古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ジョン・ケリー

 古村治彦です。

 新型コロナウイルス感染拡大によってもたらされるもの、それは国家の力の増大であり、おそらく私権の制限であろう。既にそのような恐ろしい状況に向かって進んでいる。しかもそれを進めているのは、リベラルと呼ばれる人々だ。リベラル(liberal)とは、「自由な」という意味の英単語であったはずだが、それと逆行する動きを進めようとしている。

 世界経済フォーラム(World Economic ForumWEF)が言い始めた「グレイト・リセット」。新型コロナウイルス感染拡大という事態を受け、これまでのやり方を「リセット」するということらしい。「国家の力を劇的に強める」ということのようだ。国家の力を劇的に強めて、諸問題を一気に解決するということになると、これは大変に危険なことだ。
joebidenjohnkerry101

ジョーバイデンとジョン・ケリーの耄碌し尽くした老醜コンビ
 そして、大統領選挙に当選したというジョー・バイデンはこのグレイト・リセットに酷くご執心だということを、バイデンが気候変動対策の大統領特使に任命すると見られる、ジョン・ケリー元国務長官(連邦上院議員時代はバイデンと同僚)が暴露したのだ。
greatresetbookcover001

グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界

 世界の諸問題を一気に解決するために、国家の力を劇的に強める。そのようなことになれば、個人の抑圧、私権の制限といったことがどうしても起きてくる。新型コロナウイルス感染拡大を契機に、これを利用して、このような危険なことをやろうというのは、まさに「ショック・ドクトリン」だ。また、デモクラシーの濫用だ。「俺が選挙で勝ったんだ、だから俺の言うことを聞け」「反対する奴は非民主的だ」ということになる。

 私が恐れているのは、ジョー・バイデンが大統領に就任したということになって、「戒厳令を布告して、マスク着用を全国民に強制して、反対する人間やマスクをしない人間を“人民の敵”認定して逮捕・投獄する」ということが起きるのではないかということだ。

 このグレイト・リセットという、およそアメリカの憲法の精神に全くそぐわない考え方にバイデンやバイデンの側近たちが熱心だということは、それだけで恐ろしいことであるし、アメリカがアメリカではなくなる、アメリカを破壊する行為であると私は考える。

(貼り付けはじめ)

ジョン・ケリーがジョー・バイデンの急進的「グレイト・リセット・ムーヴメント」への傾倒を明らかにした(John Kerry reveals Biden's devotion to radical 'Great Reset' movement

ジャスティン・ハスキンス筆

2020年12月3日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/energy-environment/528482-john-kerry-reveals-bidens-devotion-to-radical-great-reset-movement

今年6月、世界経済フォーラム(World Economic ForumWEF)と国際連合(United NationsUN)のような重要な国際機関に属するエリートたちは、世界経済を「リセットする」ための遠大な計画とキャンペーンを始めた。

この計画には、グリーン・ニューディールのような新しい社会的プログラムの拡大、左派が主張している諸テーマを支援することを各企業に強制する巨大な規制と政府のプログラムを通じて、政府の力を劇的に増大させることが含まれている。

この計画の正当化には2つのポイントがある。支持者たちによって「グレイト・リセット(Great Reset)」と名付けた計画を正当化する理由として、新型コロナウイルス感染拡大(短期的な正当化の理由)と世界規模の温暖化による、いわゆる「気候変動危機」(長期的な正当化の理由)が存在する。

「グレイト・リセット」の支持者たちが主張しているところでは、この計画によって、社会の大きな部分が根本的に形を変えることになるだろうということだ。世界経済フォーラムの代表クラウス・シュワブは6月、次のように書いている。「世界は社会と経済の全ての側面を刷新するために一致団結してかつ陣族に行動しなければならない。それらは例えば、教育、社会契約、労働環境といった側面である。アメリカや中国をはじめとする全ての国家が参加しなければならない。そして、石油産業から天然ガス産業からハイテク産業など全ての産業が変化しなければならない。簡潔に述べると、私たちには資本主義の“グレイト・リセット”が必要なのだ」。

国際的に見て、「グレイト・リセット」は既に影響力を持つ指導者たち、活動家たち、学者たち、そして諸機関に支持されている。世界経済フォーラムと国連に加えて、グレイト・リセット・ムーヴメントは、国際通貨基金(International Monetary Fund)、国家元首たち、グリーンピース、マイクロソフトやマスターカードのような大企業や金融機関のCEOと会長たちの間でも支持を得ている。

しかし、アメリカにおいては、大統領選挙当選者ジョー・バイデンを含むほとんどの省察立案者や決定者たちが、グレイト・リセットについて比較的沈黙を待っている。多くの人々は、バイデン政権が、この急進的な計画であるグレイト・リセットに支持を表明するのか、反対するのか、知りたいと考え、そのヒントだけでも手に入れようとしている。

バイデンと彼の側近たちがグレイト・リセットを支持し、アメリカにそれを導入しようとするだろうことを示す証拠がいくつも存在する。しかし、バイデンと側近たちは、今のところ、アメリカにグレイト・リセットを導入するということを明確には述べていない。

11月中旬に世界経済フォーラムが主催した、グレイト・リセットに関するパネルディスカッションにおいて、バイデン政権で気候変動問題担当大統領特使を務めるであろうジョン・ケリー元国務長官は、バイデン政権がグレイト・リセットを支持し、「グレイト・リセットは、多くの人々が想像しているよりも、より急速にかつより大きな強度を持ってアメリカで実現されるだろう」と力強く宣言した。

パネルとして出席したボルゲ・ブレンデは、「世界経済フォーラムとその他のグレイト・リセットの支持者たちは、新しい大統領に期待するのが大き過ぎるし、急ぎ過ぎているのでしょうか?それとも新大統領は就任第一日目からグレイト・リセットを実行するのでしょうか?」とケリーに質問した。ケリーは「あなたのご質問に対する答えは、“いいえ、あなたは期待し過ぎてなどいなません”というものです」と答えた。

ケリーは続けて次のように語った。「そして確かに、グレイト・リセットは実現するでしょう。グレイト・リセットは、多くの人々が想像するよりも、急速にかつ強力に起きることでしょう。実際には、アメリカ市民はグレイト・リセットを遂行しつつあります。私たちはグレイト・リセットを実行しています。それは記録的な投票率のことを指します」。

