古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:スティーヴン・バノン

 古村治彦です。

 

 今回は、『タイム』誌が発表する今年の100人(小池百合子都知事も選ばれました)の中に選ばれたトランプ政権関係者6名についての分を抜粋してお伝えします。イヴァンカ・トランプ、ジャレッド・クシュナー上級顧問、ドナルド・トランプ大統領、レインス・プリーバス大統領首席補佐官、スティーヴン・バノン首席ストラティジスト、レベカ・マーサーです。面白いのは、それぞれの紹介文を書いているのが大物であり、味方、敵(元敵)である点です。

 

 興味深いには、ジャレッド・クシュナーを紹介しているのが、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官です。キッシンジャーは、共和党から民主党、民主党から共和党、とホワイトハウスの主が変わるときの大変さを指摘し、クシュナーは大統領の補佐役としてうまくやっていくだろうと書いています。昨年のトランプとキッシンジャーの会談をセットしたのがジャレッド・クシュナーですが、クシュナーとキッシンジャーが初めて会ったのが2015年であるとも書かれています。キッシンジャーはクシュナーがハーヴァード大学出身であることも書いており、そこにも信頼を置いているという感じです。

 

 トランプ政権内部で内部闘争が起きており、一方の旗頭がスティーヴン・バノンで、もう一方の旗頭がジャレッド・クシュナーと言われています。そして、バノンとクシュナーが激しく衝突したという報道もなされています。この2人を仲裁したのが、プリーバスです。この3人について紹介されています。

 

 レベカ・マーサーは共和党への大口献金者として知られている人物ですが、トランプ勝利のために、資金を提供し、バノンをトランプ選対に送り込んだ人物です。この人物についてはあまり知られていないと思われますので、この紹介記事は重要であると思います。

 

 5月28日に副島隆彦の学問道場主催の定例会で、同僚の中田安彦研究員がトランプ政権について講演を行いますが、それとも関連する記事ですので、出席される方は是非お読みください。

 

(貼り付けはじめ)

 

『タイム(TIME)』誌 2017年4月20日

 

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イヴァンカ・トランプ(Ivanka Trump

 

ウェンディ・マードック筆

http://time.com/collection/2017-time-100/4742699/ivanka-trump/

 

 

世界はイヴァンカ・トランプをアメリカのファースト・ドーター、実業家、家族を大事にする妻であり母であることを知りつつある。私は彼女を親しい友人と呼べることを誇るに思っている。私と彼女が友人関係になって12年が経つ。私はニューヨークに住む隣人同士として知り合った。そしてすぐに親しくなっていった。お互い現代的な働く母親として、私たちは多くの挑戦と喜びを共有してきた。イヴァンカは私の人生において助言を与えてくれる信頼できる相談者である。

 

私はイヴァンカを尊敬し、賞賛の気持ちを持っている。それは、彼女が新しい役割の持つ影響力を如何に使うかを分かっているからだ。彼女は長年にわたり女性と少女の地位向上を訴えてきた。また、現在は教育の改善を訴え、人身売買のごく滅のために活動している。彼女は人身売買の悲惨さを知り、平穏な生活を捨てて、幼い家族とともにワシントンに移り、世界に良い変化をもたらそうとしている。

 

私の娘たちはイヴァンカに憧れつづけている。世界中の女性と少女たちもまた彼女に憧れを抱くことができると私は考えている。

 

※マードックは、映画プロデューサー、実業家、「アーツィー」社の共同創設者である。(訳者註:ルパート・マードックの元妻。中国系。気が強いことでも有名)

 

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ジャレッド・クシュナー(Jared Kushner

 

ヘンリー・キッシンジャー筆

http://time.com/collection/2017-time-100/4742700/jared-kushner/

 

アメリカ大統領が1つの政党からもう1つの政党へ交代することは、アメリカ政治におけるもっとも複雑な出来事の1つだ。このような変化が起きると、ワシントンを動かしている目に見えないメカニズムの中に大きな変化と不安定が生まれる。 新しくワシントンにやってくる大統領は既存の型式の構造について無知であり、その無知の程度が大きいほど、それを埋めることを期待されているアドヴァイザーたちの責任は重くなっていく

 

ここ4カ月、新大統領とワシントンのメカニズムの間をうまくつないでいるのがジャレッド・クシュナーだ。私がクシュナーと初めて会ったのは18カ月前のことであった。私が外交政策について講演を行ったその後に、彼は私に自己紹介をした。それが最初の出会いであった。私たちはそれ以降、率直に意見交換するようになった。トランプの親族の一員の中で、ジャレッドはトランプ大統領が何を考えているかも分かる人物だ。ジャレッドはハーヴァード大学とニューヨーク大学の卒業生であり、幅広い教育を受けている。実業家して、組織の運営についてもよく知っている。こうした長所によって、彼は太陽の近くを飛び回るという危険な任務を成功させることができるだろう。

 

※キッシンジャーは米国務長官を務めた

 

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ドナルド・トランプ(Donald Trump

 

ポール・ライアン筆

http://time.com/collection/2017-time-100/4736323/donald-trump/

 

