古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ジョー・バイデン

 古村治彦です。

 

 バラク・オバマ大統領の下で副大統領を務めたジョー・バイデンに対する待望論がアメリカ国内で大きくなっています。2016年の大統領選挙で敗北を喫した民主党は内部分裂を修復できないままできました。2018年の中間選挙では党勢の回復が見込まれていますが、2020年の大統領選挙に内部分裂が修復されないままで突入すると、また敗北するという危機感が民主党内にあります。

 

 そうなると出てくるのが、「昔はよかった」という感情です。そして、バラク・オバマ大統領の二度の大統領選挙での勝利です。この時は民主党内がまとまり勝利することが出来た、という懐かしむ感情が民主党関係者や支持者の中に出てきています。そして、オバマ政権の副大統領であったジョー・バイデンの待望論が出てきています。

 

 2016年の大統領選挙でもバイデン待望論がありました。しかし、バイデンは最終的に出馬を見送りました。期待の息子であったボウ・バイデンが脳腫瘍で亡くなってしまったことが大きな痛手となりました。

 

 バイデンは最新刊『約束してよ、父さん』の中で、息子ボウが元気で生きていれば、2020年の大統領選挙の民主党の候補者となって当選していただろうと書いているそうです。ボウは、自分を超える能力と人気を備えていたと書いています。

 

 バイデンの言葉は、父親としての愛情あふれた言葉であり、実際にそうだったのかもしれません。しかし、ボウを生き返らせることはできません。2020年にジョー・バイデンが出馬するのかどうか、ということが焦点となります。バイデンは既に70代ですから、2020年から二期務めれば80代ということになります。健康状態は個人差がありますが、大統領の激務を務め切ることが出来るのかどうか、どうしても不安が出てきます。

 

 2016年の時に出馬していれば、と思うと、返す返すも惜しいことであったと思います。しかし、それこそが「死んだ子の年を数える」ことになってしまったということなのかもしれません。

 

(貼り付けはじめ)

 

バイデンは息子に大統領選挙出馬の可能性があったと言及:彼は自分の2.0ヴァージョンだった(Biden reflects on son’s potential to run for president: He was me 2.0

 

ジョシュ・デレク筆

2017年11月11日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/359951-biden-reflects-on-sons-potential-to-run-for-president-he-was-me-but?rnd=1510440750

 

ジョー・バイデン前副大統領は最新刊の中で、亡くなった息子が「ジョー・バイデン2.0」で、大統領になれる可能性があったと書いている。

 

ジョー・バイデンの最新刊『約束してよ、父さん:希望、苦難、目的のための一年(Promise Me, Dad: A Year of Hope, Hardship and Purpose)』には次のような一節がある。「デラウェア州の人々はボウの中に私のやってきたことを見つけていた。45歳のボウ・バイデンはジョー・バイデン2.0だった」。

 

ボウ・バイデンは、父ジョーが副大統領の2期目を務めている途中の2015年に脳腫瘍のために亡くなった。バイデンの回顧録のタイトル「約束してよ、父さん』は、父ジョーと亡くなった息子ボウとの会話の中から採られたものだ。回顧録の中で、バイデンは息子ボウの人生と家族に与えた影響について書いている。

 

デラウェア州の歴史の中でもっと長期間にわたって連邦上院議員を務めたジョー・バイデンは息子ボウについて次のように書いている。「ボウはデラウェア州で最も人気の高い政治家だったと今でも考えられている。父親よりも人気が高かった。彼は私の長所を全て持っていた。そして私の短所全てを持っていなかった」。

 

ボウは2007年からデラウェア州司法長官を務め、2期目の途中で亡くなった。

 

バイデンは、ボウが2016年のデラウェア州知事選挙出馬を計画していたことに言及し、「ボウは多くの政治的な可能性を持っていたと今でも確信している」と述べた。バイデンは次のように述べた。「ボウがいつの日か大統領選挙に出馬するだろう、そして、兄弟たちの助けを受けて、当選できただろうとも考えている」。

 

バイデンの最新刊は今週発売予定となっている。バイデン前副大統領は2020年の大統領選挙の出馬の可能性を完全に排除してはいない。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)









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 古村治彦です。

 

 2020年のアメリカ大統領選挙に関して、これまで若手のスターで、候補者になりうる人物たちをご紹介してきました。今回は、大物であるジョー・バイデン前副大統領です。バイデンは、2016年の大統領選挙で、民主党の候補者として待望されていましたが、直前に長男ボウ・バイデンが脳腫瘍で亡くなったこともあり、家族で相談して、バイデンは出馬しないという決断をしました。これで、ヒラリー・クリントンが民主党の大統領選挙候補者となり、最終的に敗れてしまいました。

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ジョー・バイデン

 

 2020年の大統領選挙に向けて、民主党は新規まき直しを図っていますが、民主党内の分裂が深刻で、2020年もまた共和党、トランプに勝てないのではないかという悲観論すらも出ています。そうした中で、バラク・オバマ前大統領の幻影と重なるジョー・バイデンの待望論も一部にあります。オバマ―バイデンのラインであれば、民主党がまとまっていけるというのがその理由ということになります。

 

 しかし、バイデンは既に70代と高齢で、2020年には78歳となります。任期中に80代となってしまいます。それで世界一の激務であるアメリカ大統領が務まるのかどうか、ということはどうしても心配になります。ですので、2020年に大統領選挙出馬するということは難しいと思います。

 

