古村治彦です。
2019年3月末に、ジョー・バイデン前副大統領に対して、不適切な接触をされて不快感を持った女性が告発をしました。この女性が選挙の候補者として、壇上に立っている時に、バイデン副大統領が後ろから近づき、肩を抱き、後頭部にキスをした、と述べています。それ以降、複数の女性たちが同様の訴えを行っています。
バイデンの行為について民主党側からは擁護が相次ぎ、敵対党派から送り込まれたというような内容の発言まであったことですが、ここで微妙に、バイデンの行為はセクシャルハラスメントではないというような流れに持ってきているように感じます。
バイデンは公の場で、人々の目の前で、候補者となった女性を激励する意図で、肩を抱き、頭にキスをした、これはパーソナルスペースについての認識が時代を経るにつれて変化しているということを認識していなかったからだ、ということが言われています。
セクシャルハラスメントは男女問わず受け手が不快に感じたらそうなのだという子だと思っていましたので、こういった主張はおかしいと思われます。また、受け手側がバイデンの副大統領としての立場、応援しに来てもらっているという恩義、その場(選挙集会)を和やかに進めたいということで拒絶できなかったのですから、セクシャルハラスメントではなかったと言い切ることは難しいと思います。
本人を含め、側近や周囲のスタッフ(男女問わず)も認識しなかったというのも問題で、若い人たちもいたのですから、そこで何らかの意見具申があるべきではなかったかと思います。
この告発を受けて、少しふざけた対応を見せたのがドナルド・トランプ大統領です。今回の件で、バイデンはツイッター上にヴィデオ映像を投稿し、その中で、自身のパーソナルスペースの認識が古かったこと、誰にでもそのような方法で接していたこと、今後はより注意することを約束することを述べましたが、謝罪はありませんでした。
このヴィデオ映像が面白おかしく加工され、話しているバイデンの映像にバイデンの写真が近づき肩を抱き、後頭部にくっつくという映像を作った人がいました。トランプ大統領はこのヴィデオ映像を自身のツイッター上に投稿し、「お帰りなさい、ジョー」という言葉を書きました。これに対して、バイデンは「いつも通りの反応」だと反撃しました。
今回の経緯をまとめると次のようになります。「ルーシー・フロレスからの告発→バイデンの広報担当からの反応→バイデンがヴィデオ映像で釈明→このヴィデオが揶揄される形で編集されたパロディがツイッター上に投稿される→トランプ大統領がこのヴィデオをツイッター上に投稿→バイデンが反撃」です。
今回の件でバイデンの人気は低下するでしょうが、彼以外にはサンダースくらいしか有力候補がおらず、サンダースになればただでさえ分裂気味の民主党はまとまらないとなると、何とかバイデンを押し立てて進んでいくしかないということになります。
(貼り付けはじめ)
バイデンはトランプに対して反撃:「大統領らしい、いつも通り」(Biden hits
back at Trump: 'Presidential, as always')
レイチェル・フラジン筆
2019年4月4日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/campaign/437477-biden-hits-back-at-trump-presidential-as-always
ジョー・バイデンは木曜日、トランプ大統領に反撃した。トランプ大統領は、前副大統領に対する不適切な接触という告発を揶揄する編集されたヴィデオをツイッター上に掲載した。
バイデンは「大統領のいつも通りのふるまいを見ている」とツイッター上で書いた。
バイデンのツイートは、トランプ大統領が編集したヴィデオを投稿した後に、出されたものだ。トランプ大統領はヴィデオを掲載し、その投稿にバイデンが告発に対して行った声明からの文言を付け加えた。
トランプ大統領が投稿した、編集されたヴィデオ映像は15秒間だ。バイデンが話している間に、発言内容が文字として掲載され、同時に、バイデンの写真が話しているバイデンの肩を抱き、彼の後頭部に顔をくっつけるように編集されている。
バイデンはヴィデオ映像の中で次のように述べている。「私は握手をし、ハグをし、男性女性問わず肩を抱き、“あなたなら出来ますよ”と言う。女性、男性、若い人、高齢者関係なく、私はそのように行動してきた。私はこのような方法で、皆さんに関心を持ち、話を聞いていることを示そうとしてきた」。
