古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ケヴィン・マッカーシー

 古村治彦です。

 連休前半、ファースト・リパブリック・バンクの経営破綻のニューズと共に流れたのが、米国債務上限問題のニューズだった。ジャネット・イエレン財務長官が債務上限を引き上げて借り入れを行わないと、連邦政府の資金が61日までに枯渇してしまい、最悪の場合には債務不履行(デフォルト)に陥ると発表した。デフォルトになれば、アメリカ国債の償還や利払いができなくなることで、そうなればアメリカ国債の信用、アメリカ・ドルの信用が傷つき、世界経済が大きく動揺するということになる。そのような事態(国際決済通貨としてのドルの信用急落)に備えて、新興諸国(西洋以外の国々[the Rest])の中央銀行は金(きん)を備蓄している。

risingcountriescentralbanksgoldreserves001

 アメリカ政府は所得税の税収が予想よりも低かったために、やりくりをしながらも、予想よりも早く、資金が枯渇し、新たに米国債を発行しなければ、資金が手に入らないために、予算執行や国債の償還や利払いができない状態になるということだ。アメリカ政府の債務上限引き上げ問題は日本でもここ数年で数回報道されてきたので、お馴染みの言葉になっている。

usnationaldebtaggregation19662023graph001 
アメリカ国債の総計

 財政支出が削減され、国家財政のために増税がなされるということが起きると、景気が悪くなることが懸念される。バラク・オバマ政権時代にこのような事態が予想され、それが「財政の崖(fiscal cliff)」と呼ばれた。「崖から真っ逆さまに落ちる」ということからこう呼ばれた。連邦準備制度理事会(FRB)により政策金利引き上げもあり、現状が続けば、アメリカの景気後退が起きるという懸念が出ている。
us10yearsnationaldebtrates201320123graph001
jpn10yearsnationaldebtsrates20212023graph001


 アメリカ連邦議会では、何の条件も付けないで債務上限引き上げを行いたい民主党(ホワイトハウスを含む)と、歳出削減を上限に債務上限引き上げを認めるとする共和党が対立している。共和党が過半数を握る連邦下院では「クリーン」債務上限引き上げ法案が可決され、連邦上院に送られている。この法案は、連邦政府の歳出削減をすることを条件にしての債務上限引き上げを認める法案だ。民主党が過半数を握る連邦上院ではこの法案に反対も多い。 

来年には大統領選挙と連邦上院(約3分の1)、連邦下院(全議席)、各州知事などの選挙が全国レヴェルで実施される。歳出削減を行えば、民主党が行いたい政策の予算執行ができなくなる、そうなれば選挙も厳しくなるので、民主党側は必死だ。共和党としては、無責任な民主党というイメージを植え付けたいということもあるし、民主党の支持を切り崩したいということもある。

 しかし、どちらにしても債務不履行などと言うことは民主、共和両党どちらも避けたいので、チキンゲームの様相となり、結局、債務上限引き上げは認められる。条件闘争でどちらがどれだけの痛みを引き受けるか、痛み分けで済ませるかということになる。ケヴィン・マッカーシー連邦下院議長(カリフォルニア州選出、共和党)はドナルド・トランプ前大統領との関係も悪くないが、エスタブリッシュメント派とも話ができる。マッカーシー議長がどのように差配をして、連邦上院で否決されるであろうクリーン債務上限引き上げ法案を修正可決するかが注目される。共和党所属の強行派の連邦下院議員たちの反対があるので、民主党所属の一部議員たちと妥協をするということになるだろうが、そうなれば、共和党内部からの突き上げもあり、マッカーシー議長の立場も厳しくなる。

 バイデン大統領はこれから連邦議会側と話し合いや説得をしなければならない。そうなれば、のんきにG7会合のために日本に来るのも大変だ。G7各国の首脳たち(日本を除く)も、「アメリカ国債がデフォルトになると大変だし、その問題をやっておいてくれよ(まぁデフォルトにはならないだろうけど)」という心境だろう。バイデン大統領とアメリカ政府としては、広島に行くとなればどうしても原爆投下について何か触れねばならない(謝罪などはとんでもないが)。債務上限引き上げ問題があるということになれば、広島に行かずに済むかもしれないということであれば、これを利用しようと考えるかもしれない。

 債務上限引き上げ問題は茶番であるがそれを利用するということはいろいろとあるだろう。

(貼り付けはじめ)

●「イエレン米財務長官「6月1日にも資金枯渇」と議会に警告、デフォルトの恐れも」

2023/05/02 10:03 読売新聞

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230502-OYT1T50083/

 【ワシントン=田中宏幸】米国のイエレン財務長官は1日、米連邦政府の借入金の限度を定めた「債務上限」について、米議会指導部に書簡を送った。上限の引き上げを行わなければ6月1日にも財政資金が枯渇すると警告し、議会に対応を急ぐよう求めた。

 政府債務は今年1月、上限の約31兆4000億ドル(約4300兆円)に到達し、米財務省が6月初旬までの特別措置で資金繰り策を実施している。新たな借り入れができなくなれば、債務不履行(デフォルト)に陥る恐れがある。

 イエレン氏は書簡で「議会が債務上限を引き上げたり、(上限の)適用を停止したりしなければ、早ければ6月1日にも措置が行き詰まる可能性がある」とし、「米国の家庭に深刻な苦難をもたらし、世界的なリーダーシップを失う」とクギを刺した。

 債務上限を巡っては、無条件の引き上げを求めるバイデン米政権に対し、共和党は歳出削減を求めて下院で独自法案を可決しており、与野党の対立は長期化の様相を呈している。

====

イエレンは債務上限の最終締め切り日は6月1日と発言(Yellen says drop-dead date for debt ceiling is June 1

スティーヴン・ニューカム、アリス・フォーリー、アル・ウィーヴァー筆

2023年5月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/senate/3982225-yellen-says-drop-dead-date-for-debt-ceiling-is-june-1/

ジャネット・イエレン財務長官は月曜日、連邦議会民主・共和両党指導者たちに宛てた書簡の中で、連邦議員たちは6月1日までにアメリカの債務上限(debt ceiling)を引き上げなければならないと述べた。

