古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ドナルド・トランプ大統領

 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ大統領の「アイソレーショニズム(国内問題解決優先主義、Isolationism)」「アメリカ・ファースト(America First、アメリカ国内の状況を第一に考える)」という言葉は日本で通じる言葉で言えば「アメリカ国民の生活が第一」ということになる。2016年のトランプの選挙公約は、「世界中に展開しているアメリカ軍を撤退させる」というものだった。これに人々が惹きつけられた。

 2008年のバラク・オバマ旋風も「チェンジ」「イエス・ウィ・キャン」というスローガンで隠されているが、ジョージ・W・ブッシュ政権の外交政策や国家安全保障政策、ネオコンが主導した諸政策の失敗に対する反対が根底にあった。しかし、オバマ政権第一期では、選挙で激しく戦ったはずのヒラリー・クリントンを国務長官に起用した。案の定、ヒラリーとその一派は余計なことをして中東を混乱に陥れてしまった。また、リビアではベンガジ事件が起き、ヒラリーの側近クリストファー・スティーヴンス大使が死亡することさえ起きた。ヒラリー派は「人道的介入主義派」と呼ばれ、共和党系のネオコンと親和性が高い。世界中に介入して、「世直し」をしてやろう、そうすることが世界平和への道だと宗教のよう信じ込んでいる人々だ。

 2003年のイラク戦争には、当時、民主党所属の連邦上院議員だったヒラリー・クリントンもそしてジョー・バイデンも賛成している。「好戦的な戦争屋(war monger)」の最たるものではないか。

 ジョー・バイデン政権(仮)で、国家安全保障政策や外交政策の分野で、どれだけヒラリー派の人々が登用されるのだろうかと私は心配している。「トランプ大統領が負けた、やったやった」と日本で投票権もないのに喜んでいるのは、単細胞の考えの足りない人々だ。これからどれだけの厄災が起きるのか、と常に悲観的に備えておくことが考え深い人たちのやることだ。
christophercmiller001

クリストファー・ミラー
 トランプ政権はアメリカ軍の撤退を進めようとしている。マーク・エスパー国防長官が解任され、クリストファー・ミラーが国防長官代理に任命された。ミラーは「全ての戦争は終わらせられなければならない(All wars must end)」という衝撃的な言葉を発した。好戦的なアメリカの国防長官が戦争を止めようと言ったのだ。「アメリカと一緒になって、中国と韓国をやっつけてやる」と言葉だけはお勇ましい日本国内のアホ右翼に聞かせてやりたい。彼らは「それじゃジョン・レノンと同じじゃないか!」と呆れて驚き、自分たちが上ったはしごが外されたと感じるだろうか。

 エスパー国防長官とその側近たちが更迭されているのは、トランプ大統領の意向に沿う動きをしなかったからだ。それがアメリカ軍の撤退であり、こうした人間たちは自分たちは快適なオフィスにいて、下っ端のことなど書類上の数字でしかとらえない。

 クリストファー・ミラーはジョージ・ワシントン大学時代にROTC(士官養成プログラム)を利用して、大学を卒業後に米軍に入隊している。特殊作戦部隊(グリーンベレー)に所属していたこともある。また、大学在学中には、ワシントン市内を警護する、3400名の将兵を擁するワシントン・コロンビア特別区陸軍州兵部隊(District of Columbia National Guard)の憲兵を務めていたこともある。ミラーを国防長官代理に登用したということは、トランプ大統領はワシントンを固めようとしているのだろうということが分かる。

 バイデンが勝って良かった、良かったと言っている人たちはよく考えた方が良い。あなたたちが考えているよりも事態はより深刻でかつ危険なのだ。

(貼り付けはじめ)

●「アフガン停戦協議の加速を 米長官、タリバンと会談」

2020/11/22 09:12 (JST)

©一般社団法人共同通信社

https://this.kiji.is/702996862120199265?c=39550187727945729

 【ワシントン、イスラマバード共同】ポンペオ米国務長官は21日、アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンの交渉団とカタールの首都ドーハで会談し、恒久停戦に向けアフガン政府との協議を加速させるように促した。アフガン政府交渉団にも同様の考えを伝えた。国務省が発表した。

 2月の米タリバン和平合意に基づきカタールで停戦協議が続いているが、タリバンが各地で攻撃を続けているため進展していない。

 トランプ米大統領は大統領選での敗北を認めておらず、米政権は17日にアフガン駐留米軍を現在の約4500人から来年115日までに約2500人に削減すると発表している。

(貼り付け終わり)

 

 

(貼り付けはじめ)

新しい国防長官は海外派遣の米軍の数を減らす可能性を示唆している:「全ての戦争は終わらせられねばならない」(New Defense chief signals potential troop drawdown: 'All wars must end'

セリーヌ・キャストロヌオヴォ筆

2020年11月14日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/defense/525967-new-defense-chief-signals-potential-troop-drawdown-all-wars-must-end

クリストファー・ミラー国防長官代理は金曜日に国防総省のスタッフに宛てたメモにおいて中東における米軍の数を削減する可能性を示唆した。メモの中でミラーは「全ての戦争は終わらせなければならない」と書いている。

ミラーは、今週になってトランプ大統領が国防長官だったマーク・エスパーをツイッターでの書き込みで解任した後を受けて、国防長官となった。ミラーはメモの中で、現在の様々な衝突が終わっていないことを認めながらも、「私たちは永続戦争を行う国民ではない」と書いている。

ミラーは、アフガニスタンでの戦争に言及しながら、次のように述べている。「私たちが将来に備える中で、2001年に我が国にアルカイーダがもたらした戦争を終わらせるための努力を続けねばならない。この戦争は終わってなどいない」。

ミラーは続けて次のように述べている。「私たちはアルカイーダと協力者たちを敗北の淵にまで追い込んでいる。しかし、私たちは、戦いを終わりにまで導くことができなかった過去の戦略的な誤りを避けねばならない。実際のところ、この戦いは長期化し、私たちの払った犠牲は多大なものとなっている。そして、多くの国民は戦争に疲弊している」。

ミラー国防長官代理は「現在の段階は、私たちが指導的な役割から支援的な役割に移行するための重要なものなのである」とも書いている。

ミラーは「私たちは永続戦争を叩か国民ではない。私たちが支持するもの、私たちの先祖が戦ったもの二大して永続戦争は反対する考えだ」と述べ、「全ての戦争は終わらせられなければならない」と続けた。

ミラーは「戦争を終わらせるためには、妥協とパートナーシップが必要となる。私たちは困難に直面した。私たちは全ての力を注ぎこんだ。そして今、私たちはアメリカに帰る時なのだ」と書いている。

トランプ大統領が今週エスパーを解任してから、アフガニスタンから米軍将兵の撤退を促進するのではないか、国防総省の幹部たちの人事を大きく変更するのではないかという疑念が大きくなっている。

2016年の大統領選挙で、トランプは「終わりのない戦争」を終わらせ、外国の争いから米軍将兵を撤退させることを公約として選挙戦を戦った。しかし、19年間も続くアフガニスタン戦争におけるアメリカ軍の存在を削減しようとする試みは困難であることが証明され続けた。

トランプ政権は今年初めにタリバンとの間に条件付きの講和条約を締結した。その内容は、タリバンがアフガニスタンにおけるアルカイーダの存在を拒否するために努力することで、アメリカは来年5月までに完全撤退をするというものだ。トランプ大統領は米軍撤退のペースに不満を募らせているという報道がなされている。

