古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:トゥルシー・ギャバ―ド

 古村治彦です。

2024年アメリカ大統領選挙の共和党候補として、フロリダ州知事ロン・デサンティス(Ron DeSantis、1978年-、43歳)の名前が挙がっている。今年7月に『ザ・ヒル』誌とハリスX社が行った共同世論調査の結果では、ドナルド・トランプ前大統領、マイク・ペンス前副大統領に続く3位につけた。私が現在翻訳作業を進めている、『ビッグ・テックを解体せよ』の著者ジョシュ・ホーリー連邦上院議員も7位に入っている。デサンティスは43歳、ホーリーは41歳であり、40代の若手が共和党界隈で存在感を増している。
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ケイシー夫人とロン・デサンティス
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デサンティスはイタリア系の名前で、フロリダ州生まれ。2001年にイェール大学を卒業し(学生時代は野球ティームのキャプテン)、ハーヴァード大学法科大学院に進学し、法務博士号を取得した。法科大学院在学中に海軍法務部(Judge Advocate General's CorpsJAG)に入った。法務士官となったデサンティスは海軍特殊部隊の司令官付法務士官としてイラクに派遣された。2010年に海軍少佐で予備役となった。

2012年の連邦下院議員選選挙に立候補して当選し、3期目の9月に辞職して、フロリダ州知事選挙に出馬して、当選して現在もフロリダ州知事の任期中だ。途中の2016年には連邦上院議員選挙の共和党予備選挙に出馬する構えを見せた。現職のマルコ・ルビオが大統領選挙に出馬し、当選すれば議席が空くという可能性もあったが、ルビオが大統領選挙から撤退し、上院議員選挙に立候補したために、デサンティスは下院議員選挙での再選を目指し、当選した。

 デサンティスは連邦下院議員時代にはタカ派の議員として知られ、また、ドナルド・トランプ前大統領の支持者でもあった。連邦下院議員から州知事への転身は、大統領選挙出馬を意図しているということが大いに考えられる。現在のバイデン、オバマは連邦上院議員出身だったが、その前のジョージ・W・ブッシュ(息子)とビル・クリントンはそれぞれテキサス州知事、アーカンソー州知事を務めた。古くはロナルド・レーガンも州知事出身であり、州知事で行政経験を積み、成果を出すことが大統領選挙でのアピールにつながる。

 下の論稿はデサンティスについて取り上げたものであるが、奇妙なことに、副大統領候補として、民主党の大統領選挙にも出馬した、トゥルシー・ギャバード(Tulsi Gabbard、1981年-、40歳)前連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)の名前を挙げている点だ。ギャバ―ドについてはこのブログでも何度も紹介しているが、民主党のエスタブリッシュメント、ヒラリー・クリントンを強烈に批判してきた人物である。
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トゥルシー・ギャバ―ド
 ギャバードは、アメリカ軍の世界各地からの撤退ということを主張しているが、彼女自身は安全な場所からそのことを発言しているのではなく、ハワイ州兵としてイラクやクウェートに派遣された経験を持つ。現在は中佐の階級を持っている。

下院議員から退いた後は言論活動を展開している。民主党は相容れないはずのフォックス・ニュースの番組に出演し、特に連邦下院議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)やアダム・シフ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)を舌鋒鋭く批判している。

 この2人がコンビを組んで大統領選挙に出馬し当選するという可能性はほぼないと思う。

(貼り付けはじめ)

デサントスにとって完璧な民主党副大統領?(The perfect Democratic running mate for DeSantis?

ダグラス・マッキノン筆

2021年10月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/white-house/575868-the-perfect-democratic-running-mate-for-desantis

私たちは全員が知っているように、運命の気まぐれは人生や政治を一瞬にして変えてしまう。今週、フロリダ州知事夫人ケイシー・デサンティスは乳がんの診断を受けたということが全米に報道された。ロン・デサンティス知事がより高位の職務のために選挙に出馬するのではないかという考えが、デサンティス家を襲った悲しみの霧に包まれてしまった。

デサンティス夫人の診断結果を受けて、党派争いをしている民主党員であっても、優しさと思いやりを示すことを期待したい。

しかし、悲しいことに、やさしさと思いやりを示されることはなかった。ツイッターで荒らし行為をしている利用者たちは、このニュースを基にして知事とその家族を攻撃した。

2022年の州知事選挙でデサンティスに対抗して立候補する予定の民主党所属の、フロリダ州農業ニッキー・フリード農業局長の名誉のために、彼女の次のツイートを掲載しておく。「私の心は、ケイシー・デサンティス・フロリダ州知事夫人とご家族と共にあります。私たちは皆、あなた方のために祈りを捧げます!」。彼女の温かい内容のツイートを読むだろう人々に対して、フリードは次のようにツイートした。「このツイートに変死することを選択するならば、どうぞ幾分かでも共感を示してしていただきたい。ケイシーは3人のお子さんのお母さんであり、この困難な戦いにおいて、私たちの支援を受ける価値のある人だ」。

フリード同様、私たちもまた、ケイシー・デサンティスの完全な回復のために数百万のアメリカ人が祈っていることは確かだと私は思う。最終的なプラスの結果が起きると信じているならば、何が起きるだろうか?

