古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

タグ:ジャレッド・クシュナー

 古村治彦です。

 

 9月に入り、アメリカ連邦議会は夏休みが終わり、いよいよ忙しくなります。債務上限の引き上げで政府機関の機能停止を避けること、そして、税制改革が重要な課題となります。債務上限引き上げについては連邦議員の多数はやむを得ないと考えていますから、これは成立するでしょう。と、本文を書いた後、2017年9月6日に、トランプ大統領と連邦議会で債務引き上げで合意がなされ、政府機関の閉鎖はなくなりました。

 

 一方、税制改革に関しては、企業税の減税、富裕層への減税、中間層世帯の減税といったところが焦点となります。トランプ大統領は企業税の減税を選挙公約としてきました。オバマケアに関しては失敗してしまい、連邦議会の立法過程の複雑さと大統領の権限に制限がある(三権分立が機能している)ことが改めて認識されました。ですから、連邦議会内に橋頭堡となる勢力が必要となります。税制改革における企業税減税とこれによる投資の増加での景気浮揚はトランプ政権の肝ですから、失敗できません。ですから議会対策をしっかりしなければなりません。

 

 オバマケア代替法案の議会での審議と採決の時、影響力を発揮したのが急進保守派の共和党議連「フリーダム・コーカス」です。フリーダム・コーカスは連邦議会共和党指導部の言うことを聞かない勢力となっています。ここを敵に回るといろいろと厄介です。トランプ大統領としては良好な関係を築いておきたいということになります。

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マーク・メドウズ
 

 そこで、議連の会長マーク・メドウズ連邦下院議員の資金集めにジャレッド・クシュナーを出席させました。クシュナーはトランプ大統領の側近として外交面で活躍していますが、このように政権の基盤固めにも奔走しています。

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ジャレッド・クシュナー
 

 9月からのアメリカ政治も目が離せません。

 

(貼り付けはじめ)

 

クシュナーが「フリーダム・コーカス」の会長を資金集めに出席(Kushner attends fundraiser for Freedom Caucus chair: report

 

ジュリア・マンチェスター筆

2017年9月1日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/348835-kushner-attends-fundraiser-for-freedom-caucus-chairman-report

 

トランプ大統領の義理の息子でアドヴァイザーであるジャレッド・クシュナーが、連邦下院の議員連盟「フリーダム・コーカス」会長マーク・メドウズ連邦下院議員(ノースカロライナ州選出、共和党)の資金集めに出席した、と『ポリティコ』誌が報じた。

 

『ポリティコ』誌によると、クシュナーは木曜日の夜にノースカロライナ州で開催された資金集めに私人の資格で出席した。

 

メドウズは多くの問題に関してトランプの同盟者である。しかし、今年初め、メドウズがオバマケアの廃止と代替に関する連邦下院共和党提案の法案について多くの修正を加えようとしたことで、トランプとメドウズは衝突した。

 

保守派議員グループの指導者として、メドウズは共和党指導部と長年にわたり衝突を繰り返してきた。8月の休暇を終えて連邦議員たちは来週になればワシントンに戻ってくる。9月は重要な月となる。連邦議会は債務上限を引き上げ、政府機能の停止を避けるために政府支出法案を可決し、ハリケーン・ハーヴェイからの復旧予算のための財源を探さねばならない。

 

メドウズとクシュナーは両者にとって重要課題であるイスラエル政策について議論したと報じられている。

 

メドウズは過去に大統領の娘で、クシュナーの妻でもあるイヴァンカ・トランプと有給家族介護休暇について議論したことがある。

 

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クシュナーがマーク・メドウズのために資金集め(Kushner fundraises for Mark Meadows

 

2017年9月1日

『ポリティコ』誌

http://www.politico.com/story/2017/09/01/kushner-fundraises-for-mark-meadows-242244

 

●スクープ

 

ジャレッド・クシュナーは昨夜、密かにノースカロライナ州に向かい、マーク・メドウズ連邦下院議員(ノースカロライナ州選出、共和党)の非公開の資金集めに出席した。メドウズは連邦下院の議連「フリーダム・コーカス」の会長である。これは資金集めについて取材した複数のメディアが報じている。メドウズとクシュナーは、クシュナーが関心を持ち、メドウズにとって重要課題であるイスラエルについて議論した。メドウズは有給休暇についてイヴァンカと議論をした。有給休暇については長年にわたり連邦議会共和党は難色を示してきた。クシュナーは私人の資格で参加した。

 

●この何が問題か

 

簡単なことだ。メドウズは長年にわたり共和党指導部にとっての頭痛の種となってきた。そして、連邦議会において有力者となっている。メドウズはトランプ大統領の重要な同盟者で、連邦下院の保守派議員とホワイトハウスをつなぐ仲介者となっている。クシュナーがノースカロライナ州に向かったのは、メドウズとトランプ政権のメンバーたちとの関係を象徴している。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12






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 古村治彦です。

 

 アメリカのドナルド・トランプ大統領の当選に関して、ロシア政府の関与、介入があったこと、トランプ政権とロシア政府との間で共謀があったという疑惑が連日ニュースになっています。ウォータゲート事件になぞらえて「ロシアゲート」「クレムリンゲート」などと呼ばれています。

 

 しかし、実際はそのようなものではない、ということが先日のジェイムズ・コミーFBI長官のアメリカ連邦議会での証言でも明らかになりました。コミーはトランプ大統領を「嘘つき」と呼びましたが、トランプ大統領がロシア関連捜査の対象ではないということを明言しました。また、捜査妨害についても命令されたものではないと述べましたし、バラク・オバマ前政権のロレッタ・リンチ司法長官から「ヒラリー・クリントンのEメール問題を大ごとにしないように」と言われた、と証言しました。こちらの方がより積極的な捜査妨害ということになります。

