古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:ディック・チェイニー

 古村治彦です。

 このブログでも以前に取り上げ、拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』でも取り上げたリズ・チェイニー連邦下院議員(ワイオミング州選出、共和党)が今年11月の中間選挙での共和党議員選挙の共和党予備選挙(共和党の候補者を決める選挙)で、ドナルド・トランプが支持する挑戦者に敗れて、本選挙に共和党候補者として出馬できないことになり、下院議員の議席を失うことになった。
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リズ

 連邦下院議員は2年ごとに全員が選挙ということになり(任期が2年)、選挙に追いまくられる生活を強いられる。また、2年おきに選挙があるので、野心がある人間が常に挑戦者となって迫ってくる。勝ち続けるということは難しい。しかし、リズの父親ディック・チェイニーもワイオミング州選出の連邦下院議員を務め、その後は国防長官や副大統領(ジョージ・W・ブッシュ政権で実質的な指揮を執った)を務め、「王朝(ダイナスティ、dynasty)」と形容されるほどの地盤を誇った。また、政治資金集めも親の七光りもあって成功していた。しかし、今回脆くも敗れ去った。

 リズ・チェイニーは元々ドナルド・トランプに好意的な人物であった。2016年の大統領選挙ではいち早く支持を表明し、トランプが女性スキャンダルに見舞われた際にも指示を変えなかった。トランプ政権下での連邦下院での法案への投票行動の記録では、トランプの意向に沿った形で、93%の割合でトランプの望むような投票行動を取った。トランプがリズについて「ワイオミングの人々は素晴らしい政治家を持っている」と称賛したこともあった。
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リズとドナルド・トランプ
 しかし、2020年の大統領選挙でトランプが敗北とされたことに対して異議を申し立てたあたりから、2人の関係は変わり、リズ・チェイニーはトランプ批判を行うようになった。そして、2021年1月6日の連邦議会にトランプ支持派が進入するという事件が起きてから、そのトーンは激しくなった。連邦下院でトランプ弾劾に関する投票が行われ(結果は否決)、共和党からは10名が賛成に投票した。その中にリズが含まれていた。

 トランプはリズに対する批判を強めた。そして、今年の中間選挙に関して、各地で自身が誰を支持するかということで、賛成派を増やし、反対派を議会から追い出すという戦略を取っている。リズに関しては議会から追い出すということで、トランプが支持する挑戦者が共和党予備選挙に出馬し、現職であり、チェイニー王朝の当主リズ・チェイニーを破った。連邦下院でトランプ弾劾に賛成した10名の共和党所属の下院議員のうち、4名は元々引退を決めていた。4名が再選を目指していたが共和党予備選挙で敗退した(ここにリズも含まれる)。2名が共和党予備選挙を突破したが、1名は選挙区の区割りが変わり、民主党が優勢となったために本選挙で敗れる可能性が高い。そうなると、1名だけが来年の議会に戻ってくるということになる。

 リズ・チェイニーを反トランプの結集軸、象徴にしようという声が出ている。リズの知名度と反トランプ姿勢を評価してのことだ。具体的には2024年の大統領選挙に向けて、2023年から具体的に始まる大統領選挙の共和党予備選挙に出馬すべきだという声だ。現在、各種世論調査で「2024年の大統領選挙の共和党候補者は誰が良いか」という設問に対して、ドナルド・トランプが1位という結果が出ている。トランプ自身はまだ何も言っていないが、共和党員や共和党支持者の間でトランプ待望論が根強い。これは現在、共和党内部で清新なリーダーが見当たらないということもある。
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リズとディック・チェイニー
 こうした動きを阻止するために、「トランプに共和党の候補者指名を受けさせないために邪魔をする」ということでリズ・チェイニーの待望論が出ている訳だ。しかし、チェイニーは反トランプの結集軸となり得るだろうか? 私はあまりにも「タマが悪い」と考える。リズの後ろにはアメリカを泥沼の対外戦争に引き込んだネオコン派がいる。そもそも父親ディック・チェイニーがネオコン派の総帥なのだ。また、トランプ政権下ではトランプと蜜月の関係にあった。そのことから、反トランプ派(共和党内部、民主党、無党派)がどれだけリズを一枚岩で押し上げるというのは難しいと私は考えている。

2024年の大統領選挙の共和党予備選挙で、2020年の大統領選挙本選挙でトランプが敗れた各州でリズが勝利すれば、トランプの候補者指名を阻止できる可能性はある。しかし、そう言うことになれば共和党は深刻な分裂状態、共和党が優勢な南部とそれ以外の地域で分裂が起きる。そうなれば漁夫の利を得るのは民主党側だ。トランプの候補者指名を阻止するために出るという後ろ向きの立候補は共和党に深刻なダメージを与えることになる。そうなれば共和党エスタブリッシュメント派でもあるリズ・チェイニーは、共和党破壊の張本人となってしまう。彼女にそれを甘受できるほどの覚悟はできないのではないかと思う。

 今年の中間選挙では共和党が連邦下院で過半数を獲得すると見られている。そして、共和党予備選挙ではトランプが支持する候補者たちが勝利している。来年の連邦議会はより反バイデン姿勢を取るようになり、バイデン政権の活動はより厳しくなるだろう。

(貼り付けはじめ)

ワイオミングでのチェイニーの敗北の重要なポイント(Key takeaways from Cheney’s loss in Wyoming

マックス・グリーンウッド筆

2022年8月17日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3604803-key-takeaways-from-cheneys-loss-in-wyoming/

リズ・チェイニー連邦下院議員(ワイオ州選出、共和党)が火曜日にドナルド・トランプ前大統領の支持する予備選挑戦者に敗れた。この出来事は、前大統領が党内から批判者を排除しようとする努力の重要な一里塚の1つとなった。

チェイニーは、2021年1月6日の連邦議会議事堂での暴動に関与したトランプ前大統領の弾劾において、昨年連邦下院で行われた弾劾に賛成投票を行った数少ない連邦下院共和党議員の1人で、前大統領への批判の手を緩めることなく、「トランプは依然として法の支配とアメリカの民主政治体制に対する脅威である」と最後まで主張した。

しかし、チェイニーの連邦下院議員選挙共和党予備選は、トランプがホワイトハウスから追放されてから約2年後の共和党の未来と、その有権者の立ち位置について、いくつかの示唆を与えてくれるものだ。

チェイニーの選挙からの5つのポイントについて見ていく。

(1)トランプの共和党への支配力と掌握力はこれまでと変わらずに強い(Trump’s grip on GOP as strong as ever

火曜日にチェイニーが敗れたことで、トランプの批判者たちの間に残っていた、党の有権者たちが前大統領に逆らい、自分たちの進むべき道を切り開く準備ができたかもしれないという希望は打ち砕かれた。

また、少なくとも共和党優勢州の共和党員たちの間で、トランプの影響力がこれまでと同様に強いことが明確に認識されることになった。

トランプ前大統領はホワイトハウスから何百マイルも離れているが、共和党の有権者を自分の好む候補者に誘導し、不誠実とみなす人物からは遠ざけることができることをこれまでに繰り返し証明してきた。もちろん、例外もある。たとえば、ジョージア州知事のブライアン・ケンプは、トランプが支援する予備選挑戦者を簡単に敗退させた。

しかし、トランプが現代の共和党においておそらく最も強力な存在であることに疑いの余地はなく、この事実は、2024年にホワイトハウスへの復帰を検討しているトランプにとって特に好都合な兆候である。

(2)弾劾賛成派の共和党員たちは減少し続けている(Pro-impeachment Republicans are dwindling

来年、第118回連邦議会が召集される時、一つだけ確かなことがある。昨年、トランプ弾劾に賛成投票した共和党所属の連邦下院議員の大半は、その場にいないことになる。

トランプ前大統領の弾劾に賛成した連邦下院共和党議員10名のうち、4名は今年の選挙に立候補しないと発表している。チェイニーを含む別の4名は再選に挑戦したが、トランプが支持する予備選挙挑戦者たちに打ち負かされた。

共和党予備選で生き残ったのは2名だけとなった。デイヴィッド・ヴァラダオ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)と、ダン・ニューハウス(ワシントン州選出、共和党)である。

ニューハウスの地元は共和党が強い選挙区であることから、今年の再選は間違いなさそうだが、ヴァラダオは政治的にかなり不安定な立場にある。今年6月の予備選を辛うじて突破したが、現在は区割り変更のおかげで、民主党支持が多い選挙区からの出馬となる。

新しい選挙区割りによって、民主党は攻勢を強めており、ヴァラダオは民主党議会選挙委員会(Democratic Congressional Campaign CommitteeDCCC)の2022年中間選挙のターゲット者名簿に名前が載ってしまい、来年議会に戻ることを望むであろうが、厳しい戦いになることを示唆している。

ヴァラダオが仮に当選しても、これまでで最も親トランプ的な連邦下院共和党の中に身を置くことになる。

(3)反トランプの共和党内での戦略には限界がある(There are limits to the anti-Trump GOP strategy

反トランプ派の共和党所属の議員たちはトランプの猛烈な攻撃に耐えられるだけの幅広い有権者層をまとめられるはずだと期待していた人たちにとって、チェイニーの敗北は明らかな失望となってしまった。