彼は常に物事を達成するための方法を見つける。私を含む多くの人々が、彼はどうやって成功できるんだろうかと首をひねっていたが、ドナルド・トランプは歴史的な勝利を収めたのだ。トランプは第45代アメリカ合衆国大統領に就任し、政治のルールを書き換え、アメリカの方向性を設定し直した。実業家とは常に常識や現状に挑戦したいと考えているものだ。トランプはワシントンに激震をもたらし、これまでにない政策目標を掲げている。彼は決して戦いを恐れない。彼は自分など忘れ去られた存在だと感じている人々のために戦うことを自分に課している。他の人々が態度を変えるような場所でも、彼は自分が何者であるかという点を明らかにして態度を変えることはない。他の人なら退くところで、彼は一歩前に踏み出す。私は、トランプがアメリカをがらりと変えてしまうかもしれない、私たちを導く力を持つ指導者であると認識している。トランプは再び困難を乗り越え、目的を達成する方法を見つけるだろうと私は確信している。

 

※ライアンはアメリカ連邦下院議長を務めている。

 

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レインス・プリーバス(Reince Priebus

 

ラーム・エマニュエル筆

http://time.com/collection/2017-time-100/4736339/reince-priebus/

 

レインス・プリーバスと私の共通点は、中西部の生まれである点と変わった名前である点、そして政治を愛している点くらいだ。しかし、私たちは大統領首席補佐官として大統領の要望に応えてきた数少ない人物たちの仲間である。 私たちは、激しい選挙戦と一つの党から別の党への政権交代の後の新政権発足で、大統領首席補佐官を務めることになったという共通点がある。私たちは傷だらけの状態から仕事を始めた。

 

首席補佐官はホワイトハウスの職務の中で2つのタイトルを示している。首席とスタッフだ。首席が意味するのは、構造と説明責任だ。補佐官が意味するのは、大統領はアメリカ国民の投票で選ばれた人物だということを肝に銘じ、大統領執務室のドアを開ける前に自分のエゴが出ないようにチェックし、自分は大統領のために働くためにそこにいるということを理解し、彼の考えを実現するのだということを確かめるということだ。

 

私は大統領首席補佐官だったとき、金曜日のたびに次のようなジョークを言っていた。「やれやれ、月曜日まであと2日間だけ働けばいいんだ」。大統領首席補佐官は消耗するし、感謝されない仕事だ。1日の始まりから終わりまで、様々なことが起き、経験する。それがどんなに朝早く、夜遅く起きるにしても、私たちは神経を張りつめておかねばならない。 過ぎていく1日は、私たちが挑戦を始める1日となる。

 

※エマニュエルは、バラクオバマ大統領の大東翔首席補佐官を務めた。現在はシカゴ市長を務めている。

 

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スティーヴン・バノン(Stephen Bannon

 

マイケル・ダフィー筆

http://time.com/collection/2017-time-100/4736342/stephen-bannon/

 

スティーヴン・バノンは第45代大統領の大統領首席ストラティジストとして機能しないかもしれない。しかし、バノンほど、ドナルド・トランプの大統領選挙と就任後2カ月で影響力を発揮してきた人物は存在しない。アメリカ海軍とゴールドマンサックスに勤務した経験を持つ。彼は現在、トランプ政権の方向性を決める最高幹部となっている。彼は、既存の民主、共和両党に対して、怒りに満ちた、ナショナリスティックな、アメリカ第一主義の炎を向けている。バノンは政府機関、ビジネス界、マスコミのエリートを攻撃してきた。そして、トランプを支持した高齢の白人で、現状に不満を持つ人々を徹底して喜ばせてきた。バノンの語る内容は、これまでブライトバート社の会長として主張してきたもので、これは、トランプ政権発足後の75日間の明確な目標となった。しかし、これに対して激しい反対も引き起こした。しかし、トランプ自身は、バノンが連邦議会に対しての勝利を収めることよりも、トランプ支持者たちを離れさせるようなことをしていると認識している。トランプにとって、これは大変に危険で、彼を破滅させることになると考えている。

 

ダフィーは、『タイム』誌の副編集長である。

 

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レベカ・マーサー(Rebekah Mercer

 

テッド・クルーズ筆

http://time.com/collection/2017-time-100/4742759/rebekah-mercer/

 

レベカ・マーサーは戦士であり愛国者だ。彼女は卓越した数学者で、大成功を収めた投資家の娘として生まれた。レベカは素晴らしい知識と直観力に恵まれている。彼女はそのまま恵まれた、安楽な暮らしをすることは簡単なはずだった。しかし、レベカは自由とわが国について深く考える人間だ。

 

レベカと彼女の父ボブは、これまで政治革命を推進するために莫大な資金を投じてきた。2人のアプローチは複合的だ。シンクタンク、公共政策研究組織、インターネット・メディア、データ分析会社への援助を通じて、レベカは政治の世界に変革をもたらしてきた。彼女は、ワシントンにおける民主、共和両党の腐敗に対する人々の不満を理解している。彼女は汚れた沼の水を抜くことを強力に主張している。

 