先月、トランプ大統領はツイッター上に、アフガニスタンに駐留している米軍はクリスマスまでにアメリカ本土に帰還させるべきだ、と投稿した。

今週になって国防長官代理に任命され、その直後に、ミラーはダグラス・マクレガー退役陸軍大佐を自身の上級顧問として採用した。

マクレガーは過去、頻繁にアメリカ政府は米軍を中東の争いから撤退させるように主張してきた。そうしたマクレガーを国防総省に迎えたということは、トランプ大統領が任期の終わりの時期にアメリカ軍を中東から引き上げさせる試みが行われる可能性を示唆している。

人事変更については報復だという見方も出ている。トランプ大統領に対して厳しい批判を展開している元CIA長官ジョン・ブレナンは金曜日、トランプ大統領が国防総省の人事を大幅に変更したのは「復讐」をしているのだと述べた。

ブレナンはCNNとのインタヴューの中で次のように述べた。「大統領は人々に対して個人的に忠誠を誓うように求めます。従って、マーク・エスパーを解任し、国防総省内の幹部クラスの文官たちを更迭したことは、トランプ氏の個人的な恨みを晴らす行動に過ぎないのです」。

エスパーの解任以降、国防総省の幹部たちの中から辞任を示唆する動きが出ている。国防総省の政策担当のトップであるジェイムズ・アンダーソン、国防総省の情報部門のトップであるジョセフ・カーナン、エスパーの首席補佐官ジェン・ステュワート、次席補佐官アレクシス・ロスが辞任の動きを見せている。

国防総省の元幹部職員で、現在の国防総省の幹部クラスの状況について詳しい人物は今週、マクラッチーに対して次のように語った。「今回の選挙では自分が勝利したというトランプ大統領の主張を促進するために、米軍を積極的に使用する準備のため、国防総省の幹部文官たちを解任することはトランプ大統領にとって重要なことなのです」。

ある幹部職員は国防総省の人事の更迭と招聘について次のように述べた。「これはこうした種類の決定を行うにあたり、恐らく最悪の、最も極端な理由となるでしょう」。

先週、ジョー・バイデンが大統領選挙の勝者となったと大手メディアは報じた。しかし、トランプ大統領は敗北を認めることを拒絶し、民主党による選挙を盗む試みとして、激戦諸州で不正選挙が実施されたということを繰り返し主張している。

これらの主張は選挙の専門家、地方の選挙関連職員たち、そして裁判所によって反論され、覆されている。

ミラーは金曜日、指導部の変更があっても、米軍は「極力な体制」を維持し続けると述べた。

リトアニアからの訪問団との会談の前に、国防総省でミラーは次のように発言した。「アメリカ国民と我が国の同盟諸国とパートナー諸国について、国防総省は強力な体制を維持し、アメリカの国土、アメリカ国民、世界規模での我が国の国益を保護し続けるという重要な仕事を継続するということを明確にしておきたいと思います」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 アメリカで新型コロナウイルス感染拡大の最前線で指揮を執っているのは各州の知事だ。ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモ(民主党)やミシガン州知事グレッチェン・ウィットマー(民主党)は厳しい制限や在宅命令を出したが、支持率は上がっている。ドナルド・トランプ大統領も毎日記者会見を行い、感染拡大への対処をアピールしている。

 そうした中で、トランプ大統領の心配事は「経済活動の再開」だ。今年のイースター(2020年4月12日)までに経済活動を再開させることを目指していた。そのために連邦政府はガイドラインを出し、アメリカ国民に対して、ソーシャル・ディスタンシングや大人数での集会の禁止を推奨した。しかし、残念ながら、現在のところ経済活動の再開は実施されていない。

 各州の知事たちによる在宅命令やビジネスの閉鎖などの厳しい措置に対して、反発する声も出ている。実際に、「厳しすぎる」「自分たちの生活のことは自分たちで決める」「私の体は私のものだ」という主張を掲げて、抗議のデモ活動が各州で行われている。アメリカでも失業などによって経済不安が増大している。これに対しては各州の知事は憂慮を表明したが、トランプ大統領は「各州を“開放する(LIBERATE)”」ことへの支持をツイッター上で表明した。このトランプ大統領の支持表明に対して、各州の知事たちは、「自分たちで出したガイドラインに反することを人々が行うことを促しており、意味不明な行動だ、違法な行動だ」と反発している。トランプ大統領は特にミシガン州での抗議活動を支持しているが、これはウイットマー知事がトランプ大統領に対して批判的であることに対する攻撃であり、かつ今年の大統領選挙でミシガン州が重要な位置を占めていることを示している。トランプ大統領は何とかミシガン州で勝利を収めたいが、現在のところはウイットマー知事の人気もあり、厳しい状況であり、それを何とか挽回したいと考えている。そのために、自分が出したガイドラインに反する抗議活動であっても支持を表明するという矛盾した行動を取っている。トランプ大統領は矛盾の塊のような人物である。

 日本でも安倍晋三首相による緊急事態宣言が日本の全県に出されて以降、デパートやコーヒーショップチェインの休業が行われ、人々の生活は厳しいものとなっている。また、経済活動の停滞によって、景気後退の不安が大きくなっている。人々の接触を「8割減らす」というとてつもない(ほぼ実現不可能な)目標を掲げて、あと2週間を過ごさねばならない。その間に経済状況がどれほど厳しいものとなるか見当もつかない。現状は、新型コロナウイルス感染拡大防止と経済活動・社会活動との間のバランスが崩れている、と私は思う。手洗いやうがいの励行、マスクの着用、ソーシャル・ディスタンシングは実行しながら、何とか現在の経済活動・社会活動の範囲を少しでも広げられないかどうかを検討すべきではないかと思う。

 リスクの高い高齢者や基礎疾患のある人たち(恥ずかしながら私もその中の一人だ)の感染防止と重篤化防止が第一である。それでも経済活動ができなければ更に多くの人々が路頭に迷うということにもなる。ここは専門家の知見を利用しながら、何とか少しでも経済活動ができるようにしなければならない。新型コロナウイルスは既に日本国内に入ってしまって、根絶をさせることは不可能だ。これから特効薬やワクチンができるまで現在のような状況を続けることは難しい。それならば個人でできることをやりながら、何かしらの「ウイルスとの共存の」ための方策を考えるしかないと私は思う。

 アメリカ国内でトランプ支持派が経済活動を再開させろと主張している。そのためには連邦政府のガイドラインでは、感染者数が2週間減少を続けなければならないとされている。そして、この数をきちんと把握するためには十分な検査がされねばならないとされている。そのための資源が足りないと各州の知事たちは、連邦政府とトランプ大統領を批判し、支援を求めている。

確かにこのような重大な決定を下すためには正確なデータがあることが大前提だ。日本でも感染者数の減少が見られるようになれば、現在の流れも変わっていくだろうが、そのためには正確なデータがなければ正しい判断はできない。そのためにはある程度のサンプルを抽出し、検査をして統計学的に確からしさの高い結果を得る必要がある。