しかし、そのような戦略の限界を思い知らされるものでもあった。チェイニーは、トランプ自身と彼による2020年の選挙は盗まれたものだという虚偽の主張を痛烈に批判したため、共和党の保守基盤となる人々の間で孤立し、不人気となった。

しかし、彼女のレトリックは、無党派層や民主党議員をしっかりと味方につけるには不十分だった。穏健派の多くは、共和党で最も強力な人物に挑む彼女の意志を賞賛したかもしれないが、他の問題についての彼女の保守的な投票記録は、彼女への投票を厳しいものにしたようだ。

しかし、チェイニーは民主党員や民主党支持者に自信に投票するよう働きかけなかった訳ではない。この夏の初め、彼女の選挙キャンペーンは、ウェブサイトや郵便物を通じて指示を出し始めていた。

(4)チェイニー氏は傷ついたが、めげずに頑張る(Cheney may be bruised, but she’s undaunted

敗北を認める前から、チェイニーの運命は明らかだったようだ。

彼女はトランプに償いをしようとはしなかったし、トランプの支持者に自分がまだ味方であることを訴えようともしなかった。彼女の締めくくりの選挙広告の一つには、父親であるディック・チェイニー元副大統領がトランプを激怒させる様子が描かれていた。

火曜日に敗北を認めた際も、チェイニーは断固として自分の信念を貫いた。リズ・チェイニーは、2020年の選挙の余波でトランプに味方していれば、予備選に勝てたかもしれないが、単にそうする気がなかったと述べた。

ただ、注目すべきは、彼女の敗北受諾演説には、次に何が起こるかについての潜在的なヒントが含まれていたことだ。彼女は、トランプを再び大統領にしないために「必要なことは何でもする」と誓い、リンカーン元大統領に言及し、彼もホワイトハウスを手に入れる前に選挙に負けたことを指摘したのである。

この言及と、トランプとトランプ主義に対する十字軍を続けるというチェイニーの誓いは、彼女がまだ政治のスポットライトから降りる準備ができていないことを示唆しており、彼女自身がホワイトハウスへの立候補を検討しているという憶測を更に掻き立てるかもしれない。

(5)トランプ氏の総選挙でのアピールポイントに焦点(Focus shifts to Trump’s general election appeal

チェイニーの敗北は、トランプが共和党から批判者を一掃しようとするドラマのクライマックスのようなものであった。彼女は、今年、予備選に臨む弾劾に賛成投票をした最後の下院共和党議員だった。

これでトランプの関心は今年11月の中間選挙に移り、共和党員や共和党支持者だけでなく全ての有権者がトランプが推薦する候補者たちに評決を下すことになる。

ワイオミング州は強固な共和党優勢州なので、ヘイグマンが次期連邦下院議員になることはほぼ確実だが、トランプが推薦した他の候補者はもっと厳しい戦いになると見られている。

例えばペンシルベニア州は、上院議員選挙の激戦区で、民主党のジョン・フェッターマン副知事が、トランプが支持する共和党の競争相手である、著名な医師メフメト・オズに大差をつけてリードしているとの世論調査結果が出ている。

ジョージア州でも同様の状況が展開されており、上院議員のラファエル・ウォーノック(民主党)が、トランプが選挙戦序盤に支持した元NFLのスター選手ハーシェル・ウォーカーに対して優位を保っている。

問題は、トランプの影響力が今年の共和党予備選のように、中間選挙で発揮されるかどうかだ。

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リズ・チェイニーの政治的な将来に関する5つの疑問(Five questions about Liz Cheney’s political future

マイケル・シュニール、ジュリア・マンチェスター筆

2,022年8月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3604524-five-questions-about-liz-cheneys-political-future/

リズ・チェイニー連邦下院議員(ワイオミング州選出、共和党)は、火曜日に行われた連邦下院議員選挙共和党予備選挙で、トランプが推薦する弁護士ハリエット・ヘイグマンに敗れ、新たな政治的将来に向かうことを余儀なくされた。

共和党内部の政治的な王朝出身で、3期目の連邦下院議員を務めていたチェイニーは、連邦議会での任期が終了したら何をするのかということに関する憶測は着実に大きくなっており、2024年の大統領選挙に出馬するのかどうか、明確に示していない。

チェイニーは火曜日の夜、反抗的な演説を行い、トランプ前大統領と彼が作り出した運動、そして2020年の選挙について彼の主張を繰り返す候補者たちを非難した。それは同時に、敗北を受け入れる演説であり、これからも公職に関わる将来を約束するものとなった。

チェイニーは「だから、今夜皆さんにお願いしたいことがある。それは、ここを去るとき、私たちの共和国を破壊する者たちに対して、共和党員、民主党員、無党派層が共に立ち上がることを決意するというものだ」と語った。

しかし、「ドナルド・トランプが二度と大統領執務室に近づかないようにするために必要なことは何でもする」と誓いながらも、チェイニー自身が次に具体的に何をするのかについてはほとんど言及しなかった。

チェイニーは「この予備選挙は終わったが、これからが本当の仕事の始まりだ」と述べた。

リズ・チェイニーの政治的な将来については5つの疑問が存在する。

(1)チェイニーは2024年大統領選挙に出馬するだろうか?(Does she launch a 2024 presidential campaign?

ディック・チェイニー元副大統領の娘であるリズ・チェイニーは、2024年の大統領選挙出馬の可能性についての質問をかわし、トランプをホワイトハウスから締め出すという彼女の主な目標に話を戻したがった。

チェイニーはこれから、ケーブルテレビで仕事をする、シンクタンクに入る、本を書くといったことができるが、ジョージ・W・ブッシュとチェイニーのホワイトハウスで働いた共和党所属のストラティジストであるスコット・ジェニングスは、チェイニーがその目標を達成するための「次の論理的」ステップは2024年の大統領選挙への立候補であると語った。

ジェニングスは「できることは色々とあるだろうが、選挙戦を行うこと以上に良いプラットフォームがあるだろうか?」 と本誌とのインタヴューの中で述べている。

ジェニングスは続けて次のように述べた。「リズ・チェイニーが大統領選挙に出馬すれば、彼女が受ける報道の量、メディアの注目度は、世論調査での彼女の地位を大きく押し上げることは間違いないところだろう。もし、共和党支持の人々に、自分が重要だと思う考えを話したいと思っているのなら、大統領選の時期にそれをするのが最良の方法だと私は考える」。

論理的に言えば、チェイニーの大統領選挙出馬は可能だ。

チェイニーは連邦下院議員として、2021年1月6日の連邦議事堂襲撃事件を調査する連邦下院特別委員会の副委員長としての仕事を通じて、全国的な知名度を急上昇させた。NBCニューズによると、彼女は高い知名度を誇り、共和党内部に強いコネを持ち、3週間前の時点で選挙口座には740万ドルの資金が残っている状態であった。

そしてチェイニーは、パターン通り、火曜日の演説の多くをトランプとトランプ主義に集中させたが、2024年については何も否定しなかった。

(2)彼女はホワイトハウスを勝ち取るために出馬するのか、それともトランプを排除するために出馬するのか?(Does she run to win the White House — or keep Trump out of it?

2024年の共和党大統領選挙候補の座を勝ち取ることは、チェイニーにとって苦しい戦いになるだろうというのが関係者の共通認識だ。

「2024年の大統領選挙で共和党の候補者は誰が良いか」という世論調査のほとんどで、トランプが首位をキープしている。トランプ氏の政策を推進するフロリダ州知事ロン・デサンティス(共和党)が2位となっている。そして、まだ予備選挙の開票作業中ではあるが、チェイニーはトランプから30ポイント以上の差をつけられているようだ。

しかし、勝てる見込みがほとんどなくても、チェイニーは大統領選挙の共和党予備選挙の結果を左右するために出馬するかもしれない。

ジェニングスは次のように語った。「“成功の定義をどうするか?”ということになる。彼女にとっては、指名を獲得することよりも、トランプを指名させないようにすることの方が重要かもしれない。だから、成功をどう定義するか次第だと思う」。

彼女の存在は、トランプと彼の政策やレトリックを信奉する人々によって支配されている大統領選の会話からほとんど締め出されている反トランプの共和党員や死者たちに声を与えることにもなる。

マイク・ペンス元副大統領の補佐官を務めたオリヴィア・トロイは、「“アメリカを再び偉大に(MAGA)”運動全体に参加していない人、共和党の方向性に満足していない人、私のように昔ながらの伝統的な保守的共和党員にとって、リズ・チェイニーはより魅力的な選択肢に思える」と語った。

トロイは「彼女のような人が、政治の世界で、起きていることについて主張をし、真実を伝え続けようとする姿勢が重要だと思う」と述べた。

チェイニーは火曜日、米国の統一を維持するために戦ったリンカーン元大統領に言及した。

「私たちの党の偉大な勝利者、エイブラハム・リンカーンは、最重要な選挙に勝つ前に、連邦上院と連邦下院の選挙で敗れたのである。リンカーンは最終的に勝利を収め、連邦を救い、歴史に残るアメリカ人としての義務を定義した」と彼女は語った。

(3)彼女は残された任期で何をするのか?(What does she do with her time left in office?

