古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ジョー・マンチン

 古村治彦です。

 民主党のジョー・バイデン政権の主要政策である大型投票法案が先月、連邦上院で否決された。大型公共支出法案と合わせてバイデン政権の目玉政策であり、民主党としては可決成立を進めようとしてきたが、失敗に終わった。その内容を見ると、ちょっと首をかしげてしまうような内容も含まれている。大義名分は「マイノリティなど、投票に困難を感じている人々の投票を促進する」というものだが、民主党の支持基盤であるマイノリティの投票率向上を狙ったものである。例えば「写真付きではない身分証明書でも受け付けねばならない」というものがある。これだと、他人の出生証明書やソーシャル・セキュリティ・ナンバー・カードを使って投票ができることになる。

 アメリカでは住民票という制度はなく、投票をするためには、自分自身で地元の選挙管理委員会に届け出をして、有権者登録(registration)をしなければならない。その際に、各党の予備選挙に投票したい人は民主党支持か共和党支持かも登録する。州によっては、予備選挙で党員以外の人の投票を受け付けるところもある。連邦レヴェルの選挙でも実施主体は各州であり、各州の権限が強く、全国一律、統一的ということはない。そこをある程度まで統一させようというのが法案の別の大義名分でもあった。

 しかし、今回、民主党のジョー・マンチン連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出)とカースティン・シネマ連邦上院議員(アリゾナ州選出)も共和党所属50名の連邦上院議員と共に反対票を投じたために、否決された。両議員の出身州は共に共和党優勢州であり、共和党支持の有権者が多いために、地元の有権者の意向に敏感にならざるを得ないために、結果として、バイデン政権の目玉政策に反対票を投じることになる。両議員に対しては、共和党側から「こちら側に来ませんか」という秋波が送られている。

 バイデン政権と民主党は連邦下院ではかろうじて過半数を超えているが、連邦上院では50対50の同数で、同数になった際の決選投票で議長である副大統領が投票できるために、連邦上院で過半数を握っている状態だ。今年秋の中間選挙で、連邦上下両院で民主党が過半数を失うと、バイデン政権の行く先は更に不透明になる。アメリカ政治の混迷はさらに深まるということになる。

(貼り付けはじめ)

連邦上院共和党が反対票を投じた大型投票権法案の内容をご紹介する(What's in the major voting rights bill that Senate Republicans voted to block

グレイス・パネッタ筆

2022年1月21日

『ビジネス・インサイダー』誌

https://www.businessinsider.com/freedom-to-vote-act-john-lewis-voting-rights-bill-explainer-2022-1

・連邦上院民主党は、水曜日の夜、投票権法案可決に向けて最後の手段を講じたが、失敗した。

連邦上院共和党は、アメリカの選挙を再構築する広範囲な法案を否決した。

・以下は、「投票の自由:ジョン・R・ルイス投票促進法案(Freedom to Vote: John R. Lewis Act)」が可決していたら、こうなるはずだったことを紹介する。

連邦上院は水曜日、「投票の自由・ジョン・ルイス投票促進法」を否決し、連邦上院民主党の投票権法可決に向けての懸命な努力に致命的な一撃を与えた。

2022年1月13日、連邦下院は2つの法案を可決した。そして、2つの法案は一つにまとめられ、法案名は「投票の自由:ジョン・R・ルイス投票権促進法案」となった。民主党は、連邦上院での法案審議を早めるために、関係のないNASA法案を立法手段として利用した。NASA法案はすでに両院で審議されていたため、通常審議に必要な60票の代わりに、単純多数決で審議が進められた。

しかし、民主党の独創的な手続き上の回避策にもかかわらず、審議を終了するには60票が必要で、法案は予想通り共和党が一致して反対したことで阻止された。その後、連邦上院のフィリバスター規定を変更するための投票を行おうというシューマー議員の動きも、上院の共和党議員50人全員と民主党の上院議員2人の賛成で失敗に終わった。上院の共和党議員50人全員と、民主党のジョー・マンチン、カーステン・シネマの2人が反対票を投じた。

もし、この法案が成立していれば、アメリカの投票と選挙管理の風景は大きく変わっていただろう。

投票の自由法案は、全米で投票選挙法を標準化し、今年可決された何十もの新しい州レベルの投票規制の影響を覆すなど、投票へのアクセスを大幅に拡大するものだ。ジョン・ルイス投票促進法案は、最高裁で破棄されたり弱体化されたりした、1965年の投票権法の主要

■「投票の自由」法案からの規定(Provisions from The Freedom to Vote Act):

投票の自由法案(FTVA)は、2021年3月に下院を通過したH.R.1(投票権、選挙資金、連邦倫理に関する民主党が提案している大規模メッセージ法案)の後継法案としてスリム化された内容になっている。

連邦上院共和党が2021年6月にH.R.1に対する議事妨害を行った(filibustered)。その後、連邦上院民主党の一部議員たちが、民主党所属のジョー・マンチン議員、選挙管理担当の官僚たち、その他の関係者からの多くの意見を取り入れ、「投票の自由法案」の草稿を作成した。

共和党所属の連邦上院議員の50名全員が2021年10月下旬の法案採決の際、法案審議の阻止に動いた。

●法案において、投票過程で必須条件とされたもの(What the bill would require on voting access):

・選挙の投票日を連邦政府の定める休日(federal holiday)にする。

・有権者登録をオンライン、自動、投票日当日に行えるようにする。

・期日前投票の期間を最低15日間確保する、その中には少なくとも2度の週末を含む。

・アメリカ合衆国郵便公社による効率的な選挙郵便の配達に加え、投函箱への十分なアクセスとオンライン投票による投票結果の追跡が可能な郵便投票の実施。

・各州は、投票に身分証明が必要な場所において、写真がついていない多種多様な身分証明書を受け入れねばならない。

・誤った選挙区で行われた仮投票の有資格者票を得票に加えて集計すること。

・重罪で有罪判決を受けた元被収監者の投票権を復活させること。

・有権者名簿の管理に関する規制を強化する。これによって各州が有権者を名簿から削除することを困難となる。

・障害を持つ有権者や海外・軍関係の有権者に対応するための保護と資源を拡充させる。

・アメリカ領土での投票に対する連邦政府の保護と監視を強化する。

・アメリカ合衆国選挙支援委員会(U.S. Election Assistance Commission)の再承認と強化に加え、有権者登録に関する資源と広報や連絡(outreach)を向上させる。

・また、同法案には、連邦法に投票権を肯定的に規定する「投票権法(Right to Vote Act)」も含まれている。

●選挙実施機関と選挙区の再編成について(On election administration and redistricting):

・新しい選挙区を決める場合に、一定の基準を用いることを各州に義務付けることで、党派的なゲリマンダー(partisan gerrymandering)を禁止する。

・有権者が確認可能な紙の投票用紙を使用し、選挙後に監査を行うことを各州に義務付ける。

・各州にサイバーセキュリティーの補助金を与え、アメリカ合衆国選挙支援委員会に投票機器のサイバーセキュリティー基準を強化するよう指示する。

・地方の選挙管理者を理由なく解雇、解任することを禁止する。

・有権者登録への干渉を連邦犯罪とし、選挙業務にかかわる人々に対する嫌がらせ、脅迫、威嚇に対する罰則を強化する。

・投票用紙と選挙資料の透明性を保護するための証拠保全要件(chain of custody requirements)、非公式な党派的 「監査」に対抗するための規定を再定義する。

●選挙資金について(On campaign finance):

・この法案には、選挙におけるいわゆるダークマネーを対象とした「情報公開法(DISCLOSE Act)」と、選挙広告の透明性を高めることを目的とした「誠実な広告法(HONEST Ads Act)」が含まれている。

・連邦下院議員選挙に公的資金制度を創設し、候補者が選挙資金について、育児を含む「個人使用(personal use)」サービスに使用することを認める。

・外国の干渉を受けた事例を報告する選挙運動に対する連邦政府の義務を創設する。

・ある候補の政治活動委員会と選挙運動との間の違法な協調をより厳格に取り締まる。

・連邦選挙管理委員会による選挙資金規制の執行を強化する。

■ジョン・ルイス投票促進法からの規定(Provisions from the John Lewis Voting Rights Advancement Act):

ジョン・ルイス投票促進法は、特に連邦最高裁判所と各級連邦裁判所を狙い、1965年の画期的な投票権法の主要部分を無力化したり、弱めたりした判決を取り消すことを目的としている。

最も重要なのは、差別の歴史を持つ各州が、新しい投票規則や選挙区割り計画を制定する前に、連邦政府の許可を得ることを義務付ける連邦事前審査要件(federal preclearance requirement)を復活させるための新しい方式を作ることである。2013年の画期的なシェルビー対ホルダー裁判における連邦最高裁判決で、これまでの適用方式を取り消した。

また、ジョン・ルイス投票促進法第2条に基づく人種に基づく有権者差別に対する保護を大幅に弱めたブロノヴィッチ対民主党全国委員会裁判の最高裁判決(2021年)を取り消すものとなった。

連邦下院の法案は2021年8月末に可決された。連邦上院に提出された法案は比較的小さな違いがあるが、2021年11月に連邦上院の共和党員1人を除く49名が議事妨害を行った。

・ブロノヴィッチ判決による最高裁の新たな「道標」と基準を覆し、投票権法第2条に基づく人種差別の立証を困難にしている。

・投票権のパラメーターの下で、マイノリティーの選挙区を設定する努力を強化するために、司法判例と立法プロセスを盛り込む。

・投票権法の下で、少数派の選挙区を設定する取り組みを強化するため、司法判例と立法経緯を明記する。

・連邦最高裁がシェルビー裁判で取り消した連邦事前承認制度(federal preclearance regime)を復活させる。今回の法案は、最近投票権侵害の経歴のある州に要求する新しい適用方式を創設するものである。

・連邦裁判所を狙い、シャドー・ドケット(闇の台帳、shadow docket)と呼ばれる、緊急判決で、裁判官に理由の説明を義務付け、パーセル原則(Purcell principle)と呼ばれる選挙規則に関する緊急事件の判断において、裁判官が選挙の近さだけに頼ることを制限しようとするものだ。

・連邦上院版の法案には、選挙実施者を嫌がらせや脅迫から守るための連邦政府の保護を強化する「選挙実施者・投票所保護法」も含まれている。

・連邦上院版の法案は更に、「ネイティヴ・アメリカン投票権法」に修正を加えている。この法律は、ネイティヴ・アメリカン共同体における有権者保護を強化する法律である。

■選挙集計法とは何か?(What about the Electoral Count Act?

