古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ジョン・ケリー

 古村治彦です。

 

 アメリカの歴代政権は中間選挙の後に人事異動を行うことが通例となっています。ドナルド・トランプ大統領も例外ではなく、ジェフ・セッションズ司法長官を解任し、国家安全保障問題担当次席大統領補佐官であったミラ・リカーデルを異動させる決定を行いました。

 

 また、トランプ大統領はジョン・ケリー大統領首席補佐官が年末で退任すると正式に発表しました。「2020年まではその職にとどまる」とホワイトハウスも発表していましたが、交代ということになりました。これによって、カースティン・ニールセン国土安全保障長官の交代も近いのではないかと言われています。ニールセンはケリーの側近であり、その後押しで国土安全保障長官に就任したので、ケリーがいなくなれば後ろ盾がいなくなるということになります。

 

 ジョン・ケリーの後任には、現在、マイク・ペンス副大統領の首席補佐官を務めているニック・エイアーズが就任すると噂されています。

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ニック・エイアーズとトランプ大統領
 

ニック・エイアーズはジョージア州を中心に活動してきた人物です。2003年から2011年までジョージア州知事を務め、現在はトランプ政権で農務長官を務めているソニー・パーデューの州知事選挙の責任者を務めました。エイアーズの妻はパーデューの親族であり、エイアーズはジョージア州知事選挙出馬に興味を持っているのではないかと報じられたこともあります。

 

2007年から2010年にかけては、共和党所属州知事会の事務局長を務めることで、中央政界への足掛かりを掴みました。そして、2010年から2011年にかけて共和党全国委員会で委員長を務めたラインス・プリーバス(トランプ政権で最初に大統領首席補佐官を務めた)を補佐しました。この時は、エイアーズも委員長候補として名前が挙がりましたが、それを断って、補佐役に回ったということです。20代で共和党全国委員会委員長の候補として名前が出るというのは、相当な力量がある人物ということになります。その後はコンサルタントに転じました。2011年の米大統領選挙ではティム・ポーレンティー陣営の幹部を務め、それ以降も各州の知事選挙で助言を行いました。

 

 2016年に当時インディアナ州知事を務めていたマイク・ペンスの再選のために選挙陣営に参加し、そこからペンスとの関係が出来ました。そして、2016年の大統領選挙では、ペンスが副大統領候補に選ばれることに尽力しました。そして、2017年1月からはペンス副大統領の首席補佐官を務めています。

 

 エイアーズは、36歳の若さで、大統領首席補佐官の候補者として名前が挙がるほどの人物です。20代で州知事選挙のスタッフから政治の世界に入り、中央政界での手掛かりを掴み、インディアナ州知事だったマイク・ペンスを副大統領に押し上げた手腕を持っています。

 

 NBCが報じるところによると、エイアーズと妻は6歳になる三つ子を育てているのだそうですが、ジョージア州に帰りたいと考えており、トランプ大統領からの首席補佐官就任に難色を示しているとも言われています。しかし、エイアーズにとっては大統領首席補佐官に就任し、再選に貢献するということになれば、これ以上の箔はなく、その後はジョージア州知事でも連邦議員でも、転身の成功可能性は高まることになるでしょう。

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マイク・ペンスと家族の前で宣誓するエイアーズ
 

 エイアーズが大統領首席補佐官に就任ということになると、マイク・ペンス副大統領の影響力が大きくなることも考えられます。しかし、トランプの周囲には娘であるイヴァンカと義理の息子ジャレッド・クシュナーがおり、この2人との関係が悪くなれば、エイアーズが切られるということになり、最悪の場合には、ペンスが途中で交代ということにすら発展しかねません。ですから、エイアーズとしては、大統領選挙の再選のために自分は首席補佐官になると割り切って、他のことにはあまり首を突っ込まないという態度を取るようになるかもしれません。

 

 民主党は中間選挙で連邦下院では過半数を奪還しましたが、選挙人制度である大統領選挙でこのような逆転が出来るのかどうか、今のままではかなり厳しいということになるでしょう。民主党では大統領選挙に向けて多くの名前が出ては消えてという現状で、有力な候補者が出て来ていません。そうした中で、再選に向けて動き出せるということは、やはり現職にとっては強みということになります。

 

(貼り付けはじめ)

 

ジョン・ケリーは今年末までにホワイトハウスを離れる(John Kelly to leave White House at year's end

 

ジョーダン・ファビアン、タル・アクセルロッド筆

2018年12月8日

『ザ・ヒル』誌

 

トランプ大統領は土曜日、ジョン・ケリー大統領首席補佐官が年末で退任すると発表した。11月の中間選挙での共和党の敗北以降、最新のそして最も高位の人事異動となる。

 

ケリーは2017年7月、混乱していたホワイトハウス内部に秩序を確立するためにトランプ大統領から指名を受けた。しかし、両社の関係は徐々に悪化していった。退役海兵隊大将であるケリーが大統領の行動を制限しようとすることに、トランプ大統領が反発するようになった。

 

土曜日、トランプ大統領はホワイトハウスの記者団に対して、「1日か2日か」の間に、代理という形でケリーの後任を選ぶことになるだろうと述べた。

 

トランプ大統領はフィラデルフィアで行われる陸軍士官学校対海軍兵学校のアメリカンフットボールの試合に向かう前に、ホワイトハウスの南庭で記者団に対して次のように語った。「ジョン・ケリーは職を離れることになる。引退、いや、引退という言葉を使えるのかどうか分からないな。それはともかく、彼は偉大な人物だ。ジョン・ケリーは今年いっぱいで退任することになる」。