2021年1月6日の連邦議事堂襲撃事件を調査する連邦下院特別委員会は、11月に共和党が議会の主導権を握ることを見越して、今後数カ月以内に調査を終結させようと、既に時間との戦いに突入している。

しかしそれ以前に、委員会はさらに公聴会を開き、トランプが自身の権力を維持するための計画の中心にいたという主張を補強するための追加情報を提示することを明確に誓っている。チェイニーはこのプレゼンテイションにおいて、おそらく大きな役割を果たすであろう。

アダム・キンジンガー連邦下院議員(イリノイ州選出、共和党)は先月、連邦議事堂で記者団に次のように語った。「私たちは現在負けてはいない。証言を名乗り出る人々が殺到しているのを見るのは素晴らしいことだ。退く時ではない」。

チェイニーはこれまでにも委員会の公聴会で中心的な役割を果たし、開会宣言や閉会宣言を行い、委員会で証言する証人たちに質問を行ってきた。

その際、トランプや共和党の同僚を批判することも臆することなく行っており、このやり方は残り数カ月の任期中も、強化はしないまでも、続けることになりそうだ。

共和党所属のストラティジストであるダグ・ヘイは、リズ・チェイニーが共和党予備選挙敗北後にどのような道を歩もうとも、委員会での仕事をスタートに、アメリカ政治における発言力のある存在であり続けることを確認すると『ザ・ヒル』誌に語った。

ヘイは「はっきりしているのは、彼女の声がどこにも届かないということだ。そしてそれは、16日調査委員会の次の公聴会から始まり、その後、彼女が決めたどんな形であれ、続けていくことになる」と述べた。

(4)今後、彼女はどのようなサポートを受けるのだろうか?(What kind of support does she have for future moves?

チェイニーは予備選挙で敗れたものの、全国に広大な支持者と献金者のネットワークを持っており、今後の政治活動に役立てることができるだろう。

リズ・チェイニー議員は、今年の第1四半期に自身の記録を更新し、300万ドル近くを集め、第2四半期には290万ドルという途方もない額を記録した。

チェイニーは、草の根の寄付に加えて、ジョージ・W・ブッシュ元大統領、ブッシュ元大統領の補佐官を務めたカール・ローブ、映画プロデューサーのジェフリー・カッツェンバーグ、億万長者のヘッジファンドマネージャー、セス・クラーマンなど全米の共和党・民主党の著名な寄付者たちからも資金を得ている。

しかし、共和党の大統領予備選挙では、チェイニーは共和党の予備選挙に参加できる有権者たちにアピールする必要がある。そして、反トランプの共和党員は彼女だけとは限らない。メリーランド州知事のラリー・ホーガン(共和党所属)は、2024年の共和党の希望として繰り返し浮上しており、まだ出馬を否定していない。

トロイは「より穏健な有権者にどのようにアプローチするかが重要になると思う」と述べた。

トロイは続けて「彼らは長年にわたり共和党で尊敬を集めてきた人物だ。そして、彼らの声は、多くの人ができない方法で聴衆に届けることができる」。

(5)大統領選出馬以外にできることは何か?(What could she do besides run for president?

2024年の大統領選挙への出馬が最も話題になっているが、チェイニー連邦下院議員には、トランプ大統領に対する闘争を続けるために追求できる別の道もある。

1つは、ケーブルニューズのコメンテイターやアナリストとして参加し、トランプ前大統領に対抗し、2020年の大統領選挙が盗まれたという彼の誤った主張を糾弾するための大きなプラットフォームを手に入れることであろう。

このルートは、元議員に人気のあるルートだ。2018年に当時のミズーリ州司法長官ジョシュ・ホウリー(共和党)に落選させられたクレア・マッカスキル元連邦上院議員(ミズーリ州選出、民主党)は、選挙の数カ月後に政治アナリストとしてNBCニューズとMSNBCに入社し、ジェイソン・チャフェッツ元連邦下院議員(ユタ州選出、共和党)は2017年に連邦下院を辞めた翌日に寄稿者とコメンテイターとしてフォックス・ニューズに採用された。

チェイニーは、今年11月の中間選挙に出馬しないキンジンガーのように、シンクタンクに参加したり、自身の政治行動委員会(PAC)を設立したりすることも可能である。

キンジンガー(トランプ批判のもう1人のトップで、1月6日事件調査委員会ではチェイニーの同僚の共和党議員)は、トランプを受け入れる共和党に異議を唱える運動として、「カントリー・ファースト(Country First)」と称する政治行動員会(PAC)を立ち上げた。

チェイニーにとってもう1つの選択肢は、ワシントンを去るトップ政治家がよくやる、本の執筆だ。2020年の選挙で3期目出馬を取り止めたウィル・ハード前議員(テキサス州選出、共和党)は、トランプを何度も批判した後、『アメリカの再起動:大きな問題を終わらせる(American Reboot: An Idealist's Guide to Getting Big Things Done)』と題した本を執筆した。

チェイニーが次の行動に何を選ぶかはまだ分からないが、ジェニングスによれば、チェイニー議員は最近の、そして今後の政治的な動きを推進する計画を持っている可能性が高いと語っている。

ジェニングスは次のように語った。「私はチェイニー家のことをよく知っているし、彼らがいかに賢く、どのように行動しているかも知っている。リズ・チェイニーは、ドナルド・トランプをホワイトハウスから締め出すことが自分の使命だと考えているのだろう。だから、それが使命なら、その使命を達成しようとする計画を構築するような人たち、それがチェイニー家なのだ」。

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リズ・チェイニーがワイオミング州での予備選挙で敗北(Liz Cheney defeated in Wyoming primary

マックス・グリーンウッド筆

2022年8月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3604628-liz-cheney-defeated-in-wyoming-primary/

ドナルド・トランプのかつての盟友で、彼の最も熱心な共和党内部の批判者の1人となったリズ・チェイニー下院議員(ワイオミング州選出、共和党)は、トランプ前大統領と彼の共和党有権者への影響力に逆らって生き残るための長丁場の戦いの末、火曜日の予備選挙で敗れる見通しとなった。

NBCニューズとCBSニューズは、いずれも東部時間午後10時過ぎに選挙戦の結果を報じた。

チェイニーは、弁護士で共和党全国委員会(Republican National Committee RNC)委員を務め、昨年トランプから支持を受けたハリエット・ヘイグマンに大敗した。ヘイグマンは来年、共和党が圧倒的優勢な州の唯一の連邦下院議員としてチェイニーの後を継ぐ大本命となる。

選挙結果が決まった後、チェイニーは支持者たちに対して、ヘイグマンに電話で選挙の敗北を受け入れると伝えたと述べた。

「私たちの共和国は、選挙結果を誠実に受け入れるという、全ての候補者の善意に依拠している。そして今夜、ハリエット・ヘイグマンがこの予備選挙で最も多くの票を獲得した。彼女は勝ったのだ」と、チェイニーは熱弁をふるった。

火曜日のヘイグマンの勝利は、2021年16日の連邦議会議事堂襲撃事件で、昨年トランプ弾劾に賛成投票した10名の共和党議員を連邦下院から排除しようとするトランプの努力における最後の、そしておそらく最も重要な一里塚であった。

その10名のうち、4名は今年の選挙に出馬しないことを選択し、チェイニーを含む4名はトランプが支持する挑戦者に共和党予備選挙で敗れている。これまで予備選の挑戦者に買って生き残ったのは2名だけだ。デイヴィッド・ヴァラダオ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)とダン・ニューハウス(ワシントン州選出、共和党)である。

チェイニーの共和党予備選敗北は、特にトランプにとって象徴的な勝利である。チェイニーは昨年、前大統領の弾劾に賛成した後、トランプについて「アメリカ合衆国憲法をほとんど顧みない反民主政治体制の強者」と頻繁に批判し、トランプ主義に対する共和党の防波堤として台頭してきた。

そうした批判によって共和党の同僚たちと揉め、連邦下院共和党議員会会長を解任されることになった。

しかし、事態はそれだけにとどまらなかった。

共和党全国委員会とワイオミング州共和党は昨年、チェイニーの問責決議案を提出し、多くの同僚共和党議員たちがヘイグマンに賛同してチェイニーを更迭しようとした。

しかし、チェイニーは反抗的な態度を維持した。チェイニーは、2021年1月6日の暴動を調査する下院特別委員会のメンバーに選ばれた2名の共和党員のうちの1名であり、最終的には副委員長に昇格した。

その間、チェイニーは予備選挙で厳しい逆風に直面し、トランプはワイオミングでのレースに特に強い関心を寄せていた。彼のティームは数カ月かけてチェイニーに対する共和党の予備選挙挑戦者候補を面接し、元大統領自身も何人かの候補者と面接を行った後、ヘイグマンを予備選挙挑戦者に選んだ。

その結果、予備選挙の候補者は大幅に絞られ、不動のトランプ前大統領の同盟者かとチェイニーかという明確な二者択一となった。

火曜日の夜の演説でチェイニーは、2020年の選挙に関するトランプの虚偽の主張と投票を覆す努力に付き合っていれば、自分が予備選で勝っていただろうと訴えた。結局のところ、そうする気になれなかったとも述べた。

