古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ジョージ・H・W・ブッシュ

 古村治彦です。

 

 先月末、第41代アメリカ大統領ジョージ・H・W・ブッシュが94歳で亡くなりました。若い人の中には、第43代アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュの父として認識している人も多いと思います。父ブッシュに関してはネガティヴなイメージが付きまといます。現職大統領で二期目を目指すも落選(ビル・クリントンが勝利)しましたし、何より、日本訪問中に晩さん会で卒倒する姿が報じられたことで、弱いイメージがついてしまいました。

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晩さん会での様子
 

 今回ご紹介する記事は、ジョージ・H・W・ブッシュを正当に評価した内容になっています。父ブッシュは共和党内部やマスコミから「弱虫」、「ヴィジョンもなくただただ慎重すぎる」という非難を浴びていました。湾岸戦争時にイラク軍に占領されたクウェートからイラク軍を撤退させ、そのままイラクに侵攻し、サダム・フセインを追い落とすこともできたはずですが、すぐに停戦しました。父ブッシュ政権に参加していたネオコン派(息子ブッシュの政権では最高幹部クラス)が大きく失望し、激怒しました。父ブッシュの慎重さを長男であるジョージ・Wも父の決断を激しく非難したという報道もなされました。


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父ブッシュと話すオバマ

 拙著『アメリカ政治の秘密』にも書きましたが、ジョージ・H・W・ブッシュを正当に評価していたのは、バラク・オバマ前大統領です。オバマ自身が、自分の目指す外交は、ジョージ・H・W・ブッシュ時代の外交だと述べたこともあります。共和党と民主党で所属政党は違いますが、共和党内のタカ派、ネオコン派よりも、オバマ大統領の方がはるかに父ブッシュを評価していました。アメリカ政治における派閥、グループに関しては、是非拙著『アメリカ政治の秘密』をお読みください。父ブッシュ政権の慎重な姿勢には、ジェイムズ・ベイカー国務長官の存在も大きく影響しました。経済が低調だったこともあり、父ブッシュは現職大統領でありながら、選挙に敗れるという恥辱にまみれました。

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ジェイムズ・ベイカーと父ブッシュ
 

 父ブッシュを破って大統領となったビル・クリントンはたびたび問題を起こし、また、下に掲載した記事にある通り、旧ソ連、ロシアに対して傲慢な態度を取りました。また、これは、妻であるヒラリー・クリントンにも引き継がれているのですが、外国の「民主化」を金科玉条のごとく掲げ、他国に介入するという驕慢さでした。クリントンの後には、息子ブッシュが当選し、アメリカ史上初めての親子での大統領となりましたが、彼の政権はネオコン派に牛耳られ、こちらもテロとの戦いと「民主化」を掲げ、海外で泥沼にはまる結果となりました。ヒラリーたち人道的介入主義派と息子ブッシュ政権内のネオコン派がアメリカの苦境を生み出したと言えます。それに対する反対の波がオバマを大統領に当選させたということになります。そのオバマが尊敬したのが父ブッシュであったということは皮肉であり、かつ当然のことと言えるでしょう。

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バーバラ夫人、父ブッシュ、ミシェル夫人、オバマ
 

 慎重で地味な姿勢はどうしても評価が低くなってしまいます。しかし、それを貫くということは、なかなかできることではありません。ある種の強さがなければできないことです。そういう意味では、ジョージ・H・W・ブッシュは強い人物だと言えるでしょう。そうしたジョージ・HW・ブッシュ元大統領の再評価はアメリカ国内でももっと進むことになるでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

ジョージ・HW・ブッシュの誤解された大統領時代(George H.W. Bush’s Misunderstood Presidency

―第41代米大統領は思慮深かった。しかしかつては弱腰と嘲笑された。しかし、このような嘲笑を今でも覚えている人は少なくなった。

 

マイケル・ハーシュ筆

2018年12月1日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2018/12/01/george-h-w-bush-misunderstood-presidency-death/

 

それは1992年1月に起きた。アメリカは冷戦に続き湾岸戦争を勝利した。1か月後の1992年2月にソヴィエト連邦は公式に解体した。しかし、この当時のアメリカでは、勝利の高揚感の雰囲気は全くなかった。勝利の高揚感は後々出てくることになる。アメリカ経済は不況に見舞われ、そのためにブッシュは、10か月後の大統領選挙に敗北し、現職大統領だったにもかかわらず二期目を迎えることが出来なかった。第41代大統領ブッシュ自身は、サダム・フセインに対しては勝利を収めることが出来たがそれだけでは不十分で、経済面でより指導力を発揮しなければならないことを分かっていた。この当時、日本叩きが最高潮に達し、「アメリカの仕事はアメリカ人に」という言葉が時代の雰囲気を表わしていた。ポール・トソンガス連邦上院議員は1992年の選挙で「冷戦が終了し、勝利していたのは日本だった」と訴えた。

