古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ドナルド・トランプ

 古村治彦です。

 米中貿易戦争によってアメリカ経済は景気後退していたが、秋から冬にかけて株価が持ち直し、失業率の低下と雇用創出によって景況感が改善している。これによって感謝祭からクリスマスにかけてのいわゆるホリデーシーズンの商戦シーズンで消費額が伸びているということだ。アメリカにとってまことに結構なお話だ。そして、その恩恵を受けているのがトランプ大統領だ、人々の支持が回復しつつあるというのが今回の話題だ。

 感謝祭からクリスマスにかけての商戦シーズンで、アメリカ国民は家族や友人に対しての贈り物を購入するし、パーティーの準備をする。これが一年の中で最も重要な行事とも言えるだろう。テレビドラマにもなって日本でも長く放映されたローラ・インガルス・ワイルダーの『大草原の小さな家』でもクリスマスの楽しそうな様子が描かれている。アメリカ人にとっては楽しい気分でクリスマスを迎えることが何よりも重要なことだ。

 今年に入って米中貿易戦争のせいでアメリカ経済は減速し、夏ごろは大変なことになると思われていた。しかし、米中両国が歩み寄る姿勢を見せていることで、なんとなく落ち着いた感じがある。そうした中で株価が上昇し、景況感も改善し、人々の財布のひもも緩むということになる。そしてトランプ大統領への支持率が回復するということになる。

 しかし、選挙まではまだ1年もある。その間に不測の事態で景気に大きな影響を与えることも考えられる。下の記事にもあるように、2020年のアメリカのGDP成長率の予測で1.9%が出ている。これは2018年の2.9%、2019年の2.3%に比べても大きな落ち込みだ。トランプ大統領の公約であるGDP成長率3%に届かない数字だ。

 選挙まであと1年を切り、トランプ大統領としては何とか景況感が改善したままでいて欲しいということになる。再選のためにはアメリカ国内の景気が何よりも重要ということになる。外国から見ればこの点がトランプ大統領のアキレス腱となる。中国にとっては大きな交渉材料ともなるし、攻撃材料ともなる。

(貼り付けはじめ)

景気後退の恐怖感が薄らぎトランプ大統領の支持率が上昇(Recession fears recede in boost to Trump

ニヴ・エリス筆

2019年11月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/472078-recession-fears-recede-in-boost-to-trump

夏の景気後退を経て、消費者の消費額が年末の商戦シーズンを前にして復活しつつある。2020年の大統領選挙や連邦議員、各州知事の選挙まで1年を切って、株価も上昇し、景気後退に陥る恐怖感が薄らいでいる。

景況が改善することはトランプ大統領にとっての追い風となる。トランプ大統領の再選にとって経済は中心的な主張となっている。

最新の経済データは数か月前のデータと全く対照的なものとなっている。数か月前、経済学者たちは、製造業と投資が不振に陥ったので、次は消費者消費額に不振に陥るだろうと懸念を持っていた。

価格変動が大きかった株式市場、中国との貿易をめぐる緊張関係、債券市場が発する警告のために今年の夏は人々の動揺を引き起こした。こうしたことから2020年の初めには不景気に陥ることになるだろうと人々が考えるようになった。

秋が深まるにつれて、アナリストたちはハロウィーンの時期には消費販売が横ばいもしくは減少すると予測していた。そして消費者の信頼感がさらに悪化することになると見ていた。

しかし、休暇シーズン・商戦シーズンの消費販売データは予測を覆すものだった。

全国小売業協会会長兼CEOマシュー・シェイは「消費者は良い財政状態にある。そして、今年の休暇シーズンで特別大切にしている人々への贈り物により多く支出したいと考えている」と語っている。

「モーニング・コンサルト」社が毎日実施している調査によると、消費者の信頼も戻ってきつつある。

調査によると、消費者の信頼はここ4週間連続で上昇しており、アメリカ国民は現在の経済状況とこれからの先行きについて良い感情を持っている。

モーニング・コンサルト社は調査データの分析の中で、「消費者は、継続的かつ穏やかな賃金上昇と堅調な雇用創出が物価上昇を抑えており、その結果として1年前に比べて自分たちは財政的に良い状態にある、と考えている」と書いている。

ウォール街の専門家たちは経済の別の部門で楽観主義を示す兆候を見つけている。スタンダート・アンド・プアーズ・グローバル社の景気後退予測モデルは来年の景気後退の確率予測を低く発表している。

スタンダート・アンド・プアーズ・グローバル社のアメリカ国内経済専門チーフエコノミストのベス・アン・ボヴィノは次のように述べている。「今年11月中旬までの複数の重要な財政市場指数を基礎にした私たちの景気後退予測モデルが示しているのは、これから12カ月間にアメリカ国内で景気後退が起きる可能性は30パーセントにまで低下したということだ。8月の段階では35%だった」。

こうした経済をめぐるニュースはトランプ大統領にとって好材料となるだろう。中国との貿易戦争が続き、2017年に発効した減税法がもたらしたコスト高と不平等な利益についてトランプ大統領に対する批判は強まっている。しかし、好況感によってトランプ大統領に対する支持率は回復しつつある。トランプ大統領もこのことに気付いている。

株価の更なる上昇を受けて、月曜日、トランプ大統領は「株式市場の最高株価記録がまた更新された。皆さんにこの恩恵を受けて欲しい!」とツイートした。

しかし、経済のあらゆる分野や部門が上昇している訳ではない。経済学者たちは2019年全体の経済成長率は最終的には鈍化するものであると予測している。「カンファレンス・ボード」の予測では、今年2019年のGDPの伸び率は2.3%で、これが来年2020年には1.9%になるというものだ。昨年2018年の伸び率は2.9%だった。トランプ大統領はこれまで3%の経済成長率を約束してきたが、これらの数字はそれらの約束を全て下回っている。

トランプ大統領は中国との貿易戦争を鎮静化させるための予備交渉も妥結させてはいない。米中貿易戦争の第2回戦が起きるかもしれないという疑念もまだ残っている。

失業率の低下と賃金上昇が経済成長を示すものとなっており、消費者の信頼度は好転している。そうしたなかで、経済状況は2020年の大統領選挙に向けてトランプ大統領の背中を押す追い風になっている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 アメリカは中国のここまでの台頭をどうして許したのか、そして、どうして台頭を許しておいて紛争を起こすのか、ということは不思議だ。日本は高度経済成長の後、アメリカから鼻っ柱を殴りつけられヘナヘナとなってしまった。それどころか、日本の良さをことごとく消される形で、「アメリカ化」が進められている。日本の現状はアメリカの劣化版だ。ただまだ医療保険制度はアメリカよりも進んでいるが(世界の先進国並みであるというだけのことだが)、これもいつまでもつか分からない。
xijinpinghenrykissinger20191122001

 中国のここまでの台頭をアメリカ側で許容したのはヘンリー・キッシンジャー元国務長官だと言われている。そのためにアメリカでは彼に対しての恨み言も噴出している。しかし、中国の伸長を受け入れて、中国とうまく付き合いながら、アメリカへのショックを少なくするというリアリストであるキッシンジャーが両国の間をうまく取り持ってきた。

 キッシンジャーは9月に続いて今週末も中国を訪問した。96歳のキッシンジャーにとってはいくら最高級のファーストクラスでの行き来とは言え、十数時間も飛行機に乗っているのは辛いことだろう。それでも何とか耐えているのは、自分の実入りということはあるだろうが、米中の間で小競り合いは会っても前面衝突まではいかせないという信念があるからだろう。
wanquishanhenrykissinger20191123001

