古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:テキサス州

 古村治彦です。

 2020年アメリカ大統領選挙の投開票が始まった。「ジョー・バイデンの圧勝」と言っていたのは誰だっただろうか?現在のところ、ドナルド・トランプとジョー・バイデンは全米各地で大接戦を展開中だ。
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 そうした中で、ジョー・バイデン応援団の『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』紙はネイト・シルヴァー率いる「ファイヴサーティーエイト」と組んで、独自の報道を展開している。それは、「フロリダ州、ジョージア州、ノースカロライナ州」に注目して、「これら3つの州のうち、1つでもバイデンが勝利すればバイデンが大統領になる、3つの州全部をトランプが取れば、結果が出るまでに時間がかかる」というものだ。そして、バーンと大きく、この3つの州での情勢について「選挙針」というものを提示している。
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 NYTとしては、ここで「バイデン勝利」を印象付けたかったのだろうが、日本時間11月4日午前11時現在の情勢は以下の通りだ。NYTとファイヴサーティーエイトは3つの州でトランプが勝利する確率が高いと予測している。

 さて、NYTとファイヴサーティーエイトは膨大な各種世論調査の結果から、バイデン勝利の確率を90%、トランプ勝利の確率を9%、同点となる可能性を1%と弾き出した。以下のようなものだ。

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 これにいくつかの条件を加えると、あら不思議、トランプの勝利可能性がグーンと高まるのだ。テキサス州の勝利は私独自の見解ではあるが、上記の3つの州、フロリダ州、ジョージア州、ノースカロライナ州の予測はNYTとファイヴサーティーエイトの見解である。これを足してみると、なんと、バイデンの勝利確率は38%、トランプの勝利確率は60%、同点となる可能性は2%となった。

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 これは確率統計と世論調査の方法論のなせる業である。

 私が今のところ、気になっているのはヴァージニア州とミシガン州で、開票率が低い段階ながら、トランプがバイデンに10ポイント以上の差をつけていることだ。ヴァージニア州はバイデン勝利と予測していたので驚きだ。ミシガン州は大接戦となると思っていたので、こちらにも驚いている。オハイオ州は脱線となっているが、私としてはトランプ勝利を予測したので、何とかトランプに勝ってもらいたい。

 前回と今回の大統領選挙の結果から見て、世論調査の方法論に関しては改善や見直しがなされるべきだということを改めて思う。政治学という学問分野において、世論調査は研究の根拠、基盤、土台となるものだ。その信頼性が揺らぐとなると、「科学」であることを目指してきた政治学の信頼性が揺らぐということになる。
※追記します(2020年11月4日午後12時15分)
 トランプ陣営にとっては最高の展開の地図を示す。これは私が作ったものではなう。ロイター通信のアメリカ大統領選挙特設ページで先ほど12時2分ごろに示されたものだ。思わず「嘘だろ」と叫んでしまうほどにトランプ有利な地図。これからオセロのように青(バイデン)が増えていくとは思うが、増えなければ、民主党とバイデン陣営には悪夢のような結果になる。
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(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙の投開票日まで3週間ほどを残すだけになった。現状では、民主党のジョー・バイデン前副大統領が有利という報道がなされている。確かに各種世論調査の結果ではバイデンがドナルド・トランプ大統領をリードしている。しかし、日本で報道されるのは、全米規模での世論調査の数字である。

アメリカ大統領選挙の方式は各州に選挙人が配分され、各州の得票数で多かった候補者が選挙人を総取りする、選挙人の獲得数で勝敗が決するものとなっている。全米規模での単純に総得票数が多い候補者が勝利ということにはならない。

 従って、しつこく繰り返し述べることになるが、各州の動向を見てみなければならない。しかし、アメリカにあるすべての州とワシントンDCについて調べる必要はない。そもそも共和党が優位で選挙結果が動かない共和党優位州(レッドステイト)と民主党優位州(ブルーステイト)がある。合わせて40州程度はそうだ。残りの10州が激戦州(スイングステイト)の動向を見ておかねばならない。

 私が特に注目しているのはフロリダ州とテキサス州の動向だ。前回の大統領選挙では両州共にトランプ大統領が勝利した。今回の大統領選挙の世論調査の結果で見ると、テキサス州ではトランプ大統領がややリード、フロリダ州では大接戦となっている。私はトランプ大統領がこの両州を今回取れなければ、かなり厳しい状況になると考える。両州共にトランプ大統領が取れれば、アメリカ北部の五大湖周辺州で決戦ということになる。

 大統領選挙ではまずフロリダ州とテキサス州の結果にご注目いただきたい。

(貼り付けはじめ)

世論調査:フロリダ州とアリゾナ州でバイデンはトランプと接戦(Poll: Biden neck and neck with Trump in Florida, Arizona

ジョセフ・チョイ筆

2020年10月7日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign-polls/520065-new-poll-shows-biden-leading-trump-in-florida-neck-and-neck-in?fbclid=IwAR2g5JnJg_X6vcY-TgZudllJCNctaG3wSVKGsKNa7BDTc-7QzyCBxRlzRK8

水曜日に発表されたロイター社とイプソス社の共同世論調査の結果によると、民主党候補者のジョー・バイデンはフロリダ州とアリゾナ州という激戦州でトランプ大統領をリードしている。

この世論調査では、バイデン前副大統領はフロリダ州で4ポイントのリードをつけており、支持率はバイデンが49%、トランプが45%だった。アリゾナ州では、バイデンはトランプに2ポイントの差をつけている。支持率はバイデンが48%、トランプが46%となっている。

両州でのバイデンのリードは世論調査の誤差の範囲内にとどまっている。

2016年の大統領選挙では、トランプはフロリダ州とアリゾナ州を僅差でものにした。フロリダ州では1.2ポイントの差をヒラリー・クリントン元国務長官につけた。トランプはアリゾナ州では3.6ポイントの差をヒラリーにつけた。

今年の11月の選挙でバイデンがアリゾナ州で勝利ということになると、1996年にクリントン元大統領が勝利を収めて以来、初めて民主党の候補者が勝利を収めるということになる。

ロイター社の世論調査によれば、フロリダ州の調査参加者の50%がバイデンの方がより良く新型コロナウイルス感染拡大に対応するだろうと答え、41%がトランプの方がより良く対応すると答えた。