この2つの法案が予想通りに可決されないとなると、本格的な選挙改革の最良のチャンスは、1887年に制定された選挙集計法(Electoral Count ActECA)の更新ということになるだろう。この法律は、連邦議会選挙の投票の数え方を規定し、議会が論争している選挙の問題を解決するための道筋を提供しようとするものである。

2021年1月6日の暴動事件発生から1年経過し、ドナルド・トランプ前大統領とその協力者たちがその曖昧さを利用してマイク・ペンス前副大統領に圧力をかけ、トランプの選挙人団獲得における敗北を覆そうとしたことから、政治な立場の違いを超えた専門家たちは、議会に19世紀に成立した法律を近代化するよう求めてきた。

特に専門家たちからは、副大統領の役割はあくまで儀礼的なものであることを明確にすること、異議申し立ての基準を明確にすること(特に各州が無投票で選挙人名簿を提出した場合)、異議申し立てに必要な議員数のハードルを上げることなどを連邦議会に対して求めている。

連邦上下両院の議員による改革への取り組み現在、4つの別々の試みが進められている。連邦上院では、アンガス・キング連邦上院議員を中心とする民主党のグループが法案提出を予定しており、超党派の穏健派上院議員たちもこの問題について可能性を検討している。

超党派の議員グループのメンバーであるユタ州選出のミット・ロムニー連邦上院銀は火曜日、記者団の取材に対して次のように答えた。「まだ改革プロセスの初期段階だ。私たちは、選挙に関連する他の条項と同様に、この法律に加えたい修正点として、変更点のリストを取り交わした」。

連邦下院では、2021年1月6日暴動に関する特別委員会と連邦下院行政委員会の民主党側委員が、それぞれ独自の分析と法改正の提言を発表する予定である。

しかし、連邦議会民主党指導部やホワイトハウスは、選挙集計法改革だけでは不十分であり、より重要な選挙権法の成立に取って代わるものではないとしている。

連邦議会で様々な提案がなされていること、民主党指導部が選挙集計法法案に対する単独での支持を今のところ表明していないこと、明確な期限がないことも、選挙集計法改革の可能性を阻む要因になっている。

ロムニーは「選挙集計法が適用される選挙がこれから3年間実施されないこともあり、すぐにでもやらなければならないという緊急性はないと私は考える」と述べた。

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●「米 投票権めぐる法案 成立見通し立たず バイデン政権に打撃か」

2022120 1526分  NHK

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220120/k10013440551000.html

アメリカで投票の権利をめぐり議論が続く中、議会上院で、与党・民主党が主導する、投票権を守るためとする法案が、野党・共和党などの反対で、成立の見通しが立たなくなり、実現を強く訴えてきたバイデン政権にとって打撃となりそうです。

アメリカの議会上院で19日、与党・民主党が主導する、郵便投票の拡大など投票の権利を守るためだとする法案の審議が行われ、この結果、野党・共和党などの反対で、成立の見通しが立たなくなりました。

アメリカでは、トランプ前大統領などが先の大統領選挙で大規模な不正が行われたとする根拠のない主張を続けていることを背景に、去年、19の州で選挙法が改正され、期日前投票で有権者の本人確認を厳格化することなどが決まりました。

野党・共和党が主導するこうした法改正は、本人確認の厳格化によって、運転免許証などを持つ割合が少なく、民主党の支持基盤でもある、黒人などのマイノリティーを選挙から排除することがねらいだという反発も出ていて、民主党側はこれに対抗する法案の成立を目指していました。

法案が成立しなかったことを受けて、バイデン大統領は声明で「議会上院が民主主義を守ろうとしなかったことにひどく失望している」として不快感を示しましたが、民主主義を守るためだとして実現を強く訴えてきただけに、バイデン政権にとって打撃となりそうです。

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●「米投票権法案が頓挫、バイデン政権に打撃 民主党内もまとまらず」

ワシントン=大島隆 2022120 1427分 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASQ1N4FZMQ1NUHBI00J.html

 米国で広がる投票制限の州法制定の動きに対して、全国規模で投票する権利を守る連邦法制定の動きが頓挫した。法案を推進する民主党は19日、議事妨害のルールを変更することで採決に持ち込もうとしたが、共和党だけでなく民主党議員からも反対が出て変更案が否決された。法案は成立の見通しが立たなくなり、推進してきたバイデン政権にとっては大きな打撃となる。

 米国では共和党の州議会議員や知事が主導して、不正防止を理由に投票手続きを厳格化する州法の制定が進んでいる。一方、民主党や投票権問題に取り組む市民団体は「マイノリティーらの投票制限につながる」と反対。郵便投票の拡大や投票日の休日化などで投票を容易にする、全国で適用される新たな投票権法の制定をめざしていた。バイデン大統領も11日、ジョージア州アトランタで演説し、「投票権法案は、民主主義か専制かを選ぶ、この国の転換点となる」と法案への支持を訴えていた。

 法案は下院で可決され、上院での採決が焦点となっていた。上院では民主党と共和党が共に50議席で同数だが、フィリバスターと呼ばれる議事妨害のルールがあり、審議を打ち切って採決に入るためには60人の賛成が必要となる。

 このため民主党上院は19日、投票権法案に限ってフィリバスターをなくし、過半数で可決できるようにする異例のルール変更を提案。しかし、民主党の上院議員2人が「ルール変更ではなく超党派の合意をめざすべきだ」と反対に回ったため変更案は否決され、投票権法案は成立の見通しが立たなくなった。(ワシントン=大島隆)

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●「投票権制限効果を持つ州法が相次いで成立(米国)-2022年中間選挙に向け、民主党に逆風」

2022126日 JETRO

https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2022/afa1db0106200e32.html

2020年の米国大統領選挙では、新型コロナウイルス禍を受け、郵便投票が奨励され、ドライブスルー形式の投票なども導入された。これらは結果的に、マイノリティーの投票権を守ることにつながった。同時に、民主党のジョー・バイデン氏の勝利を後押ししたとみられる。

こうした大統領選挙後、共和党の勢力が強い州を中心に、投票権を制限する効果を持つ法案が可決された。この動きに、民主党は反発を強めている。とはいえ、対抗策を打ち出すのが難しい状況だ。202211月の中間選挙に向けて、民主党への逆風が強まる状況にある。

■多州で講じられた投票権制限とは

ニューヨーク大学法学部ブレナン司法センターは202112月、「各州における投票権制限の動き外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を取りまとめた。この報告によると、20211月から127日までに、19州で33の投票制限法が制定されたという。中でも、共和党の勢力が強い州でそうした動きが活発だ(表参照)。 各州で多く採用された投票制限としては、郵便投票の受付窓口の制限や、投票者の身分証明要件の厳格化、有権者名簿からの除外などがある。

例えば、ジョージア州で成立した法律には、投票の列に並んで待っている有権者に水を提供することを禁止する条項が盛り込まれた。テキサス州では、選挙監視員の行動に制限が課されることになる。結果的に、障害者支援や言語的支援が難しくなる。また、24時間利用可能な投票所の設置やドライブスルー投票も禁止される。

ペンシルベニア州でも、投票権を広範に制限する法案が州議会で一度は可決された。しかし、州知事が拒否権を発動。現在、30の法案審議が2022年に持ち越されている。なおそれら法案の中には、州知事の審査なしに州議会が制限的な投票法を成立できるようにする憲法改正案が含まれているという。

このような立法が目立つようになった背景には、司法判断がある。連邦最高裁判所は20217月、アリゾナ州の投票制限強化について合法とする判決を下していた。これが各州の投票規制導入の追い風になったとみられる。

表:各州の投票権制限の動き

州名       制限項目

アラスカ              AK

アーカンソー      ABFI

アリゾナ              CHJ

フロリダ              CEFGILM

ジョージア          ADGILP

アイオワ              ABDFGJKMNP

アイダホ              H

インディアナ      G

カンザス              DFHM

ケンタッキー      AFJ

ルイジアナ          J

モンタナ              FIMN

ニューハンプシャー          IJM

ネバダ   O

ニューヨーク      A

オクラホマ          A

テキサス              DFHIJKMNP

ユタ       J

ワイオミング      I

注:制限項目の内容。

A:郵便投票の受付窓口を制限

B:郵便投票の受付期間を短縮

C:永久不在者投票リストへの掲載制限

D:特に要求のない有権者への郵便投票申請書の送付を廃止または制限

E:特に要求のない有権者への郵便投票用紙の送付を廃止または制限

F:有権者の郵便投票用紙を返送する際の支援制限

G:郵便投票箱の数、場所などを制限

H:郵便投票に厳しい署名要件を課す

I:より厳しい投票者の身分証明要件を課す

J:有権者名簿から除外

K:障害のある有権者への障壁を増やす

L:投票の列に並ぶ有権者に軽食、水提供を禁止

M:有権者登録をより困難に

N:投票所の数、開所時間を制限

O:選挙区ごとの有権者数を増やす

P:期日前投票の日数と時間を制限

出所:ブレナン司法センター

■民主党は猛反発

ジョージア州議会が20213月に投票制限法を可決した際、バイデン大統領は「残虐行為」という強い表現で非難した。テキサス州で成立した投票制限法に対して、司法省は202111月、「有権者の権利を奪う」としてテキサス州を提訴した。

各州で投票制限の動きが続く中、民主党は危機感を強め、連邦レベルでの投票権強化に動く。バイデン大統領は202216日(注1)の演説でも、この問題に言及。主に共和党が州知事や州議会を押さえている州で投票方法を従来より制限する立法の動きについて、牽制した(202217日付ビジネス短信参照)。また、カマラ・ハリス副大統領も117日(注2)の演説で、各州の投票権制限法により5,500万人の米国人の投票権が影響を受けると懸念を表明した(2022118日付ビジネス短信参照)。さらに、ジョージア州アトランタを訪問したバイデン大統領は、2022111日の演説で、上院の議事進行妨害(フィリバスター)規定を改めてでも、投票権法案を成立させることを求めた。

法案は、113日に下院で可決された。しかし、上院での審議は難航。議事規定の改定には、民主党からも反対の声が上がった〔キルステン・シネマ上院議員(アリゾナ州)とジョー・マンチン上院議員(ウェスト・バージニア州)が当該改定に反対〕。法案は結局、19日の上院採決で否決された。この結果に対しバイデン大統領は、非常に落胆したとしながらも、「同志と共に必要な法案を前に進めていく」との声明を発表した(2022121日付ビジネス短信参照)。

選挙権擁護の活動家で、ジョージア州知事選挙に民主党から立候補しているステーシー・エイブラムス氏は投票制限の動きについて、「私たちが今直面しているのは、民主主義の破壊だ。非常に現実的で深刻なケースと言える」と訴えた。さらに「党派に関係なく、われわれの民主主義を保護する上院が必要」と語った。

■米国民の分断から政情不安につながる懸念も

ブルッキングス研究所シニアフェローのエレイン・カマーク氏は、投票権制限が選挙結果を左右すると指摘する。とくに2020年大統領選挙の結果が僅差だったアリゾナ、フロリダ、ジョージアの各州(注3)では、上下両院選挙にあたって誰が投票するかが重要になるからだ。

米国の調査会社ユーラシア・グループは、「2022年の世界10大リスク」(注4)の第3位に、米国の中間選挙を挙げた。あわせて、中間選挙で共和党の得票が予想を下回る結果だった場合でも、同党が選挙手続きや投票の不正を主張するだろうと分析(202217日付ビジネス短信参照)。米国内の分断が悪化すると懸念した。

コネチカット州のキニピアク大学が20221月に実施した世論調査では、「米国の民主主義が崩壊の危機にあると思う」との回答が6割近く(58%)に上る。また、「国内の政情不安の方が、敵対する国(adversaries of US)より大きな危険」と捉える回答者は、4分の3を超える(76%)。さらに、過半の53%が「国内の政治対立が悪化する」と回答した(2022113日付ビジネス短信参照)。ちなみに、「民主党と共和党のどちらが投票権を守ってくれると思うか」という問いには、民主党が45%、共和党43%だった(2022117日付ビジネス短信参照)。

このように、中間選挙に向け、大多数の米国民が政情不安を予想する状況だ。国内だけでなく米国外への影響も懸念される。今後も、投票制度をめぐる状況を注視する必要がある。