人生と政治はこれからも続いていく。

このような信念に基づくと、ロン・デサンティスは2024年の大統領選挙の共和党候補者の有力候補の2名のうちの1名だ。もう一人は、別の「ニッキー」だ。こちらは、サウスカロライナ州元知事のニッキー・ヘイリーだ。

「しかし、トランプ前大統領はどうだ?」「共和党支持者たちを対象にした世論調査の結果ではトランプがリードしているんじゃないのか?」と疑義を呈する人たちもいるだろう。

実際のところ、その通りだ。そうではあるが、トランプ前大統領が2024年の大統領選挙に出馬することはないと私は確信している。

私の希望は、トランプの巨大なエゴが、「彼の名前が何千万人ものアメリカ人にとって有害であり、彼の指名が大規模な市民運動を扇動するかもしれない」ということを、彼自身が熟考するだけの余裕を与えてくれないかということだ。もし、トランプが自分で言うように、アメリカを信じているのであれば、選挙に立候補せずに、自分の影響力を使って共和党の候補者を助ける方がはるかに良いことを分かっているはずだ。

ここでロン・デサンティスとニッキー・ヘイリーに話を戻す。どちらかが大統領選挙候補者に指名されれば、もう一方が副大統領候補として選挙戦に参加するだろうか?その可能性はあるが、可能性はそこまで高くない。カマラ・ハリス副大統領はその流れを現実化した。このような理由、また別の理由から、私はヘイリーが大統領候補に指名されなければ、副大統領候補になることはないだろうと私は確信している。

間違ってはいけない。ヘイリーは有力な大統領選挙候補者となるだろう。ヘイリーは大統領にふさわしい資格や属性を持つとともに、インド系移民の娘という有色人種でもある。ヘイリーは、偏見や差別の醜さについて、身をもって知っている。彼女の物語は数百万のアメリカ人の共感を得ている。

ここで、これらの条件や属性を更に多く持つ別の女性を紹介したい。それは、トゥルシー・ギャバード前連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)だ。

ギャバードは、サモア系アメリカ人・ヒンズー教徒系アメリカ人で初めての連邦議員となって、ガラスの天井を打ち破った。彼女は陸軍将校としてアメリカに奉仕し、イラクとクウェートに派遣された。彼女は外交政策の専門家であり、政権中枢にいた人々を「ネオコンの戦争好きなタカ派」と罵倒することを恐れない。また、ユーチューブで何十万回も再生されたヴィデオの中で、アフガニスタンでのアメリカの失敗の責任者である「エリート」を罵倒することもまた恐れない。

アメリカは、特にトランプ政権下のアメリカでは、「アメリカ政治問題化した合衆国(Polarized States of America)」に変貌した。政治的な立場に関して、右派と左派のヘイトスピーチを行う人々の過激な煽動的な言葉は、これまでにない時代を生き抜くために戦っている多くのアメリカ人の士気を低下させている。

党派的な愚かさや安易な議論を捨て去って、国民のためになるような大統領候補を、アメリカ人は温かく迎え入れてくれることだろう。2024年にデサンティスが大統領選挙に出馬する際に常に頭の中に入れておかねばならないのはこのことだ。

アメリカ史上最高齢の大統領ジョー・バイデンの後に、軍人としてアメリカに奉仕し、政治的に正反対の立場を超えて一緒に協力しようと望む40代の人物2人、デサンティスとギャバドが大統領選挙に出馬することになる可能性がある。この予測不可能な時代に、絶対に、などとは絶対に言ってはいけない。

ダグラス・マキノン:政治・コミュニケイションコンサルタント。ロナルド・レーガン、ジョージ・H・W・ブッシュ(父)両政権でスピーチライターを務めた。ブッシュ(父)政権での3年間は国防総省の政策・コミュニケイション担当特別補佐官を務めた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 MSNBCのレイチェル・マドウは人気のあるキャスターで、彼女の番組は影響力がある。マドウの番組に1日違いでバーニー・サンダースとエリザベス・ウォーレンが出演した。スーパーチューズデーの直後にサンダースが出演し、翌日にウォーレンが出演した。ウォーレンは選挙戦の中断を発表した直後の出演となった。

 スーパーチューズデー後の動きでは、マイケル・ブルームバーグが選挙戦から撤退し、ジョー・バイデン支持を表明した。中道派はバイデンへの一本化に成功した。一方、進歩主義派はウォーレンの去就が焦点になっていたが、選挙戦の中断は発表したが、誰を支持するかはこれから時間をかけて決めると述べた。サンダース陣営もバイデン陣営もウォーレンからの支持表明は何としても手にしたいものであり、両候補はウォーレンと複数回にわたって会話を交わしている。

 ウォーレンがサンダースを支持するにあたって、重要なのは、狂信的なサンダース支持の若者たち(バーニー・ブラザーズ)の暴走をいかにして抑制するかだ。ウォーレンと彼女の支持者たちはインターネット上での執拗な攻撃に悩まされてきた。ウォーレンに対して、「選挙から降りたんだからすぐにサンダースを応援しろ」というのはあまりにも酷い言い草である。また、何度も書いているが、ウォーレンの支持者の約半数は中道派の候補者たちを支持している。大多数や過半数がサンダースに流れるとは考えにくい。

 ここでサンダースが支持者の暴走に対する謝罪や暴走する支持者の一部を追放することができれば大したものだ。しかし、難しいだろう。また、そのようなことが起きれば、失望したサンダース支持者の離脱ということもあるかもしれない。そうした人々の行き先はもうトゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)しか残っていない。ギャバードにしてもそういう連中から支持されるのは迷惑ということになる。

 しかし、下の記事を読むと、ウォーレンはサンダースに一つのヒントを示している。それは、「専任のスタッフを置いて、支持者たちの書き込みをチェックし、酷い場合には警告を発するようにせよ」というものだ。これができて効果があれば、ウォーレンはサンダースを支持すると表明するだろうと思う。サンダースには個人攻撃などしなくても、低所得者や労働者階級に向けての政策がある。それを訴え続ける、しかし激しい個人攻撃はしないということで流れを引き戻すことができると私は考える。甘い考えかもしれないが、これ以外に道はないと考える。独善的な横への広がりに欠ける方法では勝てない。

(貼り付けはじめ)

サンダース支持者たちのインターネット上での攻撃についてウォーレンは「深刻な問題だ」と発言(Warren on Sanders supporters' online attacks: 'I think it's a real problem'

レベッカ・クレアー筆

2020年3月5日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/486259-warren-on-sanders-supporters-online-attacks-i-think-its-a-real-problem

エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は木曜日、大統領選挙の候補者たちはそれぞれ自分の支持者がインターネット上で行っている攻撃について責任を持っていると述べた。また、このような問題は、2020年の選挙戦で、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)の支持者に関して深刻な問題だとも述べた。