新型コロナウイルス感染に関すると、アリゾナ州の調査参加者の49%がバイデンの方が感染拡大により良く対応するだろうと答え、43%がトランプの方がより良く対応するだろうと答えた。

今回の世論調査はトランプ大統領が新型コロナウイルス陽性という診断が出て6日後に発表された。トランプ大統領とその他の共和党幹部たちは新型コロナウイルスに感染した。その中には、ニュージャージー州前知事クリス・クリスティ、大統領上級補佐官ホープ・ヒックス、大統領元顧問ケリアン・コンウェイが含まれている。

トランプ大統領は火曜日夜に新型コロナウイルス関連経済対策交渉を打ち切った。連邦下院議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)と民主党側が経済刺激策について「真面目に」交渉していないとトランプ大統領は主張している。トランプ大統領は後に水曜日になって交渉打ち切りを撤回し、連邦議会に対してより小規模の経済刺激策法案を可決するように求めた。

キュニピアック大学の最新の世論調査の結果が水曜日に発表され、フロリダ州ではバイデンがトランプ大統領に11ポイントの差をつけてリードしており、過半数がトランプに投票すると答えたということだ。

水曜日に発表されたラスムッセン社の全国規模の世論調査では、バイデンがトランプ大統領に12ポイントに差をつけている。

バイデンに対する支持は大きくなっており、これはト先週火曜日に実施されたランプ大統領とバイデンとの間の混乱に満ちた討論会の後に出てきている。オハイオ州で実施された討論会で、司会者でフォックスニュースのキャスターであるクリス・ウォレスは両者の会話が脱線しないように苦労し、何度も割り込みされた。その割り込みのほとんどはトランプ大統領によるものだった。

ロイター通信・イプソス社がアリゾナ州とフロリダ州で実施した世論調査は、英語とスペイン語で実施されあt

フロリダ州での世論調査は929日から106日にかけて実施された。1100名の成人、その内の678名は必ず選挙に行くと答えたが、これらの人々からの回答を集めた。誤差は4ポイントだ。

アリゾナ州での世論調査は9月29日から107日にかけて実施された。1099名の成人、その内の663名は選挙に必ず行くと答えたが、これらの人々からの回答を集めた。誤差は4ポイントだ。

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最新のキュニピアック大学の世論調査で、フロリダ州ではバイデンが11ポイントの差をつけてリード(Biden holds 11-point lead over Trump in Florida in new Quinnipiac poll

マックス・グリーンウッド筆

2020年10月7日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/520032-biden-holds-11-point-lead-over-trump-in-florida-in-new-quinnipiac-poll

水曜日に発表されたキュニピアック大学の最新の世論調査の結果によると、民主党候補者のジョー・バイデンはフロリダ州でトランプ大統領に11ポイントの差をつけてリードしている。

今回の世論調査では、フロリダ州の有権者の51%がバイデンを支持し、40%がトランプを支持している。

That’s a remarkably wide margin for a state where elections are typically decided by only a few points.フロリダ州で最近行われた各種世論調査の結果ではもっと接戦になっている。

先月実施された、キュニピアック大学のフロリダ州での世論調査では、バイデンはトランプに対して3ポイントの差をつけていた。「ファイヴサーティーエイト」の最新の各種世論調査の平均では、バイデンはトランプに対して3.7ポイントの差をつけている。

水曜日に発表されたキュニピアック大学の世論調査では、ペンシルヴァニア州ではバイデンがトランプを54%対41%、アイオワ州では50%対45%でリードしている。

キュニピアック大学の世論調査アナリストであるティム・マロイーは次のように述べている。「程度の差こそあれ、アメリカ国内の全く別の場所と地域にある3つの重要な州で同様の不吉な結論を示しています。トランプ大統領の再選の希望は一日一日暗くなっています」。

バイデンがフロリダ州で勝利することはトランプ大統領の再選の機会に対しての致命的な打撃となるだろう。トランプ大統領は2016年の大統領選挙で10万票以内の僅差で勝利を収めた。フロリダ州は再選に向けての中心的な要素となる。大統領は昨年、フロリダ州を居住州とした。

キュニピアック大学の世論調査では、フロリダ州在住の有権者の48%がバイデンに好意的な意見を持っており、41%が好意的ではない意見を持っていると答えた。対照的に、トランプに対する好意は水準を下回っており。38%が好意的な意見を持っており、54%が好意的ではない意見を持っていると答えた。

医療制度を含む諸問題について、特にアメリカの新型コロナウイルス感染対応と最高裁判事の指名について、世論調査の結果によると、バイデンはトランプに比べかなり高い評価を受けている。経済に関してだけは、有権者たちはトランプの方がより良い候補者だと考えている。経済について、トランプの支持率は50%、バイデンの支持率は44%だった。

キュニピアック大学の世論調査は、2020年10月1日から5日かけて1256名の「選挙に行く」と答えた有権者から集めた回答を基にしている。誤差は2.8ポイントだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙に関する各種世論調査の結果では、民主党のジョー・バイデン前副大統領が有利となっている。確かに数字を見てみればジョー・バイデンが共和党の現職ドナルド・トランプ大統領をリードしている。各州の世論調査の数字を大統領選挙の選挙人獲得に当てはめた地図を見ると、バイデンが225、トランプが115、接戦が201となっている。選挙人270を獲得した候補者が大統領となる。

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 下の2つの記事から現在のアメリカ大統領の大きな流れが分かる。その一つは、トランプ大統領への支持は積極的支持でバイデン前副大統領支持は消極的支持というものだ。

CBSニュースの最新の世論調査で、「あなたがトランプ大統領(バイデン副大統領)に投票する理由は何ですか?」という質問があり、この質問に対する答えの結果が興味深い。「バイデン前副大統領に投票する」と答えた有権者の中で、50%が「トランプ大統領に反対するため」と答え、27%が「バイデン前副大統領が好きだから」と答え、23%が「民主党の候補者だから」と答えた。一方、「トランプ大統領に投票する」と答えた有権者の中で、68%が「トランプ大統領が好きだから」と答え、17%が「バイデン前副大統領に反対するため」と答え、15%が「共和党の候補者だから」と答えた。

