古村治彦です。
前回は「ウクライナ戦争勃発によって黒海の入り口を抑えるトルコの重要性が再認識されている」という論稿を投稿した。今回は、トルコがヨーロッパ政治においてもその存在感を増している。トルコはEU(ヨーロッパ連合)に関しては、加盟候補国となっている。これは、EUに加盟申請したものの、EUが定める様々な基準を満たしていない、満たす見通しが立っていないので正式加盟は認めないということである。NATO(北大西洋条約機構)に関しては、既にメンバー国となっている。NATOについては、新規加盟申請がある場合、加盟国が全会一致で賛成しなければ新規加盟はできないことになっている。
ウクライナ戦争勃発後、フィンランドとスウェーデンがNATO加盟を希望することになった。その理由はロシアの脅威に対抗するためというものだ。ここで問題になったのがNATOの新規加盟には全会一致の賛成が必要という条件だ。EU加盟諸国は無条件に賛成するというのは当然だったが、ここでトルコが難色を示した。トルコが新規加盟に難色を示したのは「北欧諸国がクルド人テロ組織(トルコとアメリカがテロ組織認定)であるクルド労働者党への対処が徹底されていない」ということが理由だった。クルド人は国家を持たない民族としては最大規模の人口を持つ。イラクやトルコに多数在住して、独立運動を展開し、各国は独立運動に対して厳しく対処している。イラクではイラク戦争後にクルド人自治区が経済発展を続けているが独立はしていない。ある一国からの独立ということではなく、複数の国を巻き込んでの独立ということになると大変に難しい状況になる。
クルド労働者党はイスラム国(IS)との戦いにおいて最前線で戦っていることもあり、テロ組織認定に関しては「揺らぎ」が生じていた。「クルド労働者党はイスラム国と戦っている。トルコはクルド人を抑圧しているのだから」という声も上がっている。トルコ政府にしてみればこうした理由で北欧諸国がクルド労働者党の取り締まりに手心を加えているのではないかという苛立ちを持っていた。欧米諸国とトルコの関係はぎくしゃくしていた。
しかし、ウクライナ戦争勃発を受けて、トルコの存在感は高まった。それは黒海の入り口を抑えているという地理的な条件があるからだ。これは前回のブログ記事の通りだ。今回はNATOの全会一致の賛成という条件を使って、フィンランドとスウェーデンからクルド労働者党の取り締まりの強化の約束を取り付けることに成功した。加えてアメリカからF-16先頭の支援を取り付けることにも成功している。トルコは、ロシアから防衛システムを導入したり、対ロシア制裁に反対したりしている。こうした中、西側とそれ以外の世界の接点として、自国に有利な動きを展開している。日本もこうした土耳古の動きを見習う必要がある。
(貼り付けはじめ)
バイデンは、エルドアンがフィンランドとスウェーデンのNATO加盟を許したことを称賛(Biden praises Erdoğan for allowing Finland, Sweden to join NATO)
モーガン・チャルファント筆
2022年6月29日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/administration/3541492-biden-praises-erdogan-for-allowing-finland-sweden-to-join-nato/
アメリカのジョー・バイデン大統領は水曜日、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が、スウェーデンとフィンランドによるNATO加盟の提案への反対を取り下げたことを賞賛した。
バイデン大統領は、マドリードで開催されたNATO首脳会議に併せて行われた一対一の会談で、エルドアン大統領に対し、「フィンランドとスウェーデンの状況をまとめてくれたこと、そしてウクライナから穀物を取り出そうとする驚くべき仕事ぶりに特に感謝したい。あなたは素晴らしい仕事をしている」と述べた。
エルドアンは、首脳会談の後、両首脳が「両手いっぱいに成果を持ち、満足して自分の国に帰ることができるだろうと信じている」と述べた。また、バイデン大統領のリーダーシップについて、「将来のNATO強化の観点から極めて重要だ」と評価した。
両首脳の会談は、トルコがスウェーデンとフィンランドのNATO加盟への反対を取り下げ、同盟の大幅な拡大に道を開くことに同意した翌日に行われた。NATOは、フィンランドとスウェーデンがロシアのウクライナ侵攻の中で加盟に関心を示したことを受け、水曜日に正式に加盟を要請した。
