古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:エスタブリッシュメント派

 古村治彦です。

 アメリカでは中間選挙が終わり、連邦上院では民主党が過半数を確保し、連邦下院では共和党が過半数を確保することになった。事前の予想に比べて、民主党が大善戦したということになるが、連邦下院で過半数を失ったことで、ジョー・バイデン政権の政権運営は難しくなる。

 民主党の中には「スクアッド(the Squad)」と呼ばれる進歩主義派の若手議員たちがいる。その代表格がニューヨーク州選出のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員だ。この議員たちも今回の選挙で楽々と再選を決めた。スクアッドの議員たちは、「ジャスティス・デモクラッツ(Justice Democrats)」という進歩主義的な議員たちの増加を目指す政治行動委員会(PAC)からの支援を受けている。このPACの支援を受けて、今回複数の新人が初当選を果たした。進歩主義派の議員たちは民主党エスタブリッシュメント派と同調せずに、たとえ民主党の出した法案であっても、バイデン大統領肝いりの政策であっても、反対する場合がある。エスタブリッシュメント派にとっては目の上のたんこぶのような存在だ。

今回の中間選挙では、ニューヨーク州の連邦下院議員選挙で4つの選挙区で共和党が民主党から議席を奪取した。州知事選挙では、クオモ前知事がスキャンダルのために辞任して、副知事から昇格した現職のキャシー・ホーチュルが得票率約52%で勝利した。これは、最近の選挙結果から見れば、民主党側にとっては大苦戦ということになった。2016年の大統領選挙では民主党候補のヒラリー・クリントンが得票率約59%で勝利、2018年の州知事選挙では当時現職だったアンドリュー・クオモが得票率約59%で勝利、2020年の大統領選挙ではジョー・バイデンが得票率約60%で勝利を収めた。共和党側が支持を伸ばし、民主党は大事な地盤であるニューヨーク州で負けたということになる。
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2020年に比べて共和党が支持を伸ばした

この結果を受けて、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員はニューヨーク州民主党指導部を批判し、委員長の辞任を要求した。これに対して、エスタブリッシュメント派である指導部は「あなたは選挙のために何もしなかったではないか」と反撃するということになった。アレクサンドリア・オカシオ=コルテスは全米的に人気を誇る議員であるが、民主党エスタブリッシュメント派からは嫌われている。

 今回、民主党は予想よりも大きく負けなかったということで、民主党が勝ったようなものだという雰囲気が醸し出されているが、足元のニューヨーク州で負けているというのは深刻な事態である。2024年の大統領選挙と連邦議会選挙に向けて、民主党は立て直しを図らねばならないが、党内融和と協力体制を作るところからということになる。しかし、それが困難なほどに党内での分裂は厳しいものがある。

(貼り付けはじめ)

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自身の選挙で落選した民主党の選挙対策委員長がオカシオ=コルテスを非難:「彼女はニューヨーク州の各選挙区での民主党候補の勝利にほぼ何も貢献しなかった」(Ousted Dem campaign chair blasts Ocasio-Cortez: ‘She had almost nothing to do’ with our wins

ジュリア・シャピロ筆

2022年11月10日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3730516-ousted-dem-campaign-chair-blasts-ocasio-cortez-she-had-almost-nothing-to-do-with-our-wins/

アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)がニューヨーク州で民主党が敗北を喫したことに民主党指導部の責任を追及したことを受けて、連邦下院民主党選挙対策委員会委員長シーン・パトリック・マロニー連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)はオカシオ=コルテスを非難した。

マロニー議員は『ニューヨーク・タイムズ』紙の取材に対して次のように述べた。「はっきりさせておきたい。民主党が過半数を維持するための歴史的な防衛戦において、彼女はほぼ何も貢献しなかった。「党の選挙資金をびた一文負担しなかった。彼女からの資金など望まなかった最前線に立つ候補者たちに資金を押し付けること以外には何もしなかった」。
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火曜日の中間選挙の投開票の結果、ニューヨーク州が右傾化したことが明らかになったことを受け、オカシオ=コルテスは水曜日にニューヨーク州民主党指導部を批判した。共和党は、ニューヨーク州全体で、民主党が保持していた4議席を奪取した。その中にはマロニー自身の議席も含まれていた。

