古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

タグ:ドナルド・トランプ

 古村治彦です。

 

 イランの大統領選挙は、強硬派が候補者を一本化したことでどうなるかと思っていましたが、ロウハニ大統領が再選されました。イランの大統領は二期までなので、ロウハニ氏はこれから4年間が最後の任期となります。

 

 ロウハニ大統領は、アメリカとの核開発をめぐる合意を前提にしての経済成長、そのための経済改革を主張しています。イランでは、諜報機関が経済部門にまで浸透しており、下に掲載した毎日新聞の記事では、「モンスター」とまで呼ばれているそうです。ロウハニは、そうした部分を改革していこうとしています。革命防衛隊、諜報機関はそれを防ぐために、最高指導者を引き込んで、ロウハニ氏を追い落とす、もしくは得票数を削ろうとしました。しかし、イランの人々はロウハニ大統領の路線を支持しました。

 

 アメリカでは、トランプ大統領がイランとの核開発合意に反対しているという報道がなされていますが、トランプ政権は核開発をめぐる合意を維持するということを既に表明しています。イランとの核開発をめぐる合意にアメリカ国内で反対しているのは、共和党ではネオコン、民主党では表立ってはいませんが(自党のバラク・オバマ前大統領が結んだ合意ですから)、人道的介入主義派です。

 

 トランプ大統領が初めての外遊で中東のサウジアラビアとイスラエルを訪問しますが、両国は宗教は違いますが、アメリカの同盟国という点では一緒です。サウジアラビアはアラブの盟主ですが、現状中東の和平と問題解決に何もしていません。オバマ政権時代は、イスラエルとアメリカの関係は悪化しました。トランプ政権ではトランプの義理の息子ジャレッド・クシュナーが上級顧問として力を持っていますから、イスラエルとの関係は改善すると思われますが、機密情報の取り扱いをめぐり、イスラエル側が激怒しているという報道もなされていますので、イスラエル側に、ネオコンや人道的介入主義派と気脈を通じている人々がいると思われます。

 

 トランプ政権とすれば、傲慢になりがちな中東の同盟諸国に活を入れるために、イランを利用するでしょう。イランを利用して中東の問題を解決しようとするでしょう。国益のためならば、敵と呼んだ相手とでも手を組むのがリアリズムですから、トランプは表だってイランを賞賛はしないでしょうが、一方的に敵視することはないでしょう。

 

 ロウハニ大統領が再選されたことで、アメリカとイランの関係が大きく変化することはないということになり、これは慶賀すべきことです。

 

(貼りつけはじめ)

 

<イラン>残る制裁、正念場 ロウハニ師再選、経済回復急務

 

毎日新聞 5/21() 8:15配信

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170521-00000007-mai-m_est

 

 【テヘラン篠田航一】イラン大統領選で対外融和の継続を掲げる保守穏健派のロウハニ大統領(68)が20日、再選を決めた。だがイランを敵視してきた米国はトランプ政権になり、より強硬な姿勢を示している。イランは経済回復を軌道に乗せて内政を安定させるためにも、米国などが今も科す制裁の軽減に向けた外交努力を続けると見られるが、事態の打開は容易ではない。

 

 「今後4年で全ての制裁解除に全力を挙げ、イランの威厳を取り戻す」。ロウハニ師が掲げた公約だ。イランは2015年に米欧などと核合意に達し、主要な経済制裁は解除された。だが、ミサイル開発や「テロ支援」を巡る制裁は残っている。

 

 トランプ米大統領は、イスラム教シーア派国家イランの覇権拡大を警戒するスンニ派の大国サウジアラビアを初の外遊先に選び、イラン大統領選の結果が固まった20日に現地に降り立った。湾岸のアラブ諸国と連携した包囲網の強化を目指している。米国とイランは、シリアやイエメンの内戦でも対立する勢力をそれぞれ支援しており、早期に歩み寄る可能性は低い。

 

 ただ、トランプ政権はシリアでは過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦を優先している。イラン国連代表部で勤務経験を持つ元外交官の政治評論家ヘルミダス・ババンド氏は「シリア内戦が沈静化すれば、イランと米国の関係は改善に向かう」と分析。ロウハニ大統領が、米国と近いアラブの主要国エジプトへの働きかけを強めると見ている。

 

 内政では経済回復を進める上で、膨大な権益を持つ革命防衛隊との関係が焦点の一つになりそうだ。ロウハニ大統領は選挙戦で「経済発展を望むなら、(革命防衛隊などの)治安・政治組織を経済に関与させるべきではない」といら立ちを隠さなかった。

 

 約12万人の兵員を擁する革命防衛隊は、1979年のイスラム革命の理念防衛のため創設されたが、多くの系列企業を抱えて経済分野にも進出し、肥大ぶりは「モンスター」と称される。ロウハニ政権が今後、外資導入や経済開放を進めようとした場合、防衛隊関連企業の抵抗が予想される。

 

 内政の安定には、若年層の雇用創出も急務だ。失業率は若年層で3割近いと言われる。経済的不満から保守強硬派への傾倒を強めることを抑止するためにも経済成長の加速は不可欠だ。

 

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イランの大統領選挙で何が重要なのか?(What’s at Stake in Iran’s Elections?