 

 ロシア関連捜査では、トランプの義理の息子で上級顧問でもあるジャレッド・クシュナーも捜査対象になっている、という報道がなされました。今回ご紹介する記事はそれに対する反論記事です。内容を読んでいただくと、トランプ政権に対する攻撃が酷いものだということが分かります。

 

 根拠薄弱なスキャンダルで大騒ぎしても、トランプ政権に対する致命傷にはならないということもまたはっきりします。

 クシュナーがヘンリー・キッシンジャーの最後の弟子として、トランプ政権で外交政策、特に対ロシア、対中国で重要な役割を果たしています。このクシュナーを排除しようという動きは、ロシアや中国を敵視している人々、具体的には民主党内の人道的介入主義派、共和党のネオコンが主導しています。こうした人々がリベラルなメディアとして知られるニューヨーク・タイムズ紙やワシントン・ポスト紙を使ってトランプを攻撃しています。こうしたリベラルメディアはネオコンとは敵対するくせに、人道的介入主義派に対しては無批判です。


 表面的に見れば、リベラルな正義のメディアが邪悪なトランプ政権を攻撃しているという形になりますが、実際はその逆ということになります。

 

(貼り付けはじめ)

 

ジャレッド・クシュナーを攻撃対象にした捻じ曲げられた攻撃(The twisted takedown targeted at Jared Kushner

 

カイレイ・マケナニー筆

2017年5月30日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/pundits-blog/the-administration/335694-the-twisted-takedown-targeted-at-jared-kushner

 

ジャレッド・クシュナーを攻撃目標にしている捻じ曲げられた攻撃が行われている。クシュナーはドナルド・トランプ大統領の上級顧問であり、義理の息子だ。左派の人々は昨年の11月8日のトランプの勝利をいまでにうまく消化できないでいる。左派の人々は、彼らが「存在すべきではない」と確信しているトランプ政権を追い落とすことを固く決心している。

 

トランプ大統領を追い落とすためには、リベラル派は大統領とアドヴァイザーたちとの間にくさびを打ち込むことで打撃を与えねばならない。リベラル派の人々は、米大統領国家安全保障問題担当補佐官だったマイケル・フリンを辞任させたことで成功の味を覚えた。当時、フリンはジョー・バイデン副大統領に嘘をついたというニュースが連日報道された。リベラル派は更なる成功を求め、それを渇望している状態だ。

 

リベラル派は、ジェフ・セッションズ司法長官を辞任させようとしている。セッションズは司法長官就任まで連邦上院議員であったが、この時に駐米ロシア大使と会談を持ったことを議会証言の際に明らかにしなかったということがニュースとして報道された。セッションズが連邦議員だった時にロシア大使と会談を持ったことは違法なことでもやましいことでもない。これ以降、大統領首席ストラティジストであるスティーヴ・バノンが更迭されるというリーク(情報漏洩)が数多くなされ、報道された。バノンの更迭は、ホワイトハウスのシーン・スパイサー報道官が更迭されるというニュースと同じく、根拠のないもので、実際に起きなかった。

 

現在、左派はより大きな攻撃目標に狙いを定めている。それは、大統領が最も信頼しているアドヴァイザーであるジャレッド・クシュナーだ。リベラル派は匿名の情報漏洩(リーク)を使ってそこに犯罪性があるように見せようとしている。漏洩された情報の内容が事実であった場合、こうした動きは正しいし、因果関係を説明できるものとなるが、リベラル派が指摘しているのは、根拠のない疑惑ばかりである。

 

このようなやり方は、「攻撃目標を定めてくれ、そうしたらそいつの犯罪を見つけてくる」というものだ、とハーヴァード大学法科大学院教授アラン・ダーショウィッツは指摘している。クシュナーは疑惑について、捜査に全面的に協力し、全ての質問に答えている。彼は不自然なまでの犯罪疑惑の被害者である。

 

ここからはジャレッド・クシュナーに対する嫌疑と呼ばれるものについて見ていく。

 

●クシュナーとロシア政府関係者との会合

 

ホワイトハウスは、クシュナーが政権移行の時期にロシアの代表団と「相互の連絡方法を構築」するために会談を持ったことは認めている。しかし、『ニューヨーク・タイムズ』紙は、「政権移行ティームの幹部が外国政府の幹部と会談を持つのは普通のことではあり、不適切とは言えない」と指摘している。

 

実際のところ、クシュナーは駐米ロシア大使とロシア大使の提案でロシアの銀行家と会談を持った。それだけではなく、様々な国々の政府関係者20名以上と会談を持った。政権移行ティームの外交政策部門の責任者として、クシュナーの責務は外国政府関係者と会談を持つことである。

 

●ロシアをめぐる捜査に対するクシュナーの介入

 

木曜日にアメリカ政界を揺るがす「ジャレッド・クシュナーがロシアをめぐる捜査の対象に」という見出しの記事が出た。よくないことの前兆のように思えるものではないか?

