古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:キャロライン・ケネディ

 古村治彦です。

 昨年の大統領選挙前、「アジア諸国はバイデンの対アジア外交に疑念を持っている」という内容の論稿が発表された。ここでは備忘録の意味もあって、それを紹介する。

 内容はいたって簡単で、「オバマ大統領は中国に対して融和的で関与しよう、させようとしてきたために中国を強化させた。一方、トランプ大統領は中国には対決的な姿勢で臨んだ。バイデンが大統領になったら、融和的で関与政策に戻ってしまう。こうしたことをアジア諸国は憂慮している」というものだ。

 バイデン政権のアジア政策に関しては、中国に対して対決姿勢(クアッド)を取る派のカート・キャンベルNSCインド・太平洋調整官(「アジア政策のツァーリ」と呼ばれている)と「中国とは破滅的な結果にならないに様に競争する」派のジェイク・サリヴァン大統領国家安全保障担当補佐官がいる。この2つの流れの中で、後者の流れを主にしながら、前者の対決的な姿勢があることも意識させるという構図になっている。しかし、大きな流れとしてアメリカはアジアから少しずつ引いていく。

 昨日以下のような記事が出た。

(貼り付けはじめ)

●「キャロライン・ケネディ氏、駐豪大使に…岸田氏とも交流」

2021/12/16 10:16

https://www.yomiuri.co.jp/world/20211216-OYT1T50126/

 【ワシントン=田島大志】バイデン米大統領は15日、駐オーストラリア大使にキャロライン・ケネディ元駐日大使(64)を指名すると発表した。

 ケネディ氏はジョン・F・ケネディ元大統領の長女で、オバマ政権下の2013~17年、女性初の駐日大使を務めた。オバマ大統領の広島訪問や安倍首相の米ハワイ・真珠湾訪問の実現に貢献し、当時外相だった岸田首相とも交流を重ねた。

 バイデン政権は中国への対抗を念頭に、米英豪の安全保障協力の枠組み「オーカス」を創設するなど、豪州を重視しており、ケネディ氏にさらなる関係強化を託すとみられる。

 バイデン氏は、フィギュアスケート元世界女王のミシェル・クワン氏(41)を駐ベリーズ大使に充てることも明らかにした。

(貼り付け終わり)

 キャロライン・ケネディは民主党の超名門であるボストン・ケネディ王朝のプリンセスであり、「使い勝手」の良い人物だ。キャロラインの駐豪大使指名は、「オーストラリアをしっかりアメリカ側で確保する」という意思表示であるが、ここに重要な手駒であるキャロラインを持ってこなければならないというのは、その確保が最重要でありながら、とても難しいということを意味している。そして、アメリカはオーストラリアまで「引く」ということを示している。

 上の記事にあるが、民主党のフィギアスケートの元人気選手で世界女王にもなった中国系のミッシェル・クワンは大統領選挙でバイデンを熱心に応援しており、その論功行賞ということもあるが、現在中国が影響力を増しているアフリカに対する攻めの一手の手駒ということになるだろう。政治的な動きができるかは未知数だが、クワンの将来の政界転身に向けた箔つけのための準備ということもあるのかもしれない。

 アジア諸国の意向としては「米中が本格的に対決して、自分たちに迷惑が掛かるのはごめんだ。アメリカが衰退するなら自分たちに迷惑が掛からない形で、引いていって欲しい。中国との関係は自分たちで折り合いをつけるから」ということになる。「中国怖い、アメリカがいなくなるのは嫌だよー」というのはあまりに小児病的で単純過ぎる考えだが、日本はそれが主流になっているというのが、日本外交の弱点ということになる。しかし、その裏では「中国ともきちんとつながらなくては」という「本音」も存在し、それが機能している。

(貼り付けはじめ)

アジア地域においてバイデンは信頼に対して疑問を持たれている(Biden Has a Serious Credibility Problem in Asia

-アメリカの同盟諸国はトランプ大統領とうまくやっており、彼の中国に対する強硬な姿勢に好感を持っている。そして、バイデンの勝利について懸念を持っている。

ジェイムズ・クラブトゥリー筆

2020年9月10日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2020/09/10/trump-biden-asia-credibility-problem/

ビラヒリ・カウシカンはシンガポールの幹部クラスの外交官を務めた。彼は物事をはっきり述べることで知られている。しかし、オバマ政権で国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めたスーザン・ライスに対するカウシカンが最近発したコメントは通常よりもかなりきついものとなった。今年8月、カウシカンはフェイスブックに「ライスが災いの種になるだろう」と書き込んだ。この時に民主党の大統領選挙候補者ジョー・バイデンがスーザン・ライスを副大統領候補者に選ぶことを考慮しているという報道が出ていた。カウシカンは、バイデンが当選して政権を担う場合に国務長官と国防長官に就任する可能性があるライスについて、中国に対して弱腰になるだろうと述べている。カウシカンは「アメリカは、気候変動における中国との協力を得るために競争を強調すべきではない、と考える人々の中に、ライスは含まれている。このような考えは国際関係の本質についての根本的な誤解である」と書いている。カウシカンはバイデンの勝利後の予測を次のように述べている。「私たちはトランプ時代について郷愁をもって振り返ることになるだろう」。

カウシカンの厳しい見方はアジア地域において知的な人々の間では例外だと考えられるだろうが、バイデン政権の外交に関しては例外ではない。アメリカのアジア地域における友人たちは、バイデンの勝利を静かに心配しており、日本やインドなどの重要な同盟諸国にとってはなおさらだ、という事実はワシントンにいる多くの人々を驚かせている。米国では、左派と右派からトランプ大統領を不快に思い、彼の政治に絶望している人々が出ている。そうした人々は、心ある外国人なら誰でもそのように考えるはずだと確信している。ヨーロッパの多くの地域ではそうかもしれない。しかし、アジアの多くの地域ではそうではない。東京、台北、ニューデリー、シンガポールなどの各国の首都の政府高官たちは、トランプ大統領の中国に対する厳しいアプローチに比較的慣れている。一方、バイデン大統領誕生の可能性が高まる中、アジアの有力者の多くは、北京に対して焦点が合わず、甘い態度をとっていたオバマ時代の不快な記憶を思い出していることだろう。その記憶が正しいかどうかはひとまず置いておいて、バイデンにはアジア地域における信用にかかわる問題があり、それを解決するのは難しいかもしれない。

民主党全国大会における演説の中で、バイデンは自身の政権の重要課題を4点挙げている。それらには新型コロナウイルス感染拡大対策や人種間の正義の促進が含まれている。中国への対処はアジア諸国の外交政策関連エリートたちの重大な懸念となっている。しかし、中国への対処はバイデンの挙げた重要課題の中に入っていなかった。今回バイデンが中国について言及しなかったことについては、東京でも注目されている。例えば4月の『アメリカン・インタレスト』誌の論説記事では、トランプに対する日本の見解がうまくまとめられていた。論説記事のタイトルは「対決的な対中国戦略の諸価値(The Virtues of a Confrontational China Strategy)」であり、日本外務省の官僚が匿名で書いたものだ。論説の中で著者の外務官僚は、オバマ時代の中国政策について、「優先的な使命は常に中国との競争ではなく、中国との関わり合いを持つことだった」と痛烈に批判している。トランプの諸政策は不完全だが、北京に対するより強硬なアプローチは歓迎されると著者は主張している。この官僚は「もし可能だとしても、トランプ大統領出現以前の世界に戻りたいと私は望むだろうか?」と問いかけている。この人物は次のように続けている。「東京にいる意思決定者の多くにとって、その答えはおそらく“ノー”だろう。なぜなら、トランプ政権下で実行が不十分でも基本的には正しい戦略を採用されている方が、オバマ政権下で実行は十分でも曖昧な戦略を採っていたことよりも良いからだ」。

