古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ドナルド・トランプ

 古村治彦です。

 日本の外交官の最高の出世は外務事務次官になって駐米大使になることだと聞いたことがある。世界各国の大使(ambassador)になるだけでも大変なことで、また、その手当なども大変な額で、数カ国の大使を務めれば都内の一等地に豪邸が建つということだそうだ。
 大使というのは海外で自分が属する国を代表する存在であり、特命全権大使(ambassador extraordinary and plenipotentiary)と正式には呼ばれるが、この大使の判断で戦争も始めることができる。西側の先進諸国ではほとんどの場合、職業外交官が昇進して大使に週にすることになるが、アメリカでは政治任用(political appointment)で大使になることが多い。

 駐日本アメリカ大使について見てみれば、職業外交官出身ではなく、古くは副大統領、連邦下院議長などを経験した大物政治家が就任しているし、エドィン・O・ライシャワーのような学者も登用された。現在のラーム・エマニュエル大使はバラク・オバマの側近で、2008年の米大統領選挙でオバマ陣営を取りまとめ、オバマ政権1期目前半では大統領首席補佐官を務め、それからオバマの本拠地シカゴの市長を務めた。

 下の記事では、ジョー・バイデン政権における政治任用の大使たちがどれくらいの献金を民主党とバイデンにしてきたかということをテーマにして記事にしている。これはバイデン政権だけではないのだが、歴代政権では、大口の献金者たちがアメリカ大使に登用されてきた。その割合はドナルド・トランプ政権では4割以上、オバマ政権で3割以上だったということだ。バイデン政権も同様に3割が政治任用だ。

 猟官制度(spoils system)とは公職の登用を政治的な理由でおこなうことだ。選挙で政権が変わると公務員が交代するということを意味する。アメリカでは民主、共和両党で政権交代(大統領の交代)が頻繁に起きるが、その度に公務員(幹部クラス)が交代になる。それはアメリカ大使にも及ぶ。その際に、選ばれる人物は各党に多大な「貢献」をした人物ということになる。その貢献とは具体的には政治献金ということになる。「spoils(スポイルズ)」とは英語で「獲物」という意味である。献金の「獲物」が大使職ということになる。

(貼り付けはじめ)

それで、あなたは大使職を買いたいのですね(So You Want to Buy an Ambassadorship

-アメリカ合衆国政府は西洋諸国の政府で唯一、最高の外交官職位で巨額の献金者たちを報いる政府である。

ロビー・グラマー筆

2023年1月24日

『フォーリン・ポリシー』誌.

https://foreignpolicy.com/2023/01/24/campaign-donor-ambassadors-biden-diplomacy/

それで、あなたはアメリカの大使職を買いたいのですね?大きく言って、そのためには2つの方法がある。

1つ目は、政策や外交の分野でキャリアを積み、外交に関わる経験をたくさん積むことだ。2つ目は、お金を持つことだ。多くの資金を保有することだ。

大統領選挙に出馬して戦うためには実に巨額の費用がかかる。両党の大統領選挙候補は、選挙運動を支えるために大規模な資金調達マシーンを必要とするが、その必要性はより高まっている。共和党政権でも民主党政権でも、大統領選挙候補に直接寄付をしたり、当選した大統領候補のために何十万ドル、何百万ドルもの資金を集める手助けをしたりする、「取りまとめ役(bundlers)」と呼ばれる懐の温かい選挙資金提供者たちを利用し、その見返りとして大使のポストを提供するというパターンが最近になってできている。

歴代政権は、これらの巨額の寄付をして大使職を手にした人々について、外交政策の分野以外の、慈善事業、金融、ビジネス、政治、その他のキャリアを通じて必要なスキルや経験を持っていると主張してきた。

元外交官を含むこの慣行に対する批判は、「薄っぺらな」汚職の一形態であると考えられている。

ジョー・バイデン米大統領は、ドナルド・トランプ前大統領ほどではないにせよ、巨額の政治資金寄付者たちを大使のポストに起用する傾向を続けている。2020年の選挙期間中において、大統領選挙民主党予備選挙に出馬した、ある候補者はこの慣習を完全に禁止するよう求めた。

トランプ時代の大使の約44%は政治任用者(political appointees)であり、その多くは懐の温かい選挙資金提供者たちであるのに対し、バラク・オバマ前米大統領時代は約31%、ジョージ・W・ブッシュ前米大統領時代は32%だった。バイデンは、政治任用大使の数を全体の30%程度に抑えると述べている。この慣行は、米国務省内でしばしば摩擦や怒りの種となっている。何十年も外交政策に携わってきたキャリアある外交官が、ハンドバッグの企業家や昼のメロドラマのプロデューサー、自動車ディーラーのオーナー、あるいは超富裕層の選挙資金提供者とたまたま結婚したコンサルタントなどに道を譲られ、大使としての重要な任務に就くことがある。

政治任用の献金者大使とキャリア外交官大使のどちらが優秀かについては、最も不満のあるキャリア外交官でさえもそのように述べているが、明確な答えはない。政治献金者大使の中には、ホワイトハウスとの密接な関係や、国務省のキャリア外交官大使にはほとんどない政治的コネクションを持ち、結果的に非常に有能で、外国政府から求められている人さえいる。それに比べ、キャリア外交官の中には、何十年も経験を積んで、最も人気のある上級職に就いたにもかかわらず、大使のポストで苦労している人もいる。

しかし、巨大な資金提供者に大使のポストを与えるというのは、他の西側諸国の政府にはない慣習であり、中国の台頭によりアメリカが紛れもないグローバルリーダーとしての役割から脱落するにつれ、より厳しく問われている。寄付者たちは通常、西ヨーロッパ、南アメリカ、カリブ海諸国の国々で知名度の高い重要な大使の任に就くが、キャリア外交官はサハラ以南のアフリカ、中東、中央アジアでそれほど重要でない任に就くことが多い。

ワシントンの最も近い同盟国は、この話の対照的な部分を提供している。最も重要な外交ポストである駐ワシントン大使あるカレン・ピアスは、40年以上にわたってイギリスの外交官を務め、過去には国連大使やアフガニスタンとパキスタンの特使を務めた。アメリカの駐英大使ポストには、投資銀行家、石油会社幹部、元提督、自動車ディーラーのオーナー、大統領の側近、億万長者の相続人などが就任してきた。アメリカはこれまで、外交官として本格的に駐英大使を務めたのは1人だけである。それは、レイモンド・サイツで、1991年から1994年まで在英大使を務めた。

『フォーリン・ポリシー』誌は、バイデンへの主要な寄付者が大使に任命された5カ国を調べるために、非営利の透明性専門団体「OpenSecrets.org」を通じた情報公開と選挙寄付の書類を精査し、彼らが寄付した既知の金額を合計したものである。

簡略化のため、2017年から2020年の選挙期間中において、各大使が民主党またはバイデンの選挙運動に直接寄付した確認金額のみを取り上げた。可能な限り、また情報が入手可能な場合に、本誌は過去20年間の民主党や選挙運動に寄付された、政治活動委員会(PAC)を通じて送られた、または取りまとめられた資金に関する情報を含め、さらなる内容を追加した。

注意点:アメリカの政治制度における選挙寄付は複雑なため、個人がいくら寄付したかを評価することが難しいケースがある。寄付者は、個人として候補者の選挙運動に直接寄付したり(法律で厳しく制限されている)、大統領の選挙運動を支援するPAC、無制限の政治支出を行えるいわゆるスーパーPAC、地方や国レベルの大統領の政党、あるいは大統領の就任初日に行われる豪華なイベントのための大統領就任資金にさえ寄付したりする。また、これらの寄付は大使の配偶者の名前で行われたり、個人として関連団体を通じて行われたりすることもある。

それでもバイデン政権は、他の政権と同様、大使のポストを「売り込む」のではなく、海外の適材適所をマッチングさせると主張している。バイデンは選挙期間中に「私は可能な限り最高の人材を任命する。誰も、実際には、彼らが貢献したものに基づいて、任命することになるだろう」と約束した。

ホワイトハウスの報道官は『フォーリン・ポリシー』誌に対し、バイデンは「世界中で私たちの外交政策課題を遂行する大使を選ぶことを非常に真剣に受け止めている」と述べ、以下の人物を含め、彼の選んだ全ての大使たちは「彼(バイデン)が長年共に働き、信頼してきた経験豊かな人物」であると特徴づけた。

ホワイトハウス報道官はまた、バイデンが大使に任命したキャリア外交官以外の大使の例として、トルコ大使には元米連邦上院議員のジェフ・フレーク、NATO大使には大西洋横断安全保障の専門家であるジュリアン・スミスを任命したことを挙げた。

それでも、バイデンが大使に選んだ他の20人近くは、「偶然にも」民主党に多額の資金を集めたり寄付をしたりした人々である。バイデン時代の大使のポストに値札をつけるとしたら、以下のようになる。