 バイデンは2016年の選挙に出馬して、ヒラリーではなく、彼が民主党の大統領選挙になっておくべきでした。そうすれば、ヒラリーが候補者になったために離れた支持者たちがバイデンに投票して、バイデン大統領になっていたと思われます。しかし、結局、出馬しませんでした。そして、タイミングを逃したということが言えるでしょう。

 

 歴史とはこういうことの積み重ねなのだろうと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

バイデンの娘:父が2020年の大統領選挙に出馬することを望む(Biden's daughter: I hope he runs in 2020

 

マックス・グリーンウッド筆

2017年9月8日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/349804-bidens-daughter-i-hope-he-runs-in-2020

 

ジョー・バイデン前副大統領の娘は、父ジョーが2020年の米大統領選挙に出馬する準備をしてほしいと語ったが、同時に、「現在まで準備はしていない」とも語った。

 

アシュリー・バイデンは、『ウイメンズ・ウェア・デイリー』誌の取材に応じ、父親が出馬する計画を持っているのかどうかと質問され、「そうあって欲しいと思う」と答えた。アシュリーは続けて次のように語った。「父はこれまで以上に忙しい日々を送っています。彼は現在、バイデン財団とキャンサー・ムーンショットの仕事と、民主党の議員や候補者たちが次の選挙で当選するように応援活動に忙しいのです。彼は自身の選挙の準備をしていません。最愛の息子を失った後、父は毎日そのことを考えています。彼は時がいたれば決断するでしょう」。

 

アシュリーは次のように語る。「決断をするかしないかは紙一重だと思います。4年間あれば多くのことが起きます。私たち家族はそのことを実感しています。父は健康状態が良好で、その時点の状況を判断して、最終的に決断するでしょう。幸運を祈りたいと思います」。

 

これまで、前副大統領が大統領選挙に出馬する準備をしているのかどうか、人々の注目を集めている。バイデンは2015年に長男ボウ・バイデンが脳腫瘍で死去した後、2016年に大統領選挙の出馬をしないと決断した。

 

2017年1月に正式に退任して以降、バイデンは比較的明確な態度を維持し、バイデン財団を発足させ、今年の夏には、バイデン・キャンサー・イニシアティヴをスタートさせた。

 

アシュリー・バイデンは、健康問題がなければ、父ジョーは大統領選挙に出馬すると考えている。アシュリーは、物事はいつでも変化するということを認めながら、バイデンは「エネルギーに溢れている」と述べた。

 

アシュリーは次のように述べている。「父はエネルギーに溢れています。ですから、決断する時期が来たら、決断するでしょう。この3年間で多くのことが起きるでしょう。何が起きるかは分かりません。人生では何が起きるか分かりません。神のご加護で、私たちが健康に恵まれたら、選挙に出馬するでしょう。何が起きるかは誰にも分かりません」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 アメリカの民主党は2020年の大統領選挙に危機感を持っているということは前回お知らせしました。その大きな原因となっているのが、民主党内の分裂であり、その分裂が大きくなっているのは、ヒラリー・クリントンが原因です。このブログでも以前、ヒラリーが選挙後も精力的に表舞台に出てきて、選挙で負けたことをいつまでも話し、自分の至らなさを反省するならまだしも、他人を攻撃ばかりしていることに、民主党内部でも批判が出ていることはお知らせしました。

 

 今回は、ヒラリーが2017年9月12日に出版する最新刊What Happenedでも反省ではなく、民主党批判を行っていること、それで民主党内部の分裂はますます大きくなるであろうこと、ヒラリーには多くの人々がうんざりしていることを紹介している論稿をご紹介します。論稿では、このトランプ時代に、ヒラリーとヒラリーを支持する時代遅れのエスタブリッシュメントは民主党のリーダーたり得ない、ということを訴えています。

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 ヒラリーが文句を言っているのは、第一にバーニー・サンダース連邦上院議員です。サンダースは民主党の予備選挙でヒラリーと激しく戦いました。ヒラリーは、サンダースがヒラリーに対して行った攻撃が最後までダメージを与え、サンダースの行った攻撃をトランプが利用して、「嘘つきヒラリー」という批判を浴びせてきた、と主張しています。また、サンダースの支持者たちは、性差別主義的であるとも批判しています。また、オバマ大統領はヒラリーに対して、サンダースからの批判に反論しないようにと助言し、それに従ったところ、結局、サンダースからの批判が尾を引いて本選挙で勝てなかったとオバマ大統領を批判しています。また、ジョー・バイデン副大統領にも不平をぶちまけています。

 

 「敗軍の将兵を談ぜず」は古今東西、敗れた人物のたしなみです。半生を語るならまだしも、不平不満、愚痴を述べることは下策中の下策です。ヒラリーは個人的なカタルシスのために言いたい放題、やりたい放題をすればいいわけですが、組織としての民主党は、それで分裂が深まるということになれば、次の選挙もどうなるか分からないということになります。

 

 ですから、ヒラリーには静かに余生を送ってもらいたいと思っている人が多いと思いますが、祟り神とヒラリーが元気に暴れまわれば回るほど、民主党は力を落としていくということになります。

 

 

 民主党の内部にも「いっそヒラリーが逮捕されないかな」と思っている人は多いと思います。それほど迷惑をかけているヒラリーなのです。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプからの「嘘つきヒラリー」という攻撃について、クリントンはサンダースを批判(Clinton blames Sanders for Trump’s ‘Crooked Hillary’ attack

 