 

アメリカ製の自動車は世界中で売れ行きが悪く、特に日本ではそうだった。そこで、ブッシュは自動車会社のビッグ・スリーの代表者を引き連れて東京を訪問した。しかし、目的を達することは出来なかった。これがブッシュ大統領の一期のみの任期の終わりの始まりとなった。今でも人々の記憶に残っているイメージは、失敗に終わった東京における首脳会談で起きた出来事だ。長身の貴族然としたブッシュが公式晩さん会の席上で倒れ、日本の宮澤喜一首相から介抱を受けている姿だ。ブッシュは当日、テニスをプレーして脱水症状を起こしてしまった。そして、夕食会の乾杯で卒倒した。ブッシュの姿はアメリカの消化不良と過労を象徴するものとなった。

 

ジョージ・HW・ブッシュ元大統領は今週金曜日に94歳で亡くなった。ブッシュ元大統領に関しては、上記のような姿で人々に記憶されている。ブッシュ元大統領の時代は、ロナルド・レーガンとビル・クリントンに挟まれた、弱い大統領の奇妙な4年間だった。この4年間は冷戦終結とブッシュ元大統領が命名した「新しい世界秩序」の開始の時代であった。ブッシュ大統領が弱かったという評価は公平なものではない。ブッシュの評価となっている「弱さ」は、最高指導者の賢明な慎重さを示すものであって、このおかげで時代の転換を成功させ、時代の変化の中でもアメリカの優位性と世界の安定を維持することが出来たのだ。

 

ブッシュはよそよそしい、ワスプの典型的な人物として記憶されている。「サタディ・ナイト・ライヴ」でコメディアンのダナ・カーヴィーがブッシュ大統領を風刺した姿そのもの(コントの題名は「そんなに臆病にならないでよ!」)であった。また、私が所属していた雑誌『ニューズウィーク』誌が表紙にブッシュ大統領の姿と共に掲載したタイトル「“弱気の虫”と戦う(Fighting ‘The Wimp Factor)」もまた、ブッシュ大統領が弱い人物であったというイメージを人々に植え付けた。この言葉についてブッシュ家は今でも許していない。父ブッシュは第二次世界大戦の英雄なので、ブッシュ家が許さないのも当然だ。

 

ブッシュは第一次イラク戦争を勝利に導いた大統領として記憶されている。しかし、開戦から100時間で停戦し、アメリカ軍をバグダッドまで進軍させることはなかった。その当時、ブッシュの決断は多くの人々からは屈辱だ、ととらえられた。ブッシュの長男ジョージ・W・ブッシュは、1992年の大統領選挙で敗北した父に対して、過度に慎重すぎたために敗北したのだ、と非難したと報じられたことがある。サダム・フセインは権力を握り続け、父ブッシュはその翌年に自身の決断を正当化するために奔走することになった。父ブッシュは1999年に湾岸戦争に従軍した元兵士たちたちを前にして次のように説明した。「バクダッドまで進攻してイラクを占領すれば、アメリカは占領軍となる。アラブ人の土地でアメリカは孤立する。味方は誰もいないということになる。そうなれば結果は悲惨なものとなっただろう」。

 

もちろん、ブッシュ元大統領の思慮深さは正しかった。ブッシュ(父)大統領の言葉は、この当時、父の下で働いていた息子ジョージ・Wに対しての助言でもあったのだが、ジョージ・Wとアメリカが持ち続けた屈辱感があったために、父ブッシュの助言は聞き入れられることはなかった。ジョージ・W・ブッシュ大統領が、アフガニスタンにおけるアルカイーダ掃討作戦も終了していないうちに、イラクの「民主政体への転換」を目指して、イラクに侵攻し、占領するという決断を行ったことは、アメリカ史上最悪の戦略上の間違いと言っても差し支えないであろう。父ブッシュは息子の決断が史上最悪の間違いとなることを言い当てていたように見える。2003年のイラク侵攻直前の夏に、父ブッシュは『ウォールストリート・ジャーナル』紙に寄稿した論説の中で、ジョージ・Wにイラク侵攻を思いとどまるように主張した。論説の著者は、父ブッシュの大統領時代の国家安全保障問題担当大統領補佐官であり、分身とも言うべきブレント・スコウクロフトであったが、父ブッシュは論説に手を入れて完成稿にしたと多くの人々が考えた。

 

論説は「現在の状況でイラクを攻撃することは、イラクにおけるテロリスト組織を完全に破壊できない限り、私たちが現在取り組んでいる世界規模のテロリストとの戦いを大きな危険に晒すことになるだろう」という言葉で締めくくられている。

 

この言葉はそれから15年間の出来事を的確に示す碑文となった。

 

