古村治彦です。
2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』が発売になります。是非手に取ってお読みください。
米コロラド州の最高裁判所は、2024年の大統領選挙共和党予備選挙のコロラド州の選挙で、ドナルド・トランプ前大統領が候補者としての資格がない、力行方ができない、投票用紙に名前が載せられないという判決を下した。判事7名の投票で賛成4,反対3で判決が出た。私は、最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)で、アメリカ政治の分析も行った。そして、民主党からは現職のジョー・バイデン大統領が出て、共和党からはドナルド・トランプ前大統領が候補者に選ばれて、本選挙が戦われるが、バイデンが合法・非合法、あらゆる手段を尽くして勝利して、再選すると私は書いた。今回のコロラド州の最高裁の判決はその1つである。
今回のコロラド最高裁の判決の根拠は、アメリカ合衆国憲法修正第14条第3節「アメリカ合衆国議会議員、国の機関の役人、州議会議員、あるいは州の行政及び司法の役人として、アメリカ合衆国憲法を支持することを以前に誓い、かつそれらに対する反乱に加わった者あるいはその敵に対して援助や同調した者は、アメリカ合衆国下院または上院議員、大統領および副大統領の選挙人、あるいは国または州の公的、軍事的役職に就くことはできない。ただし、アメリカ合衆国議会が各院の議席の3分の2以上で決した場合は、その禁止規定を排除する」である。「ドナルド・トランプがアメリカに対する反乱に加担し、援助したから公職(大統領)に就く資格がない」ということである。
トランプが反乱に加担し,援助したというのは、2021年1月6日のアメリカ連邦議事堂にトランプ支持者たちが乱入し、死傷者が出た事件を指す。トランプが実際に支持者たちを引き連れて、議事堂内に乱入してはいないが、「教唆(incitement)」があったというのが、トランプ反対派の主張である。裁判で、トランプによる「教唆」を厳密に証明することは大変に難しい。しかし、今回のコロラド州最高裁はそうした証明をすっ飛ばして、「トランプが反乱に加担した」と認定した。これは司法手続きの正当性もないがしろにするものだ。そして、特定の人間の参政権を奪うということで、アメリカの民主政治体制の根幹も揺るがすものである。
今回のコロラド州最高裁の判決の効力は、「コロラド州で実施される大統領選挙共和党予備選挙」に限定されるものだ。トランプの立候補資格の差し止めは、ニューハンプシャー、ミネソタ、ミシガンの各州でも裁判が起こされていたが、いずれも差し止めには至っていない。このような異常なことを求める裁判が全米各地で起こされて、裁判合戦になることは、共和党予備選挙の実施の妨害にもつながる。このような裁判を起こしているのは、リベラル派の「ワシントンの責任と倫理のための市民(Citizens for Responsibility and Ethics in Washington、CREW)」という政治監視団体だ。この団体は、トランプ政経時代から、トランプをターゲットにして活動してきた。非営利団体で、政治活動に制限があるはずなのに、このような政治活動を行っていることについて批判がある。
「ジョー・バイデンを勝たせるためには何でもする」「人気がないバイデンは普通にやっていたのでは勝てないので何でもやる」というのが、民主党だけではなく、アメリカの原稿の国内体制から利益を得ている人々のコンセンサスである。しかし、こうして、司法手続きの正当性や民主政治体制(デモクラシー)の正当性を傷つける行為が続けば、アメリカのデモクラシーは崩壊する。そうなれば行きつく先は、アメリカの国家解体(分裂)である。
(貼り付けはじめ)
【米大統領選2024】 トランプ氏の立候補資格を認めず コロラド州最高裁
BBC JAPAN 2023年12月20日 15時19分
https://www.bbc.com/japanese/67769200
