古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ネオコン

 古村治彦です。

 

 今回はネオコンの代表格ジョン・ボルトンに関する論稿をご紹介します。ジョン・ボルトンと言えば、ジョージ・W・ブッシュ政権時代に猛威を振るったネオコン派の代表格の人物です。レーガン政権では米国際開発庁と司法省に勤務し、父ブッシュ政権時代に国務次官補、ジョージ・W・ブッシュ政権時代には国務次官と米国連大使を務めました。最近では、オバマ政権の外交姿勢を批判し、イランとの核開発に関する合意に反対し、オバマ大統領の広島訪問を「恥ずべき行為」と激しく非難しました。

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ジョン・ボルトン

 

 トランプ大統領は選挙期間中にネオコンが主導したジョージ・W・ブッシュ政権時代の政策、アフガニスタンとイラクへの侵攻を非難しました。自分は最初から反対であった、と述べました。「ヒラリーが大統領になったら、アメリカは進んで戦争を起こす」ということを心配した人々がトランプに投票して、大統領になりました。

 

 今回の論稿では、ネオコンの代表的な人物であるジョン・ボルトンがスティーヴ・バノンの誘いを受けて、アメリカとイランとの間に結ばれた核開発を巡る合意の廃棄の計画書を作っていたことが明らかになりました。そして、ボルトンンは、トランプ大統領の大統領国家安全保障問題担当補佐官になる可能性があった、ということも明らかになりました。しかし、結局、ボルトンの後ろ盾となっていたバノンが更迭されたことで、ボルトンのトランプ政権入り、トランプ政権への協力もなくなりました。


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スティーヴ・バノン

 

 これに関しては、トランプ政権の性格が大きく変化していることが関係しています。政権発足当初、政権幹部の出身で分類すると、米軍将官、ビジネス界、選対関係者となります。そのうち、選対関係者がどんどん政権から離れ、将官たちの影響力が強まっています。ジョン・ケリー大統領首席補佐官とクリステン・ニールセン次席補佐官が規律を持ち込み、トランプ大統領が「孤立」しているということになっています。

 

 バノンという人物はつかみどころのない人物で、確固たる思想が見当たらない人物でした。そうした中で、ネオコンのボルトンをトランプ政権内に引き入れようとしたのを、米軍将官出身者たちが阻止する動きが出たのだと思います。ネオコンたちが政権内に入り込むと、トランプ政権の「強気の姿勢」が利用されて、対北朝鮮、対中国の武力衝突がエスカレートする危険性もありました。米軍関係者としては、ネオコンのために痛い目に遭っている訳で、これを阻止したいと思うのは当然かと思います。

 

 トランプ政権でリアリストと将官たちが抑制的であれば、東アジアでは大きな軍事衝突や大きな厄災はないと思いますが、ここが崩れると厳しいことになります。

 

(貼り付けはじめ)

 

ホワイトハウスから追い出され、イランに対するタカ派はトランプに対して公開のアピールを行う(Shut Out of the White House, Iran Hawk Makes Public Appeal to Trump

―ジョン・ボルトン元米国国連大使は、スティーヴ・バノンが彼に対してイランとの核開発合意を破棄するための計画を立てるように依頼されたと主張している。しかし、バノンは更迭された。よってボルトンはインターネットで計画を発表した。

 

ダン・デルース筆

2017年8月28日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2017/08/28/shut-out-of-the-white-house-iran-hawk-makes-public-appeal-to-trump/

 

イランとの核開発合意に対する批判者は、ドナルド・トランプ大統領のストラテジストであったスティーヴ・バノンから、今年7月にアメリカが合意からいかにして撤退できるかについて計画を立てるように依頼された、と発言した。

 

しかし、ここ数週間でバノンをはじめとするイランに対するタカ派がホワイトハウスから去ることになった。これを受けて、イランとの核開発合意に対する懐疑派である元米国国連大使ジョン・ボルトンは月曜日、彼が立てた計画を公開する決心をした。彼は「私の考えがトランプ大統領にまで届かないのではないかと恐れたので公開することにしました」と述べている。

 

ボルトンは『ナショナル・レヴュー』誌に掲載した合意を破棄するための計画を提示した文章の中で次のように書いている。「イランについての非公式の文書を公開する。これは公に対する私の奉仕だ。ホワイトハウスでスタッフの交代が行われていて、そのままでは私の作った計画がトランプ大統領にまで届くことは不可能だと思われるから公開するという決定を下した。トランプ大統領は私に対して、いつでも会いに来てほしい、と言ってくれたが、それももう終わってしまった」。

 

ホワイトハウスでイラン政策に関する議論に参加したある人物は取材に対して、ボルトンは少なくとも数週間にわたって、大統領執務室に出入りしていたことを認めた。ある時点で、ボルトンに対しては、大統領国家安全保障問題担当次席補佐官の可能性について提示されていた。これは、HR・マクマスター大統領国家安全保障問題担当補佐官との交代という含みもあった。

 

上記の人物は、ボルトンは提示を断り、大統領国家安全保障問題担当補佐官の地位の提示があるまで待つことを選んだと述べている。

 

ボルトンの報道担当はコメントを拒否し、ホワイトハウスは本紙からのコメントの要請に対して本文章の発表までに回答しなかった。

 

トランプが大統領に正式に就任する前、ボルトンは国務省のナンバー2の地位に就くのではないかと考えられていた。しかし、連邦議会共和党はこの考えに反対したので、ボルトンが指名されることはなかった。

 

バノンが更迭された今、ボルトンが大統領につながることはできなくなった。

 

元国連大使でジョージ・W・ブッシュ政権に参加した強硬なネオコン派であるボルトンは次のように書いている。「この計画がトランプ大統領の目に触れなくても、それはそれで構わない。しかし、この計画が存在しなかったと言わせたくはない」。

 

