古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

タグ:ドナルド・トランプ

 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ大統領と連邦議会共和党が目指していた、オバマケア代替法案(American Health Care Act、AHCA、アメリカン・ヘルス・ケア・アクト)が連邦下院での採決の直前に撤回されました。これで、しばらくの間、オバマケアが健康保険制度として存続することになりました。まず、今回の撤回に関する記事を下に掲載します。お読みください。

 

(貼りつけはじめ)

 

●「オバマケア代替法案、トランプ大統領が採決直前に撤回 公約の目玉で大敗北、何が起きたのか」

 

The Huffington Post  |  執筆者: Jonathan Cohn , Jeffrey Young

投稿日: 20170325 1334 JST 更新: 1時間前

http://www.huffingtonpost.jp/2017/03/24/obamacare_n_15596294.html?ncid=fcbklnkjphpmg00000001

 

 

アメリカ下院の共和党首脳は324日、ドナルド・トランプ政権が成立を目指していた下医療保険制度改革法(オバマケア)の代替法案「アメリカン・ヘルス・ケア・アクト」(AHCA)を撤回した。トランプ大統領は、公約の目玉としてきた医療保険制度改革で敗北を喫したことになる。

 

このニュースを最初に報じたのは、ワシントンポストのロバート・コスタ記者だった。コスタ記者はポール・ライアン下院議長との会談を終えたトランプ氏に直接取材した。

 

トランプ氏は、ライアン氏から法案通過のための賛成票が足りないのは確実だと説明を受け、撤回に合意したと話した。

 

続けて、トランプ氏とライアン氏の両名は、医療保険制度からほかの政策へ、軸足を移す準備はすでに整っているとコメントした。

 

別名「トランプケア」とも呼ばれた代替法案の可決に失敗し、トランプ大統領とライアン下院議長にとって大きな痛手となった。これにより、7年以上にわたって共和党が掲げた公約の中核だった医療保険制度改革の先行きは不透明となる。

 

ライアン氏は記者会見で「非常にわずかな差だったが、必要な賛成票の数に届かなかった」と述べた。「今日は我々にとって失望の日だ」

 

法案を取り下げたことで、議会とホワイトハウスで1週間続いた騒動が収束することとなった。トランプ氏、ライアン氏、さらにAHCAに賛成する議員たちが必死になって、発表から3週間に満たない法案への支持票を取りまとめようと動いていた。トランプ氏たちは猛スピードで法案を可決させようとしていた。

 

トランプ氏が下院に対し最後通告を出してから、24時間もたたないうちに廃案となった。トランプ氏と共和党首脳はそろって、最重要政策と位置づけたAHCAへの賛成を求めていた。さらに、可決を拒否すればAHCAが成立しないまま、他の政策課題に取り組まざるを得なくなると脅しをかけていた。

 

トランプ氏の要求は、政治取引として大胆で瀬戸際的なものだった。反対派の共和党議員に揺さぶりをかけ、取り込む狙いがあった。

 

しかしその作戦は、見るも無残な失敗に終わった。

 

オバマケアが導入されて、およそ2000万人が健康保険に加入した。今回の法案撤回で、オバマケアが存続する見込みはトランプ氏の当選以来最も高くなった。トランプ氏の当選時点では、撤廃は避けられないと見られていた。

 

「アメリカは当分の間、オバマケアの下でやっていくことになりそうだ」と、ライアン氏も認めた。

 

 

共和党案が可決されたとしたら、どうなっていたか

 

「アメリカン・ヘルスケア・アクト」とは「アフォーダブル・ケア・アクト」に対する共和党の代替案だ。成立したらほぼ間違いなく、アメリカ史上類を見ない社会福祉制度の後退につながっていただろう。

 

オバマケアの下で実施されたメディケイドの受給要件緩和がストップし、メディケイドプログラムのさらなる拡充を図るための財源も削減されることになっていた。保険の適用範囲を広げるよう定めた規制も緩和されていた。さらに、低所得で高額の保険料に悩む人々に対する補助金を減らし、それなのに比較的裕福な層が、かなりの額の補助金を新しく受給できる仕組みになっていた。

 

法案が可決されていたとすると、さらに大きな変化も起こっただろう。たとえば、評判の悪い、健康保険に加入しない人に対して罰金を科す「個人強制保険」は廃止するとされていた。さらに政府が法の下、保険適用範囲を拡大するために使う富裕層や医療関連企業に課していた新税も、オバアケア以前に逆戻りする内容だ。

 

トランプ大統領は、2016年の選挙期間中から大統領就任当初まで、オバマケアを廃止するだけでなく、「素晴らしい医療制度」と「国民全員のための保険」を代わりに作ると約束していた。しかし議会予算局(CBO)が共和党の草案を分析したところ、今後10年にわたって無保険者が2400万人に増え、2018年だけでも1400万人にのぼることが分かった。

 

議会予算局は報告書の中で、財政支出を削減すれば連邦政府の赤字が減り、個人で保険に加入する人たちの平均保険料は他の方法よりも安くなると予測した。しかし、この安い保険料は高齢者や病気の人がいることで成り立つものだ。なぜなら、保険会社はこうした人たちから高額な保険料を取っているにもかかわらず、市場に出回るプランの保障金額は非常に少ないケースが多くなるからだ。

 

 

共和党指導部が賛成票を集めきれなかった理由

 

議会予算局が先週初めに調査結果を公表すると、委員会採決を難なく通過させた時のような、代替法案を支持する動きが止まった。トランプ政権の高官と下院共和党が、下院本会議での審議の準備作業を始めるとすぐに、法案通過に十分な賛成が得られないことに気づいた。

 