父ブッシュは今でも保守的なタカ派から疑惑の目を向けられている。冷戦終結に対処するにあたり、「彼は保守的な人物というにはあまりに穏健に過ぎた」というのが彼らの主張である。東ヨーロッパのソ連の影響圏とソ連自体が崩壊するという事態に直面した時、ブッシュとスコウクロフトはまた慎重さを発揮した。レーガン大統領のように華々しく勝利演説を行う時ではなかった。冷戦からの移行を「掌握し管理」しなければならなかった。それには相応の理由があった。崩壊したソ連から独立した各共和国から数千発の核兵器が流出していたのだ。ブッシュは、旧ソ連の民主的な体制への移行を促進するのではなく、スローダウンさせた。そして、ソ連最後の指導者となったミハイル・ゴルバチョフ、民主的に選ばれた彼の後継者ボリス・エリティンと協力して、内戦や危険な大量破壊兵器の拡散を引き起こす無秩序を回避しようと努力した。

 

繰り返すが、タカ派は激怒した。ウクライナでソ連軍の撤退に関する国民投票の準備が進められていた1991年8月1日、ブッシュはウクライナで演説を行い、その中で、「自滅をもたらすナショナリズム」に対して警告を発した。『ニューヨーク・タイムズ』紙のコラムニスト、ウィリアム・サファイアはこの演説を「チキン・キエフ」演説と呼んだ。ブッシュは再び、「ヴィジョン」のないただただ慎重すぎる人物というレッテル貼りがなされた。

 

それから数十年が過ぎ、この父ブッシュの行動は、過度な慎重さと言うよりも先見の明の結果であったということが明らかになっている。アメリカの勝利の高揚感が20年続いたが、これはレーガン大統領でもブッシュ大統領でも、共和党所属の大統領が持たしたものではなかった。それは、民主党所属のビル・クリントン大統領のNATOをロシア国境まで拡大するという決断によってもたらされた。クリントン政権は1990年代初頭にロシア政府に対して自由市場に関する横柄な助言を数多く押し付けた。ロシアは「民営化」の時代となった。ロシアの一般国民はこれを「横領化(grabitization)」と呼んだ。民営化の結果は捻じ曲げられ、オリガルヒによる経済支配のドアを開くことになった。NATOの拡大、民主的資本主義のすばらしさを吹聴する単純な「歴史の終わり」メッセージを受けて、ロシア国内ではそれらに対する反発と西側の意図に対する疑義が大きくなっていった。この結果として、ロシア・ナショナリズムの旗の下でウラジミール・プーティンは権力を確固たるものとした。プーティンはロシア・ナショナリズムを利用してクリミア併合とウクライナ東部への侵攻を正当化した。

 

2016年の米大統領選挙への介入を計画した時、プーティンは、これは2014年のウクライナの選挙に対するアメリカの介入に対する報復なのだと考えたに違いない。当時のヴィクトリア・ヌーランド国務次官がウクライナの選挙の候補者たちを操る様子がテープに録音されていた。プーティンは2011年と2012年のロシアの選挙について考えたことだろう。この当時、ヒラリー・クリントン国務長官の下で、アメリカ政府の資金提供を受けた非政府組織が反プーティンのデモを称賛した。

 

アメリカ政府が独善性を弱め、ジョージ・HW・ブッシュに倣いもう少しだけ注意深くあれば、状況はより良い方向に進んでいたことだろう。

 

ジョージ・HW・ブッシュを際立たせているのは、彼の政治における勇敢さであった。いくつかの例外を除いて、彼は政策を政治によって歪めるということを拒絶した。1988年の大統領選挙で、民主党の大統領候補マイケル・デュカキスに対して、ウィリー・ホートンをテーマにした攻撃的CMを流したが、これは 例外的な行動である。このCMの内容は私たちが現在直面し、知りすぎるほど知っているアメリカの人種差別と恐怖心を煽るものであった。父ブッシュはイラクとソ連について、タカ派と勇敢に対峙した。彼の主張とやり方が正しかったことは証明されている。また、国内政策についても彼は圧力をはねのけた。1980年の米大統領選挙の共和党予備選挙で、ブッシュはレーガンに挑戦した。その際、サプライサイド経済学派の減税を行え、それでうまくいくという熱狂的な主張を「ヴードゥー経済学」とこき下ろした。これについても父ブッシュの主張は正しかった。

 

父ブッシュは常に先読みが出来る人であった。父ブッシュは、かつて述べたように、大統領が人々の支持を集めるには「ヴィジョンのように見えるもの」が必要だということを認識していた。彼は、人々が「湾岸戦争では不十分な勝利しか得られていない、サダム・フセインは権力の座に就いたままで、イラク国内のクルド人とシーア派を見捨てた」と言い出すことを分かっていた。父ブッシュは常に彼の決断は間違っていたと後悔していた。 彼は税制に関して中途半端であれば深刻な政治上のトラブルを引き起こすであろうということは分かっていた。そこで、増税はしないと公言した。「私の言うことをよく聞いてください!」と父ブッシュは大見得を切ったが、これを彼は終生悔いていた。しかし、結局造成するという決断を下した。彼は自身が正しいと考えたことを実行しただけのことだ。それは、レーガン時代に積みあがった巨額の財政赤字削減に取り組むことであった。