ボルトンの一般へのアピールは、イランとの合意の効果を弱めようと努力してきた合意への反対者たちの間に不満が大きくなっていることを反映している。彼らからしてみれば、ホワイトハウスは彼らの試みにとっての同盟者であると考えてきたのだが、それが裏切られた形になっている。トランプがバノンをその他のホワイトハウスの高官、セバスティアン・ゴルカ、国家安全保障会議の高官デレク・ハーヴェイ、エズラ・コーエン=ワトニックを更迭した後の数週間、ホワイトハウスの政治力学は大きく変化している。

 

イランとの核開発合意を批判する人々は、トランプの補佐官たちと国務省の高官たちは大統領に対して選択肢を全て提示していないのではないかという懸念を持っている。選択肢の中には合意の廃棄の可能性や連邦議会に対してイランは合意の内容を守っていないことを通告することも含まれている。

 

トランプ政権の関係者は取材に対して次のように語っている。「大統領選挙期間中に大統領の側近たち、バノンと彼に近い人々、保守派でイランとの合意の懐疑派といった人々は、意思決定過程から排除されている」。

 

2015年の世界の諸大国とイランとの間の核開発に関する合意は、イラン経済に損害を与える様々な経済制裁を解除する代わりに、イランの核開発プログラムに厳格な制限を加えるというものであった。

 

オバマ政権はこの合意を外交上の大勝利と宣伝した。これによってイランとの戦争の可能性を減少させ、イラン政府による核開発プログラムを国際的な査察の下に置くことができたと強調した。一方、反対者たちは、合意内容は、イランの核に関するインフラの将来的な使用を合法化し、イラン政府の弾道ミサイル開発やヒズボラをはじめとする戦闘的なグループへの支援について全く考慮されていない、と批判している。

 

ボルトンの計画は「イランとの合意の廃棄:前進する道筋」という題名になっている。この中でボルトンは、アメリカ政府は合意を破棄すべきだ、なぜならイランが合意内容に違反し、軍事施設に対しての査察を拒絶し、「テロリズム」をいまだに支援し続けているからだ、と主張している。

 

ボルトンはまた、合意の廃棄について、中東とヨーロッパのアメリカ同盟諸国に個別に説明し、その後、大々的な国民に向けのキャンペーンを張る必要があることを強調している。ボルトンは彼の主張を補強することになるであろう情報・諜報機関の報告書を引用することを求めている。

 

ボルトンは次のように語っている。「イランの世界各地での受け入れがたい行動に関する新しい、機密指定解除の情報を提供することで、合意の廃棄を進めることができる」。

 

イランとの合意を支持する人々は、イランが合意内容に違反していることを示す証拠は存在しないし、トランプ政権から情報・諜報機関に対して、イラン政府が合意に反していることを示す情報を上げるようにプレッシャーをかけていると断言している。

 

ボルトンは更に劇的な方策を提案している。その中にはイランの現体制に対する「民主的な反対勢力」を支援すること、イラン国内の人種的、宗教的少数派の諸権利の擁護、アメリカの同盟諸国の全ての空港と港のイランの船舶や航空機の利用の禁止、学術やスポーツ交流を含むイラン国民に対するアメリカのヴィザ発給の停止が含まれている。

 

米国大統領は90日ごとに連邦議会に対して、イランが合意内容を順守しているかどうかを証明する必要がある。トランプは不承不承ながら、イランが合意内容を順守していることを証明した。

 

しかし、7月にホワイトハウスでイランとの合意に関する会議が開催された。会議の席上、トランプは補佐官たちが提示してきた選択肢について不満を持っており、イランが合意内容を完全に順守していると宣言したくないと不満を述べた。

 

トランプは不満を募らせていた。そして、10月に発表される予定の90日ごとのイランの合意内容順守の証明を出さないで済むプランを用意するようにアドヴァイザーたちに命じた。しかし、トランプ政権のスタッフの多くは、そのようなプランなど書けないことを認識している。トランプの命令を実行できるのか、どのように実行するのかということは明確になっていない。

 

大統領選挙期間中、トランプはイランとの合意に対して激しい批判を加えた。しかし、大統領に就任後、2度にわたって、イランが合意内容を順守しているという証明を2度にわたって発行した。ボルトンは「トランプ大統領の支持者たちはこの決定に困惑している」と書いている。

 

ボルトンは次のようにも書いている。「政権を外側から見ている人々の多くは、トランプ大統領がそのような証明を出せるのはどうしてか、と不思議に思っている。トランプは自身がコントロールしているのか?それとも補佐官たちがコントロールしているのか?と疑問に思っている」。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)


アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12








 古村治彦です。

 

 アメリカでは反トランプの動きが活発化しています。ヒラリーの選挙運動を支援した、民主党内のヒラリー派(人道的介入主義派)とネオコンが合同して、ロシア問題を突破口にして、トランプ政権に反撃を加えようとしています。


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 今年の8月に、「民主政治体制を守るための同盟(Alliance for Securing DemocracyASD)」は、ロシアのアメリカ政治やヨーロッパ各国の政治への介入について徹底的に調査し、それを公表することで、ロシアからの攻撃から民主政治体制を守るのだと高らかに宣言しています。

 

  ASDには、ネオコンの大物ビル・クリストル(雑誌『ザ・ウィークリー・スタンダード』誌編集長)とジェイク・サリヴァン(ヒラリー・クリントンの側近、ヒラリー選対の外交政策責任者を務めた)が顧問として名前を連ねています。ネオコンについて、そしてジェイク・サリヴァンという人物の重要性については、2012年の拙著『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所、2012年)で詳しく述べました。あわせてお読みください。

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ジェイク・サリヴァン

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ビル・クリストル

この新しいグループの母体となっているのは、ジャーマン・マーシャル・ファンド(German Marshall FundGMF)です。GMFは1972年にヨーロッパでマーシャル・プランが発動されて25周年を記念して当時の西ドイツ政府によって創設されたシンクタンクです。ヨーロッパとアメリカの相互理解と協力の促進を活動目的にしています。ジャーマン・マーシャル・ファンドには、若手の日本とトルコの専門家であり、ヒラリーの側近とも言われるジョシュア・ウォーカー(プリンストン大学で博士号、幼少期を日本で過ごし、日本が堪能)が研究員として在籍しています。