ここ数日、複数の女性たちがバイデンに接触され不快に感じたと告発している。バイデンは大統領選挙出馬宣言を行うものと見られている。
バイデンは水曜日、ヴィデオをツイッターに投稿し、その中で、パーソナルスペースに「より注意」そ、彼の行動を変えると約束したが、告発者たちに対して直接謝罪をしなかった。
バイデンはヴィデオの中で次のように述べている。「社会規範は変化し始めていた。それらは変わっている。パーソナルスペースの範囲は新しくなっている。私は理解した。私は女性たちの発言を聞いた。私は理解した。わたしはこれからより注意する。それは私の責任で、私は責任を果たす」。
水曜日、バイデンは謝罪すべきかと記者団に問われ、それはバイデンが決めることだとトランプ大統領は答えた。
トランプ大統領は、「彼は自分自身で決断を下すだろう。彼は決断をする力を持っていると思う」と述べた。
トランプ大統領は「彼の幸運を祈る。心から幸運を祈る」と述べた。
トランプ大統領自身も10名以上の女性から性的に間違った行動で告発され、その内容を否定した。
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トランプ大統領がバイデンのヴィデオ映像のパロディ映像を投稿:「お帰りなさい、ジョー」(Trump
shares parody Biden video: 'Welcome back Joe')
ジョーダン・ファビアン、ブレット・サミュエルズ筆
2019年4月4日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/administration/437416-trump-shares-parody-biden-video-welcome-back-joe
木曜日、トランプ大統領は、ジョー・バイデン前副大統領に対する不適切な接触という告発を揶揄するために編集されたヴィデオ映像をツイッター上で共有した。
トランプ大統領はこのヴィデオ映像をツイッター上に投稿した。このヴィデオ映像には、その前日にバイデンが告発について出した声明からの文言を抜き出して付けられていた。トランプ大統領は投稿に次のメッセージをつけた。「お帰りなさい、ジョー!("WELCOME BACK JOE!")」 。
15秒のヴィデオ映像は、バイデンが話している間に、発言内容が文字として掲載され、同時に、バイデンの写真が話しているバイデンの肩を抱き、彼の後頭部に顔をくっつけるように編集されている。
2020年の大統領選挙への出馬が見込まれているバイデンはヴィデオ映像の中で、「私は握手をし、ハグをし、男性女性問わず肩を抱き、“あなたならできる”と言ってきた。女性、男性、若い人、高齢者、関係なく私は常にそのようにしてきた。これは私が皆さんに関心を持ち、話を聞いていますということを示そうとしてのことだった」と語った。
このヴィデオはトランプ大統領に対する最新の攻撃材料になった。ジョー・バイデンは、複数の女性たちから不適切に接触されたという告発を受け、論争の中心となっている。
カープ・ドンクトンというツイッターアカウントに、編集されたヴィデオ映像が最高に投稿された。そして、トランプ大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニアによってリツイートされた。
トランプ大統領は、火曜日の全米共和党連邦議員委員会主催の夕食会での演説で2度にわたり、バイデンを告発に絡めて揶揄した。トランプ大統領はバイデン副大統領に対して、「この世界にようこそ」と言いたい気分だと述べた。また、聴衆に対して、イスラム国との戦いで朗報をもたらされたことで、米軍の指導者にキスをさせてくれと頼んだ時に、「ジョー・バイデンのような気分になった」と語った。
水曜日、トランプ大統領はバイデンが謝罪すべきかどうか質問され、より抑制的な態度を取った。大統領は閣議室で記者団に対して、バイデン前副大統領は「自分自身で決断することになるだろう」と述べた。
2016年の選挙期間中に10名以上の女性がトランプ大統領を性的に不適切な行為を告発した。大統領はこれらの告発内容を否定した。
2016年の大統領選挙期間中、2005年に「アクセス・ハリウッド」に出演した際に、これまで女性たちに同意なしでハグしキスをしてきたと発言したことに注目が集まり、トランプは広範な批判に晒された。彼は後に自身の発言を「ロッカールームでの軽口」だったと述べた。