 

『ワシントン・ポスト』紙の記事の内容は見出しのおどろおどろしさを打ち消すものであった。5段落続いた後の文章を以下に引用する。「本紙はクシュナーが捜査対象、もしくは捜査にとっての重要人物であるという報告は受けていない。そして、彼は謝った行動によって告発されているものでもない」。

 

明確になったのは、クシュナーは捜査の「対象」ではないということだ。また、そこには犯罪性を示すものは存在しないということだ。ジェニファー・ルービンがワシントン・ポスト紙上のコラムの中で書いているように、クシュナーはトランプ政権の外交政策に関する主要な存在であるので、「クシュナーは目撃者ではあるだろうが、実行者ではないかもしれない」というのがせいぜいのところなのだ。

 

●クシュナーがロシアに対して裏チャンネル構築を依頼したという疑惑

 

金曜日、ワシントン・ポスト紙は、リベラル派のトランプ政権に対する攻撃の材料となる記事を一面に掲載した。それは、「駐米ロシア大使が本国のロシア政府に対して、クシュナーがロシア政府との間で非公式の裏の連絡チャンネル構築を望んでいると報告した」というものだ。中身を読まなくても、おどろおどろしい話のように聞こえる。

 

ワシントン・ポスト紙は、ロシア大使とロシア政府との間の会話の中身を盗み見したか、盗聴をした匿名の人物への取材に基づいて記事を書いている。ロシア大使は、クシュナーが連絡用の秘密チャンネルの構築を提案したと本国政府に報告したということは考えられる。

 

繰り返しになるが、今回もワシントン・ポスト紙は自身の記事の信憑性を自身で損なっているのだ。 今回は8段落記事が続いてからの文を引用したい。「ロシアは時に疑いを持っている情報チャンネルに間違った情報を流し、経緯を監視することがある。これは、アメリカの専門家たちに誤った情報を与え、混乱させるためだ」。 記事の内容は、アメリカを混乱させようとしてロシアが提供した誤った情報に基づいている可能性がある。一方で、左派は繰り返し、ロシアは信頼できず、邪悪な存在だと主張しているが、そのロシアが提供した情報でトランプ政権がダメージを受けるということになると、ロシアは信頼できるので情報は正しいということになる。

 

しかし、たとえ記事の内容が真実だとしても、ジョン・ケリー国土安全保障長官は、裏チャンネル構築の提案は「私を不快にさせるものではない」と述べている。また、H・R・マクマスター大統領国家安全保障問題担当補佐官は、週末に「そうした話に懸念を持つことはない」と発言し、ケリーの発言を支持した。

 

どうしてだろうか?それは、裏のチャンネルは、目的の達成のために戦略的に使用されるコミュニケーション方法としては一般的なものだからだ。オバマ大統領とヒラリー・クリントン国務長官は、イランと核開発をめぐる合意を結ぶためにコミュニケーションを取ろうとして、オマーン政府と非正規なルートでやり取りを行った。そうなのだ、オバマ政権はテロ攻撃を支援する最大国家とコミュニケーションを取るために、裏チャンネルを使ったのだ。オバマ政権がそのようなことをしても誰も怒り狂ったりしなかったではないか。

 

裏チャンネルは、トランプ政権が使うと途端に邪悪な方法になる、と言っているようなものだ。

 

私たちアメリカ国民が懸念を持つべきなのは、トランプ政権がダメージを受けることと、ロシア側と共謀していたとする根拠のない疑惑についてである。ダーショウィッツは次のように指摘している。「これはアメリカ政治における大きな後退となる。市民の自由に関して大きな疑念を生んでいる」。

 

ダーショウィッツは、犯罪捜査は通常であれば法規に則って行われると述べている。たとえば、ヒラリー・クリントンは、機密情報の取り扱いに誤りがあったということで、スパイ防止法に則って捜査された。トランプ政権の場合、捜査員たちは「気に入らないことが起きた」と言っているように見えるとダーショウィッツは指摘している。ダーショウィッツは更に、「捜査を始めよう、そうしたら何かの法規に引っかかる何が見つかるさ、と言うのが捜査当局の態度だ。こんな態度は許されるものではない」と述べている。

 

クシュナーは、ほぼ存在しない証拠によって過度に行われている捜査の被害者である。クシュナーがホワイトハウスの高官を務め、トランプの親族であるために、証明されるまでは無罪という犯罪に関する基準が適用されてしまっている被害者なのである。これは正義の実現の名を借りた醜いやり方そのものだ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12








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 古村治彦です。

 

 トランプ政権のジャレッド・クシュナー上級顧問について、FBIが捜査を行っているという報道が出ました。トランプ政権とロシアとの関係を捜査するということで、マイケル・フリン前大統領国家安全保障問題担当補佐官やポール・マナフォート元選対委員長といった、現役ではない人々の名前が出ていましたが、政権の中枢を占める重要人物クシュナーの名前を、ワシントンのエリートたちはマスコミを使って、「出してきました」。

 

 ジェイムズ・コミーFBI長官が解任されたのは記憶に新しいところです。コミーは昨年の大統領選挙で政治に影響を与えたことを理由に、司法省のジェフ・セッションズ長官、ロッド・ローゼンスタイン副長官から激しく批判されました。このような状況下、FBIの捜査情報がマスコミに漏れるなどということが起きて良いはずがありません。このようなリークは、FBIの中の反トランプ、エリート集団が意図的に行ったと考えるのが自然でしょう。

 

 反トランプグループは懇意のマスコミ(ニューヨーク・タイムズ紙やワシントン・ポスト紙)を使って、まず政権内の内部闘争について、あることないことを書かせまくりました。トランプ政権内部に亀裂を生じさせて、内部分裂を誘うためです。これがうまくいかないと見るや、今度は、現在トランプ大統領が厚く信任しているクシュナー攻撃を始めようとしています。

 

 しかし、ここまでマスコミを使って激しく攻め立ててみても、トランプ政権内部に動揺は見られません。反トランプ側は今は勢い良く攻撃をしていますが、そのうち弾切れになって、「それじゃクリントン財団とオバマ政権時のヒラリー・クリントン国務長官の関係はどうなるんだ」「権力に近いことを利用して便宜を図ったりしなかったのか」ということになるでしょう。

 

 ただ、現在のところ、攻撃の勢いは大変に強く、不快さを増しているのは間違いのないところです。

 

(貼りつけはじめ)

 

ロシア関連捜査でジャレッド・クシュナーが捜査対象に(Jared Kushner under FBI scrutiny in Russia probe: reports

