古村治彦です。
ラッパーのカニエ・ウエストが何度目かの大統領選挙出馬表明をツイッター上で行った。「vision2020」というハッシュタグが付いていたので、出るならば今年の大統領選挙に出るということになるという推測が成り立つ。
出馬できればバイデンからアフリカ系アメリカ人票を削り取ることができるが、これからでは各州での立候補に必要な手続きに間に合わず、立候補できても数が少なくなるということだ。人々の注目を集めるということが今回のツイートの意図だということになる。
そもそもカニエ・ウエストは妻のキム・カンダーシアンと共にドナルド・トランプ大統領を熱心に支持してきた。今回の出馬が本気だとしても、トランプ大統領の邪魔をするのではなく、各種世論調査でトランプ大統領をリードしているバイデンの票を削りたいという意図があるだろう。
ウエストの出馬宣言に対して、テスラ社CEOのイーロン・マスクが即座に反応し、支持を表明した。また、この数日前には、マスクとウエストが一緒に写った写真を、ウエストがツイッター上に投稿している。イーロン・マスクは中国で厚遇されている。テスラは中国で業績を伸ばしている。
(貼り付けはじめ)
●「テスラCEO、中国の重要性を強調 トランプ氏に一線」
2019/8/29 13:52
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49143660Z20C19A8FFE000/
【上海=松田直樹、多部田俊輔】中国上海市で29日開幕した世界人工知能(AI)大会に米電気自動車(EV)大手、テスラの最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏が登壇し、「中国は大きな進歩を遂げた。環境面でも世界をリードしている」と中国市場の重要性を強調した。トランプ米大統領の「米国内への生産移管も含めて中国の代替先を探し始めるよう命じる」との呼びかけに一線を画した格好だ。
マスクCEOは中国ネット大手、アリババ集団の馬雲(ジャック・マー)会長との対談で、中国市場などに関する自らの考えを明らかにした。上海市で建設中の新工場について「ギガファクトリーを上海に建設することに興奮している」と語った。中国の自動車市場については「世界のEVの製造の半分を中国が占めている」と評価した。
AI大会ではマスク氏のほか、米マイクロソフト幹部も登壇して演説した。米アマゾン・ドット・コム傘下のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が参加してAIを使ったクラウドサービスなどを展示したほか、IBMもAIなどの新技術を出展。米中摩擦が激化する中でも、米国の主要企業が中国を重要市場と位置づけていることが浮き彫りとなった。
テスラは上海市郊外の新工場を年内にも本格稼働させる。外資企業としては初めて、単独出資による国内生産が始まる。既に新工場のオフィスでは同社の従業員が勤務を開始している。
まずは既存車種に比べて安価な主力の小型セダン「モデル3」を量産し、2020年に発売を予定している小型の多目的スポーツ車(SUV)「モデルY」を追加する。モデルYは既存の高級SUV「モデルX」の半値程度で、中国市場を開拓する戦略車として位置づける。
テスラの足元の中国での販売は好調だ。19年1~6月の販売台数は約2万1千台で前年同期の2倍超に増えた。
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マスクはトランプ大統領と対立しているように見えるが、二人はビジネスマンであり、「カネを儲けることが正しいこと」という信念は共通している。世界中どこででも金儲けができるならそれは正しいこと、ということになる。マスクにとって、トランプ大統領とバイデンを比べた場合、中国に対して激しい言葉遣いはするが決定的な対立はしないトランプ大統領の方が望ましいということになる。バイデンの場合、対外政策が不透明で、民主党の人道的介入主義派、ヒラリー派が対外政策を乗っ取る可能性が高い。バイデンの副大統領候補にスーザン・ライスの名前が急に出てきたのもその危険性を示す兆候だ。
マスクはそもそもカニエ・ウエストの友人であるが、トランプ大統領が望ましいという点でも共通している。だから、ウエストの大統領選挙出馬に即座に支持を表明した。荒唐無稽と切って捨てるのは感嘆だが、その裏にある意図も考えてみるのは重要だ。
(貼り付けはじめ)
カニエが大統領選挙出馬とツイート(Kanye tweets he's running
for president)
ブルック・シーペル筆
2020年7月4日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/blogs/in-the-know/in-the-know/505893-kanye-tweets-hes-running-for-president
土曜日、カニエ・ウエスト大統領とファースト・レディのキム・カンダーシアンという将来の可能性が少し実現に近づいた。ラッパーのカニエ・ウエストは今年の大統領選挙に出馬するとツイートした。
7月4日に独立記念日のツイートで、43歳になるミュージシャンでありファッションデザイナーであるウエストは大統領選挙に出馬すると述べ、ハッシュタグ「2020 vision」を使用した。このハッシュタグを使うことは、今年の秋の選挙に参戦するということを彼が計画していることを示していることが明らかだ。
ウエストは「神を信頼し、私たちのヴィジョンをまとめ、私たちの未来を構築することで、アメリカの前提を認識しなければならない。私はアメリカ合衆国大統領選挙に出馬する」と書いた。
「スペースX」創始者イーロン・マスクはこのウエストのツイートに即座に反応した。「私は全幅の支持を君に与える!」。
ウエストは過去にも大統領選挙に出馬すると表明した。ウエストはマスクと彼自身の写真を最近アップした。写真のキャプションは、「友達の家に行った時、お互いオレンジ色の服を着る」というものだった。
ウエストはこれまで何度もトランプ大統領への支持を表明し、今年4月には今年の秋の選挙ではトランプ大統領に投票すると示唆した。
ウエストは次のように語った。「みんな俺が誰に投票しようとしているか分かっている。俺の周りの奴らのいうことなんて聞かないさ。奴らは俺のキャリアが終わると言っている。だけど、いいか、俺は言うことは聞かない。なぜなら、俺は今ここにいてキャリアが終わっていないからだ」。
ウエストは2018年10月に大統領執務室を訪問したことで知られている。この時、赤い「メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン」帽子をかぶり、トランプ大統領とポーズを取りながら、「俺はここにいるこの人が大好きなんだ」と述べた。
ウエストの妻であるリアリティTVのスター、キム・カンダーシアンは刑法司法改革を推進する活動家としてホワイトハウスを訪問した。
もしウエストが出馬するとなると、ゲームに遅れて参加ということになる。共和党、民主党の両党の全国大会の開催は翌月に迫っている。全国大会で両党は大統領選挙本選挙の候補者をそれぞれ正式に発表することになる。
今年の選挙にウエストが真剣に出馬する計画を持っているのか、そして必要な公式の書類を提出しているのかどうかは明確になっていない。
(貼り付け終わり)
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