 

 ASDのウェブサイトを見ますと、ロシアがツイッターなどで流す嘘情報の出どころなどを示すダッシュボードという機能があり、これに「HAMILTON 68」という名前が付けられています。名前の由来の説明はないようですが、これは、ジョージ・ワシントン初代アメリカ大統領時代に国務長官を務めたアレクサンダー・ハミルトンにちなんでいることは明白です。現在、全米でミュージカル「ハミルトン」が大人気です。これはアレクサンダー・ハミルトンの生涯をミュージカル化したもので、ラップを使い、白人である登場人物たちを黒人など少数派が演じることで話題になっています。ハミルトンの外交姿勢は、積極的な関与ということで、ネオコンや人道的介入主義派の源流と言えます。そうしたことに目をつぶって、ハミルトンのミュージカルに熱狂しているアメリカ人や、一部の、感覚が鋭いと思われたい日本人はアホとしか言いようがありません。まあアメリカ人は良いとしても、日本人で訳も分からずにアメリカで人気だからということで飛びつくような人間は浅はかだと言うしかありません。


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 ネオコンと人道的介入主義派の合同は、世界にとって危険な兆候です。

 

現在、北朝鮮によるミサイル発射など挑発的な行為が続いています。挑発がエスカレートするようだと、交渉以上の、軍事的な行動が必要だという主張が勢いを増すことになります。アメリカが北朝鮮を見る場合に、北朝鮮単独でみることはありません。地理的にも、政治経済的にも近い、中国とロシアも念頭に置いています。ですから、北朝鮮に対する攻撃ということは、中国やロシアにもダメージを与えるということになります。これは、ネオコンや人道的介入主義派にとって最良のシナリオということになります。

 

 トランプ政権がこのシナリオに乗っていくのかどうか、ですが、現在の日本や韓国に対する態度や、今回紹介した動きを見ていると、問題は攻撃があるのかどうか、ではなく、どの程度の攻撃になるかということになっているように思われます。

 

(貼り付けはじめ)

 

国家安全保障問題専門家たちはロシアの悪影響に対応するためのプロジェクトを始動させる(National security figures launch project to counter Russian mischief

 

ジョシュ・ロジン筆

2017年7月11日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/news/josh-rogin/wp/2017/07/11/national-security-figures-launch-project-to-counter-russian-mischief/?utm_term=.47a48556bae4

 

アメリカとヨーロッパにおけるロシアによるハッキング、介入、プロパガンダに関して様々な議論がなされている。そうした中で、国家安全保障問題分野の専門家たちの間で、ロシアの活動を阻止するための対応が十分になされていないという懸念が広がっている。こうした懸念から、民主、共和両党に属する専門家たちが、ロシアによる政治介入、インターネット上における破壊行為、フェイクニュースの拡散を追跡し、徹底的に対処するための新しい試みが開始されることになった。

 

「民主政治体制を守るための同盟(Alliance for Securing DemocracyASD)」という名前の新プロジェクトに参加する署名をしたのは、民主、共和両党に所属する国家安全保障問題の専門家たちだ。顧問会議に名前を連ねたのは次の人々だ。元国土安全保障長官(ジョージ・W・ブッシュ政権)マイケル・チャートフ、元CIA長官代理(バラク・オバマ政権)マイケル・モレル、元連邦下院諜報特別委員会委員長マイク・ロジャース(共和党)、元欧州連合軍最高司令官ジェームス・スタヴリディス海軍大将(退役)、ジョー・バイデン前副大統領国家安全保障問題担当補佐官ジェイク・サリヴァン、前エストニア大統領トーマス・イルヴェス。

 

今回のプロジェクトの母体となるのは、ジャーマン・マーシャル・ファンド(German Marshall FundGMF)だ。そして、日常業務はローラ・ローゼンバーガーとジェイミー・フライが率いるスタッフが行う。ローゼンバーガーはオバマ政権で国務省高官を務めた。フライはマルコ・ルビオ連邦上院議員(フロリダ州選出、共和党)の国家安全保障問題担当補佐官を務めた。

 

ローゼンバーガーは次のように語っている。「私たちの民主政治体制が現在直面している脅威は国家安全保障に関する問題となっています。ロシアは私たちに対して戦争を仕掛けてきているのです。彼らは通常の戦争で使われる武器とは異なる様々な武器で私たちを攻撃しています。私たちはロシアが使用している武器についてより深く理解する必要があります。彼らが使っている武器は将来、ロシア以外の国々が民主的な機構を害することに使うでしょう。ロシアからの脅威に晒されているヨーロッパの同盟諸国とも協力しなければなりません」。

 

アメリカとヨーロッパにおけるロシアによる政治に影響を与えるための諸活動についての討論の場と情報収集・蓄積の場を作るという考えは、協力の基礎となるものだ。そして、アメリカとヨーロッパ双方の専門家のための分析材料も提供されることになり、これでロシアによる介入を押し返すことができる。

 

「民主政治体制を守るための同盟」の目的は、SNSにおけるロシアの偽情報提供、インターネット上の動き、資金の流れ、国家レヴェルでの協力、そして、ヨーロッパ諸国の極左、極右に対するロシアの支援といったことを明確にあぶりだすことである。

 

モレルは筆者の取材に対して次のように答えた。「もし完全な社会があるなら、何が起きているか、ロシア人たちが何をしたのか、これから国家として自分たちを守るために何をすべきか、プーティンがこのようなことを繰り返さないようにするために何をすべきか、といったことを把握するための国家レヴェルの委員会が存在することでしょう。しかし、こんなことが実際には起きないことはわかっています。ジャーマン・マーシャル・ファンドの試みのようなことは、理想と現実のギャップを小さくするうえで極めて重要なことと言えるでしょう」。

 