 

エミリー・タムキン筆

2017年5月19日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2017/05/19/whats-at-stake-in-irans-elections-rouhani-raisi/

 

イラン国民は金曜日、次期大統領を誰にするかを決める投票を行う。大統領選挙には複数の候補者が立候補しているが、主要な選択肢としては、中道改革派で2期目を目指す現職大統領ハサン・ロウハニと、保守派強硬路線のイブラヒム・ライシの2人に絞られている。最も人気があったモハンマド・バーゲル・ガリバフが選挙戦から撤退し、ライシ支持を表明したためにこのような状況になった。

 

誰が大統領になるだろうか?そして、選挙結果がイランの国際関係においてどのような意味を持つであろうか?

 

コロンビア大学教授リチャード・ネヒューは本誌の取材に対して、「ロウハニが当選すると考えます」と述べた。

 

読者の皆さんがご存知のように、最高指導者と諜報機関がライシを大統領にしたいと後押しをしているという疑いがあるし、人々の間には、国際関係を改善して好景気をもたらすというロウハニの公約が果たされていないという不満が高まっている。しかし、ネヒューは、投票率が期待通りに髙ければ、ロウハニが2期目に向けた当選に困難に直面することはないだろうと述べた。

 

ロウハニが勝てば、人々の信任を示す票差での勝利であれば、イランの対西側各国への政策は大きくはそのままであろう。イランはアメリカとの間で、イラン核開発合意として知られる包括的共同行動計画を堅持するだろう。ドナルド・トランプは自身の大統領選挙期間中、合意の破棄を主張したが、現在のところトランプは合意の維持を表明している。

 

ロウハニは、更なる経済改革を進めるだろう。ロウハニは、アメリカとの合意から経済的利益を得ることができるとロウハニは主張しているが、そのためには経済改革が必要となる。そして、ロウハニは経済分野における諜報機関の存在を排除しようとするだろう。ロウハニが地滑り的勝利をした場合に不都合なことがあるのだろうか?ロウハニが圧倒的な勝利を収めた場合、最高指導者とその周辺は、ロウハニの羽を縛ろうとするだろう。

 

それではライシが勝利した場合はどうなるだろうか?ライシは他の候補者と同様に、包括的共同行動計画の維持を主張しているが、この合意からイランが利益を得るために必要な経済改革を進めることはないだろう。そうなると、イラン国民は、経済が良くならないのに、合意を維持する必要はあるのかと考えるようになるだろう。

 

しかし、ライシの勝利は状況を悪化させるだろう。特にアメリカとの関係に悪影響を与える。ネヒューは、トランプ政権がライシ勝利をイラン国内における強硬派の台頭の徴候と捉え、イラン政府との協力は望めないと捉えるならば、「強硬派同士である、トランプとライシ同士の競争が起き、良くない状態になる」と述べている。

 

投票日の金曜日、トランプは大統領としての初めての外遊をサウジアラビアから始める。大統領選挙の結果によっては、中東の情勢は更に爆発しやすくなるだろう。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)





アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22

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 古村治彦です。

 

 今回は、5月中旬以降の世界の動きを紹介した記事をご紹介します。この記事では、大事なイランの大統領選挙(2017年5月19日)について書かれていませんが、それ以外は書かれていると思います。イランの大統領選挙では現職で穏健派のロウハニ大統領に対して、対米強硬保守派がライシ元検事総長に一本化したので、ロウハニ氏が落選する可能性が出てきています。アメリカとイランとの間で核開発に関する合意が結ばれましたが、この先行きが不透明なために、ロウハニ大統領がこの合意を成功とアピールできないという事情があります。

 

 今週はトランプ大統領がトルコのエルドアン大統領やコロンビアのサントス大統領をホワイトハウスに迎え、その後、大統領就任後初の外遊に出かけます。イスラエルとサウジアラビアと中東の同盟諸国を訪問し、その後、ヴァティカンを訪問します。現在のローマ法王はトランプに対して批判的ですが、どのような会談になるかどうか重要です。

 

 G7では、トランプ大統領がG7の枠組み自体を問題にするという可能性もあるそうです。中国とロシアが入っていない会議では意味がないということだそうで、日本にとっては、地位低下、アジア唯一のG7参加国というステータスの喪失ということになります。

 

 これからしばらくの世界情勢について考える上で参考になりますので是非お読みください。

 

(貼り付けはじめ)

 

中国の道、ドイツの選挙、そして、トランプの訪問者たち(China’s Road, German Elections, and Trump’s Visitors: The Weekend Behind, the Week Ahead

 

エミリー・タムキン筆

2017年5月15日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2017/05/15/chinas-road-german-elections-and-trumps-visitors-the-weekend-behind-the-week-ahead/

 