 キッシンジャーは訪中で習近平国家主席と王岐山副主席と会談を持った。習主席と王副主席のコンビで中国の舵取りが行われている。キッシンジャーは衝突してはいけないということを中国側に説き、アメリカに帰れば、おそらくドナルド・トランプ大統領か、ジャレッド・クシュナー上級顧問に会って訪中について話をするだろう。現在米中貿易交渉においてアメリカ側で動いているウィルバー・ロス商務長官やロバート・ライトハイザー米国通商代表よりもキッシンジャーの方が格上で、米中両国の首脳クラスに対して細かい話ではなく、大枠の話、グランドデザインを提示できる立場にある。

 米中は対等な交渉を行える関係にある。日本はそれよりも大きくランクが下がる。私たちはそのことを自覚しなければならない。そして、米中の動きを注視しながら、日本の利益はどこにあり、どのようにすれば最大化できるかということを考えねばならない。昔は新年になると、日高義樹ハドソン研究上研究員が司会として出演していたテレビ東京系の番組にキッシンジャーが出てきて、日本の位置の重要性というようなことをお世辞で言ってくれていた。しかし、今やそのような厚遇はない。日本は米中間で行われているビリヤードのボールの1つに過ぎない。両国の思惑に翻弄されるのだが、何の思慮もなく、ただキューで突かれたり、他のボールにぶつかったりするだけでは芸がない。何とか自分たちの意思で動けるようになる、これが重要だ。そのためには現状をしっかり把握する必要がある。

 米中間を取り持つ人物はキッシンジャーが死亡した後は、“チャイニーズ”・ポールソンと呼ばれる、ハンク・ポールソン元財務長官ということになるだろう。しかし、どれだけの影響力を持つのか、キッシンジャー並みに持てるのかということになるとはなはだ心もとない。キッシンジャー亡き後、米中両国は両国の関係の安定装置を組み込んだ形の構造にしなければならない。

(貼り付けはじめ)

習近平主席、キッシンジャー氏と会見 中米の戦略的意思疎通強化を強調

2019/11/23 09:10 (JST)

©新華社

https://this.kiji.is/570764839332054113?fbclid=IwAR23Bjb4CELvVrV7PfJ_ZwXsQnVIpRkEcDJP5Ayo-CLqA3-NU2DHIZjznpg

 【新華社北京1123日】中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席は22日、北京の人民大会堂で米国のキッシンジャー元国務長官と会見した。

 習近平氏は次のように指摘した。現在、中米関係は鍵となる時期を迎え、いくつかの困難と試練に直面している。双方は戦略的な問題について意思疎通を強化し、誤解や誤った判断を防ぎ、相互理解を増進すべきだ。双方は両国人民と世界人民の根本的利益を出発点として、互いに尊重し、小異を残して大同を求め、協力・ウィンウィンを図り、中米関係を正しい方向に前進させなければならない。

 キッシンジャー氏は次のように表明した。この50年間、米中関係には起伏や変化があったが、全体的には一貫して前向きである。現在、時代背景が変わり、米中関係の重要性はさらに際立っている。双方は戦略的意思疎通を強化し、意見の相違を適切に解決する方法を見いだすことに努め、各分野の交流・協力を引き続き展開していく必要がある。これは両国と世界にとって極めて重要である。

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王岐山副主席、米国のキッシンジャー元国務長官と会見

20191124 9:44 発信地:中国 [ 中国 中国・台湾 ]

AFP通信

https://www.afpbb.com/articles/-/3256325

 【1124 Xinhua News】中国の王岐山(Wang Qishan)国家副主席は23日、北京の中南海で米国のヘンリー・キッシンジャー(Henry Kissinger)元国務長官と会見した。

 王岐山氏は次のように述べた。中米関係は世界的な影響力を持っており、双方の共通点は相違点をはるかに上回っている。協力すれば双方に利益をもたらし、争えばともに傷つく。協力は双方の唯一の正しい選択である。中米双方は習近平(Xi Jinping)主席とドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が複数回にわたる会談で決めた方向と原則に基づき、より広い視野とより長期的な観点に立ち、両国関係における一連の重大な戦略的問題を客観的かつ理性的に考え、不動心を保ち、困難を克服し、試練に立ち向かい、協調・協力・安定を基調とする中米関係を共同で推進していかなければならない。

 キッシンジャー氏は次のように表明した。米中関係を把握、処理するには幅広い思想と歴史的・哲学的な思考が必要で、対話と意思疎通は両国関係の基礎である。双方が全力を尽くし、両国関係の発展のために創造的で前向きな成果をもたらすことを希望する。(c)Xinhua News/AFPBB News

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習近平中国主席:中国政府は貿易合意を望んでいるが、しかし「反撃」をすることを恐れない(Chinese President Xi: Beijing wants trade deal, but not afraid to 'fight back'

マーティー・ジョンソン筆

2019年11月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/trade/471631-chinas-xi-china-wants-trade-deal-but-not-afraid-to-fight-back

習近平中国国家主席は金曜日、中国は現在もアメリカとの貿易に関する合意のために努力を続けたいが、アメリカに対して「反撃」をすることを恐れはしないと述べた。CNBCが報じた。

習主席はアメリカの経済界代表団に対して次のように述べた。「私たちが常に述べているように、私たちは貿易戦争を始めることは望まないが、それを恐れはしない。必要となれば反撃もするが、貿易戦争にならないように努力を続けたい」。

習主席は続けて「私たちは相互尊重と公平を基にしてフェーズ・ワンの合意に至るように努力したい」と述べた。

アメリカからの代表団の中には元アメリカ政府高官が複数参加しており、代表格としては、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官とハンク・ポールソン元財務長官が挙げられる。

貿易合意をめぐる米中両国のトーンは最近になって肯定的になっているようであるが、「フェーズ・ワン」の貿易協定の詳細については現在も曖昧なままだ。

これまでの18カ月、中国とアメリカは貿易戦争に突入した。両国はそれぞれの製品に対して数十億ドル規模の関税引き上げを複数回実施してきた。.

貿易交渉は進んでいるように見えるが、トランプ大統領は翌月には中国製品1600億ドルぶんに新たな関税を課す予定となっている。

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キッシンジャーは「中国とアメリカは冷戦の途中にある」と懸念を表明(Kissinger warns China, US are in 'foothills of a cold war'

ジョン・バウデン筆

2019年11月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/news/471460-kissinger-warns-china-us-are-in-foothills-of-a-cold-war

ヘンリー・キッシンジャー元国務長官は木曜日、世界で1位と2位の経済大国の間で様々な紛争が起き、世界規模で緊張関係を深刻化させている中で、アメリカと中国は冷戦に向かって進んでいると懸念を表明した。

ブルームバーグ・ニュースは、北京のニュー・エコノミー・フォーラムで講演を行い、米中両国は双方の主張と立場の違いを理解するために「努力」することを合意すべきだと主張した、と報じた。

キッシンジャーは次のように述べたと報じられている。「私の考えは以下の通りだ。緊張関係が深刻化している時期には緊張関係の政治的な理由は何かを理解し、双方がその理由を解消するために努力することこそが重要だ。現状は手遅れになりつつある。それは米中両国が冷戦に向かう途中にあるからだ」。

キッシンジャーは更に、アメリカと中国との間で継続されている貿易交渉について言及し、両国経済に大きな影響を与えてきた1年以上続く貿易戦争を終了させるための合意に達するようにすべきだと主張したと報じられている。

キッシンジャーは「貿易交渉は政治に関する議論の小さな始まりに過ぎないということは誰も分かっている。私は貿易交渉が成功して欲しいし、その成功を私は支持している。また、政治に関する議論が実現することを望んでいる」と述べた。96歳になるキッシンジャーは1973年から1977年にかけて国務長官を務めた。

アメリカと中国は2018年半ばごろから知的財産権侵害をはじめとする諸問題をめぐって貿易に関して紛争を起こしている。その結果としてそれ以降の数カ月で数度の関税引き上げと報復的関税引き上げが続いている。