116日は、連邦議会議事堂襲撃事件から1年を経た時期。

2 117日は、キング牧師記念日。

32020年の大統領選挙で、バイデン氏とトランプ氏の得票率は、バイデン氏がジョージア州で0.24ポイント(11,779票)、アリゾナ州で0.31ポイント(1467票)上回った。フロリダ州では、トランプ氏が3.0ポイント(371,686票)上回った。

4:ユーラシア・グループは、20221月に「2022年の世界10大リスク」を発表した。

執筆者紹介

海外調査部米州課 課長代理

松岡 智恵子(まつおか ちえこ)

展示事業部、海外調査部欧州課などを経て、生活文化関連産業部でファッション関連事業、ものづくり産業課で機械輸出支援事業を担当。20184月から現職。米国の移民政策に関する調査・情報提供を行っている。

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●「米上院民主党トップ、フィリバスターめぐる規則変更視野 共和党が阻止する投票権案で」

202214日(火)1047分 Newsweek日本版

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/01/post-97771.php

米上院民主党トップのシューマー院内総務は3日、共和党により進展が阻止されている投票権関連法案について、可決しやすくするため、フィリバスター(議事妨害)に関する規則変更の是非を今月中に採決する考えを表明した。

米国では昨年、共和党が優勢の州で投票権を制限する法案が相次ぎ可決された。背景には2020年の大統領選で敗北した共和党のトランプ前大統領が不正行為のまん延を主張して選挙結果を認めなかったことがある。

シューマー氏は上院民主党の議員らに宛てた書簡で、昨年16日にトランプ氏の支持者などが選挙結果の確定を阻止しようとして議会議事堂を襲撃した事件に触れ「この乱暴な暴動と同様に、全米各地で共和党の州当局者らは、投票者の不正に関するトランプ氏の大うそを根拠に反民主主義的法案を可決した」と批判。この流れを止めるために「強い行動」を起こす必要があると訴えた。

投票権法案の審議を進めるには、定員100議席の上院でフィリバスターを阻止する60票を確保する必要があるが、民主党は昨年、共和党側の抵抗で4回にわたり審議入りを阻まれた。上院では両党の勢力が拮抗している。

シューマー氏は、規則変更に関する採決を今月17日の祝日までに行うと述べた。規則変更は単純過半数で承認できるが、民主党の2人の中道派議員は繰り返し規則変更に反対を表明している。

2人のうちシネマ議員は3日の声明で、投票権とともに、フィリバスターを認め、60票の賛成を必要とする規則も支持していると表明。その上で、上院規則を議論することには前向きだとした。

もう1人はマンチン議員で、コメントを求めたところ回答はなかった。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 新型コロナウイルス感染拡大によって世界各国、特に発展途上国で厳しい状況になっているようだ。以下に紹介する記事は世界銀行が発表した報告書を基にしているが、それによると、世界規模で、経済格差が広がっているということだ。それまでいくつかの点で改善が見られていたのに、それが逆行しているということだ。

 経済格差が拡大し、生活が苦しい、もしくは生活ができないという人の割合が高まっていけば、社会は不安定になる。社会の規範、ルールや法律を守ろうという意識がなくなっていく。それは社会学的に言えば、「急性アノミー(acute anomie)」となる。そうした社会になるコストを考えれば、政府による再分配や支援によって社会の安定を維持するコストの方が安くつくと思われる。

 アメリカでは高インフレーションが続き、生活に困窮する世帯も多く出ている。多くの場合、そうした世帯は貧困層に含まれており、低賃金の仕事に甘んじなければならない。また、雇用形態も不安定だ。そうした中で、インフレーション率を超えるほどの賃上げもないとなると、生活は苦しくなる。家賃やガソリン価格の高騰というのは生活に直接かつ深刻な悪影響を与える。民主党のバイデン政権にとっては、自分たちの支持基盤であるこうした人々の生活を何とかしなければ今年の中間選挙では敗北を喫するということになる。

 そのために、大型支出法案を連邦下院(民主党が僅差ではあるが過半数)で可決させたが、連邦上院(民主共和で50対50、ハリス副大統領の投票でかろうじて民主党が過半数)では、ジョー・マンチンの反対表明によって前途が厳しくなっている。民主党内の進歩主義派と中道派の争いも激しい。この法案が可決成立しなければ大型支出ができないということになる。そうなれば中間選挙で敗北は必至となり、連邦上下両院で共和党が過半数を握るということになる。そうなれば、政権運営は厳しさを増す。そうなれば、2024年の大統領選挙で、バイデンの再選は難しくなり(元々年齢もあって難しいところもある)、それどころか民主党が敗北して、ホワイトハウスを共和党に渡すということになる。

 2022年前半は世界全体で正念場ということになりそうだ。

(貼り付けはじめ)

報告:新型コロナウイルス感染拡大が世界規模の貧富の差の改善が逆行(Pandemic reversing gains in wealth gap globally: report

レクシ・ロナス筆

2022年1月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/589334-pandemic-reversing-gains-in-wealth-gap-globally-report

世界銀行が火曜日に発表した報告書によると、コロナウイルスの感染拡大により、世界規模の貧富の差についての改善が逆行しているということだ。

世界銀行は世界規模での収入格差は新型コロナウイルス感染拡大期間中に増大し、過去20年間で達成したいくつかの進歩を逆行させていることを発見した。

報告書によると、極度の貧困率(extreme poverty rates)が上昇し、低所得者層に偏って、重大な影響を及ぼしているということだ。

この貧富の差の拡大は、新型コロナウイルス感染拡大によって低技能労働者や低所得者の雇用と収入が失われたことに起因している。多くの雇用は、政府が義務付けた操業停止により、中小企業が休業や営業時間の短縮を余儀なくされたために失われた。

世界銀行は、過去数十年間に見られた他の感染症に比べれば、各国内の格差の拡大は小さいと述べている。この格差の影響は、より長期に及ぶ可能性がある。

新型コロナウイルスは、特に低所得世帯において、子どもたちが遠隔学習に適応しなければならないため、教育に混乱をもたらし、所得と教育の関連性から、何世代にもわたって後退する可能性があると報告されている。

世界的に見て、先進諸国の方が発展途上諸国より早く回復することになるだろうと報告書は述べている。

世界銀行グループ会長デイヴィッド・マルパスは次のように述べている。「"世界経済は新型コロナウイルス感染拡大、インフレーション、政策の不確実性に同時に直面しており、政府支出や金融政策は未知の領域に入っている。格差の拡大や安全保障上の課題は、特に発展途上国にとって有害だ。より多くの国々を好ましい成長軌道に乗せるためには、協調的な国際行動と各国の包括的な政策対応が必要である」。

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インフレーションが1982年以降で最高水準に(Inflation rises to highest level since 1982

アリス・フォーリー筆

2022年1月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/589333-inflation-rises-to-highest-level-since-1982

1年の終わりとなる12月に消費者物価は7%も上昇した。水曜日にアメリカ労働省は子の上昇は1982年以来最高水準を記録したと発表した。

アメリカ労働省が発表する消費者物価指数(consumer price indexCPI)は消費財とサーヴィスのインフレーション率を測定するものであるが、12月の1カ月間だけで0.5%の上昇となった。

複数の政府高官は、家賃、中古車、トラックの価格上昇を 「季節調整済み全品目上昇の最大の要因 」と位置づけた。食品価格の上昇もまた、インフレーションの重要な原因として今回の最新報告書に記されたが、先月の0.5%の上昇率はここ数ヶ月に比べれば小さいものとなった。

家具・業務用品、アパレル、新車、医療の価格も12月に上昇したが、自動車保険と娯楽に関する価格は前月と同様に低下した。

エネルギー価格は、上昇が続いた後、12月に0.4%下落した。ガソリンと天然ガスの価格も低下した。

しかし、食料とエネルギーを除いた全品目の物価は先月0.6%上昇した。11月は0.5%上昇していた。労働省によると、12月はでこれらの物価が0.5%上昇したが、この9カ月間で少なくとも0.5%上昇したのは6回目であった。

バイデン政権は、物価上昇に直面する中、新型コロナウイルス感染拡大からの回復が進む中で、経済の力強い前進を誇示しようとしてきたが、今回のインフレレポートは、バイデン大統領が直面する課題のリストに問題が追加されることになった。

水曜日に発表した報告書は、年間インフレーション率が30年ぶりの高水準に達したことを示した11月の報告以来のものである。

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バイデンが、政権は物価上昇率の上昇を緩やかにするために「いくつか進歩を達成」していると発言(Biden says administration 'making progress' slowing rate of price increases

モーガン・チャルファント筆

2022年1月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/589385-biden-says-administration-making-progress-slowing-rate-of-price-increases?utm_source=thehill&utm_medium=widgets&utm_campaign=es_recommended_content

ジョー・バイデン大統領は水曜日、インフレーションに関する最新のデータから、バイデン政権が「物価上昇率の鈍化において前進している」と発言したが、アメリカの各世帯のコストを下げるために更なる取り組みが必要であることを認めた。

バイデンは水曜日に発表した声明の中で次のように述べている。「「本日の報告書は、ガソリン価格と食品価格の下落により、主要なインフレーション率が先月より大幅に低下したことを示しており、物価上昇率の鈍化に向けた前進を実証している。同時に、この報告書は、物価上昇率が依然として高く、家計を圧迫していることから、我々がまだやるべきことがあることを強調している」。

労働省が発表した新しいデータによると、2021年12月の消費者物価は前年同月比で7%上昇し、1982年以来最も急速な上昇率を記録したとのことだ。最も物価が上昇したのは、家賃、中古車、トラックのカテゴリーであることが報告されている。

しかし、今回の報告書によると、12月のインフレーション率は11月より0.5%上昇し、前2カ月より低い数値となった。ホワイトハウスはこの統計を、物価上昇率が緩和され始めている兆候と強調している。

データによると、食料品の価格上昇率は前月より小さく、ガソリンと天然ガスのコストは低下しました。

この新しいデータは、予想されたことではあるが、バイデンにとっては難題ということになる。バイデン大統領は、コロナウイルスの感染拡大が続く中でも、雇用の増加は力強い経済回復の証拠であると賞賛しているが、物価の高騰に対するアメリカ人の懸念を和らげるのには苦労している。一方、共和党は、インフレーションを次の中間選挙の主要な争点にしようとしている。

バイデンは水曜日に発表した声明の中で次のように述べている。「インフレーションは、世界規模の景気低迷から脱却した先進国のほぼ全てで発生している問題である。アメリカは幸運にも、アメリカン・レスキュー・プランのおかげで、最も急速に経済が成長している国の一つであり、このことが物価上昇に対処し、強力で持続可能な経済成長を維持することを可能にしている。これが私の目標であり、日々その達成に向けて努力している」。

バイデン政権は、コストを抑えるために、港湾やトラックにおけるサプライチェインのボトルネックを緩和する措置をとっている。

水曜日の朝、CNNに出演したホワイトハウス経済諮問委員会のメンバー、ジャレッド・バーンスタイン氏は、政権の取り組みが成果を上げている証拠として、港で待機中のコンテナの減少と輸送コストの減少を挙げた。

2021年11月、バイデンはエネルギー関連コストの高水準と戦うために、5000万バレルの石油をアメリカ戦略的石油備蓄(Strategic Petroleum Reserve)から放出するという方策も実施した。

複数のホワイトハウス高官たちは、バイデンが主導している気候・社会政策法案、ビルド・バック・ベター法案の可決によって、アメリカの各世帯の医療費、育児費、その他のコストを下げることに貢献するとして、法案可決を促している。