トルコ、フィンランド、スウェーデンの3カ国は火曜日にテロ対策の協力を深める覚書に署名し、トルコやアメリカなどからテロ組織と認定されているクルド労働者党(PKK)の取り締まりに北欧の2カ国が十分でないというトルコの懸念に対処することに同意した。
また、スウェーデンとフィンランドの加盟を支持するようアンカラを説得する努力の一環として、アメリカがトルコに改良型F-16戦闘機を売却する契約を発表するのではないかとの憶測も広まっている。
複数のバイデン政権高官は水曜日に記者団に対して、アメリカは北欧の2カ国が同盟に参加することへの反対を取り下げるようトルコに譲歩を申し出ることはしなかったと述べた。
それでも、米国防総省のある高官は水曜日、アメリカはトルコにF-16を売却する意思があると示唆した。
国際安全保障問題担当のセレステ・ワランダー国防次官補は記者会見で、「アメリカはトルコの戦闘機部隊の近代化を支持する。それはNATOの安全保障、したがってアメリカの安全保障に貢献するものだからだ」と述べた。
バイデンとエルドアンの会談について、ホワイトハウスが発表した資料には、F-16戦闘機についての言及はない。
報告書には次のように書かれている。「両首脳は、ロシアの侵略に対するウクライナの防衛における継続的な支援と、ウクライナの穀物の輸出に対するロシアの障害を取り除くことの重要性について話し合った。また、エーゲ海とシリアの安定を維持することの重要性についても話し合われた。バイデン大統領は建設的な二国間関係を維持したいとの意向を改めて示し、両首脳は両政府間の緊密な協議を継続することの重要性に合意した」。
トルコがフィンランドとスウェーデンのNATO同盟参加を認めたことは、5月に北欧2カ国の首脳とホワイトハウスで行われたイヴェントでNATOの拡大を公然と声高に支持したバイデンにとって成功と見なされている。
複数のバイデン政権高官は、水面下でトルコ、スウェーデン、フィンランドと交渉してきた。バイデン大統領は火曜日にエルドアン大統領と電話会談を行い、数ヶ月ぶりにトルコ大統領と1対1で会談し、交渉が進展していることを示した。
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NATOは同盟加盟のためにフィンランドとスウェーデンを招待(NATO invites Finland, Sweden to join alliance)
キャロライン・ヴァキル筆
2022年6月29日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/policy/international/3541158-nato-invites-finland-sweden-to-join-alliance/
NATOは水曜日、スウェーデンとフィンランドを正式にNATOに招待した。トルコが北欧諸国を防衛ブロックに参加させることに難色を示した翌日である。
NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、マドリードで開催中のNATO首脳会議の席上で次のように語った。「ウラジミール・プーティン大統領がNATOの扉を閉ざすことに成功していないことを示すものだ。プーティンは望んでいることの反対を手に入れている。彼はNATOの縮小を望んでいる。プーティン大統領は、フィンランドとスウェーデンが私たちの同盟に加わることで、より多くのNATOを手に入れようとしている」。
バイデン大統領は、「私たちは、NATOが強く、結束しており、この首脳会談で講じる措置は、私たちの集団的な力をさらに増強するものであるという紛れもないメッセージを送っている、と私は考えており、あなた方もそう考えている」と述べた。
CNBCによると、この招待はすぐにロシアから非難され、あるクレムリン当局者は「純粋に不安定化させる要因だ」と述べたという。
この展開は、ロシアのウクライナ侵攻を背景に、スウェーデンとフィンランドのNATOへの加盟に対する考え方が変化していることを意味している。北欧の2カ国は先月、NATOへの加盟申請書を提出した。
NATO加盟諸国の多くは両国のNATOへの加盟に支持を表明したが、トルコは、フィンランドとスウェーデンが、トルコなどがテロ集団に指定している「クルディスタン労働者党(PKK)」に対して十分に積極的でないと非難し、異論を唱えた。
しかし、各国が国家安全保障上の脅威に対して互いに支援し、テロ対策協力を強化することを誓う3カ国間の覚書に署名したことで、トルコは火曜日にその疑念を撤回した。
トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領とアメリカのジョー・バイデン大統領は、マドリードで開催中のNATO首脳会議で水曜日に一対一で会談すると見られている。