イエレン財務長官は、61日までにアメリカが全ての債務を支払えなくなるとの見通しを示し、連邦議会とホワイトハウスが合意に達するよう圧力を強めた。

イエレン長官は当初、連邦政府が6月上旬までに支払いを継続するためのいわゆる臨時措置を使い果たす可能性は低いと連邦議員たちに語っていた。しかし現在、最近の税収を基にして、期限が予想より早く来る見込みであると述べた。

連邦議会の超党派の予算管理責任者である議会予算局(Congressional Budget OfficeCBO)も月曜日、4月の税収が予想を下回ったことを理由に、「6月上旬に財務省が資金不足に陥るリスクが著しく高まっている」と警告を発した。

CBOのフィリップ・スウェーゲル局長は月曜日、「4月に処理された所得税の受取額が、最新の基本予算予測で予想したよりも少なかったことが分かった。更に、内国歳入庁(Internal Revenue ServiceIRS)は、コロナウイルスの感染拡大による数年間の混乱を経て、昨年よりも迅速に納税の処理を終えると予想している」と述べた。

スウェーゲル局長は続けて次のように述べた。「その結果、IRS新型コロナウイルス感染拡大前の年のように、5月の追加支払いを比較的少なく処理すると予想している。このことは、4月までの受取額が予想を下回ることと相まって、財務省の特別措置が以前の予測よりも早く枯渇することを意味する」。

この予定表は、連邦議員たちが取引の仕組みを理解するための貴重な時間を与え、議員たちは時間を無駄にすることなく、相手側を非難することになった。

「時間の無駄だ。このことを理解しよう」。ジョン・テスター連邦上院議員(モンタナ州選出、民主党)は、このニュースが流れた直後の月曜日、記者団にこう語った。

ジョー・バイデン大統領と民主党は、連邦下院共和党が「クリーン」な法案の一部として債務上限を引き上げることを要求している。一方、共和党は債務限度額の引き上げを支出削減と結びつけて行うことを望んでいる。

連邦下院予算委員会の民主党側のトップであるブレンダン・ボイル議員(ペンシルヴァニア州選出、民主党)は月曜日に発表した声明の中で、この展開について「ケヴィン・マッカーシー連邦下院議長に対する警鐘とならねばならない」と述べ、共和党が先週可決した債務上限引き上げの党派案を標的にしていると述べた。

一方、共和党はその責任をバイデンに押し付けた。

ジョン・コーニン連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)は次のように述べている。「私たちはそれが来ることは分かっていた。ただ、それがいつなのか、正確には分からなかった。これはバイデン大統領がソファから降りてマッカーシー議長と話し、何かを解決するための情報をもう少し提供するものだ」。

シェリー・ムーア・キャピト連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出、共和党)は、この予定表に驚きを隠せなかった。しかし、この進展は、マッカーシーと交渉のテーブルに着くようホワイトハウスに圧力をかけるものだと述べた。

キャピト議員は「大統領は我が国の指導者だ。彼は事態にきちんと関与する必要がある。私はイエレンが大統領の意向に対して忠実に働いている(carrying his water)と考えている」と述べている。

連邦下院共和党の法案は、1.5兆ドルの債務上限を引き上げるか、来年3月末までのどちらか早い方と引き換えに、民主党が断固として反対している政府支出の削減に関する共和党の幅広い提案と引き換えにするものだ。

その中には、年次歳出プロセスの一環として、連邦議員らによって捻出された政府資金を2022会計年度の水準に制限する一方、今後10年間の歳出の伸びを毎年1%に制限するという提案も含まれている。

法案に盛り込まれた他の提案は、メディケイドや補足栄養支援プログラム(SNAP)などのプログラムに対してより厳しい労働条件を課し、バイデン政権下で実施された人気の学生ローン政策に終止符を打つ内容となっている。

共和党はまた、両党が後追いで行った、連邦上院を含む連邦議会で審議中の「クリーンな」債務上限措置が実施される可能性に疑問を投げかけた。

コーニン議員は「連邦下院も通過しないし、連邦上院も通過しないだろう」と述べた。

ブライアン・シャッツ連邦上院議員(ハワイ州選出、民主党)は、民主党側に対し、共和党が提案するクリーンな債務上限引き上げに反対する姿勢を貫くよう呼びかけ、「ここで合意すべき取引ではない」と述べた。

シャッツ議員は「ここでの前提は、デフォルトを防ぐ代わりに政策面で譲歩することであってはならない。どの政党も自分たちの政策を実現するためにアメリカ経済を崩壊させると脅すことは決してあってはならないということだ」と彼は言った。

「これは異常であるばかりでなく、無謀でもある。アメリカ経済を人質に取ることは許されない。歳出削減の代わりに債務上限を引き上げることを交渉しないことより怖いのは、これを主張する人々と交渉することだ。その理由は、彼らはアメリカ人とアメリカ経済を人質に取ることを決して止めないだろう、ということだ」と付け加えて述べた。

=====

●「イエレン氏、債務上限で議会に行動要求-修正条項発動は危機招く」

Christopher Condon

202358 1:43 JST 更新日時 202358 7:20 JST ブルームバーグ通信

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-05-07/RUAJO9DWX2PS01

・議会が上限を引き上げる以外に「良い選択肢はない」

・米憲法修正第14条発動なら憲法上の危機-ABCの番組で発言

イエレン米財務長官は膠着(こうちゃく)状態に陥っている債務上限問題を解決する上では、議会が上限を引き上げる以外に「良い選択肢はない」と述べた。また、この件で米憲法修正第14条を発動すれば憲法上の危機を招くと警告した。

 イエレン長官は米ABCの番組で7日、議会が債務上限を引き上げることなく「大統領が債券を発行し続けることが可能かどうかを、われわれが検討する必要が生じる段階に進むべきではない」と発言。「こうしたことは憲法上の危機を招くだろう」と語った。