 慎重に行動することは良いことだが、過度な悲観も過度に楽観することは何事においても禁物だ。また、政府による更に厳しい手段を国民が求めるということも考え物だ。そのためには淡々と自分ができるだけのことをやるという単純なことしかない。ナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』や「惨事便乗型資本主義」については本ブログでも既に紹介した。今回のコロナ禍についても、既に政府による監視や制限の強化が私たちの恐怖心を利用して導入されようとしている。ここで私たちが、「その方が楽で良い、そもそも何も悪いことをしていないのだから」と簡単に監視や制限を受け入れてしまえば、これはどんどんエスカレートする。
 また、現在は政府や地方自治体による「自粛要請」であり、本来であれば「自分で決める」べきもので、営業を行う店があっても良い。しかし既に警察や官吏ではなく、一般国民が「民間警察」「自警団」になって、貼り紙をしたり電話をしたりして、営業している店に対する妨害行為を行っている。これは過度な反応である。安倍首相や専門家会議がこのようなことが起きないように慎重な表現を選ばなければならないのに、あたかもそれを推奨するかのように、あまりにも危険を煽っていると私は思う。
 専門家会議は、一般の人々が「自分は新型コロナウイルスに感染したのではないか」と不安に思った場合には、まず「体温が37.5度以上が4日間続いたら医療機関に連絡せよ」という「お達し」を出した。これは医療機関に人々が殺到しないための措置であったはずだ。しかし、この「様子見」期間で症状が悪化して亡くなる人のケースが出ると、「そのような意図で述べたのではない」とし、「積極的に受診してください」という意味だった、と「受け取る方の受け取り方が悪い」「誤解だった」ということを言い出す。訳の分からない横文字を使い、このようなどうとでも意味が取れる表現を使うようでは、専門家たちの信頼性は薄らいでいく。「8割減」も本当か、できると思っているのか、ということになる。

 私が驚いたのは、知り合いの医者に「免疫力を挙げることだよ、そのためには食物繊維を取って腸内環境をよくすることだ」と言われたことだ。あんなに難しい勉強をしても、医学博士でございと威張ってみても、今回の騒ぎで私にできる助言がその程度でしかない。薬やワクチンがなければ医者でもこれくらいしか言うことがないのだ。それならば自分ができることをやりながら、淡々と日常を過ごしていくしかない。

(貼り付けはじめ)

トランプ大統領:コロナウイルスに関する制限において州知事の中には行き過ぎの者がいる(Trump: Some governors have gone too far on coronavirus restrictions

ブレット・サミュエルズ筆

2020年4月19日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/493601-trump-some-governors-have-gone-too-far-on-coronavirus-restrictions

日曜日、トランプ大統領は、全米各州でコロナウイルスの感染拡大の速度を弱めるための制限を設けているが、「やり過ぎている」州知事たちも中に入ると述べた。

ホワイトハウスでの記者会見の中で、トランプ大統領は、抗議活動を行っている人々に対して反対する考えを持っていないと述べた。抗議活動を行っている人々は、ソーシャル・ディスタンシングに関するガイドラインに反対し、各種の制限に対する肥満を表明している。各種の制限によって事業は閉鎖され、失業数が急増している。

トランプ大統領は次のように発言した。「中には行き過ぎている者たちがいる。州知事の中には行き過ぎている者たちがいる。これまでに起きていることの中には適切ではないことが含まれている。最終的には問題にはならないだろうと思う。何故なら私たちは各州の経済活動や日常活動を再開させつつあり、各州でそれらはうまくいくだろうからだ」。

トランプ大統領は続けて次のように述べた。「講義をする人々に関して言えば、私はあらゆる種類の事柄について講義する人々を見てきている。私は全ての人々と共にいる。私は全ての人々と共にいる」。

トランプ大統領は最初のうちは行き過ぎていると考えている知事の名前を挙げることを拒絶していたが、その後、ミシガン州知事グレッチェン・ウィットマー(民主党)とヴァージニア州知事ラルフ・ノーザン(民主党)の名前を挙げた。特にノーザンについては新しい銃規制に関する州法に署名したことについては抗議されるに値すると示唆した。

トランプ大統領は次のように述べた。「ミシガン州を例にとると、ミシガン州では必要とではない、もしくは適切ではないと私が考える物事が実行されている。これは全ての人々が分かっているはずだ。ミシガン州知事とはとてもうまくやっているし、そのことは知事も恐らく分かっていると思う」。

ウイットマーについては、今年の大統領選挙で民主党の副大統領候補として取りざたされるようになっているが、それによってトランプ大統領にとっては大きな攻撃目標となりつつあるようだ。

トランプ大統領はここ数日の間、全米各州において数百人単位で集まっている抗議行動を行っている人々に対して同情的である。抗議活動している人々はホワイトハウスがウイルス感染拡大に対処するために発表したソーシャル・ディスタンシングに関するガイドラインを無視している。このガイドラインは、アメリカ国民に対して10名以上の集まりを行わないように促している。

金曜日、トランプ大統領はミネソタ州、ミシガン州、ヴァージニア州で抗議活動を行っている人々への支持を表明した。抗議活動を行っている人々は、ウイルスの拡大を弱めるための在宅命令とその他の制限に反対するデモを行った。こうした人々はこれらの各州を「開放する」と主張している。これら3つの州は民主党所属の知事たちが運営している。

ここ数日の間で小規模の抗議活動がミシガン州、オハイオ州、ヴァージニア州、ミネソタ州、テキサス州、そしてフロリダ州で行われた。その他にもこれからの数週間で抗議活動が全米各地で計画されている。抗議活動参加者の中には、トランプ大統領の名前が入った旗を振り、名前の入ったTシャツを着ている人たちがいた。

トランプ大統領はマスコミの報道で抗議活動を見たと認め、抗議活動に参加している人たちは「私たちの国への愛」を示しているのだと述べた。

各州の知事たちは、トランプ大統領による解放を求める動きに対して懸念を表明している。知事たちはトランプ大統領の言動によって人々の間で不満を高め、デモ活動を激化させることになるだろうと心配している。公衆衛生の専門家たちは多くの人々が集まることによってウイルスの感染がさらに進むことになると警告を発し、ソーシャル・ディスタンシングの必要性をさらに強調した。

ジョンズ・ホプキンズ大学のデータによると、日曜日の夜までに全米で75万5000名以上がウイルスに感染し、4万名以上が亡くなった、ということだ。

ホワイトハウスはアメリカ経済を段階的に再開する方針で、各州の知事たちにソーシャル・ディスタンシングに関するガイドラインをいつの時点で撤回できるかについて最終的な目標時期を設定するように求めている。しかし、トランプ大統領が抗議活動を受け入れていることで、州知事たちに対する敵意を煽動する危険性が高い。

ペンス副大統領は日曜日の記者会見で、「アメリカ国民は自分の住む州政府と地方自治体に注意を向けねばなりません」と述べた。

トランプ大統領は経済を再開する必要性について断固とした態度を示している。経済の再開は彼の再選を目指す選挙戦にとって中心的な柱となっている。しかし、トランプ大統領は日曜日、制限の撤回は安全を第一に考えねばならないと述べた。

トランプ大統領は次のように述べた。「多くの素晴らしいそして偉大な出来事が起きています。そして、私たちは私たちの国を開き始めようとしています。これは美しいパズルのようです」。

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抗議活動と検査に対する主張について知事たちがホワイトハウスに反撃(Governors push back against White House on protests, testing claims

ザック・バドリック筆

2020年4月19日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/sunday-talk-shows/493557-governors-push-back-against-white-house-on-protests-testing-claims