「民主政治体制を守るための同盟」は、ロシアからの偽情報がフェイクニュースに紛れ込む、ロシアのSNSによって拡散されているストーリーが拡散されている様子を視覚化するデジタルダッシュボードをインターネット上に発表することになる。「民主政治体制を守るための同盟」は、ロシア政府が拡散している情報がどのようにしてアメリカとヨーロッパのメディアの中でどのように拡散しているかを明確にする試みを行うことになる。

 

モレルは更に次のように語った。「ロシア人たちは選挙以外の様々な問題において幅広く活動しています。ロシア人たちが同性愛結婚や人種問題で私たちを分裂させようとしているということが分かっても私は全く驚きません」。

 

このプロジェクトの目的は2016年のアメリカ大統領選挙についてほじくり返すことではない。また、トランプ選対がロシア政府と共謀したのかどうか、もしくはロシアのアメリカへの介入政策の一部としてロシアに利用されたのかどうかを調査することでもない。ロシアの介入は継続しているし、ロシアの介入を理解し、徹底的に対処するための方策が不十分だということが前提となっている。

 

チャートフは次のように語った。「ロシア問題について懸念を持っている人々は党派の違いを乗り越えて、私たちのプロジェクトの下に結集する時がやってきたということです。2018年(中間選挙[アメリカ連邦議会の選挙]がある年)が近づいてくる中で、ロシアへの対処が十分に行われていない状況です。このままだと恐ろしいことが起きますよ」。

 

「民主政治体制を守るための同盟」は、FBIや連邦議会の諸委員会によって現在行われている操作や調査と重複することを望んでいない。しかし、「民主政治体制を守るための同盟」が調査を行うことで、ロシアの活動についてアメリカ政府とアメリカ連邦議会の関心、その阻止と反撃を促すことになるだろうと考えられている。

 

フライは次のように語った。「問題なのは、トランプ政権がロシア問題についていかに対処すべきかについていくつも勧告が出ているのに、それを取り上げていないことです。トランプ政権がアメリカとヨーロッパの民主政治体制を守るために必要なことを進んでやるのかどうかの結論はまだ出ていません」。

 

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民主党タカ派とネオコンサヴァティヴスとの間の邪悪な同盟が出現中(The emerging unholy alliance between hawkish Democrats and neoconservatives

 

カトリナ・ヴァンデン・ハウヴェル筆

2017年8月8日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/opinions/the-emerging-unholy-alliance-between-hawkish-democrats-and-neoconservatives/2017/08/08/3c1c7676-7bb5-11e7-9d08-b79f191668ed_story.html?utm_term=.b9c6a8248199

 

外交政策分野のエスタブリッシュメントの失敗に対してトランプ大統領は愚弄している。また、トランプ大統領は粗雑な「アメリカ・ファースト」政策を推進しようとしている。これに対して、タカ派の共和党ネオコンサヴァティヴスと「アメリカは掛け替えのない国(indispensable-nation)」を標榜する民主党員たちと緊密に協力することになった。考えを変えないエスタブリッシュメントは抵抗し始めた。アメリカが妄想的か、破滅的かの二者択一を避けようとするならば、外交政策に関する新たな進歩的立場が必要である。

 

ビル・クリストル、マックス・ブート、ディック・チェイニーのようなネオコンたちは、ジョージ・W・ブッシュ元大統領によるイラク侵攻を推進したイデオロギー上の原動力となった。イラク侵攻はヴェトナム戦争以来最悪の外交政策上の失敗だ。ヒラリー・クリントン、マデリーン・オルブライト、ミッシェル・フロノイのような「アメリカは掛け替えのない国」を主張する人々は当初、イラク戦争を支持していた。また、バラク・オバマ大統領のアフガニスタンへの「増派」を擁護し、リビアにおける破滅的な体制転換を組織化する支援を行った。ネオコンにしても、「アメリカは掛け替えのない国」を主張する人々は失敗から学ぶこともなく、怯むこともなかった。

 

グレン・グリーンワルドは、新たな同盟関係の出現を、単なるワシントンの外交政策専門家たちの集合では済まないと書いている。その同盟関係こそが、 「民主政治体制を守るための同盟(the Alliance for Securing DemocracyASD)」である。ASDは、ロシアを集中的に取り上げる「超党派、環大西洋的な試み」であるとグリーンワルドは述べている。ASDの目的は「ロシアやそのほかの国家やグループによる関与から防衛し、関与を防止し、関与のコストを上げるための総合的な戦略を立案し、アメリカとヨーロッパの民主政治体制転覆を狙ったウラジミール・プーティンの現在も進行している試みを白日の下に晒す」というものだ。ASDは、イラク侵攻を強く主張した、1997年に発足したプロジェクト「ニュー・アメリカン・センチュリー(New American CenturyNAC)」の最新版である。NACを創設したのは、ネオコンに属する言論人クリストルとロバート・ケーガンであった。ASDの顧問会議のメンバーは、ヒラリー・クリントン選対の外交政策責任者でアドヴァイザーだったジェイク・サリヴァン、オバマ政権でCIA長官代理を務めたマイク・モレル、クリストル、ジョージ・W・ブッシュ政権の国土安全保障長官だったマイク・チャートフ、元連邦下院議員で共和党内タカ派として知られるマイク・ロジャースである。外交政策の悲劇的な大失敗をしたエスタブリッシュメントたちが同盟を組んで反撃に出ようとしている。

 

トランプ政権の無策やエスタブリッシュメントの失敗よりもうまくやれるはずなのだ。バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)とエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)に率いられている進歩派は、国内政策についての激しい議論を主導している。これに対して、チャールズ・E・シューマー連邦上院民主党院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)とナンシー・ペロシ連邦下院民主党院内総務(カリフォルニア州選出、民主党)は経済政策に特化した新しい提案を発表した。民主党指導部は、過去に民主党が明確で大胆な経済政策を打ち出すことに失敗したことを認め、そのような過ちは繰り返さないと宣言している。

 