公平に見て、この匿名の著者による論稿記事は日本政府の考えの一つを示している。しかし、論稿の発表には外務省の正式な承認が必要だったことは間違いなく、多くの高官の意見が反映されていると考えられる。また、2019年末に日本を訪問した際に私が聞いた話では、政府高官や外交アナリストたちは、トランプが再選されることについて、驚くほど楽観的な見方をしていた。対照的に、バイデンが当選すると、中国のパワーを管理し、抑制するための政治的意志が欠如していると多くの人が指摘するアプローチが復活するリスクがあると考えていた。

同様の思考はインド政府でも表面化している。インド外相で知性の高さで知られるスブラマニヤム・ジャイシャンカルは昨年、トランプ大統領が米印関係を損なったと考えておる人たちに反撃している。彼は「この23年の間にトランプに見られたのは、伝統的なアメリカのシステムとはまったく違うものだった。実際に、多くの分野で大胆な断固たる措置が実行された」と述べている。急速に悪化する中印関係の中で、インド政府は、トランプ大統領の混沌とした、しかし強引な反中政策を評価するようになっている。少なくとも、バイデンの登場は、インドの戦略的立場を複雑にする可能性がある。外交問題のコメンテーターであるラジャ・モハンは最近、バイデンは中国との対立を減らす一方で、トランプ大統領のロシアへの甘いアプローチを終わらせるだろうと予測している。モハンは「米露関係の新たな緊張とバイデン政権下での米中和解は、インドの諸大国との関係を確実に複雑にする」と書いている。

同様の懸念は台湾にもある。台湾の外交関係の高官たちはアメリカの対中政策の変化に敏感になっているのは当然のことだ。アメリカ合衆国保健福祉省長官アレックス・アザールが最近台湾を訪問したことはアメリカ政府との関係を深化させることになる。ワシントンに本拠を置く政策グループであるグローバル・タイワン・インスティテュートの副所長チィティン・イエは「台湾はトランプ政権第一期で利益を得た」と述べている。彼は台湾の多くの人々は「未検証の選挙公約よりも現在のコース」を支持するだろうとも述べている。

バイデン選対は、トランプの再選に安心感を持っているように見えるアジアの人々と意見が合わないだろう。多くの意味でそうするのが正しいことだ。二期目のトランプ政権は、既存の米国との同盟関係を無視した取引的なアプローチから、小さいながらも中国との軍事衝突のリスクの高まりまで、アジア地域に大きな損害を与える可能性が高い。また、バイデンへの疑念が普遍的なものではないことも事実だ。アジア地域の多くの人々は、米国の外交が対決的でなくなることを歓迎し、新たに融和(accommodation)の時代が到来することを期待している。シンガポールのリー・シェンロン首相は最近、トランプ政権ではなくバイデン政権の下で起きる可能性について次のように書いている。「米中2つの大国は、ある分野では競争をしながら、他の分野では対立が協力を妨げることのないような、共存の道を探らなければならない」と書いている。

更に言えば、バイデンは現在までのところ、オバマに比べてより強硬な対中国政策を主張してきている。今年初めの民主党予備選挙の討論会の席上、バイデンは中国の習近平国家主席を「犯罪者(thug)」と呼んだ。別の討論会では、中国を「権威主義的独裁政治(authoritarian dictatorship)」と形容した。アメリカの政治指導者たちの大多数と同様、バイデンは「中国は改革可能だ」という考えを放棄し、アメリカは、アジアに出現した競争相手である中国を打ち負かさねばならないと主張している。バイデン選対はより微かなシグナルをアジア各国に送っている。バイデンは、東南アジア諸国連合(ASEAN)への働きかけや、トランプが欠席しがちだったアジア地域の会合にバイデンが積極的に出席することを示唆している。バイデンの上級顧問の一人アンソニー・ブリンケンはツイッターに次のように投稿した。「東南アジア諸国連合は、気候変動と世界の医療レヴェルのような重要な諸問題に対処するためには必要不可欠な要素である。バイデン大統領は、重要は諸問題について、東南アジア諸国連合に出席し、関与することになるだろう」。

しかし、バイデンと彼のティームがよりタカ派的な対中国姿勢を推進する一方で、ジレンマに直面している。一つ目は人権に関してである。バイデンは、新疆ウイグル自治区に住む数百万人のイスラム教徒のウイグル族の窮状をしばしば取り上げ、この問題を北京に対する厳しいアプローチの中心に据えている。今月、チベットにも焦点を当てた厳しい言葉で、「私はアメリカの外交政策の中心に価値観を戻すことになる」と述べた。これは米国の進歩主義者にとっては魅力的なことかもしれない。アジア地域では、米国が友人に説教をしたり、民主的な改革を求めたりするという、オバマ時代の幸運とは程遠い色合いを帯びている。

さらに、気候変動問題に代表されるような第二の問題もある。バイデンは最近次のように書いている。「アメリカは中国に対して厳しい姿勢を取る必要がある。この課題に対処する最も効果的な方法は、アメリカの同盟諸国とパートナー諸国が一丸となって、中国の虐待や人権侵害に立ち向かうことである。それでも、気候変動など利害が一致する問題では、中国政府との協力を模索する」。トランプが気候問題に関心を持たないことを考えると、この緊張感がトランプを悩ませることはなかった。バイデンは気候変動問題の中国との協力を望んでおらず、民主党内からも進展を求める大きな圧力を受けています。しかし、それを実現するためには、世界最大の炭素排出国である中国への関与が必要だ。カウシカンのような批判者たちにとって、しかし、このような諸問題のリバランスがあるからこそ、バイデンは、オバマ大統領のように優先順位がバラバラになってしまうのではないかということになる。

究極的には、アジア諸国はどちらの候補者がホワイトハウスに入ろうがそれに適応するだろう。バイデンが勝利すれば、バイデンに疑問を持つ人々の懸念をすぐに和らげることができるだろう。トランプ時代の予測不可能性に郷愁を持つことはほぼないだろう。しかしながら、現在のところ、アジア諸国がバイデンに抱いている疑念は本物である。バイデンにとって最も大事なことはアメリカの有権者たちからの支持を得ることである。しかし、バイデンが今後の外交政策の中心にアジアの米国との同盟諸国との協力を据えていることを考えると、もう少し安心感を与えるべきではないか。

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対決的な対中国戦略の諸価値(The Virtues of a Confrontational China Strategy

YA

2020年4月10日

『ジ・アメリカン・インタレスト』誌

https://www.the-american-interest.com/2020/04/10/the-virtues-of-a-confrontational-china-strategy/