共和党首脳は繰り返し、今回の代替法案は、共和党がオバマケアを撤廃する絶好のチャンスになると説得した。しかし共和党議員を取り込む作戦は失敗に終わった。理由はさまざまだが、共和党首脳は、利害関係が大きく異なる2つの共和党内グループと交渉したことも要因の1つに挙げられる。

 

「下院自由議員連盟」に代表される保守派グループたちはオバマケアの完全撤廃を求めており、代替法案にオバマケアの条項が一部そのまま残ることに不満を示した。保守派は、規制を撤廃しなければ保険料が下がることはないと譲らなかった。ただし、オバマケアによる規制と実際の保険料の高騰との間の関連性ははっきりしていない。

 

支持層が民主党寄りの州や、オバマケアの資金をメディケイド拡大に利用してきた州から選出された議員が中核となっている穏健派グループ「チューズデー・グループ」は、AHCAで大量の無保険者が生まれることを恐れた。そして、AHCAによって実際に保険料が下がったとしても、それが保険加入者の自己負担増で賄われるのではないかと懸念した。

 

端的に言えば、AHCAに関して、保守派はオバマケアの撤廃が不十分になることを恐れ、穏健派は影響が極端に大きくなることを恐れた。共和党内のあるグループから合意を得ようと共和党首脳が努力すればするほど、もう別のグループの反発を招く結果となった。

 

事態をさらに悪化させたのは、共和党が今回の議会手続きを「財政調整法」の規定で可決させようとしたことだ。これは、審議のスピードを速めるため単純過半数で法案を可決できるよう、民主党からフィリバスター(長時間演説)などの議事妨害を受けることなく共和党が上院で法案を通すことのできる緊急プロセスだ。

 

財政調整法の規定によると、このプロセスで調整できるのは、連邦予算に直接的な影響のある条項に限られている。そのため、共和党保守派が求めていた保険の補償対象に関する規則の撤廃など、規制変更の多くは除外される可能性がある。こうした規則には、予算支出を削減するための立法措置が改めて必要になる。

 

そして何よりも、共和党は日に日に高まる一般世論からの懸念に直面していた。複数の世論調査によると、AHCAに対する支持率は極めて低く、共和党が刷新を望み、保守派の間では軽蔑の対象となっていたオバマケアの人気が高まっていた。

 

採決直前になって、トランプ大統領と共和党首脳は、メンタルヘルスや産科での治療などあらゆる医療保険プランに保険適用を義務付ける「エッセンシャル・ヘルス・ベネフィット」(基本的医療給付)を除外し、こうした医療費のみを対象とする特別な基金を設ける形で法案を修正することで合意した。専門家からは、こうした変更によって健康保険市場が劇的に変化してしまう可能性があると警告した。保険会社が適用範囲を狭めた保険を提供するようになると、広範囲の医療サービスに適用される保険を見つけるのは困難になるからだ。

 

保険の補償範囲と連邦予算に関する変更の詳細は明らかにされていない。なぜなら、採決を急いだ共和党首脳が、議会予算局にこの変更による影響を分析する時間的余裕を与えなかったからだ。実際、323日の夕方まで、共和党首脳がこの変更内容を公表しなかった。

 

しかし、最終的には法案成立に向けた共和党首脳の努力は水泡に帰した。共和党首脳は、AHCA反対で一致した民主党を抑え込むために、「下院自由議員連盟」と「チューズデー・グループ」という2つのグループから十分な賛成票を引き出すための法案を提示できなかった。

 

「この法案は提案当初から間違いだらけだった」と、ジャスティン・アマシュ下院議員(共和党)は24日、ハフィントンポストUS版に語った。「責任ある行動とは、法律成立に向けて努力し続けることなんです。失敗したときに私はどうすればいいのかというと、やりつづけることなんです」

 

 

なぜ医療問題に関する論争は決着しないのか

 

今起こっていることに関係なく、医療保険制度は今後も論争の的となる可能性が高い。

 

オバマケアは歴史的な進歩だ。保険に加入していないアメリカ人の数を著しく減らし、医療サービスの利用が改善され、経済的な負担軽減を支えている。しかし、保険サービスに不満を持つ人も非常に多く、また、新たに規制を受けた保険市場が苦戦を強いられている州もある。ますます高騰する保険料、そして財務上の損失を受けて掛け金を引き上げている保険会社の影響だ。

 

オバマ政権は初期段階で、新制度を作って普及させることに莫大な労力を費やし、また問題が発生する度に改善に力を尽くした。現在、この市場を管理する責任はトランプ政権にあるが、政権の意図ははっきりしない。

 

トランプ氏はかつて、「政治的に言えば、共和党がとれる一番簡単な手段は、手を引いて、そのままシステムを運用させることだ」と繰り返し語っていた。「そうすれば制度は完全に崩壊する」と、トランプ氏は予測している。

 

(貼りつけ終わり)

 

 今回の法案では加入義務や罰則を廃止し、加入促進のための補助金を止めるという内容になっていました。共和党強硬派が「アメリカン・ヘルス・ケア・アクトは中途半端だ、生ぬるい、オバマケアの完全な撤廃ではない」と主張し、強硬に反対しました。また、共和党穏健派は「無保険者の数が増える」「選挙区の事情(自分の選挙区ではヒラリーが勝った)があるので、この法案では過激すぎて有権者から嫌われる」として反対者が出ました。また、民主党は、強大な敵に立ち向かうという心情もあり、一糸乱れず、反対となりました。

 

 取りまとめに奔走した連邦下院のポール・ライアン議長(ウィスコンシン州選出、共和党)には大きなダメージとなりました。そして、トランプ大統領の政策を共和党が止める力を持っていることが明らかになりました。

 

