古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ジェイムズ・コミー

 古村治彦です。

 

 アメリカのドナルド・トランプ大統領が、2017年5月9日、ジェイムズ・コミーFBI長官を解任しました。解任の際にトランプ大統領がコミー長官に宛てた書簡では、「司法長官と副長官の助言と勧めを受け入れて」解任すると書かれています。

 

 ジェフ・セッションズ司法長官とロッド・ローゼンスタイン司法副長官の助言による

 

ロッド・ローゼンスタインは司法省生え抜きで、ペンシルヴァニア大学を優等で卒業し、ハーヴァード大学法科大学院に進学し、学内誌『ハーヴァード・ロー・レヴュー』の編集に携わりました。バラク・オバマ大統領もこの雑誌の編集に携わりました。大変優秀な人物で、地区検察官も務めました。

 

FBIは捜査機関で、彼らの捜査した内容で起訴するかどうかを決めるのが司法省です。ですから、司法省は検察の役目を果たしています。ヒラリーのケースでは、FBIのコミー長官がヒラリーについて2016年7月6日に「大変不適切な対応はあったが、起訴するには至らない」という助言と勧めを当時のロレッタ・リンチ司法長官に送り、それが採用される形になりました。その後、2016年10月28日になって、別件(アンソニー・ウェイナー元連邦下院議員[ヒラリーの側近フーマ・アベディンの夫]の事件)で捜査中に、ヒラリーの私的Eメールサーヴァー使用に関して、新たなEメールが発見されたということをコミー長官は議会に報告する形で公表しました。

 

 昨年の大統領選挙では、民主党のヒラリー・クリントン元国務長官が下馬評では圧倒的に有利とされ、トランプは劣勢を強いられていました。7月に不起訴の決定がなされた後、トランプ陣営にもスキャンダルが出て、決定打にはなりませんでした。しかし、10月28日に新たなEメールが発見されたという報道がなされ、これがヒラリー陣営にとっては、後から考えると大打撃となりました。

 

 今回、司法省のジェフ・セッションズ長官、ロッド・ローゼンスタイン副長官は、昨年10月28日のFBIの捜査情報の連邦議会送付と公開を問題にしました。これについて「やってはいけない行為」とし、「それについて悪いと思っていない」という点を問題視し、コミー長官を解任しました。

 

 しかし、考えてみると、コミー長官はやるべきことをやった訳ですし、トランプ陣営からすれば、ある意味で、最大の功労者と言うことができます。また、政権が発足して100日以上経過しての突然の解任、しかも、コミー自身は、解任を出張先のロサンゼルスでテレビの速報で知ったということで、このような解任の仕方は、コミーを辱める行為ですが、トランプ政権は敢えてこれを強行しました。

 

 5月3日の連邦議会での公聴会で、コミー長官が、選挙の結果に影響を及ぼしたと思うと、吐き気がするほどだが、私(たち)は間違っていなかったと発言しました。これが突然の解任のきっかけとなったということでしょう。

 

 ここで考えられるのは、FBIが現在、トランプ陣営とロシアとの関係について捜査を行っているという点に何か関連しての突然の解任ではないかということです。コミー長官が「虎の尾を踏んで」しまって、急きょ解任されたという可能性が考えられます。FBIの捜査に関しては、司法省もホワイトハウスもコントロールすることは建前上はできませんから、ヒラリーの捜査情報を連邦議会に送付したコミーが、同じことを再びやるということも考えられるので、慌てて懲罰的な形で解任したということが考えられます。

 

 また、逆の面から見れば、コミーは、ヒラリー落選の最大の戦犯ということになります。ヒラリー陣営や民主党側は、コミーの首を取りたいと考えています。これを代わりに実行したのがトランプと言うことになります。しかも懲罰的に、です。これは、トランプが、ヒラリーの事件をこれ以上蒸し返して、彼女を犯罪者にはしないというメッセージにもなりますし、民主党にも肯定的なメッセージを送ったことになると考えます。

 

 ジェイムズ・コミーFBI長官はとても苦しい経験をしたと言えます。アメリカの方向性を変えた人物となりました。彼は彼なりに職務を忠実に遂行したと言えますが、政治の空白地帯に落ちてしまい、民主、共和両党、ヒラリー、トランプ両陣営の攻撃対象になってしまいました。この点で、コミーは稀有な存在となりました。理不尽な人間悲喜劇の主人公となってしまったと言った方が良いかもしれません。