ある日本の外交官僚は、トランプ政権の中国に対する対決的な(confrontational)アプローチの一部を批判しているが、バランス的に見て、オバマ大統領の関与と融和(engagement and accommodation)に比べて、ほぼ全ての面で好ましいと考えている。

日本の政策立案と実行に関わるエリートたちの間にある、ドナルド・トランプ大統領に対する見方は複雑だ。外交政策の専門家たちに現在のホワイトハウスの主ジョー・バイデンについて質問すれば、批判すべき多くの点を見つけるだろう。しかし、「オバマ大統領時代が懐かしいか」と質問すれば、同じ人たちのほとんどが否定的な回答をするだろう。いや、それ以上かもしれない。

日本の政策担当者たちは、オバマ大統領のいわゆる「21世紀型アプローチ」と比較して、19世紀型の、中国の「生のパワーで地域の全ての国々を威嚇し、自分たちの勢力範囲を拡大する」というやり方と対比して、絶望した。オバマ大統領が、ライバルではなく責任あるステークホルダー(共通の利害を持つ者)として、国際問題で中国と協力する可能性について話している間、中国政府は尖閣諸島に軍艦を派遣し、スカボロー礁からフィリピンを追い出し、南シナ海に人工島を作ることに邁進した。冷戦終結後、日本はアメリカに対して中国に対する警告を発し続けてきた。トランプ大統領には様々な欠点があるが、日本はついにホワイトハウスに、この課題を正しく認識し、評価してくれる人を得たようになった。

日本はこれまでアメリカの楽観的な中国に対する関与政策に公然と反対したことはないが(最初に関与政策が始まったのはクリントン政権下だった)、日本の中国研究者たちは、それによって中国が自由主義的な民主政治体制国家になるなどとは考えていなかった。日本の中国専門家の多くは、2000年の経験に基づいて、「中国はその文化や性質を変えることはない」と主張している。中国は昔も今も将来も中国なのだ。紀元前5世紀の孔子(Confucius)の時代から、中国人にとって世界には一つの天(heaven)と一つの支配者(ruler)、すなわち中国の皇帝(Emperor of China)しかいない。中国人以外の「野蛮人(barbarians)」は、中国の優位性を認めなければならない。

日本はこのような考え方に従ったことはない。日本のインド太平洋に対する歴史的なアプローチは、自国の主権を維持しつつ、近隣諸国との経済的、文化的、そして政治的な交流を維持することであった。近年の中国の台頭に直面しても、日本は主権と繁栄を維持する決意を変えていない。それを可能にしているのは、日米同盟を中心とした現在の国際秩序と地域のバランス・オブ・パワー(力の均衡)関係だ。日本はこの現状を維持したいと考えている。

中国は、少なくとも1992年に領土法(Territorial Legislation)を制定し、尖閣諸島や南シナ海の島々を「中華人民共和国の陸上の国土」とすることを一方的に宣言して以来、一貫して現状に異議を唱えてきた。クリントン政権下での融和の試みが実施された後、ブッシュは中国からの挑戦を真剣に受け止める覚悟を持って大統領に就任した。2001年9月に発表されたブッシュ政権初の「四年ごとの国防計画見直し(Quadrennial Defense Review)」では、初めて中国の挑戦に言及し、「アジア地域に強大な資源基盤を持つ軍事的競争相手が出現する可能性がある」と述べている。911同時多発テロ事件が発生した2001年9月、日本とアメリカは、国連総会期間中に毎年行われている両国の外相・国務長官と防衛相・国防長官の会談で中国について議論する計画を立てていた。中国はすぐにアメリカの国際規模の反テロリズム活動を支援することに同意し、アメリカが他の場所に集中している間、北京は少なくとも10年間は近代化(modernization)の努力を続けることができた。中国は、老朽化した軍隊の更新と近代的なパワープロジェクション能力の開発に多額の投資を始め、近代の中国では初めてとなる大規模なブルーウォーター・ネイビーを構築した。中国は、時代遅れの軍隊の刷新と近代的な戦力投射(power projection、戦力の準備、輸送、展開)能力の開発に多額の投資を始めた。近代の中国では初めてとなる大規模な外洋海軍(blue water navy、世界的に展開できる海軍)を構築した。そして、中国はその新しい能力を活用することに躊躇しなかった。南シナ海の前哨基地は徐々に建設され、機能が高められ、2008年からは尖閣諸島周辺の日本の領海に巡視船(patrol vessels)を送り込むようになった。

政権の座に就いたオバマ大統領は、ブッシュ大統領と異なり、より強硬な姿勢を取ることはなかった。オバマ政権は、リベラル派の知識人たちが主張していたことをそのまま実行していた。それは、世界規模の諸問題での協力を重視し、中国のいわゆる核心的利益[core interests](台湾、チベットや新疆での人権侵害など)には配慮するというもので、中国をよりリベラルなアクターに育て、既存の国際秩序を支えるアメリカの負担を分かち合うことを期待した。政権最後の日まで、オバマ政権は中国が「変更可能(shapeable)」であると信じていた。

オバマ政権期、政策のコンセンサスは一枚岩ではなかった。ワシントンの中国専門家たちの中には、関与の有効性に警告を発する人たちもいた。例えば、ジェイムズ・マンの2007年の著作『中国ファンタジー:資本主義が中国に民主政治体制をもたらさない理由』では、「関与」の概念から導き出される中心的な問題は次のような疑問だ。「誰が誰に関与するのか?」というものだ。我々は本当に中国と関わっているのか、それとも中国が自らの利益のために国際システムと関わっているのか?また、誰が誰を変えているのか?私たちが中国を変えているのか、それとも中国の行動に合わせて国際システムが変わっているのか?アメリカは、中国が立ち直ることに賭けて、かなりの「防御(ヘッジ、hedge)」を行ったと言える。オバマ政権は、日米同盟を強化し、オーストラリアやフィリピンとの軍事協力を強化し、インドやベトナムを緊密なパートナーとして迎え入れた。これらの取り組みは、東京をはじめとするアジアの首都では歓迎された。

しかし、優先されたのは常に中国への関与だった。2016年のオバマ大統領の中国訪問がその具体例だ。2016年7月、中国政府は、南シナ海におけるフィリピンの主張を圧倒的に支持したハーグの国際法廷の判決を、"単なる紙切れ(just a piece of paper "と述べて無視した。その1カ月後の8月には、中国は尖閣諸島に200300隻の漁船を派遣していた。その直後に杭州を訪れたオバマ大統領は、平和維持、難民、海洋リスクの軽減と協力、イラク、宇宙協力、アフガニスタン、核の安全と責任、野生生物の密輸対策、海洋協力、開発協力の強化、アフリカ、グローバルヘルスなど、米国が北京との間で優先する事項を反映したファクトシートを発表した。中国の強圧的で不安定な行動を検閲することについては言及されなかった。その1カ月後の2021年8月には、中国は尖閣諸島に200から300隻の漁船を派遣していた。その直後に杭州を訪れたオバマ大統領は、平和維持、難民、海洋リスクの軽減と協力、イラク、宇宙協力、アフガニスタン、核の安全と責任、野生生物の密輸対策、海洋協力、開発協力の強化、アフリカ、国際的な医療など、アメリカが中国との間で優先する事項を反映したファクトシートを発表した。中国が強圧的で不安定な行動についての文言を検閲していることについては言及されなかった。