オカシオ=コルテスは特に、ニューヨーク州民主党委員会委員長ジェイ・ジェイコブスの辞任を求めた。

しかしながら、マロニーはニューヨーク州選出の連邦下院議員であるオカシオ=コルテスに反撃し、中間選挙における彼女の支援のレヴェルについて疑義を呈した。

マロニーは「民主党が今回の中間選挙において連邦下院で過半数を維持するために、彼女は1分も時間を使わなかった。彼女がどのようなアドヴァイスを持っているかは分からないが、きっと惜しみなくアドヴァイスを与えてくれるだろう」と語っている。

オカシオ=コルテスは木曜日の夜、マロニーが彼女の選挙運動を無視していると主張し、反論した。

このような状況下、オカシオ=コルテスは、「マロニーは私に接戦の選挙を戦っている各民主党陣営に寄付を呼びかけた。私がこの選挙戦で行った最初のことは寄付だった」とツイッターで述べた。彼女は続けて「今回の選挙で25万ドル以上を民主党に寄付し、民主党連邦議会選挙対策委員会(DCCC)の資金集めを促進したのに、彼はそれを否定している。もし彼が、私のカリフォルニア訪問や私たちの努力を知らないのなら、それは彼の責任だ」と書いた。

連邦下院民主党は、中間選挙で共和党の「赤い波(red wave)」を退け、大敗するという予測を覆した。しかし、共和党が連邦下院を支配する可能性は依然として高いと見られている。

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オカシオ=コルテスが中間選挙の結果に関してニューヨーク州民主党指導部を非難(Ocasio-Cortez slams NY Democratic Party leadership over election results

ミカエル・シュニール筆

2022年11月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/3727383-ocasio-cortez-slams-ny-democratic-party-leadership-over-election-results/

アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は水曜日、中間選挙の結果でニューヨーク州が右傾化したこと(共和党が勢力を伸ばしたこと)を受け、ニューヨーク州民主党指導部を非難し、委員長の辞任を要求した。

オカシオ=コルテスはツイッター上で次のように書いた。「ニューヨーク州民主党指導部は、前ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモ(民主党)の下で骨抜きにされ、ロビイストを詰め込み、共和党を後押しするために働き、ニューヨーク州の再編成を守るための基本的な州投票法案を通せなかった、説明責任を果たすべきだ」。

オカシオ=コルテスは「私は1年前にジェイ・ジェイコブスの辞任を要求し、今もその立場を変えていない」とニューヨーク州民主党の会長に言及した。

オカシオ=コルテスは、ニューヨーク・タイムズ紙が発表した、今年のニューヨーク州知事選挙の得票と2020年の大統領選挙での得票を比較したグラフィックに反応した。ニューヨーク・タイムズによると、今年のニューヨーク州の投票はより共和党にシフトしたということだ。

しかしながら、ニューヨーク州知事キャシー・ホーチュル(民主党)は、リー・ゼルディン連邦下院議員(ニューヨーク州選出、共和党)の挑戦を退け、セクハラ疑惑で辞任したクオモの後に就任したニューヨーク州知事として初めて完全な任期を確保した。

その後のツイートでオカシオ・コルテスは、ジェイコブスが元KKK指導者のデイヴィッド・デュークを含めた類推を行ったことで炎上した事件を詳細に伝える2021年10月の記事のリンクを掲載した。

2021年10月、ジェイコブスは、候補者が予備選に勝ったからといって党が支持する必要はないと主張し、デイヴィッド・デュークがニューヨーク州の民主党予備選挙で勝利するという「シナリオ」を提示した。

オカシオ=コルテスは次のように書いている。「民主党の議席を守るはずだった投票法案の惨敗に党を導いた後、委員長(ジェイコブス)は民主党候補となったアフリカ系アメリカ人女性をKKKと比較した。それなのに彼は守られたのだ。昨夜の劣勢はその決定の結果だ」。

そして、3つ目のメッセージで、オカシオ=コルテスは、「昨晩のニューヨーク州での民主党の劣勢は、パフォーマンス、戦略、そして組織化よりも、石灰化したマシーン政治とコネや優遇を優先してきた長年の証しである」と述べた。

オカシオ=コルテスは、党委員長ジェイコブスは「去らねばならない」と述べ、「そして私たちはコミュニティのリーダーシップと小さな民主政治体制をより大切にするために党を再編成しなければならない」と付け加えた。

本誌はジェイコブスにコメントを求めた。

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「スクアッド」のメンバー議員たちが順調に再選を決める(‘Squad’ members cruise to reelection

ザック・ションフェルド筆

2022年11月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3726475-squad-members-cruise-to-re-election/