 私が最後に思ったのは、これは、連合国総司令官ダグラス・マッカーサーの解任に匹敵するものだということです。FBI長官と言えば、エドガー・J・フーヴァーのように、時の大統領の弱みを握って、長く力を保持することも可能ですが、大統領が解任と決めたら、ただの人になってしまいます。民主政治体制におけるシヴィリアンコントロールと権力の抑制と分立ということを改めて認識させられます。

 

(貼りつけはじめ)

 

●「米大統領、FBI長官を解任=メール問題対応「重大な誤り」―捜査妨害と反発も」

 

時事通信 2017年5月10日

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170510-00000012-jij-n_ame

 

トランプ米大統領は9日、連邦捜査局(FBI)のコミー長官(写真)を解任した。クリントン元国務長官のメール問題に関するコミー氏の判断は「重大な誤り」だったとして司法省が長官交代を進言、大統領も受け入れた

 

 【ワシントン時事】トランプ米大統領は9日、連邦捜査局(FBI)のコミー長官を解任した。

 

 ホワイトハウスによると、先の大統領選中、民主党候補クリントン元国務長官の私用メール問題に関する捜査情報を公表したコミー氏の判断は「重大な誤り」だったとして司法省が長官交代を進言、大統領も受け入れた。

 

 大統領はコミー氏への解任通知で「FBIへの国民の信用と信頼を回復できる新しい指導者を見つけることが不可欠だ」と強調した。ただ、FBIは現在、トランプ陣営とロシア政府が結託してクリントン氏の選挙戦を妨害したのではないかという疑惑を捜査している最中で、民主党を中心に捜査妨害だと反発する声も上がっている。

 

 メール問題を捜査していたコミー氏は昨年75日、異例の記者会見を開いてクリントン氏の不訴追を発表。大統領選が11日後に迫った同1028日には、新しい証拠が見つかったとして連邦議会に捜査再開を通知した。いずれの対応も大統領選に不当な影響を与えたと批判を受けたが、コミー氏は53日の議会公聴会で「今でも正しい選択だったと信じている」と語っていた。

 

 ホワイトハウスによれば、ローゼンスタイン司法副長官はセッションズ司法長官に宛てた覚書で、コミー氏の対応は「検事や捜査官が教科書でしてはならないと教わる典型例」と指摘。「誤りだと認めないことも理解できない」と公聴会での発言も批判した。

 

 これを受け、セッションズ氏は大統領への書簡で「FBIには新鮮なスタートが必要だ」と助言。大統領は声明に「きょうが法執行機関の至宝の新しい始まりだ」と記した。発表に先立って大統領は民主党幹部にも電話し、解任の決断を伝達。これに対し、シューマー上院院内総務は、進行中の捜査が滞りかねないとの観点から「大きな間違いだ」と懸念を伝えた。

 

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●「大統領選への影響「いささか吐き気がする」 FBI長官」

 

BBC News 2017年5月4日

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170504-10001777-bbcv-int

 

米連邦捜査局(FBI)のジェイムズ・コーミー長官は3日、上院司法委員会のFBI監査公聴会で証言し、昨年の大統領選直前にヒラリー・クリントン氏の私用メールサーバー問題について捜査していると公表したことについて、議員たちの追及に答えた。長官は、FBIが選挙結果に影響を与えたかもしれないと思うと「いささか吐き気がする」と述べつつ、今でも正しい判断だったと思っていると述べた。

 

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●「米大統領、FBIを名指し非難=メディアに情報「漏えい」」

 

時事通信 2017年2月25日

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017022500031&g=use

 

 【ワシントン時事】トランプ米大統領は24日、ツイッターに「連邦捜査局(FBI)は、国家安全保障に関わる『漏えい者』を止めることが全くできていない」と書き込んだ。内部情報に基づく報道に関し、組織を名指しして情報管理の甘さを糾弾した。

 

 トランプ氏は、投稿で「機密情報がメディアに渡っており、米国に破壊的な影響を及ぼしかねない」と主張。「今すぐ(漏えい者を)見つけろ!」と調査を求めた。

 

