アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 アメリカ外交についての記事を2つご紹介します。少しマニアックですが、このブログの記事をお読みいただいている皆様には「なるほど」と思っていただけるものだと思います。

 

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民主党所属の連邦上院議員:キューバとの合意は「野蛮な行動」を引き起こす(Senate Dem: Cuba trade rewards 'brutal behavior'

 

ピーター・サリヴァン(Peter Sullivan)筆

2014年12月17日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/227400-top-senate-dem-slams-obama-on-cuba

 

 連邦上院議員外交委員会の民主党側のトップであるロバート・メネンデス連邦上院議員(ニュージャージー州)は、キューバで拘束されていたアメリカ人の解放に関する合意について、オバマ大統領を批判した。

 
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メネンデス議員(左)とオバマ大統領

 キューバに対する厳しい姿勢で知られるメネンデスは声明の中で次のように述べている。「オバマ大統領の行動はキューバ政府の野蛮な行為を正当化している。国際支援に関わったアメリカ人と我が国に対してのスパイ活動で有罪となったスパイを交換することは正しくない」

 

 アメリカの海外支援に関わっていたアラン・グロスは5年にわたりキューバで拘束されていた。彼は、キューバの小さなユダヤ人社会のためにインターネットの構築を行おうとした。グロスは水曜日に、スパイ容疑で有罪判決を受けた3名のキューバ人との交換で解放された。

 

 メネンデスは「大統領の今回の行動は大変危険な前例となる」と述べた。

 

 「これ以降、独裁国家やならず者国家は海外で働くアメリカ人たちを交渉の手駒として使うようになるだろう。私は、市民社会を支援し、情報にアクセスし、人道支援を行うために海外で働く多くのアメリカ人たちを危険に晒すことになるだろうと危惧している。」

 

 オバマ大統領はキューバとの国交正常化を始めようとしている。これは政治の世界に大きな反響を巻き起こした。民主、共和両党の一部からはオバマ大統領の決断に関して批判が起きた。

 

メネンデスの声明について質問され、ホワイトハウスのジョシュ・アーネスト報道官は、オバマ政権は「メネンデス上院議員に対して尊敬の念を持っている」としながらも、キューバとの合意についてのメネンデスの声明の内容について否定した。

 

 報道官は「私たちは声明の内容については完全に不同意である。キューバに対して弱腰になっているのではない」と述べた。

 

 アーネスト報道官は、メネンデス議員はグロスと3名のキューバ人スパイが交換されたと述べたがこれ間違っていると述べた。報道官は、グロスは人道に基づいて解放されたのであり、一方、キューバ人スパイの釈放は、20年近くにわたってキューバで拘束されていたアメリカの諜報機関のある人物との交換であったと述べた。

 

「譲歩した訳ではない。グロス氏は人道に基づいて解放されたのだ」

 

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元戦争特派員が国務省の上級職に就任

 

ジョン・ハドソン(John Hudson)筆

2015年3月6日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2015/03/06/former-war-reporter-scores-senior-post-at-state/

 

 ジョン・ケリー国務長官は『ワシントン・ポスト』紙で戦争特派員をしていた経験を持つジョン・フィナーを自身の首席補佐官に昇進させた。先月、長年にわたりケリーに仕えてきたデイヴィッド・ウェイドが首席補佐官の職から退いていた。

 

 金曜日、ケリー国務長官は国務省の職員宛ての手紙を発表し、その中でフィナーの世界各国でジャーナリストとして活躍した経験を賞賛した。その中には、イラク戦争中、アメリカ海兵隊部隊に同行して取材活動を行ったことも含まれている。

 

ケリーは、「こうした経験を通じて、ジョンはアメリカの外交政策とそれが世界中に及ぼす影響についての独自の視点を獲得した」と書いている。

 

 ケリー国務長官の次席補佐官に就任する前、フィナーはトニー・ブリンケン国務副長官が、大統領国家安全保障問題担当次席補佐官を務めていた時にブリンケンの上席補佐官を務めていた。その前は、ジョー・バイデン副大統領の特別補佐官と外交政策に関するスピーチライターを務めた。