NATO加盟諸国が首脳会議後に発表宣言文を発表した。その中には次のように書かれている。「NATO同盟に加盟する場合、全ての同盟国の正当な安全保障上の懸念に適切に対処することが極めて重要である。私たちは、そのためのトルコ、フィンランド、スウェーデンの3カ国間の覚書締結を歓迎する」。
宣言文には続けて次のように書かれている。「フィンランドとスウェーデンの加盟は、両国の安全を高め、NATOを強化し、欧州・大西洋地域をより安全なものにする。フィンランドとスウェーデンの安全保障は、加盟プロセス中も含め、同盟にとって直接的な重要性を持っている」。
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複数の政府高官たち:トルコはフィンランドとスウェーデンのNATO加盟を支持(Turkey will support Finland, Sweden joining NATO: officials)
モーガン・チャルファント筆
2022年6月28日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/policy/international/3540070-finnish-president-says-turkey-will-support-finland-sweden-joining-nato/
複数の政府高官たちは火曜日、北大西洋条約機構(NATO)へのフィンランドとスウェーデンの加盟申請に対し、トルコが反対を取り下げたことで、マドリードでの首脳会議で大きな進展があったと述べた。
フィンランドのサウリ・ニーニステ大統領は声明で、3カ国全てが「互いの安全保障に対する脅威に対して全面的に支援する」ことを約束する3カ国協定に署名した後、トルコが北欧2カ国の加盟申請を支持することに同意したことを発表した。
ニーニスト大統領は、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟プロセスに関する「具体的な手順」は、首脳会日の残り日数で合意されるだろうと述べた。
NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、その直後の記者会見で、「フィンランドとスウェーデンのNATO加盟に道を開く合意ができたことを発表できることを嬉しく思う」と述べた。
ストルテンベルグ事務総長は、3カ国がトルコの懸念に対処し、テロ対策に関する協力を深め、トルコの国家安全保障への脅威と戦うために支援することを約束する覚書に署名したと述べた。
この発表は、スペインで開催されているNATO首脳会議の初日に行われた。トルコ政府は、テロ、特にクルド労働者党(PKK)の脅威と戦うために十分なことをしていないという懸念を表明し、両国の同盟への加盟に数週間にわたって抗議していた。
トルコ政府が発表した覚書のコピーによると、覚書への署名において、スウェーデンとフィンランドはPKKの活動を取り締まり、トルコのテロリスト容疑者の引き渡し要求に「迅速かつ徹底的に」対処することに合意した。
フィンランドとスウェーデンは先月、正式にNATOへの加盟を要請したが、これはロシアのウクライナでの戦争に対応するための決断だった。
NATO加盟国30カ国のうち過半数が加盟への支持を表明しており、各国政府がNATOへの新規加盟を批准した上で、全会一致の支持が必要だ。
アメリカは、両国の加盟を強力に推進し、民主党と共和党の議員も両国の加盟を支持している。ジョー・バイデン大統領は、首脳会議の傍らで水曜日のうちにトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と会談する予定である。
「私は、ストルテンベルグNATO事務総長、同盟諸国、そして連邦議会と協力して、彼らを同盟に速やかに迎え入れることができるようにすることを楽しみにしている。マドリードでの歴史的なNATO首脳会議を始めるにあたり、私たちの同盟はこれまで以上に強く、団結し、断固としている」とバイデンは述べた。
専門家の一部は、トルコ政府がスウェーデンとフィンランドの同盟加入への反対を撤回するために、アメリカがトルコに譲歩、おそらくアメリカ製戦闘機の形で提供するだろうと推測していた。
ストルテンベルグ事務総長によると、NATO加盟諸国はマドリードでのサミット2日目の水曜日に、スウェーデンとフィンランドをNATOに招待することを正式に決定するとのことだった。
その後、NATO加盟諸国の個々の議会と国会が2カ国の加盟を承認する投票を行う必要があり、このプロセスが完了するまでに数ヶ月かかる可能性がある。