アメリカ政府と中国政府との間の交渉はいまだに包括的な合意に達していない。今年初めには合意に達すると見られていた。

米中両国は南シナ海の領有権争いに関して異なる立場に立っている。中国は南シナ海に人工島を建設しその領有権を主張し、アメリカは南シナ海の様々な航路のパトロールを行っている。

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 古村治彦です。

 11月下旬となるとスポーツの話題としてプロ野球選手の契約更改が良く取り上げられる。ストーブリーグとも呼ばれ、活躍した選手は大幅アップ、そうでもなかった選手は減俸となり、中には減俸額を抑えようと何度も交渉をするような選手も出てくる。プロ野球選手が活躍すれば年俸は大幅アップとなる。新聞紙上には倍増だ、3倍だ、4倍だ、という言葉が躍るし、昔イチロー選手が彗星のように登場した時には10倍ということもあった。何とも景気が良い話だ。

 アメリカのトランプ政権が日本政府に対して、日本に駐留する米軍に対する費用(host nation’s support、ホスト・ネイションズ・サポートと言う)を4倍にしろ、現在の約2200億円(年間)を約8800億円にしろと要求しているという報道が出た。プロ野球選手の年俸ではあるまいし、国家予算に関わることで気軽に4倍などという数字を言い出すトランプ政権には驚くばかりだ。

 もっともこれはトランプ流の交渉術なのだろう。高く吹っ掛けておいてそれから金額を下げていく。2倍で合意できれば御の字というところだろう。それ以上で合意できれば儲けもの、4倍を日本側が呑んだら、「あいつらはバカだ」と言って大喜びだろう(トランプは酒もたばこもやらないのでシャンパンで乾杯、とはいかないだろうが)。

 ちなみにホスト・ネイションズ・サポートを「受け入れ国からの支援」ではなく、「思いやり予算」と訳したのは金丸信だ。金丸は、ワーテルローの戦いでナポレオンを破った、初代ウェリントン公爵アーサー・ウェルズリーの言葉「偉大なる将軍はただ良いだけではなく、兵士の靴のことまで思いやるものだ」から思いやり予算という言葉を思いついたという話が残っている。日本はウェリントン公爵の立場ではなく、思いやられる方の兵士の立場だと思うが、それを目くらましするための金丸流の言葉遊びと実態隠しの表現が「思いやり予算」だ。実態は米軍が贅沢するためのショバ代、カツアゲ代である。

 日本の防衛予算は対GDP比1%以内を堅持してきた。大体5兆円以内に収まってきたが、第二次安倍政権下では大幅な伸びを示し、5兆円を突破している。GDPが伸びれば防衛予算も伸びるのだが、これから縮小し続ける日本ではGDPも減っていくので、1%以内という数字を堅持すると、防衛予算も減っていかざるを得ない。防衛予算を維持もしくは増加させるには対GDP1%を突破しなければならない。トランプ政権としては日本には、ヨーロッパ先進諸国並みの2%から3%の間にまで増額させたいと考えている。そうなると、アジアの周辺諸国やロシアは日本を警戒するようになる。

 日本の防衛予算と思いやり予算を増額させて、アメリカの軍事産業からの買い付けを増加させて、日本の対米貿易黒字を減らしたいというのがアメリカ政府、そしてトランプ政権の考えだ。日本は防衛装備の9割以上をアメリカら購入している大口の大得意客だ。防衛予算が増額され、思いやり予算が増額となれば、アメリカに貢ぐ金は軽く防衛装備購入と思いやり予算で軽く1兆円を超える規模になるだろう。アメリカ軍にしてみれば死んでも手放したくない夢の国、打ち出の小槌、日本となる。アメリカ軍が外国に駐留して経費の一部でも負担してもらえれば(負担させてやれば)、米軍がアメリカ国内にとどまるよりも安上がりということにもなるようだ。自分の国で養えない軍隊を外国の金で維持するというのは何とも本末転倒であり、ローマ帝国の衰亡でも分かるように、亡国の第一歩と言わざるを得ない。

 韓国も日本と同じく駐留米軍に思いやり予算を支出している。トランプ政権は韓国に対して思いやり予算の5倍増を要求している。米韓は毎年思いやり予算などについて話し合いを持つが、来年度分に関しては交渉が決裂したという報道が出た。韓国政府は何と立派な態度であろうか。米韓同盟は朝鮮戦争で共に共産主義と戦ったということで、対等とまではいかないが、完全に従属的な日米安保体制とは異なるものだ。だから韓国側は言うべきことは言う、という態度に出ることができる。日本側には不可能な態度の取り方だ。

 また、韓国は中国との関係を良好に保つことで、北朝鮮との関係をうまくマネイジメントしている。韓国にとっては北朝鮮に攻撃されないということが重要であるが、その目的のために中国とアメリカをうまく利用している。韓国の経済力は世界トップ10に入るほどのものであり、韓国が北朝鮮から攻撃を受けて経済がダメージを受ければ困るのは米中であり、ロシアということになり、北朝鮮にとっては中露から頭を押さえつけられている格好になる。

 日本は大変守りにくい国だ。昔は海に囲まれており、それが天然の要害ということになったが、戦艦の時代、航空機の時代、ミサイルの時代となっていき、防衛しにくい国になった。防衛予算をいくら増額しても完璧に守り切るということは難しい。それであれば米中韓露の間をうまくマネイジメントして物理的な防衛力に頼らない、経済力と外交力を混合した形で国を守る方策を採らねばならない。

 しかし、にほんがやっていること、やらされていることはアメリカ軍の下請けとなるということだ。アメリカから武器を買わされ、アメリカで訓練を受け、アメリカ軍と共同の司令部を持つ(実態はアメリカ軍の指揮の下に入る)というのは、アメリカ小久保総省が進めるinteroperability(相互運用性)を高めるということであり、2015年の安保法制で自衛隊は世界各地に進出できるようになったことで、アメリカ軍と共に戦うことになる。完全にアメリカ一択の、アメリカの完全な従属国になるという安倍政権の選択は、しかし世界の情勢を見れば何とも馬鹿げた選択だ。リスクヘッジという考え方がゼロなのだ。アメリカと一緒に沈んでいくことを選んでいる。アメリカが沈んでいきつつある証拠は、駐留米軍にかかる経費負担に耐えることができずに、同盟諸国に支払うように求めている態度でも明らかだ。昔は景気が良かったお金持ちが凋落して金をせびって回っているようなものだ。

「沈む船から逃げ出すネズミ」という言葉には肯定的、否定的両方の評価があるが、国際社会で生き抜いていくためには道徳的にはどうであろうと常に逃げ出す準備をしておかねばならない。その準備さえしていないとなると、ネズミ以下の存在ということになる。

(貼り付けはじめ)

トランプ大統領がアメリカ駐屯米軍将兵のための支払いを4倍に増額するように要求(Trump Asks Tokyo to Quadruple Payments for U.S. Troops in Japan

―この動きはトランプ政権のアジア地域の同盟諸国に対して防衛に関して更に予算を割くようにさせようという動きの一環である。韓国に対しても更に支払いをするように求める

ララ・セリグマン、ロビー・グラマー筆

2019年11月15日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2019/11/15/trump-asks-tokyo-quadruple-payments-us-troops-japan/

アメリカ政府は北朝鮮政府との非核化交渉を刷新しようとしている中で、ドナルド・トランプ大統領は、北東アジア地域の安定に関して依存してきた長年の同盟国日本政府に対して、日本に駐屯するアメリカ軍にかかるコストを補填するために予算を劇的に増額するように要求している。