●スイス:41万9200ドル

バイデン政権のスイス大使であるスコット・ミラーとその夫は、2020年のバイデン当選を支援するファンドに36万5000ドルを寄付し、ミラー自身も2017年から2020年にかけて、民主党とバイデンの選挙運動に合計5万4200ドルを直接寄付していることが、各種報道と「OpenSecrets.org」の選挙寄付データから判明した。しかし、ミラーと夫の合計では、2010年以降、民主党の候補者や活動に対して約360万ドルを寄付している。ミラーは、デンヴァーに本拠を置くUBSウェルス・マネジメント会社の元副社長である。また、夫のティム・ギルは、LGBTQの権利に関する主要な活動家であり、慈善家でもある。2016年には、当時の民主党大統領候補ヒラリー・クリントンの選挙を支援するために、約110万ドルを寄付している。ミラーは2021年12月にバイデン政権のスイス大使に就任することが決定した。ホワイトハウスの報道官は、大使に指名された理由として、ミラーの「LGBTQ擁護活動や慈善活動のキャリア」を挙げている。

●イギリス:65万6980ドル

バイデンは、長年の民主党献金者で元駐フランス米大使のジェーン・ハートリーを駐イギリス米大使に起用した。「OpenSecrets.org」の選挙寄付データによると、ハートリーは2017年から2020年の選挙期間中において、民主党に64万5780ドルを寄付し、同時期にバイデンに特に1万1200ドル寄付した。しかし、この数字は、ハートリーが全体としてどれだけの資金を民主党に送金したり、取りまとめたりしたかを完全に網羅している訳ではない。バイデンが副大統領を務めていた2007年から2012年の間に、彼女はオバマの選挙運動のために約220万ドルを集めたと報じられた。ハートリーはバイデン政権では数少ない上級外交官の経験を持つ政治任用大使であり、ホワイトハウス報道官は彼女をロンドンでのポストに指名したバイデンの決定を擁護するためにこの点を挙げた。キャリアを通じて民主党、企業放送会社、コンサルティング会社で働いたハートリーは、2014年から2017年までオバマ大統領の駐フランス・駐モナコ大使を務めた。

●カナダ:51万4378ドル

コムキャストの元トップ幹部でロビイストのデイヴィッド・コーエンは、フィラデルフィアの政治と慈善活動で長年活躍していた。「OpenSecrets.org」のデータによると、2017年から2020年の選挙期間中で、コーエンは民主党とバイデンに51万4378ドルを寄付した。

ただし、この数字は上限ではなく下限であり、コーエンはバイデンの2020年の選挙運動のために、大統領選挙のために少なくとも10万ドルの資金調達に協力した個人のリスト、トップ「取りまとめ役」800人の1人としてリストアップされているが、彼がバイデンのためにどれだけの追加資金を取りまとめたかは明らかではない。

●ケニア:91万7599ドル

メグ・ホイットマンは、かつて『フォーブス誌』の「世界で最もパワフルな女性100人」に選ばれたこともある元企業トップで、現在、アフリカで最も経済力があり外交的に重要な国の1つとされるケニアにおいてバイデン政権下で大使を務めている。「eBay」とヒューレット・パッカードの元CEOであるホイットマンは、かつて共和党の献金者であり、2010年にカリフォルニア州知事選に共和党から立候補したが、トランプと大統領選挙の共和党候補者決定を否定し民主党への支援に切り替えた。2020年のホイットマンは、共同募金委員会である「バイデン勝利基金」に50万ドルを寄付し、それとは別に2017年から2020年の選挙期間中に民主党とバイデンに直接41万7599ドルを寄付した。

ホワイトハウスの報道官は、カナダのコーエン、ケニアのホイットマンの両氏について、「ビジネスにおける優れたキャリアと、海外でのアメリカの経済利益を促進する能力を持ち、それが大使職への抜擢に大きく影響した」と述べている。

●アルゼンチン:14万8630ドル

バイデンは、ダラスの著名な弁護士であるマーク・スタンレーをブエノスアイレスの大使に選んだ。『ダラス・モーニング・ニューズ』紙によると、スタンレーとその妻ウェンディは過去20年間に少なくとも150万ドルを民主党に寄付し、募金活動や選挙寄付の肝いりを通じてバイデンや他の民主党候補の主要な肝いりとして活動してきた。スタンレーはまた、バイデンの2020年大統領選挙の「バイデンのために働く法律家たち(Lawyers for Biden)」という部門を率いて、弁護士の組織化を支援し、大統領の選挙運動のために法的サーヴィスを担当した。2017年から2020年の選挙運動の期間中、スタンレーは民主党に14万8630ドルを直接寄付している。ホワイトハウスの報道官は、スタンレーがバイデンのアルゼンチン大使に選ばれたことについて、「40年にわたる一流の弁護士およびユダヤ人擁護者としてのキャリアを評価した」と説明している。

※ロビー・グラマー:『フォーリン・ポリシー』誌外交・国家安全保障担当記者。ツイッターアカウント:@RobbieGramer

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(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 アメリカではインフレもあり、住宅価格が高騰しているということは日本でも報道されている。日本の芸能人や有名人がアメリカ旅行をして、レストランでの食事代やホテルの宿泊代が日本では考えられないほどに高かった(現在円安傾向の日本円で換算して)、ということをテレビなどで発言しているので、私たちも何となく実感できているところがある。「それならば住宅価格も上がっているだろうし、日本と同じく電気代や燃料代も高騰しているだろう」ということは容易に想像できる。実際に、1戸建ての毎月の住宅ローンの全米平均は1969ドルであり、日本円に換算すると約25万6000円となる。日本でも都市部と地方ではだいぶ違うだろうが、平均すれば10万円強ということになるのではないかと思う。

 住宅価格が下落している地域もあるが、同時に急上昇している地域もあるというのは常識的な結果ということになるだろう。興味深いのは上昇率トップ10のうち、9つがアメリカ南部ノースカロライナ州、テキサス州、フロリダ州に集中しており、特にフロリダ州に多いということだ。アメリカ南部の方が「暮らしやすく」、引っ越してくる、住宅を求める人が多いということになるのだろう。

 アメリカ北部の降雪地帯は燃料費や物価のことを考えると暮らしにくいということになるだろう。雪が降る、降らないはやはり重要な要素になると思う。以前から物価安や環境面から、特に若い人々がアメリカ南部、テキサス州に移動しているということは言われていた。

 これを政治的に見れば、アメリカ南部は共和党が勢力を持つ、レッドステイト(赤い州)ばかりである。共和党が強い保守的な地域ということになる。こうした地域では税金も安いということになる。また、農業生産力も高いので食料価格も低く抑えられるということになるのだろう。

更に言えば、このような現象はアメリカの分断を示す兆候であると言えるだろう。北部や東海岸、西海岸のリベラルな雰囲気に嫌気がさして、南部に引っ越したいという動きであることが想像される。更に言えば、2016年と2020年の大統領選挙ではトランプが勝利を収めた各州である。反エリート(反エスタブリッシュメント)対ポピュリズム、民主党対共和党、リベラル対保守という対立が深まっており、「もう一緒には住めない」ということになっているのだろうと考えられる。アメリカ国内の分断も癒されないままに深化しているようである。

(貼り付けはじめ)

これらのアメリカ国内の各都市では住宅価格が最も急速に上昇している(These US cities have fastest-growing home prices

-フロリダ州、ノースカロライナ州、そしてサウスカロライナ州の各都市では前の四半期で、住宅価格が2桁の上昇を記録している。

アレハンドラ・オコーネル=ドメネク筆

2023年2月13日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/changing-america/respect/poverty/3856173-these-us-cities-have-fastest-growing-home-prices/

●記事の要約

・全米不動産協会(National Association of Realtors)が発表した最新の四半期報告書によると、全都市圏の約90%が前の四半期(2022年10月から12月)に住宅価格を上昇させたことが明らかになった。

・最も住宅価格が上昇したのはニューメキシコ州ファーミントン市では、前年同期比で20.3%の上昇を記録した。

・フロリダ州のネープルズ、デイトナビーチ、ノースポートなどの各都市でも住宅価格が急上昇した。

全米不動産協会(National Association of Realtors)が全米の住宅価格を調査した新しい報告書によると、ニューメキシコ州ファーミントンは、アメリカで最も住宅コストが上昇している地域である。

フロリダ州とノースカロライナ州の地域は、住宅価格が最も急速に上昇した上位10都市圏(metro areas)のうち7都市を占め、ノースポート・サラソタ・ブラデントン地域が2位となった。

報告書によると、一戸建て住宅の価格は全都市圏のほぼ90%で上昇し、中央値は昨年同時期から4%上昇し37万8700ドルとなった。この報告書は、全米186の都市圏の住宅価格の変化を調べたものだ。