ウォーレンはMSNBCのレイチェル・マドウとのインタヴューの中で次のように述べた。「全ての候補者のために申し上げたいことがあります。自分の支持者だと明らかにして、脅迫、醜悪で危険な行為を他の人々に対して行っている人間たちについて、私たち立候補者は責任があります」。

このインタヴューはウォーレンが大統領選挙を終了すると発表した日に行われた。

マドウは、サンダース支持者によるインターネット上でのウォーレン自身とウォーレン支持者に対する攻撃について質問した。蛇の形をした絵文字(emojis)をツイートしたり、民主党に対して次の乗員銀選挙でウォーレンに対抗馬を立てるように求めたりした。

ウォーレンは「これは私に対してだけの問題ではありません。このインターネット上でのいじめと組織的な醜悪な行為は深刻な問題です」と述べた。

サンダースの選挙の支持者の間ではこれはより深刻な問題ではないかと質問され、その通りだと述べた。

彼女は「その通りです」と述べた。

ウォーレンはマドウに、この問題についてサンダースと話をしたと述べた。

ウォーレンは「短い時間でしたが、確かにこの問題について話し合いました。これは深刻な問題です」と述べた。

サンダースは自身の支持者たちによるウォーレンやその他の人々に対する「醜悪な個人攻撃」を非難した。これはウォーレンとのインタヴューとは別の、水曜日に行われたマドウとのインタヴューの中で述べられた発言だ。

ウォーレンは「人々はこれが小さな問題ではないと言っていますね」と述べた。彼女はまた、ネヴァダ州での飲食業従事者組合の幹部2人について言及した。この2人は、組合がサンダースを攻撃する候補者採点表を発表した後に激しい攻撃を受けたと主張している。

ウォーレンは、「ワーキング・ファミリー・パーティー」がウォーレン支持を発表した後に、この組織の幹部の女性たちに対しても同様の攻撃を受けたと述べている。

こうした攻撃を非難する発言をするだけでは不十分であり、各候補者はこの問題を解決するための実行計画を考慮する必要がある、とウォーレンは述べた。

ウォーレンは、各選対が、「お手上げのポーズをして、“そんなことは無理だ”」と言う代わりに問題解決のための創造的な方法を考慮すべきだと述べた。

マドウとのインタヴューの中で、ウォーレンは、各選対はSNS上の書き込みを調査する専任スタッフを置き、SNS上での醜悪な書き込みについては報告し、非難するような体制を取ったらよいと提案している。

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サンダースは自身の支持者たちによるウォーレンに対する「醜悪な」個人攻撃を非難(Sanders condemns his supporters' 'ugly, personal attacks' against Warren

レベッカ・クレアー筆

2020年3月4日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/486052-sanders-condemns-his-supporters-ugly-personal-attacks-against-warren

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)は水曜日、彼自身の支持者たちもしくは他のいかなるひとであっても、予備選挙でのライヴァルであるエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)への個人攻撃について、「嫌悪感」を持っていると述べた。

MSNBCのレイチェル・マドウはサンダースに支持者の一部が行っている攻撃について質問した。サンダースの支持者の一部は蛇の写真をツイッター上に掲載したり、彼女の次のマサチューセッツ州の連邦上院議員選挙に挑戦者が出るように求めたりしていた。

サンダースはマドウに、インターネット上でのウォーレンに対する悪口雑言に対して「本当に嫌悪感」を持っており、「愕然」としている、と述べた。

サンダースは「私たちはそのようなことを非難します。私たちは支持者の皆さんには政策や諸問題について議論して欲しいと思っています」と述べた。

サンダースは更に次のように述べた。「私たちは、ウォーレン上院議員やその他の人々に対する醜悪な個人攻撃など一切必要としていません」。

サンダースは、ウォーレンが自身の選挙について再分析と評価を行う際に真摯な議論を行ったが、私的な会話はしなかったと述べた。

スーパーチューズデーで15の州と自治領で予備選挙が実施され、ウォーレンにとって結果は絶望的なものとなった。翌日の水曜日は元々、人前に出るイヴェントは予定されていなかった。ウォーレン選対は、その日一日をかけてウォーレンにまだ党の指名獲得の可能性が残っているかを分析評価することになると発表していた。

ウォーレンを副大統領候補にする考えがあるかと質問され、サンダースは「それについて話をするのは時期尚早です」と答えた。

しかし、サンダースは「私は、私の政権でどのような役割を果たしてもらえるかについてじっくりと話をしたいと思っています」とも述べた。また、彼女には大いなる敬意を持っているとも付け加えた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。
※このブログのオリジナルのタイトルは「、エリザベス・ウォーレン(とトゥルシー・ギャバ―ド)とマイケル・ブルームバーグはどうするんだ:はっきり言っていなくなってよ、ということに」でした。しかし、速報でマイケル・ブルームバーグが選挙戦から撤退し、バイデン支持表明が入ってきたのでタイトルを変更します。

 スーパーチューズデーの勝敗の結果はだいたい出揃ったが、正確な代議員の配分数は現在のところ決まっていない。ジョー・バイデンが大勝し、バーニー・サンダースは事前の各種世論調査の数字よりも悪く、事前にトップを取れると思われていた州でバイデンに敗北した。マイケル・ブルームバーグも期待外れの結果に終わった。バイデンが勢いを取り戻したためにそれにはじかれてしまった形だ。エリザベス・ウォーレンは地元マサチューセッツ州でバイデン、サンダースに敗れ3位に終わった。

 こうした中で、進歩主義派の中から「まとまろう(=ウォーレンとギャバ―ドを撤退させよう)」という動きが出そうである。アレクサンドリア・オカシオ=コルテスと同じく新人連邦下院議員であるイルハン・オマルがツイッター上で「進歩主義派でまとまろう、まとまっていたら勝てた」という糾弾を行った。その矛先は明言していないが、進歩主義派の候補者であるウォーレンとトゥルシー・ギャバ―ドである。ギャバ―ドはスーパーチューズデーでアメリカ領サモアにおいて2位に入り、代議員1名を獲得した。全く蚊帳の外の候補者であるが、2016年にはサンダースを応援した人物だ。彼女が取る1%くらいの得票でも今となっては重要だ。ウォーレンはもっと票を獲得するのだから、サンダース支持者からすれば更に邪魔である。