トランプ政権は日本政府に対して日本に駐屯する5万人以上の米軍将兵の駐屯にかかるコストを相殺するためにこれまでの4倍を支払うように要求している。この問題について詳しい現役と元のアメリカ政府高官たちは本紙の取材に対して一様に語った。最近まで国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めたジョン・ボルトンとこちらも最近まで国家安全保障会議アジア担当部長を務めたマット・ポッティンガーが7月の北東アジア訪問時に日本政府高官たちに予算の4倍増額を要求したとアメリカ政府高官たちは述べている。

アメリカ政府がアメリカ軍の駐屯の継続のためにさらに予算を増額するようにアメリカ政府が求めているのは日本だけではない。他のアジア地域の同盟国にも増額を求めている。アメリカ政府高官たちは、7月の訪問の際に、ボルトンとポッティンガーが同様の要求を韓国に対しても行ったことを認めた。韓国には2万8500名の米軍将兵が駐屯しているが、両者は韓国政府に対して予算の5倍増額を求めた。CNNとロイター通信は以前にもトランプ大統領が韓国政府に対して更なる貢献、予算提供を求めたと報じた。

アジア諸国に対して北東アジア地域の米軍の存在を継続するために必要な予算を出すようにトランプ政権が圧力をかけているが、これはアメリカとアジア地域の同盟諸国との間の緊張を高め、中国や北朝鮮のようなライヴァル陣営にアジア諸国を走らせることになると専門家の中には懸念を表明している人たちもいる。

シンクタンクのヘリテージ財団研究員でCIAの分析官を務めた経験を持つブルース・クリングナーは次のように述べている。「このようなアメリカ政府からの要求は金額が過大過ぎるだけではなく、要求の方法のせいもあり、反米主義を引き起こす可能性が高い。もし同盟関係が弱体化し、抑止力と在留米軍の削減ということになったら、北朝鮮、中国、ロシアにとっての利益となる。これらの国々はこうした状況をアメリカの影響力とアメリカらの同盟諸国への支援の減少につながると考える」。

ある現役の政府高官は更に明確に述べている。「アメリカからの過大な要求は同盟関係の価値を全く分かっていないことが原因であり、ロシアと中国とのいわゆる大国間競争にアメリカが集中するためにこれまでのやり方を変更するというトランプ政権の戦略にとって逆効果になる」。

アメリカ政府が日本政府と韓国政府に圧力をかけているというニュースは、トランプ政権が進めている、同盟諸国に対して圧力をかけて防衛のために更なる予算を支出させる動きの一環である。トランプ大統領は長年にわたりヨーロッパ地域の同盟諸国に対して軍事予算を十分に支出していないとして批判してきた。トランプ大統領の努力は実を結びつつある。来年末までにNATO加盟のヨーロッパ諸国とカナダは2016年に比べて1000億ドル以上も軍事予算を増額することになっている。

現在、トランプ大統領は中国の軍事力増強と北朝鮮からの脅威の中での太平洋地域の情勢に関心を向けていると考えられる。日本と韓国は数万名規模の米軍将兵の駐屯にかかるコストのために数億ドル規模の予算を支出している。両国はそれぞれアメリカとの二国間の特別措置協定に基づいて支出をしている。これらの協定はこれまで5年おきに交渉がもたれ内容が決定されてきた。

アジア太平洋政策担当国防次官補ランドール・シュライヴァーはマーク・エスパー国防長官のアジア地域訪問に先立つ今週、「トランプ大統領が世界各地で強調してきたように、同盟諸国はさらなる負担を進んで負わねばならない。これは韓国にだけ限ったことではない」と発言した。

2021年3月に期限を迎える現在の日本との特別措置協定の下では、日本政府は54000名の米軍将兵の駐屯にかかるコストを相殺するために約20億ドルを支出している。日本駐屯の米軍将兵の約半数は沖縄にある米空軍基地に駐屯している。3名の国防総省高官経験者たちは、期限を迎える前に、トランプ大統領は予算の増額、300%増額となるおよそ80億ドルの支出を要求していると認めた。

トランプ大統領は韓国政府に対しても同様の予算増額を求めている。しかし、韓国政府との交渉期限は日本政府とよりも早くやってくる。昨年、韓国との5年の特別措置協定が期限を迎えた際に、トランプ大統領は韓国政府に対して50%の増額を求めた。これまでの特別措置協定に基づき、韓国政府は駐留する2万8500人にかかる経費を相殺するために年間約10億ドルを支出している。その後の拡大交渉で、米韓両政府は、韓国側が前年よりも8%増額した額を支出するが、毎年支出額について交渉するということで合意に達した。

元国防総省関係者の1人は、今年中に韓国との協定が期限を迎えることになるが、トランプ大統領は約50億ドルの予算増額を求めており、これは400%増額となることを認めた。

あるトランプ政権幹部は「トランプ大統領は日本や韓国を含む世界中の同盟諸国が更に貢献することができるし、そうすべきだということを明確に期待している」と述べている。

トランプ政権の高官は続けて次のように述べている。「日韓以外の同盟諸国も近い将来に両国に対するのと同じ要求に直面する可能性が高い。

この幹部は「韓国に対する要求は同盟諸国に対するアメリカの要求に関する新たな型板の第一歩ということになる。最初に韓国に適用され、次に日本、そしてアメリカ軍が駐留するほかの同盟諸国に適用されるだろう」と述べている。

日本政府は軍事協定に関する交渉のために韓国政府よりも多くの時間を持つ。そのため日本政府は韓国政府の動向を注視している。アメリカ政府と韓国政府との間の合意の形が、日本政府とアメリカ政府との交渉の形のひな型となると日本政府は考えているだろう。国防総省の元高官は「日本政府は韓国政府よりも少しは有利な立場に立っている。日本政府は“韓国さん、お先にどうぞ。私はあなたと同じ合意を結ぶようにしますからね”と言うだろう」と語っている。

今年9月の貿易協定の合意文書に署名する中で、日本側は影響力を失うことになった。トランプ大統領と日本の安倍晋三首相が9月25日に署名した合意文書で、日本政府はアメリカ産農産物への関税を引き下げることに合意した。

アメリカ政府が同盟諸国に対して防衛支出の増額を要求し続けている中、日本政府は「負担の分担について創造的な考え」をしようとしている。元国防総省高官によると、その具体例としては、日本にある米軍基地内の新しい施設への予算支出や新たにアメリカの地上配備ミサイルを国内に受け入れるといったことになる。

専門家や元政府高官が指摘しているように、次期特別措置協定に関するアメリカ側との予備交渉において、日本側は防衛予算の大幅増額を強調している。日本政府高官たちは、高額なアメリカ製の軍事装備を購入する決定を下したと述べている。その中にはF-35戦闘機やV-22オスプレイ、ティルトローターが含まれている。また、沖縄の米軍基地再編についてスピードアップを図るために更なる予算支出も決めたとも述べている。

元アメリカ政府高官たちは、日本からの米軍撤退は長期的に見てアメリカにとって大きな財政負担を強いることになると指摘している。もちろん特別措置協定に合意がなされなくてもすぐに米軍撤退ということにはならない。

元外交官で現在は日米関係を専門とする非営利組織の笹川平和財団の非常勤研究員を務めるジェイムズ・ズムワルトは次のように述べている。「アメリカ政府が米軍を日本から撤退させ、アメリカ本国に帰還させたならば、アメリカ国民は更なる税金負担を追うことになるだろう。現在、日本政府は米軍基地勤務の軍属2万40000人の給料と米軍将兵家族の光熱費などを支出しているが、それをアメリカ政府が支払わねばならなくなる」。

日本政府と韓国政府は北東アジア地域におけるアメリカ軍の軍事プロジェクトに多額の予算を支出している。連邦議会調査部の2018年の報告書によると、日本政府は第二次世界大戦後におけるアメリカ軍の海外基地建設に関し、最大規模となる3つの基地建設のコストの50%以上を支払っている。それらは、沖縄の普天間基地の代替基地(辺野古、日本政府は121億ドルの経費の100%を支出)、岩国の海兵隊航空基地(日本政府は48億ドルの経費の94%にあたる45億ドルを支出)、グアムの沖縄から4800人の海兵隊員が移動するための施設(日本政府は経費の36%にあたる31億ドルを支出)だ。

