古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

タグ:ジョー・バイデン

 古村治彦です。

 

 ジョー・バイデン副大統領がヒラリー・クリントン敗北の理由として、「彼女自身がどうして選挙戦を戦っているのか分かっていなかった」ということを挙げています。大変ユニークな分析です。

 

 ヒラリーは女性で初めて大統領になるチャンスがある人物として大統領選挙に出馬する責務があると感じてはいたが、有権者に対して語りかけが足りなかった、有権者の声を聞くことが足りなかった、とバイデンは言っています。そして、人々の不満や恐怖心を聞く政党であった民主党がエリート主義になっていたと反省の弁を述べています。

 

 確かに、ヒラリーは能力が十分にあったでしょう。しかし、有権者のためではなく、自分のために選挙に出た、そして、有権者を向かないで、有権者の見ているものを見ないで選挙戦を戦ったということなのでしょう。上滑りする綺麗ごとばかりを、女性初の大統領になるという浮ついた気持ちで語ったところで、今本当に困っている人々には何のアピールにもならなかったのです。ヒラリーが勝利した州は民主党が強い州で、そこでは、誰が出ても民主党の候補者が勝利できたでしょう。しかし、それだけでは勝利はできません。トランプが勝利した州は共和党が自動的に勝つ州にプラスして、人々の不満や恐怖心が渦巻いていた州でした。

 

 政治家が選挙に通って権力を握る、ということは自己利益実現の最たるものです。しかし、それを露骨にやる、もしくは見えてしまうと、その自己利益実現はできないのです。ヒラリーは自分とだけ格闘し、周囲は見えていなかった、だから、自分というものを押し付けることで有権者は拒絶反応を示したということでしょう。

 

 トランプは「アメリカ・ファースト」というスローガンを掲げました。そして、「今苦境の中にいると不満や狂信を持っているアメリカ国民よ、このアメリカはあなた方のことだ」というメッセージを送ることに成功しました。トランプは非常に利己的で、自己中心的のように思われ、実際にそうなのでしょうが、選挙に勝つという自己利益実現に成功しました。見た目では、ヒラリーは謙虚・抑制的(トランプに比べて、ですが)、トランプは我儘・勝手なのに、人々はヒラリーに自己中心、押しつけ、独りよがり、自分たちのことを見ていないということを感じて忌避しました。

 

 こういうことは私たち自身にも置きかえて教訓として活かすことができると思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

バイデン:ヒラリー・クリントンはどうして選挙戦を戦っているのかを理解していなかった(Biden: Clinton never figured out why she was running

 

ジョーダン・ファビアン筆

2016年12月22日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/311591-biden-clinton-never-figured-out-why-she-was-running

 

バイデン副大統領は、ヒラリー・クリントンは大統領選挙で敗れたが、その理由の1つは、ヒラリーが大統領選挙に出馬している理由を彼女自身が理解していなかったことが挙げられると確信していると述べた。

 

木曜日のロサンゼルス・タイムズ紙に掲載されたインタヴューの中で、バイデンは「私は彼女が本当に理解していたとは思えない。話は変わるが、彼女の出馬の決断は困難なことだったと思う」と述べた。

 

選挙期間中にウィキリークスによって公開されたハッキングされたEメールの中で、ヒラリーの側近や協力者たちも非公式に同じような懸念を表明していたということをバイデンは自分の考えを補強する証拠として挙げた。

 

しかし、バイデンはヒラリーを選挙に負けたということだけで非難するのは公正なことではないとも述べた。バイデンは、ヒラリーは選挙運動中に崇高な目的を見つめていた、そして、オバマ大統領がアフリカ系アメリカ人に行ったように、女性の政界での活躍への道を切り開く義務を負っていると感じていた、と述べた。

 

バイデンは次のように語った。「彼女は出馬する以外に選択肢はないと考えたのだ。つまり、大統領に当選するかもしれない機会を与えられた史上初めての女性だったのであり、彼女にとってそれは責務であったと思う」。

 

バイデンのコメントにはオバマ政権の幹部としての直接的な批判が若干含まれている。

 

バイデン副大統領は選挙期間中、十数回にわたり、ヒラリーのために遊説を行った。

 

しかし、バイデンは、ドナルド・トランプは自分の出身地であるペンシルヴァニア州スクラントンのような白人の労働者たちが多く住む地域の人々を熱狂させて、選挙に勝利したがそれはずるいことだと感じた、とも述べた。

 

バイデンはその時の心境を次のように語った。「しまった、私たちは選挙に負けるかもしれない、と感じた。トランプに熱狂している人々は私が一緒に生まれ育った人々だった。もしくはその子供たちだった。彼らは人種差別主義者ではないし、性差別主義者でもない。しかし、私たちは彼らに語りかけなかった」。

 

バイデンは民主党全体が選挙で低調であったが、それは、「私たち民主党が、高卒の大部分が白人であるが、非白人もいる、そういった多くの人々に対して、“民主党は自分たちの抱えている問題を理解している”と思ってもらえるようにしなかったから」だと語った。

 

バイデンは、民主党の志向の中に、エリート主義が入り込んでいた、と述べた。

 

同時に、バイデンは、トランプは、ヒラリーよりも労働者階級の人々に問題解決の方策を提示することに成功している訳ではないとも語った。

 

バイデンは「私は、彼が労働者階級や中流階級の人々を理解しているとは思わない。少なくとも彼は彼らの痛みは認識している。しかし、彼は偏見、恐怖心を利用した。自暴自棄の気持ちを利用したのだ」と語った。