しかし、外交政策に関しては、民主党は現在も漂流中だ。2016年の大統領選挙においてトランプ選対がロシアのハッキングを共謀したという疑いの追及は、ロシアからの脅威についての懸念を増大させている。ネオコンは今でも熱狂的な冷戦の戦士である。ネオコンはこのロシアに対する懸念を利用して、民主党の国家安全保障の専門家たちに近づいたのだ。

 

進歩派の人々の声は必要だ。ロー・カンナ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は、アメリカの外交政策における抑制とリアリズムを主張している。タルシ・ガバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は外国の体制転換にアメリカが関与することに反対している数少ない政治家だ。クリス・マーフィー連邦上院議員(コネチカット州選出、民主党)はサウジアラビアによるイエメンの爆撃という恥ずべき行為をアメリカが支持したことに勇気を持って反対を表明した。そして、「軍事的介入か、孤立か」の間の「二つの選択」という選択肢を主張している。「戦場についての再考」という報告書の中で、マーフィー議員は、スマート・パワー、外交、海外援助、開発援助の分野において中国、ロシア、ISと対抗する21世紀版のマーシャル・プランといった新しい「道具立て」を強く主張している。

 

マーフィーが主張する「道具立て」の多くは説得力を持っている。マーフィーが「アメリカの軍事覇権の大規模軍事力」と呼ぶものについての懐疑もまた説得力を持っている。しかし、マーフィーは、アメリカは世界の警察官であるべきだと主張している。彼は「世界各地のアメリカ軍の存在を強化する」ことを求めている。マーフィーは、「アメリカがコストのかかる軍事介入をする前に、内戦や争いを阻止する」ことが必要だとも述べている。 アメリカにとっての重要な安全保障上の課題と世界中をパトロールして回ることを分離して考えることが重要だという主張に耳を傾ける人の数は少ない。

 

ニック・タースが『ザ・ネイション』誌で書いたように、今年の前半でアメリカの特殊部隊が作戦実行したのは137か国で、全世界の70%に達した。特殊部隊作戦は国家を防衛するための政策ではない。特殊部隊の利用は機構上の、そして帝国主義的な思い上がりでしかない。共和党のネオコンと民主党の「掛け替えのない国」派は両派ともに、オバマ大統領に対して、「弱い態度に終始した、シリアに対して十分な空爆をしなかった、ロシアに対して十分に強硬な態度を取らなかった」として、激しく非難した。しかし、オバマ大統領が退任する時点で、アフガニスタン、イラク、シリアに米軍の人員を派遣したままで、7か国でドローンを使って空爆し、南シナ海で中国と対立し、ロシアとの間で新しい冷戦を始めようとするような状況となっていた。オバマ政権最後の予算では、既に巨額に達している国防予算の更なる増加を求めた。これは実質価値に換算すると、冷戦の終結の年に匹敵する規模となった。外交政策の専門家にとってみれば、これでもオバマ大統領はアイソレーショニズムに傾倒している、ということになる。

 

トランプは、これまでの外交政策の失敗を厳しく批判しているが、現実的な代替案を提示してはいない。 エスタブリッシュメントが反撃に出たのは自然の成り行きだ。しかし、トランプもエスタブリッシュメントも現代世界におけるアメリカに適した、現実的なかつ考え抜かれた戦略を提示できていない。アメリカには国家安全保障に関して新しい戦略が必要になっているのだ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12






 古村治彦です。

 

 トランプ政権のアジア外交政策が混乱している、という内容の記事をご紹介します。私に言わせれば、既得権を持つアジア各国の従米エリートたちが混乱しているという方が正確ではないかと思います。特に、日本のエリート層の混乱ぶりはより大きいものではないかと思います。

 

 トランプの政策はアイソレーショニズム(アメリカ国内問題解決優先主義)であり、世界各国の問題には基本的に関与しないというものです。そして、そうした判断は国益にかなうかどうかで行う、というリアリズムです。それらと反対なのが、グローバリズム、インターヴェンショニズムであり、アイディアリズム(理想主義)です。

 

 アメリカ国内の勢力で分けるならば、リアリズムは民主、共和両党にまたがって存在します(国内問題では意見が異なる場合が多い)。リアリズムではない場合には、共和党はネオコン派、民主党は人道的介入主義派です。ネオコン派の第一世代はもともと民主党支持者たちですから、両者は本家と分家という感じです。

 

 アメリカ国内でトランプを批判しているのは、多くの場合、ネオコン派や人道的介入主義派ということになります。しかし、彼らの批判は今一歩、届きません。なぜなら、ネオコン派はアメリカをアフガン戦争とイラク戦争に引きずり込んだ張本人たちであるということから人々から嫌われてそのために2008年の大統領選挙ではリアリズムを掲げるオバマ大統領が当選しましたし、昨年の選挙では人道的介入主義派のヒラリー・クリントンが落選しました。アメリカ国民はグローバリズム(インターヴェンショニズム)とアイディアリズムを拒否する選択をしたということになります。

 

 ここで私たちは、それでは日本はどの様に行動すべきかということを考える必要があります。アメリカの衰退が既に始まっていますが、まだ時間的に余裕があります。GDPの世界に占める割合で見ると、アメリカは約25%、中国は約14%、日本は約6%であり、アメリカ衰退は確かですが、アメリカはまだまだ世界の超大国です。中国に完全に抜かれた、となるまでは後20年から30年かかるでしょう。中華人民共和国建国100年が、2049年ですから、それまではアメリカの優位は動かないものと考えられます。

 

 その中で、日本の世界における立ち位置と国内政策で何を重点とするかということが重要になります。国内で見れば人口減少と高齢化は現実ですから、新しい箱ものや大規模開発は必要ではなく、余裕のあるコンパクトということが重要になって来るのではないかと思います。そうした中で人間一人あたりにかけるお金を増やしていくということがメインになるべきだと考えます。

 