頭金20%の中古一戸建て住宅の月々の住宅ローン支払額は58%増加して、1969ドルにまで跳ね上がったという。

この数字は、一般的な一戸建て住宅の月間住宅ローン支払い額が1838ドルだった昨年の第3四半期から7%増加したことを意味する。

昨年の第3四半期から2021年の同時期にかけて、毎月の住宅ローン支払額は急増しており、58%、つまり毎月720ドル増加して1838ドルとなった。

一方、都市圏の住宅市場の11%が昨年第4四半期に住宅価格の下落を経験し、この傾向は今年に入っても続く可能性がある。

全米不動産協会チーフエコノミストのローレンス・ユンは、「特に物価の高い地域では、雇用が低迷し、住民が他の地域に移り住むケースが多く、2桁の価格下落が見られる市場もあるかもしれない」と述べている。

しかし、住宅価格は上昇しているが、もっと悪くなる(低下する)可能性もあると報告書は強調している。

住宅価格が2桁上昇した都市圏はわずか18%で、46%の都市圏が2桁の価格上昇を記録した昨年の第3四半期から急転直下で低下している。

以下は、住宅価格が最も上昇した10の都市圏である。

(1)ニューメキシコ州ファーミントン:20.3%

(2)フロリダ州ノースポート・サラソタ・ブラデントン:19.5%

(3)フロリダ州ネープルズ・インモカリー・マルコアイランド:17.2%

(4)ノースカロライナ州グリーンズボロ・ハイポイント

(5)ノースカロライナ州ミトロビーチ・コンウェイ・ノースミトロビーチ:16.2%

(6)ウィスコンシン州オシュコシュ・ニーナー:16.0%

(7)ノースカロライナ州ウィストン・セーラム:15.7%

(8)テキサス州エルパソ:15.2%

(9)フロリダ州プンタゴルダ:15.2%

(10)デルトナ・デイトナビーチ・おル・モンド・ビーチ:14.5%

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 2月に入り、事務作業や2023年4月9日に東京・御茶ノ水の全電通労働会館において、副島隆彦の学問道場が主催する定例会の準備も少しずつありでブログの更新頻度がだいぶ落ちまして申し訳ありません。もっと多くの方々にお読みいただくためには更新頻度を上げるのが最善だと思いますが、なかなか難しい状況です。ご理解をいただきまして、ご指導、ご鞭撻を賜りますよう、今後もどうぞよろしくお願いいたします。

 アメリカ外交について皆さんはどのような考えを持っておられるだろうか。ここでは第二次世界大戦後の1946年から現在までについて考えていきたいが、ソ連との二極構造の下、自由主義陣営の旗頭として、ソ連と直接戦争をすることはなかったが、ヨーロッパ、東アジア、中南米といった地域で、ソ連と戦った。影響圏をめぐる戦いだった。社会主義の人気が落ち、社会主義国の生活の苦しさが明らかになるにつれ、共産圏、社会主義圏の敗北ということになり、最終的にはソ連崩壊に至り、冷戦はアメリカの勝利となった。その間には中国とソ連の仲違いを利用して、中国との国交正常化を達成した。アメリカは世界で唯一の超大国となった。日本は先の大戦でアメリカに無残な敗北を喫したが、「反共の防波堤」という役割を与えられ、経済成長に邁進することができた。

 21世紀に入り、2001年の911同時多発テロ事件が起きた。アメリカに対する反撃、ブローバック(blowback)ということになった。アメリカが世界を支配し、管理するまでならまだしも、非民主的な国々、独裁的な国々に対する恣意的な介入(王政や独裁性が良くないというならばどうしてもサウジアラビアや旧ソ連の独裁者が支配する国々の体制転換を行わないのか)を行って、体制転換する(民主政体、法の支配、資本主義、人権擁護などを急進的に実現する)という「理想主義」がアメリカ外交で幅を利かせて、世界の多くの国々が不幸になった。私の考えの根幹はこれだ。共和党のネオコン派(ジョージ・W・ブッシュ政権を牛耳った)、民主党の人道的介入主義派(バラク・オバマ政権第一期やジョー・バイデン政権を主導する、ヒラリー・クリントンを頭目とする人々)は、「理想主義」である。彼らの源流は世界革命を志向したトロツキー主義者である。彼らは世代を超えて、世界を理想的な「民主的な国々の集まり」にしようとしている。こうしたことは拙著『アメリカ政治の秘密』で詳しく分析している。

 イラク、アフガニスタン、アラブの春などでアメリカの外交は失敗した。こうした失敗をアメリカ外交の別の潮流であるリアリズムから見れば当然のことということになる。アメリカが普通の国であればそもそも介入主義など発生しないだろう。世界帝国、超大国であるために、介入できるだけの力(パワー)を持ってしまうのである。経済力も考えれば、世界を牛耳りたいと思うのもまた当然だし、それでうまくいっていたことも事実だ。しかし、アメリカの力が強かったことがアメリカの不幸の始まりであったとも言えるだろう。「外国のことなんてどうでもよいじゃないか、自分たちの国の中で穏やかに暮らせればよいではないか」という考えを持つ人々も多くいるが、彼らの考えはワシントン政治には反映されなかった。一般国民の意思が政治に反映される機会になりそうだったのはドナルド・トランプ政権時代だったがそれもまた逆転された。アメリカはまた不幸な時代を続けていくだろう。そして、世界中が不幸を共有することになる。

(貼り付けはじめ)

アメリカはたとえアメリカ自体が止めたいと望んでも愚かであることは止められないだろう(The United States Couldn’t Stop Being Stupid if It Wanted To

-ワシントンにとって自己抑制は常に矛盾をはらんでいる。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2022年12月13日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/12/13/the-united-states-couldnt-stop-being-stupid-if-it-wanted-to/

アメリカの「グローバル・リーダーシップ(global leadership)」を擁護する人々は、アメリカが自らを拡大しすぎ、愚かな政策を追求し、外交政策上の目標を達成できず、公然と掲げる政治原則に反したことを認めることがある。しかし、彼らはそのような行為を残念な異常事態(regrettable aberrations)と考え、米国はこうした、数少ない失敗から学び、将来においてより賢明な行動を取ることができると確信している。例えば、10年前、政治学者のスティーヴン・ブルックス、ジョン・アイケンベリー、ウィリアム・ウォールフォースは、イラク戦争が誤りであったことを認めながらも、「深い関与(deep engagement)」という彼らの好む政策がアメリカの大戦略(grand strategy)として正しい選択であることを主張した。彼らの考えでは、アメリカが良性の世界秩序を維持するために必要なことは、既存の関与を維持し、イラクを再び侵略しないことであった。バラク・オバマ前大統領が好んで言ったように、「愚かな行為(stupid shit)」を止めればいいのだ。

ジョージ・パッカーが最近『アトランティック』誌で発表したアメリカのパワーの擁護は、この使い古された論法の最新版となっている。パッカーは論稿の冒頭で、アメリカ人は「海外での聖戦(foreign crusades)をやりすぎ、そして縮小(retrenchments)をやりすぎ、普通の国なら絶妙なバランスを取ろうとするような間合いを決して取らない」と主張し、明らかに誤った比較をしている。しかし、世界中に700以上の軍事施設を持ち、世界のほとんどの海域に空母戦闘群を配備し、数十カ国と正式な同盟関係を結び、現在ロシアに対する代理戦争、中国に対する経済戦争、アフリカでの対テロ作戦、さらにイラン、キューバ、北朝鮮などの各国政府の弱体化と将来の打倒に向けた果てしない努力をしている国(アメリカ)が、過度の「縮小(retrenchment)」を非難されることはないだろう。パッカーの考える「良いバランス(fine balance)」、つまり、暑すぎず、寒すぎず、ちょうど良い外交政策とは、アメリカが世界のほぼ全域で野心的な目標に取り組むことである。

残念ながら、パッカーをはじめとするアメリカの優位性(U.S. primacy)を擁護する人々は、アメリカのような強力な自由主義国家が外交政策の野心を制限することがいかに困難であるかを過小評価している。私はアメリカのリベラルな価値観を好むが、リベラルな価値観と巨大なパワーの組み合わせは、アメリカがやり過ぎること、むしろやり過ぎないことをほぼ必然としている。もしパッカーが絶妙なバランスを好むのであれば、介入主義的な衝動(interventionist impulse)の方向性についてもっと心配する必要があり、それを抑制しようとする人々についてはあまり心配する必要はないだろう。

なぜアメリカは自制を伴う(with restraint)行動を取ることが難しいのだろうか? 第一の問題は、リベラリズム(1liberalism)そのものだ。リベラリズムは、全ての人間は確固とした自然権[natural rights](例えば「生命、自由、幸福の追求」)を持っているという主張から始まる。リベラリズムを信奉する人々にとって、政治的課題の核心は、我々を互いから守るのに十分なほど強力でありながら、同時に人々の権利を奪うほどには強力ではなく、チェックされる政治制度(political institutions)を作り出すことである。リベラルな国家は、政治権力の分割、選挙を通しての指導者の責任追求、法の支配、思想・言論・結社の自由の保護、寛容の規範の重視によって、不完全ながらもこのバランス感覚を獲得している。従って、真のリベラル派にとって、唯一の合法的な政府とは、これらの特徴を持ち、それを用いて各市民の自然権を保護する政府なのだ。

