古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

タグ:ドナルド・トランプ

 古村治彦です。

 

 今回は少し古くなりましたが、トランプの大統領選挙当選直後に書かれたアジアの安全保障に関する論考をご紹介します。

 

 この論文では、アジア各国は、アメリカと中国との間でどちらにも偏り過ぎない態度を取るだろうということを書いています。トランプ当選はアメリカの国際社会における衰退を示す現象、大転換であった訳ですが(オバマ大統領の時に既にそれは見えていましたが)、アジア諸国はそれを敏感に感じ取っているようです。

 

 一方、アメリカの覇権がずっと、ずーっと続かないと、それにくっついて美味しい思いをしている日本のエスタブリッシュメントは、アメリカ一択、「中国は嫌い」という感情先行で、アメリカに日本人が貯めた年金資金と新幹線を差し出すということになっています。また、軍事力を増強し、海外にも出ていけるようにして、アメリカの負担を少しでも軽減して差し上げるということもやっており、アメリカ側すれば、「勝手にいろいろとやってくれてありがとう」ということになります。が、「狡兎死して走狗烹らる」です。

 

 アメリカの忠犬を勝手に気取っていても、アメリカ自体が大転換をしたら、ただの邪魔な存在になってしまうということになります。

 

(貼りつけはじめ)

 

トランプ大統領の下、アジアのアメリカ同盟諸国はより自力での安全保障を考える可能性がある(Under Trump, U.S. Allies in Asia May Look to Themselves for Security

 

ベンジャミン・ソロウェイ筆

2016年11月11日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2016/11/11/under-trump-u-s-allies-in-asia-may-look-to-themselves-for-security/

 

長年にわたり、東アジアと東南アジアのアメリカ同盟諸国は密かに、地域の安定と安全保障に関してアメリカ依存から少しずつ脱却する用意をしてきた。バラク・オバマ大統領の外交政策の柱となり、民主党のヒラリー・クリントンが大統領に選ばれた継続されただろう、戦略的なアジアへの「回帰」(“pivot” to Asia)はあったが、アジア諸国の自立に向けた動きは続いた。ヒラリー・クリントンは選挙期間中、環太平洋経済協力協定には反対したが、彼女はアジアへの回帰路線を継続したことだろう。

 

ドナルド・トランプ次期大統領は番狂わせで選挙に当選した。そのために、東アジアと東南アジアのアメリカの外交政策は、ヒラリー当選の場合とは大きく異なることを意味する可能性がある。そして、アジアの同盟諸国の間で既に起きている自立の動きを加速させる可能性がある。

 

リンゼイ・フォードは2015年までオバマ政権の下で4年以上にわたり国防総省の高官たちに助言を行ってきた。リンゼイ・フォードは次のように語った。「アジア諸国は、アメリカの中東での失敗と予算を巡る争いを長年目撃し続けたために、アメリカの指導力は低下していると考え、危険や脅威を避けようと静かに行動している」。

 

アジア・ソサエティ政策研究所のアジア地域安全保障担当部長を務めるフォードは、火曜日の投開票日の後、声明を発表しその中で、「トランプ新政権がこうした恐怖心を払拭するために迅速に行動しなければ、アジア諸国の動きを加速させることになる」と述べている。

 

選挙戦期間中、トランプは、日本と韓国に対して、アメリカとの安全保障に関する協力関係にかかるコストをより多く負担するように求めると発言したり、アメリカの同盟諸国に核兵器を拡散させるというアイデアを発表したりしていた。東シナ海、南シナ海での紛争が激化し、北朝鮮が核兵器を開発し続けている状況で、オバマ大統領は大統領から退任しようとしている。本誌は、フォードに対して、東アジアと東南アジアのアメリカ同盟諸国が何を期待しているのかについて語ってもらった。

 

今回のインタヴューはEメールのやり取りを通じて行われた。要約と編集を加えている。

 

本誌:地域のアメリカの存在が薄くなっていくことに対して、アジアの同盟諸国がそれに備えていることの最も明白な具体例は何か?

 

リンゼイ・フォード:アジア諸国がアメリカ衰退の危険を回避しようとしていることの明確な証拠は、東南アジア諸国連合に参加している諸国が時に関与している、慎重なバランスを取る動きだ。これは、アメリカと中国の間で、経済的なつながりと軍事的な投資の面で、多様化を図ろうとする行動だ。最近のフィリピンのドゥテルテ大統領とマレーシアのナジブ首相の訪中はその具体例だ。私たちは南シナ海におけるバランスを取る動きも目撃している。アセアン諸国はアメリカ、中国双方にあまりにも近づき過ぎないように注意しながら行動している。

 

本誌:トランプはこうした恐怖感を和らげるためにどうするだろうか?

 

リンゼイ・フォード:トランプ次期大統領になっても、核の傘というアメリカの拡大した抑止力による関与は揺るがないであろう。日本や韓国のような国々が独自に核開発能力を持つべきだというトランプの初期の発言はアジアの同盟諸国を驚かせた。彼はこの初期の発言から後退するところを公に見せたいとは思わないだろうが、彼は核拡散が誰にとっても最善の利益とはならないこと、アメリカは核攻撃や挑発から同盟諸国を防衛するために投資することを明確にする必要がある。

 

本誌:日本やフィリピンのようなアメリカのパートナーは自国の軍事力を増大させようとしている。このような試みはどのように促進されるだろうか?

