古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ネヴァダ州

 古村治彦です。

 2020年2月22日に実施されたアメリカ大統領選挙民主党予備選挙・ネヴァダ州党員集会の結果はバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が圧勝という結果が出た。まだ最終結果が出ていないので、獲得代議員数は確定していない。2位にはジョー・バイデン前副大統領が入りそうだが、得票率ではサンダースの半分にも届かない状況だ。それでも持ち直したという評価になっているというのは、2019年を通じて隠し世論調査でトップを走ってきた候補者としては何とも情けない話だ。
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 サンダースの大躍進を苦々しく思っているのは、ドナルド・トランプ大統領や共和党側ではなく、民主党内の反サンダースの人々だ。民主党エスタブリッシュメント派と呼ばれる主流派の人々だ。

 2020年2月21日に『ワシントン・ポスト』紙が、アメリカ政府の情報機関が、2020年のアメリカ大統領選挙に介入するために、ドナルド・トランプ大統領とバーニー・サンダースを支援している、選挙介入をしている、と報じた。アメリカ大統領選挙の結果を、アメリカの有権者の考えではなく、ロシアの意向によって決められるなどということは、アメリカ国家の正当性の根幹を揺るがす大事件だ。

 ここで重要なのは、報道でサンダースの名前が挙がった点だ。「サンダースの大躍進の裏にはロシアの存在がある」と読み取る人も出てくるだろう。この報道は、トランプ大統領に対する攻撃であると同時に、サンダースへの攻撃ということになる。

 この報道に関しては、サンダースは、ロシアが選挙に介入しようとしているという情報を伝達されたことは認めたが、ロシアに対して「アメリカの選挙に手を触れようとするな」という警告を発した。

 アメリカはこれまで世界各国の選挙に介入したり、クーデターに関与したりしてきた。日本についても、自民党に選挙資金を提供したり、労働組合を懐柔したりすることで、安定的な一党支配体制を構築した。このことについては拙著『アメリカ政治の秘密』をお読みいただきたい。

 下の記事によると、サンダースはロシアの選挙介入に関する報道が出た後、それがワシントン・ポスト紙の報道だと知り、「good friends(本当に仲の良い友人たち)」と嫌味たっぷりに言い捨てたそうだ。これは、「ああ、なるほど、民主党内の私に反対する勢力が書かせたな、仲の良いワシントン・ポストを使ったな」というだ。そして、その後に、ロシアからの選挙介入を非難しつつ、民主・共和両党のエスタブリッシュメント派を名指しし、「あなたたちもロシア人と同じく、私たちを止めることはできない」とツイッター上で宣言した。
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 下の記事の著者クリス・シリーザは私の尊敬するアメリカの政治記者だが、彼は一連の動きに敏感に反応して、これはサンダースによる「宣戦布告」だと書いている。民主党内部の争いについてはこのブログでも何度も紹介しているが、私はシナリオによっては分裂もあると考える。象徴的な言葉を使えば、「オバマの党」と「サンダースの党」に分裂することになると考えている。世界中どこでもそうだが、急速な変化を望む人々(革命を求める人々をしておく)と漸進的な変化を望む人々(改良を求める人々としておく)がどうしても対立してしまう。

 今のアメリカは若者たち、ミレニアル世代(20代中盤くらいから30代後半くらいまで)とZ世代(18歳から20代中盤くらいまで)には、「自分たちは親や祖父母たちに比べて経済的、社会的に恵まれていない」「上の世代が決めた戦争の最前線に放り込まれるのは若い私たちだ」「アメリカの現制度はおかしいところが多い」という意識が強い。その現状への不満をうまく掬い取ったのがバーニー・サンダースだ。彼は1980年代から主要な主張は一切変わっていない。それを若者たちが「発見」したのだ。

 一方、1990年代に若者で今や中年になったX世代(現在の40歳から上くらい)は上の世代と同じく、穏健になっている。私もこの世代に属するが(日本で言えば団塊ジュニア世代となる)、1994年にアメリカ映画「リアリティ・バイツ」という映画が公開された。私は、主演の女優ウイノナ・ライダーに憧れたものだが、若者たちの日常の苦しさを描いた映画で、X世代を象徴する映画と当時言われた。「リアリティ・バイツ(Reality bites)」とは「日常が噛みついてくる」という意味だ。X世代はあれから25年経って、現実に噛み千切られて、すっかり丸くなった。世論調査を見ても、ジョー・バイデン支持の割合が高い。「何とかしようと思っても無駄さ、現実はとても厳しいものさ」という諦観があるのだと思う。民主党支持層には世代間の亀裂がある。大まかに言えば、若い人たちはサンダース支持、X世代から上は中道派ということになる。

 民主党は分裂への動きも含みながら大統領選挙予備選挙を進めていくことになる。繰り返しになるが、予備選挙の結果次第では、民主党は分裂するのではないかと私考えている。私が考える最悪のシナリオは、6月までの民主党予備選挙で宣誓済み代い議員獲得数でサンダースが1位になるが過半数には至らない、そこで7月の民主党全国大会の代議員による党の指名候補選挙で1回目の投票では誰も過半数を得ることができず、2回目の投票ということになり、特別代議員も参加しての選挙で、サンダース以外の候補者が過半数を獲得して党の指名候補となり、それに憤激したサンダース支持者たちが暴れるというものだ。

 民主党にとってはサンダースがすんなりと宣誓済み代議員の過半数を獲得して民主党全国大会に進んで、1回目の投票でサンダースが党の指名候補になる方がまだ分裂の危険は少ないと思う。エスタブリッシュメント派も渋々従うだろうし、どうせサンダースでは選挙に勝てない、勝てなければ、「だから左に寄り過ぎては駄目なんだ」と言って、左派を追い出すか、おとなしくさせることができる。

 サンダースでは本選挙でトランプ大統領に勝てないというのは、よほどの失政がない限り、現職が有利ということもあるが、選挙の帰趨を決める重要な州であるフロリダ州で勝てないということもあるからだ。フロリダ州は2000年以降、勝利した側が全て取っている。フロリダ州の特徴は、成功して優雅な引退生活を送るために引っ越してきた老人たちが多いこと、キューバ革命の際にキューバから亡命してきた人々とその子孫が多く、反共意識が強いことがある。「社会主義」という言葉には反感を持つ。「資本主義自由市場経済」の勝利者であるアメリカで生まれ育ち、成功した人たちと、革命から逃れてきた人々、どちらもサンダースを支持する人たちは少ない。もちろん、これからのサンダースの選挙運動次第であるが、現在のところ、ひっくり返すところまで至っていない。また、中西部の五大湖周辺州では、共和党優位のインディアナ州と民主党優位のイリノイ州を除く、ペンシルヴァニア州(厳密には中西部には属さないが)、オハイオ州、ミシガン州、ウィスコンシン州の動向が重油だ。これらの州で勝利を収めねば、大統領への当選もない。今のところ、サンダースが固めているということもないようだ。こうしたことから、現在のところ、トランプ大統領の再選の可能性は高いということになる。

 民主党が勝手に内部闘争をしてくれている分には、トランプ大統領も「どうぞどうぞ好きなだけおやんなさい」ということになり、時々ちょっかいを出して、火に油を注ぐようなことをやればよい、高みの見物ということになる。

(貼り付けはじめ)

バーニー・サンダースが遂に民主党エスタブリッシュメント派に対して宣戦布告(Bernie Sanders just declared war on the Democratic establishment

クリス・シリーザ(CNN編集委員)筆Chris Cillizza

2020年2月22日

CNN

https://edition.cnn.com/2020/02/22/politics/bernie-sanders-2020/index.html

CNN発。金曜日の夜、バーニー・サンダースはこれまでの長年にわたる民主党エスタブリッシュメント派との戦いを公の場に暴露した。2020年の大統領選挙民主党予備選挙でのサンダースの勝利にロシアが貢献しようとしているというニュースが報じられて数時間後でありネヴァダ州での民主党党員集会の数時間前に、サンダースはツイートをしてエスタブリッシュメント派との戦いを宣言した。

金曜日の夜、サンダースはツイッターに次のように投稿(ツイート)した。「共和党エスタブリッシュメント派の皆さんへのニュースが入りました。民主党エスタブリッシュメント派の皆さんにもニュースがあります。そのニュースとは、彼ら(ロシア人)は私を止められない、というものです」。

なんてこった!

このツイートのタイミングは決して偶然ではないと思われる。

『ワシントン・ポスト』紙は金曜日午後、その支援がどれだけ明らかなのかは不明としながらも、サンダース選対はロシアがサンダースの勝利のために動いているというブリーフィングを受けたと報じた。

同日、サンダースは1カ月前にロシアの試みについて情報提供を受けたことを認めた。サンダースは次のように述べた。「ロシア、そしておそらく他の国々が、今回の大統領選挙に関与しようとしているという情報が私たちに伝えられました。私はロシアに対してメッセージを送ります。アメリカ国内のいかなる選挙にも手を出すな」。

サンダースは金曜日の夜のツイートの前に、選挙戦を取材している記者団に対して、ワシントン・ポスト紙の報道のタイミングには何かの意図があるのではないかという疑いを持っていると語った。彼はネヴァダ州の党員集会の直前だったことを指摘し、どのメディアが報じたのかと質問した。ワシントン・ポスト紙が報じたと知らされると、皮肉たっぷりに「誰かさんたちの素晴らしい友人たちだね」と言い残した。

その後、サンダースの広報担当マイク・キャスカはツイートの中で、トランプ政権の差し金を示唆した。キャスカは次のようにツイートした。「もしこのリークがバーニーを傷つけることを意図しないものだったなら、誰からも関心も集めることはなかっただろう。トランプ大統領が本選挙でバーニーと対決することに関して神経質になっているのは明らかだ」。

そして、サンダースは前述のようなツイートをした。これは明らかに、民主・共和両党のエスタブリッシュメント派と戦争状態にあるとサンダース自身が考えていることを明確にするものだった。予想通り、サンダースのツイートに対しては、多くの否定的な反応が、いわゆる党のエスタブリッシュメントから寄せられた。

長年にわたり民主党のストラティジストを務めているジョー・ロックハートは「民衆党のエスタブリッシュメント派は私たちに公民権、参政権、重火器所持の禁止、社会保障とメディケアを与えてくれました」とツイートし、更に「議員、あなたはこれまでにいったい何を成し遂げましたか?」と投降した。

サンダースの大統領選挙出馬に関する限り、今回だけではなく2016年の時もそうだったが、民主党エスタブリッシュメント派と、サンダース、サンダース選対、支持者たちとの間は戦争状態にあることは公言されていなかったが明らかだった。