 今回、最後の場面で、連邦下院共和党の強硬派で作るグループであるフリーダム・コーカスのメンバーとトランプ大統領が会談を持ちながら、決裂という結果になりました。私はこうした交渉ごとは、共和党全国委員長をしていたレインス・プリーバス大統領首席補佐官や連邦下院議員を長く務め、元同僚も多いマイク・ペンス副大統領がするものと思っていましたが、彼らの存在は全くありませんでした。

 

 プリーバスはライアンと同じウィスコンシン州選出でまだ若く、連邦議員出馬という噂(ライアンをけん制するためにトランプ周辺から出されているかもしれません)もあります。また、ペンスはその手堅さや実直なイメージが受けて、次の2020年米大統領選挙の共和党候補でまず名前が挙がる人物となっています。彼らは、ダメージになりそうなことを巧妙に避けたということが考えられます。

 

 今回のオバマケア撤回法案で低所得者層を中心に無保険者が2000万人以上出るという研究結果も出ていました。この低所得者層が昨年の米大統領選挙でトランプに投票した訳ですが、トランプはこの人たちを裏切るような法案を提出したことになります。しかし、結局、議会共和党一部の反対にあったためにオバマケア存続ということになりました。私は、トランプはこのことを狙っていたのではないかと思います。トランプは土壇場で「早く採決して欲しい、ダメでもオバマケアがある」という発言をし、ライアン議長をせかしているようでした。これは、本当はオバマケアが良いのだけど、まさかそんなことも言えないから、反対させて、そのまま存続させようということなのではないかと対深読みをしたくなりました。

 

 今回、連邦議会共和党が大変に強硬であったのは、「おカネにつられた」ためです。私が翻訳しました『アメリカの真の支配者 コーク一族』(ダニエル・シュルマン著、講談社、2015年)の主人公であるチャールズ・コーク、デイヴィッド・コークのコーク兄弟がトランプにダメージを与えようとして、「撤回法案に反対した政治家の選挙資金の面倒を見る」と発表していました。以下の記事をご覧ください。

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 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ政権が国家予算を発表し、国務省とUSAIDの予算を大幅に削減し(30%の削減)、国防費を540億ドル増加させました。これについては、批判の声が多く挙がっています。しかし、私はこれを当然のことで、大変喜ばしいことだと考えています。

 

 2011年のアラブの春から始まった中東の不安定な状況は、ムアンマール・カダフィ大佐の殺害、ベンガジ事件へと発展し、シリア内戦、シリアとイラク国内でのISの勃興というところまで悪化しています。また、ウクライナを巡る西欧とロシアの対立ですが、これはウクライナ国内の歴史的に複雑な問題とも相まって、こじれてしまいました。アメリカはロシアを非難し、制裁を課していますが、トランプ大統領は選挙戦期間中から、ロシアのウラジミール・プーティン大統領を賞賛し、ロシアとの関係改善を主張しています。また、中国に対しては厳しい言葉遣いをしていますが、貿易戦争をやる気はなく、また、北朝鮮は中国の問題だとしています。

 

現在の世界の不安定要因が発生した原因は、端的に言って、アメリカの対外政策の失敗が理由です。特に、共和党のネオコン、民主党の人道的介入派がアメリカ外交を牛耳ってきた結果、現在の状況にまでなってしまいました。こうしたことは拙著『アメリカ政治の秘密』で明らかにしましたので、是非お読みください。
 

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 古村治彦です。

 

 昨年12月から今年1月にかけて、新しい米国駐日大使として、ウィリアム・F・ハガティ(William F. Hagerty)の名前が出ていました。いよいよハガティがアメリカ連邦上院の承認を受けて正式に就任し、日本にやってきます。

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ウィリアム・ハガティ

 

 ハガティは1960年生まれで、地元テネシー州のヴァンダービルト大学を卒業しています。そして、同大学のロースクール(法科大学院)を修了しています。アメリカの鉄道王ヴァンダービルト家の寄付で創設された名門大学です。卒業後に有名なコンサルティング会社であるボストン・コンサルティングに入社し、日本に3年間駐在したことで、日本と縁が出来ました。

 

 1988年からのジョージ・H・W・ブッシュ政権ではホワイトハウスのスタッフとなり、経済と貿易政策を担当しました。その後、地元に戻り、投資会社ハガティ・ピーターソン社を設立しました。また、テネシー州経済開発局長となり、外国企業の誘致も行いました。以下の記事によると、日産とブリジストンが誘致によってテネシー州に進出したそうです。

 

(貼りつけはじめ)

 

Tokyo approves of Trump-picked Hagerty as next U.S. ambassador

 

Kyodo

 

The Japan Times

Mar 14, 2017

http://www.japantimes.co.jp/news/2017/03/14/national/politics-diplomacy/tokyo-approves-trump-picked-hagerty-next-u-s-ambassador/#.WMd_SWdBpaT

 

WASHINGTON – The United States has gained approval by Japan of President Donald Trump’s pick of William Hagerty as the next ambassador to Tokyo, sources familiar with bilateral relations said Monday.

 

Tokyo’s consent will pave the way for Trump to announce his nomination of Hagerty, 57, in the near future. Hagerty is expected to assume the post following Senate approval, succeeding Caroline Kennedy.

 

Hagerty is expected to handle a host of bilateral issues, ranging from the Trump administration’s calls for the further opening of Japan’s automobile and agriculture markets to the stalled relocation of a U.S. military base’s operations within Okinawa.

 

He has built ties with Japan through a three-year posting to Tokyo while working for the Boston Consulting Group, as well as his work as commissioner of economic development for Tennessee, assisting operations in his home state by Japanese companies, including Nissan Motor Co. and Bridgestone Corp.