ジョナサン・イースリー筆

2017年95

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/349197-clinton-blames-sanders-for-trumps-crooked-hillary-attack

 

2016年の大統領選挙で民主党候補者ヒラリー・クリントンは、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)に対して、自分の選挙運動に「最後まで続くダメージ」を与え、トランプ大統領の「嘘つきヒラリー」という攻撃の「道筋をつけた」と攻撃している。

 

ヒラリーの選挙戦回顧録となる最新刊『ワット・ハップンド(What Happened)』の中で、ヒラリーは、サンダースから大企業の恩恵を受けていると批判されたのだが、それに対して、オバマ前大統領をはじめとする人々からそれに対して沈黙を守るように助言された、と書いている。

 

ヒラリーは次のように書いている。「予備選挙期間中、バーニーからの攻撃に対していつも反撃したいと考えていた。我慢しなさい、と自分自身に語りかけていた。バーニーの計画は全く理解できないものだった。彼の計画は中流階級の世帯の増税を意味し、空想以上のものではなかった。彼は私を進歩派ではないと主張していたが、空想的な計画は彼の主張を補強するものだった。私のティームは、私に対して、バーニーの支持者たちを離れさせたくないということを常に念頭に置くようにと助言してくれた。オバマ大統領は私に対して、バーニーの批判を相手にしないように助言した。私は束縛されているように感じた」。

 

 

ヒラリーは、「バーニーびいきの野郎たち(Bernie Bros)」と呼ばれるサンダース支持者たちを激しく非難した。彼らのヒラリーに対する攻撃の中には「性差別的」なものがあり、サンダースは「ヒラリーは大企業から依頼された講演で数百万ドルを稼いだ」と攻撃したが、このために本選挙において進歩派の有権者にアピールできなかった、とヒラリーは主張している。

 

ヒラリーは次のように書いている。「バーニーびいきの野郎たちのようなバーニーの支持者たちは、私の支持者たちに対してインターネット上で嫌がらせをした。その内容は醜悪で、性差別主義的であった」。

 

ヒラリーは続けて次のように書いている。「私は予備選挙の討論会で一度だけバーニーに反撃したことがあった。私が大企業からの献金を受けて姿勢を変えたことや連邦議会での採決の投票を変えたことがあったと言うなら、一つでいいからその具体例を明示して欲しい、と言った。彼は何も言えなかった。しかし、バーニーからの攻撃は私にダメージを与え続けた。本選挙で進歩派の人々を一つにすることが難しくなった。そして、トランプによる“嘘つきヒラリー”という攻撃キャンペーンがしやすくになってしまった」。

 

ヒラリーの最新刊からの抜き書きは親ヒラリーのツイッターアカウントでインターネット上に掲示され、CNNによって初めて報道された。

 

選挙戦の後の様々なインタヴューの中で、ヒラリーは、ロシアによる介入、彼女の私的なEメールサーヴァーに関する刑事事件捜査に対するジェイムズ・コミー前FBI長官の対処、潜在的な女性差別主義を自身の衝撃的な敗北の理由に挙げた。

 

ヒラリーは、自身の選挙運動の欠点について責任を取ることを拒絶していると批判されている。

 

ヒラリーは敗北の理由として、サンダースと彼の支持者たちを挙げているが、これによって、予備選の時にできた古い傷を再び開けてしまうことになった。

 

サンダースの熱心な支持者たちは、民主党全国委員会に率いられている民主党エスタブリッシュメント派がヒラリーを民主党の候補者にするために、サンダースに対して共謀を行ったと考えている。サンダース支持者たちは、自分たちが民主党から厄介者と扱われたと主張している。民主党はサンダース支持者たちを取り込もうとせず、草の根のエネルギーを動員することに失敗した。

 

ハーヴァード大学・ハリス共同世論調査の結果で、サンダースは現役政治家の中で最も人気のある人物で、支持率は54%、不支持率は36%である。ヒラリーは表舞台から去っても、支持率は改善していない。彼女の支持率は42%、不支持率は53%と不支持率が上回っている。

 

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ヒラリーによる恨み言が民主党員を苛立たせている(Clinton’s score-settling frustrates Democrats

 

ジョナサン・イースリー筆

2017年9月7日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/campaign/349548-clintons-score-settling-frustrates-democrats

 

ヒラリーは選挙戦回顧録となる最新刊で恨み言を述べている。これに対して、民主党員たちは怒っている。

 

来週発売となる選挙戦回顧録『ワット・ハップンド』の中で、ヒラリーは民主党の中で人気のある人物たちに対して言いたい放題の批判をし、ドナルド・トランプに対する衝撃的な敗北に至るまでの過程で積み重なった不満を発散した。

 

本の中で、ヒラリーは予備選挙期間中にオバマ大統領によって「束縛」されたと書いている。オバマ大統領は予備選挙でヒラリーのライヴァルになったバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)を攻撃しないようにと助言をしたということだ。これは、大統領選挙本選挙を前にして民主党を分裂させることを恐れたためだ。

 

ヒラリーはジョー・バイデン前副大統領の「ヒラリーは民主党が中間層を助ける用意があるということを人々に納得させることに失敗した」という内容の発言に怒りをぶつけた。

 

ヒラリーはサンダースの提案した政策を空想でありと批判し、「バーニーびいきの野郎」と呼ばれるSNS上のサンダース支持者は性差別主義的だと決めつけた。

 