2016年のアメリカ大統領選挙民主党予備選挙は憎悪を深めただけに終わった。民主党全国委員会からハッキングされて暴露されたEメールによって、民主党全国委員会の複数のスタッフがヒラリー・クリントンに有利になるように不正を働いていたことが明らかになった。最終的にサンダースはヒラリー・クリントン支持を表明したが、選挙戦を通じて生じた悪感情は消え去ることはなかった。

今年公開されたドキュメンタリー映画の中でヒラリー・クリントンはサンダースについて次のように語った。「彼を好きな人間なんていません。誰も彼と一緒に働きたいと思いません。彼はこれまでに何も成し遂げたことがないんですよ。彼は職業政治家で、他の仕事をしたことがありません。彼の話す内容は馬鹿げたことばかりで、それに引き込まれてしまう人たちのことをかわいそうに思います」。

サンダースは今年1月、ヒラリーからの攻撃をことさら軽いものとして扱おうとした。しかし、彼は自分自身の中に怒りを貯めこみ続けているのは明らかだ。

そして、物事が更に悪くなったのは運営がうまくいかなかったアイオワ州での党員集会時であった。投票集計が絶望的に遅くなったが、それよりもサンダースにとって良くなかったのは、一般得票数ではサンダースが勝利を得ながら、代議員獲得数ではインディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジが勝利を収め、結果に分裂があったことだ。こうした結果によって、サンダース自身と彼の支持者たちの脳裏には何かのたくらみが進行しているという考えが浮かんだ。彼らは何が進行しているのか、その裏に何があるのかを明確に分かっていなかったし、現在も分かっていない。しかし、何が確かにあるのだということは確信を持っている。だからサンダースは民主党に頼らずに自力で選挙組織を作り、選挙運動を展開しているのだ。確かに、サンダースは民主党エスタブリッシュメント派に反対する組織を作り上げているのだ。

明確にしておきたい。サンダースの行動も発言も間違っているということではない!長きにわたって民主党に属している政治のプロたちで、民主社会主義者を自認する人物を民主党の大統領選挙本選挙候補者に指名することで民主党が秋の選挙で大敗を喫することになると考えている人たちは本当にたくさんいる。

大統領選挙民主党予備選挙を戦っているサンダースのライヴァルたちはサンダースと民主党との間の薄い関係を問題にしようとしている。ブティジェッジは水曜日の夜にラスヴェガスで開催された討論会で「本当に民主党に属している人物を前に出すようにしましょうよ」と述べた。

金曜日の夜にサンダースが発信したツイートによって、今回の予備選挙を動かしている大きな構造と動きがより明らかになった。戦いの中心にはサンダースがいて、民主党エスタブリッシュメント派とサンダースはどちらが生き残るかの戦いをしている。これが全てだ。サンダースは既に発言し、宣戦布告をしている。民主党エスタブリッシュメント派はサンダースからの攻撃に対して、反撃し、勝利することができるだろうか?

(貼り付け終わり)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 アメリカ大統領民主党予備選挙はネヴァダ州での党員集会が2020年2月22日に実施される。ネヴァダ州の特徴はヒスパニック系が人口の3分の1以上を占めるというものだ。これまでのアイオワ州とニューハンプシャー州は白人が圧倒的多数を占めていたが、白人ではないヒスパニック系が大きな割合を占める、人種構成がより多様な週でどのような結果が出るかが注目される。これは来週金曜日2月29日のサウスカロライナ州での予備選挙でも同様で、こちらはアフリカ系アメリカ人有権者が大きな割合を占める。これからの2州の注目ポイントはそこだ。
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 現在の状況ではバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が支持を伸ばして勝利すると見られている。2位をインディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジ、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、ジョー・バイデン前副大統領が争う展開になっている。ニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグは全国規模の世論調査で支持率の数字を上げているが、2月中の予備選挙では候補者登録をしていないので、結果に影響を与えない。
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 2019年を通じて各種世論調査でトップを走ってきたジョー・バイデンは支持を急落させている。ネヴァダ州とサウスカロライナ州で何とか態勢を立て直したいところであるが、状況は好転していない。バイデンはアフリカ系アメリカ人有権者からの支持に自身を持っているが、サウスカロライナ州での数字を見ても支持率は下落している。
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 ネヴァダ州での党員集会の直前、ネヴァダ州ラスヴェガス市で候補者による討論会が開催された。この討論会からニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグも参加することになった。討論会を主催する民主党全国委員会は討論会の参加条件に各種世論調査の支持率の数字と政治献金者数を設定していた。ブルームバーグは政治献金を受け取らず、自己資金で選挙運動を展開しているために、討論会の参加条件をクリアしていなかった。そこで、民主党全国委員会はルールを変更し、政治献金者数の条件を外した。そのためにブルームバーグは討論会に参加することになった。

 しかし、彼は討論会に参加しないままの方が良かったと思われるくらいに、討論会で大失敗を犯した。ニューヨーク市長時代には選挙の時には討論会に出席したこともあっただろうが、それ以降は真剣で切り合うような厳しい討論会に出席したことはなかったし、何よりも準備が全くできていないようであった。ブルームバーグは他の候補者が簡単に攻撃できる攻撃目標、こちらから殴りつけられるが向こうから殴り返してこないサンドバッグのような状態で、他の候補者を引き立てるだけの存在となった。

 エリザベス・ウォーレンとエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)は討論会の機会をうまく使って、自身の主張をアピールし、ライヴァルたちをうまく攻撃することができた。ウォーレンはブルームバーグをトランプ大統領と同じ、傲慢な大富豪で差別主義者という攻撃を成功させた。クロウブシャーはざっくばらんな中西部気質を前面に出し、同じ中道派のライヴァルであるブティジェッジをうまくこき下ろすことができた。

サンダースは高みの見物で、大きな負担もなく、失敗もなく討論会を終えた。彼にとってはこれまでで一番楽な討論会になっただろう。民主党エスタブリッシュメントは、誰も彼を止められない状況にいら立ちを募らせている。

バイデンに関してはこれまでの8回の討論会と同様、「いるのかいないのか分からない」「居眠りをしていた(トランプ大統領からはスリーピー・ジョーと揶揄されている)」ような状況で何も改善していなかった。

予備選挙直前の討論会は有権者の行動に大きな影響を与えることは前回のニューハンプシャー州でも明らかにされた。今回で言えば、ウォーレンが支持を伸ばしてくるだろう。サンダースの1位は動かないが、2位は熾烈な混戦状態となるだろう。6名の有力候補が混戦のまま、スーパーチューズデーを迎えることになる。

(貼り付けはじめ)

ラスヴェガスでの民主党討論会での勝者と敗者たち(Winners and losers from the Democratic debate in Las Vegas

ナイオール・スタンジ筆

2020年2月20日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/483792-winners-and-losers-from-the-democratic-debate-in-las-vegas

水曜日夜にラスヴェガスでの討論会の壇上に6名のアメリカ大統領選挙民主党予備選挙候補者たちが上がった。土曜日にネヴァダ州で民主党党員集会が開かれる前に討論会が実施された。

水曜日の討論会は今回の予備選挙で9回目の討論会となった。しかし、今回の討論会ではニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグが初登場となった。ブルームバーグは各種全国規模の世論調査で支持率を上げ、選挙運動に莫大な資金を投下している。

誰が勝者で誰が敗者か?

●勝者たち

(1)エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)

ウォーレンはニューハンプシャー州での予備選挙で4位に終わり失望が広がった。彼女はラスヴェガスで一か八かの賭けをしなければならなかった。そして彼女は賭けをし、勝った。

マサチューセッツ州選出の連邦上院議員でハーヴァード大学法科大学の教授を務めた経験を持つウォーレンは討論を得意としているが、水曜日の討論会では注力し、力強いパフォーマンスを見せた。

更に重要なことは、討論会における最も人々の記憶に残る瞬間において明確な勝利者となった。

この瞬間とは、ブルームバーグの女性に対する取扱いの話題の時であった。

討論会の共同司会者ハリー・ジャクソンが非難されるべき性差別的発言について質問され、ブルームバーグは、自身の会社(ブルームバーグ社)と市長時代における、幹部クラスの仕事をしている女性の数について言及して質問の矛先をかわそうとした。

ブルームバーグに反論についてウォーレンは次のようにやり返した。「皆さん、彼の言い訳を聞きましたか。よく聞いて下さい。彼は、私は数人の女性に対して良い取り扱いをしてはいます、と述べたんです。そんなもの何の意味もありませんよ」。

ウォーレンはブルームバーグに対して更に長時間攻撃を続けた。ブルームバーグは、ブルームバーグ社を裁判に訴えている女性たちについての情報について秘密保持条項を盾に開示を拒否していることを批判した。

ウォーレンはブルームバーグとトランプ大統領を比較する発言で討論会を始めた。彼女は討論会での成功をこの時に既に示していた。

ウォーレンは次のように口火を切った。「私は私たちが戦おうとしている人物について話したいと思います。その人物は超大富豪で、女性たちを“太ったメス豚”や“馬面のレズビアン”と呼んでいるのです。ああ、そうです、違いますよ。私がいま語っているのはドナルド・トランプについてではありません。私は今ブルームバーグ市長について話しているんですよ」。

ウォーレンは民主党の候補者指名獲得レースで極めて厳しい戦いを強いられることになった。ウォーレンはアイオワ州とニューハンプシャー州での予備選挙の結果で上位2名に入ることができなかった。バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の存在のために左派の有権者からの支持を拡大できていない。

しかし、ウォーレンは水曜日の討論会でこれ以上望むべくもないほどの良いパフォーマンスを行うことができた。

(2)バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)

サンダースは討論会に、民主党の党指名獲得レースにおける異論のないトップ走者として参加することになった。

サンダースはリアルクリアポリティックスでの世論調査の平均で、2位に10ポイントサイをつけてトップに立っている。彼には熱心な支持者たちがついており、ネヴァダ州での党員集会で勝利を得る可能性が高い。

討論会の壇上でサンダースが行うべきことは、目立つミスを犯さないことだった。サンダースはこれを軽々とクリアした。

壇上の誰もサンダースに大きなダメージを与えることはできなかった。そして、ブルームバーグに対しての攻撃がほとんどだったこともサンダースにとっては有利に働いた。サンダース自身は討論会での最初に発言でブルームバーグの職務質問への支持に関して言及した。

サンダースの敵対者たちは彼を攻撃しようと試みたが、彼は比較的容易に反撃することができた。

インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジは、サンダースと強力なネヴァダ州飲食業従事者組合との間での争いを持ち出した。サンダースはこれを一言で斥けた。

サンダースは「私たちはあなたが夢想しているよりも良い多くの組合からの支持を貰っています」と述べた。

好き嫌いはあるだろうが、サンダースが民主党の候補者指名に向けた方向性が変わってしまうと考える理由は今のところ存在しない。

(3)エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)

クロウブシャーは、ニューハンプシャー州での予備選挙直前に開催された前回の討論会でのパフォーマンスで自身の選挙運動を活性化させた。討論会の直後の予備選挙で、驚きの3位に入った。