 

Hagerty is said to have close ties with the Republican establishment, partly because he worked for the 2012 presidential campaign of Republican nominee Mitt Romney.

 

(貼りつけ終わり)

 

 ハガティは、2016年の米大統領選挙ではジェブ・ブッシュを支持していましたが、共和党全国大会以降はトランプを支持しました。そして、ドナルド・トランプが大統領選挙に当選後、政権移行ティームの人事担当となり、閣僚やスタッフの候補者たちを数百人面接したということです。


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安倍晋三首相とジェイムズ・アワー

 

 ハガティで注目すべきはヴァンダービルト大学を巡る人脈です。ヴァンダービルト大学には、ジャパン・ハンドラーズの1人でありジェイムズ・アワー教授がいます。ジェイムズ・アワーは1963年にマーケット大学(ウィスコンシン州)を卒業後、米海軍に入隊し、佐世保に赴任します。その後、1968年にボストンにあるタフツ大学フレッチャー記念法律外交大学院(フレッチャースクール)の博士課程に入学します。ボストンにあるハーヴァード大学、マサチューセッツ工科大学、タフツ大学は名門校同士で、教授や学生たちの交流が盛んなことで知られています。

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 ヴァンダービルト大学
 

 アワーはハーヴァード大学教授だったエドウィン・O・ライシャワーの勧めもあって、日本の海上自衛隊の研究で博士号を取得します。博士論文(「日本海上兵力の戦後の再軍備194571年」)は、『よみがえる日本海軍』(妹尾 作太男訳、時事通信社)として日本でも出版されました。その後、在日米海軍司令官付政治顧問、横須賀基地所属ミサイル・フリゲート艦長などを歴任し、1983年に海軍を退役し、国防総省勤務となりました。国防総省では、日本部長や国防次官特別補佐官を歴任し、1988年に国防総省を退官し、ヴァンダービルト大学教授となりました。ヴァンダービルト大学でアワーの薫陶を受けた人物には、長島昭久衆議院議員(民進党)がいます。長島代議士は防衛政策に造詣が深いことで知られています。

 

 1990年代からテネシーを拠点としていたハガティとアワーは日本とのつながりも深いということで、よく知っている仲であると言えましょう。ハガティは日本政界での人脈はそこまで広くないでしょうから、その点でアワーの人脈や影響力を頼りにするのだろうと思います。この点で、ジャパン・ハンドラーズの中で、ジェイムズ・アワーの存在感は大きくなるのだろうと考えます。

 

(終わり)













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 古村治彦です。

 

 本日、アメリカのドナルド・トランプ政権が軍事予算を10%(約6兆円)も像が屈するという方針であることが報道されました。「アメリカが軍拡競争に参加して、最悪の場合には戦争になる」という懸念を示す論調が見られます。以下にその記事を貼ります。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「トランプ大統領 国防費10%増額の方針明らかに」

 

NHK

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http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170228/k10010892411000.html

 

アメリカのトランプ大統領は新政権として初めて示す2018年度の予算の編成方針について、公共の安全と安全保障を重視するとして国防費を大幅に増やす一方、その増加分をほかの省庁の予算の節約などで賄う方針を明らかにしました。政府高官は国防費の増加は前の年度と比べて10%、日本円で6兆円になるとしています。

 

アメリカのトランプ大統領は27日、ホワイトハウスで開いた全米の州知事との会合で、新政権として初めて、来月、議会に示す2018年度の政府予算の編成方針「予算教書」に言及しました。

 

この中で、トランプ大統領は「公共の安全と安全保障を基礎にした非常に強力な予算になる。消耗した軍を再建するため国防費を歴史的に増やす」と述べました。一方で、「増加分は連邦政府全般の大幅な節約と効率化を図ることにより相殺されるだろう」と述べ、国防費の増加分をほかの省庁の予算を減らして賄う考えを示しました。

 

アメリカの国防費は2017年度では海外での対テロ軍事作戦など臨時の費用を除いた予算の総額がおよそ5500億ドル(日本円にして60兆円余り)で、政府高官は2018年度の増加分は前の年度と比べて10%(日本円で6兆円)になるとしています。

 

大統領が示す予算教書は、10月から始まる次の会計年度に向けて、予算配分の権限を持つ議会に対する政府の要求をまとめたもので、トランプ大統領として、これまで主張してきたアメリカの軍事力の強化を目指す方針を改めて打ち出したかたちです。

 

(貼り付け終わり)

 

 アメリカの軍事費は、現在のところ、大体6000億ドル(約66兆円)くらいという大変巨額なものです。軍事費の世界第2位から第10位(バーニー・サンダース連邦上院議員によれば第12位)までの国の軍事費を全部足しても、アメリカの軍事費よりも少ないのです。

 

 下にアメリカの軍事費と国家予算に関する表を掲載します。これによると、アメリカの軍事予算は国家予算の16%から約22%を占めるものとなっています。現在の日本は5%から6%で、総額は世界のトップ10に入ります。約5兆円という数字は、アメリカの10分の1以下の数字です。戦前の日本では軍事費が国家予算に占める割は低い時でも約17%、太平洋戦争末期には85%に達しました。大体30%台といったところでした。

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アメリカの軍事費の総額は増加傾向にあります。ブッシュ政権であった2001年から2008年で、335億ドルから696億ドルまで増えています。これはテロとの戦いとしてアフガニスタンとイラクに侵攻したことが影響しています。その後、オバマ政権でも最初の数年間は増えていますが、2013年に10%の大幅なカットが行われています。その後は微増です。

 

 

 今回10%の増額ということになりますが、これは、上に掲載している表で言えば、2012年の段階にほぼ戻すということになります。これについて、昨年、『フォーブス』誌に掲載されていた記事に書いてあったことを思い出したので、以下に貼り付けます。