 ウォーレンもギャバ―ドも意志の強さは一級品である。サンダースの狂信的な支持者であるバーニー・ブラザーズから執拗な攻撃を受けてもひるむことはないだろう。ギャバ―ドは予備役ではあるがハワイ州軍の士官でイラクとアフガニスタンで軍務に就いた経験を持つ。しかし、ギャバ―ドはサンダースが説得すれば一本化に乗るかもしれない。問題はウォーレンだ。ウォーレン自身は民主党エスタブリッシュメント派、主流派との関係は悪くない。ここで選挙戦は撤退するが、誰にも支持表明しないということになれば、ウォーレンの支持者の一部はサンダースにはいかないこともある。ウォーレン支持者からすればサンダースこそが邪魔な存在なのだ。

 進歩主義派としては一本化して、来週のミシガン州でなんとしてもサンダースを勝利に、できれば大勝利に導きたい。これができれば、サンダースが巻き替えることも可能だ。前回の大統領選挙で民主党が敗北し、トランプを当選させることになったミシガンで勝つ、ということは大きなアピールになる。

 一方、中道派からすると、マイケル・ブルームバーグの動向は重要だ。ブルームバーグは豊富な資金力でテレビ広告を放映し、多くのスタッフを雇って選挙運動を展開し、一気に有力候補にまで台頭した。しかし、ネヴァダ州とサウスカロライナ州での討論会で弱い姿を晒した上に、バイデンが勢いを取り戻したために、スーパーチューズデーで予想を下回る結果しか得られなかった。


 日本時間2020年3月5日0時10分頃に、マイケル・ブルームバーグの選挙戦のsuspend(サスペンド、一時停止する)が報道された。ここで使われるsuspension(サスペンション、一時休止)とwithdraw(ウィズドロー、撤退する)の名詞withdrawal(ウイズドロウアル、撤退)は厳密には意味が違うのだが、選挙戦からの撤退ということになる。また、ブルームバーグがバイデン支持を表明という報道も入ってきた。これで中道派は一本化された。進歩主義派はこの1週間でまとまる、つまりウォーレンとギャバードを選挙戦から撤退させられるか、しかもあまり揉めることなく、ということが焦点になる。

(貼り付けはじめ)

バイデンが火曜日の夜に大勝を収めた時、オマルは「統一された進歩主義派の運動」の欠如を声高に糾弾する(Omar calls out lack of 'united progressive movement' as Biden wins big on Super Tuesday

レベッカ・クレアー筆

2020年3月4日

『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/campaign/485868-omar-calls-out-lack-of-united-progressive-movement-as-biden-wins-big-in

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の選挙運動を支えているイルハン・オマル連邦下院議員(ミネソタ州選出、民主党)は、「統一された進歩主義派の運動」があれば、彼女の地元ミネソタ州でサンダースに勝利をもたらすことができただろうがそれができなかったと示唆した。火曜日にジョー・バイデン前副大統領がミネソタ州で予想外の逆転勝利を収めた後にオマルの発言はなされた。

オマルは火曜日夜にツイッター上に次のように投稿した。「昨夜穏健派がまとまったように進歩主義派がまとまっていたらどうなったかを想像しよう。誰が勝利を収めていただろうか?これこそ私たちが分析すべきことである。統一された進歩主義派の運動があれば「一緒に構築する」ということができ、僅差で敗れたミネソタ州や他の州で勝利を収めることができたのだ」。

イルハン・オマルのツイート

スーパーチューズデーでバイデンはミネソタ州において予想外の勝利を収めた。最新の世論調査では4位に沈んでいたのに大逆転で勝利した。

エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)が月曜日の夜に選挙戦を停止してバイデン支持を表明した後、バイデンの驚きの勝利がもたらされた。インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジもまた選挙戦を終えた後にバイデン支持を表明した。昨年11月に選挙戦から撤退したビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)もそれに倣った。

2016年の大統領選挙民主党予備選挙でサンダースはミネソタ州で勝利したが、火曜日の選挙ではバイデンに続く2位となった。

サンダースはエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)と共に選挙戦に残っている進歩主義派の候補者である。ウォーレンは選挙戦を続け、火曜日には地元マサチューセッツ州で勝利を収めることができなかった。

 マサチューセッツ州で勝利したのはバイデンで、続く2位にはサンダースが入り、ウォーレンは3位となった。

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スーパーチューズデーでの不振を受けてブルームバーグは選挙運動を見直す(Bloomberg to reassess campaign following lackluster Super Tuesday showing

マックス・グリーンウッド、エイミー。パーネス筆

2020年3月3日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/485856-bloomberg-to-reassess-campaign-following-lackluster-super-tuesday-showing

ニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグは水曜日、スーパーチューズデーで実施された各州での予備選挙の結果が不振だったことを受けて、民主党予備選挙全体について見直すことを決めた。ブルームバーグ選対に近い複数の関係者の証言で明らかになった。

ブルームバーグは昨年11月に選挙戦を始めたばかりで、自身の財産から数億ドルを投じてテレビ広告を放映し、スーパーチューズデーで予備選挙の投開票が実施される14州に選挙運動のための組織を構築した。

火曜日に投開票が実施された各州での予備選挙はブルームバーグが初めて候補者登録された選挙となった。ブルームバーグはアイオワ州、ニューハンプシャー州、ネヴァダ州、サウスカロライナ州での予備選挙に立候補者登録をせず、スーパーチューズデー以降に集中するという戦略を採用した。