 バイデン支持の半数はバイデンが好きとか、民主党支持だからではなく、トランプ大統領が嫌いだから、反対したいから、でバイデンに投票すると答えている。この半数は別にバイデンではなくて良かったわけだ。バイデンが好きだという投票予定者は27%しかいなかったというのはバイデン陣営からすればショックだろう。この50%の一部は現在の新型コロナウイルス感染拡大への対応や経済状況から、トランプ大統領に反対するためにバイデンに投票すると考えているだろうが、状況が好転すればどう動くか分からない。

 以前の記事でも指摘したが、対中国政策と経済運営の点ではトランプ大統領の方が、バイデン前副大統領よりも評価が高い。一方、新型コロナウイルス感染拡大対応に関して、トランプ大統領への評価は低く、バイデンに対しては、大統領になって対応するための準備ができているという評価がなされている。

 新型コロナウイルス感染拡大対策と経済対策は車の両輪であって、どちらか一方に偏ると、とんでもない対策が実施されてしまう。このバンランスを取ることが難しいが、それこそが政治家、指導者の仕事だ。そうした中で、感染拡大が続く中で経済の落ち込みもまた深刻さを増している。アメリカ国民の関心が経済に向くようになると、トランプ大統領への支持も回復していくだろう。

 大統領選挙の大きな流れとしては、アメリカ政治の対立構造が「共和党対民主党」から「親トランプ対反トランプ」になっていることだ。有権者の党派の好みは薄まり、トランプを支持するかどうかで、投票行動が決まっている。単純に金持ちや自営業者だから共和党に入れるとか、民主党は貧乏人のための政党だから入れるとか、そういう話ではなくなっている。既存の二大政党への支持や感心が落ちていることが分かる。これは共和党、民主党どちらにとっても深刻な問題だ。

 上の図にあるように、アメリカ大統領選挙は現在のところ、バイデン有利だ。しかし、激戦諸州の選挙人201の動きがどうなるか、上の図にある灰色の州の中で、特にフロリダ州、テキサス州、ペンシルヴァニア州、オハイオ州、ミシガン州、ウィスコンシン州といった私が重要な激戦諸州と指摘している諸州の動向、選挙人131の動向が大統領選挙の結果を決することになるだろう。

(貼り付けはじめ)

世論調査:全国規模でバイデンがトランプ大統領に対して10ポイントの差をつけてリード(Biden up 10 points over Trump nationally: poll

レベッカ・クレア筆

2020年7月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/509142-biden-up-10-points-over-trump-nationally-poll

最新世論調査の結果によると、民主党の大統領選挙候補者に内定しているジョー・バイデンがトランプ大統領に10ポイントの差をつけてリードしている。

日曜日に発表されたCBSニュース・ユーガヴの共同世論調査の結果によると、選挙に行くと答えた有権者の51%がバイデン支持と答え、41%がトランプ大統領支持と答えた。4%が支持する候補者を決めていないと答え、別の4%は全く別の個人もしくは第三党の候補者を支持すると答えた。

CBSニュースが日曜日に発表した別の各種世論調査によると、ミシガン州ではトランプがバイデンを追いかけ、オハイオ州では両者が接戦を展開している。この2つの激戦州は2016年の大統領選挙ではトランプ大統領が勝利を収めた。

全国規模の各種世論調査と激戦州での各種世論調査でバイデンがリードをしているが、11月の大統領選挙投開票日まで残り約100日を切った段階にある。

今回の全国規模の世論調査で調査対象となった有権者の10人のうち9人以上が投票したいと考えている候補者を変更しないと答えた。78%が自分たちの候補者への支持は「大変に強力」だと答えた。16%が「強力」と答えた。支持する候補を変更する可能性があると答えたのは5%にとどまり、1%は変更する「可能性が高い」と答えた。

バイデンへの支持は、反トランプという考えによってもたらされている。バイデンに投票すると答えた有権者の50%は、バイデンを支持するのはトランプ大統領に反対するためだと答えた。バイデンが好きだから投票すると答えたのは27%に過ぎなかった。バイデンに投票するのは民主党の候補者だからだと答えたのは23%だった。

一方、トランプ大統領への支持は候補者としてのトランプ大統領を支持しているというのが主な理由となっている。トランプ大統領に投票すると答えた有権者の68%はトランプ大統領が好きだから投票すると答えた。バイデンに反対するためにトランプ大統領に投票すると答えたのは17%に過ぎず、トランプ大統領が共和党の候補者だから投票すると答えたのは15%にとどまった。

今回の世論調査は2020年7月21日から24日にかけて2008名の成人を対象に実施された。誤差は2.5ポイントだ。

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世論調査:重要な激戦州ノースカロライナ州でバイデンがトランプに対して7ポイント差をつける(Poll: Biden tops Trump by 7 points in key battleground state of North Carolina

ジャスティン・ワイズ筆

2020年7月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign-polls/509123-poll-biden-tops-trump-by-7-in-key-battleground-state-of-north

最新のNBCニュースとマリスト大学の共同世論調査によると、民主党の大統領選挙候補者に内定しているジョー・バイデンが、ノースカロライナ州において、トランプ大統領に7ポイント差をつけた。2016年の大統領選挙でトランプ大統領はノースカロライナ伊州で勝利した。

この世論調査によると、登録済み有権者の51%が2020年の大統領選挙ではバイデンに投票すると答えた。一方、44%がトランプ大統領を支持すると答えた。今年3月の同様の世論調査の結果では、バイデンがトランプに4ポイントの差をつけていた。

2016年の大統領選挙でトランプ大統領が民主党候補者ヒラリー・クリントンを3ポイントの差をつけて破ったノースカロライナ州で、今回の世論調査においてトランプ大統領の支持率は大きな下落を記録した。ノースカロライナ州の有権者の41%がトランプ大統領の仕事ぶりを評価し、55%が評価しなかった。これまでの4カ月で支持率は11ポイントの下落を記録した。

今年3月、NBCニュースとマリスト大学が行った世論調査の結果では、トランプ大統領の支持率は45%、不支持率は48%だった。

ノースカロライナ州でのバイデンのリードは無党派有権者の支持がその理由である。無党派有権者の49%がバイデンを支持すると答え、41%がトランプ大統領を支持すると答えた。バイデンはまた女性有権者とどちらの候補者も好きではないと答えた有権者の間でも堅調な支持を集めている。