 

 以下の記事は昨年の11月の大統領選挙直前に出された記事で、トランプ大統領になれば軍事費は1兆ドル(約113兆円)にまで増大するという内容のものです。

 

 この記事のことを覚えていたのは、トランプがどのような予算を組むのかという予測をしている専門家たちの談話が紹介されており、その内容が重要だと思ったからです。この談話では、「トランプの防衛政策の多くはヘリテージ財団の提案が受け入れられている。そして、防衛費について2012年度のレヴェル(これはゲイツ予算[2006年から2011年まで国防長官を務めたロバート・ゲイツにちなむ])にまで戻すことをヘリテージ財団は提案している」と言われていました。

 

 このブログでもご紹介しましたが、昨年の8月、ヘリテージ財団がトランプ政権発足後に実務を行う人材を募集しているという記事が出ました。今回の軍事費増額では、ヘリテージ財団系の人材が動いたことが考えられます。

 

(貼り付けはじめ)

 

President Trump Is Likely To Boost U.S. Military Spending By $500 Billion To $1 Trillion

 

Charles Tiefer ,   CONTRIBUTOR

NOV 9, 2016 @ 02:39

Forbes

https://www.forbes.com/sites/charlestiefer/2016/11/09/president-trump-is-likely-to-boost-u-s-military-spending-by-500-billion-to-1-trillion/#ff1fb9d60249

https://www.forbes.com/sites/charlestiefer/2016/11/09/president-trump-is-likely-to-boost-u-s-military-spending-by-500-billion-to-1-trillion/2/#100467a0715e

 

Republican presidential candidate Donald Trump addresses supporters during a campaign rally in Cleveland, Ohio on October 22, 2016. JAY LAPRETE/AFP/Getty Images

 

President-elect Donald Trump believes the the Obama administration has weakened the American military. He campaigned on a promise of greater security, particularly against terrorism; although the vast majority of military spending has nothing to do with anti-terrorism activities, that should translate into a whole lot of military spending, especially when coupled with the Reagan-legacy view of Trump’s party that defense spending is the most legitimate form of spending to stimulate the economy.

 

In his campaign, Trump called for 90,000 more Army soldiers, a 350-ship Navy, 100 more fighters, and strengthened nuclear and missile defenses. That sounds like detail, but it leaves out quite a bit.

 

The best pre-election analysis of the expected Trump budget came from William Hartung, a veteran and insightful analyst, who is at the Center for International Policy, drawing on Ross Harrison of the Center for Strategic and International Studies:

 

“What we do know is that Trump has been drawing many of his defense proposals from the National Defense Panel and the Heritage Foundation. Both of these organizations have advocated for returning the defense budget to the levels proposed in the FY 2012 budget request (the so-called Gates budget). Without any other details from the Trump campaign, I think this is a good ballpark estimate for what Trump is aiming for in terms of the defense budget. The FY 2012 request is about $800-900B higher over ten years than the most recent president’s budget request.”

 

The call for a 350-ship Navy gives a concrete clue. Cost figures on such a naval buildup are elusive. However, the Congressional Research Service (CRS) has compiled studies of the different kinds of ships in a 350-ship navy. They don't come cheap.

 

There would be increased spending on aircraft carriers and a big increase in attack submarines. In December 2008, the Navy signed a $14 billion contract with General Dynamics and Northrop Grumman to supply eight Virginia-class attack submarines. In round figures they might cost, in years to come, at least $2 billion apiece. The CRS study said that going to a 350-ship navy would mean 11 more of these. That’s $22 billion just on these subs. Congressional hawks – numerous and powerful – will pressure Trump to go that way.

 

And, Congress will be filling out, not cutting back, the Trump defense budget. Obama used his veto to balance defense and domestic spending.  That balance is dead. Moreover, there is bipartisan support for big defense spending. So in the Senate, while there might be a unified Democratic filibuster on some kinds of extreme domestic legislation, there would not be one in opposition to defense spending. The Armed Services Committees basically will have freedom for a massive spending spree.

 

Buckle your belts for a steep climb of defense spending. My rough estimate is it means an additional $500 billion to $1 trillion.

 

(貼り付け終わり)

 

 しかし、今回の軍事費増額についてはもっと冷静に、また裏の意図を読み取らなければなりません。それは、「軍事力強化で戦争を行うというものではなく、外国への介入を止めて、より財源を軍隊に持っていき、人々を雇用し、アメリカ製の武器を購入するという公共事業を行う」というものです。

 

 下に、ロイター通信の記事を貼りました。この記事によると、今回の軍事費6030億ドルは前年の5840億ドルから3%の増額に過ぎず、これにインフレ率2.5%を考慮すると、増額は微増ということになります。また、ここで重要なのは、国務省の予算を30パーセント減らすということです。

 

 国務省の予算は年間500億ドル(約5兆5000億円)ですので、この30%というと、150億ドルになります。私は、これに加えて、米国国際開発庁(USAID)の予算である272億ドル(約3兆円)からも大幅に削減されると考えます。なぜなら、USAIDは、国務省と表裏一体の関係となって、アメリカの海外援助を取り仕切っていますが、これら2つの政府機関は、アメリカの外国介入の尖兵となっています。このことは、拙著『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所、2012年)に詳しく書きましたので、是非お読みください。

 

 トランプは、先ほどの施政方針演説で「私の仕事は世界を代表することではなく、アメリカを代表することだ」と述べました。これは、アイソレーショニズム(国内問題解決優先主義)宣言です。その一環で、予算の組み替えを行い、介入主義の政策に使われる国務省(とUSAID)の予算を削り、軍隊に回す(これも一種の公共事業)としているのです。

 

(貼りつけはじめ)

 

Politics | Mon Feb 27, 2017 | 8:36pm EST

Trump seeks 'historic' U.S. military spending boost, domestic cuts

 

By Steve Holland | WASHINGTON

Reuters

http://www.reuters.com/article/us-usa-trump-budget-idUSKBN1661R2

 

President Donald Trump is seeking what he called a "historic" increase in defense spending, but ran into immediate opposition from Republicans in Congress who must approve his plan and said it was not enough to meet the military's needs.