 

トランプは更に「トランプが人々を熱狂させる時に語った言葉には何も積極的で+なものはなかったと確信している」と述べた。

 

バイデン副大統領は民主党予備選挙でヒラリーに挑戦することを検討した。彼が予備選挙に出ていたら、自分はエリートではないというアピールと共に中流階級の人々に向けたメッセージを次々と発したことだろう。

 

しかし、バイデンは最終的には選挙に出ないという選択をした。バイデンは息子ボウの逝去を悼みながら、選挙戦を行うことはできないと述べた。

 

74歳になるバイデンは、これまで複数回の機会を軽視してはきたが、将来の大統領選挙出馬の可能性を排除することを拒絶した。

 

バイデンは、妻ジル・バイデン博士がノーザン・ヴァージニア・コミュニティ・カレッジで教鞭を執っている間はワシントンにたまに居住する計画だと明かした。

 

バイデンは、副大統領退任後に仕事を続けるために、ペンシルヴァニア大学内にオフィスを構える可能性についても説明している。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22








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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-11-25



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 2015年10月21日、ジョー・バイデン副大統領が2016年の米大統領選挙への不出馬を表明しました。これで実質的には、アメリカの大統領選挙は終戦となります。民主党はヒラリー・クリントン前国務長官が、ジュリアン・カステロ・アメリカ住宅都市開発長官を副大統領候補(ランニングメイト)にして、サンダースとの戦いを「演出(やらせ)」しながら予備選を勝ち抜き、大統領候補となります。

 

 

 本選挙では、共和党側はジェブ・ブッシュ前フロリダ州知事が候補者となるでしょうが、共和党は勝つことはできないで、ヒラリーが大統領になります。

 

2017年1月に発足するヒラリー・クリントン政権は、共和党側ネオコン+民主党側人道的介入主義派の超党派連立政権となります。そして、史上稀に見る最悪の凶悪な政権となります。「タカ派的」などという言葉が生易しいほどの軍事介入を世界各地で行うでしょう。

 

バイデンは、不出馬声明をホワイトハウスのローズガーデンでオバマ大統領と奥様のジルを従えて読み上げました。実際に声明を聞くまでバイデンが大統領選挙に出ると思った記者もいたそうです。ローズガーデンで大統領であるオバマが隣に立つというのは、オバマなりのバイデンに対する最大の敬意の表し方で、かつヒラリーを積極的に支持しないという姿勢を明確にしたと言えます。

 

オバマはジョージ・HW・ブッシュ(父)元大統領の現実主義外交政策を目標にしていましたから、ネオコンや人道的介入主義派とは相いれない訳です。ジェブが父親を目指すということになると、オバマは党派を超えてジェブの方に近いことになります。ヒラリーの方が立場としてはずっと遠いということになります。

 

 今回ご紹介する記事には引用されていませんが、私はバイデンの声明の中で、次の一節が最も重要な内容だと思います。

 

(引用はじめ)

 

「私はオバマ大統領がこの国を危機から救い、回復基調に乗せた。そして現在は再び成長させている。彼はリーダーシップを発揮し、指揮を執ってきた。わたしはこのように確信している。私はその一部として役割を果たしてきたことを誇りに思っている。民主党、そして我が国が、オバマ大統領の残した路線から外れたり、それを押しとどめようとしたりすれば、悲劇的な過ちを犯すことになるだろう(I believe that President Obama has led this nation from crisis to recovery, and we're now on the cusp of resurgence. I'm proud to have played a part in that. This party, our nation, will be making a tragic mistake if we walk away or attempt to undo the Obama legacy)」

 

(引用終わり)

 

 ホワイトハウスのローズガーデンでオバマ大統領を傍らにして出たこの発言こそは、バイデンが最も言いたかったことであり、政治キャリアを終わらせるにあたっての「遺言」です。ヒラリーの「人道的介入主義(humanitarian interventionism)」「タカ派(hawkish)」路線の外交政策でアメリカは致命的な間違いを犯すことになる、とバイデンは警告を与えているのです。バイデンは声明読み上げの中で「私は今回の大統領選挙に出馬しないが、私はこれからも発言を続けていく(While I will not be a candidate, I will not be silent)」とも述べていますが、ヒラリーにしてみれば「カエルの面に小便」でしょう。

 

 これでアメリカ大統領選挙の大勢も決まりました。そして、世界の進む方向性も決まりました。後は中国・ロシア・イラン・ヨーロッパ(イギリスを含む)の国々がどれだけ、ヒラリーの暴走に対抗できるかということになります。2017年以降、中東とアジアはきな臭くなるでしょう。

 

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バイデンは米大統領選挙不出馬を表明(Biden says no to White House run

 

ジョーダン・ファビアン筆

2015年10月21日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/257595-biden-to-make-announcement-from-white-house

 

 ジョー・バイデン副大統領は水曜日、2016年の米大統領選挙に出馬しない事を発表した。彼は民主党の予備選挙に出馬し、民主党の最有力候補ヒラリー・クリントンと争うとみられていた。そして、40年にわたる政治生活を終えることを示唆した。

 

 これによって、数か月にわたって続いた、バイデンは出馬するのかどうかということに関しての憶測は終止符を打つことになった。バイデンは、大統領選挙の候補者になる道筋が見えなかったと述べた。彼は、チャンスの窓は「閉じられた」とはっきりと述べた。