 外交では、日本は海外での武力行使はできないという立場を堅持し、わざわざ普通の国になる必要もなく、復興の時に最大の力を発揮するという方向に向かうべきです。アメリカと一緒に壊しに行くのではなく、破壊からの再生の際に力を発揮すべきです。自分たちも敗戦時には国土の多くが瓦礫となったがそこから立ち直った、それは自国の力もあったが他国の助けもあった、だから破壊を経験した国として、再建の手助けをするということであれば大いに感謝されるでしょう。そして、アジア地域では地域大国として先頭に立たずに二番手の位置をキープするということになるのだろうと思います。

 

 現在の国土以上を求めず、軍事力を求めず、世界と仲良く交易をして生活していく、これ以上のことは望むべきではないし、これ以上何を望むというのでしょうか。

 

 ですから、現在の世界のヒエラルキーが変化していくであろうここ数十年間で、硬直的にアメリカと一緒に心中していくような方向に進むべきではありません。ですから、中国や韓国とも関係を改善し、ロシアとは改善しつつある関係を後退させないようにするということになるのだろうと思います。

 

 変化に合わせて日本も変わっていかなければならない、と思います。

 

(貼りつけはじめ)

 

トランプのアジア政策はこれまで以上に混乱している(Trump’s Asia Policy Is More Confused Than Ever

 

コリン・ウィレット筆

2017年6月12日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2017/06/12/trumps-asia-policy-is-more-confused-than-ever/?utm_content=buffer3b499&utm_medium=social&utm_source=facebook.com&utm_campaign=buffer

 

6月3日、ジェイムズ・マティス国防長官は、アジアの同盟諸国やパートナー国に対して、アメリカはこれまでの70年間行ってきたようにこれからも地域を安定させる役割を果たすということを再認識させるために大いなる努力を行った。マティスはアジアの安全と繁栄にアメリカがこれからも関与し続けると雄弁に述べた。また、第二次世界大戦以降のアジアの成功の基盤となってきたルールに基づいた秩序を守るためにアジア・太平洋地域各国と協力するための方法を見つける必要があるとも述べた。残念なことは、マティスの主張が説得力を持たないことで、それは、マティスが代表しているアメリカの政権がこの秩序を損なおうとしているからだ。

 

マティスの演説の数日前、大統領国家安全保障問題担当補佐官H・R・マクマスターと国家経済会議議長ゲイリー・コーンは、『ウォールストリート・ジャーナル』紙に論説を発表し、その中で、マティスが守りたいとしている「世界共同体」を明確に否定した。この論説は、これまでの考えを否定し、「独立独歩」政策を宣言したものとなった。この政策では、諸国家はむき出しの国家の力に基づいて、有利な立場と利益を得られるように争うようになり、同盟諸国やパートナー国を混乱させるだけでなく、アメリカの国家安全保障を損なってしまう。

 

この論説が発表される2日前、アメリカ海軍は南シナ海で航行の自由を守るための作戦訓練を実施した。これは、アメリカが、国際法が許す場所であればどこでも飛行し、航行する権利を守るという決意を示すものだ。このような行動の法的根拠は何か?国際社会で同意した国連海洋法条約(しかし、アメリカは批准していない)がそれだ。国連海洋上条約では、全ての国家が国際海洋上における権利と義務を保有しているとしている。国利欲に関係なく、一連のルールを遵守することは全ての国々の利益となるとしている。世界各国が相互に合意した国際ルールには不便であっても意味があるということを受け入れないということになるならば、アメリカ海軍は航行の権利を持つと主張することは、中国政府はアメリカ海軍の航行を阻害する権利を持つという主張となんら変わらないことになってしまう。マクマスターとコーンはこのようは合意や同意に疑問を呈している。

 

マティスが演説した同じ日、国連安全保障理事会は今年に入って9回目のミサイル発射実験を行った北朝鮮に対する政策を拡大することを決定した。どうしてこのような行動を取ることが可能になるのか?それは、「北朝鮮の核開発とミサイル開発プログラムは世界のルール、規範、条約に違反している」という国連という国際共同体による同意があるからだ。各国政府が、それがたとえ実行困難であり苦痛を伴うものであっても国際条約は彼らを縛り、守る必要があるのだという考えを受け入れないとなると、国連による制裁は、各国が意図的に利用しもしくは無視することができる道具となってしまう。

 

航行の自由や制裁だけでアジアの緊急の安全保障に関する問題を解決することはできない。しかし、これら2つは重要な道具である。国際的な連合が支援する場合、これら2つは国際的な規範を破る国々に対する圧力をかけるための重要な道具となる。

 

アジア各国はアメリカの複雑なシグナルから何を見出すであろうか?マクマスターとコーンが述べたように、アメリカは自国の直接的な利益が危機にさらされる場合にのみ国際社会と協力するのだろうか?もしそうであるならば、アメリカはアジア各国がアメリカに協力する理由を与えられないということになる。

 

北朝鮮、公海上の航行の自由、軍縮といった諸問題は、アジア諸国の多くにとって、現実的な生活にとって、さほど重要な意味を持たないものとなっている。これらの諸問題への対処のために協力することはコストがかかり、技術的に難しいものであり、時間だけを浪費することになる。しかし、ほとんどの国々が努力をするだろう。それは各国が基盤となっている原理に価値を見出しているからだ。その原理とは、各国の主権と諸権利を守っている国際システムは、自国の利益が危機にさらされていない場合でも各国が責任を果たすことも求めているというものだ。

 

アジアにおける私たちの同盟関係とパートナー関係は一つの考えに基づいて構築されてきた。それは第二次世界大戦後の法と規範のシステムは私たち全員に利益を与え、このシステムを防御するために協力することは、たとえそれが困難であっても、投資をするに値するものだ、というものだ。しかし、アメリカがそのような行動をとらないとなると、他国がそのような行動を取る理由があるだろうか?マティス国防長官はこのことを明確に理解している。しかし、彼が代表しているトランプ政権がこのことに同意しているのかどうかは定かではない。そして、アメリカの友人やパートナーである各国はこの乖離に鋭く気付いていることは疑いのないところだ。