 

リンゼイ・フォード:安倍首相の下、日本は、第二次世界大戦が終結してから初めて、より「普通の」軍事大国になろうとして少しずつつま先を水の中に入れつつある。日本は慎重に「自衛」の意味の再定義を進め、軍事力に見当たった役割を果たそうとしてきている。この変化はこれからも促進されるであろうが、この変化にあたって、日本はアメリカの安全保障の傘に依存すべきではなく、自力で立つということを確信しなければならない。私たちは、日本が伝統的に堅持してきた国内総生産1%以内という制限を超えて国防費を増大させていくことを目撃していくことだろう。安倍政権が日本国憲法9条のより根本的な再解釈や変更を進めることを目撃するかもしれない。それに合わせて、自衛隊により「攻撃的な」能力を構築することも考えられる。このような事態の進展は韓国や中国といった近隣諸国に懸念を持たせることになるだろう。そして、中韓両国の軍事予算や姿勢に影響を与える可能性がある。

 

本誌:TPPの崩壊は安全保障に影響を与えるか?

 

リンゼイ・フォード:安全保障の観点から、TPPの崩壊の最大の影響は、アジア地域におけるアメリカの信頼性の喪失ということになるだろう。TPPとシリア問題の事後処理でアメリカが失敗していると同盟諸国やパートナーが見做し、アメリカは約束を守らないという結論に達したら、彼らは、アメリカの安全保障に対する関与と指導力を信頼しなくなるだろう。その結果、アジア地域の同盟諸国の間で、国際安全報賞状の問題、ISや北朝鮮の野心の抑制といった問題に対する対処で、支援のための連合をアメリカが中心となって形成することが難しくなる。

 

本誌:ここしばらくの大統領たちは北朝鮮との間にある外交に関する諸問題に対処することに失敗してきた。トランプのアプローチがどのようになるか、その手掛かりが存在するか?

 

リンゼイ・フォード:現在のアジアの安全保障において、北朝鮮の状況に対処することは最大の問題となっている。そして、次期大統領はすぐにこの問題に対する対処法を発表する必要がある。ドナルド・トランプが既に対北朝鮮計画を策定していることを示す兆候はほとんどない。また、彼自身がこれまで行われた対北朝鮮政策の失敗について理解しているとも考えられない。北朝鮮問題についての簡潔な声明の中で、トランプは中国に対して単に「北朝鮮についてはあなたたちの問題だ」と言うだろうことを示唆している。中国に任せてしまうというアプローチは失敗してしまうだろう。これからの数か月、北朝鮮問題や他の問題で、トランプが創造的な、全く新しい考えを思いつくことに期待するしかない。

 

本誌:台湾はトランプ大統領の下でリスクが増大するだろうか?

 

リンゼイ・フォード:トランプ大統領の下で、台湾がどのようになるかを予想するのには少し早すぎると思う。台湾はこれまで、アメリカ連邦議会内部で超党派の強力な支援を受けてきた。しかし、アジアの残りの地域のように、台湾も新政権について分析するための時間と、物事がどのように動くかの雰囲気を探る必要だ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)









アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22

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 古村治彦です。

 

 昨年、国会がIR法案を可決し、日本国内でのカジノ開業解禁に動き出しました。日本でカジノが作られる場所として、東京のお台場、横浜、大阪が候補となっています。下に貼り付けた記事では、2つの場所(人口が密集している地域と書いてありますから、東京と大阪のことでしょう)に開業すれば100億ドル(約11300億円)、全国展開すれば250億ドル(約28000億円)の収入につながると言われています。この250億ドルという数字は、2015年のラスヴェガスの総収入の4倍と書いてあります。2カ所に開業しての100億ドルでもラスヴェガスの1.25倍程度の数字ということになります。

 

 ラスヴェガスの収入が年間で1兆円に届かないということに驚きましたが、日本でカジノを開業すれば、ラスヴェガスを超える収入を得られるということになれば、当然、加地の推進の人々は力が入ります。また、この収入に税金をかければ税収増が見込める訳ですから、財務省も賛成するでしょう。しかし、この収入が日本人、日本の会社に主に入るのかどうか、外国からの参入には優遇措置を行うのかどうか、これらは変わってきます。

 

 カジノ産業にとって、潜在力を持つ魅力的なフロンティアである日本で、カジノを解禁するとなれば、「是非参入したい」という運営会社は数多くあるでしょう。日本側は選ぶ立場、こちら側に有利な条件を提示できる立場にあります。最初にやり過ぎかなという位の条件を提示してから交渉をするということだってできるでしょう。

 

 日本でも見かけるハード・ロック・カフェですが、ハード・ロック・カフェもまた家事を運営しているそうで、日本参入を目指して動いているようです。ハード・ロック・カフェで日本進出の準備に携わるのは、トランプ・オーガナイゼーションにいたジェームズ・アレン、エドワード・トレーシーという人たちだそうです。この2人はトランプ大統領とも関係が深いでしょうから、それをアピールポイントにして、日本側に食い込もうということでしょう。

 

 ここで問題は、このような海外からの進出企業に対して、日本はどれだけ利益を守ることができるか、ということになります。ビジネスをしてもらうのは良いですが、利益についてきちんと納税し、かつ日本人もきちんとした待遇で雇用してもらわねばなりません。しかし、相手は海千山千でもありますし、交渉で自分たちに有利な状況を生み出そうとしてくるでしょう。そうした状況になった時に、今の日本、特に貢物が大好きな安倍氏率いる政権と自民党が日本人のために戦ってくれるのだろうか、しかも相手がアメリカとなったら、ということが今から心配です。というよりも、おそらく、自分たちがキックバックをもらうなどして、相手の言うことを聞くんだろうという諦めの気持ちになっています。