水曜日の討論会で、クロウブシャーは、そこまで目立つことはなかったが、力強いパフォーマンスを行った。

クロウブシャーが売り出している政治的ブランドは間違いなく、アメリカ中西部で育まれた現実的な中道主義ということである。ジョー・バイデン前副大統領が支持率を下げている中で、クロウブシャーが自身の支持率を引き上げる余地が出てきている。

ブルームバーグは、税務申告のためにコンピュータソフト「ターボ・タックス」を使ったことがないと述べた後に自身の中流家庭出身という出自を強調した。

彼女は、「私の夫は夫婦の税務申告をしてくれるんですが、ターボ・タックスを使いますね」と述べた。

討論会の後半、クロウブシャーとブティジェッジとのやり取りは特にとげとげしいものとなった。クロウブシャーは、ブティジェッジが彼女のことを馬鹿だと指摘したことについて非難した。

別のやり取りでは、クロウブシャーはブティジェッジの殊勝ぶる性向についてやり返した。

クロウブシャーはブティジェッジに対して「みんながあなたのように完璧な人間だったら良かったのにね、ピート」と述べた。

クロウブシャーが民主党の指名候補になる道筋はまだ見えにくいままだ。しかし、クロウブシャーにとっては良い夜となった。

●どちらでもない

(1)インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジ

いくつかの側面でブティジェッジは圧力を受けている。

ブティジェッジは、ネヴァダ州、そして4つ目の投票場所となるサウスカロライナ州での各種世論調査での支持率の数字が良くない。ブティジェッジはアイオワ州とニューハンプシャー州で力強い結果を得たが、この勢いを支持者が望むようにはつなげていけていないようだ。そして、予備選挙において中道派の候補としての立場もブルームバーグからの脅威に晒されている。

ネヴァダ州での討論会で素晴らしいパフォーマンスを見せることができていれば支持率の数字を上げることに貢献したであろうが、彼はうまくやることができなかった。

ブティジェッジは明らかな失言をしなかった。

水曜日の討論会に関して、ブティジエッジはまあまあだった。しかし、十分に良かったとはとても言えない。

●敗者たち

(1)ニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグ

間違いなく、ブルームバーグにとって酷い夜となった。

ブルームバーグは文字通り他の全ての候補者たちから攻撃を受けた。これは驚くに値しない。他の候補者たちは討論会の壇上からブルームバーグを無傷で帰すことをしなかった。ブルームバーグはテレビ広告に3億5000万ドルを既に支出している彼を攻撃目標とした。

より衝撃的だったことは、ブルームバーグが自分を弁護することを全くうまくできなかったことだ。ウォーレンが秘密保持条項についてブルームバーグを批判したところは最も目立つ場面となった。

ブルームバーグは職務質問について自己弁護をすることに躊躇していた。このテーマは討論会で必ず出るだろうと誰もが考えていたのに対策ができていなかった。

ブルームバーグはニューヨーク市長を3期連続で務めたのだが、その時にすぐにイライラする態度を見せることで有名だった。ニューヨーク市民にとってはおなじみのブルームバーグの苛立った態度はこの討論会でも見ることができた。

その一例が「ターボ・タックス」についての発言だ。クロウブシャーはこのことでブルームバーグを攻めた。更にウォーレンからも攻撃を受けた。

元市長マイケル・ブルームバーグは自身の巨万の富を積極的に擁護する姿は、現在の民主党においては政治的に問題があると見なされる。彼は世界で最も富裕な20目の超大富豪の中に入っている。

もちろん、討論会での大失敗が何も問題にならない可能性もある。ブルームバーグは2020年3月3日のスーパーチューズデーまで投票用紙の候補者リストに入っていない。3月3日までに人々の記憶が消えていくこともあるし、大雪崩のようなテレビ広告の放映によって隠されることもあるだろう。

しかし、酷いパフォーマンスだったという事実は何も変わらない。

(2)ジョー・バイデン前副大統領

バイデン選対は苦境に立たされている。

バイデンはニューハンプシャー州での予備選挙で5位に沈んだ。彼の支持基盤であるアフリカ系アメリカ人からの支持が下がっていることを示す兆候がある。水曜日に発表されたABCニュースと『ワシントン・ポスト』紙による全国規模の世論調査の結果によると、バイデンの支持率は前月に比べて半減している。

2019年から本格化した予備選挙の序盤から、バイデンは討論会で良いパフォーマンスを行うことができなかった。水曜日の討論会でもそれは変わらなかった。討論会ではところどころで姿が見えなくなるように感じられたほどだった。

バイデンは時に反撃を行った。ライヴァルたちが自身の業績を誇る中で、バイデンは自身の長い政治キャリアの中で積み上げた多くの業績を列挙した。

しかし、バイデンは討論会の壇上にいるほかの人々の陰に隠れてしまった。彼の選挙運動がうまくいっていない中でこれはとても悪い兆候である。

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ラスヴェガスでの討論会での5つの特徴(5 takeaways from Las Vegas debate

ジョナサン・イーズリー筆

2020年2月19日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/483789-5-takeaways-from-las-vegas-debate

ラスヴェガス発。水曜日、パリス・ホテル・アンド・カジノでの夜は戦いの夜となった。ネヴァダ州での党員集会の直前、2020年大統領選挙民主党予備選挙候補者たちはおとなしくせず、激しい戦いに身を投じた。

ニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグは初めて討論会に参加した。バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)はトップ走者としての立場を強めた。エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)はこれまでで最も強力なパフォーマンスを行った。インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジとエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)は、ニューハンプシャー州での予備選挙での勢いを固めた。

ラスヴェガスで人々の関心を集めた夜に関する5つの特徴について書いていく。

(1)ブルームバーグ・バブルははじけてしまうかもしれない

ブルームバーグにとっての最初の討論会が彼にとってこれほどひどいものになるということを想像することは難しかった。

ブルームバーグはライヴァルたちが、ニューヨーク市長時代の警察による職務質問と女性に関する職場環境の悪さについて、攻撃してくることは分かっていた。

しかし、ブルームバークは適切な反応を行わなかった。彼が防戦一方になって苦しいやり取りは彼の負けという形で終わることがほとんどだった。

ウォーレンは強烈な一撃を出して討論会をスタートさせた。

ウォーレンは次のように語った。「超大富豪で女性を肥った牝ブタや馬面のレズビアンと呼ぶ人がいます。いえ、私はドナルド・トランプについて話しているのではありません。私はブルームバーグ市長について話しているんですよ。女性にハラスメントを行い、黒人が多く住む地区を特定しそこを融資可能地区から除外するレッドライニングと職務質問という政策を支持した過去を持つ人物を民主党が指名候補にするならば、民主党は大統領選挙で勝利を得ることは無いでしょう。私たちがある超大富豪から別の超大富豪に大統領を代えるようなことをするならばそれには大きなリスクが伴います」。

討論会が進み、ウォーレンは更に勢いを得て、ブルームバーグに対して秘密保持条項が入った労働契約書に署名した女性たちに関する情報を発表するように求めた。それから何度かやり取りがあった後、ブルームバーグは白目をむいて話を終わらせた。

討論会の壇上にいる候補者たちは全員、ブルームバーグを攻撃した。多額の資金を投じて討論会の参加資格をクリアしたこと、市長時代の警察の施策、女性差別的な行動の容認と性差別的な発言、過去に共和党員であったことなどが攻撃材料となった。

ニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグは長い間あらゆる種類の討論会に参加したことがなく、失敗をみせつけることになった。一方、ライヴァルたちは9回目の討論会の参加となり、慣れていないブルームバーグを激しい攻撃をし、彼を簡単に料理することができた。

ブルームバーグは各種世論調査の支持率の数字でトップに迫る勢いである。数百万ドルの資金を背景にしてテレビ広告を放映することで、既に本選挙を戦っているかのような体制を取っている。

水曜日の夜にブルームバーグは現実の厳しさを味わった。ライヴァルたちに論争に引きずり込まれ、激しい攻撃を受けた。討論会でのパフォーマンスを受け、サンダースを阻止することを熱望している主流派民主党員にとって、ブルームバーグが大いなる希望となるかどうかについて疑義が出ている。

(2)サンダースの勢いは続いていくだろう

サンダースは土曜日のネヴァダ州での党員集会で勝利を得ると見られている。ラティーノたちの間での支持が上昇していることで、彼の勝利の可能性も高まっている。

サンダースは選挙運動の力点をカリフォルニア州とテキサス州に映している。両州は人工が多く、多くの代議員が配分されている。両州では202033日のスーパーチューズデーで予備選挙が実施される。

今週土曜日のネヴァダ州での勝利によって、サンダースを阻止することができるのかどうかという話は熱を帯びてくるだろう。

水曜日の討論会ではサンダースの勢いを止めるようなことは何も起きなかった。

実際、ブルームバーグという超大富豪で攻撃材料をたくさん提供してくれる存在がサンダースにとって完全な燃料となった可能性はある。政治におけるカネの問題から富裕層への増税と「メディケア・フォ・オール」といった全ての問題で、サンダースは進歩主知的な主張を明確にすることができた。

反サンダースの動きは大きく動き出そうとしている。

サンダースを民主党の指名候補にすれば11月の大統領選挙では惨敗を喫することになると懸念を表明する不満を持った人々が民主党内に存在する。

サンダースは民主党エスタブリッシュメント派から毛嫌いされている。その中にはケーブルテレビのニュース番組のパネリストやキャスターも含まれる。水曜日の夜にサンダースが受けた攻撃の多くは、討論会が実施される前の数日間にメディアで既に流されたものだった。

サンダースの健康状態は詳しく調べられることになるだろう。昨年、サンダースは心臓発作で倒れた。サンダースに対しては完全な健康診断書を発表するように新たに求める声が出てくるだろう。

サンダースのインターネット上の支持者たち、いわゆる「バーニー・ブラザーズ」は、サンダースのライヴァルたちに対するインターネットを使った酷い攻撃を行っているという評判が立っている。バーニー・ブラザーズはサンダースに対する攻撃の材料となった。

そして、サンダースの社会主義の主張はいつも通りに攻撃の材料となった。主流派の民主党員たちは11月のトランプ大統領の戦いで不利に働くことになると警告を発している。

討論会において最も重要となるであろう場面は、サンダースのライヴァルである5名のうち、「予備選挙で獲得代議員数が最も多かった人物が民主党の指名候補になるべきだ」と述べたのが誰もいなかったということだ。これは、サンダース以外の5人の候補者たちが、サンダースが獲得代議員数トップで民主党全国大会が開催されても、全国大会の指名候補投票でどういう結果になるか分からない、と考えていることを示している。