 

 「残念なことですが、私たちには時間が足りないと考えます。私が民主党の指名を受けるために選挙戦に勝利するための十分な時間がないのです」

 

 72歳になる副大統領は、ホワイトハウスのローズガーデンにおいて、妻ジルとオバマ大統領を従えて、声明を読み上げた。

 

 バイデンは自身の決断に至るまでの詳細については語らなかったが、ヒラリーの復活によって、バイデン出馬の待望論がしぼんでしまったというのが多くの人々の見方だ。ヒラリーは、共和党側の失言、支持率の上昇、討論会における成功によって息を吹き返した。

 

 バイデンは全米の注目を受けながら声明を読み上げた。そして、今年亡くなった息子ボウ・バイデンから「鼓舞」を受けたと述べた。今回の会見はまるでバイデンの出馬表明の場のようであった。彼はワシントンを「問題解決の糸口」にしたいと強調した。

 

 バイデンは次のように語った。「私たちは不毛な党派対立の政治を止めねばならないと強く思っています。この不毛な対立によってこの国は分裂してしまっています。私たちは不毛な争いを止めることが出来ると私は思います。寛大さに欠け、狭量になっています。これらは長すぎる期間続いてしまったのです」。

 

バイデンは14分間にわたって続いたスピーチの中でヒラリー・クリントンの名前に言及しなかった。しかし、バイデンは、ヒラリーが共和党の中に敵がいることを誇りに思うと述べたことを批判した。

 

 彼は次のように語った。「ある人々が述べているように、私は共和党に対して話をすることは利敵行為だなどとは思いません。私は、私たち民主党は共和党を敵だと見なすべきではないと考えます。彼らは私たちの反対党ではあります。彼らは私たちの敵ではありません。 国家のために私たちは一緒になって働かねばならないのです」。

 

 側近によると、バイデンは不出馬の決断を今週火曜日の夜にしたということだ。ヒラリーが民主党の大統領選挙最有力候補として勢いを増していることが決断の理由となった。

 

 バイデンはヒラリーに対抗しうる唯一の民主党内の候補になったであろう。ヒラリーはリベラル派のバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)からの追撃を受けている。アイオワ州やニューハンプシャー州のような早い段階で党員集会や予備選挙が行われる州の世論調査ではヒラリーはサンダースに追い上げられている。しかし、ヒラリーを本当に追い詰めることが出来る候補はバイデンだけであっただろう。

 

 数週間前、バイデンは大統領選挙へ出馬する可能性が最も高まった。この時、ヒラリー陣営は、ヒラリーが国務長官在任当時に個人的なEメールを使ってやり取りをしていたことを攻められて苦闘していた。

 

 バイデン出馬が信憑性を帯びてくると、ヒラリー陣営は警戒感を高めた。そして、政策を一気に左派へと転換した。そして、共和党に対する攻撃を強めた。

 

 先週火曜日に行われた民主党の討論会がターニングポイントになった。ヒラリーは討論会で成功し、本選挙での戦いの準備ができているのかという疑いを持っていたが、それを払拭することが出来た。

 

 討論会の後に発表された世論調査の結果では、ヒラリーの支持率は回復していた。バイデンとの一騎打ちを想定した世論調査では、リードを拡大している。民主党の幹部たちはバイデンが出馬する次期を失ったのではないかと考えるようになった。

 

 バイデン副大統領が機会を完全に失ってしまったのは、今週火曜日であった。この日、バイデンはオサマ・ビンラディンを殺害することになった急襲計画に反対したということを否定した。彼のコメントは以前のコメントと矛盾するものであった。彼は、オバマ政権において最も重要な決断の時に、そのようなリスクの高い計画は実行すべきではないと反対したとその当時は述べていた。

 

 大統領選挙への出馬を取り止めると発表したが、バイデンはヒラリーを支持する準備はできていないと述べた。バイデン副大統領は、民主党にとってオバマの残した路線、そしてバイデン自身が残した路線を守ることが何よりも重要だと述べた。

 

 バイデンは次のように述べた。「民主党はオバマ政権の記録を守るだけではダメです。その記録に沿ってこれからも行動すべきです」。

 

 ローズガーデンでの声明発表の後、ヒラリーはバイデンと話したと報道されている。ヒラリーは「バイデンはこれからも民主党内で大きな力を持ち続けるだろう」と述べた。

 

 ヒラリーは声明の中で次のように書いている。「私はバイデンとの歴史が終わったとは思っていない。今日彼が述べたように、これからも彼がやらねばならない仕事は残っている。私が知っているジョーは、これからも最前線に立ち、私たちのために戦い続けてくれるだろう」。

 

 民主党員や支持者たちの大部分はバイデンの決断に安堵したようだ。それは、出馬を表明しても彼が予備選挙に勝つチャンスがあるだろうかと疑念を持っていたからだ。

 

 バイデンが選挙への出馬を表明しても、その段階で彼の銀行口座には選挙資金は1ドルも入っていないということになっただろう。一方、ヒラリーは今年の春に出馬表明をして以来、選挙資金として7700万ドル(約90億円)の政治献金を集めている。

 

 バイデンはサンダースとポピュリスト的な政策や言辞を使って戦うことは難しかっただろうし、ヒラリーと自分を対比してその違いを鮮明にすることに苦労したことだろう。バイデンとヒラリーはオバマ政権の最初の4年間一緒に働いたのだ。

 