 

結局のところ、父ブッシュは世界を黒と白に分けるよりも、灰色として見ていたようだ。彼は規律や秩序を重んじる人物であったが、確実性に欠けた人物のように見られてしまった。

 

しかし、実際のところ、世界においては白黒はっきりつけられることは少なく、ほとんどが灰色だ。そんな中でも一つだけ確かなことがある。それは、指導者としてのジョージ・HW・ブッシュの謙虚さと慎重さが現在のワシントンにとって必要なものとなっているということだ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 健康問題もあって支持率を下げていたヒラリーですが、少し盛り返しつつあります。各種世論調査では、トランプが失速した8月ほどの勢いではありませんが、少しずつ盛り返しています。ヒラリーもトランプも、どの世論調査でも「好きですか、嫌いですか」の質問の答えで「嫌い」が上回る(好き嫌いの数字の差はトランプの方が大きい)という、「不人気者」同士の戦いとなっており、積極的に応援するという人たちはどちらの候補にも少なくて、「どちらかを選ばないといけないのか、嫌だなぁ」という人が多いということになります。

 

 共和党のエスタブリッシュメントからヒラリー支持、もしくはトランプ不支持を表明する人が出ていますが、ブッシュ家は全体として、トランプ不支持で、前大統領が2人もいながら7月の党大会に出席しませんでした。そして、今回、ジョン・F・ケネディ元大統領の弟で、こちらも暗殺されたロバート・ケネディの娘がジョージ・HW・ブッシュ(父)元大統領と一緒に写っている写真をフェイスブックに投稿し、それに「元大統領はヒラリーに投票するって!!」という慎みのないキャプションをつけました。こういうことには慎重さが必要ですし、他人が政治的に重要な人物を使って、このような行動を取ることは許されません。

 

 ブッシュ元大統領側では「大統領選挙について何も言わない」と発表しました。考えてみれば、ブッシュ元大統領は2期目を目指しながら、ビル・クリントンに敗れ、現職大統領が新人に負けるという屈辱を味わいました。民主党、しかも自分が敗れた相手の布陣を応援することはできないでしょう。しかし、トランプとは肌合いが違うのでこちらも支持できないということになります。

 

 今回の大統領選挙は、どうもマイナスの方向にばかり触れて、明るい要素は見えず、「アメリカ帝国」の終焉をよく示していると考えます。

 

(貼り付けはじめ)

 

世論調査:ヒラリーは全国規模でのリードを5ポイントに回復(Poll: Clinton regains 5-point lead nationally

 

ジェシー・ヘルマン筆

2016年9月20日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/296778-poll-clinton-regains-five-point-lead-over-trump

 

ヒラリー・クリントンは、先週世論調査で悪い結果が続いていたが、今週になって盛り返している。火曜日の朝に発表された最新の全国世論調査の結果では、ヒラリーはドナルド・トランプに対して5ポイントの差を回復していた。

 

NBCニュースの世論調査によると、投票に行くと答えた有権者の50%がヒラリーを支持し、45%がトランプを支持した。

 

先週の同社の世論調査では、ヒラリー48%、トランプ44%の支持率だった。

 

第三党の候補者たちを調査に入れても、民主党大統領選挙候補者ヒラリー・クリントンの支持は5ポイントのリードを維持している。この場合、ヒラリーの支持率は45%、トランプは40%、リバータリアン党のゲイリー・ジョンソンは10%、緑の党ジル・スタインは4%だ。

 

全有権者を対象にすると、ヒラリーはリードを6ポイントに広げた。支持率はヒラリーで49%、トランプで43%である。

 

この世論調査は2016年9月12日から18日かけて、インターネット上で有権者登録をしていると申告した14326名を対象に行われた。この中で選挙に行くと答えた人の数は13320名であった。

 

今回の世論調査の誤差の範囲は±1.2%である。

 

今週になって、ヒラリーは世論調査の数字を落としていた。全国世論調査の結果の平均では、ヒラリーはトランプに対して1.3ポイントの差をつけているとなっている。先月は6ポイントの差であった。

 

=====

 

ジョージ・HW・ブッシュがヒラリー・クリントンに投票?(George H.W. Bush voting for Clinton?