 

マックス・グリーンウッド筆

2017年5月25日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/policy/national-security/335234-jared-kushner-under-fbi-scrutiny-in-russia-probe-report

 

トランプ大統領の義理の息子で上級顧問であるジャレッド・クシュナーに対して、トランプ選対とロシアとの間の共謀に関するFBIの捜査で詳細な捜査が行われていると報じられた。

 

NBCニュースは、「FBIがクシュナーの捜査を行っているが、これは彼を犯罪の容疑者として疑っているということでも、FBIのロシア関連捜査の利害当事者と考えられているということを必ずしも意味しない」と報じた。

 

『ワシントン・ポスト』紙は、政権移行中の昨年末、クシュナーが駐米ロシア大使セルゲイ・キシリアックとロシアのある銀行幹部と会談を持ったことについて捜査が行われていると報じた。

 

ワシントン・ポスト紙は先週、FBIが、ロシアのアメリカ大統領選挙に関する介入を行った容疑の捜査で、現役のホワイトハウス幹部が、関連を持つ捜査対象者としてピックアップしていると報じた。しかし、この時は捜査対象者の名前と身分は明らかにされなかった。

 

クシュナーは現在のホワイトハウスの中で、トランプ大統領に対して最も大きな影響力を持つ側近で、トランプ政権の政策遂行の責任を任されている。

 

クシュナーがロシア関連捜査で対象者となっていることが明らかにされた。今から2週間前、トランプ大統領は、ジェイムズ・コミーFBI長官を曖昧な理由で解任した。当時、コミー長官は捜査を監督する立場にあった。

 

先週、ロッド・ローゼンスタイン司法副長官は、ロバート・ムラー元FBI長官をロシア関連捜査の監督のための特別検察官に任命した。これとは別に、ロシアに関する問題について、連邦議会には少なくとも4つの委員会が設置されている。

 

これまでFBIは、フリンやトランプ選対の委員長だったポール・マナフォートに集中して捜査していた。クシュナーは、ホワイトハウスの現役幹部の中で初めて、捜査対象となっているということが明らかになった人物だ。

 

民主党全国委員会はホワイトハウスに対して、クシュナーに与えられている機密情報取り扱い許可を停止するように求めた。昨夏、民主党全国委員会は、ロシアが関連していると考えられているコンピューター・ハッキングのターゲットとなった。

 

民主党全国委員会コミュニケーション部副部長エイドリアン・ワトソンは木曜日、声明を発表した。声明の中で、ワトソンは、「FBIによるロシア関連捜査はトランプの裏庭にまで及んでいたが、ついに家の中にまで達した。クシュナーに対する機密情報取り扱い許可は、FBIの捜査が完了するまで、停止されねばならない」と述べた。

 

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クシュナーが特別検察官に対して攻撃的な対応をするようトランプに主張(Report: Kushner urged aggressive Trump response to special counsel

 

レベッカ・サヴランスキー筆

2017年5月18日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/334056-report-kushner-urged-trump-to-attack-after-special-counsel

 

トランプ大統領の義理の息子であり上級顧問であるジャレッド・クシュナーは、水曜日に召集されたホワイトハウスの会議の席上、より抑制された反応に関して、「攻撃」的な反応をするように主張したと報じられた。

 

元FBI長官ロバート・ムラーが米大統領選挙に対するロシアの介入とトランプ選対とロシアとの間の共謀に関する司法省の捜査を管轄する特別検察官に任命された後、ホワイトハウスで会議が召集された。会議の結果、ムラーの任命に対するホワイトハウスからのメッセージが矛盾する内容になった。

 

トランプはムラーの任命を知り、クシュナー、シーン・スパイサー報道官、マイケル・ドゥブキ広報部長、レインス・プリーバス大統領首席補佐官、スティーヴン・バノン首席ストラティジストといった側近たちを召集した。

 

側近のほとんどはトランプ大統領に対して司法副長官の決定を受け入れる内容の声明を発表するように促した。しかし、クシュナーはこの意見に同意しなかった、とニューヨーク・タイムズ紙の取材に対して2人の政権幹部が述べた。

 

クシュナーだけは大統領に対して反撃するように促した。

 

ホワイトハウスは水曜日夜に声明を発表し、新たに任命された特別検察官が連邦捜査機関の捜査を主導し、トランプ選対とモスクワとの間に共謀は存在しないということを発見するだろうという信頼を表明した。

 

トランプ大統領は水曜日、声明を発表した。声明の中で、トランプは次のように述べた。「徹底した捜査によって、私たちが既に知っていることが正しいことが証明されるだろう。私の選対と外国との間に共謀など存在していない。私はこの問題が即座に終結することを望んでいる」。

 

木曜日、トランプ大統領は毎朝の恒例になっているツイートの中で、前日の抑制された反応とは全く違う反応を示した。

 

「これは一人の政治家に向けられた、アメリカ史上最大の魔女狩りだ!」とトランプはツイートした。

 

「クリントン選対とオバマ政権で行われた全ての違法な行為に対して、特別検察官が任命されたことはなかった」とトランプは別のツイートの中で述べた。

 

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(終わり)



アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22




 古村治彦です。

 

 今回は、『タイム』誌が発表する今年の100人(小池百合子都知事も選ばれました)の中に選ばれたトランプ政権関係者6名についての分を抜粋してお伝えします。イヴァンカ・トランプ、ジャレッド・クシュナー上級顧問、ドナルド・トランプ大統領、レインス・プリーバス大統領首席補佐官、スティーヴン・バノン首席ストラティジスト、レベカ・マーサーです。面白いのは、それぞれの紹介文を書いているのが大物であり、味方、敵(元敵)である点です。

 