 

(貼り付けはじめ)

 

Business | 2017 02 22 09:47 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース

 

●「ハード・ロック・カフェ、日本のカジノ運営で4060%出資視野」

 

ロイター通信

http://jp.reuters.com/article/hardrock-cafe-ir-japan-idJPKBN161033?feedType=RSS&feedName=topNews&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+reuters%2FJPTopNews+%28News+%2F+JP+%2F+Top+News%29

 

[東京 22日 ロイター] - ハード・ロック・カフェ・インターナショナル(本社米フロリダ州)の最高経営責任者(CEO)、ジェームズ・アレン氏は21日、日本でカジノを含む統合型リゾート(IR)を運営する場合、運営会社の株式の40─60%保有を視野に入れていることを明らかにした。

 

ロイターとのインタビューで述べた。

 

ハード・ロック・カフェ・インターナショナルは、米国、カナダ、ドミニカ共和国でカジノやホテルを運営している。日本でのカジノを解禁するIR実施法案の成立のほか、立地や運営会社などの選定が始まるのに備え、ハード・ロックは日本の代表として、ラスベガス・サンズ(LVS.N)の子会社サンズ・チャイナの社長を務めたエドワード・トレーシー氏を日本支社のCEOに起用したばかり。

 

アレン氏とトレーシー氏は、1980年代後半から90年代初めにかけて、ドナルド・トランプ米大統領のホテル、不動産、ゴルフなどを営むトランプ・オーガナイゼーションで共にキャリアを積んだ。トレーシー氏はいったん現役を退いていたが、ハード・ロックの日本拠点の設立のため現場復帰した。

 

IR実施法案では、運営会社に課せられる税率なども決まる見通し。アレン氏は、ハード・ロックの出資比率やその規模は、そうした法案の詳細によるとしたうえで、「レンジとして40─60%の出資比率を考えている。協業することになるパートナーも、投資家としてお金を出すというだけでなく、互いに関係を築き、(事業に)参画・運営することが大事だと考えている」と語った。

 

協業し得る企業について、アレン氏は「われわれは約20─30社を抽出し、中には面談した会社もあれば、今回(の日本訪問を機に)会うところもある。現在、関係を構築している」と述べた。

 

国内でカジノ運営が解禁される場所は、まだ決まっていない。アレン氏も同社がIR設立を希望するロケーションについては明言しなかった。

 

=====

 

カジノ解禁で海外運営会社が日本に熱視線-ラスベガスの4倍の収入も

 

Bruce Einhorn、黄恂恂、Daniela Wei

ブルームバーグ日本版 20161227 08:10 JST

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-26/OIKETJ6K50YD01

 

10年余りにわたり世界のカジノ業界の中心はマカオだったが、中国政府の反腐敗運動で同地へのVIP客は大きく減少した。この穴を埋める次の目玉として業界が期待しているのは、日本のカジノだ。何年も遅れたが、日本の国会で15日、カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法がとうとう成立した。

 

日本のカジノは単独という形にはならず、シンガポールで米ラスベガス・サンズやマレーシアのカジノ大手ゲンティンが運営しているような大型リゾート施設の一部となる見通しだ。この2つのIRは、シンガポールをマカオとラスベガスに次ぐ世界3位のカジノ市場に押し上げた。

 

ただ、ユニオン・ゲーミング・グループのアナリスト、グラント・ガバートセン氏は、日本はアジアの他のどのカジノ市場とも異なる市場になるだろうと予想。日本は人口が多く、国民1人当たりの所得が高いため、中国など外国からの顧客に頼る必要がないからだという。投資銀行CLSAの推定によると、日本の年間カジノ収入はいずれ250億ドル(約3兆円)超に達する可能性がある。これはラスベガスの昨年のカジノ収入の4倍近くに相当する。ガバートセン氏は、カジノ運営会社にとって「日本は開発すれば、近い将来に最大の収入とキャッシュフローを生み出してくれる未開拓の機会だ」と述べた。

 

これは、日本でのカジノ解禁に向け活発にロビー活動を繰り広げてきたラスベガス・サンズやMGMリゾーツ・インターナショナルなど、グローバル展開するカジノ運営会社にとって歓迎すべきニュースだ。

 

ハード・ロック・カフェ・インターナショナルのアジア事業開発担当シニアバイスプレジデント、ダニエル・チェン氏は「日本は超大型版シンガポールとなり、マカオを抜く可能性さえある」と指摘した。

 

MGMはすでに東京に開発チームを設置し、知名度を上げるために歌舞伎の後援も行っている。マカオで2つのカジノ施設を運営するウィン・リゾーツも、日本進出に熱意を示している。スティーブ・ウィン最高経営責任者(CEO)は発表文で、「完全に日本でのチャンスであり、100%興味をそそられる」とコメントした。

 

国会は1年以内にIR運営上の規制方法など詳細を詰める必要があり、その後に事業者が認可を申請できるようになる。CLSAのリポートによれば、人口が集中する場所に2つのIRを開業すれば、100億ドルの収入につながる可能性があり、これが全国展開で250億ドルに膨らむ公算もある。ただ、建設時間も必要なため、カジノ開業まであと10年近くかかる可能性がある。