(4)失望感が高まる中、候補者たちは攻撃を続けた

何人かの候補者たちは窮地に追い込まれている。そのためにエネルギッシュな、火薬を爆発させているかのような姿勢で討論会に臨んだ。その結果、今回の予備選挙において最も人々の関心を惹きつけ、激しい討論会となった。

ウォーレンの討論会でのパフォーマンスは素晴らしいもので、人々は、彼女は復活すると話すことになるだろう。

ウォーレンはブルームバーグを引きずり降ろそうと狙っていた。そして、ウォーレンは、ブルームバーグを攻撃し、彼の不愛想さと短気を明らかにして弱点を晒すことに成功した。

ブティジェッジはアイオワ州では僅差で勝利を収め、ニューハンプシャー州では僅差で2位になった。しかし、ブティジェッジは避けられている非白人の有権者の間で支持を広げる能力があるのかどうかについて疑義が出ている。

ブティジェッジは繰り返しサンダースとの戦いに身構えた。サンダースは厳格な妥協を許さないイデオローグである。ブティジェッジはクロウブシャーとも戦った。ブティジェッジとクロウブシャーは予備選挙で中道派の候補者同士として争っている。

ブティジェッジの攻撃の全てが有効ではなかった。ブティジェッジは討論会にいて何度かクロウブシャーを激怒させた。クロウブシャーは当意即妙な言い回しで反撃した。

クロウブシャーは「誰もあなたほど完璧ではないのよ、ピート」と述べた。

ブティジェッジとクロウブシャーはお互いを嫌い合っているように見えた。

しかし、全候補者たちはこれからの2週間でレースの行方が決まるだろうと認識している。約3分の1の代議員がスーパーチューズデーに配分されている。予備選挙の行方はこれからの2週間にかかっている。これからの厳しい2週間の予備選挙で民主党の統合がテストされることになる。

(5)医療保険制度をめぐり候補者たちは分裂

「メディケア・フォ・オール」をめぐる主張が討論会の話題の多くを占めた。

メディケア・フォ・オールに関しては草の根での支持基盤が活性化されている。ウォーレンとカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)の支持率の低下の裏にはこれがあったと思われる。メディケア・フォ・オールについて両者は言葉を濁したが、その後支持率が急落した。

左派はメディケア・フォ・オール実現に向けて医療保険制度を完全に見直す候補者を選びたいと熱望している。

穏健派は一般のアメリカ国民は自分たちが現在購入している民間の医療保険がなくなると言われると聞く耳を持たなくなるだろうという懸念を表明している。

今回の討論会での勝者が民主党の指名候補者になるかどうかも分からないし、11月の本選挙でトランプを倒すことができるかどうかも明確にはできない。

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今晩のネヴァダ州での討論会について見るべき5つの点(5 things to watch in tonight's Nevada debate

ジュリア・マンチェスター筆

2020年2月19日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/483562-5-things-to-watch-in-tonights-nevada-debate

アメリカ大統領選挙民主党予備選挙の6名の有力候補たちが水曜日の夜にラスヴェガスで討論会の壇上に立つ。数日後にはネヴァダ州で党員集会が実施される。

ニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグは討論会の参加条件をクリアした。彼は各種世論調査で支持率を上げ続けている中で民主党予備選挙の状況を変化させようとしている。大富豪であるブルームバーグは、ネヴァダ州の党員集会では候補者登録をしていないが、彼の勢いを止めたい他の候補者たちからの様々な攻撃に晒されることになるのは確実だ。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)とインディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジは、アイオワ州とニューハンプシャー州で得た勢いを持続させるだろう。エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)はニューハンプシャー州での討論会で予想以上に力強いパフォーマンスを見せたが、これを今回も続けるだろう。

ジョー・バイデン前副大統領は各種世論調査で支持率トップを走っていたが、現状は支持率を下落させている。ネヴァダ州での討論会で勢いを取り戻そうとしてくるだろう。アイオワ州とニューハンプシャー州に比べて人口の人種構成がより多様なネヴァダ州はバイデンにとってやりやすい州となるはずだと見られている。一方、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は予備選挙のスタートに失敗してしまったので、こちらもまた勢いを取り戻そうとしてくるだろう。

これからネヴァダ州での討論会で見るべき5つの点を挙げていく。

(1)ブルームバーグはどのように攻撃に対処するか?

ブルームバーグは水曜日夜の討論会に参加する。ブルームバーグは各種世論調査で支持率を伸ばしている中で他の候補者たちからの攻撃対象になる。

討論会に参加することで、有権者はブルームバーグをほぼ初めて見ることになる。ブルームバーグはこれまで討論会に参加したことがなく、出馬宣言以降、いくつかインタヴューを受けた程度だった。選挙資金を自己資金で賄っている候補者であるブルームバーグは、民主党全国委員会が政治献金者数に関する条件を取り下げたので、ネヴァダ州の討論会に参加することになった。

民主党予備選挙の候補者たちからブルームバーグが受けている最大の攻撃はサンダースからの攻撃である。サンダースは、ブルームバーグが数百万ドルをテレビ広告に投じていることを受けて、民主党の候補者指名をカネで買おうとしていると繰り返し非難している。

舌戦は今週月曜日にエスカレートした。ブルームバーグは、サンダース支持者の行動と発言をしっかり抑えられていないと非難した。

バイデンとクロウブシャーは討論会でブルームバーグを攻撃しようというやる気を見せている。両者はブルームバーグが警察官の職務質問や収入の低い人々に対する住宅政策について以前に行った発言について攻撃するだろう。

クロウブシャーは「私もまたブルームバーグ氏が討論会の壇上に出てくるように求めてきました。多額のお金がかかるテレビ広告の量では私は彼に太刀打ちできません。しかし、討論会の壇上では私は彼を叩きのめすことができますからね」と述べた。

(2)サンダースがどのように「メディケア・フォ・オール」への攻撃をどのようにかわすか?

サンダースが主張しているメディケア・フォ・オールは、彼の選挙運動における柱となる政策だ。先週、ネヴァダ州での出来事を受けて、メディケア・フォ・オールは攻撃を受けることになった。ネヴァダ州で力を持つ飲食業従事者組合が民間の医療保険が政府の運営する医療保険に代わることで「メディケア・フォ・オールは組合の健康保険を終焉させることになる」と警告を発したのだ。

クロウブシャー、ブティジエッジ、バイデンは、サンダースに対して、メディケア・フォ・オールの財源はどうするのかと質問している。ウォーレンは予備選挙の序盤で似たような質問に晒された。

サンダースを支持しないと発表した飲食業従事者組合をめぐる最近の議論によって、サンダースの提案している計画に対する新たな精査がなされるようになっている。

2020年1月、ブティジェッジはサンダースの計画について次のように語っている。「メディケア・フォ・オールが導入された際にどのように機能するかについてこれまで何の説明もなされてきませんでした。これは驚くべきことです。メディケア・フォ・オールはアメリカ経済に長期間にわたる影響を与える最大の事業になるというのに」。

サンダースはメディケア・フォ・オールがなければ、健康保険のコストはこれからの10年で更に高くなるだろうと主張している。

サンダースは、彼の支持者たちが飲食業従事者組合に対してインターネット上で「悪辣な」攻撃を行ったことについて非難するように圧力を受けた。サンダースは全ての候補者の支持者に対してインターネット上での攻撃を止めるように訴えた。彼は「全ての形態の嫌がらせを私は許容しません」と述べた。

(3)バイデンとウォーレンは討論会で存在感を見せ勢いを取り戻すことができるか?

予備選挙の序盤から中盤にかけて、バイデンとウォーレンはトップ走者と見られてきた。しかし、アイオワ州とニューハンプシャー州での期待外れの結果を受けて、それ以降の各種世論調査では支持率を下落させている。

専門家たちは口を揃えて、バイデンのこれまでの討論会でのパフォーマンスは弱かったと評価している。水曜日の討論会で勢いを取り戻そうとする中で、パフォーマンスの弱さは弱点となる。バイデンはネヴァダ州のラティーノとアフリカ系アメリカ人からの支持を頼みにしており、水曜日の討論会を全米のラテイーノとアフリカ系アメリカ人の共同体とのつながりを再確認する機会としたいところだ。

ウォーレンはこれまでの討論会で力強いパフォーマンスを見せてきた。彼女は選挙戦のリセットボタンを押したい状況の中で、勢いをつける機会を探している。ウォーレンは自分をサンダースと区別して自分こそが選挙戦の中で進歩主義派のトップの位置を取り戻そうとしてくるだろう。また、ブルームバーグを攻撃する機会も探している。

クロウブシャーは今月のニューハンプシャー州での予備選挙が実施される直前に開催された討論会で力強いパフォーマンスを見せた。このパフォーマンスがニューハンプシャー州の予備選挙で予想外の3位に貢献したと考えられている。

(4)ブティジェッジ、クロウブシャーはどのようにより多様な有権者を惹きつけるか?

ブティジェッジとクロウブシャーはアイオワ州とニューハンプシャー州の戦いで勢いをつけた。しかし、ネヴァダ州の聴衆はこれまでとは全く異なるものとなるだろう。

両者はアメリカ中西部出身で、選挙戦を通じて非白人の有権者たちへのアピールに苦労してきた。ネヴァダ州で両者は苦労するだろう。ブティジェッジとクロウブシャーはアイオワ州とニューハンプシャー州での時間と比べてネヴァダ州で時間を過ごしていない。両者が有権者たちにアピールするためには水曜日の討論会は極めて重要となる。

ブティジェッジとクロウブシャーはそれぞれが市長と検察官としての過去のキャリアについての質問に答えることになるだろう。両者はキャリアでの役割を通じてマイノリティの共同体にどのように影響を与えたかについて答えねばならないだろう。

ブティジェッジは、市長時代のアフリカ系アメリカ人男性に対する銃撃への警察の関与、マリファナ所持でのアフリカ系アメリカ人の逮捕率の高さ、アフリカ系アメリカ人の警察本部長の解任について詳細に調べられている。

クロウブシャーは検察官時代の2002年にある黒人の十代の若者を殺人容疑で訴追したことがあった。しかし、この殺人事件に関してはAP通信が多くの疑問点や矛盾点を報道している。このことでクロウブシャーは批判を受けている。連邦上院議員であるクロウブシャーはこの事件に関わる全ての証拠を見直すように求めている。

(5)ブルームバーグ以外の候補者でどの候補者たちが衝突したり、炎上したりするか?