 トランプ政権では、フリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)が就任前に駐米ロシア大使と対ロシア制裁について話していたことが発覚して辞任。トランプ氏は15日の記者会見で、「情報機関から(フリン氏に関する)ペーパーが漏えいした。犯罪行為だ」と非難していた。(2017/02/25-00:40

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)





アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22


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 古村治彦です。

 

 ヒラリーのEメール問題が急展開し、選挙戦が混戦になりつつあります。ヒラリーは支持率を落とし、トランプが支持率を上昇させている展開です。

 

 民主党側では、FBIに対して、「そのようにもったいぶらないで、問題のEメールを公開してすべきだ」と主張しています。これは、ヒラリーのEメールではなく、フーマ・アベディンのEメールが問題なのであり、ヒラリーは無関係、逮捕されるとすれば、アベディンだという恐るべき「トカゲの尻尾切り」ということになります。

 

 そうした中で、冷静なのはジョー・バイデン副大統領です。バイデンは、昨年後半、民主党予備選挙に出馬するかどうかを検討し、結局取り止めましたが、もし出ていれば、ヒラリーの予備選挙の勝利はなかったでしょう。私もバイデンが出ればよいのにと思っていました。バイデンが出ていれば、トランプを応援することもありませんでした。

 

 バイデンはさすがに向きになって慌てるそぶりも見せずに、冷静に対応しています。それどころか、ヒラリーとヒラリー陣営を突き離している感じさえします。コミーFBI長官は誠実な人物(共和党だけど、だからと言って仕事をするのに党派の影響はない)だとし、ウェイナーについては否定的な見解を述べ、更に、Eメールの公開もできるだけ早くやるように求めるという感じです。

 

 ヒラリー陣営は、大統領当選の暁には、バイデンを国務長官に起用しようと考えているようですが、バイデンはそれを望まないと発言しました。バイデンとヒラリーでは外交に関する考えが全く違うのですから、取り込まれて国務長官になってしまえば、苦しい立場に追い込まれてしまい、自分の考えを捨てねばならないことにもなりかねません。

 

 下の記事を見ていると、バイデンはヒラリーを突き離している、そのように感じられます。

 

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バイデン:私はアンソニー・ウェイナーを「大好きという訳ではない」(Biden: I'm 'not a big fan' of Anthony Weiner

 

ポウリナ・フィロジ筆

2016年10月28日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/news/303419-joe-biden-im-not-a-big-fan-of-anthony-weiner

 

ジョー・バイデン副大統領は、民主党所属の元連邦下院議員アンソニー・ウェイナーについて、「私は彼が大好きという訳ではない」と述べた。

 

土曜日にCNNで放映されたインタヴューの中で、バイデンは、ヒラリー・クリントンの私的Eメールサーヴァーの捜査に影響を与える可能性があるFBIが発表した新たに発見されたEメールについて質問された。

 

バイデンは、「私はそれらのEメールがどこから見つかったのか分からないのです」と答えた。

 

「アンソニー・ウェイナーからであることは明白です」とCNNのマイケル・スマーコニッシュと語った。

 

バイデンは、「おや、アンソニー・ウェイナーですか。私はアンソニー・ウェイナーについてコメントしません。私は彼が大好きという訳ではありません。彼がトラブルを起こす前、彼について知りませんでした。だから、私はアンソニー・ウェイナーについてコメントしません」と述べた。

 

金曜日にヒラリーに対する捜査が新たに始まるというニュースが出た後、『ニューヨーク・タイムズ』紙がウェイナーの性的なメッセージに関するスキャンダルについての全く別の捜査を通じて、ヒラリーのEメール捜査に関連するEメールを発見したと報じた。

 

ウェイナーは2011年に不名誉な行いで連邦下院議員を辞職した。彼は、ソーシャルメディアを通じて複数の女性に性器が写った写真を送った。

 

ウェイナーは最近になって、ヒラリーの側近中の側近である妻フーマ・アベディンと別居した。彼が別の性的な写真を送ったというスキャンダルが起きた後、2人は別居を決めた。

 

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バイデン:コミーは「厳しいが誠実な人物」(Biden: Comey is ‘tough’ but ‘straight’

 

マローリー・シェルボウナー筆

2016年10月29日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/303425-biden-comey-is-tough-but-straight