しかし、ビルド・バック・ベター法案は現在連邦上院でとどまっている状態であり、立法化にむけての前途は明確になっていない。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 民主党側からは激しい非難がマンチンに対して向けられている。「裏切り者」「嘘つき」という激しい非難がなされている。現在、連邦上院は民主、共和両党で50議席ずつ分け合っている状態で、副大統領の議長決裁(tie-breaking vote)で何とか民主党が過半数を握っている状態だ。そのため、法案を可決させるためには民主党所属議員全員の賛成が必要ということになる。マンチンが気候変動と社会支出法案に反対を表明したことで、そのバランスが崩れてしまった。共和党が全員反対でマンチンが反対に回れば反対51、賛成49となる。
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マンチン(左)とシューマー院内総務(民主党)

 共和党にとっては今年の中間選挙で民主党に打撃を与え、連邦上下両院で過半数を奪還するチャンスと見ている。そして、ジョー・バイデン大統領に打撃を与え、2024年の大統領選挙でホワイトハウスを奪還する布石としたいとも考えている(共和党の候補者となる人物はまだ定かではないが)。

 民主党指導部はマンチンに圧力をかけるために、敢えてビルド・バック・ベター法案の採決を行おうと考えている。しかも修正法案も含めて複数回にわたって採決投票を行おうとしている。民主党指導部は注目法案の採決投票を複数回行い、マンチンが反対票を投じ続けることを想定している。それによって地元の有権者に対して、マンチンが反対し続けたということをアピールして、次の選挙で民主党支持の有権者たちや組織団体からの支持を得られなくするという狙いがある。「裏切り者には落選という制裁を」ということになる。

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マンチン(左)とマコーネル院内総務(共和党)
 共和党側は以前からマンチンに共和党への入党を勧誘してきたようだ。2000年以降のウエストヴァージニア州の大統領選挙と連邦上下両院議員選挙の結果を見ると、マンチンを除いてほぼ共和党が勝利を収めている。ウエストヴァージニア州はレッドステイト(共和党優勢州)となっている。マンチンが共和党に入党すれば、現職の連邦上下両院の議員は全員共和党所属ということになる。更に、2020年の選挙で失った連邦上院での過半数を労せずして奪還できるということになる。しかし、マンチンは、「こちらに来ませんか」という共和党からの誘いを断っている。

 更に言えば、民主党内の亀裂は深刻で、進歩主義派は「マンチンは酷い裏切り者だが、マンチンが裏切るということはあらかじめ分かっていたことで、それに対して何の備えもしてこなかった連邦議会民主党指導部にこそ問題がある」と主張している。進歩主義派は約2兆ドル規模の大型支出法案でも「規模が十分ではない」としながらも、連邦下院で賛成に回ったという経緯がある。元々は6兆ドル規模の支出を想定していたのだから、それが3分の1にまで削られたことは大いに不満だが、可決成立しないよりはましということで賛成に回ったのに、連邦上院で通らないとなれば、批判の矛先はどうしても民主党指導部に向く。進歩主義派からすれば、2020年の選挙で副大統領の議長決裁付ではあるが、民主党が連邦上院で過半数を握ることに成功したのに、民主党指導部は無能だということになる。

 民主党内部の亀裂とまとまりのなさが今回の事態で明らかになった。これが今年前半も続けば、中間選挙の結果は厳しいものとならざるを得ない。

(貼り付けはじめ)

民主党はマンチンに対して厳しい態度で臨むことになる(Democrats set to play hardball with Manchin

アレクサンダー・ボルトン筆

2021年12月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/senate/586686-democrats-set-to-play-hardball-with-manchin

連邦上院民主党は、ジョー・マンチン連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出、民主党)に対して、民主党が主導する気候変動と社会的支出法案を支持するように圧力をかけるためにより厳しい態度で臨む意図を持っていることを示唆している。ここ数カ月、連邦上院民主党はマンチン議員からの支持を得るために慎重なアプローチで臨んできた。

民主党はマンチンとウエストヴァージニア州の低所得の有権者たちとの間にくさびを打ち込むことになると脅している。「ビルド・バック・ベター」法案が可決されれば、子供税額控除の強化、メディケアと交渉した処方薬価格の引き下げ、育児費用の補助など、何十億ドルもの連邦給付を受けられると有権者たちにアピールすることでマンチンから引き離そうとしている。

連邦上院多数党(民主党)院内総務チャールズ・シューマー連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は月曜日、マンチンはこれらの人気の高いプログラムへの反対を、連邦議事堂の議場で投票することで繰り返し守らねばならないと述べた。また、週末に「フォックスニュース・サンディ」に出演し、国の政策に影響を発揮しようとしている同僚マンチンを間接的に非難した。

民主党のスタッフたちは、マンチンはシューマーや他の民主党所属の連邦議員たちからより厳しい取り扱いを受けることになるだろうと予測していると述べている。民主党所属の連邦議員たちは、今年初めに公約として提示した「大規模なかつ大胆な」政策を実現することに失敗しつつあり、そのために、有権者たちから新たなプレッシャーを受けている。

民主党のあるスタッフは、マンチンが今年の秋にホワイトハウスとデラウェア州にあるバイデンの自宅でバイデンと友好的な会談を行ったが、望む結果を得られなかったことを受け、「マンチンにはまったくプレッシャーがかかっていない」と述べた。

この民主党スタッフは、「バイデンはマンチンの襟首を掴んで、『いいか、これはもう終わりだ』と言わなければならない」と述べ、「ビルド・バック・ベター」法案の可決が失敗すれば、2022年の中間選挙までに別の主要法案が通過する見込みはほとんどないと警告を発している。

民主党所属の複数の上院議員はここ数ヶ月前、「マンチンに大きな圧力をかけることは、それが裏目に出て、再生可能エネルギーへの大規模な新規投資やメディケア給付の拡大といった進歩的優先事項に対してより強固に抵抗するようになることを恐れて、消極的に対応するしかない」と述べていた。

また、マンチンが民主党会派を脱退し、無所属を宣言するかもしれないという脅威も迫っていた。上院少数党(共和党)院内総務のミッチ・マコーネル氏(ケンタッキー州選出、共和党)は休暇前に記者団に対し、マンチンが共和党会派に加わることを望んでいるが、その可能性が高いわけではないと述べている。

しかし、バイデン、シューマー、その他の民主党所属の連邦議員は、マンチンがフォックスニュースでビルド・バック・ベター法案に反対することを明確に表明した。バイデンたちの依頼を平然とはねつけ、無能と思われる危険を冒すことになった。

民主党系のストラティジストで、民主党連邦上院議員選挙委員会の顧問を務めたスティーヴ・ジャーディングは、「マンチンは大統領の政策を吹き飛ばそうとしているのだから、厳しい姿勢で臨まねばならない」と述べた。

ジャーディングは「マンチンは民主党指導部が無能だと見えるように行動している」とも述べた。

日曜日、ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、マンチンが10月にバイデンと達した合意から手を引いたとして、マンチンを非難する激しい声明を発表した。

サキ報道官は、マンチンは「インシュリンのために毎月1000ドル払っている家庭」、「仕事に復帰するために必要な手頃なデイケアを受けたいと考えている200万人の女性」、「先週期限切れとなった児童税控除のおかげで、貧困から脱した数百万人の子供たち」に対して法案への反対についてその理由を説明しなければならないだろう、と述べた。

翌日、ホワイトハウスはより柔らかい姿勢を取った。記者会見でサキ報道官はバイデンがマンチンと協力したいと考えていると述べた。

バイデンは9月末と10月末にホワイトハウスでマンチンと会談を持った。また、デラウェア州ウィルミントンのバイデンの指定でも会談を持った。しかし、これらの会談では主だった成果は出なかった。

ホワイトハウスは、シューマーも出席したデラウェア州での会談で、マンチンが1兆7500億ドルの枠組みに同意したと発表したが、マンチンは今週、何にも同意してはいないと反論した。

月曜日に各議員に送付された「同僚議員の方々へ」と題された書簡の中で、シューマーは、マンチン氏へ微妙なジャブを放ち、間接的に批判した。

シューマーは書簡の中で、「上院議員各位は、新年早々、連邦上院がビルド・バック・ベター法案について審議することを認識しておくべきだ。そうすれば、全ての議員がテレビだけでなく、連邦上院の議場で自らの立場を明らかにする機会を得られる」と言明した。

民主党の指導者であるシューマーは、「マンチンについては、バイデンの最優先事項に何度も反対票を投じさせるような形にして、ウエストヴァージニア州選出の中道派議員であるマンチンが、地元の低所得者救済を目的とした改革の邪魔をしているというメッセージを明確に打ち出すことにする」と警告を発した。

シューマーは「連邦下院で可決されたビルド・バック・ベター法案については、連邦上院で修正を加えて、それらについて投票を行う。何かを成し遂げるまで何度も投票を続ける予定だ」と書いている。

前述のスタッフとは別のある民主党スタッフは、シューマーの脅しは重要だと述べた。その理由は、数日前には、連邦上院多数党(民主党)院内幹事のディック・ダービン連邦上院議員(イリノイ州選出、民主党)をはじめとする民主党議員たちが、マンチンにビルド・バック・ベター法案の賛成投票をクリスマス前までに行うよう強要するよう働きかけていたのを、シューマーが押しとどめていたことだ。

このスタッフによれば、民主党内の進歩主義派の人々がマンチンに賛成させることができなかったことに怒っていることをシューマー知っており、来年のニューヨーク州の連邦上院議員選挙での自身の再選キャンペーンに向けて挑戦者となる候補に付け入る隙を与えないようにするためにシューマーは脅しを始めたのだということだ。

このスタッフは「これはパフォーマンスに過ぎない。上院議委選挙の予備選挙というレンズを通してみないということはできない」と述べた。

アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は連邦下院の中でも主導的な進歩主義派の人物だ。彼女は頻繁にマンチンを批判してきた。AOCは2021年8月、シューマーに対して連邦上院議員選挙民主党予備選挙で挑戦する可能性があることを排除しなかった。

AOCは月曜日、マンチンが「大統領の信頼を著しく損なう行為」を行ったと指摘し、「1カ月以上前に我々が警告していた通りの結果となってしまった」と述べた。

AOCMSNBCの「モーニング・ジョー」に出演し、次のように述べた。「もちろん、ジョー・マンチンに激怒するのは当然のことだ。しかし、この岐路に立つことを決断したのは民主党指導部であり、今後どのように前進するかについては、民主党指導部が自由に使える非常に多くの手段を持っていると私は考えている」。

彼女は更に「問題について真剣に取り組むべき時だ」と述べた。

連邦上院の民主党進歩主義派の議員たちもまた、マンチンがフォックスの司会者ブレット・ベイヤーにビルド・バック・ベター法案に「ノー」だと言明したことについて、不満を爆発させた。

連邦上院予算委員会委員長バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は月曜日、次のようにツイートした。「ウエストヴァージニア州の人々も、他の州の人々と同じように考えているのではないかと私は考えている。彼らは、処方薬のコストを下げたいと考えている。メディケアに視力、聴力、歯科の治療をカカヴァーして欲しいと望んでいる。子供一人につき月300ドルの手当を継続させたい。彼らは、富裕層が公正な負担分を支払うことを望んでいる」。