しかし、これらの原則は、全ての人間が同一の権利を有するという主張から始まっているため、リベラリズムは、単一の国家や人類の一部分にさえも限定することができず、その前提に一貫性を保つことができない。アメリカ人、デンマーク人、オーストラリア人、スペイン人、韓国人には権利があるが、ベラルーシ、ロシア、イラン、中国、サウジアラビア、ヨルダン川西岸地区、その他多くの場所に住んでいる人々には権利がない、と宣言できる真のリベラル派は存在しない。このため、自由主義国家はジョン・ミアシャイマーが言うところの「十字軍の衝動(crusader impulse)」、つまり、パワーの許す限り自由主義原則を広めたいという願望に強く傾く。ところで、マルクス・レーニン主義であれ、全人類を特定の信仰の支配下に置くことを使命とする様々な宗教運動であれ、他の様々な普遍主義的イデオロギー(universalist ideologies)にも同じ問題を持っている。ある国とその指導者が、自分たちの理想が社会を組織し、統治するための唯一の適切な方法であると心から信じている場合、その理想を受け入れるように他者を説得し、強制しようとする。少なくとも、そうすれば、異なる考えを持つ人々との摩擦(friction)は避けられない。

第二に、アメリカは強大なパワーを有しているため、自制して行動することが困難である。1960年代、連邦上院軍事委員会の委員長を務めたリチャード・B・ラッセル元連邦上院議員は、「もし私たちがどこに行っても、何をするのも簡単ならば、私たちは常にどこかに行き、何かをすることになるだろう」と述べている。世界のほぼ全域で問題が発生した場合、アメリカは常にそれに対して何かしようとすることができる。弱い国家は同じ自由度を持たず、したがって同じ誘惑に直面することもない。ニュージーランドは健全な自由民主国家であり、多くの立派な資質を備えているが、ロシアのウクライナ侵攻、イランの核開発、中国の南シナ海での侵略に対してニュージーランドが率先して対処するとは誰も考えない。

対照的に、米大統領執務室に座る人は、問題が発生した時、あるいは好機が訪れた時に、多くの選択肢を手にすることができる。米大統領は、制裁(sanctions)を科す、封鎖(blockade)を命じ、武力行使の脅し(あるいは直接の武力行使)を発し、その他多くの行動を取ることができ、しかもほとんどの場合、アメリカを、少なくとも短期的には、深刻な危険に晒すことはない。このような状況下で、行動の誘惑に抗することは極めて困難である。特に、いかなる自制的行動も意志の欠如、宥和的行動(act of appeasement)、アメリカの信頼性への致命的打撃として非難する批判者の大群が控えている場合、なおさらである。

第三に、米国は70年以上にわたって世界のパワーの頂点に君臨してきたため、現在、その卓越した世界的役割を維持することに既得権(vested interests)を持つ官僚や企業の強力な勢力が存在している。ドワイト・アイゼンハワー元米大統領が1961年の大統領退任演説で警告したように、第二次世界大戦と冷戦初期の強力な「軍産複合体(military-industrial complex)」の出現は、アメリカの外交政策をより軍事的で介入的な方向に永久に歪曲させる重大な進展があった。その影響は、特に外交政策シンクタンクの世界において顕著であり、その大部分はアメリカの関与を促進し、アメリカ中心の世界秩序(U.S.-centered world order)を擁護することに専念している。その結果、数年前にザック・ボーチャンプが指摘したように、「ワシントンの外交政策の議論は、ほとんどが中道と右派の間で行われる傾向にある。問題は、アメリカがまったく武力を行使しないかどうかよりも、どの程度武力を行使すべきなのかということである」ということである。

第四に、以前にも述べたように、リベラルなアメリカは、他の多くの国にはない方法で外国の影響にオープンである。外国政府は、ワシントン内部、特に連邦議会で自分たちの主張を通すためにロビー活動会社を雇うことができるし、場合によっては自分たちのために行動を起こすよう圧力をかけてくれる国内団体に頼ることもできる。また、アメリカの大義(cause)を推進するシンクタンクに多額の寄付をしたり、外国の指導者がアメリカの有力な出版物に論説や記事を掲載し、エリートや大衆の意見に揺さぶりをかけたりすることも可能である。もちろん、このような努力は常に成功するわけではないが、正味の効果は、アメリカの行動を減らすのではなく、むしろ増やすように促す傾向がある。

更に言えば、アメリカが新しい同盟諸国、「パートナー」、「特別な関係(special relationship)」を加えるたびに、アメリカの耳元でささやく外国の声の数は増えている。かつて、アメリカの対ヨーロッパ政策を形成しようとするNATOの同盟国は11カ国だったが、現在は29カ国である。これらの国の中には集団防衛(collective defense)に多大な資源を提供している国もあるが、その他の国の中には弱く脆弱で、対等なパートナーというよりは保護国(protectorates)と見るのが適切であろう国も存在する。当然のことながら、これらの国々は、アメリカが公約を守り、自国を保護するよう声高に主張し、グローバルパワーとしてのアメリカの信頼性が危険に晒され、より穏やかな世界秩序への希望は、彼らの助言を受けることにかかっていると警告している。多くのクライアント国によれば、アメリカは深く関与すればするほど、更により深く関与し続けなければならない。

誤解しないでいただきたい。私は同盟諸国の懸念を無視したり、彼らの助言を頭ごなしに否定したりすることを主張しているのではない。同盟諸国の指導者たちは、現代の世界規模の諸問題についてしばしば賢明なことを言うし、アメリカが自国内からの助言だけに頼らず、フランスやドイツの警告に耳を傾けていれば、より良い結果になったであろう例を考えるのは簡単だ(イラクについてはどうだろうか?)。しかし、外交政策分野の「エリートたち(Blob)」の多くが持つ介入主義的衝動(interventionist impulse)と、アメリカの保護と援助を望む国々が外交政策に関する議論に熱心に挿入する利己的な助言の間には、依然として不健康な共生が存在し得る。驚くべきことではないのだが、アメリカの海外パートナーは通常、アメリカに自分たちのためにもっとやってもらうことを望み、アメリカが少し手を引くことを勧めることはほとんどない。

このような様々な要素を組み合わせると、なぜアメリカが愚かなことを止めるのが難しいのかが分かるだろう。イデオロギー、パワー、官僚的な勢い、そしてアメリカのパワーを自国の目的のために利用しようとする他国の欲望が相まって、何かをしたいという強力な原因を生み出し、誘惑が生じた時に明確な優先順位を決めてそれを守ることができない。パッカーや他の人々が望んでいると思われる絶妙なバランスを達成するためには、このような傾向を擁護したり強化したりするのではなく、それに対抗するためにもっと多くのことがなされる必要がある。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。ツイッターアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 アメリカ連邦議会は新しいセッション(第118期)が始まった。始まって早々、連邦下院では新議長選出を巡って大騒ぎとなったことは日本でも報道され、記憶に新しいところだ。前回のセッションまで連邦議会共和党の少数党(共和党)院内総務を務めてきたケヴィン・マッカーシーが新しい下院議長に選出されることは通常であれば当然のことであった。 

しかし、共和党内から造反議員が出て、何度も何度も否決され、15回目の投票でようやく過半数の得票となり、新議長に選出された。その過程で議場ではつかみ合いの喧嘩騒ぎも起きた。民主党側からは造反してマッカーシーの議長就任に賛成票を投じた議員は出なかったので、今回の騒動は共和党内部の争いということになった。

 マッカーシー議員は2014年から連邦下院共和党の最高幹部であり、2014年から2019年までは連邦下院多数党(共和党)院内総務、2019年から2023年まで少数党(共和党)院内総務を務めた。ドナルド・トランプ政権下では、連邦議会で過半数を失って少数党となった共和党を指揮し、トランプ大統領と協力して議会運営に当たった。トランプ派と目される人物の1人である。

 共和党内でマッカーシー議員の議長就任に抵抗したのは、フリーダム議連(Freedom Caucus)のメンバーたちである。フリーダム議連とはティーパーティー運動が源流の議員連盟であり、「保守系」もしくは「リバータリアン系」と評される議員たちの集まりだ。彼らの考えを簡単に述べれば「反福祉・反税金・反大きな政府」ということになる。彼らの資金源となっているのがコーク・インダストリーズという巨大企業を率いるチャールズ・コークだ。コーク一族の歴史と動きについては拙訳『アメリカの真の支配者 コーク一族』(講談社)を是非お読みいただきたい。