韓国政府はハンフリーズ基地の増設費用の93%にあたる100億ドルを支出する。

日本政府も防衛装備の90%以上をアメリカ企業から購入する。連邦議会調査部の資料によると、日本政府はロッキード・マーティン社のF-35戦闘機とボーイング社のKC-46タンカーを購入する。

国防総省元高官は「これは日韓両政府にとって計算の合わない、過大な支出ということにはならない」と述べた。

同盟諸国から駐留米軍のコストを相殺するために更なる予算を分捕ろうというトランプ政権の計画に沿った動きは今回が初めてのことではない。今年3月、トランプ政権は同盟諸国に対して駐留米軍の経費全額を支出することを望んでいるという報道が出て、その後は更に50%をプラスした支出を望んでいるという報道が出た。当時の国防長官代理パトリック・シャナハンは連邦議員たちに対して、トランプ政権は「コスト・プラス・50」計画を進めることはなく、こうした報道は誤ったものだと述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

アメリカ政治の秘密日本人が知らない世界支配の構造【電子書籍】[ 古村治彦 ]

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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側[本/雑誌] (単行本・ムック) / 古村治彦/著

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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙を選挙資金の面から見てみたい。アメリカ大統領選挙は2年近くのマラソン選挙である。予備選挙の過程が長く、党の指名を得れば党の候補として本選挙に向けての選挙戦が続く。その間に多くの候補者たちが涙を呑んで撤退していく。

 各候補者は全米中を飛び回り、選挙集会を開き、人々に支持を訴える。これがほぼ毎日続く。こうした選挙戦を支えるためには選挙対策委員会には多くのスタッフが必要となる。こうした選挙運動を支えるのは選挙資金だ。選挙資金が尽きてしまえば選挙運動はできなくなる。また、討論会に参加する条件として選挙資金を献金する人の数が設定されている。選挙資金は選挙戦を見ていく上で重要な要素である。候補者たちは自分の弁舌や人間的な魅力で献金をしてもらおうと必死だ。アメリカの政治家たちは言ってみれば舌先三寸で巨額のお金を集める人たちだ。

 下に揚げているのがこれまでに各候補者が集めた選挙資金である。この中には、自己資金も含まれている。また別の選挙の時に集めた資金を移している場合もある。例えば、サンダースやウォーレンは2018年の中間選挙で連邦上院議員選挙を戦い、選挙資金を集めていた。その残りを大統領選挙のために移している。こういう場合もある。また、選挙出馬を正式に発表し、連邦選挙管理委員会に届け出てから、正式に選挙資金の献金を受けられるようになるので、出馬表明の時期の早い遅いが献金額に影響する。

 一見して明らかなことは有力候補にはお金が集まりやすいということだ。支持率上位5名が献金額でも上位5名を形成している。バイデンは支持率1位であるが、選挙資金集めでは4位となっている。これは、彼が出馬表明をしたのが今年5月ということで、実質的には1.5四半期しか資金集めをしていないということであり、月平均で割ればトップに躍り出る。サンダースやウォーレンの特徴は1件当たりの平均献金額が低いということだ。これは草の根レヴェルの人々が献金をしているということになる。また、両者は金融や石油といった分野の大企業からの献金を拒否している。

 驚くのは、トランプ大統領の選挙資金の豊富さだ。前回の大統領選挙の残りがあるということもあるが、現職大統領ということで、多くの献金を受けている。その多くが小口献金である。トランプ大統領の支持基盤はまだ崩れていない。米中貿易戦争である程度のところで妥結し、農産物の輸出が以前の状態に戻れば共和党が強い地方の州を落とすことはない。中西部での決戦に向けて潤沢な資金を使ってどのような選挙運動を展開するかというところが焦点になる。

 選挙資金から選挙を見てみれば、トランプ大統領が優位ということになる。選対がどのように差配するかということが注目される。民主党側はこれから党の候補者指名ということになっていくが、バイデンが優位ということは変わらない。トランプ大統領とバイデンの戦いとなれば、決戦場は中西部ということになる。

●大統領選挙期間中政治資金の総額(献金+自己資金[別の選挙の時の資金の移転も含む]

・バーニー・サンダース:6750万ドル(約72億2250万円)

・エリザベス・ウォーレン:6020万ドル(約64億4100万円)

・ピート・ブティジェッジ:5090万ドル(約54億4600万円)

・ジョー・バイデン:3720万ドル(約39億8000万円)

・カマラ・ハリス:3670万ドル(約39億2700万円)

・トム・ステイヤー:3200万ドル(約34億2400万円)

・ビトー・オローク:1810万ドル(約19億3670万円)

・エイミー・クロウブシャー:1750万ドル(約18億7250万円)

・コーリー・ブッカー:1550万ドル(約16億5800万円)

・アンドリュー・ヤン:1520万ドル(約16億2640万円)

・マイケル・ベネット:1490万ドル(約15億9400万円)

・マリアンヌ・ウィリアムソン:607万ドル(約6億5000万円)

・マイケル・ベネット:560万ドル(約6億円)

・スティーヴ・ブロック:430万ドル(約4億6000万円)

=====

・ドナルド・トランプ:3億800万ドル(約約330億円)

 

 

 

(貼り付けはじめ)

 

2020年米大統領選挙民主党予備選挙候補者たちの第三四半期の政治資金総額(2020 Democratic candidates reveal third quarter fundraising totals

グレイス・シーガース筆

2019年10月11日

CBSニュース

https://www.cbsnews.com/live-news/2020-democratic-primary-presidential-candidates-reveal-third-quarter-fundraising-totals/

 

2020米大統領選挙民主党予備選挙の候補者たちは2019年第三四半期(7月から9月)の政治献金額を発表している。候補者たちは10月15日までに連邦選挙管理委員会に政治献金額を報告する義務がある。

数名の候補者たちが政治資金献金の総額を発表し始めている。献金者数など詳細も発表している。9月末までの第三四半期の政治資金の報告期限が迫っている。

これからは各陣営の発表について見ていこう。

●ビトー・オローク:450万ドル(3期合計:1750万ドル)

・2019年10月11日:ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)は2019年第三四半期で450万ドルを集めた。この額は第二四半期に比べて100万ドルの増加ではあるが、第一四半期に集めた900万ドルに遠く及ばない額となった。選対によると、1件当たりの平均献金額は26ドルだった。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:450万ドル

・1人当たり平均献金額:26ドル

■第二四半期の特徴:

・集めた資金:360万ドル

・献金者数:約20万人(約半数は新たな献金者)

・1人当たり平均献金額:30ドル

■第一四半期の特徴:

・集めた資金:940万ドル(選挙運動開始24時間で610万ドル)

・献金者数:約21万8000人

●トム・スティヤー:200万ドル

・2019年10月10日:大富豪のトム・ステイヤーは第三四半期で200万ドルを集めたに過ぎないが、彼自身の資金3000万ドルも合わせて選挙運動に投入している。選対によると、ステイヤーは、16万6119人の献金者を集め、10月の討論会の参加条件をクリアした。1件当たりの平均献金額は12ドルだった。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:200万ドル

・献金者数:16万人

・1件当たりの平均献金額:12ドル

●エイミー・クロウブシャー:480万ドル

・2019年10月7日:エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)は第三四半期で480万ドルを集めた。第二四半期と比べて100万ドル増となった。クロウブシャ―は第三四半期で10万5000人の献金者から献金を集め、1件当たりの平均献金額は30ドル弱となった。彼女は10月の討論会参加条件をクリアした。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:480万ドル