 興味深いには、ジャレッド・クシュナーを紹介しているのが、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官です。キッシンジャーは、共和党から民主党、民主党から共和党、とホワイトハウスの主が変わるときの大変さを指摘し、クシュナーは大統領の補佐役としてうまくやっていくだろうと書いています。昨年のトランプとキッシンジャーの会談をセットしたのがジャレッド・クシュナーですが、クシュナーとキッシンジャーが初めて会ったのが2015年であるとも書かれています。キッシンジャーはクシュナーがハーヴァード大学出身であることも書いており、そこにも信頼を置いているという感じです。

 

 トランプ政権内部で内部闘争が起きており、一方の旗頭がスティーヴン・バノンで、もう一方の旗頭がジャレッド・クシュナーと言われています。そして、バノンとクシュナーが激しく衝突したという報道もなされています。この2人を仲裁したのが、プリーバスです。この3人について紹介されています。

 

 レベカ・マーサーは共和党への大口献金者として知られている人物ですが、トランプ勝利のために、資金を提供し、バノンをトランプ選対に送り込んだ人物です。この人物についてはあまり知られていないと思われますので、この紹介記事は重要であると思います。

 

 5月28日に副島隆彦の学問道場主催の定例会で、同僚の中田安彦研究員がトランプ政権について講演を行いますが、それとも関連する記事ですので、出席される方は是非お読みください。

 

(貼り付けはじめ)

 

『タイム(TIME)』誌 2017年4月20日

 

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イヴァンカ・トランプ(Ivanka Trump

 

ウェンディ・マードック筆

http://time.com/collection/2017-time-100/4742699/ivanka-trump/

 

 

世界はイヴァンカ・トランプをアメリカのファースト・ドーター、実業家、家族を大事にする妻であり母であることを知りつつある。私は彼女を親しい友人と呼べることを誇るに思っている。私と彼女が友人関係になって12年が経つ。私はニューヨークに住む隣人同士として知り合った。そしてすぐに親しくなっていった。お互い現代的な働く母親として、私たちは多くの挑戦と喜びを共有してきた。イヴァンカは私の人生において助言を与えてくれる信頼できる相談者である。

 

私はイヴァンカを尊敬し、賞賛の気持ちを持っている。それは、彼女が新しい役割の持つ影響力を如何に使うかを分かっているからだ。彼女は長年にわたり女性と少女の地位向上を訴えてきた。また、現在は教育の改善を訴え、人身売買のごく滅のために活動している。彼女は人身売買の悲惨さを知り、平穏な生活を捨てて、幼い家族とともにワシントンに移り、世界に良い変化をもたらそうとしている。

 

私の娘たちはイヴァンカに憧れつづけている。世界中の女性と少女たちもまた彼女に憧れを抱くことができると私は考えている。

 

※マードックは、映画プロデューサー、実業家、「アーツィー」社の共同創設者である。(訳者註:ルパート・マードックの元妻。中国系。気が強いことでも有名)

 

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ジャレッド・クシュナー(Jared Kushner

 

ヘンリー・キッシンジャー筆

http://time.com/collection/2017-time-100/4742700/jared-kushner/

 

アメリカ大統領が1つの政党からもう1つの政党へ交代することは、アメリカ政治におけるもっとも複雑な出来事の1つだ。このような変化が起きると、ワシントンを動かしている目に見えないメカニズムの中に大きな変化と不安定が生まれる。 新しくワシントンにやってくる大統領は既存の型式の構造について無知であり、その無知の程度が大きいほど、それを埋めることを期待されているアドヴァイザーたちの責任は重くなっていく

 

ここ4カ月、新大統領とワシントンのメカニズムの間をうまくつないでいるのがジャレッド・クシュナーだ。私がクシュナーと初めて会ったのは18カ月前のことであった。私が外交政策について講演を行ったその後に、彼は私に自己紹介をした。それが最初の出会いであった。私たちはそれ以降、率直に意見交換するようになった。トランプの親族の一員の中で、ジャレッドはトランプ大統領が何を考えているかも分かる人物だ。ジャレッドはハーヴァード大学とニューヨーク大学の卒業生であり、幅広い教育を受けている。実業家して、組織の運営についてもよく知っている。こうした長所によって、彼は太陽の近くを飛び回るという危険な任務を成功させることができるだろう。

 

※キッシンジャーは米国務長官を務めた

 

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ドナルド・トランプ(Donald Trump

 

ポール・ライアン筆

http://time.com/collection/2017-time-100/4736323/donald-trump/

 

彼は常に物事を達成するための方法を見つける。私を含む多くの人々が、彼はどうやって成功できるんだろうかと首をひねっていたが、ドナルド・トランプは歴史的な勝利を収めたのだ。トランプは第45代アメリカ合衆国大統領に就任し、政治のルールを書き換え、アメリカの方向性を設定し直した。実業家とは常に常識や現状に挑戦したいと考えているものだ。トランプはワシントンに激震をもたらし、これまでにない政策目標を掲げている。彼は決して戦いを恐れない。彼は自分など忘れ去られた存在だと感じている人々のために戦うことを自分に課している。他の人々が態度を変えるような場所でも、彼は自分が何者であるかという点を明らかにして態度を変えることはない。他の人なら退くところで、彼は一歩前に踏み出す。私は、トランプがアメリカをがらりと変えてしまうかもしれない、私たちを導く力を持つ指導者であると認識している。トランプは再び困難を乗り越え、目的を達成する方法を見つけるだろうと私は確信している。

 

※ライアンはアメリカ連邦下院議長を務めている。

 

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レインス・プリーバス(Reince Priebus

 

ラーム・エマニュエル筆

http://time.com/collection/2017-time-100/4736339/reince-priebus/

 