これが、トランプ大統領当選の地域戦略上の背景となった。日本はもちろん、トランプ当選という結果に誰よりも驚いた。しかし、日本政府はすぐに行動を起こした。安倍晋三首相はすぐにニューヨークに飛び、トランプタワーのオフィスでトランプ次期大統領に会った。これは前例のないリスクの高い行動だった。安倍首相は国際問題についてトランプへの対策を講じ、将来のカウンターパートとの関係を構築し、地域の重要性と中国がもたらす課題について明確なメッセージを伝えることができ、日本にとってこの賭けは成功した。2017年2月、大統領就任直後のトランプと会った安倍首相は、その範囲と野心において前例のない共同宣言(joint declaration)に合意しました。そのインパクトは2点あった。

第一に、この共同宣言は中国に対して強力な警告シグナルを発した。両首脳は、日本政府が考えていた、アジア地域の平和と安定の基盤となる基本原則全てを確認した。米国は、インド太平洋地域への新たな深い関与、領土侵略に対する核抑止力(nuclear deterrence)、そして朝鮮半島の非核化(denuclearization of the Korean Peninsula)の追求に再び取り組むことを表明した。両首脳が発表したコミュニケ(communiqué)の中には、「アメリカはアジア地域でのアメリカ軍の存在を強化し、日本は日米同盟におけるより大きな役割と責任を担うことになる」と書かれており、さらに両国の外務大臣・国務長官、防衛大臣。国防長官に「両国のそれぞれの役割、任務、能力を見直す」よう指示した。大きな構図では、トランプ自身が合意し、それ以外の「詳細」はすべて上級閣僚が担当することになった。この最初の宣言は、日本だけでなく、アジア地域全体の同盟国やパートナーを安心させた。

第二に、二国間同盟の運営に関する意思決定を変えたことだ。宣言は共同で作成されたが、その内容は日本側が同等かそれ以上に貢献した。北朝鮮への最大限の圧力、自由で開かれたインド太平洋、東南アジアの重要性など、これらの概念は全て、ある程度日本側からの提案であった。アメリカ人の中には、日本にとってのこの転換期の意義を見落としがちな人もいるかもしれない。第二次世界大戦終結以降、日本の外交政策は多かれ少なかれ米国の意向と影響力に左右されてきた。日本の官僚や政治家たちは、日本の意思決定に国際的な圧力を利用することに慣れており、「外圧(Gai-atsu)」という言葉が存在する。今回の転換は心理的にも重要な突破口となった。日本の政府関係者は、これまでのように意見を求めたり批判したりするのではなく、インド太平洋における地政学的課題に対する戦略的方向性やアプローチを、アメリカの政府関係者たちと共同で策定するという初めての試みを行ったということになる。

それ以来、トランプは、習近平との会談の前後や、北朝鮮への対話を開くことを計画する際など、重要な場面で安倍に電話をかけている。メディアの報道によると、2019年5月時点で、安倍首相とトランプ大統領は、10回会談を持ち、30回電話で話し、4回ゴルフをしているということだ。電話での会話を基に測定した、両者の関係の量は、安倍首相がオバマ大統領との関係の数の4倍になっている。これは、トランプ大統領が外国の指導者の間で築いた最も親密な関係であることは間違いない。

しかし、トランプ政権による対中対決政策の実施は、多くのアメリカ人の中で大きな混乱を引き起こしている。ジョー・バイデン元副大統領が最近の『フォーリン・アフェアーズ』誌に掲載した論稿の中で主張したように、「その課題(中国)に対処する最も効果的な方法は、アメリカの同盟諸国とパートナーと共に団結して統一戦線(united front)を構築して、中国の人権を無視し、攻撃的な行動に対峙することだ」ということになる。トランプ大統領は、中国に対してだけでなく、同盟諸国やパートナーに対しても経済的な影響力を行使したことで、アメリカの安全保障の保証や約束の信頼性について、アジア地域全体の多くの人々の間で疑念が生じた。日本も例外ではない。2020年1月に実施された日本経済新聞の最新の世論調査では、日本人の72%が、まさにこの不確実性のために、トランプ大統領の再選を望んでいないことが明らかになった。

それでは、可能ならば、トランプ出現以前の世界に私たちは戻りたいのか?東京の多くの政府関係者にとって、その答えはおそらく「ノー」だろう。その理由は、実行されていないが基本的に正しい戦略は、実行されているが曖昧な戦略よりも優れているからだ。私たちは、アメリカが再び融和政策に戻ることを望んでいない。アメリカの融和政策は疑いなく、日本や他のアジア諸国の犠牲の上に成り立つものだ。

私たちは、日米同盟が取引の上に成り立っているものだとは考えていない。つまり、私たちは、日米の国益によりよく応えると同時に、米国のより広い利益にも資するような同盟関係を望んでいる。より平易な言葉を使えば、中国に明確に焦点を当てた同盟は、曖昧で焦点の定まらない同盟よりも、あるいは最悪の場合、最大の課題に立ち向かうことを恐れている同盟よりも、優れている。その負担をどう分担するかは、同目に関するマネジメントの問題だ。言い換えれば、プロセスの問題ということになる。同盟は、共通の国益を実現するための手段であり、目的ではないことを再確認することが重要だ。

特に西ヨーロッパ諸国は、このような計算に戸惑うかもしれないが、これはヨーロッパが中国との関係において、経済的な取引を優先させ、中国が近隣に力を行使しても指導者が見て見ぬふりをしてきた結果に過ぎない。中国の威圧を受ける側の国にとって、アメリカの対中強硬路線は、米国の政策のどの側面よりも重要だ。台北、マニラ、ハノイ、ニューデリーなどにいるアジア各国のエリートたちは、トランプ大統領の予測不可能な取引を重視する方法は、米国が「責任あるステークホルダー(responsible stakeholder)」になるように中国をおだてることに戻る危険性に比べれば、より小さな悪であると計算している。ある高名な研究者は、「アジア各国のエリートたちは、奇妙なことに、トランプの2期目について悲観的になっている(トランプが当選できないと考えて残念がっている)」と主張している。

実際には、中国からの継続的な圧力に直面しているアジア諸国は、この地域における米国の深い関与とアメリカ軍の存在の継続を切望しており、日米同盟はその重要な構成要素となっている。トランプ大統領が同盟国からどれだけ搾り取れるかを自慢することについては、静かな憤りを感じつつも、ほとんどの国は、米国の深い関与が堅固であることを条件に、負担の分担の見直しを検討する用意があるとしている。ここには、何世代にもわたって安定性を保証できるような、アジア地域の健全な新しい活力を生み出すための真のチャンスが存在している。

もちろん、中国に対してバランスを取りながら対峙する戦略のより洗練された実行は大いに歓迎されるべきだ。それは日本のような考えを同じくする同盟諸国それぞれの強みと支援を活用することだ。2021年1月に誰がホワイトハウスの主になろうとも、日本政府はアメリカと対等な立場で二国間の戦略的議論を継続し、インド太平洋における米国の優位性とアメリカ軍の存在を維持し、我々全員が大きな恩恵を受けている既存のルールを基盤とする国際システムを支持するという現在の戦略目標を賢明に実行することに、共通の努力を傾けることができるように期待している。

