古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ジョン・F・ケネディ

 古村治彦です。

 2024年のアメリカ大統領選挙の民主党予備選挙(民主党の候補者を決めるための選挙)に出馬表明したロバート・F・ケネディ・ジュニアについては、前回取り上げた。これからも少しずつ追いかけていきたいと思う。
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 ロバート・F・ケネディ・ジュニアはロバート・F・ケネディ元米司法長官・連邦所運議員の次男である。父のロバート・F・ケネディは兄であるジョン・F・ケネディを支え、ケネディ政権では司法長官(Attorney General)を務めた。兄ジョン・F・ケネディは1963年にテキサス州ダラスで暗殺された。その後は1965年からニューヨーク州選出の連邦上院議員となったが、1968年、大統領選挙運動中にロサンゼルスで暗殺された。兄弟そろっての暗殺、アメリカ政治の指導者層の暗殺ということで、今でも原因や実行の形態について、諸説が発表されている。
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ジョン・F・ケネディ(左)とロバート・F・ケネディ
 今回、アメリカ大統領選挙に出馬したロバート・F・ケネディ・ジュニアは、父と伯父の暗殺について、父ロバート・F・ケネディの暗殺については状況証拠の域を出ないとしながらも、伯父ジョン・F・ケネディについては証拠が山ほどにあり、それがCIAによる暗殺実行を示していると述べている。そして、伯父ジョンの暗殺の際の父ロバートが取った行動を明らかにしている。それによれば、ロバート・F・ケネディは兄ジョンの暗殺の一報を聞き、すぐにキューバ侵攻の際のリーダーとCIA長官に連絡を取り、「あなた方がやったのではないか」と質問したということだ。アメリカ政府が暗殺に関与もしくは実行したという直感をロバートは持ったということだ。そして、息子のロバート・F・ケネディ・ジュニアは、父の直感が正しかった、CIAが実行したのだということを主張している。
 ジョン・F・ケネディ、ロバート・F・ケネディの2人が暗殺された理由として、ロバート・F・ケネディ・ジュニアは、「ヴェトナム戦争に反対したから」ということを挙げている。「軍産複合体に反対したので暗殺されたのだ」と述べている。ジョン・F・ケネディに関しては拙著『アメリカ政治の秘密』で、私はアメリカ介入主義を始めた人物だと分析している。ヴェトナム戦争に関しては、アメリカ軍の派遣を決定している(最初は軍事顧問団から)。しかし、その後の米軍の大量覇権と戦争の本格化、泥沼化を進めたのは、ケネディ暗殺後に副大統領から昇格したリンドン・B・ジョンソンだった。ジョンソンは軍産複合体の言うなりであったということは推察できる。こうして考えると、ケネディ・ジュニアの主張も一定の説得力を持つ。

 「(私の伯父ジョン・F・ケネディは)アメリカの大統領の仕事は、国民を戦争に巻き込まないようにすることだと言ったのだ」というケネディ・ジュニアの発言は明確に明快にアメリカ大統領の責任について述べている。この責任を果たしていない大統領が続いている。ケネディ・ジュニアがアメリカ軍の世界各地800の基地からの撤退を主張して大統領選挙に出馬した意義は大きい。

(貼り付けはじめ)

ロバート・ケネディ・ジュニアが彼の父親の「最初の直感」はCIAがジョン・F・ケネディ大統領を殺害したというものだったと発言(Robert Kennedy Jr. says father’s ‘first instinct’ was CIA killed JFK

ジュリア・シャペロ筆

2023年5月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/3995897-robert-kennedy-jr-says-fathers-first-instinct-was-cia-killed-jfk/

ロバート・ケネディ・ジュニアが、彼の父親(訳者註:ケネディ元大統領の弟のロバート・ケネディ)の「最初の直感」は、ジョン・F・ケネディ元大統領を殺害したのがCIAだというものだったと発言した。ロバート・ケネディ・ジュニアは大統領選挙民主党予備選挙に立候補したが当選の望みは薄い。

ケネディ・ジュニアは、彼の父親であるロバート・ケネディ元司法長官が、JFKが銃撃を受けたという情報を入手して最初に電話をしたのはCIAのある本部付の上級職員だったと述べた。

ケネディ・ジュニアは月曜日にフォックス・ニューズの番組「ハニティ」に主演した際に、「私の父(ロバート・ケネディ)はこの職員に向かって、『君たちがこれをやったのか?』と言った」と語った。

ケネディ・ジュニアは「父が次に電話したのは、エンリケ・ルイズ=ウィリアムズだった。彼はピッグズ湾事件の際のキューバン・ボーイズの一人だった。彼はうちの家族とそして父と非常に近しい関係にあった」と述べ、続けて「私の父は彼にも同じ質問した」と語った。

ケネディ・ジュニアは、彼の父親はそれから、当時のCIA長官ジョン・マコーンに電話をかけ、私邸に来るように依頼した。

ケネディ・ジュニアは「私がシドウェル・フレンズスクールから帰宅すると、父はジョン・マコーンと庭を歩いていて、父はジョンに同じ質問を投げかけていた。“私の兄をこんな目に合わせたのは、政府の人間たちなのか?”と。CIAが兄を殺したというのが、父の最初の直感だった」と語った。

