて、アリバイ程度に講習会をやったものと思われます。もし本当に外国、ロシアの介入があるとすれば、もっと真剣に対策を練っているでしょう。ただ、表面上はのんびりと見せておいて、水面下では暗闘が行われている可能性も捨てきれません。


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 ロシアのプーティン大統領は、トランプ、ヒラリー双方がロシアを使ってお互いを攻撃し合っている姿を悲しんでいるように見せつつ、裏ではほくそえんでいることでしょう。ロシアがアメリカ国内で諜報活動を行っていることは事実でしょうが、大統領選挙に介入しようとしているかは分かりません。しかし、ハッキング事件が起きた後に、「あれはロシアの仕業だ」という話が出ることは、ロシアが国際政治において影響力を持ちつつある、アメリカでもロシアを無視できないということになり、ソ連時代のことを考えれば、影響力を回復しつつあるということを示しています。

 

 アメリカが対ロシアのヒステリー状態になったのは戦後すぐで、ジョセフ・マッカーシー連邦上院議員による、非米活動委員会を舞台にした赤狩り、マッカーシズム旋風が吹き荒れた時でした。この時はソ連は戦後復興と原子爆弾開発、東側ブロックの盟主としてアメリカを脅かしていきました。それは1960年代くらいまで続きますが、その後は、「張子の虎」となってしまいました。

 

 プーティンは「偉大なロシアの復活」を自分の目標として掲げています。しかし、その道のりは厳しく、ソ連崩壊後のロシアは見向きもされない国になりました。先進国首脳会議のメンバーにも入れてもらいましたが、やがて追い出されました。

 

 しかし、天然資源を武器にして、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)という新興大国の一角として存在感を増していきました。そして、20世紀の歴史的遺産を武器にして、「アメリカのライヴァル」「アメリカの恐れる相手」になりました。

 

 今回のこのロシアをだしにしたトランプ、ヒラリー双方の戦いは、いみじくもロシアの存在感が増していることを示す結果になりました。トランプは、「Make America Great Again(アメリカを再び偉大な国に)」というスローガンを掲げていますが、彼は「Make Russia Great Again(ロシアを再び偉大な国に)」にも貢献したことになりますし、脇役のヒラリーも貢献したということになります。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「クリントン氏、米大統領選へのロシア関与を懸念」

 

ロイター通信 2016年9月6日

http://jp.reuters.com/article/usa-election-clinton-idJPKCN11C0PP

 

 9月5日、米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏は、ロシアが大統領選に関与していることを示す「信頼できる報告」があるとして懸念を表明した。写真はイリノイ州モリーンで5日撮影(2016年 ロイター/Brian Snyder

 

[ハンプトン(米イリノイ州)5日 ロイター] - 米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏は5日、ロシアが大統領選に関与していることを示す「信頼できる報告」があるとして懸念を表明した。

 

クリントン氏は遊説用の飛行機内で20分超にわたって記者団の質問に応じ、民主党も共和党もロシアの行動に関心を持つべきだと指摘した。「われわれの情報専門家たちがこの問題を検証し、深刻に受け止めているという事実は、ロシアが我が国の選挙過程に関与している可能性について、重大な問題を提起している」と述べた。

 

同氏は「われわれは極めて重大な懸念に直面している。これまでに、外国の敵対勢力がわれわれの選挙過程に関与した例もなければ、主要政党の候補がロシアにハッキングを促した例もない」と述べた。

 

共和党のドナルド・トランプ候補はプーチン大統領を賞賛。ロシアに対し、クリントン氏の国務長官時代の「行方不明の」電子メール数万通を探し出すよう求めた。トランプ氏は後に、皮肉のつもりだったと釈明している。

 

クリントン氏は、米民主党全国委員会(DNC)のコンピューターがサイバー攻撃を受けたことについて、ロシアの情報機関が関与したと断言している。

 

ロシア政府がトランプ氏を支援しようとしていると思うかとの質問に、クリントン氏は「私はしばしば、アーカンソー州に長年暮らして学んだ偉大な格言を引用する。支柱の上にカメがいたら、独力で上ったわけではない、というものだ。トランプ氏が指名候補となった時期と前後してこの現象が起きたことは実に興味深いと思う」と語った。

 