 

加えて、トランプは「彼の奉仕と献身に大変感謝している」とも述べた。

 

ペンス副大統領の首席補佐官を務める共和党の戦略専門家であるニック・エイアーズは、トランプの最側近としてケリーの後任として選ばれる最有力候補だと考えられている。

 

エイアーズは36歳、政治に関する豊富な経験を有している。トランプ大統領に近い人々は2020年の米大統領選挙で再選に向けて動き始めねばならないと考えている。この時期にエイアーズの起用は当然だということになる。ケリーはトランプ政権入りするまでは、約40年にわたり、海兵隊で勤務していただけで、政治に関わる仕事をやったことはなかった。

 

しかし、エイアーズはトランプの周辺人物の中でも毀誉褒貶の多い人物であり、大統領の側近の中にはエイアーズの起用に抵抗している人たちもいる。

 

人事異動はトランプ大統領にとって重要な時期に行われる。トランプ大統領は来年には連邦下院で過半数を握っている民主党と妥協しなければならず、ロシアに関する捜査も更に進むという現実に直面している。

 

トランプ大統領は金曜日、元司法長官のウィリアム・バーを司法省の支配権を再び確立するために起用すると発表した。バーの司法長官就任が連邦議会で承認されれば、バーは司法長官として、ロバート・ムラー特別検察官の捜査を指揮監督することになる。

 

歴代の大統領は中間選挙後に政権内の人事異動を行うことを伝統としてきた。しかし、今回の人事異動はトランプによるドラマの一部という色合いが強いものとなっている。

 

トランプ大統領は中間選挙の翌日にツイッターを通じてジェフ・セッションズ司法長官の解任を発表した。そして、それから数週間を経てバーの起用を発表した。中間選挙の前日、ホワイトハウスでの記者会見で、トランプ大統領はセッションズとケリーに対して信頼していると言及することを拒否した。

 

トランプ大統領はケリーについて質問された際に次のように答えた。「私に何も大きな秘密はない。これまで多くの政権が中間選挙後に人事異動を行った。多くの点において、私は自分の政権と内閣についてとても満足していると言いたい」。

 

ケリーが退任するのかどうかについて重ねて質問され、トランプ大統領は、ケリーの退任については「聞いていない」としながらも、「人々は退任するものだ」と発言した。

 

トランプ大統領は更に「首席補産官の仕事はとても消耗する仕事だ。仕事を始める時には若くても、2年も続ければ、年を取ってしまって退任するということになる」と述べた。

 

ケリーが退任するということになり、人々の関心は、カースティン・ニールセン国土安全保障長官が政権高位の人物で次に退任することになるのではないかということに集まる。ニールセンはケリーに近い人物で、トランプ大統領はニールセンの移民関係の法律の執行状況を批判している。

 

セッションズの解任後、ケリー以外にこれほど長く退任が噂された人物はいなかった。

 

ケリーの退任は間近だとする報道が相次ぎ、ホワイトハウスは今年7月、ケリーは2020年の大統領選挙まで大統領首席補佐官の職にとどまると発表していた。

 

しかし、ホワイトハウスによる発表がなされても、ケリーが首席補佐官を退任するという噂は沈静化することはなかった。

 

金曜日、複数のメディアは、ケリーは数日のうちに辞任を発表すると報じた。『ニューヨーク・タイムズ』紙は、ケリーは月曜日に上級スタッフに辞任を伝える計画だと報じた。

 

しかし、トランプ大統領は土曜日にホワイトハウスの南庭で記者団に対しての発言の中で、ケリーの退任を認めた。

 

この発表は金曜日の夜にあらかじめ決まっていた、ホワイトハウスでのケリーとトランプ大統領、大統領の側近たちとの夕食会の後でなされた。

 

ケリーとトランプ大統領との関係は、トランプ大統領が首席補佐官の希望を無視して自由に行動すると主張したことで、悪化した。トランプ大統領は友人や支援者に記録に残らない形で電話をし、2016年の大統領選挙で陣営のスタッフだった人物たちのホワイトハウス訪問を受け入れるなど自由な行動を行った。

 

複数のメディアが報じているように、ケリー大統領首席補佐官の立場は徐々に弱くなっていっていた。複数のメディアは、ケリーが陰でトランプを嘲笑し、トランプの家族と政権幹部や上級の補佐官たちと衝突していると報じてきた。

 

ジャーナリストであるボブ・ウッドワードは著作『恐怖の男』の中で、ケリーがトランプ大統領を「情緒不安定」「愚か者」と呼び、ホワイトハウスを「狂った町」と形容していると書いている。ケリーはウッドワードの著作に書かれた、大統領を愚か者と呼んでいるということを否定した。

 

しかし、ケリーは大統領首席補佐官の職にとどまり続けた。これについて、各種メディアは、トランプは四つ星の海兵隊大将を解任することで批判が起きることを憂慮して、解任できないでいると報じた。

 

ケリーの洗練されたイメージが傷つき始めたのは2017年秋からだ。この時、民主党所属のフレデリカ・ウィルソン連邦下院議員(フロリダ州選出)は、トランプ大統領のある亡くなった兵士の家族に対するコメントについて批判を行ったが、これに対して、ケリーが誤解に基づいて批判を行ったことでケリーは批判を受けた。