 

土曜日、ジョー・バイデン副大統領は、FBI長官のジェイムズ・コミーは、ヒラリー・クリントンに対して公正な怠惰を態度であろうと確信していると述べた。バイデンは、コミーを「厳しいが誠実な人物」と語った。

 

金曜日、コミーは連邦議会に書簡を送り、FBIがヒラリーの私的なEメールサーヴァー使用の捜査に関連する新たなEメールを発見したと報告した。

 

バイデンは、CNNのマイケル・スマーコニッシュに対して、コミーが不公正なことをすることはないと語り、その点は全く心配していないと述べた。

 

バイデンは「私は彼が誠実な人物であることをよく知っています。彼は共和党員ですが、職務に対しては常に誠実で党派に左右されることはありません。私は彼の誠実さで状況が良くなるであろうと確信しています」と述べた。

 

バイデンは、コミーFBI長官に対して、Eメールを公開するように促した。

 

バイデンは「FBIEメールを公開して人々がそれを見るのが早ければ早いほど、上京はより良くなると思います」と語った。

 

ヒラリーとヒラリー選対は、コミーに対して、有権者に対して新しい捜査について完全な透明性を確保するように求めている。

 

バイデンは、コミーの書簡が存在するとあらかじめ知らなかったのだと語った。

 

バイデンは「私はコメントすることを許されていません。私はコミーの書簡について何も知らないのです。今日になって初めて知ったんですから」と語った。

 

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バイデンがクリントン政権に参加することに関心を持っていないと語る(Biden says he's not interested in serving in Clinton administration

 

2016年10月28日

ロイター通信

http://www.reuters.com/article/us-election-biden-idUSKCN12S2MS

 

ジョー・バイデン副大統領は金曜日、ヒラリー・クリントンが大統領に選ばれた場合に、彼女の政権に参加することについて関心を持っていないと語った。

 

バイデンはミネソタ州デュラスで、NBC系列のテレビ局のインタヴューに答え、その中で「ヒラリーが大統領に選ばれた場合に、彼女を手助けするために私は何でもするつもりですが、政権内に留まることは望みません」と語った。

 

木曜日、『ポリティコ』誌は、ヒラリー選対が11月8日の選挙で勝利した場合に、バイデンを国務長官に起用することを検討していると報じた。

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ヒラリー・クリントンの国務著刊候補のトップにバイデンの名前(Report: Biden on top of Clinton's short list for secretary of State

 

ハーパー・ニーディグ筆

2016年10月27日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/hillary-clinton-joe-biden-secretary-of-state

 

ヒラリー・クリントンは選挙に当選した場合に、ジョー・バイデン副大統領を国務長官に指名することを考慮している、と『ポリティコ』誌が報じた。

 

ヒラリーの政権移行ティームの近いある人物は、ポリティコ誌に対して「バイデンは素晴らしい候補になりますね。彼らは選挙に通った場合に、彼を説得するための最高の方法を考えるために時間をかけていますね」と語った。

 

この人物は、バイデンにはまだこの話は知らされていないと語った。

 

2009年に副大統領に就任する前、バイデンは36年にわたり連邦議員を務め、連邦議員の任期が終わるまで、複数回にわたり、連邦上院外交委員会の委員長を務めた。

 

バイデンとヒラリーは、ヒラリーの国務長官在任中に外交政策に絡んで衝突したと報じられた。ヒラリーは介入主義的な方策を主張し、一方バイデンは国際問題に関して、現実主義的な、アメリカが介入しない方策を主張した。

 

昨年、バイデンは民主党の大統領選挙予備選挙への出馬を考慮したことがあった。この時、ヒラリーの私的なEメールサーヴァー使用に関しての騒ぎは既に起きていた。しかし、結局、バイデンは出馬しないという決定を下した。

 

その他に名前が挙がっているのは次のような人々であった。元国務次官ウェンデイ・シャーマン、元国務副長官ビリー・バーンズ、ジョージ・W・ブッシュ政権の国務次官であったニック・バーンズ、クリントン政権の国務副長官カート・キャンベル、ヒラリーが副大統領候補として考えたと報道された元海軍提督のジェイムズ・スタヴリディアスといった人々の名前が挙がっている。

  

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 古村治彦です。

 