チェイニーは次のように語った。「2年前、私はこの予備選挙で73%の得票率で勝利した。また同じことをするのは簡単なことになるはずだった。道は明らかだった。しかし、そのためには、2020年の選挙に関するトランプ大統領の嘘に、私が1人で付き合わなければならなかっただろう。民主政治体制を崩壊させ、共和国の根幹を攻撃しようとする彼の継続的な努力を無視しなければならなかっただろう。それは私にはできないし、しない道だった」。6年前の2016年のホワイトハウス立候補の際、チェイニーはトランプを支持し、トランプが女性について下品な発言をしている録音が公開され、多くの共和党議員がトランプと距離を置く中でもその支持を維持した、チェイニーのトランプ前大統領への痛烈な批判は、ワイオミング州選出の3期連続の連邦下院議員として、異例の展開となった。

データ専門ウェブサイト「ファイヴサーティーエイト(FiveThirtyEight)」によると、チェイニーは連邦下院議員として、約93%の割合でトランプの立場に沿った票を投じていたということだ。

しかし、2020年大統領選の余波と、選挙が自分に不利に操作されているというトランプの主張が、チェイニーを二度と戻れない限界点まで追い詰めることになった。

火曜日の予備選に向けて、世論調査でヘイグマンに大差をつけられていても、チェイニーはトランプを堂々と批判していた。今月初め、彼女の父親であるディック・チェイニー元副大統領は、彼女のために選挙広告に出演し、トランプを「私たちの共和国に対する脅威」と激しく非難した。

リズ・チェイニーもまた、保守派を自分の大義に結集させることはほとんどしなかった。ワイオミング州選出連邦下院議員リズ・チェイニーは、予備選挙で行われた唯一の討論会で、最後の発言で有権者に対し、自分の政治方針に同意できないのであれば、他の候補者に投票すべきだと述べた。

チェイニーは次のように語った。「私が連邦下院議員に就任する際の宣誓の言葉を破ることは決してないということを皆さんに理解して欲しい。もし私の宣誓とは異なる考えを持つ人を探しているのなら、このステージにいる他の人に投票して欲しい」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 2022年にはアメリカでは中間選挙(Mid-Term Elections)が実施される。連邦下院議員の全議席(435)、と連邦上院議員(100議席)の約3分の1、州知事の一部の選挙が実施される。大統領選挙と大統領選挙の中間に実施される選挙であり、現職大統領に対する「中間テスト」のような意味合いを持つ。任期4年のうちの前半2年の「出来」はどうであったかということで、大統領を出している政党に対する投票で評価が決まる。

 拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』やこのブログでもご紹介してきたが、ジョージ・W・ブッシュ大統領時代の副大統領、実質的には大統領であったディック・チェイニーの娘リズ・チェイニー連邦下院議員(ワイオミング州選出、共和党)の選挙に注目が集まっている。拙著でも書いたように、リズは父親ディック・チェイニーの威光を背景にして、連邦下院議長を目指して連邦下院共和党内部の出世の階段を上っている。詳しくは拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』をお読みいただきたい。

 リズは下の記事にある通り、ドナルド・トランプ前大統領に対する対決姿勢で名前を売った。2021年7月に設置された連邦下院1月6日事件委員会の副委員長(共和党側ではトップ)を務めている。こうしたリズの動きに対して、トランプは反対姿勢を鮮明にし、来年の選挙(連邦下院議員選挙)の共和党予備選挙で現職のリズに挑戦するハリエット・ヘイグマンへの支持を表明した。それに対してリズは「かかって来いよ」と挑発した。

 リズの援軍として、父親ディックにお世話になったジョージ・W・ブッシュ元大統領がおっとり刀で駆けつけて、資金集めパーティーを開催することを決めた。ブッシュ元大統領は、トランプを遠回しに批判し、トランプもまた「バカなくせに偉そうなことを言うなよ」と攻撃している。ワイオミング州下院議員選挙は、ブッシュ、トランプの大統領経験者2人の戦いになりつつある。更に言えば、ワシントンのエスタブリッシュメント派対ポピュリズム派の大きな枠組みの戦いの代理戦争(proxy war)状態になっている。この選挙区はこれからますます注目を集めていくだろう。

(貼り付けはじめ)

ブッシュがチェイニーのために資金集めパーティーを開催(Bush to hold fundraiser for Cheney

マイケル・シニール筆

2021年9月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/573331-bush-to-hold-fundraiser-for-cheney

ジョージ・W・ブッシュ元大統領は来月、リズ・チェイニー(Liz Cheney、1966年-、55歳)連邦下院議員(ワイオミング州選出、共和党)のために資金集めパーティーを計画していると報じられた。3期連続当然中のリズ・チェイニーは、トランプ前大統領と彼の協力者たちによるチェイニーの追い落とし運動の中で議席を維持しようと戦っている。

今回のチェイニーのための資金集めパーティーは、ブッシュ元大統領にとって、2022年の中間選挙のための最初のイヴェントとなる。今回のパーティーは2021年10月18日にテキサス州ダラスで開催予定だと『ウォールストリート・ジャーナル』紙と報じた。同紙はパーティーの招待状のコピーを入手した。

今回の資金集めパーティーはカール・ローヴが共同主催者となっている。カール・ローヴは、長年にわたりブッシュ元大統領の政治アドヴァイザーを務め、2020年の大統領選挙ではトランプの再選に向けて相談を受けたこともあった。加えて、ケイ・ベイリー・ハッチンソン元連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)も主催者に名を連ねている。ハッチンソンはトランプ政権下で、NATO担当米国大使を務めた。

リズ・チェイニーの父親はブッシュ大統領の任期8年(2期)の間、ホワイトハウスで副大統領を務めた。

今回の資金集めパーティーによって、二人の大統領経験者を戦わせることになる。チェイニーの選挙は2022年の中間選挙において人々の注目を最も集めているものである。

トランプは今月初め、チェイニーに対する挑戦者ワイオミング州検事ハリエット・ヘイグマン(Harriet Hageman)への支持を明らかにした。トランプは、チェイニーが今年1月のトランプ大統領への段階で賛成票を投じ、大統領選挙の結果は盗まれたものだというトランプの主張を否定したことを受け、チェイニーへの反対姿勢を強めた。

チェイニーは1月6日の連邦議事堂進入事件についてトランプに責任があるとして弾劾に賛成票を投じた。また、この反乱事件について調査する委員会のメンバーにもなった。チェイニーはトランプの反対姿勢と対抗馬への支持表明を受け、ツイッターで次のように書いた。「かかって来いよ(Bring it)」。

ブッシュは、2001年9月11日のテロ攻撃を記念する日に演説を行い、その中でアメリカ国内の過激派による脅威を憂慮し、「海外の暴力的な過激派」と「国内の暴力的な過激派」との間には共通点があると指摘した。ブッシュの演説はメディアの注目を集めた。

トランプはブッシュの演説を批判し、第43代大統領は「誰かにものを教えるなんてできない人物だ」と書いた。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ前大統領は最後までワシントンのアウトサイダーだった。よそ者だった。そうだったからこそ、ワシントンの大掃除、「ドレイン・ザ・スワンプ」をやろうとした。しかし、それに反対したのは、ワシントンの住人たちであり、そこに民主党、共和党の違いは存在しなかった。

 トランプ大統領は在外米軍の削減を進めようとした。それに対して、民主、共和両党から当然のように反対論が噴出した。バイデン政権の国務長官であり、バイデンの長年の側近であるアントニー・ブリンケンも反対を表明した。共和党内からは、リズ・チェイニー連邦下院議員が激しく反対した。

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父ディック(左)とリズ・チェイニー
 リズ・チェイニーは、ディック・チェイニーの長女だ。ディック・チェイニーは、ジョージ・
HW・ブッシュ(父)政権で国防長官(1989-1993年)を務め、ジョージ・W・ブッシュ(子)政権では副大統領(2001-2009年)となった。アホ息子ブッシュ政権では、ネオコン派の総帥として、実質大統領として、イラク戦争を主導し、アメリカを泥沼に引きずり込んだ張本人だ。リズはその父親の影響を強く受けている。

 父親ディックが父ブッシュ政権で国防長官を務めていた時期、国務省と米国国際開発庁(USAID)に勤務していた。その後は、父親とはネオコン仲間のリチャード・アーミテージが作ったコンサルティング会社アーミテージ・アソシエイツに入社した。

 父親がブッシュ(子)政権で副大統領になると、国務次官補代理(近東担当)となり、2004年の大統領選挙では父親の選対に入り、その後2005年には、筆頭国務次官補代理(近東担当)として国務省に復帰した。2014年にワイオミング州選出連邦上院議員選挙に出馬しようとして断念したが、2016年の選挙で連邦下院議員選挙に当選した。ワイオミング州は人口が少なく、連邦上院議員は2名配分されているが(連邦上院は各州2名と決められている)、連邦下院議員は州全体で1名である。その1名にリズは当選した。これはもちろん、父親の威光がある。

 リズの父親ディックもワイオミング州選出の連邦下院議員を6期務めた。その前にはジェラルド・フォード政権でホワイトハウス次席補佐官(1974―1975年)と首席補佐官(1975-1977年)を務めた。連邦下院議員在任中(1979-1989年)、連邦下院共和党指導部序列3位の共和党連邦下院議員会長(1987-1989年)、序列第2位の連邦下院少数党(共和党)院内幹事(1989年)をそれぞれ務めた。