アフリカ系アメリカ人有権者の中では、86%がバイデン支持で、トランプ支持は8%だ。今回の世論調査の結果によると、トランプは白人有権者と大学の学位を持たない白人有権者の間でリードを保っている。ノースカロライナ州の有権者の過半数は、トランプ大統領は経済運営を行うために準備がより良くできている候補者だと考えている。

コロナウイルス感染拡大へのトランプ大統領の対処を評価しているのは34%にとどまった。一方、51%がバイデンの方がより準備ができていると答えた。

今回の世論調査の結果は2020年の選挙まで100日を切った時点で出された。現在、アメリカは国内各地でコロナウイルス感染拡大が続いている。月曜日の朝までの時点で、アメリカ国内では420万件のCOVID-19が確認された。COVID-19は新型コロナウイルスによって引き起こされる。死亡者数は約14万6900に達している。

各種世論調査の結果によると、多くの激戦州においてバイデンはトランプに対して攻勢をかけている。激戦州が選挙の帰趨を決することになるだろう。日曜日に発表された別のNBCニュースの世論調査の結果によると、バイデンはアリゾナ州、ミシガン州、そしてフロリダ州でバイデンがリードをしている。2016年、トランプ大統領はこれらの州で勝利を収めた。同日に発表されたAP通信の世論調査の結果によると、アメリカ国民の中でトランプ大統領のコロナウイルス感染爆発への対処を評価しているのは32%にとどまった。これは最低記録を更新するものとなった。

最新のNBCニュースとマリスト大学の共同世論調査は2020年14日から22日にかけて、ノースカロライナ州の登録済み有権者882名を含む1087名の成人を対象に実施された。誤差は3.7ポイントだ。

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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙本選挙の情勢について現在までの各種世論調査の結果を軸にして見ていく。その前にアメリカ大統領選挙について簡単に説明する。アメリカ大統領選挙の投票日は「11月の最初の日曜日の次の火曜日」と決まっている。連邦下院全議席(435議席)、連邦上院議席の一部(100議席の約3分の1)で同時に選挙が実施される。

 アメリカ大統領選挙は、民主、共和両党がそれぞれ指名する本選挙候補者を決めるための予備選挙から始まる。予備選挙を勝ち上がった候補者が夏の全国大会で党の指名を受け、本選挙候補者となる。そして、11月の本選挙を迎える。

 アメリカ大統領選挙の仕組みは有権者の得票総数で決まるのではなく、各州で配分された選挙人を取り合う形になる。一つの州で一票でも多く上回った候補者が選挙人を総取りできる、「勝者総取り方式」を取っている。メイン州とネブラスカ州は勝者にある程度の選挙人を配分し、得票率によって敗者にも選挙人が配分されることもある制度を採用している。全米50州に首都ワシントンDCに人口に比例して合計で538名の選挙人が配分されている。最小の州には3名、最大の州カリフォルニア州には55名が配分されている。

 現在のアメリカ政治の特徴は、何と言っても「青い州(Blue States)」と「赤い州(Red States)」に分かれていることだ。青色は民主党のイメージカラーであり、青い州は民主党が強い州、赤色は共和党のイメージカラーであることから、赤い州は共和党が強い州である。これはなかなか動かない。青い州は、アメリカの東西両岸地域に多く、人口が多い都市部を抱えている。赤い州は、アメリカ中西部と南部に多く、農業が産業の中心になっている。

しかし、2016年の大統領選挙で共和党の候補者ドナルド・トランプが大方の予想を覆して民主党の候補者ヒラリー・クリントンを破ったのは、青い州の代表格と見られていた、アメリカ北部五大湖周辺の労働組合が強い工業地帯(ラストベルトと呼ばれる)であるウィスコンシン州、ミシガン州、ペンシルヴァニア州、オハイオ州でトランプが勝利を収めたからだ。

 今回、私なりに過去の大統領選挙の結果や現在の世論調査の結果を考慮して、全米50州とワシントンDCを以下のように分類した。以下の分類からは、現状では、ジョー・バイデンがドナルド・トランプ大統領を大きくリードしているということになる。トランプ大統領が優勢なのは21州で選挙人の合計が142名、バイデンが優勢なのは18州で選挙人の合計が208名となっている。世論調査やこれまでの結果を考慮してどちらとも言えない激戦州(赤色と青色を混ぜた紫色、Purple Statesと呼ばれている)は12州で選挙人の合計が188名となっている。

 トランプ優勢州とバイデン優勢州はよほどのことがない限り、結果は動かない。そうであるならば、大事なのはどちらとも言えない12州だ。これらの州の情勢を見ていけば大統領選挙の結果は予想しやすい。アメリカ国内でもこれらの州は激戦だ、もしくは重要だということで複数回にわたり、定期的に世論調査が実施されている。トランプ、バイデン両者の優勢州では世論調査が実施されていないか、されていても少ない数だ。

 どちらとも言えない州での世論調査の結果から見ていくと次のようになる。バイデン優勢は、・アリゾナ州、コロラド州、フロリダ州(Florida)、ミシガン州、ミネソタ州、ネヴァダ州、オハイオ州、ペンシルヴァニア州、ウィスコンシン州で、選挙人合計は129名、一方、トランプ大統領が優勢なのはアイオワ州、ノースカロライナ州、テキサス州で、選挙人合計は59名だ。そうなると、トランプ大統領の獲得選挙人は201名、バイデンの獲得選挙人337名ということになる。過半数は270名なので、バイデンが圧倒的優勢ということになる。

 しかし、これはあくまで現状のしかも世論調査の数字だけを見ての分析である。世論調査は調査対象者の数(サンプル数)や質問方法、質問の言葉選びなどが重要な要素であり、それらは改善が行われているが、まだまだの部分もあり、あくまで大きな動向を掴むための道具であると私は考えている。従って、世論調査にだけ頼ることは危険である。しかし、アメリカにも住んでいない場合には、全米を調査に回るほどの費用もない中では、アメリカの報道や世論調査の結果を見るしかない。