 ジェイムズ・コミーFBI長官は日曜日、新たに発見されたEメールの調査を行い、今年7月に出した、ヒラリー・クリントンの国務長官在任中の私的Eメールサーヴァー使用問題について刑事訴追すべきではないという結論を覆すには至らなかったという発表を行いました。

 

 ウェイナーのコンピューターに残っていたEメールの数は約65万通ですが、その中からフーマ・アベディンのEメールを見つけ出し、機密情報が含まれているものを更に洗い出して、それを調査するということを10月28日の書簡でコミーFBI長官は議会に報告しました。その結果が1週間程度で出て、「何もありませんでした」ということになりました。

 

 司法省とFBIの最高幹部たちは、現場からの突き上げに一度は屈したように見せながら、結局、それを抑え込んでしまったということでしょう。これでヒラリーの当選の可能性が少し上がりました。しかし、当選してから茨の道が待っていることは間違いありません。

 

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FBI:クリントンEメール問題の捜査で新しい結論に達せず(FBI: No new conclusion in Clinton email investigation

 

マロリー・シェルボーン筆

2016年11月6日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/304587-house-oversight-chairman-fbi-has-not-changed-conclusions

 

ジェイムズ・コミーFBI長官は日曜日、FBIは、ヒラリー・クリントンの国務長官在任中の私的Eメールサーヴァー使用に関して、7月に下した刑事訴追に相当しないという結論を変えない、と発表した。

 

この発表は選挙の投開票日直前の2日前に出された。The announcement comes just two days before Election Day, following harsh criticism of Comey for his Oct. 28 letter on the latest portion of the investigation.

 

コミーは次のように述べた。「私の所管の存在が明らかになってから、FBIの捜査ティームは、ヒラリー・クリントンの件とは全く別の刑事事件の捜査と関連して押収した機械装置から取り出した大量のEメールを夜となく昼となく調査し、分析し続けてきた」。

 

「この調査の過程で、私たちはヒラリー・クリントンが国務長官に在任していた間に、彼女から発せられた、もしくは彼女宛てに届けられた全てのやり取りを調査した。私たちが調査した結果、クリントン前国務長官に関して7月に下した結論を変更する必要を認めない」。

 

ヒラリー選対の広報担当ブライアン・ファロンは、ツイッターで次のように述べた。「私たちはこれまで、7月に出された結論の見直しが行われるために必要な新しい証拠などないと確信を持っていた。そしれ、コミーFBI長官がそれを認めた」。

 

『ニューヨーク・タイムズ』紙の報道によると、ヒラリー選対のコミュニケーション担当部長ジェニファー・パルミエリは選対が使っている選挙運動用の飛行機の中で声明を発表した。その中で「コミー長官が7月に下した結論の正しさを認めたことは喜ばしいことだ」と述べた。

 

連邦下院情報・諜報委員会の幹部委員であるアダム・シフ連邦下院議員は、今回のニュースに対して素早く反応した。

 

シフ議員は次のように書いた。「私が予期していたように、新たに発見されたEメールに対する調査の結果、合理的精神を持つ検察官なら訴追はしないというFBIが出した7月の結論は変更されなかった」。

 

 

「10月28日の書簡は元々送付されるべきではなかったのだ。投開票日にあまりにも近すぎた。Eメールに対する急速な調査は、疑惑を一気にそして明確に払しょくした。トランプ選対や反ヒラリー・クリントン派の人々はこの非合理的な調査に多大な望みをかけていた。有権者が自分たちの利益に基づいて決断を下せる環境が整った。そして彼らの下す決断は単純明快なものとなるであろう。選択肢は、アメリカ軍最高司令官にふさわしい女性とふさわしくない男性、どちらかだ」。

 

連邦下院監視・政府改革委員会委員長ジェイソン・チャフェッツ委員長は日曜日の午後、今回のFBIの書簡について反応した最初の人物となった。

 

7月にFBIはヒラリーの国務長官在任中の私的Eメールサーヴァー使用について刑事訴追すべきではないという勧告を出した。それ以降、この問題は沈静化していたが、先月末に再び関心を集めることになった。

 

コミーは10月28日に連邦議会に書簡を送り、その中で、ヒラリーのEメールサーヴァーに関する捜査にとって重要な証拠となり得るEメールを発見し、投開票日まで残り数週間の段階であるがそれを調査すると報告した。