 

ここで参考にするため、注目されるのがシンガポールだ。安倍晋三首相は2014年、シンガポールのIR2施設を視察。両施設はカジノやホテル、会議場、ショッピング施設や劇場に加え、テーマパークや水族館まで備えている。シンガポールの昨年のカジノ収入は48億ドル。

 

CLSAのアナリスト、ジェイ・デフィバウ氏は、IRという形を取ることで日本のカジノ施設は急速にスケールを拡大できるだろうと指摘。会議場からだけでも「一度に数万人の訪問客」が見込めると述べた。

 

日本ではカジノ解禁となったものの、国民の支持は低い。NHKの最近の調査によると、カジノ解禁に「賛成」は12%、「反対」が44%、「どちらとも言えない」が34%だった。それでも、雇用と税収の増加が期待できるとして政界の支持を得た。コナミの坂本哲専務は電子メールで、日本のIRにとって大切なのは「雇用、経済効果、そして税収を確保すること」だと指摘した。

 

シンガポールでは国民のギャンブル依存を予防する意図もあり、国民は100シンガポール・ドル(約8100円)のカジノ入場税支払いを求められる。人口のもっと多い日本で同様の規制をすべきかは決まっていない。

 

大阪商業大学総合経営学部の美原融教授は取材に対し、「日本は他国に影響されない戦略を取るだろうと思う」とコメント。「キャッシュフローをまず日本人で固めて、それにプラスアルファで外国人。特に中国のVIPにあまりこだわる必要はない」と述べた。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)








アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22

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 古村治彦です。  

 今回は、2017年3月3日に発売されます、『ザ・フナイ』2017年4月号をご紹介いたします。『ザ・フナイ』は、日本の経営コンサルタントの草分けである故船井幸雄先生が創設した船井本社が発行する月刊誌です。今回は、船井本社の社長である船井勝仁氏、副島隆彦先生、そして私で鼎談を行いました。鼎談のタイトルは、「トランプ勝利予測の真実を語る」です。

 thefunai201704001
ザ・フナイ 2017年04月号 (メディアパルムック)
 
 今回の鼎談は、副島先生がメインとなって、アメリカ政治、特に『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち (講談社+α文庫) 』(講談社、1999年)第4章で日本に紹介した、アメリカの政治思想の潮流について再び分かりやすく説明し、トランプ勝利となって表面に現れたアメリカ政治の底流の動きについて語っています。

 
 今回の鼎談は、『』2017年4月に前半部が、2017年5月号に後半部が掲載されます。前半部は副島先生によるアメリカ政治思想の潮流のお話が多く、勉強になります。私も何とか後半部で発言をしておりますが、力不足を痛感しております。  興味のある方はぜひ手にとってご覧くださいませ。  

 宜しくお願い致します。

 (終わり)







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 古村治彦です。

 

 今回は少し遅くなりましたが、日米首脳会談の直前に発表された論稿をご紹介します。

 

ドナルド・トランプ大統領の選挙中の様々な発言、「在日米軍の撤退」「日本の核兵器保有を容認」、といったことで、日本側が、日米関係、日米同盟に関して疑心暗鬼になっている(いた)ことは知られていました。そこで、日本の年金資金と新幹線をアメリカに差し出すことで、トランプ政権の歓心を買おうという決定を行いました。

 

 そして、首脳会談を迎え、トランプの上機嫌な行動に、安倍晋三首相も安心したのか、しまりのないニヤケ顔に終始していました。それはそうでしょう。首脳会談は、国益がぶつかり合う場所であり、厳しい交渉の場所です。掴み合い寸前ということだってあるでしょう。日ソ国交回復交渉の過程で、漁業交渉のためにモスクワのクレムリン宮殿に乗り込んだ河野一郎農水相はブルーガーニンと怒鳴り合いの交渉をしましたが、交渉は成立し、日ソ交渉は進展しました。それなのに、最初から相手が望むものをそのまま持っていて差し出すというガキの使いに対して、「やぁやぁよく来た」と笑顔で対応するのは当然です。子供の頃に近所にお使いに行くと、お店のおかみさんから雨やらジュースやらをもらった経験は多くの皆さんは持っておられるでしょう。安倍首相は対等な交渉相手ではなく、子供のお使いとしか扱われませんでした。

 

 ここまでしたのですが、読売新聞によると、アメリカ政府の高官は日本側に対して、「次はこんなに甘くはないからな」と捨て台詞を吐いたということです。年内のトランプ訪日も決まりましたが、ここではどんなお土産をお持たせしてお帰り願わねばならないのか、恐ろしいほどです。

 

 日米同盟、日米安保条約は、米軍の日本駐留が主目的であって、日本防衛は二の次です。しかし、そうした本質を隠し、「アメリカ軍が日本を守って下さるのだからありがたい、だから様々な嫌なことは甘受しなくてはいけない(しかし、東京の自分たちには見えないようにして地方に押し付けて、金をくれてやればよい)」ということでここ数十年、やってきました。しかし、トランプ政権出現で、これまでの日米同盟が変質してしまうと慌てているのは、日本側です。ここ数十年、金さえ払い続けたら(自分のカネではなく税金)、楽しい良い思いをしていた、自分たちの生活の基盤が脅かされるという感覚に捉われているようです。

 