 

ハーパー・ニーディグ筆

2016年9月20日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/296776-report-george-hw-bush-to-vote-for-clinton

 

ジョージ・HW・ブッシュ元大統領(共和党)は11月の大統領選挙でヒラリー・クリントンに投票する予定だ、とロバート・F・ケネディの娘がフェイスブックに投稿した。

 

2016年9月19日、『ポリティコ』誌は、この投稿は、キャスリーン・ハーティントン・ケネディ・タウンゼントメリーランド州元副知事が投稿したと報じた。

 

ケネディは、キャスリーン・ケネディがブッシュと握手している写真を投稿した。それにつけたキャプションには、「元大統領は私に、ヒラリーに投票すると言ったの!!」と書かれていた。

 

ブッシュの報道担当ジム・マグラスは『ポリティコ』誌の取材に対してEメールで回答し、元大統領の投票については公開されないと述べている。

 

マグラスは次のように書いている。「一般の有権者としてブッシュ元大統領は約50日後に投票を行うが、その中身についてはこれからの50日で公開されることはない。ブッシュ元大統領は大統領選挙当日まで選挙戦についてコメントしない」。

 

父と息子の両ブッシュ政権の幹部だった人物たちの多くが、共和党の候補ドナルド・トランプではなく、民主党のヒラリー・クリントンを支持し、投票する意図を持っているという発表を行っている。彼らがこのような発表を行っているのは、彼らがドナルド・トランプを嫌っているからだ。

 

(貼り付け終わり)

アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22





 
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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-12-09



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 以下の記事にあるように、今年の秋の叙勲で、ジョージ・W・ブッシュ大統領時代の副大統領だったディック・チェイニー、国防長官だったドナルド・ラムズフェルドに「旭日大綬章」がそれぞれ与えられました。これは昔で言えば、勲一等という大変な名誉ある勲章だそうです。

 

 外務省は、このネオコン派の頭目2人が日米関係の強化に貢献したという理由で叙勲の推薦を行ったそうです。彼らがやった日米関係の強化とは、日本の自衛隊の下請け化と日本のアメリカ属国化の強化でありました。そのことを賞賛して勲章を与えるというのは、何とも間の抜けた、自虐的な行為であると思います。

 

 日本人以外の人間からすると、神秘の国のエンペラーから貰う勲章、ということで喜びもひとしおでしょうが、税金を支払っている国民からすれば、何とも馬鹿げた話です。彼らの何が「勲功が第一等」なのでしょう。勲章などというのはそれにふさわしい人に、ふさわしいレベルのものが与えられないということの好例でしょう。

 

 日本の外務省が恥をかいてしまったのは、同じ時期に、叙勲を受けたドナルド・ラムズフェルドがジョージ・H・W・ブッシュ(父)元大統領に批判されてしまったことです。父ブッシュとラムズフェルドは政敵同士であったため、仲は良くなかったようです。それでも、自分の息子ジョージ・Wの国防長官を務めた訳ですから、「お世話になった」ということはあるでしょうが、それでも批判されるというのはよほどのことです。

 

 父ブッシュとアホ息子・ブッシュは共にアメリカ大統領を務めましたが、その外交政策は大きく違いました。父は現実主義的で、バカ息子の方はネオコンによる理想主義的な外交政策でした。父の時代にも多くのネオコンが政権に入っていましたが、父ブッシュとジェイムズ・ベイカー国務長官(当時)は彼らを抑え切りました。第一次湾岸戦争の時、父ブッシュ政権内のネオコンたちは、イラク軍をクウェートから追い払った後、イラク国内に進撃、サダム・フセインを倒すことを強硬に主張しましたが、父ブッシュはそれを許可しませんでした。イラクに侵攻し、フセインを倒すことは混乱と無秩序を生み出すだけだということを知っていたからです。

 

 そうした父から見れば、自分のアホ息子が大統領になったのは良かったが、周りのネオコンたちにいいようにやられて、イラクやアフガニスタンに侵攻して、手痛い失敗をしたことは残念でならなかったことでしょう。それが掟破りの批判につながったのだと思います。

 

 そして、現在、ややましな次男ジェブが大統領選挙に出馬しています。父ブッシュとしては、ジェブが勝てるとは思っていないでしょうが、彼に、「バカな兄貴の真似なんかするんじゃないぞ」ということを教えているのだと思います。ジェブの外交政策ティームにはネオコンも入っていますが、リアリストたちも多く入っています。そうしたこともあって、今回、父ブッシュは声を上げたのだと思います。

 

 結局、バカを見たのは外務省であり、日本国民です。そして、日本が世界の大勢に反した、孤立(アメリカ[の一部]とイスラエルしか友人がいない)状態になってしまっているということがまた明らかになりました。これからもこの「世界からの孤立化」はもっと進んでいくものと思われます。

 

(新聞記事転載貼り付けはじめ)

 

●米国の“戦争屋”2人に旭日大綬章…安倍ポチ政権の恥知らず

 

日刊ゲンダイ 2015年11月5日

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/168651/1

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/168651/2

 

 今年秋の叙勲受章者が3日に発表されたが、かつての勲一等、「旭日大綬章」の名簿に驚いた。受章した19人のうち日本人は7人。半数以上の12人が外国人だった。

 