 

The proposed rise in the Pentagon budget to $603 billion comes as the United States has wound down major wars in Iraq and Afghanistan and remains the world's strongest military power.

 

The plan came under fire from Democratic lawmakers, who said cuts being proposed to pay for the additional military spending would cripple important domestic programs such as environmental protection and education.

 

A White House budget official, who outlined the plan on a conference call with reporters, said the administration would propose "increasing defense by $54 billion or 10 percent." That represents the magnitude of the increase over budget caps Congress put in place in 2011.

 

But Mick Mulvaney, the White House budget director, said the plan would bring the Pentagon's budget to $603 billion in total, just 3 percent more than the $584 billion the agency spent in the most recent fiscal year, which ended on Sept. 30, 2016.

 

The rise would be slightly higher than the country's current 2.5 percent rate of inflation.

 

"President Trump intends to submit a defense budget that is a mere 3 percent above President (Barack) Obama’s defense budget, which has left our military underfunded, undersized, and unready to confront threats to our national security," John McCain, the Republican chairman of the Senate Armed Services Committee, said in a statement.

 

The defense boost would be balanced by slashing the same amount from non-defense spending, including a large reduction in foreign aid, the White House budget official said.

 

Trump does not have the final say on federal spending. His plan for the military is part of a budget proposal to Congress, which, although it is controlled by his fellow Republicans, will not necessarily follow his plans. Budget negotiations with lawmakers can take months.

 

McCain told reporters he would not vote for a budget with the slight military increase and thought it would face opposition in the Senate.

 

Trump told state governors at the White House his budget plan included a "historic increase in defense spending to rebuild the depleted military of the United States of America."

 

He said his proposal was a "landmark event" and would send a message of "American strength, security and resolve" to other countries.

 

BIG CUTS TO STATE DEPARTMENT

 

Officials familiar with Trump's budget blueprint said the plan would call for cuts to agencies including the State Department and the Environmental Protection Agency.

 

One official familiar with discussions over State's budget said the agency could see spending cut by as much as 30 percent, which would force a major department restructuring and elimination of programs.

 

The United States spends about $50 billion annually on the State Department and foreign assistance.

 

More than 120 retired U.S. generals and admirals urged Congress on Monday to fully fund U.S. diplomacy and foreign aid, saying such programs "are critical to keeping America safe."

 

Trump has vowed to spare middle-class social programs such as Social Security and Medicare from any cuts.

 

Nancy Pelosi, the top Democrat in the House of Representatives, said Trump’s plan to slash funding for federal agencies to free up money for the Pentagon showed he was not putting American working families first.

 

"A $54 billion cut will do far-reaching and long-lasting damage to our ability to meet the needs of the American people and win the jobs of the future," Pelosi said. "The president is surrendering America’s leadership in innovation, education, science and clean energy."

 

SHORING UP 'CHOKE POINTS'

 

An official familiar with the proposal said Trump's request for the Pentagon included more money for shipbuilding, military aircraft and establishing "a more robust presence in key international waterways and choke points" such as the Strait of Hormuz and South China Sea.

 

That could put Washington at odds with Iran and China. The United States already has the world's most powerful fighting force and it spends far more than any other country on defense.

 

About one-sixth of the federal budget goes to military spending.

 

Trump has said previously he would expand the Army to 540,000 active-duty troops from its current 480,000, increase the Marine Corps to 36 battalions from 23 – or as many as 10,000 more Marines – boost the Navy to 350 ships and submarines from 276, and raise the number of Air Force tactical aircraft to 1,200 from 1,100.

 

He has not said where he would place the extra hardware and forces or made clear what they would be used for. The United States has been shutting some of its military bases in recent years.

 

Trump has also said he would bolster the development of missile defenses and cyber capabilities. Last week, he told Reuters the United States had "fallen behind on nuclear weapon capacity." He pledged to ensure that "we're going to be at the top of the pack."

 

(Additional reporting by Tim Ahmann, Doina Chiacu, Andy Sullivan, Idrees Ali, David Alexander, and Patricia Zengerle; Writing by Alistair Bell and Lisa Lambert; Editing by Nick Tattersall and Peter Cooney)

 

(貼りつけ終わり)

 

 このように読み解くと、トランプは決して戦争をしようとしているのではないということが分かります。

 

 また、トランプは、アメリカが抱えるアメリカの財政赤字、政府債務を何とかしたいと考えています。しかし、これが4年間(8年間)ですべてを帳消しにできる額ではありません。アメリカの連邦政府だけで20兆ドル(約2260兆円)も借金を抱えています。これに各州政府が発行している州債などを含むと、アメリカ全体の債務は20兆ドルの何倍になるか分かりません。5倍となると100兆ドル、約1京円という数字になります。

 

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●「「財政はめちゃくちゃ」=巨額債務に不満-トランプ米大統領」

 

時事通信

2017年2月23日

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017022300338&g=use

 

 【ワシントン時事】トランプ米大統領は22日、ホワイトハウスで行われた予算に関する会議の冒頭で「われわれが引き継いだ予算、米国の財政はめちゃくちゃだ」と語り、20兆ドル(約2260兆円)近い米国の債務に不満を漏らした。自らが取り組む大統領専用機や最新鋭戦闘機の値下げ交渉などで、歳出抑制に努める意向も示した。