 今回の大統領選挙では、民主党が前回失った五大湖周辺4州を再奪取できるか、南部の大票田であるテキサス州とフロリダ州でバイデンがどこまで戦えるか、ということが注目される。現在のところ、テキサス州を除いた5州の各種世論調査でバイデン優勢の結果が出ている。そのために単純に足し上げをするとバイデンが圧倒的優勢という分析になる。

しかし、あと4カ月以上も時間がある。トランプ大統領が不利な状況、現職大統領が敗れるというような状況であれば、連邦議会選挙にも悪影響が出る。トランプ陣営と共和党は巻き返しに躍起となるだろう。トランプ大統領としては新型コロナウイルス感染拡大でダメージを受けた経済の回復を最優先したい。民主党はバイデンの弱いイメージの払しょくと党内分裂の回避に力を注ぐ。両党の全国大会からいよいよラストスパートとなる。

(貼り付けはじめ)

■大統領選挙代議員数:538名(過半数270名)

●トランプ[共和党]優勢州(red states

・アラバマ州(Alabama:9名

・アラスカ州(Alaska):3名

・アーカンソー州(Arkansas):6名

・ジョージア州(Georgia):16名

・アイダホ州(Idaho):4名

・インディアナ州(Indiana):11名

・カンザス州(Kansas):6名

・ケンタッキー州(Kentucky):8名

・ルイジアナ州(Louisiana):8名

・ミシシッピ州(Mississippi):6名

・ミズーリ州(Missouri):10名

・モンタナ州(Montana):3名

・ネブラスカ州(Nebraska):5名(4名はトランプ、1名はバイデン)

・ノースダコタ州(North Dakota):3名

・オクラホマ州(Oklahoma):7名

・サウスカロライナ州(South Carolina):9名

・サウスダコタ州(South Dakota):3名

・テネシー州(Tennessee):11名

・ユタ州(Utah):6名

・ウエストヴァージニア州(West Virginia):5名

・ワイオミング州(Wyoming):3名

・合計:141名(+1)、21州

●トランプ・バイデン激戦州

・アリゾナ州(Arizona:11名(バイデン優勢)

・コロラド州(Colorado):9名(バイデン優勢)

・フロリダ州(Florida):29名(バイデン優勢)

・アイオワ州(Iowa):6名(トランプ優勢)

・ミシガン州(Michigan):16名(バイデン優勢)

・ミネソタ州(Minnesota):10名(バイデン優勢)

・ネヴァダ州(Nevada):6名(バイデン優勢)

・ノースカロライナ州(North Carolina):15名(トランプ優勢)

・オハイオ州(Ohio):18名(バイデン優勢)

・ペンシルヴァニア州(Pennsylvania):20名(バイデン優勢)

・テキサス州(Texas):38名(トランプ優勢)

・ウィスコンシン州(Wisconsin):10名(バイデン優勢)

●バイデン[民主党]優勢州(blue states

・カリフォルニア州(California):55名

・コネティカット州(Connecticut):7名

・デラウェア州(Delaware):3名

・ハワイ州(Hawaii):4名

・イリノイ州(Illinois):20名

・メイン州(Maine):4名(3名はバイデン、1名はトランプ)

・メリーランド州(Maryland):10名

・マサチューセッツ州(Massachusetts):11名

・ニューハンプシャー州(New Hampshire):4名

・ニュージャージー州(New Jersey):14名

・ニューメキシコ州(New Mexico):5名

・ニューヨーク州(New York):29名

・オレゴン州(Oregon):7名

・ロードアイランド州(Rhode Island):4名

・ヴァーモント州(Vermont):3名

・ヴァージニア州(Virginia):13名

・ワシントン州(Washington):12名

・ワシントンDCWashington, District of Columbia):3名

・合計:207名(+1)、18州

(貼り付け終わり)
(終わり)

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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙本選挙まで5カ月を切った。共和党は現職のドナルド・トランプ大統領、民主党はジョー・バイデン前副大統領がそれぞれ候補者に内定している。どちらが勝つかという予言をすることはまだ尚早だと思うが、今回はテキサス州とフロリダ州の状況を見てみたいと思う。以下にテキサス州とフロリダ州の情勢についてまとめた記事を掲載する。

 テキサス州は共和党の金城湯池だ。前回民主党候補者が勝ったのは1976年のジミー・カーターが最後だ。カーターは南部アトランタ州出身ということもあっての勝利だったが、現職のジェラルド・フォード大統領(リチャード・ニクソン大統領の辞任によって昇格)相手に大接戦だった。それ以来、民主党候補者は勝てていない。1992年と1996年の選挙では南部アーカンソー州出身のビル・クリントンが善戦したが、それでも得票率で3%以上差をつけられて敗北した。バラク・オバマは得票率10%以上をつけられて惨敗した。共和党優勢州は共和党のイメージカラーである赤色にちなんで、「レッド・ステイト(Red State)」と呼ばれるが、テキサス州のように優位が動かない州は「ルビー・レッド(Ruby Red)」と呼ばれている。民主党優勢州はこちらも党のイメージカラーから「ブルー・ステイト(Blue State)」、どちらとも言えない州は赤色と青色が混ざった紫色、「パープル・ステイト(Purple State)」となる。

 それでは今回の大統領選挙も現職のドナルド・トランプ大統領が圧倒的に優位に立っているということになるが、必ずしもそうではないようだ。テキサス州は全米でも屈指の好景気の州だ。中国からの投資も盛んだ。生活費が安く、暮らしやすいということもあり、ヒューストン、ダラス、サンアントニオといった大都市やその周辺地域に新たに移り住む人々が増えている。そのために人口増加の規模が大きく、しかも増加のスピードも速くなっている。こうした人々が必ずしも共和党支持ではない、ということがテキサス共和党にとっては懸念材料になっているようだ。
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テキサス州の世論調査の結果

トランプ大統領は優勢であるが、大統領選挙と同時に実施される連邦上院議員選挙や連邦下院議員選挙で民主党に議席を奪われるのではないかという懸念が出ているほどだ。大統領選挙で接戦になるということは、民主党支持が増えているということで、他の選挙に影響を与えるということになる。これを「ダウン・バロット(down ballot)」という。 

 ドナルド・トランプ大統領はニューヨーク市で生まれ育ち、仕事をして財を成した。しかし、現在はフロリダ州の州民だと宣言している。ニューヨーク市にも居宅を持っているが、フロリダ州にも邸宅を構えている。トランプ大統領にとってフロリダ州は「地元州(home state)」となる。共和党としてはフロリダ州を落とせないと意気込んでいる。