 外国人の受章者数は過去最多。一番多いのは米国で5人が受章する。その面々にはさらに驚く。大義なきイラク戦争を主導したラムズフェルド元国防長官とアーミテージ元国務副長官にまで、日本は勲章を贈るのだ。

 

 2人への叙勲を推薦したのは外務省儀典官室。授章を決めた内閣府は、「戦後70年の節目ということで、戦後日本の平和と発展の重要な基盤を形成した日米関係の増進に大きな功績のあった方々を特に推薦した、と外務省から説明された」(賞勲局の担当者)と言うのだが、ちっともピンとこない。2人とも「日本の平和と発展の基盤を形成」するどころか、ぶっ壊してきたではないか。

 

 ラムズフェルドはイラク開戦直後から自衛隊に再三「イラクの治安維持」への参加を打診。日本政府に集団的自衛権の行使をたき付けた人物だし、日本を飼い慣らす「ジャパンハンドラー」として知られるアーミテージは、もっと露骨だ。

 

9.11テロ以降、「ショウ・ザ・フラッグ」「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」と恫喝し、日本政府に軍国化を迫ってきただけではない。3年前に公表した「第3次アーミテージ・リポート」では、日本の原発再稼働やTPP参加、特定秘密保護法の制定、武器輸出三原則の撤廃を要求。安倍政権は言われるがまま、実現してきた。

 

「安倍政権が強引に成立させた安保法制も、リポートの中身を実現させたものです。アーミテージは『集団的自衛の禁止が日米間の障害』などと断定的に記しています。今や自衛隊は米軍の下請けとなり、安倍政権も元請けのオバマ政権への従属を隠そうとしない。叙勲制度を利用してまで、米国にゴマをするとは、独立国としての誇りを完全に失っています」(政治評論家・森田実氏)

 

 かつて「集団レイプする人は、まだ元気があるからいい。正常に近い」とホザいた太田誠一元農相まで旭日大綬章を受章するご時世だ。いくら勲章の価値が落ちているとはいえ、戦争屋2人にくれてやる必要はない。

 

●「Former President George H.W. Bush raps Cheney, Rumsfeld in biography: Fox News

 

Reuters

2014/11/15

 

WASHINGTON (Reuters) - Former President George H.W. Bush takes some unexpected swipes at Dick Cheney and Donald Rumsfeld, key members of his son's administration, over their reaction to the Sept. 11 attacks, in a new biography of the 41st president, Fox News reported on Wednesday.

 

In "Destiny and Power: The American Odyssey Of George Herbert Walker Bush," author Jon Meacham quotes Bush as saying that Cheney and Rumsfeld were too hawkish and that their harsh stance damaged the reputation of the United States, the cable news network said.

 

Speaking of Cheney, who was vice president under President George W. Bush, the senior Bush said: "I don't know, he just became very hard-line and very different from the Dick Cheney I knew and worked with," according to the report.

 

Cheney served as defense secretary during George H.W. Bush's 1989-1993 presidency.

 

"The reaction (to Sept. 11), what to do about the Middle East. Just iron-ass. His seeming knuckling under to the real hard-charging guys who want to fight about everything, use force to get our way in the Middle East," Bush told Meacham in the book to be published next Tuesday.

 

Bush believes Cheney acted too independently of his son by creating a national security team in his own office, and may have been influenced to become more conservative by his wife and daughter, Lynne and Liz Cheney, the report cites the biography as saying.

 

View galleryFormer U.S. President George H.W. Bush looks attends …

Former U.S. President George H.W. Bush looks into the audience during the Medal of Freedom ceremony  …

On Rumsfeld, secretary of defense for most of the two terms served by his son, Bush is even more critical. He is quoted as saying: "I don't like what he did, and I think it hurt the President," referring to his son.

 

"I've never been that close to him anyway. There's a lack of humility, a lack of seeing what the other guy thinks. He's more kick ass and take names, take numbers. I think he paid a price for that. Rumsfeld was an arrogant fellow," he was quoted as saying in the biography.

 

Fox News quoted Cheney as denying his family had influenced his views, saying: "It's his view, perhaps, of what happened, but my family was not conspiring to somehow turn me into a tougher, more hardnosed individual. I got there all by myself."

 

Bush's spokesman could not immediately be reached for comment.

 

Rumsfeld declined to comment on the book, Fox News said.