レベカは、新人や勝利の可能性が低い候補者たちの資金や選挙運動を支援してきた。その中には私の上院議員選挙や大党選挙が含まれる。ドナルド・トランプが共和党の大統領選挙候補者に指名された時、レベカは、トランプの選挙対策ティームに人員を集め、11月に世界に衝撃を与えた戦略を採用する際に重要な役割を果たした。

 

※クルズは、テキサス州選出のアメリカ連邦上院議員である。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)







アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22



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 古村治彦です。

 

 アメリカでは、ドナルド・トランプ大統領によるジェイムズ・コミーFBI長官解任を受けて、トランプ反対派とマスコミからの攻撃が激しさを増しています。連邦議会上下両院で少数派となっている民主党は、来年の中間選挙での躍進を目指して、トランプ政権との対決姿勢を鮮明に打ち出しています。

 

健康保険問題では、共和党内部にもトランプが求めるオバマケア代替法案に反対の議員たちも多く、本当に成立するのか疑問で、また、成立しても、かなりの妥協の産物になっているでしょう。また、トランプを支持した人々は、低所得でメディケイドという公的保険に入っている人が多く、メディケイドに入れないが収入が低い人々はオバマケアで一応保険に入れたが、オバマケア撤廃でどうなるかということで不安と不満を持っています。私は、トランプ大統領は、オバマケアでも良いと思っているのではないかと思います。

 

 減税もトランプ大統領を支持した低所得の人々にとってはあまり恩恵がある話ではなく、そうしたこともあって、現在トランプ大統領の支持率は30%中盤、不支持率は50%超えという状況です。

 

 大手マスコミは毎日派手にトランプ批判を展開しています。私は、外交に関してトランプ大統領を支持していますから、大手マスコミの報道はやり過ぎ、行き過ぎではないかと考えています。以下に、トランプ政権内部の内部闘争に関する記事をご紹介しますが、その中には、政権幹部の話として、旧知の記者たちが「この話は本当か」と噂話を確かめる電話をしてくるが、そんな話はないので否定しても、翌日の新聞には記事として掲載される、という話が紹介されています。

 

 アメリカの歴代政権で、内部闘争がなかった政権などありません。大なり小なり争いはあります。バラク・オバマ政権では人道的介入主義派が国務省を根城にして余りにもバカなことをやるので、ホワイトハウスが外交の主導権を握り、キューバとの国交回復、イランとの核開発に関する合意を成立させました。ジョージ・W・ブッシュ政権時代には、ネオコンがまたあまりにも酷いので、そうではない人々が抑え役に回るということがありました。

 

 私はトランプ政権発足時の閣僚やスタッフの配置を見て、「同じような権限や力のポジションに全く違う考えの人々を起用して、競争させつつ、良い案を出させて、トランプがそれを実行するようになるだろう」と考えました。これは、実業家としては当然のことで、「コンペ(コンペティション)」をして、より良い方を選択する、ということです。しかし、外から見れば、内部で対立がある、上から抑える人がいないと、競争がエスカレートしているように見える、ということになります。

 

 トランプ政権は、ワシントンの政治家や官僚に対する人々の怒り、ポピュリズムから生まれた政権です。ですから、既存の政治家や官僚、そしてマスコミは当然反発します。日本でも、新聞やテレビが政権にうまくコントロールされる、官僚が世論を誘導しようとして情報をリークする、ということが問題になっていますが、アメリカでも同じことです。日本の記者クラブ制度は目につきやすいものですが、アメリカでは目に見えない形で、既存メディアのコントロールがあるように思います。

 

 私は、歴代政権と比べて、トランプ政権だけが特別内部闘争が激しいのではない、ただ、メディアが面白おかしくあることないことを報道して、「激しい対立で政権崩壊寸前」という前提で、出来事を分析する記事を掲載していると、それが「真実」であるかのように見られてしまっている、と考えています。

 

 そして、大きくは、トランプ攻撃でトランプを追い出し、出来れば早くマイク・ペンス副大統領を大統領に、そして2020年には民主党系の人道的介入主義派、もしくはその言うことを聞く人物を大統領に、と共和党ネオコン、民主党、官僚、マスコミは考えているでしょう。

 

 しかし、トランプは何度も逆境を乗り越えてきた人物であり、危機的状況すらも内部の引き締めと裏切り者の排除に使うだけの度胸と力を持っていると私は考えます。

 

(貼りつけはじめ)

 

トランプ政権内部の闘争が沈静化(Infighting cools down in Trumpland

 

ジョナサン・イースリー筆

2017年4月25日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/330341-infighting-cools-down-in-trumpland

 

トランプ大統領のホワイトハウスは、内部闘争とリークによる傷を癒そうとしている。政権発足からの100日を越えて、内部闘争とリークに付きまとわれている。

 

トランプは、上級顧問であるジャレッド・クシュナーと首席ストラティジストであるスティーヴン・バノンとの間の一時的な休戦を仲介した。クシュナーはトランプの義理の息子であり、政権内での責任が重くなっている。バノンはブライトバート・ニュース社の会長を務め、好き放題なスタイルとナショナリスト的な考えが目立ち、トランプの型破りな選挙運動を象徴する人物である。

 

バノンと話した人は、バノンがクシュナーを攻撃している自分の味方に対して、攻撃をやめるように強く求めたと語っている。

 

