古村治彦です。

 

 2019年6月から民主党主催で、大統領選挙民主党予備選挙の候補者たちによる討論会が実施されます。毎月1回のペースで来年4月まで続きます。それぞれの討論会は別々のテレビ局が司会者を出したり、場所を作ったりして中継するそうですが、フォックスニュースを中継から排除するという話も出ています。それでも恐らくは中継するテレビ局に選ばれるとは思います。

 


 2016年の大統領選挙民主党予備選挙は、民主党全国委員会のヒラリー贔屓が酷すぎて、結果として、かえってヒラリーの人気を落とすことになりました。「贔屓の引き倒し」という言葉通りになりました。民主党全国委員会委員長のデビー・ワシントン=シュルツ連邦下院議員(フロリダ州選出、民主党)の運営の酷さのために、ヒラリーが党の候補者指名を受ける民主党全国大会も大荒れで、結果として、ワッサーマン=シュルツは辞任に追い込まれました。

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 デビー・ワシントン=シュルツ


 今回は、オバマ政権の閣僚だったトム・ペレズが民主党全国委員会委員長となって、討論会の参加条件を2019年2月に決定しました。条件は2つあって、「(1)民主党全国委員会が承認する3つの世論調査の結果で1%以上の支持率を記録すること、(2)最低6万5000名の個人から献金を受けること、その際、献金者は20州以上からであること、この各州から最低200名以上の献金者があること」です。ただ人数を集めるだけではなく、全米各州から幅広い献金者を募れということになります。

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寄付を求めるトゥルシー・ギャバ―ドのSNSへの投稿 

 世論調査の結果で支持率1%以上という条件は簡単なようですが、無名の候補者にはなかなかハードルが高いものです。世論調査によっては候補者の選択肢に入らないことがありますし、入ってもゼロ表示となることがあります。今は人気が急上昇のピート・ブティジェッジも昨年末から2月くらいまでの世論調査ではゼロ表示が続きました。

 

 政治献金の条件を献金額ではなく、人数と州の数としたのは興味深いです。こちらに目が向くことで、誰がどのような人や組織から献金をもらっているか、を人々に関心を持つようになります。そうなると、ウォール街の金融業界から資金を得ている人々、カーステン・ギリブランドやコーリー・ブッカーには批判が高まるでしょう。

 

 討論会参加者を予想すると、人気トップ5のジョー・バイデン前副大統領、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は参加確定でしょう。毎月1回のペースで開催される討論会に、自分から選挙戦から撤退しない限り、呼ばれ続けるでしょう。


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 既に条件を満たしている第2グループ、コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)、エイミー・クロウブッシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)、カーステン・ギリブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジ(民主党)も参加できるでしょう。第2グループからは早い段階での撤退ということもあるでしょう。新顔のブティジェッジを入れれば視聴率も稼げるということで、テレビ局も呼びたいと考えていると思います。

 

 第3グループは条件を満たしても1つだけ、もしくは数字が低いということで、呼ばれない可能性が出てくる人たちです。前コロラド州知事ジョン・ヒッケンルーパー(民主党)、ワシントン州知事ジェイ・インスリー(民主党)、実業家のアンドリュー・ヤン、フリアン・カストロ前住宅・都市開発長官(民主党)、トゥルシー・ギャバ―ド連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は呼ばれない可能性が高い人たちとなります。それ以外の人々も同様でしょう。

 

前回共和党が開催した、人気が低い候補者だけの討論会というのも1つのアイディアだとは思いますが、視聴者はかなり減ることは間違いないし、それではテレビも中継してくれないから、実施は難しいでしょう。インターネットでの中継ではどうしても届かない人々が出てくるでしょう。

 

 今年の討論会は一人の候補者に偏るということはないようで、その点では良いものとなりそうです。

 

(貼り付けはじめ)

 

民主党の候補者たちは2020年米大統領選挙民主党予備選挙の最初の複数回の討論会に参加するために何をしなければならないのか?(What do Democratic candidates need to make the first 2020 debates?

 

アレクサンドラ・デリア筆

2019年4月3日

PBS

https://www.pbs.org/newshour/politics/what-do-democratic-candidates-need-to-make-the-first-2020-debates?fbclid=IwAR2FFTYxOXn3u3PS3jLBedo_Wx1DBmMQp9ZQibsRToTAo_ghRMGU9HkB9jw

 

2020年の米大統領選挙民主党予備選挙の討論会の最初の数回の日時と場所が発表された。討論会は迫ってきている。2019年6月26日と27日にマイアミで、2019年7月30日にデトロイトで開催される。しかし、誰が壇上に立つのか?いつ立つのか?

 

2016年、共和党全国委員会は大統領選挙共和党予備選挙の候補者17名を世論調査のデータに基づいてランク付けし、上位の候補者たちと下位の候補者たちと分けて別々の討論会を開催した。しかし民主党全国委員会委員長トム・ペレズは2020年の予備選挙の討論会に向けて別のアプローチを採用している。

 

2019年2月、民主党全国委員会は1回目と2回目の討論会の参加条件を発表した。この時、ペレズ委員長は「開かれた、透明性の高い予備選挙のプロセス」を進めたいと述べた。ペレズ委員長は更に次のように述べた。「討論会に関する新しい基準によって、立候補者全てに対して討論会に参加する機会を掴めるようにできるだろう。そして、これまでのどの予備選挙よりも小口献金者が大きな影響を与えるようにできる」。

 

民主党全国委員会のルールでは、最初の2回の討論会に参加できる候補者の条件は次の2つのうちの1つである。

 