ここ数日、複数の女性がバイデンによる不適切な接触について公の場で発言をしている。女性たちはバイデンが不適切な接触をし、不快に感じる行動をしたと述べている。
バイデンは水曜日にツイッターに投稿したヴィデオで女性たちの告発について言及した。彼は告発者たちに直接謝罪しなかった。しかし、時代は変化しており、彼自身の行動を時代に合わせると述べた。
バイデンは次のように述べた。「社会規範は変化し始めていた。これらは変化している。パーソナルスペースの範囲は新たに決まっている。私はそれを理解した。私は女性たちの告発を聞き、理解した。私はこれからもっと注意する。それが私の責任であり、それを果たす」。
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バイデンに対する告発に対するブティジェッジの発言:全ての人々が「より高い基準」を持つことは「悪いことではない」(Buttigieg on Biden allegations: 'Not a bad thing' everyone is being
held to 'very high standard')
クリス・ミルズ・ロドリゴ筆
2019年4月3日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/campaign/437296-buttigieg-on-biden-allegations-not-a-bad-thing-were-all-being-held-to-very
インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジ(民主党)は水曜日、ジョー・バイデン前副大統領に対する不適切な接触の告発について質問され、「人々が大変高い基準を持つことは悪いことではない」と答えた。
ブティジェッジは告発に対する前副大統領の対応について「私はヴィデオ映像を全て見ていないので、副大統領が述べたいことを述べることに任せたい。私が言えることは、現代に生きる我々はより高い基準を持つべきで、それは悪いことではない」と述べた。
ブティジェッジは2020年米大統領選挙民主党予備選挙候補者であり、バイデンが告発に応えるためにヴィデオ映像を発表してすぐにコメントを行った。ヴィデオ映像の中で、バイデンはこれから女性のパーソナルスペースにより注意を払うと約束した。
バイデンは次のように述べた。「社会規範は変化し始めていた。それらは変化し、パーソナルスペースの範囲はリセットされており、私はそれを理解した。私は女性たちの発言を聞き、理解した。私はこれからより注意する。これが私の責任であり、それを果たす」。
ヴィデオ映像の中で、バイデンは告発した女性たちに対して直接謝罪をしなかった。そして、彼の行為は悪意を含んだものではなかったと主張し、男性女性問わず、同じように行動していたと述べている。
ここ数日、4名の女性が新たにバイデン前副大統領の公の場での接触によって不快を感じたということを発言している。
76歳になるバイデンはもうすぐ、2020年米大統領選挙へ出馬宣言すると見られている。
米大統領選挙立候補者のうち、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、エイミー・クロウブッシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は、バイデンへの告発者たちの告発内容を信じると述べた。
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民主党の政治家だった人物がバイデンの「不適切な接触」について接触(Former Dem
politician accuses Biden of 'inappropriate' contact)
タル・アクセルロッド筆
2019年3月29日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/campaign/436517-nevada-politician-accuses-biden-of-inappropriate-contact?fbclid=IwAR1-4oRY7QiHRw_iK_IrzBOeXnI0VIe2smXnnXooSXkhik8i461QYEoDcxs
ネヴァダ州副知事選挙に立候補した経験を持つルーシー・フロレスは金曜日、2014年の選挙集会でジョー・バイデン前副大統領(当時は現職の副大統領)と同席した際に、不適切な接触を受けたと告発した。