 

これらのEメールは、アンソニー・ウェイナー元連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)に関する全く別の捜査の過程で発見された。ウェイナーはヒラリーの側近中の側近フーマ・アベディンの別居中の夫だ。

 

コミーの最初の書簡が出てからの1週間、ヒラリー選対、民主党所属の連邦議員たち、共和党の一部は、コミーを批判した。彼らは、コミーが、選挙に影響を与えるような捜査を選挙前には行わないという司法省が長年堅持してきた伝統を破ったと主張した。

 

FBIは、調査すべきEメールの数は6万5000つ存在すると発表した。これについて、訴追するかどうかの結論が投開票日までに下されるのかどうかという疑問が出ていた。

 

NBCニュースのピート・ウィリアムズは、ウェイナーのコンピューターから見つかったEメールについて、「ほぼ全てがヒラリーのEメールサーヴァーに関する捜査でFBIの捜査官たちが既に調査したものの複製であった」と語っている。

 

ウィリアムズは更に、それ以外のEメールは政府の職務とは関係ないものであったと述べている。

 

ある警察幹部はウィリアムズに対して、ヒラリー・クリントンの私的Eメールサーヴァーから見つかった機密情報を含むEメールの数について、今回の捜査の結果、変更はないと語った、ということだ。

 

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 古村治彦です。

 

 ヒラリーのEメール問題について、ヒラリー側としては、反撃をするしかありません。政府機関が選挙に影響を与えないようにするという伝統を破った、はっきりした情報を出さないのはおかしい、といった批判をするしかありません。

 

 ちょっと古い記事ですが、ヒラリー陣営では法律の専門家たちに書簡を送り、「これに署名をしてください、そして公開書簡として公表します」ということをやったそうです。

 

 しかし、コミーFBI長官が書簡を送り、その中でヒラリーの私的Eメールサーヴァー使用に関連するEメールが見つかったとまで言っている以上、この流れは変わりようがありません。つまらない、重要性の低いものならば、FBIも何も事を荒立てようとはしなかったはずです。

 

 ヒラリー選対のやりたいことは、まぁ「焼け石に水」ということでしょうか。

 

 

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クリントン陣営は元検察官たちにコミー攻撃を求める(Clinton camp wants ex-prosecutors to slam Comey: report

 

マロリー・シェルボーン筆

2016年10月30日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/303516-clinton-camp-calls-on-former-prosecutors-to-slam-comey

 

ヒラリー・クリントン選対は日曜日、元検察官たちに書簡を送付し、その中でジェイムズ・コミーFBI長官の最近の行動を批判する内容の公開書簡に署名するように求めた。『デイリー・ビースト』誌が報じた。

 

デイリー・ビースト誌が入手したヒラリー選対の書簡には次のように書かれている。「今回の書簡送付はアメリカ合衆国司法省が長年にわたり堅持してきた主義から逸脱したものである。私たちは、ジェイムズ・コミーFBI長官が連邦議会の8つの委員会に書簡を送ったことを憂慮している」。

 

金曜日、コミー長官は連邦議会に書簡を送り、最近発見されたEメールは、ヒラリーの私的Eメールサーヴァー使用に関する捜査にとって重要な証拠となりうると報告した。これらのEメールが発見されたのは、ヒラリーの長年の側近フーマ・アベディンと結婚したアンソニー・ウェイナー元連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)に対する全く別の捜査の過程であった。

 

民主党側はEメールについての更なる情報を出すようにコミーに求めている。一方、この書簡は、FBI長官に対するクリントン選対の攻撃の第一歩となるのは明らかだ。

 

ヒラリー選対が送った書簡には次のように書かれている。「コミー長官の書簡は司法省のポリシーと一致していないもので、過去の選挙において両党が守ってきた長年の伝統を破ったものだ」。

 

ヒラリー選対は、コミーが議会に送った書簡の中に言及されているEメールに関して、FBIが完全な透明性を確保するように求めている。この書簡は選挙が残り2週間を切った時点で送付され、それがニュースとなった。

 

ロレッタ・リンチ司法長官はFBIに対して、議会に書簡を送らないように助言したと報じられている。その理由として、選挙に影響を与えるような操作手順を踏まないという司法省の伝統的な慣習を挙げている。