 

ケリーは、今年2月に更なる議論に巻き込まれた。ケリーの側近で、ホワイトハウスのスタッフだったロブ・ポーターの家庭内の暴力についてのケリーの対処について批判が起きた。

 

先月、ジョン・ケリーは国家安全保障問題担当大統領補佐官ジョン・ボルトンと移民をめぐり、怒鳴り合いになったと報じられた。これについてホワイトハウスは否定しなかった。ケリーは、大統領の無スト義理の息子であり、上級補佐官を務めるイヴァンカ・トランプとジャレッド・クシュナーとの間で摩擦を起こしていると長い間噂されてきた。

 

トランプの補佐官を務めたオマロサ・マニゴウルド・ニューマンとアンソニー・スカラムチは、大統領首席補佐官であるケリーを厳しく批判している、2人は、ケリーがスタッフの士気を下げ、スタッフに対して虐めをしていると批判している。ホワイトハウスは2人の主張を否定している。

 

次期大統領首席補佐官はホワイトハウスにおけるトランプのティームの再構築を行うという厳しい仕事に直面することになる。この仕事は、ホワイトハウスから離れる人数が多くなるという事実によって、更に難しいものとなる。

 

トランプは金曜日、フォックス・ニュースの司会者を務め、現在は国務省の首席報道官を務めるヘザー・ナウアートをニッキー・ヘイリーの後任の国連大使に起用すると発表した。

 

しかし、上級、中級、下級の政権内のポジションの多くはまだ埋まっていない。ビル・スティーヴン、ジャスティン・クラークの両政治顧問は先週、トランプ大統領の再選に向けて、ホワイトハウスを離れた。年末に向けてさらにホワイトは数はなれる人数は多くなると見込まれている。

 

トランプは歴代のホワイトハウスでは人事異動は普通のこととして行われてきたと発言しているが、歴代の各政権に比較して、人事異動の割合は記録的に高い数字となっている。

 

ブルッキングス研究所の研究員キャサリン・ダン・テンパスが調査した数字によると、ホワイトハウスの上級補佐官の62%は既に辞任し、政権内の別の仕事に就くか、政権から離れるかした、ということだ。この数字にはケリーの退任は含まれていない。

 

トランプ大統領は以前、彼の前任者であるバラク・オバマ大統領(当時)を、首席補佐官の交代が多いことで批判していた。

 

2012年1月、トランプはツイッター上で次のように書いている。「大統領に就任して3年も経っていない間に3人目の首席補佐官。バラク・オバマ大統領が彼の公約を実行できないことの理由の一つとして、首席補佐官の頻繁な交代を挙げることが出来る」。

 

ケリーの後任はトランプ大統領にとって、大統領就任3年も経たないで3人目の首席補佐官となる。ケリーは、昨年ラインス・プリーバスの後任となった。プリーバスは大統領首席補佐官として6カ月の間、ホワイトハウスの混乱は収まらなかった。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 ここ数日、メラニア・トランプ大統領夫人がミラ・リカーデル国家安全保障問題担当次席大統領補佐官の更迭要求が話題になってきました。現地時間水曜日、ホワイトハウスは声明を発表し、ミラ・リカーデルの人事異動を発表しました。新しい職務はまだ分かっていませんが、国家安全保障問題担当次席大統領補佐官は解任されることになりました。今年5月に、ジョン・ボルトンによって招聘されましたが、半年で更迭ということになりました。

 

 以下の記事によると、リカーデルは官僚的な人物で、これまでにもジョン・ケリー大統領首席補佐官やジェイムズ・マティス国防長官と衝突したということで、味方はジョン・ボルトンしかいなかったようです。リカーデルの解任によって、ボルトンの力は落ちることになるでしょう。しかし、リカーデルが政権から離れず、ホワイトハウスではなく他の部署に異動するということで落ち着いたのは、ボルトンの巻き返しがあったためのようです。

 

 トランプ政権に対しては、多くのメディアがリーク情報を基にして様々な報道を行っています。これに対してトランプ政権内では神経を尖らせ、誰がリークしているんだ、ということで犯人探しも行われてきたようですが、政権の最高幹部クラスが自分の影響力を高める、もしくはライヴァルを蹴落とすといった目的でリークを利用しているようで、犯人探しとなれば、ほぼ全員ということになってしまうようです。また、トランプ大統領自身も友人たちに電話をかけて、様々なことを話してしまって、それが漏れてしまうということもあるようです。このアマチュア感、素人臭さがトランプ政権の良さでもあり、悪さでもあります。

 

 こうした政権内の雰囲気には、官僚的な人物は最もそぐわないということになります。もちろん組織運営上、官僚的な人物によるコントロール、手続き上の管理ということも必要になってきますが、ケリーやマティスのような軍隊で鍛え上げてきた人々とも衝突するということになると、リカーデルに行き過ぎた官僚主義的行動があったのだろうと推測されます。

 

 また、リカーデルを招聘したのはボルトンですが、2人はイラク戦争を主導したジョージ・W・ブッシュ政権で働いていた人々で、イラク戦争を批判して当選したトランプ政権の色合いと合う人たちではありませんし、ケリーやマティスのような制服組出身者とも気が合わないのだろうと思います。ボルトンの前任HR・マクマスターは現役の中将であったのに、国家安全保障問題担当大統領補佐官更迭時には昇進もなく退役という気遣いのない処分もあって、制服組出身者たちにしてみれば、ボルトンに対してマイナスの感情があるものと思われます。