民主、共和両党に所属する知事たちは日曜日、トランプ大統領の在宅命令に対する抗議活動への明確な支持と全米でのコロナウイルスの検査は十分に行っているという主張に対して反撃した。

ワシントン州知事ジェイ・インスリー(民主党)は、ABCの「ディス・ウィーク」に出演し次のように述べた。「トランプ大統領はツイッターを通じて多くの州を“解放”するように抗議活動を行っている人々に訴えたが、これは“違法行為”を促進するものです。アメリカ大統領が人々に対して法律を破るように促しているのです。私はこの国で生まれ育ちましたが、このようなことが起きたことなど全く記憶にありません」。

インスリーは「これは本当に危険なことです。なぜなら人々の生命を救うことができる行為について人々に無視させることにつながるからです」と述べた。

ワシントン州はアメリカ国内において早い段階でウイルス感染拡大の中心地となった。ここ数週間、インスリーはカリフォルニア州知事ゲヴィン・ニューサム(民主党)とオレゴン州知事ケイト・ブラウン知事(民主党)といった西海岸の各州知事と協定を結び、地域の経済活動再開に向けての計画を作成しているところだった。州都オリンピアにあるワシントン州議会の建物の前での州知事の厳しい方策に対する抗議デモは日曜日に開催予定となっている。

メリーランド州知事ラリー・ホーガン(共和党)はより弱いトーンではあるが一連のツイートを批判した。CNNの番組「ステイト・オブ・ザ・ユニオン」に出演し、「デモを推奨することは有益なことだとは思いません。また、大統領自身の政策に反対するためにデモをすることを人々に推奨することも良いことではありません」と述べた。

ホーガンは経済活動の即座の再開を求めることは、トランプ大統領自身が発表した連邦政府のガイドラインに反することになると指摘した。ガイドラインによれば、経済活動再開のプロセスは、その地域でウイルス感染拡大が14日間にわたって減少するまでは開始されるべきではないとされている。

ホーガンは続けて次のように述べている。「従って、木曜日に、自分が作った推奨ガイドラインに即した計画に対して人々に抗議活動に参加するように促すことは、全く訳が分からないということになります。州知事と人々に対しては完全に矛盾しているメッセージを発しているのです。連邦政府の政策と推奨を無視するように求めているのです」。

オハイオ州知事マイク・デワイン(共和党)は、デモ参加者たちは抗議する権利を持っていると述べ、自分としては、参加者たちに対してソーシャル・ディスタンシングについてのガイドラインを尊重するように求めるだけだと述べた。

デワインはNBCの「ミート・ザ・プレス」に出演し、次のように述べた。「私たちは自分が正しいと考えることを行うだけのことです。それは、経済を再開しようとすることです。しかし、そのためには多くの人々を死に追いやることがないようにとてもとても注意深く実行する必要があります。しかし、私たちは経済や日常生活を再開させねばなりません。そして、私はその目標を5月1日に置いているのです」。

ミシガン州知事グレッチェン・ウィットマー(民主党)もまた、彼女が出した在宅命令の正当性を擁護した。この命令はアメリカ国内でも厳しい命令の一つとなっている。ウイットマーはその成果は既に上がりつつあると述べた。

ウイットマーはCNNの「ステイト・オブ・ザ・ユニオン」に出演し、次のように述べた。「ミシガン州は現在死亡者数の点において全米で第3位となっています。私たちの州の人口は全米で10番目です。こうした事実からミシガン州では独自の厳しい問題が起きているということが導き出されるのです。州の規模に比べて死者数が多いという問題が起きており、そのために私たちは人々を守るために独自のより積極的な行動を取る必要があるのです」。

ウイットマーは続けて次のように述べた。「現在、感染者数は徐々に兵站になってきつつあります。これが意味するところは、私たちは人々の生命を救っているということです」。ミシガン州の州都ランシングの州議会の建物の前での抗議活動に対して、トランプ大統領は特に支持を表明している。

ペンス副大統領は、フォックス・ニュースのキャスターであるクリス・ウォレスに質問された際に、トランプ大統領のツイートに直接言及はしなかったが、抗議活動について次のように述べた。「数百万のアメリカ国民はソーシャル・ディスタンシングに関するガイドラインを守ってくれていると思いますよ。人々が犠牲を甘受しているのは、各州の知事たちに経済の再開を、責任をもって安全に行える方法を見つけて欲しいと願っているからです」。

ペンス副大統領は「フォックス・ニュース・サンディ」に出演し、「アメリカ国民は全て、このアメリカ国内においてドナルド・トランプ大統領以上に経済活動や日常活動を再開させたいと望んでいる人間などいないことをよく分かっています」と述べた。

ホワイトハウスは各州には必要な検査を実施する能力がありと主張しているが、各州の知事たちはこの主張に反論している。ヴァージニア州知事ラルフ・ノーザムはこのような主張は「激しい思い込み」に過ぎないと指摘している。

ノーザムはCNNの「ステイト・オブ・ザ・ユニオン」で次のように述べた。「検査だけのことではないんです。信じていただけるか分かりませんが、私たちには十分な綿棒さえないのです」。

ノーザムはトランプ大統領の一連のツイートに触れ、次のように述べた。「私たちの大統領は検査能力を向上させることができていません。そして、今は抗議活動に注目することを選んでいます。しかし、今は抗議活動をする時ではありません」。

ノーザムは続けて次のように述べた。「現在は分裂し、いがみ合う時ではありません。立ち上がり、人々に共感をもたらす指導力を発揮する時です。今回の感染拡大で私たちの国でいったい何が起きているのかを理解できる指導者が必要な時です。そして、今は真実を述べるべき時で、人々をまとめる時なのです」。

専門家たちはアメリカの経済活動を再開するためには十分な検査能力が必要だと述べている。そして、検査ができなければ感染者数が実際に減少しているのかどうかを正確に判断することは不可能だと繰り返し強調している。

メリーランド州知事ホーガンは州の検査能力についての決めつけは「完全な誤り」だと述べた。

ホーガンは日曜日に「ステイト・オブ・ザ・ユニオン」に出演し次のように述べた。「検査能力についてとりわけ強調し、各州には十分な検査能力があり、それを使うべきだとし、それなのに州知事たちは自分たちの仕事をしていないと主張することは、全くの誤りと言うしかありません」。ホーガンは、メリーランド州では先月だけで検査能力を5000%増させたが、各種事業を再開させることができるレヴェルにまではまだ到達していないとも述べた。

オハイオ州知事デワインは食品・医薬品局(FDA)が更なる行動を実行することが必要だと発言した。デワインは更なる支援があれば、「オハイオ州では一晩のうちに検査能力を倍増することは高い確率で可能であり、三倍増にすることも可能かもしれません」と述べた。

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(終わり)

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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 アメリカでも新型コロナウイルス感染拡大が続いている。死者数は世界で最多となっている。アメリカは人口が3億人を超える大国であり、死者数は多くなってしまう。中国は世界最大の人口を誇るが、アメリカよりも死者数を抑えているというのは、徹底した管理を行ったためだろう。新型コロナウイルスの数字については人口比といった観点からも見ていかなければならない。日本は医療制度の水準の高さや国民の健康管理も行き届いているという理由もあって、死者数は他国に比べて少ない。致死率も低い。感染者は7255名で死者数は102名である(2020年4月13日午前中)。