ケリーは更に、「気候変動危機」のスピードを遅らせるためにグレイト・リセットが必要だと述べた。そして、「ジョー・バイデンは、アメリカにとってパリ(気候協定)に復帰することは十分ではないと考えていると私は知っています。パリ(気候協定)が必要としている最低限のことを行うだけでは十分ではないのです」と語った。

ケリーはまた、グレイト・リセット・ムーヴメントのために、「私たちはとても興奮する時代の幕開けに立ち会っている」と考えており、「気候変動危機に対処するために、社会的、そして経済的な諸問題を明確にするための最大の機会を手にしている」と述べた。

世界経済フォーラムのイヴェントでのケリーのこれらの発言は、世界経済フォーラムや国連など気候変動についてグレイト・リセットを支持ししている国際機関や組織とケリーがバイデン政権に参加して協同することになるという事実によって、より重要性を増す。

ケリーがグレイト・リセットを支持することを表明したのは今回が初めてではない。6月に世界経済フォーラムが開いたヴァーチャルのイヴェントで、ケリーは、新型コロナウイルス感染拡大は、グレイト・リセットにドアを開く「大きな瞬間」だと述べた。更に、「世界経済フォーラムは世界のCEO的な役割を果たせる能力を持っています。そして、気候変動と経済格差に対処するためにグレイト・リセットを洗練させるための最前線のそして中心的な役割を果たすことになるでしょう。これらの問題は新型コロナウイルス感染拡大によって露わにされたのです」。

バイデンとグレイト・リセットとのつながりには明確な証拠があることは明らかだ。ジョー・バイデン、ジョン・ケリーとバイデン政権の高官たちはアメリカにグレイト・リセットを導入することを計画している。もし彼らのその試みが成功すれば、アメリカは以前とは同じ国ではなくなるだろう。

(貼り付け終わり)
bakabusubingounawatashitachiwomatsufujimori001

馬鹿ブス貧乏な私たちを待つ ろくでもない近未来を迎え撃つために書いたので読んでください。

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙に向けて、民主党側では、ジョー・バイデン前副大統領陣営とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)陣営との間で、政策のすり合わせを行うために、タスクフォースが結成された。これは民主党内にある穏健派と進歩主義派の団結を図ることが目的だ。

 現在、アメリカは分裂状況であるが、

気候変動に関しては、バイデン陣営からはジョン・ケリー元国務長官、サンダース陣営からはアレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)が出ている。これは人々の関心を惹きつけるという目的があり、また、穏健派と進歩主義派の団結ということを象徴するということでもある。

 下に掲載した記事にかかれているように、バイデンは、いかにもヴェテラン政治家、という老練さを持っている。誰とも喧嘩をしない。交渉をし、合意を取り付け、妥協をし、相手を潰すのではなく、味方に引き入れるという技術を持っている。しかし、故の特徴は同時に、自分に確固たる信念や考えがない、弱弱しい政治家と見られてしまうという弱点になる。ドナルド・トランプ大統領のアクの強さやはっきりとした物言いに比べれば、どうしても弱弱しいということになる。これは共和党主流派の政治家たちにも言えることだ。反主流派や政治の外側からやってきた人々の方がはっきりした物言いで力強い。バーニー・サンダース、AOC、トランプ大統領の共通点はそこである。また、日本でも話題になっている、現代貨幣理論(Modern Monetary TheoryMMT)のステファニー・ケルトン教授も入っている。

 今回のタスクフォースの問題点は外交が入っていないことだ。どうして外交が入っていないのか。バイデン側が外交を専管するからか、すり合わせが不可能なほどにバイデン対サンダース、中道穏健派対進歩主義派の違いが大き過ぎるのか、ということが考えられる。バイデンの専管事項ということになれば、ヒラリー派の蠢動があることは覚悟しなければならない。ヒラリー派の人脈が外交分野で復活ということになれば、対中国、対ロシア、対中東で何をしでかすか分からない。最終的には体制転換や戦争を目指すという目的は変わらないが、それまでのプロセスで手荒なことを行うだろう。

 イラク戦争の失敗で威信を失ったジョージ・W・ブッシュ(息子)政権に代わったバラク・オバマ政権は抑制的な現実主義外交に戻ることを目指した。オバマが外交面で手本にしようとしたのは、ジョージ・HW・ブッシュ(父)政権だった。しかし、ヒラリー・クリントンを国務長官に選んでしまったことで、1期目はさんざんだった。

 バイデンもオバマと同様に、確固とした信念のない妥協型ということは懸念材料だ。ヒラリー派に政権を乗っ取られた場合には、民主党内部は修復不可能なほどに分裂する可能性がある。

(貼り付けはじめ)

バイデンとサンダースの側近たちが政策のすり合わせのために「団結のためのタスクフォース」を作る(Biden and Sanders allies create 'unity task forces' to explore policy initiatives

ジャスティン・コールマン筆

2020年5月13日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/497490-biden-and-sanders-allies-create-unity-task-forces-to-explore-policy

民主党の大統領選挙候補を確定させているジョー・バイデンと予備選挙でライヴァルだったバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)、両者の側近たちは民主党の香料のための政策のすり合わせを行うために「団結のためのタスクフォース(unity task force)」を作ることになった。バイデン選対が水曜日に発表した。

バイデンとサンダースのそれぞれの陣営は6つの政策課題をすり合わせ、民主党全国大会のために推奨される公約を作るためにタスクフォースを作るために協力している。タスクフォースには両陣営から8名ずつが出ることになっており、気候変動、刑事司法制度改革、経済、教育、健康保険、移民制度についてすり合わせることになる。

バイデン陣営は発表した声明の中で、タスクフォースの目的は「2020年の選挙で民主党を成功に導く政策」を作るために協力をすることだと述べている。

バイデンは、アメリカがただ単に「ドナルド・トランプ登場以前に時計の針を戻す」だけではないようにしたいと述べた。

バイデン前副大統領は次のように述べた。「団結した党は、今年11月にドナルド・トランプ大統領を倒し、前例のない危機を通じて私たちの国を前進させるために重要で必要不可欠な存在となる。私たちが共通の目的を達成する際に、アメリカ国民が直面している難題から目をそらさないことが決定的に重要だ」。

一方、サンダースは「前例のない経済上、ウイルス感染拡大の危機の直面する中で、民主党は大きく考え、大胆に行動し、この国の進むべき方向を変えるために戦わねばならない。」

気候変動部門の共同委員長にはアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)が予定されている。オカシオ=コルテス議員はサンダースの熱心な支持者であり、進歩主義運動の指導者でもある。オカシオ=コルテス議員はジョン・ケリー元国務長官と一緒に委員長を務めることになる。

