古村治彦です。


 安倍晋三総理大臣の靖国神社参拝について、駐日アメリカ大使館が昨日、声明を発表したことは既にご紹介しました。今日になって、アメリカの反応が次々と報道されています。


 これらの報道をまとめると、アメリカのオバマ政権は「安倍晋三首相には靖国神社に参拝して欲しくなかった」「参拝を控えるように求めていた」ということになります。


 私は、安倍氏もまさかアメリカのオバマ政権の意向(アメリカは一枚岩ではありませんから、政権内部、そして周辺には色々な考えの人たちがいます)の一部をキャッチし、「参拝してもそこまで大事にはならないだろうし、うまく収めてもらえるだろう」という感触があって参拝した、もしくは一部の人たちの後押しもあって参拝したと考えていました。


 しかし、これまでの報道を見ると、どうもそうではないようです。ヒラリー系が多い国務省の報道官が「失望」という言葉を使ったことから見て、オバマ政権内部の好感触は得ていなかったということが分かります。


 安倍首相はアメリカに幅広い人脈があると私は考えていました。ロサンゼルスにある南カリフォルニア大学に留学した経験も持っています。そして、アメリカにある人脈を使って、その人脈を触診しながら行動しているのだろうと思っていました。買いかぶりだったのだろうと今は思っています。


 「やってしまえばアメリカだってそこまで厳しいことは言わないだろう」という甘えもあったのかと思いますが、安倍首相に関して言えば、何よりも「アメリカ経験がありながら、アメリカのことを分かっているようで肝心なところが分かっていない」ということになるのだろうと思います。


(新聞記事転載貼り付けはじめ)

●「首相、米の意向無視」


2013年12月27日(金)7時24分配信 共同通信
http://news.nifty.com/cs/headline/detail/kyodo-2013122701000913/1.htm
 
 【ワシントン共同】米政府当局者は26日、安倍晋三首相の靖国神社参拝について、オバマ米政権が「中韓両国の反発を招き、大きな国際問題になる」として、外交ルートを通じて首相に参拝を控えるよう求めていたことを明らかにした。米側の意向が無視された格好で米政府声明も「遺憾」などではなく、より批判的なトーンの「失望」を選んだとしている。

 靖国参拝をめぐる日米間の温度差が浮き彫りになった。中韓との関係だけでなく、今後の日米関係にも影を落とすことになりそうだ。


●「米国務省も批判、首相の参拝に「失望している」」


2013年12月27日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20131227-OYT1T00319.htm


 【ワシントン=今井隆】米国務省のサキ報道官は26日、安倍首相の靖国神社参拝について「日本は大切な同盟国だが、日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに米国政府は失望している」と批判する談話を発表した。
  
 在日米大使館が発表した声明と同内容のもので、安倍首相への厳しい言及が国務省の意向であることを示した。米メディアも、首相の靖国参拝を引き続き批判的に報じている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(アジア版)は26日の社説で、「日本の軍国主義復活という亡霊を自らの軍事力拡張の口実に使ってきた中国指導部にとって、安倍首相の靖国参拝は贈り物になった」と指摘した。


(2013年12月27日10時33分  読売新聞)

(新聞記事転載貼り付け終わり)

(終わり)