 修正第14条には公的債務の有効性は「問われてはならない」との記述があり、政権が債券発行を継続できるかを巡って憲法学者やエコノミストの間で解釈が分かれている。

 イエレン氏は同番組内で、バイデン大統領がこの選択肢を使う可能性を何度か問われたが、議会が上限を引き上げるべきだと繰り返し主張するにとどまり「私が言いたいのはそれは議会の仕事だということだけだ」と述べ、直接の返答は避けた。

 下院金融委員会のマクヘンリー委員長(共和)は、短期の債務上限引き上げに向けた取引は一つの選択肢だと示唆した。これはヤング行政管理予算局(OMB)局長の4日の発言と同様の内容だ。

 マクヘンリー氏は7日、CBSの番組「フェース・ザ・ネーション」で、「現時点では全てがテーブルの上にある」とした上で「この難題で考慮が必要な重要なことは、短期および長期で財政に対処することだ」と発言。「財政に対処しなければならないという事実以外にレッドラインはない」と語った。

 バイデン氏は5日、MSNBCとのインタビューで修正第14条を発動する用意があるかと質問された際、「まだそこに至っていない」と述べ、発動の可能性を完全には排除しなかった。 

=====

●「米債務上限引き上げ間に合わなければ大統領は決断迫られる-財務長官」

Viktoria DendrinouChristopher Condon

202359 8:52 JST ブルームバーグ通信

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-05-08/RUCYLBDWRGG001

・債務上限という「銃」を突き付けられた状態では交渉に応じず-長官

・議会が債務上限で行動しなければ、世界のドルの利用に「悪影響」

イエレン米財務長官は8日、議会が連邦債務上限の引き上げに間に合わない場合、バイデン政権は今後の対応について「決断」を迫られることになると述べた。

 イエレン長官はCNBCとのインタビューで、唯一の「良い」選択肢は議会による上限引き上げだとの主張を繰り返した上で、それが実現しない場合、政府は「今ある資源で何をするか」を考える必要があると述べた。

 さらに、財務省が早ければ6月1日に債務上限未満に抑える余地がなくなる危険性があるとの警告を繰り返した。

 共和党議員などは、財務省が債券の支払いを続けながら他の支出を遅らせる優先順位付けの案を持ち出しているが、イエレン長官や前任者らは同省の制度はそうした態勢が整っていないと述べている。また、米国債の信頼性に関する憲法修正第14条の条項を発動し、単に借り入れを続けるという極端な選択肢も打ち出されている。

 イエレン長官は「さまざまな異なる選択肢があるが、良い選択肢はなく、どの選択肢も悪い選択肢だ。私はそれらの議論やランク付けはしたくない」と語った。

 その上で、共和党が債務上限引き上げの条件として歳出削減を提案していることを批判し、バイデン政権が既に「財政的に責任ある提案」を示していると指摘。共和党が打ち出した「極めて厳しい」歳出削減案はバイデン大統領の提案とは明らかに大きな隔たりがあるとも述べ、政権は協議にオープンな姿勢だが、債務上限という「銃」を頭に突き付けられた状態では交渉に応じないと語った。

 さらに、議会が債務上限を引き上げられなかった場合、世界中のドルの利用に「悪影響」を及ぼすとし、経済的に大打撃を与え国家にとって「大惨事」となると警告した。

======

米政府 債務上限問題 バイデン氏と議会指導部が協議 平行線に終わる

5/10() 7:57配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/f4c8dd555036052065710d8119f2aaf627f979e0

アメリカのバイデン大統領は、連邦政府が借入できる債務残高の上限引き上げを巡り、議会指導部と協議しましたが、進展はありませんでした。

 アメリカでは連邦政府が借り入れできる債務残高がすでに上限に達していて、早ければ61日にも資金繰りが行き詰り、債務不履行に陥る可能性が指摘されています。

 最悪の事態を回避するためバイデン大統領は9日、野党共和党のマッカーシー下院議長ら議会指導部との協議に臨みましたが平行線をたどりました。

 共和党・マッカーシー下院議長:「今回の協議では、誰もが自分の置かれている立場を繰り返しただけで新たな動きは見られなかった」

 共和党は債務上限を引き上げる代わりに社会保障費などの削減を条件とする案を改めて提示しましたが、無条件の引き上げを求めるバイデン大統領との隔たりは埋まらず、12日に改めて協議の場が設けられる見通しです。

=====

●「バイデン米大統領、G7欠席も 債務上限問題「進展なし」」

5/10() 8:14配信 時事通信

https://news.yahoo.co.jp/articles/c814a5b0c73254ae8ce2ba6922708449059f38d7

 【ワシントン時事】バイデン米大統領は9日、ホワイトハウスで上下両院の与野党幹部と会い、連邦政府の借入限度額である「債務上限」の引き上げを巡り協議した。

 バイデン氏はこの後、記者団に「(債務上限問題が)解決するまでここにとどまる」と述べ、1921日に広島で開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)を欠席する可能性を示唆した。

 マッカーシー下院議長(野党共和党)は会談後、記者団に「進展はなかった」と述べ、債務不履行(デフォルト)回避に向けた前進に至らなかったことを明らかにした。バイデン氏と議会幹部の協議は2月以来。今月12日に再度会談する。 

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 アメリカ連邦議会は新しいセッション(第118期)が始まった。始まって早々、連邦下院では新議長選出を巡って大騒ぎとなったことは日本でも報道され、記憶に新しいところだ。前回のセッションまで連邦議会共和党の少数党(共和党)院内総務を務めてきたケヴィン・マッカーシーが新しい下院議長に選出されることは通常であれば当然のことであった。 

しかし、共和党内から造反議員が出て、何度も何度も否決され、15回目の投票でようやく過半数の得票となり、新議長に選出された。その過程で議場ではつかみ合いの喧嘩騒ぎも起きた。民主党側からは造反してマッカーシーの議長就任に賛成票を投じた議員は出なかったので、今回の騒動は共和党内部の争いということになった。

 マッカーシー議員は2014年から連邦下院共和党の最高幹部であり、2014年から2019年までは連邦下院多数党(共和党)院内総務、2019年から2023年まで少数党(共和党)院内総務を務めた。ドナルド・トランプ政権下では、連邦議会で過半数を失って少数党となった共和党を指揮し、トランプ大統領と協力して議会運営に当たった。トランプ派と目される人物の1人である。

