古村治彦です。

 日本では大型連休に入って、多くの人出があり、すっかり穏やかな日々となっているが、アメリカではファースト・リパブリック・バンクの経営破綻、債務上限引き上げ問題(6月1日が期限、所得税収入が予想よりも少なくて早まった)があり、モスクワではクレムリンに対して無人機攻撃があった。当たり前のことだが、世界は日本の大型連休など関係なく動いている。日本など世界の動きから隔絶して、人出が多い、渋滞が凄いということが報道の中心になっていても何も困らない。その程度の国である。

 クレムリンに対する攻撃については、(1)ウクライナによる攻撃、(2)ロシアによる自作自演攻撃、(3)ロシア国内の反プーティン勢力による攻撃(外国からの協力もあり)というシナリオが取り沙汰されている。事件発生直後、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」が即座に、ロシアによる自作自演だと発表したことで、「ああ、これはウクライナ戦争の継続を望む(停戦を望まない)勢力、アメリカ国内で言えばネオコンが起こしたものだな」と考えた。

 アメリカでは国防総省(ペンタゴン)の機密文書がリークされて、その中ではウクライナに関して悲観的な評価が並べられていた。国防総省はウクライナが勝てない、不利だという評価を行っている。ヴォロディミール・ゼレンスキー大統領が主張するような、クリミア半島を含むウクライナ東部の奪還など夢のまた夢、ということだ。それでも5月に入って、ウクライナ側は「春季大攻勢、反転大攻勢をかける」と勇ましく述べている。

 私はまずこのウクライナの動きについて、ブラフなのか、太平洋戦争末期の日本の基本方針となった「一撃講和論」のようなものかと考えた。そもそも、本当に反転大攻勢で大反撃に出て、ロシア側を大きく押し返すということをしたいならば、「予告」などするはずがない。相手のスキや意表を突いて、一気に押し返すのが定石だ。そんな予告をすれば、相手も備えるに決まっている。備えているところに飛び込んでいっても犠牲を増やすだけのことだ。日本でもさんざん「反転大攻勢」という言葉が報道されている。ロシア側ももう分かってしまっている。それでは反転大攻勢にならない。

 だから、私はこの反転大攻勢は一種のブラフではないかと考えた。もしくは「ロシアに大きな打撃を与えて怯(ひる)ませておいて、停戦交渉で有利な条件を引き出す」ことで、ウクライナ国民を納得させようということではないかと考えた。これは太平洋戦争末期に日本が模索したシナリオである。結局、一撃を与えることはできず、逆に日本側が完膚なきまでに叩きのめされた。しかし、それならば、大攻勢を「予告」してしまったら効果はない。繰り返しになるが、相手に準備をさせてしまうことになるからだ。

 ゼレンスキー大統領は中国の習近平に呼びかけを行うなど、停戦に向けた動きを行っている。最大の支援国であるアメリカもウクライナ不利と見ているので、停戦は歓迎するだろう。しかし、このウクライナ戦争が続くことが喜ばしい、自分たちの利益になると考える勢力にとって、停戦は望ましいことではない。イギリスとアメリカ国内の狂信的な好戦勢力(共和党内のネオコンと民主党内の人道的介入主義派)にとっては戦争継続こそが望ましい。そのための「カンフル剤」として、戦争が膠着状態に入ってダレている状況で、「活気づける」ために今回の攻撃を行ったということになる。ウクライナにとってもロシアにとっても得にはならないことを外部勢力がやった、しかもそれはアメリカ政府の正式な意向ということでもない。国務省内のヴィクトリア・ヌーランド国務次官アタリが画策したのではないかと私は考えている。

 ウクライナ戦争開戦後、戦争についての分析を一手に担っている戦争研究所の所長はキンバリー・ケーガンである。キンバリーの夫はフレデリック・ケーガンという。フレデリックの兄はロバート・ケーガンだ。ロバートとフレデリックの父ドナルド・ケーガンはネオコンであり、息子たちもネオコンだ。ロバートの妻がヴィクトリア・ヌーランドである。一家揃ってネオコンの名士であり、ケーガン家はネオコン内の「王朝(dynasty、ダイナスティ)」だ。ケーガン家の「嫁連合」であるヴィクトリア・ヌーランドとキンバリー・ケーガンが協力体制でウクライナ戦争を煽っているというのは何とも恐ろしい話である。

(貼り付けはじめ)

ワールド

20235410:44 午後18時間前更新

ロシア、クレムリン無人機攻撃「背後に米国」 非難の矛先変更

ロイター編集

https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-russia-kremlin-may4-idJPKBN2WV14T

[4日 ロイター] - ロシアは4日、プーチン大統領殺害を目的としたクレムリンへのドローン(無人機)攻撃について、背後に米国の存在があると指摘した。証拠も示さないロシアの主張に、米政府はすかさず否定した。

ロシアは前日、ウクライナが夜間にドローンを使ってプーチン大統領殺害を図ったものの未遂に終わったと表明。これに対しウクライナのゼレンスキー大統領は最大の関心はロシアの侵攻から自国を守ることだとし、関与を否定していた。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は4日、「このような行動やテロ攻撃に関する決定は、キエフでなくワシントンで下されることを、われわれはよく知っている」と述べ、米国が攻撃の背後にいることは「間違いない」と述べた。

これに対し、米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官はMSNBCテレビに対し、ロシアの主張は虚偽であり、ワシントンはウクライナに対し国外への攻撃を促すことはなく、そんなことはできないと述べた。

ドローン攻撃があった時、プーチン大統領はクレムリンにおらず無事だったが、ロシアは報復を示唆。メドベージェフ安全保障会議副議長は、ゼレンスキー大統領とその「一派」を「排除」する以外の選択肢はないと述べている。

ペスコフ氏は、ロシアがゼレンスキー大統領を正当な標的として見ているか、明言を避けた。

プーチン氏は4日はクレムリンに滞在しており、職員は通常通り勤務しているという。

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クレムリン“ドローン”攻撃 「ロシアの自作自演」米研究機関が分析 戦争への動員が狙いか
FNN
プライムオンライン

国際取材部

202354日 木曜 午後2:35

https://www.fnn.jp/articles/-/523741

アメリカの研究機関は3日、ロシア政府が発表した、クレムリンに対するウクライナのドローン攻撃を、ロシアによる自作自演だとする分析を発表した。

アメリカの「戦争研究所」は3日、クレムリンが、ウクライナのドローン2機による攻撃を受けたというロシア大統領府の発表について、「戦争を国民に身近に感じさせ、動員するための条件整備」を目的とする自作自演との見方を示した。

具体的な理由として、ドローンがモスクワ周辺の厳重な防空網を突破し、クレムリン上空で映像が鮮明に撮影される状況は「可能性が極めて低い」と指摘した。

また、ロシアの整然とした対応について「内部で演出されたものでなかったら、公式反応はもっと無秩序なものであった可能性が非常に高い」とした。

さらに戦争研究所は、ロシア政府が第二次世界大戦に勝利した、「59日の戦勝記念日に近い時期にこの事件を演出した」との分析も示した。

今後、ウクライナ側が指摘する大規模な反転攻勢を前に、ロシア側が自作自演による作戦や、偽情報を増やす可能性にも言及した。(画像:「Ostorozhno Novosti」)

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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