 娘リズは現在連邦下院議員の3期目(2017年初当選)を務めているが、2期目の2019年から序列3位の議員会長を務めている。父親よりも共和党指導部での昇進が早い。これはもちろん、父親ディックの存在がバックにあるからだろう。

 リズは共和党保守派の若きホープとなっている。彼女もまた父親の系譜に従って、ネオコン派である。そして、この親子2代のワシントンの住人は、トランプ大統領を激しく攻撃した。民主党ならばともかく、共和党内部にも敵を抱えていたとランプ大統領は四面楚歌状況であった。そして、ワシントンのアウトサイダー、トランプ大統領による大掃除は失敗に終わった。

(貼り付けはじめ)

トランプ:リズ・チェイニーの選挙についての発言は米軍の帰還Trump: Liz Cheney's election remarks sparked by push to bring US troops home

ザック・バドリック筆

2020年11月22日

https://thehill.com/homenews/house/527055-trump-liz-cheneys-criticism-sparked-by-push-to-bring-us-troops-home

トランプ大統領は共和党連邦下院議員会会長リズ・チェイニー連邦下院議員(ワイオミング州選出、共和党)が「トランプ大統領は大統領選挙の結果を受け入れるべきだ」と提言したことについて反撃を行った。大統領は、「私がアメリカ軍を国内に戻していることについて、チェイニーは“大いに不満”なのだ」と述べた。

トランプは土曜日に次のようにツイートした。「悪いね、リズ、投票に関して多くの不正なカウントがあったので、選挙の結果を受け入れることができないんだ。これらの不正のおかげで選挙の結果は簡単に覆されるんだ」。トランプは、『ポリティコ』誌の記事に掲載されたチェイニーのコメントに反応しながら、広範な選挙不正という根拠のない主張を繰り返した。トランプは「あなたは、私がアメリカ軍の将兵を自分たちが属する国に戻していることに大いに不満なんだろう」とツイートした。

このツイートは、不正選挙についての論争を巻き起こす主張を封じ込める際に、SNSで目立つことになった。

チェイニーは大統領選挙勝利者であるバイデンを勝者として認めてはいないが、先週、大統領は不正の証拠の提供、さもなくば敗北受け入れ宣言を行うようにすべきだと述べた。チェイニーは金曜日に声明を発表し、次のように述べた。「アメリカは法の支配によって統治されている。大統領と彼の顧問弁護士たちは犯罪と広範な選挙不正という主張を行っている。彼らはこうした犯罪と不正が選挙結果に永居を与えたと非難している。彼らはこうした不正の明確な証拠を持っているのなら、彼らはそれらをすぐに裁判所とアメリカ国民に提示する義務がある。トランプ大統領はこうした主張の正当性を証明できない、もしくは選挙の結果を変更することができる証拠を見せることができないのなら、我が国の選挙のプロセスの尊厳を尊敬するという形で、アメリカ合衆国健康を維持し、守るという大統領就任時の宣誓を実行すべきだ」

トランプの弁護士ティームは、激戦州におけるバイデンの勝利に対して法的な手段で対抗している。ペンシルヴァニア州での提訴は土曜日、連邦判事によって棄却された。オバマ前大統領が任命したマシュー・ブラン判事は、トランプ選対の裁判提起は、「法的根拠がなく、きちんと実証された告発」ではなく、「有権者の公民権はく奪を正当化できず、全米第六位の人口を誇る州の有権者の公民権をはく奪することもできない」と発言した。

トランプ大統領は「終わりのない戦争」からアメリカ軍将兵をアメリカに戻すという公約を掲げて選挙運動を行った。1月中旬までにアフガニスタンとイラクから米軍将兵2500名を撤退させるように国防総省に命じてから数日経って、トランプ大統領は一連のコメントを出した。

トランプ大統領とディック・チェイニー元副大統領の娘であるリズ・チェイニーは過去に衝突したことがあった。

2019年、リズ・チェイニーは、トルコの計画的な侵攻に先立ち、アメリカ軍将兵のシリアからの撤退をトランプ大統領が計画したことについて、「破滅的な誤り」だと評した。

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チェイニーは連邦下院の保守派との間の緊張関係を和らげようとしている(Cheney seeks to cool tensions with House conservatives

ジュリー・グレイス・ブルフケ筆

2020年11月18日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/526588-cheney-seeks-to-cool-tensions-with-house-conservatives

連邦下院共和党議員会会長リズ・チェイニー(ワイオミング州選出、共和党)は月曜日、連邦下院フリーダム・コーカス(議員連盟)との会談の席上、これからは現職議員に対抗して予備選挙に出馬する候補者たちに政治献金を行わないと約束させられた。これは保守派の議員たちとの緊張関係を緩和しようとするものだ。

チェイニーは会談の中で2020年の中間選挙に向けて党のまとまりの必要性を主張した。会談には連邦下院少数派(共和党)院内総務(House Minority Leader)ケヴィン・マッカーシー(カリフォルニア州選出、共和党)と連邦下院少数派院内幹事(Minority Whip)スティーヴ・スカーリスも出席した。連邦下院指導部3名は連邦下院指導部を維持することを計画していた。共和党所属の連邦下院議員たちは火曜日、投票で指導部をそのまま維持することを決めた。

会談に出席した人々のうち、3名が取材に答えた。取材源の人々は、チェイニーが現職に対する挑戦者に対して資金援助を与えないと約束したことは、保守派の連邦議員たちの間での懸念を和らげるための誓いなのだと述べた。

チェイニーと保守派の連邦議員たちとの間の摩擦は今年7月に非公開で行われた会議の席上で激しいやり取りが行われた後に発生した。

チェイニーに批判的な人々は彼女の指導者としてのスタイルを攻撃し、トランプ大統領に対する忠誠を疑問視し、トーマス・メイジー連邦下院議員(ケンタッキー州選出、共和党)の予備選挙の対抗馬に資金提供を行うとした決定を激しく批判した。チェイニーは、トッド・マクマーティーが過去にSNSに行った人種差別的な投稿が発見された後、マクマーティーへの支持を取り消し、寄付を返還してもらった。

共和党のある幹部は、フリーダム・コーカスに対しての発言がなければ火曜日の共和党指導部選びにおいて、チェイニーは困難に直面したはずだと述べた。

この人物は、「フリーダム・コーカスのメンバーの中に、共和党連邦下院議員会長の投票の際に、チェイニーに対して懲罰を与えるような投票をしようと計画していた人たちがいる」と述べた。

マーク・グリーン連邦下院議員(テネシー州選出、共和党)は会談の中で、チェイニーに対して、彼女の統一に向けたメッセージには評価するが、「あなた自身はそのメッセージ通りに行動せずに、私たち現職議員の対抗馬に対して資金を提供するという裏切り行為を行った」と発言した。会談に同席したある人物は本誌の取材に対してこのように発言した。

チェイニーは、自分は、トランプ大統領がメイジー議員に落選して欲しいというツイートをした後で、対抗馬に献金をしただけだと釈明した。2020年春にトランプ大統領の肝いりのコロナウイルス対策の経済回復政策について連邦下院で投票が行われる際、メイジー議員はその投票を遅らせるための手段を取るとトランプ大統領を脅すような発言をし、大統領を怒らせた。

チェイニーは議員たちに対して、メイジー議員に謝罪したことを明らかにした。彼女は更に、これからは現職議員を追い落とすような行動は慎むと述べ、2022年の中間選挙で共和党が連邦下院で過半数を奪回するために党内融和に貢献することに注力すると約束した。

チェイニーはトランプ大統領や保守派議員たちといくつかの問題について立場を異にしている。その中にはトランプ大統領がアフガニスタンとイラクからの米軍撤退を支持していることも含まれている。

しかし、共和党の幹部職員は、このような緊張関係は和らげられつつあると述べた。

この人物は次のように述べた。「7月以来続く敵意はなくなりつつあります。共和党の中には、チェイニーがメイジーの対立候補を支持したことやトランプ大統領についての批判をツイートしたことを怒っている人たちもいたが、それも沈静化しつつあります。チェイニーは私たちと進んで協力する姿勢を見せていますし、疑問を投げかけられても、それに応えることに躊躇していません」。

会談について詳しいある人物は取材に対して、「チェイニーは国家安全保障政策についてこれからも主張し続けると明確に表明し、出席者たちが自分たちの間で合意に達していない諸問題が存在することに合意した」と述べた。フリーダム・コーカスは国家安全保障について議論するための会議にチェイニーを招待すると表明した。

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チェイニーがトランプと戦う(Cheney takes on Trump