しかし、このニューズは、ヨーロッパで激化するロシアの侵略に直面し、強さと結束を示そうとするNATOにとって好材料である。
マドリード首脳会議は、ロシアがウクライナで5カ月目の戦争に突入したときに開催された。ここ数日、ロシアはウクライナの首都キエフへの新たな攻撃を開始し、その軍事作戦はウクライナ東部に集中している。
NATO諸国はサミットの期間中、バルト三国とポーランドでの戦力強化について話し合うと見られる。
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アメリカは「問題のある」NATO同盟国トルコに苛立っている(US frustrated over ‘problematic’ NATO ally Turkey)
ラウラ・ケリー、モーガン・チャルファント筆
2022年5月21日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/administration/3496164-us-frustrated-over-problematic-nato-ally-turkey/
トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、スウェーデンとフィンランドによるNATO加盟に反対し、アメリカと同盟諸国を苛立たせている。
トルコの姿勢は、ジョー・バイデン政権がウクライナへの侵攻をめぐってモスクワに送りたい結束のメッセージを複雑にしている。
スウェーデンとフィンランドによる軍事同盟(NATO)への加盟は歴史的なことであり、両国の加盟を望まないロシアにとっては大きな敗北である。彼らの決断がロシアの戦争の結果であることは、複数のアメリカ政府高官も強調している。
しかし、北欧諸国がクルド人テロリスト集団を匿うという嫌疑をめぐるエルドアンの反対で、モスクワに対する外交的勝利は雲散霧消する。
NATO加盟諸国は全会一致で受け入れに同意しなければならない。
アンカラは祝福を与えるために何か、例えばアメリカの戦闘機を求めているのではないかと囁かれている。
エルドアンは土曜日にフィンランド政府高官たちと会談する予定で、記者団に対して、「外交を中断させないために、これらの議論をすべて継続する」と述べ、変化への扉を開いたままにしている。
トルコは、必要ではあるが問題のあるパートナーであると広く見られている。
エルドアンは長年、ロシアの兵器システムの導入、シリアでの軍事的冒険、国内の政治的抑圧、アメリカ連邦政府の警備員や首都のアメリカ人抗議者に対する暴力などで、ワシントンを怒らせている。
しかし、トルコが黒海におけるNATOの安全保障に重要な役割を果たし、ウクライナに武器を提供し、ロシア軍との戦いで決定的な役割を果たしたことは、バイデン政権や連邦議員たちも認めている。
アメリカは、エルドアン政権が対ロシア制裁に加わることに抵抗していることに苛立っているが、同時にアンカラはキエフとモスクワの間で行われるかもしれない和平協議を受け入れ実施するためには、独自の意義を持つ場所であると認めている。
連邦上院外交委員化で民主党側の序列第2位の委員であるベン・カーディン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は、「トルコはNATOにとって重要なパートナーだ。トルコには重要な軍事施設があり、トルコと良好な関係を保つことは私たちの利益になる」と本誌に述べた。
カーディンは「ウクライナに関しても、トルコは良いパートナーだ。だから、NATO内の安全保障上の必要性に反する可能性のあるロシアとの関係を持たせないことを明確にすることで、責任あるパートナーとして行動することを確認したい」と語った。
バイデン政権は、フィンランドとスウェーデンの受け入れを得るためにトルコに何を提供できるかについて何も発表していない。
ホワイトハウスのジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官は24日、エアフォース・ワンの機内で記者団に対し、アメリカはいかなる形でも支援する用意があると述べたが、意見の相違は主にトルコ、フィンランド、スウェーデンの間のものであると説明した。
サリヴァンやその他のバイデン政権高官たちは、北欧諸国のNATO加盟を認めることで同盟が全体で合意することに自信を示している。
サリヴァンはまた、バイデン大統領とエルドアン大統領が話す予定はないとしながらも、バイデンは求められれば「エルドアン大統領とは喜んで会談する」と指摘した。
バイデンは、フィンランドとスウェーデンの両首相を木曜日にホワイトハウスに招き、両国のNATO同盟参加に対するアメリカの強い支持を表明した。ローズガーデンでの会見で、フィンランドのサウリ・ニーニスト首相は次のようにトルコに直接訴えた。