 簡単に言えば、フリーダム議連のパトロンであるチャールズ・コークは反ポピュリズム、反トランプの立場を取っている。トランプのポピュリズムは、彼から見れば「貧乏人にバラマキを約束している」ということになる。トランプ派と目されるマッカーシーの議長職就任を妨害したい、もしくはフリーダム議連が議会活動で有利になるような条件を受け入れさせたい、ということでフリーダム議連を使って妨害活動としい活動を行ったということになる。コークとフリーダム議連は共和党内部のエスタブリッシュメント派とも対立しており、フリーダム議連、エスタブリッシュメント派、トランプ派という形で共和党は分裂しているということになる。フリーダム議連とエスタブリッシュメント派が共同してトランプ派をけん制し、トランプの大統領選挙での復活を阻止したいという動きになっている。そのために、フロリダ州のロン・デサンティス知事やニッキー・ヘイリー元国連大使の名前を、2024年の大統領選挙の共和党側の有力候補として主流メディアは出している。

 2023年、2024年のアメリカは、2024年の大統領選挙に向けて政治の季節となる。共和党内部の争いはますます激化するだろう。

(貼り付けはじめ)

5つのポイント:マッカーシーは如何にして連邦下院議長職を勝ち取ったか(Five takeaways: How McCarthy won the Speakership

イアン・スワンソン筆

2023年1月7日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/3803662-five-takeaways-how-mccarthy-won-the-speakership/

ケヴィン・マッカーシー連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)が新しい連邦下院議長に就任した。この1週間、議場では15回もの投票が行われ、党内分裂が誰の目にも明らかな異常事態となった。

しかし、この騒動は、マッカーシー議員が分裂した共和党をどのように統率していくのか、また、政府予算や国の債務上限(debt ceiling)引き上げの時期が来た時、国にとってどのような意味を持つのか、それらについて疑問が生じている。

ここでは、これまで誰も見たことのないような狂騒のうちに誕生した連邦下院議長選挙について5つのポイントを紹介する。

(1)マッカーシーは反対派をけん制する(McCarthy picks them off

kevinmccarthy501

第118期連邦議会で連邦下院議長に選出されたケヴィン・マッカーシー連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)が人々の歓声に応える。2023年1月7日。

マッカーシーはこの1週間、民主、共和両党の有権者や批評家たちから、連邦下院で最も大きな丘を登る能力を疑問視され、次々と批判されてきた。

マッカーシーに対する反対派は動じる気配もなく、次々と票を失う中で、彼が必要な過半数を獲得できるのかどうか、多くの人が疑問に思った。

マッカーシーの戦術のいくつかは成功しなかったし、批判されるには理由があった。

2023年1月2日の非公開の会議で反対派に圧力をかけても誰も動かず、マッカーシー議員が批判派に対して議長の座を獲得するに決まっていると話すと、ローレン・ベイバート議員(コロラド州選出、共和党)が「くそ野郎!」と叫ぶなど激しい票読みの始まりとなった。

1回目の投票で19人の共和党所属の議員たちがマッカーシーに反対票を投じ、3回目の投票でバイロン・ドナルド連邦下院議員(フロリダ州選出、共和党)が反対者に加わり、その数は20人に膨れ上がった。

しかし、マッカーシーはこの間、実にたくましく対応しており、火曜日には「次から次へと投票がある中で戦うことを恐れていない」と発言していたが、その通りとなった。

マッカーシーは「戦う準備はできている」と公言し、週半ばには反対勢力との取引に向け、味方の議員たちとともに水面下で猛烈に働きかけた。その努力が実り、金曜日には、12回目の投票で反対派20人のうち13人が賛成に代わり、14回目の投票では更に1票が反対派から賛成に変わるという劇的な投票が行われた。 

その数時間後、連邦下院の議場で歴史的な前代未聞の瞬間が訪れた。

(2)マット・ゲーツが注目を集めた瞬間(Matt Gaetz gets his moment)

mattgaetz501

2023年1月5日(木)、第118期議会の3日目に連邦下院民主党の議員たちと話すマット・ゲーツ連邦下院議員(フロリダ州選出、共和党)

マッカーシーの政治的将来が、金曜深夜に近づくにつれ、マット・ゲーツ連邦下院議員(フロリダ州選出、共和党)の投票にかかるようになるとは、誰も予想しなかっただろう。

ゲーツ議員とマッカーシー議員との間の反目は、この1週間の投票の底流にあり、金曜日には、フロリダ州の共和党員であるゲーツは、マッカーシーを連邦下院議長職に就くために裏取引をしたと非難し、より個人的な反感が高まっているように見えた。

ゲーツはまた、「これは、計算し、集計し、絶対に回避できることをこの機関に課している人物の虚栄心の表れなのか?」と問いかけた。

しかし、マッカーシーは議長選挙で216票を確保し、あと1票で当選というところでゲーツの投票を待っていた。当時、マッカーシーが連邦下院で過半数を獲得するには217票が必要だった。

ゲーツは「賛否を示さない出席(present)」と発言した。結果として、マッカーシーが投票者の過半数を獲得するための基準を引き下がることになったが、ゲーツの投票では勝利するのに十分でなかった。

ゲーツと同席していたマッカーシーの信頼する盟友パトリック・マクヘンリー連邦下院議員(ノースカロライナ州選出、共和党)を含む議場の共和党所属議員たちは、マッカーシーのマジックナンバーをまだ確保していないことにすぐには気づかず、立ち上がって拍手喝采を送った。

ゲーツは考えを変えなかった。ゲーツの投票は「賛意を示さない出席」だった。

当初、マッカーシーにとって完全な災難に見えたが、その味方は月曜日まで議会を閉会させる投票に動いた。しかし、その閉会投票が行われると、別の切り替えが行われた。どうやら、共和党側のマッカーシーを非難する最終グループの6人全員が「賛否を示さない出席」票を投じるという取引が成立したようだ。

マッカーシーと他の共和党議員たちは閉会日に票を入れ替え、新たに議長選の投票が行われ、マッカーシーは再び216票を獲得したが、今度はそれで十分であった。ゲーツをはじめとする4人の共和党議員がベイバート議員に加わって「賛否を示さない出席」票を投じたことで、マッカーシーが過半数を確保した。

ゲーツは政治的なショーマンであり、カメラに映る時間を多く獲得し、その中心的存在となった

(3)この人たちはどうやって付き合っていくんだろうか?(How are these people going to get along?

michaeldrogers501

2023年1月6日(金)に連邦下院議長選挙の14回目の投票が実施された後、マイケル・D・ロジャース連邦下院議員(アラバマ州選出、共和党)は、ローレン・ベイバート連邦下院議員(コロラド州選出、共和党)とマット・ゲーツ連邦下院議員(フロリダ州選出、共和党)から引き離されている。

1枚の絵は1000の言葉に匹敵する(百聞は一見に如かず、Sometimes a picture is worth a thousand words)ということがある。

リチャード・ハドソン連邦下院議員(ノースカロライナ州選出、共和党)がマイク・ロジャース連邦議員(アラバマ州選出、共和党)の体をつかまえている写真(片手を肩に、片手を顎に置き、レスリングに近い動き)は、そうした写真の1つである。

この時のロジャースは、ゲーツと現在の自身の投票について話し合うか、彼の首を絞めるかのどちらかに興味があるように見えた。

この100年間、連邦下院議長の投票では見られなかった光景に、多くの共和党員たちが互いにどれほど不満と疲れと苛立ちを感じていたかを示す象徴となった。

今、連邦下院共和党は僅かな差で、この違いを埋めて、彼らがやりたいこと、監視、支出削減、国境警備強化のための戦い、これら全て行うために協力しなければならない。

1月15日の投票でマッカーシーが新議長に決まった後、団結をするようにと訴えられていた。

しかし、この連邦下院議長選出の戦いは、今後、法案や規則をめぐって共和党内で更なる争いが起こることを予感させるものでもある。

今週、マッカーシーが強いられた屈辱や、ゲーツなどの議員たちの行動に見られた大義名分に対して怨嗟の声が上がるだろう。

マッカーシーがこの騒動をどう処理するかは今後直面する厳しい試練の一つになるだろう。

(4)マッカーシーは勝利を収めるために多くのことを諦めた(McCarthy gave up a lot to win

kevinmccarthy502 

2023年1月6日(金)、連邦下院議長選挙の14回目の投票中のケヴィン・マッカーシー連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)。

連邦下院議長の座を勝ち取るために、マッカーシーは多くのルール変更と反対派への譲歩を提示しなければならなかった。特に、新議長の投票を強制することができる議長退任動議を1人の議員が出すことができるようにすることが重要だった。

マッカーシーと提携する委員会は、共和党の予備選挙における委員会の役割を制限すると述べ、保守派議員たちは、議場に提出される全ての法案を審議する連邦下院規則委員会を含む、より多くの委員会の割り当てを受けることになる。