ヒラリーはサンダースからの攻撃は、本選挙まで「ダメージを継続」させるものだったと書いている。ヒラリーは、サンダースからの攻撃が、トランプがヒラリーを大企業の手先だと言い、「嘘つきヒラリー」というニックネームを「つけやすく」したと非難した。

 

サンダースは水曜日に本紙の取材を受け、その中で、民主党は「未来を見るべきで、過去を振り返る」時ではないと述べた。

 

彼女の発言を喜ばない人も多い。民主党がトランプ時代に対応するために新しいアイデンティティを作り出そうとしている時に、ヒラリーが2016年の大統領選挙のことをほじくり返してばかりしていることに、ヒラリーの支持者たちでさえも嫌気がさしている。

 

ヒラリーに資金提供をし、民主党全国大会で重要な役割を担った、ヒラリーの代理を務めたある人物は「ヒラリーが今できる最良のことはいなくなることです。彼女は自己中心的で、そのために私たちにとって害悪になることを行っています。率直に言って、彼女には口を縫い付けてどっかに引っ込んでもらいたいと思っています」。

 

選挙で敗北して以降、ヒラリーは選挙戦の敗北における自身の責任を認めることを拒絶しているように見えるために、民主党内の2つ派から批判を浴びている。

 

ヒラリーはロシアのハッカー、性差別主義、ジェイムズ・コミー前FBI長官を敗北の理由に挙げている。しかし、自身の選挙活動の欠点について語ることは少ない。

 

ヒラリーは選挙戦での失敗について語りたがらない。これがかえってサンダースとの予備選挙での激しい戦いで受けた古い傷を再び開かせることになっている。民主党の人々は、党がラストベルトの有権者にアピールする経済的なメッセージを見つけ出すべきであったと異口同音に述べている。ラストベルトの有権者たちは民主党を見捨ててトランプを支持した。

 

2018年の中間選挙に向けて、民主党の進歩派と主流派をまとめることが緊急に必要である。民主党は、トランプがヒラリーを破った州での連邦上院議員選挙で現職が敗れるかもしれないという可能性に直面している。

 

こうした厳しい状況に直面して、民主党の中には、選挙後のヒラリーの言いたい放題に腹を立てている人たちが多くいる。

 

オバマの側近だった人物は次のように述べている。「ヒラリーの言いたい放題は党にとって少しも良いことはない。100%、ヒラリーによるヒラリーのためのショーでしかない。私たちは頭を抱え、彼女はいったい何がしたいのだろうと考えるだけだ。民主党のためにならないことだけは確かだ」。

 

サンダース支持者たちは暴発しやすい。

 

ヒラリーの最新刊はサンダースのエネルギーに溢れた支持者たちを再び起こらせる危険がある。この人たちの多くは既に民主党から離れている。ロシアが支援したハッカーたちが民主党全国委員会のスタッフたちが予備選でサンダースが勝利しないようにしようと言い合ったEメールをハッキングして暴露して以降、民主党離れが進んでいる。選挙以降、サンダース支持者たちと民主党の有力代理人たちとの間で、このトランプ時代に党の方針を決めるのがヒラリーと関係の深い時代遅れのヴェテランばかりだということについて頻繁に衝突が起きている。

 

 

進歩派の活動家で作家のジョナサン・タシニは次のよう述べている。「民主党員そして全有権者は2つの異なった考えが存在することを目撃している。この2つの考えは昨年の民主党予備選挙で最後まで争った2人に集約される」。

 

「一方の人は選挙が終わっても国中を休みなく行脚し、オバマケアを守り、富裕層への減税に反対し、最低時給15ドルに賛成し、今日も集会で人々の中に飛び込んでいる。もう一方の人は、トランプが国を分裂させている間に、森の中を長時間散歩し、シャルドネワインを飲み、有名人たちと派手な交際を楽しみ、過去10年から20年の党のエスタブリッシュメントたちの失敗に全く言及しない本を執筆している。人々はどちらがより好ましいかを選ぶことができる」。

 

現在でも、民主党内部でヒラリーを支持する人たちがいる。

 

ジョン・ラーソン連邦下院議員(コネチカット州選出、民主党)は次のように述べている。「ヒラリーは女性指導者としての能力を備えている。彼女はアーカンソー州知事夫人、大統領夫人、連邦上院議員、国務長官を務めたのだ。現在の民主党の女性政治家でヒラリーほど長くこのような地位を保った人を見つけることは難しい」。

 

本誌が取材した民主党員の多くはヒラリーを批判したくないと述べた。彼女の敗北に同情し、彼女はその敗北を何とか受け止めようとしているのだと考えている。

 

民主党のストラティジストであるスティーヴ・マクマホンは「ヒラリーの敗北は心痛に耐えず、彼女の被った敗北の痛みは想像を絶する。ヒラリーの最新刊はそれらを解消するカタルシスなのだ」と語っている。

 

民主党の中には、ヒラリーの繰り返しの愚痴に飽き飽きしていながらも、ヒラリーの発言内容に同意している人たちも多くいる。

 

ビル・パスクレル連邦下院議員(ニュージャージー州選出、民主党)は次のように語った。「予備選挙がスタートする時点で、私はバーニー・サンダースには何でもやる権利を持ってはいるが、彼の選挙運動によって民主党はまとまるどころか分裂することになると言っていました。私の予測は当たったと思います。ヒラリーがバーニーについて語ったことはその内容は間違っていなかったと思いますが、すべてはもう終わってしまったことです」。

 