 さて、アメリカでは危機的状況になると、大統領を中心にまとまるということが起きる。第一次湾岸戦争、911同時多発テロ事件からの第二次湾岸戦争といった危機的状況において、くしくも父子であるジョージ・HW・ブッシュ大統領(共和党)とジョージ・W・ブッシュ大統領(共和党)が最高司令官として指揮を執ることになったが、高い支持率を得た。民主党支持者でも彼ら共和党所属の大統領を支持した。

 現在、ドナルド・トランプ大統領の支持率は「戦時大統領」のようには上がっていない。戦争とは違い華々しい成果ということもないし、日々、患者が病院に運ばれている姿や遺体が病院から運び出される姿がテレビで流されてしまうと、人々の支持は中々得られない。どうしても「政府は何をやっているんだ」「トランプ大統領は何をやっているんだ」ということになる。

 しかし、大事なことはトランプ大統領の支持率は下がっていないということだ。また、民主党の大統領選挙候補者に内定したジョー・バイデン前副大統領との一騎討でも支持率は接戦ということになっている。選挙どころではないということで、大統領選挙に対しての関心も低くなっており、そうなれば現職の大統領が有利となる。

 トランプ大統領の現在の任期は2021年1月までである。大統領選挙の投開票日は11月の第一火曜日と連邦法で決まっている。トランプ大統領は再選されても、第2期目においても新型コロナウイルス感染拡大と景気後退への対応に追われる。トランプ大統領は仕方なく赤字国債を発行して対応していくことになるだろうが、金利上昇やインフレといったことにも懸念しながら政権運営を進めていくことになるだろう。

 トランプ大統領は先月、マイク・ペンス副大統領を新型コロナウイルス感染拡大対応の責任者としたが、自身が毎日記者会見を行って陣頭指揮を執っている姿を見せている。しかし、言い換えれば、これはペンス副大統領がトランプ大統領の陰に隠れているということにもなる。ペンスはうまく姿を画して批判を浴びないようにしているようだ。ここに何か裏があるのではないかと私は考えている。

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世論調査:経済に対する悲観が大きくなる中、バイデンがトランプに対して10ポイントリードする(Poll: Biden leads Trump by 10 points as economic pessimism grows

ジョナサン・イーズリー筆

2020年3月30日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/490163-poll-biden-leads-trump-by-10-points-as-economic-pessimism-grows

ジョー・バイデン前副大統領は最新の世論調査でトランプ大統領を支持率で10ポイントの差をつけてリードしている。無党派の有権者の間での支持率の高さがこのリードを生み出している。

今回の世論調査の結果はまた経済成長についての悲観論を示している。これによって世論調査の結果でバイデンの支持率は高まり、トランプへの支持が下がった。

ハーヴァードCAPS・ハリス社の共同世論調査の結果によると、バイデンの支持率は55%で、トランプの支持率は45%だった。バイデンは民主党支持の有権者の96%から支持を受け、トランプは共和党支持の有権者の89%を受けている。無党派でバイデン支持54対不支持46に分かれて差がついた。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)は民主党予備選挙から撤退はしていないが、支持率53%を記録した。トランプ大統領は47%だった。しかしながら、バイデンは獲得代議員数でサンダースに対して既に逆転不可能な大差をつけている。バイデンは全国規模の世論調査で26ポイントの差をつけている。具体的には58%対31%となっている。

トランプ大統領の仕事ぶりの評価は48%が肯定的で、52%が否定的であり、これまでの肯定的の数字の最高は49%である。

コロナウイルスは有権者にとって最大の関心事となっている。有権者の50%がトランプ大統領のコロナウイルス対応を評価していると答えた。

過半数を大きく上回る72%がホワイトハウスの毎日の記者会見を見ていると答えた。この72%の過半数である43%は記者会見によってトランプ大統領に対してより好意的な考えを持つようになっていると答えた。37%は記者会見を見ることでトランプ大統領に対して好意的な考えを持てなくなっていると答えた。

ハーヴァードCAPS・ハリス社の共同世論調査の責任者マーク・ペンは次のように述べている。「経済への見方はどんどん悲観的になっていますが、政治に対しての姿勢はあまり変わっていないようです。トランプ大統領は支持を得ていますが、決定的に重要な要素であるコロナウイルスに対する対応について人々は様子見をしています。大統領選挙の状況は変わっていませんが、現在の段階で重要だとは言えません。民主党予備選挙はバイデンが圧倒的に優位な状況ですが、戦記全体ではまだ流動的です」。

経済に対する見方は急速に悪化している。

経済が悪い方向に向かっていると答えたのは55%だった。先月のこの数字は41%だった。43%が経済はぜい弱だと答えた。先月経済は好調だと答えたのが70%だったことを考えると数字は大きく変化している。55%が近い将来に景気後退が起きると予測しており、また同数の55%がウイルスの感染拡大によって収入が落ち込むだろうと予期していると答えた。

ペンは「私は数十年にわたって世論調査に携わってきていますが、経済に対する満足度の数字がこれほどの落ち込みを見せたのはこれまでに見たことがありません」と答えた。

それでも現在でも54%はトランプ大統領の経済への対応を評価している。

58%は、コロナウイルス感染拡大を阻止することと雇用を維持するためのバランスの取れた方策を支持すると答えた。この数字は支持する党派の違いで分けることができる。民主党支持者の51%は、連邦政府は感染を最小限度に食い止めることだけに注力すべきだと答えた。一方、共和党支持者の67%と無党派の57%は感染拡大防止と経済とのバランスの取れた方策を支持している。

トランプ大統領は経済の再開に熱意を持っており、先週、4月12日までに通常に戻り始めることができるように願っていると述べた。しかし、日曜日、トランプ大統領はアメリカ国民に対して少なくとも4月末まで不要不急の旅行と集まりを避けるように求める連邦政府からのガイドラインを発表した。

有権者の約3分の2は、共和党と民主党がコロナウイルスに関して党派分裂のゲームをしていると考えている。

有権者のうち37%が民主党はコロナウイルスに対する戦いを政治化していると答え、23%が共和党は政治化していると答えた。

有権者の60%が、ナンシー・ペロシ連邦下院議長(カリフォルニア州選出、民主党)は党派的過ぎると答え、トランプ大統領がそうだと答えたのは52%だった。

前述のペンは「ペロシ議長と民主党は、トランプ大統領に比べて党派的な動きをしています。政治家たちは党派性に傾き過ぎないようにしなくてはいけません」と述べた。

今回のハーヴァードCAPS・ハリス社の共同世論調査は、2020年3月24日から26日にかけて2410名の登録済み有権者を対象にして実施された。誤差は2ポイントだ。

結果は、年齢、性別、地域、人種・民族、婚姻状況、世帯規模、収入、雇用、教育、支持政党、政治イデオロギーなど実際の人口比に近づくように調整されて得られたものだ。サンプル選びはオンラインで答える人たちに傾き過ぎないように調整された。

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世論調査:トランプ、バイデンは2020年の大統領選挙に関して接戦(Poll: Trump, Biden in dead heat in 2020 matchup

ジャスティン・ワイズ筆

2020年3月29日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/490030-poll-trump-biden-in-dead-heat-in-2020-matchup

最新の『ワシントン・ポスト』紙とABCニュース共同世論調査の結果によると、トランプ大統領とジョー・バイデン前副大統領は2020年大統領選挙本選挙の一対一の仮定の戦いでデッドヒートを展開している。