最近読んだ記事の中でなるほどと思わされたタイトルが、「アメリカを再び偉大に(Make America Great Again)」とは、「アメリカの覇権を再び偉大に(Make American Hegemony Great Again)」ではない、というものでした。アメリカが世界の警察官であることを止めるとは、アメリカ軍を世界各地から撤退させるということです。このアメリカの覇権に寄りかかって生きてきた日本側のエスタブリッシュメント(支配者層)は、アメリカの覇権の衰退に慌てていると言えます。

 

 そして、アメリカの経済が持ち直して、アメリカが自身を回復したら、再び覇権主義的な動きを取り戻すのかもしれないということなのか、日本から積極的に投資をして、アメリカの景気を上向かせ、雇用を増大させようということで、年金資金と新幹線を差し出すことになりました。しかし、アメリカ側はそれは当然の貢物として受け取るだけで、日本に何も見返りを与えませんでした。日米安保に関して、これまでと同じ内容を繰り返すだけでした。

 

 アメリカの世界における立ち位置が変化する中で、日本もまた変化していかねばなりませんが、その発想が現在の日本側のエスタブリッシュメントにはないようです。そして、たとえ変化しなくては、という思いはあっても考えつくのは、新発想でもなんでもなくて、昔ながらの従属か、それではなければ自大です。

 

 私は今回の日米首脳会談を見ながら次の言葉を思い出していました。

 

 「狡兎死して走狗烹らる」(必要なときは重用されるが必要なくなればあっさり排除される)

 

 アメリカの立場が変われば、日本はどうなるか分かりません。ですから、弱い立場にある以上、変化を敏感に感じ取って、先回りで変化するくらいでなければ、生き残ることはできません。しかし、その危機を察知するための生存本能に基づいた機能が致命的に欠如してしまっているようです。


 私もまた日本国民として、煮られてしまうのでしょう。私は自民党の候補に投票したことは人生で一度としてありませんでしたが、それでも、日本国民としてこの運命を享受しなければと思っています。ちょっと大きく書き過ぎましたが。

 

(貼りつけはじめ)

 

日米同盟はトランプ大統領の下で生き残れるのか?(Can the U.S.-Japan Alliance Survive Trump?

 

ローラ・ローゼンバーガー筆

2017年2月9日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2017/02/09/can-the-u-s-japan-alliance-survive-trump/

 

懸念、不安、混乱、困惑。先週、これらは、私が東京で日本政府関係者と専門家たちと会って言われた言葉だ。彼らはトランプ政権の外交政策に対する姿勢とそれが日本にとってどのような影響を及ぼすかを理解しようと努めていた。

 

彼らはドナルド・トランプ大統領の選挙期間中、もしくは過去30日間の発言内容について懸念を持っている。トランプはアメリカと各国の同盟関係と日本を批判した。日本政府関係者と専門家たちは、トランプが同盟の価値を理解できるかどうか、疑問を持っている。

 

日本政府関係者と専門家たちは、トランプの取引を基礎とする姿勢に懸念を持ち、トランプが経済と貿易の問題を安全保障を結びつけるだろうという恐怖心を持っている。同盟関係を人質にし、アメリカが日本の安全保障に参加するかどうかをはっきりさせないのではないかと考えている。

 

日本政府関係者と専門家たちは、トランプの「アメリカ・ファースト!」が何を意味するのか、特にアジア・太平洋地域におけるアメリカの関与にとってどういう意味を持ち、影響を与えるのか、アメリカの指導力と存在がこれからも継続するのかどうか、について憂慮している。

 

日本政府関係者と専門家たちは、アメリカは、世界の安全保障、繁栄、安定を長年支えてきた国際秩序と海洋法に対する関与を止めてしまうのではないかと心配している。現在、安倍首相は既存の国際秩序と海洋法の維持のために大きな投資をしているが、これは中国の台頭に備えるためでもあるのだ。

 

日本は、アメリカの撤退後に残された空白を埋めるために中国が進出してくることを懸念している。中国の習近平国家主席は世界経済フォーラムで行った演説で、中国をグローバライゼーションが進んだ世界における指導者だと形容した。

 

アメリカの核の傘によって提供されている日本も覆われている抑止力や共通の敵に対する抑止力を含む、日米両国の協力と信頼についての明確な理解に基づいて日米同盟は存在している。しかし、トランプ政権がこうした理解を持っていないために予測不可能な動きをするのではないかと日本側は懸念を持っている。トランプのツイッターでの発言に困惑している。

 

彼らは、トランプ政権の内部で誰が力と影響力を持っているのか、誰の発言が重要なのかということを知りたがっている。

 

日本で話をした人々に対して、安心させる言葉や説明をするための言葉を私は持ち合わせなかった。彼らはトランプの型破りな外交姿勢に困惑していた。トランプは、政権の目的や戦略を明確にする前に「一つの中国」政策を放棄するという脅しをかけたし、オーストラリアのターンブル首相との間で不必要ないさかいを起こしたりした。

 

しかし、日本にとっての唯一の選択肢は、日米同盟を機能させようとすることだ。アメリカとの同盟は、日本が大きな脅威だと考えている、攻撃的な、台頭しつつある中国に対する防波堤となる。他方、日本にとっての最大の脅威は、アメリカが日本を見捨てて中国と交渉をしてしまうことだ。トランプの対中姿勢はいまだに明確になっていない。また、日本政府関係者の多くは、トランプが台湾を交渉材料にするという考えを気軽に実行するかもしれないと憂慮している。しかし、トランプが経済問題について強硬な姿勢を取り、タカ派的である点は、日本政府を安心させ、「中国の攻勢に対して、日米同盟に基づいてアメリカがそれを押しとどめる役割を果たしてくれるかもしれない」という希望を持たせている。