 1990年代以降、フロリダ州での大統領選挙は大接戦となり、ドラマを生んだ。2000年の大統領選挙ではジョージ・W・ブッシュがアル・ゴアを僅か537票差で破り、フロリダ州での結果が決め手となって大統領になった。票の数え直しが行われたことを覚えている人も多いだろう。それ以降も常に得票率の差が1%から3%の中に納まるほどの大接戦が行われてきた。そして、1996年以降は常にフロリダ州での脱線に勝利した候補者が大統領になっている。その点でも激戦州フロリダ州で勝利することは重要だ。
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 フロリダ州の特徴は高齢の有権者が多いということだ。ある程度の成功を収めた高齢者たちが老後は気候が温暖なフロリダ州で過ごそうということで移り住んでくる。そのために、高齢者が選挙において重要な要素となる。今回の新型コロナウイルス感染拡大で、高齢者は健康リスクに直面した。70歳以上の死亡率はそれ以下に比べると高くなっている。そのためにアメリカの各種世論調査の結果では、高齢者たちの多くは「経済活動よりも新型コロナウイルスへの対応をやって欲しい」と考えているということが分かった。

 そうなると、下に掲載した記事にある、高齢者の間でバイデンへの支持率が高いということもうなずける話だ。トランプ大統領の新型コロナウイルス感染拡大への対応に不満を持っている高齢者たちがバイデンを支持するという構図になっている。

 現職のトランプ大統領がフロリダ州を落とすかどうか、11月の投開票日の一つの注目点ということになる。

(貼り付けはじめ)

バイデンはフロリダ州で勝利を収めることでトランプを倒そうとしている(Biden seeks to beat Trump by winning Florida

エイミー・パーネス筆

2020年6月17日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/503089-biden-seeks-to-beat-trump-by-winning-florida

ジョー・バイデンはフロリダ州で躍進を続けている。一方、トランプ大統領は、大統領選挙で必ず勝たねばならない、自身の裏庭とも言うべき州で守勢に回っている。

2016年の大統領選挙で、トランプ大統領は民主党のヒラリー・クリントンに対して、この勝者が入れ替わる州(swing state)で約10万票という僅差で勝利を収めた。しかし、バイデン陣営は、2008年と2012年の大統領選挙でオバマ・バイデンのコンビで勝利を収めたフロリダ州を奪還できると確信している。

最近になってフロリダ州で感染者数が増加している、新型コロナウイルス感染拡大への対処についてトランプ大統領をバイデンは一貫して攻撃している。選挙における重要な問題をはっきりさせることで、フロリダ州において状況を変えようとしている。

バイデンは今週になって、トランプ大統領がハリケーンに対する備えを怠っていると批判した。フロリダ州はこれからハリケーンが襲来してくるシーズンを迎える。

バイデンは『マイアミ・ヘラルド』紙の論説欄に文章を投稿した。その中で次のように書いている。「トランプ大統領は今回の新型コロナウイルス感染拡大に対する準備に失敗し、その影響を弱めるための決定的な行動を取らなかった。そのために危機的状況が継続することになっている。私たちのコミュニティは外部からの新たな脅威やハリケーンのような自然災害に対して危険なほど脆弱である。」

バイデン選対がフロリダ州の重要性をきちんと認識していることを示す証拠として、民主党は、フロリダ州選出のヴァル・デミングス連邦下院議員(民主党)をバイデンの副大統領候補として考慮している。

フロリダ州の政治を観察している人々は、バイデンが既にフロリダ州において優位性を持っているが、今回の新型コロナウイルス感染拡大によってその優位性は大きくなっていると述べている。

セントラル・フロリダ大学政治、安全保障、国際問題学部のバリー・エドワーズ教授は、「現在、フロリダ州での世論調査でバイデンがリードしているのには2つの理由がある。それは彼が、ドナルド・トランプではなく、またヒラリー・クリントンではない、というものです」と述べた。

エドワーズ教授は「新型コロナウイルス感染拡大は、フロリダ州の観光に依存している経済を破壊しました。人々はトランプ大統領が危機に対してうまく対応していると考えていません」とも述べた。

トランプ大統領は再選のためにはフロリダ州がいかに重要な存在かを分かっている。そして、トランプ大統領は自身の再選のための防波堤であるフロリダ州を守ろうとしている。

共和党全国委員会は先週、共和党全国大会の機能のほとんどをフロリダ州ジャクソンヴィルに移して開催すると決定した。8月の共和党全国大会でトランプ大統領は共和党による党候補者指名を受諾することになっている。

トランプ大統領は選挙集会を再開し、今週はオクラホマ州で実施する予定だ。再開後は、フロリダ州を繰り返し訪問することになると見られている。

トランプ選対はフロリダ州における選挙に関する状況について満足していると述べている。選対幹部たちは、2019年以降、フロリダ州で共和党支持と登録した有権者の数は約1万8000名であったと発表している。

トランプ選対の次席広報担当コートニー・パレラは「2015年以来、フロリダ州において私たちは有権者に関与することに成功しています」と述べた。

パレラは続けて次のように述べた。「私たち選対は昼夜兼行でトランプ大統領のメッセージをフロリダ州の有権者の皆さんに直接お届けできるように努力しています。そして、民主党側がたとえ追いつきたいと望んでも追いつけていない事実として、フロリダ州の有権者は2016年にトランプ大統領を信頼しそれを投票で示したということがあります。そして、大統領の素晴らしい成功の記録、特に“偉大なアメリカを取り戻す(The Great America Comeback)”は今年の秋の選挙で大統領の地元州での勝利を確実にするものです」。

最近の複数の世論調査の結果では、バイデンは僅差でトランプ大統領をリードしている。トランプ大統領は昨年、自身はフロリダ州の住民だと宣言した。

先週、共和党系の世論調査会社「シグナル」が発表した、大統領選挙の投票に必ず参加すると答えた有権者を対象にした世論調査では、民主党の大統領選挙候補者に内定しているバイデンがトランプ大統領を47%対44%でリードしている。