民主党の大統領選挙予備選挙候補であるケネディ・ジュニアは最近、CIAがジョン・F・ケネディを殺したという権力者共同謀議説(conspiracy theory)への支持を表明したが、CIAはこの疑惑を繰り返し否定してきた。

日曜日、ケネディはラジオのトークショーのホストであるジョン・キャッテシマティディスとのインタヴューの中で、「JFK殺害にCIAが関与したことを示す証拠は多すぎるほどにある。現時点では、これは合理的な疑い(rational doubt有罪であることの判断が十分に確かかどうかを判断するときの考え方)を超えるものである」と述べた。

特に1979年の連邦下院委員会が、暗殺計画に関与した少なくとも2人の銃撃者と共謀者がいた可能性が高いと示唆した後、ケネディ暗殺はこの60年間、果てしない「陰謀論」を煽り続けてきた。

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ロバート・ケネディ・ジュニアがJFK暗殺にCIAが関与した「圧倒的な証拠」を見たと発言(Robert Kennedy Jr. sees ‘overwhelming evidence’ CIA involved in JFK assassination

スティーヴン・ニューカム筆

2023年5月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/3993563-robert-kennedy-jr-sees-overwhelming-evidence-cia-involved-in-jfk-assassination/

民主党の大統領選挙予備選挙の希望が薄い候補であるロバート・ケネディ・ジュニアは、叔父であるジョン・F・ケネディ元大統領の殺害にCIAが関与したという権力者共同謀議説(conspiracy theory)を支持し、その証拠は「圧倒的に(overwhelming)」あると主張した。

CIAが彼(JFK)の殺害に関与したという圧倒的な証拠がある」と、ケネディはニューヨークのラジオ局WABC770のジョン・カツィマティディスとの日曜日のインタヴューで語った。「現時点では合理的な疑い(reasonable doubt)を超えていると思う」と語った。

CIAは、1963年にダラスで行われたパレードでオープンカーに乗っている時に撃たれたケネディ元大統領の死に関与したという疑惑を繰り返し否定してきた。

この暗殺事件は、歴史上最も有名な「陰謀論」の根拠となった。

リー・ハーヴェイ・オズワルドがこの攻撃の狙撃手として公式に特定されたものの、暗殺の周辺では長年にわたって「陰謀論」が流布し、この攻撃に関連する追加の狙撃手や共謀者が存在したかどうかに疑念を投げかけている。

1979年、暗殺事件を調査するために開かれた連邦下院委員会は、科学的証拠を考慮すると、少なくとも2人の狙撃手が大統領を撃った可能性が高いと報告した。また、陰謀の結果として暗殺された可能性が高いと結論づけたが、2人目の狙撃手を特定することはできず、陰謀の範囲も特定できなかった。

ケネディ暗殺時のCIA長官ジョン・マコーンは連邦下院委員会で、オズワルドはCIAのエージェントではなく、CIAはオズワルドと連絡を取ったり、関係を持ったりしたことはないと証言している。委員会は、彼の証言はCIAのオズワルドに関するファイルによって裏付けられているとした。

ケネディ・ジュニアは日曜日のインタヴューで、1963年11月に伯父が殺されたのは、米軍をヴェトナムに投入するのを拒否したことと関係があることを示唆した。

「私の伯父が大統領だったとき、彼は軍産複合体(military-industrial complex)と情報機関(intelligence apparatus)に囲まれていて、彼らは常にラオスやヴェトナムなどで戦争するように仕向けていた。彼はそれを拒否した。アメリカの大統領の仕事は、国民を戦争に巻き込まないようにすることだと言ったのだ(the job of the American presidency is to keep the nation out of war)」。

インタヴューの中で、ケネディ・ジュニアは、1968年に大統領選のキャンペーン中にロサンゼルスで射殺された、彼の父親である元米司法長官ロバート・F・ケネディの殺害にCIAが関与しているのではないかという権力者共同謀議説も流した。

ロバート・ケネディ・ジュニアは、父の死にCIAが関与しているという証拠は「非常に説得力があるが、状況証拠から出ていない」と述べた。

「父の事件に関しては、私たちは、叔父の時のような本当に強力な文書証言の証拠を持っていない」とケネディは述べた。

ケネディは著名な反ワクチン運動活動家であり、先月、2024年の米大統領選挙で現職のバイデン大統領に対抗して民主党予備選挙に立候補すると表明した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2024年の大統領選挙民主党予備選挙にケネディ一族のロバート・F・ケネディ・ジュニアが立候補した。4月の上旬、副島隆彦の学問道場の定例会(講演会)の準備に忙殺されていた私は、この重大なニューズを聞き流してしまった。私は良い年齢になりながら、このような迂闊な行動を取ってしまった、不明を恥じている。
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 ケネディ・ジュニアの出馬表明はまさにドナルド・トランプが2015年に大統領選挙に出馬表明をした時と同じように衝撃的な出来事だ。ケネディ・ジュニアははっきりと、「自分が大統領になったら、全世界にある800の米軍基地を閉鎖し、米軍を撤退させる」と述べた。これは、トランプが出馬表明をした際と同じ内容である。アメリカは帝国であることを止める、アメリカは世界の問題に過度に関わらない(ある国の問題はその国が解決することだ)、アメリカ国内の問題解決に取り組もう(アメリカ・ファースト)ということをはっきりと述べた。アメリカの中産階級が地上から消し去られよう(一掃されよう)としているとも述べた。ウォール街と政府のつながり(ウォール街がアメリカを支配すること)を止めようとはっきりと述べている。