しかし、結果は彼自身の期待を大きく下回るものとなった。ヴァージニア州とノースカロライナ州を含む彼が特に資金を多く投入した各州で期待外れとなった。

ジョー・バイデン前副大統領がこれらの州に加えてアラバマ州、アーカンソー州、テネシー州、ミネソタ州で勝利を収めた。一方、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)はヴァーモント州、コロラド州、ユタ州で勝利を収めた。

こうした結果はブルームバーグに失望をもたらした。ブルームバーグの選挙戦は、先月から始まった予備選挙でバイデンの支持が下落することを前提にして行われてきたものだった。

ジョー・バイデンはアイオワ州、ニューハンプシャー州、ネヴァダ州で期待を大きく下回る惨敗を喫したが、週末のサウスカロライナ州で圧勝し、スーパーチューズデーに向かって大きな勢いを得ることになった。

ここ数日のうちに起きた穏健派のライヴァルたち、インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジとエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)の決心によってバイデンの勢いが増した。2人は選挙戦から撤退し、バイデン支持を表明した。

穏健派のバイデンを中心とした合同は、バイデンの民主党の候補者指名獲得への道のりを複雑なものにした。火曜日に発表した声明の中で、ブルームバーグ選対の責任者ケヴィン・シーキーは、ブルームバーグが選挙戦に出馬表明してからほんの数カ月で有力候補にまで台頭した実績を強調した。

しかし、シーキーは予備選挙におけるブルームバーグの次の一手はどのようなものになるかについては語らなかった。

シーキーは次のように述べた。「今夜、3分の1の代議員が配分されたに過ぎない。マイクが今夜述べたように、今夜私たちがどれだけの数の代議員を勝ちとる結果になっても、これまで誰も可能だなどと考えたこともなかったことを私たちは成し遂げたのだ。わずか3カ月の選挙運動で、最初支持率1%のところから民主党の候補指名を争う有力候補にまでなることができたのだ」。

シーキーは更に「私たちにとっての最重要の課題は変わらない。今年11月にドナルド・トランプを倒すことだ」とも語った。

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(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 

 アメリカ大統領選挙民主党予備選挙は、ジョー・バイデン前副大統領、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)の3人に絞られつつある。各種世論調査の結果を見ても、この上位3人以外の候補者の支持率の数字は1桁ばかりで、資金力や組織力、知名度を考えるとこの3名に絞られる。
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 4位につけるカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は支持率を落としている。上位3名はバイデンが中道右派、サンダースが左派、ウォーレンが中道左派(左派がより強い)という立場を明確にしている。ハリスは左派のようなことを言ってみたり、中道派のようなことを言ってみたりで立場が明確ではない。せっかく1回目の討論会でバイデンを厳しく攻撃して支持率を上げ、政治資金集めもうまくいったのに、その流れを保つことが出来なかった。
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 他の候補者たちも支持率を上げられない中で、実業家トム・ステイヤーは出馬宣言こそ遅かったが、現在、早期に予備選挙が実施される各州で選挙運動を集中して行い、支持率を挙げている。ステイヤーは9月の討論会の参加資格「支持率2%以上を4回以上記録」で3回は記録したが、1回足りずに討論会に参加できなかった。しかし、10月に関しては9月と参加条件が同じで残り1回を満たしたので参加できる。しかし、ステイヤーの全国規模での数字は上がっていない。私が注目しているトゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は9月の討論会参加資格で、支持率2%以上が後2回足りなかったために討論会に参加できなかった。10月の討論会に関しては、あと1回というところまで来ているが、こちらもなかなか支持を伸ばすのに苦労している。
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アンドリュー・ヤンは、「18歳以上の全国民に毎月1000ドルを支給する」というベイシック・インカム政策を出馬宣言から一貫して主張して、このところ支持率を挙げている。このブログでも既にお知らせしているように、民主党全国委員会は9月、10月の大統領選挙民主党予備選挙候補者討論会の参加基準を大幅に引き上げた。そのために20名ほどいる候補者のうち、9月の討論会に参加できたのは10名だった。その10名の中にアンドリュー・ヤンは入った。現役の連邦議員でも基準をクリアできず、参加できなかったり、予備選挙からの撤退を発表したりする中で、政治経験のないヤンが10名の中に入ったというのは快挙だ。討論会に続けて参加できない候補者は「非有力」「負け犬」候補というイメージを持たれてしまうので、出続けることが重要だ。 

 民主党予備選挙では、民主党支持の有権者たちは「現職のトランプ大統領に勝てるのか」という「当選可能性(electability)」があるのかどうかを注目している。その点で、アメリカ国民の多くが過激だと考えるサンダースは支持を集めることは難しい。「今回の選挙は勝てなくてもいいや」と有権者が考えれば、過激でもはっきりとした政治的主張を持っている候補者が党の指名候補になるが、今回はそうではない。トランプ大統領は不人気だから、次は落選させられると民主党支持の有権者は考えている。

 しかし、残念ながらバイデンを含めて、民主党の候補者は弱い。バイデンは高齢ということもあり言い間違いなどが多く、また、他の候補者たちから狙い撃ちをされてしまう。バイデンの最大の売りが「オバマ大統領の時の副大統領」ということで、「昔は良かったね」という有権者の郷愁が支持の原動力だ。だから、何かを大きく変えるというようなことは言わない。バイデンは連邦上院議員を長く勤めていたので、そもそも何かを大きく変えることはできないし、現実的ではないと考えている。

 現実的という言葉も重要で、サンダースやウォーレンの公約に対して、「現実的ではない」「実現不可能だ」という批判がある。連邦上院は共和党が過半数を占めている現状では、増税を伴う政策の実現は不可能だ。連邦上院は州の面積や人口に関係なく、各州2人ずつが選出され、任期は6年、2年おきの選挙で約3分の1ずつが選挙される。連邦下院議員は2年の任期で2年おきの選挙で全員が選挙される。選挙区は人口の大きさで区分され、人口が多い州ほど選出される議員数は多い。 