 

 次席補佐官は、大統領や閣僚が出席する国家安全保障会議を実質的に主宰するほどに重要なポジションです。このポジションが大統領夫人の人事介入によって更迭されたということの意味は大きいし、これまでの政権であればこのようなことは少なくとも公には行わなかったでしょう。そこで、敢えてより考えてみると、メラニア・トランプ大統領夫人が汚れ役を買って出たということもあり得る推測ではないかとも思います。

 

 なんにしても、このようなことが起きるのがトランプ政権の特徴であり、繰り返しになりますが、このワシントンのアウトサイダーぶりこそが国民からの支持を集めることにつながっています。

 

 

(貼り付けはじめ)

 

ボルトンの副官は大統領夫人との公然となった衝突の後にホワイトハウスを離れる(Bolton aide exits White House after high-profile clash with first lady

 

ジョーダン・ファビアン筆

2018年11月14日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/416797-bolton-aide-exits-white-house-after-high-profile-clash-with-first

 

国家安全保障会議の最高幹部ミラ・リカーデルは、メラニア・トランプ大統領夫人との公然となった驚くべき衝突の後に、現在の職務から離れることになった。

 

水曜日、ホワイトハウスは声明を発表し、その中で、リカーデルは「政権内の新しい役割に移動する」予定だと述べたが、新しい職務については具体的に言及しなかった。

 

ホワイトハウス報道官のサラ・ハッカビー・サンダースは「大統領はリカーデル氏のアメリカ国民に対する継続的な奉仕と国家安全保障政策についての真摯な追求に感謝している」と述べた。

 

 

The announcement capped off a tense day of speculation about Ricardel's future after the first lady's office took the unusual step of publicly calling for her ouster. これは妥協の産物のようだ。国家安全保障問題担当大統領補佐官ジョン・ボルトンは、副官であるリカーデルを助けようとして奮闘したと報じられている。

 

しかし、リカーデルがホワイトハウスを離れることは、ホワイトハウス内部での争闘が大きくなっていることを示す兆候であり、それに大統領夫人オフィスがどのように関与しているかに光を当てるようになった。

 

イーストウィング(大統領夫人オフィス)は、先月のメラニア・トランプ夫人のアフリカ訪問時の政府専用機の座席のことでリカーデルと衝突したと報じられている。大統領夫人訪問ティームはリカーデルがメラニア・トランプ夫人についてのマイナスの話をリークしたのはリカーデルだと非難した。リカーデルは夫人のアフリカ訪問の準備を手伝ったが、このような事態になった。

 

大統領夫人オフィス報道官ステファニー・グリシャムは火曜日に発表した声明の中で、「大統領夫人オフィスの立場は、彼女(訳者註:ミラ・リカーデル)はホワイトハウスで勤務するという光栄に浴するに値しない、というものだ」と述べた。

 

今回の事態はホワイトハウス内における激しい勢力争いの引き金を引いた。ボルトンはリカーデルの更迭に反対したので、火曜日の時点ではリカーデルは職務に留まっていた。また、水曜日も、彼女の更迭が発表される前には職務に留まっていたと報じられている。

 

ボルトンは、今年5月にリカーデルを国家安全保障会議(NSC)のナンバー2のポジションに招聘した。リカーデルは高い行政手腕を持ち、官僚的手続きを墨守するタイプだという評判であった。リカーデルは、大統領首席補佐官ジョン・ケリーと国防長官ジェイムズ・マティスと衝突した。

 

しかし、リカーデルとメラニア・トランプ夫人との衝突が最後のひと押しとなったことは明らかだ。今年10月のメラニア夫人のアフリカ訪問時、夫人はABCとのインタヴューに応じ、その中で、彼女は夫である大統領に対して、政権の中に彼女が信頼できない人たちがいると助言したと発言した。

 

メラニア夫人はそうした人物たちについて「そうですね、ホワイトハウスの中には働いていない人たちがいます」と発言した。そして、ウエストウィングの中に信頼できない人たちがいると続けた。

 

メラニア夫人は続けて「統制を取ることがどんどん難しくなっています。いつも背中から刺されないように気をつけないといけない状況なのです」と語った。

 

リカーデルを巡る騒動は、トランプが政権内の大幅な人事交代を考えていると報じられる中で起きた。人事交代の対象には、国土安全保障長官クリステン・ニールセンとジョン・ケリーが入っている。ケリーは政権内でニールセンの大きな後ろ盾となっている人物だ。

 

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 古村治彦です。

 

 2004年の米大統領選挙で民主党候補者となり、バラク・オバマ前大統領の2期目で国務長官を務めたジョン・ケリーが2020年の大統領選挙に出馬する可能性を示唆したということです。

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ジョン・ケリー
 

 ジョン・ケリーがどうしてパレスチナ自治政府の高官たちと会ったのかということが気になります。そして、パレスチナ自治政府の高官たちに大統領選挙に出馬する可能性について言及するだろうかということも気になります。このような大事なことを外国人に言うのだろうかという疑問が出てきます。

 

 また、トランプ大統領が進める中東政策やイスラエル政策を邪魔するようなことを国務長官経験者のジョン・ケリーがいうのだろうかということも疑問です。

 