火曜日の中間選挙で、「スクアッド」と呼ばれる6人の進歩主義的な連峰下院議員のグループが、全員再選を果たすと予測されている。

様々な報道機関が、これらの民主党の連邦下院議員の当選を報じている。アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(ニューヨーク州選出)、イルハン・オマル(ミネソタ州選出)、アイアナ・プレスリー(マサチューセッツ州選出)、ラシダ・タリブ(ミシガン州選出)、コリ・ブッシュ(モンタナ州選出)、ジャマール・ボウマン(ニューヨーク州選出)がスクアッドのメンバーである。
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しかしながら、全ての議員が2020年の大統領選挙でジョー・バイデン大統領がトランプに対して得票率で2桁の差をつけた選挙区の出身なので、彼らの勝利は驚くに値しない。

オカシオ=コルテス、オマル、プレスリー、タリブの4人は、2018年の選挙で初当選した後、1年生議員グループとして注目され、ソーシャルメディアで多くのフォロワーを獲得した。

「ニューヨーク州第14選挙区を代表する連邦下院議員という大きな責任を私に託してくれた、コミュニティのメンバー全てと草の根の支援者に感謝します」とオカシオ=コルテスはツイートした。彼女は続けて「私たちは毎回、少ない選挙資金で選挙運動をやっています。新しい種類の統治を可能にしてくれる皆さんには、感謝の念を抱き続けています」と書いた。

上記の4人に2020年の選挙で当選したブッシュとボウマンがメンバーに加わった。

6人の連邦下院議員はいずれも比較的若く、党のエスタブリッシュメント派には同調しないという意志を示している。

彼らは、バイデン大統領や多くの民主党連邦議員が中間選挙までの数カ月の間に繰り返し宣伝した主要法案である超党派インフラ法に反対票を投じた唯一の民主党連邦議員グループになった。

連邦下院民主党が9月に上程する予定だった警察・治安関連4法案について、そのうちの1法案に「説明責任方策」が欠けているとして、スクアッドのメンバーたちは審議を延期させる事態を招いた。

このグループのメンバーの中にはブッシュやタリブなど、予備選挙でより穏健な候補者からの挑戦に直面したメンバーもいた。現職議員の2人は民主党の予備選挙で楽に勝利した。

タリブは次のようにツイートした。「ヴォランティアの皆さん、人々の投票する権利を守ってくださったこと、ありがとうございます。十分な配慮をしてくださってありがとうございます。喜びと愛を持って活動してくださってありがとうございます。今夜、私たちは、私たちのコミュニティが美しく、力強いものであることを人々に示すでしょう。私たちは沈黙するつもりはありません」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 アメリカが堅持してきた二大政党制が崩壊する可能性が高いと私は考えている。今回の大統領選挙をめぐるこれまでの動きの中で、共和党内に大きな亀裂が生まれている。民主党はエスタブリッシュメント対進歩主義派という対立構造があったが、「アメリカの敵・ドナルド・トランプとトランプ支持者たち(本当は民主党が助けなくてはいけない人たちのはずだが)」という共通の敵を作り上げて、今のところは一枚岩だ。

外国に敵を作って、皆でまとまろうという策謀と全く同じ構造だ。これで、「アメリカの融和」などと寝ぼけたことを言っているのは笑止千万だ。これに協力している、進歩主義派も結局、エスタブリッシュメント派の軍門に下り、ワシントンでの楽しい生活を謳歌している。私は大きく失望している。中世ヨーロッパの言葉に「都市の風は人間を自由にする」というものがあるが、それをもじって言えば、「ワシントンの風は人間を徹底的に堕落させる」ということなのだろう。進歩主義だ、貧しい人々のためだ、と意気揚々とワシントンに乗り込んでみたら、取り込まれて、堕落してしまう。その点で、ドナルド・トランプという人物は最後まで、ワシントンの「部外者(アウトサイダー)」だった。

 共和党に目を移せば、「エスタブリッシュメント派対トランプ・ポピュリズム」という対立構図になる。このブログでも紹介したが、共和党支持の有権者たちの間でのトランプ支持は根強い。この有権者たちにそっぽを向かれれば共和党の議員たちは落選して、ただの人となり、楽しいワシントンでの生活からオサラバしなければならない。

 2020年の選挙では連邦上院では共和党と民主党が50対50となり、連邦上院議長は副大統領が務めるので、民主党が過半数を握ることになった。連邦下院では民主党が過半数を維持したが、共和党が議席数を伸ばした。2022年の中間選挙では共和党が議席数を伸ばすことが見込まれている。