サンダースは、CNNの「ステート・オブ・ユニオン」に出演し、インタヴューの中で、有権者のニーズに応えられない、とマンチンに対する非難を繰り返した。

サンダースは次のように述べた。「マンチン議員は、ウエストヴァージニア州民を代表していると常々言っている。私はマンチン議員に、それでは、ウエストヴァージニア州でこの問題について世論調査をする費用を私が負担しようと言った。ウエストヴァージニア州の人々がどう感じているかを見てみよう」。

連邦上院のもう一人の主要な進歩主義的な議員であるエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は、マンチンにビルド・バック・ベター法案への投票を強制する、それが複数回になるだろうというシューマーの約束を高く評価した。シューマーはフォックスの番組に出演し、「可能な限り全てのことをやってみた。しかし、私は思うような結果を得られていない」と述べた。それでも、ウォーレンはシューマーを高く評価している。

ウォーレンは次のようにツイートした。「アメリカ国民は、連邦上院が ビルド・バック・ベター計画を実現し、投票権を保護することを期待している。無為無策という選択肢はない。我々の民主政治体制は攻撃を受け、経済は労働者のために機能していない。お喋りはもうたくさんだ。今こそ投票する時だ」とツイートした

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民主党はマンチンの反対を受け、バイデン計画について厳しい選択を迫られる(Democrats face tough choices on Biden plan after Manchin setback

ジョーデイン・カーニー筆

2021年12月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/senate/586680-democrats-face-tough-choices-on-biden-plan-after-manchin-setback

民主党の指導者たちは、バイデン大統領が求める気候・社会支出に関する大規模な法案を前に、痛みを伴う決断と党内の緊張に直面している。

ジョー・マンチン連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出、民主党)は、「フォックスニュース・サンディ」に出演しインタヴューに応じ、下院が可決した約2兆ドルの法案に事実上終止符を打ち、議会民主党とホワイトハウスが、穏健派議員マンチンとの合意に至らなかったとして非難合戦を繰り広げることになった。

しかし、民主党の指導者たちとホワイトハウスは、自分たちの主要政策の重要な部分を救おうと、何が起こるかわからないという状況に直面しながらも前進することを誓っている。

パトリック・リーヒー連邦上院議員(ヴァーモント州選出、民主党)は、「この法案には、通過させたいものがたくさんある。この法案には、私が支持し、また大多数のアメリカ人が支持していると考えられるものがたくさん含まれている」と述べた。

法案を可決させてバイデンが署名して法律とするために、民主党は、自分たちの最大の優先事項のいくつかが危機に瀕していることを目撃している。保守的な同僚議員たちの動きにますます落ち着きを失っている。不満を募らせている進歩主義派の人々を遠ざけることなく、マンチンの反対に勝つことができる修正法案を考え出す必要がある。

連邦下院議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は「まだ継続中の交渉は存在する。私たちはこの責務から逃げることはできない」と述べた。

民主党議員はここ約2週間、アメリカ各地に散らばっている状態だ。緊迫した1年を終え、互いに距離を置き、息抜きとブレインストーミングをする時間を得ている。しかし、「ビルド・バック・ベター法案のどの部分が生き残ることができるかを見極めるために、初心に帰る準備をしながら、彼らは既に次のステップの光景を思い浮かべているのだ。

連邦上院財政委員会委員長ロン・ワイデン連邦上院議員(オレゴン州選出、民主党)は、処方薬、クリーンエネルギー、子供税額控除の強化、オバマケア税額控除を結びつけたパッケージを提案している。ワイデンによれば、この法案は、ワイデンが委員長を務める財政委員会がより大規模な法案のためにすでにまとめたのと同じ財源によって、10年間にわたって恒久的に支払うことが可能である。

ワイデンは「民主党は、より多くの支援を必要とする家族に対して重要な公約を掲げている。ここで失敗することは許されない」と語っている。

ニュー・デモクラッティック・コアリション代表のスーザン・デルベネ連邦下院議員(ワシントン州選出、民主党)は声明を発表しその中で、自分たちのグループは、以前から、より少ない分野に焦点を当て、より長い期間資金を提供する法案を要求してきたと述べている。

デルベネは「このようなアプローチを採用することで、この法案を前進させる可能性があると確信している」と述べている。

しかし、デルベネたちが主張しているような小規模な法案がどのような内容になるのか、もしくは実行可能なのかどうかを見極めるのは口で言うほど簡単なことではない。

マンチンは、WVMetroNewsのホッピー・カーチヴァルとのインタヴューで、「喜んでいつでも話し合う用意がある」と述べ、2017年の共和党が連邦上院の各委員会での審議を経て行った税制法案の変更に焦点を当てた劇的な状況の好転を望んでいることを示唆した。ホワイトハウス首席補佐官ロン・クラインはマンチンのこのコメントに注目し、人々の目に留まるように強調した。

マンチンは「チャンスは一度きりだ、いいか?公平で公正な税制に修正するチャンスだ」と語った。民主党所属議員全員が「共和党の減税に関する和解に反対と言っているが、それならば、ただ座っていて公平で公正な税制を修正できるとでも思っているのか?」とも述べた。

ここ数週間、民主党指導部にはマンチン氏を取り込もうとする希望があったものの、ウエストヴァージニア州選出の上院議員マンチンは、両者が「哲学的にかけ離れており」、自分はいかなる社会改革に対しても「責任と説明責任」を求めると述べ、いかに対立しているのかを強調した。マンチンは、就労条件や所得制限の導入を強く求めている。

マンチンは「今、私の目の前にある、彼らが出し続けている法案は、最初は6兆ドル規模の法案だった」と述べた。更に臨時プログラムが延長された場合の推定費用にも言及した。

マンチンはラジオ番組でのインタヴューで、バイデンとの先週の交渉でおよそ1兆7500億ドルの法案について話し合ったことを認めた。『ワシントン・ポスト』紙によると、交渉が決裂する前のマンチンからの提案には、10年間の全幼児向け教育プログラム、オバマケアの拡大延長、気候変動対策への数千億ドルの拠出が含まれていたということだ。

しかし、マンチンからの提案には子供税額控除の延長が含まれていなかったために、ホワイトハウスと子供税額控除を法案に必須と考える多くの民主党議員は、マンチンからの提案を法案に盛り込む修正ができない。

マンチンと進歩主義派の間には深い不信感が既に存在し、気候・社会支出法案の後退は、今年(2021年)の大半を占めた両派の古傷に再び火をつけることになった。

マンチンと連邦議会進歩主義派議員連盟会長のプラミラ・ジェイパル連邦下院議員(ワシントン州選出、民主党)は月曜日に会談を持った。ジェイパルは記者団に対して、「マンチン議員には“誠実さが欠如”していると考える」と語った。

ジェイパルと議連のメンバーのほとんどは、超党派のインフラ法案に賛成票を投じた。この際には、マンチンを含む連邦上院議員のグループと交渉を行った。進歩主義派の連邦下院議員たちは、「バイデンが民主党所属の連邦上院議員50人全員を下院で可決させた大型支出法案に賛成させることができると理解した上で、インフラ法案に賛成票を投じた。

ジェイパルは記者団に対して次のように語った。「法案についての話し合いは今後も継続されるだろう。私たちもそれに関わり続けていく意向だ。しかし、人々を置き去りにし、気候変動のような重要な問題に取り組もうとしない、さらに小さなパッケージで満足しようとは誰も思わないはずだ」。

ジェイパル議員はバイデン大統領に対し、議会が通せない分野については、行政措置で対応するよう求めている。彼女は「私たちとの約束を守ることが大統領にとっての “責務”である」と述べた。進歩主義派議連は、幹部会合がバーチャルに開催した後、バイデン大統領に何を要望するかについての詳細を発表する予定だ。

ジェイパル議員は次のように語った。「私たちはすぐに仕事を始めることになる。私たちはアメリカ全土のアメリカ国民の生活を改善するための広範な行動を要望することになるだろう。そして、化石燃料産業や大手製薬会社など、大統領の政策を阻止するために懸命に働いてきたロビイストたちに、アメリカ国民には勝てないということを思い知らせる」。

連邦上院多数党(民主党)チャールズ・チューマー連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は進歩主義派に配慮し、マンチンが今年初めに下院で可決された約2兆ドル規模の大型支出法案を支持できないと述べているにもかかわらず、ビルド・バック・ベター法案の複数回の投票を強行すると公言している。しかしながら、民主党は大型支出法案の可決に必要な50票を欠いたままの状態となっている。

シューマーは、「連邦下院で可決されたビルド・バック・ベター法案の修正法案を採決するつもりだ。何かを成し遂げるまで採決を続ける」と述べた。また、マンチンへの皮肉として、「テレビだけではなく、上院の議場で自分の立場を明らかにすべきだ」と異例の強い批判を含んだ発言をした。

シューマーは、法案を進めるのに十分な票数があるかどうかにかかわらず、法案について議場において投票するよう求める声が連邦議会内で大きくなっている中、確実に失敗すると思われる投票を進める決断をした。民主党はフィリバスター(議事妨害)を回避するために、調停制度(reconciliation)を利用するので、支出法案の審議を開始するためには50人の所属議員全員の審議開始への賛成が必要である。

連邦上院予算委員会委員長バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は複数の同僚議員たちが求めている内容を繰り返して次のように述べた。「ジョー・マンチン連邦上院議員がビルド・バック・ベター法案に反対票を投じたいと望むならば、連邦上院が再開してすぐに議場で採決に投票する機会を得ることができるだろう」。

マンチンは月曜日にラジオ番組に出演し、インタヴューを受けた。その中で、マンチンは次のように述べている。「私は、サンダース議員やその他の同僚議員たちにビルド・バック・ベター法案について投票を行い、何が起きるかを見てみようと述べた。彼らは法案について何の行動も起こせない状況に不満を持っていた」。

「私の同僚議員たちは税印が大きな不満を抱えている。私はそれを理解できる。私は、紳士淑女の皆さん、投票を行う時が来ました、と彼らに言った。前もって何かを保証するなどことはできないが、投票が行われれば、私の居場所は分かるだろう」。

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共和党所属の連邦上院議員がジョー・マンチンに共和党入りについてテキストメッセージを送った(Republican senator texted Joe Manchin about joining GOP

ジョーデイン・カーニー筆

2021年12月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/senate/586798-republican-senator-texted-joe-manchin-about-joining-gop

ジョン・コーニン連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)は火曜日、ジョー・マンチン連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出、民主党)が、連邦下院が可決した「ビルド・バック・ベター」法案への反対表明に対する激しい批判が起きている中、共和党に入ることを促した、と発言した。

コーニンはKXANの取材に対して、マンチンに「ジョー、あの人たちが君を望まないのなら、私たちは望んでいる」とテキストメッセージを送ったが、返事はなかったと述べた。KXANはテキサス州オースティンを本拠とするテレビ局であり、ネクスター・メディア・グループに属している。本紙もこのグループに属している。

コーニンは続けて次のように述べた。「彼がどのような決断を下すか分からない。しかし、ウエストヴァージニア州が共和党優位になっていることを私は良く知っている。だから、彼が共和党に入ることを歓迎する。それによって現在の連邦上院の過半数を持つ党派が変わることになる」。

連邦上院は現在民主、共和両党で50対50に分かれている。カマラ・ハリス副大統領が同数状態を打ち破ることができるため、民主党が過半数を握っている。マンチンが民主党を離れて共和党に参加するとなると、共和党が51議席、民主党が49議席となり、連邦上院少数党(共和党)院内総務ミッチ・マコーネル連邦上院議員(ケンタッキー州選出、共和党)が多数党院内総務となる。