北朝鮮が再びミサイル発射に忙しくしていた時、中国は、「一帯一路」フォーラムを主催していた。中国の習近平国家主席の提唱した同名の貿易イニシアティヴを中心に会議が開催された。

 

各国の指導者の中には、この中国が開いた外交上の大宴会に欠席した人々もいたが、喜んで参加した人々もいた。インドのナレンダ・モディ首相は欠席した。インドは、一帯一路イニシアティヴについて、国家主権を損なうと主張している。会議に出席したチェコ大統領のミロシュ・ゼマンはロシア大統領ウラジミール・プーティンに対して、ジャーナリストたちは全員追い出すべきだとジョークを言った。プーティンはこれに対して、いや追い出す必要はないが、数は減らすべきだと答えた。また、プーティンはピアノの弾き語りを披露した。

 

ロシアに目を移すと、ソ連時代に建設されたモスクワの高層アパート群の取り壊しに対して多くの人々が抗議のために集まった。抗議に集まった人々はこれまで政治的な活動をしたことなどない人々だ。参加者の中の例外は野党の指導者アレクセイ・ナヴァルニーだ。ナヴァルニーは抗議活動を組織した訳ではなかったが、ナヴァルニーは妻と息子と共に、警察によって抗議活動の中から排除された。

 

ロシアから少し西に目を移すと、エマニュエル・マクロンが正式にフランシス・オランドに代わってフランス大統領に就任した。マクロンは就任演説の中で、公約から後退することなく、大統領としての責務をきちんと実行すると誓った。

 

他のヨーロッパの国の政治ニュースを見てみると、ドイツ首相アンゲラ・メルケル率いる中道右派キリスト教民主同盟(CDU)は、北ライン・ウェストファリア地域での選挙で、マルティン・シュルツ率いる社会民主党(SPD)を破った。社会民主党の首相候補であるシュルツは、この秋に行われる連邦総選挙の前哨戦だと述べていた。彼の主張が正しいとすると、前哨戦の結果はシュルツにとって不吉な結果となった。キリスト教民主同盟の州レヴェルでの勝利は、メルケル時代が続くことを予期させる。さらに注目すべきは、極右政党の「ドイツのための選択肢(AfD)」は16州で行われた州議会選挙のうち、13州で勝利を収めている。

 

ドナルド・トランプにとってはどうだろうか?彼はこれから外国からの賓客を迎える。アブダビのムハマンド・ビン・ザイード・アルニュハヤン皇太子、トルコ大統領レセプ・タイプ・エルドアン、コロンビア大統領ホアン・マニュエル・サントスがホワイトハウスを訪問する。

 

一連の賓客を迎えた後、トランプ大統領は大統領として初めての外国訪問に出発する。イスラエル、サウジアラビア、ヴァティカンを訪問し、シシリー島でのG7、ブリュッセルでのNATO首脳会議に出席する。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)



アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22



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 古村治彦です。

 

 先週、アメリカのドナルド・トランプ大統領はジェイムズ・コミーFBI長官を解任しました。その翌日、ホワイトハウスでロシアのセルゲイ・ラヴロフ外務大臣、セルゲイ・キシリアック駐米ロシア大使と会談を持ちました。この時に、イスラエルから提供された機密情報をロシア側に伝えたということで問題になっています。

 

 トランプとロシア外相らが会談した日、報道陣の前に姿を現したのはヘンリー・キッシンジャー元国務長官です。ホワイトハウスの記者団は、トランプとラヴロフ外相、キシリアック大使が一緒にいるところを取材することは許可されませんでした。そして、事前に通告されていなかったキッシンジャーとトランプが隣り合って座っている場所に招き入れられました。そして、この場でトランプが初めて肉声で、コミー長官解任について語りました。

 

 私はこのお膳立てがとても重要だと考えます。コミーFBI長官は、2月に辞任したマイケル・フリン前大統領国家安全保障問題担当補佐官とロシアとの関係について捜査していました。これは、トランプ選対とロシアとの間にはどれほどの関係があったのか、更には昨年の大統領選挙でロシアが影響を与えて、自分たちに都合が悪いヒラリー・クリントンの当選阻止を行ったのかどうかというところまで行きつく話でした。トランプが捜査に手心を加えるように求めたとするコミーのメモ書きがあるということで、これが大きな問題になると見られています。

 

 コミー解任とロシア外相らとの会談は直接は関係はないでしょうが、結び付けられたら、大きなインパクトになるということはトランプと側近たちも分かっていたでしょうが、敢えてコミー解任を断行したのは、ロシアとの関係を重視する、それは、外交で懸案のシリアと北朝鮮への対処で協力するということを鮮明に打ち出すという意味があったものと思われます。また、キッシンジャーがトランプと一緒にマスコミの前に姿を現したのは、意味があります。それは、トランプがキッシンジャーのリアリズム外交路線を堅持するということを表明することになったからです。

 