 バイデンに出馬によってオバマも厳しい立場に追い込まれていたことだろう。バイデンとヒラリーが戦うことになると、オバマの政治的同盟者であり友人でもある2人が争うことになって、そのただなかに巻き込まれてしまうことになっただろう。

 

 民主党員の中にはバイデンに大統領選挙に出馬するように強く求める人々もいた。彼らは、バイデンの率直な、飾らないスタイルが、お高くとまったヒラリーに対して、対抗馬として十分アピールになると主張した。

 

 バイデンは、ホワイトハウスでの残りの生活において「沈黙を守る」ということはないとはっきりと述べた。そして、彼が重視するのは、がんの治療法を確立するという「壮大な試み」であると述べた。息子をがんで失ってから、このことは自分にとって「大変個人的な」願いと試みになったと述べた。

 

 彼は「私は民主党の立ち位置と私たちが1つの国として必要なことについてできるだけ多くの人々に影響を与えることが出来るように自分の意見をはっきり述べたいと考えている」と語った。

 

 バイデンは彼自身の人生を振り返った。彼は上院の中でも有力な議員となったが、大統領選挙には2度出馬してそれぞれ敗退した。彼は人々が公の仕事をやらせてくれる地位に彼をつけてくれ、そうした名誉を与えてくれたことに感謝すると述べた。

 

 バイデンは「私たち家族は公的な仕事の中で生きる目的を見つけた」と繰り返した。

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 

ダニエル・シュルマン
講談社
2015-11-25



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 今回は、バイデン副大統領の大統領選挙出馬に対する期待と失望の声が交錯しているという記事をご紹介します。

 

 バイデンがヒラリーとの違いを明らかにするためには、国内政策ではほぼ違いはないのですから、外交政策での違いを強調しなければなりません。そうなると、オバマ路線の継承となります。これは副大統領だったのですから当然のことです。しかし、個のオバマ路線、現実主義は、アメリカの偉大な力を使わずに逃げ回っているように見えて、人気がないことは前回書きました。これを売りにしてしまうと、バイデンは人気を得ることが出来ずに敗退してしまうことになるでしょう。また、バーニー・サンダースとの争いでも消耗してしまうことになるでしょう。

 

 こうした包囲網を敷かれた閉塞状況を打破するためには、思い切った新機軸を打ち出すことが必要で、これに手間取っていると思われます。また、ベンガジ委員会でのヒラリーの公開証言が今週木曜日に行われますが、この時に何かが起きることを待っているのではないかと思われます。今週末が大きな山場となります。

 加筆します。この記事は数日前に準備をしたものです。本日、バイデンは大統領選挙への不出馬を表明しました。この記事にもあるような、バイデン包囲網はかなりきついものになっていました。

 

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バイデンは決断を下そうとしているが、疑いは深まっている(Biden closes in on decision, but doubts multiply

 

ニアール・スタネイジ筆

2015年10月15日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/257104-reports-biden-closes-in-on-decision

 

ジョー・バイデン副大統領が2016年の米大統領選挙に出馬するかどうかの決断を下そうとしている。

 

CNNは木曜日午後遅く、バイデンの家族は副大統領の大統領選挙出馬に賛成したと報じた。また、NBCニュースは、匿名の人物に発言を紹介しながら、バイデンが政界を揺るがすような質問に答えるための「最終段階」にあると報じた。

 

 しかしながら、バイデンが大統領選挙に出馬しないだろうという疑いの声は数日前から大きくなっている。木曜日の夜にラスヴェガスで行われた最初の討論会でヒラリー・クリントンが成功したことを受けて、バイデンに対する悲観論が大きくなってきている。

 

 ヒラリーが国務長官在任時に個人的なEメールアドレスとサーヴァーを使用したことが大統領にふさわしくないという考えから、バイデンが大統領選挙に出馬することになるという主張がなされるようになった。大統領選挙でヒラリーは勝てないだろうから、バイデンが出るべきだと考える人たちが増えていったのだ。

 

 しかし、ヒラリーは民主党内部のこうした懸念を抑え込んだ。そのために、バイデンに対する期待はしぼんでしまっている。

 

 民主党への大口献金者の一人は、『ザ・ヒル』誌の取材に対して、バイデンとバイデンの側近たちに対して、待ちくたびれた、出馬を検討するのに長い時間を使いすぎたということを伝えている人々がいると語った。

 

 この人物は次のように語った。「数週間前であれば、私もこうしたことを言わなかったでしょうが、ドアはもう閉まってしまっていると私は考えます。ヒラリーの討論会の成功の後にドアは閉まってしまったようです」。

 

 彼は続けて次のように語った。「彼に決断を促す声は出ていますが、少し遅すぎたと思います」。

 

 バイデンは出馬を決断すべき時だ、とする声の中で最も大きなものは、ヒラリー陣営の最高幹部、選挙対策本部委員長のジョン・ポデスタのものであった。

 

 ポデスタは水曜日、MSNBCのアンドレア・ミッチェルの取材に対して、「今はもう決断の時だ」と答えた。

 

 民主党内部では、バイデンの出馬に果たして大義名分が立つのかどうかを懸念する声が広がっている。バイデンはヒラリーと中道左派的な立場を共有している。その点ではリベラリズムを掲げて対抗しているバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)よりも近い立場にある。それなのにヒラリーを倒すために選挙に出馬するのに大義名分が立つのかという声が出ているのだ。

 