 共和党内でマッカーシー議員の議長就任に抵抗したのは、フリーダム議連(Freedom Caucus)のメンバーたちである。フリーダム議連とはティーパーティー運動が源流の議員連盟であり、「保守系」もしくは「リバータリアン系」と評される議員たちの集まりだ。彼らの考えを簡単に述べれば「反福祉・反税金・反大きな政府」ということになる。彼らの資金源となっているのがコーク・インダストリーズという巨大企業を率いるチャールズ・コークだ。コーク一族の歴史と動きについては拙訳『アメリカの真の支配者 コーク一族』(講談社)を是非お読みいただきたい。

 簡単に言えば、フリーダム議連のパトロンであるチャールズ・コークは反ポピュリズム、反トランプの立場を取っている。トランプのポピュリズムは、彼から見れば「貧乏人にバラマキを約束している」ということになる。トランプ派と目されるマッカーシーの議長職就任を妨害したい、もしくはフリーダム議連が議会活動で有利になるような条件を受け入れさせたい、ということでフリーダム議連を使って妨害活動としい活動を行ったということになる。コークとフリーダム議連は共和党内部のエスタブリッシュメント派とも対立しており、フリーダム議連、エスタブリッシュメント派、トランプ派という形で共和党は分裂しているということになる。フリーダム議連とエスタブリッシュメント派が共同してトランプ派をけん制し、トランプの大統領選挙での復活を阻止したいという動きになっている。そのために、フロリダ州のロン・デサンティス知事やニッキー・ヘイリー元国連大使の名前を、2024年の大統領選挙の共和党側の有力候補として主流メディアは出している。

 2023年、2024年のアメリカは、2024年の大統領選挙に向けて政治の季節となる。共和党内部の争いはますます激化するだろう。

(貼り付けはじめ)

5つのポイント:マッカーシーは如何にして連邦下院議長職を勝ち取ったか(Five takeaways: How McCarthy won the Speakership

イアン・スワンソン筆

2023年1月7日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/3803662-five-takeaways-how-mccarthy-won-the-speakership/

ケヴィン・マッカーシー連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)が新しい連邦下院議長に就任した。この1週間、議場では15回もの投票が行われ、党内分裂が誰の目にも明らかな異常事態となった。

しかし、この騒動は、マッカーシー議員が分裂した共和党をどのように統率していくのか、また、政府予算や国の債務上限(debt ceiling)引き上げの時期が来た時、国にとってどのような意味を持つのか、それらについて疑問が生じている。

ここでは、これまで誰も見たことのないような狂騒のうちに誕生した連邦下院議長選挙について5つのポイントを紹介する。

(1)マッカーシーは反対派をけん制する(McCarthy picks them off

kevinmccarthy501

第118期連邦議会で連邦下院議長に選出されたケヴィン・マッカーシー連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)が人々の歓声に応える。2023年1月7日。

マッカーシーはこの1週間、民主、共和両党の有権者や批評家たちから、連邦下院で最も大きな丘を登る能力を疑問視され、次々と批判されてきた。

マッカーシーに対する反対派は動じる気配もなく、次々と票を失う中で、彼が必要な過半数を獲得できるのかどうか、多くの人が疑問に思った。

マッカーシーの戦術のいくつかは成功しなかったし、批判されるには理由があった。

2023年1月2日の非公開の会議で反対派に圧力をかけても誰も動かず、マッカーシー議員が批判派に対して議長の座を獲得するに決まっていると話すと、ローレン・ベイバート議員(コロラド州選出、共和党)が「くそ野郎!」と叫ぶなど激しい票読みの始まりとなった。

1回目の投票で19人の共和党所属の議員たちがマッカーシーに反対票を投じ、3回目の投票でバイロン・ドナルド連邦下院議員(フロリダ州選出、共和党)が反対者に加わり、その数は20人に膨れ上がった。

しかし、マッカーシーはこの間、実にたくましく対応しており、火曜日には「次から次へと投票がある中で戦うことを恐れていない」と発言していたが、その通りとなった。

マッカーシーは「戦う準備はできている」と公言し、週半ばには反対勢力との取引に向け、味方の議員たちとともに水面下で猛烈に働きかけた。その努力が実り、金曜日には、12回目の投票で反対派20人のうち13人が賛成に代わり、14回目の投票では更に1票が反対派から賛成に変わるという劇的な投票が行われた。 

その数時間後、連邦下院の議場で歴史的な前代未聞の瞬間が訪れた。

(2)マット・ゲーツが注目を集めた瞬間(Matt Gaetz gets his moment)

mattgaetz501

2023年1月5日(木)、第118期議会の3日目に連邦下院民主党の議員たちと話すマット・ゲーツ連邦下院議員(フロリダ州選出、共和党)

マッカーシーの政治的将来が、金曜深夜に近づくにつれ、マット・ゲーツ連邦下院議員(フロリダ州選出、共和党)の投票にかかるようになるとは、誰も予想しなかっただろう。

ゲーツ議員とマッカーシー議員との間の反目は、この1週間の投票の底流にあり、金曜日には、フロリダ州の共和党員であるゲーツは、マッカーシーを連邦下院議長職に就くために裏取引をしたと非難し、より個人的な反感が高まっているように見えた。

ゲーツはまた、「これは、計算し、集計し、絶対に回避できることをこの機関に課している人物の虚栄心の表れなのか?」と問いかけた。

しかし、マッカーシーは議長選挙で216票を確保し、あと1票で当選というところでゲーツの投票を待っていた。当時、マッカーシーが連邦下院で過半数を獲得するには217票が必要だった。

ゲーツは「賛否を示さない出席(present)」と発言した。結果として、マッカーシーが投票者の過半数を獲得するための基準を引き下がることになったが、ゲーツの投票では勝利するのに十分でなかった。