 共和党側は、民主党側に対して、「民主党は社会主義の方向に進んでいる」という宣伝戦略を展開している。2022年に向けてもこの戦略を採用しようとしている。これで消極的な民主党支持者たちを取り込もうとしている。民主党側では、進歩主義派の勢力が大きく、バイデン政権と連邦議会民主党執行部としても無視できない。そこで、「大きな政府」政策を実行すると、共和党側の宣伝戦略にはまってしまう。

 一方、共和党側でも「トランプ・ポピュリズム派」は、民主党側からの攻撃目標にされてしまうだろう。「あの連邦議事堂襲撃事件を起こしたトランプを支持する政治家たちを当選させてはいけない」という戦略で共和党攻撃を行うだろう。民主、共和両党はお互いの「急進派」を標的にして攻撃する戦略で2022年の中間選挙を戦うことになる。両党にとって、「急進派」は重要な存在である。そう簡単に切ることができない。このかじ取りが2022年の選挙の結果を左右することになるだろう。

(貼り付けはじめ)

共和党は2022年に連邦下院で過半数を獲得する道筋を見ている(GOP sees path to House majority in 2022

ジュリー・グレイス・ブラフケ筆

2020年11月18日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/526444-gop-sees-path-forward-to-house-majority

共和党は今週連邦議事堂に戻って来た。共和党は予想を裏切り、選挙投開票日に連邦下院での議席を増やして戻って来た。2022年の中間選挙で過半数を獲得する見通しを持っている。

共和党所属の連邦下院議員たちは木曜日、連邦下院少数党(共和党)院内総務ケヴィン・マッカーシー連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)をはじめとする連邦下院共和党指導部をそのまま再任することで、その功績に報いた。共和党は、分裂した投票行動を行った有権者たちから支持を受けた。この有権者たちはトランプ大統領をホワイトハウスから追い出しながら、連邦上院と連邦下院の選挙の共和党の候補者たちを支持した。

選挙結果はアメリカ国民が捻じれた政府(訳者註:ホワイトハウスは民主党、議会は共和党)を認めたということであり、共和党側は2年後の中間選挙において連邦下院で過半数を奪還することができるという手ごたえをつかんでいる。中間選挙はこれまで、ホワイトハウスを掌握している政党が連邦議会で議席を減らすということになっている。

まだ結果が出ていない複数の州で共和党の候補者たちが優勢であり、それらを入れて、共和党は20議席近く増やそうとしている。共和党は今回の選挙結果でも過半数まで17議席足りないままである。しかし、民主党側から見れば、第二次世界大戦以降、最も議席差が少ない連邦下院ということになっている。

連邦下院少数党(共和党)幹事ステイ―ヴ・スカリス連邦下院議員(ルイジアナ州選出、共和党)は全米を駆け回って再選を目指す現職たちのために応援演説をしていた。スカリスは本誌の取材に次のように答えた。「今回の選挙で私たちは接戦の選挙区において多くの議席を獲得したことで、多くの人々に衝撃を与えることができました。しかし、私たちはこれからもやらねばならないことがたくさんありますが」。

スカリスは続けて「私たちが接戦で敗れた選挙区においても素晴らしい候補者たちがいるということを既に伝えられています」と述べた。

共和党指導部は2022年の中間選挙について楽観的になることを戒めていると述べている。彼らは現在の状況について良くなっていると感じているが、連邦下院で過半数を奪還するためにはこれからも戦い続けねばならないだろうと述べている。

トム・エマー連邦下院議員(ミネソタ州選出、共和党)は連邦下院共和党の選対委員長を務めたが、共和党は今回の選挙で予想を超える結果を得たが、連邦下院で過半数を奪還できなかったことについては「失望している」と述べた。

共和党全国選挙対策委員会(The National Republican Campaign CommitteeNRCC)委員長エマーは、議席増を当然のこととは考えておらず、過半数奪回に目を向ける必要があると述べている。また、2018年の中間選挙で民主党側の攻勢によって民主党が基盤を築いた選挙区での議席獲得のための道筋はあるとも述べている。

共和党はマイアミで複数の議席を獲得し、失うと予想されていたテキサス州での複数の議席を維持した。しかし、エマーはアリゾナ州、ミシガン州、ニューハンプシャー州、ペンシルヴァニア州の各州で逆転できる可能性があったと述べている。

エマーは本紙の取材に対して次のように述べた。「今回の選挙で私たちがいささか成功したが、これは偶然の産物ではないということを共和党全体が理解しなければなりません。私たちは努力を続けたので、成功するだろうと言われていました。これからも挑戦は変わりません。より努力をしなければなりません」。

