古村治彦です。

 

 トランプ次期政権の顔ぶれに注目が集まっています。選挙は現在の戦争と言うことを考えると、勝者側で勝利に貢献した人物には、「論功行賞」として重要なポストが与えられます。民主党側は現在政権に入っている人たちは軒並み出ていかねばなりません。そうなると、そういった人々がシンクタンクや大学、民間企業、もしくは独力でコンサルタントとなるのですから、民主党側であぶれてしまう人たちも出てきます。

 

 トランプ人事について、これまでの様々な報道を見ていて思うことは、「重要なポストの候補者にはだいたい2名から3名の名前が挙がり、一方はこれまで政府での経験があるワシントンのインサイダーと思われる人で、もう一方は、選挙でトランプ陣営に参加していた人だ」ということです。

 

 トランプは「ワシントンのアウトサイダー」として、「汚れてにごりまくった沼から泥水を抜いて綺麗にする(ドレイン・ザ・スワンプ)」ために、ワシントンに乗り込みます。しかし、トランプ陣営にはどうしても人材が足りません。その空白を埋めるためには、どうしてもワシントンのインサイダーを入れなくてはなりません。そうなれば、トランプは取り込まれてしまう危険も出てきます。

 

 そこで、これは恐らくですが、トランプは相互監視というか、2つのグループの人々を同じような権限のポジションにおいて、相互に競争させるのではないかと思います。忠誠心競争と言いますか、そのようなことをするのではないかと思います。

 

 同じような権限のポジションに2人の人物を置いて、この人たちの間は不仲でお互いが牽制し合っても、自分の意向に逆らわないようにする、というのがトランプの人事の考えではないかと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

クドロー:トランプは政権内に民主党員を入れるべきだ(Kudlow: Trump should bring Dems into Cabinet

 

ハーパー・ニーディグ筆

2016年11月13日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/305744-kudlow-calls-for-trump-to-bring-dems-into-cabinet

 

保守系の経済専門家でドナルド・トランプに非公式に助言を行ってきたラリー・クドローは、トランプ次期大統領が民主党員を閣僚として迎えるのを見てみたいと発言した。

 

クドローは、日曜日にジョン・キャトシマティディスのラジオ番組に出演し、ウォール街の大物で民主党員のジェイミー・ダイモンが財務長官になるという噂について質問された。

 

「ダイモンが財務長官になるのを見てみたいですね。私はジェイミー・ダイモンを尊敬しています。彼は素晴らしい銀行家です。それだけではなく、トランプ氏は政権の中に民主党員を入れるべきなんですよ」。

 

1960年の大統領選挙で、僅差でリチャード・ニクソンを破ったジョン・F・ケネディ大統領は共和党員を財務長官にしたことをクドローは指摘した。トランプも、一般投票総数では民主党候補者のヒラリー・クリントンに負けたことを認識して以降、似たような動きをしている。

 

クドローは続けて「ですから、ジェイミー・ダイモンに財務長官になって欲しいですし、民主党員を政権内に入れるというアイディアも我ながら良いなと思います。トランプ政権でいくらかでも超党派の動きがあれば良いと思います」と述べた。

 

クドローは政治的対話における丁寧さと相互尊重を高めることを求め、そうすることで、超党派の動きが促進されると予測している。

 

ロイター通信は先週、トランプの政権移行ティームはダイモンに財務長官就任を打診したが、JPモルガン・チェースの最高経営責任者は財務長官就任に興味を持っているかどうかは明らかになっていないと報じた。

 

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メインストリート(中小業者)の勝者トランプがウォールストリート出身者を財務長官に(Main Street Champion Trump Turns to Wall Street to Fill Treasury Post

 

デイヴィッド・フランシス筆

2016年11月10日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2016/11/10/main-street-champion-trump-turns-to-wall-street-to-fill-treasury-post/

 

ドナルド・トランプ次期大統領は、ウォール街の特別利益とは関係を持たないアウトサイダーであると支持者に約束して選挙に当選した。しかし、マンハッタン島の南部に位置するウォール街の助けを借りるまでに時間はそんなにかからなかった。

 

CNBCによると、トランプは、JPモルガン・チェースCEOのジェイミー・ダイモンを財務長官に起用しようと考えているということだ。ダイモンはアメリカ国内の四大銀行のうち最大の銀行のリーダーであり、ウォール街でどのようにビジネスが行われているかに精通している人物だ。

 

この他に、トランプは、ゴールドマンサックスの幹部だったスティーヴン・ムヌキンを財務長官に起用しようと考えているとも報じられている。ムヌキンは、2016年の大統領選挙でトランプ選対の財務委員長を務めた。

 

ムヌキンが財務長官に起用されたら、その理由はトランプとの関係ということになる。ダイモンはこれまで繰り返し財務長官の職に興味を持っていないと語っている。ダイモンは、2016年のJPモルガン・チェースの株主たちへの書簡の中で、トランプの政策を批判した。

 

トランプ政権がこれまでの政権の政策や方法と大きくかけ離れたことはやらないということを示す材料を探している人々にとって、こうしたニュースは良いニュースと言える。ウォール街の銀行家が財務長官になるのは、ハンク・ポールソンやティム・ガイトナーという前例がある。彼らは、トランプが選挙戦で主張していた、より非伝統的な政策を行わないように説得しようとするだろう。トランプは選挙戦で、アメリカの国際のデフォルトを主張していた。

 

しかし、伝統からの脱却を望むトランプ支持者たちにとって、民主党候補のヒラリー・クリントンに対して歴史的な番狂わせの勝利を収めてわずか数日後に、トランプは中小企業に背を向けてウォール街に目を向けるようになっていることを示唆する兆候となっている。トランプは、ドッド=フランク法の気勢を廃止する計画を持っているという兆候を示している。これは金融業界にとっては大きなプレゼントなる。ウォール街以外にも財務長官にふさわしい人材が多数いるが、トランプはウォール街の外から財務長官を迎えるかどうかは明確になっていない。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)