ゲーツと同席していたマッカーシーの信頼する盟友パトリック・マクヘンリー連邦下院議員(ノースカロライナ州選出、共和党)を含む議場の共和党所属議員たちは、マッカーシーのマジックナンバーをまだ確保していないことにすぐには気づかず、立ち上がって拍手喝采を送った。

ゲーツは考えを変えなかった。ゲーツの投票は「賛意を示さない出席」だった。

当初、マッカーシーにとって完全な災難に見えたが、その味方は月曜日まで議会を閉会させる投票に動いた。しかし、その閉会投票が行われると、別の切り替えが行われた。どうやら、共和党側のマッカーシーを非難する最終グループの6人全員が「賛否を示さない出席」票を投じるという取引が成立したようだ。

マッカーシーと他の共和党議員たちは閉会日に票を入れ替え、新たに議長選の投票が行われ、マッカーシーは再び216票を獲得したが、今度はそれで十分であった。ゲーツをはじめとする4人の共和党議員がベイバート議員に加わって「賛否を示さない出席」票を投じたことで、マッカーシーが過半数を確保した。

ゲーツは政治的なショーマンであり、カメラに映る時間を多く獲得し、その中心的存在となった

(3)この人たちはどうやって付き合っていくんだろうか?(How are these people going to get along?

michaeldrogers501

2023年1月6日(金)に連邦下院議長選挙の14回目の投票が実施された後、マイケル・D・ロジャース連邦下院議員(アラバマ州選出、共和党)は、ローレン・ベイバート連邦下院議員(コロラド州選出、共和党)とマット・ゲーツ連邦下院議員(フロリダ州選出、共和党)から引き離されている。

1枚の絵は1000の言葉に匹敵する(百聞は一見に如かず、Sometimes a picture is worth a thousand words)ということがある。

リチャード・ハドソン連邦下院議員(ノースカロライナ州選出、共和党)がマイク・ロジャース連邦議員(アラバマ州選出、共和党)の体をつかまえている写真(片手を肩に、片手を顎に置き、レスリングに近い動き)は、そうした写真の1つである。

この時のロジャースは、ゲーツと現在の自身の投票について話し合うか、彼の首を絞めるかのどちらかに興味があるように見えた。

この100年間、連邦下院議長の投票では見られなかった光景に、多くの共和党員たちが互いにどれほど不満と疲れと苛立ちを感じていたかを示す象徴となった。

今、連邦下院共和党は僅かな差で、この違いを埋めて、彼らがやりたいこと、監視、支出削減、国境警備強化のための戦い、これら全て行うために協力しなければならない。

1月15日の投票でマッカーシーが新議長に決まった後、団結をするようにと訴えられていた。

しかし、この連邦下院議長選出の戦いは、今後、法案や規則をめぐって共和党内で更なる争いが起こることを予感させるものでもある。

今週、マッカーシーが強いられた屈辱や、ゲーツなどの議員たちの行動に見られた大義名分に対して怨嗟の声が上がるだろう。

マッカーシーがこの騒動をどう処理するかは今後直面する厳しい試練の一つになるだろう。

(4)マッカーシーは勝利を収めるために多くのことを諦めた(McCarthy gave up a lot to win

kevinmccarthy502 

2023年1月6日(金)、連邦下院議長選挙の14回目の投票中のケヴィン・マッカーシー連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)。

連邦下院議長の座を勝ち取るために、マッカーシーは多くのルール変更と反対派への譲歩を提示しなければならなかった。特に、新議長の投票を強制することができる議長退任動議を1人の議員が出すことができるようにすることが重要だった。

マッカーシーと提携する委員会は、共和党の予備選挙における委員会の役割を制限すると述べ、保守派議員たちは、議場に提出される全ての法案を審議する連邦下院規則委員会を含む、より多くの委員会の割り当てを受けることになる。

マッカーシーはまた、歳出法案を公開規則で審議することに同意したが、これは実質的に基本的な予算措置の可決を得ることをかなり難しくするものである。

今週マッカーシーに反対していた共和党議員の多くは、政府支出(国内支出と国防総省の予算の両方)の削減を望んでいる。今回の規則改正は、理論的には彼らにそれを実行する力を与えることになる。

この譲歩はマッカーシーの力を弱めることになりそうだが、彼は公の場で、この譲歩によって連邦下院議長が弱体化するとの見方を否定した。

(5)債務上限をめぐる戦いが注目の戦いだ(The debt ceiling fight is the battle to watch

andybiggs501 

2023年1月5日(木)、ワシントンの連邦下院議会で10回目の投票中に、ケヴィン・マッカーシー連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)と話すアンディ・ビグス連邦下院議員(アリゾナ州選出、共和党)(右)。

連邦政府は歳入を上回る支出をしているため、連邦議会は長年にわたり、社会保障や医療保険から軍事費まであらゆる資金を調達するために、国の借入限度額を定期的に引き上げる必要がある。

債務上限を引き上げること自体は、新たな連邦政府支出の増加や承認にはならないが、連邦政府がより多く支出することを可能にする。

もし、債務上限が引き上げられなければ、連邦政府は支払いをすることができない。

2011年には、当時のバラク・オバマ大統領と共和党が過半数を握る連邦下院が何とか合意に至るまで、政府はデフォルト(default、債務不履行)に近い危険な状態に陥った。

次に債務上限を引き上げなければならないのは今年8月である。どのようになるかは誰にも分からないが、今後数カ月、ワシントンやウォール街では多くの神経がすり減ることになりそうだ。

今週、マッカーシーの議長選に反対していた共和党側議員の1人であるラルフ・ノーマン連邦下院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は水曜日、「マッカーシーは債務上限を引き上げるより、連邦政府を閉鎖することを望んでいるのだろうか?」と語った。ノーマンは更に「これは交渉の余地がない」とも述べた。

=====

マッカーシーの譲歩による連邦下院議長職獲得は驚きとなった(McCarthy concessions to win Speakership raise eyebrows

マイク・リリス、マイケル・シュニール、アル・ウィーヴァ―筆

2023年1月7日

『ザ・ヒル』

https://thehill.com/homenews/house/3803315-mccarthy-concessions-to-win-speakership-raise-eyebrows/