農業州や田舎の州が共和党の支持基盤であり、連邦下院議員の選出数は少ないが、連邦上院議員数は人口が多い州とも同じなので、共和党に有利な制度になっており、共和党が連邦上院で過半数を握りやすくなっている。連邦議会は捻じれが起きやすくなる。

 バイデンは長年のワシントン生活で共和党ともパイプを持っており、オバマ政権時代も、連邦議会で法案の通過が膠着状態に陥った際に、民主、共和両党の議員たちと話し合いを行い、根回しを行っていた。こうした根回しは副大統領の仕事だが、バイデンはこの根回しが上手だった。オバマ政権には、大統領であるオバマをはじめ、連邦上院議員経験者が多かった。

サンダースやウォーレンも連邦上院議員だが、サンダースは民主党会派には属しているが民主党所属ではない。ウォーレンは、「ケネディ王国」マサチューセッツ州選出であり、ケネディ家の支援も期待できる、民主党の王道の存在だ。ウォーレンが支持を伸ばしているのは、こうした背景もある。 

 民主党予備選挙は上位3名に絞られつつある。2位サンダース、3位ウォーレンが連携するかどうかで、状況は変わっていく。

(貼り付けはじめ)

バイデンは最新世論調査で支持率トップ、ウォーレンは僅差で2位につける(Biden leads in new national poll, Warren close behind in second place

ジョナサン・イーズリー筆

2019年9月17日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/461827-biden-leads-in-new-national-poll-warren-close-behind-in-second-place

NBCニュースと『ウォールストリート・ジャーナル』紙の最新の共同世論調査の結果では、ジョー・バイデン前副大統領は大統領選挙民主党予備選挙の候補者の中でトップにつけている。しかし、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)が僅差で2位につけている。

世論調査の結果は、バイデンの支持率が31%、ウォーレンの支持率は25%となっている。バイデンとウォーレンは支持率の数字を最も大きく上げた2人だ。バイデンは7月の調査から数字を5ポイント上げ、ウォーレンは6ポイント上げた。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)は支持率14%で3位につけているが、7月に比べて支持率の数字を1ポイント下げた。 

世論調査では、民主党支持の有権者たちはウォーレンの選挙運動を高く評価しているという結果が出た。35%の有権者が指名候補となったら彼女に進んで投票すると答えた。それに続くのがサンダースで25%、バイデンが23%となった。

ウォーレンは、ウォーレン以外の候補者を支持する有権者の第2選択肢の候補者となっており、21%がウォーレンを第2選択肢として名前を挙げた。ウォーレンに続くのがサンダースで16%、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジが12%、バイデンが11%という結果だった。

第1位の選択肢と第2位の選択肢のパーセンテージを合計すると、ウォーレンは45%でトップ、バイデンが41%で2位、サンダースが29%で3位となる。

上位3名以外に支持率10%を超える候補者はいない。

ブティジェッジは支持率7%で4位、続くカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)が5%IT関係の実業家アンドリュー・ヤンは4%だった。

ハリスの支持率は7月以来大きく下落している。8ポイントの下落は候補者の中で最大の下落幅である。

エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)とコーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)はそれぞれ支持率2%を記録した。それ以外の候補者は1%を超える支持率を獲得できなかった。

NBCとウォールストリート・ジャーナル紙の共同世論調査は、民主党の候補者討論会の参加資格対象の世論調査である。

トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)はあと1度、大正となる世論調査で2%以上の支持率を記録すると討論会への参加資格を得られるのだが、今回の世論調査では2%以上の支持率を獲得できなかった。

NBCとウォールストリート・ジャーナル紙の共同世論調査は民主党予備選挙に参加予定の有権者506名を対象に2019年9月13日から16日にかけて実施された。誤差は4.4ポイントだ。

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 世論調査:バイデンはサンダースに12ポイントを付ける、ウォーレンは3位につける(Poll: Biden holds 12-point lead over Sanders, Warren third

 レベッカ・クラー筆

2019年9月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/461615-poll-biden-holds-12-point-lead-over-sanders

月曜日に発表された最新の世論調査の結果、ジョー・バイデン前副大統領は2位のバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)に12ポイントの差をつけてトップに立っていることが分かった。

モーニング・コンサルト社が実施した世論調査の結果によると、バイデンは、候補者が絞られつつある民主党予備選挙において、予備選挙に参加予定の有権者の32%の支持を受けている。

サンダースは支持率20%で2位につけた。

ウォーレンは支持率18%で、サンダースに対して僅差の3位につけた。今回の世論調査の結果は、ここまでの数週間に発表された世論調査の結果とほぼ同様のもので、バイデン、サンダース、ウォーレンが明確に上位候補者として絞られ、トランプ大統領と戦う民主党指名候補に近い存在となっている。
上位3名だけが支持率2桁を記録している。
また、今回の世論調査の結果では、上位3名だけが早期に予備選挙が実施される各州での支持率が2桁を記録している。

アイオワ州、ニューハンプシャー州、サウスカロライナ州、ネヴァダ州といった早期に予備選挙が実施される各州での支持率を見ると、バイデンのサンダースに対するリードは13ポイントに広がっている。

モーニング・コンサルト社の今回の世論調査の結果では、サンダースのウォーレンに対するリードは8ポイントだ。ウォーレンの支持率は13%となっている。

モーニング・コンサルト社の世論調査は、自分の住む民主党予備選挙もしくは党員集会に参加予定の登録済有権者7487名を対象に2019年9月13日から15日かけて実施された。誤差は1ポイントだ。

早期に予備選挙が実施される各州での世論調査は341名の有権者に対して実施された。誤差は5ポイントだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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決定版 属国 日本論

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 古村治彦です。

 

 何度かご紹介しましたが、2019年9月12日と13日に予定されているアメリカ大統領選挙民主党予備選挙の候補者たちの3回目の討論会ですが、参加者が10名に絞られたということで、12日だけで実施されることになりました。時間は3時間となり、これまでよりも長くなります。まとめてやるが、時間は長くなるということになりました。

 