 

しかし、政権内部の闘争と明日の新聞にその話が報道されるのではないかという恐怖感のために、トランプ政権の幹部たちは疲れ切っている。

 

政権の幹部たちがマスコミに対して噂を流し、それを払拭しようとして激しく闘っているように見える。本誌の取材に応じた政権幹部たちは、こうした争いに参加することを拒むと走ってくるバスの下に投げ飛ばされる、もしくはマスコミに対して影響力を失っているという話をされる、という不安を感じていると語っている。

 

「やるか、やられるか」という精神状態は幹部から中堅職員に拡大しており、彼らもまた内部闘争に参加するようになりつつある。

 

ホワイトハウスの幹部たちの間で広がっている不平不満はマスコミが数多く取り上げている。今月初め、政権内部に充満する不平不満が噴出した。連邦上院がニール・ゴーシックの連邦最高裁判事任命を承認した日、マスコミがこれよりも大きなスペースで報じたのが、トランプ政権内の宮廷内闘争の話であった。これはトランプ政権の勝利と言える。

 

政権内部の闘争はトランプの支持者たちにも反映し、彼らの間も分裂している。バノン率いる草の根保守派とニューヨークの「リベラル派」として出現しつつある派閥との間で闘いが起きている。クシュナー、イヴァンカ・トランプ、大統領経済顧問のゲイリー・コーン、大統領国家安全保障担当次席補佐官のディナ・パウエルがニューヨークの「リベラル」に分類される。

 

本誌が取材した共和党関係者たちは、内部闘争とリーク合戦がこれまでにないほどの激しさとしつこさだと語っている。

 

トランプを支えている人々は内部闘争がトランプの大統領としての成功を邪魔していると述べている。

 

アメリカ商工会議所の政治担当上級ストラティジストであるスコット・リードは、「これまでなかったレヴェルのリークがなされていることに衝撃を受けています」と語った。

 

リードは次のように語った。「トランプは実業家で、コンペをして、様々な異なった考えが提示されることを好みます。トランプ政権の秘密は、規律が保たれており、内部の話は外に出ないことです。もし規律が保たれず、秘密が外に漏れるようになると、それがマスコミにとっての格好の攻撃材料となり、トランプ大統領にとっては良くないことになります。トランプは規律を正そうとし、それをうまくやっています。政権内の人々は黙って仕事をすることです。そして、ケンカなどせずに、政策をきちんと進めてほしいですね。宮廷内の争いで経済が成長するなんてことはありませんから」。

 

トランプがバノンとクシュナーの争いに介入し、仲裁をしてから、まだ数週間しか経ってはいない。

 

トランプ政権発足から100日間が経過するこの時期は、トランプ政権内のライヴァルたちがまとまって進めるかどうかを占うテストとなる。

 

ホワイトハウスの幹部たちと政権の閣僚たちは総出で、トランプ政権の政策を売り込むために、地方、全国両方のレヴェルのメディアに出演することになる。そして、政権発足100日間は成功であったとアピールするだろう。

 

トランプ政権に近いある共和党幹部は、「政権発足最初の100日を何とかうまく乗り切ったと思う」と語った。

 

ホワイトハウスの幹部たちは、噂話とリーク合戦に嫌気がさしている。そして、内部闘争はマスコミによって過大に報道され、その中のいくつかの話は完全にでっち上げだと主張している。

 

ある政権幹部は本紙の取材に対して、「報道は大袈裟すぎる」と述べた。

 

他の幹部たちは本紙の取材に対して、記者たちは、彼らに電話をしてきて、政権内部のどぎつい、面白おかしい話に就いて本当かどうかを確かめるのだと語った。政権幹部たちがそうした話は真実ではないと語っても、記者たちはとにかくその話を報道してしまうということだ。

 

ホワイトハンス顧問セバスティアン・ゴルカは月曜日、ジョージタウン大学での講演で、「宮廷内闘争のおかげで新聞は売れるし、インターネット上の広告のクリック数も上がる」と述べた。ゴルカは更に、彼が読んだ内部闘争についての記事のほとんどは完全に嘘だと主張した。

 

マスコミ各社のスクープ合戦や蹴落としあいがあるのは間違いないところだ。

 

トランプの支持者の中には、こうした報道は、トランプ大統領の「創造的な緊張関係」を好む姿勢の副産物だと述べる。「創造的な緊張関係」では、側近たちが競争して、最高のアイデアを生み出すことになる、ということである。

 

保守派のシンクタンクであるアメリカン・プリンシプルズ・プロジェクトの所長フランク・カノンは次のように語る。「トランプは何かを決定する前に、出来るだけ幅広い意見を多くの人々から聞くことを好みます。しかし、政権内部で争いが起きている時にこそ、幅広い意見を多くの人々から聞くことを実行すべきです。特にここ数週間、これを実行すると明確に打ち出すべきです」。

 

バノンとクシュナーの衝突はトランプ政権を第一にする姿勢とは程遠いものとなっている。

 

政権発足してから、トランプは、前共和党全国委員会委員長であった大統領首席補佐官レインス・プリーバスを更迭するという噂が流れた。

 