 

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(終わり)







 古村治彦です。

 

 先週のトランプ大統領のシリアに対するミサイル攻撃から、世界は緊張状態に入りました。日本関連で言えば、アメリカが北朝鮮に対して軍事行動を起こすのではないかという懸念が広がっています。アメリカが瞬時に北朝鮮を屈服させることが出来なければ、反撃はアメリカではなく、中国や韓国、日本に対してなされますが、そうなれば世界経済は立ち直れないほどの大ダメージを負うでしょうし、アメリカは日韓に関しては「防衛する」という幻想を持たせていた訳ですから、アメリカへの信頼は失墜し、アメリカは世界で唯一の超大国である地位を失うでしょう。北朝鮮問題は対応を誤ると、アメリカも道連れで世界秩序が変化することになるので、アメリカとしては、先制攻撃はできません。

 

 先週のシリア攻撃に関しては、化学兵器を使った攻撃を行った戦闘機が離発着した空軍基地に59発のトマホークが撃ち込まれたものですが、これは花火大会に毛の生えた程度の効果しかないものです。もちろん、警告であって、次はもっと大規模にやるぞ、というメッセージを伝えたということになるのですが、シリア軍を屈服させるには数日を要しますが、シリア軍を捨て鉢の状態に追い込んだ場合に、何をやるのか、戦闘訓練を積んだ正規軍をゲリラ化させる可能性も高く、すぐに事態が収拾されることは考えにくく、イラクと同じ無秩序と混乱を引き起こし、アメリカが掲げているIS打倒も遠のくことになります。アメリカはロシアが責任を果たしていないと非難していますが、元々、問題を作り出したのはアメリカですから、アメリカの身勝手さばかりが浮き彫りにされてしまう形になっています。

 

 ただ、ヤクザも含む、交渉の上手なやり方というのは、脅したりすかしたりを両面でうまく使うということです。表では派手に喧嘩をしながら、裏で落としどころを探るということは交渉がうまくいくやり方です。今回のシリア攻撃も中国の習近平国家主席の訪米に合わせて行われた訳ですが、ロシアとフランスに事前通告済みで、そうなると、シリアと中国にも事前に分かっていたということになります。ですから、表ではワーワー、ニッキー・ヘイリー国連大使が女優気取りで国連で三文芝居をやっている間(彼女は真剣にやっているでしょう、ネオコンですから)、裏で取引がなされているでしょう。

 

 トランプ大統領はシリアへの地上軍派遣を否定しましたし、国務省のナンバー2である副長官にネオコンのエリオット・エイブラムスの登用を拒否しました。この点で、トランプ大統領はまだ「レッドライン(超えてはならない最後の一線)」を越えないという姿勢が明示されていると思います。

 

 ネオコン系、人道的介入主義派に外交政策と軍事政策で悪さをされるとあっさりとレッドラインを越えさせられてしまいます。ですから、トランプ政権でこれらの勢力が増大しないことを願うばかりです。

 

(貼りつけはじめ)

 

トランプは国務省ナンバー2のポストにジョン・サリヴァンを指名(Trump to nominate John Sullivan as No. 2 at State Dept.

 

ジェシー・バイルネス筆

2017年4月11日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/328406-white-house-announces-pick-for-no-2-at-state-dept

 

トランプ大統領は、弁護士のジョン・サリヴァンを国務省ナンバー2のポストに指名する予定であると木曜日夜にホワイトハウスが発表した。

 

ホワイトハウスの発表によると、サリヴァンは、国務副長官と国務副長官(運営管理・資源担当)の両方を兼任することになる。サリヴァンの俸給は1つのポスト分だけ支払われることになる。

 

『ウォールストリート・ジャーナル』紙は先月、トランプ大統領とレックス・ティラーソン国務長官の間でサリヴァンをナンバー2のポストに就けることで合意ができたと報じた。同紙は、サリヴァンはもともとトランプ政権では国防総省の法律顧問に起用される予定であったとも報じている。

 

サリヴァンはワシントンDCにあるメイヤー・ブラウン法律事務所の共同経営者で、この法律事務所の国家安全保障問題担当部門の共同委員長を務めている。

 

サリヴァンは、政府の諮問委員会である「アメリカ・イラクビジネス対話」の委員長を務めた。また、司法省、国防総省、商務省に勤務した経験を持つ。ジョージ・W・ブッシュ(子)大統領時代には商務副長官を務めた。

 

ティラーソンは、レーガン政権、ジョージ・W・ブッシュ(子)政権に勤務した経験を持つヴェテランのエリオット・エイブラムスを副長官に指名したいと考えていた。しかし、トランプ大統領は、昨年の選挙期間中にエイブラムスが自身を批判していたことを知り、難色を示した。

 

火曜日、ホワイトハウスは、財務次官補(テロ資金対策担当)にマーシャル・ビリングスリー、商務次官(国際貿易担当)にギルバート・カプラン、国土安全保障省法律顧問にジョン・マーシャル・ミトニックを指名すると発表した。

 

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トランプ:「私たちはシリアに地上軍を送らない」(Trump: 'We're not going into Syria'

 

ジョーダン・ファビアン筆

2017年4月11日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/328383-trump-were-not-going-into-syria

 

トランプ大統領は火曜日、アメリカはシリアにおいて全面的な戦争をすることはないだろうと述べた。先週のミサイル攻撃によってシリア内戦にアメリカが関与する可能性が高まったという懸念を和らげようとしての発言であった。

 

「フォックス・ビジネス・ネットワーク」とのインタヴューの中で、トランプは「私たちはシリアには行かない」と述べた。

 

トランプは、サリンガス攻撃を行ったシリア国内の航空基地に対して59発の巡航ミサイルを撃ち込んだ。この決定について、シリアの指導者バシャール・アサドが自国民に対して再び化学兵器を使用しないようにするためのものであったとその意図を示唆した。

 