レインス・プリーバスと私の共通点は、中西部の生まれである点と変わった名前である点、そして政治を愛している点くらいだ。しかし、私たちは大統領首席補佐官として大統領の要望に応えてきた数少ない人物たちの仲間である。 私たちは、激しい選挙戦と一つの党から別の党への政権交代の後の新政権発足で、大統領首席補佐官を務めることになったという共通点がある。私たちは傷だらけの状態から仕事を始めた。

 

首席補佐官はホワイトハウスの職務の中で2つのタイトルを示している。首席とスタッフだ。首席が意味するのは、構造と説明責任だ。補佐官が意味するのは、大統領はアメリカ国民の投票で選ばれた人物だということを肝に銘じ、大統領執務室のドアを開ける前に自分のエゴが出ないようにチェックし、自分は大統領のために働くためにそこにいるということを理解し、彼の考えを実現するのだということを確かめるということだ。

 

私は大統領首席補佐官だったとき、金曜日のたびに次のようなジョークを言っていた。「やれやれ、月曜日まであと2日間だけ働けばいいんだ」。大統領首席補佐官は消耗するし、感謝されない仕事だ。1日の始まりから終わりまで、様々なことが起き、経験する。それがどんなに朝早く、夜遅く起きるにしても、私たちは神経を張りつめておかねばならない。 過ぎていく1日は、私たちが挑戦を始める1日となる。

 

※エマニュエルは、バラクオバマ大統領の大東翔首席補佐官を務めた。現在はシカゴ市長を務めている。

 

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スティーヴン・バノン(Stephen Bannon

 

マイケル・ダフィー筆

http://time.com/collection/2017-time-100/4736342/stephen-bannon/

 

スティーヴン・バノンは第45代大統領の大統領首席ストラティジストとして機能しないかもしれない。しかし、バノンほど、ドナルド・トランプの大統領選挙と就任後2カ月で影響力を発揮してきた人物は存在しない。アメリカ海軍とゴールドマンサックスに勤務した経験を持つ。彼は現在、トランプ政権の方向性を決める最高幹部となっている。彼は、既存の民主、共和両党に対して、怒りに満ちた、ナショナリスティックな、アメリカ第一主義の炎を向けている。バノンは政府機関、ビジネス界、マスコミのエリートを攻撃してきた。そして、トランプを支持した高齢の白人で、現状に不満を持つ人々を徹底して喜ばせてきた。バノンの語る内容は、これまでブライトバート社の会長として主張してきたもので、これは、トランプ政権発足後の75日間の明確な目標となった。しかし、これに対して激しい反対も引き起こした。しかし、トランプ自身は、バノンが連邦議会に対しての勝利を収めることよりも、トランプ支持者たちを離れさせるようなことをしていると認識している。トランプにとって、これは大変に危険で、彼を破滅させることになると考えている。

 

ダフィーは、『タイム』誌の副編集長である。

 

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レベカ・マーサー(Rebekah Mercer

 

テッド・クルーズ筆

http://time.com/collection/2017-time-100/4742759/rebekah-mercer/

 

レベカ・マーサーは戦士であり愛国者だ。彼女は卓越した数学者で、大成功を収めた投資家の娘として生まれた。レベカは素晴らしい知識と直観力に恵まれている。彼女はそのまま恵まれた、安楽な暮らしをすることは簡単なはずだった。しかし、レベカは自由とわが国について深く考える人間だ。

 

レベカと彼女の父ボブは、これまで政治革命を推進するために莫大な資金を投じてきた。2人のアプローチは複合的だ。シンクタンク、公共政策研究組織、インターネット・メディア、データ分析会社への援助を通じて、レベカは政治の世界に変革をもたらしてきた。彼女は、ワシントンにおける民主、共和両党の腐敗に対する人々の不満を理解している。彼女は汚れた沼の水を抜くことを強力に主張している。

 

レベカは、新人や勝利の可能性が低い候補者たちの資金や選挙運動を支援してきた。その中には私の上院議員選挙や大党選挙が含まれる。ドナルド・トランプが共和党の大統領選挙候補者に指名された時、レベカは、トランプの選挙対策ティームに人員を集め、11月に世界に衝撃を与えた戦略を採用する際に重要な役割を果たした。

 

※クルズは、テキサス州選出のアメリカ連邦上院議員である。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)







アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22



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 古村治彦です。

 

 アメリカでは、ドナルド・トランプ大統領によるジェイムズ・コミーFBI長官解任を受けて、トランプ反対派とマスコミからの攻撃が激しさを増しています。連邦議会上下両院で少数派となっている民主党は、来年の中間選挙での躍進を目指して、トランプ政権との対決姿勢を鮮明に打ち出しています。

 

健康保険問題では、共和党内部にもトランプが求めるオバマケア代替法案に反対の議員たちも多く、本当に成立するのか疑問で、また、成立しても、かなりの妥協の産物になっているでしょう。また、トランプを支持した人々は、低所得でメディケイドという公的保険に入っている人が多く、メディケイドに入れないが収入が低い人々はオバマケアで一応保険に入れたが、オバマケア撤廃でどうなるかということで不安と不満を持っています。私は、トランプ大統領は、オバマケアでも良いと思っているのではないかと思います。

 

 減税もトランプ大統領を支持した低所得の人々にとってはあまり恩恵がある話ではなく、そうしたこともあって、現在トランプ大統領の支持率は30%中盤、不支持率は50%超えという状況です。

 

 大手マスコミは毎日派手にトランプ批判を展開しています。私は、外交に関してトランプ大統領を支持していますから、大手マスコミの報道はやり過ぎ、行き過ぎではないかと考えています。以下に、トランプ政権内部の内部闘争に関する記事をご紹介しますが、その中には、政権幹部の話として、旧知の記者たちが「この話は本当か」と噂話を確かめる電話をしてくるが、そんな話はないので否定しても、翌日の新聞には記事として掲載される、という話が紹介されています。