 民主党のコンサルタントであるヒラリー・ローゼンは『ザ・ヒル』誌の取材に対して、民主党員と支持者たちは、バイデンが出馬することを望んでいる、なぜならそれは「彼が選挙戦について正々堂々と戦うという考えを持っているからだ。彼はヒラリー・クリントンがつまらないことで躓くことを望んでいないのだ」と答えた。

 

 バイデンが出馬を決めて選挙運動をして、勝つための時間がのこっているだろうかという質問に対して、ローゼンは「もちろん、しかし、窓は閉まりつつある。私は、問題は2つあると考えている。1つは兵站の問題。彼が決断を遅らせれば遅らせるほど、支持を減らしてしまう。もう1つは彼の目指す大統領像を明確に示すことだ」。

 

 バイデン周辺と付き合いがある、匿名のあるストラティジストはローゼンよりも厳しい現状認識を示した。

 

このストラティジストは「彼のための道は残っていないと思う。これが問題だ」と述べた。

 

 木曜日の段階で、マスコミはバイデンが大統領選挙への出馬寸前であるという報道をするなど揺れ動いていた。CNNは、バイデン自身が予備選挙や党員集会が最初に行われる3州それぞれを拠点にしているストラティジストたちに電話をかけ、「選挙戦に出るか出ないかではなく、選挙戦をどのように始めたら良いかを聞きたい」と話したと報じた。

 

 CNNはまた、「バイデンが複数のストラティジストに電話をかけたということは、家族が出馬に賛成しているのだ」と報じた。家族の意向はバイデンと側近たちにとって極めて重要だ。今年5月にバイデンの息子ボウが脳腫瘍のために亡くなり、家族はその痛手を抱えている。

 

 現在のところ、バイデン自身も含めて、誰も彼がどうするか分かっていない状況だ。

 

 NBCニュースのクリスティン・ウォーカーは木曜日、副大統領官邸で韓国大統領を迎える式典に出席したバイデンに対していくつかの質問をした。ウォーカーは離れた場所にいたために叫ぶことになった。

 

ウォーカーはまず、大統領選挙に出馬するのかと質問した。それに対して、バイデンは「それには韓国語で答えることにするよ」と冗談を飛ばした。

 

 ウォーカーは続けて、「まだ決心はしていないのですか?」と叫んだ。

 

 「聞こないなあ」とバイデンは笑顔で答えた。

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 

ダニエル・シュルマン
講談社
2015-11-25



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 今回は、ヒラリーが国務長官当時にオサマ・ビンラディンが潜伏していた邸宅をアメリカ軍の特殊部隊が急襲して、ビンラディンを殺害した事件に関する記事をご紹介します。この記事では「ある元高官」となっていますが、私はこの人物は、ヒラリー派のジェイク・サリヴァンだと思います。この人物はヒラリー派であり、当時は国務省政策企画本部長の要職にありました。

 

 この匿名のオバマ政権元高官は、「アメリカの仇敵」オサマ・ビンラディン殺害に関して、ヒラリーは賛成したが、バイデンは反対したという論を『ザ・ヒル』誌の取材に対して展開しています。これは、バイデンはアメリカの仇敵にも「宥和的」であるという印象付けの内容です。

 

今週木曜日にヒラリーは連邦下院のベンガジ特別委員会で公開証言を行うことになっています。ここが一つの山場になります。その前にこうした記事が出たというのは、バイデンに対する牽制でもありますし、ヒラリーの行うであろう積極的な攻撃的な外交政策が有効であるという印象付けに意図があると思われます。

 

 アメリカの中で、既に共和党のネオコン派と民主党の人道的介入主義派は手を結んで、ヒラリーの勝利のために動いているという印象です。民主、共和両党の現実主義派は敗北しつつあります。兄ジョージ・W・ブッシュよりも父ジョージ・HW・ブッシュに近い政策を行うであろうジェブ・ブッシュは共和党ネオコン派からしてみれば、ヒラリーよりも「大統領にふさわしくない」候補者ということになります。

 

 日米ともに政治の世界は劣化が進み、国際的には孤立しています。中国とイギリスの接近やカナダやオーストラリアの選挙結果を見ると、世界の流れや国際協調の動きに反して、孤立を深めているのは日米だということが分かります。

 

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元高官:バイデンは急襲に反対した(Former official: Biden was against raid

 

エイミー・パーンズ筆

2015年10月20日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/257468-former-official-biden-was-against-raid

 

 オサマ・ビンラディンの殺害にまで発展した急襲計画の議論に参加したオバマ政権の元高官は木曜日、ジョー・バイデン副大統領は急襲計画の実行を支持しなかったと述べた。

 

 この高官はパキスタンでのこの計画の実行を許可するかどうかの議論に参加した。この人物は、当時のヒラリー・クリントン国務長官とレオン・パネッタCIA長官は急襲計画を支持したが、バイデンは支持しなかったと述べた。

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急襲の時の作戦室(左端の青いシャツがバイデン、口を押えているヒラリー)
 

 元高官は『ザ・ヒル』誌の取材に対して次のように語った。「私が言えることは、当時のレオン・パネッタCIA長官とヒラリー・クリントン国務長官は急襲を支持し、シチュエイション・ルームで実行を求めるプレゼンテーションを行ったということです。クリントン長官は彼女の考えを明らかにし、レオンもまた彼自身の立場を明らかにしました。その際、副大統領が彼らと同じ考えを持っていたのか、思い出せないのです」。