SNS上で「バーニーびいきの野郎」たちの怒りを直接経験した人々は、彼らの批判には性差別的な要素があったと主張している、そして、そうした攻撃をバーニー・サンダース自身が止めなかったとも述べている。

 

サンダースは民主党の予備選挙の結果がほぼ予想され、敗北がほぼ確定的になっても選挙戦を続け、ヒラリーを攻撃し続けた。これがヒラリーに更なるダメージとなった。この是非については2016年の選挙戦の反省として議論になるだろう。

 

しかし、民主党の人々の多くは、ヒラリーがすでに終わった選挙に関する怒りをぶちまけるよりも党のために意味のあることをやってほしいと強く願っている。

 

民主党テキサス州委員会委員長ギルバート・ヒノホサは次のように語っている。「ヒラリーは素晴らしい人で、外交政策、経済問題、統治について素晴らしい考えを持っています。人々が彼女に望むもの、党が必要としているものは、彼女の指導です。彼女は未来に向けて私たちがいかに行動するかを示してくれます。ヒラリーは大統領になるために必要な有権者全員に考えを理解してもらうことはできなかったが、彼女はより多くのものを私たちに与えてくれます。彼女は過去に起きたことで後悔することはないのですよ」。

 

民主党の人々は2016年の選挙で学んだ教訓は、民主党はより強い経済に関するメッセージを出す必要があり、この経済に関するメッセージは民主党の死角で、そこをトランプにつかれて敗北した、ということであったと述べている。この目的から逸らせるような行為は生産的ではないと彼らは確信している。

 

民主党のストラティジストであるスティーヴ・シェールは次のように書いている。「選挙から一夜明けた朝、フェイスブックに、私たちは自分たちを見つめなおし反省し、未来に向けて注力しなければならないと書いた。私は今でもこれは正しいと確信している。そして、2016年について語るのを止めるのが早ければ早いほど、民主党はまとまり、2018年の中間選挙に必要な組織を構築することができる。そしてこれは2018年の中間選挙だけでなく、2020年の大統領選挙にも役に立つものだ」。シェールは2016年の大統領選挙でバイデンの出馬を画策した。

 

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サンダース:コルバートは選挙について「語り続けること」を止めるように求めるべきだ、と発言(Sanders: Colbert should ask Clinton to stop ‘arguing’ about election

 

ジョシュ・デレク筆

2017年9月8日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/349774-sanders-colbert-should-ask-clinton-to-stop-arguing-about-election

 

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は、ヒラリー・クリントンに対して、2016年の大統領選挙について語ることを止め、トランプ大統領に対抗する進歩的な運動を一本化するように求めた。サンダースはテレビ番組『ザ・レイト・ショー』に出演してこのように発言した。

 

「私たちは、彼女に前進するための助けをお願いしたい。2016年の大統領選挙について語りづけるのは止めてもらいたい。一緒になって、私たちを分裂させたいというトランプの野望に対処しようではないか。進歩的な政策を進めようではないか。彼女にそのように求めよう」。

 

サンダースは、番組の司会者スティーヴン・コルバートに対して、今月後半にコルバートの深夜番組にヒラリーが出演する際に、自分が語った内容をヒラリーに頼んでもらいたいと述べた。ヒラリーは選挙終了後、初めて深夜番組に出演する。

 

ヒラリー・クリントンは彼女の最新刊『ワット・ハップンド』の発刊から1週間後の9月19日にこのテレビ番組に出演する予定だ。番組では、2016年の大統領選挙とトランプ政権について話すことになっている。

 

ヒラリーが選挙戦の回顧録となる最新刊の中で、サンダースが民主党予備選挙中にヒラリーに対して行った批判が、選挙戦全体で「最後まで影響を与えた」と批判していることについて、サンダースは今週初めに反論した。

 

サンダースは次のように語った。「クリントン長官がアメリカ史上最も人気のない候補者に対抗して出馬し、敗れたことは理解している。彼女はこのことで怒り狂った。そのことも理解できる。しかし、私たちの責務は過去にこだわることではない。前進することだ」。

 

サンダースは続けて次のように語った。「2016年の選挙について語り続けることはいささか馬鹿げている」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


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 古村治彦です。

 

 ジョー・バイデン副大統領がヒラリー・クリントン敗北の理由として、「彼女自身がどうして選挙戦を戦っているのか分かっていなかった」ということを挙げています。大変ユニークな分析です。

 

 ヒラリーは女性で初めて大統領になるチャンスがある人物として大統領選挙に出馬する責務があると感じてはいたが、有権者に対して語りかけが足りなかった、有権者の声を聞くことが足りなかった、とバイデンは言っています。そして、人々の不満や恐怖心を聞く政党であった民主党がエリート主義になっていたと反省の弁を述べています。

 

 確かに、ヒラリーは能力が十分にあったでしょう。しかし、有権者のためではなく、自分のために選挙に出た、そして、有権者を向かないで、有権者の見ているものを見ないで選挙戦を戦ったということなのでしょう。上滑りする綺麗ごとばかりを、女性初の大統領になるという浮ついた気持ちで語ったところで、今本当に困っている人々には何のアピールにもならなかったのです。ヒラリーが勝利した州は民主党が強い州で、そこでは、誰が出ても民主党の候補者が勝利できたでしょう。しかし、それだけでは勝利はできません。トランプが勝利した州は共和党が自動的に勝つ州にプラスして、人々の不満や恐怖心が渦巻いていた州でした。

 