トランプと習近平・中国国家主席との首脳会談では、ヘンリー・キッシンジャーの後ろ盾を受けているジャレッド・クシュナーが準備をしていたことが明らかになっています。しかし、クシュナーとロシアとの関係は不明ですし、トランプの親族がロシア側と接触するのは難しいということで、キッシンジャーが直接おみこしをあげて出てきたということが考えられます。

 

 トランプは、ロシアをダシにしてトランプ攻撃をしている民主党やネオコン派に対して、自分は屈しないということを改めて鮮明に打ち出したということが言えると思います。

 

 イスラエルが入手した機密情報をロシア側に漏らしたということが問題視されていますが、これも小さな問題をさも重要な問題であるかのように報道して、トランプ攻撃をしようと主流派メディアの動きでしかありません。機密情報をロシア側に漏らした、と伝えたのは、ワシントン・ポスト紙、後追いで、この機密情報がイスラエルから伝えられたものだった、と報じたのはニューヨーク・タイムズ紙です。両紙ともヒラリー・クリントン支持を鮮明にしていた新聞ですから、トランプ攻撃のためにはどんな手段でも使うということになっています。

 

 両紙はトランプ憎しで、針小棒大な報じ方をしていますが、それが誰を利するかというと、ロシアや中国と衝突することをいとわない、人道的介入主義派(民主党)、ネオコン(共和党)であるということになります。トランプを倒して次に何が来るか、ということを考えない極めて浅はかな行動ということになります。

 

(貼りつけはじめ)

 

キッシンジャーを隣において、トランプはコミー解任について初めて肉声で語る(WATCH: With Kissinger at his side, Trump delivers first in-person response to Comey firing

 

ジョシュア・バラジャス筆

2017年5月10日

PBS

http://www.pbs.org/newshour/rundown/watch-kissinger-side-trump-delivers-first-person-response-comey-firing/

 

ドナルド・トランプ大統領がホワイトハウスでロシア外相と会談を持ったその日、記者団は、トランプが大統領執務室でヘンリー・キッシンジャーと一緒にいる写真を撮影した。この日の前日、トランプはジェイムズ・コミーFBI長官を解任した。

 

記者団によると、記者たちは、ロシア外相セルゲイ・ラヴコフとトランプが一緒にいる写真が撮れるものと思っていたが、実際には、記者団はリチャード・ニクソン大統領の下で国務長官を務めたヘンリー・キッシンジャーとトランプが一緒にいる部屋に招き入れられた。キッシンジャーがいることを記者団は事前に知らされていなかった。

 

トランプは、キッシンジャーと会談を持ち、「ロシアやそのほか様々な問題」について議論したと述べた。

 

記者団からコミー解任の理由を問われ、トランプは次のように語った。「彼はきちんとした仕事をしなかった。ただそれだけのことだ。彼はきちんとした仕事をしなかった」。これが、コミー解任の決断について、トランプが初めて肉声で語った言葉であった。トランプは火曜日の夜から水曜日の朝にかけて、コミー解任について自分の考えをツイートしていた。

 

トランプ大統領は、今日ロシアの外相たちと会談を持つのにあたり、コミーの解任は何か影響するかどうかと質問された。

 

大統領は、「一切何もない」と答えた。

 

トランプは、キッシンジャーについて、「長年にわたる友人だ」としている。2016年の大統領選挙の勝利の直後、トランプはニューヨークでキッシンジャーと会談を持ち、「世界中の事件や問題」について議論した。

 

記者団がトランプとラヴコフが会談をしている様子を見ることは許可されなかった。2人の会談の様子の写真はロシア政府が提供した。写真には、トランプがラヴコフと駐米ロシア大使セルゲイ・キシリアックが会談を持つ様子が写っていた。

 

ホワイトハウスは記者団から会談の様子の取材が出来ないことについての懸念を伝えられたが、これに対して、ホワイトハウスの職員は「ホワイトハウスの公式カメラマン、ロシア側の公式カメラマンがその場にいた。それで良い」と述べた。

 

トランプがコミーを解任した翌日、理由がはっきりしないFBI長官解任の理由について、ジャーナリストと政治家たちが様々な発信をして、解任の詳細を提供している。

 

ホワイトハウスのシーン・スパイサー報道官は、コミー解任についての質問を避けるために、事実を隠ぺいしたという報道もなされた。ロシア外相セルゲイ・ラヴコフはコミー解任について質問され、「彼が解任されたですって?・・・冗談でしょう」と答えた。

 

CBSの特派員が、ロシアのソチでホッケーをしているウラジミール・プーティン大統領が直接取材をし、コミー解任についての感想を求め、米ロ関係に影響があるかどうかと質問した。

 

プーティンは通訳を通じて次のように答えた。「影響はないだろう。あなたの質問は私にとって大変可笑しいものに感じる。このようなことを言って申し訳ないが、怒らないでほしい。私たちには何も関係ない」。

 

プーティンは「トランプ大統領は能力を発揮し、法律と憲法に従って行動している」と述べた。プーティン大統領は「今は、ホッケーファンとホッケーをやるだけだよ」と述べた。