バイデンにとって重要なことは、いくつかの世論調査で、高齢者の間で、彼がトランプ大統領をリードしているという結果が出ていることだ。

4月末のキュニピアック大学の世論調査では、65歳以上の有権者の52%がバイデンを支持し、42%がトランプ大統領を支持するという結果が出た。

フロリダ州民主党の上級部長フアン・ぺナロサは次のように述べている。「高齢者はトランプ大統領から離れています。トランプ大統領を非難しています。私たちが話しをしてきた高齢者の皆さんは新型コロナウイルスへの接触を恐れています。高齢者の皆さんは家の中に閉じ込められた囚人のように感じ、孫たちに会えないことで怒りを持っています」。

バイデンはヒスパニック系の有権者たちの獲得を目指しているが、そうした中で、火曜日にはスペイン語の新聞『ディアリオ・ラス・アメリカス』紙にバイデンがマイアミ・ヘラルド紙に掲載した論説記事のスペイン語訳が転載された。

フロリダ州のバイデン選対の広報担当は、選対は「フロリダ州内の多様な各コミュニティに対する積極的な働きかけを拡大し続け、一票一票を掘り起こす」予定だと発表した。

エドワーズ教授は、トランプ大統領は既にフロリダ州において支持基盤を固めているが、バイデンはこれから民主党支持の有権者たちを動かすために強力な草の根の選挙運動を構築し、展開しなければならないと指摘している。

エドワーズ教授は次のように述べた。「バイデン支持者たちはフロリダ州で、トランプ支持者たちに匹敵するエネルギーと目立つ動きをする必要があります。ジョー・バイデンは“眠たげなジョー(Sleepy Joe)”というレッテルを剥がすためにエネルギーと熱意を見せねばなりません」。

バイデンとフロリダ州民主党の幹部たちは、フロリダ州全体での草の根運動と有権者の組織化のための努力を更に高めると述べている。共和党が圧倒的に優位な地域(ruby-red areas)にも浸透すると述べている。そして、有権者に対する電話かけ、Eメール、戸別訪問の数を増やしている。

例えば、先週末、バイデン支持者たちは、「ライディング・ウィズ・バイデン」キャラヴァンを組織した。そして、自動車で列を組んで、トランプ大統領所有の施設の中を行進した。その中には「トランプ・ナショナル・ドーラル・マイアミ・リゾート」も含まれていた。キャラヴァン参加者たちは自動車の中でポスターやバイデンの看板を振った。

ぺナロサは、フロリダ州における競争はこれまでになく激しくなっていると述べた。

ぺナロサは、「皆さんがやらねばならないことは、ここフロリダ州でのトランプの投資について見ることです。彼はここに移り住んだ。フロリダは彼にとって失うことのできない州なんです」と述べた。

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テキサス州において世論調査の数字が接戦となっていることで共和党関係者はイライラしている(Tight polls put GOP on edge in Texas

ジョナサン・イーズリー筆

2020年6月13日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/502533-tight-polls-put-gop-on-edge-in-texas

オースティン発。テキサス州の共和党関係者たちは現在ピリピリしている。複数の世論調査で、トランプ大統領と民主党大統領選挙候補者に内定しているジョー・バイデンが、選挙の投票日まで5カ月を切って、テキサス州で大接戦を演じていることが明らかになった。

テキサス州の共和党関係者の多くは現在でもトランプ大統領が11月の選挙においてテキサス州で勝利し、38名の選挙人を獲得する可能性が高いと見ている。しかし、1976年以来初めて、テキサス州の大統領選挙で民主党の候補者が勝利をするのではないかというわずかな可能性が少しずつ高まっている。

トランプ大統領がバイデンに対してつけている差が重要であり、共和党は大統領選挙において接戦となると、その他の選挙で民主党に敗れてしまうのではないかという恐怖感を持っている。

テキサス州選出の共和党所属連邦下院議員5名が年末の任期までで引退を表明しており、この5議席のうち、3議席が接戦、もしくは民主党有利という展開になっていると中立の「クック・ポリティカル・レポート」は評価している。

ジョン・クローニン連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)は再選に向けて準備をしているが、2020年の選挙は彼のキャリアの中で最も厳しい戦いとなる可能性が高くなっている。

バイデン選対はテキサス州においてトランプ大統領と競い合う意向を持っていると発表している。テキサス州民主党は全米でも最大規模を誇っている。テキサスの人口構成は急速に変化しており、それでテキサス州は共和党の圧倒的な優位州から激戦州に変化している。

オースティンに住む共和党系のヴェテラン選挙関係者ビル・ミラーは次のように述べている。「テキサス州の共和党にとって深刻な時期になっています。現状を深刻に捉えない共和党関係者は11月に悪い結果となって驚くことになるでしょう。共和党は深刻に考え、対策を練らねばなりません。そうしなければ、テキサス州で困った事態になるでしょう」。

先週発表されたキュニピアック大学の世論調査では、テキサス州ではトランプ大統領がバイデンに1ポイント差をつけてリードしていた。「リアルクリアポリティックス」が出している平均では、テキサス州ではトランプ大統領が2.2ポイント差をつけてリードしている。

テキサス州共和党は都市の郊外における状況について懸念を持っている。こうした地域では、トランプ大統領が就任して以来、女性と無党派層が共和党支持から離れている。

ヒューストン、ダラス、オースティン、サンアントニオといった都市部の周辺地域で共和党への支持は下がっている。これら4つの都市は全米でも最も大規模にかつ急速に成長している都市となっている。2018年の中間選挙では、ヒューストンとダラスにおいて、民主党側の候補者が長年の共和党の現職を倒した。

警察によるジョージ・フロイドの殺害をめぐる歴史的な市民的抵抗運動が起きている現状、トランプ大統領はテキサス州の都市部郊外に居住する有権者に対するアピールする機会を失っていると共和党員や支持者たちは発言している。

オースティンを拠点としている共和党系のヴェテランの選挙関係者コービン・キャスティールは「郊外は懸念材料となっています。常に長所というものは短所を示すことでもあります。郊外にテコ入れをする必要があります」と述べている。