マッカーシーはまた、歳出法案を公開規則で審議することに同意したが、これは実質的に基本的な予算措置の可決を得ることをかなり難しくするものである。

今週マッカーシーに反対していた共和党議員の多くは、政府支出(国内支出と国防総省の予算の両方)の削減を望んでいる。今回の規則改正は、理論的には彼らにそれを実行する力を与えることになる。

この譲歩はマッカーシーの力を弱めることになりそうだが、彼は公の場で、この譲歩によって連邦下院議長が弱体化するとの見方を否定した。

(5)債務上限をめぐる戦いが注目の戦いだ(The debt ceiling fight is the battle to watch

andybiggs501 

2023年1月5日(木)、ワシントンの連邦下院議会で10回目の投票中に、ケヴィン・マッカーシー連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)と話すアンディ・ビグス連邦下院議員(アリゾナ州選出、共和党)(右)。

連邦政府は歳入を上回る支出をしているため、連邦議会は長年にわたり、社会保障や医療保険から軍事費まであらゆる資金を調達するために、国の借入限度額を定期的に引き上げる必要がある。

債務上限を引き上げること自体は、新たな連邦政府支出の増加や承認にはならないが、連邦政府がより多く支出することを可能にする。

もし、債務上限が引き上げられなければ、連邦政府は支払いをすることができない。

2011年には、当時のバラク・オバマ大統領と共和党が過半数を握る連邦下院が何とか合意に至るまで、政府はデフォルト(default、債務不履行)に近い危険な状態に陥った。

次に債務上限を引き上げなければならないのは今年8月である。どのようになるかは誰にも分からないが、今後数カ月、ワシントンやウォール街では多くの神経がすり減ることになりそうだ。

今週、マッカーシーの議長選に反対していた共和党側議員の1人であるラルフ・ノーマン連邦下院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は水曜日、「マッカーシーは債務上限を引き上げるより、連邦政府を閉鎖することを望んでいるのだろうか?」と語った。ノーマンは更に「これは交渉の余地がない」とも述べた。

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マッカーシーの譲歩による連邦下院議長職獲得は驚きとなった(McCarthy concessions to win Speakership raise eyebrows

マイク・リリス、マイケル・シュニール、アル・ウィーヴァ―筆

2023年1月7日

『ザ・ヒル』

https://thehill.com/homenews/house/3803315-mccarthy-concessions-to-win-speakership-raise-eyebrows/

ケヴィン・マッカーシー連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)は、歴史的な投票失敗の週を経て、議長の当選に必要な支持を得るために、反対派からの一連の要求に屈することを余儀なくされた。

ほとんどの共和党連邦議員たちはマッカーシーの譲歩の重要性を軽視しているが、この変更はマッカーシー自身の指導力を犠牲にして一般議員に権限を与えるものであり、連邦下院の統治機能を麻痺させかねないという懸念も出てきている。

特に、1人の議員が下院議長を追放するプロセスを開始できるようにする今回の変更は、保守派の強硬派グループがマッカーシーに圧力をかけて重要な必須法案を維持するために繰り返し使用することを恐れている民主、共和両党の議員に胸焼けを与えている。

その結果、連邦政府が閉鎖され、債務不履行に陥り、連邦下院の事業が急停止するリスクが高まると彼らは言う。

ドン・ベーコン連邦下院議員(ネブラスカ州選出、共和党)は、「これは恐ろしい決断だ」と述べた。

ベーコン議員は「1人でも議場から退席の動きを推し進めればまたやることになる。毎週こんなことをするのはいかがなものか?」と、マッカーシーの下院議員当選を数日遅らせた内部抗争を引き合いに出してこのように語った。ベーコン議員は「こういう人が何人かいると将来的にそうなるのではないかと思う。連邦下院議長が弱体化し、最小会派が強化されることになるのだ」と語った。

マッカーシーの保守派の批判者たちの中には、国の債務上限(連邦政府が債務を支払うためにお金を借りることを認める)を引き上げるいかなる動きも、社会保障やメディケアなどの国の権利プログラムの削減を伴わなければならないと要求している者もいる。そして、新しい連邦下院規則パッケージの条項では、債務上限引き上げについて別途投票を行うことが義務付けられている。

チップ・ロイ議員(テキサス州選出)は、木曜日に連邦議会議事堂で記者団に対して、「債務上限引き上げには具体的な支出制限が必要だと考えている」と語った。

マッカーシーの反対派で、今回の譲歩で最終的に支持に回ったスコット・ペリー連邦下院議員(ペンシルヴァニア州選出、共和党)も「何事もなく進められる債務上限引き上げはありえない、それは間違いない」と述べた。

この要求は、民主党側の議員たちからの反発を招いた。民主党議員たちは、国のセーフティネット・プログラムを守りたいが、マッカーシーが保守派の意向に従えば、連邦債務不履行のリスクが高まることを恐れているのだ。

民主党側のある議員は、「もし彼らが債務上限を設定したら私たちは終わりだ」と述べた。

今週の長丁場の交渉を通じて、中道派の共和党所属の議員たちにとってもう1つの大きな懸念は、保守派が小委員会の権限を自分たちのものにしようとすることで、この案は既に小委員会の席についている議員たちを激怒させた。

ベーコンはこれを「成功の見込みがない(non-starter)」だと形容した。特に小委員会の委員になるために努力してきた穏健派共和党員の間で怒りが広がっている。

ベーコンは次のように語った。「連邦下院議長職やそのようなものについて話すのであれば、彼らはまだそれを獲得しなければならない状況にあるのだ。私はそれを獲得していないにもかかわらず指導的役割を担わせるという、最も小さな議連に対するアファーマティブ・アクション同様だと考えている。私たちは共和党側の実力を基礎にしたシステム(merit-based system)を信じている」。

2013年から連邦下院議員を務めているアン・ワグナー議員(ミズーリ州選出、共和党)は、連邦下院議長職の「年功序列プロセス(seniority process)」だと強調した。

「誰もが年功序列のプロセスを経て、両委員会の役職や議長職などを獲得していかなければならないのだ」とワグナー議員は語った。

共和党が第118期連邦議会の開幕に際して採用したその他の変更点は、それほど議論の余地のないものである。その中には、全下院議員の任期制限を設けるための議場投票の保証、修正案の公開手続き、連邦政府機関に対する新たな権限を議会に与えるいわゆるホルマンルールの採用、議場に入る前に議員が法案を読むために丸3日間を必要とする72時間ルールなどが含まれる。

これらの変更は、全て過去の時点で採用されている。そして、ほとんどの共和党側議員たちは、マッカーシーが議員職の見返りに多くを捧げ過ぎたという説を否定している。

マージョリー・テイラー・グリーン連邦下院議員(ジョージア州選出、共和党は)「そのようには感がない」と語った。グリーンは下院議長選でマッカーシーの最も有力な支持者の1人となった。

キャシー・マクモリス・ロジャーズ連邦議員(ワシントン州選出、ワシントン州選出)は、「これらの譲歩は私たちの話し合いで合意されたものであり、最終的には、より国民主導の立法過程につながると信じている。これは、より多くの権力と意思決定を議員に取り戻すことだ」と述べた。

ダン・クレンショー連邦下院議員(テキサス州選出、共和党)は、最初の規則パッケージの最小値である1人制と5人制の違いはほとんどないと述べ、1人制の空転動議についての懸念さえも軽視した。

クレンショー議員は「皆さん方はもう5人制で合意したのだろう。5人制と1人制で一体何が違うのか? 説明責任の問題だ。だから、みんなチームとして働こう、それが最善だ」と述べた。

マッカーシー自身も瀬戸際の交渉を擁護し、この重要な譲歩が彼を「弱い議長」にすることはないと断言している。

木曜日の夜、マッカーシー議員は記者団に対して、「これを恐れていたら、より弱い議長になるだけだ」と語った。「私は弱い議長になどならない」とも述べた。

マッカーシー議員は更に「前の議長を除いてはいつもそうだ。私はそれが結構なことだと思う」と付け加えて述べた。

しかし、民主党側は、カリフォルニア州選出の共和党議員であるマッカーシーが共和党右派対して提案したことは、彼の権威を低下させ、安定した統治を損なうと警鐘を鳴らしている。

前回と前々回の議会で下院議長として一人退席ルールを撤廃したナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は、その復活を「馬鹿げたことだ」と評した。

前多数党(民主党)院内総務のステニー・ホイヤー議員(メリーランド州選出、民主党)は、この協定は共和党の極右勢力にあまりにも大きな力を与えるものだと述べた。

ホイヤ―議員は次のように述べた。「彼は私が予想した以上のものを与えたと思う。この協定は、共和党の小さな、意志を持った一派、共和党の否定的な一派、ほぼ一様に妨害的な一派に、彼らが持つべき以上の権威を与えることになると思う」。

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「クラブ・フォ・グロース」とコークはフリーダム議連に資金提供(Club for Growth and Koch nurtured Freedom Caucus