ケヴィン・マッカーシー連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)は、歴史的な投票失敗の週を経て、議長の当選に必要な支持を得るために、反対派からの一連の要求に屈することを余儀なくされた。

ほとんどの共和党連邦議員たちはマッカーシーの譲歩の重要性を軽視しているが、この変更はマッカーシー自身の指導力を犠牲にして一般議員に権限を与えるものであり、連邦下院の統治機能を麻痺させかねないという懸念も出てきている。

特に、1人の議員が下院議長を追放するプロセスを開始できるようにする今回の変更は、保守派の強硬派グループがマッカーシーに圧力をかけて重要な必須法案を維持するために繰り返し使用することを恐れている民主、共和両党の議員に胸焼けを与えている。

その結果、連邦政府が閉鎖され、債務不履行に陥り、連邦下院の事業が急停止するリスクが高まると彼らは言う。

ドン・ベーコン連邦下院議員(ネブラスカ州選出、共和党)は、「これは恐ろしい決断だ」と述べた。

ベーコン議員は「1人でも議場から退席の動きを推し進めればまたやることになる。毎週こんなことをするのはいかがなものか?」と、マッカーシーの下院議員当選を数日遅らせた内部抗争を引き合いに出してこのように語った。ベーコン議員は「こういう人が何人かいると将来的にそうなるのではないかと思う。連邦下院議長が弱体化し、最小会派が強化されることになるのだ」と語った。

マッカーシーの保守派の批判者たちの中には、国の債務上限(連邦政府が債務を支払うためにお金を借りることを認める)を引き上げるいかなる動きも、社会保障やメディケアなどの国の権利プログラムの削減を伴わなければならないと要求している者もいる。そして、新しい連邦下院規則パッケージの条項では、債務上限引き上げについて別途投票を行うことが義務付けられている。

チップ・ロイ議員(テキサス州選出)は、木曜日に連邦議会議事堂で記者団に対して、「債務上限引き上げには具体的な支出制限が必要だと考えている」と語った。

マッカーシーの反対派で、今回の譲歩で最終的に支持に回ったスコット・ペリー連邦下院議員(ペンシルヴァニア州選出、共和党)も「何事もなく進められる債務上限引き上げはありえない、それは間違いない」と述べた。

この要求は、民主党側の議員たちからの反発を招いた。民主党議員たちは、国のセーフティネット・プログラムを守りたいが、マッカーシーが保守派の意向に従えば、連邦債務不履行のリスクが高まることを恐れているのだ。

民主党側のある議員は、「もし彼らが債務上限を設定したら私たちは終わりだ」と述べた。

今週の長丁場の交渉を通じて、中道派の共和党所属の議員たちにとってもう1つの大きな懸念は、保守派が小委員会の権限を自分たちのものにしようとすることで、この案は既に小委員会の席についている議員たちを激怒させた。

ベーコンはこれを「成功の見込みがない(non-starter)」だと形容した。特に小委員会の委員になるために努力してきた穏健派共和党員の間で怒りが広がっている。

ベーコンは次のように語った。「連邦下院議長職やそのようなものについて話すのであれば、彼らはまだそれを獲得しなければならない状況にあるのだ。私はそれを獲得していないにもかかわらず指導的役割を担わせるという、最も小さな議連に対するアファーマティブ・アクション同様だと考えている。私たちは共和党側の実力を基礎にしたシステム(merit-based system)を信じている」。

2013年から連邦下院議員を務めているアン・ワグナー議員(ミズーリ州選出、共和党)は、連邦下院議長職の「年功序列プロセス(seniority process)」だと強調した。

「誰もが年功序列のプロセスを経て、両委員会の役職や議長職などを獲得していかなければならないのだ」とワグナー議員は語った。

共和党が第118期連邦議会の開幕に際して採用したその他の変更点は、それほど議論の余地のないものである。その中には、全下院議員の任期制限を設けるための議場投票の保証、修正案の公開手続き、連邦政府機関に対する新たな権限を議会に与えるいわゆるホルマンルールの採用、議場に入る前に議員が法案を読むために丸3日間を必要とする72時間ルールなどが含まれる。

これらの変更は、全て過去の時点で採用されている。そして、ほとんどの共和党側議員たちは、マッカーシーが議員職の見返りに多くを捧げ過ぎたという説を否定している。

マージョリー・テイラー・グリーン連邦下院議員(ジョージア州選出、共和党は)「そのようには感がない」と語った。グリーンは下院議長選でマッカーシーの最も有力な支持者の1人となった。

キャシー・マクモリス・ロジャーズ連邦議員(ワシントン州選出、ワシントン州選出)は、「これらの譲歩は私たちの話し合いで合意されたものであり、最終的には、より国民主導の立法過程につながると信じている。これは、より多くの権力と意思決定を議員に取り戻すことだ」と述べた。

ダン・クレンショー連邦下院議員(テキサス州選出、共和党)は、最初の規則パッケージの最小値である1人制と5人制の違いはほとんどないと述べ、1人制の空転動議についての懸念さえも軽視した。

クレンショー議員は「皆さん方はもう5人制で合意したのだろう。5人制と1人制で一体何が違うのか? 説明責任の問題だ。だから、みんなチームとして働こう、それが最善だ」と述べた。

マッカーシー自身も瀬戸際の交渉を擁護し、この重要な譲歩が彼を「弱い議長」にすることはないと断言している。

木曜日の夜、マッカーシー議員は記者団に対して、「これを恐れていたら、より弱い議長になるだけだ」と語った。「私は弱い議長になどならない」とも述べた。

マッカーシー議員は更に「前の議長を除いてはいつもそうだ。私はそれが結構なことだと思う」と付け加えて述べた。

しかし、民主党側は、カリフォルニア州選出の共和党議員であるマッカーシーが共和党右派対して提案したことは、彼の権威を低下させ、安定した統治を損なうと警鐘を鳴らしている。

前回と前々回の議会で下院議長として一人退席ルールを撤廃したナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は、その復活を「馬鹿げたことだ」と評した。