プリーバスの味方をしている人々は、こうした噂を広めていたのは、トランプの大統領選挙の選対本部にいた人々とバノンの味方をしている人々だと確信していた。こうした人々は、プリーバスはエスタブリッシュメント側の人間で、大統領選挙期間中にトランプに対して忠実ではないと考えていた。

 

プリーバスはこのような噂の払しょくに努めた。そして、バノンとプリーバスはそれ以降、友好関係を築いているように見える。

 

保守派の中には、クシュナー・コーン派の台頭に警戒感を持つ人たちもいる。コーンは元民主党員で、ゴールドマンサックスの役員をしていた。トランプの支持層からは大いなる疑いの目で見られている。

 

保守派の多くはバノンのコーンの台頭によってバノンの力が落ちているという懸念を持っている。トランプがバノンを国家安全保障会議最高会議の出席者から排除した後、バノンはそのまま政権から外れるのではないかという噂が出た。

 

ティー・パーティー運動の指導者デビー・ドゥーリーは先週、本誌のインタヴューに応じ、次のように語った。「そのようなことはないと思うが、トランプがバノンを排除するならば、草の根保守の人々の間で大爆発が起きるだろう」。

 

主流派保守の人々はこのような主張に対して不満を募らせている。主流派保守の人々は、トランプ大統領が様々な種類のアドヴァイザーからの助言を聞いていることを喜んでいる。アドヴァイザーの中には、コーン・クシュナー派と深い繋がりを持つパウエルが、大統領国家安全保障問題担当次席補佐官になっていることに安心感を持っている。

 

共和党のヴェテラン職員チャーリー・ブラックは「彼女はリベラルでもなんでもない。彼女が元連邦下院院内総務ディック・アーミー(テキサス州選出、共和党)とジョージ・W・ブッシュの下で働いたことを思い出すべきだ」と語った。

 

ブラックはまた次のように語る。「私はゲイリー・コーンについて知らない。彼はニューヨーク出身で、熱心な民主党支持者であった人物の典型例だ。しかし、彼は実業家であって、問題解決を優先する人物だ。問題解決を優先する姿勢こそがトランプのメッセージであり、それによって彼は大統領選挙に勝ったのだ。このことを理解する必要がある。バノンは最初から選挙戦に関与した人物ではない。そして、トランプのメッセージは変わっていない。とにかく、トランプがアドヴァイザーたちの助言を全く聞かないなどと考える理由は存在しない」。

 

保守派の人々は、「リベラル」派が勝利しつつある兆候を目撃していると述べている。しかし、最終的な勝利を収めている訳ではない。ティー・パーティーの指導者マーク・メックラーは次のように指摘している。ここ数週間のトランプの発言は、製造業とアメリカ国内の雇用創出に重点を置いたものとなっている。しかし、彼は貿易、移民、国境の壁建設、イスラム国打倒からぶれてはいない。

 

メックラーは次のように語る。「私たちは、ホワイトハウスが実際に行っていることをじっくり見つめている。トランプの考えと姿勢以外はすべて雑音に過ぎない」。

 

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(終わり)





アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22


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 古村治彦です。

 

 トランプ政権内部の権力闘争についての報道がアメリカのマスコミで多くなされています。大統領首席ストラティジストのスティーヴン・バノンを旗頭とする強硬派と、大統領上級顧問で義理の息子であるジャレッド・クシュナーの穏健派が政策を巡り争っているというものです。

 

 バノンとクシュナーの争いを緩和、もしくは解消するために、大統領首席補佐官のレインス・プリーバスが仲介をして会談を行わせたそうです。どんな政治集団も一枚岩ということはありません。人間がやることですから、政策に対する考え方の違いから、単純に「あの人はなにか嫌いだ、受け付けない」ということまで、グループ分けなり、衝突が起きたりします。

 

 それをまとめて、同じ目標に向かうように操縦することが重要ですが、トランプという人は、2つの全く違う考え方、水と油のような人たちを並べて、競わせて、自分が選択する方を選ぶというやり方をする人です。ですが、衝突や分裂を放置していると、政権運営がうまくいかない場合が出てきます。そこで、プリーバスが仲介役で出てきているようです。

 

 トランプ政権発足時、私はプリーバスとバノンに注目して、「両雄並び立たず」になると思っていましたが、現在の状況は、クシュナーも入って、クシュナー、バノン。プリーバスの鼎立関係になっており、プリーバスが政権運営のために仲介役をやっているようです。

 

 これはトランプ政権をうまく運営したいという目的もあるでしょうが、その他に次の次、狙い、マイク・ペンス副大統領を次の大統領にして、自分は次の次位を狙うという目的もあるのだろうと思います。

 

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ホワイトハウス:バノン対クシュナーの争いは「大袈裟」(White House: Bannon-Kushner fighting 'overblown'

 

ジョーダン・ファビアン筆

2017年4月10日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/328135-white-house-bannon-kushner-fighting-overblown

 

ホワイトハウスのシーン・スパイサー報道官は月曜日、大統領側近のスティーヴン・バノンとジャレッド・クシュナー同士の争いに関する報道を否定した。定例記者会見の中で、スパイサーは一連の報道を「大袈裟」だと述べた。