水曜日の夜にブルームバーグ以外に、他の候補者たちも衝突する人たちも出てくるだろう。

ブティジエッジとサンダースは、政策の違いをめぐり一対一で衝突するだろう。両者は民主党内部の穏健派と進歩主義派の分裂を示している。ブティジェッジがアイオワ州での党員集会での獲得代議員数で僅差の1位となった時、バイデンはブティジェッジの市長としての経験を攻撃した。ブティジェッジはバイデンに代わって民主党内の穏健派の代表者となりつつある。

クロウブシャーはサンダースを攻撃することで自身の立場を浴することができると考えているだろう。彼女自身をより現実的な候補者として売り込むことができると考えているだろう。しかし、彼女はまた討論会の壇上にいる穏健派の候補者たちを攻撃したいとも考えていることだろう。そうすることで中道派の候補者たちの混みあった集団から抜け出そうとするだろう。

ウォーレンは以前にサンダース攻撃をココ見たが失敗した。また、自身の進歩主義的主張を際立たせるために穏健派に照準を合わせている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 今回はこれまでに行われたアイオワ州とニューハンプシャー州の選挙についての分析記事を紹介する。選挙はやはり地道な選挙運動の成果だということをサンダースとブティジェッジは示している。

 アイオワ州ではインディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジとバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)がデッドヒートを展開し、ブティジェッジが僅差で勝利を収めた。ニューハンプシャー州ではサンダースが勝利した。
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ニューハンプシャー州で勝利宣言をするサンダースとブティジェッジ

アイオワ州の党員集会では、集会の初めに参加者の支持する候補者を集計する。その後、集会でそれぞれの候補者を支持する説明役が候補者について説明をする。それを聞いた上でで、最終的にどの候補者を支持するか集計される。集会の初めの集計で15%以上の支持が得られない候補者を支持する人には、他の候補者に支持を変更するように促されるが強制ではないという方式が採られた。

 ブティジェッジは「2番目に支持する人」というカテゴリーに入ることで勝利を得たのではないかと思う。熱心に支持できない、一番に支持することはないけれども、2番目だったらまあ良い候補だよな、という考えの人が多かったのだと思う。もちろん有力候補なので熱心な支持者も多いのは前提で、二番目に選ばれる戦略というのがあったように思う。

 サンダースには、「バーニー・ブラザーズ(Bernie Bros)」と呼ばれる熱心な支持者がいて、活発な選挙運動を展開している。ブティジェッジはアイオワ州に注力し、頻繁に訪問するなどして勢いを得た。そして、その勢いをニューハンプシャー州にもつなげた。

前回のブログ記事で紹介した記事に出ていたが、ニューハンプシャー州では、サンダースは州内の大都市で勝利し、ブティジェッジは大学町と州東部(マサチューセッツ州に隣接する地域)のボストンのベッドタウンで勝利を収めた。ニューハンプシャー州自体は白人が多数を占める地域だが、大都市となればその中には非白人、アフリカ系アメリカ人やヒスパニック系が多く居住している。サンダースはより広範な人種間で支持基盤を築いたと言える。一方、ブティジェッジは白人の教育水準の高い人々が住む地域で勝利を得たというのは、彼を多く支持している白人の大学学位保有者が多く住む地域であったという事が言える。これからはヒスパニック系が人口の3分の1を占めるネヴァダ州、アフリカ系アメリカ人が多いサウスカロライナ州と続くので、ブティジェッジには厳しい戦いが続く。

エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)は投票直前の討論会で逆転ホームランを放ち、3位に入った。ニューハンプシャー州の判官びいきの気質に、挑戦者として一歩も引かない強気な姿勢が評価されたということになる。

 しかし、状況が深刻なのはジョー・バイデン前副大統領だ。「トランプ大統領に勝てる可能性が最も高い、当選可能性が高い」と自分で主張してきたが、有権者を納得させることができず、2回続けて惨敗を喫した。バイデンはニューハンプシャー州での低調ぶりが分かると、予定していた集会をキャンセルして、サウスカロライナ州に向かった。サウスカロライナ州は彼が頼みとするアフリカ系アメリカ人有権者が多く、これまでの世論調査では圧倒的なリードを保ってきた州だ。そこで、「まだまだこれからですよ」と強がって見せたが、状況は厳しいままだ。ネヴァダ州でもサウスカロライナ州でも支持率の数字を落としたままで改善される兆しは見えない。
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ネヴァダ州での世論調査の結果
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サウスカロライナ州での世論調査の結果

 エリザベス・ウォーレンはニューハンプシャー州の隣のマサチューセッツ州を地盤としており、ニューハンプシャー州の人々にもなじみ深い政治家であるはずが、4位に沈んだ。ボストンに通勤するベッドタウンに住む人々の支持はブティジェッジに奪われてしまった。左派に属する点が忌避されたものと思われる。ウォーレン選対は選挙戦を継続することを発表しているが、スーパーチューズデーを過ぎてからの状況を見て判断することになるだろう。ウォーレンが選挙戦から撤退し、仮にサンダース支持を表明すれば、サンダースにとっては追い風となる。

 サンダースの勝利が続いていると言っても過半数の得票を得ている訳ではない。恐らく宣誓済み代議員3979の過半数1991(民主党全国委員会のルールを読むと過半数プラス1と書いてあり、3979名の半分は1989.5であり、それに1を足すと1990.5となり、1991名ということになる)を得て7月の民主党全国大会を迎えることはないだろう。各種世論調査の結果を見ても、支持率50%を超える候補者はいないし、民主党の予備選挙は得票数に応じて宣誓済み代議員が配分される。

サンダースが最終的に1位になるだろうが、得票率を仮に4割と仮定しても1590名程度だ。1回目の投票で過半数の宣誓済み代議員を獲得できる候補者がいない場合を、ブローカード・コンヴェンション(brokered convention)、もしくはコンテスティッド・コンヴェンション(contested convention)と呼ぶ。この2つの言葉は混同して使用されやすい。ブローカード・コンヴェンションとは、党の幹部たちが非公開の場所で話し合いをして党の指名候補を最終的に決めるもので、現在ではこのようなことは行われていない。コンテスティッド・コンヴェンションの方がより現代的な言葉だ。投票で最終的に決着をつけるということで、繰り返し投票が行われるということだ。

今回の民主党全国大会では、1回目の投票は宣誓済み代議員しか参加できない。しかし、1回目で勝者が出ないとなると、特別代議員771名が投票に参加できるようになる。そして、4750名の過半数となる2376名を獲得する候補者が出るまで投票が続く。この場合、宣誓済み代議員たちも原則的には宣誓した内容に縛られなくなり(released)、自分の支持する候補者に投票することになる。中道派のブティジェッジ、クロウブシャー、バイデン、ブルームバーグを支持する宣誓済み代議員と特別代議員の数を足すと、おそらく過半数を超えることになる。バイデンかブルームバーグが勝者となる可能性がある。

 しかし、このように2度目の投票という事態になり、中道派が勝利となれば、サンダース支持者たちの怒りは頂点に達するだろう。「サンダースが投票で1位なのに、党の指名候補に選ばれないのはおかしい、間違っている、民主党は汚れ切っている(rigged)」と抗議して、全国大会は収集不可能な状態にまでなるかもしれない。そうなれば2016年の二の舞となってしまう。

 現在の獲得代議員数を見れば、予備選挙での投票で獲得する宣誓済み代議員数ではブティジェッジとサンダースが激しく争っており、バイデンはニューハンプシャー州で獲得数ゼロということが響き、全く振るわない。しかし、特別代議員を加えると、一気にトップに躍り出る。このような状況ではバイデンは選挙戦を止めるにやめられないし、特別代議員が投票に参加するような事態になることを期待して選挙戦を続けることになる。
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 民主党幹部、エスタブリッシュメントにとっては、バイデンが横綱相撲で予備選挙において勝利し民主党全国大会でスムーズに党の指名獲得ができることが最善のシナリオだった。しかし、このシナリオは実現しない可能性が高まった。

サンダースが予備選挙で宣誓済み代議員を過半数獲得して勝利するというシナリオも実現する可能性は低い。となれば、特別代議員も参加しての投票となる。そのようなことになれば、民主党の分裂を再びアピールすることになり、最悪の場合には党の分裂ということになりかねないし、何より大統領選挙での勝利など覚束ない。

民主党全体が厳しい状況に追い込まれている。

(貼り付けはじめ)

ニューハンプシャー州での予備選挙の5つの特徴(5 takeaways from the New Hampshire primary

ジョナサン・イーズリー筆

2020年2月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/482698-5-takeaways-from-the-new-hampshire-primary

ニューハンプシャー州マンチェスター発。木曜日夜に実施されたニューハンプシャー州でのアメリカ大統領選挙民主党予備選挙で、ヴァーモント州選出の連邦上院議員バーニー・サンダースがインディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジを僅差で破った。しかし、民主党の指名争いには全体としてまだまだ不確定なことが多く残っている。

エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)は3位という予想外の結果で力強く台頭した。エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)とジョー・バイデン前副大統領は上位3名から大きく置いていかれた形でそれぞれ4位と5位になり、両者が進む方向について深刻な疑義が呈されている。

これから全米で最初に行われた投票による予備選挙の5つの特徴について書いていく。

(1)サンダースがトップ走者に

ヴァーモント州選出の進歩主義派の連邦上院議員サンダースは2位のブティジェッジに大差をつけて勝利することはなかったが、勝利は勝利である。

アイオワ州とニューハンプシャー州を合わせて、サンダースが最も多い有権者の支持を集めたことになる。彼はネヴァダ州へも支持率を上昇させることになるだろう。ブティジェッジとクロウブシャーにとってはこれからが挑戦ということになる。

サンダースはアイオワ州でブティジェッジに対して僅差で敗れた。ニューハンプシャー州でも大勝利とまではいかなかった。しかし、ウォーレンが存在感を薄め、中道派の候補者同士が支持を食い合う状況で、サンダースは前進するのに最も良い位置にいる。

しかし、これからの道には困難が待ち受けている。穏健派の民主党員や民主党支持者と反サンダースの有権者たちが戦いもしないでおとなしくなるということはない。

しかし、ニューハンプシャー州の予備選挙でトップを取ったことで、サンダースは選挙資金集めと世論調査の支持率で勢いを増しており、これがいろいろな方面に相乗効果をもたらす可能性が高い。

全米各州で、サンダースの支持基盤は若い人たちであり、こうした人々は大規模集会に参加する。そうすると他の候補者たちの集会がどうしても小規模に見えてしまう。サンダースの集会は人気があり、インディーズのロックバンドが出演するなどして、人々に活気を持たせ、それがサンダースの選挙運動にも反映されるようになっている。

(2)討論会が重要

数日前、クロウブシャーの躍進など誰のレーダーにも引っかかっていなかった。しかし、ニューハンプシャー州での予備選挙が終わった現在となっては大きな注目を浴びる存在になった。そして、彼女の躍進は、今回の結果を予測することが困難な民主党予備選挙では何が起きてもおかしくないということを示す証拠となった。

クロウブシャーの躍進の最大の理由は先週金曜日にマンチェスター市で開催された討論会での力強いパフォーマンスであった。これまで彼女にかけていたものを彼女自身が掴み利用したのだ。