 

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ロシアの情報機関がトランプの機密情報漏えい報道に「激怒」(Israeli intelligence ‘boiling mad’ over Trump disclosure: report

 

マーク・ヘンシュ筆

2017年5月16日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/333670-israeli-intelligence-boiling-mad-at-trump-report

 

トランプ大統領がイスラエルから提供された機密情報をロシアと共有したという報道を受けて、イスラエルの情報・諜報関係者たちは、「激怒し、アメリカ側からの回答を求めている」と報道されている。

 

火曜日、バズフィード誌の取材に対して、イスラエルの情報機関関係者2名は、イスラエルが、イスラム国が飛行機に爆発物を仕掛けたコンピュータを持ち込もうと計画しているという機密情報をアメリカと共有していたことを認めた。

 

イスラエル情報機関の関係者はバズフィードに対して次のように語った。「情報共有の分野で独特なシステムを我が国はアメリカと構築している。我が国は他の国とはそのような関係を持っていない」。

 

「私たちに通報しないで、機密情報を他国と共有するということはどういうことか?これは私たちにとって最悪の恐怖と言うことになる」とこの人物は語った。

 

ニューヨーク・タイムズ紙は月曜日、トランプがロシア外相らに話した高度の機密情報はイスラエルからもたらされたもので、このことは、アメリカの情報機関に勤務する現役職員、並びに元職員が認めている、と報じた。

 

ニューヨーク・タイムズ紙は、ホワイトハウスでのロシア外相とロシア大使との会談中に共有した情報は、イスラム国が関与したテロ攻撃に関するものだと報じた。

 

イスラエルの情報機関とホワイトハウスは、機密情報がイスラエル発であったかどうかについて、肯定、否定両方とも拒絶した。

 

もう1人のイスラエル情報機関関係者は、トランプが機密情報をロシアと共有したことについて、バズフィード誌の取材に対して、「私たちは激怒しており、アメリカ側から誠意ある回答を求めている」と語った。

 

火曜日、米大統領国家安全保障問題担当補佐官H・R・マクマスターは「大統領は、ロシアの外相らとの会談中に、機密情報の情報源と収集方法を傷つけるようなことはしていない」と述べた。

 

マクマスター補佐官はホワイトハウスで記者団に対して、「大統領は情報がどこからもたらされたものか、知らなかった」と述べた。

 

月曜日、ワシントン・ポスト紙は、トランプが先週、ホワイトハウスで会談したロシア外相セルゲイ・ラヴコフと中米ロシア大使セルゲイ・キシリアックに対して機密情報を漏らしたと報じた。

 

トランプの「機密情報」漏えいは、イスラム国内部にアクセスできる情報源との関係を傷つけるリスクが存在する。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)





アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22


 古村治彦です。

 

 アメリカのドナルド・トランプ大統領が、2017年5月9日、ジェイムズ・コミーFBI長官を解任しました。解任の際にトランプ大統領がコミー長官に宛てた書簡では、「司法長官と副長官の助言と勧めを受け入れて」解任すると書かれています。

 

 ジェフ・セッションズ司法長官とロッド・ローゼンスタイン司法副長官の助言による

 

ロッド・ローゼンスタインは司法省生え抜きで、ペンシルヴァニア大学を優等で卒業し、ハーヴァード大学法科大学院に進学し、学内誌『ハーヴァード・ロー・レヴュー』の編集に携わりました。バラク・オバマ大統領もこの雑誌の編集に携わりました。大変優秀な人物で、地区検察官も務めました。

 

FBIは捜査機関で、彼らの捜査した内容で起訴するかどうかを決めるのが司法省です。ですから、司法省は検察の役目を果たしています。ヒラリーのケースでは、FBIのコミー長官がヒラリーについて2016年7月6日に「大変不適切な対応はあったが、起訴するには至らない」という助言と勧めを当時のロレッタ・リンチ司法長官に送り、それが採用される形になりました。その後、2016年10月28日になって、別件(アンソニー・ウェイナー元連邦下院議員[ヒラリーの側近フーマ・アベディンの夫]の事件)で捜査中に、ヒラリーの私的Eメールサーヴァー使用に関して、新たなEメールが発見されたということをコミー長官は議会に報告する形で公表しました。

 

 昨年の大統領選挙では、民主党のヒラリー・クリントン元国務長官が下馬評では圧倒的に有利とされ、トランプは劣勢を強いられていました。7月に不起訴の決定がなされた後、トランプ陣営にもスキャンダルが出て、決定打にはなりませんでした。しかし、10月28日に新たなEメールが発見されたという報道がなされ、これがヒラリー陣営にとっては、後から考えると大打撃となりました。

 

 今回、司法省のジェフ・セッションズ長官、ロッド・ローゼンスタイン副長官は、昨年10月28日のFBIの捜査情報の連邦議会送付と公開を問題にしました。これについて「やってはいけない行為」とし、「それについて悪いと思っていない」という点を問題視し、コミー長官を解任しました。