 

スパイサーは記者たちに対して、「政権内の争いについてメディアで多く報道されて、実際よりもセンセーショナルに、面白おかしい話にされているが、大袈裟な内容が多い」と述べた。

 

同時に、スパイサー報道官は、トランプ大統領が、側近たちに対して、メディア上ではなく、見えない場所で政策と性格の違いを解消すべきだと考えているとも述べた。

 

スパイサーは、「私たちの中での戦いと政策の違いはドアの後ろになければなりません。私たちは大統領の掲げる政策に集中し、全てをささげて実行する責任があります」と述べた。

 

大統領首席補佐官レインス・プリーバスは、スティーヴン・バノンとジャレッド・クシュナーとの間の話し合いを取り持ち、争いを止めようとしたと報道されている。ここ数週間、バノンとクシュナーとの間の争いがトランプ政権に打撃を与えているとも報道されている。スパイサー報道官の一連のコメントはこうした報道を受けて行われた。

 

しかし、スパイサーは先週の成果についてトランプ大統領は「大変喜んでいる」と述べた。先週はシリアに対する軍事攻撃、ニール・ゴーサックの最高裁判事の承認、習近平中国国家主席との首脳会談などがあった。

 

スパイサーは大統領について次のように語った。「大統領は、政策の相違と議論についてマスコミに話が流れていることは認識しています。大統領はこうした争いが政策実行に集中するべきだと確信しています」。

 

バノンとクシュナーの会談は、ホワイトハンスの内外で、2人をリーダーとするグループ同士が衝突しているという詳しい報道がなれるようになり、それを受けて、トランプ所有のフロリダ州パームビーチのマーアラゴ・リゾートで行われた。

 

2つのグループの緊張と緊張のために、更なるスタッフの交代が行われるのではないかという憶測が流れている。ホワイトハウス内の権力闘争のために、最初の100日で実行すると約束している政策をトランプが実行できなくなるのではないかという懸念も出ている。

 

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 古村治彦です。

 

 アメリカのシリアに対するミサイル攻撃と同時に、アメリカのマスコミで報道されているのは、国家安全保障会議(National Security Council、NSC)の再編成です。大統領首席ストラティジストのスティーヴン・バノンが最高会議の出席者から外され、大統領国家安全保障問題担当次席補佐官のK・T・マクファーランドが辞任を求められ、シンガポール大使へ転出という報道がなされています。

 

 国家安全保障会議は、アメリカの外交政策や軍事政策を決定する大統領直属の機関で、省庁間の縦割りを排する目的で創設されました。この会議を主宰する大統領国家安全保障問題担当補佐官は、補佐官(advisor)という肩書ですが、閣僚級の影響力を持っていて、大統領の側近中の側近ということになります。トランプ政権発足時には、マイク・フリンが補佐官でしたが、ロシアとの不適切な関係が指弾され、政権発足早々に辞任に追いこまれました。その後、現役の陸軍中将で米軍再編事業のトップであったH・R・マクマスターが補佐官に就任しました。

 

 マクマスターは「居抜き」で補佐官に就任したわけですが、少しずつ独自色を出しつつあるようです。NSCの再編もその一環で、フリン時代(ほぼありませんでしたが)の人々を転出させて、自分の影響力下にある人々をスタッフに登用するということになりそうです。

 

 マクマスターはバノンのNSCからの排除に関して自分の関与をしていますが、おそらくマクマスターの進言もあり、NSC再編の一環で排除が決定されたものと思います。

 

K・T・マクファーランドの転出は、重要な出来事になると思います。マクファーランドは、これまでの共和党政権でアナリストとして力を発揮してきましたし、ヘンリー・キッシンジャーの側近、片腕としても知られています。マクファーランドを政権中枢から排除するというのは、キッシンジャーの影響力を減少させることになります。

 

 すでにご紹介していますが、先週の米中首脳会談の根回しは昨年12月から始められ、トランプ大統領の上級顧問である、義理の息子ジャレッド・クシュナーがキッシンジャーの支援と助言を受けて中国側と人脈作りを行い、首脳会談にまで漕ぎ着けました。

 

 クシュナーが穏健派を代表し、キッシンジャーの助言を受けながら政権内で行動するということになると、マクファーランドまではいらない、キッシンジャー系が多過ぎるということになって、それで転出という話になっているのもかもしれません。

 

 政権内部の再編成で、マクマスターの顔を立てつつ、バランスを取る作業をしているということになるのではないかと考えます。

 

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マクマスターは国家安全保障会議からのバノンの排除を否定(McMaster downplays removal of Bannon from role on NSC

 

レベッカ・サヴランスキー筆

2017年4月9日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/328026-mcmaster-downplays-removal-of-bannon-from-role-on-nsc

 

大統領国家安全保障問題担当補佐官H・R・マクマスターは日曜日にテレビ番組に出演し、マクマスター自身が大統領首席ストラティジストであるスティーヴン・バノンの国家安全保障会議(NSC)における役割を奪ったということを否定した。

 

マクマスターは、「フォックス・ニュース・サンデー」に出演した。その中で、バノンのNSCにおける役割を剥奪したのはどうしてかと質問され、「今回のことは言われているほど重大なことではないのですよ」と答えた。