クロウブシャーは自分がいかにして連邦上院で政策を作ってきたについて鋭い主張を行ったが、同時に中西部出身者特有のユーモアも見せた。彼女は中道派のブティジェッジ、左派のサンダースと対決した際に全く逃げる姿勢を見せなかった。

全国各地の民主党員や支持者たちの多くが、討論会の後、クロウブシャーへの献金を申し出た。そうやって彼女を称賛した。ニューハンプシャー州の有権者たちは彼女を驚きの3位の位置に押し上げた。そして、激しい競争が続く予備選挙の中心に彼女を送り込むことに成功した。

(3)中道派の候補者たちはお互いに票を食い合う

ニューハンプシャー州での予備選挙の結果は民主党支持の有権者たちが穏健派の候補者を求めていることを示している。唯一の問題は有権者たちがどの候補者を支持するかを決められないということだ。

木曜日の夜の投票結果を見ると、ブティジエッジ、クロウブシャー、バイデンの得票を合わせると全投票数の50%以上となった。サンダースとウォーレンの得票を合わせると約36%となった。サンダースとウォーレンは民主党左派との協力に成功した。

サンダースを阻止したいと強く望んでいる中道派の民主党員たちの直面している問題は、候補者の誰かが選挙から撤退しない限り、中道者の候補者グループを壊して中道派の有権者の支持を一人の候補者に集めることができていないというものだ。

ブティジェッジは選挙資金集めに長けており、アイオワ州とニューハンプシャー州でトップとなったことで彼が選挙から撤退することは考えられない。

クロウブシャー選対はニューハンプシャー州で台頭した後、勢いを増している。バイデンは少なくとも勝利が期待できるサウスカロライナ州の予備選挙まで選挙戦を続けるだろうし、おそらくスーパーチューズデーまで続けるだろう。スーパーチューズデーでは宣誓済み代議員の3分の1が決まる。

スーパーチューズデーから、ニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグが予備選挙に本格的に参加し始める。彼は民主党内の中道派の代表になろうとしている。

中道派に所属する候補者たちが支持者たちを取り合い続ける限り、サンダースは民主党の指名獲得の道を進むために勝利を重ね続けることができるだろう。

(4)バイデンとウォーレンにとっては厳しい夜が続いた

バイデンとウォーレンはここ数週間の世論調査で支持率が下がっていることは分かっていただろうし、実際にニューハンプシャー州での予備選挙で得票率が10%に届かないという敗北を喫した。両者ともに代議員を獲得できず、両者の陣営ともにこれから選挙資金集めも難航して資金難に陥るのではないかという評俯瞰を持つようになるだろう。

バイデンにとっては、アイオワ州で4位、ニューハンプシャー州で5位に終わったことで、「自分は最も当選可能性がある候補者だ」という主張を損なうことになった。

バイデン選対はネヴァダ州とサウスカロライナ州での非白人系の有権者から幅広い支持を得ているという事を頼みにしている。前副大統領のバイデンはニューハンプシャー州での結果に固執せずに、山場となるであろうサウスカロライナ州を訪問した。

しかし、ブティジェッジとクロウブシャーの台頭、スーパーチューズデーではマイケル・ブルームバーグが控えているといった状況で、バイデンが宣誓済み代議員の過半数を獲得するための道筋を見通すことはさらに困難になっている。

ウォーレンは自身の地盤マサチューセッツ州に隣接するニューハンプシャー州で4位に終わった。11月までの世論調査ではトップに立っていたこもあったが敗北を喫したことで、ウォーレンは選対の引き締めを図ることになるだろう。

サンダースはアイオワ州とニューハンプシャー州でウォーレンを容易に上回った。彼は左派からの支持をがっちりと固めている。ウォーレン選対はスーパーチューズデーで予備選挙が実施される各州での世論調査の数字の高さを頼みにしている。しかし、彼女は有力候補であり続けるためには2月中に勢いを回復しなければならない。

(5)民主党は深夜まで続く予備選挙に備えた

ニューハンプシャー州での予備選挙が終わるまでは人々の間でささやかに話されていたことが今は全ての人々の関心の的になっている。それは、ミルウォーキーで開催される民主党全国大会がコンテスティッド・コンヴェンション、つまりどの候補者も党の指名獲得に必要な宣誓済み代議員の過半数1990名を獲得できずに全国大会が解されることになるのではないかということだ。

現在の混戦から抜け出し、宣誓済み代議員の過半数を獲得する候補者が出る可能性はまだ残っている。

しかし、最初の2つの州での予備選挙が終わった時点で、得票率30%を超えた候補者は誰もいなかった。

中道派の支持は候補者の乱立によって分裂している。サンダースは左派の支持を固めているが、それだけで選挙戦を勝ち抜くことはできない。2020年3月3日のスーパーチューズデーが終わるまではブルームバーグが投入した数百億円の資金がどれほどの影響力を持つものになるか誰にも分からない。

民主党予備選挙はこれから長く、浮き沈みが頻繁に起きるものとなるだろう。

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初期のアイオワ州での結果に見られる5つの特徴(5 takeaways from the early Iowa results

リード・ウイルソン筆

2020年2月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/481754-5-takeaways-from-the-early-iowa-results

民主党の候補者たちが月曜日の深夜にアイオワ州を後にした。候補者たちが後にしたアイオワ州は民主党の指名候補の行方を決める力を持つ州であるはずだった。しかし、アイオワ州の持つ力はアイオワ州民主党が正確な結果を報告することに苦闘している間でどんどんなくなっていった。

学校のカフェテリアや教会の地下室、そしてアイオワ州史上初めてのモスクなどで開催されたアイオワ州の民主党の党員集会に参加した人々が解散してから約48時間経っても、最終結果はまだ出ていない。これは政治上のカレンダーにおけるアイオワ州の称賛される地位が最終的に台無しにする致命的な失敗となる可能性がある。

しかし、全選挙区の約75%の結果が公表される中で党員集会の流れが見えてきている。アイオワ州で起きたことを指標である。そして、これからの予備選挙がどのように推移していくことも示されている。

私たちがアイオワ州の党員集会の結果から学んだ5つのことを書いていく。

(1)組織が功を奏する

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が初めてアイオワ州にやってきたのは2015年のことだった。そして彼はそれからアイオワ州をほぼ離れたことはなかった。

サンダースはアイオワ州で大規模な選挙運動ティームを作り上げ、このティームは支持者を組織化するためにいくつかの革新的な方法を編み出し実行した。選挙運動ティームは、ケイシーズ・ジェネラル・ストアの従業員たちとコンヴィニエンスストアのような小売店で働く人々に特に焦点を絞った。党員集会の夜、サンダースのティームはアイオワ州の全ての選挙区で責任者を1人、もしくは1人以上配置することができた。

インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジはアイオワ州で力強いパフォーマンスを見せた。これは彼が予備選挙でトップ集団に参加するために必要な基盤となるだろう。ブティジェッジの選挙運動ティームは州全体に34の事務所を開設したが、これはほかのどの候補者よりも多かった。そして、党員集会の当日にも1000名のヴォランティアを動員して最後の戸別訪問活動を行った。

党員集会の前の数カ月、各選対は印象的な地上戦を展開していた。今回の党員集会の結果は、こうした組織化がどうして大事かを示している。ブティジェッジは全選挙区の88%で15%以上の支持を得るという条件を満たすことで代議員獲得が可能となった。サンダースは78%の選挙区で15%以上の支持を得るという条件を満たした。その他の候補者たちもこの条件を満たすのは時間の問題であるが、党員集会においてよい結果を出すためには草の根の組織作りに投資をすることが重要であることを2人の結果が示している。

(2)サンダースは人種的に多様な連合を形成している。

大統領選挙の候補者たちにとってアイオワ州に入ることは最初のテストということになる。しかし、アイオワ州がアメリカ全体を代表している訳ではない。また、民主党の支持基盤を形成している連合を代表している訳でもない。しかし、アイオワ州の一部は人種的に多様な構成になっており、特に最大の都市デモインとその周辺はそうなっている。

その中でもデモイン市東部と北部にはヒスパニック系とアフリカ系の人々が固まって居住している。そして、これらの地区ではサンダースの党員集会の結果が素晴らしいものとなった。デモイン市内の人種的に多様な地区のほとんどで、サンダースは2位の候補者に比べて2倍の支持を集めた。アイオワ州の党員集会の参加者のうち、非白人は9%を占めているが、サンダースはこれらの有権者の43%からの投票を獲得した。これは2位の候補者の2倍以上の数字である。

ジョー・バイデン前副大統領はサウスカロライナ州とネヴァダ州でアフリカ系とヒスパニック系からの幅広い支持を得ていると主張してきた。しかし、今回の結果から、バイデンの主張は彼が願っているほどに深いものではなく、サンダースは非白人の各共同体で支持を集めるようになっている。

(3)しかし、サンダースのファンは怒っている

サンダースがヒラリー・クリントン元国務長官をあと一歩で倒すところまで追いつめた2016年のアイオワ州での党員集会の後、サンダースの支持者たちはアイオワ州の党員集会に対する複数の改革を行うように主張してきた。アイオワ州民主党はこれらの改革を実行した。党員集会での最初の投票と途中で変更を経ての最終投票の結果を公表するということになった。この発表は最終的な代議員獲得数の発表とは別で行われた。

アイオワ州民主党にとっての悪夢のシナリオは最終得票数と代議員の数が一致しないことであった。人口が多い都市部の地区で勝利を得た候補者に割り振られる代議員数が、人口の少ない地方の選挙区を席巻した候補者よりも少なくなる可能性があった。

そして、このシナリオ通りのことが実際に起きた。75の選挙区からの報告が集められた時点で、サンダースはブティジェッジに約1000票の差をつけてリードしていた。しかし、ブティジェッジは代議員獲得レースでは1.7ポイント差をつけてサンダースをリードしていた。サンダースの選挙運動ティームはルール上でこのようなことが起きることは理解していたが、サンダースのファンたちはこのようなことが起きるのは間違っている、馬鹿げていると声高に叫んだ。現在の結果がサンダースの支持者たちを怒らせたままであるならば、2016年の大統領選挙を繰り返すことになるだろう。サンダースの支持者の中には本選挙でヒラリー・クリントンに投票することを拒絶した。

(4)バイデンには当選可能性があるという主張の筋道が崩れつつある

月曜日の夜に党員集会の場所に有権者が入って最初に実施された支持する候補投票では、有権者たちは一つのことを重視していた。それはトランプ大統領を倒すことだ。予備選挙が開始されてから、当選可能性から最も利益を得ていたのはバイデンだったはずだ。アイオワ州での党員集会に向かう中でバイデンの世論調査での強さとトランプを倒せる能力に注目が集まった。バイデンはトランプを「太鼓を叩くように」して倒せると述べていた。しかし、党員集会のドアが開かれる時間になり、バイデンはそうした売りを人々にすることができなくなってしまった。党員集会に参加した有権者のうち61%が重要な問題について自分たちと考えが合う候補者よりもトランプを倒せる候補者を選ぶと答えた。そうした有権者のうち24%がブティジェッジに投票し、23%がバイデンに投票した。