 政治家が選挙に通って権力を握る、ということは自己利益実現の最たるものです。しかし、それを露骨にやる、もしくは見えてしまうと、その自己利益実現はできないのです。ヒラリーは自分とだけ格闘し、周囲は見えていなかった、だから、自分というものを押し付けることで有権者は拒絶反応を示したということでしょう。

 

 トランプは「アメリカ・ファースト」というスローガンを掲げました。そして、「今苦境の中にいると不満や狂信を持っているアメリカ国民よ、このアメリカはあなた方のことだ」というメッセージを送ることに成功しました。トランプは非常に利己的で、自己中心的のように思われ、実際にそうなのでしょうが、選挙に勝つという自己利益実現に成功しました。見た目では、ヒラリーは謙虚・抑制的(トランプに比べて、ですが)、トランプは我儘・勝手なのに、人々はヒラリーに自己中心、押しつけ、独りよがり、自分たちのことを見ていないということを感じて忌避しました。

 

 こういうことは私たち自身にも置きかえて教訓として活かすことができると思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

バイデン:ヒラリー・クリントンはどうして選挙戦を戦っているのかを理解していなかった(Biden: Clinton never figured out why she was running

 

ジョーダン・ファビアン筆

2016年12月22日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/311591-biden-clinton-never-figured-out-why-she-was-running

 

バイデン副大統領は、ヒラリー・クリントンは大統領選挙で敗れたが、その理由の1つは、ヒラリーが大統領選挙に出馬している理由を彼女自身が理解していなかったことが挙げられると確信していると述べた。

 

木曜日のロサンゼルス・タイムズ紙に掲載されたインタヴューの中で、バイデンは「私は彼女が本当に理解していたとは思えない。話は変わるが、彼女の出馬の決断は困難なことだったと思う」と述べた。

 

選挙期間中にウィキリークスによって公開されたハッキングされたEメールの中で、ヒラリーの側近や協力者たちも非公式に同じような懸念を表明していたということをバイデンは自分の考えを補強する証拠として挙げた。

 

しかし、バイデンはヒラリーを選挙に負けたということだけで非難するのは公正なことではないとも述べた。バイデンは、ヒラリーは選挙運動中に崇高な目的を見つめていた、そして、オバマ大統領がアフリカ系アメリカ人に行ったように、女性の政界での活躍への道を切り開く義務を負っていると感じていた、と述べた。

 

バイデンは次のように語った。「彼女は出馬する以外に選択肢はないと考えたのだ。つまり、大統領に当選するかもしれない機会を与えられた史上初めての女性だったのであり、彼女にとってそれは責務であったと思う」。

 

バイデンのコメントにはオバマ政権の幹部としての直接的な批判が若干含まれている。

 

バイデン副大統領は選挙期間中、十数回にわたり、ヒラリーのために遊説を行った。

 

しかし、バイデンは、ドナルド・トランプは自分の出身地であるペンシルヴァニア州スクラントンのような白人の労働者たちが多く住む地域の人々を熱狂させて、選挙に勝利したがそれはずるいことだと感じた、とも述べた。

 

バイデンはその時の心境を次のように語った。「しまった、私たちは選挙に負けるかもしれない、と感じた。トランプに熱狂している人々は私が一緒に生まれ育った人々だった。もしくはその子供たちだった。彼らは人種差別主義者ではないし、性差別主義者でもない。しかし、私たちは彼らに語りかけなかった」。

 

バイデンは民主党全体が選挙で低調であったが、それは、「私たち民主党が、高卒の大部分が白人であるが、非白人もいる、そういった多くの人々に対して、“民主党は自分たちの抱えている問題を理解している”と思ってもらえるようにしなかったから」だと語った。

 

バイデンは、民主党の志向の中に、エリート主義が入り込んでいた、と述べた。

 

同時に、バイデンは、トランプは、ヒラリーよりも労働者階級の人々に問題解決の方策を提示することに成功している訳ではないとも語った。

 

バイデンは「私は、彼が労働者階級や中流階級の人々を理解しているとは思わない。少なくとも彼は彼らの痛みは認識している。しかし、彼は偏見、恐怖心を利用した。自暴自棄の気持ちを利用したのだ」と語った。

 

トランプは更に「トランプが人々を熱狂させる時に語った言葉には何も積極的で+なものはなかったと確信している」と述べた。

 

バイデン副大統領は民主党予備選挙でヒラリーに挑戦することを検討した。彼が予備選挙に出ていたら、自分はエリートではないというアピールと共に中流階級の人々に向けたメッセージを次々と発したことだろう。

 

しかし、バイデンは最終的には選挙に出ないという選択をした。バイデンは息子ボウの逝去を悼みながら、選挙戦を行うことはできないと述べた。

 

74歳になるバイデンは、これまで複数回の機会を軽視してはきたが、将来の大統領選挙出馬の可能性を排除することを拒絶した。

 

バイデンは、妻ジル・バイデン博士がノーザン・ヴァージニア・コミュニティ・カレッジで教鞭を執っている間はワシントンにたまに居住する計画だと明かした。

 

バイデンは、副大統領退任後に仕事を続けるために、ペンシルヴァニア大学内にオフィスを構える可能性についても説明している。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22








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ダニエル・シュルマン
講談社
2015-11-25



アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12



 

 古村治彦です。

 

 2015年10月21日、ジョー・バイデン副大統領が2016年の米大統領選挙への不出馬を表明しました。これで実質的には、アメリカの大統領選挙は終戦となります。民主党はヒラリー・クリントン前国務長官が、ジュリアン・カステロ・アメリカ住宅都市開発長官を副大統領候補(ランニングメイト)にして、サンダースとの戦いを「演出(やらせ)」しながら予備選を勝ち抜き、大統領候補となります。