-この動きによって、リズ・チェイニーがトランプ後の共和党の中でより高い指導的な地位に上昇するする可能性がある。

メラニー・ザノナ筆

2020年6月30日

『ポリティコ』誌

https://www.politico.com/news/2020/06/30/cheney-takes-on-trump-346089

リズ・チェイニーは突如としてドナルド・トランプへの共和内部の批判者の仲間入りを果たした。

更に驚くべきことは、ワイオミング州出身の共和党所属連邦下院議員であるリズ・チェイニーはこれまでトランプ大統領から激しい反撃を受けていないということだ。

トランプ批判に関して言うと、連邦下院共和党の序列3位の地位にあるチェイニーは突然批判を始めたわけではない。しかし、チェイニーはトランプ大統領に対して、彼の外交政策の決定と新型コロナウイルス感染拡大期間中の指導力について徐々に批判を強めていった。トランプ大統領に対して批判を行うことは現在の共和党においてはリスクの高い動きである。トランプ大統領との確執があると、共和党内部の予備選挙で挑戦者を勢いづかせるか、ツイッター上でのトランプ大統領からの激しい攻撃を受けるかということになるからだ。

しかし、チェイニーが発見したバランスの取れた行動を取ることができる共和党員はほとんどいない。トランプ後の共和党の姿について考えられ始めている今、トランプ大統領から比較的距離を取っているチェイニーは、共和党指導部の中でその地位を上昇させていくことだろう。

ジョン・シムクス連邦下院議員(イリノイ州選出、共和党)は「彼女は確固とした価値観を持っている、ガッツも持っている。彼女は自分の考えをはっきり述べる。こうしたことが多くの人々を惹きつけるのです」と述べている。

チェイニーはトランプに対する最も新しい批判の中で、「ロシア政府がアフガニスタンの武装勢力の人員に対してアメリカ軍将兵を殺すと賞金を出す」という布告を出しているという報告をトランプ大統領は知っているのかと疑問を呈している。そして、トランプ政権はロシア政府に対してより攻撃的な姿勢を取るように求めた。

そしてその数日前、チェイニーは、トランプに対して間接的な攻撃を行った。チェイニーはマスクをしている写真に、「ディック・チェイニーはマスクをつけようと言っている。#realmenwearmasks」というキャプションをつけてツイートをしたのだ。同様のフレーズをナンシー・ペロシ連邦下院議長も使って、トランプ大統領を厳しく批判した。このフレーズはトランプ大統領にとって触れて欲しくないテーマを含んでいる。それは、「彼の男らしさ(manhood)」da.

チェイニーの同僚政治家たちは、彼女がトランプの怒りから免れているのは、彼女の経歴やトランプ大統領と戦う際には戦略的な動きをしていることがある、と述べている。チェイニーという名前は保守主義を意味するものだ。

加えて、チェイニーはホワイトハウスを維持するという点では、トランプ大統領を強力に擁護している。弾劾の際にはチェイニーはトランプ大統領を擁護した。そして、ペロシや中国といったトランプがよく攻撃している対象を、チェイニーも攻撃している。こうして、チェイニーは共和党内部において、トランプ支持者たちから遠ざかることもなく、また、自身の本物の右派としての矜持を捨てることなく、自身の居場所を確保している。

引退を表明しているグレッグ・ウォールデン連邦下院議員(オレゴン州選出、共和党)は「これまでの連邦下院議員会会長の中で、彼女ほどプロらしくそして思慮深く自分の考えを述べる人はいませんでした」と述べている。しかし、ウォールデン議員は、「チェイニーはトランプ大統領と合意ができている点では彼を強力に擁護しています。それがワイオミング魂ということなのかもしれませんね」とも述べている。

チェイニー議員事務所は議員へのインタヴュー依頼を拒絶した。そして、今週、連邦議事堂内で本誌の取材に対して回答を拒否した。

チェイニーの協力者や友人たちは、彼女のトランプ大統領に対する公式の場での批判について、それは自分自身の政治上の野心からではなく、信念からであると述べている。

それでも、共和党所属の連邦議員やストラティジストの中には、チェイニーとトランプとの間には距離があると指摘する人たちがいる。連邦下院共和党の指導部の、カリフォルニア州選出のケヴィン・マッカーシー議員やルイジアナ州選出のスティーヴ・スカーリス議員とは対照的である。こうした人々は11月の大統領選挙が近づけば、トランプ大統領を支援することになるだろう。

共和党所属のストラティジストであるダグ・ヘイは次のように述べている。「選挙結果が現在と同じように共和党に不利なものとなれば、批判はすぐに起きるだろう。そうなれば、チェイニーのような人物たちにとって、トランプ大統領の政策の大部分は支持できるだろうが、共和党が必要としている真実を語る刃部としての役割を果たすことになる」。

加えて、匿名を条件にある共和党所属の連邦議員は次のように率直に述べた。「彼女は自分自身の将来のために道筋を敷こうとしていると思いますよ。彼女はトランプ大統領と彼の同調者たちから離れようとしているんですよ」。

リズ・チェイニーは、ディック・チェイニー元副大統領の長女であり、共和党内でも国家安全保障政策について最もタカ派の主張を行っている。リズは、高齢男性たちが長年占めてきた共和党の指導部での地位を急速に高めていった。

53歳のリズ・チャイニーは連邦下院議員の2期目を務めているが、共和党所属連邦下院議員会長を務めるように同僚たちから奨められた。この地位は連邦下院共和党内部で主張を行う重要な地位である。特に共和党が過半数を失っている現在においてはそうである。

チェイニーはまた、彼女自身の政治上の将来、どこを目標にしているかを示唆している。チェイニーは、ワイオミング州選出の連邦上院議員が引退をした際に、その人物に代わって出馬することを否定した。チェイニーは連邦下院共和党の指導部に留まり、いつの日か、連邦下院議長になるためにまい進することを選んだのだ。

連邦下院共和党筆頭副幹事長であるドリュー・ファーガソン連邦下院議員(ジョージア州選出)は、「いいですか、彼女は連邦上院議員選挙に出馬する機会もありましたが、連邦下院議員であり続けることを選びました。連邦下院こそが彼女が情熱を傾ける場所なんだと思いますよ」と述べた。

2017年に連邦下院議員になってから、チェイニーは共和党のメンバーと衝突をする人物だという評価を獲得している。当時の連邦下院議長ポール・ライアン連邦下院議員(ウィスコンシン州選出)とは国防予算をめぐって対立した。イランに対する軍事行動をめぐっては、ランド・ポール連邦上院議員(ケンタッキー州選出)と衝突した。スティーヴ・キング連邦下院議員(アイオワ州選出)については、人種差別的発言に関連して辞職を促し、出身州であるワイオミング州選出の連邦上院議員マイク・エンツィに対しては、自身が予備選挙に出るという動きもした。

従って、チェイニーの同僚にしてみれば、彼女がトランプ大統領と対立するということについては何の驚きもなかった。しかし、ここ数カ月、トランプ大統領に対する、チェイニーの公の場での批判は大きくなっていった。

先月、重要な出来事が起きた。トランプと緊密で、トランプからは「私のケヴィン」と呼ばれている、マッカーシー議員は、トランプ大統領がMSNBCの番組司会者ジョー・スカーボローが女性のアシスタントを殺害したという根拠のないツイートを複数回行ったことについて、記者会見で繰り返し質問されたが、かわし続けた。一方、チェイニーは、彼女自身が感じたことをそのまま表明した。チェイニーは厳しく、大統領の攻撃について同意しないと述べた。

記者会見終了後、チェイニーは記者団に対して次のように述べた。「トランプ大統領はジョー・スカーボローについてのツイートを止めるべきでしょうね。私たちは感染拡大の真っただ中にいるのですから。トランプ大統領は我が国の最高司令官の地位にいるのです。そして、亡くなった若い女性の家族に対して大きな苦痛を与える原因となっています」。

これは、チェイニーが、アレクサンダー・ヴィンディマン少佐とマリー・ヨヴァノヴィッツ元大使のために立ち上がったことを思い出させる。2人はトランプ大統領の弾劾の際に証人となり、ツイッター上でトランプ大統領から攻撃を受けた。

コロナウイルス危機が発生した際、チェイニーは共和党内において理性的であることを主張する立場を取った。トランプ大統領が4月上旬までに経済を再開すると述べた際、チェイニーはそれに反対すると発言した。また、右派の多くがアメリカの感染症に関する専門家のトップであるアンソニー・ファウチ博士を攻撃した際には、チェイニーはすぐに彼を擁護した。

チェイニーは次のようにツイートした。「ファウチ博士は我が国のこれまでの公僕の中でも最も良い仕事をしている公僕の一人だ。彼は党派的ではない。彼が唯一関心を持っているのは人々の命を救うことだ。このウイルスを倒すために、私たちは彼の専門性と判断を必要としている。全てのアメリカ国民は、彼に感謝すべきだ。それも毎日」。

外交政策と国家安全保障政策に関する諸問題についてチェイニーはより声高に主張する。チェイニーはトランプが最近になってドイツ駐留米軍の削減計画を発表したことについて、「危険なほどに見当違い」であると評した。また、トランプ大統領がタリバンの指導者たちをキャンプ・デイヴィッドに招いて和平交渉を行うという考えを激しく非難した。また、アメリカの謀略調査用のドローンが撃ち落されたことについて、イランに対する報復をしないのなら、「それは深刻な過ち」となるだろうと述べた。

しかし、トランプ大統領を非難している他の共和党の政治家たちと違うのは、チェイニーがトランプ大統領を非難しても選挙の地盤は傷つきにくいということだ。トランプ大統領の支持基盤は外交政策では全く動かない。