(1)民主党全国委員会が承認する3つの世論調査の結果で1%以上の支持率を記録すること。承認される世論調査は、予備選挙が早期に実施される各州、アイオワ州、ニューハンプシャー州、サウスカロライナ州もしくはネヴァダ州で実施される世論調査か、2019年1月から第1回目の討論会の2週間前(2019年6月前半)までに実施される全国規模の世論調査になるだろう。1回目の討論会の参加条件を満たすことが出来なかった候補者も2019年7月の2回目の討論会には参加条件を満たして参加できる可能性はある。

 

(2)最低6万5000名の個人から献金を受けること、その際最低200名上は20の別々の州に住む献金者であること。

 

討論会の登壇者は10名を超えないようにするはずだ。登壇者は条件を満たした人々の中から無作為に選ばれるだろう。最終的に20名以上の候補者たちが条件を満たすことになるだろう。そうなると、世論調査と献金に関する2つの条件を両方とも満たす候補者が討論会のメンバーに選ばれることになるだろう。最初の2回以降の討論会の参加条件はまだ発表されていない。従って、最初の2つの条件が維持されるのか、変更されるのかは明らかではない。

 

様々な背景を持つ候補者たちは2つの比較的狭い条件を満たすことが必要となる。ジョー・バイデン前副大統領が米大統領選挙民主党予備選挙の候補者になる場合、彼は、スピリチュアル・アドヴァイザーのマリアンヌ・ウィリアムソンと同じ条件を課されることになる。それでは、これらの条件を満たすために奔走しなければならないのは誰か?

 

複数の全国規模の世論調査で支持率5%以上を常に獲得している候補者4名は置いておこう。この人たちは討論会に出席できる可能性が極めて高い。その4名はバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)である。民主党全国委員会の定めた基準に対して他の候補者たちはどうであろうか?

 

●世論調査に関する条件を満たしているのは誰か?

 

民主党全国委員会が承認した3つの個別の世論調査で1%の支持率を獲得するという条件を満たしている候補者は既に数多く存在する。コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)、エイミー・クロウブッシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)、カーステン・ギリブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジ、前コロラド州知事ジョン・ヒッケンルーパー、ワシントン州知事ジェイ・インスリー、実業家のアンドリュー・ヤンは既に条件を満たしている。

 

●世論調査に関する条件に足りていないのは誰か?

 

それは世論調査の選択肢に入れられていない候補者たちだ。立候補者の数はあまりに多いので、世論調査実施者たちの誰を入れるかの決定は大きな影響をもたらす。先週エマーソン大学が発表したアイオワ州での世論調査の場合、2人の候補者が漏れた。ジョン・ディレニー前連邦下院議員(メリーランド州選出、民主党)と前述のウィリアムソンだ。

 

マンモス大学世論調査研究所所長のパトリック・マレーは『ポリティコ』誌に次のように述べている。「世論調査で支持率1%と支持率0%を記録する候補者の間にある壁は、誰を選択肢に入れるかの世論調査実施者の決定に依っている。実施者の決定が大きく影響するということは世論調査結果に大きな負荷となってしまう」。

 

●小口献金者に関する条件で利益を得ているのは誰か?

 

ヤンやブティジェッジのような若くてカリスマ性を持つ候補者たちは世論調査に関する条件よりも前に、献金に関する条件を満たしている。両者は熱心なインターネットでのフォロワー(「ヤン・ギャング」と呼ばれる人々など)とメディア露出のおかげで献金を順調に集めている。以前の選挙での献金者名簿を持っているがまだ働きかけを行っていない、支持率が低い候補者たちにとっては、献金に関する条件は小口献金者の

 For lower-tier candidates who did not start out with a phonebook of donors from previous elections, these qualities have helped lead to high volumes of small-dollar supporters. ギリブランドのような候補者は献金者数の条件に届いていない。ニューヨーク州選出の連邦上院議員ギリブランドは前回の連邦上院議員選挙の際に集めた資金がまだ1030万ドル(約11億円)も残っているが、献金者数が足りないのだ。

 

●誰が小口献金者からの支持を構築するのに苦労しているのか?

 

民主党全国委員会委員長であるペレズは、小口献金者、草の根の献金に関する条件が討論会を実施するための「もう一つの道筋」だと考えている。しかし、世論調査の支持率の数字で既に条件を満たしている複数の候補者たちは草の根の支援を積極的に求めている。そうした候補者にはオバマ政権の閣僚だったフリアン・カストロ、ギリブランド連邦上院議員、インスリー・ワシントン州知事、ディレニー前連邦下院議員がいる。

 

バイデンと長年にわたり民主党のために政治献金を続けた実業家で、前ヴァージニア州知事のテリー・マコーリフのような人々は、選挙戦出馬を表明すれば多額の献金をしてくれる人物の名簿を持っている。しかし、初期の段階ではそういったものは、民主党全国委員会が草の根の支援を重視しているので、大して重要ではないということになる。一部には、バイデンは、サンダースやオロークと同程度の草の根支援を受けられるのかどうかを疑問視する声もある。

 

政治献金の額などについてはもうすぐ明らかになる。連邦選挙管理委員会に対する政治献金報告書の提出は2019年4月中旬だ。火曜日の時点で、複数の候補者が期日前に献金額を発表している。サンダースは2019年第一四半期で1800万ドル、ハリスは1200万ドルの献金を受けていると発表した。オロークは水曜日に占拠選出馬を表明してから18日間で940万ドルの献金を受けたと発表した。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)