アイザック・アーンスドーフ筆

2015年10月22日

『ポリティコ』誌

https://www.politico.com/story/2015/10/freedom-caucus-koch-club-growth-214973

最近、連邦下院をひっくり返した連邦下院保守派の反逆派の背後には、共和党の極右からおなじみの寄付者たちが何人か立っている。それが「クラブ・フォ・グロース(Club for Growth)」 とコーク・インダストリーズ(Koch Industries)だ。

非営利団体「センター・フォ・レスポンシヴ・ポリティックス(Center for Responsive PoliticsCRP)」と共同で行った本誌の分析によると、これらの強力な外部勢力は、ジョン・ベイナー連邦下院議長を追い出し、ケヴィン・マッカーシーが後継になることを阻止した共和党内グループである「連邦下院フリーダム連盟(House Freedom Caucus)」のメンバー37人の政治キャリアを育むのに一役買ってきた。

この分析によると、フリーダム議連のメンバーは、銀行や自動車ディーラーなど、伝統的に共和党候補を支持している業界から強い支持を受けてきた。しかし、議連のメンバー数は、共和党の重要な勢力として台頭し、時には保守的な原則をめぐって指導部と衝突する外部団体の影響力を示すものでもある。

各議員が報告した選挙運動およびリーダーシップPACへの寄付の金額を基に分析したところ、10万人の会員を持つ自由企業体制擁護団体「クラブ・フォ・グロース(Club for Growth)」の寄付額は177万ドルで、各議員が集めた総額1億7500万ドルの約1%に相当することが分かった。このクラブは、11人の議連メンバーにとって最大の寄付者であり、他のどの寄付者よりも多くのメンバーが寄付を受けた。

クラブ・フォ・グロースの広報担当者ダグ・サクトルベンは、本紙の取材に対して、最近の連邦下院での共和党指導部の混乱について、フリーダム議連に責任はないと述べた。サクトルベン「私たちの問題は、フリーダム議連の問題ではない。彼らは、選挙で訴えたことや有権者が投票したことを守っている。問題なのは、エスタブリッシュメントと指導部だ」と発言した。

指導者争いの中で、クラブはベイナー議員傘下のPACから「自分たちの信じる原則を守るために」攻撃を受けている保守派議員たちへの支援を公に表明していた。

カンザス州ウィチタに本社がある石油・ガス複合企業のコーク・インダストリーズは、現在フリーダム議連と提携しているメンバーたちに長期にわたり、総額で59万9400ドルを献金してきた。同社のPACとコーク社の従業員からの個人献金を合わせると、カンザス州選出のティム・ヒュールスカンプ連邦下院議員にとっての第2位の献金者となった。しかし、今回の分析では、フリーダム議連メンバーへの全体では2番目に大きな寄付をするのに十分な資金をばらまいていることが分かった。今回の分析では、コーク兄弟が築き上げた政治団体の幅広いネットワークはカヴァー仕切れておらず、これらはまとめて共和党候補への主要な資金源として発展してきた。

コーク PACのスポークスマンであるケネス・P・スペインは、同団体はフリーダム議連だけでなく、たくさんの共和党所属の議員たちに寄付していると述べた。CRPがまとめたデータによると、2014年のサイクルで1080万ドルを寄付していた。

この1カ月間、宮廷内の陰謀(palace intrigue)の中で、メンバーの名前を秘密にしているフリーダム議連は、党のどの派閥、グループが連邦下院指導部を支配するかをめぐる争いで影響力のある勢力として浮上してきた。連邦下院議長候補と目されているポール・ライアン連邦下院議員は、フリーダム議連が賛同し、ベイナー議員に対して脅した手続き上の戦術を諦めることに同意する場合のみ、連邦下院議長の座を望むと述べた。

共和党内部のエスタブリッシュメント派は、フリーダム議連が共和党のビジネス界の同盟者を軽視し、ひいては党の資金調達と多数派拡大への努力を軽視していると見て、不満を募らせている。しかし、クラブ・フォ・グロースやコーク・インダストリーズのような反体制的な資金提供者たちとの結びつきは、この集団がそれなりの資金基盤を持っていることを示唆している。

アメリカ商工会議所(UCC)は、この強力な勢力を排除するため、予備選挙の挑戦者を支援すると宣言している。

ベイナーのスタッフからロビイストに転身したある人物は次のように述べている。「昔は、党組織や経済界がもっと大きな影響力を持っていた。今、フリーダム議連は、ワシントンのグループは自分たちに献金しないと言って、ワシントン以外からもっと金を集められる。経済界は、この人たちと話をして、関係を構築する方法を考えるべきだ。今、彼らは共和党の未来を担っているように見えるからだ」。

業種別では、フリーダム連邦の寄付者の7%が退職者、次いで医療従事者(5%)と分析されている。

『ポリティコ』誌とCRPの分析によると、このブロックで最も資金調達に成功したのはニューメキシコ州のスティーヴ・ピアース連邦下院議員で、キャリアを通じて1690万ドル(クラブ・フォ・グロースから34万7867ドル、コーク・インダストリーズから86000ドルを含む)を稼ぎ、現職下院議員の中で38位にランクされた。ニュージャージー州のスコット・ギャレット連邦下院議員は1360万ドル(コーク・インダストリーズから7万2500ドルを含む)で69位と続く。

この分析は、選挙運動へのハードマネーによる寄付のみを対象としており、これらのレースにおける候補者の賛否を問わない独立した支出は反映されていない。

フリーダム議連への献金者の上位5位は、アメリカ銀行協会、全米自動車販売店協会(連邦議会への寄付額ではトップクラス)、エヴリ・リパブリカン・イズ・クルーシャルPACEvery Republican is Crucial PACERICPAC)で、エリック・カンター連邦下院多数派(共和党)院内総務がヴァージニア州選出のデイヴ・ブラット連邦下院に失脚させられる前に協力していた諸団体である。

アメリカ銀行協会の連邦議会関係・政治問題担当のジェームズ・バレンティン執行副会長は次のように述べている。「アメリカ銀行協会は、新人議員から議会指導部、その間にいる全ての議員に至るまで、通路の両側の議員たち(民主、共和党両党)と協力してきた長い歴史がある。これらの議員の中には、偶然にも、全米の銀行にとって重要な数々の施策を支持している議員たちもいる」。

ケネス・P・ヴォーゲルはこの記事の作成に貢献した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 ジョー・バイデン政権1期目(任期4年)も後半に入った。アメリカ政治は2024年11月の大統領選挙(と連邦議会選挙:連邦下院は全議席、連邦上院は一部議席、更には州知事選挙)に向けて動き出す。民主党は現職大統領を抱える側であり、共和党は挑戦者の立場だ。

ジョー・バイデンが2期目を目指して選挙に出馬するかどうかがまず現在の関心事だ。バイデンは現在80歳(1942年生まれ)、2024年の大統領選挙投開票日あたりには82歳になっている。現在でも現職としては史上最高齢であり、2年後に当選すればこれまで史上最高齢となる。人間の寿命は確実に伸びている。先進諸国は多少の違いはあるものの高齢化社会(日本は高齢社会)である。80歳で現役は良いじゃないか、という主張もあるだろうが、判断力や健康の面で不安があるというのが正直なところだ。民主党の中から挑戦者が出る様子は今のところない。バイデンが病気やスキャンダルで2期目に出られないとなれば、カマラ・ハリス副大統領が候補者として出ることになるだろう。

 興味深いには、民主党が大統領選挙の民主党予備選挙(民主党の大統領選挙本選挙候補者決める選挙)で、各州で実施される予備選挙や党員集会の日程を変更して、アフリカ系アメリカ人有権者が選挙の結果を左右する州が早めに予備選挙や党員集会を実施できるようにしようとしていることだ。これは民主党エスタブリッシュメント派が、進歩主義派を抑え込もうとする動きである。

アフリカ系アメリカ人有権者は民主党エスタブリッシュメント派の支持基盤である。バイデンが2020年の大統領選挙民主党予備選挙で、勝利を決定づけたのはアフリカ系アメリカ人有権者の多いアメリカ南部サウスカロライナ州の予備選挙だった。早めに民主党エスタブリッシュメント派の候補者が勝利を印象付けられるようにするための日程変更である。2016年の民主党予備選挙ではバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ―モント州選出、無所属)がヒラリー・クリントンに対して東部などで善戦し、戦いが長引き、批判合戦が激しくなり、結果としてヒラリーにマイナスに働いた。日程変更はそのようなことが起きないようにしようという動きだ。