 

 首席補佐官の仕事は、国務長官との長時間にわたる打ち合わせと海外訪問の同行である。首席補佐官への昇進によって、元ジャーナリストのフィナーには長時間の勤務が求められる。

 

 ケリーは次のように書いている。「これから2年間で私たちにはやらねばならないことが多く残っている。イランの核開発を巡る交渉、インドとの関係強化、中国との戦略対話の準備、キューバとの国交正常化の努力などが挙げられる。こ職員全員の日々の献身と努力なしにこれらを成し遂げることはできない」。

 

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ジョナサン・フィナー

次席補佐官(2013年9月12日―)

http://www.state.gov/r/pa/ei/biog/bureau/220571.htm

 

 ジョン・フィナーは米国務省の次席補佐官である。彼は過去4年間、ホワイトハウスに勤務した。その期間のほとんどで、大統領国家安全保障問題担当次席補佐官であったアントニー・ブリンケンの上席補佐官を務めた。また、ジョー・バイデン副大統領の中東・北アフリカ担当特別補佐官と外交政策スピーチライターを務めた。2009年、オバマ政権にホワイトハウスの職員として参加し、首席補佐官事務室で勤務し、その後国家安全保障会議補佐官を務めた。

 

 政府の仕事に就く前、ジョンは『ワシントン・ポスト紙』で外国特派員や記者として働いた。彼は20カ国以上で取材活動を行い、イラクで18か月を過ごした。2003年のアメリカ軍のイラク侵攻の際にはアメリカ海兵隊部隊に同行し、2005年から2006年にかけてはバグダッドを拠点に取材活動を行った。2009年にはガザでの衝突、2008年にはロシアとグルジアとの間の紛争、2006年にはイスラエル・レバノン間の紛争を取材した。更には2004年の大統領選挙、同年のメジャーリーグのプレイオフの取材も行った。

 

 ワシントン・ポスト紙に入社する前、ジョンは、ヘンリー・ルース財団の研究員と『ファー・イースタン・エコノミック・レヴュー』紙の編集者として香港に1年間滞在した。ジョンはイェール大学で法務博士号を取得した。また在学中には「イラク難民支援プロジェクト」を共同して立ち上げた。ローズ奨学生としてイギリスに留学し、オックスフォード大学で修士号(国際関係論)を取得した。彼はハーヴァード大学で学士号を取得している。

 

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デイヴィッド・ウェイド

首席補佐官(2013年2月1日―)

http://www.state.gov/r/pa/ei/biog/210993.htm

 

 デイヴィッド・ウェイドは、ジョン・F・ケリー国務長官の首席補佐官である。首席補佐官は、ケリー国務長官の補佐官たちを管理し、政策立案、マスコミ担当、長官の職務の管理に関わっている。彼はまた、国務長官の考え、懸念、発案などを官僚たちに伝達する役目を担っている。

 

2008年から2013年にかけて、ウェイドはジョン・F・ケリー連邦上院議員(当時)の首席補佐官を務めた。同時期、ケリー議員は、連邦上院外交委員会院長を務めた。

 

 ジョン・ケリー議員の首席補佐官を務める直前、ウェイドは副大統領候補に指名された、ジョー・バイデン連邦上院議員(当時)の広報担当とマスコミ担当補佐官を務めた。

 

 ウェイドは、長年にわたり、国内政治に関わり、連邦議会で働いた。特にジョン・ケリー議員(当時)の下で様々な仕事を行った。スピーチライター、マスコミ担当、広報担当、次席補佐官、2004年のジョン・ケリーの大統領選挙ティームのマスコミ担当を務めた。

 

 ウェイドはコネチカット州出身で、ロードアイランド州プロヴィデンスにあるブラウン大学を卒業し、1996年にはハリー・S・トルーマン奨学金を獲得し、2010年にはジョン・C・ステニス研究員となった。

 

(終わり)