マンチンが所属政党を変更するのではないかという疑いはここ数年、ワシントンで取り沙汰されてきた。

今年初め、マンチンは民主党から離れる意図はないが、自分が民主党に属していることで同僚たちを「困らせる」ようであれば、民主党を離党して無所属になると、同僚たちに述べたことを明らかにした。

しかし、無所属になっても、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出)とアンガス・キング(メイン州選出)のように、連邦上院で民主党の会派に参加するだろうとマンチンは述べた。そうであれば、民主党はギリギリで過半数を握ることになる。

月曜日に、WV Metronewsのホッピー・カーチェヴァルから、「民主党にあなたの居場所はまだあるか」と質問され、マンチンは「私のような感覚を持つ民主党員がまだいることを期待したい。私は、財政的な責任を果たし、社会的な思いやりのある行動を取ると言ってきた。今、そのような民主党員がいなければ、彼らは望むところまで私を押し切り続けることになるだろう」と答えた。

共和党は何年も前からマンチンを勧誘してきたが成功しなかった。

先週、マコーネルは記者団に対して次のように語った。「私は彼との話し合いを楽しんでいる。私は何年も前から、ウエストヴァージニア州のような赤の濃い州(共和党優勢州、red state)を代表しているマンチン議員が私たちの側に来るのは素晴らしいアイデアだと提案してきた。このことには皆さんも驚かないだろう。しかし、彼が共和党に入党するということは起きるとは私は考えていない」。

今週、フォックスニュース・ラジオの番組に出演した際、マコーネルは、民主党所属議員たちが、「マンチンに対して人々は大いに不満を持っている」と激しく非難していることについて疑義を呈し、「マンチンは同僚議員たちからの様々な暴言にショックを受けている。民主党の議員たちはマンチン議員を嘘つき呼ばわりしている」と述べた。

マコーネルは更に、「そのような行動は全くもって賢明とは言えない。現在の連邦上院の両党の議席数は50対50なのだから」と述べた。

(貼り付け終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 昨年末、民主党所属のジョー・マンチン連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出)が、ジョー・バイデン大統領が進める目玉政策の1兆7500億ドル規模の支出法案に反対することを表明した。現在、連邦上院(100議席)は民主党、共和党両党でそれぞれ50議席ずつを有している。連邦上院議長は、アメリカ合衆国憲法によって副大統領と兼務となるが、可否同数の場合の議長決裁(イギリスではcasting voteと呼び、アメリカではtie-breaking voteもしくはtie breakと呼ぶ)の時しか参加できない。現在の副大統領は民主党所属のカマラ・ハリス副大統領だ。これで、議席数は両党で同数であるが、民主党が多数党(majority)となり、共和党は少数党(minority)となる。しかし、小のバランスは非常に微妙である。民主党側の議員が1人でも病気で登院できない、もしくは死亡してしまった場合は共和党が多数党ということになる。
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ジョー・マンチン(左)とジョー・バイデンの「Wのジョー」
 こうした状況下で、マンチンが所属する民主党から出ているバイデン大統領の目玉政策に反対を表明したことは非常に大きな衝撃を与えた。仮にこのまま採決をすれば、理論上、賛成49対反対51で、法案は可決されないことになる。マンチンはこれまで法案に対して慎重な姿勢を取ってきており、ホワイトハウスも民主党指導部もマンチンと幾度も会談を持ち、法案に賛成するように説得し、どのような内容にすれば賛成するのかということについて話し合いを持ってきた。しかし、その成果は芳しくなかった。ホワイトハウス側は、マンチンが賛成に回ることで合意したという発表をしていたが、マンチンはそれを否定した。
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連邦最高裁判事人事についての話し合いでのトランプとマンチン
 民主党側はマンチンを翻意させるか、共和党側から賛成者を獲得するかしなければ、法案を可決させることはできない。共和党側はこうした大規模支出はインフレーションを進行させるとして反対している。確かに、このブログでもご紹介している通り、アメリカの2021年10月のインフレーション率は6.2%、11月では6.8%となっている。こうした状況下で、共和党は民主党攻撃の手段としてインフレーション率を使うことになる。共和党側から賛成者が出るとは考えにくい。また、マンチンの反対理由を見れば、インフレーションの進行を挙げているので、マンチンを翻意させることは今のところ難しい。

 民主党の支持基盤である労働組合は、マンチンに翻意するように促している。ウエストヴァージニア州は炭鉱労働者が多く、その労働組合が大きな力を持つ。炭鉱労働者組合はマンチンに翻意を促している。これまでマンチンは炭鉱労働者組合と良好な関係を保ってきた。労組の支持がなければマンチンの選挙にも影響が出る。マンチンが次に選挙を迎えるのは2024年だ。

しかし、労組にばかり頼っていては選挙には勝てない。ウエストヴァージニア州では2010年代から共和党が勢力を伸ばしており、現在3名出ている連邦下院議員は全員共和党所属であり、2名出ている連邦上院議員で言えば、マンチンは民主党所属であるが、もう一人の議員であるシェリー・ムーア=キャピトは共和党所属である。大統領選挙でも2000年以降は共和党の候補者が勝利している。マンチンも民主党所属であるが、共和党支持の有権者を意識しなければ選挙が戦えないという状況にある。

 バイデンの目玉政策を実現できるかどうかは、今年初めのアメリカ政治にとって重要なテーマということになる。

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マンチンは「ビルド・バック・ベター」法案に賛成票を投じないと発言:「それは駄目だということだ」(Manchin says he will not vote for Build Back Better: 'This is a no'

アレクサンダー・ボルトン筆

2021年12月19日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/senate/586450-manchin-says-he-will-not-vote-for-build-back-better-this-is-a-no

ジョー・マンチン連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出、民主党)は「フォックスニュース・サンディ」に出演し、バイデン大統領の「マンモス急に巨大な」気候変動と社会支出法案に賛成票を投じないと表明した。これはホワイトハウスの最重要政策の実現を根底から覆すものだ。

彼はゲスト司会者ブレット・バイアーに対して、「私はこの法案が継続することに投票することはできない。どうしてもできない。人間として可能なことは全て試してみたが 無理だ。この法案に関しては、それは駄目だということだ」と述べた。

彼は続けて「私は知っていることは全て試した」と述べた。これで、民主党の「マンチンは説得を受け入れて考えを変えるかもしれない」という希望が閉ざされることになった。

マンチンは、バイデン大統領、連邦上院多数党(民主党)院内総務チャールズ・シューマー連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)、連邦下院議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党、)、その他の同僚と会談し、前途を模索しながら「熱心に」法案に取り組んできたと述べた。しかしながら、インフレーション、29兆ドルに及ぶ連邦債務、新型コロナウイルスのオミクロン変異体による新規感染の急増について依然として極めて懸念していると付け加えた。

「今のような難しい事態になった時、私はいつもこう自分に対して語りかける。ブレット、“ウエストヴァージニア州の人々のもとに帰って説明できないようなことには、投票することはできない”」とマンチンは述べた。

マンチンは、「バイデン大統領は、私自身が2000ページを超える法案の成立に深刻な懸念を抱いていることを知っていた」と発言した。

マンチンは次のように述べた。「バイデン大統領は、私の懸念、問題視していた事柄について知っている。私たちが注意を向けるべきは、新型コロナウイルスの変種が、様々な側面や様々な方法で再び増加することだ。それがまた私たちの生活に影響を及ぼしている」。

マンチンはまた、インフレーションの進行は「多くのアメリカ国民、特に低所得層や貧困層の人々に大きな損害を与える」と警告を発した。

「これらの問題に対して緊急的に私たちの関心を向ける必要があると私は考えている」とマンチンは述べた。

マンチンの法案に対する決定的な反対声明は、ウエストヴァージニア州選出で中道派のマンチン議員とバイデン大統領との間で話し合いが今週も続くと予想していた連邦上院民主党の同僚議員たちにとっては驚きをもって迎えられた。

バイデン大統領は先週発表した声明の中で、マンチン議員が1兆7500億ドルの「ビルド・バック・ベター」法案に関する支出を「改めて支持することになるだろう」と述べ、「今後数日から数週間の間にこの作業を一緒に進めていく」と約束した。

しかし、マンチンは先週末、バイデン大統領の楽観的な発言から距離を置き、「これはバイデン大統領の発言であって自分の発言ではない」と記者団に語った。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は日曜日の午後早くに発表した声明の中で、マンチンの変わり身は突然であり、彼は先週バイデン大統領に提示した、ホワイトハウスが「全ての人々に受け入れられ、妥協につながる」と信じていた枠組みを撤回したと述べた。

サキ報道官は声明の中で次のように述べている。「フォックスニュースの番組での発言と文書による声明がその努力の終わりを示すものであるならば、それは突然のそして不可解な立場の変更であり、大統領と上下両院の同僚議員たちに対する約束を違えることになる」。

サキ報道官は続けて次のように述べている。「今朝、マンチン議員がビルド・バック・ベター法案に関する立場を翻したが、私たちは、マンチン議員が再び立場を翻し、以前の公約を守り、約束を守るかどうかを確認するために、引き続きマンチン議員に圧力をかけ続ける」。

連邦上院予算委員会委員長のバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は金曜日にはマンチンを説得して法案を支持させることができると本誌に語っていたが、日曜日には、彼に反対票を投じさせたいと語った。

連邦議会進歩主義派議員連盟のメンバーであるヴェロニカ・エスコバー連邦下院議員(敵さ州選出、民主党)は声明の中でマンチンを激しく非難した。

エスコバーは「BBB(ビルド・バック・ベター)法案から離脱すことは、行動を必要とする、私たちの前にある危機を無視していることになる。最高の無責任と裏切りである」と述べた。

マンチンは、民主党の同僚議員たちが、法案全体のコストを2兆ドル程度に抑えるために、子供税額控除の強化などの人気項目の早期期限切れを設定したことに大きな問題があったと述べた。これによって、法案の赤字と債務に対する真の影響が覆い隠されると主張した。

マンチンは次のように述べている。「“皆まだやりたいことがある ”と同僚たちは言う。“私たちは債務残高状況に合わせることができるか?”と言っている。期間を10年に対して2年にすればいい。10年に対して4年、10年に対して1年にすればいいということだ」。

マンチンは「それは、ウエストヴァージニア州の有権者について考えると、このようないい河岸な態度は本物とは言えない」と述べた。

マンチンは、連邦上院共和党が要求した法案に関する連邦議会予算局(CBO)の最新分析によると、ビルド・バック・ベター法案が全ての条項を更新する場合、今後10年間で4兆5000億ドル以上のコストがかかると指摘した。

リンゼイ・グラハム連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は、ビルド・バック・ベター法案の期限が10年に延長される場合にかかるコストについて連邦議会事務局に試算するように要求した人物だ。グラハムはマンチンの表明に賛辞を贈った。

グラハムは「ビルド・バック・ベター法案を支持しないというマンチン議員の決断に私は心から高く評価する。これは、同法案に関する議会予算局の分析を理解したことに起因している」と述べた。

マンチンは、フォックスニュースの番組に出演直後に発表した声明の中で、番組で述べた多くの点を繰り返し述べた。

マンチンは「最善を尽くしたが、ウエストヴァージニア州で大規模なビルド・バック・ベター法案について説明できず、この巨大な法案を前進させるために投票することもできない」と述べた。