日曜日午前中に発表された今回の世論調査の結果によると、登録済み有権者の49%がバイデンを好み、47%がトランプを好んでいる。バイデンは2ポイントの差でリードしているが、この数字は今回の世論調査の誤差3.5ポイントの範囲内に入っている。この数字は2月の同様の調査から大きな変化を示している。2月の段階ではバイデンはトランプ大統領に7ポイントの差をつけてリードしていた。

今回の調査によると、アメリカの全成人の中で、バイデンは50%の支持を集め、トランプ支持は44%だった。

バイデンは2020年米大統領選挙で民主党の指名を獲得する見通しとなっている。彼はテキサス州、フロリダ州、ミシガン州といった各州で決定的な勝利を収めている。民主党支持もしくは民主党寄りの有権者の55%はバイデンを支持し、39%が進歩主義派のバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)を支持すると答えた。

最新の世論調査によると、過半数が医療問題に関してトランプよりもバイデンの方がよりよく対処できると信頼できると答えた。

しかし、経済に関してはトランプの方がバイデンよりもよりよく対処できると信頼できると答えたのは52%だった。経済問題に関してトランプよりもバイデンの方がよりよく対処できると信頼できると答えたのは42%だった。

世論調査の対象者に対してどちらがコロナウイルス感染拡大によりよく対処できると信頼できるかという質問もなされたが、バイデンとトランプはどちらもほぼ同率の支持を受けた。アメリカ国内では10万以上の人々が感染し、2000名以上が死亡している。

バイデンを含む民主党の政治家たちの多くは、トランプの今回の危機に対する対処を批判している。バイデンたちは、トランプが十分な対処を行うための動き出しが遅すぎ、物資の不足に直面している各州に対して十分な支援を行っていないと批判している。

ウイルス感染拡大によって経済は急激に落ち込んでいるが、経済の運営と対処についてトランプを支持すると答えた有権者は57%だった。この数字はトランプ大統領がホワイトハウスに入って以来、最高の数字となった。トランプ大統領の経済運営に不同意だと答えたのは38%だった。

加えて、トランプ大統領は、彼の支持者たちの間で高い熱意を受けている。バイデンに関しては、そこまではない。トランプ大統領の支持者の55%がトランプ大統領を熱意をもって支持すると答えた。一方、バイデンの支持者でバイデンを熱意をもって支持すると答えたのは28%だった。

今回の『ワシントン・ポスト』紙とABCニュース共同世論調査は2020年3月22日から25日にかけて、1003名の成人を対象に実施された。その内の845名は登録済み有権者だった。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 2020年2月4日のアメリカ連邦議会議場での一般教書演説ではドナルド・トランプ大統領とナンシー・ペロシ連邦下院議長の場外戦が話題となっている。トランプ大統領がペロシ議長との握手を無視し、ペロシ議長は演説直後にトランプ大統領から渡された演説原稿を引き裂いた。
2020stateoftheunionaddressdonaldtrump

 一般教書演説の翌日、連邦上院でトランプ大統領について出されていた弾劾(impeachment)訴追について無罪評決が出された。公務員の弾劾について簡単に説明すると、連邦下院は検察官の役割を果たし、調査をした上で、弾劾訴追をするかどうかを評決で決める。過半数以上の評決となれば弾劾訴追となる。連邦上院は裁判官役となり、連邦上院議員に対して、下院側の代理人と訴追対象者の弁護人がそれぞれの正当性を主張する裁判が実施され、最終的に連邦上院議員の評決で結果が決まる。弾劾には3分の2以上の賛成投票が必要である。アメリカ連邦上院の定員は100名であり、3分の2以上、67票以上の賛成票が必要となる。

 今回のドナルド・トランプ大統領に対する弾劾訴追は大きく2つの訴追内容に分かれており、一つは「権力の濫用(abuse of power)」、もう一つは「議会の行動に対する妨害(obstruction of Congress)」だった。権力の濫用については以下のような内容であった。トランプ大統領が昨年、ウクライナ大統領に対して、ウクライナ国内におけるジョー・バイデン前副大統領と息子ハンター・バイデンの行動などに関して調査を行うように要求し、応じるように圧力をかけるためにアメリカ政府からウクライナ政府への支援を一時的に差し止めた、これは自身の大統領選挙再選を有利にするために政敵を追い落とすために権力を濫用した、というものだ。

 議会に対する妨害は、連邦下院が訴追について調査を行う際に、ホワイトハウスは連邦下院への書類提出を拒否し、またホワイトハウスに勤務している人物たちに対して議会からの召喚に応じないように求めた。これが連邦下院の調査を妨害しているということになり、訴追内容に加えられた。

 今回の連邦上院での評決は、党派の区別に沿ったものとなった。共和党側が53議席を持っており、民主党側は47議席を持っている。権力の濫用については有罪47票、無罪53票となり、無罪となった。議会への妨害は有罪48票、無罪52票となり、無罪となった。共和党のミット・ロムニー連邦上院議員(ユタ州選出)が権力の濫用については無罪、議会への妨害については有罪に投票したために、2つの訴追内容それぞれで評決数に違いが出た。ロムニー議員はトランプ大統領に批判的な議員であり、共和党内穏健派、「ロックフェラー・リパブリカン」の系譜に連なる人物だ。トランプ大統領が再選を果たし、二期目となったら、その4年間でどういう動きをするかは不確定だが、トランプ大統領の意向に反する行動を多くとることになるのではないかと思う。共和党内部にいる反トランプ派はいくつかのグループに分かれているが、それらを糾合して指導的な立場につくのではないかと私は予想している。
mittromney102

 トランプ大統領に対する弾劾訴追は無罪評決で終わることは容易に予想された。大統領選挙の年に現職の大統領を失職させることを共和党がする訳がないからだ。そして予想通りの結果となった。弾劾の訴追内容も無理筋ということもあった。

 アメリカでは共和党が優勢な州をレッド・ステイト、民主党が優勢な州をブルー・ステイトと呼ぶ。それぞれの色は両党のシンボルカラーから来ている。連邦上院は全米50州から2名ずつ出ている。人口、州の広さなどは関係ない。カリフォルニア州のような巨大な州も2名、ヴァーモント州のような小さな州でも2名である。一方、連邦下院議員の選挙区はだいたい同じ人口になるように区分けされる。カリフォルニア州は多くの連邦下院議員を出し、人口が少ない州は少なくなる。レッド・ステイトはアメリカ内陸部や南部、ブルー・ステイトは東西沿岸部に位置する。州の数では互角、ややレッド・ステイトが多い。そうなると、自然と連邦上院では共和党が優位ということになる。しかし、「人ではなく土地を代表する連邦上院」という伝統は崩れないだろう。

 前日の一般教書演説、そしてトランプ大統領弾劾訴追無罪評決によって、アメリカの党派対立は激しさを増していることは改めて印象付けられた。そして、そのまま選挙戦は激しいものとなっていくだろう。今年アメリカは政治のお祭りの年となる。

(貼り付けはじめ)

連邦上院は弾劾の条項についてトランプ大統領に無罪評決(Senate votes to acquit Trump on articles of impeachment

ジョーデイン・カーニー筆

2020年2月5日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/senate/481670-senate-votes-to-acquit-trump-on-articles-of-impeachment