(貼り付け終わり)

(終わり)
bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 安倍晋三首相は現在、アメリカ訪問中です。安倍首相の訪米は2015年4月26日から5月2日まで(日本の大型連休「ゴールデン・ウィーク」の前半)の日程です。詳しい日程は明らかにされていませんでしたが、政治情報分析に定評のあるヴェテラン政治評論家歳川隆雄氏がその詳しい日程を記事にしています。以下をご参照ください。

 

(雑誌記事転載貼り付けはじめ)

 

●「歳川隆雄「ニュースの深層」 これが安倍首相訪米日程の詳細と議会演説「ワーストシナリオ」だ」

 

歳川 隆雄

20150425日(土)

『現代メディア』誌

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43048

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43048?page=2

 

安倍晋三首相は昭恵夫人を伴い、426日から53日まで米国を公式訪問する。訪米日程は公表されていないが、その詳細を掴んだので紹介する。

 

●これが安倍首相の訪米日程詳細

 

426日ボストン:J・Fケネディ図書館をキャロライン・ケネディ駐日大使の案内で訪問。ジョン・ケリー国務長官私邸で晩餐会出席。

 

27日ボストン:ボストン・マラソンのテロ現場にて献花。ハーバード大学でスピーチ、学生との質疑応答。マサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボ視察(ノーベル賞受賞の利根川進教授が案内)、ワシントンDCへ移動。

 

27日午後ワシントンDC:アーリントン墓地で献花・ホロコースト記念館訪問。

 

28日ワシントンDC:ホワイトハウスで歓迎式典、オバマ大統領と日米首脳会談・共同記者会見、バイデン副大統領、ケリー国務長官との昼食会、オバマ大統領主催の公式晩餐会。

 

29日ワシントンDC:上下両院合同会議で演説。ベイナー下院議長主催のレセプション、有力上院議員との懇談会、笹川平和財団主催のシンポジウム出席・スピーチ、駐米日本大使公邸で日米関係者を招いて夕食会。

 

30日午前ワシントンDC:米科学アカデミー主催の朝食会、サンフランシスコに移動。

 

30日午後サンフランシスコ:米イノベーション企業家ラウンドテーブルとの懇談会、スタンフォード大学ダニエル・オキモト教授主催のシンポジウム出席、シリコンバレー(テスラモーターズなど)視察、グラッドストン研究所訪問(ノーベル賞受賞の山中伸弥教授らと懇談)、ブラウン・カリフォルニア州知事と会談、日米交流に尽力した約100人を招いたレセプション、ロサンゼルスに移動。

 

51日午後ロサンゼルス:日米交流関係者との昼食、日米経済フォーラム出席、在留邦人によるイベント参加、日系人部隊記念碑献花、全米日系人博物館訪問、同行記者団との内政懇談。

 

2日午前ロサンゼルス:交流イベントを検討中、同午後政府専用機で帰国の途へ(帰国は日本時間3日午前)。

 

まず、ファクトから。ワシントンにあるホロコースト記念館は、歴代米大統領が就任してから最初に訪れる場所であり、日本の首相が訪問するのは初めてだ。米国のユダヤ人社会に対する好ましいメッセージとなる。

 

429日米議会演説でのワーストシナリオとは

 

肝心の米議会演説である。安倍首相は英語でスピーチを行う。草稿は、首相のスピーチライターである谷口智彦内閣官房参与が今井尚哉首相秘書官(政務担当)の意見を聞き、準備した。そして安倍首相が朱入れを行ったものだが、未来志向の格調高いモノになったようだ。

 

キーワードは「和解」である。歴史認識問題については、安倍首相の強い意向から「侵略」と「反省」というワーディングは使われるが、「お詫び」という言葉はない。22日のバンドン会議での首相演説と同じ。

 

外務省にとってのワーストシナリオは、チマチョゴリを着た韓国系米国人女性が議会傍聴席から安倍首相演説中にヤジを飛ばして衛視に強制退去されるような事態が出来し、そのシーンをCNNが撮影・放映することである。

 

佐々江賢一郎駐米大使は今、米上下院の要路に対してそのようなことが起こらないよう、特別の配慮を申し入れているが、各上下院議員は“支援者”向けの傍聴パスを1枚持っており、例えば反日・親韓のマイケル・ホンダ下院議員が提供するようであれば、そうした韓国係女性の入館を法的に規制できない。

 

強運の持ち主の安倍首相が演説中の妨害はないだろうと、官邸・外務省関係者は半ば祈るがごとく見守っている。

 

(雑誌記事転載貼り付け終わり)

 

 安倍首相はボストン、ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルスを巡り、帰国する予定になっています。東海岸から西海岸へとアメリカを横断する旅ですが、一点気になったのは、ニューヨークを訪問しないことです。ボストンはアメリカの古都(比べるべくもないですが日本で言えば京都や奈良)ですが、経済や政治の中心とは言えず、歴史と学術の街です。2014年4月にボストン・マラソンで爆弾テロ事件が起き、多くの人々が犠牲になったことは今でも鮮明に記憶されています。それでも「世界」の中心はニューヨークですが、それでも安倍首相訪米はニューヨークではなく、ボストンが選ばれました。

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 ボストンでは、ジョン・F・ケネディ大統領を記念する博物館を訪問しました。案内は安倍首相に同行して帰国した、ケネディ大統領の長女キャロライン・ケネディ駐日アメリカ大使。その後、ジョン・ケリー国務長官の私邸で夕食会が行われました。ジョン・ケリーの家系はユダヤ教からカトリックに改宗しており、母親はフォーブス家の一族です。また、ケリーはケネディ大統領が上院議員の時に選挙ヴォランティアをするなど、ケネディ家とも若い時から親しい関係にあり、2番目の奥様はケチャップで有名なハインツの未亡人ということで、おカネにも全く不自由していません。

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 アメリカの政界で言えば、ケネディ家は民主党系の王朝(共和党系の王朝はブッシュ家)であり、ボストンはその都であると言えるでしょう。訪米して真っ先にボストンを訪問したことは、言わば、「臣従」の儀式とも言えるでしょう。しかし、現在のケネディ家にはすぐに大統領になるとか、アメリカ政界や民主党の中心になるような人物はいません。

 

 それでは誰に臣従する儀式かと言うと、ヒラリーに対する臣従です。それなら、彼女が地盤にしているニューヨークに行くべきですが、今、ニューヨークに行ってもヒラリーには会えません。彼女は大統領選挙への出馬を表明して、アイオワ州を回っている最中だからです。そこで、ヒラリーをバックアップすると決めたキャロラインが現在の当主を務めるケネディ家の都ボストンを訪問することになったのだと考えられます。

 