 ロバート・F・ケネディ・ジュニアは1954年生まれの69歳、父はロバート・F・ケネディ元司法長官・元連邦上院議員、伯父はジョン・F・ケネディ元大統領で、アメリカのセレブ中のセレブ、民主党の「王朝(ボストン王朝)」であるケネディ家の主要メンバーである。父や伯父と同じくハーヴァード大学を卒業し、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスでも学んだ。環境問題にかかわる弁護士を務めている。同時に、反ワクチン運動を長年続けており、この点でアメリカでは「陰謀論者(conspiracy theorist)」という扱いを受けている。ケネディ家の中では孤立している。

 ケネディ・ジュニアには2人の息子がおり、上記の写真でも右側に写っている。次男のコナー・ケネディはアメリカの人気歌手テイラー・スウィフトと浮名を流したことで知られている。何度か逮捕されたこともあるようだ。更には、ウクライナ戦争が始まってから、ウクライナ側の国際義勇軍に参加し、戦闘を行ったと告白している。今回、父の出馬表明に立ち会っているが、ウクライナ側にシンパシーを持っているのならば、父ロバート・F・ケネディ・ジュニアのウクライナ戦争に関する考え(交渉による早期解決)には反対であろうから、戦争から帰ってきて考えを変えたということが考えられる。
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 ロバート・F・ケネディ・ジュニアについては「当選の可能性が低い(long-shot)」の候補者である問報道が主流メディアでなされている。しかし、トランプも立候補表明後最初の世論調査での支持率は1%だった。また、ある世論調査では、民主党支持者の7割がバイデンの高齢(80歳)を理由にして、バイデンに出馬して欲しくないと答えている。バイデンは現職大統領であるにもかかわらず、不人気だ。それでもバイデンは立候補して再選を目指すだろう。民主党はバイデンが立候補すれば、通常の予備選挙で行われるような立候補者同士による討論会は行わないと発表している。

 そんなことになれば、民主党反主流派や進歩主義派、ロバート・F・ケネディ・ジュニア の支持者たちは大暴れして、最悪の場合には民主党の分裂、党員の大量脱党ということまでなりかねない。バイデンたちはどんな方法を使ってでも再選に向かうだろうが、それを抑止する力としてロバート・F・ケネディ・ジュニアへの支持が高まることを期待する。怖いのは、父や伯父と同じ運命をたどることだ。

(貼り付けはじめ)

当選したら世界中から米軍を撤退させる、ケネディ候補が衝撃の発言

米大統領選は意外な展開になる可能性も

2023.5.12(金) JBプレス

堀田 佳男

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アメリカ政治

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/75144

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/75144?page=2

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/75144?page=3

「米国の外交政策は破綻している。国外にある800の米軍基地を閉鎖し、直ちに米軍を帰還させて、米国を模範的な民主主義国家にすべき」

 こう断言するのは米民主党から次期大統領選に出馬しているロバート・ケネディJr69)である。

 ケネディ氏といえば暗殺されたケネディ大統領の甥、そしてロバート・ケネディ元司法長官の息子という血筋で、米政界のサラブレッド的な人物である。

 現在は環境問題を扱う弁護士をしている。

 そのケネディ氏が大小合わせて800ほどもある国外の米軍基地を閉めるべきであると公言したのだ。

 再選を目指す現職バイデン大統領への強烈なカウンターパンチと受け取られているが、どこまで本気で米軍基地を閉鎖しようとしているのか。

 国際関係のバランスを考慮すれば、国内だけでなく国外に米軍基地を置いておくことは半ば常識とされており、その反響は大きい。

 米メディアに発言した同氏の言葉をもう少し探ってみたい。

「米国の年間国防関連支出は1兆ドル(約135兆円)にもなり、世界中に800もの軍事基地を維持している」

「にもかかわらず、ベルリンの壁が崩壊した後にもたらされるはずだった平和は訪れていない」

「大統領に当選した場合、私ロバート・ケネディJrは米国という帝国を解き放つ準備に入るつもりだ。米国は次から次へと起こる戦争のたびに返済不能な負債を積み重ねている」

「軍隊は国を守るという本来の役割に戻るべき。代理戦争をはじめとして、他国を空爆したり秘密工作をすることがあまりにも普通になってしまっている」

「戦争好きな帝国(米国)が自らの意志で武装解除をすれば、それは世界中の平和の雛形になるはずだ」

「健全な国家として平和に奉仕するのは今からでも遅くはない」

ここまでの言説を眺めるかぎり、理想を追求するケネディ家の人物らしさが見受けられるが、同氏の主張がどこまで有権者に受け入れられるかは分からない。

 ただ今回、1980年に現職カーター大統領に挑んだケネディ大統領の末弟エドワード・ケネディ上院議員のような役回りを果たすかもしれず、党内の反バイデン派をまとめ上げる可能性は捨て切れない。