水曜日、連邦上院は、権力の濫用(abuse of power)とウクライナとの取引について連邦議会の調査への妨害(obstruction of Congress)という容疑についてのドナルド・トランプ大統領に対する弾劾(impeachment)について、無罪評決を行った。これによってワシントンを数カ月支配した大きな物語は終焉を迎えた。

連邦上院の評決結果は、権力の濫用に関しては48対52、議会に対する妨害に関しては47対53となった。トランプ大統領に対して有罪評決し、失職させるには3分の2以上の賛成投票が必要であり、それには遠く及ばなかった。

しかし、トランプ大統領と連邦上院多数党(共和党)院内総務(Senate Majority)ミッチ・マコーネル連邦上院議員(ケンタッキー州選出)は共和党を団結させようと努力した。その努力に対して、一撃が加えられた。2012年の大統領選挙で共和党大統領選挙の候補だった共和党所属のミット・ロムニー連邦上院議員(ユタ州選出)は投票の2時間前に、権力濫用については有罪に投票し、議会に対する妨害については無罪に投票すると表明した。

ロムニーは連邦上院議場での演説の中で次のように述べた。「アメリカ合衆国憲法が連邦上院議員に課している、解答を要する重要な疑問は、トランプ大統領が極端に酷い行動をして、それが犯罪行為と不品行のレヴェルにまで達しているかどうか、というものです。そうです、大統領はそのような行動を取りました。大統領は人々の信頼を乱用し傷つけたたこと(訳者註:アレクサンダー・ハミルトンの言葉)に関しては有罪です」。

共和党側はここ数カ月民主党側から無罪に投票する議員が出ると予測していた。しかし、この予測は外れた。民主党所属の側からトランプ大統領に無罪投票をした議員は出なかった。ダグ・ジョーンズ連邦上院議員(アラバマ州選出、民主党)、ジョー・マンチン連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出、民主党)、クリステン・シネマ連邦上院議員(アリゾナ州選出、民主党)は無罪投票する可能性があると見られていたが、全員が水曜日午前に有罪に投票すると発表した。

トランプ大統領はアメリカ史上、3人目の弾劾にかけられた大統領となった。そして、弾劾の評決を受けた後に再選を目指す初めての大統領になった。連邦議会が上下両院それぞれ過半数を占めている政党が異なる中で弾劾の手続きが取られたのは史上初のことであった。また、3度の大統領弾劾の機会の中で、最も党派性の争いが強く、刺刺しい状況が作り出された。

容疑に関する条項が連邦下院で可決されたのは2019年12月だった。この際、2人の民主党所属の連邦下院議員、コリン・ピーターソン議員(ミネソタ州選出)とジェファーソン・ヴァン・ドリュー議員(ニュージャージー州選出)は否決に投票した。一方、アメリカ大統領選挙民主党予備選挙に出馬しているトゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出)は「出席しているが棄権(present)」と投票した。共和党所属の連邦下院議員でトランプ大統領への弾劾に投票する議員は出なかった。そして、ヴァン・ドリュー議員は共和党に所属すると発表した。

水曜日の連邦上院での投票は、トランプ大統領の弁護団と連邦下院の代理人たちがそれぞれの主張の正当性を連邦上院議員たちとアメリカ国民に向けて主張し続けた数週間に及ぶ弾劾裁判の終わりを意味した。

投票直前に議席などを整理すると、共和党側は過半数53議席を持ち、弾劾を目指す民主党側は67票の有罪投票が必要であった。これは少数の態度を決めていない民主・共和両党に属する上院議員たちが弾劾を決することになり、11月の選挙を前にして有権者の利益になることを示していた。

マコーネル上院議員は投票が終了した直後に勝利宣言を行った。そして、弾劾について民主党側が犯した「巨大な政治的な誤り」と評した。

記者会見の席上、マコーネル議員は記者団に対して次のように述べた。「現在、トランプ大統領は就任して以降、最高の支持率を記録しています。弾劾裁判が開始される前に比べて、共和党側の議員たちの選挙に向けた状況はより良くなっています」。

ロムニー議員の投票について質問され、多数党(共和党)連邦院内総務であるマコーネル議員は渋々とではあるが、「私は驚き失望しました」と発言した。しかし、ロムニー議員がほとんどの場合党の方針に従った投票を行っているとも述べた。

弾劾裁判はドラマなしでは終わらなかった。先週まで連邦議会では、証言者についての重要な投票をめぐり激しい怒りが渦巻くことになった。

共和党側は前任の国家安全保障問題担当大統領補佐官ジョン・ボルトンを証人として召喚するかについて集中的な審議に直面した。ボルトンが出版予定の回想録『それが起きた部屋』の中で、トランプ大統領がウクライナ向け支援を利用して、2020年米大統領選挙民主党予備選挙の候補者となっているジョン・ボルトン前副大統領と彼の息子ハンター・バイデンについての捜査を行うように圧力をかけたと主張している、と『ニューヨーク・タイムズ』紙が報じた。

ロムニー議員は投票の前にボルトンからの証言を聞きたいと考えていたと述べていた。その理由を「ボルトンが嫌疑の内容に新たなものを加えることができ、大統領の行為に関する合理的な疑いを提示でき、その結果として弾劾に賛成投票を行うという厳しい責務を私自身が果たさなくて済むと考えた」としていた。

激しいぶつかり合いの中で、トランプ大統領の弾劾訴追の基礎となった諸事実については真剣に争われることはなかった。トランプ大統領と大統領の周辺人物たちは、まずハンター・バイデンについて、そして2016年の米大統領選挙にロシア政府ではなく、ウクライナ政府が介入したという説を暴くことについて調査を開始するようにウクライナ政府に圧力をかけた。

同時に、トランプ政権は数百万ドル規模のウクライナへの支援を一時的に遅らせた。ウクライナは同国の東部に対するロシアによる侵略と戦っている。

しかし、トランプ大統領に対する早々の無罪評決は木曜日の夜には期待通りの場所に収まることになった。ラマー・アレクサンダー連邦上院議員(テネシー州選出、共和党)は新しい証言者からの聞き取りに対して賛成票を投じないと発言した。これは民主党側が続けていた新しい証言者に証言させるために4名の共和党所属の議員から賛成票を得ようとしていた努力に対する打撃となった。

アレクサンダー議員は、共和党側の主張とは矛盾していたが、トランプ大統領は「不適切な」行為に関わったが、弾劾されるべき行為ではなかったと発言した。リサ・マコウスキー連邦上院議員(アラスカ州選出、共和党)はトランプ大統領の行為を「恥ずべきもので間違ったもの」と述べた。スーザン・コリンズ連邦上院議員(メイン州選出、共和党)はトランプ大統領が「思慮が足りないままで判断」をしたと述べた。

マイク・ペンス副大統領は水曜日午前に放映されたフォックスニュースとのインタヴューの中で次のように述べた。「私たちはアメリカ合衆国連邦上院において党派性に影響されない投票がなされることを期待しています。連邦下院で党派性に影響されない唯一の投票は弾劾に反対するものであるはずでした。本日、連邦上院で党派性に影響されない投票がなされることを期待しています」。

トランプ大統領は水曜日の午後に連邦上院での投票結果について演説を行うと見られている。昨晩の連邦上下両院合同の議場で行った一般教書演説では弾劾について触れなかった。