キャスティールは次のように述べている。「ドナルド・トランプ大統領は現在のような状況において思いやりを見せることを手助けすることになるでしょう。テキサス州共和党員の大部分はキリスト教徒です。イエス・キリストを愛し、キリスト教徒らしい生活を送っています。そして、私たちの党の指導者が経済と雇用、保守派の判事たちを任命するなどで素晴らしい成果を収めたが、思いやりをもって国を導く機会を逃したことを見て失望しています。現在の人種差別をめぐる危機的状況の時期に、思いやりを持ちながら国を導くならば、トランプ大統領の得票数は大変高くなるだろうと考えます。そうすればテキサス州を失うことはないでしょう。私はトランプ大統領が負けることはないだろうと確信しています。しかし、長所をてこ入れする機会を失っています」。

キャスティールは2016年の大統領選挙においてテキサス州でのトランプ大統領の選挙運動を指揮した人物だ。キャスティールは、2020年の大統領選挙ではトランプ大統領がバイデンに6ポイントの差をつけて勝利すると予測していると発言した。この数字は現代のテキサス州での大統領選挙において最も僅差の数字ということになる。

2016年、トランプ大統領はヒラリー・クリントンに9ポイントの差をつけて勝利した。これはジミー・カーター元大統領(民主党)が40年以上前にテキサス州で勝利を収めた際のポイント差以来の最小の差での勝利ということになった。1994年以降、民主党の候補者でテキサス全州を対象にした選挙で勝利を収めた人物はいない。この共和党の連勝記録は全米で最長期間を記録している。

キャスティールは、トランプ大統領が予想よりも小さい差で勝利を収めるということが起きれば、それはテキサス州共和党と連邦下院議員選挙にとっては「破壊」を意味することになるだろうと懸念を表明した。

キャスティールは、全米規模のメディアにおいて、テキサスが転換かなるかという問題について、テキサス州における共和党の置かれている状況は過小評価されている可能性が高いと指摘している。

テキサス共和党の党員や支持者たちは、連邦下院議員選挙予備選挙で複数の新人が勝利を収めたことを喜んでいる。その中にはダラスの女性実業家ジェネヴィー・コリンズが含まれている。コリンズは、ダラスを地盤とする1期目を終えようとしている現職のコリン・アレッド連邦下院議員(テキサス州選出。民主党)と本選挙で対決することになる。

キャスティールは、選挙戦が激しくなっていけば共和党員や支持者たちはトランプ大統領当選に向けて選挙運動を激化させ、一方、ジョー・バイデンは人々の関心を集め、批判が大きくなるだろうと予測している。

キャスティールは次のように述べている。「テキサスっ子はトランプ大統領の経済政策を本当に気に入っているし、判事の任命についても賛成している。投票ブースに入って、レヴァーを引く時に、トランプ大統領に投票するというのは簡単な決心ということになる」。

オースティンに住む共和党系ストラティジストであるブレンダン・スタインハウザーは、大統領選挙においてテキサス州で民主党が勝利を収める可能性は33%だと述べている。

スタインハウザーは、クローニンは連邦上院議員に再選され、得票率ではトランプ大統領よりも5ポイント高いという結果になると予想していると述べた。クローニンの対抗馬となる民主党側の候補者は来月明らかになるが、現在のところ、元米空軍パイロットのMJ・ヒーガーとテキサス州上院議員ロイス・ウエストが決選投票に向かって戦っているという状況だ。

スタインハウザーは、バイデンがテキサス州で勝利を得るためには、トランプ大統領に不満を持つ共和党員たちが投票に行かないか、投票に行っても何も書かない、一方で連邦上院議員選挙ではクローニン、他の選挙でも共和党の候補者に入れるという行動を取ることだ、と述べた。

スタインハウザーは次のように述べている。「テキサス州は大きく動いており、大統領選挙の結果は僅差で決まると確信しています。つまり、トランプ大統領が勝利を得ると考えています。共和党員や支持者たちは今回の選挙について真剣に考えています。今回の選挙が接戦になることは分かっています。ビトー・オローク前連邦下院議員は、2018年の連邦上ン議員選挙で郊外に住む白人女性の票を多く獲得しました。もし民主党側が今回も郊外に住む白人女性たちの支持を得ることができれば、選挙戦は接戦になります。しかし、テキサス州において、共和党員や支持者の数は民主党側を上回っています。その多くがトランプに投票してくれば、とりあえずOKということになります」。

2018年の中間選挙では、民主党候補のオロークは、現職で共和党所属のテッド・クルーズ連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)を2.5ポイントの差まで追い詰めた。オロークは落選したが、2016年の大統領選挙で民主党候補ヒラリー・クリントンがテキサス州で得た票数を上回る得票数を記録した。

2018年の中間選挙で、テキサス州の民主党は共和党所属の現職が占めていた連邦下院議員の2席を奪い取った。6名の共和党所属の現職連邦下院議員たちは、5ポイント以下の接戦でようやく再選された。民主党連邦議会選挙対策委員会はテキサス州の各地に事務所を開設した。そして、民主党連邦議会選挙対策委員会は、全米で唯一、テキサス州だけで全力を投入する選挙運動を行った。

2018年のテキサス州議会選挙では、民主党は州下院議員選挙で12議席、州上院議員選挙で2議席を共和党から奪い取った。共和党はテキサス州下院では9議席のリードを保っているに過ぎない状況になっている。テキサス州民主党は、州下院の共和党が握っている議席のうち、22議席に関しては、世論調査によると一桁台の差となっており、民主党側が奪い取る可能性があると発表している。

テキサス州では2016年以来、有権者数が250万も増加した。テキサス州では有権者登録をする際に支持政党を登録することはやっていない。しかし、新たにテキサス州の有権者となった人々は、若年層、ラティーノ、カリフォルニア州、イリノイ州、ニューヨーク州といった民主党優位州(blue states)から移り住んできた人々であると考えられている。

テキサス州民主党の上級部長を務めるメルマニー・ガルシアは次のように述べている。「ジョージ・W・ブッシュの思いやりのある保守主義、ティーパーティー運動、トランプ運動を生み出すことに貢献した州ですよ。そして現在、これらすべての動きが新しい民主党運動へと急激に変化しているのです。共和党は怠慢になっており、テキサス州で物事が向かっている方向について、目を覚まさせる出来事について全く知ろうとしていません。人口増加によってテキサス州は全ての選挙のレヴェルにおいて、共和党優位が崩れているのです」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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