サンダース陣営のアナリリア・メヒアとバイデン陣営のカーメル・マーティンがタスクフォース計画を主導することになっている。

バイデンは進歩主義派の主張を取り入れて進歩主義運動の支持者たちからの支持を得ようと動いている。バイデンはメディケア制度において医療保険の範囲を拡大すること、多くの学生の債務の棒引き、破産システムの改革を公約に入れるようになっている。

=====

ジョー・バイデンとバーニー・サンダースは、新しい、政策を中心としたタスクフォースを構築しようとしている(Joe Biden and Bernie Sanders are building new, policy-focused task forces

―団結のためのタスクフォースは2020年の民主党の政策を作るのに重要な役割を果たすだろう。誰がタスクフォースに参加するかを紹介する。

エラ・ニールセン筆

2020年5月13日

『ヴォックス』誌

https://www.vox.com/2020/5/13/21257078/joe-biden-bernie-sanders-joint-unity-task-forces-democratic-policy

ジョー・バイデン前副大統領と進歩主義派のバーニー・サンダース連邦上院議員は、合同の「連合」タスクフォースを結成しようとしている。このタスクフォースは民主党の政策を直接作成し、2020年とそれ以降の党の綱領を打ち出すことになる。

48名の連邦議員たち、労働運動の指導者たち、経済学者たち、学術関係者たち、活動家たちは、民主党の政策綱領がどのようになるかを示している。バイデン陣営とサンダース陣営は6つの政策委員会に入る代表者たちを選んだ。この6つの政策分野は気候変動、刑事司法改革、教育、経済、医療、移民である。

サンダースの側近たちはタスクフォースのメンバーの名前を見て元気づけられるだろう。アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出)とプラミラ・ジャヤパル連邦下院議員など、メディケア・フォ・オールやグリーン・ニューディールといった進歩主義的な諸政策を声高に主張している人々が入っている。サンダース選対の前責任者ファイズ・シャキールはバイデン選対との交渉を主導している。シャキールは本誌の取材に対して、メンバーの選択過程を通じて、バイデン陣営は進歩主義派と協力するのに「柔軟でかつオープン」であると述べた。

シャキールは次のように述べた。「[バイデンには]選挙戦のために、より具体的な公約を作り上げるための余地が残っている。それは、彼が予備選挙を通じて、他の候補者のようにより深く具体化された公約を発表してこなかったからだ。だから、より具体的な公約を発表出来ることは大きなチャンスということにもなる」。

シャキールは、これからの数カ月でバイデンの政策公約に進歩主義派が影響を与えるだけでなく、バイデン陣営と継続的な関係を築くことができる機会となり、その結果、11月にバイデンが勝利を収めた場合にバイデン政権に誰が入るかについて情報を与えることになると考えている。

シャキールは「私たちが分かっている成功の秘訣は、ある政策を主張している人物に、実際に政策を実行させることです」と述べている。

大胆な政策を実行させることができるかどうかは、その多くが2020年の選挙後の連邦議会の議員の構成によって変わる。しかし、今回のタスクフォース結成は大きな第一歩ということになり、民主党内の進歩主義派と穏健派が協力する意思を持っていることを示す兆候ということになる。

声明の中で、民主党の大統領選挙候補者に内定しているバイデンは次のように述べている。「医療制度から司法制度改革、より多くの人々が参加できる公正な経済の再建まで、タスクフォースの仕事は私たちの国を前進させるための方法を明らかにするために必要不可欠なものとなる。これはドナルド・トランプ登場以前に時計の針を戻すだけということにはならない。私たちの国を変身させるものだ」。

タスクフォースは、今年8月の民主党全国大会の前に会合が開かれる予定だ。そして、バイデン陣営と民主党全国委員会投稿両委員会の両方に政策提言を行う。

現在、アメリカはコロナウイルス感染拡大の対応に苦闘している。仕事面や医療制度でも長年格差が続いている。そうした中で意味のある変化を起こさねばならない。サンダースは、民主党は労働者階級の人々のことを頭に入れて政策公約を作る必要があると述べた。

サンダースは声明の中で次のように述べている。「私はジョー・バイデンが私の選対と一緒に仕事をすると決めたことを評価する。私たちは、指導的な立場の思想家や活動家たちを集めた。こうした人々は、私たちの党を変革と進歩杉的な方向に向けるために一つにまとめ上げることができるし、実際に実現するだろう」。

バイデンとサンダースは連合体を構築しつつある。

このタスクフォース結成は、2020年の民主党予備選挙からサンダースが撤退してすぐにバイデン支持を表明した大きな理由であった。サンダースは、バイデン政権において、自分の進歩主義的な考えが政策に具体的な影響を与えることが補償されることを望んだ。

サンダースがタスクフォースのために選んだ人々は政策面でインプットができるだけではなく、バイデンが大統領に選ばれた場合にはホワイトハウスに入ってバイデンに仕える権利を持つ可能性が高い。

サンダース側の人々は他の面でも影響力を行使することができる。サンダースは現在でも予備選挙で多くの州で立候補を取り下げていない。そのため、民主党全国大会の場で決定される党の綱領の修正について、民主党全国大会に出席する代議員を獲得でき、それをバイデンとの交渉材料に使うことができる。これは2016年の時もバイデンが実行したやり方だ。しかし、民主党全国大会の開催前にタスクフォースに参加できることは進歩主義派にとっては大きな勝利ということになる。

このタスクフォースはバイデンの政治家としてのスタイルを表しているものだ。本誌のエズラ・クラインが指摘しているように、バイデンは合意を取り付けること、そして連合体を形成することの技術の高さで知られている。この技術は今回の予備選挙の期間中にバイデン自身を助けた。彼は、ピート・ブティジェッジやエイミー・クロウブシャー連邦上院議員といった中道派の競争相手と連合体を形成した。現在、この技術は、11月にトランプを倒すために、自身の側に必要な進歩主義陣営を招き入れることに役立っている。

4月、クラインはバイデンについて次のように書いた。

彼は支持を得るために、合意を取り付け、連合体を作り、妥協をすることに躊躇しない。予備選挙期間中、こうした動きは常にバイデンに不利に働いた。彼の落ち着いた姿勢や考えは彼の弱さを示すものと考えられた。バイデンの政治家としての長い経歴と懐柔的な気質は、相手側に対して攻撃材料を多数提供した。