 

 この元高官は続けて、「4月28日に大統領が最終決定のための会議を招集したのですが、アドヴァイザーたちは賛成、反対2つのグループに分かれていました」と述べた。

 

 2016年米大統領選挙でヒラリーに対抗しての出馬を検討中であるバイデンは、火曜日、個の元高官の発言とは異なる内容の発言を行った。

 

 バイデンは元副大統領ウォルター・モンデールを賞賛する会合に出席した。その会合の中でバイデンは、「個人的には急襲計画を支持していましたが、2人きりで話ができる機会があるまで、助言をすることを差し控えました」と述べた。

 

 民主党の大統領選挙最有力候補ヒラリー・クリントンが「私は急襲計画を完全に支持していた」と発言したが、バイデンはそれを否定した。

 

 バイデンは「私は大統領に、計画は実行すべきだという意見を言いましたが、あくまでも自分の本能に従って決定してくださいとも言いました」と述べた。

 

バイデンは、ジョージ・ワシントン大学で開かれたパネルディスカッションにモンデールとともに出席した。この席上、バイデンは「この難しい問題について、私は大統領執務室で2人きりになれるまで、大統領に対して私の最終的な判断を伝えることはありませんでした」と述べた。

 

 元高官は、2人きりになった時、バイデンがオバマに何を行ったのかを知る人物はいないと語った。しかし、バイデン副大統領が、ビンラディンに対する特殊部隊による急襲計画についてどのような立場を取っていたかは明白だとも述べた。

 

 パネッタはオバマ政権でCIA長官を務めた日々を回想録にまとめた。この中で、パネッタは、バイデンが急襲計画に反対し、ヒラリーは賛成したと書いた。

 

 パネッタは回想録『価値ある戦い』の中で次のように書いている。「バイデンは、ビンラディンがターゲットの屋敷内にいるという十分な証拠もまだ集まっていないし、更なる情報収集をするために時間を使うべきだと強く主張した」。

 

 パネッタは、同書の中で、「クリントンはさらに時間をかければ、更によい情報が集められるだろうが、今回は千載一遇のチャンスであり、それを掴むべきだと述べた」と書いている。

 

 火曜日にバイデンが行った説明は、2012年に彼自身が行った説明とも違っている。

2012年当時、バイデンは民主党所属の連邦下院議員たちに対して、彼は、オバマ政権下の最も重要な計画の実行に反対したと述べた。

 

 『ニューヨーク・タイムズ』紙の報道によると、バイデンは議員たちに対して、「大統領、私の提案は、実行しないというものです」と述べたということだ。

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 

ダニエル・シュルマン
講談社
2015-11-25



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 米大統領選挙は共和党側が多士済済で盛り上がっています。民主党側はヒラリー・クリントン前国務長官がリードしていますが、バイデン副大統領の去就に注目が集まっています。私はヒラリーが米大統領にふさわしくないと考えます。以下の2つの記事を読むとそれがよく分かっていただけると思います。「ヒラリーが大統領になれば、外交政策はタカ派的になる」というのはアメリカにおける認識だと思いますが、アメリカでも外交政策が大きな争点、論点になっていません。意識的に争点にしていないようです。アメリカ国民が外国に対して関心を持たないということもあると思いますが、民主党内の候補者たちは、外交政策の分野でこそヒラリーとの違いを打ち出せたはずなのに、討論会ではそれをしませんでした。

 ヒラリーに反対する路線となると、オバマ大統領の現実主義路線になりますが、これは何もしないように見えますから、不人気です。ですから「オバマ大統領の路線を継承する」とはなかなか言えないのです。更に、現実主義路線は「アメリカの力を正確に、冷酷に判定して、出来ないことを無理にしない」ということですから、なおさら、「アメリカは歴史上最も偉大な国」と単純に思っているアメリカ国民を説得することは難しいです。「王様は裸だ」と叫ぶ勇気がバーニー・サンダースにあると思っていましたが、期待外れだったようです。

 ヒラリーが大統領になって、「人道」の美名の下に、アメリカは自分の力以上のことをし、世界で火をつけて回ることになるでしょう。

 

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ヒラリー・クリントンは、「イランとの核開発を巡る号外成立したがイラン政府の態度はこれによって変えることはできないだろう」と述べる(Hillary Clinton Says Iran Deal Won’t Change Tehran’s Behavior

 

 民主党の米大統領選挙最有力候補ヒラリー・クリントン前国務長官は核開発を巡る合意を支持しているが、イランとロシアの侵略を非難している。ヒラリーが大統領に当選すると、就任最初の1カ月以内にイスラエル首相をホワイトハウスに招待することになるだろう。

 

コラム・リンチ筆

2015年9月9日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2015/09/09/hillary-clinton-says-iran-deal-wont-change-irans-behavior-nuclear-putin-tehran/?utm_content=buffereac22&utm_medium=social&utm_source=facebook.com&utm_campaign=buffer

 

 2016年の米大統領選挙戦が展開されている。水曜日、ヒラリー・クリントンは自身の外交政策に関する演説を行った。その演説の中で、ヒラリーは大統領に当選すれば、米連邦議会と密接に協力しながら、イランの人権侵害と中東におけるテロ支援を抑えるために新しい経済制裁を科すことになるだろうと述べた。

 