「しかし、私は人々が憎むべき、凄惨な化学兵器を使用するのを目撃した。オバマ政権下で、化学兵器を使用しないという合意を結んだのに、彼らはこの合意を破ったのだ」とトランプ大統領は述べた。

 

トランプは次のように発言した。「私がやるずっと前に、オバマ政権が今回の行動をやるべきだったのだ。そうしておけば、現在の状況はずっと良いものであったことだろう。シリアのこれまでの状況はずっとましなものとなっていただろう」

 

トランプ大統領は民間人であった時に、オバマ大統領はシリアに軍事介入しないように繰り返し求めていたという事実には言及しなかった。トランプ大統領は、最近のシリア国内でのガス攻撃による死傷者の姿を見て気持ちが変わったと述べた。

 

トランプの発言は、シリアに対するトランプの戦略の方向性についての疑問が渦巻く中で出された。

 

米国連大使ニッキー・ヘイリーを含む政権幹部たちは、アサドを大統領の座から追い落とすためにアメリカは武力を含む様々な試みを行うと主張している。

 

レックス・ティラーソン国務長官をはじめとする政府高官たちはもともと、シリア国民がアサド大統領の運命を決めるだろうと述べた。彼らはシリア国内で優先されるべきは、イラク・シリアイスラム国(ISIS)の武装勢力の打倒にあると強調していた。

 

ホワイトハウスは、ロシアに対してアサド大統領に対する支援を打ち切るように圧力をかけ始めている。

 

アメリカ政府高官たちはロシア政府が、化学兵器を使った攻撃へのシリア政府の関与を「隠蔽」しようとしていると非難した。アメリカ政府は、4ページの情報レポートを公開した。その中で、アメリカ政府は、化学兵器攻撃の裏にアサド政権の存在があったことに「確信」を持っていると述べている。

 

ロシアのウラジミール・プーティン大統領は、アメリカが証拠もなく、偽りの化学兵器攻撃情報に基づいて、シリアに対して更なる軍事行動を行うのではないかと示唆した。この直後に、上記の発言は行われた。

 

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アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22

 古村治彦です。

 

 トランプとプーティンが電話会談をし、その中で、米ロ関係の改善に協力していくことで合意したということが報じられました。トランプは、選挙期間中に北朝鮮の金正恩委員長とも話し合っても良いと発言していましたから、民主国家ではないという理由で、一概に悪いくにだと決めつける(それなのに、アメリカに役立つ非民主国家である中東の産油国や中央アジアの独裁国家を悪とは決めつけない)人道的介入主義派やネオコンとは全く異なる外交姿勢を取ることになるでしょう。

 

 しかし、問題は国務長官の人選であり、その下の副長官、国務次官、国務次官補くらいまでの人選です。国務長官には、ルディ・ジュリアーニの名前が出ていますが、ジョージ・W・ブッシュ政権のネオコンのジョン・ボルトン、ヘンリー・ポールソン財務長官、日本人にもなじみ深いリチャード・アーミテージ国務副長官の名前が出ています。

 

 トランプの現実主義的な外交姿勢を政策と実行するためには、ネオコンという訳にはいきません。そもそもネオコンの人々は、トランプに反対していました。ネオコンの代表的な論客ロバート・ケーガンはヒラリーのために資金集めパーティーまで計画していたほどです。

 

 トランプが結局、ワシントンのエスタブリッシュメントに絡め取られてしまうかどうか、注目です。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプはプーティンと話をし、「永続的な」関係構築を楽しみにしていると述べる(Trump talks to Putin, looks forward to 'enduring' relationship

 

クリスティーナ・ウォン筆

2016年11月14日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/business-a-lobbying/305929-putin-tells-trump-he-wants-dialogue-based-on-non-interference

 

ドナルド・トランプ次期大統領は月曜日、ウラジミール・プーティンからの大統領選挙勝利に対する祝福を受け入れ、ロシア大統領に対して、「私はロシアとロシア国民との間で強力なそして永続的な関係を築くことを楽しみにしている」と述べた。

 

トランプの政権移行ティームは声明を発表し、トランプとプーティンは「アメリカとロシアが直面している脅威と挑戦、戦略的な経済諸問題、過去200年以上の米ロ関係の歴史」について議論したと述べた。

 

クレムリンは声明の中で、指導者2人が「現在の米ロ関係の冷え切った状態を評価することに同意し、関係正常化に向けた協力関係に向けた話し合いを行った。話し合いは諸問題について建設的な協力を行う方向性を持って行われた」。

 

クレムリンは声明の中で、「両指導者は、米ロ間の貿易と経済協力の発展を通じて両国間の堅固な基礎を構築する重要性を強調した」と述べた。

 

トランプは選挙期間中、プーティンを強力な指導者として賞讃してきたことはよく知られている。それに対して、共和党と民主党から批判が出ていた。トランプはテロリストとの他戦いでロシアとの協力が必要だと述べ、NATOとの再交渉ついてのトランプのコメントはロシア政府から評価された。

 

アメリカとロシアとの関係はここ10年間、冷え切っている。オバマ政権は、2014年にロシアがウクライナ領であったクリミア半島を併合したことを厳しく非難した。

 

トランプの政権移行ティームの論調は全体として協力的なトーンであった。一方、オバマ大統領とプーティン大統領との会談の論調は、全体として米ロ間の同意できない点を強調するものであった。

 

クレムリンは声明の中で、プーティンとトランプはこれからも電話を通じて対話を続け、会談実現に向けて協力していくと述べた。声明は、両指導者がテロリズムと過激主義との戦いのために協力して対処していくことに必要性とシリアにおける危機を終結させることについて議論したと述べた。

 

クレムリンは声明の中で更に、「プーティン大統領は、トランプ次期大統領との電話の中で、平等、相互尊重、内政不干渉といった諸原則に基づいて、新政権と対話を築きたいと語った」とも述べた。

 

プーティンは更に、「実践的な、相互利益をもたらす協力(両国の利益に適う)、世界の安定性と安全」への復帰することも止めた。

 

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