 

マクマスターは「大統領がやったことは、NSCの常任出席者の件について言いますと、NSCの全ての会議に出席する常任出席者を明確にして、アメリカ国民の長期的な利益に基づいて助言を与える人を明確にすることであったと思いますよ」と述べた。

 

マクマスターは、「大統領は望む相手ならどんな人からでも助言を得ることができる」と述べた。

 

マクマスターは「大統領は実際にそうしていますしね」と語った。

 

マクマスターは更に次のように語った。「大統領は政策決定や政策決定を行った際のリスクや機会について、信頼する様々な人々に質問しています。その中にはスティーヴ・バノンも含まれています。こうしたやり方は何も変わっていないんですよ」。

 

NSCの中で一介の政治顧問が重要な役割を果たすのは不適切だと考えるかどうかと質問され、マクマスターは「大統領がそうした役割を果たしてほしいと思う人が誰でもそうした役割を果たすこと」は適切だと答えた。

 

マクマスターは「スティーヴ・バノンは様々な問題について大統領に助言を与えていますし、これからもそれは続くでしょう」と発言した。

 

トランプ大統領は先週、NSCにおけるバノンの役割を剥奪した。マクマスターがこの決定を行い、トランプが承認したという報道がなされた。

 

バノンは今年1月、NSC最高会議の常任出席者に昇格させられたが、この措置は多くの批判を浴びた。

 

土曜日の各紙の報道では、バノンは政権内で孤立を深めており、彼自身が協力的なアプローチを取ることができないので、首席ストラティジストから更迭される可能性もあるということであった。

 

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大統領国家安全保障問題担当次席補佐官K・T・マクファーランドが辞任(Deputy national security adviser K.T. McFarland to leave post: report

 

ポーリナ・フィロジ筆

2017年4月9日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/328009-deputy-national-security-adviser-kt-mcfarland-asked-to-step-down

 

大統領国家安全保障問題担当次席補佐官K・T・マクファーランドは、トランプ政権の再編成の過程で、辞任を要請されている、と報じられている。

 

マクファーランドは、国家安全保障会議での仕事を始めて3カ月もしないで、駐シンガポール米国大使への就任が予定することになる、と日曜日に『ブルームバーグ』誌が初めて報じた。

 

マクファーランドは、これから2週間は今の地位に留まるだろうとも報じられた。

 

先週、大統領首席ストラティジストであるスティーヴン・バノンが国家安全保障会議の常任出席者から外されたが、これに続いて、マクファーランドへの辞任要請の動きが続くことになった。

 

マクファーランドはフォックス・ニュースの国家安全保障問題担当アナリストを務め、これまで3つの共和党政権でもアナリストを務めた。そして、トランプによって大統領国家安全保障問題担当次席補佐官に起用された。

 

『ニューヨーク・タイムズ』紙は2月、大統領国家安全保障問題担当補佐官マイケル・フリンの辞任を受けて、マクファーランドも辞任するだろうと報じた。

 

しかし、マクファーランドは本誌に対して、大統領の要請を受けて、政権内に留まると答えていた。

 

「私は大統領に会ったばかりで、政権内に留まるように言われました。私はとても興奮しています」と2月に語っていた。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)





アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22
 
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 古村治彦です。

 

 トランプ政権内における内部抗争に関する記事を2本ご紹介します。1つ目はバノン対プリーバス、2つ目はバノン対クシュナーという構図のものです。1つ目では、トランプの最側近であるスティーヴン・バノン(大統領首席ストラティジスト)と共和党エスタブリッシュメントに近いレインス・プリーバス(大統領首席補佐官)の争いがあり、トランプは両者を更迭するのではないかという内容の記事です。

 

 2つ目はクシュナー(トランプの義理の息子、大統領上級顧問)とバノンが対立しており、対立解消のために2人で会談を持ったという内容の記事です。バノンが過激な政治観、クシュナーは穏健な政治観を持っており、そのために対立していると言われています。

 

 このブログでもご紹介しましたが、クシュナーはヘンリー・キッシンジャーの支援を受けて、中国側と穏健に話し合いをする路線ですが、バノンは強硬な姿勢を取っています。

 

 トランプ政権内には、過激で強硬な政治姿勢を主張する勢力を代表するバノンと、穏健でエスタブリッシュメントとも仲良くやっていこうという勢力を代表するプリーバスとクシュナーがおり、この2つの路線が対立しているということになります。

 

 クシュナーとプリーバスの関係がどうなのかは不明ですが、少なくともお互いのバノンとの関係よりは良好であると考えられます。

 

 大統領選挙でトランプを当選させた人々とそれ以外の人々の争いという言い方もできると思いますが、トランプ政権は、2つの路線のバランスの上に成り立っていて、大統領であるトランプが最終的にどちらの考えを採用するのかという形になっていますが、どちらかに肩入れしているという感じは受けません。最後のところはトランプが決断をしますが、ある時は穏健派の考えを、別の時には強硬派の考えを採用しているという感じです。

 