 

 

 本選挙では、共和党側はジェブ・ブッシュ前フロリダ州知事が候補者となるでしょうが、共和党は勝つことはできないで、ヒラリーが大統領になります。

 

2017年1月に発足するヒラリー・クリントン政権は、共和党側ネオコン+民主党側人道的介入主義派の超党派連立政権となります。そして、史上稀に見る最悪の凶悪な政権となります。「タカ派的」などという言葉が生易しいほどの軍事介入を世界各地で行うでしょう。

 

バイデンは、不出馬声明をホワイトハウスのローズガーデンでオバマ大統領と奥様のジルを従えて読み上げました。実際に声明を聞くまでバイデンが大統領選挙に出ると思った記者もいたそうです。ローズガーデンで大統領であるオバマが隣に立つというのは、オバマなりのバイデンに対する最大の敬意の表し方で、かつヒラリーを積極的に支持しないという姿勢を明確にしたと言えます。

 

オバマはジョージ・HW・ブッシュ(父)元大統領の現実主義外交政策を目標にしていましたから、ネオコンや人道的介入主義派とは相いれない訳です。ジェブが父親を目指すということになると、オバマは党派を超えてジェブの方に近いことになります。ヒラリーの方が立場としてはずっと遠いということになります。

 

 今回ご紹介する記事には引用されていませんが、私はバイデンの声明の中で、次の一節が最も重要な内容だと思います。

 

(引用はじめ)

 

「私はオバマ大統領がこの国を危機から救い、回復基調に乗せた。そして現在は再び成長させている。彼はリーダーシップを発揮し、指揮を執ってきた。わたしはこのように確信している。私はその一部として役割を果たしてきたことを誇りに思っている。民主党、そして我が国が、オバマ大統領の残した路線から外れたり、それを押しとどめようとしたりすれば、悲劇的な過ちを犯すことになるだろう(I believe that President Obama has led this nation from crisis to recovery, and we're now on the cusp of resurgence. I'm proud to have played a part in that. This party, our nation, will be making a tragic mistake if we walk away or attempt to undo the Obama legacy)」

 

(引用終わり)

 

 ホワイトハウスのローズガーデンでオバマ大統領を傍らにして出たこの発言こそは、バイデンが最も言いたかったことであり、政治キャリアを終わらせるにあたっての「遺言」です。ヒラリーの「人道的介入主義(humanitarian interventionism)」「タカ派(hawkish)」路線の外交政策でアメリカは致命的な間違いを犯すことになる、とバイデンは警告を与えているのです。バイデンは声明読み上げの中で「私は今回の大統領選挙に出馬しないが、私はこれからも発言を続けていく(While I will not be a candidate, I will not be silent)」とも述べていますが、ヒラリーにしてみれば「カエルの面に小便」でしょう。

 

 これでアメリカ大統領選挙の大勢も決まりました。そして、世界の進む方向性も決まりました。後は中国・ロシア・イラン・ヨーロッパ(イギリスを含む)の国々がどれだけ、ヒラリーの暴走に対抗できるかということになります。2017年以降、中東とアジアはきな臭くなるでしょう。

 

==========

 

バイデンは米大統領選挙不出馬を表明(Biden says no to White House run

 

ジョーダン・ファビアン筆

2015年10月21日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/257595-biden-to-make-announcement-from-white-house

 

 ジョー・バイデン副大統領は水曜日、2016年の米大統領選挙に出馬しない事を発表した。彼は民主党の予備選挙に出馬し、民主党の最有力候補ヒラリー・クリントンと争うとみられていた。そして、40年にわたる政治生活を終えることを示唆した。

 

 これによって、数か月にわたって続いた、バイデンは出馬するのかどうかということに関しての憶測は終止符を打つことになった。バイデンは、大統領選挙の候補者になる道筋が見えなかったと述べた。彼は、チャンスの窓は「閉じられた」とはっきりと述べた。

 

 「残念なことですが、私たちには時間が足りないと考えます。私が民主党の指名を受けるために選挙戦に勝利するための十分な時間がないのです」

 

 72歳になる副大統領は、ホワイトハウスのローズガーデンにおいて、妻ジルとオバマ大統領を従えて、声明を読み上げた。

 

 バイデンは自身の決断に至るまでの詳細については語らなかったが、ヒラリーの復活によって、バイデン出馬の待望論がしぼんでしまったというのが多くの人々の見方だ。ヒラリーは、共和党側の失言、支持率の上昇、討論会における成功によって息を吹き返した。

 

 バイデンは全米の注目を受けながら声明を読み上げた。そして、今年亡くなった息子ボウ・バイデンから「鼓舞」を受けたと述べた。今回の会見はまるでバイデンの出馬表明の場のようであった。彼はワシントンを「問題解決の糸口」にしたいと強調した。

 

 バイデンは次のように語った。「私たちは不毛な党派対立の政治を止めねばならないと強く思っています。この不毛な対立によってこの国は分裂してしまっています。私たちは不毛な争いを止めることが出来ると私は思います。寛大さに欠け、狭量になっています。これらは長すぎる期間続いてしまったのです」。

 

バイデンは14分間にわたって続いたスピーチの中でヒラリー・クリントンの名前に言及しなかった。しかし、バイデンは、ヒラリーが共和党の中に敵がいることを誇りに思うと述べたことを批判した。