 9月と10月の討論会の参加条件は、(1)2019年6月28日から8月28日(9月の討論会の場合)、10月2日(10月の討論会の場合)までの間に、民主党全国委員会が承認した新聞社や研究機関などが実施した全国規模の世論調査で支持率2%以上を4度以上記録すること、(2)13万人以上の献金者、もしくは1つの州で400名上の献金者を20州以上で記録すること、の(1)(2)両方の条件を満たすことです。

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 下の記事にある通り、9月の討論会には10名の候補者が参加できることになりました。この候補者たちは自発的に撤退しない限り、10月の討論会にも参加できることになります。今回の討論会に参加できるかできないかで、民主党予備選挙の「上位」候補、「下位」候補という色分けがなされることになります。下位候補という色付けを嫌って、カースティン・ギリブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は参加条件締め切り数時間前に撤退を表明しました。ギリブランド議員は出馬表明直後、有力候補になるのではないかと見られていましたが、ウォール街との緊密な関係などもあり、人気は上がりませんでした。

 

 下位候補者の中でも、あともう少しで参加条件をクリアできたという人たちもいて、この人たちは参加条件について批判しています。アイオワ州、ニューハンプシャー州、ネヴァダ州、サウスカロライナ州は民主党予備選挙が早い段階で実施される州(early states)で、全国規模の世論調査とは別に、これらの州での世論調査も実施されています。

 

大富豪のトム・スティヤーは、献金者数では条件をクリアしながら、全国規模の世論調査の支持率2%超4度という条件で、3度までは記録しながらあと1度が記録できずに、討論会に参加できないことになりました。スティヤーは予備選挙が早期に実施される州での支持率が高く、民主党全国委員会にこれらの州の結果も参加条件に入れて欲しいと要望しています。


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スティヤー

 残念なのは、トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)が9月の討論会の参加条件をクリアできず、参加できないことです。ギャバード議員は献金者数の条件はクリアしているのですが、支持率の方で2%超を2度しか記録できていません。あと1月余りの間に2度の2%超を記録しなければ10月の討論会にも参加できないことになります。

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ギャバード 

ギャバード議員については私も注目し、このブログでもご紹介いたしました。ギャバード議員は、2016年のアメリカ大統領選挙民主党予備選挙ではバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)を応援しましたが、今回は候補者同士として戦っています。

 

 ギャバードは2016年当時、民主党全国委員会副委員長を務めていました。しかし、民主党全国委員会が当時の委員長デビー・ワッサーマン=シュルツ連邦下院議員(フロリダ州選出、民主党)をはじめとして全体がヒラリー・クリントン元国務長官を贔屓にし、クリントンが有利になるように討論会を設定するなどしていたことに対して抗議の辞任をし、サンダース議員を応援しました。今回も民主党全国委員会の決定には透明性と公平性が欠けているという批判を展開しています。

 

 ギャバードは実際に軍務に就き、二度にわたりイラクに駐屯しました。その経験から、「アメリカは世界各地の紛争に関わるべきではない、アメリカが関与することでお互いに不幸になる」という主張を行っています。2019年6月の討論会では、イラクとアフガニスタンへの駐兵の必要性を訴えたティム・ライアン連邦下院議員(オハイオ州選出、民主党)を一刀両断に斬り捨て、聴衆の喝さいを浴び、ライアンは顔面蒼白で口をパクパクさせるだけでした。ライアンの大統領選挙での挽回の目は全くないでしょう。

 

 私としてはギャバード議員には討論会に出席し、自説を展開して欲しいと願っています。しかし、あと少しのところで9月の討論会には出席できないことになりました。10月の討論会は同じ条件ですから、世論調査の支持率の数字が伸ばさねばなりませんが、9月の討論会に出られないとなると、負け犬候補者の扱いになって難しいことになるでしょう。

 

 これから民主党予備選挙は激化していき、候補者たちは生きるか死ぬかの戦いに入っていきます。下位にランクされた候補者たちは撤退を余儀なくされるでしょう。2020年になるまでに選挙を続けられるのは上位10名でしょうし、2020年に入って、予備選挙が実施されるようになれば、候補者たちはどんどん脱落していきます。民主政治体制の残酷な見世物のような面ではありますが、このような厳しいプロセスを経て指導者が選ばれるというのは、日本から見ていて何とも羨ましい限りです。もっともそれだからといって、再適格の人物が指導者に選ばれる訳ではないというのは、また、民主政治体制が未完の永遠に続く反省と改善のプロセス、ということを示していると思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

10名の候補者が討論会に参加できるが残りの10名は条件をクリアできず(10 Democrats set to debate after other half falls short

 

タル・アクセルロッド筆

2019年8月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/459138-ten-candidates-make-september-debate-stage-while-several-others-fall-short

 

来月の討論会に10名のアメリカ大統領選挙民主党予備選挙の候補者たちが参加資格をクリアした。水曜日の夜に民主党全国委員会の設定した期限までに条件をクリアした候補者が10名となった。

 

これまで2度の討論会の参加者は20名で、民主党全国委員会は討論会を2日に分けて実施したが、来月の討論会の参加者は半分となる。結果として、次の討論会は9月12日の一晩だけ行われることになると考えられる。

 

6月と7月に実施された2度の討論会は合計で4晩にわたって実施されたが、民主党全国委員会は1晩の討論会に参加できる人数を最大で10名までと制限していた。

 

9月の討論会の参加条件として、民主党全国委員会は、候補者は献金者数が13万名に達すること、そして民主党全国委員会が承認した各種世論調査で2%以上の支持率を4度記録することという条件を設定した。

 

次の10名の候補者たちが2つの条件をクリアした。ジョー・バイデン前副大統領、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジ、コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)、エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)、ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)、IT企業家アンドリュー・ヤン、フリアン・カストロ前住宅・都市開発長官が条件をクリアした。

 