マンチンは次のように述べた。「ワシントンにいる民主党所属の同僚議員たちは、私たちが直面する脅威に対して、わが国を更に脆弱にするような形で、社会を劇的に再編することを決意している。29兆ドル以上にまで膨らんだ驚異的な負債と、ガソリンや食料品店、光熱費など、勤勉なアメリカ人全員に実害のある、人々からお金を取り上げる税金のようなインフレーションなどが終わりの見えない状況にある。そうした中で、法案による更なるリスクを取ることはできない」。

連邦上院エネルギー・天然資源委員会委員長を務めるマンチン議員は、再生可能エネルギー利用を促進し、化石燃料を段階的に削減することを目的とした法案の気候関連条項に大きな問題があるとも述べた。

マンチンは、「この法案が成立すれば、電力網の信頼性を危険に晒し、海外のサプライチェインへの依存度を高めることになる」と語った。

マンチンは、「私の同僚議員たちが求めるエネルギー転換は既に進んでいる」と主張し、議会が既に「 クリーンエネルギー技術に何十億ドルも投資している」とを指摘した。

マンチンは声明の中で、中国やロシアとの緊張が高まっていることも、巨額の社会支出法案を支持しない理由だと述べている。

マンチンは、ロシアがウクライナに対して、中国が台湾や南シナ海に対して攻撃的な姿勢を取っていることに言及し、「これらの懸案事項に迅速かつ効果的に対応する能力は、負債の増加によって大幅に損なわれるだろう」と述べた。

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マンチンのビルド・バック・ベター法案反対を表明する声明を読む(Read Manchin's statement announcing opposition to Build Back Better

『ザ・ヒル』誌スタッフ

2021年12月19日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/senate/586460-read-manchins-statement-announcing-opposition-to-build-back-better

ジョー・マンチン連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出、民主党)は日曜日、バイデン大統領の気候変動と社会支出法案に賛成票を投じないと発表した。これはホワイトハウスの最重要政策の実現を根底から覆すものだ。

声明の中でマンチンは次のように述べている。「これまでの5カ月半、私は、バイデン大統領、シューマー連邦上院多数党(民主党)院内総務、ペロシ連邦下院議長、そして全ての政治的志向を持つ同僚議員たちと可能な限り真摯に協力してきた。それは私の深刻な懸念は置いておいても最善の道を模索し決定するためだった。私はこれまで発表してきた複数の声明、新聞の論説記事、私的な会話の中で自分自身の持つ懸念を明らかにしてきた。新型コロナウイルス感染が拡大し、インフレーションが進行し、世界各地で地政学的な不確実さが増大する中で、私の懸念は大きくなっていくばかりだった」

マンチンは続けて次のように述べている。「私は常に、“私はウエストヴァージニア州に帰って説明できないことには、賛成票を投じない”と述べてきた。私は最善を尽くしたが、私はウエストヴァージニア州でビルド・バック・ベター法案について説明できない。私はこのマンモス級の法案を前進させるために賛成票を投じることはできない」。

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炭鉱労働者組合はマンチンに対してバイデンの計画についての反対を再考するように促す(Coal miners' union urges Manchin to reconsider opposition to Biden plan

カール・エヴァース=ヒルストロム筆

2021年12月20日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/business-a-lobbying/business-a-lobbying/586661-coal-miners-union-urges-manchin-to-reconsider

ウエストヴァージニア州の炭鉱労働者たちを代表しているアメリカ鉱山労働者組合(UMWA)は月曜日、ジョー・マンチン連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出、民主党)に対して、バイデン大統領のビルド・バック・ベター計画への反対を考え直すように促した。また、UMWAは、職を失った何千人もの炭鉱労働者を雇用するために、製造業者が炭鉱地帯に施設を建設することを奨励する税制優遇措置もあることを強調している。UMWAは、社会支出法案には炭肺に苦しむ炭鉱労働者たちに便益を与える基金が2021年末で期限を迎えるのを延長することが含まれていると指摘している。

セシル・ロバーツUMWA委員長は声明の中で次のように述べている。「こうした理由も含め、この法案が通過しないことに失望している。私たちはマンチン連邦上院議員に、この法案への反対を再検討し、炭鉱労働者の労働維持に役立ち、組合員とその家族、そして地域社会に有意義な影響を与えることになる法案を同僚と協力して可決することを強く求める」。

マンチンは日曜日、民主党が進める約2兆円規模の気候変動と社会支出法案を支持しないと表明した。民主、共和両党で50議席ずつを有している連邦上院で可決の可能性を潰すことになった。マンチンは、同僚議員たちは法案ではなく、インフレーション、国家負債、新型コロナウイルスの患者数の増加に対処すべきだと述べた。

無数の利益団体がマンチンに軌道修正を求める中、鉱山労働者組合の声明は最もインパクトがあるかもしれない。マンチンは炭鉱労働者の家庭に生まれ、数十年にわたりUMWAと密接に協力してきた。UMWAは昨年、マンチンを名誉会員に任命した。

マンチンは昨年の名誉会員任命の際の声明の中で次のように述べている。「UMWAの組合員とともに、彼らが当然得られる年金と医療給付を確保するために徹底して戦ったことは、私の人生において最大の栄誉の一つである」。

石炭の仲介会社の株式を保有するマンチンは、法案のクリーンエネルギー条項の見直しに重要な役割を果たし、離職した石炭労働者のためにクリーンエネルギーの新規雇用を奨励する措置を推し進めた。

ロバーツ委員長は声明の中で、バイデン大統領が進める支出パッケージには労働者の組合結成を認めない企業に罰則を科す条項が含まれており、これはマンチン氏が支持する組合結成促進法案(PRO Act)から取り入れられた措置である、とも述べている。

ロバーツ委員長は次のように述べている。「この条項は、雇用主による組合潰しが激化しているアメリカで団結権を回復するための長期的な能力にとって不可欠だ。しかし、現在、何百万人もの労働者が職場で権利を行使するための道は開かれていない」。

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 古村治彦です。

 アメリカのインフレーション率は高いままだ。2021年10月で6.2%を記録したが、11月では6.8%を記録している。人々の給料が10%くらい上がらないと、このインフレーションの状態では生活は苦しくなるばかりだが、簡単に給料が10%も上がる人は少ないし、もともと低賃金の仕事で10%も上げてくれることはない。嫌なら辞めろということになる。それで人手不足ということになるが、低賃金の仕事にしか就けない非熟練労働者は多く、結局仕事は埋まってしまう。日本の規制改革、構造改革を進めた竹中平蔵一派(小泉純一郎からの)は、このような構造を日本に作り上げ、巨大な格差社会を構築することに成功した。私は以前に「日本に低賃金で働く人たちの“国”を作りたいのだろう」と書いたがまさにそうなった。
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 アメリカ国民は現状に不満と不安を持っている。インフレーション、物価高を何とかしてくれということになっている。インフレーションを抑えるには市場で流通している貨幣量を減らすということになる。金融政策で言えば利上げをすること、財政政策で言えば緊縮財政にして、増税をするということになる。しかし、新型コロナウイルス感染拡大のために疲弊した経済状態で、利上げをすること、増税をすることは難しい。バイデン政権は大型公共支出をして経済を刺激しようとしているが、それがインフレーションを亢進させてしまう危険性もある。民主党の連邦上院議員ジョー・マンチン(ウエストヴァージニア州選出)は、インフレーションへの懸念からバイデンが進める大型支出に反対することを表明した。

 今が調整局面で、デマンドプル型インフレーションなのだという解釈であれば、その内に落ち着く。しかし、コストプッシュ型インフレーションであれば、外的な要因ということもあって厳しい。具体的には中国の経済回復のために、資源の取り合いになって資源の価格が高騰するということになれば、アメリカのインフレーション、物価高は続く。輸入品の価格を下げるためにはドル高にしなければならない。そうなれば日本は円安となり、日本にコストプッシュ型のインフレーション、物価高を「輸出」「押し付け」することになる。日本のインフレーション率はそこまで高くなく、アメリカ並みのインフレーション率にまで上がることは考えにくいが、給料が上がらない中で物価高が続くことは人々の生活を直撃することになる。

 2022年もしばらくは厳しい状態が続くことになるだろう。

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最新の世論調査によるとアメリカ国民の3分の2が世帯支出は上昇していると回答Two-thirds of Americans in new poll report higher household expenses

キャロライン・ヴァキル筆

2021年12月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/585141-two-thirds-of-americans-in-new-poll-report-higher-household-expenses

アメリカ国民の約3分の2が2020年3月の段階に比べて世帯支出(household expenses)がより高くなっていると報告している。これは賃金上昇がありながらも、インフレーションがアメリカ国民に直撃しているということを示唆している。火曜日に発表された最新の世論調査の結果、明らかになった。

今月、アソシエイティッド・プレスとNORCセンター・フォ・パブリック・アフェアーズ・リサーチの共同世論調査が実施された。アメリカ国民の67%が、世帯支出は2020年3月1日時点よりもより多くなっていると答えている。26%は横ばいだと答えた。

2020年3月1日時点よりも世帯支出が低くなったと答えたのは6%だった。

アメリカ国民の過半数がここ数カ月、物価が通常よりも高くなっていることを経験していると答えた。日用品については85%、ガソリンについては85%、電気料金については57%、休日のプレゼントについては58%、サーヴィス全体については62%が、価格が高くなっていると答えた。

家電製品の場合、ここ数ヶ月でそれらの製品の価格が通常より高くなったと回答した人は37%にとどまり、51%がそれらの製品を購入しなかったと回答している。

世帯収入について、世論調査を行ったアメリカ国民の50%が「2020年3月1日とほぼ同じだ」と答えたのに対し、「その時点より高くなった」と答えたのは24%だった。

今回の世論調査では、26%が2020年3月の時点よりも世帯収入が減少したと答えた。

水曜日に発表された労働省のデータによると、10月の賃金上昇は年率5%だった。労働者需要が最高潮に達し、同月に企業によって1100万件の求人広告が出され。

バイデン大統領の世論調査の数字が低いのはインフレーションが一因となった。こうした状況下で、労働省からデータが発表された。10月のインフレーション率は30年ぶりの高水準に達した。

消費者物価指数(CPI)は、主要な財・サーヴィスのインフレーション率を示すもので、10月だけで0.9%、同月までの12ヵ月間では6.2%の上昇となった。

APNORC社の共同世論調査では、アメリカ国民の57%がバイデンの経済への対応に不賛成であるのに対し、賛成は41%であった。

APNORC社の共同世論調査は、2021年12月2日から7日にかけて、1089名を対象に実施された。誤差は4.1ポイントで、信頼水準は95%だ。

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世論調査:アメリカ国民の69%がバイデンのインフレーション対応を不支持(Sixty-nine percent of Americans disapprove of Biden's handling of inflation: poll

ジョセフ・チョイ筆

2021年12月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/585486-sixty-nine-percent-of-americans-disapprove-of-bidens-handling-of

日曜日にABCニュースとイプソス社共同世論調査の最新結果が発表され、アメリカ国民の約70%がバイデン大統領のインフレーション対応に不支持と答えた。

世論調査の結果によると、アメリカ国民の69%がバイデン大統領のインフレーション対策を不支持と答えた。一方、28%が支持と答えた。支持政党別で見ると、共和党支持者の94%が不支持と答え、民主党支持者の54%が不支持と答えた。無党派の有権者の場合は、71%が不支持と答えた。