バイデンが民主党の大統領選挙候補者に内定したのは素晴らしい演説があったからでも、剃刀のように切れる討論のパフォーマンスがあったからでもないと誰もが言うだろう。予備選挙における重要な局面で、バイデンは取引や連合体形成を通じて競争相手に対して策略で勝利を収めた。バイデンは競争相手をやっつけるのではなく、説得して味方に引き入れた。

サンダースはバイデンとインターネット上での議論の中で次のように語った。「私は君が人々を受け入れて結集させようとする人物だと分かっています。たとえ君とは意見が合わない人でも参加させようとする人だとね。そうした人々が言わねばならないことに耳を傾けたいと考える人だ。私たちは言うべきことを言い合えることができる。それが民主政治体制と呼ばれるものです。君は民主政治体制の重要性とその存続を確信している。私もそうです。こうしたことから、ジョー、私は君と一緒に働くことを楽しみにしているんですよ」。

シャキールは本誌に対して、2つの陣営がタスクフォースを構築するとなっても魂は継続すること述べた。

シャキールは次のように語っている。「メンバーたちに関してはとても満足でき、受け入れられるものです。イデオロギー上の理由で批判されるべき人は誰も入っていません。私はタスクフォースがうまく機能をし、人々が友情と信頼を築くことができると熱意と希望を持っています」。

これからタスクフォースの参加者について挙げていく。

(1)気候変動(Climate Change

■バイデン陣営から起用

・ジョン・ケリー元国務長官、タスクフォースの共同委員長

・キャシー・キャスター連邦下院議員(フロリダ州選出、民主党):気候危機に関する連邦下院委員会委員長

・ケリー・ダッガン:バイデン副大統領(当時)政策副部長

・元環境保護庁長官ジーナ・マッカーシー

・ドナルド・イエチェン(ヴァージニア州選出、民主党):連邦下院エネルギー・商業委員会メンバー、気候と環境に関する正義連邦議会合同タスクフォース共同創設者

■サンダース陣営から起用

・アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)タスクフォースの共同委員長

・ヴァーシニ・プラカシュ:若者による活動グループ「サンライズ・ムーヴメント」共同創設者

・キャサリン・フラワーズ:地方事業・環境正義センター設立者

(2)刑事司法制度改革(Criminal Justice Reform

■サンダース陣営からの起用

・チラーグ・べインズ:タスクフォース共同委員長、進歩主義派のシンクタンク「デモす」の法律戦略部長

・ステイシー・ウォーカー:アイオワ州リン郡監督官、サンダース選対アイオワ支部共同委員長

・サウスカロライナ州下院議員ジャスティン・バンバーグ:公民権専門弁護士

■バイデン陣営からの起用

・ボビー・スコット連邦下院議員(ヴァージニア州選出、民主党):タスクフォース共同委員長、連邦下院教育・労働委員会委員長

・テネシー州上院議員ラウメッシュ・アクバリ:テネシー州上院民主党議員連盟委員長

・ヴァニタ・グプタ:元司法次官補代理

・エリック・ホルダー元司法長官

・シモーン・サンダース:バイデン選対アドヴァイザー

(3)経済(Economy

■サンダース陣営からの起用

・サラ・ネルソン:タスクフォース共同委員長、フライト・アテンダント・CWA組合委員長

・ステファニー・ケルトン:ニューヨーク州立大学スト―ニー・ブルック校経済学・公共政策教授で現代貨幣理論(modern monetary theory、MMT)の専門家

・オハイオ州立大学教授ダリック・ハミルトン:収入格差と社会経済階層について研究

■バイデン陣営からの起用

・カレン・バス(カリフォルニア州選出、民主党):タスクフォース共同委員長、連邦議会アフリカ系アメリカ人議員連盟委員長

・ジャレッド・バーンスタイン:バイデン副大統領(当時)のチーフ・エコノミスト、経済アドヴァイザー

・ベン・ハリス:バイデン副大統領(当時)のチーフ・エコノミスト、経済アドヴァイザー

・リー・サウンダース:全米州・郡・市職員組合委員長

・ソナル・シャー:ピート・ブティジェッジ2020年大統領選挙陣営の政策部長

(4)教育(Education

■サンダース陣営からの起用

・ヘザー・ガウトニー:タスクフォース共同委員長、サンダース選対政策アドヴァイザー

・アレハンドロ・アドラー:コロンビア大学持続戒能開発センター

・ニューヨーク大学教授ヒロカズ・ヨシカワ

■バイデン陣営からの起用

・マルシア・ファッジ(オハイオ州選出、民主党):タスクフォース共同委員長、連邦議会アフリカ系アメリカ人議員連盟元委員長

・リリー・エスケルソン・ガルシア:全米教育協議会会長

・ランディ・ウエインガーテン:全米教職員組合委員長

・マギー・トンプソン:「ジェネレイション・プログレス」上級部長

・クリスティー・ヴィルサック:識字率向上運動家

(5)医療(Health Care

■サンダース陣営からの起用

・プラミラ・ジャヤパル(ワシントン州選出、民主党):タスクフォース共同委員長、連邦議会進歩主義議員連盟共同委員長、連邦下院に提出した「メディケア・フォ・オール」の提出者

・ドナルド・バーウィック医学博士:メディケア・アンド・メディケイドサーヴィス・センター元部長

・アブドゥル・エル・サイード医学博士:2018年のミシガン州知事選挙立候補者、単一支払者制度の主導者

■バイデン陣営からの起用

・元軍医総監ヴィヴェック・マーシー医学博士:タスクフォース共同委員長

・メアリー・ケイ・ヘンリー:国際サーヴィス従業員組合委員長

・ニューヨーク大学教授シェリー・グリード:オバマ政権で合衆国保健福祉省に勤務

・クリス・ジェニングス:オバマ政権で医療政策アドヴァイザー

・ロビン・ケリー連邦下院議員(イリノイ州選出、民主党):連邦下院エネルギー・商業委員会メンバー

(6)移民(Immigration

■サンダース陣営からの起用

・マリエレーナ・ヒンキャビー:タスクフォース共同委員長、ナショナル・イミグレーション・ラー・センター上級部長

・マリッサ・フランコ:進歩主義的ラテンアメリカ系グループ「ミヘンテ」部長

・ジャヴィエ・ヴァルデス:進歩主義的移民グループ「メイク・ザ・ロード」の上級部長

■バイデン陣営から起用

・ルシール・ロイバル=アラード連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党):タスクフォース共同委員長、ドリーム法案の共同提出者