 彼女は演説の中で主にアメリカの対イラン政策に触れた。民主党の大統領最有力候補は、イランと大国6カ国との間で結ばれた核開発を巡る合意を強力に支持し、ホワイトハウスの「合意によってイランが核開発を開発することを阻止し、将来の危険を削減する」という主張を繰り返した。そして、彼女は、大統領に選ばれたら、イランが核兵器を持つことを阻止するために軍事力の行使も視野に入れるだろうと改めて強調した。

 

 クリントンは合意について次のように述べた。「この合意によってアメリカとイランとの間で外交関係が再開されることはありません。そして、私たちはこの合意によってイランが態度を改めるなどと考えるべきではないのです」。

 

 彼女のこうした発言は、イランの最高指導者アリ・ハメネイが「イランは核開発を巡る合意を起点としてアメリカと新たな交渉を行い意思はない」とツイートした後に行われた。それから数時間後、米大統領選挙の共和党の有力候補であるドナルド・トランプと連邦上院議員テッド・クルーズは連邦議会内でイランの問核開発を巡る合意に対する反対の集会を開催した。それでも合意は民主党議員たちの支持で批准されるだろう。

 

 ヒラリーは、イランとの間で更により良い関係が築けると楽観的に考えている、彼女に対する批判者たちを批判した。ヒラリーは、「イランとの交渉を始め、そして国際的な連携を少しずつ進めていった人々に対しては、“あなた方は現実的ではない”と言ってあげたいと思います」と述べた。

 

 ヒラリーは、国務省の中東特使であったマーティン・アインダイクが主催してブルッキングス研究所で開かれたイヴェントに出席し、演説を行った。彼女は演説の中で、アメリカの同盟国サウジアラビアが中東地域の過激派を支援しているとして批判し、イスラエルとの間では私的な交流を重視し、厳しい交渉を行わないようにすべきだと述べ、ロシア大統領ヴラディミール・プーティンに対してはより厳しく臨むべきだと強調した。

 

 ヒラリーはオバマ政権の外交政策に対する理解を示した。それはもちろん、彼女がオバマ政権で国務長官を務めたからである。彼女は、イランとの間で様々な問題について話し合いをするために外交チャンネルを維持すると述べた。

 

 しかし、ヒラリーは、オバマ政権とイスラエルとの間の悪化した関係を改善することに意欲を示した。彼女は大統領に選ばれたら、就任して1カ月以内にイスラエル首相をホワイトハウスに招待すると述べた。

 

 彼女に対して、パレスチナとの和平を実現するためにイスラエルの指導者たちに「厳しい態度」を取るかどうかという質問が飛んだ。それに対いて、ヒラリーは「それが最善の方法だとは思いません」と答えた。

 

 彼女は続けて「厳しい態度については、様々な方法があると思います。私的な交流でそれを示す場合もありますよね。また、非公式の場で行う場合もあるでしょう」と述べた。しかし、アメリカとイスラエルとの間の関係が悪化していることが公になっている現在の状況は「イスラエルの存在を認めない人々にとっての好機となっている」と述べた。

 

 サウジアラビアとの関係について、ヒラリーはアメリカにとってアラブ世界における最重要の同盟国に対して牽制を行った。ヒラリーは、「豊かな産油国である王国と底に暮らす富裕な人々が世界の過激派を育てているということを認めないのは馬鹿げている」と述べた。

 

 ヒラリーは、シリアとイラクにおけるイスラム国の勃興とサウジアラビア国内におけるサウド王家の支配に対するイスラム過激派の脅威は、「テロに対抗するために必要となるので、私たちがこれまでサウジアラビアと行ってきた対話よりもより率直な対話を促す機会」となると述べた。

 

 ヒラリーはプーティンの近隣諸国に対する「皇帝のような態度」とロシア軍がシリア国内に展開しているという報告について特に警戒感を表明した。ヒラリーは「シリア国内にロシア軍が展開することで、ロシアのシリア関与の度合いは深まっていくことになるでしょう」と述べた。

 

 ヒラリーはオバマ政権の国務長官だった時に、アメリカのロシアとの関係を「リセット」するようにしたことは間違っていなかったと述べ、当時のロシア大統領ドミトリー・メドヴェージェフとの間で、武器削減合意である新スタート合意を行ったこと、そしてロシアがイランに対する経済制裁に参加するように働きかけ、それを実現したことを強調した。

 

 しかし、ヒラリーはプーティン率いるロシア政府との間で協力ができるかどうかに関して疑義を呈した。ヒラリーは「ロシアの目的は、いつでもどこでも可能な局面において、アメリカの力を抑え、弱めることだと私は考えます」と述べた。

 

 ヒラリーは次のように語った。「私は、ロシアとプーティンがアメリカに対抗することでコストが上がるのだということを向こうに伝えたいと思います。そのためには国際的な協力と努力が必要になるでしょう。私たちはロシアがヨーロッパやその他の地域を侵略することを思いとどまらせ、封じ込め、阻止するためにあらゆる努力をしなくてはなりません」。

 

 ヒラリーは自分とプーティンとの間の相違に言及しながらも、共通するものもあると述べた。彼女は次のように述べた。「私はプーティン氏をそこまで評価していません。しかし、“私が次の大統領になる”と述べるような力強さは素晴らしいと思います」。

 

(終わり)

 

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「2016年はヒラリー」が民主党員にとっては説得力を持っていない訳(‘Hillary 2016’ Has Never Made Sense for Democrats