潜水艦も値下げ迫る=軍備増強もコスト削減意欲-米大統領

 

 トランプ氏は「米国の債務は過去8年間に2倍に増えた」と指摘。その上で、優先順位を付けて政策を進めることが重要とし、「もう浪費できない。注意深く金を使っていく」と強調した。会議にはムニューシン財務長官らが出席した。

 

 トランプ氏の交渉により、最新鋭ステルス戦闘機F35は当初価格から15%程度安くなる見通し。一方、米メディアはトランプ氏が就任後1カ月弱で、フロリダ州の別荘への移動で1000万ドルの税金を使ったと分析。この金額はオバマ前大統領在任中の旅費の10カ月分に相当するとみられる。

 

 一方、スパイサー大統領報道官は22日の記者会見で、大統領の2018会計年度(17年10月~18年9月)予算教書の議会への提出が3月半ばになることを明らかにした。(2017/02/23-12:22

 

(貼り付け終わり)

 

 このアメリカの国債を買い支えているのが日本とアメリカです。以下の表をご覧ください。2016年末の段階で、日本は1兆908億ドル(約123兆2600億円)のアメリカの国債を保有しています。中国はそれより少し少ない1兆584億ドルを保有しています。日本だけでアメリカ連邦政府の借金の5%以上を占めていることになります。普通、これだけお金を貸してあげたら、借りている方からは丁寧に扱われるはずですが、「もっと払え、もっと出せ」と苛められている始末です。


majorforeignholdingsoftreasurysecuriteis001

 

 アメリカ政府はこの2000兆円ものをどうするか、少々インフレにしたり、ちまちま減らしていったり返済できるものではありません。ですから、借金を返せないと踏み倒すか、戦争で全てをうやむやにしてしまうしかありません。この時、一番に被害を蒙るのは日本です。ですから、そうならないために、アメリカの国債保有額を少なくしテイク実用があります。そのために、トランプと「交渉」せねばなりません。しかし、連日の国会でしどろもどろかつ、訳の分からないことを口走る安倍晋三首相にはできないことでしょう。ですから、私たちは立派な政治家を押し上げて指導者にしなければなりません。

 

(終わり)













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 古村治彦です。

 

 アメリカのトランプ政権の対北朝鮮に対する対応から、アメリカ外交の二元性、ホワイトハウスと国務省が綱引きをしているのだということを書いてみたいと思います。

 

 安倍首相のアメリカ訪問中、北朝鮮はミサイルを発射しました。これに対して、トランプ大統領と安倍首相は緊急で記者会見を行い、北朝鮮のミサイル発射を非難しました(安倍首相が世界の政治の中で重要な役割を果たしているような姿に見えるように北朝鮮が演出をしてくれたように見えます)。その後、北朝鮮の故金正日氏の長男・金正男氏がマレーシアのクアラルンプール空港で毒殺されるという事件も起きました。

 

 そうした中で、トランプ大統領の北朝鮮に対する態度を示す以下のような記事が出ました。

 

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●「トランプ氏、対北朝鮮「中国は影響力を」 核増強も表明」

 

ワシントン=峯村健司

20172240908

朝日新聞

http://www.asahi.com/articles/ASK2S254GK2SUHBI00P.html

 

トランプ米大統領は23日、ロイター通信のインタビューに応じ、北朝鮮の新型弾道ミサイル発射について「強い憤りを感じる」と非難し、日本と韓国へのミサイル防衛システムの配備を急ぐ考えを示した。また、米国は核戦力を増強していくことも表明した。

 

    特集:ドナルド・トランプ

 

 トランプ氏は、北朝鮮による核やミサイルを使った挑発行為をやめさせるには、北朝鮮と関係が深い中国の役割が重要であると指摘。「中国は北朝鮮の脅威を簡単に解決できる」と述べ、中国に影響力を行使するよう圧力をかけていく方針を明らかにした。

 

 さらに、米国の核兵器能力について「他国に劣ることはない」と強調。オバマ前政権が2010年にロシアと結んだ戦略核弾頭を1550発以下に減らす新戦略兵器削減条約(新START)について、「米国が結んだまずい協定の一つ」と批判した。

 

 トランプ氏はまた、ロシアによる地上発射型の巡航ミサイル配備について、中距離核戦力全廃条約に違反すると非難。ロシアのプーチン大統領と会談の予定はまだないとしながらも、「もし会談すればこの問題を提起する」と述べた。(ワシントン=峯村健司)

 

(貼りつけ終わり)

 

 これだけ見ると、トランプ大統領は北朝鮮に対して(と言うよりも中国に対して)、かなり強硬な姿勢を見せているということができます。しかし、一方で、北朝鮮に対しても決して門戸を閉ざしているのではないことを示す以下の記事が出来ました。

 

(貼り付けはじめ)

 

North Korean officials are preparing to come to U.S. for talks with former officials

 

By Anna Fifield February 19

Washington Post

https://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/north-korean-officials-are-preparing-to-come-to-us-for-talks-with-former-officials/2017/02/19/3f853c04-f6a8-11e6-9b3e-ed886f4f4825_story.html?utm_term=.a5b0e6e82dd9

 

KUALA LUMPUR, Malaysia — Preparations are underway to bring senior North Korean representatives to the United States for talks with former American officials, the first such meeting in more than five years and a sign that Pyongyang sees a potential opening with the Trump administration.

 

Arranging the talks has become a lot more complicated over the past eight days, with North Korea testing a ballistic missile and the assassination of Kim Jong Un’s half brother in Malaysia, an act that many suspect was ordered by the leader of North Korea. Malaysian police on Sunday named as suspects four North Koreans who left the country on the day of the attack. 