 

現在のところ、日本政府は疑いつつの楽観主義を採っている。彼らは、安倍晋三首相がトランプとの間で個人的な信頼関係を形成し、トランプが長年持ってきた日本に対するマイナスの考えを払拭することができるに違いないと考えている。そして、トランプに対して、事実と数字を使って日米同盟の重要性を説明すれば、トランプを納得させられるという希望を持っている。

 

ジェイムズ・マティス国防長官が2月の第一週の週末に日本を訪問した。日本政府は、アメリカが引き続き日米安全保障条約に基づいて日本の防衛に関与してくれることを確認し安堵した。アメリカの関与には、日本が施政権を持ち、中国が領有権を主張している(Japanese-administered, Chinese-claimed)尖閣諸島への日米安保条約の適用や地域に対するアメリカの関与を維持するといったことが含まれる。しかし、これは最低限のラインに過ぎない。マティスの訪問と発言は重要な出来事であったが、多くの日本人はマティスはトランプの考えを述べたものなのか、疑問に思っており、金曜日からの日米首脳会談がより重要さを増している。

 

日本政府は、その重要性が分かっているために、会談に備えて、トランプについて、個人的な面や世界観を含むあらゆる角度から徹底的に研究をしている。彼らは現実的な思考をしており、TPPが既にお流れになっていること、そして、その代わりにトランプの掲げる政策、特にインフラ整備を支えることにある二国間の経済協力に関する提案を行わねばならないことを理解している。日本側は、トランプが日本に更なる防衛面での負担増加を強く求めてくることに対して準備をしている。また、新しい武器システムに関する協力の提案も受け入れる準備をしている。一方で、トランプに対して、日本の貢献と日本の貢献によってアメリカが享受している利益に関する様々な事実を示して理解を促そうとしている。また、彼らは安倍首相がトランプとの個人的な関係を構築するための計画を練っている。その中には、ゴルフも含まれている。

 

しかし、私は彼らの試みに関してその効果を疑問視している。事実や数字でトランプ政権を説得できるか疑問だ。こうした事実を重要視しないかもしれないし、日米同盟について、お金の問題にとどまらず、同盟そのものについての疑問を持ち出すことも考えられる。そして、アメリカが各国との同盟関係から利益を得ているのかという根本的な疑問を持ち出すこともあり得る。そして、首脳同士の個人的な関係があったとしても、同盟諸国を安心させ、敵を抑止するために必要な予測性と明確性を欠いているトランプ政権の同盟に対する取扱いには危険が存在する。

 

こうした逆風の中、日本側が出す最初の一手は効果を発揮する可能性が高い。安倍首相はトランプと個人的な信頼関係を構築することができるかもしれない。ホワイトハウスは、対中政策の達成のためには、強力な日米同盟の存在が必要不可欠であること、日本が大きな貢献をしている日米同盟からアメリカが利益を得ていることに気付く可能性が高い。このように認識することができれば、それはアメリカにとって素晴らしい事となるだろう。

 

しかし、日本政府側では、特定にアメリカの政策や関与についてだけでなく、あらゆる面から疑問を持っている。日本側は、日米関係の性質そのものに疑念を持ち、現在のような日米関係が永続するのかどうかを不安に思っている。アメリカはこれまでの70年間と同じ形の指導者としてこれからも君臨するのだろうか?アメリカは安定のための勢力、海洋法の守護者、友人にとっては頼りになり、敵にとっては恐怖となる、頼りになり行動を予測できる同盟国であり続けるだろうか?2015年、安倍首相はアメリカ連邦議会上下両院合同会議で演説をし、その中で、日米同盟を「希望の同盟」と呼び、日米が「しっかりと手を携えて世界をよりよく、より暮らしやすくするために努力する」と述べた。安倍首相は、同盟について、「常に私たちが共有する法の支配や人権と自由の尊重という価値観を重視する」ものだとも述べた。こうした同盟感をアメリカも持っているのだろうか?

 

日米同盟の根幹となる考え方などは何とか存続するように思われるが、トランプの外交政策のために、日米同盟に関するより広範な戦略的考え方は動揺しているように見える。トランプはアメリカのアジアからの撤退、国際秩序の軽視、国際環境を整えているルールを基盤としたアプローチに対する低評価を掲げている。しかし、より狭い定義を基礎とする同盟関係は、トランプの外交政策が引き起こす混乱によって傷つけられるのだろうか? それとも、アメリカがアジア地域で直面している様々な挑戦についてそれらを明確にすることだけで十分なのだろうか?

 

アメリカは、日本がアジア地域においてより大きな役割を果たすように促すために、大きな投資を行ってきている。しかし、日本のアジアにおける役割とはあくまでアメリカとの関係を基礎としているものであり、それに依存している。アメリカは、北朝鮮の核兵器とミサイル開発プログラムに対峙するために、日本と韓国、それぞれとの強固な関係を必要としている。 韓国内の政治の激動に直面して米韓同盟もまた動揺している面もある。アメリカは、中国に国際ルールを守らせるために、地域的な枠組みや機構を必要としている。そして、南シナ海と東シナ海における中国の攻勢をチェックするためにより同盟関係やパートナー関係を強化しなければならない。そして、アメリカはアジア地域の大国との同盟関係との関係を強化し、中国の攻勢に対して武力で対抗できるようにする必要がある。アメリカが退場した場合、これらの国々の対中姿勢はどの様なものとなるだろうか?