・献金者数:10万5000人

・1件当たりの平均献金額:29.78ドル

■第二四半期の特徴:

・集めた資金:387万ドル

・1件当たりの平均献金額:47ドル強

・献金者の86%が草の根レヴェルの献金者で、草の根レヴェルでは1件当たりの献金額は100ドル以下であった

■第一四半期の特徴:

・集めた資金:520万ドル

・他の資金団体から3575ドルを移した

・3月末の時点で約700万ドルの現金を手元に残していた

●エリザベス・ウォーレン:2460万ドル

・2019年10月4日:エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は第三四半期においてサンダースに少し及ばない額の献金を集めた。それでも総額は2460万ドルだった。選対は、献金件数は94万3000件に達したと発表した。1件当たりの平均献金額は26ドルだった。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:2460万ドル

・献金者数:50万9000人(献金件数:94万3000件)

・1件当たりの平均献金額:26ドル

■第二四半期の特徴:

・集めた資金:1900万ドル

・1200万ドル分は1件当たり200ドル以下の献金

・1件当たりの平均献金額:28ドル

・第二四半期の献金者の80%はウォーレンに初めて献金した人々だった

■第一四半期の特徴:

・集めた資金:600万ドル

・連邦上院議員選挙の時の政治資金の残り1000万ドルを移した

・第一四半期が終わった時点で手元に1100万ドルの資金が残った

●スティーヴ・ブロック:230万ドル

・2019年10月4日:モンタナ州知事スティーヴ・ブロックの選対は第三四半期で230万ドルを集めた。選対によると、1件当たりの平均献金額は24ドルだった。ブロックは10月の討論会の参加条件をクリアできなかった。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:230万ドル

・インターネット献金の1件当たりの平均献金額:24ドル

・第一四半期に比べて献金者数が倍増

■第二四半期の特徴:

・集めた資金:200万ドル

●マリアンヌ・ウィリアムソン:300万ドル

・2019年10月3日:マリアンヌ・ウィリアムソンは第三四半期で300万ドルを集めた。第二四半期に比べて150万ドルの増額となった。しかし、彼女は選挙戦を始めて以来600万ドル以上の資金を集めたにもかかわらず、ウィリアムソンの手元に残っているのは65万ドルに過ぎない。選対によると、これまでの献金者数は14万人となった。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:300万ドル

・手元に65万ドルが資金として残る

・これまでに14万人以上の献金者を獲得

■第二四半期の特徴:

・集めた資金:150万ドル

・100万ドル以上の資金を4月1日から6月30日までの間に集めたが、1件当たりの献金額は200ドル以下だった

・ウィリアムソンは第二四半期終了時点で55万ドルの資金を手元に残していた。

●マイケル・ベネット:210万ドル

・2019年10月2日:コロラド州選出連邦上院議員であるマイケル・ベネットは第三四半期で210万ドルを集めた。第二四半期と比べて少し献金額を減らした。第二四半期の献金額は280万ドルを集めた。ベネットは10月の討論会の参加条件をクリアできなかった。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:210万ドル

■第二四半期の特徴:

・5月上旬に大統領選挙出馬を発表して以降、350万ドルを集めた。そのうちの70万ドルは連邦上院議員選挙の資金を移した

・献金者の83%の1件当たりの献金額は25ドル以下で、95%は100ドル以下だった

●ジョー・バイデン:1520万ドル

・2019年10月3日:ジョー・バイデン前副大統領は第三四半期で1520万ドルを集めた。各種世論調査で支持率トップを記録しているバイデンは選挙戦に出馬して以来、3670万ドルを集めた。

・選対によると、献金者の98%は草の根レヴェルの献金者で、1件当たりの献金額は200ドル以下だった。56%は初めて献金する人たちであった。1件当たりの平均献金額は44ドルだった。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:1520万ドル

・献金者の96%の1件当たりの献金額は200ドル以下だった

・1件当たりの平均献金額:44ドル

■第二四半期の特徴:

・4月に選挙戦出馬発表以降に2150万ドルを集めた

・献金者の97%は200ドル以下の献金だった

・1件当たりの平均献金額は49ドルだった

●マイケル・ベネット:210万ドル

・2019年10月2日:コロラド州選出連邦上院議員マイケル・ベネットは第三四半期で210万ドルを集めた。選対によると献金者の86%が25ドル以下の献金、98%が100ドル以下だった。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:210万ドル

・献金者の86%の献金は25ドル以下

・98%の献金は100ドル以下

■第二四半期の特徴:

・5月上旬に選挙戦出馬を表明して以来350万ドルを集めた。そのうちの70万ドルは連邦上院議員選挙の時の資金を移したものだ

・献金者の83%の献金は25ドル以下、95%の献金は100ドル以下

●アンドリュー・ヤン:1000万ドル

・2019年10月2日:IT実業家アンドリュー・ヤンは第三四半期で1000万ドルを集めた。2017年に選挙戦を始めた時には全くの無名だった候補者にとっては衝撃的な金額となった。選対は、約30万人から献金を受けたと発表した。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:1000万ドル

・献金者数:約30万人

■第二四半期の特徴:

・集めた資金:280万ドル

・集めた資金のうち約200万ドルは1件当たり200ドル以下の献金からのものだ

■第一四半期の特徴:

・集めた資金:約180万ドル

・3月末の時点で手元に110万ドルの資金を残していた

●カマラ・ハリス:1160万ドル

・2019年10月1日:カリフォルニア州選出の連邦上院議員カマラ・ハリスは第三四半期で1160万ドルを集めた。選対によると、ハリスは手元に1000万ドルを残している。

・1件当たりの平均献金額は34ドルで、インターネット献金の1件当たりの平均献金額は20ドルだった。

・選対によると、ハリスは選挙戦を通じて85万人から総額3550万ドルを集めた。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:1160万ドル

・1件当たりの平均献金額:34ドル、インターネット上の1件当たりの平均献金額は20ドル

・ハリスは選挙戦開始以来、85万人以上から献金を受けた

■第二四半期の特徴:

・集めた資金:1200万ドル

・献金者数:27万9000人、そのうち約15万人が新たな献金者だった

・1件当たりの平均献金額:39ドル、インターネット上の献金の平均は24ドル

・インターネット上で集めた資金は700万ドル以上

■第一四半期の特徴:

・集めた資金:1200万ドル以上、この四半期では第2位にランクされた

・献金者の98%の献金は100ドル以下だった

・インターネット上での献金は600万ドル以上となった

・3月の最終週で100万ドル以上を集めた

・教育者1万1000人から献金を受けた

●コーリー・ブッカー:600万ドル(1550万ドル)

・2019年10月1日:9月30日までの最後のひと押しで170万ドルを集めた後、ニュージャージー州選出連邦上院議員コーリー・ブッカーの選対は、第三四半期で600万ドル以上を集めたと発表した。選対は残り10日間のひと押しで4万6000人から210万ドルを集めたと発表した。

・選対は1件当たりの平均献金額や献金者数などの詳細を発表しなかった。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:600万ドル以上、第二四半期から30%伸ばした

・第三四半期の最後の10日間で4万6000人から210万ドルを集めた

■第二四半期の特徴:

・集めた資金:450万ドルで、第二四半期の終わりの段階で540万ドルの資金を手元に残していた

・第二四半期で新たに7万2000人の献金者を獲得した

・献金者の88%が初めての献金者だった

・インターネット上の献金の1件平均:15ドル

■第一四半期の特徴:

・集めた資金:500万ドル以上

・献金者の82%が初めての献金者だった

●バーニー・サンダース:2530万ドル(6750万ドル)

・2019年10月1日:ヴァーモント州選出の連邦上院議員であるバーニー・サンダースは第三四半期で2530万ドルを集めた。第三四半期において民主党の候補者の中で最も多額の資金を集めた。選対によると、2019年9月は最も多くの政治資金を集めたということだ。