 

 しかし、考えてみると、コミー長官はやるべきことをやった訳ですし、トランプ陣営からすれば、ある意味で、最大の功労者と言うことができます。また、政権が発足して100日以上経過しての突然の解任、しかも、コミー自身は、解任を出張先のロサンゼルスでテレビの速報で知ったということで、このような解任の仕方は、コミーを辱める行為ですが、トランプ政権は敢えてこれを強行しました。

 

 5月3日の連邦議会での公聴会で、コミー長官が、選挙の結果に影響を及ぼしたと思うと、吐き気がするほどだが、私(たち)は間違っていなかったと発言しました。これが突然の解任のきっかけとなったということでしょう。

 

 ここで考えられるのは、FBIが現在、トランプ陣営とロシアとの関係について捜査を行っているという点に何か関連しての突然の解任ではないかということです。コミー長官が「虎の尾を踏んで」しまって、急きょ解任されたという可能性が考えられます。FBIの捜査に関しては、司法省もホワイトハウスもコントロールすることは建前上はできませんから、ヒラリーの捜査情報を連邦議会に送付したコミーが、同じことを再びやるということも考えられるので、慌てて懲罰的な形で解任したということが考えられます。

 

 また、逆の面から見れば、コミーは、ヒラリー落選の最大の戦犯ということになります。ヒラリー陣営や民主党側は、コミーの首を取りたいと考えています。これを代わりに実行したのがトランプと言うことになります。しかも懲罰的に、です。これは、トランプが、ヒラリーの事件をこれ以上蒸し返して、彼女を犯罪者にはしないというメッセージにもなりますし、民主党にも肯定的なメッセージを送ったことになると考えます。

 

 ジェイムズ・コミーFBI長官はとても苦しい経験をしたと言えます。アメリカの方向性を変えた人物となりました。彼は彼なりに職務を忠実に遂行したと言えますが、政治の空白地帯に落ちてしまい、民主、共和両党、ヒラリー、トランプ両陣営の攻撃対象になってしまいました。この点で、コミーは稀有な存在となりました。理不尽な人間悲喜劇の主人公となってしまったと言った方が良いかもしれません。

 私が最後に思ったのは、これは、連合国総司令官ダグラス・マッカーサーの解任に匹敵するものだということです。FBI長官と言えば、エドガー・J・フーヴァーのように、時の大統領の弱みを握って、長く力を保持することも可能ですが、大統領が解任と決めたら、ただの人になってしまいます。民主政治体制におけるシヴィリアンコントロールと権力の抑制と分立ということを改めて認識させられます。

 

(貼りつけはじめ)

 

●「米大統領、FBI長官を解任=メール問題対応「重大な誤り」―捜査妨害と反発も」

 

時事通信 2017年5月10日

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170510-00000012-jij-n_ame

 

トランプ米大統領は9日、連邦捜査局(FBI)のコミー長官(写真)を解任した。クリントン元国務長官のメール問題に関するコミー氏の判断は「重大な誤り」だったとして司法省が長官交代を進言、大統領も受け入れた

 

 【ワシントン時事】トランプ米大統領は9日、連邦捜査局(FBI)のコミー長官を解任した。

 

 ホワイトハウスによると、先の大統領選中、民主党候補クリントン元国務長官の私用メール問題に関する捜査情報を公表したコミー氏の判断は「重大な誤り」だったとして司法省が長官交代を進言、大統領も受け入れた。

 

 大統領はコミー氏への解任通知で「FBIへの国民の信用と信頼を回復できる新しい指導者を見つけることが不可欠だ」と強調した。ただ、FBIは現在、トランプ陣営とロシア政府が結託してクリントン氏の選挙戦を妨害したのではないかという疑惑を捜査している最中で、民主党を中心に捜査妨害だと反発する声も上がっている。

 

 メール問題を捜査していたコミー氏は昨年75日、異例の記者会見を開いてクリントン氏の不訴追を発表。大統領選が11日後に迫った同1028日には、新しい証拠が見つかったとして連邦議会に捜査再開を通知した。いずれの対応も大統領選に不当な影響を与えたと批判を受けたが、コミー氏は53日の議会公聴会で「今でも正しい選択だったと信じている」と語っていた。

 

 ホワイトハウスによれば、ローゼンスタイン司法副長官はセッションズ司法長官に宛てた覚書で、コミー氏の対応は「検事や捜査官が教科書でしてはならないと教わる典型例」と指摘。「誤りだと認めないことも理解できない」と公聴会での発言も批判した。

 

 これを受け、セッションズ氏は大統領への書簡で「FBIには新鮮なスタートが必要だ」と助言。大統領は声明に「きょうが法執行機関の至宝の新しい始まりだ」と記した。発表に先立って大統領は民主党幹部にも電話し、解任の決断を伝達。これに対し、シューマー上院院内総務は、進行中の捜査が滞りかねないとの観点から「大きな間違いだ」と懸念を伝えた。

 

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●「大統領選への影響「いささか吐き気がする」 FBI長官」