 

 彼は次のように語った。「ある人々が述べているように、私は共和党に対して話をすることは利敵行為だなどとは思いません。私は、私たち民主党は共和党を敵だと見なすべきではないと考えます。彼らは私たちの反対党ではあります。彼らは私たちの敵ではありません。 国家のために私たちは一緒になって働かねばならないのです」。

 

 側近によると、バイデンは不出馬の決断を今週火曜日の夜にしたということだ。ヒラリーが民主党の大統領選挙最有力候補として勢いを増していることが決断の理由となった。

 

 バイデンはヒラリーに対抗しうる唯一の民主党内の候補になったであろう。ヒラリーはリベラル派のバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)からの追撃を受けている。アイオワ州やニューハンプシャー州のような早い段階で党員集会や予備選挙が行われる州の世論調査ではヒラリーはサンダースに追い上げられている。しかし、ヒラリーを本当に追い詰めることが出来る候補はバイデンだけであっただろう。

 

 数週間前、バイデンは大統領選挙へ出馬する可能性が最も高まった。この時、ヒラリー陣営は、ヒラリーが国務長官在任当時に個人的なEメールを使ってやり取りをしていたことを攻められて苦闘していた。

 

 バイデン出馬が信憑性を帯びてくると、ヒラリー陣営は警戒感を高めた。そして、政策を一気に左派へと転換した。そして、共和党に対する攻撃を強めた。

 

 先週火曜日に行われた民主党の討論会がターニングポイントになった。ヒラリーは討論会で成功し、本選挙での戦いの準備ができているのかという疑いを持っていたが、それを払拭することが出来た。

 

 討論会の後に発表された世論調査の結果では、ヒラリーの支持率は回復していた。バイデンとの一騎打ちを想定した世論調査では、リードを拡大している。民主党の幹部たちはバイデンが出馬する次期を失ったのではないかと考えるようになった。

 

 バイデン副大統領が機会を完全に失ってしまったのは、今週火曜日であった。この日、バイデンはオサマ・ビンラディンを殺害することになった急襲計画に反対したということを否定した。彼のコメントは以前のコメントと矛盾するものであった。彼は、オバマ政権において最も重要な決断の時に、そのようなリスクの高い計画は実行すべきではないと反対したとその当時は述べていた。

 

 大統領選挙への出馬を取り止めると発表したが、バイデンはヒラリーを支持する準備はできていないと述べた。バイデン副大統領は、民主党にとってオバマの残した路線、そしてバイデン自身が残した路線を守ることが何よりも重要だと述べた。

 

 バイデンは次のように述べた。「民主党はオバマ政権の記録を守るだけではダメです。その記録に沿ってこれからも行動すべきです」。

 

 ローズガーデンでの声明発表の後、ヒラリーはバイデンと話したと報道されている。ヒラリーは「バイデンはこれからも民主党内で大きな力を持ち続けるだろう」と述べた。

 

 ヒラリーは声明の中で次のように書いている。「私はバイデンとの歴史が終わったとは思っていない。今日彼が述べたように、これからも彼がやらねばならない仕事は残っている。私が知っているジョーは、これからも最前線に立ち、私たちのために戦い続けてくれるだろう」。

 

 民主党員や支持者たちの大部分はバイデンの決断に安堵したようだ。それは、出馬を表明しても彼が予備選挙に勝つチャンスがあるだろうかと疑念を持っていたからだ。

 

 バイデンが選挙への出馬を表明しても、その段階で彼の銀行口座には選挙資金は1ドルも入っていないということになっただろう。一方、ヒラリーは今年の春に出馬表明をして以来、選挙資金として7700万ドル(約90億円)の政治献金を集めている。

 

 バイデンはサンダースとポピュリスト的な政策や言辞を使って戦うことは難しかっただろうし、ヒラリーと自分を対比してその違いを鮮明にすることに苦労したことだろう。バイデンとヒラリーはオバマ政権の最初の4年間一緒に働いたのだ。

 

 バイデンに出馬によってオバマも厳しい立場に追い込まれていたことだろう。バイデンとヒラリーが戦うことになると、オバマの政治的同盟者であり友人でもある2人が争うことになって、そのただなかに巻き込まれてしまうことになっただろう。

 

 民主党員の中にはバイデンに大統領選挙に出馬するように強く求める人々もいた。彼らは、バイデンの率直な、飾らないスタイルが、お高くとまったヒラリーに対して、対抗馬として十分アピールになると主張した。

 

 バイデンは、ホワイトハウスでの残りの生活において「沈黙を守る」ということはないとはっきりと述べた。そして、彼が重視するのは、がんの治療法を確立するという「壮大な試み」であると述べた。息子をがんで失ってから、このことは自分にとって「大変個人的な」願いと試みになったと述べた。

 

 彼は「私は民主党の立ち位置と私たちが1つの国として必要なことについてできるだけ多くの人々に影響を与えることが出来るように自分の意見をはっきり述べたいと考えている」と語った。

 

 バイデンは彼自身の人生を振り返った。彼は上院の中でも有力な議員となったが、大統領選挙には2度出馬してそれぞれ敗退した。彼は人々が公の仕事をやらせてくれる地位に彼をつけてくれ、そうした名誉を与えてくれたことに感謝すると述べた。

 

 バイデンは「私たち家族は公的な仕事の中で生きる目的を見つけた」と繰り返した。

 

(終わり)





野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23


 

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