 というのも、米NBCテレビが発表した最新の世論調査では、回答者の70%は「バイデン氏の再選を望まない」としているからだ。

 7割の有権者がバイデン氏の再選を望まない理由の一つが年齢である。

 仮に再選を果たした場合、2期目が終わる時は86歳になっており、職務遂行に疑問を抱く人は多い。

 大統領としての支持率に目を向けても、バイデン氏に人気があるとは言いがたい。

 米世論調査の分析を行うウエブサイト「ファイブ・サーティ・エイト」によると、現在の支持率は42.5%でしかない。

 過去1年半以上、50%を超えたことはなく、不支持率の方が高くなっている。

 米民主党関係者に取材すると、次のように述べた。

「ロバート・ケネディJrは民主党主流派とは違う立ち位置で、ある意味で異端の意見をもつ人物といえる」

「しかし、同氏のもつ活力と『ケネディ』というブランドネームは魔法のような力があり、今後大統領候補として一気に求心力を得られるかもしれない」

 800もの米軍基地を閉鎖するというアイデアは誰しもが賛同するものではないが、選挙序盤にこうした大胆発言をすることで、バイデン大統領へのアンチテーゼとして一石を投じることはできそうだ。

 米国の国防予算は世界一でありながら内部から空洞化してきていると、ケネディ氏は述べる。

 インフラ、産業、経済が脆弱では強い国家、安全な国家を維持することはできないとする。

 さらに同氏はケネディ政権が発足した場合、米国を再び強い国にすることが最優先課題であると述べている。

 そのためには冒頭で記したように、帝国主義的な政策を終わらせる必要がある。

 それが国外の米軍基地の閉鎖なのだという。

 一見、矛盾するようにも思えるが、米国内の衰退した都市、老朽化した鉄道、腐敗したインフラ、低迷する経済に目を向けて再建することが強い国につながると捉えている。

 ウクライナでも同様の考え方を実践するつもりでいる。

 ロシアに対して、ウクライナ国境付近から軍隊と核兵器搭載ミサイルを撤退させて、ウクライナの自由と独立を保証させるつもりだ。

 そして国連の平和維持軍が同地域の平和を保証すべきだと考える。

 ジョン・クインシー・アダムズが1821年の独立記念日の演説で使った「米国は怪物を退治するために国外に出ていくことはない」という言葉に立ち返り、交戦的な態度を改めるべきとのスタンスに立つ。

 そして世界を敵や敵対者という視点でみることをやめなければならないとする。

 これはある意味で理想論としての外交政策である。

 ケネディ氏が本気で取り組んだ時にどういった成果が出せるのか定かではないが、いまのケネディ氏の外交スタンスであることに間違いない。

 共和党に目を向けると、ドナルド・トランプ前大統領が再び選挙戦に舞い戻ってきている。

 ただ世論調査では60%が「トランプ氏は出馬すべきではない」と回答しており、米有権者の過半数はバイデン大統領にもトランプ氏にも次期大統領になってほしくないとの思いであることが分かっている。

 理想論を掲げるロバート・ケネディJrが米国の表舞台に立てるのかどうかは、これからの選挙戦を見なくてはいけないが、バイデン大統領にはこういうことを述べている。

「この国を建て直す方法を見つける時がきた。簡単なことであるとは言わない。しかし、少なくとも私には何が必要であるかが分かっている」

 そう述べた後、父ロバート・ケネディ氏の言葉を引用して、いまの米国に必要なものを口にしている。

「互いを愛する気持ちと知恵、そして思いやりが重要」

 今後、大統領選の民主党レースでケネディ氏がどこまで支持を伸ばし、本当に現職バイデン大統領の牙城を崩せるかが見ものとなる。

 ケネディという魔法の力はどこまで通用するのか――。

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反ワクチン活動家ロバート・F・ケネディ・ジュニアが民主党員として大統領選挙に出馬するための書類を提出(Anti-vaxxer RFK Jr. files to run for president as Democrat

ローレン・スフォルザ筆

2023年4月5日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3936494-anti-vaxxer-rfk-jr-files-to-run-for-president-as-democrat/

※編集者註:私たちはこの記事を、ロバート・F・ケネディ・ジュニアが代表を務める「チルドレンズ・ヘルス・ディフェンス」という組織の考えを反映するために加筆修正した。私たちは誤りを悔いている。

長年の反ワクチン活動家であるロバート・F・ケネディ・ジュニアが、民主党から大統領選に出馬するための書類を水曜日に提出した。

AP通信が報じたところによると、ケネディは2024年の民主党予備選挙で、まだ再選を目指すことを正式に表明していないジョー・バイデン大統領に挑戦するため、水曜日に立候補の声明を提出した。ケネディは先月、「大統領選に出馬するかどうかを決める」ための資金調達キャンペーンをソーシャルメディア上で開始していた。