・クリストバル・アレックス:バイデン陣営アドヴァイザー

・ヴェロニカ・エスコバー(テキサス州選出、民主党)

・フアン・ゴンザレス:バイデン副大統領(当時)補佐官

・ケイト・マーシャル:ネヴァダ州副知事

(貼り付け終わり)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 

 アメリカの歴代政権は中間選挙の後に人事異動を行うことが通例となっています。ドナルド・トランプ大統領も例外ではなく、ジェフ・セッションズ司法長官を解任し、国家安全保障問題担当次席大統領補佐官であったミラ・リカーデルを異動させる決定を行いました。

 

 また、トランプ大統領はジョン・ケリー大統領首席補佐官が年末で退任すると正式に発表しました。「2020年まではその職にとどまる」とホワイトハウスも発表していましたが、交代ということになりました。これによって、カースティン・ニールセン国土安全保障長官の交代も近いのではないかと言われています。ニールセンはケリーの側近であり、その後押しで国土安全保障長官に就任したので、ケリーがいなくなれば後ろ盾がいなくなるということになります。

 

 ジョン・ケリーの後任には、現在、マイク・ペンス副大統領の首席補佐官を務めているニック・エイアーズが就任すると噂されています。

nickayersdonaldtrump001

ニック・エイアーズとトランプ大統領
 

ニック・エイアーズはジョージア州を中心に活動してきた人物です。2003年から2011年までジョージア州知事を務め、現在はトランプ政権で農務長官を務めているソニー・パーデューの州知事選挙の責任者を務めました。エイアーズの妻はパーデューの親族であり、エイアーズはジョージア州知事選挙出馬に興味を持っているのではないかと報じられたこともあります。

 

2007年から2010年にかけては、共和党所属州知事会の事務局長を務めることで、中央政界への足掛かりを掴みました。そして、2010年から2011年にかけて共和党全国委員会で委員長を務めたラインス・プリーバス(トランプ政権で最初に大統領首席補佐官を務めた)を補佐しました。この時は、エイアーズも委員長候補として名前が挙がりましたが、それを断って、補佐役に回ったということです。20代で共和党全国委員会委員長の候補として名前が出るというのは、相当な力量がある人物ということになります。その後はコンサルタントに転じました。2011年の米大統領選挙ではティム・ポーレンティー陣営の幹部を務め、それ以降も各州の知事選挙で助言を行いました。

 

 2016年に当時インディアナ州知事を務めていたマイク・ペンスの再選のために選挙陣営に参加し、そこからペンスとの関係が出来ました。そして、2016年の大統領選挙では、ペンスが副大統領候補に選ばれることに尽力しました。そして、2017年1月からはペンス副大統領の首席補佐官を務めています。

 

 エイアーズは、36歳の若さで、大統領首席補佐官の候補者として名前が挙がるほどの人物です。20代で州知事選挙のスタッフから政治の世界に入り、中央政界での手掛かりを掴み、インディアナ州知事だったマイク・ペンスを副大統領に押し上げた手腕を持っています。

 

 NBCが報じるところによると、エイアーズと妻は6歳になる三つ子を育てているのだそうですが、ジョージア州に帰りたいと考えており、トランプ大統領からの首席補佐官就任に難色を示しているとも言われています。しかし、エイアーズにとっては大統領首席補佐官に就任し、再選に貢献するということになれば、これ以上の箔はなく、その後はジョージア州知事でも連邦議員でも、転身の成功可能性は高まることになるでしょう。

nickayers002

マイク・ペンスと家族の前で宣誓するエイアーズ
 

 エイアーズが大統領首席補佐官に就任ということになると、マイク・ペンス副大統領の影響力が大きくなることも考えられます。しかし、トランプの周囲には娘であるイヴァンカと義理の息子ジャレッド・クシュナーがおり、この2人との関係が悪くなれば、エイアーズが切られるということになり、最悪の場合には、ペンスが途中で交代ということにすら発展しかねません。ですから、エイアーズとしては、大統領選挙の再選のために自分は首席補佐官になると割り切って、他のことにはあまり首を突っ込まないという態度を取るようになるかもしれません。

 

 民主党は中間選挙で連邦下院では過半数を奪還しましたが、選挙人制度である大統領選挙でこのような逆転が出来るのかどうか、今のままではかなり厳しいということになるでしょう。民主党では大統領選挙に向けて多くの名前が出ては消えてという現状で、有力な候補者が出て来ていません。そうした中で、再選に向けて動き出せるということは、やはり現職にとっては強みということになります。

 

(貼り付けはじめ)

 

ジョン・ケリーは今年末までにホワイトハウスを離れる(John Kelly to leave White House at year's end

 

ジョーダン・ファビアン、タル・アクセルロッド筆

2018年12月8日

『ザ・ヒル』誌

 

トランプ大統領は土曜日、ジョン・ケリー大統領首席補佐官が年末で退任すると発表した。11月の中間選挙での共和党の敗北以降、最新のそして最も高位の人事異動となる。

 

ケリーは2017年7月、混乱していたホワイトハウス内部に秩序を確立するためにトランプ大統領から指名を受けた。しかし、両社の関係は徐々に悪化していった。退役海兵隊大将であるケリーが大統領の行動を制限しようとすることに、トランプ大統領が反発するようになった。

 

土曜日、トランプ大統領はホワイトハウスの記者団に対して、「1日か2日か」の間に、代理という形でケリーの後任を選ぶことになるだろうと述べた。

 

トランプ大統領はフィラデルフィアで行われる陸軍士官学校対海軍兵学校のアメリカンフットボールの試合に向かう前に、ホワイトハウスの南庭で記者団に対して次のように語った。「ジョン・ケリーは職を離れることになる。引退、いや、引退という言葉を使えるのかどうか分からないな。それはともかく、彼は偉大な人物だ。ジョン・ケリーは今年いっぱいで退任することになる」。

 

加えて、トランプは「彼の奉仕と献身に大変感謝している」とも述べた。

 

ペンス副大統領の首席補佐官を務める共和党の戦略専門家であるニック・エイアーズは、トランプの最側近としてケリーの後任として選ばれる最有力候補だと考えられている。

 

エイアーズは36歳、政治に関する豊富な経験を有している。トランプ大統領に近い人々は2020年の米大統領選挙で再選に向けて動き始めねばならないと考えている。この時期にエイアーズの起用は当然だということになる。ケリーはトランプ政権入りするまでは、約40年にわたり、海兵隊で勤務していただけで、政治に関わる仕事をやったことはなかった。