 

Analysts also say they highly doubt that Pyongyang, which has insisted on being recognized as a nuclear state, would be willing to moderate its position on its weapons program. 

 

If the talks do take place, they could offer a glimmer of hope for an already-hostile relationship that has only deteriorated as the Kim government works aggressively to develop a nuclear-tipped missile capable of reaching the continental United States.

 

The planning for the “Track 1.5” talks — with the U.S. side made up of the former officials who usually take part in Track 2 talks, but the North Korean side composed of government officials — is still in a preparatory stage, according to people with knowledge of the arrangements.

 

What we know about the alleged assassination of Kim Jong Nam  Play Video2:09

The older half-brother of North Korean dictator Kim Jong Un was killed in Malaysia in an apparent poisoning attack carried out by two female agents. (The Washington Post)

The State Department has not approved the North Koreans’ visas for the talks, which would take place in New York within the next few weeks.

 

The North Koreans have expressed an interest in engagement, but nothing’s been approved yet,” said one person familiar with the preparations, speaking on the condition of anonymity because they were not authorized to discuss them.

 

Others who have been in touch with North Koreans describe an intense interest in what President Trump might do.

 

If this happens, it would be an interesting signal to the new administration,” one person said of the discussions.

 

The talks would be the clearest indication yet that Kim wants to talk with the Trump administration. “If this happens, I would take it as a very positive sign from both sides,” said another person with knowledge of the arrangements.

 

In recent years, there have been sporadic Track 1.5 talks that have taken place in Kuala Lumpur, Geneva, Berlin and Ulaanbaatar, Mongolia. But these talks have not taken place in the United States since July 2011, before Kim succeeded his father in North Korea.

 

The planned talks are being organized by Donald S. Zagoria of the National Committee on American Foreign Policy, who served as a consultant on Asia during the Carter administration and has organized previous rounds of such talks. Zagoria declined to comment on the preparations.

 

The talks would be run independently of the State Department, where officials have privately questioned the utility of such discussions. But if the administration issued the visas, it would be an implicit seal of approval. And if the discussions go well, they could pave the way for official talks.

 

Choe Son Hui, the director of the U.S. affairs department in North Korea’s Foreign Ministry, is likely to lead the delegation from Pyongyang. She is well known to American officials, having participated in official meetings including the six-party talks on denuclearization, as well as in other Track 1.5 talks.

 

Choe has a direct line to Kim, according to Thae Yong Ho, the North Korean deputy ambassador to London who defected to South Korea last year.

 

Since Trump was elected, there has been a notable change in North Korea’s usually bombastic rhetoric.

 

Pyongyang had been sharply critical of the Obama administration, saying its policy of “strategic patience” — waiting for North Korea to change its nuclear calculations — was “an aggressive and heinous ‘strategic suffocation’ policy” against North Korea.

 

But in its announcement of its missile launch Feb. 12, the North’s state media did not include its usual bluster about needing a deterrent against the United States and its “hostile policies.”

 

In his own statement after the launch, Trump notably did not condemn Pyongyang. The new president has, in fact, said very little about how he plans to deal with North Korea. “North Korea — we’ll take care of it folks, we’re going to take care of it all,” he said at his news conference last week, without elaborating.

 

His administration is conducting a review of North Korea policy. This provides space to broaden the options for dealing with Pyongyang and an opportunity to influence the new president, analysts say. 

 

While some expect him to take a hard-line approach, encouraged by hawkish advisers, others say that Trump, who prides himself on making deals, could be open to dialogue with the North Korean regime.

 

U.S. policy is hanging in the balance,” said Adam Cathcart, an expert on North Korea at the University of Leeds in Britain. 

 

I think the North Koreans ought to be pretty happy, because the Americans have laid off criticizing them too much and have, in fact, been making things quite easy for them,” Cathcart said. “But at some point, they are going to have to decide whether to pick up the cudgel.”

 

For those favoring an even tougher approach to North Korea, recent events have provided plenty of ammunition.

 

On Feb. 12, North Korea tested a ballistic missile for the first time since Trump was elected. The missile appeared to show significant technological advances, with upgraded power and range, and could mark another step in the push toward the capacity to hit Alaska or Washington state.

 

(貼り付け終わり)

 

 この記事は少し古いのですが、2017年2月19日付の『ワシントン・ポスト』紙に掲載されました。北朝鮮外務省のアメリカ担当部長が代表団を連れて、アメリカ訪問を行う準備をしている、というものです。アメリカ側で応対するのは、シンクタンクの幹部で、ジミー・カーター政権で、ホワイトハウスに属する国家安全保障会議、そして国務省で東アジア担当コンサルタントを務めたドナルド・S・ザゴリア(Donald S. Zagoria、88歳)です。ザゴリアは、コロンビア大学で博士号を取得した東アジア専門家で、北朝鮮問題に詳しい人物のようです。

 

 ザゴリアは現在、アメリカ外交政策全国委員会(National Committee on American Foreign Policy、NCAFP)というシンクタンクの上級副会長を務めています。NCAFPの創設者は国際関係論という学問分野でリアリズム(Realism)の泰斗と呼ばれたハンス・J・モーゲンソー(Hans Joachim Morgenthau、1904―1980年)です。ハンス・モーゲンソーの大著『国際政治(Politics Among Nations)』は、国際関係論における古典となり、授業では必ず読みます(日本ではどうかわかりません)。モーゲンソーはイデオロギーを排し、国際関係論を「学問(Science、合理的推論を使いながら、因果関係に基づく法則を発見する行為)」にまで昇華させようと奮闘した学者です。「力(Power)」と「国益(National Interest)」という概念を用いて分析を行う手法を採り、「勢力均衡(Balance of Power)」を主張した人物です。


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