バイデンは民主党支持の有権者たちの間で支持の泉を維持している。これまでの数日間本誌の取材に応じた50歳以上の有権者たちのほとんど全員がバイデンのオバマ政権下の副大統領としての業績を称賛した。バイデンの選挙集会に参加し本誌の取材に応じた人々は、バイデンの最も称賛されるアピールポイントは、選挙の当選可能性が高い候補者である点であった。しかし、今週になってバイデンの当選可能性に関しては深刻な疑義が提示されている。

(5)姿を見せることが奏功した

アイオワ州の人々はおもてなしを好む。本当に好きだ。ブティジェッジほど最後の1カ月でアイオワ州全体を回って時間を使った候補者はいなかった。ブティジェッジは党員集会の1カ月前に46のイヴェントに出席した。いわゆる重点地区を中心に回っていた。この重点地区は2008年と2012年の本選挙ではオバマが、2016年の本選挙ではトランプが勝利を収めた。

アイオワ州における31の重点地区はほぼ全てが地方の地区であり、アイオワ州東部に集中している。ブティジェッジは22の地区で勝利し、9の地区で1位を取れなかった。そのうちの7地区ではサンダース、2地区ではエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)が1位となった。

民主党の党員集会での成功は必ずしも本選挙での成功につながる訳ではない。本選挙では中間派の有権者や共和党員、共和党支持の有権者も投票に参加する。しかし、少なくとも重点地区に住む民主党の有権者たちはブティジェッジを好み、高く評価した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙民主党予備選挙の情勢について改めてお伝えする。アメリカのテレビ局CBSの世論調査の結果などから見て、予備選挙は大接戦であるが、バーニー・サンダース連邦上院議員の動向次第でトップがジョー・バイデン前大統領になるか、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員になるかという情勢だ。民主党予備選挙はバイデン、ウォーレン、サンダース、そしてインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジの4名がトップ集団を形成し、他の候補者たちは大きく置いていかれている。CBSは世論調査の結果などを反映させて、民主党予備選挙を次のように計算している。

CBSpollsdelegatesestimates201911001

 トップはバイデンであるが、僅差でウォーレンが続き、サンダースが3位につけている。サンダースがウォーレンを応援するとなると単純計算ではバイデンを上回り、過半数を獲得する。しかし、事はそう単純ではない。サンダースの支持者たちはウォーレンを民主党主流派寄りだと見ており、もしサンダースが選挙戦から撤退し、ウォーレンを応援するとなっても全員が素直に応援するとはならない。ウォーレンはサンダースの公約のかなりの部分を引き継ぐと約束しなければならないが、そうなると、ウォーレン支持者の一部が脱落することになる。だが、ウォーレンとサンダースが共闘するとなるとバイデンにとっては大きな脅威となる。下に掲載する通り、有権者はサンダースとウォーレンは「リベラル過ぎてトランプを倒せない」と考えている。そうなるとやはりバイデンという流れにもなる。現在、ピート・ブティジェッジが勢いを取り戻しているのは中道派にすべきという流れに乗っているからであろう。しかし、ブティジェッジがここからトップまで駆け上がることは難しい。来年のスーパーチューズデーまで選挙戦で粘りを見せて、その後は撤退して、州知事か連邦上院議員選挙を目指すということになるだろう。ブティジェッジはユーモアがあり気取っていないし、現実的な人物という評価が定まってきており、これからの転進にはプラスだ。

cbspollstooliberaltobeattrump201911001

 早期に予備選挙が実施指される各州にはそれぞれ特徴があり、アイオワ州は全米で最初に予備選挙(党員集会)が実施されるということで、各候補が力を入れる。中西部に位置しており、東部に比べて保守的だ。ニューハンプシャー州は独立の気概が強く、東部のリベラルな気風もあり、判官贔屓という特徴もある。サウスカロライナ州は南部各州の特徴でもあるが、有権者に占めるアフリカ系アメリカ人の割合が高く、民主党主流派の金城湯池だ。ネヴァダ州はアメリカ西部に属し、過激なリベラルな面もあるが、総じて民主党主流派が強い。

cbspollsiniowa201911001
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cbspollsinsouthcarolina201911001
cbspollsinnevada201911001

 CBSの世論調査の結果では、アイオワ州は大接戦だが中西部出身のブティジエッジが支持を伸ばしている、ニューハンプシャー州ではウォーレンやサンダース(ともに東部が地盤でリベラル左派)が強く、サウスカロライナ州ではバイデンが圧倒的な支持を集めており、特徴の通りの結果が出ている。ネヴァダ州も同様だ。

 選挙情勢はバイデン有利ではあるが、優位ではない。サンダースの動き次第でウォーレン勝利の可能性がぐっと高まる。これから目を離せない展開になりそうだ。

(貼り付けはじめ)

世論調査:バイデンはサウスカロライナ州で20ポイントのリード(Poll: Biden holds 20-point lead in South Carolina

ジョン・バウデン筆

2019年11月18日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/470990-poll-biden-holds-20-point-lead-in-south-carolina

サウスカロライナ州での世論調査の最新結果が発表され、ジョー・バイデン前副大統領は彼と接戦を演じているエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)に対して大量リードしている。
democraticprimarysouthcarolinapoll20191118001

月曜日に発表されたキュニピアック大学の世論調査の結果で、バイデンの支持率は33%となり、ウォーレンは20ポイント差をつけられて13%、サンダースは11%となった。

上位3名以外に二桁の支持率を獲得した候補者はおらず、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジは第4位につけたが支持率は6%だった。

ブティジエッジに肉薄したのは大富豪のトム・ステイヤーで支持率は5%だった。ステイヤーは遅れて出馬したのだが、著名な政治家たち、コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)とカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)よりも高い支持率を記録した。

サウスカロライナ州の予備選挙ではバイデンは強力な支持を得ている。しかし、アイオワ州、ニューハンプシャー州、カリフォルニア州といった早期で予備選挙が実施される州や代議員数が多い州ではサンダースやウォーレンの後塵を拝している。

今回のキュニピアック大学の世論調査はサウスカロライナ州在住の民主党予備選挙参加予定者768名を対象に2019年11月13日から17日まで実施された。誤差は4.8ポイントだ。

=====

新しい世論調査の結果ではアイオワ州ではトップ4名が接戦を展開(New poll shows four top-tier 2020 candidates in Iowa

レベッカ・クレア筆

2019年11月17日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/470838-new-poll-shows-four-candidates-as-defined-top-tier-in-iowa

アイオワ州の有権者たちはアメリカ大統領選挙予備選挙で分裂している。最新の世論調査の結果では、トップ4名の候補者が誤差の範囲内の差でトップをめぐって大接戦を展開している。

CBSYouGov共同世論調査の最新の結果が日曜日に出て、ジョー・バイデン前副大統領とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は予備選挙(党員集会)が全米で最初の実施されるアイオワ州で支持率22%を獲得し、トップタイとなった。

インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジは僅差で追い21%、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は18%の支持率を獲得した。それぞれの差は世論調査の誤差4.1ポイント以内になっており、上位4名がアイオワ州でのトップをめぐって大接戦を演じていることを示している。

上位4名以外に二桁の支持率を獲得した候補者はいなかった。カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)とエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)は5%の支持率でタイだった。

CBSYouGovの共同世論調査での支持委率の推移を見ると、ブティジエッジは15ポイントも支持率を伸ばしたことが分かる。9月の調査の時の彼の支持率は6%だった。

サンダースの支持率は9月に比べて3ポイント上昇となり、ウォーレンの支持率は10ポイとの下落となった。バイデンの支持率は3ポイントの減少となった。

ブティジェッジの台頭は土曜日に発表されたCNNの世論調査の結果からも分かる。ブティジェッジの支持率は25%で、サンダースとバイデンに対して10ポイント、ウォーレンには9ポイントの差をつけて第1位となった。

今回のCBSYouGovの共同世論調査は有権者登録済の民主党支持有権者856名を対象に2019年11月6日から13日にかけて実施された。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 

 遅くなりましたが、第2回討論会についての評価がなされている記事をご紹介します。

 

 これを読むと、第3回目の討論会(2016年10月19日)で大事なポイントが分かります。ヒラリーは「大過なく時間切れを目指す」、トランプは「Eメール問題を中心に攻撃あるのみ」です。

 

 現在、トランプに性的な嫌がらせや被害を受けたという女性たちが次々とニュースになっています。トランプは「彼女たちの姿かたちを見れば、自分が彼女たちに対してそんなことをしていないことは分かってもらえるはずだ」と軽口を含めて反論していますが、今や袋叩き状態です。

 

 最後の討論会の司会者は保守系のフォックスニュースのキャスターですから、トランプにやや有利な取り扱いをするでしょう。そこで、ヒラリーが何も言わなければトランプ有利なままで討論会は終了ということになるでしょう。

 

 しかし、投開票日まで残り3週間で、まだどちらに投票するかを決めていない人がどれくらいいるか、その人たちが選挙結果にどれほどの影響力を持つかですが、私はあまり大きくないのではないかと思います。そして、どちらに投票するかを既に決めている人たちが討論会を見て、それぞれ逆の候補者に入れようと考えを改めることはないでしょうから、第3回目の討論会は大きな影響を持たないのではないかと思います。

 

 真面目な人(ちょっと変わっている?)であれば、3回の討論会をきちんと見て、場合によっては見直して、それでどちらに投票するかを決めるでしょうが、そんな人は多くないでしょう。大部分は生中継を見て、その後のニュース番組を見て、印象で決めるでしょうから、メディアが「ヒラリー勝利」と伝えれば、「そんなものか」と思うだけのことで、だからヒラリーに入れようということまでにはならないでしょうが、何となく勝ち馬に乗るということで、ヒラリーに入れる人が出るでしょう。

 

 第3回目の討論会は2016年10月19日(日本時間では10月20日)に、ネヴァダ州ラスヴェガスで行われます。ラスヴェガスでは、ボクシングの世界タイトル戦が行われますが、第3回の討論会がラスヴェガスにふさわしい戦いになることを期待したいと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

第2回討論会の5つのポイント(Five takeaways from second presidential debate

 

ジョナサン・イースリー筆

2016年10月10日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/300168-five-takeaways-from-second-presidential-debate

 

日曜日の夜に第2回のアメリカ大統領選挙討論会にチャンネルを合わせたアメリカ国民は、子供たちには見せられない場面を数多く目にすることになった。

 