「資金を集め、勝つために十分な人数を動員できそうなら、レースに飛び込む」と先月ツイートしていた。「もし私が立候補したら、最優先事項は、経済を破滅させ、中産階級を粉々にし、風景や水を汚染し、子供たちを毒し、私たちの価値と自由を奪ってきた国家権力と企業権力の腐敗した合併を終わらせることだ。私たちは協力して、アメリカの民主主義を取り戻すそう」。

ジョン・F・ケネディ元大統領の甥で、ロバート・F・ケネディ元連邦上院議員の息子であるケネディ・ジュニアは、ワクチンの安全性について証明されていない説をしばしば宣伝する反ワクチン団体「チルドレンズ・ヘルス・ディフェンス」を率いている。その誤った情報には強い批判が寄せられている。

また、AP通信によると、同団体は、新型コロナウイルスワクチンの安全性と有効性について、多くの人々が躊躇するようになった新型コロナウイルス感染拡大の時期に、利益を倍増させたということだ。

ケネディは、新型コロナウイルスやワクチンに関する陰謀説の宣伝について、ソーシャルメディアプラットフォームからの反響に直面した。インスタグラムは2021年、ケネディ・ジュニアが「コロナウイルスやワクチンに関する論破された主張(debunked claims)」を共有した後、彼のアカウントを削除した。Metaも昨年8月、新型コロナウイルスやワクチンに関するプラットフォームのポリシーに「繰り返し」違反したとして、チルドレンズ・ヘルス・ディフェンスのFacebookページを削除した。

作家のマリアンヌ・ウィリアムソンも先月、ホワイトハウスを目指す民主党予備選挙に出馬することを表明している。

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反ワクチン活動家ロバート・F・ケネディ・ジュニアがバイデンに対抗して2024年大統領選挙民主党予備選挙への挑戦を始める(Anti-vaccine activist RFK Jr. launches 2024 primary challenge against Biden

キャロライン・ヴァキール、スティーヴン・ニューカム筆

2023年4月19日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3958650-anti-vaccine-activist-rfk-jr-launches-2024-primary-challenge-against-biden/

ジョン・F・ケネディ元大統領の甥で、反ワクチン活動家として有名なロバート・F・ケネディ・ジュニアが、2024年の大統領選挙に民主党から出馬することを2日に発表した。

今月初めに大統領選挙出馬のための書類を提出したケネディ・ジュニアの出馬のニューズは予想されていた。2024年の大統領選挙に民主党から出馬するのはケネディ・ジュニアが2人目で、進歩主義派のマリアンヌ・ウィリアムソンは先月、正式に立候補を表明した。

バイデン大統領は2期目への出馬が有力視されているが、正式発表の時期はまだ不明だ。彼は今月初め、NBCの番組「トゥディ」の共同司会者アル・ローカーとのインタヴューで、「私は出馬を計画中だよ、アル。しかし、まだ発表する準備が整っていない」と語った。

ケネディの出馬発表は、水曜日にボストンで行われた出馬表明会で行われた。

元米司法長官ロバート・F・ケネディの息子である69歳のケネディ・ジュニアは、環境保護活動を支持してきた。しかし、反ワクチン理論を広めた経緯があり、そのような考えを推し進める非営利団体を設立するなどを通して、よく知られた存在となっている。

ケネディは出馬表明スピーチの中で、「国家権力と企業権力の腐敗した結合(corrupt merger of state and corporate power)」について憤り、再び薬とワクチンに狙いを定めた。

ケネディは、「今、私たちの国は、新しい種類の企業封建主義(corporate feudalism)を押し付けられるという脅威に晒されている。「子供たちを商品化し、化学物質や医薬品で子供たちや国民を毒殺しようとしている」。

ケネディの選挙戦は望み薄であると見られているが、世論調査では、民主党の有権者の多くが2024年の大統領選挙民主党候補にバイデン以外の人物を望んでおり、バイデン以外の候補を受け入れるという結果が一貫して出ている。しかし、民主党は、バイデンが再選を目指す場合、現職大統領を支持し、バイデンと出馬の可能性のある挑戦者たちの間で大統領討論会を党として開催しないと表明している。

2024年の大統領選挙で、民主党の大物が大統領に挑戦するかどうかは不明である。

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ロバート・F・ケネディ・ジュニアは新型コロナウイルスによるロックダウンの下で、中産階級が「組織的に」一掃されたと主張(RFK Jr. claims middle class was ‘systematically’ wiped out under COVID lockdowns

ジュリア・シャペロ筆

2023年4月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3964616-rfk-jr-claims-middle-class-was-systematically-wiped-out-under-covid-lockdowns/

先日、2024年の大統領選挙民主党予備選挙への立候補を表明したロバート・F・ケネディ・ジュニアは、土曜日に、新型コロナウイルスのロックダウンの結果、アメリカの中産階級が「組織的に」一掃されたと示唆した。

ケネディ・ジュニアは、FOXニューズのニール・キャヴトに対し、「国家の強さは、強い経済と活気ある中産階級から生まれるが、私たちは、この国の中産階級を組織的に一掃してしまった」と述べた。