 安倍首相のボストン訪問はケネディ大統領トリビュート・ツアーということになります。ケネディ大統領の博物館を訪問し、キャロライン・ケネディから案内を受け、夜はケネディ大統領が若い時から関係があったケリー国務長官から話を聞き、ケネディ大統領の名前が付けられたハーヴァード大学ケネディ記念行政学・政治学大学院(ケネディスクール、Kスクール)でスピーチをし、学生たちとの質疑応答を行いました。ケネディスクールについては、拙著『ハーヴァード大学の秘密』(PHP研究所、2014年)を是非お読みください。

 

 私は『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所、2012年)で書きましたが、ケネディ大統領は私たち日本人が持つ清新で若々しく素晴らしいイメージとは全く別のせいじかでありました。「強いアメリカ」を標榜し、アメリカによる世界支配を実行しようとしたのはケネディ大統領です。ケネディ大統領の前任者ドワイト・アイゼンハワー大統領とは全く別の路線にアメリカを向けたのです。その一環としてアメリカによる日本官吏が本格化しました。

 

 また、強固な反共政策を実行し、キューバ革命を転覆させようとして失敗したピッグス湾事件、ドミノ理論に基づいた共産主義拡大阻止のためのヴェトナムへの介入、キューバ危機などすべてケネディ大統領時代に起きた出来事です。私は、現在の共和党のネオコン(元々民主党にいた人々が失望して共和党に移った)と民主党の人道主義的介入派の源流はケネディ大統領だと書きました。私は、はつらつとした青年大統領ケネディのイメージは表向きで、彼の実態はそれほど「危険」な人物であったと今は考えています。

 

 安倍首相がケネディ大統領トリビュート・ツアーをボストンで行ったことは、現在のネオコンと人道主義的介入派を満足させたことでしょう。そして、安倍晋三首相は、アメリカの世界戦略において使える人物ということになりました。「強いアメリカ」の維持のために日本を犠牲に供する人物、安倍晋三ということになります。日本がアメリカの下請けとして、経済だけではなく、軍事(人の血)の面でも貢献できるようにしている、より具体的には中国との衝突や自衛隊をアメリカ軍の参加に入れて利用できることへの道を開いたとして評価しているでしょう。それを具体的に示すためのボストン訪問となりました。

 

 しかし、日本にとっては、これから困難な道が待っていることを示しています。

 

(終わり)












 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 2014年11月18日夜、安倍晋三内閣総理大臣は記者会見を行い、2014年12月14日に衆議院議員選挙(総選挙)を実施するために、衆議院を解散すると発表しました。衆議院は明日、2014年11月21日に解散される予定です。

 

 2014年9月3日に第二次安倍改造内閣が発足した時点では、女性閣僚を多く起用し、「女性の社会進出の促進」「女性が輝ける社会」を訴え、大物の石破茂前自民党幹事長を地方創生担当大臣に起用するなど、アベノミクスと強硬な外交路線を堅持しながら鉄壁の布陣で進んでいくものと思われました。しかし、政治とカネの問題が起き、アベノミクスの効果が全く証明されない経済指標が次々と発表される中で、急激に「解散風」が吹き始め、ついに解散となりました。

 

 

 今回の解散ですが、どなたも仰っている通り、解散する理由も大義も全く存在しない選挙です。アベノミクスが正しいか間違っているかを国民に判断していただく、ということですが、これまでアベノミクスは途半ば、徐々に良くなっているということを繰り返してきた強気の安倍首相と安倍氏周辺の無能アホ政治家たちは、信念を貫いて任期までこのまま政権を運営しておけばよかったのです。それなのに途中で「念のため」(引き際を完全に間違った高村正彦自民党副総裁の言)に解散するなどと訳の分からないことになりました。

 

 ただ、消費税増税は2015年10月に予定していたものを2017年4月に先送りし、それ以上遅滞することなく、確実に行うということを安倍首相は発表しました。その時に経済状況を判断して、という付帯条項をつけることなく確実にやるということです。私たちは、この安倍首相の「公約」を大きな判断材料にして投票する必要があります。増税が良いのか、悪いのかを判断して、増税を主張している自民党の議員を国会に多数送り込んでしまえば、そのまま実施されるということをよくよく頭に叩き込んで投票所に向かう必要があります。

 

 安倍首相は勝敗ラインを「与党で過半数」と設定しました。現在が自公合わせて320ほどですから、80名近くの落選があっても「勝った」と言い切るつもりのようです。公明党は基礎票に少しのプラスだけですから大きな増減はないと思われますから、落ちてしまうのは自民党の当選回数の少ない若手政治家たちでしょう。彼らはダイエットで削られる脂肪のように、また炭火で焼かれる時に落ちる焼肉の脂身のように消えていなくなってしまうでしょう。2012年の自民党大勝に驕り、威張り散らしてきたかどうか、まじめに活動してきたのかどうか、ここで試されることになります。

 

 

 この消費税増税を決定しておいての解散の裏には財務省がいるでしょう。2012年12月の解散総選挙の時、当時のアホで間抜けの野田佳彦首相に解散しても民主党は100議席以上は確保して与党のままでいられますと進言し、結局政治家たちを騙し切ったのは財務省です。今回も安倍首相とその周辺のアホたちをうまく操ったのは財務省でしょう。

 

 そして、財務省の裏にはアメリカの影が見えます。現在のバラク・オバマ大統領は安倍首相が嫌いであることを国際会議など機会があるごとに示しています。逆に、2016年の米大統領選挙の有力候補者であるヒラリー・クリントン前国務長官は安倍首相が国連総会でニューヨークを訪問した時、女性の社会進出に関する公開討論会を行い、安倍首相を賞賛しました。ヒラリーも安倍首相は好きではないでしょうが、敵の敵は味方で安倍首相に肩入れをしたのです。

 

 現在のオバマ大統領があるのは、2008年の米大統領選挙で民主党の王朝ケネディ家が支援に回ったからです。そして、ケネディ家のお姫様から王女となり、現在は男性陣が若いこともあって仮の当主のような役割を果たしているキャロライン・ケネディ米駐日大使とオバマ大統領はしっかりとつながっています。


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オバマ大統領とキャロライン・ケネディ大使

 キャロライン大使はこれまでも安倍首相に対抗する動きを表面的ではないにしてもしています。私は今回の解散はアメリカ大使館の意向、もっと言うとオバマ大統領の意向も働いていると思います。国務省はヒラリー派が押さえていますからそういう動きはないでしょうが、全権大使であるキャロラインはオバマと直接話ができるのです。「前のブッシュ政権の時に好き放題やったジャパン・ハンドラーズのお蔭で、日本に変なのがたくさん出てきた。政界でも自民党が余りにも勝ち過ぎたのでアホが多くて困る。だから少しダイエットさせましょう」ということになったのだと思います。

 今の状況を人間の体に譬えると、自民党は太り過ぎてしまって、血液検査で血糖値(反韓反中)や尿酸値(太平洋戦争で日本は悪くなかった論)が上がり過ぎたので、ダイエットして、それを抑えるということなのだと思います。

 また、最近円安がどんどん進行していますが、アメリカのジェイコブ・ルー財務長官は過度な円安をけん制する発言を行いました。アメリカからすると過度な円安はドル高につながり、アメリカの輸出を増やそうとしているオバマ政権にとっては喜ばしいことではありません。ですから、アベノミクスが続く限り円安が続く訳ですから、アメリカとしては通貨政策の面からもアベノミクスにブレーキをかけたいという意向もあるのだと思います。