 共和党側では、エスタブリッシュメント派はトランプを排除したい、トランプ支持勢力の力を削ぎたいということになる。そのために、トランプ支持の有力者である、共和党全国委員長ロナ・マクダニエルの再任を阻止しようという動きに出ている。また、保守派の大口献金者であるコーク・インダストリーズの総帥チャールズ・コークの意を受けたフリーダム議連が、トランプの協力者であるケヴィン・マッカーシー連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)の連邦下院議長選出をことごとく妨害し続けたことは記憶に新しい。トランプが共和党の大統領選挙候補者になるかならないか、ここはアメリカ政治においての大きな焦点ということになるだろう。共和党エスタブリッシュメント派はアメリカ主流派マスコミと組んで、フロリダ州知事ロン・デサンティスの待望論を醸成してくことだろう。

 2022年の中間選挙では事前の予想に反して、民主党がそこまで負けなかった。2024年に向けて、共和党としては挑戦者として民主党に戦いを挑む形になる。今年に行われる州規模の選挙(州議会議員や州知事の選挙)は注目を集めることになる。ここで共和党が勝利を収めることになれば、2024年の大統領選挙の序盤の流れがそれによって形成されることになる。これからアメリカは少しずつではあるが、激しい政治の季節に入っていく。

(貼り付けはじめ)

2024年の政治状況を形作るであろう今年の政治的イヴェント5選(Five political events this year that will shape 2024

マックス・グリーンウッド筆

2023年1月14日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3812434-five-political-events-this-year-that-will-shape-2024/

大統領選挙での予備選挙や党員集会が始まるまでに1年以上ある。今後数カ月は、2024年にほぼ間違いなく重要な意味を持つ、アメリカ政治における重要な出来事が次々と起きることになる。

共和党と民主党の両党は、今後数週間のうちに政党のために大きな決定を下す予定で、今年11月にはいくつかの州で選挙が行われ、来年の状況がどのように見えるかについて政治ウォッチャーたちに早い段階でのプレヴューを提示する。

この論稿では、2024年について何らかのヒントを与えてくれる、今年起きる5つの政治的な出来事を紹介する。

(1)バイデンの再選表明(Biden’s reelection announcement)(日付は未定)

この2年間、民主党にとって最大の問題の1つは、ジョー・バイデン大統領がホワイトハウスの2期目を目指すかどうかということだった。そして、バイデン大統領がその意思を持っていることが明らかになりつつある。

バイデン大統領は今後数週間のうちに大統領選挙再出馬の計画を明らかにすると予想され、2月の一般教書演説の前後に発表することが有力視されている。

もしバイデン大統領が最終的に再選の選挙戦を進めるのであれば、ホワイトハウスへの野心を持つ他の民主党の政治家の動きが封じられる可能性がある。その結果、民主党は、2024年の大統領選挙で、激しい戦いとなりうる予備選挙シーズンを免れ、バイデンは、2期目の大統領就任に向けた説得にのみ集中することができるようになるかもしれない。

バイデンは、それでもなお、いくつかの疑問を抱えて再選キャンペーンに臨むことになる。80歳という年齢は、既に大統領執務室の主としては史上最高齢者である。2024年11月に2期目を勝ち取れば、大統領2期目の宣誓をする頃には82歳になっている。

もちろん、ドナルド・トランプ前大統領が再びホワイトハウスに挑戦するために選挙への立候補を表明しているが、彼はバイデンに比べてそれほど若いという訳ではない。バイデンの存在が、現職大統領と明確な対比を描ける可能性がある若い候補者選出に共和党を誘導する可能性があるかどうかが、1つの疑問点として残っている。

(2)共和党冬季ミーティング(The GOP’s winter meeting)(1月25-27日)

共和党全国委員会(Republican National CommitteeRNC)は2023年1月末、カリフォルニア州ダナポイントで開催される会合において、次期全国委員長を選ぶことになっている。そして、現在のリーダーであるロナ・マクダニエルは、共和党の組織上の最高ポストをもう1期務めようとしているが、彼女と協力者たちが期待したほどには、彼女の再選は安泰とは言えない。

6年近く全国委員長を務めてきたマクダニエルは、2016年の大統領選挙でトランプがサプライズでの勝利を収めた後、全国委員長に抜擢された。

しかし、2022年の中間選挙で共和党が連邦上院の主導権を取り戻すチャンスを逸し、連邦下院では僅差の過半数にとどまったことから、マクダニエルに対しては共和党内部からのプレッシャーが強まっている。

月曜日には、アラバマ州共和党の運営委員会はマクダニエルに対する不信任声明を発表し、共和党全国委員会委員長としてマクダニエルがもう1期務めることを支持しないと表明した。

また、マクダニエルは共和党内でトランプ前大統領の最も熱心な擁護者の1人という評価を得ているが、彼女は他の2人のトランプ支持者、共和党全国委員会のハルミート・ディロンと枕製造で大成功を収めたマイク・リンデルからの挑戦を受けることになった。ディロンは、「2020年の大統領選挙では自分に対して不正に行われた」というトランプの虚言の最も大きな後ろ盾を務める1人になってしまった。

このコンテストで全国委員長に選ばれる人物は、2024年の大統領選挙を通じて協和党全国委員会を率いる任務を負うことになる。しかし、トランプ前大統領の忠実な支持者の存在は、前大統領を党の現在の課題の少なくとも部分的な責任とみなす共和党内の人々にとって、事態を複雑にする可能性がある。

(3)民主党冬季ミーティング(The Democrats’ winter meeting)(2月初頭)

民主党の幹部たちは、民主党の伝統的な大統領予備選の日程を大幅に変更する計画を進めており、人種的に多様な各州が指名プロセスにおいてより大きな発言力を持つことを望んでいる。

この計画は、来月初旬にフィラデルフィアで開催される民主党全国委員会(Democratic National CommitteeDNC)の冬季ミーティングで主要な投票が行われる予定だ。

この新提案では、2024年2月3日の予備選は、数十年にわたって大統領予備選の集会を開催してきたアイオワ州に代わって、サウスカロライナ州が先頭に立つことになる。その次は、2月6日にニューハンプシャー州とネヴァダ州、2月13日にジョージア州、2月27日にミシガン州という順番になる。

もし、民主党全国委員会がこの新提案を採用すれば、従来の投票日程だけでなく、大統領候補の選挙戦への取り組み方も根本的に変わることになる。

もちろん、まだ障害は残っている。早期予備選の提案に該当する5州のうち、ジョージア州とニューハンプシャー州の2州は、早期に予備選を実施するための委員会の要件を満たそうと、民主党全国委員会に延長を要請している。

更に言えば、共和党は既に、アイオワ州、ニューハンプシャー州、サウスカロライナ州、ネヴァダ州の伝統的な順番を維持した予備選カレンダーを採用している。このことも、民主党が日程を組み替えることを難しくしている。

(4)保守政治行動会議(Conservative Political Action ConferenceCPAC)(3月1-4日)

毎年恒例の保守政治行動会議(CPAC)は、過去2年間、フロリダ州とテキサス州で開催されたが、今年3月にワシントンDCに戻ることが決まっている。

フロリダ在住のトランプが再び大統領選に出馬し、フロリダ州のロン・デサンティス知事(共和党)が2024年の選挙戦を考慮する中、保守派の活動家と共和党関係者の有名な集会が中立地帯に戻ることになる。

過去数年間、CPACはトランプと共和党の彼のグループの決起集会のようなものであった。しかし、今年のCPACをめぐる大きな疑問は、これまでとは異なるトーンで開催されるかどうかということだ。

一つには、トランプがもはや共和党の大統領候補として有望視されていないことがある。最近の世論調査では、仮に予備選で対決した場合、デサンティスが前大統領を引き離すという結果が出ている。更には、共和党は2022年の中間選挙の影響と、トランプが共和党を次の選挙サイクルで党を率いるのに最適な人物であるかどうかを決めかねている状況だ。

(5)2023年選挙投開票日(Election Day 2023)(11月7日)

ケンタッキー州、ルイジアナ州、ミシシッピ州の3州が今年州レヴェルの選挙を予定している。しかし、最大の関心はヴァージニア州に集まりつつある。ヴァージニア州の有権者は今年11月に州議会でどちらの党が過半数を握るかを決定することになる。

ヴァージニア州では近年、左派が確実に支持を拡大し続けていた。しかし、2021年にグレン・ヤングキン知事(共和党)がテリー・マコーリフ前知事を破り、共和党が州下院において僅差で過半数を占めると、状況が一変した。

今年は、共和党が州下院の過半数を維持するだけでなく、民主党が僅差で握っている州上院の過半数を獲得しようと試みるだろう。これらの州議会選挙がどのように展開されるかは、2024年に向けての政治環境を占う上で、何らかのヒントになる可能性がある。

同時に、ケンタッキー州のアンディ・ベシア知事(民主党)が知事2期目を目指しており、既に共和党側の対抗馬と競い合っている。

ベシアは2019年、現職だったマット・ベヴィン知事(共和党)を僅差で破り、知事職に就任した。しかし、当時の政治情勢は民主党に有利なものであったが、今年はより厳し選挙戦が待っていると予想されている。
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