 

 アメリカの歴代政権で、内部闘争がなかった政権などありません。大なり小なり争いはあります。バラク・オバマ政権では人道的介入主義派が国務省を根城にして余りにもバカなことをやるので、ホワイトハウスが外交の主導権を握り、キューバとの国交回復、イランとの核開発に関する合意を成立させました。ジョージ・W・ブッシュ政権時代には、ネオコンがまたあまりにも酷いので、そうではない人々が抑え役に回るということがありました。

 

 私はトランプ政権発足時の閣僚やスタッフの配置を見て、「同じような権限や力のポジションに全く違う考えの人々を起用して、競争させつつ、良い案を出させて、トランプがそれを実行するようになるだろう」と考えました。これは、実業家としては当然のことで、「コンペ(コンペティション)」をして、より良い方を選択する、ということです。しかし、外から見れば、内部で対立がある、上から抑える人がいないと、競争がエスカレートしているように見える、ということになります。

 

 トランプ政権は、ワシントンの政治家や官僚に対する人々の怒り、ポピュリズムから生まれた政権です。ですから、既存の政治家や官僚、そしてマスコミは当然反発します。日本でも、新聞やテレビが政権にうまくコントロールされる、官僚が世論を誘導しようとして情報をリークする、ということが問題になっていますが、アメリカでも同じことです。日本の記者クラブ制度は目につきやすいものですが、アメリカでは目に見えない形で、既存メディアのコントロールがあるように思います。

 

 私は、歴代政権と比べて、トランプ政権だけが特別内部闘争が激しいのではない、ただ、メディアが面白おかしくあることないことを報道して、「激しい対立で政権崩壊寸前」という前提で、出来事を分析する記事を掲載していると、それが「真実」であるかのように見られてしまっている、と考えています。

 

 そして、大きくは、トランプ攻撃でトランプを追い出し、出来れば早くマイク・ペンス副大統領を大統領に、そして2020年には民主党系の人道的介入主義派、もしくはその言うことを聞く人物を大統領に、と共和党ネオコン、民主党、官僚、マスコミは考えているでしょう。

 

 しかし、トランプは何度も逆境を乗り越えてきた人物であり、危機的状況すらも内部の引き締めと裏切り者の排除に使うだけの度胸と力を持っていると私は考えます。

 

(貼りつけはじめ)

 

トランプ政権内部の闘争が沈静化(Infighting cools down in Trumpland

 

ジョナサン・イースリー筆

2017年4月25日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/330341-infighting-cools-down-in-trumpland

 

トランプ大統領のホワイトハウスは、内部闘争とリークによる傷を癒そうとしている。政権発足からの100日を越えて、内部闘争とリークに付きまとわれている。

 

トランプは、上級顧問であるジャレッド・クシュナーと首席ストラティジストであるスティーヴン・バノンとの間の一時的な休戦を仲介した。クシュナーはトランプの義理の息子であり、政権内での責任が重くなっている。バノンはブライトバート・ニュース社の会長を務め、好き放題なスタイルとナショナリスト的な考えが目立ち、トランプの型破りな選挙運動を象徴する人物である。

 

バノンと話した人は、バノンがクシュナーを攻撃している自分の味方に対して、攻撃をやめるように強く求めたと語っている。

 

 

しかし、政権内部の闘争と明日の新聞にその話が報道されるのではないかという恐怖感のために、トランプ政権の幹部たちは疲れ切っている。

 

政権の幹部たちがマスコミに対して噂を流し、それを払拭しようとして激しく闘っているように見える。本誌の取材に応じた政権幹部たちは、こうした争いに参加することを拒むと走ってくるバスの下に投げ飛ばされる、もしくはマスコミに対して影響力を失っているという話をされる、という不安を感じていると語っている。

 

「やるか、やられるか」という精神状態は幹部から中堅職員に拡大しており、彼らもまた内部闘争に参加するようになりつつある。

 

ホワイトハウスの幹部たちの間で広がっている不平不満はマスコミが数多く取り上げている。今月初め、政権内部に充満する不平不満が噴出した。連邦上院がニール・ゴーシックの連邦最高裁判事任命を承認した日、マスコミがこれよりも大きなスペースで報じたのが、トランプ政権内の宮廷内闘争の話であった。これはトランプ政権の勝利と言える。

 

政権内部の闘争はトランプの支持者たちにも反映し、彼らの間も分裂している。バノン率いる草の根保守派とニューヨークの「リベラル派」として出現しつつある派閥との間で闘いが起きている。クシュナー、イヴァンカ・トランプ、大統領経済顧問のゲイリー・コーン、大統領国家安全保障担当次席補佐官のディナ・パウエルがニューヨークの「リベラル」に分類される。

 

本誌が取材した共和党関係者たちは、内部闘争とリーク合戦がこれまでにないほどの激しさとしつこさだと語っている。

 

トランプを支えている人々は内部闘争がトランプの大統領としての成功を邪魔していると述べている。

 

アメリカ商工会議所の政治担当上級ストラティジストであるスコット・リードは、「これまでなかったレヴェルのリークがなされていることに衝撃を受けています」と語った。

 

リードは次のように語った。「トランプは実業家で、コンペをして、様々な異なった考えが提示されることを好みます。トランプ政権の秘密は、規律が保たれており、内部の話は外に出ないことです。もし規律が保たれず、秘密が外に漏れるようになると、それがマスコミにとっての格好の攻撃材料となり、トランプ大統領にとっては良くないことになります。トランプは規律を正そうとし、それをうまくやっています。政権内の人々は黙って仕事をすることです。そして、ケンカなどせずに、政策をきちんと進めてほしいですね。宮廷内の争いで経済が成長するなんてことはありませんから」。