 

しかし、エイアーズはトランプの周辺人物の中でも毀誉褒貶の多い人物であり、大統領の側近の中にはエイアーズの起用に抵抗している人たちもいる。

 

人事異動はトランプ大統領にとって重要な時期に行われる。トランプ大統領は来年には連邦下院で過半数を握っている民主党と妥協しなければならず、ロシアに関する捜査も更に進むという現実に直面している。

 

トランプ大統領は金曜日、元司法長官のウィリアム・バーを司法省の支配権を再び確立するために起用すると発表した。バーの司法長官就任が連邦議会で承認されれば、バーは司法長官として、ロバート・ムラー特別検察官の捜査を指揮監督することになる。

 

歴代の大統領は中間選挙後に政権内の人事異動を行うことを伝統としてきた。しかし、今回の人事異動はトランプによるドラマの一部という色合いが強いものとなっている。

 

トランプ大統領は中間選挙の翌日にツイッターを通じてジェフ・セッションズ司法長官の解任を発表した。そして、それから数週間を経てバーの起用を発表した。中間選挙の前日、ホワイトハウスでの記者会見で、トランプ大統領はセッションズとケリーに対して信頼していると言及することを拒否した。

 

トランプ大統領はケリーについて質問された際に次のように答えた。「私に何も大きな秘密はない。これまで多くの政権が中間選挙後に人事異動を行った。多くの点において、私は自分の政権と内閣についてとても満足していると言いたい」。

 

ケリーが退任するのかどうかについて重ねて質問され、トランプ大統領は、ケリーの退任については「聞いていない」としながらも、「人々は退任するものだ」と発言した。

 

トランプ大統領は更に「首席補産官の仕事はとても消耗する仕事だ。仕事を始める時には若くても、2年も続ければ、年を取ってしまって退任するということになる」と述べた。

 

ケリーが退任するということになり、人々の関心は、カースティン・ニールセン国土安全保障長官が政権高位の人物で次に退任することになるのではないかということに集まる。ニールセンはケリーに近い人物で、トランプ大統領はニールセンの移民関係の法律の執行状況を批判している。

 

セッションズの解任後、ケリー以外にこれほど長く退任が噂された人物はいなかった。

 

ケリーの退任は間近だとする報道が相次ぎ、ホワイトハウスは今年7月、ケリーは2020年の大統領選挙まで大統領首席補佐官の職にとどまると発表していた。

 

しかし、ホワイトハウスによる発表がなされても、ケリーが首席補佐官を退任するという噂は沈静化することはなかった。

 

金曜日、複数のメディアは、ケリーは数日のうちに辞任を発表すると報じた。『ニューヨーク・タイムズ』紙は、ケリーは月曜日に上級スタッフに辞任を伝える計画だと報じた。

 

しかし、トランプ大統領は土曜日にホワイトハウスの南庭で記者団に対しての発言の中で、ケリーの退任を認めた。

 

この発表は金曜日の夜にあらかじめ決まっていた、ホワイトハウスでのケリーとトランプ大統領、大統領の側近たちとの夕食会の後でなされた。

 

ケリーとトランプ大統領との関係は、トランプ大統領が首席補佐官の希望を無視して自由に行動すると主張したことで、悪化した。トランプ大統領は友人や支援者に記録に残らない形で電話をし、2016年の大統領選挙で陣営のスタッフだった人物たちのホワイトハウス訪問を受け入れるなど自由な行動を行った。

 

複数のメディアが報じているように、ケリー大統領首席補佐官の立場は徐々に弱くなっていっていた。複数のメディアは、ケリーが陰でトランプを嘲笑し、トランプの家族と政権幹部や上級の補佐官たちと衝突していると報じてきた。

 

ジャーナリストであるボブ・ウッドワードは著作『恐怖の男』の中で、ケリーがトランプ大統領を「情緒不安定」「愚か者」と呼び、ホワイトハウスを「狂った町」と形容していると書いている。ケリーはウッドワードの著作に書かれた、大統領を愚か者と呼んでいるということを否定した。

 

しかし、ケリーは大統領首席補佐官の職にとどまり続けた。これについて、各種メディアは、トランプは四つ星の海兵隊大将を解任することで批判が起きることを憂慮して、解任できないでいると報じた。

 

ケリーの洗練されたイメージが傷つき始めたのは2017年秋からだ。この時、民主党所属のフレデリカ・ウィルソン連邦下院議員(フロリダ州選出)は、トランプ大統領のある亡くなった兵士の家族に対するコメントについて批判を行ったが、これに対して、ケリーが誤解に基づいて批判を行ったことでケリーは批判を受けた。

 

ケリーは、今年2月に更なる議論に巻き込まれた。ケリーの側近で、ホワイトハウスのスタッフだったロブ・ポーターの家庭内の暴力についてのケリーの対処について批判が起きた。

 

先月、ジョン・ケリーは国家安全保障問題担当大統領補佐官ジョン・ボルトンと移民をめぐり、怒鳴り合いになったと報じられた。これについてホワイトハウスは否定しなかった。ケリーは、大統領の無スト義理の息子であり、上級補佐官を務めるイヴァンカ・トランプとジャレッド・クシュナーとの間で摩擦を起こしていると長い間噂されてきた。

 

トランプの補佐官を務めたオマロサ・マニゴウルド・ニューマンとアンソニー・スカラムチは、大統領首席補佐官であるケリーを厳しく批判している、2人は、ケリーがスタッフの士気を下げ、スタッフに対して虐めをしていると批判している。ホワイトハウスは2人の主張を否定している。

 

次期大統領首席補佐官はホワイトハウスにおけるトランプのティームの再構築を行うという厳しい仕事に直面することになる。この仕事は、ホワイトハウスから離れる人数が多くなるという事実によって、更に難しいものとなる。

 

トランプは金曜日、フォックス・ニュースの司会者を務め、現在は国務省の首席報道官を務めるヘザー・ナウアートをニッキー・ヘイリーの後任の国連大使に起用すると発表した。

 

しかし、上級、中級、下級の政権内のポジションの多くはまだ埋まっていない。ビル・スティーヴン、ジャスティン・クラークの両政治顧問は先週、トランプ大統領の再選に向けて、ホワイトハウスを離れた。年末に向けてさらにホワイトは数はなれる人数は多くなると見込まれている。

 

トランプは歴代のホワイトハウスでは人事異動は普通のこととして行われてきたと発言しているが、歴代の各政権に比較して、人事異動の割合は記録的に高い数字となっている。

 