 スティーヴン・バノンが最も影響力を与えていると考えられますが、義理の息子であるクシュナーを重用しています。どちらも通常の政権ではそこまで影響力が大きくない役職である首席ストラティジスト、上級顧問という個人スタッフ程度の役職で、そうした役職の人々が大きな役割を果たしているということについて、公的な立場であるプリーバスには面白くないかもしれません。

 

 これからトランプ政権内部のバランスがどのように変化していくかを注目していかねばなりません。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプはプリーバスとバノンの排除を検討している(Report: Trump considering ousting Priebus, Bannon

 

マックス・グリーンウッド筆

2017年4月7日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/327757-report-trump-considering-ousting-priebus-bannon

 

トランプ大統領は大統領首席補佐官のレインス・プリーバスと大統領首席ストラティジストのスティーヴン・バノンの両方を解任しようと考えていると、金曜日、『アクシオス』誌が報じた。

 

複数の大統領の側近や補佐官たちは『アクシオス』誌に対して、「トランプ大統領は大統領執務室の退勢の大幅な再編を考慮しているが、プリーバスとバノンの解任をいつやるのか、解任をするのかどうかは明確ではない」と語った。

 

ある側近は「差し迫った状況にあるが、大統領が2人の更迭という手段を取ろうと思っているのかは明確ではない」と語った。

 

バノンは、トランプの大統領選挙当選前から、トランプに最も近い、そして最も人々の批判を浴びる側近として注目を浴びてきた。政権発足直後、トランプはバノンを国家安全保障会議の最高会議の常任出席者に引き上げた。『ブライトバート』誌の元最高経営責任者バノンはトランプ大統領に大きな影響を与えていると言われてきた。

 

しかし、今週初め、バノンは国家安全保障会議から排除された。この措置は、ホワイトハウスのスタッフの多くにとって、政権におけるバノンの影響力の低下を示す兆候として捉えられている。「経済ナショナリスト」と自称しているバノンは、自分自身が影響力を巡って、トランプの義理の息子であり、上級顧問であるジャレッド・クシュナーとの間で争っていることを認識しており、そうした中で、国家安全保障会議の再編が行われた。

 

バノンとプリーバスはトランプ政権内の異なる勢力を代表している。プリーバスは共和党全国委員会委員長を務め、政治の素人ばかりのホワイトハウスの中でエスタブリッシュメント側の主張を伝える立場となっている。

 

両者の更迭は発足して間もないトランプ政権に深刻な影響を与えるだろう。トランプ政権は発足してまだ100日も経過していないのだ。

 

アクシオス誌はバノンの後任の首席ストラティジストが誰になるかを報じていないが、首席補佐官プリーバスの後任候補には、連邦下院共和党院内総務ケヴィン・マッカーシー(カリフォルニア州選出、共和党)と大統領経済顧問ゲイリー・コーンの名前が挙がっていると報じた。

 

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クシュなーとバノンは物事を穏やかにしようとしている(Report: Kushner and Bannon attempt to smooth things over

 

ニキータ・ヴラディミロフ筆

2017年4月7日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/327932-report-kushner-and-bannon-attempt-to-smooth-things-over

 

『ポリティコ』誌は金曜日、大統領顧問であるジャレッド・クシュナーとスティーヴ・バノンは、2人の間にある緊張関係をほぐすために、今週、大統領に随行してマーアラゴに到着した後に会談を持ったと報じた。

 

『ニューヨーク・タイムズ』紙は更に2名の別々の取材源(クシュナーとバノンの会談の内容を教えられている)の証言によると、トランプ大統領は側近たちに2人の会談は「うまくいった」と述べた、と報じている。

 

ニューヨーク・タイムズ紙は、バノン、クシュナー、大統領経済顧問ゲイリー・D・コーン、大統領首席補佐官レインス・プリーバスが政権内部で争いが起き、その解決のためにトランプから指示が出された、と報じた。

 

ポリティコ誌によると、バノンとクシュナーとの間での不同意の原因は、政策の違いである。

 

バノンはトランプの義理の息子クシュナーの穏健な政治観を批判し、クシュナーはバノンの大統領に対する影響力と彼のぎらぎらしたスタイルに就いて懸念を表明している、と報じられている。

 

ポリティコ誌によると、バノンとクシュナーはお互いのマイナスの話をメディアにリークすることでお互いを攻撃し合っている、ということだ。

 

今週初め、トランプはバノンの国家安全保障会議での役割を外す決定を下した。

 

ホワイトハウスは政権内部の争いについての報道内容を否定した。

 

ホワイトハウスのサラ・ハッカビー・サンダース報道官はニューヨーク・タイムズ紙の取材に対して次のように語った。「繰り返しますが、この種の内部争いの葉梨は完全に間違いです。この種の話を出しているのは、この政権がもたらしている成功から人々の目を逸らさせたいと思っている人々です。大統領の最高裁判事の指名(この決定は長期間にわたり影響を残す)が本日、承認されました。今週、多くの外国の指導者をお迎えしました。そして、昨晩、大統領はシリアに対して決定的な軍事行動を取りました。私たちが人々を狼狽させているのは、トランプ大統領の積極的な政策を進める際に採用している手法のためであると言えます」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)





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ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22

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