 

トランプがバノンとクシュナーの争いに介入し、仲裁をしてから、まだ数週間しか経ってはいない。

 

トランプ政権発足から100日間が経過するこの時期は、トランプ政権内のライヴァルたちがまとまって進めるかどうかを占うテストとなる。

 

ホワイトハウスの幹部たちと政権の閣僚たちは総出で、トランプ政権の政策を売り込むために、地方、全国両方のレヴェルのメディアに出演することになる。そして、政権発足100日間は成功であったとアピールするだろう。

 

トランプ政権に近いある共和党幹部は、「政権発足最初の100日を何とかうまく乗り切ったと思う」と語った。

 

ホワイトハウスの幹部たちは、噂話とリーク合戦に嫌気がさしている。そして、内部闘争はマスコミによって過大に報道され、その中のいくつかの話は完全にでっち上げだと主張している。

 

ある政権幹部は本紙の取材に対して、「報道は大袈裟すぎる」と述べた。

 

他の幹部たちは本紙の取材に対して、記者たちは、彼らに電話をしてきて、政権内部のどぎつい、面白おかしい話に就いて本当かどうかを確かめるのだと語った。政権幹部たちがそうした話は真実ではないと語っても、記者たちはとにかくその話を報道してしまうということだ。

 

ホワイトハンス顧問セバスティアン・ゴルカは月曜日、ジョージタウン大学での講演で、「宮廷内闘争のおかげで新聞は売れるし、インターネット上の広告のクリック数も上がる」と述べた。ゴルカは更に、彼が読んだ内部闘争についての記事のほとんどは完全に嘘だと主張した。

 

マスコミ各社のスクープ合戦や蹴落としあいがあるのは間違いないところだ。

 

トランプの支持者の中には、こうした報道は、トランプ大統領の「創造的な緊張関係」を好む姿勢の副産物だと述べる。「創造的な緊張関係」では、側近たちが競争して、最高のアイデアを生み出すことになる、ということである。

 

保守派のシンクタンクであるアメリカン・プリンシプルズ・プロジェクトの所長フランク・カノンは次のように語る。「トランプは何かを決定する前に、出来るだけ幅広い意見を多くの人々から聞くことを好みます。しかし、政権内部で争いが起きている時にこそ、幅広い意見を多くの人々から聞くことを実行すべきです。特にここ数週間、これを実行すると明確に打ち出すべきです」。

 

バノンとクシュナーの衝突はトランプ政権を第一にする姿勢とは程遠いものとなっている。

 

政権発足してから、トランプは、前共和党全国委員会委員長であった大統領首席補佐官レインス・プリーバスを更迭するという噂が流れた。

 

プリーバスの味方をしている人々は、こうした噂を広めていたのは、トランプの大統領選挙の選対本部にいた人々とバノンの味方をしている人々だと確信していた。こうした人々は、プリーバスはエスタブリッシュメント側の人間で、大統領選挙期間中にトランプに対して忠実ではないと考えていた。

 

プリーバスはこのような噂の払しょくに努めた。そして、バノンとプリーバスはそれ以降、友好関係を築いているように見える。

 

保守派の中には、クシュナー・コーン派の台頭に警戒感を持つ人たちもいる。コーンは元民主党員で、ゴールドマンサックスの役員をしていた。トランプの支持層からは大いなる疑いの目で見られている。

 

保守派の多くはバノンのコーンの台頭によってバノンの力が落ちているという懸念を持っている。トランプがバノンを国家安全保障会議最高会議の出席者から排除した後、バノンはそのまま政権から外れるのではないかという噂が出た。

 

ティー・パーティー運動の指導者デビー・ドゥーリーは先週、本誌のインタヴューに応じ、次のように語った。「そのようなことはないと思うが、トランプがバノンを排除するならば、草の根保守の人々の間で大爆発が起きるだろう」。

 

主流派保守の人々はこのような主張に対して不満を募らせている。主流派保守の人々は、トランプ大統領が様々な種類のアドヴァイザーからの助言を聞いていることを喜んでいる。アドヴァイザーの中には、コーン・クシュナー派と深い繋がりを持つパウエルが、大統領国家安全保障問題担当次席補佐官になっていることに安心感を持っている。

 

共和党のヴェテラン職員チャーリー・ブラックは「彼女はリベラルでもなんでもない。彼女が元連邦下院院内総務ディック・アーミー(テキサス州選出、共和党)とジョージ・W・ブッシュの下で働いたことを思い出すべきだ」と語った。

 

ブラックはまた次のように語る。「私はゲイリー・コーンについて知らない。彼はニューヨーク出身で、熱心な民主党支持者であった人物の典型例だ。しかし、彼は実業家であって、問題解決を優先する人物だ。問題解決を優先する姿勢こそがトランプのメッセージであり、それによって彼は大統領選挙に勝ったのだ。このことを理解する必要がある。バノンは最初から選挙戦に関与した人物ではない。そして、トランプのメッセージは変わっていない。とにかく、トランプがアドヴァイザーたちの助言を全く聞かないなどと考える理由は存在しない」。

 

保守派の人々は、「リベラル」派が勝利しつつある兆候を目撃していると述べている。しかし、最終的な勝利を収めている訳ではない。ティー・パーティーの指導者マーク・メックラーは次のように指摘している。ここ数週間のトランプの発言は、製造業とアメリカ国内の雇用創出に重点を置いたものとなっている。しかし、彼は貿易、移民、国境の壁建設、イスラム国打倒からぶれてはいない。

 

メックラーは次のように語る。「私たちは、ホワイトハウスが実際に行っていることをじっくり見つめている。トランプの考えと姿勢以外はすべて雑音に過ぎない」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)





アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22


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