ブルッキングス研究所の研究員キャサリン・ダン・テンパスが調査した数字によると、ホワイトハウスの上級補佐官の62%は既に辞任し、政権内の別の仕事に就くか、政権から離れるかした、ということだ。この数字にはケリーの退任は含まれていない。

 

トランプ大統領は以前、彼の前任者であるバラク・オバマ大統領(当時)を、首席補佐官の交代が多いことで批判していた。

 

2012年1月、トランプはツイッター上で次のように書いている。「大統領に就任して3年も経っていない間に3人目の首席補佐官。バラク・オバマ大統領が彼の公約を実行できないことの理由の一つとして、首席補佐官の頻繁な交代を挙げることが出来る」。

 

ケリーの後任はトランプ大統領にとって、大統領就任3年も経たないで3人目の首席補佐官となる。ケリーは、昨年ラインス・プリーバスの後任となった。プリーバスは大統領首席補佐官として6カ月の間、ホワイトハウスの混乱は収まらなかった。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密日本人が知らない世界支配の構造【電子書籍】[ 古村治彦 ]

価格:1,400円
(2018/3/9 10:43時点)
感想(0件)

ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側[本/雑誌] (単行本・ムック) / 古村治彦/著

価格:1,836円
(2018/4/13 10:12時点)
感想(0件)





このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 

 ここ数日、メラニア・トランプ大統領夫人がミラ・リカーデル国家安全保障問題担当次席大統領補佐官の更迭要求が話題になってきました。現地時間水曜日、ホワイトハウスは声明を発表し、ミラ・リカーデルの人事異動を発表しました。新しい職務はまだ分かっていませんが、国家安全保障問題担当次席大統領補佐官は解任されることになりました。今年5月に、ジョン・ボルトンによって招聘されましたが、半年で更迭ということになりました。

 

 以下の記事によると、リカーデルは官僚的な人物で、これまでにもジョン・ケリー大統領首席補佐官やジェイムズ・マティス国防長官と衝突したということで、味方はジョン・ボルトンしかいなかったようです。リカーデルの解任によって、ボルトンの力は落ちることになるでしょう。しかし、リカーデルが政権から離れず、ホワイトハウスではなく他の部署に異動するということで落ち着いたのは、ボルトンの巻き返しがあったためのようです。

 

 トランプ政権に対しては、多くのメディアがリーク情報を基にして様々な報道を行っています。これに対してトランプ政権内では神経を尖らせ、誰がリークしているんだ、ということで犯人探しも行われてきたようですが、政権の最高幹部クラスが自分の影響力を高める、もしくはライヴァルを蹴落とすといった目的でリークを利用しているようで、犯人探しとなれば、ほぼ全員ということになってしまうようです。また、トランプ大統領自身も友人たちに電話をかけて、様々なことを話してしまって、それが漏れてしまうということもあるようです。このアマチュア感、素人臭さがトランプ政権の良さでもあり、悪さでもあります。

 

 こうした政権内の雰囲気には、官僚的な人物は最もそぐわないということになります。もちろん組織運営上、官僚的な人物によるコントロール、手続き上の管理ということも必要になってきますが、ケリーやマティスのような軍隊で鍛え上げてきた人々とも衝突するということになると、リカーデルに行き過ぎた官僚主義的行動があったのだろうと推測されます。

 

 また、リカーデルを招聘したのはボルトンですが、2人はイラク戦争を主導したジョージ・W・ブッシュ政権で働いていた人々で、イラク戦争を批判して当選したトランプ政権の色合いと合う人たちではありませんし、ケリーやマティスのような制服組出身者とも気が合わないのだろうと思います。ボルトンの前任HR・マクマスターは現役の中将であったのに、国家安全保障問題担当大統領補佐官更迭時には昇進もなく退役という気遣いのない処分もあって、制服組出身者たちにしてみれば、ボルトンに対してマイナスの感情があるものと思われます。

 

 次席補佐官は、大統領や閣僚が出席する国家安全保障会議を実質的に主宰するほどに重要なポジションです。このポジションが大統領夫人の人事介入によって更迭されたということの意味は大きいし、これまでの政権であればこのようなことは少なくとも公には行わなかったでしょう。そこで、敢えてより考えてみると、メラニア・トランプ大統領夫人が汚れ役を買って出たということもあり得る推測ではないかとも思います。

 

 なんにしても、このようなことが起きるのがトランプ政権の特徴であり、繰り返しになりますが、このワシントンのアウトサイダーぶりこそが国民からの支持を集めることにつながっています。

 

 

(貼り付けはじめ)

 

ボルトンの副官は大統領夫人との公然となった衝突の後にホワイトハウスを離れる(Bolton aide exits White House after high-profile clash with first lady

 

ジョーダン・ファビアン筆

2018年11月14日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/416797-bolton-aide-exits-white-house-after-high-profile-clash-with-first

 

国家安全保障会議の最高幹部ミラ・リカーデルは、メラニア・トランプ大統領夫人との公然となった驚くべき衝突の後に、現在の職務から離れることになった。

 

水曜日、ホワイトハウスは声明を発表し、その中で、リカーデルは「政権内の新しい役割に移動する」予定だと述べたが、新しい職務については具体的に言及しなかった。

 

ホワイトハウス報道官のサラ・ハッカビー・サンダースは「大統領はリカーデル氏のアメリカ国民に対する継続的な奉仕と国家安全保障政策についての真摯な追求に感謝している」と述べた。

 

 

The announcement capped off a tense day of speculation about Ricardel's future after the first lady's office took the unusual step of publicly calling for her ouster. これは妥協の産物のようだ。国家安全保障問題担当大統領補佐官ジョン・ボルトンは、副官であるリカーデルを助けようとして奮闘したと報じられている。

 

しかし、リカーデルがホワイトハウスを離れることは、ホワイトハウス内部での争闘が大きくなっていることを示す兆候であり、それに大統領夫人オフィスがどのように関与しているかに光を当てるようになった。

 

イーストウィング(大統領夫人オフィス)は、先月のメラニア・トランプ夫人のアフリカ訪問時の政府専用機の座席のことでリカーデルと衝突したと報じられている。大統領夫人訪問ティームはリカーデルがメラニア・トランプ夫人についてのマイナスの話をリークしたのはリカーデルだと非難した。リカーデルは夫人のアフリカ訪問の準備を手伝ったが、このような事態になった。

 