 

日本政府関係者がこれらの大きな疑問について答えを持っているのかどうか明確ではないし、トランプとの関係を築くことに失敗した場合の次の計画を持っているかどうかも不明だ。アメリカが退場した後に出来る空白を埋め、アジア地域における指導的な役割を果たす準備をしているとも思えない。また、中国と韓国との関係をどのようするのかと伊考えもはっきりしていない。

 

金曜日のトランプ・安倍会談には多くの注目の目が注がれることになるだろうが、私たちは、トランプのこれまでにはない外交政策によって日米同盟は影響を受けることないということが見えた場合でも、今回の首脳会談を「成功」と結論付けることは控えるべきだろう。日米同盟にとっての本当の試練はまだ姿を見せていないのだから。

 

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 古村治彦です。  

 2017年2月11日、日米首脳会談がワシントンDCのホワイトハウスで行われました。その後、フロリダ州の高級リゾート(トランプ所有)で夕食会が行われ、その翌日にはゴルフを行うということです。  トランプや日本政府のツイッターやフェイスブック上では、安倍晋三首相と仲良さげに写っている写真が掲載されています。トランプが10数秒間安倍首相と握手をしている様子もテレビで流されました。  

 アメリカの雇用を生み出すために、「日米成長雇用プログラム」で、日本の年金を差し出すことは安倍首相の訪米前には既に決定していますが、資金の行先はどうも、アメリカ国内の高速鉄道(新幹線)の建設になりそうです。トランプ大統領は、中国や日本の高速鉄道に言及し、アメリカでも建設を進めたいと発言しました。日本の投資で新幹線を建設することは、どれほど買い叩かれるかは分かりません。  

 以下にご紹介する論文は、保守系のシンクタンクの研究員が書いたものです。内容は、簡単に言うと、「日本は、トランプ政権にとって役立つことを証明しなければならない」「アメリカの国益にかなう存在にならねばならない」というものです。  お金の面でも、そして、外交・軍事の面でも「最前線」に立つ国家となることが、日本にとっての賢い選択だということですが、日本の国益については全くと言ってよいほど、考慮されていません。この点はアメリカ人の研究者が考えることではなく、日本の政治家が考え、行動すべきですが、安倍首相のこびへつらった、浮ついたニヤケ顔の写真を見ていると、そんなことを求めるのは不可能なのだという気持ちにさせられます。

(貼りつけはじめ)

日本はいかにしてトランプと「一緒に」勝利できるか(How Japan Can ‘Win’ With Trump)

ダニエル・トゥワイニング筆
2017年2月2日
『フォーリン・ポリシー』誌
https://foreignpolicy.com/2017/02/02/how-japan-can-win-with-trump/

日本の安倍晋三首相は、11月に諸外国の首脳の中で最も早くトランプと会談を行った。2月3日、ジェイムズ・マティス国防長官は新国防長官初めての外国訪問として、日本を訪問する。こうした一連の動きは、日本政府がトランプ政権の外交・安全保障政策において重要な役割を果たすことになると示唆している。しかし、日本政府の高官たちは、トランプの興味をそそるために、日米同盟関係の協力について明確にするために賢くならねばならない。日本はこれができる稀有な立場にある。日本は、アメリカ国内、海外における日米共通のゴールをトランプが達成できるように貢献ができる方法は数多くある。

第一に、トランプ大統領は、日米同盟の価値に懐疑的になっているが、日本は、アメリカにタダ乗りしているのではなく、同盟国のお手本として、太平洋の平和を維持するために負担を分担していることを示さねばならない。日本は、沖縄に駐留している米軍に対する予算的な援助を行っている。その結果、米軍はカリフォルニア州に駐屯するよりも安い経費で沖縄に駐留できている。日本は現在まで国防予算を増加させ続けており、自国の防衛のためだけではなく、アメリカの防衛のために、洗練された軍事能力を持った部隊を展開させている。その一例として、北朝鮮のミサイルに対する防衛における協力が挙げられる。日本は、アメリカの同盟諸国、インドや東南アジア諸国、NATOとの軍事的な協力関係を拡大し続けている。これらの同盟諸国はアメリカ軍との協力を行えるように軍事能力を強化している。日本はアメリカ軍の地球規模での展開を支援している。それには中東やアフガニスタンにおける展開も含まれている。

第二に、より強力な同盟国としての日本は、トランプの最終的な目標である、アメリカを「再び偉大にする」ことに貢献できる。トランプは、力を増大させつつある新興大国からの挑戦を受けつつある中で、アメリカの力と影響力を増大させたいとしている。中国とロシアは同盟国をほとんど持っていないし、その力は限定的だ。そして、アメリカと、アメリカと競争している国々との間の違いは、アメリカは地球を覆う同盟諸国のネットワークを持っている点だ。ある国が偉大な力を持つということは、その国従う国にとっては重要であり、日本をはじめとする多くの国々は、アメリカとパートナーになりたいと望んでいる。アメリカとの同盟に対する日本の継続的な支援は、アジアにおけるトランプの目標達成をより容易にすることだろう。トランプのアジアにおける目標は、中国のアジア地域の支配を阻止することである。日本が同盟関係に貢献することで、アメリカは有利な立場に立ち、ライヴァル諸国に対して比較優位の立場に立てるのだ。