―どうしてもっと多くの挑戦者たちが、イラク戦争でタカ派の態度を堅持し、愛国法に賛成し、巨大な金融資本と密接な関係を持つヒラリー・クリントンを打ち倒そうとして大統領選挙に出馬しないのか?是非出馬するべきだ

 

 

コナー・フリーダースドーフ筆

2015年9月1日

『ジ・アトランティック』誌

http://www.theatlantic.com/politics/archive/2015/09/clinton-2016-has-never-made-sense-for-democrats/401597/

 

 ヒラリー・クリントンはアイオワ州においてバーニー・サンダースで敗北している。彼女のリードは小さくなっており、彼女が民主党の大統領選挙候補者として指名を受けることは馬鹿げていると言わざるを得ない。彼女はヴァーモント州選出の連邦上院議員で社会民主主義者のライヴァル、バーニー・サンダースよりも有権者の支持を集めることが出来るかもしれない。しかし、民主党員や支持者たちの多くは中道・左派連合を支持している。どうして彼らはヒラリー・クリントン前国務長官を大統領選挙から脱落させようとしているのか?ヒラリーが無事に民主党の大統領候補者としての指名を受ければ、ほとんどの民主党員たちは彼女を支持するであろうことは理解できる。ヒラリーはオバマ支持の民主党員たちの望むオバマケアの維持、中絶の権利、不法移民労働者に対する法的地位の付与、労働組合の強化、気候変動を遅らせるための炭素税導入に賛成している。

 

 民主党員のほとんどもまたこれらに賛成している。しかし、彼女は民主党員のほとんどが極めて重要だと考えている他の諸問題に関して恐るべき態度を取っている。それなのにどうして民主党員たちは予備選挙でヒラリーを支持しているのか?

 

 民主党員のほとんどはイラク戦争が歴史的な悲劇であったと考えている。ヒラリーは上院議員時代にこの戦争に賛成の票を投じた。彼女のタカ派的な姿勢は一時的なものではなかった。ヒラリーは議会の承認を得ることなしに、リビアに対するアメリカの介入を進めた。これがアメリカに不幸をもたらすとも考えずに安直に介入を進めたのだ。ヒラリーは、シリア内戦に関しても介入することを主張した。民主党員たちはどうして、ヒラリーは外交政策に関する限り誤った判断をしたという結論を下さないのだろうか?ヒラリーは外交政策分野に関しては全くの無能であることを証明している。

 

 イラク戦争と同じく、民主党員たちはジョージ・W・ブッシュ前大統領が推進した愛国法を批判した。彼らはまた、ブッシュが行った行政権力の拡大や透明性の低さを批判した。ヒラリーは連邦上院議員の時に愛国法に賛成票を投じた。彼女はジョージ・W・ブッシュと同じく、行政権力を拡大するという考えを持っている。そして、彼女は自身のEメールを連邦政府の公式の記録に残さないようにし、情報公開法の対象にならないようにしようと躍起になっている。

 

 更には彼女の資金面での支援者たちも問題だ。

 

 民主党員の多くは、オキュパイ・ウォールストリート運動に共感し、ウォール街の富裕な特殊利益を持つ人々は政治家たちを資金面で籠絡しているという考えを持っている。ヒラリー以上にウォール街から資金面で援助を受けている人はいるだろうか?選挙資金やクリントン財団の運営資金を受けているだけではない。クリントン家の銀行口座には巨大銀行からの入金が溢れている。その中には彼女が国務長官時代に便宜を図ったものに対するお礼や夫ビルの講演に対する謝礼数百万ドルが含まれている。彼女が大統領になったら巨大金融資本の利益を度外視するだろうなどと考えるのは甘いのだ。

 

 同性婚や警察の不祥事といった社会問題についてのヒラリーの手法は世論よりも遅れて、進歩的な改革をリードするというものではない。

 

 これらは重大な瑕疵である。

 

 選択肢がないことは何よりもつらいことである。テロが蔓延する時代、市民的な自由を守るための頼りになる守護者を生み出すことがより重要になっている。ウォール街の誤った行動のために金融危機が起こり、そのために人々が苦しんだことは記憶に新しいところだ。ヒラリーは各種世論調査で競争相手を押さえてリードを保っているが、どうして多くの民主党員たちがこうした状況がひっくり返れば良いのにと考えているのだろうか?

 

 多くの人々はここ数カ月、ヒラリーが民主党の大統領選挙候補者となるのは必然だと考えてきた。彼らは自分の考えを横に置いて、ドナルド・トランプ、ベン・カーソン、テッド・クルーズ、マルコ・ルビオを勝たせるよりはましだと考えてきた。しかしながら、ここ数カ月、ヒラリー支持者ばかりの民主党首脳部では、民主党内ではヒラリー以外の選挙に勝てる候補者探しは行われなかった。

 

 しかし、まだ方向性を変更することはできる。バーニー・サンダースはヒラリーの選挙における弱点を暴いている。Eメールを巡るスキャンダルに対するヒラリーの対応は彼女が大統領にふさわしくないことを示している。少なくとも、ヒラリーの弱点が示しているのは、大統領になるのは馬鹿げているということだ。大統領になるべき点はどこにもないのだ。つまるところ、ビル・クリントンとバラク・オバマは、予備選挙において複数の競争相手と激しく戦った後の本選挙で勝利を収めた。選挙戦に数多くの候補者が出るように促すことで、民主党員たちは何も恐れることなく、ヒラリーを追い落とすことが出来るのである。

 

 彼らは一体何を待っているのだろうか?

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23




 
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