・政治献金者数は140万人だ。1件当たりの平均献金額は18.07ドルだ。選対は他の口座から260万ドルを移したが、これは2500万ドルの政治献金には入れていないということだ。

・選対によると、第三四半期の政治献金者の中で最も多い職業は「教師」だった。勤務先のトップ3は、スターバックス、アマゾン、ウォルマートだった。

・2019年2月に選挙戦出馬を発表して以降、330万人の政治献金者から6150万ドルを集めた。

■第三四半期の特徴:

・集めた資金:2530万ドル

・献金者数;140万人

・1件当たりの平均献金額:18.07ドル

■第二四半期の特徴;

・集めた資金:2400万ドル、そのうち600万ドルは以前の政治資金の口座から移されたものだ

・献金者の99%は100ドル以下だった

・献金者の45%は39歳以下だった

■第一四半期の特徴:

・集めた資金:1820万ドル(これは第一四半期において候補者の中で最も高額)

・献金者数:約90万人

・献金者の99.5%の献金額が100ドル以下だった

・1件当たりの平均献金額:20ドル

●ピート・ブティジェッジ:1910万ドル(5090万ドル)

・2019年10月1日:インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジは2019年第三四半期で1910万ドルを集めた。第二四半期の献金額2480万ドルよりも少なくなった。しかし、政治資金額を見れば、献金の面で、彼が有力候補であることには変わりがない。

・選対によると、献金者数は58万人以上で、そのうちの18万2000人が新しい献金者だった。1件当たりの平均献金額は32ドルだった。

■第三四半期の特徴:Third quarter highlights:

・集めた資金:1910万ドル

・新たな献金者数:18万2000人

・1件当たりの平均献金額:32ドル

■第二四半期の特徴:

・集めた資金:2480万ドル(第一四半期に比べて3倍以上の増加)

・献金者数:29万4000人

・1件当たりの平均献金額:47.42ドル

■第一四半期の特徴:

・集めた資金:700万ドル強(第一四半期で第4位)

・献金者数:15万8550人

・1件当たりの平均献金額:36.35ドル

・献金の64%は200ドル以下の献金

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。 

 ドナルド・トランプ大統領にウクライナ疑惑が持ち上がっている。トランプ大統領が今年7月25日にウクライナ大統領と電話会談を行い、その中で、ジョー・バイデン前副大統領と次男ハンター・バイデンについて捜査を行うように求めた。更には、これに合わせてウクライナ向けの援助を一時停止した。これは大統領選挙当選のため、つまり私的な利益のために権力を濫用したということになる。この疑惑は内部告発者からの告発で明らかになり、連邦下院で過半数を握る民主党は弾劾訴追のための調査を始めた。

 これまでこのブログでもご紹介してきたが、弾劾が成立する可能性は低い。弾劾を訴追するのは連邦下院であるが、弾劾が成立するかどうかの裁判を行うのは連邦上院で、しかも3分の2以上の賛成が必要だ。よほどの決定的な証拠が出なければ、弾劾は成立しない。

この疑惑が大統領選挙に与える影響はトランプ大統領側には限定的であり、民主党側に与える影響は大きいと考えられる。トランプ大統領の支持者はこれくらいのことで支持を止めるようなことはない。各種世論調査では共和党支持者で連邦下院による弾劾調査を支持しているのは多くても2割台にとどまる。民主党支持者の場合は9割に迫る勢いだ。

 下の記事にあるように、トランプ大統領弾劾の話ばかりになると、民主党予備選挙の話題は少なくなる。マスコミでも報じられなくなる。上位3名の候補者たちについてはまだ報じられるだろうが、詳細に報道する時間はない。他の候補者となると、報道されることがなくなる。そうなると、支持率や政治資金の面でますます苦しくなる。11月の討論会の参加基準が引き上げられたので、選挙戦から撤退する候補者も複数出てくるだろう。

 民主党側は、ロシア疑惑よりも「筋が良い話」として、ウクライナ疑惑に関して弾劾に乗り出した。しかし、ここに落とし穴がある。それは、このウクライナ疑惑にはジョー・バイデン前副大統領と次男ハンター・バイデンが出てくることだ。

 2014年にマイダン革命と呼ばれる政変によって、親露派のヴィクトール・ヤヌコヴィチ政権が打倒された。しかし、その後のペトロ・ポロシェンコ政権はどっちつかずの政権だった。当時のバラク・オバマ政権はウクライナ国内の汚職体質の改善を求めていた。これはロシアとの関係を切ろうとするものであったと考えられる。しかし、ポロシェンコ政権下でも汚職の一掃は進まなかった。そこで業を煮やしたオバマ政権は、ジョー・バイデン副大統領をウクライナに派遣し、汚職捜査の指揮を執る検事総長の更迭を求めた。これがなされない限りウクライナへの支援パッケージは実行しないとまで発言した。

 2014年の政変で失脚したヤヌコヴィッチ政権の高官だった人物にマイコラ・ズロチェフスキーがいた。ズロチェフスキーはウクライナの天然ガス会社ブリスマ社のオーナーであり、エネルギー関係の大臣を務めていた際に、子会社へ許認可を出していた。また、イギリス当局からは資金洗浄の疑いをかけられていた。

 ズロチェフスキーはロシアに逃亡したヤヌコヴィッチとは行動を共にしなかった。そして、ブリスマ社と自分を守るために、「ブリスマ社は西洋型の立派な会社です」という「飾り付け」を行うことにした。そのために利用されたのがハンター・バイデンだった。バイデンは、アメリカで投資会社を経営していたのだが、共同経営者がブリスマ社の取締役に就任し、その直後にハンターにも取締役就任の話が来た。周囲は、ウクライナは政情不安定であるし、止めておいたらと忠告したが、ハンターは周囲の忠告を無視して取締役に就任した。

 ハンターは年2回の取締役会出席だけで、月5万ドルの報酬を受け取ることになった。年間60万ドルとなる。日本円では6500万円だ。ブリスマ社とオーナーのズロチェフスキーは、ハンター・バイデンを取り込むことで、「ブリスマ社は西洋型の立派な会社です」というアピールに成功した。また、ウクライナ国内向けには、「ウクライナに圧力をかけているジョー・バイデン副大統領の息子が取締役だぞ、自分はアメリカ側と太いパイプがあるのだ」という無言の圧力、アピールをすることができ、結果として、汚職事件などの捜査を免れた。

 トランプ大統領の弾劾調査のためにウクライナ疑惑を調べるとなると、どうしてもバイデン家とウクライナとのかかわりを調べることになる。そうなれば、オバマ政権のウクライナへの内政干渉やハンターがほぼ勤務実態がないのに年60万ドルを受け取っていたということが民主党側によって明らかにされる。これは現在、大統領選挙民主党予備選挙で支持率トップを走っているバイデンにとっては痛手となる。

 バイデンの支持率が落ちて、2位のエリザベス・ウォーレン、3位のバーニー・サンダースが相対的に上昇ということになれば、民主党内部は混乱する。各候補の批判合戦はエスカレートする。そうなると、民主党内部の団結はほころびが出る、2016年の大統領選挙でも、ヒラリー・クリントンを応援する民主党主流派と、バーニー・サンダースを応援する反主流派の亀裂は修復できず、結局、トランプを勝利させることになった。

 もっと大きく見れば、今回の件はホワイトハウス側からの仕掛けではないかとすら思えてくる。トランプ大統領側にも不利益が出てくるが、それ以上に民主党側にとっては痛手となる。「肉を切らせて骨を断つ」ということになる。ジョー・バイデンが身内に甘いという批判に晒されれば、支持率が下がる可能性もある。民主党支持者は大統領選挙に勝つよりも弾劾成立の方を望んでいるという世論調査の結果が出ているが、これは、現在の状況では民主党の候補者ではトランプ大統領を倒すことはできないと民主党支持者でさえも考えているということを示している。