 第三に、日本の指導者たちは、新たにワシントンにやって来た支配者たちに対して、「日本は貿易における脅威などではなく、根本的に経済協力者である」ということを理解できるように手助けをしなければならない。日本はアメリカに対する投資を行う外国としてはトップグループに入っている。アメリカ国内で年間販売される日本車約400万台のうちの約75%は北米で生産されている。日本の自動車メーカーは、トランプが守ろうとしている給料の高い製造業の仕事に数多くのアメリカ人を雇用している。 現在の日本は1980年代の「日昇る」日々の時のような、アメリカにとっての輸出に関して脅威ではなくなっている。日本ではなく、中国によるアメリカ企業の買収はアメリカの国家安全保障にとってリスクとなる。日本企業と日本の資本は、トランプがアメリカの有権者に約束した、アメリカの復活にとって重要な存在となる。それは、アメリカと日本の経済活動はその大部分は、伝統的な貿易の流れよりも、国内における生産と投資から生まれているものであるからだ。

4番目に、トランプがアメリカの経済成長のために始めようとしている米国内のエネルギー革命を日本は支援できる。日本はエネルギーに関してほぼ輸入に依存している。今年の1月初旬に、アメリカから初めて輸出された液体化された天然ガスを積んだ船が日本に到着した。伝統的な石油と天然ガスの生産、更には新技術の利用によるシェール・ガスや「タイト」オイルの生産が進むことによって、北米におけるエネルギー生産能力は、アメリカ市場の吸収力を超えるものだ。国内のエネルギー生産を促進するためには、海外市場への輸出が重要となる。現在のところ、日本は中東のリスクを抱える原産国からのエネルギー供給に依存している。そのような日本にとって、アメリカからのエネルギー輸出は、安定供給と政治的なリスクがないという利点がある。

エネルギーにおける日米協力によって、日米の経済と安全保障を確実にするためにウィン・ウィン関係を構築することができる。 トランプはTPPからの離脱を表明した。これはアメリカにとって不幸なことであった。こうした中で、アメリカのアジアの経済に対する関与において、日本は重要な存在となる。これが第五の点である。TPPは、日米間の貿易・投資の自由化がその中核にあった。その中にはアメリカが得意とするサーヴィス、農業、ディジタルといった分野が含まれている。 トランプはアメリカの重工業製品の輸出を即することに注力している。実際、アメリカの経済の生産高の80%以上がサーヴィス産業と「ソフトウェア」が生み出したもので、中国やそのほかの発展途上国がより低いコストで生産している「ハードウェア」産業が占める割合は20%以下なのだ。アメリカはサーヴィス部門では年間4000億ドルの貿易黒字を計上している。トランプ政権は、TPPの中のアメリカの経済競争力を支援する部分を抜き出し、TPPによっても残されていた相違点を解消するために、日本と二国間交渉を行うだろう。

第六の点として、トランプ政権下で新たな状況を迎える米ロ関係において、日本は要素の一部となるだろう。安倍首相はロシアのウラジミール・プーティン大統領との間で、日露関係をリセットしようとしている。これによって、第二次世界大戦以来の北方領土をめぐる争いに決着をつけたいとしている。アメリカと同様、日本にとっては、ユーラシアを支配し、ユーラシア大陸の沿岸部に存在する自由主義諸国に脅威することになる中露同盟の形成を阻止することが重要な国益となる。トランプが純粋に、アジアにおける中国の台頭をけん制するための関係を築くためにロシアとの関係を改善したいと望むならば、日本はこの試みのための、重要なパートナーとなるだろう。

第七の点として、トランプは明らかに中国との間の競争的な関係に直面している。この状況下で、活性化された日米同盟は、アメリカに有利な立場をもたらす。そして、中国にとってはアメリカと直接対峙するにあたって、日本も考慮に入れねばならず、状況が複雑化する。安倍首相率いる日本は、アジアにおける覇権を主張する中国の野心に対峙している。この点で、日本は、アメリカと同じ目標を持つ、最前線に立つ国家ということになる。アメリカは、中国が影響圏を拡大することで、経済成長著しいアジア地域における経済と軍事的なアクセスを制限されてしまい、利益を失ってしまうことになる。 日本政府の高官たちは、トランプが日本に何の相談もなく中国と交渉をして、日本の国益を損なう合意をするのではないかという不安を感じている。その中には台湾の安全保障問題も含まれる。トランプ政権は、現在のアジアの海洋秩序を維持する、南シナ海の公海における支配権を求める中国の野心をけん制し、民主諸国家と中国に懸念を持つヴェトナムのような国々のためにアジア地域の軍事バランスを強化するといった目的のために、日本とより緊密に協力するという賢い選択をすることになるだろう。

古くからのアメリカの同盟諸国の多くは、自分たちに価値を置かない、大事にしてくれないと感じているアメリカの政権との交渉の先行きに絶望している。日本のような重要な同盟国にとっての賢い行動とは、トランプ政権の外交政策と経済政策における優先事項の解決にとって重要な存在となることだ。そのためにアメリカとの間の緊密な関係を維持し、アメリカにとっての価値を増やすことができるということを示すべきだ。

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