 安倍氏の立場になってみると、少し同情の余地があります。それは、自分は日本の総理大臣であり、日本は世界でも大国として遇されているのに、自分の思い通りにならないで、それどころか、「アメリカの気に入るように、ジャパン・ハンドラーズの言うことをきちんと守って来たのに」、騙されたり、ノセラレたりしながら、最後は首をかけるところまで来てしまったということです。都合の良い時は賞賛されて、いらなくなったらぽいっと捨てられてしまう、属国の指導者の悲哀を感じているのではないかと思います。

 

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●「首相、21日の衆院解散と消費増税先送りを表明」

 

2014年11月18日 読売新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141118-00050126-yom-pol&pos=3

 

 安倍首相は18日夜、首相官邸で記者会見し、2015年10月から予定されている消費税率10%への引き上げを17年4月に1年半先送りするとともに、21日に衆院を解散する考えを表明した。

 

 首相は「国民経済にとって重い決断をする以上、速やかに国民に信を問うべきだ」と述べた。記者会見に先立ち、首相は関係閣僚に新たな経済対策の策定を指示した。衆院選は「12月2日公示・14日投開票」の日程で行われる。各党は12年12月以来2年ぶりとなる衆院選に向けて走り出した。

 

 首相は増税を延期する理由について、7~9月期の国内総生産(GDP)が速報値で2四半期連続のマイナス成長となったことを挙げ、「(4月の)3%分の税率引き上げが、個人消費を押し下げる大きな重しとなっている。来年10月からの引き上げは、個人消費を再び押し下げ、デフレ脱却も危うくなる」と述べた。「消費税を上げることで景気が腰折れすれば、国民生活に大きな負担をかける。税率を上げても税収が増えないのでは、元も子もない」とも語った。

 

 17年4月の再増税に関しては、「18か月(1年半)後にさらに延期するのではないかといった声があるが、再び延期することはない」と強調した。来年の通常国会で、増税の道筋を定めた社会保障・税一体改革関連法を改正する際、景気次第で増税を見送る「景気条項」を撤廃する方針も示した。財政健全化目標を維持するため、来夏までに新たな計画を策定する。

 

 衆院解散については、12年に民主、自民、公明3党の合意で増税を決めたことに言及し、「(増税先送りは)重大な変更だ。信を問うのは当然だ。景気を回復させ、賃金を上昇させていく。こうした政策を進めるためにも国民の理解が必要だ」と語った。「アベノミクスが正しいのか、間違っているのか。選挙戦を通じて明らかにする」とも述べた。

 

(新聞記事転載終わり)

 

(終わり)








 

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 古村治彦です。



 2014年1月21日に私の2冊目の単著である『ハーヴァード大学の秘密』(PHP研究所)が発売になりました。全国の書店にも配本が済んだくらいではないかと思います。



 この本は、4つのテーマ、「ハーヴァード大学の日本人人脈」、「ハーヴァード大学を含む日本からの留学の実態」、「ハーヴァード大学の知的パワーを象徴する学者」、「ハーヴァード大学で教えられていること」を取り扱っています。「ハーヴァード大学」をキーワードにして、様々なテーマを取り扱っています。



 様々な関心をお持ちの幅広い読者の皆さんのお役に立つテーマを取り上げ、そしてあまり関心をお持ちではない分野のことも知識として吸収していただける本であると確信しております。



 是非お求めいただき、お読みいただきたく存じます。よろしくお願い申し上げます。

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 副島隆彦による推薦文



 本書『ハーヴァード大学の秘密』は、私の弟子である古村治彦君の二冊目の単著である。



 古村君の前作『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所、二〇一二年五月)は、有難いことに大きな評判をいただいた。古村君はこの『アメリカ政治の秘密』で、ヒラリー・クリントン(Hillary Rodham Clinton)前国務長官を支える三人の女性たちについて書いた。このうち、スーザン・ライス(Susan Rice)が国家安全保障問題担当大統領補佐官、サマンサ・パワー(Samantha Power)が米国連大使というアメリカの外交を担う要職に就いた。このことは古村君のアメリカ研究の確かさを示している。『アメリカ政治の秘密』は、現在のアメリカ政治、日米関係に関心を持つ人々にとって必読の書となった。未読の方は是非お読みください。



 古村君は、前作を発表してから、この『ハーヴァード大学の秘密』の準備に取り掛かったのだが、書き上げるまでに苦労していたようだ。私はその様子を見ていたので、今回、出版まで漕ぎつけたことを大いに喜んでいる。古村君には、益々の研鑽を期待している。



 今回、古村君が取り上げたテーマは、世界一の名門大学として知られるハーヴァード大学だ。私は、二〇一一年あたりから、古村君に「ハーヴァードの政治学の全体像を書いてみてはどうか」と提案した。彼がアメリカ留学経験で学んだ合理的選択論(Rational Choice Theory)について書いてもらいたいと思った。私自身が、何よりもこの理論を知りたかった。



 古村君がアメリカに留学していた二〇〇三年頃、アメリカの全ての大学の政治学(Political Science)研究や分析で共通の土台として使われている方法論(methodology)について、彼に根掘り葉掘り話を聞いたことがある。このメソドロジーをすぐに日本語で「方法論」と訳すから困ったことなのだ。メソドロジーは、そんな甘い「学問方法論」のことではない。いろいろの近代諸学問(サイエンス)の共通の基礎、土台を作っているものなのである。だから以後は、メソドロジーは「学問土台学」と訳すべきだ。文科系の諸学問の土台となる学問なのである。私の先生である碩学・小室直樹は自分をメソドロジストと称した。



 メソドロジーがしっかりしていない学問分野は欧米では大事にされない。そして、アメリカの名門ハーヴァード大学は、この大学のお家柄というか、その真髄である「合理的選択論」という方法論、ではなかった学問土台学を持っている。この学派が今のアメリカ政治学の分野で支配的な(dominant)であることを私なりに理解した。このハーヴァード大学の秘密と言うべき合理的選択論とは何か。この本の冒頭に、著者でもないのに推薦者が出しゃばってズバリと書く。それは、「合理的選択とは、政治家(権力者、支配者)にとって最大の目的は選挙に当選し続けることである。権力者(支配者)だったら自分が権力を維持し続けるということだ。そのためなら何でもする。どんなことでもする。それが合理的選択だ」ということだ。彼らはここまであけすけに言う。私は大いに驚いた。



 私は、古村君から合理的選択論についての話を聞く少し前の二〇〇一年に、「合理(ratio、ラチオ、レイシオ)」という言葉について研究し発表した。そしてその奥義をすっかり読み破った。ラチオ(合理)とは、元々が「割合、分け前」という意味で、「取り分、利益の分配」という意味の言葉だ。だから、自分の利益になるように「合理的(rational)」に「行動を選択(choice)せよ」ということである。自分が勝つ(得をする、生き延びる)ように賢く行動せよ、ということだ。



