古村治彦です。
2015年4月25日に副島隆彦先生の最新刊『「熱狂なき株高」で踊らされる日本』(徳間書店、2015年)が発売されます。待望の経済に関する新刊です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
また、2015年5月31日(日)に副島隆彦を囲む会主催の講演会が開催されます。こちらもどうぞよろしくお願い申し上げます。
※講演会の申し込みはこちらからどうぞ。
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「熱狂なき株高」で踊らされる日本──目次
まえがき─3
第1章 金と現金以外は信用するな!
国家が相場操縦して株価を吊り上げる動きは止まらない─12
金投資は初めての人は今すぐ買いなさい。もう買っている人はまだ待ちなさい─17
第2章 国家は株も土地も吊り上げる
今年1年は政府主導の強気の相場が続く─26
日本政府が「5頭のクジラ」を使って株の爆買いを始めた─28
株を買うのはGPIFだけではない─37
台湾人が日本の不動産を爆買いしているが、2020年までには売り払う─50
戦争の危機が迫る日本で東京オリンピックの中止もありうる─54
日本の不動産で値段が上がっているのは「3A1R」だけだ─58
富裕層が資産の再評価をやっている─62
政治と経済は貸借を取り合って、バランスする─66
日経平均株価は2万2000円まではいくだろう─72
第3章 世界から金利がなくなった
アメリカは金利を上げると一気に逆回転するから上げられない─84
黒田日銀総裁が「国債暴落」の不規則発言をした─87
世界中の金利が低下する異常事態になっている─93
ユーロはデフレに陥って衰退に向かう─104
アメリカの金融・財政は舵取り能力を失っている─108
ドル円の相場は120円がしばらく続く─112
NY金は1200ドルが抵抗線である─114
中国が金の値決めに参加することが決まった─116
イギリスが中国と組むと決めた─126
AIIB(アジアインフラ投資銀行)は大きな世界覇権移行の始まりだ─131
第4章 日本はますます貧乏国家にさせられる
名だたるヘッジファンドがどんどん潰れている─154
売り仕掛けのヘッジファンドが次々に潰れ、日本から撤退を始めた─155
1億円の投資信託が9割方まで回復している─161
またしても日本の米国債買いが始まった─166
コーポレートガバナンス・コードで日本企業の内部留保を吐き出させる─170
社外取締役に入る会計士たちが企業財務を丸裸にする─174
ROEを高くさせて日本企業のキャッシュを流出させる─176
ゴールドマンのキャシー松井がROEを言い出した─177
日本奪い取りの第三段階までもう来ている─181
日本はマイナス成長の衰退国家にさせられている─184
今の円安は日本の通貨の暴落だとなぜ言わないのか─188
第5章 経済学はケインズに戻らなければならない
日本の経済政策の最高指導者はGPIFを牛耳る伊藤隆敏だ─192
インフレ・ターゲット論は方程式を逆転させる論理でできている─201
アメリカの意思に沿う政策理論をやりながらその自覚がない─218
通貨量と株価上昇だけで市場がコントロールできるのか─220
今こそケインズ、ヴォルテールに学ぶべきだ─222
古典派とケインジアンの戦いが今も続いている─229
合理的期待学派は狂信者たちである─234
現金や金を信じることをケインズから学んだ─241
「情報の非対称性」とは、始めから結果を知っている人間がいるということ─252
銀行の不良債権問題に蓋をし続けていることが致命傷になる─254
本当は、金融市場でクラウディング・アウトが起きている─260
第6章 ピケティの『21世紀の資本』はアパート経営の話だった
収入の20倍が資産価格になるという「副島隆彦の法則」─264
ピケティの資本主義の第一基本法則からあらゆる経済問題が解ける─281
経済学は数学と物理学から発生した学問である─285
「資産は所得(年収)の6倍だ」と言い切ったところがピケティのすごさ─295
労働所得と資本所得は7対3で決まっている─298
ピケティが結論で提案している富裕層課税は間違っている─304
あとがき─308
巻末付録 吊り上げ相場の注目株32銘柄─311
あとがき
この本を書き上げる段になって、私はようやくはっきり分かった。
アベノミクス(安倍首相の経済政策)というのは、株バブル(および国債バブル)と土地バブルの両方を起こすことだ。この資産バブルを人為的に作って、無理やりでも国民心理にインフレ期待の人工の波を起こして、人々がどんどん消費して贅沢品を買うように仕向ける。そうすることで、景気回復を達成するという計画である。すべてはアメリカの指図、命令のままに行われている。
こんな当り前のことを私は今頃、遅れて分かった。だがここに到達するまでに私は激しく辛吟した。
資産バブルが全国(いや世界中)に波及し、景気(経済)は必ず回復すると狂信して、政府自ら株の吊り上げと都心の土地の値段(地価)の吊り上げに狂奔している。
しかし「2%のインフレ(にする)目標」は丸2年たったが達成しなかった。責任者たちの責任が問われている。
私は、この本でアベ(ABE)ノミクス(Asset Bubble Economy)を創作して日本に押しつけたアメリカの経済学の理論家たちのおかしさを追跡してなんとか解明できた。
それは、小室直樹先生の遺作となった4冊の経済学の本を、本気で読み直したからである。先生は大事なことをすべて書き遺してくれていた。先生の霊が私を導いた(第5章)。
今の安倍政権の金融政策の何が間違っているかを、この本で大きく解明することができた。私の方も土壇場まで追いつめられたが、なんとか大きな謎解きをすることができた、と思っている。
評判を取ったトマ(ス)・ピケティの大著『21世紀の資本(論)』からも私は巨大な真実を学んだ(第6章)。やはりこの本は大変な本である。ピケティ本は、今や幻想と虚栄の神殿と化したアメリカ経済学を根底から掘り崩す核爆弾級の破壊力を持つ本である。おそらく日本では、今のところ私だけがこのことに気づいている。今はもう多くは書けない。一点だけ書く。
ストック(資産)とフロー(所得)において、フロー面(消費者物価、インフレ率、GDPギャップ、失業率などの指標)ばかりに囚われてきたアメリカ経済学界のオカシさを、フランス人のピケティは、正しく大きくストック面(土地住宅価格。即ち不動産資本)の重要性からはっきりとつかみ出した。おそらくピケティ本からの根源的攻撃を受けてアメリカ理論経済学は自滅に向かうだろう。それはアメリカ帝国の崩壊と軌を一にするものだ。
この本を書くに当たって、共に難行苦行と言うか、延々と果てしなく議論してくれた徳間書店の力石幸一編集委員に深くお礼を申し上げる。
2015年4月
副島隆彦
(終わり)