69歳の反ワクチン活動家として知られるケネディ・ジュニアは、ロックダウンの経済的コストを指摘し、中産階級を犠牲にして富裕層を利するものだったと示唆した。

ケネディ・ジュニアは「私は民主党の誰よりもドナルド・トランプの対抗馬として有利な立場にいる。なぜなら、彼が行った最悪のこと、つまりロックダウンの責任を問うことができるからだ」と続けた。

また、多くの民主党員がバイデン大統領に挑戦するという決断を理解・支持していないかもしれないが、世論調査は自分に有利な意見を示していると指摘した。

ケネディ・ジュニアは次のように述べた。「現在のところ、世論調査では、バイデン大統領は、共和党の候補者とみられているドナルド・トランプに負けている。結局のところ、私はジョー・バイデンよりもドナルド・トランプに勝つためにはるかに良い立場にいると思う。また、私の父が検閲についてリンドン・ジョンソンとそうであったように、基本的な問題でバイデンと意見が合わないのだ」。

ケネディ・ジュニアはまた「ホワイトハウスは政治評論家たちを検閲すべきではないと考えるとも述べた。

ジョン・F・ケネディ元大統領の甥であるケネディ・ジュニアは、今月初めに出馬のための書類を提出した後、水曜日に大統領選挙出馬を発表しました。期待薄の候補者であるにもかかわらず、リスクを負うことをいとわないと述べた。

ケネディ・ジュニアは土曜日に次のように語った。「私の父が主義主張を掲げて出馬したが、彼は自分が勝てるとは思っていなかった。そして、彼の目的は、アメリカ国民に真実を伝えることだった。そして、私はそれを実行するつもりだ。そして、もしそれを望む声があれば、私は2025年にホワイトハウスにいることになる」。

ケネディ・ジュニアの出馬発表に先立ち、過去にバイデンに投票した有権者を対象に実施された『USAトゥディ』紙・サフォーク大学の世論調査では、ケネディ・ジュニアの支持率は14%で、67%が「再びバイデン大統領を支持する」と答えている。

バイデン大統領は、数ヶ月前から再選を目指していることをほのめかしていたが、早ければ来週火曜日にも正式に選挙戦に参戦する準備を進めているようだ。

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ロバート・F・ケネディ・ジュニアはバイデンに対抗しての出馬について、「私は彼と基本的に意見が合わない」と述べた(RFK Jr. on running against Biden: ‘I just disagree fundamentally with him’

ジャレッド・ガンス筆

2023年4月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3976753-rfk-jr-on-running-against-biden-i-just-disagree-fundamentally-with-him/

大統領候補のロバート・F・ケネディ・ジュニアは、バイデン大統領と民主党の指名争いに立候補するのは、国の方向性について「根本的に(fundamentally)」意見が一致しないからだと述べた。

環境保護に関する弁護士であり、著名な反ワクチン活動家でもあるケネディは、今月初めに大統領選挙への立候補を表明し、ラジオWABC 770 AMの番組「キャッツ&コスビーショー」でラジオトークショーホストのジョン・キャッツマティディスとリタ・コスビーに、バイデンとは長い付き合いがあるが重要問題では意見が合わないと語った。

ケネディ・ジュニアは「私はジョー・バイデンに対して意地悪で選挙運動をしているのではない。ジョー・バイデンとは40年来の友人だ。彼の祖国への貢献と彼の家族の祖国への貢献に感謝している。しかし、国の行く末について、彼とは根本的に意見が合わないのだ」と述べた。

「私はウォール街が国を牛耳ることを望んでいない。ネオコンに外交を任せたくはない。検閲は好きではない。戦争には懐疑的だ」とケネディは続け、アメリカはロシアとウクライナの戦争に「決着をつける(settle)」ことに目を向けるべきだと考えていると付け加えた。

彼は、伯父がジョン・F・ケネディ元大統領、父がロバート・ケネディ元司法長官という名家ケネディ家の出身だ。しかし、ワクチンに関する誤った情報を広めた団体「チルドレンズ・ヘルス・ディフェンス」のリーダーとして、論争の的になっている。

今年前半に実施された各種の世論調査では、バイデンは、ケネディ・ジュニアともう1人の挑戦者である自己啓発作家で2020年にも大統領選挙に出馬したマリアンヌ・ウィリアムソンに対して大きくリードしているが、先週行われたUSAトゥディ・サフォーク大学の世論調査では、2020年の選挙でバイデンに投票した投票者の14%がケネディ・ジュニアを支持すると答えたという。

ケネディ・ジュニアはまた、木曜日に発表されたエマーソン大学が実施した世論調査では21%であったことを指摘した。

ケネディ・ジュニアは、過去3年間、答える機会もなく「主流メディアからかなり強固に攻撃されてきた」と述べ、しかし、この10日間、メディアに多く出演し、「編集されないまま(unedited)」放映されたことが、これまでの支持につながったと付け加えた。

ケネディ・ジニアは次のように語った。「多くの人が、私が本当は奇矯な人間ではないことを思い出し始めたのだと思う。彼らが私を見たとき、私は間違った行動を取っている人物には見えないのだろう。それはそうかもしれない。人々はこれまでとは違う何かを求めているのだろう」。