残り10名の候補者たちは討論会のステージに立つことが出来なくなった。ヘッジファンドの重役で大富豪のトム・スティヤー、トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)、マイケル・ベネット連邦上院議員(コロラド州選出、民主党)、モンタナ州知事スティーヴ・ブロック、ティム・ライアン連邦下院議員(オハイオ州選出、民主党)、ジョン・ディレニー元連邦下院議員(メリーランド州選出、民主党)ニューヨーク市長ビル・デブラシオ、ベストセラー作家マリアンヌ・ウィリアムソン、ジョー・セスタク元連邦下院議員(ペンシルヴァニア州選出、民主党)、フロリダ州ミラマー市長ウェイン・メッサムは条件をクリアできなかった。

 

民主党全国委員会は、参加条件についての審査を終えた後、どの候補者が討論会に参加できるかについて最終決定を行う。

 

9月の討論会の参加条件をクリアできなかった候補者たちでも、10月の討論会は同じ参加条件であるので、条件をクリアできる可能性はある。

 

9月と10月の討論会への参加条件は共に2019年6月28日から始まっている。民主党全国委員会が今月初めに各候補者の選対に送ったメモによると、10月の討論会の参加条件の締め切りは討論会開催日の2週間前ということだ。

 

結果として残り10名の候補者たちには10月の討論会参加条件をクリアするために時間が与えられることになる。9月の討論会に参加できる候補者たちは自動的に10月の討論会にも参加できる。

 

9月の討論会に出席できない10名の候補者たちの中で、ステイヤーは条件のクリアに最も近い候補者である。ステイヤーは献金者の条件は満たしているが、世論調査の支持率に関しては条件クリアまであと1つというところである。ステイヤーは2019年7月の討論会の直前に出馬表明をしたために7月の討論会に参加できず、現在までのところ討論会に参加したことはない。

 

ギャバードも献金者の関する条件は満たしているが、後2つの支持率2%超えが必要である。ハワイ州選出の連邦下院議員であるギャバードはこれまで2度の討論会にはいずれも参加している。

 

しかし、9月の討論会に出席できないということになると、世論調査での支持率を上げることや新たな献金者を獲得することが困難になる。候補者たちが自分たちのことを有権者に売り込むための重要なステージ、そして多くの立候補者が出馬している予備選挙において、他の候補者から自分を区別して売り込む機会を奪うことになる。

 

ハリスの場合、6月の討論会でバイデンが過去に人種差別解消のためのバス通学に反対したことを取り上げて批判したが、その後に支持率を上昇させた。ブッカーは7月の討論会の後、1日の政治献金額では自己最高を記録することが出来た。

 

カースティン・ギリブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は9月の討論会の参加条件締め切りの数時間前に予備選挙からの撤退を表明した。ギリブランドは多くがひしめき合う予備選挙で抜け出すことが出来なかった。

 

条件をあと少しでクリアできなかった候補者たちの中で、民主党全国委員会の設定した条件は厳しすぎる、もしくは決定の過程の裏が透明性に欠けている、と不平を述べた。

 

水曜日、締切期限の数時間前にステイヤー選対は声明を発表し、その中で、民主党全国委員会に対して、「早期に予備選挙が実施される各州での世論調査の結果をより多く含むよう」に求めた。

 

一方、ギャバード選対は先週、討論会参加条件となる世論調査の選定のプロセスに関して民主党全国委員会を非難した。

 

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ギャバ―ドが討論会の参加条件として世論調査の支持率が入っていることで民主党全国委員会を批判(Gabbard hits DNC over poll criteria for debates

 

レベッカ・クラー筆

2019年8月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/458551-gabbard-hits-dnc-over-mysteriously-incoherent-poll-criteria-for-debates

 

アメリカ大統領選挙民主党予備選挙の候補者トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は、これから実施される討論会の参加条件に世論調査での支持率の数字が入っていることで民主党全国委員会を批判した。そして、参加条件となる世論調査について選定する際に、「透明性と公平性を確実なものとする」ように民主党全国委員会に求めた。

 

ギャバード選対は、26の全国規模と早期に予備選挙が実施される各州での世論調査で、ギャバードの支持率が2%を超えたが、民主党全国委員会の「認めた」世論調査のリストに限ると、2つしか2%を超えていないということになるという声明を発表した。そして、「『エコノミスト』誌や『ボストン・グローブ』紙のような信頼性が高い機関が実施した世論調査の多くが民主党全国委員会に“認められて”いない。しかし、これらの世論調査は“リアル・クリア・ポリティックス”や“ファイヴ・サーティー・エイト”では、民主党全国委員会が認めた世論調査よりも信頼性が高い世論調査として上位にランク付けされている」と述べた。

 

ギャバード選対は金曜日に発表した声明の中で、「ギャバード選対は民主党全国委員会に対して約束を果たすこと、そして、透明性と公平性を確保するためにプロセスを変更することを求める」と書いている。

 

声明は「討論会への参加条件の決定はアメリカ国民の権利に影響を与えるという点で重要である。民主党の予備選挙のプロセスにアメリカ国民が完全に参加する機会を持つことにおいて、プロセスに関し党の有力者たちが秘密裏に決定を下すということはあってはならない」と述べている。

 

民主党全国委員会は9月と10月の討論会の参加資格の条件を引き上げた。その条件とは、民主党全国委員会が認めた各種世論調査の中で、4つの世論調査で支持率2%以上を記録することと最低13万人以上の政治献金者を確保することだ。

 

ギャバ―ドは政治献金の条件はクリアしているが、民主党全国委員会が認めた世論調査の支持率の4つのうち2つしかクリアしていない。

 

本誌は民主党全国委員会報道担当にコメントを求めたが返事はなかった。

 

来月、テキサスでの討論会のステージに立つための条件をクリアしたのは10名の候補者たちだ。ジョー・バイデン前副大統領、コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジ、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)、ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、フリアン・カストロ前住宅・都市開発長官、IT企業家アンドリュー・ヤンが討論会に出席できる。

 

候補者たちが条件を満たすまでの期限は水曜日までだ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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隠された十字架 江戸の数学者たち

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