ニーニシスト首相は次のように述べた。「NATOの同盟国として、トルコが私たちの安全保障に関与するのと同様、私たちはトルコの安全保障に関与する。私たちはテロを深刻に受け止めている。私たちは、あらゆる形態のテロを非難し、テロとの戦いに積極的に取り組んでいる。私たちは、トルコが私たちのNATO加盟に関して持ちうる懸念全てについて、オープンで建設的な方法で議論することに前向きである」。
NATOの元副事務総長であるローズ・ゴッテモラーは、フィンランドとスウェーデンの申請は最終的に成功すると予想しているが、トルコとは「非常に厳しい交渉」になるだろうと予測した。
ゴッテモラーは「これは難しい問題だ。それは、私が副事務総長だった頃から、この問題は常に重要な議題として挙がっていたからだ。トルコはこの問題を常にレヴァレッジとして使っていた」と述べた。
連邦上院外交委員会の幹部委員であるジェイムズ・リッシュ連邦上院議員(アイダホ州選出、共和党)は、トルコがフィンランドとスウェーデンの加盟に反対し続けることができるのか、と疑問を呈した。
リッシュは「もしあなたがある組織のメンバーで、あなた以外の29人のメンバーがやりたがっているのにあなたが反対するならば、これは困難な状況にあなたが入ることになる」と述べた。リッシュはまた、アメリカとトルコの関係について、「プラスとマイナス」があると形容した。
全ての議員がリッシュほど外交的というわけではない。連邦上院外交委員会委員長ロバート・メネンデス上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)は、トルコの行動に屈しないよう警告を発した。
メネンデスは次のように述べた。「端的に述べるならば、トルコの行動が報われるべきではないと私は考える。トルコはロシアにヨーロッパやアメリカの制裁を加えることに同意していない。その他にも多くの懸念材料がある中で、権威主義の人物に報い続けるというのは理解できない」と述べた。
メネンデスは、トルコがF-16戦闘機を更に購入したいという要望を出してきても、バイデン政権は受け入れるべきではないと警告している。
メネンデスは「私はトルコにF-16戦闘機を送ることに賛成しない。彼らはまだCAATSA制裁に違反している」と述べた。メネンデスは、トルコがアメリカ連邦法に違反するロシアのミサイル防衛システムS400を所有していることにも言及した。
米国務省は、トルコに既存のF-16戦闘機のアップグレードと軍需品の販売を提案しており、ワシントンとアンカラの協力関係の緊密化を強く示唆している。
連邦議員たちは、この提案を支持するかどうかについては口を閉ざしている。
連ポイ上院外交委員会のメンバーでもあるジェーン・シャヒーン連邦上院議員(ニューハンプシャー州選出、民主党)は、F-16のアップグレードを支持するかどうかという質問に対し、「トルコを強力なNATOの同盟国として維持することが重要だと思う」と本誌の取材に答えた。
民主党所属の連邦議員の一部は、トルコがギリシアの島々で挑発的な軍事飛行を行っているというギリシアの懸念に応え、アンカラへの軍事機器売却を厳しく監視することを検討している。
ギリシアのキリアコス・ミトタキス首相は、火曜日に行われたギリシア議会での演説で、トルコへの武器売却に対して警告を発したが、アンカラの名前は特に挙げなかった。
ミトタキス首相は「NATOは、ウクライナがロシアの侵略に打ち勝つのを助けることに集中している現在、NATOの南東部にもう一つ不安定な要因が出てくることを最も避けたいと考えている」とミトタキスは言った。
ミトタキス首相は「そして、東地中海に関する防衛調達の決定をする際に、このことを考慮されることを希望する」と続けて述べた。
ティム・ケイン連邦上院議員(ヴァージニア州選出、民主党)は、ミトタキスの発言は「完全に正しい」とし、同議員は2023年の国防権限法を用いて、東地中海におけるトルコの行動に対する懸念に対処する可能性があると本誌に述べたが、具体的な内容には踏み込まなかった。
ケインは「この問題については簡単に答えが出るものではない。アメリカとトルコの軍事的な関係はまだ強固だが、外交や選挙の分野では今本当に不安定だ」と述べた。
「こうしたことは現在、本当に問題になっている」とケインは語った。
(貼り付け終わり)
(終わり)※6月28日には、副島先生のウクライナ戦争に関する最新分析『プーチンを罠に嵌め、策略に陥れた英米ディープ・ステイトはウクライナ戦争を第3次世界大戦にする』が発売になります。

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