 

(Reporting by Eric Walsh; Editing by Peter Cooney)

 

(新聞記事転載貼り付け終わり)

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23





 

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23



ジョージ作・ジェブの外交政策(Jeb’s Foreign Policy, by George

 

―ジェブは41代と43代の大統領に仕えた専門家たちを混合させることで、共和党の強固な支持基盤を形成している人々を宥めようとしている

 

マイケル・ハーシュ(Michael Hirsh)筆

2015年2月18日

『ポリティコ』誌

http://www.politico.com/magazine/story/2015/02/jeb-bush-foreign-policy-115295.html#.VO0tJPmsW3c

 

ジェブ・ブッシュは「自分らしく」やるだろう。彼は大統領選挙の有力候補者として初めての外交政策に関する演説を水曜日に行った。しかし、共和党内のインサイダー情報によると、元フロリダ州知事であるジェブは彼の外交政策ティームをブッシュ家と関わり深い人々から選び出したということである。タカ派の兄ジョージ・Wの下で働いた専門家たちに加えて、穏健派の父ジョージ・HWの下で働いた人たちを混ぜた名簿を発表した。その目的は、ジェブを信用していない、現在でもまだタカ派的な共和党の支持者たちに合わせるためである。

 

 ブッシュの外交政策ティームは、2人の共和党主流派の外交政策専門家が選び出されている。彼らはそれぞれジェブの父親と兄に仕えた人々である。彼らの名前は、リチャード・ハース(Richard Haass)とロバート・ゼーリック(Robert Zoellick)だ。彼らは、共和党内の大物であるジェイムズ・ベイカー(James Baker)をティームに加えた。ベイカーはジェラルド・フォード(Gerald Ford)、ロナルド・レーガン(Ronald Reagan)に仕え、ジョージ・HW・ブッシュ(George H.W. Bush)政権下では国務長官として辣腕をふるった。更には、イラク戦争を主導したポール・ウォルフォビッツ(Paul Wolfowitz)と当時のディック・チェイニー(Dick Chaney)副大統領の国家安全保障問題担当補佐官であったジョン・ハンナ(John Hannah)といったネオコンの人々もティームに参加させている。

 

今回の外交政策ティームには参加していないが、ジェブから非公式に相談を受けている、共和党の外交政策のヴェテランによると、ネオコンの人々がティームに加えられたのは、ジェブについてほとんど知らない共和党の支持基盤に対して彼の信頼性を高めるためだということであった。ジェブの移民と教育に関する穏健な考えに対して、共和党の支持者たちは既に疑念を持っているというのである。

 

 「ジェブは現在、大口寄付者のネットワークと外交政策専門家のネットワーク形成を行っている」と前述の専門家は述べている。ブッシュは様々な考えを持つ有権者たちを満足させるために、幅広い専門家の登用を望んでいるというのである。

 

 前述の専門家は更に次のように述べている。「彼は熱心な支持者たちを熱狂させる演説を行った。彼の演説は過去15年間で最高のものだった。彼は基本的に長い時間を大口の献金者たちと過ごしてきたが、これから違うだろう」。

 

 ジョージ・W・ブッシュ政権下で大統領国家安全保障問題担当補佐官と国務長官を務め、人気が高かったコンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice)が入れば、共和党の予備選で有権者を惹きつける効果があるだろう。コリン・パウエル元国務長官の名前は名簿に入っていない。パウエルの広報担当のペギー・シフリノは、「パウエルは顧問になるように依頼されていないし、新聞で得た情報以上のことは何も知らない」と述べている。ジョージ・W・ブッシュの一期目に国務長官を務めたパウエルは裏切り者とみなされていた。そして、2008年の大統領選挙でパウエルは二度にわたりバラク・オバマへの支持を表明した。ジェブの外交顧問団に名前が入っていない人物として、ブレント・スコウクロフトもいる。彼はジョージ・HW・ブッシュ政権で国家安全保障問題担当大統領補佐官を務め、ジョージ・HW(父)の親友である。

 

 パウエルの顧問を務めたリチャード・N・ハース(Richard N. Haas)は、パウエルと同じく、イラク戦争に関しては懐疑的であった。ハースは保守派の間では中間的な立場にいたが、保守派から懐疑の目を向けられてきたので、ジェブに対して非公式に助言を行っている。ハースはまた、超党派の非営利団体である外交評議会(CFR)の会長を務めているので、ジェブの外交顧問団に正式に参加することはできないとみられている。ハースの広報担当リサ・シールズは「リチャードは、民主、共和両党の政治家や政府高官や候補者たちの多くに助言を行っている」と述べている。

 

 ゼーリックは、レーガン、ジョージ・HW・ブッシュ(ベイカー国務長官の下で国務次官)、ジョージ・W・ブッシュ(国務副長官、米通商代表部代表、世界銀行総裁)にそれぞれ仕えた。ゼーリックは『ポリティコ』誌の取材にEメールで回答を寄せた。その中で彼は、「私は経済と外交政策の面でジェブを支援したいと考えている。そして、彼を手助けしたいと望んでいる人々をジェブの陣営に参加させたいとも考えている。私が重要だと考えているのは、ジェブ・ブッシュが広範な考えに接することが出来るプロセスを作ることだ。率直に言って、時代は41代、43代(そして42代)とは変わっており、多くの人々の考えを一定の枠に当てはめることは出来なくなっている」。

 