 

BBC News 2017年5月4日

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170504-10001777-bbcv-int

 

米連邦捜査局(FBI)のジェイムズ・コーミー長官は3日、上院司法委員会のFBI監査公聴会で証言し、昨年の大統領選直前にヒラリー・クリントン氏の私用メールサーバー問題について捜査していると公表したことについて、議員たちの追及に答えた。長官は、FBIが選挙結果に影響を与えたかもしれないと思うと「いささか吐き気がする」と述べつつ、今でも正しい判断だったと思っていると述べた。

 

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●「米大統領、FBIを名指し非難=メディアに情報「漏えい」」

 

時事通信 2017年2月25日

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017022500031&g=use

 

 【ワシントン時事】トランプ米大統領は24日、ツイッターに「連邦捜査局(FBI)は、国家安全保障に関わる『漏えい者』を止めることが全くできていない」と書き込んだ。内部情報に基づく報道に関し、組織を名指しして情報管理の甘さを糾弾した。

 

 トランプ氏は、投稿で「機密情報がメディアに渡っており、米国に破壊的な影響を及ぼしかねない」と主張。「今すぐ(漏えい者を)見つけろ!」と調査を求めた。

 

 トランプ政権では、フリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)が就任前に駐米ロシア大使と対ロシア制裁について話していたことが発覚して辞任。トランプ氏は15日の記者会見で、「情報機関から(フリン氏に関する)ペーパーが漏えいした。犯罪行為だ」と非難していた。(2017/02/25-00:40

 

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ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22


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 古村治彦です。

 

 トランプ政権内部の勢力争いが報じられています。そうした中で、そうした争いに関与せずに、自分の責務をこなしているのが、マイク・ペンス副大統領です。

 

 今月中旬からアジア各国を歴訪しています。日本では安倍晋三首相、麻生太郎財務相健副総理と会談を持ちました。麻生大臣とは「経済対話」、economic dialogueという枠組みで、日米間の経済連携を進めるための話し合いをこれからも行っていくと確認しました。ペンス副大統領の訪日には、ウィルバー・ロス商務長官も同行しました。ウィルバー・ロスは、アメリカがシリアに対してミサイル攻撃を行った際に、シチュエーションルームで、トランプの右隣に座っていました。左隣はレックス・ティラーソン国務長官でした。ロスもまた重要な人物です。

 

 ペンス副大統領の堅実さは、トランプ政権にとっての財産である、下に紹介している記事では述べています。ホワイトハウスのレインス・プリーバス大統領首席補佐官と共に連邦議会対策に力を発揮しています。その成果は出ていませんが、連邦議会とのパイプを持っている人物が少ないトランプ政権では大変重要な役割を担っています。

 

 ペンスが次の大党選挙で有力な候補者となる可能性は大変高いと言えます。

 

(貼りつけはじめ)

 

トランプ大統領のホワイトハウスの中でペン副大統領の力が増大している(Vice President Pence’s power grows in Trump’s White House

 

ナイオール・スタネイジ筆

2017年2月16日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/319801-vice-president-pences-power-grows-in-trumps-white-house

 

大統領国家安全保障問題担当補佐官マイケル・フリンが今週、職を辞した。これは、トランプ政権内におけるペンス副大統領の力が増大していることを背景としている。

 

政権関係者は、ペンスの影響力はメディアではあまり取り上げられていないと述べる。メディアは、個性が強いトランプのアドヴァイザーたちに注目している。

 

しかし、フリンの更迭は、フリンがペンスに対して、駐米ロシア大使との電話会談の内容について事実ではない報告をしたことで起きた。この出来事によって、前インディアナ州知事ペンスの影響力は大きいのだということを人々に印象付けることになった。

 

ある政権関係者は匿名を条件に次のように赤裸々に語った。「フリンの更迭によってペンスはその力を見せつけました。副大統領、そして、マイク・ペンスに嘘をつくことはできない、もし、嘘をついたら政権内で生き残ることはできないのだ、ということをはっきり示しました」。

 

フリンはペンスに対して、アメリカの対ロ経済制裁についてセルゲイ・キスリヤクと議論したことはないと明確に否定した。これは真実ではなかった。報道では、この件についてペンスは激怒したということだ。

 

ペンスは嘘をつかれていた。それに加えて、司法省がフリンのロシア側との会見についてトランプ大統領に報告してから数週間も経ってから、ペンスはこのことを聞かされたと報道されている。

 

ペンスに何も知らされていなかったことで、ペンスはトランプ政権内でどれくらいの力を持っているのかという疑問が生じた。

 

しかし、ペンス副大統領をよく知っている人々は、彼とトランプ大統領とのつながりは切れていないと述べている。ペンスはトランプが大塔選挙で苦境に陥った時も忠誠心を持ち続けた。そのために2人の関係は強固なのだ、ということだ。

 

両者はトランプがペンスを副大統領候補に指名するまでお互いのことをよく知らなかった。

 