米コロラド州の最高裁判所は19日、ドナルド・トランプ前大統領について、来年の大統領選の同州予備選に立候補することはできないとの判断を示した。反乱に関する憲法の修正条項を理由とした。
州最高裁は4対3で、トランプ氏に大統領選の州予備選の候補者となる資格はないと判断した。
大統領候補の資格の剥奪に、合衆国憲法修正第14条3項が使われたのは初めて。同項は、憲法の擁護を宣誓して公職に就いた者について、アメリカに対する反乱や謀反に関わった場合は再び公職に就くことを禁じている。
トランプ氏を投票の対象から除外する試みは、これまでもニューハンプシャー、ミネソタ、ミシガンの各州であったが、どれも失敗に終わっていた。
この日の判断は上訴が可能。最も早くて来月4日までは効力をもたない。
コロラド州以外には適用されないほか、来年3月5日の共和党の州予備選にのみ適用される。ただ、11月の大統領選に影響を与える可能性はある。
トランプ氏側は、連邦最高裁に「速やかに上告する」としている。同裁判所は保守派が6対3で多数派となっている。
●州地裁の判断を覆す
コロラド州では地裁が先月、憲法修正第14条の禁止規定は大統領には適用されないとの判断を示していた。大統領について明記していないというのが理由だった。
ただ地裁は、トランプ氏が2021年1月の連邦議会襲撃に加わったと認定した。この襲撃では、トランプ氏の支持者らが、ジョー・バイデン大統領の大統領選での勝利を承認中の議会になだれ込んだ。
州最高裁の今回の判断は、地裁の判断を覆すものとなった。
州最高裁の判事らは判決文で、「私たちは気軽な気持ちでこの結論に達してはいない。眼前の問題の大きさと重さに留意している」と説明。「同様に私たちは、法を適用する厳粛な義務にも留意している」とした。
反対意見を述べた判事3人の1人、カルロス・サムール判事は、「候補者について過去に恐ろしい行為を犯したと確信しても、たとえそれが反乱への関与であっても、公職に就く資格を剥奪すると私たちが宣言する前に、適正な手続きが必要だ」と書いた。
●トランプ陣営は判決を非難
トランプ陣営の広報担当のスティーヴン・チャン氏は声明で、今回の判決を「まったく欠陥がある」と批判。判事(全員が民主党の知事による任命)を非難した。
チャン氏はまた、与党・民主党の指導者らについて、「失敗したバイデン政権を信頼していないが、アメリカの有権者が来年11月にバイデン政権を退陣させるのを阻むことに全力を尽くしている」とした。
トランプ氏は判決が出た後、アイオワ州で演説したが、判決には触れなかった。
●原告は歓迎
再選を目指すバイデン氏の選挙陣営は、今回の判決に関してコメントを避けた。
ただ、陣営に関わっている民主党幹部は、今回の判決は連邦議会襲撃が反乱未遂だったとする民主党の主張を支えるものであり、同党の助けになるだろうと、BBCが提携する米CBSに話した。
野党・共和党の議員らは、今回の判決を非難している。マイク・ジョンソン下院議長は判決を「見え透いた党派攻撃」と非難した。
「政治的な所属に関係なく、投票権のあるすべての国民は、前大統領であり、かつ共和党予備選に関するすべての世論調査でリードしている人物を支持する権利を否定されるべきではない」
この裁判を起こした 監視団体「ワシントンの責任と倫理のための市民(CREW)」は判決を歓迎。
ノア・ブックバインダー代表は「歴史的で正当であるだけでなく、私たちの国の民主主義の未来を守るために必要なものだ」との声明を出した。
トランプ氏は前回の大統領選では、コロラド州で大差で敗れた。
トランプ氏は現在、4件の刑事裁判で被告となっている。うち2件は、ジョージア州で選挙結果を覆そうとしたとして、連邦政府と州政府の検察がそれぞれ起訴したもの。
(英語記事 Trump disqualified from 2024 ballot
in Colorado)
(貼り付け終わり)
(終わり)
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