 しかし、私はジョン・ケリーが2020年の大統領選挙に出るのはアリだと思います。民主党の分裂が深まっている現在、バーニー・サンダースでは主流派が動かないし、ヒラリーに近いとみなされる人物もまた厳しいとなると、ジョン・ケリーくらいがちょうどよいのではないかと考えます。彼はマサチューセッツ州選出の連邦上院議員でした。今回の一般居所演説の反対演説を行ったのがジョセフ・ケネディ連邦下院議員でした。

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ジョセフ・ケネディ
 

 2020年の大統領選挙で民主党は内部の亀裂を修復しながら戦わねばなりません。そうなると、厳しい戦いになると思いますが、修復と票の獲得を両立できる人物はジョン・ケリーだと私は考えます。そして、マサチューセッツ州を地盤とするケネディ家のジョセフ、もしくは他のケネディ家の人物を2024年で勝利させるための地ならしをジョン・ケリーがするのではないかと考えます。

 

 どうなるかは分かりませんが、ジョン・ケリーは有力な候補者だと私は考えます。

 

(貼り付けはじめ)

 

ジョン・ケリーが2020年の大統領選挙出馬を検討中(John Kerry considering presidential run in 2020: report

 

ジョン・ボウデン筆

2018年1月24日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/370629-john-kerry-considering-presidential-run-in-2020-report

 

イスラエル紙『マアリヴ』が報じた記事によると、ジョン・ケリー前国務長官はトランプ大統領を倒すために、2020年の大統領選挙への出馬を考慮しているということだ。出馬すると、ケリーにとっては2度目の出馬となる。

 

記事によると、ケリーはパレスチナ自治政府の高官たちに対して、2020年の大統領選挙出馬を真剣に検討中だと語り、水曜日のパレスチナ側との会話の中で、トランプは再選されないだろうと強い言葉で示唆した、ということだ。

 

ケリーは、パレスチナ自治政府議長マフムード・アッバスの側近に対して「持ちこたえて、強くいて欲しい」と述べた。「アッバス議長は自分の信念をしっかり持って、しばらく時間を稼ぐようにすべきだ。アッバス氏はトランプ大統領の要求を断るべきでもないし、譲歩すべきでもない」とも述べた。

 

ケリー前国務長官は、イスラエル政府とパレスチナ自治政府との間の和平計画の交渉を促進させるためのトランプ政権の継続的な努力についても発言した。12月にトランプ大統領がイェルサレムをイスラエルの首都として公認したことを受けて、アッバス議長がパレスチナ側の計画を提案するように促した。

 

ケリーは「今こそパレスチナ側が和平における諸原理と建設的な計画を定める時であろう」と発言した。

 

ケリーは2004年の大統領選挙に出馬し、再選のために出馬したジョージ・W・ブッシュ元大統領と争った。ケリーは251名の選挙人を獲得したが、286名を獲得したブッシュに敗れた。ケリーはその後、ブッシュの後任の大統領となったバラク・オバマ前大統領の最後の国務長官を務めた。

 

2017年12月、ケリーは2016年の大統領選挙に出馬することを検討したが、取りやめたことを認めた。

 

マサチューセッツ州選出の連邦上院議員を務めたケリーは、『ボストン・グローブ』紙のインタヴューに対して、「ほんの少しの間だったが、出馬するという考えが私の頭の中をよぎった。本当のことだ」と語った。

 

「しかし、複数の理由から私は出馬するという考えを振り捨てた。この決断は良かったと思っている。正しかったと思う。私は出馬について真剣に考えてはいなかった」とケリーは語った。

 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 アメリカ外交についての記事を2つご紹介します。少しマニアックですが、このブログの記事をお読みいただいている皆様には「なるほど」と思っていただけるものだと思います。

 

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民主党所属の連邦上院議員:キューバとの合意は「野蛮な行動」を引き起こす(Senate Dem: Cuba trade rewards 'brutal behavior'

 

ピーター・サリヴァン(Peter Sullivan)筆

2014年12月17日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/227400-top-senate-dem-slams-obama-on-cuba

 

 連邦上院議員外交委員会の民主党側のトップであるロバート・メネンデス連邦上院議員(ニュージャージー州)は、キューバで拘束されていたアメリカ人の解放に関する合意について、オバマ大統領を批判した。

 
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メネンデス議員(左)とオバマ大統領

 キューバに対する厳しい姿勢で知られるメネンデスは声明の中で次のように述べている。「オバマ大統領の行動はキューバ政府の野蛮な行為を正当化している。国際支援に関わったアメリカ人と我が国に対してのスパイ活動で有罪となったスパイを交換することは正しくない」

 

 アメリカの海外支援に関わっていたアラン・グロスは5年にわたりキューバで拘束されていた。彼は、キューバの小さなユダヤ人社会のためにインターネットの構築を行おうとした。グロスは水曜日に、スパイ容疑で有罪判決を受けた3名のキューバ人との交換で解放された。

 

 メネンデスは「大統領の今回の行動は大変危険な前例となる」と述べた。

 

 「これ以降、独裁国家やならず者国家は海外で働くアメリカ人たちを交渉の手駒として使うようになるだろう。私は、市民社会を支援し、情報にアクセスし、人道支援を行うために海外で働く多くのアメリカ人たちを危険に晒すことになるだろうと危惧している。」

 

 オバマ大統領はキューバとの国交正常化を始めようとしている。これは政治の世界に大きな反響を巻き起こした。民主、共和両党の一部からはオバマ大統領の決断に関して批判が起きた。

 