前多数党(民主党)院内総務のステニー・ホイヤー議員(メリーランド州選出、民主党)は、この協定は共和党の極右勢力にあまりにも大きな力を与えるものだと述べた。

ホイヤ―議員は次のように述べた。「彼は私が予想した以上のものを与えたと思う。この協定は、共和党の小さな、意志を持った一派、共和党の否定的な一派、ほぼ一様に妨害的な一派に、彼らが持つべき以上の権威を与えることになると思う」。

=====

「クラブ・フォ・グロース」とコークはフリーダム議連に資金提供(Club for Growth and Koch nurtured Freedom Caucus

アイザック・アーンスドーフ筆

2015年10月22日

『ポリティコ』誌

https://www.politico.com/story/2015/10/freedom-caucus-koch-club-growth-214973

最近、連邦下院をひっくり返した連邦下院保守派の反逆派の背後には、共和党の極右からおなじみの寄付者たちが何人か立っている。それが「クラブ・フォ・グロース(Club for Growth)」 とコーク・インダストリーズ(Koch Industries)だ。

非営利団体「センター・フォ・レスポンシヴ・ポリティックス(Center for Responsive PoliticsCRP)」と共同で行った本誌の分析によると、これらの強力な外部勢力は、ジョン・ベイナー連邦下院議長を追い出し、ケヴィン・マッカーシーが後継になることを阻止した共和党内グループである「連邦下院フリーダム連盟(House Freedom Caucus)」のメンバー37人の政治キャリアを育むのに一役買ってきた。

この分析によると、フリーダム議連のメンバーは、銀行や自動車ディーラーなど、伝統的に共和党候補を支持している業界から強い支持を受けてきた。しかし、議連のメンバー数は、共和党の重要な勢力として台頭し、時には保守的な原則をめぐって指導部と衝突する外部団体の影響力を示すものでもある。

各議員が報告した選挙運動およびリーダーシップPACへの寄付の金額を基に分析したところ、10万人の会員を持つ自由企業体制擁護団体「クラブ・フォ・グロース(Club for Growth)」の寄付額は177万ドルで、各議員が集めた総額1億7500万ドルの約1%に相当することが分かった。このクラブは、11人の議連メンバーにとって最大の寄付者であり、他のどの寄付者よりも多くのメンバーが寄付を受けた。

クラブ・フォ・グロースの広報担当者ダグ・サクトルベンは、本紙の取材に対して、最近の連邦下院での共和党指導部の混乱について、フリーダム議連に責任はないと述べた。サクトルベン「私たちの問題は、フリーダム議連の問題ではない。彼らは、選挙で訴えたことや有権者が投票したことを守っている。問題なのは、エスタブリッシュメントと指導部だ」と発言した。

指導者争いの中で、クラブはベイナー議員傘下のPACから「自分たちの信じる原則を守るために」攻撃を受けている保守派議員たちへの支援を公に表明していた。

カンザス州ウィチタに本社がある石油・ガス複合企業のコーク・インダストリーズは、現在フリーダム議連と提携しているメンバーたちに長期にわたり、総額で59万9400ドルを献金してきた。同社のPACとコーク社の従業員からの個人献金を合わせると、カンザス州選出のティム・ヒュールスカンプ連邦下院議員にとっての第2位の献金者となった。しかし、今回の分析では、フリーダム議連メンバーへの全体では2番目に大きな寄付をするのに十分な資金をばらまいていることが分かった。今回の分析では、コーク兄弟が築き上げた政治団体の幅広いネットワークはカヴァー仕切れておらず、これらはまとめて共和党候補への主要な資金源として発展してきた。

コーク PACのスポークスマンであるケネス・P・スペインは、同団体はフリーダム議連だけでなく、たくさんの共和党所属の議員たちに寄付していると述べた。CRPがまとめたデータによると、2014年のサイクルで1080万ドルを寄付していた。

この1カ月間、宮廷内の陰謀(palace intrigue)の中で、メンバーの名前を秘密にしているフリーダム議連は、党のどの派閥、グループが連邦下院指導部を支配するかをめぐる争いで影響力のある勢力として浮上してきた。連邦下院議長候補と目されているポール・ライアン連邦下院議員は、フリーダム議連が賛同し、ベイナー議員に対して脅した手続き上の戦術を諦めることに同意する場合のみ、連邦下院議長の座を望むと述べた。

共和党内部のエスタブリッシュメント派は、フリーダム議連が共和党のビジネス界の同盟者を軽視し、ひいては党の資金調達と多数派拡大への努力を軽視していると見て、不満を募らせている。しかし、クラブ・フォ・グロースやコーク・インダストリーズのような反体制的な資金提供者たちとの結びつきは、この集団がそれなりの資金基盤を持っていることを示唆している。

アメリカ商工会議所(UCC)は、この強力な勢力を排除するため、予備選挙の挑戦者を支援すると宣言している。

ベイナーのスタッフからロビイストに転身したある人物は次のように述べている。「昔は、党組織や経済界がもっと大きな影響力を持っていた。今、フリーダム議連は、ワシントンのグループは自分たちに献金しないと言って、ワシントン以外からもっと金を集められる。経済界は、この人たちと話をして、関係を構築する方法を考えるべきだ。今、彼らは共和党の未来を担っているように見えるからだ」。

業種別では、フリーダム連邦の寄付者の7%が退職者、次いで医療従事者(5%)と分析されている。

『ポリティコ』誌とCRPの分析によると、このブロックで最も資金調達に成功したのはニューメキシコ州のスティーヴ・ピアース連邦下院議員で、キャリアを通じて1690万ドル(クラブ・フォ・グロースから34万7867ドル、コーク・インダストリーズから86000ドルを含む)を稼ぎ、現職下院議員の中で38位にランクされた。ニュージャージー州のスコット・ギャレット連邦下院議員は1360万ドル(コーク・インダストリーズから7万2500ドルを含む)で69位と続く。