そして、トランプ大統領は二期目の連邦下院議員であるチェイニーをことあるごとに褒め、ホワイトハウスでのイヴェントにたびたび招待し、チェイニーには「無制限の未来」があり、ワイオミング州の代表が彼女であることは州民にとって「幸運だ」と発言している。

ファーガソンはチェイニーのトランプ大統領に対する批判について次のように述べている。「彼女の批判については、決して個人的な感情から出ているものではありません。政策について彼女がどのように感じているかについての正直な議論を行っているだけなのです。大統領の個人的な部分を攻撃する人は多くいますが、彼女はそうではないのです」。

(貼り付け終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。
 ジョー・バイデンは国務長官に側近のアントニー・ブリンケンを指名した。ブリンケンはどんな人物か。
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アントニー・ブリンケン(右)とバイデン
 ブリンケンの父ドナルドは1944年に米陸軍に入隊し、その後、1948年にハーヴァード大学を卒業した。投資会社ウォーバーグ・ピンカス・カンパニーの創設者の一人だ。ブリンケンは民主党の大口献金者であり、1988年の大統領選挙では民主党候補のマイケル・デュカキスの資金集めを担当した(息子のアントニーも参加した)。そして、民主党のビル・クリントン政権下の1994年から97年にかけて駐ハンガリー米国大使を務めた。

 父ドナルドと母ジュディスが離婚し、ジュディスはパリで弁護士をしていたサミュエル・ピカールと再婚した。それでアントニーもパリに移り、高校時代を過ごした。そのために、アントニーはフランス語に堪能だ。その後、アントニー・ブリンケンはハーヴァード大学を卒業し、コロンビア大学法科大学院を卒業した。

 1993年からは国務省に勤務し、2002年からは上院外交委員会の民主党側スタッフとなった。この時に上院外交委員長を務めていたジョー・バイデンと知り合い、その後、側近となった。2009年からはジョー・バイデン副大統領の国家安全保障問題担当補佐官を務めた。2013年から2015年までは国家安全保障担当大統領次席補佐官を務めた。更に2015年から2017年にかけては国務副長官も務めた。オバマ政権時代には「副」「次席」の立場で外交政策や国家安全保障政策を担った。

 ジョー・バイデン政権ができれば、ブリンケンは初めて「副」や「次席」という言葉が付かない形で外交政策の中心人物となる。

 ブリンケンは「人道的介入主義派(Humanitarian Interventionists)」の一員である。彼の経歴を見ても、連邦上院時代にバイデン委員長の下で、イラク戦争賛成の下準備を行った。また、オバマ政権下ではリリアやリビアへの介入を主導したと言われている。トランプ大統領の外交姿勢を徹底的に批判してきた。彼はヒラリー派の一員である。しかし、同時にバイデンの側近ということを考えると、バイデンが途中で辞任となれば一緒に辞める(辞めさせられる)ということもあるだろう。

 このバイデン政権=ヒラリー・チェイニー政権の外交政策を担うという点では、アントニー・ブリンケンは適任であろう。それが世界にとってどんな厄災をもたらすかは想像すらできないが。「グレイト・リセット」を行い、アメリカと世界はディストピアに陥る。その時に平然と人々を抑圧する側の人間ということになる。

(貼り付けはじめ)

バイデンが国務長官に選んだアントニー・ブリンケンについて知るべき5つのこと(Five things to know about Antony Blinken, Biden's pick for State

オリヴィア・ビーヴァーズ、ロウラ・ケリー筆

2020年11月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/national-security/527650-five-things-to-know-about-antony-blinken-bidens-pick-for-state

大統領選挙当選者バイデンは今週アントニー・ブリンケンを国務長官に起用すると発表した。ブリンケンはバイデンにとって長年の側近であり、バイデンに近い外交政策アドヴァイザーである。

ブリンケンは外交政策分野で広範な経験を持っている。そして、連邦議会で人事が承認されれば、ブリンケンは複数の発生中のそして永続的な諸問題に直面している。その中には危険な新型コロナウイルス感染拡大も含まれている。

ブリンケンについての5つの知るべきことを述べていく。

(1)バイデンは数十年に渡りバイデンと一緒に仕事をしてきた(Blinken has a years-long working relationship with Biden

ブリンケンとバイデンとの間の関係は数十年前までさかのぼることができる。

バイデンが連邦上院外交委員会の委員長と幹部委員を務めた時、ブリンケンは民主党側スタッフ部長を6年間にわたり務めた。バイデンが副大統領に選ばれた際、ブリンケンはバイデンの後を追ってホワイトハウスに入った。ブリンケンはバイデン副大統領の国家安全保障問題担当補佐官を務めた。

ブリンケンは後にオバマ政権内で様々なポジションを経験した。その中にはバラク・オバマ大統領のアシスタントとオバマ大統領の国家安全保障問題担当筆頭次席大統領補佐官が含まれていた。

バイデンが選挙運動を始めた後、ブリンケンは再びバイデンの側近となった。ブリンケンはバイデン選対の外交政策アドヴァイザーに就任した。

ブリンケンは火曜日、国務長官就任を受諾すると述べ、その中で、大統領選挙当選者バイデンとの関係は自分の職業人としての人生の中のハイライトだと述べた。

「大統領選挙当選者であるバイデン氏のために働くこと、そして、あなたを師と友人として仰ぎ見ることができることは、私の職業人としての人生において最大の栄誉です」と述べた。

バイデンは、ブリンケンを国務長官に指名すると発表し、その中で、ブリンケンは「自分に最も近く、最も信頼できるアドヴァイザー」であると発言した。

(2)ブリンケンは中東に過集中している(Blinken has had hyperfocus on Middle East

ブリンケンは、911のテロリストによる攻撃とイラクへのアメリカ軍の侵攻の後に、対中東の外交政策に過剰に集中していることで知られている。

バイデンが連邦上院議員を務めていた機関、ブリンケンはイラクの分割計画を発表する手助けをした。ブリンケンは、イラクを人種や宗教的なアイデンティティを元にして3つのゾーンに分割することを強く主張した。そうすることで、それぞれのゾーンで自治が可能になると主張した。しかし、この考えは、多くの人々の反対に遭った。当時のイラクの主将からも強く反対された。

ブリンケンは対中東のアメリカの外交政策を形作った。

オバマ政権下、ブリンケンは、中東地域でISISに対抗するために十数カ国の連合形成を主導した。ブリンケンは政権内の外交政策の決定を主導した。特にアフガニスタン政策とイラクの核開発プログラムについて政策を主導した。

(3)ブリンケンは国務省の士気を上げたいと考えている(Blinken wants to raise State’s morale

ブリンケンはオバマ政権で国務副長官を務めた。ブリンケンの最後のそしてより記憶に残る瞬間としては、国務省のホリデーパーティーでの姿であった。ブリンケンはギターを手に取り、国務省職員で結成されているバンドに参加して、ボブ・ディランの曲を弾きながら、歌詞を国務省の職員に捧げるものに変えて歌った。

ブリンケン副長官の下、国務省に勤務したハイリー・ソイファーは「ブリンケンは政府において同僚たちと協力しながら仕事を進めました」と述べた。

ブリンケンと親しい人物として、トム・マリノウスキー連邦下院議員(ニュージャージー州選出、民主党)が挙げられる。マリノウスキーは民主政治体制・人権・労働担当国務次官補を務めた。

火曜日、ブリンケンはデラウエア州で国務長官就任を受諾した。その際、オバマ政権とクリントン政権、連邦上院、国務省で一緒に働いた「バンド仲間」に感謝の言葉を述べた。

ソイファーは次のように語っている。「これがまさにブリンケンを象徴しているものです。国務副長官時代、ブリンケンはただのリーダーではなかった。トップダウンでの判断をするのではなく、国務省全体を支援しながら仕事をするリーダーでした」。

ルー・ルーケンズは2018年まで、オバマ政権において、ロンドンの米国大使館で首席公使(deputy chief of mission to the U.S. embassy in London)を務めた。ルーケンズは「穏やかで謙虚」な人物だと評しているが、同時に、国務省に対する深い理解と評価をもたらすだろうとも述べた。更に、ブリンケンは「バイデンが優先政策ついて知識を持っており、深井考えを持っている」とも語った。

ルーケンズは次のように語った。「ブリンケン率いる外交ティームは、国際的な脅威に対処する同盟諸国とパートナー諸国の協力の重要性を認識するであろうことは明らかです。“アメリカ・ファースト、アメリカ・あローン”アプローチを推進する代わりに、志を同じくする諸国と協働することで、テロリズム、感染症拡大、気候変動などの脅威に対処することができるということを彼らは理解しています」。

(4)ブリンケンはホロコースト帰還者の継子だ(Blinken is stepson of a Holocaust survivor

ブリンケンは、自身のアメリカに対する考え方は、第二次世界大戦中に空軍兵士として従軍し、その後駐ハンガリー米国大使となった父親と、ホロコーストを生き抜いた継父の両者によって形成されたと認めている。彼の継父はアメリカを自由の烽火だと考えていた。

ブリンケンは、火曜日に国務長官受諾の演説の中で、父と継父の2つの物語を語った。ブリンケンは父ドナルド・ブリンケンこそが自分にとってロールモデルであり英雄だと述べた。