 このラチオを人類の長い歴史でよくよく分かっていたのがユダヤ人(ユダヤ民族)である。ユダヤ思想(Judaism)の中心に、このラチオがある。ラチオの思想こそは、ユダヤ人の生き方そのものであり、それがユダヤ思想(そのままユダヤ教でもある)の中心なのである。そして、このラチオが資本主義を生み出し、人類の近代(modern)も生み出した。ハーヴァード大学はユニテリアン系のプロテスタント修道院として創立されたのだが、その背景に強力な利益の法則を持つ。



 この合理的選択論については、本書の第8章で古村君が詳しく紹介している。是非お読みください。この合理的選択論という政治思想を大きく理解することが今の私たち日本人に極めて重要だ。そしてこの合理的選択論が、まさしくハーヴァード大学に世界中から集まってくる頭の良い学生たちに教えられていることを知ることもまた重要だ。



 本書には、合理的選択論以外にも、幅広い内容が収められている。前半では、ハーヴァード大学出身者たちのネットワークについて書かれている。三木谷浩史氏を中心とするハーヴァード大学出身者のネットワークを、古村君は「クリムゾン・クラブ(Crimson Club)」と名付け、その人脈を丁寧に追っている。

 後半部では、ハーヴァード大学の知的パワーを代表する政治学者の故サミュエル・ハンチントンとジョセフ・ナイについて詳しく、かつ分かりやすく紹介している。また、日本でもマイケル・サンデル教授の名で有名になった共同体優先主義(Communitarianism)と合理的選択論について詳しく紹介している。



 この一冊で、ハーヴァード大学の政治学部でどういうことが教えられ、どんな人材が育てられているのかを理解することができる。そしてハーヴァード大学が持つ、これまで私たちに明らかにされてこなかった部分を知ることができる。本書『ハーヴァード大学の秘密』を是非買って読んでください。



 二〇一三年十二月

副島隆彦 





 あとがき



 前作『アメリカ政治の秘密』を二〇一二年五月に出版していただいた後、師である副島隆彦先生から、「君はアメリカで政治学の勉強をしてきたのだし、次はハーヴァード大学の政治学の全体像について書いてみてはどうか」という提案があった。この提案を受けて、私は、本書『ハーヴァード大学の秘密――日本人が知らない世界一の名門の裏側』の準備に取り掛かった。構想を練り、準備するのに予想以上の長い時間がかかってしまった。本として出版できるのかという不安を持ちながらの執筆であったが、このように出版していただけることになり、ホッとしている。

 本書『ハーヴァード大学の秘密』は、「ハーヴァード大学」をキーワードにして、幅広いテーマを取り上げている。副島先生の提案通りに政治学の全体像を描くことは、私の力不足でできなかったが、ハーヴァード大学で教えられている政治学、ハーヴァード大学の政治学を代表する学者、留学全般に関することを網羅することはできた。読者の皆様に、それぞれの興味関心と重なる部分からお読みいただけたらと思う。



 そして、第1部では、ハーヴァード大学出身の日本人人脈を取り上げた。ハーヴァード大学をキーワードにして、張り巡らされた人脈の地下茎を掘り起こす作業を行った。私は、これを“属国日本の政界のたけのこ掘り”と呼んでいる。このたけのこ掘り作業を通じて、ハーヴァード大学から送り出された人材たちは、現在に至るまで日本の中枢を形成し、日本を動かしてきたことを発見した。正直なことを言えば、ハーヴァード大学出身者たちを中心にして人脈がここまで広く形成されていたことは、私にとって大きな驚きであった。私はこれからもたけのこ掘りの作業を続けていく。



 ハーヴァード大学は、「合理性(rationality)」の総本山と言うべき存在である。政治学部では、政治学の分野で主流となっている理論である合理的選択論(Rational Choice Theory)が教えられている。副島先生が推薦文の中で書いているように、合理性とは、一言で言ってしまえば、「自分が得をする、生き延びる」ために行動するということである。この合理性(ラチオともいう)はユダヤ思想(ユダヤ教)の中心となり、そこから資本主義(Capitalism)と近代(modern)が生まれた、ということである。合理性を身につけることこそが、資本主義社会で成功するためには必要なことだ。ハーヴァード大学で学んだ日本人たちも当然のことながら、この合理性を身につけている。



 私が前著『アメリカ政治の秘密』でも指摘したことでもあるが、最近のアメリカの日本管理には鷹揚さがなくなっている。ジャパン・ハンドラーズたちはより露骨に、かつ、より性急にアメリカの利益追求の姿勢を示すようになっている。アメリカと、そして自分たちの利益追求に一直線に進んでいる。それは、ジャパン・ハンドラーズたちの中で世代交代が起こり、若い世代は合理的選択論を学んだことで、合理性をより重視する姿勢を取るようになっているからだ。管理する側と管理される側を分けるものが「合理性」なのである。



 日本管理のジャパン・ハンドラーズが合理性を武器にしているならば、それに対抗するために、私たちも彼らが使っている武器を手に入れて使えるようにするべきだ。そうすることで、ジャパン・ハンドラーズの意図を見抜き、自分たち、そして日本が損をしないように賢く行動できるようにしなくてはならない。本書が読者の皆様にとって、合理性について、そして合理的選択論について学ぶ契機になれば幸いである。



 本書刊行にあたり、多くの方々にお世話になりました。

 私の師である副島隆彦先生には、本書に推薦文を寄せていただきました。ハーヴァード大学をテーマとして取り上げたのは、先生からの示唆を受けてのことでした。本として出版できてホッとしています。心からお礼を申し上げます。

 私の同僚である中田安彦氏には今回もお世話になりました。中田氏とのやり取りを通じて、多くの刺激を受け、様々なアイデアを生み出すことができました。中田氏のような同僚がいてくれることは私にとって大きな力となっています。感謝しています。

 更に、ここで名前を記すことはできませんが、アメリカの大学教員事情について話してくれた先輩、スポーツビジネスの世界、そして早稲田大学大学院スポーツ科学研究科について多くの有益な情報を提供してくれた友人、そして、東北楽天ゴールデンイーグルスと本拠地である仙台という街に私の関心を向けさせてくれた友人にもお世話になりました。加えて、家族や友人の支えも励みになりました。記して感謝します。

 最後に、本書の刊行にあたって、PHP研究所の大久保龍也氏には、前作同様、お世話になりました。なかなか筆が進まない筆者を、寛容をもって見守り、伴走をしていただきました。心から感謝を申し上げます。



 二〇一三年十二月

古村治彦



(終わり)






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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 古村治彦です。

 今回は、大変面白い音源を見つけましたので、皆様にご紹介したいと思います。

 インターネットの動画サイトYou Tubeにアップされていたもので、舛添要一氏がラジオ番組に出演して、キャロライン・ケネディ駐日米大使の着任の政治的意義について語っています。

 「キャロライン・ケネディ大使は日米両国に対する発信力が強いので、日本の政治家たちは舌禍を起こさないように口にチャックし、中途半端に英語ができるからと得意がって英語で話すのではなく、慎重に日本語で話してちゃんと通訳に訳してもらえ」と言っていたのが印象的でした。

 都知事選挙の情勢についての私の考えは昨日書きました。お読みいただければわかりますが、舛添氏もまさか自分がその政治的重要性について解説した相手に邪魔をされることになるとはという思いに駆られます。「一寸先は闇」「好事魔多し」ですね。





アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12


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