討論会は最初から脱線し、ドナルド・トランプ、ヒラリー・クリントン共にお互いの私的な生活について罵り合った。そして、酷い状況が最後まで続いた。

 

これから、セントルイスで行われた、中身の酷さに目を丸くするだけだった討論会の5つのポイントを挙げていく。

 

●醜い選挙戦がより醜く(An ugly campaign gets uglier

 

候補者たちと配偶者、そして家族は日曜日に、沈痛な面持ちでセントルイスのワシントン大学の講堂に集まった。彼らはそこで何が行われるかを正確に分かっていた。

 

討論会の最初の10分間は2005年のテレビ出演の際に録音されたトランプの卑猥な発言に集中した。この発言は討論会の直前の金曜日に公表された。野卑なそして露骨に性的な発言によって、共和党の幹部たちは一斉にトランプを見限り、投開票日の1カ月前の段階にもかかわらず、選挙の辞退を求めた。

 

司会者のアンダーソン・クーパーは次のように発言した。「あなたは女性の同意もなしにキスをするし、女性器を掴むと発言しました。これは性的暴力を含む内容です。あなたは女性に対して性的な暴力をふるったと発言したということになります。このことを理解されていますか?」。

 

トランプの妻メラニアと成人した子供たちは聴衆の中からこの光景をじっと見ていた。

 

トランプは、ビル・クリントン元大統領からセクシャル・ハラスメントを受けたり、レイプされたりしたと訴えている女性に対するヒラリーの取り扱いを非難することで、スキャンダルから人々の目を逸らそうとした。

 

討論会の直前、トランプはビル・クリントンから性的被害を受けたという女性から3名、ポーラ・ジョーンズ、ジュアニタ・分ローデリック、キャスリーン・ウィリーを招待して記者会見を開いた。しかし、選挙戦は大きな展開を見せなかった。

 

4人目の女性キャスリーン・シェルトンにも出席していた。シェルトンは12歳の時にレイプされたと訴えた相手の男性の弁護を引き受けたのがヒラリーだった。この男性はより罰の軽い罪を宣告された。

 

ビル・クリントンに性的被害を受けたという女性たちは、講堂内で、ビル・クリントンと娘のチェルシー・クリントンの側に座った。これは、異様なそして劇的な雰囲気を作るためであった。

 

見苦しい発言は討論会後も続いた。トランプ選対の責任者ケリアン・コンウェイは、トランプ支持から徹底を表明した共和党所属の連邦議員たちを非難した。コンウェイは、これらの議員の中には、彼女(コンウェイ)に対してセクシャル・ハラスメントを行ったり、「女性たちが嫌がっているのにキスをして舌を女性たちの口の中に入れたりした」可能性がある人たちがいると主張した。

 

両候補とも第2回目の討論会までの世論調査で、「嫌い」が「好き」を大きく上回る状態であった。世論調査の結果によると、人々は、今回の選挙は人間の持つ最悪の部分を表に引き出すものとなっていると考えている、ということが分かった。

 

日曜日の討論会ではこうした感情が過度に強調された。

 

●今回の討論会は選挙の流れを変えることはできない(This debate is unlikely to change the race

 

第1回目の討論会に対する反応は迅速で、ほぼ満場一致であった。ヒラリーが討論会に勝利し、そのために支持率が再び上昇するだろうというものであった。

 

第回討論会に対する反応は複雑で、専門家たちは見にくい争いに失望し、両候補者共に得点し、ダメージを吸収したと宣言した。

 

CNNYouGov共同の簡易調査によると、視聴者の47%がヒラリー勝利と答え、42%がトランプ勝利と答えた。

 

トランプは、過去の性的に卑猥な発言について弁護するために、討論会の最初の部分は耐えねばならなかった。しかし、彼はいくつか鋭い発言で人々の喝さいを受け、どんな質問でも最後はヒラリー攻撃に結び付けた。これは第1回目の灯篭ん界ではできなかったことだ。

 

ヒラリーは、彼女の私的Eメールアカウントとサーヴァー使用問題とウォール街での有料の講演についての質問に対する回答に苦労した。しかし、彼女はタウンホール方式の討論会でより自然に振る舞った。彼女は質問する市民たちに優しく近づいた。一方、トランプはステージ上でヒラリーを追いかけ回し、彼女の背後にぴったりと張り付いた。

 

引き分けということはヒラリーの勝利を意味する。ヒラリーはほぼ全ての激戦州において支持率でトランプをリードしている。また、選挙予測の専門家たちの大部分はヒラリーが次期大統領になると予測している。

 

トランプは支持率の急落が続く中で第2回討論会の夜を迎えた。彼は支持率の低下に歯止めをかけることはできただろうが、現在彼にとっては不利となっている選挙の大きな流れを変えることはできなかった。

 

●クリントンのEメール問題はトランプにとっての最高の武器だ(Clinton’s emails are Trump’s best weapon

 

トランプにとって前回の討論会を優勢に進めるポイントがあった。それを日曜日の夜にうまく利用した。ヒラリーの国務長官在任中の私的なEメールアカウントとサーヴァーに対して激しい攻撃を行った。

 

ヒラリーはこの問題について説明することも、弁解することも苦労してきた。日曜日夜の討論会でもそうだった。

 

ヒラリーは、討論会は人々が懸念を持っている諸問題について議論を行う場所であるべきだと主張して、時間切れを目指した。ヒラリーはトランプの発言の細かい点には触れなかったが、トランプが嘘つきだと非難した。

 

ヒラリーが話題を変えようとした時、トランプはヒラリーを睨み付けながら、彼が大統領になったら、ヒラリーを捜査するために特別検察官を任命すると語った。

 

「ドナルド・トランプのような資質を持つ人間がこの国の運営をしていないことは良いことですね」とヒラリーは述べた。

 

トランプは「それはそうでしょう、なぜなら、私が大統領になったらあなたは刑務所の中だから」と言い返した。

 

トランプはEメール問題に関して新たな角度から攻撃を行った。金曜日にウィキリークスが公開したEメールの中で、ヒラリーがウォール街の銀行に招待されて、講演を行い、その対価として多額の謝礼を受けったということが明らかになった。

 

ABCのマーサ・ラデッツはヒラリーに対して、「あなたは、公開されたEメールの中で、問題について“公的な立場と私的な立場”を持つ、“2つの顔”を使い分けているのか」と質問した。

 

ヒラリーは事前に準備した答えを述べた。エイブラハム・リンカーン大統領は奴隷制度廃止のための合衆国憲法修正第13条を議会で可決させるために、連邦議員たちそれぞれに、別々のメッセージを伝えたと語った。

 

トランプは次のように反撃した。「彼女は、偉大なエイブラハム・リンカーンが嘘をついた非難しました。誠実なエイブラハムは嘘などつかなかった。ここがエイブラハム・リンカーンとあなたとの違いです。ここが大きな、大きな違いです」。

 

●トランプはメディアと戦争中(Trump at war with the media

 

トランプは、討論会の司会者ラデッツとCNNのアンダーソン・クーパーと衝突した。

 

討論会の中で、苛立ったトランプは「これじゃ、1対3だ」と吐き捨てた。これは、ラデッツ、クーパーとヒラリーが協力してトランプに対峙していることを意味した。

 

トランプは、司会者たちが彼の発言を遮っている、ヒラリーには割り当てられた時間以上に話すことを許している、ヒラリーにダメージを与える問題からすぐに次の話題に移ろうとしている、と非難した。

 

トランプは、ヒラリーのEメール問題から健康保険に関する聴衆からの質問に写ろうとしていた時に、トランプは「分からないので教えて欲しいのだけど、アンダーソンさん、Eメール問題を取り上げないのはどうしてですか?」と質問した。

 

クーパーは「私たちはEメール問題については既に取り上げました」と答えた。

 

トランプは「しかし、何も結論が出ていないじゃありませんか」と言い返した。

 

これは討論会で複数回にわたって行われた司会者とトランプとの間で行われた激しいやり取りのひとつだ。討論会を通じて、このような激しいやり取りが行われたので、司会者たちはヒラリーに比べて、トランプに対してより厳しく当たっていたという印象を人々に与えた。

 

司会者がトランプにきつく当たったというのが、これまでの2回の討論会で保守派が繰り返し主張する内容だ。

 

保守派の人々は、NBCのキャスターで、第1回目の討論会の司会者を務めたレスター・ホルトがヒラリーに対して、彼女のEメール問題やベンガジ事件について意図的に厳しい質問を避けたと非難し、これこそがメディアが偏向している証拠だと騒ぎ立てた。

 

少なくとも、今回の討論会におけるトランプのマイクはうまく機能したようだ。

 

●トランプはペンスとの関係を壊すことを恐れず(Trump not afraid to break with Pence

 

良い時だけの友人、という言葉がある。

 

共和党の副大統領候補マイク・ペンスは、トランプの卑猥な言葉を巡るスキャンダルに関してトランプを批判した。インディアナ州知事のペンスはまた、トランプの大変恥ずべき発言について批判をした後に選挙集会への参加をキャンセルした。

 

討論会でトランプは副大統領候補を失うことなど全く意に介さないように見えた。シリア内戦において、ロシアが設定した攻撃目標に対してアメリカも攻撃を加えるべきかどうかという問題で、トランプはペンスの主張を否定した。

 

マイク・ペンスは軍事介入を支持したことについて、トランプはどう考えるか質問された。トランプは自信の副大統領候補を切って捨てた。

 

「彼と私は話していないし、彼の意見に私は不同意です」とトランプは述べた。

 

それでも、トランプとペンスは少なくとも人々の前では取り繕っている。

 

=====

 

二度目の世論調査は討論会の勝者はクリントンだと宣言(Second poll declares Clinton winner of presidential debate

 

ニートザン・ジンマーマン筆

2016年10月10日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/news/300166-second-poll-declares-clinton-winner-of-second-presidential

 

超党派の国際市場研究機関「ユーガヴ」の視聴者に対する調査によると、第2回の討論会の勝者はヒラリー・クリントンだということだ。

 

47%が討論会の勝者として民主党候補者ヒラリー・クリントンに軍配を上げた。42%が共和党候補者ドナルド・トランプを勝者と答えた。

 

誰に投票するか決めていない有権者の間でも、ヒラリーが討論会の勝者となった。44%がヒラリーが勝ったと答え、41%がトランプが勝ったと答えた。

 

女性の間ではヒラリーが勝ったとする人々が多く、トランプとの差は12ポイントもついた。一方、男性の間では、46対43でトランプが勝者となった。

 

討論会の勝者ということに加えて、ヒラリーは、「より大統領にふさわしい」ということにもなった。視聴者の57%がヒラリーが大統領にふさわしいと答え、31%がトランプがふさわしいと答えた。

 

日曜日の夜、CNNORCの共同調査によると、57%がヒラリーが勝ったと答え、34%が勝者だと答えた。

 

(貼り付け終わり)


(終わり)









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