エマーは「人々がどんなことを言っても、簡単なことではないのです。世論調査の専門家や予言者の言うことなど聞きません。選挙の結果は全て候補者たち次第なのです。幸運は自分の力で引き寄せねばならないのです」と述べた。

エマーは、共和党が強力な、そして多様性のある候補者たちを登用したことと、民主党内の分裂によって、共和党が民主党の有名議員たちを落選させることができたと述べている。今回の選挙で民主党側は中道派の議員たちが多く落選した。エマーは、共和党全国選挙対策委員会の戦略として、民主党側の進歩主義的な政策を際立たせながら、接戦の選挙区に照準を定めるという戦略を採用するとしている。

エマーは「穏健派・中道派は残っていません。話は変わりますが、民主党がナンシー・ペロシを議長にとどめるならば、それは私たち共和党にとっては悪いことではありません」と述べた。

連邦下院民主党は水曜日、連邦下院議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)をこれからの任期2年間、民主党のトップに据え続けることに決定した。ペロシは1月の全連邦下院議員からの投票で、過半数の支持を必要としている。2019年の連邦下院議長選挙で、民主党所属の連邦下院議員15名が反対票を投じたが、来年の議会に戻ってくるのはそのうちの10名だ。民主党は議員の数を減らしている。それでも、ペロシの再選にとっては高いハードルにはならない。

民主党側で議席を失うことになる5から15議席の議員たちの中には、長年議員を務めたヴェテランや注目を集めつつあったスター議員たちが含まれている。それらの中には、マイアミ・デード郡の選挙区から出ており、クリントン政権で保健福祉長官を務めたドナ・シャレイラ連邦下院議員(フロリダ州選出)、スタテン島の一部が選挙区になっているマックス・ローズ連邦下院議員(ニューヨーク州選出)、共和党が優勢な選挙区で15期にわたって議員を務め、連邦下院農業委員会委員長を務めたコリン・ピーターソン連邦下院議員(ミネソタ州選出)が含まれている。

歴史的に見て、ホワイトハウスを握っていない側の政党は中間選挙で過半数を獲得している。民主党所属の連邦議員の中には、2022年中間選挙に向けて戦略を再検討する必要があると述べている。

ある民主党連邦議員は、共和党側の民主党と社会主義を結び付けるメッセージ戦略について、民主党はこれに対して戦わねばならず、ペロシ議長は、こうした攻撃のために劣勢に立つであろう民主党の議員たちの敗北に責任を持つことになる。

この議員は次のように述べた。「私が言いたいのは、2022年の中間選挙において私たちは良い立場にはいないということです。私たちは劣勢に立っているんですよ。ペロシ議長が議長職にとどまるというのは全くもって不公正なことです。彼女はこれから2年間議長職にとどまりますが、その後の2022年、私たちは大惨敗を喫する可能性が高いのです」。

「私たちが10から15議席を失うだけでなく、連邦下院民主党は過半数を失うことにもなるでしょう。2020年の中間選挙は、民主党側では共和党から議席を獲得し、過半数の議席数を拡大する機会にもなるはずでした。しかし、私たちはこの機会を無駄にしました。私たちは2022年に議席数の減少を阻止するための堤防を築くために、2020年の選挙がどれほど重要なのかはわかっていました」。

流れは共和党に有利な方向に流れているようではあるが、共和党は今回の選挙での躍進を当然のことだと思ってはならず、連邦下院での過半数奪回のためにはこれからいくつもの高いハードルを越えていくことになるだろうと気を引き締めている。

連邦下院共和党筆頭副幹事長ドリュー・ファーガソン(ジョージア州選出、共和党)は次のように語っている。「もし現在の流れについて考えるならば、私たちは歴史的な勝利を収めたと言えるでしょう。私たちは民主党の本性を明らかにしました。民主党はこの国を社会主義の方向に進めようとしているのです。しかし、私たちはいささか押し戻すことができました。人々は考えを変え、戦うために外に出ました。そして、僅差で多数となっている人々が、人々をまとめる方法を主張しています」。

ファーガソンは続けて次のようにも述べた。「従って、私たちはより一生懸命に努力しなければなりませんし、資金集め、良い政策作り、メッセージの発信など全てのことに注力し、これまでの2倍努力しなければなりません。私たちはそれができると確信しています。しかし、それはドアを通って歩いていけば自然に手に入るものではなく、私たちは勝ち取りに行かねばならないのです」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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