新型コロナウイルス感染拡大を通じて、ケネディ・ジュニアはウイルスの影響から国民を守るために開発されたワクチンの使用に反対を表明した。彼は土曜日、感染拡大時のロックダウンのために中産階級が「組織的に」一掃されたと主張した。

ケネディ・ジュニアは、選挙運動の目的は、「人々に民主党員や共和党員であることを忘れさせ、私たちは皆アメリカ人であることを思い出してもらうこと」であると述べた。人々を分断するような問題ではなく、共通の価値観に焦点を当てるべきだと語った。

ケネディ・ジュニアはまた、誰とでも話をし、どのメディアネットワークにも出演する意思があると更に述べた。

弁護士であるケネディ・ジュニアは、現在のアメリカは、検閲、戦争、ウォール街、腐敗した癒着を通じて、企業と国家を政府の権力を合同させ、中産階級を没落させていると述べた。そして、これらに反対するという、父と伯父の価値観を今でも自分は保持していると述べた。

ケネディ・ジュニアは「自分の国に誇りを持ちたい。私が1960年代から70年代にかけて育ったアメリカ合衆国がそうであった形で、子供たちが誇りを持てる国で育って欲しい」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23

 

 古村治彦です。

 

 安倍晋三首相は現在、アメリカ訪問中です。安倍首相の訪米は2015年4月26日から5月2日まで(日本の大型連休「ゴールデン・ウィーク」の前半)の日程です。詳しい日程は明らかにされていませんでしたが、政治情報分析に定評のあるヴェテラン政治評論家歳川隆雄氏がその詳しい日程を記事にしています。以下をご参照ください。

 

(雑誌記事転載貼り付けはじめ)

 

●「歳川隆雄「ニュースの深層」 これが安倍首相訪米日程の詳細と議会演説「ワーストシナリオ」だ」

 

歳川 隆雄

20150425日(土)

『現代メディア』誌

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43048

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43048?page=2

 

安倍晋三首相は昭恵夫人を伴い、426日から53日まで米国を公式訪問する。訪米日程は公表されていないが、その詳細を掴んだので紹介する。

 

●これが安倍首相の訪米日程詳細

 

426日ボストン:J・Fケネディ図書館をキャロライン・ケネディ駐日大使の案内で訪問。ジョン・ケリー国務長官私邸で晩餐会出席。

 

27日ボストン:ボストン・マラソンのテロ現場にて献花。ハーバード大学でスピーチ、学生との質疑応答。マサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボ視察(ノーベル賞受賞の利根川進教授が案内)、ワシントンDCへ移動。

 

27日午後ワシントンDC:アーリントン墓地で献花・ホロコースト記念館訪問。

 

28日ワシントンDC:ホワイトハウスで歓迎式典、オバマ大統領と日米首脳会談・共同記者会見、バイデン副大統領、ケリー国務長官との昼食会、オバマ大統領主催の公式晩餐会。

 

29日ワシントンDC:上下両院合同会議で演説。ベイナー下院議長主催のレセプション、有力上院議員との懇談会、笹川平和財団主催のシンポジウム出席・スピーチ、駐米日本大使公邸で日米関係者を招いて夕食会。

 

30日午前ワシントンDC:米科学アカデミー主催の朝食会、サンフランシスコに移動。

 

30日午後サンフランシスコ:米イノベーション企業家ラウンドテーブルとの懇談会、スタンフォード大学ダニエル・オキモト教授主催のシンポジウム出席、シリコンバレー(テスラモーターズなど)視察、グラッドストン研究所訪問(ノーベル賞受賞の山中伸弥教授らと懇談)、ブラウン・カリフォルニア州知事と会談、日米交流に尽力した約100人を招いたレセプション、ロサンゼルスに移動。

 

51日午後ロサンゼルス:日米交流関係者との昼食、日米経済フォーラム出席、在留邦人によるイベント参加、日系人部隊記念碑献花、全米日系人博物館訪問、同行記者団との内政懇談。

 

2日午前ロサンゼルス:交流イベントを検討中、同午後政府専用機で帰国の途へ(帰国は日本時間3日午前)。

 

まず、ファクトから。ワシントンにあるホロコースト記念館は、歴代米大統領が就任してから最初に訪れる場所であり、日本の首相が訪問するのは初めてだ。米国のユダヤ人社会に対する好ましいメッセージとなる。

 

429日米議会演説でのワーストシナリオとは

 

肝心の米議会演説である。安倍首相は英語でスピーチを行う。草稿は、首相のスピーチライターである谷口智彦内閣官房参与が今井尚哉首相秘書官(政務担当)の意見を聞き、準備した。そして安倍首相が朱入れを行ったものだが、未来志向の格調高いモノになったようだ。

 

キーワードは「和解」である。歴史認識問題については、安倍首相の強い意向から「侵略」と「反省」というワーディングは使われるが、「お詫び」という言葉はない。22日のバンドン会議での首相演説と同じ。

 

外務省にとってのワーストシナリオは、チマチョゴリを着た韓国系米国人女性が議会傍聴席から安倍首相演説中にヤジを飛ばして衛視に強制退去されるような事態が出来し、そのシーンをCNNが撮影・放映することである。