ブリンケンは更に、彼の継父サミュエル・ピサールの米国に来るまでの物語について語った。ピサールの親族はホロコーストでそのほとんどが殺害された。ピサールはバイエルン州の森の中で隠れ、第二次世界大戦末期の最後の死の行進から逃走した。その時、彼は白い5つの星がペイントされた戦車を目撃した。

ブリンケンは次のように述べた。「彼は戦車に駆け寄りました。戦車のハッチが開きました。アフリカ系アメリカ人兵士が彼を見下ろしました。私の父は膝をついて、彼の母親が教えてくれた3つの英単語を叫びました。それは、“God Bless America(神よ、アメリカに祝福を)”でした。兵士は彼を戦車に引き上げてくれて中に入れてくれました。父はアメリカに、そして自由に入ったのです」。

大使を務め、外交分野で長く勤務したダン・フライドは数十年にわたりブリンケンと新興を持ってきた。フライドは、ブリンケンの継父の物語はブリンケンの外交政策に関する考え方を表現していると考えていると述べた。

フライドは「アトランティック・カウンシル」とのインタヴューの中で次のように語っている。「外交政策についての基本的な考えについて、ブリンケンと話したことはないです。しかし、彼の外交政策についての基本的な考えは、価値観を持つ国としてのアメリカのアイデンティティから出ているということは感じられています。アメリカは、難民であった彼の継父をアメリカに招き入れてくれた国なのです。そして、アメリカは、自国の価値観と国益の増進はリンクしているということを分かっている国なのです」。

(5)ブリンケンには二人の幼い子供たちがいる(Blinken has two young children

ブリンケンは多忙を極める国防長官の職に就くが、彼と彼の妻は現在二人の幼い子供たちを育てている真っ最中だ。ブリンケンは20世紀以降の国務長官の中で、幼児を育てながら職責を果たすことになる最初の長官となる。

ブリンケンは、こちらもアメリカ政界で働いているエヴァン・モウリーン・ライアンと結婚した。二人はクリントン政権で働いている時に知り合った。

政府で仕事をしている間、ブリンケンは幼児教育に対しての関心を示した。2016年9月、ブリンケンは、有名な子供番組「セサミストリート」に出演した。彼は番組の中で、難民の流入と国連の役割について説明した。

オバマ政権で国連大使を務め、ブリンケンと同僚だったサマンサ・パワーは次のようにツイートした。「アメリカのトップ外交官が二人の幼児を育てながら職責を果たす姿を見せることは、働く親御さんたちにとって、元気をもらえることになるだろう。トニーと素晴らしいエヴァン・ライアンが家族を犠牲にして職責を果たしていることに感謝します」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 2020年米大統領選挙は、現在のところ、民主党のジョー・バイデン前副大統領が優勢だと報じられている。恐らくこのまま「バイデン勝利」ということにするんだろう。選挙の結果をめぐっては、不満や疑念が存在し、それが暴力事件という形で噴出するだろう。市民ミリシア(civic militias)と州知事が派遣した州兵(national guards)の内戦状態にまで発展することも考えられる。市民ミリシアにはアメリカ軍を退役した元軍人たちも多く参加しており、ただ武器を持っていきがっているような人たちではない。あらゆるシチュエーションでの戦闘訓練を行っている組織もある。簡単に鎮圧されない。そうなれば、捕縛は無理となり、州兵たちに対して射殺命令が出るだろう。

 私は選挙前にそのことを示す論説をこのブログで紹介した。そのようなことが現実になると思っていた人たちは少ないだろうが、今日、私たちの目の前にある危機なのだ。

 私は非常に後悔し、自分を責めていることがある。それは、「この論文を読んでいながら、なぜ気づかなかったのか、大事だと思ったから読んだはずなのに、その内容を敷衍できなかった」という思いだ。それは、私も翻訳作業に参加した『イスラエル・ロビーⅠ・Ⅱ』(講談社)の著者であるハーヴァード大学教授スティーヴン・ウォルトが2018年に発表した論稿だ。そのタイトルは「ディック・チェイニー政権にようこそ」というものだ。

※論稿へはこちらからどうぞ。 

2018年の段階で、トランプ政権は「ディック・チェイニー政権」になっていたのだ。マイク・ペンス、マイク・ポンぺオ、マーク・エスパー、ジーナ・ハスペル、更にジョン・ボルトンというチェイニーの息のかかった人間たち、凶暴なネオコンたちがトランプ政権を占拠していたのだ。トランプ政権が独自に外交をやろうと思えば、ホワイトハウスで、ジャレッド・クシュナーとイヴァンカ・トランプを通じてやらねばならなかった。その代表例が北朝鮮の金正恩委員長とのトップ会談だった。これは、バラク・オバマ政権でもそうだった。国務省を迂回して、キューバとの国交正常化やイランとの核開発に関する合意と言った、自分たちがやりたいことをやるためには、ホワイトハウスを強化するしかなかった。
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ヒラリー(左)とビル・クリントン(中)、チェイニー(右)
 ウォルト教授の指摘で大事なことは、「チェイニー主義(Cheneyism)」という言葉であって、このチェイニー主義には共和党のネオコンと民主党の人道的介入主義派が含まれている。アホ・ブッシュ政権が始めたイラク戦争には、連邦上院議員だったヒラリー・クリントンとジョー・バイデンが賛成していた。トランプ政権は前門の民主党(エスタブリッシュメント)、後門の共和党(エスタブリッシュメント)に挟まれていたのだ。トランプ主義、トランプ現象は、既成のワシントンに巣くう2つの勢力、ヒラリーが代表する人道的介入主義派とチェイニーが代表するネオコンによって包囲され、絞め殺された。そのことに私は早く気づいておくべきだったのだ。トランプ革命は「あらかじめ裏切られた革命」だったのだ。
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チェイニー(左)とバイデン(右)
 ディック・チェイニーの長女リズ・チェイニーはアメリカ国務省や悪名高きアメリカ国際開発庁(USAID)で勤務し、ブッシュ政権(父親のチェイニーは副大統領)では中近東担当国務次官補代理を務めた。2016年から地元ワイオミング州の連邦下院議員を務め、今回2020年の選挙では3回目の当選を果たした。アメリカ合衆国下院共和党会議議長を務めており、連邦下院共和党ではナンバー3の地位にある。このリズが共和党の保守勢力を代表する人物になるという主張も既に出ている。
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リズ・チェイニー(左)とディック・チェイニー
 2016年の大統領圓居を思い返してみれば、民主党のヒラリー・クリントンを共和党支持であるはずの、ネオコンの論客ロバート・ケーガンが熱心に応援していた。これは一つの傍証に過ぎないが、人道的介入主義派とネオコンは同種同根なのだ。そのことは、手前味噌で恐縮だが、拙著『アメリカ政治の秘密』で明らかにしている。

 今回のバイデン勝利で、私はこの、大義名分を掲げて対外戦争をやりたがる人間たちの大復活があると見ている。バイデン政権は「ディック・チェイニー(ネオコン)・ヒラリー・クリントン(人道的介入主義派)連立政権」である。ネオコンは「世界中が民主政治体制の資本主義国になれば世界から戦争がなくなる」という理想主義を掲げ、人道的介入主義派は「独裁者たちの圧政に苦しむ人々を人道的な理由から助けねばならない」という「人道上、人類としてやるべき」ことを理由にしている。しかし、こうした人々も中東諸国や中央アジア諸国の王国や独裁国家を倒そうとは言わない。二枚舌なのだ。

 新型コロナウイルス感染拡大が落ち着けば、経済の復興に焦点が移る。その時に、手っ取り早いのは戦争だ。戦争経済(war-boost-economy)だ。戦費は心配いらない、ドル建て国債はいくらでも発行できるのだ。日本から貢がせても良い。対中、対露、対北朝鮮において、もっとも近距離にある場所はどこか、それは日本だ。大きな戦争が大好き、反中、反露、反北朝鮮のバイデン政権のために、日本はお金だけではなく、いろいろな負担もさせられることだろう。バイデンはトランプの「アメリカ第一(America First、アメリカ国内の諸問題の解決を最優先にするという考え)」と「アイソレーショニズム(Isolationism、国内問題解決優先主義)」を批判して当選してできるのだから、アホのビル・クリントンやジョージ・W・ブッシュの時と同じようなことになる。

 ジミー・カーターもジョージ・HW・ブッシュも何やらおかしげなマスコミの煽動やプロパガンダで再選はできなかった。しかし、彼らは「元大統領」として、最高に評価が高い人たちだ。田中角栄もそうだった。その時に評価されなくても、後々に評価されるのだ。トランプはその仲間入りを果たしたということはそれだけで誇り高いことだ。

 さぁ、これから厳しい時代になる。戦争の時代になる。影響を最小限とするための準備をしよう。「トランプなんて大嫌い、良かった、バイデンになって」と不幸の始まりに立って、能天気に喜んでいられるのは一面では羨ましい。「Ignorance is Bliss」という言葉がある。しかし、一緒になって、良かった良かった、の浮かれ騒ぎはできない。帝国アメリカの終わり、世界の構造の変化に備えなければならない。

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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