メネンデスの声明について質問され、ホワイトハウスのジョシュ・アーネスト報道官は、オバマ政権は「メネンデス上院議員に対して尊敬の念を持っている」としながらも、キューバとの合意についてのメネンデスの声明の内容について否定した。

 

 報道官は「私たちは声明の内容については完全に不同意である。キューバに対して弱腰になっているのではない」と述べた。

 

 アーネスト報道官は、メネンデス議員はグロスと3名のキューバ人スパイが交換されたと述べたがこれ間違っていると述べた。報道官は、グロスは人道に基づいて解放されたのであり、一方、キューバ人スパイの釈放は、20年近くにわたってキューバで拘束されていたアメリカの諜報機関のある人物との交換であったと述べた。

 

「譲歩した訳ではない。グロス氏は人道に基づいて解放されたのだ」

 

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元戦争特派員が国務省の上級職に就任

 

ジョン・ハドソン(John Hudson)筆

2015年3月6日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2015/03/06/former-war-reporter-scores-senior-post-at-state/

 

 ジョン・ケリー国務長官は『ワシントン・ポスト』紙で戦争特派員をしていた経験を持つジョン・フィナーを自身の首席補佐官に昇進させた。先月、長年にわたりケリーに仕えてきたデイヴィッド・ウェイドが首席補佐官の職から退いていた。

 

 金曜日、ケリー国務長官は国務省の職員宛ての手紙を発表し、その中でフィナーの世界各国でジャーナリストとして活躍した経験を賞賛した。その中には、イラク戦争中、アメリカ海兵隊部隊に同行して取材活動を行ったことも含まれている。

 

ケリーは、「こうした経験を通じて、ジョンはアメリカの外交政策とそれが世界中に及ぼす影響についての独自の視点を獲得した」と書いている。

 

 ケリー国務長官の次席補佐官に就任する前、フィナーはトニー・ブリンケン国務副長官が、大統領国家安全保障問題担当次席補佐官を務めていた時にブリンケンの上席補佐官を務めていた。その前は、ジョー・バイデン副大統領の特別補佐官と外交政策に関するスピーチライターを務めた。

 

 首席補佐官の仕事は、国務長官との長時間にわたる打ち合わせと海外訪問の同行である。首席補佐官への昇進によって、元ジャーナリストのフィナーには長時間の勤務が求められる。

 

 ケリーは次のように書いている。「これから2年間で私たちにはやらねばならないことが多く残っている。イランの核開発を巡る交渉、インドとの関係強化、中国との戦略対話の準備、キューバとの国交正常化の努力などが挙げられる。こ職員全員の日々の献身と努力なしにこれらを成し遂げることはできない」。

 

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ジョナサン・フィナー

次席補佐官(2013年9月12日―)

http://www.state.gov/r/pa/ei/biog/bureau/220571.htm

 

 ジョン・フィナーは米国務省の次席補佐官である。彼は過去4年間、ホワイトハウスに勤務した。その期間のほとんどで、大統領国家安全保障問題担当次席補佐官であったアントニー・ブリンケンの上席補佐官を務めた。また、ジョー・バイデン副大統領の中東・北アフリカ担当特別補佐官と外交政策スピーチライターを務めた。2009年、オバマ政権にホワイトハウスの職員として参加し、首席補佐官事務室で勤務し、その後国家安全保障会議補佐官を務めた。

 

 政府の仕事に就く前、ジョンは『ワシントン・ポスト紙』で外国特派員や記者として働いた。彼は20カ国以上で取材活動を行い、イラクで18か月を過ごした。2003年のアメリカ軍のイラク侵攻の際にはアメリカ海兵隊部隊に同行し、2005年から2006年にかけてはバグダッドを拠点に取材活動を行った。2009年にはガザでの衝突、2008年にはロシアとグルジアとの間の紛争、2006年にはイスラエル・レバノン間の紛争を取材した。更には2004年の大統領選挙、同年のメジャーリーグのプレイオフの取材も行った。

 

 ワシントン・ポスト紙に入社する前、ジョンは、ヘンリー・ルース財団の研究員と『ファー・イースタン・エコノミック・レヴュー』紙の編集者として香港に1年間滞在した。ジョンはイェール大学で法務博士号を取得した。また在学中には「イラク難民支援プロジェクト」を共同して立ち上げた。ローズ奨学生としてイギリスに留学し、オックスフォード大学で修士号(国際関係論)を取得した。彼はハーヴァード大学で学士号を取得している。

 

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デイヴィッド・ウェイド

首席補佐官(2013年2月1日―)

http://www.state.gov/r/pa/ei/biog/210993.htm

 

 デイヴィッド・ウェイドは、ジョン・F・ケリー国務長官の首席補佐官である。首席補佐官は、ケリー国務長官の補佐官たちを管理し、政策立案、マスコミ担当、長官の職務の管理に関わっている。彼はまた、国務長官の考え、懸念、発案などを官僚たちに伝達する役目を担っている。

 

2008年から2013年にかけて、ウェイドはジョン・F・ケリー連邦上院議員(当時)の首席補佐官を務めた。同時期、ケリー議員は、連邦上院外交委員会院長を務めた。

 

 ジョン・ケリー議員の首席補佐官を務める直前、ウェイドは副大統領候補に指名された、ジョー・バイデン連邦上院議員(当時)の広報担当とマスコミ担当補佐官を務めた。

 