この分析は、選挙運動へのハードマネーによる寄付のみを対象としており、これらのレースにおける候補者の賛否を問わない独立した支出は反映されていない。

フリーダム議連への献金者の上位5位は、アメリカ銀行協会、全米自動車販売店協会(連邦議会への寄付額ではトップクラス)、エヴリ・リパブリカン・イズ・クルーシャルPACEvery Republican is Crucial PACERICPAC)で、エリック・カンター連邦下院多数派(共和党)院内総務がヴァージニア州選出のデイヴ・ブラット連邦下院に失脚させられる前に協力していた諸団体である。

アメリカ銀行協会の連邦議会関係・政治問題担当のジェームズ・バレンティン執行副会長は次のように述べている。「アメリカ銀行協会は、新人議員から議会指導部、その間にいる全ての議員に至るまで、通路の両側の議員たち(民主、共和党両党)と協力してきた長い歴史がある。これらの議員の中には、偶然にも、全米の銀行にとって重要な数々の施策を支持している議員たちもいる」。

ケネス・P・ヴォーゲルはこの記事の作成に貢献した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 「リズ・チェイニーとは誰だ?」という人も多いだろう。アメリカ政治に詳しい人なら既にピンと来ているだろうが、苗字から推測される通り、ジョージ・W・ブッシュ(子)政権で副大統領を務めたディック・チェイニーの娘である。現在、ワイオミング州選出の連邦下院議員を務めている。

 私は新著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』の第三章で、共和党内部の分裂について取り上げ、このリズ・チェイニーについてかなり詳しく取り上げた。それは、ドナルド・トランプがCPACという政治集会で、ワシントンに巣くう共和党エスタブリッシュメントとして、ミッチ・マコーネル連邦上院議員(ケンタッキー州選出)とリズ・チェイニーの名前を挙げたからだ。リズはエスタブリッシュメントを代表する議員ということになる。

 共和党に属する連邦上院、連邦下院の議員たち、特に2022年(もう来年だ)は、トランプからの支持を欲している。連邦下院議員は全員が2年おきに選挙があるので、いつもいつも選挙に追いまくられているということになる。現在の共和党の支持者の中に、トランプ支持者が多い。トランプに嫌われたら、落選する可能性が高い。

 リズは反トランプ姿勢を鮮明にしている議員だ。そのことが、トランプ支持の同僚議員たちを苛立たせている。今回の動きだけでなく、昨年の11月の選挙直後から、フリーダム議連(トランプ派の議員連盟)がリズを共和党指導部(リズは議員会長を務めている)から追い落とそうとして動いている。また、リズがトランプ弾劾に賛成票を投じたことで、地元の共和党支部からは非難声明が出された。

 リズ・チェイニーをめぐる共和党の動きは、共和党内部の分裂の最前線ということになる。

(貼り付けはじめ)

マッカーシー:連邦下院共和党はチェイニーが職務を遂行できないのではと「懸念」している(McCarthy: House Republicans 'concerned' Cheney can't carry out her job

ミカエル・スキネル筆

2021年5月4日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/551657-gop-leader-tells-fox-members-concerned-cheney-cant-carry-out-her-job

連邦下院少数党(共和党)院内総務(House Minority Leader)であるケヴィン・マッカーシー連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)は火曜日、共和党所属の連邦下院議員たちは、リズ・チェイニー連邦下院議員(ワイオミング州選出、共和党)の共和党所属連邦下院議員会会長としての職務を実行する能力があるかどうか、疑問を持っていると述べた。連邦下院共和党は徐々にチェイニーの反トランプ姿勢について妥協できなくなってきている。

「フォックス・アンド・フレンズ」に出演し、司会者のスティーヴ。ドーシーが、共和党の政治家や支持者たちは、トランプ弾劾に賛成票を投じたチャイニーが指導部にいることについて不満を持っているという報道が出ていることについて質問された際、マッカーシーは、彼女に対する懸念は弾劾での投票についてではなく、共和党としてのメッセージを発する能力についての懸念なのだと答えた。

マッカーシーは次のように述べた。「彼女がダン台でどのような投票をしたかについての懸念はないのです。それはもう既になされたことで、決定が覆ることはないのです。私が同僚議員たちから聞かされているのは、共和党連邦下院議員会会長としての職務を遂行する能力があるのかどうかについて懸念です。彼女は共和党としてメッセージを発信できるのかどうかについて懸念があるのです」。

マッカーシーは続けて次のように述べた。「連邦下院で共和党が過半数を勝ち取るには、私たちは一つになって努力する必要があるのです。よろしいいですか、過半数の議席というものは、待っていれば自然と与えられるというものではありません。自分たちで勝ち取るものなのです。前進するということについてメッセージが必要となるのです」

マッカーシーは更に、連邦下院共和党は、「お互いを攻撃し合うのではなく、まとまって前進するためにはどうしたらよいか」について懸念を持っていると述べた。

チェイニーの報道担当はマッカーシーの発言に対応し、次のような声明を発表した。「チェイニー議員は2020年の選挙に関する“嘘を容認”しないし、2021年1月6日の連邦議事堂進入事件について“ごまかし”もしない。この問題は、マッカーシー議員が院内総務として、議員会長と共に対応していく問題だと述べたものだ」。

リズ・チェイニー議員の報道担当ジェレミー・アドラーは本誌の取材に対して次のように答えた。「これはつまり、共和党が全体として2020年の選挙に関する嘘を容認し、2021年1月6日の連邦議事堂進入事件をごまかし続けるのかどうかの問題だ。リズはそのようなことに加担しない。それが問題とされている」。

共和党内部でチェイニーの反トランプ姿勢について不満が高まり、共和党指導部から排除しようという動きが出ているという報道がなされる中、両者のコメントが発表された。

ある共和党所属の連邦議員は、「彼女をめぐる状況は悪化している」と述べた。

チャイニーはそれでも、彼女の姿勢を和らげる計画があることを示してはいない。月曜日、1月6日の事件についてトランプをこき下ろし、閉ざされたドアの後ろにいて安全を確保しながらの彼の行動は「越えてはいけない線を越えてしまった」ものだと述べた。

月曜日午前、チェイニーは、トランプが繰り返し、選挙は盗まれたという誤った主張をづけていることについて公の場でトランプを非難した。

(貼り付け終わり)
akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