 

ニューヨーク南部地区連邦検事局刑事事件部に勤務した経験を持つエルカン・アブラモビッツは、ヒラリー選対の求める交換書簡に署名し、それをデイリー・ビースト誌にも送付した。

 

アブラモビッツはデイリー・ビースト誌に対して次のように語った。「これは最悪のことです。FBIにとってそうですよ。政治に影響を与えようとして行動しているように見えてしまいますよね。コミー長官はそんな政治的な人間じゃないですよ。彼は確か共和党員だったと記憶していますが、党派性の強い人物じゃありません」。

 

書名がなされた公開書簡は日曜日の夜に公開される予定になっている。

 

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 古村治彦です。

 

 副島隆彦先生が日本に紹介した「ヒラリーを逮捕せよ!(Lock Her Up!)」の声は再び強まっているようです。責任追及は、司法省のロレッタ・リンチ長官とFBIの幹部にまで及ぶと思われます。

 

 以下の記事では、FBIの最高幹部だった人物が、クリントン夫妻を「犯罪一家」だと断じています。クリントン財団のことを調べれば、それくらいのことは言いたくなります。そして、重要なことは、この人物は、FBIの現場レヴェルの人々の考えを代弁し、ロレッタ・リンチとFBIの幹部連中が今年の7月にヒラリーのEメール問題を刑事訴追しないと決めたことにも責任がある、と述べていることです。

 

 今回の件は、FBIの失地回復でもあり、面目躍如ということになります。そして、司法省とFBIにおいて幹部クラスの更迭や粛清、左遷といったことがこれから起きることは確実です。しかし、ヒラリーが勝利すれば、この状態は温存されるでしょう。ですが、そうなれば、アメリカ国民がアメリカの現体制に大きな不満を持ち、それがやがて革命にまでつながるかもしれません。アメリカ国民には政府が間違っていれば、それに抗する抵抗権が認められているのですから、それを敷衍すれば、統治機構が腐敗しているから、それを一掃しようということになります。

 

 アメリカの民主政治体制の腐敗とどん底からの再生がこれからのテーマとなっていくでしょう。

 

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FBI幹部:「クリントン家は“犯罪一家”だ」(Ex-FBI official: Clintons are a 'crime family'

 

ハーパー・ニーディグ筆

2016年10月30日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/303458-former-fbi-official-clintons-are-a-crime-family

 

FBI幹部は日曜日、ビル・クリントン、ヒラリー・クリントンは「犯罪一家」を構成する要素であり、ヒラリーが国務長官在任中に私的Eメールサーヴァー使用に関する捜査をFBI幹部が妨害したと主張した。

 

FBI副長官のジェイムズ・コールストロームは、ジョン・キャトシマティディスが司会を務めるラジオ番組に出演し、共和党大統領選挙候補者ドナルド・トランプを賞賛し、その後、クリントン池に対する攻撃を始めた。

 

コールストロームは、「クリントン家は、基本的に犯罪一家と言って良いと思います。組織犯罪によく似ていますね。クリントン財団は汚物だめですよ」と語った。

 

コールストロームは、1990年代後半に発生したTWA800便爆破事件の捜査を主導したことで知られている。コールストロームは、民主党大統領選挙候補者ヒラリー・クリントンは、「病的な嘘つき」だと切って捨てた。

 

コールストロームは、ロレッタ・リンチ司法長官を批判し、リンチがヒラリーの私的Eメールサーヴァー使用の捜査を妨害したと述べた。

 

コールストロームは次のように述べた。「問題は、ヒラリーのEメール問題の捜査がちゃんと進められていなかったことです。これは問題ですよ。司法省は大陪審の手続きをしなかったんです。どうしてそんなことが起きたのか、その理由は、ロレッタ・リンチがそれをさせなかったからですよ」。

 

コールストロームはヒラリーについて、「犯罪者をホワイトハウスに入れることを神はお許しにならないですよ」と述べた。

 

コールストロームは、FBI全体ではなく、ジェイムズ・コミーFBI長官とFBI幹部たちに捜査をやり直す責任があると語った。

 

コールストロームは「FBI捜査官たちは事態の進行に怒り狂っています。それが事実なんですからね」と語った。

 

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