フロレスは『ザ・カット』誌に文章を発表した。その内容は、選挙集会の壇上で彼女がバイデンの隣に立っていた時、バイデンは彼女の肩に手を置き、彼女の髪の毛の匂いを嗅ぎ、彼女の頭にキスをした、というものだ。
フロレスは次のように続けている。「私は深呼吸をして、聴衆の前で演説を使用とした時、私の肩に2つの手が置かれることを感じた。私は凍り付いた。“どうしてアメリカ副大統領が私に触っているのか?”彼が私の背後から私に近づいていることを感じた。彼は更に近づき、紙の匂いを嗅いだ。私は屈辱を感じた」。
フロレスは続けて次のように書いている。「彼は私の後頭部にキスをした。私の脳は何が起きているかを理解することが出来なかった。私は屈辱を感じた。衝撃を受け、混乱した」。
フロレスは、「私はそれまでこのように極めて不適切で配慮に欠けたことをされた経験がなかった」と述べた。
フロレスは続けて次のように書いている。「バイデンはネヴァダ州まで来て、私の指導力と副知事にふさわしい能力を持つことを話すことになっていた。彼はこれが重要な仕事であることを分かっていた。しかし、彼が私に接触した時、彼は自分の同僚に対するのと同じ対応を私にすることを止めたのだ。彼の行為が暴力的でなく、性的なものではないにしても、品位と敬意を欠いたものだ。私は彼の生徒もしくは友人として登壇したのではない。私は副知事にふさわしい人物として登壇したのだ」。
バイデンの広報担当者は金曜日、本誌の取材に対して、フロレスが述べた出来事について、副大統領もスタッフも記憶していないが、バイデンは彼女が自身の考えを人々と共有する権利を持つと考えていると答えた。
バイデンの広報担当ビル・ルッソはEメールでの声明について次のように述べた。「バイデン副大統領は2014年のルーシー・フロレスのネヴァダ州副知事選挙運動を喜んで支援し、大群衆の前で彼女に対する応援演説を行った」。
ルッソは続けて次のように述べた。「その時だけでなく、それ以降の年月も、バイデンもしくはバイデンに近い人々はフロレス氏が不快に思っていたことを認識していなかったし、彼女の語る出来事の内容を記憶していなかった。しかし、バイデン副大統領は、フロレス氏が回想と考えを人々と共有する権利を持っていると考えている。私たちの社会をより良くするために、彼女がそのように機会を持つべきだと考えている。バイデン副大統領はフロレス氏を政治において強く、独立した発言者として尊敬し、彼女が最善を尽くせるように祈っている」。
フロレスは選挙集会の後に出来事について彼女のスタッフの数人に話した。しかし、「自分の人生と仕事」を前に進めるという最終決定を下した。
バイデンがその後も「女性や若い女の子たちに不愉快なくらいに近づいている」写真を見るたびに、彼女の「怒り」と「後悔」は大きくなり、告発しようと決心するに至った。
「バイデンは法律も破っていないが、社会が道徳的に些細な罪(もしくは道徳的には罪ではない)を犯している。これは受け手にいつも大きなストレスを与えている。権力と注意との間にバランスが保たれていないことがポイントであり、問題だ」。
フロレスは2014年の副知事選挙で敗れた。現在は、ラティーノ運動グループ「ラズ・コレクティヴ」の代表を務めている。
バイデンはこれから数週間以内に大統領選挙出馬を表明すると見られている。民主党の一部にはバイデンが2020年米大統領選挙の民主党候補者となるのに十分に進歩主義的であるかどうかを精査されている。
ジョー・バイデン前副大統領に対しては、1990年代の連邦上院でのアニタ・ヒルの公聴会に対する取り扱いについて批判を受けている。この当時、ヒルは当時の連邦最高裁判事の候補者クラレンス・トーマスをセクシャルハラスメントで告発していた。
バイデンは当時連邦上院司法委員会の委員長を務めた。
今週、バイデンは連邦上院議員時代にヒルに対してもっと何かすることが出来たのではないかという後悔を示した。
バイデンは火曜日の集会で次のように述べた。「勇敢な法律家、素晴らしい情勢であるアニタ・ヒル教授は、クラレンス・トーマスにハラスメントされたという経験について語ることで大いなる勇気を示した。しかし、彼女は大きな代償を支払うことになった。彼女は連邦上院での公聴会で酷い扱いを受けた。彼女は利用された。彼女の名声は攻撃を受けた。私はあの時に何かできたのではないかと後悔している」。
(貼り付け終わり)
(終わり)
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