経済回復については、57%がバイデンの仕事ぶりを評価しないと答えた。

ABCニュースの世論調査の結果では、犯罪と銃犯罪に関してはバイデンの支持率は下がっている。それについて36%と32%が支持すると答えたが

しかし、バイデンはある分野に関しては大統領としての仕事ぶりで過半数を少し超える支持を維持している。それは新型コロナウイルス感染拡大対策だ。ABC・イプソス共同世論調査によると、53%がバイデンの新型コロナウイルス感染拡大対策を支持した。

ABCニュース・イプソス共同世論調査は2021年12月10、11日に実施された。ランダムに選ばれた524名の成人が対象となった。調査結果の誤差は5ポイントだ。

これらの支持率の数字はインフレーション率が急上昇し続けている中で発表された。今年11月までの1年間で消費者物価は6.8%も上昇した。これは1982年以降で最高の年間のインフレーション率だ。

先週、バイデンは、「アメリカは現在インフォメーション危機の“最高潮”の中にあるが、連邦上院で自分の最優先政策である“ビルド・バック・ベター”法案が可決すればインフレーションは下がるだろう」と述べた。

バイデンはCNNのカイトラン・コリンズに対して次のように語った。「これは実生活に置いての大きな問題です。日用品店に入って、何を買うにしても、より多くのお金を払うことになれば、家族に影響が出ます。これが問題です」。

バイデンは続けて次のように述べた。「ガソリン代が高くなることは、人々にとって重要なことです。いくつかの州では、1ガロン3ドルを切る価格まで下がりましたが、重要なのは、まだ十分に早く下がっていないことです。しかし、私はそうなると思っています」。

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民主党の政治家たちはインフレーションに打ち勝とうと苦闘している(Democrats race to get ahead of inflation

シルヴァン・レイン筆

2021年12月7日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/584618-democrats-race-to-get-ahead-of-inflation?utm_source=thehill&utm_medium=widgets&utm_campaign=es_recommended_content

民主党の政治家たちは、物価の上昇がそれまでの好調な景気回復に水を差すことになるため、高インフレーションに打ち勝とうと苦闘している。

アメリカ経済は、新型コロナウイルス感染拡大で大きな被害を受けた他の全ての国に先駆けて、新たな感染拡大や感染拡大対策関連の制約を乗り越えて、急成長を遂げている。

2021年11月の失業率は4.2%にまで下落し、これは2020年2月以来の低水準である。先月、労働力は拡大し、賃金は年率で5%の上昇を記録した。個人消費と小売売上高も新型コロナウイルス感染拡大より前の最高水準を超えて急上昇しており、企業収益の上昇により株式市場は再び記録的な上昇を見せている。

しかし、景気回復のスピードが速いこともあり、インフレ率が着実に上昇しているため、民主党は景気回復をアピールすることが難しくなっている。

シェリ・ブストス連邦下院議員(イリノイ州選出)は木曜日、連邦議事堂で本紙の取材に応じ次のように述べた。ブストスはこの任期を最後にして議員を引退すると発表している。また、彼女の選挙区は民主、共和両党が激しく取り合う選挙区だ。彼女は「様々な経済指標を見れば、どれも素晴らしい数字を記録していることが分かる」と述べた。

彼女は続けて次のように述べた。「しかし、人々の生活問題について言うと、車を満タンにすれば前よりもお金がかかっている。日用品店に行ってベーコン1ポンドを買えば前よりもお金がかかる。人々はこのことを認識している」。

労働省が発表した消費者物価指数(CPI)によると、10月の消費者物価は、主に食品とエネルギー価格の高騰によって、前年同月比で6.2%上昇した。エコノミストたちは、金曜日に発表される11月の消費者物価指数のデータは、先月の消費者物価の年間上昇率がさらに大きく、6.7%になると予想している。

消費者物価の継続的な上昇は、資金繰りに苦しむ家計を圧迫し、中間選挙まで1年を切ったバイデン大統領と民主党に対する政治的圧力が高まっている。共和党は繰り返しコストの上昇を指摘し、バイデンや民主党が3月に民主党の票だけで可決した19000億ドル規模の「アメリカン・レスキュー・プラン」景気刺激策で経済を過熱させたと非難している。それでも回復の遅れた他の富裕国もインフレで苦しんでいるのが現状だ。

連邦下院財政委員会共和党側最高責任者パトリック・マクヘンリー連邦下院議員(ノースカロライナ州)は木曜日連邦議事堂において、「財政がインフレーションを増進させている。これは深刻な懸念となっている」と発言した。

マクヘンリー議員は「既に物価に関して問題が起きているのに、連邦議会は経済にジェット燃料を加えているようなものだ」と述べた。

アメリカン・レスキュー・プランがアメリカの景気回復に貢献した一方で、それが促進した支出の多くは、過負荷状態にある商品部門に殺到している。新型コロナウイルス感染拡大によって被害を受けた工場、サプライヤー、運送会社、小売業者が急増する需要に追いつくのに苦労しているので、様々な消費財の価格が急騰している。夏にはデルタ型ウイルスが出現し、サプライチェインの混乱はさらに深まり、新型コロナウイルス感染拡大前の状態に戻りつつあるサーヴィス産業からより多くの支出が流出することになった。

バイデン氏がサプライチェインの問題解決に奔走する中、大統領とホワイトハウス関係者は、インフレーションが国民の経済への支持やメディアの報道に与える悪影響について苦言を呈している。しかし、過激な進歩主義者から穏健派まで、様々な議員が、労働者階級が直面している物価の上昇を軽視してはならないと警告している。

木曜日、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は連邦議事堂で本紙の取材に対して、次のように述べた。「私たちが持っている疑問は、“インフレーションは問題なのか、そうではないのか?”というものではない。その答えは既に持っている。疑問に思っているのは、“私たちは本気になって解決しようとしているのか、それともただお喋りの材料にしているのか?”ということだ」。

オカシオ=コルテスや多くの民主党議員は、バイデンの「ビルド・バック・ベター」計画を、特に育児や処方薬など家族のコストを下げるための重要なステップであると評価している。彼女は木曜日に、1兆7500億ドルの社会サーヴィスおよび気候変動法案は、介護責任のためにパンデミックの発症中に去った数千人を含む、より多くの女性を労働力にするのにも役立つと述べた。

オカシオ=コルテスは、「物理的なサプライチェインには、港湾や海運の問題だけでなく、労働力不足という具体的な圧力要因がある。これらの分野に投資することで、ボトルネックを解消することができると考えている」と述べた。

ほとんどのエコノミストは、「ビルド・バック・ベター」計画は短期的には価格上昇にほとんど寄与しないと言っており、デフレーションの影響は数年どころか数ヶ月は発生しないと警告を発している。また、デルタウィルス変種の持続、オミクロン変種の出現、冬の到来なども、来年インフレーションが緩和し始める前に供給ラインを圧迫しそうだと、多くのアナリストは警告している。

オックスフォード大学経済学部のアメリカ経済専門家オレン・クラチキンは月曜日に発表した分析の中で次のように述べている。「バイデン政権は、サプライチェインの問題に取り組むためにビジネスリーダーと協力しているが、構造的なトラックドライヴァー不足と、基本的にフル稼働している倉庫という状況の中で、短期的にどれだけの進展が見られるかは不明だ」。

クラチキンは、港湾のボトルネック、重なり合う海外渡航制限による「頑強な物流課題」、数年来のトラックドライヴァー不足が重なり、価格への圧力がかかり続けていると指摘している。

クラチキンは「オミクロン株の発生によって、サプライチェインの問題解決スピードを低下させ、これまでの成果を台無しにする危険性がある」と書いている。

サプライチェインのより深刻な問題、特に自動車や家電製品から食品やエネルギーに至るまで価格上昇が広がれば、資金繰りに苦しむ家計やその支持を必要とする民主党候補者にとっての課題となる可能性がある。住宅価格や株価の急上昇は、物価上昇を乗り切ることができる裕福なアメリカ人にとっては恩恵だが、市場に資金がない人や、使える現金が十分にない人にとっては、どちらも冷たい慰めにしかならない。

ドン・ベイヤー連邦下院議員(ヴァージニア州選出、民主党)は木曜日、連邦議事堂で本紙の取材に対して次のように語った。「私たちの相手である共和党側にとっては幸先の良いメッセージということになる。特にガソリン価格や食料価格の点で、価格が上昇すれば人々はその上昇を、自分たちの手持ちのお金を数えながら実感することになる」。

ベイヤーは「私が希望しているのは今年の春の終わりまでにこれらの物価上昇の圧力が極力小さくなることだ。10月までに収束させることができれば選挙に間に合うなどとは考えていない」と述べた。

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民主党がバイデンの支出法案成立に邁進する中、マンチンはインフレーションに警告を発する(Manchin warns about inflation as Democrats pursue Biden spending bill

ジョーディン・カーニー筆

2021年12月7日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/senate/584830-manchin-warns-about-inflation-as-democrats-pursue-biden-spending-bill?utm_source=thehill&utm_medium=widgets&utm_campaign=es_recommended_content

ジョー・マンチン連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出、民主党)は火曜日、インフレーションに懸念を持っており、バイデン大統領の最重要政策である気候変動と社会に関する支出パッケージに前のめりになっている民主党に対して警告を発した。

マンチンは、『ウォールストリート・ジャーナル』紙CEO会議サミットにおいて、社会支出法案に対してまだ賛否を決めておらず、インフレーションンリスクに対して危険信号を出していると示唆した。

ウエストヴァージニア州選出の連邦上院議員であるマンチンは、インフレーションについて言及しながら、「今日我々が直面している未知の問題は、・・・この支出法案よりもはるかに大きい」と述べた。

マンチンは「私たちは、これを確実に実行しなければならない。このまま市場に資金を氾濫させ続けるわけにはいかない」と述べた。

連邦上院多数党(民主党)院内総務(Senate Majority Leader)のチャールズ・シューマー連邦議員(ニューヨーク州選出、民主党)がクリスマス前に歳出法案を通すという期限を守ろうとして民主党所属議員たちに圧力をかけている中で、マンチンは発言を行った。バイデン政権は、この法案がインフレーション下でのコスト上昇に対抗するのに役立つと主張している。

民主党は、法案が予算規則に適合しているかどうかを提示しているマンチンとの交渉、更には所属議員同士の交渉が続いている。マンチンに加え、カーステン・サイネマ連邦上院議員(アリゾナ州選出、民主党)も法案を支持するかどうか明言しておらず、他の民主党所属議員も州・地方税(SALT)控除の上限など法案の特定の部分について懸念を表明している。

マンチンは、クリスマスまでの期限について、スケジュールをコントロールすることはできないとし、言及を避けた。しかし、彼は今年初めに、『ウォールストリート・ジャーナル』紙の論説で、戦略的な一時停止を呼びかけたことがある。

「その時、私は懸念を持っていた。そこで戦略的に一時停止しようと言った。今でもそのことを強く感じている」とマンチンは語った。

民主党は、気候変動と社会支出に関する合意を成立させるために予算調停を行うため、50人の民主党会派所属議員全員の完全な結束が必要である。また、歳出法案の審議を開始するためには、完全な結束と、ハリス副大統領による賛成が必要である。

マンチンは、法案に有給休暇を含めることに反対し、企業のクリーンエネルギーへの移行を奨励するためのエネルギー条項を計画から削除させ、メタン排出料と労働組合に所属ずる労働者によって製造された自動車に多く適用される電気自動車税額控除について反発している。

マンチン議員は、両党が自党の最大の優先課題を可決させるために、予算プロセスを利用していることを非難した。

マンチンは「予算プロセスはそのような重大な政策変更のために使われるとは想定されていない」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)
bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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