 

佐々江賢一郎駐米大使は今、米上下院の要路に対してそのようなことが起こらないよう、特別の配慮を申し入れているが、各上下院議員は“支援者”向けの傍聴パスを1枚持っており、例えば反日・親韓のマイケル・ホンダ下院議員が提供するようであれば、そうした韓国係女性の入館を法的に規制できない。

 

強運の持ち主の安倍首相が演説中の妨害はないだろうと、官邸・外務省関係者は半ば祈るがごとく見守っている。

 

(雑誌記事転載貼り付け終わり)

 

 安倍首相はボストン、ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルスを巡り、帰国する予定になっています。東海岸から西海岸へとアメリカを横断する旅ですが、一点気になったのは、ニューヨークを訪問しないことです。ボストンはアメリカの古都(比べるべくもないですが日本で言えば京都や奈良)ですが、経済や政治の中心とは言えず、歴史と学術の街です。2014年4月にボストン・マラソンで爆弾テロ事件が起き、多くの人々が犠牲になったことは今でも鮮明に記憶されています。それでも「世界」の中心はニューヨークですが、それでも安倍首相訪米はニューヨークではなく、ボストンが選ばれました。

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 ボストンでは、ジョン・F・ケネディ大統領を記念する博物館を訪問しました。案内は安倍首相に同行して帰国した、ケネディ大統領の長女キャロライン・ケネディ駐日アメリカ大使。その後、ジョン・ケリー国務長官の私邸で夕食会が行われました。ジョン・ケリーの家系はユダヤ教からカトリックに改宗しており、母親はフォーブス家の一族です。また、ケリーはケネディ大統領が上院議員の時に選挙ヴォランティアをするなど、ケネディ家とも若い時から親しい関係にあり、2番目の奥様はケチャップで有名なハインツの未亡人ということで、おカネにも全く不自由していません。

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 アメリカの政界で言えば、ケネディ家は民主党系の王朝(共和党系の王朝はブッシュ家)であり、ボストンはその都であると言えるでしょう。訪米して真っ先にボストンを訪問したことは、言わば、「臣従」の儀式とも言えるでしょう。しかし、現在のケネディ家にはすぐに大統領になるとか、アメリカ政界や民主党の中心になるような人物はいません。

 

 それでは誰に臣従する儀式かと言うと、ヒラリーに対する臣従です。それなら、彼女が地盤にしているニューヨークに行くべきですが、今、ニューヨークに行ってもヒラリーには会えません。彼女は大統領選挙への出馬を表明して、アイオワ州を回っている最中だからです。そこで、ヒラリーをバックアップすると決めたキャロラインが現在の当主を務めるケネディ家の都ボストンを訪問することになったのだと考えられます。

 

 安倍首相のボストン訪問はケネディ大統領トリビュート・ツアーということになります。ケネディ大統領の博物館を訪問し、キャロライン・ケネディから案内を受け、夜はケネディ大統領が若い時から関係があったケリー国務長官から話を聞き、ケネディ大統領の名前が付けられたハーヴァード大学ケネディ記念行政学・政治学大学院(ケネディスクール、Kスクール)でスピーチをし、学生たちとの質疑応答を行いました。ケネディスクールについては、拙著『ハーヴァード大学の秘密』(PHP研究所、2014年)を是非お読みください。

 

 私は『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所、2012年)で書きましたが、ケネディ大統領は私たち日本人が持つ清新で若々しく素晴らしいイメージとは全く別のせいじかでありました。「強いアメリカ」を標榜し、アメリカによる世界支配を実行しようとしたのはケネディ大統領です。ケネディ大統領の前任者ドワイト・アイゼンハワー大統領とは全く別の路線にアメリカを向けたのです。その一環としてアメリカによる日本官吏が本格化しました。

 

 また、強固な反共政策を実行し、キューバ革命を転覆させようとして失敗したピッグス湾事件、ドミノ理論に基づいた共産主義拡大阻止のためのヴェトナムへの介入、キューバ危機などすべてケネディ大統領時代に起きた出来事です。私は、現在の共和党のネオコン(元々民主党にいた人々が失望して共和党に移った)と民主党の人道主義的介入派の源流はケネディ大統領だと書きました。私は、はつらつとした青年大統領ケネディのイメージは表向きで、彼の実態はそれほど「危険」な人物であったと今は考えています。

 

 安倍首相がケネディ大統領トリビュート・ツアーをボストンで行ったことは、現在のネオコンと人道主義的介入派を満足させたことでしょう。そして、安倍晋三首相は、アメリカの世界戦略において使える人物ということになりました。「強いアメリカ」の維持のために日本を犠牲に供する人物、安倍晋三ということになります。日本がアメリカの下請けとして、経済だけではなく、軍事(人の血)の面でも貢献できるようにしている、より具体的には中国との衝突や自衛隊をアメリカ軍の参加に入れて利用できることへの道を開いたとして評価しているでしょう。それを具体的に示すためのボストン訪問となりました。

 

 しかし、日本にとっては、これから困難な道が待っていることを示しています。

 

(終わり)












 

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