 実際、ジェブの外交政策ティームは幅広い人々によって構成されている。この名簿は水曜日にシカゴでジェブが演説を行う前に発表された。この顔ぶれを見ると、私たちは混乱してしまう。少なくとも候補者として自分の考えを明らかにするものにはなっていない。共和党の外交政策分野におけるヴェテランの1人は「彼は全ての人を満足させようとしている」と述べた。

 

 混乱に加えて、ジェブはかなり限られた時間しかシカゴでの演説に割けなかったと言われている。演説の内容は一般論に終始し、共和党お得意の強い国防力と同盟諸国との関係強化を訴えるだけで、オバマ大統領に対してもほどほどの批判しかできなかったという評価がなされている。

 

 公式的には、ジェブは父や兄のようになるかどうかについて言及することを拒絶しているが、彼は家族に対する忠誠心を使って家族間の相違を埋めようとしている。ジェブは2月に次のように語った。「私は父を愛している。私の父は現在生きている人間の中で最も偉大な人物だ。そして、私は兄を愛している。私は彼が偉大な大統領であったと思っている」。

 

 ジェブ・ブッシュは、ハーヴァード大学のミーガン・オサリヴァン(Meghan O’Sullivan)のような主流派に属する顧問に依存している。オサリヴァンは前述のハースの下でキャリアをスタートさせ、ジョージ・W・ブッシュ政権ではイラクにおける行政を担った。オサリヴァンは穏健な考えをする人で、ベイカーとスコウクロフトに代表される父ジョージ・HW・ブッシュの外交政策ティームの人脈に連なると考えられている。『ウォースストリート・ジャーナル』紙は最近、ジェブ・ブッシュがオサリヴァンを自身の外交政策顧問の首席に据えたいと考えているようだと報じた。

 

 しかし、ジェブは、現在の共和党の支持基盤となっている保守派の人々は父に対して懐疑的だということを知っている。公平であるかどうかは別にして、父ブッシュは彼が1991年に行った「チキン・キエフ」演説によって人々の記憶に残っていると言える。父ブッシュは、この演説の中で、ウクライナの人々に対して、性急にソ連から離脱することのないように、「自殺的なナショナリズム」に陥らないようにと警告を発した。また、ソ連を構成した国々全体に対しても同様の警告を行った。また、第一次湾岸戦争の後にサダム・フセインを権力の座から追い落とさなかった。ジェブは現在、オバマ大統領の優柔不断さと対外政策の弱腰を攻撃している。水曜日の演説でもそうであった。しかし、予備選の間、ジェブに対しても父親の優柔不断さと弱腰に関して批判が向けられるだろう。

 

しかしながら、奇妙なことに、共和党の予備選を勝ち抜いた場合、ジェブは父ブッシュの外交政策に近づくように舵を切らねばならなくなるだろう。父ブッシュの業績は歴史家たちの間で急速に評価を高めており、多くの世論調査の結果では彼の外交政策は多くの人々に評価されているのである。一方、兄ジョージ・W・ブッシュが2009年1月に大統領の座から退いた時、不支持率は68%であった。NBCニュースとウォールストリート・ジャーナル紙が昨年共同で行った世論調査の結果によると、66%の人々がイラク戦争を「やる価値がなかった」と考えているということであった。

 

 ジョージ・W・ブッシュ政権で高官を務めたエリック・エデルマンは次のように語っている。「私は、父ブッシュの評価が高く、兄ブッシュの評価が低いというのはジェブにとって難しい前提となるだろう。父と兄の違いを誇大に宣伝することは簡単だが、二人とも基本的には、共和党の保守的な国際主義に属している点で一緒なのだ。彼らの政策の間に相違はあっただろうか?相違点は確かに会った。しかし、対ロシア政策とジョージ・Wとプーティンとの関係について見てみれば、41代大統領であったジョージ・HWのゴルバチェフに対するアプローチとそこまでの相違はないと考える人も出てくるだろう。対中政策について言えば、大きな相違点があったとは思われない。41代大統領であったジョージ・HWもまたイラクでの戦争を実行したのだ」。

 

 ジェブは演説の中で、「自分にとって、父と兄が大統領執務室でアメリカの外交政策を形成したというのは幸運であった」と語った。

 

 しかし、保守派の論客の中には、この歴史は、ジェブが共和党の大統領選起居候補者になったら二重の負担となるだろうと考えている。

 

 保守的な内容のブログ「レッドステイト・ドットコム」を運営しているエリク・エリクソンは次のように予想している。「ジェブの外交政策と父と兄の行ったことが共和党の予備選挙で大きな争点になることはないだろう。候補者たちは、ランド・ポール以外は多少の違いはあっても、外交政策に関して大きな隔たりは存在しない。ジェブが予備選挙を勝ち抜くには国内政策の方が重要だ。選挙における彼の弱点は、彼がブッシュ家から3人目の大統領になるという点だろう」。

 

(終わり)













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