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プーティンは、クリントン、トランプによる「ショックを与える攻撃」を悲しむ(Putin bemoans 'shock tactics' used by Clinton, Trump

 

ジェシー・ヘルマン筆

2016年9月2日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/294238-putin-bemoans-shock-tactics-used-by-clinton-trump

 

ロシアの指導者ウラジミール・プーティンは、大統領選挙でドナルド・トランプとヒラリー・クリントン双方が「ショックを与える戦術」を使っていると切って捨てたが、どちらを支持するかについては発言を拒否した。

 

プーティンは『ブルームバーグ』誌とのインタヴューの中で、「双方がショックを与える戦術を使っている、それぞれが独自の方法で」と述べた。

 

プーティンは続けて、「素晴らしい模範となっているとは思わない」とも述べた。

 

プーティンは、共和党の大統領選挙候補者トランプに肩入れしている、そして、大統領選挙に介入していると非難されている。プーティンは、トランプ、ヒラリー双方がロシアを使ってお互いを攻撃していることを悲しんだ。

 

プーティンは、ヒラリーとトランプ両方ともに「大変賢い人物」で、「どのボタンを押せば支持を得られるかを理解している。これはアメリカの政治文化の一部だ」と述べた。

 

ロシアはこれまでにない形で人々の注目を集めている。2016年7月、トランプは、ロシアに対して、ヒラリーが国務長官時代に使用していた私的なEメールサーヴァーが問題になっており、そこから消去された3万通のEメールを見つけ出すように頼んだ。

 

トランプは更に、ヒラリーが長官時代の国務省が、アメリカ国内のウラニウム関連資産のロシアによる取得を承認したことを非難した。この決定は、投資家たちがクリントン財団に1億4500万ドルの献金を行うという合意を取り付けた後に、行われた。

 

プーティンは、「私たちがクリントン家をコントロールしているとでも言うのだろうか?それは全くもって馬鹿げている」とプーティンは述べた。

 

プーティンは、責任を持って決定ができる人物であればその人が誰であろうとも協力したいとし、「その人物の苗字が何であろうとも関係ない」と述べた。

 

「その人物がアメリカ国民の信頼を享受することが必要不可欠だ」とプーティンは述べた。

 

「だから、私たちは絶対に介入しないのだ。介入しないし、アメリカ国内の政治過程に介入しないように努力しているのだ」とも述べた。

 

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FBIが選対の一般スタッフに対して、スパイからの働きかけを避けるための訓練を行う(FBI trains campaign staffs to avoid spies

 

ジョー・ユーチル筆

2016年9月1日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/294096-fbi-trains-pres-campaigns-to-avoid-spies

 

FBIは8月31日、トランプ、ヒラリー・クリントン両選対の一般スタッフに対して、外国のスパイに関する「自発的な参加による注意喚起のブリーフィング」を別々に行った、とABCニュースが報じた。

 

FBIは、これらのブリーフィングは、「個別の外国からの脅威が差し迫っているから行われたものではない」とし、「標準的な行動」の再確認を行ったと発表した。

 

 

今回のブリーフィングは、今年の大統領選挙に外国の諜報機関が不正に関与しているのではないかという疑惑が大きくなっている中で行われた。

 

トランプ、ヒラリー両選対は、外国の諜報機関からの攻撃を防御するためにいくつかの企業と契約している。両陣営ともとロシアの標的になっていると考えられているが、今のところ、両陣営の選挙運動が妨害されたことを示す証拠は存在しない。

 

アメリカ政府の諜報特別委員会のメンバーの多くは、民主党全国委員会と民主党議会選挙委員会に対するハッキングはロシアによって行われたという確信を持っている。

 

イリノイ州選挙管理委員会に対するSQLインジェクション攻撃(SQLデータベースのプロトコールに対する攻撃)と、アリゾナ州の選挙失効システムへの攻撃(失敗に終わった)は、ロシア政府がやらせたという非難の声が上がっている。

 

8月末、連邦上院民主党院内総務のハリー・リード連邦上院議員(ネヴァダ州選出、民主党)は、FBIに対して、今回の大統領選挙に関してロシアの影響力が及んでいないかを監視するように求め、民主党所属の連邦下院議員4名は、トランプ選対とロシアとの関係について捜査するように求めた。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)







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