 ウクライナ疑惑は民主党側にとって藪蛇ということになりそうだ。

(貼り付けはじめ)

弾劾は大統領選挙民主党予備選挙の状況を変化させる(Impeachment shakes up Democratic White House race

エイミー・パーンズ筆

2019年9月29日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/463447-impeachment-shakes-up-democratic-white-house-raceドナルド・トランプ大統領への弾劾調査は大統領選挙民主党予備選挙の状況を変化させている。

民主党系のコンサルタントと戦略家たちは、弾劾に関する調査がエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)をはじめ候補者たちを助けることになる。複数の候補者たちはウクライナ疑惑が出てからすぐに弾劾を求め、そうした人たちは世論調査の支持率を伸ばしている。 

弾劾手続きはジョー・バイデン前副大統領を勢いづかせる可能性が高い。バイデンはウクライナ疑惑の重要な登場人物となっている。ウクライナ疑惑から弾劾調査はスタートする。バイデンは、大統領選挙の本選挙においてトランプ候補が最も恐れる候補者は自分バイデンなので、トランプは自分をスキャンダルに巻き込んだのだと強調している。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は火曜日のアイオワ州での記者会見で「政治的に見て複雑な問題だ」と述べた。サンダースはバイデンとウォーレンと民主党指名を争っている。

弾劾は、大統領選挙民主党予備選挙に影響を与えることになった。選挙戦が報道の中心的テーマから突然外れてしまうことになった。

疑惑と弾劾をめぐるニュースが駆け巡る中で、候補者たちは選挙運動に注意を払ってもらおうとして記者会見を開こうとする。このような状況は支持率中位の候補者たちにとっては絶好の機会であり同時に困難な状況となる。

選挙戦に残るか撤退するかの瀬戸際にいる候補者たちにとっては、弾劾調査開始のニュースは自分たちにとって都合の悪いものとなり、人々の注意関心を惹くことはほぼ不可能な事態になってしまう可能性が高い。

「2020年大統領選挙の候補者たちにとっての政治的な大地震について話そう」と言った。

子のストラティジストは次のように語った。「今週、弾劾をめぐる激論がメディアの酸素をほとんど消費してしまい、民主党予備選挙の候補者の中で報道されたのはほんの2、3名だった。ウクライナ疑惑をめぐりバイデンについても賛否両論があった。それはウクライナ疑惑の中心に彼がいるからだ。だから彼についての報道があった。しかし、ウォーレン、バーニー・サンダース、カマラ・ハリスについてはほとんど報道がなかった。これが全てだ」。

民主党系ストラティジストのダグ・ソーネルは弾劾手続きは報道を独占してしまっており、「民主党予備選挙をしばらくの間停滞させることになる」と語った。

ソーネルは「これはバイデンと恐らくウォーレンにとって良いことだ」と述べた。この2人は各種世論調査で支持率トップ2を占めている。

バイデンは今年の春に選挙戦に出馬して以降、支持率トップをひた走ってきた。しかし、今月アイオワ州とニューハンプシャー州で実施された世論調査でウォーレンがバイデンを初めて抜き去った。

しかし、報道の内容は完全に変わった。

ソーネルは次のように語っている。「マサチューセッツ州選出の連邦上院議員ウォーレンは支持率を上げている。しかし、ウクライナ疑惑と弾劾調査の開始によってウォーレンに関する報道はなくなる。メディアの関心を集めることが重要だということを考えると、これでウォーレンの勢いは減退するのではないかという疑問が出てくる」。

他のストラティジストたちは、ウォーレンはこの局面を自分に有利に利用できる、それは民主党が過半数を占める連邦下院が動き出す数か月前からウォーレンは弾劾を強く主張していたことを有権者に思い出させることが出来るからだ、と述べている。

民主党系ストラティジストであるエディー・ヴェイルは次のように語っている。「ウォーレンは弾劾を進めることに貢献したことをアピールできる。しかし、当時のエルヴィスのように、ウォーレンは弾劾について人々の関心を喚起させ続ける必要がある。

バイデンに関しては、今回のウクライナ疑惑と弾劾はトランプ大統領と対決する機会となる。トランプ大統領との対決という構図はバイデン選対の幹部たちが最初から描いているシナリオだ。

ニューヨーク州民主党の幹事長を務めた経験を持つバジル・スミクルは次のように述べている。「今回の事態がどれほどバイデンにとって有利に働くかはバイデン次第だ。バイデンは選挙を始めた時からトランプ大統領と一対一の戦いをしたいと望んでいて、それが実現している」。

スミクルは続けて次のように述べている。「バイデンは、民主党の候補者たちとやり合う際にこの一対一で戦ってやるという強さを見せつける必要がある。そのために候補者たちから投げかけられる批判の矢をかわし、時には自分から積極的に批判の矢を飛ばすべきだ」。

バイデン支持の有権者の間では、トランプ大統領と共和党が、前回の選挙でヒラリー・クリントンのEメール問題でやったように、物語を自分たちに都合よく作り上げて、それがバイデンの痛手になるのではないか、という懸念もある。

トランプ陣営は金曜日、バイデンを攻撃する新しいテレビコマーシャルの放映を始めた。

バイデンの側近の一人は次のように述べている。「これは考え過ぎの心配ではない。トランプ政権が成立して以来、いやそれ以前の選挙運動の時から、共和党はこの種の歪曲や捏造をうまく使ってきた。そのために私たちは現在のような状況に陥っているのであり、私たちはこのような状況が2020年以降も繰り返されないにしなければならない」。

ヴェイルは、「バイデン選対はトランプ大統領に仕掛けて、バイデンに対する攻撃に対する反撃を行っている。選対は素晴らしい仕事をしている。バイデン自身がより熱心さを出してくると、選対にとっては追い風となるだろう」と述べている。

サンダースはここ最近トランプ大統領に対する攻撃的言辞のレヴェルを上げている。サンダースは民主党予備選挙の上位候補者たちの中で「もっとも厳しい立場」に立つことになる、それは、サンダース選対は支持率下落を止めようとし、早期に予備選挙が実施される各州での支持拡大に努めているが、マスコミは現在、サンダースの動きを報道する時間がない、とヴェイルは発言している。

そして、他の候補者たちも同様の困難を抱えているが、サンダースはより「強くなっている」とヴェイルは結論付けている。

スティーヴ・イスラエル元連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は以前民主党連邦議会選挙委員会委員長を務めていた。イスラエルは弾劾調査からどの候補者が利益を得るかを予測することは難しいと述べている。

イスラエルは次のように述べている。「正確なことを言うには時期が早過ぎる。はっきりと言えることは、弾劾調査によって民主党支持の有権者たちはトランプ大統領を倒せるという意欲を高めるということだ。各種世論調査が示しているところでは、民主党支持の有権者たちは、自分たちのイデオロギーを共有していなくても、大統領を倒せる候補者を現実的に好むことを示している」。

アイオワ州での党員集会(訳者註:予備選挙の一種)開催まで100日以上残っている現段階で、弾劾調査が始まることは、ハリスのような候補者たちにとってのチャンスにもなり得る。ハリスは民主党支持の有権者たちにアピールするために自分の強さと厳しさを示すことが出来る。

ソーネルは次のように述べている。「ハリスは弾劾について司法に携わっていた背景を前面に押し出すことが出来る。トランプが大統領でいる限り、2020年の大統領選挙でトランプを追及するには最高の候補者と言える」。

しかし、バイデンの側近の一人は、弾劾調査がこれから大統領選挙本選挙までの14カ月で何が起こるかを示す前兆になっていると述べた。この人物は、「何が起きてもおかしくない」と述べた。

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決定版 属国 日本論

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