大統領夫人オフィス報道官ステファニー・グリシャムは火曜日に発表した声明の中で、「大統領夫人オフィスの立場は、彼女(訳者註:ミラ・リカーデル)はホワイトハウスで勤務するという光栄に浴するに値しない、というものだ」と述べた。

 

今回の事態はホワイトハウス内における激しい勢力争いの引き金を引いた。ボルトンはリカーデルの更迭に反対したので、火曜日の時点ではリカーデルは職務に留まっていた。また、水曜日も、彼女の更迭が発表される前には職務に留まっていたと報じられている。

 

ボルトンは、今年5月にリカーデルを国家安全保障会議(NSC)のナンバー2のポジションに招聘した。リカーデルは高い行政手腕を持ち、官僚的手続きを墨守するタイプだという評判であった。リカーデルは、大統領首席補佐官ジョン・ケリーと国防長官ジェイムズ・マティスと衝突した。

 

しかし、リカーデルとメラニア・トランプ夫人との衝突が最後のひと押しとなったことは明らかだ。今年10月のメラニア夫人のアフリカ訪問時、夫人はABCとのインタヴューに応じ、その中で、彼女は夫である大統領に対して、政権の中に彼女が信頼できない人たちがいると助言したと発言した。

 

メラニア夫人はそうした人物たちについて「そうですね、ホワイトハウスの中には働いていない人たちがいます」と発言した。そして、ウエストウィングの中に信頼できない人たちがいると続けた。

 

メラニア夫人は続けて「統制を取ることがどんどん難しくなっています。いつも背中から刺されないように気をつけないといけない状況なのです」と語った。

 

リカーデルを巡る騒動は、トランプが政権内の大幅な人事交代を考えていると報じられる中で起きた。人事交代の対象には、国土安全保障長官クリステン・ニールセンとジョン・ケリーが入っている。ケリーは政権内でニールセンの大きな後ろ盾となっている人物だ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密日本人が知らない世界支配の構造【電子書籍】[ 古村治彦 ]

価格:1,400円
(2018/3/9 10:43時点)
感想(0件)

ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側[本/雑誌] (単行本・ムック) / 古村治彦/著

価格:1,836円
(2018/4/13 10:12時点)
感想(0件)





このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 

 2004年の米大統領選挙で民主党候補者となり、バラク・オバマ前大統領の2期目で国務長官を務めたジョン・ケリーが2020年の大統領選挙に出馬する可能性を示唆したということです。

johnkerry005

ジョン・ケリー
 

 ジョン・ケリーがどうしてパレスチナ自治政府の高官たちと会ったのかということが気になります。そして、パレスチナ自治政府の高官たちに大統領選挙に出馬する可能性について言及するだろうかということも気になります。このような大事なことを外国人に言うのだろうかという疑問が出てきます。

 

 また、トランプ大統領が進める中東政策やイスラエル政策を邪魔するようなことを国務長官経験者のジョン・ケリーがいうのだろうかということも疑問です。

 

 しかし、私はジョン・ケリーが2020年の大統領選挙に出るのはアリだと思います。民主党の分裂が深まっている現在、バーニー・サンダースでは主流派が動かないし、ヒラリーに近いとみなされる人物もまた厳しいとなると、ジョン・ケリーくらいがちょうどよいのではないかと考えます。彼はマサチューセッツ州選出の連邦上院議員でした。今回の一般居所演説の反対演説を行ったのがジョセフ・ケネディ連邦下院議員でした。

josephkerry010
ジョセフ・ケネディ
 

 2020年の大統領選挙で民主党は内部の亀裂を修復しながら戦わねばなりません。そうなると、厳しい戦いになると思いますが、修復と票の獲得を両立できる人物はジョン・ケリーだと私は考えます。そして、マサチューセッツ州を地盤とするケネディ家のジョセフ、もしくは他のケネディ家の人物を2024年で勝利させるための地ならしをジョン・ケリーがするのではないかと考えます。

 

 どうなるかは分かりませんが、ジョン・ケリーは有力な候補者だと私は考えます。

 

(貼り付けはじめ)

 

ジョン・ケリーが2020年の大統領選挙出馬を検討中(John Kerry considering presidential run in 2020: report

 

ジョン・ボウデン筆

2018年1月24日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/370629-john-kerry-considering-presidential-run-in-2020-report

 

イスラエル紙『マアリヴ』が報じた記事によると、ジョン・ケリー前国務長官はトランプ大統領を倒すために、2020年の大統領選挙への出馬を考慮しているということだ。出馬すると、ケリーにとっては2度目の出馬となる。

 

記事によると、ケリーはパレスチナ自治政府の高官たちに対して、2020年の大統領選挙出馬を真剣に検討中だと語り、水曜日のパレスチナ側との会話の中で、トランプは再選されないだろうと強い言葉で示唆した、ということだ。

 

ケリーは、パレスチナ自治政府議長マフムード・アッバスの側近に対して「持ちこたえて、強くいて欲しい」と述べた。「アッバス議長は自分の信念をしっかり持って、しばらく時間を稼ぐようにすべきだ。アッバス氏はトランプ大統領の要求を断るべきでもないし、譲歩すべきでもない」とも述べた。

 

ケリー前国務長官は、イスラエル政府とパレスチナ自治政府との間の和平計画の交渉を促進させるためのトランプ政権の継続的な努力についても発言した。12月にトランプ大統領がイェルサレムをイスラエルの首都として公認したことを受けて、アッバス議長がパレスチナ側の計画を提案するように促した。

 

ケリーは「今こそパレスチナ側が和平における諸原理と建設的な計画を定める時であろう」と発言した。

 

ケリーは2004年の大統領選挙に出馬し、再選のために出馬したジョージ・W・ブッシュ元大統領と争った。ケリーは251名の選挙人を獲得したが、286名を獲得したブッシュに敗れた。ケリーはその後、ブッシュの後任の大統領となったバラク・オバマ前大統領の最後の国務長官を務めた。

 

2017年12月、ケリーは2016年の大統領選挙に出馬することを検討したが、取りやめたことを認めた。

 

マサチューセッツ州選出の連邦上院議員を務めたケリーは、『ボストン・グローブ』紙のインタヴューに対して、「ほんの少しの間だったが、出馬するという考えが私の頭の中をよぎった。本当のことだ」と語った。

 

「しかし、複数の理由から私は出馬するという考えを振り捨てた。この決断は良かったと思っている。正しかったと思う。私は出馬について真剣に考えてはいなかった」とケリーは語った。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)







このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