ペンスは敬虔なキリスト教徒だ。トランプが女性を侮辱する発言が録音されたテープが公開されたときに、大きなショックを受けたと報道された。しかし、公の場で、ペンスは穏やかな姿勢を崩さなかった。しかし、この問題の中でも、そしてその他の様々な問題に直面しても、トランプを熱烈に支持し続けた。

 

ホワイトハウスに入らなかったトランプの支持者のひとりは、ペンスについて、「まったくぐらつかない」と評価した。

 

現在のホワイトハウスはリーク合戦に苦しみ、エゴとエゴのぶつかり合いのために揺れている。ペンスはこうしたことから距離を置いている。

 

ペンス副大統領と、トランプ大統領の首席ストラティジストであるスティーヴン・バノンや、メディアに頻繁に登場するケリアン・コンウェイとの間は、表立って悪化していない。また、大統領首席補佐官レインス・プリーバスとホワイトハウス報道官シーン・スパイサーに対しては政権内部からも細かい批判がなされていているが、ペンスはそうした批判を受けていない。それだけ責務をうまくこなしているのだ。

 

前述のトランプの支持者は、ペンス副大統領が「大きな影響力」を持っている理由として、「ペンスが周囲から認められたいと思っていない」からだと述べている。ペンスは人々の噂話の対象になろうとしてはいないのだ。

 

ホワイトハウス関係者も同じように語っている。

 

この関係者は次のように語る。「大統領執務室にいる人間は全て、スティーヴ・バノン、ケリアン・コンウェイ、ジャレッド・クシュナー(トランプの義理の息子、大統領上級顧問)が何をしているかばかりを気にしている。しかし、ペンスは何も言わずに副大統領としての仕事に取り組み、連邦議会との関係を構築し、ホワイトハンス内部の確固とした基盤となろうとしている」。

 

ニュースマック社CEOでトランプの友人でもあるクリス・ラディは、「トランプの演説や発言から読み取れるのは、トランプが副大統領を大変に尊敬し、政権にとって重要な人物だと考えているということだ」と述べた。

 

ラディは続けて、「もちろん、トランプはそんなことを表立って言わない」と語った。

 

ペンスの副大統領の仕事で重要なものは、連邦議会内で、トランプの政策を進めることだ。ペンスは月曜日に連邦下院の共和党側控室に入り、保守的なハウス・フリーダム・コーカス(連邦下院自由議連)と会談を持った。翌日にはより中道的なチューズデー・グループと会談を持った。

 

一方、長年にわたりペンスの側近を務めたマーク・ショートは、トランプ政権の立法問題部長に就任している。

 

トランプと議会共和党との間では表面上は緊張関係が高まっている。こうした中で、ペンスの役割は両者の間を円滑にすることである。

 

共和党政策委員会委員長ルーク・メッサー連邦下院議員(インディアナ州選出、共和党)は、ペンス副大統領が出馬していた選挙区から連邦下院議員となっている。メッサーはペンス副大統領について、「正直な仲介者だと考えられており、これまでに連邦議会との間で良好な関係を築いている。その人物がどういう人物かを知ることは、長期的に見て、信頼の醸成に役立つ」と述べている。

 

メッサーは更に、「築き上げてきた信頼によって影響力が生まれる」と述べている。

 

大統領選挙でトランプを支持した連邦下院議員リチャード・ハドソン(ノースカロライナ州選出、共和党)もメッサーの主張に同意している。

 

ハドソンは次のように語る。「私たちは彼が影響力を発揮してくれることを希望しています。当然のことですが、最終決定は大統領がします。しかし、私はトランプ大統領がペンス副大統領に助言を求めるようであってほしいと願っています。それは、ペンス大統領がいつも公平だからです。彼は嵐の中でも冷静さを保つ人物です。また、連邦議会ではどのような過程で物事が進められるのかを理解しています。ペンス副大統領はトランプ大統領に、彼の政策を進めるためのより良い助言を与え続けることができます」。

 

オバマケアの代替計画の同意を取り付けるという共和党の立法上の問題をペンスひとりで解決することはできない。トランプの短気さと行き当りばったりは政権と議会を周章狼狽させることになるだろう。

 

しかし、副大統領が安定して堅実に仕事をこなしているという認識を持たれることは、ホワイトハウス内と外において、重要な利点となっている。

 

ペンスはトランプ政権の中で変わっている人物である。彼にはホワイトハウス内ではっきりした敵対者を持たない。これが特異な点だ。取材に答えた人々は、トランプ自身はペンス副大統領の仕事に満足しているようだと異口同音に答えている。また、インディアナ州前知事ペンスは、トランプとショート以外にも、ホワイトハウス法律顧問ドン・マガーンといった政権内の重要な人物たちと深い関係を持っている。

 

ペンスはトランプを上司としているがこれもまた利点なのだ、とあるホワイトハウス関係者は語る。

 

この人物は次のように語っている。「ペンスは副大統領らしい副大統領だ。トランプの世界では、これだけで素晴らしいことだ」。

 

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