 ウェイドは、長年にわたり、国内政治に関わり、連邦議会で働いた。特にジョン・ケリー議員(当時)の下で様々な仕事を行った。スピーチライター、マスコミ担当、広報担当、次席補佐官、2004年のジョン・ケリーの大統領選挙ティームのマスコミ担当を務めた。

 

 ウェイドはコネチカット州出身で、ロードアイランド州プロヴィデンスにあるブラウン大学を卒業し、1996年にはハリー・S・トルーマン奨学金を獲得し、2010年にはジョン・C・ステニス研究員となった。

 

(終わり)










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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23



 古村治彦です。

 

 今回は、チャック・ヘーゲル国防長官の辞任についての論稿をご紹介します。日本時間の2014年11月24日夜にヘーゲル辞任のニュースが出ました。ニューヨーク・タイムズ紙などを読むと、「オバマ大統領から圧力をかけられた末の辞任」であるとあります。これはつまり「更迭」ということになります。

 

 以下の論稿は、ヘーゲルの辞任についてホワイトハウスとヘーゲルの関係悪化があったことを原因として挙げています。

 

 私は、今回のヘーゲルの辞任劇に関しては、ヒラリー派の巻き返しの結果であると考えています。拙著『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所、2012年)でも書きましたように、ヒラリー系は人道的介入主義を掲げ、アメリカが世界各地で起きている紛争や危機にどんどん介入することを目指しています。

 


 現在のオバマ政権の外交・国家安全保障担当ティームには、ヒラリー系からスーザン・ライス国家安全保障担当大統領補佐官とサマンサ・パワー米国連大使(閣僚級)の2人の女性が入っています。ヘーゲルの次の国防長官の有力候補として女性初の国防長官となるかもしれないミッシェル・フロノイの名前が挙がっていますが(レオン・パネッタ辞任の時にも名前が挙がりました)、彼女はヒラリー系です。

 オバマ大統領は現在の脅威や危機(エボラ出血熱やイスラム国など)の対応が不十分であったということで、ヘーゲル国務長官を「更迭した」ということになっています。しかし、実際は、大統領自身が圧力に負けて「更迭させられた」ということであって、ヒラリー派の巻き返しと外交・安全保障分野で主導権を握ったと見るべきです。 

 

 こうして見ると、ミッシェル・フロノイが国防長官に就任し、ヒラリー派が力を増すことで、2015年の世界は少しきな臭いことになるのではないかと私は考えています。

 

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晩秋に災難に遭って政から去る人物について(The Fall Guy

 

ヘーゲルを政権から除くことはオバマ政権の国家安全保障担当ティームが患っている病気の治療にはならない。これこそが病気の症状そのものなのだ

 

デイヴィッド・ロスコフ(David Rothkopf)筆

2014年11月24日

フォーリン・ポリシー(Foreign Policy)誌

http://www.foreignpolicy.com/articles/2014/11/24/the_fall_guy_chuck_hagel_resignation_obama_administration_national_security_team

 

 チャック・ヘーゲル(Chuck Hagel)が国防長官に任命されると同時に彼を取り除くためのナイフが既にようにされていたのだ。しかしながら、最初のうち、彼を切り裂くためのナイフを持っていたのは、彼を国防長官に押し上げた、疑い深いマスコミであった。ワシントンの事情通たちは、ヘーゲルは上院議員として活躍し、ビジネス界と軍隊時代に大きな業績を上げたのだが、国防長官としては仕事ができなかったと述べている。しかし、本日、ヘーゲルはオバマ政権の閣僚の座から追われることが発表された。彼の国防長官としての資質や仕事ぶりに疑念を持っていた人々の多くは、彼が失敗したのだと感じた。

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チャック・ヘーゲル(左)とオバマ大統領

 

 オバマ政権第二期の最初の2年、国家安全保障分野の最前線においては様々な問題が起きた。私を含め多くの人々は、オバマ大統領はブッシュ前大統領が書いた本を読んでそれから教訓を学び、自分のためにうまく働かない政権のメンバーを交替させるべきだと主張してきた。

 

 約2カ月前、政権内部の事情通は、ヘーゲルはスケープゴートにされるかもしれないと言っていた。彼とホワイトハウスとの関係は悪かった。彼は力のある国防長官だとは考えられなかった。オバマ政権のアドヴァイザーを務めたある人物は、ヘーゲルについて、「オバマ政権に最初からいたかのように演じていた」と述べている。国防総省の幹部たちは、イラクとシリアの混乱状況を拡大させているイスラム国に対する大統領とホワイトハウスの国家安全保障担当ティームの首尾一貫しない対応に対して不満を募らせていった。ヘーゲルはこれを大統領とホワイトハウスに伝える役割を果たした。

 

 ヘーゲルを国防長官にしたことは、オバマ大統領と彼の側近のアドヴァイザーたちの判断ミスであると言えるだろう。ヘーゲルは国家安全保障を担当する国防総省の官僚たちをうまく動かすノウハウを持っておらず、オバマ政権第一期に国防長官を務めたロバート・ゲイツ(Robert Gates)とレオン・パネッタ(Leon Panetta)が示したほどの指導力を持っていなかった。ヘーゲルは、大統領が信頼して国防分野を任せることができる側近が少なかったということを示すシンボルであった。オバマ大統領は大統領になる前、ワシントンでは4年間の経験しかなく、そこで知り合った数少ない人物であるヘーゲルを国防長官に任命したのである。彼の数少ないワシントン経験が連邦上院議員であった。ヘーゲルは有名人ではあったが、国防長官に適した人物ではなかった。しかし、ヘーゲルは、オバマ、ジョー・バイデン(Joe Biden)、ジョン・ケリー(John Kerry)といった連邦上院外交委員会時代の同僚たちと仕事をすることを楽しんでいた。