弾劾訴追の第一条項では、トランプ大統領が「自身の職務の権力を行使」して「2020年の米大統領選挙への外国政府の介入を、相手方の利益を用いて誘導しようとした」と糾弾している。

この条項には次のように書かれていた。「彼(訳者註:トランプ大統領)は、ウクライナ政府に対して、自身の再選にとって利益となるであろうが政敵となる人物の選挙戦の行方にマイなしの影響を与えることになるであろう、捜査を行うと公式に発表するように、相手方の利益をちらつかせて迫った。そして大統領選挙に影響を与えた」。

ホワイトハウスの弁護団は裁判の間繰り返しトランプ大統領がウクライナに対する援助を遅らせたのは汚職に対する懸念があったこと、そして外国の負担分担への懸念があったことが理由だったと主張してきた。

トランプの弁護士ジェイ・セクロウは水曜の評決の直後に勝利宣言を行い、ロムニー上院議員に関しての質問を無視した。

セクロウは「私たちは結果について大変喜んでいます。私たちが勝利を得たことを喜んでいます。そして、アメリカが勝利を得たことを喜んでいます」と述べた。

ロムニー議員について質問されたが、セクロウは次のように語った。「大統領は全ての容疑に関して無罪となりました。私たちはその他のことについて何も懸念を持っていません。私はその質問について答えません。私の答えは、大統領は勝利した、それだけです」。

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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙は来年11月3日が本選挙の投開票日だ。約1年を残すのみとなった。共和党では現職のドナルド・トランプ大統領が2期目を目指して出馬している。民主党ではこのブログでもしつこいくらいに追いかけているが、ジョー・バイデン前副大統領とエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)が争っている。来年2月3日から予備選挙(党員集会と予備選挙)が始まり、3月3日に多くの州で予備選挙が実施されるスーパーチューズデーがあり、7月には全国党大会があり、候補者が決まる。

 「トランプ大統領が再選されるのか、はたまた民主党がホワイトハウスを取り返すのか」ということが最大の関心事である。これまでの大統領選挙を見れば、現職大統領が敗れるということは少なかった。最近の例で言えば1992年の大統領選挙で、共和党のジョージ・HW・ブッシュが民主党のビル・クリントンに敗れたということがあった。この時はブッシュの支持率はもともと高かったのだが、経済指標が悪化したことで人気が下落してしまった。また、第三党の候補者として保守系のロス・ペローが人気を高めたこともあり、共和党表が分裂してしまった。大統領選挙ではその時の経済状態が非常に重要な要素となる。

 下の記事で紹介しているように、これまで2016年を除いたすべての大統領選挙で結果を正確に予測してきたムーディーズ・アナリティカ社の予測では、2020年の大統領選挙ではトランプ大統領の再選の可能性が高いという結果が出ているということだ。ムーディーズ社の分析は、「人々の自分たちの経済状態の認識」「株価の動き」「失業率の動き」を基盤としたモデルを3つ作り、予測を出している。現在の指標がそのまま続けばトランプ大統領が勝つという結果が出るようだ。

 ここで問題なのは、「経済に関する指標が現在のままで大きな変動がなければ」ということだ。逆に言えば、何か大きな出来事が起きてしまえば、この予測は外れてしまうということになる。もちろん、明日になって何が起きるかは分からない。多くの出来事や経済指標が予測可能になっているとは言え完璧ではない。

 これからの1年間で経済指標を下げてしまうような出来事、たとえば株式の下落や国際的大企業の破綻が起きれば、トランプ大統領の再選可能性は低くなる。彼が現在仕掛けている米中貿易戦争も終息させねばアメリカ経済に大きな影響が出る。農業分野では妥協が出来たようだが、共和党の支持基盤である農業州の中で変動があれば勝利は覚束ない。

 1992年の大統領選挙で、ビル・クリントン陣営は「It’s the economy, stupid(問題は経済なんだよ、間抜けが)」というスローガンを生み出して勝利した。経済状態は大統領選挙に大きな影響を与える。大統領選挙の状況を見ていく上では経済指標を見ていくことが必要だ。

(貼り付けはじめ)

これまで正確な予測を出してきた選挙モデルはトランプが再選の道を進んでいると示している(Historically accurate election model shows Trump on his way to reelection

タル・アクセルロッド筆

2019年10月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/466028-historically-accurate-election-model-shows-trump-on-way-to-easy-reelection

「ムーディーズ・アナリティクス(Moody’s Analytics)」社は大統領選挙の測定のために3つの異なった経済モデルを使ったところ、トランプ大統領が来年再選される可能性が高いという結果が出た。

ムーディーズ社のモデリングは1980年以来、1回を除いて全ての大統領選挙の予測を的中させている。トランプ大統領は、2016年のアメリカ大統領選挙本選挙で、選挙人数304対227で勝利を収めた。トランプ大統領は2020年にこの結果を容易に上回る可能性があると予測されている。

3つの異なったモデルでは、トランプ大統領の選挙人獲得数はそれぞれ、289、332、351で、相手を上回ることを示している。これらの結果は、消費者が自分たちの置かれている経済状況をどのように感じているか、トランプ政権かでの株式市場の株価増進、失業率の見込みがそれぞれ予測の基礎になっている。

ムーディーズ・アナリティクス社の首席エコノミストで報告書の共同執筆者であるマーク・ザンディはCNBCの取材に対して次のように答えた。「これから1年間の経済が現在と同じ、もしくはだいたい同じであるならば、現職であることの強みは大きく、トランプ大統領の選挙での勝利の確率は高い。特に民主党支持者たちが熱心ではなく、選挙に行かなければトランプ大統領の当選可能性は高まる。全ては投票率次第だ」。

これら3つの経済モデルの中で、「お財布」測定のモデルで最も良いパフォーマンスを示している。これは人々が自分たちの置かれている経済状態をどのように感じているかを測定するものだ。

報告書の中では次のように書かれている。「私たちの“お財布”モデルは3つの経済モデルの中で最も経済によって動かされるものだ。もし有権者が自分たちの経済状態を第一にして投票するならば、トランプ大統領は選挙戦で圧勝することになるだろう。これが示しているのは、次の選挙で勝利するためには家計レヴェルの経済に関する認識を高めることが重要ということになる」。

報告書では投票率が高くなれば民主党候補に有利に働き、歴史的に見て最高の投票率ならば民主党候補が僅差でトランプ大統領に勝つと示している。

今回の報告書はトランプ選対にとっては歓迎できるニュースである。トランプ選対は経済状況の良さを強調して、連邦下院が大統領弾劾のための調査を進めるなどその他の多くの問題を相殺しようとしている。

先週トランプ大統領は次のようにツイッター上に書きこんだ。「何を理由に弾劾をするというのか?私たちの国の歴史で最も偉大な経済を作り上げようとしているからか、アメリカ軍を最強にしようとしているからか、減税を進め過ぎたからか?」。

再選の可能性を高めるために、トランプ選対は資金集めマシーンとしても機能している。トランプ選対は火曜日、共同政治資金委員会と共和党全国委員会は2019年第三四半期で1億2570万ドルを集めたと発表した。

ムーディーズ社の使っている様々なモデルは1980年の大統領選挙にまで遡って各大統領選挙で勝利者を正しく予測してきた。しかし、2016年だけは例外だった。この時は僅差で民主党候補者ヒラリー・クリントンが僅差で勝利するとしていた。

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