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左側にスーザン・ライスとヘーゲル、右側にバイデンとケリー

 

 ヘーゲルに問題があったのではない。確かに彼は孤立してきたし、ワシントンDC以外で時間を使ってきた。しかし、オバマ政権は政権の閣僚たちをこれまでの政権に比べ、孤立させてきた。このことを知るためには、『ニューヨーク・タイムズ』紙に掲載されたマーク・ランドラーの記事を読むだけで良い。この記事は国務長官ジョン・ケリーについてのもので、ケリーはホワイトハウスとのつながりが絶たれており、彼は映画『グラヴィティ』で女優サンドラ・ブロックが演じた、宇宙でロープが切れてしまい漂流することになった宇宙飛行士と似ているというものであった。拙著『国家安全保障の問題』は、現在の諸問題を生み出した機能不全について書いたものである。そして、ホワイトハウスと閣僚の関係の抱える問題についても書いている。これは、パネッタ、ゲイツ、ヴァリ・ナシャール、そしてヒラリー・クリントンがそれぞれの著書の中で指摘していることである。

 

 いや、ヘーゲルの孤立、ヘーゲルとホワイトハウスとの間の緊張関係、アメリカ軍のトップであるヘーゲルが国防長官に就任してから不満を募らせていたこと、中途半端さ、イラクとシリアにおける戦いに関するオバマ政権の対応のまずさが示しているのは、オバマ大統領自身の政権運営もまずさであり、政策決定過程を見てみると、国家安全保障会議のやり方に問題があったと言えるのだ。

 

 二期目を無事に迎えた大統領の多くは選挙担当スタッフたちを政権から退かせ、政権運営により集中するものである。オバマ大統領は、しっかりとした政策を立案できる国家安全保障担当ティームを作るよりも、側近たちで固めて安心感を求めるようになっている。国家安全保障担当大統領補佐官 スーザン・ライス(Susan Rice)は、オバマ大統領の選挙対策ティームにおける国家安全保障政策担当の最高責任者であった。彼女は、現在の大統領首席補佐官であるデニス・マクダナウ(Denis McDonough)と一緒に選挙の当選のために働いた。彼らは、オバマ政権内部において同僚たちと「私たち対彼ら」という環境を生み出している。ヒラリー・クリントン選挙対策ティームにいた人々がそうしたことをしているのである。彼らは選挙対策ティームの戦術をそのまま使い、国際社会におけるアメリカの行動を国内政治の観点から考えるばかりで、これがオバマ政権の国家安全保障担当ティームが犯している間違いの原因を生み出しているのである。ホワイトハウスと国防総省・上院との分裂と対立、昨年のシリア攻撃を行うそぶりだけを見せたこと、国家安全保障局のスキャンダル、ウラジミール・プーティン(Vladimir Putin)ロシア大統領のクリミア侵攻に対する対応のまずさ、イラクの現在の状況といった失敗が起きているのである。

 
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肩を組むオバマ大統領、スーザン・ライス、サマンサ・パワー

オバマ大統領は国防総省のトップを考慮するにあたり、多くの素晴らしい選択肢を持っている。元国防次官ミッシェル・フロノイ(Michèle Flournoy)は最有力候補である。フロノイはヘーゲルが任命された時にも有力候補であり、それは今でも変わらない。元国防副長官アッシュ・カーター(Ash Carter)、元国防次官、元国防副長官で戦略国際問題研究所(CSIS)所長ジョン・ハムレ(John Hamre)も有力は候補者たちである。

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ミッシェル・フロノイとアッシュ・カーター

 

 これらの候補者から1人を選び出して国防長官にしても、オバマ政権内部にあるより深刻な諸問題を解決することはできないだろう。率直に言えば、国防長官の職を提示された人は、ホワイトハウスが国防総省のトップになる彼もしくは彼女に対して職務を遂行し、使命を果たすために必要な力を与えてくれるという確信がなければ、提示を受け入れるかどうか苦悩することになるだろう。そして、もっと率直に言うと、任命される人は国家安全保障会議の政策決定過程に変更を加えてくれるように頼むべきだ。そして、ホワイトハウスのスタッフたちに集中し過ぎた権力を分割するように依頼すべきだ。そして、オバマ政権に対して「政府全体で解決する」ことについて話試合をするように求めるべきだ。

 

 繰り返すと、より重大な挑戦と懸念がこの問題について付きまとう。

 

 ここで言う挑戦とは、国家安全保障会議と国家安全保障ティームはオバマ大統領が何を望んでいるかを常に反映しているということである。オバマ大統領が過去2年間に犯した間違いをこれからの2年間で避けるためにはどう変化すればよいのかということを自分に問いかけたくないと考えるなら、閣僚がどれだけ変わっても意味はない。チャック・ヘーゲルが激しい綱引きの後に政権から去ることはそれが示しているように、オバマ政権の抱える諸問題に真剣に向き合うことを避けるジェスチャーなのである。それは空虚さよりも性質の悪いことなのである。ヘーゲルの辞任はオバマ大統領が自身の政権を強化することに抵抗し、アメリカ合衆国の国家安全保障上の利益を有効に追求することに抵抗していることのシンボルなのである。

 

(終わり)








 

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